JPH0939283A - サーマルヘッド - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】紙離れを良好として高品質の印字画像を形成す
る。ヘッドを提供する。 【解決手段】絶縁基板１上に複数個の発熱抵抗体３及
び、該発熱抵抗体３の両端に接続される個別電極４及び
共通電極５を被着させるとともに前記発熱抵抗体３、個
別電極４及び共通電極５を保護層８によって被覆して成
るサーマルヘッドにおいて、前記発熱抵抗体３、個別電
極４及び共通電極５と保護層８との間に前記共通電極５
に電気的に接続される補強導体層７を介在させるととも
に、該補強導体層７と発熱抵抗体３及び個別電極４との
間に電気絶縁層６を介在させる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、ワードプロセッサやフ
ァクシミリ等のプリンタ機構として組み込まれるサーマ
ルヘッドに関する。

【０００２】

【従来技術】従来、ワードプロセッサ等のプリンタ機構
として組み込まれるサーマルヘッドは、図４に示す如
く、ガラス製の部分グレーズ層１２を有した絶縁基板１
１上に、複数個の発熱抵抗体１３と、個別電極１４及び
共通電極１５と、保護層１６とを順次被着させた構造を
有しており、前記個別電極１４及び共通電極１５間に印
字信号に基づいて所定の電力を印加し、発熱抵抗体１３
の発熱部Ｒを選択的にジュール発熱させるとともに、該
発熱した熱を感熱記録媒体に伝導させ、感熱記録媒体に
所定の印字画像を形成することによってサーマルヘッド
として機能する。尚、かかる従来のサーマルヘッドは、
印字に際して感熱記録媒体の紙離れを良好とするため
に、前記発熱部Ｒを絶縁基板１１の端部付近に配置させ
るようにしていた。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この従
来のサーマルヘッドにおいては、印字に際して感熱記録
媒体の紙離れを良好とするために発熱抵抗体１３の発熱
部Ｒを絶縁基板１１の端部付近に配置させていることか
ら、絶縁基板１１の端部と発熱部Ｒとの間に配置される
共通電極１５の幅が狭く、共通電極１５の配線抵抗が大
となっている。このため、全ての発熱抵抗体１２を同時
に発熱させるべく共通電極１５に大電流を流すと、幅細
で高配線抵抗の共通電極１５において大きな電圧降下が
発生し、その結果、印画濃度が低下したり、或いは、濃
度むらが発生して印画品質が低下する欠点を有してい
る。

【０００４】また上記欠点を解消するために、前記共通
電極を絶縁基板の下面側まで導出する等して共通電極の
配線抵抗を小さくなすことが提案されている。

【０００５】しかしながら、共通電極を絶縁基板の下面
側まで導出すると、絶縁基板を金属製の放熱板上に載置
させる場合に絶縁基板下面の共通電極と放熱板とを樹脂
製の絶縁シート等によって電気的に絶縁する必要があ
り、このため、サーマルヘッドの部品点数が増加すると
ともに、その組み立て作業が煩雑になる欠点が誘発され
る。

【０００６】

【発明の目的】本発明は上記欠点に鑑み案出されたもの
で、その目的は、記録媒体の紙離れを良好として高品質
の印字画像を形成することが可能なサーマルヘッドを提
供することにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明のサーマルヘッド
は、絶縁基板上に複数個の発熱抵抗体及び、該発熱抵抗
体の両端に接続される個別電極及び共通電極を被着させ
るとともに前記発熱抵抗体、個別電極及び共通電極を保
護層によって被覆して成るサーマルヘッドにおいて、前
記発熱抵抗体、個別電極及び共通電極と保護層との間に
前記共通電極に電気的に接続される補強導体層を介在さ
せるとともに、該補強導体層と発熱抵抗体及び個別電極
との間に電気絶縁層を介在させたことを特徴とする。

【０００８】

【実施例】以下、本発明の実施例を添付図面に基づいて
詳細に説明する。

【０００９】図１は、本発明のサーマルヘッドの一実施
例を示す平面図、図２は図１のＡ−Ａ線断面図であり、
１は絶縁基板、２はグレーズ層、３は発熱抵抗体、４は
個別電極、５は共通電極、６は電気絶縁層、７は補強導
体、８は保護層である。

【００１０】前記絶縁基板１はアルミナセラミックス等
の耐熱性に優れた電気絶縁材料から成り、アルミナ、シ
リカ、マグネシア等のセラミックス原料粉末に適当な有
機溶剤、溶媒を添加混合して泥漿状となすとともにこれ
を従来周知のドクターブレード法やカレンダーロール法
等を採用することによってセラミックグリーンシートを
形成し、しかる後、前記セラミックグリーンシートを所
定の長方形状に打ち抜き加工を施すとともにこれを高温
（約１６００℃）で焼成することによって製作される。

【００１１】また前記絶縁基板上面の端部近傍にはグレ
ーズ層２が部分的に被着されており、該グレーズ層２は
後述する発熱抵抗体３の発する熱を蓄積及び放散するこ
とによってサーマルヘッドの熱応答性を良好に維持する
作用を為す。

【００１２】尚、前記グレーズ層２は、例えばガラス粉
末に適当な有機溶媒、溶剤を添加混合して得たガラスペ
ーストを絶縁基板１上面の所定領域に従来周知のスクリ
ーン印刷等を採用することによって印刷塗布し、しかる
後、これを高温（約９００℃）で焼成することによって
絶縁基板１上に被着形成される。

【００１３】また前記グレーズ層２が被着された絶縁基
板１の上面には、複数個の発熱抵抗体３が直線状に被着
配列されており、更に発熱抵抗体３の一端側には個別電
極３が個々に接続され、他端側（絶縁基板１の端部側）
には共通電極４が共通に接続されている。

【００１４】前記発熱抵抗体２は窒化タンタル等から成
り、それ自体が所定の電気抵抗率を有しているため、個
別電極４及び共通電極５間に所定の電力を印加すると、
この両者間の領域Ｒが感熱記録媒体に印字画像を形成す
るのに必要な温度にジュール発熱する作用を為す。

【００１５】また前記発熱抵抗体２の両端に接続される
個別電極３及び共通電極４はアルミニウムや銅等の金属
材料から成り、発熱抵抗体２にジュール発熱を起こさせ
るために必要な所定の電力を印加する作用を為す。

【００１６】尚、前記発熱抵抗体３、個別電極４及び共
通電極５は、従来周知のスパッタリング法等を採用する
ことによって所定厚みに被着され、更にフォトリソグラ
フィー技術を採用することによって所定パターンに加工
される。

【００１７】また前記発熱抵抗体３、個別電極４及び共
通電極５の上には、これらを覆うようにして保護層８が
１〜５μｍの厚みをもって被着されている。

【００１８】前記保護層８は、窒化珪素、炭化珪素等の
硬質の電気絶縁材料から成っており、発熱抵抗体３等を
感熱記録媒体の摺接による摩耗や大気中に含まれる水分
等の接触による腐食から保護する作用を為す。

【００１９】また前記発熱抵抗体３、個別電極４及び共
通電極５と保護層８との間には補強導体層７（厚み：１
〜２０μｍ）が介在されており、更にこの補強導体層７
と発熱抵抗体３及び個別電極４との間には電気絶縁層６
（厚み：２〜５μｍ）が介在されている。

【００２０】前記補強導体層６はタングステン、タンタ
ル、クロム等の導電材料から成っており、絶縁基板１の
端部近傍で共通電極５と電気的に接続されている。

【００２１】また前記電気絶縁層７は窒化珪素や酸化珪
素等の電気絶縁材料から成っており、発熱抵抗体３及び
個別電極４と、補強導体層７との間に介在されてこの両
者を電気的に絶縁している。

【００２２】このため、印字に際して感熱記録媒体の紙
離れを良好となすために発熱抵抗体３の発熱部Ｒを絶縁
基板１の端部付近に配置させる場合であっても、幅狭で
高抵抗となる共通電極５を補強導体層７によって電気的
に補強することができる。この結果、全ての発熱抵抗体
３を同時に発熱させるべく共通電極５に大電流を流して
も、共通電極５における大きな電圧降下の発生が有効に
防止されるようになり、濃度むらや印画濃度の低下を皆
無として良好で鮮明な印字画像を形成することが可能と
なる。

【００２３】しかも、前記補強導体層７は窒化珪素等の
電気絶縁材料から成る保護層８によって被覆されている
ため、印字時、サーマルヘッドの表面に電荷をもった感
熱記録媒体が摺接されても、これらの電荷が共通電極５
に流れ込むことはなく、発熱抵抗体３に所定の電力を確
実に印加することができ、また記録媒体を供給するため
のカートリッジを取り扱う際などに感電したりする危険
性もない。

【００２４】またこの場合、補強導体層７は電気絶縁層
６と保護層８とによってほぼ完全に被覆されており、外
部に露出されていないことから、絶縁基板１を金属製の
放熱板上に載置させる場合であっても、絶縁基板１と放
熱板とを樹脂製の絶縁シート等によって絶縁する必要は
一切なく、部品点数が増加したり、或いは、組み立て作
業が煩雑になったりすることもない。

【００２５】尚、前記電気絶縁層６及び補強導体層７の
形成は、まず発熱抵抗体３、個別電極４及び共通電極５
が形成されている絶縁基板１の上面に、共通電極５の一
部をマスクした状態で窒化珪素等の電気絶縁材料をスパ
ッタリングすることによって電気絶縁層６を形成し、次
に、先にマスクした共通電極５の上面から前記補強導体
層６の上面にかけてタングステン等の導電材料をスパッ
タリングし、補強導体層７を被着させることによって行
われる。

【００２６】かくして上述した本発明のサーマルヘッド
は、個別電極４と共通電極５との間に印字信号に基づい
て所定の電力を印加し、発熱抵抗体３の発熱部Ｒを選択
的にジュール発熱させるとともに該発熱した熱を感熱記
録媒体に伝導させ、感熱記録媒体に所定の印字画像を形
成することによってサーマルヘッドとして機能する。
尚、本発明は上述した実施例に限定されるものでは無
く、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変
更、改良等が可能であり、例えば、図３に示す如く、共
通電極５に接続される補強導体層７’を発熱部Ｒ上での
み突出するように形成しても良く、この場合、上記実施
例と同様の効果を奏することに加え、サーマルヘッドと
感熱記録媒体との密着性が向上され、印画品質をより良
好なものとなすことができる。

【００２７】

【発明の効果】本発明のサーマルヘッドによれば、発熱
抵抗体の発熱部を絶縁基板の端部付近に配置させる場合
であっても、幅狭となる共通電極を補強導体層によって
電気的に補強することができるため、全ての発熱抵抗体
を同時に発熱させるべく共通電極に大電流を流しても、
共通電極における大きな電圧降下の発生が有効に防止さ
れるようになり、濃度むらや印画濃度の低下を皆無とし
て良好で鮮明な印字画像を形成することが可能となる。

【００２８】しかも、前記補強導体層は保護層によって
被覆されているため、印字時、サーマルヘッドの表面に
電荷をもった感熱記録媒体を摺接させても、これらの電
荷が共通電極に流れ混むことはなく、発熱抵抗体に所定
の電力を確実に印加することができ、また記録媒体を供
給するためのカートリッジを取り扱う際などに感電する
危険性もない。

【００２９】また本発明のサーマルヘッドによれば、補
強導体層は電気絶縁層と保護層とによって被覆されてお
り、外部に露出されないことから、絶縁基板を金属製の
放熱板上に載置させる場合であっても、絶縁基板と放熱
板とを樹脂製の絶縁シート等によって絶縁する必要は一
切なく、部品点数が増加したり、或いは、組み立て作業
が煩雑になったりすることもない。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のサーマルヘッドの一実施例を示す平面
図である。

【図２】図１のサーマルヘッドのＡ−Ａ線断面図であ
る。

【図３】本発明の他の実施例を示す断面図である。

【図４】従来のサーマルヘッドの断面図である。

【符号の説明】

１・・・絶縁基板 ２・・・グレーズ層 ３・・・発熱抵抗体 ４・・・個別電極 ５・・・共通電極 ６・・・電気絶縁層 ７・・・補強導体層 ８・・・保護層

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】絶縁基板上に複数個の発熱抵抗体及び、該
   発熱抵抗体の両端に接続される個別電極及び共通電極を
   被着させるとともに前記発熱抵抗体、個別電極及び共通
   電極を保護層によって被覆して成るサーマルヘッドにお
   いて、 前記発熱抵抗体、個別電極及び共通電極と保護層との間
   に前記共通電極に電気的に接続される補強導体層を介在
   させるとともに該補強導体層と発熱抵抗体及び個別電極
   との間に電気絶縁層を介在させたことを特徴とするサー
   マルヘッド。