JP2001239354A - マグネシウム合金のダイカスト方法およびその方法の実施に用いられるマグネシウム合金の射出機構並びに射出成形装置 - Google Patents

マグネシウム合金のダイカスト方法およびその方法の実施に用いられるマグネシウム合金の射出機構並びに射出成形装置

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JP2001239354A
JP2001239354A JP2000053443A JP2000053443A JP2001239354A JP 2001239354 A JP2001239354 A JP 2001239354A JP 2000053443 A JP2000053443 A JP 2000053443A JP 2000053443 A JP2000053443 A JP 2000053443A JP 2001239354 A JP2001239354 A JP 2001239354A
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molten metal
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magnesium alloy
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Seiju Nagakura
正受 長倉
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Toyo Koki Co Ltd
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TOYO KOKI KK
Toyo Koki Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 溶湯の空気との接触に起因する種々の問題を
解消する。 【解決手段】 金型装置1と、この金型装置1の型穴1
0へマグネシウム合金の溶湯を射出して成形を行う射出
機構2と、前記型穴10に対して排気処理を行うための
排気装置4とから成る。射出機構2は、固形のマグネシ
ウム合金を溶解する溶解炉20と、プランジャ30を動
作させて溶湯を金型装置1の型穴10へ射出するシリン
ダ3とを有する。溶解炉20は、溶解炉20からシリン
ダ3へ溶湯が重力により流入するように、シリンダ3と
連通可能である。溶湯をシリンダ3へ導入するに先立
ち、排気装置4により型穴10に対して排気処理を行っ
て、型穴10および型穴10に連通するシリンダ3の内
部を排気する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、マグネシウム合金の
溶湯を型穴へ射出して成形加工するマグネシウム合金の
ダイカスト方法と、その方法の実施に用いられるマグネ
シウム合金の射出機構並びに射出成形装置とに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、プラスチックの代替物として、最
も軽量な金属であるマグネシウム合金が脚光を浴びてい
る。マグネシウム合金を鋼と対比したとき、例えば曲げ
比強度は鋼の8.3倍、曲げ比剛性は鋼の18.13倍
であり、優れた機械的性質を有する。また、プラスチッ
クと対比すると、リサイクル性、電磁シールド性、耐熱
性、放熱性、比強度、比剛性のいずれについても、マグ
ネシウム合金はプラスチックを凌駕し、触感や視感につ
いてもプラスチックより高級感がある。しかも、マグネ
シウムは海水中に0.1%程度含まれる他、マグネサイ
ト、ドロマイト鉱石に含まれており、無尽蔵の資源であ
る。
【0003】他の材料との比較においてマグネシウム合
金が劣っている点は、耐食性と加工性との2点である。
耐食性については、材料組成や表面処理の研究が進んだ
結果、例えば欧米でマグネシウム合金が自動車部品に使
用されるなどして、問題の解消がはかられている。従っ
て、現状では、マグネシウム合金の最大の問題点は難加
工性にある。
【0004】マグネシウム合金の加工は、主としてダイ
カストによるが、マグネシウム合金は高温下で酸素と激
しく反応するために、加工途中で材料が高温になる場合
には、空気との接触を極力避ける必要がある。また、マ
グネシウム合金は単位体積当たりの熱容量が小さいた
め、凝固が早く、金型装置の型穴への溶湯の注入を高速
で行う必要がある。
【0005】従来のマグネシウム合金のダイカスト方法
は、材料を溶解する工程、溶湯を保持する工程、溶湯を
型穴内へ射出する工程、型穴内で溶湯を冷却固化する工
程より成るもので、この種のダイカスト方法には、溶湯
を保持する手段と型穴へ溶湯を射出する手段とを一体に
備えるホットチャンバー方式と、両手段が個別に切り離
されているコールドチャンバー方式とがある。
【0006】図3は、ホットチャンバー方式の概略構成
を示すもので、同図中、100は固定型101と可動型
102とから成る金型装置、103は溶解鍋に満たされ
た溶湯、104は溶湯103中に浸漬された射出用のシ
リンダである。溶湯103の表面は溶湯の酸化を抑える
ため、アルゴンなどの不活性ガスで覆われなければなら
ない。このホットチャンバー方式によれば、溶湯103
の酸化が抑えられるので、酸化物の巻込みは少ないが、
シリンダ104のプランジャ105が動作して溶湯10
3を押し出したとき、その溶湯103は流れの方向を変
えつつグースネック部106やノズル部107を通過す
る構造をもつため、溶湯流路の剛性に問題がある。従っ
て、金型装置100に対する溶湯103の射出圧や射出
速度をコールドチャンバー方式と比較して低く抑えなけ
ればならない。以上のことから、ホットチャンバー方式
は、高い射出圧力と射出速度を必要とする肉厚が薄い広
い投影面積をもつ部品を加工することには不向きであ
る。
【0007】図4は、コールドチャンバー方式の概略構
成を示すもので、同図中、110は固定型111と可動
型112とから成る金型装置、113は固定型111に
連設された射出用のシリンダである。このコールドチャ
ンバー方式では、構造上、溶湯115の射出圧や射出速
度を高めることができるが、図示しない溶解鍋からシリ
ンダ113へ溶湯115をメタルポンプなどを用いて移
送するため、その移送時に溶湯が空気に接触し、その結
果、溶湯中に酸化物が発生したり、溶湯の温度が低下し
たりするおそれがある。
【0008】この発明は、マグネシウムの溶湯が空気に
接触する機会を減少させることにより、マグネシウムの
溶湯の空気との接触に起因する種々の問題を解決し、さ
らに高速、高圧の射出を可能にするマグネシウム合金の
ダイカスト方法およびその方法の実施に用いられるマグ
ネシウム合金の射出機構並びに射出成形装置を提供する
ことを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、マグ
ネシウム合金の溶湯を溶解炉からシリンダへ導入した
後、プランジャを動作させて前記シリンダから金型装置
の型穴へ溶湯を射出するマグネシウム合金のダイカスト
方法であって、溶湯をシリンダへ導入するに先立ち、型
穴に対して排気処理を行って、型穴および型穴に連通す
るシリンダの内部を排気することにより、溶解炉からシ
リンダへの溶湯の導入時およびシリンダから型穴への溶
湯の射出時に、溶湯の空気との接触を断つようにしたも
のである。
【0010】請求項2の発明は、請求項1の発明のダイ
カスト方法の実施に用いられるマグネシウム合金の射出
機構であって、固形のマグネシウム合金を溶解する溶解
炉と、プランジャを動作させてマグネシウム合金の溶湯
を金型装置の型穴へ射出するシリンダとを一体に備えた
ものである。前記溶解炉の下端には溶湯の排出口が設け
られるとともに、前記排出口には、開閉可能な扉が配置
されている。前記扉の開放により溶解炉の排出口よりシ
リンダの内部へ溶湯が重力により流入するように、溶解
炉の下方にシリンダを連通させている。
【0011】請求項3の発明は、請求項1の発明のダイ
カスト方法の実施に用いられる射出成形装置であって、
金型装置と、固形のマグネシウム合金を溶解する溶解炉
と、プランジャを動作させてマグネシウム合金の溶湯を
前記金型装置の型穴へ射出するシリンダと、前記型穴に
対して排気処理を行って型穴および型穴に連通するシリ
ンダの内部を排気する排気装置とから成るもので、前記
溶解炉からシリンダへの溶湯の流入が可能なように、溶
解炉とシリンダとを連通させている。
【0012】
【作用】マグネシウムの溶湯をシリンダへ導入するに先
立ち、型穴および型穴に連通するシリンダの内部を排気
するので、溶解炉からシリンダへ溶湯を導入する際およ
びシリンダから型穴へ溶湯を射出する際、溶湯が空気と
接触するのが断たれる。
【0013】請求項2の射出機構によれば、固形のマグ
ネシウム合金が溶解炉で溶解されると、そのマグネシウ
ム合金の溶湯は、溶解炉の下方に連通するシリンダの内
部へ重力により流入する。その後、プランジャが動作し
て溶湯が金型装置の型穴内へ射出されて成形加工が行わ
れる。
【0014】請求項3の射出成形装置によれば、固形の
マグネシウム合金が溶解炉で溶解されると、シリンダが
溶解炉と連通するので、溶解炉より溶湯がシリンダへ流
入する。その後、プランジャが動作して溶湯を金型装置
の型穴へ射出して成形加工を行う。型穴に対して排気装
置が排気処理を行って型穴および型穴に連通するシリン
ダの内部を排気するので、溶解炉からシリンダへ溶湯を
導入する際やシリンダから型穴へ溶湯を射出する際、溶
湯が空気と接触する機会が減少する。
【0015】
【実施例】図1は、この発明の一実施例である射出成形
装置の構成を示すもので、金型装置1と、この金型装置
1の型穴10へマグネシウム合金の溶湯を射出して成形
加工を行う射出機構2と、前記型穴10に対して排気処
理を行う排気装置4とを備える。
【0016】前記金型装置1は、固定型11と可動型1
2とから成る。固定型11と可動型12との間に型穴1
0が形成される。固定型11には型穴10に連通する連
結孔13が形成してあり、この連結孔13に射出機構2
のシリンダ3の先端部が嵌挿される。可動型12には型
穴10に連通するピン挿入孔14が複数箇所設けてあ
る。各ピン挿入孔14にエジェクタピン15が挿入され
ている。なお、図1において、16は型穴10内へ突出
させるコアであり、成形品の溝部分を成形するためのも
のである。
【0017】前記射出機構2は、塊状または粒状のマグ
ネシウム合金(以下、「マグネシウム固形物」とい
う。)を溶解して溶湯を得るための溶解炉20と、プラ
ンジャ30を動作させて溶湯を金型装置1の型穴10へ
射出するシリンダ3とを一体に備える。
【0018】前記溶解炉20は、二重壁構造であり、外
周壁20aと内周壁20bとの間には誘導加熱コイル2
1が設けてある。溶解炉20の上端および下端は開口
し、上端の開口はマグネシウム固形物を投入するための
投入口22を構成する。また、下端の開口は溶湯を重力
によりシリンダ3の内部へ流出させるための排出口23
を構成する。溶解炉20はシリンダ3の真上に位置し、
溶解炉20とシリンダ3とは排出口23を介して互いに
連通する。前記投入口22には起伏動作により開閉する
扉24が、また前記排出口23にはスライド動作により
開閉する扉25が、それぞれ配備されている。
【0019】前記シリンダ3は、先端の開口が金型装置
1の型穴10に連通している。シリンダ3の内部には、
図示しない駆動源に連繋されたプランジャ30が往復動
可能に配備されている。プランジャ3が後退した状態の
とき、溶解炉20の扉25を開放してシリンダ3の内部
に溶湯を導入することが可能な状態となる。プランジャ
30を前進動作させると、シリンダ3の内部に導入され
た溶湯が押し出されて型穴10へ注入される。
【0020】シリンダ3の内部は金型装置1の型穴10
と連通するので、型穴10に対して排気装置4による排
気処理を行うと、型穴10とシリンダ3の内部とが同時
に排気される。その後に溶解炉20からシリンダ3への
溶湯の流入やシリンダ3から型穴10への溶湯の注入が
行われたとき、溶湯の空気への接触を防止できる。な
お、排気装置4としては、真空ポンプと、真空ポンプが
発生する負圧を蓄積する真空タンクとを有する公知のも
のが用いられ、真空タンクより負圧を金型装置1の型穴
10に供給するようにして排気処理を行う。
【0021】図2(1)〜(7)は、上記した射出成形
装置による成形動作を示す。図2(1)では、前工程の
射出が終了し、金型装置1の型穴10に注入された溶湯
50の冷却を開始している。このときシリンダ3のプラ
ンジャ30は前進した位置にあり、溶解炉20の排出口
23の扉25は開いた状態にある。
【0022】図2(2)では、溶解炉20の投入口22
の扉24が開かれかつ排出口23の扉25が閉じられた
後、投入口22より溶解炉20の内部へマグネシウム固
形物5が供給されている。供給されるマグネシウム固形
物5は、常温または固形を保持できる温度範囲で加熱さ
れている。
【0023】図2(3)では、溶解炉20の投入口22
の扉24が閉じられ、誘導加熱コイル21が通電される
ことにより、マグネシウム固形物5に対する誘導加熱が
開始される。
【0024】図2(4)では、前記冷却工程が終了し、
プランジャ30を前進させて成形品51を押しながら可
動型12を開き、型穴10よりコア16を抜く。
【0025】図2(5)では、プランジャ30が後退
し、エジェクタピン15が突き出て成形品51を型穴1
0より脱出させる。その後、成形品51が取り出され
る。
【0026】図2(6)では、可動型12を閉じ、コア
16およびエジェクタピン15を元の位置に戻して次の
射出処理に待機する。この待機状態で排気装置4が作動
し、型穴10に対する排気処理が開始される。その後、
プランジャ30が後退動作を開始するが、排気装置4に
よる排気処理は、少なくともプランジャ30が図2
(7)に示す射出準備位置に戻るまで継続させる。この
排気処理により型穴10および型穴10に連通するシリ
ンダ3の内部が排気される。なお、排気処理は、望まし
くは、溶湯50を溶解炉20からシリンダ3へ導入した
後も継続させ、さらに望ましくは、型穴10への溶湯5
0の射出が終了するまで継続させる。
【0027】図2(7)は、溶解炉20の排出口23の
扉25が開いて溶湯50が溶解炉20からシリンダ3内
へ重力により流入させた状態を示す。シリンダ3内への
溶湯50の導入が完了すると、プランジャ30が前進動
作し、溶湯50は金型装置1の型穴10に注入されて成
形工程に入る。
【0028】
【発明の効果】この発明は上記の如く、溶湯をシリンダ
へ導入するに先立ち、型穴に対して排気処理を行って、
型穴および型穴に連通するシリンダの内部を排気するこ
とにより、溶解炉からシリンダへの溶湯の導入時および
シリンダから型穴への溶湯の射出時に、溶湯の空気との
接触を断つようにしたから、溶湯の空気との接触に起因
する種々の問題を解消できる。従来のホットチャンバー
方式では、溶湯の空気との接触を断つことができるが、
高圧、高速の射出を行うことは困難である。従来のコー
ルドチャンバー方式では、高圧、高速の射出を行うこと
は容易であるが、溶湯の空気との接触を断つことが困難
である。この発明によれば、溶湯の空気との接触を断つ
ことができると同時に、ホットチャンバー方式に見られ
るグースネック部のような構造を必要としないため、高
圧、高速の射出を行うことも容易である。
【0029】請求項2の発明では、溶解炉の下端に溶湯
の排出口を設け、この排出口に開閉可能な扉を配置し
て、扉の開放により溶解炉の排出口よりシリンダの内部
へ溶湯が重力により流入するように、溶解炉の下方にシ
リンダを連通させたから、溶湯の移送距離が短くて済
み、溶湯の温度低下を防止できるとともに、溶湯が空気
と接触する機会を減少できる。
【0030】請求項3の発明では、金型装置と、固形の
マグネシウム合金を溶解する溶解炉と、プランジャを動
作させてマグネシウム合金の溶湯を前記金型装置の型穴
へ射出するシリンダと、前記型穴に対して排気処理を行
って型穴および型穴に連通するシリンダの内部を排気す
る排気装置とで射出成形装置を構成し、前記溶解炉から
シリンダへの溶湯の流入が可能なように、溶解炉とシリ
ンダとを連通させたから、溶湯が空気と接触する機会を
減少させることができ、溶湯の空気との接触に起因する
種々の問題に対処し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例である射出成形装置の概略
構成を示す断面である。
【図2】この発明のダイカスト方法の手順を示す断面図
である。
【図3】従来例の概略構成を示す断面図である。
【図4】従来例の概略構成を示す断面図である。
【符号の説明】
1 金型装置 2 射出機構 3 シリンダ 4 排気装置 10 型穴 20 溶解炉 23 排出口 25 扉 30 プランジャ

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 マグネシウム合金の溶湯を溶解炉からシ
    リンダへ導入した後、プランジャを動作させて前記シリ
    ンダから金型装置の型穴へ溶湯を射出するマグネシウム
    合金のダイカスト方法であって、 溶湯をシリンダへ導入するに先立ち、型穴に対して排気
    処理を行って、型穴および型穴に連通するシリンダの内
    部を排気することにより、溶解炉からシリンダへの溶湯
    の導入時およびシリンダから型穴への溶湯の射出時に、
    溶湯の空気との接触を断つようにしたマグネシウム合金
    のダイカスト方法。
  2. 【請求項2】 固形のマグネシウム合金を溶解する溶解
    炉と、プランジャを動作させてマグネシウム合金の溶湯
    を金型装置の型穴へ射出するシリンダとを一体に備え、
    前記溶解炉の下端には溶湯の排出口が設けられるととも
    に、前記排出口には、開閉可能な扉が配置されており、
    前記扉の開放により溶解炉の排出口よりシリンダの内部
    へ溶湯が重力により流入するように、溶解炉の下方にシ
    リンダを連通させて成るマグネシウム合金の射出機構。
  3. 【請求項3】 金型装置と、固形のマグネシウム合金を
    溶解する溶解炉と、プランジャを動作させてマグネシウ
    ム合金の溶湯を前記金型装置の型穴へ射出するシリンダ
    と、前記型穴に対して排気処理を行って型穴および型穴
    に連通するシリンダの内部を排気する排気装置とから成
    り、前記溶解炉からシリンダへの溶湯の流入が可能なよ
    うに、溶解炉とシリンダとを連通させて成る射出成形装
    置。
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