JPH0942123A - スタータ - Google Patents

スタータ

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JPH0942123A
JPH0942123A JP6136396A JP6136396A JPH0942123A JP H0942123 A JPH0942123 A JP H0942123A JP 6136396 A JP6136396 A JP 6136396A JP 6136396 A JP6136396 A JP 6136396A JP H0942123 A JPH0942123 A JP H0942123A
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pinion
return
rotation
ring gear
output shaft
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Tsuyoshi Araki
剛志 荒木
Tsutomu Shiga
志賀  孜
Nobuyuki Hayashi
信行 林
Masanori Omi
正昇 大見
Masami Niimi
正巳 新美
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Denso Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ピニオン200の軸方向の移動に要するエネ
ルギーを低減する。 【解決手段】 モータ500によって駆動される出力軸
220の外周には、ヘリカルアウタスプライン221が
形成されている。出力軸220の回転を受けてリングギ
ヤ100を駆動するピニオン200は、外周にリングギ
ヤ100に歯合するピニオンギヤ210が形成され、内
周に出力軸220のスプラインに歯合するヘリカルイン
ナスプライン211が形成されている。スタータの始動
時、ピニオン200は、戻り回転規制爪231に回転が
規制され、ピニオン200がリングギヤ100に噛合
後、ピニオン200の後方に規制爪231が配置され、
ピニオン200の戻りが規制される。ピニオン200の
後面には、転がり軸受であるスラスト軸受215が設け
られ、規制爪231がピニオン200の後方に配置され
た状態で、その回転差をスラスト軸受215が吸収す
る。このような構成によって、ピニオン200のみが軸
方向へ移動でき、マグネットスイッチ600を小型、計
量化できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エンジンのリング
ギヤにピニオンを噛合させるとともに、ピニオンを回転
駆動してエンジンを始動させるスタータに関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】スタータに用いられるピニオンの軸方向
の移動手段として、実開平1−131872号公報に示
す技術が知られている。この公報に開示されるスタータ
は、それ以前のスタータにおいてピニオン、ピニオン軸
(出力軸)および一方向クラッチを一体的にシフトして
いたものを、ピニオン軸と一方向クラッチとを軸方向に
相対的に移動可能に設け、ピニオン軸を駆動してピニオ
ン軸とピニオンとをシフトするものである。このように
設けることにより、シフトされる重量が小さくなり、マ
グネットスイッチが小型化できる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ピニオ
ン軸の重量は、ピニオンの5倍ほどある。このため、ピ
ニオンのみをシフトして、ピニオンのシフトに要するエ
ネルギーを低減する技術の開発が望まれている。
【0004】また、ピニオンをシフトすると、ピニオン
とリングギヤとが噛合した状態を維持するためのシフト
維持手段が必要となり、このシフト維持手段とピニオン
との磨耗を防ぐ技術や、シフト維持手段とピニオンとの
間で回転ロスを低減するための技術も必要となる。
【0005】
【発明の目的】本発明は上記の事情に鑑みてなされたも
ので、第1目的は、回転駆動する出力軸に対してピニオ
ンを軸方向にシフトすることで、ピニオンのシフトに要
するエネルギーを低減することのできるスタータの提供
にあり、第2目的は、ピニオンをリングギアに噛み合っ
た状態に維持する手段と、ピニオンとの磨耗および回転
ロスを低減することのできるスタータの提供にある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
〔請求項1の手段〕請求項1を採用したスタータは、次
の作用および効果を奏する。モータの起動時に、ピニオ
ンの回転が規制される、あるいはピニオン自身の慣性モ
ーメントにより、出力軸とピニオンとに回転差が生じ
る。このように、回転差が生じると、出力軸とピニオン
とはヘリカルスプラインで結合されているため、ヘリカ
ルスプラインの作用でピニオンが出力軸に対して軸方向
へ移動し、ピニオンがエンジンのリングギヤに噛合す
る。その後、ピニオンの軸方向の一端側に、スラスト軸
受を介して戻り規制手段が配置され、ピニオンの軸方向
への戻りが規制されて、ピニオンはリングギヤとの噛合
状態から離脱せず、モータの回転トルクがリングギヤを
介してエンジンに伝達される。
【0007】このように、ピニオンを回転駆動する出力
軸に対してピニオンを軸方向に移動することができ、移
動する部材の重量を従来に比較して小さくできる。この
ため、ピニオンを移動するためのエネルギーを、従来に
比較して低減することができる。また、移動する部材の
重量が従来に比較して小さくなるため、ピニオンがリン
グギヤに噛み合う際の衝撃を低減できる。
【0008】また、ピニオンと戻り規制手段との間に
は、ピニオンと戻り規制手段との回転差をスラスト軸受
が吸収する。このため、ピニオンと戻り規制手段との間
での磨耗、発熱、回転トルクロスを抑えることができ
る。さらに、ピニオンがリングギヤから回転を受け、ピ
ニオンが軸方向へ戻る力を受けても、回転差をスラスト
軸受が吸収するため、ピニオンと戻り規制手段との間で
の磨耗、発熱、回転トルクロスを抑えることができ、結
果的に長期に亘ってスタータ性能を維持することができ
る。
【0009】〔請求項2の手段〕請求項2を採用したス
タータは、出力軸とピニオンとに回転差を生じさせる回
転規制手段と、ピニオンとリングギヤとの噛合状態を保
つ戻り規制手段とが共通部品で製作されるため、構造が
単純化でき、スタータを軽量、小型にできる。
【0010】〔請求項3の手段〕請求項3を採用したス
タータは、ピニオンを、ヘリカルインナスプラインを備
えるピニオンインナと、ピニオンギヤを備えるピニオン
アウタとを分けて設けることができるため、ヘリカルイ
ンナスプライン(内歯)およびピニオンギヤ(外歯)
を、それぞれ最適な加工法で製造できる。
【0011】また、ピニオンギヤ(外歯)は、多種類の
仕様が要求される。一方、ヘリカルインナスプライン
(内歯)は、単種類あるいは少種類の仕様で済む。そし
て、ヘリカルインナスプラインを備えるピニオンインナ
と、ピニオンギヤを備えるピニオンアウタとを分けて設
けることで、ピニオンインナとピニオンアウタとの組合
せで、多種類のスタータに対応できる。この結果、ピニ
オンインナは量産効果が得られ、結果的にピニオンのコ
ストを抑えることができる。
【0012】〔請求項6の手段〕請求項6を採用したス
タータは、次の作用および効果を奏する。モータの起動
時に、回転規制手段によってピニオン移動体の回転が規
制されると、ヘリカルスプラインの作用でピニオン移動
体が軸方向へ移動し、ピニオンがエンジンのリングギヤ
に噛合する。このようにピニオンがリングギヤに噛合す
ると、ピニオン移動体がリングギアから戻るのを戻り規
制手段が規制する。この結果、ピニオンはリングギヤか
ら離脱せず、モータの回転トルクがリングギヤを介して
エンジンに伝達される。
【0013】ピニオン移動体がリングギアから戻るのを
戻り規制手段が規制する際、ピニオン移動体と戻り規制
手段との回転差を吸収手段が吸収する。このため、ピニ
オン移動と戻り規制手段との間での磨耗、発熱、回転ト
ルクロスを抑えることができる。さらに、ピニオン移動
体がリングギヤから回転を受け、ピニオン移動体が軸方
向へ戻る力を受けても、回転差を吸収手段が吸収するた
め、ピニオン移動体と戻り規制手段との間での磨耗、発
熱、回転トルクロスを抑えることができ、結果的に長期
に亘ってスタータ性能を維持することができる。
【0014】〔請求項8の手段〕請求項8を採用したス
タータは、出力軸とピニオンとに回転差を生じさせる回
転規制手段と、ピニオンとリングギヤとの噛合状態を保
つ戻り規制手段とが共通部品で製作されるため、構造が
単純化でき、スタータを軽量、小型にできる。
【0015】〔請求項9の手段〕請求項9を採用したス
タータは、次の作用および効果を奏する。モータの起動
時に、回転規制手段によってピニオン移動体の回転が規
制されると、ヘリカルスプラインの作用でピニオン移動
体が軸方向へ移動し、ピニオンがエンジンのリングギヤ
に噛合する。ピニオンがリングギヤに噛合すると、ピニ
オン移動体がリングギアから戻るのを戻り規制手段が規
制する。この結果、ピニオンはリングギヤから離脱せ
ず、モータの回転トルクがリングギヤを介してエンジン
に伝達される。
【0016】ピニオン移動体がリングギアから戻るのを
戻り規制手段が規制する際、ピニオン移動体と戻り規制
手段との回転差を、転がり軸受もしくは滑り軸受が吸収
する。このため、ピニオン移動と戻り規制手段との間で
の磨耗、発熱、回転トルクロスを抑えることができる。
さらに、ピニオン移動体がリングギヤから回転を受け、
ピニオン移動体が軸方向へ戻る力を受けても、回転差を
転がり軸受もしくは滑り軸受が吸収するため、ピニオン
移動体と戻り規制手段との間での磨耗、発熱、回転トル
クロスを抑えることができ、結果的に長期に亘ってスタ
ータ性能を維持することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】次に、本発明のスタータを図に示
す実施例に基づき説明する。 〔第1実施例の構成〕図1ないし図15は第1実施例を
示すもので、図1はスタータの断面図である。
【0018】スタータは、エンジンに配設されたリング
ギヤ100に噛み合うピニオン200や遊星歯車減速機
構300を内包するハウジング400と、モータ500
と、マグネットスイッチ600を内包するエンドフレー
ム700とに大別される。また、スタータの内部では、
ハウジング400とモータ500との間がモータ隔壁8
00によって区画され、モータ500とエンドフレーム
700との間がブラシ保持部材900によって区画され
ている。
【0019】(ピニオン200の説明)図1または図2
に示すように、ピニオン200の外周には、エンジンの
リングギヤ100に噛合するピニオンギヤ210が形成
されている。このピニオン200の内周には、出力軸2
20の外周に形成されたヘリカルアウタスプライン22
1に噛合するヘリカルインナスプライン211が形成さ
れている。このように、ピニオン200は、出力軸22
0にスプライン嵌合し、ピニオン200は出力軸220
に対して軸方向に移動可能に設けられるとともに、出力
軸220がピニオン200よりも速く回転すると、その
回転差によって、ピニオン200がリングギヤ100側
へ前進するように設けられている。
【0020】なお、出力軸220の後側にはテーパ部2
22が形成されており、このテーパ部222にピニオン
200のヘリカルインナスプライン211が当接するこ
とにより、ピニオン200がテーパ部222より後方へ
移動できないようになっている。また、出力軸220の
前側には、ピニオン係止リング250が装着され、ピニ
オン200がピニオン係止リング250より前方へ移動
できないようになっている。
【0021】ピニオン200の反リングギヤ100側に
は、ピニオンギヤ210の外径寸法よりも大径なフラン
ジ213が環状に形成されている。このフランジ213
の外周には、全周に亘ってピニオンギヤ210の歯数よ
りも多い凹凸214が形成されている。この凹凸214
は、後述する回転規制部材230の戻り回転規制爪23
1が嵌まり合うためのものである。
【0022】フランジ213の後面には、ピニオン20
0と戻り回転規制爪231との回転差を吸収するスラス
ト軸受215(吸収手段にも相当する)が設けられてい
る。なお、本実施例では、アキシアル荷重を負荷するこ
とができる軸受を総じてスラスト軸受と呼ぶ。本実施例
のスラスト軸受215は、転がり軸受を採用したもの
で、戻り回転規制爪231の前端に当接する軌道輪21
6と、この軌道輪216とフランジ213の後面との間
で回転する複数の球体217とからなり、この球体21
7の回転によって、ピニオン200と戻り回転規制爪2
31との回転差が吸収される。使用される球体217
は、鋼球でも良いが、セラミック球を用いることでさら
に耐久性を向上することができる。
【0023】なお、スラスト軸受215は、フランジ2
13の後面に形成された凹部218内に配置された後、
ピニオン200の後端に形成した円環部219を外周側
へ曲げ込まれ、フランジ213の後面において回転自在
で、且つ軸方向へ抜けない構造とされる。
【0024】このように、ピニオン200のフランジ2
13の後面に、回転自在なスラスト軸受215を設ける
ことにより、ピニオン200の後側に、後述する回転規
制部材230が落ち込んで配置された際、戻り回転規制
爪231の前端がスラスト軸受215の軌道輪216に
当たる。このため、ピニオン200の回転がスラスト軸
受215で吸収されて、ピニオン200の回転トルクが
戻り回転規制爪231へ伝わるのが抑えられ、結果的に
ピニオン200と戻り回転規制爪231との間における
磨耗、発熱、回転ロスの発生を抑えることができる。
【0025】また、ピニオン200がリングギヤ100
によって駆動されて、ピニオン200が出力軸220よ
り速く回転し、その回転差でピニオン200が後方へ戻
る力を受けると、ピニオン200と後述する戻り回転規
制爪231との間に大きな荷重がかかるが、回転差をス
ラスト軸受215が吸収するため、ピニオン200と戻
り回転規制爪231との間での磨耗、発熱、回転ロスを
抑えることができる。
【0026】一方、ピニオン200は、圧縮コイルバネ
よりなるリターンスプリング240により、常に出力軸
220の後方へ付勢されている。リターンスプリング2
40は、直接ピニオン200を付勢するのではなく、本
実施例では、ハウジング400の開口部410を開閉す
る後述するシャッタ420のリング体421を介してピ
ニオン200を付勢する。
【0027】(回転規制部材230の説明)回転規制部
材230は、図2(a)、(b)および図3に示すよう
に、約3/2巻回した板バネ材で形成され、そのうち、
約3/4巻回は、軸方向の板長の長い高いバネ定数の規
制部232で、残りの約3/4巻回は、軸方向の板長の
短い低いバネ定数の付勢手段をなす復帰バネ部233で
ある。
【0028】規制部232の一端には、ピニオン200
のフランジ213に形成された多数の凹凸214に嵌ま
り合う軸方向にのびる規制部をなす戻り回転規制爪23
1が設けられている。この戻り回転規制爪231は、モ
ータ500の起動時に所定軸長に亘ってピニオン200
の回転を規制し、出力軸220とピニオン200とに回
転差を生じさせてピニオン200を軸方向へ移動させる
回転規制手段と、ピニオン200が所定軸長前進し、ピ
ニオン200とリングギヤ100とが噛合した状態で、
ピニオン200の軸方向の後端側に落ち込んで配置さ
れ、ピニオン200が軸方向へ戻るのを規制する戻り規
制手段との、2つの機能を果たす。そして、この戻り回
転規制爪231は、ピニオン200の凹凸214に嵌合
するとともに、戻り回転規制爪231の剛性を向上する
ために、軸方向に長く形成されるとともに、径方向内側
に折り曲げられ、断面L字状に形成されている(棒状と
なっている)。
【0029】規制部232は、戻り回転規制爪231を
弾性変形可能に支持するもので、上下方向へ伸びる直線
部235を備える。この直線部235は、センターブラ
ケット360の前面に突出して設けられた2本の支持腕
361の間で上下方向へ摺動自在に支持される。つま
り、直線部235が上下方向へ移動することにより、規
制部232も上下方向へ移動する。
【0030】また、規制部232の戻り回転規制爪23
1の180°反対側の位置には、後述するマグネットス
イッチ600の作動を伝える後述する紐状部材680
(例えば、ワイヤ)の前端の球体601が係合されてい
る。復帰バネ部233の端部側は、巻の曲率が大きく設
けられ、復帰バネ部233の一端部236がセンターブ
ラケット360の下部前面に突出して設けられた規制棚
362の上面に当たっている。
【0031】回転規制部材230の作動を説明する。紐
状部材680は、マグネットスイッチ600の作動を規
制部232に伝達する伝達手段で、マグネットスイッチ
600の作動によって、規制部232を下方へ引き、戻
り回転規制爪231と、ピニオン200のフランジ21
3の凹凸214とを係合させる。その際、復帰バネ部2
33の一端部236が、位置の規制のための規制棚36
2に当接されており、復帰バネ部233がたわむことと
なる。戻り回転規制爪231がピニオン200の凹凸2
14に係合しているので、モータ500のアーマチュア
シャフト510および遊星歯車減速機構300を介し
て、出力軸220を回転させると、ピニオン200と出
力軸220との間に回転差が生じ、ピニオン200が出
力軸220のヘリカルアウタスプライン221に沿って
前進する。
【0032】ピニオン200が前進し、ピニオン200
がリングギヤ100に当接して、ピニオン200の前進
が防止されると、出力軸220の更なる回動力により、
回転規制部材230自身が周方向にたわんで、ピニオン
200がわずかに回動し、ピニオンギヤ210がリング
ギヤ100に噛み合う。この噛み合いによってピニオン
200がさらに前進すると、戻り回転規制爪231が凹
凸214から外れ、戻り回転規制爪231がピニオン2
00のフランジ213の後方に落ち込む。すると、戻り
回転規制爪231の前端がスラスト軸受215の後面に
当たり、ピニオン200がエンジンのリングギヤ100
の回転を受けて後退するのを防ぐ。
【0033】マグネットスイッチ600の作動が停止
し、紐状部材680が規制部232を下方へ引くのを停
止すると、復帰バネ部233の作用で、規制部232が
元の位置に復帰する。
【0034】(ピニオン係止リング250の説明)ピニ
オン係止リング250は、出力軸220の周囲に形成さ
れた断面矩形の環状溝内に固定されている。このピニオ
ン係止リング250は、断面矩形の鋼材を丸め加工して
形成したもので、両端のそれぞれには、略S字状の凹凸
251(係合手段の一例)が形成され、一方の凸部が他
方の凹部に係合し、他方の凸部が一方の凹部に係合して
いる。
【0035】(遊星歯車減速機構300の説明)遊星歯
車減速機構300は、図1に示すように、後述するモー
タ500の回転数を減速して、モータ500の出力トル
クを増大する減速手段である。遊星歯車減速機構300
は、モータ500のアーマチュアシャフト510(後述
する)の前側外周に形成されたサンギヤ310と、この
サンギヤ310に噛合し、このサンギヤ310の周囲で
回転する複数のプラネタリーギヤ320と、このプラネ
タリーギヤ320をサンギヤ310の周囲で回転自在に
支持し、出力軸220と一体形成されたプラネットキャ
リア330と、プラネタリーギヤ320の外周において
プラネタリーギヤ320と噛合する筒状で、かつ樹脂か
らなるインターナルギヤ340とからなる。
【0036】(オーバーランニングクラッチ350の説
明)オーバーランニングクラッチ350は、インターナ
ルギヤ340を、一方向のみ(エンジンの回転を受けて
回転する方向のみ)回転可能に支持されている。オーバ
ーランニングクラッチ350は、インターナルギヤ34
0の前側に一体形成された第1の円筒部をなすクラッチ
アウタ351と、遊星歯車減速機構300の前方を覆う
固定側をなすセンターブラケット360(図4参照)の
後面に形成され、クラッチアウタ351の内周と対抗し
て配置された第2の円筒部をなす環状のクラッチインナ
352と、クラッチアウタ351の内周面に傾斜して形
成されたローラ収納部に収納されるローラ353とを有
している。クラッチインナ352の外周面には、周方向
に複数個のローラ溝部355が形成されている。このロ
ーラ溝部355はスタータ駆動時にローラ353と係合
する。
【0037】(センターブラケット360の説明)セン
ターブラケット360は、図4ないし図6に示すもの
で、ハウジング400の後側の内部に配置されている。
ハウジング400とセンターブラケット360とは、一
端がハウジング400に係止され、他端がセンターブラ
ケット360に係止されたリングバネ390によって連
結され、オーバーランニングクラッチ350を構成する
クラッチインナ352の受ける回転反力をリングバネ3
90で吸収し、反力が直接ハウジング400に伝わらな
いように設けられている。
【0038】また、センターブラケット360の前面に
は、回転規制部材230を保持する2本の支持腕361
と、回転規制部材230の下端が搭載される規制棚36
2が設けられている。さらに、センターブラケット36
0の周囲には、ハウジング400の内側の凸部(図示し
ない)と嵌まり合う切欠部363が複数形成されてい
る。なお、上側の切欠部363は、ハウジング400内
の空気をヨーク501内へ導くための空気通路としても
利用される(後述の冷却空気通路で詳述する)。また、
センターブラケット360の下端には、紐状部材680
(後述する)を軸方向に挿通する凹部364が形成され
ている。
【0039】(プラネットキャリア330の説明)プラ
ネットキャリア330は、後端に、プラネタリーギヤ3
20を支持するために径方向に伸びるフランジ形突出部
331を備える。このフランジ形突出部331には、後
方に伸びるピン332が固定されており、このピン33
2がメタル軸受333を介してプラネタリーギヤ320
を回転自在に支持している。また、プラネットキャリア
330は、前側端部がハウジング400の前端内部に固
定されたハウジング軸受440と、センターブラケット
360の内周の内側筒部365内に固定されたセンター
ブラケット軸受370とによって、回転自在に支持され
ている。
【0040】このプラネットキャリア330は、内側筒
部365の前端位置に環状溝334を備え、この環状溝
334には、止め輪335が嵌め合わされている。この
止め輪335と内側筒部365の前端との間には、プラ
ネットキャリア330に対して回転自在に装着されたワ
ッシャ336が設けられており、止め輪335がワッシ
ャ336を介して内側筒部365の前端に当接すること
により、プラネットキャリア330が後方に移動するこ
とが規制される。
【0041】また、プラネットキャリア330の後側を
支持するセンターブラケット軸受370の後端は、内側
筒部365の後端と、フランジ形突出部331との間に
挟まれるフランジ部371を備え、フランジ形突出部3
31がフランジ部371を介して内側筒部365の後端
に当接することにより、プラネットキャリア330が前
方に移動することが規制される。なお、プラネットキャ
リア330の後面には、軸方向に伸びる凹部337を備
え、この凹部337内に配置されるプラネットキャリア
軸受380を介してアーマチュアシャフト510の前端
を回転自在に支持している。
【0042】(ハウジング400の説明)ハウジング4
00は、前端内部に固定されたハウジング軸受440で
出力軸220を軸支するとともに、開口部410からの
雨水等の進入を極力低減するために、開口部410の下
部においてハウジング400とピニオン200の外径と
の隙間を極力小さくする遮水壁460を備えている。ま
た、ハウジング400の前端の下部には、軸方向に伸び
る2つのスライド溝が設けられ、このスライド溝に後述
するシャッタ420が配設される。
【0043】(シャッタ420の説明)シャッタ420
は、樹脂性部材(例えばナイロン)からなり、出力軸2
20の周囲に装着され、リターンスプリング240とピ
ニオン200との間に挟持されるリング体421と、ハ
ウジング400の開口部410を開閉する遮水部422
とからなり、リング体421とピニオン200との間に
は、ワッシャ480が介在されている。
【0044】シャッタ420の作動は、スタータが起動
してピニオン200が出力軸220に沿って前方へ移動
すると、リング体421がピニオン200とともに前方
へ移動する。すると、リング体421と一体の遮水部4
22が前方へ移動し、ハウジング400の開口部410
を開く。スタータの作動が停止してピニオン200が出
力軸220に沿って後方へ移動すると、リング体421
もピニオン200とともに後方へ移動する。すると、リ
ング体421と一体の遮水部422も後方へ移動し、ハ
ウジング400の開口部410を閉じる。この結果、開
閉手段をなすシャッタ420は、スタータの非作動時に
は、リングギヤ100の遠心力等によって飛散する雨水
等が遮水部422によってハウジング400内に進入す
るのを防ぐ。
【0045】なお、ハウジング400の内部前端には、
シール部材430が配設され、ハウジング400の開口
部410より進入した雨水や塵等が、ハウジング400
の前端のハウジング軸受440へ進入するのを阻止して
いる。また、ハウジング400の外部前端には、ハウジ
ング先端シール部材470が貼り付けられ、ハウジング
400の外部から雨水や塵等が、ハウジング軸受440
へ進入するのを阻止している。
【0046】(モータ500の説明)モータ500は、
ヨーク501、モータ隔壁800、後述するブラシ保持
部材900に囲まれて構成される。なお、モータ隔壁8
00は、センターブラケット360との間で遊星歯車減
速機構300を収納するもので、遊星歯車減速機構30
0内の潤滑油がモータ500に進入するのを防ぐ役目も
果たす。
【0047】モータ500は、図1に示すように、アー
マチュアシャフト510、このアーマチュアシャフト5
10に固定されて一体に回転する電機子鉄心520およ
び電機子コイル530から構成されるアーマチュア54
0と、電機子コイル530の発生する磁力に作用してア
ーマチュア540を回転させる固定磁極550とから構
成され、固定磁極550はヨーク501の内周に固定さ
れる。
【0048】(アーマチュアシャフト510の説明)ア
ーマチュアシャフト510は、プラネットキャリア33
0の後内部のプラネットキャリア軸受380、およびブ
ラシ保持部材900の内周に固着されたブラシ保持部材
軸受564によって回転自在に支持される。
【0049】(電機子鉄心520の説明)電機子鉄心5
20は、図7に示すように、コアプレート521を多数
積層して、中央の穴内にアーマチュアシャフト510を
圧入固定したものである。コアプレート521は、薄い
鋼板をプレス加工によって打ち抜いて形成されたもの
で、表面に絶縁処理が施されている。なお、コアプレー
ト521の外周には、電機子コイル530を収納する複
数(例えば25個)のスロット524が形成されてい
る。
【0050】(電機子コイル530の説明)電機子コイ
ル530は、本実施例では複数(例えば25本)の上層
コイルバー531と、この上層コイルバー531と同数
の下層コイルバー532とを用い、それぞれの上層コイ
ルバー531と下層コイルバー532とを径方向に積層
した2層巻コイルを採用する。そして、各上層コイルバ
ー531と各下層コイルバー532とを組み合わせ、各
上層コイルバー531の端部と各下層コイルバー532
の端部とを電気的に接続して環状のコイルを構成してい
る。
【0051】(上層コイルバー531の説明)上層コイ
ルバー531は、電導性に優れた材質(例えば銅)より
なり、固定磁極550に対して平行に伸び、スロット5
24の外周側に保持される上層コイル辺533と、この
上層コイル辺533の両端から内側に曲折され、アーマ
チュアシャフト510の軸方向に対して垂直方向に伸び
る2つの上層コイル端534とを備える。なお、上層コ
イル辺533および2つの上層コイル端534は、冷間
鍛造によって一体成形したものであっても、プレスによ
ってコ字状に曲折して形成したものであっても、別部品
で形成した上層コイル辺533と2つの上層コイル端5
34とを溶接等の接合技術で接合して形成したものであ
っても良い。
【0052】(下層コイルバー532の説明)下層コイ
ルバー532は、上層コイルバー531と同様、電導性
に優れた材質(例えば銅)よりなり、固定磁極550に
対して平行に伸び、スロット524の内側に保持される
下層コイル辺536と、この下層コイル辺536の両端
から内側に曲折され、シャフト510の軸方向に対して
垂直方向に伸びる2つの下層コイル端537とを備え
る。なお、下層コイル辺536および2つの下層コイル
端537は、上層コイルバー531と同様、冷間鍛造に
よって一体成形したものであっても、プレスによってコ
字状に曲折して形成したものであっても、別部品で形成
した下層コイル辺536と2つの下層コイル端537と
を溶接等の接合技術で接合して形成したものであっても
良い。
【0053】なお、各上層コイル端534と各下層コイ
ル端537との絶縁は、絶縁スペーサ560によって確
保され、各下層コイル端537と電機子鉄心520との
絶縁は、樹脂製(例えばナイロンやフェノール樹脂)の
絶縁リング590によって確保される。また、上層コイ
ル辺533および下層コイル辺536は、それぞれ図示
しない絶縁フィルムで覆われて電機子鉄心520と絶縁
されるとともに、図示しない絶縁フィルムによって上層
コイル辺533と下層コイル辺536との絶縁が確保さ
れる。
【0054】また、2つの上層コイル端534のうち、
マグネットスイッチ600側に位置する上層コイル端5
34は、後述するブラシ910と直接当接して電機子コ
イル530に通電する。そのため、少なくともブラシ9
10が当接する上層コイル端534の表面は、平滑に処
理されている。
【0055】一方、上層コイル端534の端部538
と、下層コイル端537の端部539は、アーマチュア
シャフト510に圧入固定された金属性のカラー570
に、絶縁キャップ580を介して保持され、上層コイル
端534および下層コイル端537が軸方向に広がるの
を阻止するとともに、電機子コイル530の内径が、遠
心力によって広がるのを阻止している。
【0056】なお、スタータの前側に配置されたカラー
570は、このカラー570の前方に隣接するモータ隔
壁800の後面に当接して、アーマチュア540の前方
への移動を規制するスラスト受け部としても作用する。
一方、スタータの後側に配置されたカラー570は、こ
のカラー570の後方に隣接するブラシ保持部材900
の前面に当接して、アーマチュア540の後方への移動
を規制するスラスト受け部としても作用する。
【0057】(ヨーク501の説明)ヨーク501は、
図8に示すように、鋼板を丸めて成形した筒状体で、周
囲には、軸方向に伸びる内周に向かって凹んだ複数の凹
溝502が形成されている。この凹溝502は、スルー
ボルトを配置するとともに、ヨーク501の内周におい
て固定磁極550の位置決めに用いられる。
【0058】(固定磁極550の説明)固定磁極550
は、本実施例では永久磁石を用いたもので、図8に示す
ように、複数(例えば6つ)の主磁極551と、この主
磁極551の各間に配置される極間磁極552とから構
成される。なお、固定磁極550として永久磁石の代わ
りに通電によって磁力を発生するフィールドコイルを用
いても良い。
【0059】主磁極551は、上述したヨーク501の
凹溝502の内側の両端によって、位置決めがなされ、
各主磁極551の間に極間磁極552を配置した状態
で、固定磁極550の内周に配置される固定スリーブ5
53によって、ヨーク501の内部に固定される。
【0060】(マグネットスイッチ600の説明)マグ
ネットスイッチ600は、図1に示すように、後述する
ブラシ保持部材900に保持されて、後述するエンドフ
レーム700内に配置され、アーマチュアシャフト51
0に対して略垂直方向になるように固定されている。
【0061】マグネットスイッチ600は、図9および
図10に示すように、通電によって、プランジャ610
を上方へ駆動し、プランジャ610と一体に移動する2
つの接点(下側可動接点611と上側可動接点612)
を、順次、端子ボルト620の頭部621および固定接
点630の当接部631に当接させるものである。な
お、端子ボルト620には、図示されないバッテリケー
ブルが接続されている。
【0062】マグネットスイッチ600は、磁性体製
(例えば鉄製)の有底筒状のマグネットスイッチカバー
640の内側に構成されている。マグネットスイッチカ
バー640は例えば軟鋼板をカップ状にプレス成形した
もので、マグネットスイッチカバー640の底の中央に
は、プランジャ610を上下方向に移動自在に挿通する
穴641を備える。また、マグネットスイッチカバー6
40の上側開口は、磁性体製(例えば鉄製)のステーシ
ョナリコア642によって塞がれている。
【0063】ステーショナリコア642は、上側の大径
部643と、下側の中径部644と、さらに下側の小径
部645とからなり、大径部643の外周が、マグネッ
トスイッチカバー640の上端を内側へカシメることに
よって、ステーショナリコア642がマグネットスイッ
チカバー640の上側開口内に固定されている。中径部
644の周囲には、吸引コイル650の上端が装着され
ている。ステーショナリコア642の小径部645の外
周には、プランジャ610を下方に付勢する圧縮コイル
バネ660の上端が装着されている。
【0064】吸引コイル650は、通電を受けると磁力
を発生して、プランジャ610を引きつける吸着手段
で、吸引コイル650は、上端がステーショナリコア6
42の中径部644に装着され、プランジャ610を上
下方向に摺動自在に覆うスリーブ651を備える。この
スリーブ651は、非磁性体(例えば銅板、真鍮、ステ
ンレス)の薄板を丸めて加工したもので、このスリーブ
651の上端および下端には、樹脂等よりなる絶縁ワッ
シャ652が設けられている。この2つの絶縁ワッシャ
652の間のスリーブ651の周囲には、薄い樹脂(例
えばセロハン、ナイロンフィルム)や紙などよりなる絶
縁フィルム(図示しない)が巻かれ、さらにその絶縁フ
ィルムの周囲に細いエナメル線を所定回数、巻いて吸引
コイル650が構成されている。
【0065】プランジャ610は、磁性体製金属(例え
ば鉄)で、上側の小径部613と下側の大径部614と
を備える略円柱形状を呈する。小径部613は、圧縮コ
イルバネ660の下端が装着され、比較的軸方向に長い
大径部614は、スリーブ651内において上下方向に
移動可能に保持される。
【0066】プランジャ610の上側には、プランジャ
610の上方へ伸びるプランジャシャフト615が固定
されている。このプランジャシャフト615は、ステー
ショナリコア642の中央に設けられた貫通穴から上方
に突出している。このプランジャシャフト615のステ
ーショナリコア642の上側には、上側可動接点612
がプランジャシャフト615に沿って上下方向に摺動自
在に挿通されている。
【0067】この上側可動接点612は、図9に示すよ
うに、プランジャシャフト615の上端に取り付けられ
た止め輪616によって、プランジャシャフト615の
上端より上方に移動しないように規制されている。この
結果、上側可動接点612は、止め輪616とステーシ
ョナリコア642の間においてプランジャシャフト61
5に沿って上下方向に摺動自在とされている。なお、上
側可動接点612は、プランジャシャフト615に取り
付けられた板バネよりなる接点圧スプリング670によ
って、常に上方へ付勢されている。
【0068】上側可動接点612は、銅など導電性に優
れた金属よりなり、上側可動接点612の両端が上側に
移動した際、固定接点630に設けられた2つの当接部
631に当接する。また、上側可動接点612には、一
対のブラシ910の各リード線910aが、カシメや溶
接等によって、電気的、且つ機械的に固定されている。
さらに、上側可動接点612の溝部には、複数(本実施
例では2つ)の制限手段をなす抵抗体617の端部が、
挿入され、電気的、且つ機械的に固定されている。な
お、上側可動接点612には、ブラシ910の各リード
線910aが、カシメや溶接等によって電気的、且つ機
械的に固定されているが、上側可動接点612とブラシ
910の各リード線910aとを一体形成しても良い。
【0069】抵抗体617は、スタータの起動初期時
に、モータ500の回転を低速回転させるためのもの
で、抵抗値の大きな金属線を複数巻いて構成されてい
る。抵抗体617の他端には、端子ボルト620の頭部
621の下側に位置する下側可動接点611がカシメ等
によって固定されている。
【0070】下側可動接点611は、銅など導電性に優
れた金属よりなり、マグネットスイッチ600が停止し
て、プランジャ610が下方に位置する際にステーショ
ナリコア642の上面に当接し、抵抗体617がプラン
ジャシャフト615の移動に伴って上方に移動する際、
上側可動接点612が固定接点630の当接部631に
当接する前に、端子ボルト620の頭部621に当接す
るように設けられている。
【0071】プランジャ610の下面には、紐状部材6
80(例えば、ワイヤ)の後端に設けられた球体681
を収容する凹部682を備える。この凹部682の内周
壁には、雌ネジ683が形成されている。この雌ネジ6
83は、凹部682内に球体681を固定する固定ネジ
684が螺合される。この固定ネジ684は、雌ネジ6
83へのねじ込み量を調節することにより、紐状部材6
80の長さの調節も行うものである。なお、紐状部材6
80の長さ調節は、プランジャシャフト615が上方へ
移動して、下側可動接点611が端子ボルト620に当
接する際に、規制部232の戻り回転規制爪231が、
ピニオン200の外周の凹凸214に嵌まり合うように
調節される。なお、雌ネジ683と固定ネジ684は調
整機構をなす。
【0072】(エンドフレーム700の説明)エンドフ
レーム700は、図11に示す樹脂製(例えばフェノー
ル樹脂)のマグネットスイッチカバーで、内部にマグネ
ットスイッチ600を収容する。エンドフレーム700
の後面には、後述するブラシ910を前方へ付勢する圧
縮コイルバネ914を保持するバネ保持柱710が、ブ
ラシ910の位置に応じて前方に突出して設けられてい
る。
【0073】圧縮コイルバネ914は、図1に示すよう
に、マグネットスイッチ600のプランジャ610の軸
方向に対し、径方向の外周側に配置されている。なお、
圧縮コイルバネ914は、スプリング長がマグネットス
イッチ600の径方向の長さ分まで利用することができ
る。このため、圧縮コイルバネ914のバネ応力および
荷重を容易に適性値に設定でき、圧縮コイルバネ914
の寿命を大幅に向上させることができる。
【0074】端子ボルト620は、エンドフレーム70
0の内部から挿入され、エンドフレーム700の後方に
突出する鉄製のボルトで、前側にはエンドフレーム70
0の内面に当接する頭部621を備える。そして、エン
ドフレーム700の後方に突出した端子ボルト620に
カシメワッシャ622が取りつけられることによって、
端子ボルト620がエンドフレーム700に固定され
る。
【0075】端子ボルト620の前端には、銅よりなる
固定接点630がカシメによって固定されている。この
固定接点630は、エンドフレーム700の内部上端に
位置する1つまたは複数(本実施例では2つ)の当接部
631を備え、この当接部631の下面は、マグネット
スイッチ600の作動によって上下する上側可動接点6
12の上面が当接可能に設けられている。
【0076】(ブラシ保持部材900の説明)ブラシ保
持部材900は、ヨーク501の内部とエンドフレーム
700の内部とを区画してアーマチュアシャフト510
の後端をブラシ保持部材軸受564を介して回転自在に
支持する役目のほか、ブラシホルダの役目、マグネット
スイッチ600を保持する役目、および紐状部材680
を案内する滑車690を保持する役目を果たす。なお、
ブラシ保持部材900には、紐状部材680が通る図示
されない穴部を有している。
【0077】ブラシ保持部材900は、図12ないし図
14に示すアルミニウム等の金属を鋳造技術によって成
形した隔壁で、ブラシ910を軸方向に保持するブラシ
保持穴911、912を複数(本実施例では上側に2
つ、下側に2つ)備える。上側のブラシ保持穴911
は、プラス電圧を受けるブラシ910(正極のブラシに
相当する)を保持する穴で、この上側のブラシ保持穴9
11は、樹脂製(例えばナイロン、フェノール樹脂)の
絶縁筒913を介してブラシ910を保持する(図13
は図12のAーA断面図であり、図14は図12のBー
B断面図である)。また、下側のブラシ保持穴912
は、アース接地されるブラシ910(負極のブラシに相
当する)を保持する穴で、この下側のブラシ保持穴91
2は、穴の内部で直接ブラシ910を保持する。
【0078】このように、ブラシ保持部材900によっ
てブラシ910を保持させることによって、スタータに
独立したブラシホルダを設ける必要がない。このため、
スタータの部品点数を低減して、組付工数を低減するこ
とができる。なお、ブラシ910は、柱体を呈し、圧縮
コイルバネ914によって前方へ付勢され、ブラシ91
0の前端が電機子コイル530の後側の上層コイル端5
34の後面に付勢される。
【0079】上側のブラシ910のリード線910a
は、マグネットスイッチ600によって移動する上側可
動接点612に溶接やカシメ等の接合技術で電気的、且
つ機械的に結合されている。また、下側のブラシ910
のリード線910aは、ブラシ保持部材900の後面に
形成された凹部920内にカシメられて、電気的、且つ
機械的に結合されている。
【0080】ブラシ保持部材900の後面には、マグネ
ットスイッチ600の前面側が当接する2つの台座93
0と、マグネットスイッチ600の周囲を抱え込む2本
の固定柱940が形成されている。台座930は、外径
が円筒形状を呈するマグネットスイッチ600と当接す
るために、マグネットスイッチ600の外形形状と一致
するように設けられている。また、2本の固定柱940
は、マグネットスイッチ600を台座930に当接した
状態で、それぞれの後端を内側にカシメることで、マグ
ネットスイッチ600を保持している。
【0081】ブラシ保持部材900の後面の下側には、
紐状部材680の移動方向を、マグネットスイッチ60
0の上下方向から軸方向に変換する滑車690を保持す
る滑車保持部950が形成されている。ブラシ保持部材
900の後面には、過熱保護用の温度スイッチ(図示し
ない)を保持する保持部960が設けられている。な
お、温度スイッチは、所定温度に達すると、マグネット
スイッチ600をOFF し、モータへの通電を停止して、
スタータを保護するものである。
【0082】一方、スタータには、電機子コイル530
の後側の上層コイル端534の回転によって遠心風を生
じさせ、ハウジング400から吸い込んだ空気を、ブラ
シ保持部材900の符号980に示した開口よりエンド
フレーム700内に吸引し、その後ブラシ保持部材90
0の符号970に示した開口より電機子コイル530の
後側へ導き、ブラシ910の摺接面およびその周辺を冷
却した後、摺接面で発生したブラシ粉とともにヨーク5
01の下端に設けられた排出穴503を介してスタータ
の外部へ排出される空気通路が設けられている。
【0083】〔第1実施例の作動〕次に、上記スタータ
の作動を図15(a)ないし(c)の電気回路図を用い
て説明する。乗員によって、キースイッチ10がスター
ト位置に設定されると、バッテリ20から、マグネット
スイッチ600の吸引コイル650に通電される。吸引
コイル650が通電されると、吸引コイル650の発生
する磁力にプランジャ610が引き寄せられ、プランジ
ャ610が下方位置から上方へ上昇する。
【0084】プランジャ610が上昇を開始すると、プ
ランジャ610の上昇に伴って上側可動接点612およ
び下側可動接点611が上昇するとともに、紐状部材6
80の後端も上方に上昇する。紐状部材680の後端が
上昇すると、紐状部材680の前端は下方に引かれ、規
制部232が下降する。規制部232の下降によって、
戻り回転規制爪231がピニオン200の外周の凹凸2
14に嵌まり合う時点で、下側可動接点611が端子ボ
ルト620の頭部621に当接する{図15(a)参
照}。
【0085】端子ボルト620には、バッテリ20の電
圧が印加されており、端子ボルト620の電圧が、下側
可動接点611→抵抗体617→上側可動接点612→
リード線910aを介して上側のブラシ910に伝えら
れる。つまり、抵抗体617を介した低電圧が上側のブ
ラシ910を介して電機子コイル530に伝えられる。
そして、下側のブラシ910は、ブラシ保持部材900
を介して常にアース接地されているため、各上層コイル
バー531と各下層コイルバー532とを組み合わせて
コイル状に構成された電機子コイル530が低電圧で通
電される。すると、電機子コイル530が比較的弱い磁
力を発生し、この磁力が固定磁極550の磁力に作用
(吸着あるいは反発)して、アーマチュア540が低速
回転する。
【0086】アーマチュアシャフト510が回転する
と、遊星歯車減速機構300のプラネタリーギヤ320
が、アーマチュアシャフト510の前端のサンギヤ31
0によって回転駆動される。プラネタリーギヤ320が
プラネットキャリア330を介してリングギヤ100を
回転駆動する方向の回転トルクをインターナルギヤ34
0に与える場合は、オーバーランニングクラッチ350
の作動によって、インターナルギヤ340の回転が規制
される。
【0087】つまり、インターナルギヤ340は回転し
ないため、プラネタリーギヤ320の回転によって、プ
ラネットキャリア330が減速回転する。プラネットキ
ャリア330が回転すると、ピニオン200も回転しよ
うとするが、ピニオン200は戻り回転規制爪231に
よって回転が規制されているため、ピニオン200は出
力軸220のヘリカルアウタスプライン221に沿って
前進する。
【0088】ピニオン200の前進に伴い、シャッタ4
20も前進し、ハウジング400の開口部410を開
く。そして、ピニオン200の前進によって、ピニオン
ギヤ210がエンジンのリングギヤ100に完全に噛合
し、その後、ピニオン係止リング250に当接する。ま
た、ピニオン200が前進すると、戻り回転規制爪23
1がピニオン200の凹凸214から外れ、その後、戻
り回転規制爪231の前端が、ピニオン200の後面に
設けられたスラスト軸受215の後側に落ち込んで配置
される。
【0089】一方、ピニオン200が前進した状態で、
上側可動接点612が固定接点630の当接部631に
当接する。すると、端子ボルト620のバッテリ電圧
が、上側可動接点612→リード線910aを介して直
接上側のブラシ910に伝えられる。つまり、各上層コ
イルバー531および各下層コイルバー532よりなる
電機子コイル530に高い電流が流れ、電機子コイル5
30が強い磁力を発生し、アーマチュア540を高速回
転する。
【0090】アーマチュアシャフト510の回転は、遊
星歯車減速機構300によって減速されて回転トルクが
増大し、プラネットキャリア330を回転駆動する。こ
のとき、ピニオン200は、前端がピニオン係止リング
250に当接して、プラネットキャリア330と一体に
回転する。そして、ピニオン200のピニオンギヤ21
0は、エンジンのリングギヤ100に噛合しているた
め、ピニオンギヤ210は、リングギヤ100を回転駆
動して、エンジンの出力軸を回転駆動する。
【0091】次に、エンジンが始動し、エンジンのリン
グギヤ100がピニオン200の回転よりも速く回転す
ると、ヘリカルスプラインの作用によって、ピニオン2
00に後退力が生じる。しかるに、ピニオン200の後
方に配置された戻り回転規制爪231によって、ピニオ
ン200の後退が阻止され、ピニオンギヤ210の早期
離脱を防止して、エンジンを確実に始動することができ
る{図15(b)参照}。
【0092】また、エンジンの始動によって、エンジン
のリングギヤ100がピニオン200の回転よりも速く
回転されると、リングギヤ100の回転によってピニオ
ン200が回転駆動される。すると、リングギヤ100
からピニオン200に伝えられた回転トルクは、プラネ
ットキャリア330を介してプラネタリーギヤ320を
支持するピン332に伝えられる。つまり、プラネット
キャリア330によってプラネタリーギヤ320が駆動
される。すると、インターナルギヤ340には、エンジ
ン始動時とは逆回転のトルクがかかるため、オーバーラ
ンニングクラッチ350がリングギヤ100の回転を許
す。このように、インターナルギヤ340にエンジン始
動時とは逆回転のトルクがかかると、オーバーランニン
グクラッチ350のローラ353が、クラッチインナ3
52のローラ溝部355の外側へ離脱し、インターナル
ギヤ340の回転が可能になる。
【0093】つまり、エンジンが始動して、エンジンの
リングギヤ100がピニオン200を回転駆動する相対
回転は、オーバーランニングクラッチ350で吸収さ
れ、エンジンによってアーマチュア540が回転駆動さ
れることがない。エンジンが始動すると、乗員によって
キースイッチ10がスタート位置から外され、マグネッ
トスイッチ600の吸引コイル650への通電が停止さ
れる。吸引コイル650の通電が停止されると、プラン
ジャ610が圧縮コイルバネ660の作用によって、下
方に戻される。すると、上側可動接点612が固定接点
630の当接部631から離れるとともに、その後下側
可動接点611も端子ボルト620の頭部621から離
れ、上側のブラシ910への通電が停止する。
【0094】また、プランジャ610が下方に戻される
と、回転規制部材230の復帰バネ部233の作用によ
って、戻り回転規制爪231が上方に復帰し、戻り回転
規制爪231がピニオン200の後方から離脱する。す
ると、ピニオン200は、リターンスプリング240の
作用によって後方に戻され、ピニオンギヤ210とエン
ジンのリングギヤ100との噛み合いが外れるととも
に、ピニオン200の後端が出力軸220のテーパ部2
22に当接する。つまり、ピニオン200が、スタータ
の始動前に戻される{図15(c)参照}。
【0095】さらに、プランジャ610が下方に戻され
ることにより、下側可動接点611が、マグネットスイ
ッチ600のステーショナリコア642の上面に当接
し、上側のブラシ910のリード線910aが、上側可
動接点612→抵抗体617→下側可動接点611→ス
テーショナリコア642→マグネットスイッチカバー6
40→ブラシ保持部材900の順に導通する。つまり、
上側のブラシ910(正極ブラシに相当する)と下側の
ブラシ910(負極ブラシに相当する)とが、ブラシ保
持部材900を介して短絡する。一方、アーマチュア5
40の惰性回転により電機子コイル530には、起電力
が生じる。そして、この起電力が、上側のブラシ91
0、ブラシ保持部材900、下側のブラシ910を介し
て短絡するため、アーマチュア540の惰性回転に制動
力が与えらえる。この結果、アーマチュア540は急速
に停止する。
【0096】〔第1実施例の効果〕本実施例によれば、
ピニオン200を回転駆動する出力軸220に対して軸
方向に移動させることができ、移動部材(ピニオン20
0+スラスト軸受215)の重量を、従来の移動部材
(ピニオン+ピニオン軸)の重量に比較して約1/5ほ
ど小さくできる。また、モータ500の回転力を利用し
てピニオン200を軸方向へ移動しているため、マグネ
ットスイッチ600に要求される力は、可動接点61
1、612を作動させる力と、戻り回転規制爪231を
作動させる力とで済み、マグネットスイッチ600に要
求される発生力は従来に比較してわずかで良い。このた
め、マグネットスイッチ600を従来に比較して小型、
軽量化できる。
【0097】また、移動部材の重量を、従来の移動部材
の重量に比較して、約1/5ほど小さくできるため、ピ
ニオン200を移動するためのエネルギーを、従来に比
較して低減することができる。このため、スタータの作
動時に要するエネルギーが低減し、スタータを駆動する
電源装置(鉛蓄電池、電気二層コンデンサ等)の負荷が
低減する。この結果、電源装置を従来に比較して小型、
長寿命化することができる。さらに、移動部材の重量
を、従来の移動部材の重量に比較して、約1/5ほど小
さくできるため、ピニオン200がリングギヤ100に
噛み合う際の衝撃を低減できる。
【0098】一方、ピニオン200の後方に戻り回転規
制爪231が配置されて、ピニオン200の戻りが規制
された状態では、ピニオン200と戻り回転規制爪23
1との回転差をスラスト軸受215が吸収する。このよ
うに、ピニオン200の回転がスラスト軸受215で吸
収されて、ピニオン200の回転トルクが戻り回転規制
爪231へ伝わるのが抑えられ、結果的にピニオン20
0と戻り回転規制爪231との間における磨耗、発熱、
回転ロスの発生を抑えることができる。さらに、ピニオ
ン200がリングギヤ100によって駆動されて、ピニ
オン200が出力軸220より速く回転し、その回転差
でピニオン200が後方へ戻る力を受けると、ピニオン
200と後述する戻り回転規制爪231との間に大きな
荷重がかかる。しかるに、回転差をスラスト軸受215
が吸収するため、ピニオン200と戻り回転規制爪23
1との間での磨耗、発熱、回転ロスを抑えることができ
るため、長期に亘ってスタータ性能を維持することがで
きる。
【0099】さらに、本実施例では、スラスト軸受21
5を、軌道輪216と、この軌道輪216と複数の球体
217とからなる転がり軸受を採用しているため、戻り
回転規制爪231に伝えられる回転力が大変小さく抑え
られる。このため、剛性の低い戻り回転規制爪231を
使用しても、この戻り回転規制爪231がピニオン20
0の回転に巻き込まれて破損する不具合が生じない。な
お、戻り回転規制爪231の剛性を低くできるため、こ
の戻り回転規制爪231を作動させるマグネットスイッ
チ600の作動力を小さくでき、この結果からもマグネ
ットスイッチ600を小型軽量化できる。
【0100】なお、ピニオン200にスラスト軸受21
5を組付けた後に、ピニオン200を熱処理を施すよう
に設けることにより、スラスト軸受215の軌道輪21
6を別途熱処理する必要がなく、軌道輪216の硬度を
所定値以上にするための工程を省略することもできる。
また、戻り回転規制爪231は、マグネットスイッチ6
00のプランジャー610の移動力によって、復帰バネ
部233の拡張力に打ち勝ってピニオン200の後方に
配置している。このため、マグネットスイッチ600が
OFF されると、復帰バネ部233の拡張力によって、戻
り回転規制爪231がピニオン200の後方から確実に
離脱することができる。
【0101】〔第2実施例の構成〕図16は第2実施例
を示すスタータの断面図である。上記の実施例では、マ
グネットスイッチ600をモータ500の後方に配置す
るとともに、プランジャ610をモータ500のアーマ
チュアシャフト510に直交方向に配置した例を示した
が、本実施例のスタータは、マグネットスイッチ600
をモータ500の下方に配置するとともに、プランジャ
610をモータ500のアーマチュアシャフト510に
平行方向に配置したものである。
【0102】〔第3実施例の構成〕図17は第3実施例
を示すもので、スラスト軸受215が組み付けられたピ
ニオン200の断面図である。上記の第1、第2実施例
では、ピニオンギヤ210は、1つの部材の外周にピニ
オンギヤ210(外歯)が形成され、その部材の内周に
ヘリカルインナスプライン211(内歯)が形成されて
いる例を示した。これに対して本実施例のピニオン20
0は、内周にヘリカルインナスプライン211を備える
ピニオンインナ200aと、外周にピニオンギヤ210
を備えるピニオンアウタ200bとを別々に設け、その
後回転不能に結合したものである。なお、結合方法の一
例としては、ピニオンインナ200aとピニオンアウタ
200bとの間に回り止め(例えばキー溝)を設けて圧
入する圧入法や、溶接技術で結合する溶接法等がある。
【0103】第1、第2実施例で示したように、1つの
部材にピニオンギヤ210とヘリカルインナスプライン
211の両方を冷間鍛造で形成するのは困難である。こ
のため、第1、第2実施例は、外歯であるピニオンギヤ
210は切削加工で形成することとなる。これに対し
て、本実施例では、ピニオンインナ200aとピニオン
アウタ200bとを、それぞれ冷間鍛造で形成でき、結
果的に製造コストを低減できる。
【0104】また、ピニオンインナ200aに対して、
多種類のピニオンアウタ200bを種々結合できる。こ
のため、ピニオンアウタ200bのみを多種類設けるこ
とで、多種類のピニオン200を製造できる。つまり、
ピニオンギヤ210は、エンジンの仕様等に応じて多種
類の仕様が要求されるが、ヘリカルインナスプライン2
11は、単種類あるいは少種類の仕様で済む。そして、
本実施例のように、ピニオンインナ200aとピニオン
アウタ200bとを分けて設けることで、ピニオンイン
ナ200aとピニオンアウタ200bとの組合せで、多
種類のピニオン200が製造でき、多種類のエンジンに
対応したスタータを製造できる。また、ピニオンインナ
200aは量産効果が得られ、結果的にピニオン200
のコストを抑えることができる。
【0105】なお、本実施例のピニオン200は、ピニ
オンアウタ200bの冷間ダレ部210aにより、第
1、第2実施例に比較して重量が増すが、従来の移動部
材の重量に比較すれば、本実施例のピニオン200の重
量の方が十分に軽量であり、第1実施例と同様な作用効
果を奏する。
【0106】〔第4実施例〕図18は第4実施例を示す
もので、ピニオン200および回転規制部材230の側
面断面図である。上記の第1実施例では、スラスト軸受
215の一例として転がり軸受を例に示したが、本実施
例のスラスト軸受215は滑り軸受を用いたものであ
る。本実施例のスラスト軸受は、例えばセラミック製の
リング体で、ピニオン200の後面に当接する面が摩擦
係数が小さくなるように平滑に仕上げられ、逆に戻り回
転規制爪231が当接する面が戻り回転規制爪231と
の間で回転が生じないように凹凸状(あるいはザラツキ
状)に設けられている。
【0107】そして、戻り回転規制爪231がスラスト
軸受215の後方に当接した状態では、ピニオン200
の後面とスラスト軸受215(セラミック製のリング
体)の前面との間で滑りが生じて、ピニオン200とス
ラスト軸受215との間の回転差を吸収するものであ
る。
【0108】〔第5実施例〕図19は第5実施例にかか
るもので、回転規制手段および戻り規制手段を別体で設
けた構造を示す側面断面図である。本実施例は、第1実
施例と主に戻り規制手段の構造が異なるもので、以下に
その点について説明する。
【0109】戻り規制部材260(戻り規制手段に相当
する)は、中央部に出力軸220を通す丸穴261が設
けられた円環状部262(図20参照)、この円環状部
262の両側で円環状部262に対して直角に折り曲げ
られた側片部263、およびセンターブラケット360
に固定された支持ピン270に回転自在に支持される支
点部264等を有する。この戻り規制部材260は、支
点部264に設けられた穴265(図21参照)を支持
ピン270に嵌め合わせるとともに、側片部263に設
けられた長穴266にスラストリング280に設けられ
た係合ピン281を嵌め込んで組付けられており、支持
ピン270を中心として回動可能に設けられている。
【0110】また、戻り規制部材260は、支持ピン2
70に嵌め合わされたスプリング271によってプレー
ト290側へ押圧されている。即ち、スプリング271
は、戻り規制部材260を介してピニオン200を後方
(プレート290側)へ押圧して静止状態を保持してい
るとともに、エンジン始動後のピニオン200の飛び出
し防止を手助けしている。
【0111】一方、本実施例の回転規制部材230は、
図21に示すように、棒状の金属材を巻回して構成され
て、両端部が径方向の対向位置で同一方向へ直角に曲げ
起こされている。曲げ起こされた一端部は、スタータの
作動初期にピニオン200の凹凸214に係合すること
でピニオン200の回転を規制する回転規制棒231a
であり、他端部231bには、紐状部材680の一端が
係合されて、その紐状部材680を介してマグネットス
イッチ600の作動が伝えられる。また、回転規制棒2
31aは、ピニオン200の前進移動に伴って戻り規制
部材260が軸方向に引き起こされた時に、図22に示
すように、戻り規制部材260の円環状部262の後方
に入り込んで、円環状部262の端部を支持することに
より、戻り規制部材260の姿勢を保持する。
【0112】次に、本実施例の作動を説明する。第1実
施例と同様に、始動スイッチがオンされてマグネットス
イッチ600が作動することにより、回転規制部材23
0の回転規制棒231aがピニオン200の凹凸214
に係合することでピニオン200の回転を規制する。一
方、スタータモータ500の回転力を受けて出力軸22
0が回転することにより、回転規制されたピニオン20
0が出力軸220上をヘリカルスプラインに沿って前進
し、ピニオンギア210がリングギヤ100と噛み合
い、エンジンを始動させる。
【0113】この時、戻り規制部材260は、図22に
示すように、ピニオン200の前進に伴って、スラスト
リング280に設けられた係合ピン281と側片部26
3に設けられた長穴266とが係合しながら、支持ピン
270を中心として軸方向に引き起こされる。
【0114】一方、回転規制部材230は、ピニオン2
00が完全にリングギヤ100に噛み合うことで、回転
規制棒231aの先端がピニオン200の凹凸214か
ら外れてスラストリング280の後端側に落ち込むこと
により、ピニオン200の回転規制を解除すると同時
に、回転規制棒231aの先端が戻り規制部材260の
後端を支持する。このため、スラストリング280に引
っ張られて軸方向に引き起こされた戻り規制部材260
の姿勢が保持される。
【0115】これにより、ピニオン200がリングギヤ
100により回転されてピニオン200に後退力が働い
ても、戻り規制部材260と回転規制部材230との協
同によってピニオン200の後退を阻止することができ
る。その後、始動スイッチがオフされると、回転規制部
材230がリターンスプリングのバネ力によって初期位
置へ復帰することにより、回転規制棒231aの先端が
戻り規制部材260の後端から外れるため、戻り規制部
材260とともにピニオン200が静止状態(図19に
示す状態)に戻される。
【0116】本実施例では、ピニオン200に対して戻
り規制部材260がスラストリング280を介して回転
自在に組付けられており、その戻り規制部材260の後
端を支持する回転規制棒231aにはピニオン200の
回転力が加わらないため、回転規制棒231aが曲げら
れたり、磨耗する様なことはない。また、スラストリン
グ280の後端面に戻り規制部材260の側片部263
が径方向の両側2か所で当接するため、ピニオン200
は2点で支持されることになる。これにより、ピニオン
200が出力軸220に対して傾くことはなく、信頼性
の高い装置となる。
【0117】〔変形例〕上記の各実施例では、ピニオン
200のみが出力軸220のヘリカルアウタスプライン
221に係合する例を示したが、ピニオン200に別部
機能部品(例えば、一方向クラッチ等)を加えたピニオ
ン移動体を設け、別部機能部品を出力軸220のヘリカ
ルアウタスプライン221に係合させた構造のスタータ
としても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明スタータの実施例を示す側面断面図であ
る(第1実施例)。
【図2】(a)および(b)は、回転規制部材をピニオ
ン部に組付けた際の正面図および一部断面側面図である
(第1実施例)。
【図3】回転規制部材の斜視図である(第1実施例)。
【図4】センターブラケットの後面図である(第1実施
例)。
【図5】センターブラケットの側面断面図である(第1
実施例)。
【図6】センターブラケットの正面図である(第1実施
例)。
【図7】アーマチュアの側面断面図である(第1実施
例)。
【図8】ヨークの正面図である(第1実施例)。
【図9】マグネットスイッチのプランジャおよび固定接
点の分解斜視図である(第1実施例)。
【図10】マグネットスイッチを示す斜視図である(第
1実施例)。
【図11】エンドフレームおよび圧縮コイルバネを示す
断面図である(第1実施例)。
【図12】ブラシ保持部材を示す後面図である(第1実
施例)。
【図13】図12のA−A線に沿う断面図である(第1
実施例)。
【図14】図12のB−B線に沿う断面図である(第1
実施例)。
【図15】(a)、(b)および(c)は、ピニオンの
作動状態を示してある、電気回路図である(第1実施
例)。
【図16】スタータの断面図である(第2実施例)。
【図17】ピニオンの断面図である(第3実施例)。
【図18】ピニオンおよび回転規制部材の側面図である
(第4実施例)。
【図19】回転規制部材および戻り規制部材を示す側面
図である(第5実施例)。
【図20】図19の正面図である(第5実施例)。
【図21】図19の分解図である(第6実施例)。
【図22】戻り規制部材の作動説明図である(第5実施
例)。
【符号の説明】
100 リングギヤ 200 ピニオン 210 ピニオンギヤ 211 ヘリカルインナスプライン 215 スラスト軸受(吸収手段) 220 出力軸 221 ヘリカルアウタスプライン 231 戻り回転規制爪(戻り規制手段および回転規
制手段) 231a 回転規制棒(回転規制手段) 260 戻り規制部材(戻り規制手段) 300 遊星歯車減速機構 500 モータ 200a ピニオンインナ 200b ピニオンアウタ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大見 正昇 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 日本電 装株式会社内 (72)発明者 新美 正巳 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 日本電 装株式会社内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ヘリカルアウタスプラインを外周に備え、
    回転駆動される出力軸と、 前記ヘリカルアウタスプラインに噛合した状態で、前記
    出力軸の軸方向に移動可能に装着されるヘリカルインナ
    スプラインを内周に備えるとともに、外周にエンジンの
    リングギヤに噛合可能なピニオンギヤを備えるピニオン
    と、 通電により回転動力を発生し、前記出力軸を駆動するモ
    ータとを備え、 前記モータの起動時に前記出力軸と前記ピニオンとに回
    転差を生じさせて前記ピニオンを軸方向へ移動させ、前
    記ピニオンと前記リングギヤとを噛合させるスタータで
    あって、 さらに、前記ピニオンと前記リングギヤとが噛合した状
    態で、前記ピニオンの軸方向の一端側に配置可能に設け
    られ、前記ピニオンの軸方向の戻りを規制する戻り規制
    手段と、 前記ピニオンと前記戻り規制手段との間に配置され、前
    記ピニオンと前記戻り規制手段との回転差を吸収するス
    ラスト軸受とを備えることを特徴とするスタータ。
  2. 【請求項2】請求項1のスタータは、 前記ピニオンに当接して前記ピニオンの回転を規制する
    回転規制手段を備え、 この回転規制手段は、前記ピニオンが所定量前進した
    時、前記ピニオンの後端に入り込み、前記戻り規制手段
    として作用することを特徴とするスタータ。
  3. 【請求項3】請求項1または請求項2のスタータにおい
    て、 前記ピニオンは、前記ヘリカルインナスプラインを備え
    るピニオンインナと、 このピニオンインナと一体的に回転する前記ピニオンギ
    ヤを備えるピニオンアウタとを備えることを特徴とする
    スタータ。
  4. 【請求項4】請求項1ないし請求項3のスタータにおい
    て、 前記スラスト軸受は、転がり軸受を用いたことを特徴と
    するスタータ。
  5. 【請求項5】請求項1ないし請求項3のスタータにおい
    て、 前記スラスト軸受は、滑り軸受を用いたことを特徴とす
    るスタータ。
  6. 【請求項6】ヘリカルスプラインを有する出力軸と、 外周にエンジンのリングギヤに噛み合うピニオンを有す
    るとともに、前記出力軸のヘリカルスプラインに係合
    し、かつ軸方向に移動可能に装着されたピニオン移動体
    と、 前記出力軸を駆動するモータとを備え、 前記モータの起動時に前記ピニオン移動体の回転を規制
    することで、前記ピニオンを前記リングギヤ側に移動さ
    せ噛み合わせるための回転規制手段と、 前記ピニオンと前記リングギヤとが噛み合った時に、前
    記ピニオンの前記リングギアからの戻りを規制する戻り
    規制手段と、 前記ピニオンと前記戻り規制手段との間に配置され、前
    記ピニオンと前記戻り規制手段との回転差を吸収する吸
    収手段とを備えることを特徴とするスタータ。
  7. 【請求項7】請求項6のスタータにおいて、 前記吸収手段は、前記ピニオン移動体に設けられた転が
    り軸受、もしくは滑り軸受であることを特徴とするスタ
    ータ。
  8. 【請求項8】請求項6または請求項7のスタータにおい
    て、 前記回転規制手段は、前記ピニオンが所定量、前記リン
    グギア側に移動した時に、前記ピニオンの反リングギア
    側に入り込み、前記戻り規制手段として作用することを
    特徴とするスタータ。
  9. 【請求項9】ヘリカルスプラインを有する出力軸と、 外周にエンジンのリングギヤに噛み合うピニオンを有す
    るとともに、前記出力軸のヘリカルスプラインに係合
    し、かつ軸方向に移動可能に装着されたピニオン移動体
    と、 前記出力軸を駆動するモータとを備え、 前記モータの起動時に前記ピニオン移動体の回転を規制
    することで、前記ピニオンを前記リングギヤ側に移動さ
    せ、噛み合わせるための回転規制手段と、 前記ピニオンと前記リングギヤとが噛み合った時に、前
    記ピニオンの前記リングギアからの戻りを規制する戻り
    規制手段と、 前記前記ピニオン移動体に設けられ、前記戻り規制手段
    が当接する転がり軸受もしくは滑り軸受とを備えること
    を特徴とするスタータ。
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