JPH0938760A - ダイカスト成形装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 溶融金属材料の金型への供給部分で同材料の
酸化を防止するとともに、連続鋳造の高速化を実現す
る。 【解決手段】 材料供給ノズル４と金型５内の製品成形
部Ｐとを連通するための中空部を形成したスプールブッ
シュ１０が金型５に設けてある。このスプールブッシュ
１０の中空部内に絞り込み部１１を形成し、絞り込み部
１１より金型内部側の中空部内に不活性ガス供給孔１３
を設ける。これにより金型５を開いた後、同中空部内に
空気が侵入することを阻止する。さらに、絞り込み部１
１より材料供給ノズル４側の中空部周囲にコイルヒータ
１２を設け、同中空部内に残留する金属材料を加熱して
溶融状態としておく。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、溶融材料を金型
内に圧入して製品を成形するダイカスト成形装置に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】ダイカスト成形による製品の製造に際し
ては、図６に示すように、溶融炉１内で溶かしたアルミ
ニウム，亜鉛，マグネシウム等の溶融金属材料を、プラ
ンジャ２内で往復運動するピストン３の圧力によって材
料供給ノズル４へと圧送し、該ノズル４から金型５内に
圧入（射出）する。金型５は、固定型６および可動型７
で構成されている。材料供給ノズル４から圧入された溶
融金属材料は、図５に示すように、固定型６内に埋設し
たスプールブッシュ８と可動型７に設けた分流子９との
間に形成された中空部（スプール）Ｓを通り、可動型７
の製品成形部Ｐに供給される。製品成形部Ｐに溶融金属
材料を供給した後、材料供給ノズル４は固定型６から引
き離され、さらに製品成形部Ｐ内の金属材料が固まった
後、可動型７が固定型６から離間して製品の取り出しが
行なわれる。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】上述した従来のダイカ
スト成形装置では、固定型６から引き離された材料供給
ノズル４の先端開口部は、大気に触れることになるた
め、該先端開口部に滞留している溶融金属材料が酸化し
て固まってしまい、連続鋳造ができなくなるおそれがあ
った。特に、この現象はマグネシウムを金属材料とした
場合に顕著にあらわれる。この発明は上述した事情に鑑
みてなされたもので、溶融金属材料の金型への供給部分
で同材料の酸化を防止するとともに、連続鋳造の高速化
を実現することができるダイカスト成形装置の提供を目
的とする。

【０００４】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、この発明は固定型と可動型とからなりこれら各型の
接合面にランナーを含む製品成形部が形成された金型
と、溶融材料を供給する材料供給ノズルと、金型に設け
られ前記材料供給ノズルと金型内の製品成形部とを連通
するための中空部を形成したスプールブッシュとを備え
たダイカスト成形装置を、次のように構成したことを特
徴としている。

【０００５】すなわち、スプールブッシュの中空部に、
製品スプール部を切り離すための絞り込み部を形成する
とともに、少なくとも該絞り込み部より材料供給ノズル
側の中空部周囲に加熱手段を設け、かつ絞り込み部より
金型内部側の中空部内に不活性ガスを供給するための不
活性ガス供給手段を設けたものである。

【０００６】材料供給ノズルからスプールブッシュの中
空部を介して金型内に溶融金属材料を供給した後、金型
を冷却すると、製品成形部乃至中空部内の絞り込み部よ
り金型内部側に充填されていた金属材料が固まり、中空
部の付いた製品が製造される。一方、スプールブッシュ
の中空部内に形成した絞り込み部より材料供給ノズル側
では、加熱手段によって高温状態が維持されているの
で、該部分に滞留する金属材料は溶融状態のままでい
る。したがって、金型を開いたとき、金属材料は中空部
内の絞り込み部で分断され、製品成形部ないし中空部内
の絞り込み部より金型内部側に充填されていた金属材料
で形成した製品およびスプール部が金型から取り出され
る。

【０００７】ここで、材料供給ノズルはスプールブッシ
ュに連結したままにすると、大気と接触する可能性のあ
る溶融金属材料の面は、中空部の絞り込み部から露出す
る面である。そこで、この発明では不活性ガス供給手段
によって、絞り込み部より金型内部側の中空部内に不活
性ガスを供給することにより、同中空部内に空気が入り
込むのを阻止し、これによってスプールブッシュの中空
部内の絞り込み部から露出する溶融金属材料が空気と触
れないようにして酸化を防止している。これにより連続
鋳造を支障なく行なうことが可能となる。なお、材料供
給ノズルは、金型から離間させなくてよいため、連続鋳
造の高速化も実現することができる。

【０００８】さて、上記のダイカスト成形装置が、溶融
材料を製品成形部に導く導通路を有し、可動型の開閉に
伴いスプールブッシュの中空部に嵌脱自在な分流子を金
型に備えている場合には、上記不活性ガス供給手段を、
スプールブッシュの絞り込み部より金型内部側の中空部
に不活性ガス供給孔を開口させることにより構成すると
ともに、上記スプールブッシュの中空部に嵌合する分流
子によって不活性ガス供給孔を閉塞する構成とすれば、
簡易に上記発明の目的を達成することができる。

【０００９】また、分流子を金型に設けていないダイカ
スト成形装置にあっては、不活性ガス供給手段を、スプ
ールブッシュの絞り込み部より金型内部側の中空部に不
活性ガス供給孔を開口させることにより構成するととも
に、可動型の開閉に伴いスプールブッシュの絞り込み部
より金型内部側の中空部内壁に接離して上記不活性ガス
供給孔の開口部を開閉する開閉突起を金型に設けた構成
とすることにより、簡易に上記発明の目的を達成するこ
とができる。

【００１０】

【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態につ
いて図面を参照して詳細に説明する。図１および図２
は、この発明の第１の実施形態に係るダイカスト成形装
置における金型への金属材料供給部分を示す断面図であ
り、図１は溶融金属材料の供給時を示しており、図２は
金型を開き製品を取り出したときの状態を示している。
この実施形態に係るダイカスト成形装置の全体構造は、
図６に示した構造と変わるところがなく、溶融炉１内で
溶かしたアルミニウム，亜鉛，マグネシウム等の溶融金
属材料を、プランジャ２内で往復運動するピストン３の
圧力によって材料供給ノズル４へと圧送し、該ノズル４
から金型５内に圧入（射出）する全体構造となってい
る。

【００１１】金型５は固定型６および可動型７で構成さ
れており、これら固定型６と可動型７の接合面に、ラン
ナーＬを含む製品成形部Ｐが形成してある。また、固定
型６には筒状のスプールブッシュ１０が埋設してあり、
このスプールブッシュ１０の中空部がスプールＳとなっ
ている。周知のとおり、ダイカスト成形装置におけるス
プールＳは、材料供給ノズル４から圧入されてきた溶融
金属材料を、金型５内の製品成形部に導く材料導通路で
ある。したがって、このスプールＳの外側開口部に材料
供給ノズル４の先端が連結される。

【００１２】また、可動型７には分流子２０が設けてあ
り、固定型６と可動型７とが接合したとき、スプールブ
ッシュ１０の内壁に嵌合し、同ブッシュ１０との間にス
プールＳから連続するランナーＬを形成する。一般に、
複数個の製品成形部Ｐを形成する場合には、この分流子
２０の外周面に各製品成形部Ｐに連通する複数の溝（ラ
ンナーＬとなる）を形成し、スプールＳに圧入された溶
融金属材料を、該溝に分流して各製品成形部Ｐに供給す
る構造となっている。

【００１３】スプールブッシュ１０は、スプールＳの中
間部内壁に、径の小さくなった絞り込み部１１を形成し
てある。絞り込み部１１の内径は、スプールＳの寸法に
合わせて適宜設定すればよい。この絞り込み部１１は、
同部１１を境にして、金型内部側のスプールＳ1 内に残
存して固化する金属材料（製品スプール部を形成する）
と、材料供給ノズル４側のスプールＳ2 内に後述のごと
く溶融状態のままで残存する金属材料とを分断する機能
を有している。なお、絞り込み部１１の直径をあまり小
さくし過ぎると、溶融金属材料が滑らかに流動しなくな
るおそれがあるので、その点に留意する必要がある。

【００１４】絞り込み部１１より金型内部側のスプール
Ｓ2 の内面は、金型内部側（すなわち固定型６と可動型
７の接合面側）に向かって径を広くしてあり、固化した
製品スプール部を金型５から取り出し易くしてある。図
１に示すように、分流子２０は、この絞り込み部１１よ
り金型内部側のスプールＳ2 の内面に嵌合する。

【００１５】上述した絞り込み部１１より材料供給ノズ
ル４側の周囲には、加熱手段としてのコイルヒータ１２
が設けてある。このコイルヒータ１２は、固定型６にお
けるスプールブッシュ１０を埋設する孔６ａの周囲に形
成した収納空間６ｂ内に配設してある。勿論、収納空間
６ｂは、絞り込み部１１より材料供給ノズル４側の周囲
に形成してある。コイルヒータ１２は、図示しない電源
から供給される電力によって発熱し、絞り込み部１１よ
り材料供給ノズル４側のスプールＳ2 に充填された溶融
金属材料を加熱する。また、図には示していないが、コ
イルヒータ１２と固定型６との間には、断熱材を介在さ
せてあり、コイルヒータ１２の熱が固定型６に伝わるこ
とを抑制している。

【００１６】スプールブッシュ１０における絞り込み部
１１より金型内部側のスプールＳ2の内面、すなわち分
流子２０の嵌合面には、不活性ガス供給手段としての不
活性ガス供給孔１３が開口している。この不活性ガス供
給孔１３は、スプールブッシュ１０から固定型６内を経
て図示しない不活性ガス供給源に連通しており、同供給
源から送られてくる液化六フッ化硫黄（ＳＦ６）等の不
活性ガスを、開口１３ａからスプールＳ2 内に噴射す
る。これによって、可動型７が開いているとき（図２の
状態）、スプールＳ2 内は不活性ガスで充満して空気の
入り込みを阻止する。一方、不活性ガス供給孔１３の開
口１３ａは、可動型７が閉じているときは、分流子２０
によって閉塞された状態となる（図１の状態）。すなわ
ち、この実施形態では、分流子２０が、不活性ガス供給
孔１３の開閉手段となっている。

【００１７】次に、この実施形態に係るダイカスト成形
装置の作用を説明する。図１に示すように、固定型６に
対し可動型７を閉じると、分流子２０によって不活性ガ
ス供給孔１３が閉塞された状態となり、同孔１３の開口
１３ａからの不活性ガスの噴射が停止する。この実施形
態では、金型の開閉にかかわらず、材料供給ノズル４
は、常時スプールＳの外側開口部に連結しており、該材
料供給ノズル４からスプールＳ内に溶融金属材料が圧入
される。スプールＳに圧入された溶融金属材料は、ラン
ナーＬを通り製品成形部Ｐに充填される。

【００１８】製品成形部Ｐに充填された金属材料は、時
間の経過とともに固まり製品を形作る。同様に、ランナ
ーＬおよびスプールＳ2 に残存する金属材料も時間の経
過とともに固まっていく。一方、絞り込み部１１より材
料供給ノズル４側にあるスプールＳ2 に残存する金属材
料は、コイルヒータ１２で加熱され、溶融状態を維持す
る。図２に示すように、製品成形部Ｐ内の金属材料（ラ
ンナーＬ，スプールＳ2 に残存する金属材料を含む）が
固まった後、可動型７を開くと製品成形部Ｐで形成され
た製品Ａ1 に、ランナーＬ部分の金属材料Ａ2とスプー
ルＳ2 部分の金属材料Ａ3が一体となって取り出され
る。

【００１９】可動型７の開放とともに、分流子２０もス
プールブッシュ１０に対する嵌合状態を解除するので、
不活性ガス供給孔１３の開口１３ａが開き、不活性ガス
をスプールＳ2 内に噴射する。このようにしてスプール
Ｓ2 内は、不活性ガス供給孔１３から噴射された不活性
ガスが充満するので、空気の侵入が阻止され、その結
果、絞り込み部１１に露出するスプールＳ1 内の溶融金
属材料の酸化を有効に防止することができる。

【００２０】製品を取り出した後、再び可動型７を閉じ
ると分流子２０がスプールブッシュ１０に嵌合し、不活
性ガス供給孔１３を閉塞する（図１）。この状態で材料
供給ノズル４からスプールＳ内に溶融金属材料を圧入す
ると、スプールＳ1 内の溶融金属材料を先頭にして圧入
された溶融金属材料が、ランナーＬを経て製品成形部Ｐ
に充填され、製品の製造工程が繰り返される。

【００２１】図３および図４は、この発明の第２の実施
形態に係るダイカスト成形装置における金型への金属材
料供給部分を示す断面図であり、図１は溶融金属材料の
供給時を示しており、図２は金型を開き製品を取り出し
たときの状態を示している。なお、これらの図におい
て、先に示した図１および図２と同一部分または相当す
る部分には同一符号を付し、その部分の詳細な説明は省
略する。この実施形態は、分流子（図２の符号２０）を
備えていないダイカスト成形装置を対象としている。

【００２２】すなわち、先に説明した第１の実施形態に
おいては、分流子２０に不活性ガス供給孔１３を開閉す
る機能をもたせていたが、第２の実施形態に係るダイカ
スト成形装置おいては分流子を備えていないため、それ
に代わる不活性ガス供給孔１３の開閉手段を形成しなけ
ればならない。そこで、第２の実施形態では、スプール
ブッシュ１０の中空部に切欠き３０を形成するととも
に、可動型７にこの切欠き３０と係合する突起部３１を
設け、この突起部３１に不活性ガス供給孔１３を開閉す
る機能をもたせている。

【００２３】不活性ガス供給孔１３は、スプールブッシ
ュ１０の中空部における絞り込み部１１より金型内部側
に位置する切欠き３０の内壁に開口している。したがっ
て、可動型７が開いた状態のとき、スプールブッシュ１
０の中空部に形成したスプールＳ2 （絞り込み部１１よ
り金型内部側）に、不活性ガス供給孔１３の開口１３ａ
から不活性ガスが噴射される。これによって、スプール
Ｓ2 内が不活性ガスで充満し空気の侵入が阻止されるた
め、絞り込み部１１に露出する溶融金属材料の酸化を防
止することができる。一方、可動型７を閉じると突起部
３１が切欠き３０に係合し、不活性ガス供給孔１３の開
口１３ａを閉塞する。これによって、不活性ガスのスプ
ールＳ2 内への噴射が停止する。

【００２４】なお、この発明は上述した実施形態に限定
されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲で種々の変
形実施または応用実施が可能であることは勿論である。
例えば、スプールブッシュ１０の変形例として、絞り込
み部１１より金型内部側を断熱材料で、また材料供給ノ
ズル側を熱伝導材料で構成すれば、加熱手段の熱が材料
供給ノズル側のみに伝わるので、スプールＳ内の金属材
料に対し、絞り込み部１１を境として適切に金型内部側
を固化し、材料供給側を溶融状態にしておくことができ
る。

【００２５】また、不活性ガス供給手段としては、可動
型７を開いたとき、固定型６の接合面側からスプールブ
ッシュ１０の中空部に向けて不活性ガスの噴射ノズルを
配置し、該噴射ノズルからスプールブッシュ１０の中空
部内に不活性ガスを噴射させる構成であってもよい。も
っとも、このような構成の場合、噴射ノズルの移動機構
および噴射制御回路が必要となり、設備コストが高価格
となることは否めない。

【００２６】

【発明の効果】以上説明したように、この発明のダイカ
スト成形装置によれば、スプールブッシュの中空部内に
不活性ガス供給手段から不活性ガスを供給することによ
り、同中空部内にへの空気の侵入を阻止するので、溶融
金属材料の金型への供給部分で同材料の酸化を防止する
とともに、連続鋳造の高速化を実現することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の第１の実施形態に係るダイカスト成
形装置における金型への金属材料供給部分を示す断面図
であり、溶融金属材料の供給時を示している。金型を開
き製品を取り出したときの状態を示している。

【図２】同じく金型を開き製品を取り出したときの状態
を示す断面図である。

【図３】この発明の第２の実施形態に係るダイカスト成
形装置における金型への金属材料供給部分を示す断面図
であり、溶融金属材料の供給時を示している。金型を開
き製品を取り出したときの状態を示している。

【図４】同じく金型を開き製品を取り出したときの状態
を示す断面図である。

【図５】従来のダイカスト成形装置における金型への金
属材料供給部分を示す断面図である。

【図６】従来のダイカスト成形装置の全体構造を模式的
に示す断面構成図である。

【符号の説明】

４：材料供給ノズル ５：金型 ６：固定型 ７：可動型 １０：スプールブッシュ １１：絞り込み部 １２：コイルヒータ １３：不活性ガス供給孔 ２０：分流子 ３０：切欠き ３１：突起部

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 固定型と可動型とからなりこれら各型の
   接合面にランナーを含む製品成形部が形成された金型
   と、溶融材料を供給する材料供給ノズルと、前記金型に
   設けられ前記材料供給ノズルと前記金型内の製品成形部
   とを連通するための中空部を形成したスプールブッシュ
   と、を備えたダイカスト成形装置において、 前記スプールブッシュの中空部に、製品スプール部を切
   り離すための絞り込み部を形成するとともに、 少なくとも前記絞り込み部より材料供給ノズル側の中空
   部周囲に加熱手段を設け、かつ前記絞り込み部より金型
   内部側の中空部内に不活性ガスを供給するための不活性
   ガス供給手段を設けたことを特徴とするダイカスト成形
   装置。
2. 【請求項２】 溶融材料を前記製品成形部に導く導通路
   を有し、前記可動型の開閉に伴い前記スプールブッシュ
   の中空部に嵌脱自在な分流子を金型に備えた請求項１記
   載のダイカスト成形装置において、 前記不活性ガス供給手段が、前記スプールブッシュの絞
   り込み部より金型内部側の中空部に開口する不活性ガス
   供給孔であって、 前記スプールブッシュの中空部に嵌合する前記分流子に
   よって前記不活性ガス供給孔を閉塞することを特徴とす
   るダイカスト成形装置。
3. 【請求項３】 請求項１記載のダイカスト成形装置にお
   いて、 前記不活性ガス供給手段が、前記スプールブッシュの絞
   り込み部より金型内部側の中空部に開口する不活性ガス
   供給孔であって、 前記可動型の開閉に伴い前記スプールブッシュの絞り込
   み部より金型内部側の中空部内壁に接離して前記不活性
   ガス供給孔の開口部を開閉する開閉突起を、前記金型に
   設けたことを特徴とするダイカスト成形装置。