JP4356123B2 - 鋳造用中子ピン - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、鋳造用金型内に配されて鋳造品の内周部分や孔部分等を成形するための鋳造用中子ピンに関するものであり、特に、このような鋳造用中子ピンの保温構造に係るものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より金型を用いて鋳造を実施する場合、溶湯の充填後に金型の必要部位を冷却して溶湯を凝固させ、鋳物を成形している。その際、金型内の温度分布特性により鋳物の内部品質は大きく左右される。金型内の温度分布を人為的に操作する従来技術として、特開平1−237065号公報に掲載されたものがある。これは、金型を冷却する冷却水回路を複数回路に分画し、各冷却水回路に冷却水を循環させるタイミングをずらすことで、金型内の所定部位での冷却速度を操作し、温度分布を人為的に操作することを実現している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
金型部品の一つである中子ピンにおいては、鋳物の品質特性上中子ピン全体の温度を冷却により低く保つ必要がある。しかし、中子ピンのある特定部分は、鋳物の望むべき凝固進行上、保温が必要となる部分が生じるという場合が数多く発生する。つまり、中子ピンにおいても、望むべき温度分布がある。ところが、上記従来技術の方法を適用して中子ピンの温度分布を人為的に操作しようとした場合、中子ピンの狭い領域内で冷却水回路を複数に分画しなければならず、冷却水回路の構成に多大な工数と費用が発生するという問題が生じる。
【0004】
また、中子ピンの保温が必要な部位のみに熱伝導率の小さい材質からなる塗型層を形成して断熱することも考えられるが、この方法では非常にコストがかかる上に、塗型層の摩滅による保温効果の低減が起こるという問題がある。
【0005】
故に、本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、鋳造用中子ピンにおいて、簡単且つ安価な構成で所望の領域の保温が長時間可能であり、中子ピンの温度分布を操作可能にすることを技術的課題とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記技術的課題を解決するためになされた請求項1の発明は、内部に冷却水通路が形成された鋳造用中子ピンにおいて、前記鋳造用中子ピンの外周面は部分的に保温が必要な保温面を持ち、該保温面と前記冷却水通路との間には、内部に冷却通路が形成されるとともに外周面に周方向凹部が形成されたピン本体と、前記周方向凹部に接合されて前記周方向凹部を覆う被覆部材とを具備し、前記周方向凹部と前記被覆部材とで画成される空間で断熱空間が形成されていることを特徴とする鋳造用中子ピンとすることである。
【0007】
上記請求項1の発明によれば、内部に冷却水通路が形成された鋳造用中子ピンの外周面は部分的に保温が必要な保温面を持ち、この保温面と冷却水通路との間には内部に冷却通路が形成されるとともに外周面に周方向凹部が形成されたピン本体と、前記周方向凹部に接合されて前記周方向凹部を覆う被覆部材とを具備し、前記周方向凹部と前記被覆部材とで画成される空間で断熱空間が形成されている。空気の熱伝導率は非常に小さいので、保温面から冷却水通路を流れる冷却水への熱伝達は断熱空間の空気によって遮断され、保温面での保温が達成される。
【0008】
このように、請求項1の発明によれば、保温面と冷却水通路との間に断熱空間を形成するという簡単且つ安価な構成で所望の領域の保温が可能であり、中子ピンの温度分布を操作可能とすることができるものである。
【0009】
また、上記技術的課題を解決するにあたり、請求項2の発明のように、内部に冷却水通路が形成された鋳造用中子ピンにおいて、前記鋳造用中子ピンの外周面は部分的に保温が必要な保温面を持ち、前記鋳造用中子ピンは、内部に冷却通路が形成されるとともに外周面に凹部が形成されたピン本体と、前記凹部に接合されて該凹部を覆う被覆部材とを具備し、前記凹部と前記被覆部材とで画成される空間で前記断熱空間が形成しても良い。
【0013】
上記請求項3の発明によれば、鋳造用中子ピンは、基本的には、内部に冷却通路が形成されるとともに外周面に凹部が形成されたピン本体で構成される。このピン本体には、その外周面に凹部が形成されている。また、凹部には、該凹部を覆う被覆部材が接合されている。そして、凹部と被覆部材とで画成される空間で断熱空間を構成している。
【0014】
このように、請求項3の発明では、従来から使用している中子ピンに凹部を形成して、この凹部を被覆部材で覆い、凹部と被覆部材とで画成される空間で断熱空間を構成できるので、従来から使用している中子ピンも、これを改造するだけで本発明を実現することができる。
また、請求項4の発明では、鋳造用中子ピンは、内部に軸方向凹部と周方向溝が形成されたアウターピンと、内部に冷却通路が形成されるとともに軸方向凹部内に挿入されたインナーピンとを具備し、周方向溝の在る位置にてアウターピンの外周面は部分的に保温が必要な保温面を持ち、周方向溝の内周面とインナーピンの外周面との間には断熱空間が形成されていると良い。
この他、請求項5の発明のように、内部に冷却水通路が形成された鋳造用中子ピンにおいて、前記鋳造用中子ピンの外周面は部分的に保温が必要な保温面を持ち、鋳造用中子ピンは、内部に冷却通路が形成されるとともに外周面に凹部が形成されたピン本体と、凹部に接合されて凹部を覆う被覆部材とを具備し、凹部と被覆部材とで画成される空間で断熱空間を構成すると良い。
【0015】
凹部と被覆部材との接合は、溶射、溶接、ろう付けなどの各種接合方法によって接合することが可能である。特に、レーザー溶接により接合すると、接合性が良好となる。
【0016】
また、この場合、ピン本体と被覆部材とは同一材質であることが好ましい。同一材質であると、両者の熱膨張係数が同一となるため両者に加えられる熱応力が極小に抑えられ、ひいては鋳造用中子ピンの長寿命化が促進される。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0018】
(実施形態例1)
図1は、本例にかかる鋳造用中子ピンを使用した鋳造装置の全体概略断面図、図2は鋳造用中子ピンの断面図である。
【0019】
図1において、鋳造装置100は、上型1及び下型2を備える。上型1は、その上部に配置した上型ダイベース3に、下型2は、その下部に配置した下型ダイベース4にそれぞれ固定され支持されている。また、上型ダイベース3は、型駆動機構11によって矢印Aで示す上下方向に往復動可能とされている。従って、型駆動機構11が駆動することにより、上型ダイベース3及び上型1が下型2に対して相対的に上下動する。
【0020】
上型1及び下型2の合わせ面には、それぞれキャビティー面が形成されており、図に示す型締め状態において両キャビティー面で鋳造成形品の外周側の輪郭が規定される。
【0021】
また、図に示す型締め状態において、上型1と下型2とのキャビティー面間に中子ピン5が配置される。この中子ピン5は、その外周面で鋳造成形品の内周側の輪郭を規定するものである。従って、上型1及び下型2の両キャビティー面及び中子ピンの外周面で画成された空間がキャビティー空間16となり、このキャビティー空間16に溶湯が注型されて、中空の鋳造成形品が成形できる。
【0022】
中子ピン5は、その後端5aから前端5bに向かうにつれて径が小さくされており、後端5aには移動入子6が連結されている。移動入子6は、中子ピン駆動手段12により矢印Bで示す前後方向に移動可能とされている。
【0023】
上型1にはその上面からキャビティー空間16にかけて押出し孔1a、1bが形成されている。また、下型2にはその下面からキャビティー空間16にかけて押出し孔2a、2bが形成されている。押出し孔1a、1bには、押出しプレート7a、に支持された上側押出しピン8a、8b、がそれぞれ挿入されている。同様に、押出し孔2a、2bには、押出しプレート7bに支持された下側押出しピン8c、8dが挿入されている。押出しプレート7aには上側押出しピン駆動機構13が連結されており、この上側押出しピン駆動機構13が駆動することによって、上側押出しピン8a、8b及び押出しプレート7aが矢印Aで示す上下方向に移動する。同様に、押出しプレート7bには下側押出しピン駆動機構14が連結されており、この下側押出しピン駆動機構14が駆動することによって、下側押出しピン8c、8d及び押出しプレート7bが矢印Aで示す上下方向に移動する。
【0024】
下型2の図示左面には、ホッパー9が取り付けられている。ホッパー9は、鋳造の原料となるアルミニウム等の溶湯を受ける容器であり、該ホッパー9に連結された傾倒手段15が駆動することによって湯口9aを中心として矢印Cで示す方向に傾倒するようになっている。
【0025】
また、上型1及び下型2には湯道10が形成されている。この湯道10は、その一端がキャビティー空間16に連通するとともに、その他端がホッパー9の湯口に連通している。
【0026】
上記構成において、まず、型開き状態にて中子ピン駆動手段12を駆動させて中子ピン5を図示左方に前進させ、キャビティー空間16内に配置させる。次に、型駆動手段11を駆動させて型締めを行い、上型1と下型2のキャビティー面及び中子ピンの外周面でキャビティー空間16を画成する。次いで、傾倒手段15を駆動させてホッパー9を傾倒させる。すると、ホッパー9内の溶湯が湯口9aから湯道10に流れ、さらに湯道10を通ってキャビティー空間16内に充填される。充填完了後、所定時間冷却し、その後型駆動手段11を駆動させて型開きを行う。このとき、上側押出しピン駆動手段13は駆動停止しており、上型2の上昇動作に対して上側押出しピン8a、8bは上昇しないので、キャビティー空間16内で成形された鋳造成形品は該押出しピン8a、8bに押し付けられ、下型2上に留まる。次に、型開きが完了したら、上側押出しピン駆動手段13を駆動させて上側押出しピン8a、8bを上動させるとともに、中子ピン駆動手段12を駆動させて中子ピン5を図示右方向に後退させ、該中子ピン5を鋳造成形品から引き抜く。次いで、下側押出しピン駆動手段14を駆動させて下側押出しピン8c、8dを上昇させる。これにより、鋳造成形品が下型2から押出されて離型し、成形品が取出される。
【0027】
次に、本例において使用する中子ピンについて、図2を用いて説明する。
【0028】
本例において使用する中子ピン5は、図に示すように、アウターピン21とインナーピン22との2ピンで形成されている。アウターピン21の外周面211は、上記説明した図1における中子ピン5の外周面を形成する面であり、その基端部211aから先端部211bにかけて径が小さくなるようにテーパーがつけてある。また、アウターピン21の内部には、軸方向にわたって径がほぼ一定の円柱状の軸方向凹部212が形成されており、該軸方向凹部212の側周面がアウターピンの内周面212aとされる。尚、アウターピン21の外周面211において、図示範囲Cで示す部分は、鋳造時に保温が必要な保温面である。そして、この保温面に対応するアウターピン内周面212aには、凹部としての周方向溝213が形成されている。従って、保温面Cに対応するアウターピン21の内周面部分は、周方向溝213の底面213aとなる。
【0029】
インナーピン22は、根元部221及び先端部222とよりなる。根元部221は、図に示すようにアウターピン21の左側に配置されている。先端部222は、その外径がアウターピン21に形成された軸方向凹部212の径にほぼ等しくなるように設計されており、根元部221の図示左端部から延在して軸方向凹部212内に挿入され、その先端面は軸方向凹部212の底部に当接している。また、図より明らかなように、周方向溝213の底面213aはインナーピン22の先端部222の外周面222aと離間されており、この部分で間隙空間Dを形成している。
【0030】
インナーピン22の内部には、根元部221から先端部222にかけて軸方向に円筒状の有底凹部223が形成されている。この有底凹部223は、インナーピン22の先端部222内部に形成された小径部223aと、根元部221内部に形成され小径部223aよりも大径の大径部223bとよりなる。尚、この有底凹部223は、後述するように冷却水が流動する冷却通路としての機能を果たす。
【0031】
有底凹部223内には冷却ノズル23が配設されている。冷却ノズル23は、基部231及びノズル部232とよりなる。基部231は、有底凹部223の大径部223b内に配設されている。ノズル部232は、基部231の図示左端面に連結されて有底凹部223の小径部223aに延在しており、該有底凹部223の底面付近まで形成されている。
【0032】
また、インナーピン22の根元部221には、冷却水導入通路241及び冷却水排出通路242が形成されている。両通路241及び242は、共に根元部221の外周面から有底凹部223の大径部223bに開口しているが、このうちの冷却水導入通路241は冷却ノズル23の基部231が配設されている部分に開口するように形成され、冷却水排出通路は基部231が配設されていない大径部231b内の空間に開口するように形成されている。また、基部231内には、冷却水導入通路241の内周面開口部に対応する外周部分から、図示左端面のノズル部232が連結している部分にかけて連絡通路243が形成されている。
【0033】
上記構成において、中子ピン5を冷却するための冷却水は、冷却水導入通路241から導入される。冷却水は、冷却水導入通路241、連絡通路243、ノズル部232のノズル内空間を経て該ノズル部232の先端部分から冷却通路である有底凹部223の底部に向かって噴出される。そして、冷却水は、該有底凹部223の底面からノズル部232の外側空間を流れる。このとき、溶湯が充填されるアウターピン21の外側からの熱は、ノズル部232の外側空間を流れる冷却水に受け渡され、冷却が行われる。熱を受け取った冷却水は、その後冷却水排出通路242から排出されていく。
【0034】
ところで、中子ピン5においても、金型と同じようにある特定部分、例えば図2の範囲Cで示す保温面のように、鋳物の望むべき凝固進行上保温が必要となる部分が生じる。この場合、保温面C以外の部分は、図に示すようにアウターピン21とインナーピン22とが直接接触しているので、アウターピン21の外側に充填される溶湯の熱はアウターピン21、インナーピン22を経て冷却通路を流れる冷却水に受け渡される。ところが、保温面Cの内面側には周方向溝213が形成され、周方向溝213の底面213aはインナーピン22の先端部222外周と離間されており、この部分で間隙空間Dを形成している。このため間隙空間Dが断熱空間として作用し、アウターピン21からインナーピン22への熱の伝達が遮断される。このように間隙空間Dが断熱空間として作用するので、アウターピン21の保温面Cに伝達された熱が間隙空間Dに蓄積され、間隙空間Dを経てインナーピン22に伝達される熱量が極力小さく抑えられる。従って、この部分で冷却水に受け渡される熱量も極力小さく抑えられ、保温面Cでの保温が達成されるものである。
【0035】
図3に、本例における中子ピンと従来の中子ピン(保温面に塗型層を形成したもの)との、保温効果を比較したグラフを示す。尚、図3のグラフにおいて、縦軸は、鋳造する鋳物の該当部位における冷却速度(℃/sec.)、該当部位としては、保温面以外の部位で凝固する鋳物の部位(グラフA)、従来の中子ピンの保温面に当接する部位で凝固する鋳物の部位(グラフB)、本例における中子ピンの保温面に当接する部位で凝固する鋳物の部位(グラフC)とした。また、また、鋳物合金としては、JISAC4C合金を用い、730℃に溶解したものを注湯、凝固させた。冷却速度は、該当部位の鋳造組織の形態により推定した。
【0036】
図3より、従来の中子ピンでは、保温面における鋳物冷却速度が8.0℃/sec.であり、一方本例における中子ピンでは、保温面における鋳物冷却速度は6.0℃/sec.である。尚、保温面以外の部位の鋳物冷却速度は12.0℃/sec.である。このように、本例における中子ピンは、従来の中子ピンよりも25%保温性が向上し、また非保温部位の半分の冷却速度を維持できることがわかる。
【0037】
以上のように、本例によれば、内部に冷却水通路としての有底凹部223が形成された鋳造用中子ピン5において、鋳造用中子ピン5の外周面を構成するアウターピン外周面211は部分的に保温が必要な保温面Cを持ち、該保温面Cと有底凹部223との間には断熱空間としての間隙空間Dが形成されているので、保温面Cから有底凹部223を流れる冷却水への熱伝達は間隙空間Dの存在によって遮断され、保温面Cでの保温が達成される。従って、保温面Cと冷却水通路としての有底凹部223との間に間隙空間Dを形成するという簡単且つ安価な構成で所望の領域の保温が可能であり、中子ピンの温度分布を操作可能とすることができるものである。
【0038】
また、鋳造用中子ピン5を、内部に軸方向凹部212が形成されたアウターピン21と、内部に冷却通路としての有底凹部223が形成されるとともに軸方向凹部212内に挿入された先端部222を有するインナーピン22とを具備した2ピン構成とし、アウターピン21の外周面211は部分的に保温が必要な保温面Cを持ち、該保温面Cに対応するアウターピン21の内周面である周方向溝213の底部213aとインナーピン22の先端部222の外周面との間には断熱空間としての間隙空間Dが形成された構造とした。このように、アウターピン21とインナーピン21の2つの構造部材の機械的な結合によって断熱空間としての間隙空間Dを構成するため、従来のように保温面に塗型層を形成したものよりも、長時間にわたって保温効果が一層安定するものである。
【0039】
また、本例によれば、アウターピンの内周面に周方向溝213を形成することにより間隙空間Dを構成している。間隙空間Dは、インナーピン側に凹部を形成しても、またはアウターピンとインナーピンの対面部分にぞれぞれ凹部を形成しても構成することができるが、本例のようにアウターピンの内周面に凹部としての周方向溝213を形成するようにすれば、保温面Cの部分に該当するアウターピンの熱容量がより低減でき、保温効果がより向上するものである。
【0040】
(第2実施形態例)
次に、本発明の第2実施形態例について、図4、図5に基づいて説明する。尚、本例で説明する中子ピンを使用した鋳造装置の全体構成は、上記第1実施形態例で説明した図1に示すものと同一であるので、その説明は省略し、本例では中子ピンの構造のみについて説明する。
【0041】
図4は、本例における中子ピン5の断面図である。中子ピン5は、図に示すように、ピン本体31及び該ピン本体31の図示左端に連結配置される根元部32からなる。ピン本体31の外周面311は、中子ピン5の外周面を形成する面であり、その基端部311aから先端部311bにかけて径が小さくなるようにテーパーがつけてある。また、ピン本体31の内部には、軸方向に円筒状の有底凹部312が形成されている。この有底凹部312は、後述するように冷却水が流動する冷却通路としての機能を果たす。
【0042】
また、ピン本体31の外周面311において、図示範囲Cで示す部分は、鋳造時に保温が必要な保温面である。この保温面Cに該当する外周面311の部分には周方向溝313が形成されている。そして、周方向溝313には被覆部材35が接合されている。
【0043】
被覆部材の断面図を図5に示す。図5からわかるように、被覆部材35は、中空の円錐台形形状であり、側周面を形成する被覆部351、被覆部351の一端(図示右端)から内方に延在したフランジ状の第1接合部352、被覆部351の他端(図示左端)から内方に延在したフランジ状の第2接合部353からなる。第1接合部352の外径は、ピン本体31に形成された周方向溝313の図示左側面の外径と等しくされ、第2接合部353の外径は、周方向溝313の図示右側面の外径と等しくされている。また、被覆部351の軸方向長さは、周方向溝313の幅と同じになるように設計される。従って、この被覆部材35は、ピン本体31に形成された周方向溝にぴったりと嵌まり込み、嵌まり込んだ後は、ピン31の外周面311と面一となる。このとき、図3に示すように、周方向溝313と被覆部材35との間に空間Eが形成される。
【0044】
尚、被覆部材35をピン本体31に嵌め込む際には、該被覆部材35を2つに分割して半円形状とし、この2つの半円形状の被覆部材を周方向溝313に両側から嵌め込む。そして、それぞれの被覆部材とピン本体31との当接部分及び、両被覆部材どうしの当接部分を溶接等の接合手段で接合し、この接合部分をならしてピン本体31の外周面311と面一にする。
【0045】
根元部32は外周及び内周を持つ円筒状に形成されており、その一端面は前述のようにピン本体31の図示左端面に連結配置されている。また、根元部32の内周空間はピン本体31に形成された有底凹部312に連通しているとともに、その内径は有底凹部312の径よりも大きくされている。
【0046】
有底凹部312及び根元部32の内周空間内には冷却ノズル33が配設されている。冷却ノズル33は、基部331及びノズル部332とよりなる。基部331は、根元部32の内周空間内に配設されている。ノズル部332は、基部331の図示左端面から左方に延在し、有底凹部312の底面付近まで形成されている。
【0047】
根元部32には、冷却水導入通路341及び冷却水排出通路342が形成されている。両通路341及び342は、共に根元部32の外周面から内周面に開口しているが、このうちの冷却水導入通路341は冷却ノズル33の基部331が配設されている部分に開口するように形成され、冷却水排出通路342は基部331が配設されていない内周空間に開口するように形成されている。また、基部331内には、冷却水導入通路341の内周面開口部に対応する外周部分から図示左端面のノズル部332が連結している部分にかけて連絡通路343が形成されている。
【0048】
上記構成において、中子ピン5を冷却するための冷却水は、冷却水導入通路341から導入される。冷却水は、冷却水導入通路341、連絡通路343、ノズル部332のノズル内空間を経て該ノズル部332の先端部分から冷却通路である有底凹部312の底部に向かって噴出される。そして、冷却水は、該有底凹部312の底面からノズル部332の外側空間を流れる。このとき、溶湯が充填されるピン本体31の外側からの熱は、ノズル部332の外側空間を流れる冷却水に受け渡され、冷却が行われる。熱を受け取った冷却水は、その後冷却水排出通路342から排出されていくものである。
【0049】
ところで、本例における中子ピン5においても、上記第1実施形態例と同じようにある特定部分、例えば図3の範囲Cで示す保温面のように、鋳物の望むべき凝固進行上保温が必要となる部分生じる。この場合、保温面C以外の部分では、ピン本体31の外側に充填される溶湯の熱がピン本体31から直接有底凹部312を流れる冷却水に受け渡される。一方、保温面Cの部分では、ピン本体31の外側に充填される溶湯の熱は、まず被覆部材35に伝達される。しかし、被覆部材35の内面側には、被覆部材35と該被覆部材35が嵌め込まれた周方向溝313とで画成される空間Eが形成されているので、この空間Eが断熱空間として作用し、被覆部材35からピン本体31への熱の伝達が遮断される。このように空間Eが断熱空間として作用するので、被覆部材35に伝達された熱が空間Eに蓄積され、間隙Eを経てピン本体31に伝達される熱量が極力小さく抑えられる。このため、この部分で冷却水に受け渡される熱量も極力小さく抑えられ、保温面Cでの保温が達成されるものである。
【0050】
このように、本例によれば、内部に冷却水通路としての有底凹部312が形成された鋳造用中子ピン5において、鋳造用中子ピン5の外周面を構成するピン本体31は部分的に保温が必要な保温面Cを持ち、該保温面Cと有底凹部223との間には断熱空間としての空間Eが形成されているので、保温面Cから有底凹部312を流れる冷却水への熱伝達は空間Eの存在によって遮断され、保温面Cでの保温が達成される。このため、保温面Cと冷却水通路としての有底凹部312との間に空間Eを形成するという簡単且つ安価な構成で所望の領域の保温が可能であり、中子ピンの温度分布を操作可能とすることができるものである。
【0051】
また、鋳造用中子ピン5は、内部に冷却通路としての有底凹部312が形成されるとともに外周面に凹部としての周方向溝313が形成されたピン本体31と、周方向溝313に接合されて該周方向溝313を覆う被覆部材35とを具備し、周方向溝313と被覆部材35とで画成される空間で断熱空間としての空間Eを構成している。このため、従来から使用している中子ピンに周方向溝を形成して、この周方向溝を被覆部材で覆い、周方向溝と被覆部材とで画成される空間で断熱空間を構成でき、従来から使用している中子ピンも、これを改造するだけで本発明を実現することができる。
【0052】
また、本例において、ピン本体31と被覆部材35とは同一材質(SKD61;熱間ダイス鋼)とした。本例のように両者を同一材質とした場合、両者の熱膨張係数が同一であるので、鋳造時に加えられる熱によって発生する熱応力が極小に抑えられ、鋳造用中子ピンの長寿命化を促進することができる。
【0053】
【発明の効果】
本発明によれば、鋳造用中子ピンにおいて、簡単且つ安価な構成で所望の領域の保温が長時間可能であり、中子ピンの温度分布を操作可能にすることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態例及び第2実施形態例における、鋳造用中子ピンを使用した鋳造装置の全体概略断面図である。
【図2】本発明の第1実施形態例における、鋳造用中子ピンの断面図である。
【図3】本発明の第1実施形態例における中子ピンと従来の中子ピン(保温面に塗型層を形成したもの)との、保温効果を比較したグラフである。
【図4】本発明の第2実施形態例における、鋳造用中子ピンの断面図である。
【図5】本発明の第2実施形態例における、被覆部材の拡大断面図である。
【符号の説明】
5・・・中子ピン(鋳造用中子ピン)
21・・・アウターピン、 211・・・外周面
212・・・軸方向凹部、 212a・・・内周面
213・・・周方向溝、 213a・・・底面(内周面)
22・・・インナーピン、 221・・・根元部、 222・・・先端部、 222a・・・外周面
31・・・ピン本体、 311・・・外周面
223・・・有底凹部(冷却通路)
312・・・有底凹部(冷却通路)
313・・・周方向凹部(凹部)
35・・・被覆部材
C・・・保温面
D・・・間隙空間(断熱空間)
E・・・空間(断熱空間)
Claims (2)
- 内部に冷却水通路が形成された鋳造用中子ピンにおいて、
前記鋳造用中子ピンの外周面は部分的に保温が必要な保温面を持ち、
該保温面と前記冷却水通路との間には、内部に冷却通路が形成されるとともに外周面に周方向凹部が形成されたピン本体と、
前記周方向凹部に接合されて前記周方向凹部を覆う被覆部材とを具備し、
前記周方向凹部と前記被覆部材とで画成される空間で断熱空間が形成されていることを特徴とする鋳造用中子ピン。 - 内部に冷却水通路が形成された鋳造用中子ピンにおいて、
前記鋳造用中子ピンの外周面は部分的に保温が必要な保温面を持ち、
前記鋳造用中子ピンは、内部に冷却通路が形成されるとともに外周面に凹部が形成されたピン本体と、
前記凹部に接合されて該凹部を覆う被覆部材とを具備し、
前記凹部と前記被覆部材とで画成される空間で前記断熱空間を構成することを特徴とする鋳造用中子ピン。
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