JP4120321B2 - 化学気相成長用のチタン錯体とそれを用いたpzt薄膜の製造方法 - Google Patents

化学気相成長用のチタン錯体とそれを用いたpzt薄膜の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、化学気相成長に用いるTi錯体とPZT薄膜の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
高集積の不揮発性メモリーに用いられるPZT薄膜を量産性よく製造する方法として、化学気相成長法(以下CVD法という)が用いられる。その原料供給方式には、Pb、Ti、Zrの化合物をそのまま気化して供給する方式と溶液にして気化供給する方式がある。Pb源としては、揮発性が高い猛毒性の4エチル鉛に代わって、毒性の低いビス(β−ジケトナート)鉛、特にビス(ジピバロイルメタナート)鉛(以下Pb(dpm)と表す)が検討されている。しかしこの化合物は蒸気圧が低く、150℃で0.2Torrしかない。そのためそのまま気化して供給する方式より、有機溶媒に溶かした溶液にして、気化供給する方式が、大量のPb源を供給できるので、PZT薄膜の大量生産に好都合である。
【0003】
溶媒としてTHFやオクタンや酢酸ブチルなどが用いられる。溶液気化では、Pb、Zr、Tiの各々の原料溶液を気化器直前で混合し、一つの気化器で気化供給するか、Pb、Zr、Tiを含んだ一つの溶液を原料として、一つの気化器で気化供給するかが望まれている。特に後者であれば、設備が簡単となり、膜組成の変動が小さくできるはずである。いずれの場合でも、200℃付近の気化器およびその直前の1〜10秒程度の時間、混合溶液状態にあることになる。このときにPb(dpm)と反応して気化特性が変化するTi(OiPr)やZr(OtBu)は好ましくない。そこでP.C.van Buskirkら、Integrated Ferroelectrics,Vol.21,273(1998)は、Pb(dpm)−Zr(dpm)−Ti(OiPr)(dpm)の組合わせが好ましいことを開示している。
【0004】
さらに、Zr(dpm)からのZrO堆積温度は、Pb(dpm)からのPbO堆積温度に比べてかなり高いので、より低い堆積温度を示すZr化合物として、WO98/51837では、Zr(OiPr)(dpm)やZr(OiPr)(dpm)が、特開2001−151782ではZr(OiPr)(dpm)が開示されている。しかしそれらと組合わせて使うTi源としては、Ti(OiPr)(dpm)が開示されているにすぎなかった。
【0005】
Al配線が耐える温度以下でPZTの不揮発性メモリーを作れれば、高集積化され、多層メタル化された半導体装置ができるので、500℃以下、好ましくは450℃以下の基板温度でPZT薄膜を製造することが検討されている(特開2000−58526など)。Pb(dpm)−Zr(OtBu)−Ti(OiPr)−NOの組み合わせでは、この低温成膜はできているが、溶液気化方式で原料を供給し、基板温度450℃以下でPZTを成膜した文献は見当たらない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、溶液気化の原料として、Pb(dpm)−Zr(OiPr)(dpm)−Ti(OiPr)(dpm)の組合わせを用い、PZTの成膜をしたところ、基板温度500〜600℃では、所定の膜組成を得る温度の許容巾が広いが、450℃以下では、膜にTiOが入りにくく、大過剰のTi(OiPr)(dpm)を供給しなければならず、膜組成に対する成膜温度の許容巾が狭く、問題であることがわかった。その原因はTi(OiPr)(dpm)からのTiO堆積温度がPb(dpm)やZr(OiPr)(dpm)に比べて高いためと推定された。
本発明の目的は、上記問題を解決するために、TiO堆積温度がTi(OiPr)(dpm)より少し低い新規なTi化合物を作り、450℃以下で、実用的に広い許容温度巾をもつPZT薄膜の製造方法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、Ti化合物としてジ(アルコキシ)ビス(ジイソブチリルメタナート)チタンを使えば、PZT膜が450℃以下の低温で成膜でき、しかも膜組成に対する許容温度巾が広いこと、さらに200℃の気化温度で分解することなく気化すること、さらに溶液中でPb(dpm)、Zr(OiPr)(dpm)と容易には、反応しないことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
本発明は、化学気相成長用のジメトキシビス(ジイソブチリルメタナート)チタン Ti(OMe) (dibm) である。
【0009】
本発明は、溶液気化により原料を供給し、化学気相成長法でPZT薄膜を製造する方法において、Ti源としてジメトキシビス(ジイソブチリルメタナート)チタンを用いることを特徴とするPZT薄膜の製造方法である。
【0010】
本発明は、Ti源としてジメトキシビス(ジイソブチリルメタナート)チタン、Pb源としてビス(ジピバロイルメタナート)鉛、Zr源として(イソプロポキシ)トリス(ジピバロイルメタナート)ジルコニウムを用いることを特徴とするPZT薄膜の製造方法である。
【0011】
本発明は、成膜する基板温度が350〜450℃であることを特徴とする上記記載のPZT薄膜の製造方法である。
【0012】
本発明は、Pb、Zr、Ti化合物の個々の溶液を同一の気化器で気化して供給することを特徴とする上記記載のPZT薄膜の製造方法である。
【0013】
本発明は、Pb、Zr、Ti化合物を一つの溶液に含んだ原料を用いることを特徴とする上記記載のPZT薄膜の製造方法である。
【0014】
本発明は、溶液の溶媒が酢酸ブチルであることを特徴とする上記記載のPZT薄膜の製造方法である。
【0015】
【発明の実施の形態】
Ti(OR)(dibm)は、Ti(OMe)(dibm)、Ti(OEt)(dibm)、Ti(OnPr)(dibm)、Ti(OnBu)(dibm)、Ti(OiBu)(dibm)、Ti(OsBu)(dibm)、Ti(OtBu)(dibm)、Ti(OnPen)(dibm)、Ti(OneoPen)(dibm)、Ti(OiAm)(dibm)、Ti(OsAm)(dibm)、Ti(OtAm)(dibm)、等があるが、本発明ではTi(OMe) (dibm) 、Ti(OiBu) (dibm) 、Ti(OtBu) (dibm) を選択して取り扱うことにする。
【0016】
Ti(OMe)(dibm) の製法には次の2つがある。
第一の製法としては、R.C.Fay and A.F.Lindmark,J.Am.Chem.Soc.Vol.105,2118(1983)に記載されたTi(OiPr)(dpm)の製法が適用できる。反応式は次式となる。
Ti(OMe)+2dibmH→Ti(OMe)(dibm)+2MeOH
【0017】
トルエンなどの不活性有機溶媒中で、Ti(OMe)と反応式当量の1〜1.05倍のdibmH(ジイソブチリルメタン)を加熱還流すると、反応が定量的に進行する。次いで副生MeOH、溶媒、未反応dibmHを常圧〜減圧で留去する。精製は再結晶でも可能であるが、0.01〜1Torrでの真空蒸留が好ましい。こうすることにより溶液気化用原料として最適な、パーティクルや不揮発分を含まない、完全な揮発成分のみのTi(OMe)(dibm)が得られる。なお反応が終わった時点の溶液は淡橙色をしているが、真空蒸留したTi(OMe)(dibm)は、紫色に着色している。これは、熱により分解還元された極微量のTi(III)化合物が含まれているためと推定される。しかし酢酸ブチル、シクロヘキサンなどの溶媒に溶かすと、しばらくして完全透明な淡橙色にもどる。
【0018】
第二の製法として、Ti(OiPr)(dibm)を原料とする製法がある。反応式は次式となる。
Figure 0004120321
【0019】
以下に実施例1〜3で得られたTi錯体のCVDに必要な主な物性の測定結果を記す。
(1)組成分析
ICP発光分光分析の結果
Figure 0004120321
【0020】
(2)性状と融点と蒸気圧
Figure 0004120321
紫色を帯びているのは、極微量のTi(III)が含まれているためと推定される。
【0021】
(3)TG−DTA
測定条件
測定はAr 1気圧、昇温速度 10.0deg/min で行った。
Ti(OMe)(dibm) 試料質量9.84mgの測定結果を図1に示す。
Ti(OiBu)(dibm) 試料質量8.72mgの測定結果を図2に示す。
Ti(OtBu)(dibm) 試料質量9.34mgの測定結果を図3に示す。
図1〜3より、どのTi錯体も200℃以下で熱分解している様子はない。
【0022】
(4)溶解度
溶媒1Lに室温で溶解する質量(g)を表1に示す。
表1から明らかなように、これらの溶媒によく溶けることがわかる。
【0023】
【表1】
Figure 0004120321
【0024】
次ぎにこれらのTi錯体のCVDで基板へのTiOの堆積が確認される下限の基板温度を実施例4、5、6で調べた結果、約360〜380℃であった。この温度は比較例1の結果、Ti(OiPr)(dpm)の約400℃に比べ約40〜20℃ほど低かった。これは、dibm基の方が、dpm基より、低温で酸化分解するためであると考えられる。すなわち本発明のTi錯体の方がPZT膜の低温形成可能なことを表している。なお温度の絶対値は、CVDの圧力や酸化ガスの種類により異なるが、両者の傾向は変わらない。
【0025】
本発明のPZT膜形成用の1成分であるビス(β−ジケトナート)鉛としては、Pb(dpm)、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−オクタンジオナート)鉛、ビス(2,2,6−トリメチル−3,5−ヘプタンジオナート)鉛、ビス(6−エチル−2,2−ジメチル−3,5−オクタンジオナート)鉛などである。好ましくは、最も熱安定性の高いPb(dpm)である。
【0026】
本発明のPZT膜形成用の1成分であるZr化合物としては、低温堆積できるZr(OiPr)(dpm)あるいはZr(dibm)である。好ましくは、Zr(OiPr)(dpm)である。
【0027】
本発明の溶媒としては、表1の溶媒などが使えるが、溶解性、沸点、安全性、溶液の気化特性などの点から酢酸n−ブチル、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサンが好ましい。高純度のPb(dpm)、Zr(OiPr)(dpm)、本発明のTi錯体であれば、純粋な溶媒だけで安定なポットライフの長い溶液ができる。本発明のTi錯体は、Pb(dpm)、Zr(OiPr)(dpm)と反応せず、リガンドの交換反応が起きにくい。
【0028】
本発明では、Pb、Zr、Ti化合物の個々の溶液は、それぞれのソースシリンダーから計量され、気化器直前で混合され、一つの気化器で気化された後、CVD室に供給される。この方式では、例えばPb原料とTi原料とを用いてPbTiO核付け処理を行い、これに引き続いてPZTの成膜を行うような2段階成膜が可能である。溶液のポットライフも次ぎに述べる一溶液法に比べ長い。気化器を一つにする装置上の利点もある。
本発明のもう一つの供給方式は、Pb、Zr、Ti化合物を一つの溶液に含んだ原料を用い、その溶液を気化器で気化後、CVD室に供給する方式である。供給装置は、最も簡素化され、しかも溶液の組成均一性や得られた膜組成の均一性は最も優れる。
【0029】
本発明では、PZT成膜の基板温度が350〜450℃である。この低い基板温度は、PbTiO成膜やLaを一部含んだPLZT成膜にも適用できる。Pb、Zr、La源を低温堆積可能な化合物を使うことにより、このような低温でも良好な強誘電性を示す膜が得られる。
酸化ガスとしては、O、O、NO、NOなどが使える。CVD室の圧力は、0.001〜10Torrである。
【0030】
【実施例1】
Ti(OMe)(dibm)の製造
リフラックスコンデンサー、温度計、攪拌子を備えた300ml四つ口フラスコを真空置換しアルゴン雰囲気とし、トルエン100mlを仕込み、次いでTi(OMe)10.2g(59mmol)、ジイソブチリルメタンdibmH19.0g(122mmol)を仕込んだ。次いで攪拌下昇温し、加熱還流状態で、5時間反応し、淡茶色溶液を得た。次いで減圧下で、副生MeOH、溶媒、未反応のdibmHなどを留去した。蒸留用ト字管に付け替え、0.7Torr、留出温度145℃付近で紫色液体が留出し、室温で固化した。収量18g(43mmol)、収率73%であった。
この化合物は、由来や前述したTi含量などから、Ti(OMe)(dibm)と断定した。紫色の着色は、生成物の130℃以上での蒸留中に極微量できたTi(III)化合物の混入のためと考えられる。酢酸n−ブチルの溶媒に溶かし、しばらくすると淡橙色に変化する。僅かに溶存した酸素などでTi(IV)に戻ったと考えられる。
【0031】
【実施例2】
Ti(OiBu)(dibm)の製造
実施例1において、Ti(OMe)をTi(OiBu)に代えた他は、実施例1と同様な操作を行った。0.7Torr、留出温度160℃付近で紫色液体が留出し、室温で固化した。収量21g(42mmol)、収率81%。
この化合物は、由来や前述したTi含量などから、Ti(OiBu)(dibm)と断定した。
【0032】
【実施例3】
Ti(OtBu)(dibm)の製造
実施例1において、Ti(OMe)をTi(OtBu)に代えた他は、実施例1と同様な反応、留去操作を行った。乾燥した内容物を昇華管に移し、0.7Torr、加熱温度175℃付近で昇華し紫色結晶を得た。収量19g(38mmol)、収率71%。
この化合物は、由来や前述したTi含量などから、Ti(OtBu)(dibm)と断定した。
【0033】
【実施例4】
Ti(OMe)(dibm)のCVDによるTiO膜の成膜
Ti(OMe)(dibm)の酢酸ブチル溶液(濃度0.1mol/l)0.1ml/minを200℃の気化器に送り、予熱したArガス200sccmとともに蒸発させ、CVD室に送った。これに予熱したOガス100sccmをCVD室入り口で混合し、反応圧力1Torr、350〜450℃の加熱されたSi基板上に導き、熱分解堆積させた。20分間後、基板を取り出し膜厚測定をすると、360℃で約10nmのTiO膜が形成されていた。400℃では、約60nm、450℃では約70nmであった。
【0034】
【実施例5、6】
Ti(OiBu)(dibm)、Ti(OtBu)(dibm)のCVDによるTiO膜の成膜
実施例4において、Ti(OMe)(dibm)をTi(OiBu)(dibm)またはTi(OtBu)(dibm)に代えた他は、実施例4と同様な操作を行った。基板温度とTiO膜厚(nm)について得られた結果を表2に示す。
【0035】
【比較例1】
Ti(OiPr)(dpm)のCVDによるTiO膜の成膜
実施例4において、Ti(OMe)(dibm)をTi(OiPr)(dpm)に代えた他は、実施例4と同様な操作を行った。360℃では膜はなく、400℃で約10nmのTiO膜が形成され、450℃で約40nmとなった。実施例4と比較例1の結果から、Ti(OMe)(dibm)のTiO膜形成の下限温度はTi(OiPr)(dpm)のそれより、約40〜50℃低いことがわかる。
【0036】
【比較例2、3、4】
Ti(OMe)(dpm)、Ti(OiBu)(dpm)、Ti(OtBu)(dpm)のCVDによるTiO膜の成膜
実施例4において、Ti(OMe)(dibm)をTi(OMe)(dpm)、Ti(OiBu)(dpm)、Ti(OtBu)(dpm)に代えた他は、実施例4と同様な操作を行った。基板温度とTiO膜厚(nm)について得られた結果を表2に示す。
【0037】
【表2】
Figure 0004120321
【0038】
表2より、Ti(OMe)(dibm)、Ti(OiBu)(dibm)、Ti(OtBu)(dibm)のTiO膜形成の下限温度はTi(OiPr)(dpm)のそれより、約20〜50℃低いことがわかる。また対応するTi(OR)(dpm)より約50℃低いことがわかる。
【0039】
【実施例7】
Ti(OMe)(dibm)溶液を用いたPZT膜の製造
Pb(dpm)の酢酸n−ブチル溶液(濃度0.1mol/l)を0.1ml/minで送り、Zr(OiPr)(dpm)の酢酸n−ブチル溶液(濃度0.1mol/l)を0.1ml/minで送り、Ti(OMe)(dibm)の酢酸n−ブチル溶液(濃度 0.1mol/l)を0.15ml/minで送り、この三液を気化器直前で混合し、200℃の気化器で、予熱したArガス300sccmとともに気化させ、CVD室に送った。これに予熱したOガス700sccmをCVD室入り口で混合し、反応圧1Torr、420℃に加熱されたPt(111)/SiO/Si基板上に導き、熱分解堆積させた。30分後基板を取り出し膜厚測定すると180nmの膜が形成されていた。この膜はXRDよりペロブスカイト相のPZTで、組成分析の結果Pb:Zr:Ti=1.0:0.58:0.42であった。また成膜温度が20℃違っても膜組成はずれなかった。
【0040】
【比較例5、6】
Ti(OiPr)(dpm)溶液を用いたPZT膜の製造
実施例7において、Ti(OMe)(dibm)をTi(OiPr)(dpm)に代えた他は、実施例7と同様にして、成膜した。しかし膜組成分析の結果、Pb:Zr:Ti=1.0:0.85:0.15とTiが少なく、良好なペロブスカイト相は形成されなかった(比較例5)。
そこでTi(OiPr)(dpm)の供給量を3.3倍の0.5ml/minに増して成膜した結果、ペロブスカイト相のPZTで、Pb:Zr:Ti=1.0:0.55:0.45の膜が得られた(比較例6)。
しかし成膜温度が10℃違うと膜組成がずれてしまうという問題点は残ったままであった。
【0041】
【実施例8】
Ti(OMe)(dibm)の酢酸n−ブチル溶液のポットライフ
水分15ppmに脱水し、減圧で脱酸素した酢酸n−ブチル46mlをメスフラスコに入れ、Ti(OMe)(dibm)6.3g(15mmol)を溶解し、気相部を乾燥Arとし密閉した。溶液作製直後は紫色であったが、しばらくすると淡橙色の完全透明液となった。この溶液を室温に保ち、3ケ月後に色、濁りの生成を観察したが、淡橙色の完全透明状態が保たれていた。この3ケ月後の溶液をフラスコにとり、室温真空下で溶媒を蒸発除去し、次いで、145℃で真空蒸留したところ、全量が蒸発回収され、フラスコ内壁に薄い紫色の膜が僅かに残った程度であった。気化特性は全く変化していず、正常であることがわかった。よって3ケ月のポットライフがあるといえる。
同様な結果がTi(OiBu)(dibm)とTi(OtBu)(dibm)でも得られた。
【0042】
【実施例9】
PZT形成用酢酸n−ブチル一溶液のポットライフ
水分15ppmに脱水し、減圧で脱酸素した酢酸n−ブチル90mlをメスフラスコに入れ、Pb(dpm)5.7g(10mmol)、Zr(OiPr)(dpm)7.0g(10mmol)、Ti(OMe)(dibm)4.2g(10mmol)を溶解し、気相部を乾燥Arとし密閉した。溶液作製直後は紫色であったが、しばらくすると淡橙色の完全透明液となった。この溶液を室温に保ち、3ケ月後に色、濁りの生成を観察したが、淡橙色の完全透明状態が保たれていた。この3ケ月後の溶液をフラスコにとり、室温真空下で溶媒を蒸発除去し、次いで、0.03Torr、加熱浴温度150〜190℃で真空蒸留したところ、16.1gが蒸発回収され、フラスコ内に0.5gの黒紫色の膜が残った程度であった。16.1/(5.7+7.0+4.2)=0.95とほとんど気化回収されており、1時間の高温での真空蒸留中での熱変質を考慮すれば、室温での溶液では、気化特性は全く変化していず、正常であると推定した。よって3ケ月のポットライフがあるといえる。
同様な結果がTi(OiBu)(dibm)とTi(OtBu)(dibm)でも得られた。
【0043】
【発明の効果】
溶液気化方式で原料を供給するCVDで、Ti源としてTi(OMe)(dibm)溶液を用いれば、Ti(OiPr)(dpm)より少ない供給量で、かつ、広い許容温度巾を持ってPZT膜を450℃以下で製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】Ti(OMe)(dibm)のAr 1atmでのTG−DTAによる測定結果を示す図である。
【図2】Ti(OiBu)(dibm)のAr 1atmでのTG−DTAによる測定結果を示す図である。
【図3】Ti(OtBu)(dibm)のAr 1atmでのTG−DTAによる測定結果を示す図である。

Claims (2)

  1. 化学気相成長用のジメトキシビス(ジイソブチリルメタナート)チタン Ti(OMe) (dibm)
  2. 溶液気化により原料を供給し、化学気相成長法でPZT薄膜を製造する方法において、Ti源としてジメトキシビス(ジイソブチリルメタナート)チタンの酢酸ブチル溶液、Pb源としてビス(ジピバロイルメタナート)鉛の酢酸ブチル溶液、Zr源として(イソプロポキシ)トリス(ジピバロイルメタナート)ジルコニウムの酢酸ブチル溶液を用い、基板温度が350〜450℃であることを特徴とするPZT薄膜の製造方法。
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