JPH0942233A

JPH0942233A - 自動車用部品の取付構造

Info

Publication number: JPH0942233A
Application number: JP19662195A
Authority: JP
Inventors: Toshiyuki Okada; 岡田寿幸
Original assignee: Kansei Corp
Current assignee: Marelli Corp
Priority date: 1995-08-01
Filing date: 1995-08-01
Publication date: 1997-02-10

Abstract

(57)【要約】【課題】合成樹脂である自動車用取付部品を、クリッ
プ部材を介して金属製の車体へ取付けるときのクリップ
と車体への係止作業を容易ならしめて、その取付作業性
を高めることができると共に、その車体に取付けられた
後の自動車部品に熱変形が生じてもその自動車部品の変
形を円滑に吸収せしめることができる自動車部品取付構
造の提供。【解決手段】合成樹脂製長尺取付部品の長手方向に沿
って形成したクリップ案内溝に案内されるクリップ首部
の断面形状を短径と長径とからなる横長形状となし、前
記クリップ案内溝は、その溝幅が前記首部の短径より大
であって、長径よりは小さく設定されており、しかもそ
の案内溝を形成している一方の溝縁の途中には、クリッ
プの差し込み方向に対し後方に位置される辺縁と、この
辺縁よりクリップ差し込み方向へ隔設される弾性爪片を
有する係止凹部を設け、また他方の溝縁の途中にはクリ
ップの差し込み案内方向前方に辺縁を有する係止凹部を
設けた。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、例えば自動車の車
体を構成している金属製パネル部に、合成樹脂製である
自動車設備部品を取付けるための自動車用部品の取付構
造に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】一般的な自動車等の車両にあっては、そ
の車体が金属製の板材を用いて構成されており、さらに
それら金属製車体には、合成樹脂製である取付部品、例
えばモール等の長尺合成樹脂成形品である各種部品がク
リップ等の手段を介して取付けられる。

【０００３】ところが特に四季の温度変化を直接に受け
る車体にあっては、例えば夏期では高温度に加熱され、
また冬季では零度以下に冷やされることが周知のことで
あり、このような金属製車体に、その金属とは異質であ
る合成樹脂製の自動車用部品を取付けることは、その金
属製品と、合成樹脂製品との間の熱変形量の差異によ
り、両者間で相対的な位置ずれが発生し、その金属製車
体に取付けられる合成樹脂製品が、特に長尺形状である
モール等の自動車用部品である場合は、そのモールが長
さ方向に変形（たるみ等）を生じて外観が損なわれると
いう問題点があった。

【０００４】そこで従来においては、上記問題点を解決
するための手段として、例えば図４、図５で示すように
合成樹脂製である自動車用取付部品１には、クリップ支
持座２を一体成形し、このクリップ支持座２には、クリ
ップ保持用の長孔３を形成し、この長孔３内にクリップ
４を遊嵌せしめて、該クリップ４がその長孔３の長径方
向のみに変位可能に係合せしめ、そしてこのクリップ４
を金属製である車体５に設けた係止孔６内に係入させる
ことで、その車体５にクリップ４を介して自動車用部品
１を取付けるものである。

【０００５】従って、車体５に設けた係止孔６に係止さ
れたクリップ４は自動車用部品１に設けられているクリ
ップ支持座２の長孔３に沿って変位可能であることか
ら、例えば上記自動車用部品１に熱変形が生じても、そ
の変形をクリップ４と長孔３間で吸収することができる
構造となっている。

【０００６】しかしながら、このような車体への自動車
部品取付構造にあっては、車体に係止される前のクリッ
プ４は、長孔３の長手方向に沿って揺動自在であり、そ
のクリップ４を車体に設けられている係止孔６内へ係入
させる作業はクリップ４を目視できない状態で行なうこ
とから、そのクリップ４の軸芯と、係止孔６の中心軸と
の位置ずれがしやすく、これが原因で自動車部品１をク
リップ４を介して車体に取付ける作業が円滑にできず、
作業性が悪いという問題点があった。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題点
に着目してなされたもので、合成樹脂である自動車用取
付部品を、クリップ部材を介して金属製の車体へ取付け
るときのクリップと車体への係止作業を容易ならしめ
て、その取付作業性を高めることができると共に、その
車体に取付けられた後の自動車部品に熱変形が生じても
その自動車部品の変形を円滑に吸収せしめることができ
る自動車用部品の取付構造の提供を目的としている。

【０００８】

【課題を解決するための手段】この発明では、上記目的
を達成するために、合成樹脂製である長尺の車体取付部
品には、その長径方向に沿って延びて、一側開口部から
クリップ本体を嵌入するクリップ案内溝を有するクリッ
プ支持座を一体に形成し、また金属製である車体には、
クリップ係止孔を穿設し、上記クリップ案内溝内に係合
されるクリップ首部と、前記係止孔に貫通係止される頭
部を有するクリップ本体を介して、前記の長尺の車体取
付部品を車体に取付ける取付構造において、前記クリッ
プ首部の断面形状は、短径と長径とからなる横長形状で
あり、前記クリップ案内溝は、その溝幅が前記短径より
大であって、前記長径よりは小さく設定されており、し
かもその前記クリップ案内溝を形成している一方の溝縁
の途中には、クリップの差し込み方向に対し後方に位置
される辺縁と、この辺縁よりクリップ差し込み方向へ隔
設される弾性爪片を有する係止凹部を設け、また他方の
溝縁の途中にはクリップの差し込み方向に対して前方に
位置される辺縁を有する係止凹部を設けて、上記双方の
係止凹部間に跨って上記クリップ首部を起立状態となし
たとき、そのクリップ首部の長径方向両端縁が前記それ
ぞれの辺縁と、弾性爪片による３点で当接支持されて、
クリップ首部がクリップ案内溝内で仮位置決めされるも
のである取付構造を特徴としている。

【０００９】

【作用】この取付構造によれば、クリップの首部を、ク
リップ取付座に設けたクリップ案内溝に沿って差し込
み、その首部が係止凹部に接近した位置で約９０度回動
し起立状態にすることにより、その首部の長径方向両端
縁が、係止凹部に形成されている一対の辺縁と弾性爪片
とによる３点支持でそのクリップは、車体取付部品のク
リップ支持座の所定位置で揺動することがないように位
置決めされる。

【００１０】従って車体取付部品を、車体に取付けるに
際し、揺動することないそのクリップを、車体に設けら
れている係止孔へ挿入係止させる作業は容易であって、
そのクリップを介して車体取付部品を車体に取付けるた
めの作業性が向上する。

【００１１】また金属製車体に取付けた後の合成樹脂製
車体取付部品に熱変形を生じると、その車体取付部品の
長径方向熱変形力により、前記係止段部には、案内溝方
向の変位が生じ、この変位力を受けてクリップの首部は
回動され、かつ一対の辺縁と弾性爪片による位置決めか
ら解除されるために、クリップ首部とクリップ支持座と
の係止力は解けて、車体取付部品は車体に係合している
クリップに対して自由に変位することができ、これによ
って合成樹脂製である車体取付部品の熱変形をクリップ
との間で有効に逃がすことができる。

【００１２】

【発明の実施の形態】以下に本発明を図面に示す実施例
に基いて詳細に説明する。

【００１３】図１、図２において、１１は合成樹脂によ
り成形されている自動車用取付部品であって、この自動
車用取付部品１１の車体との取付面には、クリップ支持
座１２を一体成形し、このクリップ支持座１２には図１
において縦断面が鈎形状であるクリップ保持用のクリッ
プ案内溝１３が、取付部品１１の長径方向一端から他端
方向に向って形成されている。このクリップ案内溝１３
の一端には開口部１４が形成されており、またそのクリ
ップ案内溝１３を形成している一対の溝縁１５の夫々に
は、凹形状の係止凹部１６Ａ，１６Ｂが形成されてい
る。

【００１４】これら双方の係止凹部１６Ａと１６Ｂとの
位置関係は、その一方の係止凹部１６Ａの形成位置が他
方の係止凹部１６Ｂの形成位置よりも案内溝１３の開口
部１４方向へ進んだ位置に形成されており、その一方の
係止凹部１６Ａの開口部１４側辺縁１７Ａ位置は、他方
の係止凹部１６Ｂの開口部１４と反対側辺縁１７Ｂ位置
より開口部１４側へずれるように設定されており、さら
にその一方の係止凹部１６Ａには、上記辺縁１７Ａ位置
よりも開口部１４と逆方向へ位置ずれされている小突起
の弾性爪片１８が形成されている。

【００１５】１９は上記クリップ案内溝１３内で案内さ
れる鍔部２０及び上記一対の溝縁１５間で遊嵌される首
部２１及び金属製である車体２２に穿設されているクリ
ップ係止孔２３内に貫通係止されるクリップ部２４を一
体に形成しているクリップ本体であって、このクリップ
本体１９の首部２１の断面形状は、図１で示す如くその
短径（ａ）がクリップ案内溝の溝幅（ｃ）よりも小さ
く、また長径（ｂ）が前記一対の係止凹部の底面相互間
幅（ｄ）と略等しく形成される横長形状に設定され、さ
らに、クリップ本体１９の長径方向両端縁には、その四
隅部を面取りして傾斜面２５Ａ，２５Ｂ，２５Ｃ，２５
Ｄを形成している。

【００１６】以上が本実施例の構成であるが、次にその
作用について述べると、上記構造の車体用取付部品１１
を車体２２へクリップ本体１９を介して取付けるに際
し、先ず上記構造の車体用取付部品１１に設けられてい
るクリップ支持座１２の所定位置へ、クリップ本体１９
を仮位置決めするが、その仮位置決めは、クリップ本体
１９の首部２１をクリップ支持座１２の開口部１４より
一対の溝縁１５相互間へ挿入する。このとき、首部２１
の長径（ｂ）が溝縁１５と平行方向となるように向きを
決めないと、その首部２１をクリップ案内溝１３内に挿
入することができない。

【００１７】そしてその首部２１がクリップ案内溝１３
の一対の係止凹部１６Ａ，１６Ｂに達したとき、そのク
リップ本体１９を反時計方向に略９０度回動させて、首
部２１の長径（ｂ）側端縁を係止凹部１６Ａ，１６Ｂ内
に係入せしめる。

【００１８】このとき、一方の長径（ｂ）側端縁は弾性
爪片１８を弾圧的に乗越えて、首部２１の傾斜面２５Ａ
がクリップ支持座１２の辺縁１７Ａと当接されるまで回
動する。この結果、他方の傾斜面２５Ｃは辺縁１７Ｂに
当接し、さらには、他の傾斜面２５Ｄは弾性爪片１８に
係止され、首部２１は、それらの３点支持作用を受けて
回動されることなくクリップ支持座内で位置決めされ
る。

【００１９】このようにして車体用取付部品１１のクリ
ップ支持座１２に位置決め状態で仮保持されているクリ
ップ本体１９は、取付部品１１に対して揺動されること
がなく保持されているので、取付部品１１を車体２２に
取付けるとき、その取付部品１１に仮保持されているク
リップ本体１９を車体２２に設けられているクリップ係
止孔２３内へ挿入係止して、その取付部品１１を、車体
２２へ取付ける作業が円滑に行なえる。

【００２０】かくして取付部品を車体に取付けた後に、
その取付部品１１に伸び又は収縮等の熱変形を起して、
例えば図１で示すように取付部品１１にＸ１方向の変形
（熱膨脹）を生じると、クリップ係止孔２３に係止され
て固定位置関係にあるクリップ本体１９に対して、クリ
ップ支持座１２の辺縁１７Ａによるクリップ本体首部２
１の傾斜面２５Ａへの押圧力が作用するため、首部２１
はその偏心位置での押圧力によりＸ１方向へ変位しなが
ら時計方向へ回動する。この首部２１の回動時に首部２
１の長径側端縁は、弾性爪片１８を乗り越えて弾性爪片
１８との係止力が解け、その後の首部２１はクリップ案
内溝１３内で遊嵌状態となるので、その首部２１とクリ
ップ案内溝１３内で、取付部品の熱変形を有効に吸収す
ることができる。

【００２１】また取付部品１１にＸ２方向の変形（熱収
縮）を生じたときは、クリップ係止孔２３に係止されて
固定位置関係にあるクリップ本体１９に対して、クリッ
プ支持座１２の辺縁１７Ｂによる傾斜面２５Ｃへの押圧
力が作用するので、首部２１に時計方の回動力が生じ、
この回動時に首部２１の長径側端縁は弾性爪片１８を乗
り越えて、その弾性爪片１８との係止力が解けるため
に、クリップ首部２１はクリップ案内溝１３内で遊嵌状
態となり、これにより上記と同様にその首部とクリップ
案内溝間で取付部品の熱変形を有効に吸収することがで
きる。

【００２２】なお上記実施例では、首部２１の断面形状
を略八角形となしたが、これに限るものではなく、例え
ば図３に示す他の実施例のように六角形となしても、本
発明の目的を達成することができる。

【００２３】また上記の各実施例では、クリップ首部の
長径側端縁を山形の傾斜面に形成したが、この傾斜面を
湾曲面となし、さらには、係止凹部を形成する辺縁をそ
の湾曲面に対応する曲面となしても本願発明の目的を達
成することができる。

【００２４】

【発明の効果】以上のように本発明によれば、車体に取
付けるべき長尺合成樹脂製の車体取付部品には、クリッ
プ本体を仮位置決め状態で係止させておくことができる
ので、この仮位置決めされているクリップ本体を車体に
設けられている係止孔へ挿通係止させる取付け作業がき
わめて容易となり、取付部品の取付作業性が高められ
る。

【００２５】さらに本発明では、取付部品に仮位置決め
されているクリップ本体は、その取付部品に熱変形が生
じると、その熱変形作用で取付部品に仮位置決めされて
いたクリップ本体の仮係止が解けて、取付部品から係止
力が一旦解けたクリップ本体は、再度取付部品と係止さ
れることがないので、その後、取付部品に、いかなる変
形量の膨張又は収縮が繰返し生じたとしても、クリップ
首部とクリップ案内溝縁との係止作用が再度発生するこ
とがなく、これにより取付部品の膨張、収縮力に影響さ
れることなく、その取付部品を車体へ安定状態で固定保
持できる車体への取付構造が提供できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明実施例の部品取付構造の要部を示したク
リップ首部切断の説明図。

【図２】本発明実施例の図１におけるＡ−Ａ線断面図。

【図３】本発明の他の実施例を示したクリップ首部の構
造説明図。

【図４】従来例の部品取付構造を示した断面図。

【図５】図４におけるＢ−Ｂ線断面図。

【符号の説明】

１１…取付部品１２…クリップ支
持座１３…クリップ案内溝１４…開口１５…溝縁１６Ａ，１６Ｂ…
係止凹部１７Ａ，１７Ｂ…辺縁１８…弾性爪片１９…クリップ本体２０…鍔部２１…クリップ首部２２…車体２３…クリップ係止孔２４…クリップ部２５Ａ，２５Ｂ，２５Ｃ，２５Ｄ…傾斜面

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】合成樹脂製である長尺の車体取付部品
（１１）には、その長径方向に沿って延びて、一側開口
部（１４）からクリップ本体を嵌入するクリップ案内溝
（１３）を有するクリップ支持座（１２）を一体に形成
し、また金属である車体（２２）には、クリップ係止孔
（２３）を穿設し、上記クリップ案内溝（１３）内に係
合されるクリップ首部（２１）と、前記係止孔（２３）
に貫通係止される頭部を有するクリップ本体（１９）を
介して、前記の長尺の車体取付部品（１１）を車体（２
２）に取付ける取付構造において、前記クリップ首部
（２１）の断面形状は、短径（ａ）と長径（ｂ）とから
なる横長形状であり、前記クリップ案内溝（１３）は、
その溝幅（ｃ）が前記短径（ａ）より大であって、前記
長径（ｂ）よりは小さく設定されており、しかも前記ク
リップ案内溝（１３）を形成している一方の溝縁（１
５）の途中には、クリップの差し込み方向に対し後方に
位置される辺縁（１７Ａ）と、この辺縁よりクリップ差
し込み方向へ隔設される弾性爪片（１８）を有する係止
凹部（１６Ａ）を設け、また他方の溝縁（１５）の途中
には、クリップの差し込み方向に対して前方に位置され
る辺縁（１７Ｂ）を有する係止凹部（１６Ｂ）を設け
て、上記双方の係止凹部（１６Ａ），（１６Ｂ）間に跨
って上記クリップ首部（２１）を起立状態となしたと
き、そのクリップ首部（２１）の長径方向両端縁が前記
それぞれの辺縁（１７Ａ），（１７Ｂ）と、弾性爪片
（１８）による３点で当接支持されて、クリップ首部
（２１）がクリップ案内溝（１３）内で仮位置決めされ
るものであることを特徴とする自動車用部品の取付構
造。
【請求項２】請求項１記載の辺縁（１７Ａ），（１７
Ｂ）及びクリップ首部（２１）の長径方向端縁が曲線又
は直線で形成されていることを特徴とする自動車用部品
の取付構造。