JPH0941144A - 希土類元素のcvd用原料物質およびこれを用いた成膜法 - Google Patents

希土類元素のcvd用原料物質およびこれを用いた成膜法

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JPH0941144A
JPH0941144A JP21020595A JP21020595A JPH0941144A JP H0941144 A JPH0941144 A JP H0941144A JP 21020595 A JP21020595 A JP 21020595A JP 21020595 A JP21020595 A JP 21020595A JP H0941144 A JPH0941144 A JP H0941144A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 CVD法によって強誘電体材料やLSI配線
材料などに有用な希土類元素またはその酸化物の薄膜を
製造するさいに液体状態で蒸発させることができる原料
化合物を得て,操作性よく良品質の該薄膜を製造する。 【解決手段】 CVD法により希土類元素または希土類
元素を含む化合物を析出させるのに使用するCVD用原
料物質であって,6−エチル−2,2−ジメチル−3,
5−オクタンジオンを希土類元素の配位子とした有機希
土類錯体からなるCVD用原料物質。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は,化学的気相蒸着法
(CVD法)によって希土類元素またはその化合物を析
出させるのに適したCVD用原料化合物に関する。
【0002】
【従来の技術】周知のように,単結晶薄膜や多結晶薄膜
の形成方法としては,ドライプロセスとウェットプロセ
スの2種類の方法があるが,一般にウェットプロセスに
比べてドライプロセスによって形成された薄膜の方が品
質面で優れるため,ドライプロセスが多用されている。
【0003】ドライプロセスには,真空蒸着法,イオン
プレーティング法およびスパッタリング法等の物理的成
膜法と,化学的気相蒸着法(CVD法)等の化学的成膜
法とがある。なかでも後者のCVD法は,成膜速度の制
御が容易である上,成膜を高真空下で行う必要がなく,
しかも高速成膜が可能であることなどから,量産向きで
あるため広く用いられている。
【0004】CVD法においては,原料化合物として有
機金属錯体も使用されており,その蒸気を分解させて金
属薄膜を形成する場合,熱CVD法,光CVD法または
プラズマCVD法などが採用されている。原料錯体化合
物としては,一般に,有機部分(配位子)がジピバロイ
ルメタン,ヘキサフルオロアセチルアセトン等であるβ
−ジケトン系有機金属錯体が使用されてきた。
【0005】近年,強誘電体材料等の電極材料やLSI
配線材料などに有用な薄膜として,希土類元素(例えば
Nd等)またはその酸化物の薄膜をCVD法で成膜する
ことが提案されている。かような物質をCVD法によっ
て析出させる場合の原料化合物として有機金属錯体が有
利である。一般に,有機金属錯体を構成する有機部分
(配位子)としては,ジピバロイルメタン或いはヘキサ
フルオロアセチルアセトン等のβ−ジケトンが知られて
いる。特開平4−72066号公報および特開平4−7
4866号公報には周期律表第IIA属金属, IIIA属金
属,IVA属金属,IB属金属との錯体を構成する有機化
合物として炭素数1〜5の低級アルキル基をもつ1,3
ジケトン類が記載されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従来提案されたβ−ジ
ケトン系有機化合物を配位子とした有機金属錯体は,一
般にその融点が高いので,CVD法の原料化合物に適用
する場合,これを融点以上の高温に加熱することはでき
ないことから,原料化合物は固体状態からの昇華によっ
て原料蒸気を発生させなければならない。
【0007】このため,原料容器内の原料残量が減少す
るに従って,原料化合物の表面積が減少して気化速度が
遅くなるという現象が起き,一定時間内に発生する原料
蒸気量が減少するので,一定した成膜速度を長時間確保
することができないという問題がある。また2元素以上
の金属を含む化合物薄膜を作製しようとする場合にはそ
の組成の制御が困難であるという問題もある。
【0008】前記の特開平4−72066号公報および
特開平4−74866号公報に記載された有機金属錯体
も高昇華性である点を特徴とするものであり,CVD用
原料化合物としては固体状態で蒸発させるものである。
したがって,前記同様の問題がある。
【0009】また,ヘキサフルオロアセチルアセトン等
のように分子内にフッ素を含む配位子を用いた有機金属
錯体は,融点は低いが成膜した膜中に不純物としてフッ
化物が混在するおそれがあり,この場合には膜の特性を
著しく損なう結果となる。
【0010】したがって本発明は,前記のような問題を
解決できるような低融点のβ−ジケトン系有機金属錯体
を得ること,とくに希土類元素の有機金属錯体を得るこ
とを課題としたものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは斯かる課題
を解決するために鋭意研究したところ,6−エチル−
2,2−ジメチル−3,5−オクタンジオンのβ−ジケ
トンを配位子として用いた希土類元素との有機金属錯体
は,CVD用原料化合物として液体状態で使用可能な低
融点を有し且つ蒸発温度と分解温度がはっきり離れてい
るというCVD法の成膜にとって極めて有利な性質を有
することを見いだした。この特性により,これをCVD
法の原料化合物とした場合,液体状態からの蒸発を行わ
せることができ,また原料蒸気の基材への供給と基材上
での分解析出を安定して行わせることができるので,既
述の課題が解決できることがわかった。
【0012】すなわち,本発明によれば,CVD法によ
り希土類元素または希土類元素を含む化合物を析出させ
るのに使用するCVD用原料物質であって,6−エチル
−2,2−ジメチル−3,5−オクタンジオンを希土類
元素の配位子とした有機希土類錯体からなるCVD用原
料物質を提供する。
【0013】また本発明によれば,CVD法により希土
類元素または希土類元素を含む化合物を基材上に析出さ
せるさいに,原料物質として6−エチル−2,2−ジメ
チル−3,5−オクタンジオンを希土類元素の配位子と
した有機希土類錯体を使用し,この有機希土類錯体を融
点以上の温度に加熱し,当該錯体の液相から当該錯体を
蒸発させることを特徴とするCVD法による希土類元素
または希土類元素含有化合物の成膜法を提供する。
【0014】本発明に従う有機希土類錯体は化1の一般
式で表されるものであり,新規化合物であると思われ
る。式中のREMは希土類元素を表す。
【0015】
【化1】
【0016】
【発明の実施の形態】本発明に従うβ−ジケトン系有機
希土類錯体は,目的とする希土類元素の無機酸塩(塩化
物,硝酸塩等)とβ−ジケトンを,水−エタノール溶液
中で攪拌しながらアルカリ水溶液(水酸化ナトリウム,
アンモニア等)を滴下し,生じた沈澱を濾過で分取し,
これを再結晶,蒸留等の精製法で精製するという方法で
得ることができる。
【0017】このようにして得られた有機希土類錯体
(以下,有機REM錯体と呼ぶことがある)を原料化合
物として使用し,CVD法で該希土類元素またはその酸
化物を成膜するには,例えば図1に示したように,該有
機REM錯体1を入れた原料容器2を恒温槽3内で所定
の温度(希土類元素の種類によって若干の相違があるが
およそ70〜160℃)に保持し,不活性キャリアガス
(例えばアルゴンガス)4を流量計5によって流量を調
整しながら(例えば5〜500ミリリットル/分)原料
容器2内に導入することよって,有機REM錯体を同伴
したガス流を該容器2から発生させる。
【0018】このようにして発生させた有機REM体蒸
気は熱分解炉6の反応管7内に導かれる。反応管(例え
ば石英管)7はヒータ8によって加熱され,管内に設置
した基板9を所定の温度(例えば300〜700℃)に
加熱保持することによって,該有機REM錯体が熱分解
して基板9上に希土類元素またはその酸化物が析出し,
成膜する。なお,原料容器2から熱分解炉6までの配管
は,凝縮を防ぐために保温層10または加熱保温手段に
より80〜170℃に保温維持するのがよい。反応管7
から出る排ガスは冷却トラップ11を経て排出される。
図中の12はバルブを,また13はロータリーポンプを
示している。
【0019】なお,希土類元素の酸化物を成膜するさい
には,酸素容器14から流量計15およびバルブ16を
経て反応雰囲気中(例えば反応間7内)に適量の気体酸
素を送気する。
【0020】
【実施例】
〔実施例1〕図1のCVD設備を用いて,ステンレス鋼
製の原料容器2内に,原料化合物として化2に示したト
リス(6−エチル−2,2−ジメチル−3,5−オクタ
ンジオナト)ネオジムを入れ,基板9にはシリコン基板
を用いてその上に成膜する操作を行った。
【0021】
【化2】
【0022】化2のトリス(6−エチル−2,2−ジメ
チル−3,5−オクタンジオナト)ネオジムは,次のよ
うにして製造した。硝酸ネオジム六水和物13.2gを
水100ミリリットルに溶解させ,これに6−エチル−
2,2−ジメチル−3,5−オクタンジオン17.5g
とエタノール100ミリリットルを加えて攪拌し,さら
にアンモニア水を滴下して沈殿を生成させる。次いで,
これを濾過し,ろ別した澱物を減圧乾燥したあと,昇華
精製することによって3.2gのトリス(6−エチル−
2,2−ジメチル−3,5−オクタンジオナト)ネオジ
ムを得た。この化合物の融点を測定したところ152〜
153℃であった。
【0023】この化合物1gを容器2内に装填し,恒温
槽3を160℃の恒温に設定保持した。シリコン基板9
をヒータ8によって500℃に加熱保持した状態で,キ
ャリヤーガスとしてアルゴンガスを100ミリリットル
/分を通流して該化合物を石英反応管7に導いた。容器
2から熱分解炉6までの配管は180℃に保持されるよ
うに保温した。
【0024】この条件下で30分間の成膜操作を行った
ところ,厚さ1400オングストロームの均一なネオジ
ム薄膜が得られた。
【0025】容器2に装填したトリス(6−エチル−
2,2−ジメチル−3,5−オクタンジオナト)ネオジ
ムの量を2gに変更した以外は,前記と全く同じ条件で
成膜操作を繰り返した。この場合にも同じく厚さが14
00オングストロームの均一なネオジム薄膜が得られ
た。すなわち,容器2に装填する原料化合物量を変えて
も同厚の成膜ができた。このことは,原料化合物からの
蒸発量が処理時間中一定であり,且つ分解量も一定であ
ることを示している。
【0026】〔実施例2〕気体酸素を酸素源14から流
量計15および弁16を経て反応管7内に100ミリリ
ットル/分の流量で追加した以外は,実施例1と同様の
処理を同じく30分間行った。その結果,原料装填量が
1gと2gの両方とも2600オングストロームの同じ
厚さの酸化ネオジム薄膜が得られた。
【0027】〔比較例1〕トリス(6−エチル−2,2
−ジメチル−3,5−オクタンジオナト)ネオジムに代
えて,融点が218〜219℃のトリス(ジピバロイル
メタナト)ネオジムを使用した以外は,実施例1と同様
な条件で成膜した。その結果,30分後に原料充填量1
gのものは厚さが1800オングストローム,また,原
料充填量2gのものは厚さが2400オングストローム
のネオジム薄膜が得られた。このことは,容器内原料の
容積変化にともなって蒸発量も経時変化したことを示し
ている。
【0028】〔比較例2〕気体酸素を酸素源14から流
量計15および弁16を経て反応管7内に100ミリリ
ットル/分の流量で追加した以外は,比較例1と同様の
処理を同じく30分間行った。その結果,原料充填量1
gのものは厚さが2400オングストローム,また原料
充填量2gのものは厚さが3800オングストロームの
酸化ネオジム薄膜が得られた。
【0029】
【発明の効果】以上のように,本発明に従うβ−ジケト
ン系有機希土類錯体は低融点で,高気化性であり,かつ
蒸発温度と分解温度がはなれていることから,CVD法
によって希土類元素またはその化合物の薄膜を製造する
原料化合物として使用する場合に,液体状態で使用でき
るという優れた利点があり,またこのために蒸発速度が
一定となるので安定した成膜速度が得られ,しかも高速
で且つ均質な成膜ができるという特徴がある。
【0030】したがって,本発明によれば,強誘電体材
料やLSI配線材料などに有用な希土類元素およびその
化合物の成膜技術に多大の貢献ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】熱CVD法を実施する設備の機器配置例を示し
た略断面図である。
【符号の説明】
1 有機金属錯体 2 原料容器 3 恒温槽 4 不活性キャリヤーガス 5 流量計 6 熱分解炉 7 石英反応管 8 ヒータ 9 基板 10 保温層 11 冷却トラップ 12 バルブ 13 ロータリーポンプ 14 酸素源

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 CVD法により希土類元素または希土類
    元素を含む化合物を析出させるのに使用するCVD用原
    料物質であって,6−エチル−2,2−ジメチル−3,
    5−オクタンジオンを希土類元素の配位子とした有機希
    土類錯体からなるCVD用原料物質。
  2. 【請求項2】 有機希土類錯体は化1で示される請求項
    1に記載のCVD用原料物質。 【化1】
  3. 【請求項3】 希土類元素はNdであり,当該錯体の融
    点が152〜153℃である請求項1または2に記載の
    CVD用原料物質。
  4. 【請求項4】 CVD法により希土類元素または希土類
    元素を含む化合物を基材上に析出させるさいに,原料物
    質として6−エチル−2,2−ジメチル−3,5−オク
    タンジオンを希土類元素の配位子とした有機希土類錯体
    を使用し,この有機希土類錯体を融点以上の温度に加熱
    し,当該錯体の液相から当該錯体を蒸発させることを特
    徴とするCVD法による希土類元素または希土類元素含
    有化合物の成膜法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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