JPH09327498A - 医療用容器 - Google Patents

医療用容器

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JPH09327498A JP8151438A JP15143896A JPH09327498A JP H09327498 A JPH09327498 A JP H09327498A JP 8151438 A JP8151438 A JP 8151438A JP 15143896 A JP15143896 A JP 15143896A JP H09327498 A JPH09327498 A JP H09327498A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】2つ以上の液剤を混合する腹膜透析液、静注用
輸液剤、液状栄養剤において、各液剤を確実に、しかも
容易な操作で無菌的に混合できる医療用容器を提供す
る。 【解決手段】医療用容器1において、分室11及び分室
12には、液剤15及び液剤16が充填されており、分
室11または分室12を押圧することにより、最初に仕
切り手段4が解除され、液剤15及び液剤16が混合
し、さらに強く押圧することにより閉塞手段3が解除さ
れ、混合液は排出管5から排出される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、2つ以上の成分を
混合して患者に投与するための医療用容器に関する。特
に、腹膜透析液、静注用輸液剤、液状栄養剤などのよう
に2つ以上の液剤を用事混合して患者に投与するための
医療用容器に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より使用されている腹膜透析液は、
ブドウ糖の分解・着色を防ぐために薬液のpHが5.0
〜6.0の範囲になるように処方されているが、この生
理的に逸脱したpHが腹膜の機能低下に関係しているこ
とが知られて以来、生体適合性の高い腹膜透析液として
重炭酸を配合してpHを中性にする腹膜透析液の開発が
行われている。腹膜透析液のpHは配合されているブド
ウ糖の安定性に大きな影響を与えており、現在の市販さ
れている製品のpHをそのまま中性にすると製造時(高
圧蒸気滅菌などの熱滅菌時)あるいは保管時にブドウ糖
が分解して薬液の着色がみられ、製品価値が著しく低下
してしまうことになる。
【0003】そこで、ブドウ糖の分解・着色を抑制した
ままpHを高くする方法として、ブドウ糖を含む成分
と、pHの高い重炭酸を含む成分を使用時まで別々に収
容し、使用直前に無菌的に混合する用事混合タイプの腹
膜透析液の開発が行われている。また、輸液剤や液状栄
養剤などで、還元糖やアミノ酸のように反応しやすい成
分や、ビタミン等の薬液のpHに大きく影響を受ける成
分が配合されている場合にも、複数の液を使用直前に混
合して投与するタイプの薬剤が多数開発されている。
【0004】また、腹膜透析液に限らず、静注用輸液剤
や経腸栄養剤などにおいても、同様に製造時(高圧蒸気
滅菌などの熱滅菌時)あるいは保管時の成分の安定性等
の問題から2種類以上の液剤を用事混合する薬剤が幾つ
か開発されている。
【0005】これらの薬剤は、混合操作を含めて投与さ
れるまで無菌的に取り扱われることが必要であることか
ら、その容器には別々に収容されている各成分が無菌的
に混合できるような工夫がなされており、例えば、特開
平6−105905号のような剥離可能な隔壁を有する
容器や、特公平7−41071号のように連通部材を有
する容器が提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うに2つ以上の液剤を混合して患者に投与する場合、各
成分を収容している容器の形態によっては、誤った操作
により混合する前の一成分のみを投与してしまう可能性
がある。詳細に述べると、これらの容器は閉鎖系にする
ことにより無菌性を保証し、簡容な操作で各成分間を連
通させることを特徴としているため、混合する前の状態
においても一方の内容物の取り出しが容易であり、誤投
与の防止については全く配慮されていないものである。
そこで本発明の課題は、2つ以上の液剤を混合して使用
するような薬剤、例えば腹膜透析液、静注用輸液剤、経
腸栄養剤について、混合前の成分がそのまま投与されて
しまうことがない医療用器具を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題は以下の本発明
により解決される。 (1) 熱可塑性樹脂製フィルムからなる袋体に、異な
る成分の液剤が収容される複数の分室と、前記複数の分
室の一つに連通して前記異なる成分の液剤の混合液剤を
排出する排出口が形成された医療用容器において、前記
複数の分室は仕切り手段により液密に仕切られ、かつ前
記排出口と前記排出口に連通する分室の間は閉鎖手段に
より液密に閉鎖されており、これらの仕切り手段および
閉鎖手段は前記袋体の外面の少なくとも一部を押圧して
生じる内圧によって解除され、かつ、前記閉塞手段は、
前記仕切り手段を解除させる内圧と同等またはそれ以上
の内圧で解除されることを特徴とする医療用容器であ
る。
【0008】この時、仕切り手段および閉鎖手段は特に
限定する必要はなく、熱可塑性樹脂製フィルムからなる
袋体の内面同志を加熱、押圧して形成された熱シール
や、袋体の外面から挟むクリップなどが挙げられる。ま
た、閉鎖手段に関しては排出口(管)を薄膜で覆うなど
の手段も挙げられる。
【0009】また、分室の数は特に限定されず、2室も
しくはそれ以上であってもよい。分室が3室以上ある場
合、その分室数より1つ少ない数の仕切り手段を設け
る。そして、分室のいずれか1つ、好ましくは排出口か
ら遠い分室を押圧することにより仕切り手段を同時もし
くは連鎖的に解除させ、最後に更に押圧することにより
閉鎖手段を解除させる。
【0010】(2) 仕切り手段および閉鎖手段が、熱
可塑性樹脂製フィルムからなる袋体の内面同志を加熱、
押圧して形成された熱シールであることを特徴とする上
記(1)に記載の医療用容器である。
【0011】(3) 熱可塑性樹脂製フィルムからなる
袋体に、異なる成分の液剤が別々に収容される2つの分
室と、前記2つの分室の一方に連通して前記異なる成分
の液剤の混合液剤を排出する排出口が形成された医療用
容器において、前記2つの分室は仕切り手段により液密
に仕切られ、かつ前記排出口と前記排出口に連通する分
室の間は閉鎖手段により液密に閉鎖されており、前記仕
切り手段および前記閉鎖手段は、前記熱可塑性樹脂製フ
ィルムからなる袋体の内面同志を加熱、押圧して形成さ
れた熱シールであり、かつ、前記閉鎖手段の熱シール
は、前記仕切り手段の熱シールと同等またはそれ以上の
強度で接着されており、前記2つの分室のいずれか一方
を外面より押圧して前記仕切り手段に内圧Aを加えるこ
とにより仕切り手段の熱シールが剥離され、さらに前記
袋体を外面より押圧して前記閉鎖手段に前記内圧Aと同
等またはそれ以上の圧力の内圧Bをかけることにより閉
鎖手段の熱シールが剥離されることを特徴とする医療用
容器である。つまり、閉塞手段の熱シール強度を仕切り
手段の熱シール強度と同等もしくはそれ以上とすること
を特徴とする。
【0012】本発明において熱可塑性樹脂としては、特
に限定する必要はなく、ポリエチレン、ポリプロピレ
ン、ポリ塩化ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、
ポリアミド、ポリビニリデンクロライド、ポリビニルフ
ルオライド、ポリトリフルオルクロルエチレン、ポリエ
チレンテレフタレート、ポリエステル、ポリオレフィン
系樹脂およびこれらの混合物や積層体が挙げられる。本
発明の医療用容器は衛生面、安全面を考慮して製造後、
高圧蒸気滅菌等の熱滅菌や、高周波滅菌などの滅菌処理
をすることが好ましいため、それらに耐えられる材質が
良い。
【0013】本発明において仕切り手段および閉鎖手段
の強度の実測値は、通常の人が平面上にのせて上から手
の平で押圧して解除できる範囲であれば特に限定されな
い。例を挙げると、仕切り手段を10〜100g/cm2
好ましくは20〜60g/cm2の内圧を加えることにより
解除されるよう設定し、閉鎖手段は設定した仕切り手段
の強度と同等、もしくは10〜70g/cm2、好ましくは
20〜60g/cm2高い内圧を加えることにより解除され
るよう設定する。
【0014】本発明により、腹膜透析液、静注用輸液剤
や液状栄養剤(経口・経腸栄養剤)などで複数の液剤を
用事混合する場合、混合された液のみを確実に排出する
ことができる。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明の医療用器具について、以
下2つの例を示し説明するが、何らこれらに限定される
ものではない。本発明の医療用容器の一例を図1及び図
2を参照しながら説明する。図1は本発明の医療用容器
1の正面図であり、図2は、図1のI−I′線矢視断面図
である。医療用容器1は、一端を熱シール部9、他端を
熱シール部10により内部を無菌状態で密封した袋体2
から構成されている。さらに熱シールにより形成された
仕切り手段4により、分室11、分室12が構成され、
分室11の熱シール部9の近くに熱シールにより形成さ
れた閉塞手段3が設けられている。この際、閉塞手段3
と熱シール部9との間14は無菌状態であり、また分室
11の容量のロスを避けるため狭い程良い。場合によっ
ては閉塞手段3と熱シール部9との間14には、混合液
剤が通る回路をプライミングするために生理食塩水など
の薬理的に不活性な液体を入れておいても良い。分室1
1には液剤15、分室12には液剤16が無菌状態で封
入されている。
【0016】この時、閉塞手段3は仕切り手段4と同等
もしくはそれ以上の強度の熱シールが施されている。具
体的には、閉鎖手段は仕切り手段にかかる圧力(内圧
A)と同等またはそれ以上の圧力(内圧B)をかけて解
除される。つまり、閉塞手段の熱シール強度を仕切り手
段の熱シール強度と同等もしくはそれ以上とする。熱シ
ール強度の調整は、特に限定しないが熱シール部分の幅
や深さなどにより調整することができる。本発明におい
て、内圧は閉鎖手段もしくは仕切り手段にかかる圧力で
あるので、袋体または分室の外面を押圧する圧力と一致
するとは限らない。
【0017】また、一端には熱シール部9に挟まれるよ
うにして排出管5が設けられ、他端には熱シール部10
に挟まれるようにして排出管5より細径の注入管7が設
けられ、各々栓体6、栓体8によって封止されている。
場合によっては注入管7は設けなくても良い。また、必
要により吊り下げるための穴13が設けられる。
【0018】次に、医療用容器1の使用方法について説
明する。使用方法1として閉塞手段3が仕切り手段4以
上の強度の熱シールを施されている場合、まず、分室1
2の外面を手で押圧することにより、それにより生じる
分室12内の内圧によって仕切り手段4の熱シールを剥
離させ、液剤15と液剤16を混ぜ合わせる。更に強い
力で押圧し、閉塞手段3に仕切り手段4より強い内圧を
かけて閉塞手段3の熱シールを剥離させる。その後、栓
体6より瓶針等(図示しない)を差し込み混合液を排出
させる。
【0019】使用方法2として閉塞手段3が仕切り手段
4と同等の強度の熱シールを施されている場合、分室1
1の外面を手で押圧することにより、それにより生じる
分室11内の内圧によって閉塞手段3と仕切り手段4の
熱シールを同時に剥離させ、更に同時に液剤15と液剤
16を混ぜ合わせることができる。その後、栓体6より
瓶針等(図示しない)を刺し込み混合液を排出させる。
【0020】なお、特に上述した2つの使用方法に限定
されず、瓶針等は閉塞手段および仕切り手段を解除する
前に、予め栓体6に刺し込んでおいても良い。また、吊
り下げるための穴13を介して吊り下げることにより効
率よく排出作業が可能となる。
【0021】液剤15、液剤16およびこれらの混合液
としては、特に限定しないが、一方の液を重炭酸イオン
等を配合した塩基性溶液、他方の液をグルコース、アミ
ノ酸、ペプチド、有機酸等を配合した酸性溶液とし、混
合して重炭酸入り中性腹膜透析液や、一方の液をグルコ
ース等の糖類を配合した溶液、他方の液をアミノ酸等の
窒素源を配合した溶液とし、または一方の液を水溶性ビ
タミン類を配合した溶液、薬液Bが油溶性ビタミン類を
配合した溶液とし、混合して静注用輸液剤や液状栄養剤
等が挙げられる。
【0022】医療用容器1は、以下の方法により作製さ
れる。液剤15と液剤16が充填されておらず、閉塞手
段3が形成されていない以外は医療用容器1と同一の構
造の容器の排出管5および注入管7から各々液剤15と
液剤16を無菌的に充填してから、排出管5が上方にな
るように容器を立てて固定し、閉塞手段3を形成させ
る。また、注入管7を設けずに、排出管5が上方になる
ように容器を立てて固定し、排出管5より液剤16を無
菌的に充填して仕切り手段4を形成させ、次に排出管5
より液剤15を無菌的に充填して閉塞手段3を形成させ
る。なお、これらの方法に限定する必要はない。
【0023】医療用容器1における閉塞手段3と仕切り
手段4の熱シールの形成方法としては、特に限定され
ず、通常使用されている熱シールバー等を用いて行うこ
とができる。また、高圧蒸気滅菌等の熱滅菌時に閉塞手
段3と仕切り手段4の部位にブロッキングを生じさせる
方法を用いても良い。
【0024】
【発明の効果】本発明の医療用器具は、2つ以上の液剤
を混合して使用するような薬剤、例えば腹膜透析液、静
注用輸液剤、液状栄養剤について、1つの液剤のみを排
出することなく、また容易な操作で無菌的にそれぞれの
成分を混合して排出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の医療用容器の一例の正面図である。
【図2】図1のI−I′線矢視断面図である。
【符号の説明】
1・・・医療用容器 2・・・袋体 3・・・閉塞手段 4・・・仕切り手段 5・・・排出管 6・・・栓体 7・・・注入管 8・・・栓体 9、10・・・熱シール部 11、12・・・分室 13・・・吊り下げるための穴 14・・・閉塞手段3と熱シール部9との間 15、16・・・液剤

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】熱可塑性樹脂製フィルムからなる袋体に、
    異なる成分の液剤が収容される複数の分室と、前記複数
    の分室の一つに連通して前記異なる成分の液剤の混合液
    剤を排出する排出口が形成された医療用容器において、 前記複数の分室は仕切り手段により液密に仕切られ、か
    つ前記排出口と前記排出口に連通する分室の間は閉鎖手
    段により液密に閉鎖されており、これらの仕切り手段お
    よび閉鎖手段は前記袋体の外面の少なくとも一部を押圧
    して生じる内圧によって解除され、 かつ、前記閉塞手段は、前記仕切り手段を解除させる内
    圧と同等またはそれ以上の内圧で解除されることを特徴
    とする医療用容器。
  2. 【請求項2】仕切り手段および閉鎖手段が、熱可塑性樹
    脂製フィルムからなる袋体の内面同志を加熱、押圧して
    形成された熱シールであることを特徴とする請求項1に
    記載の医療用容器。
  3. 【請求項3】熱可塑性樹脂製フィルムからなる袋体に、
    異なる成分の液剤が別々に収容される2つの分室と、前
    記2つの分室の一方に連通して前記異なる成分の液剤の
    混合液剤を排出する排出口が形成された医療用容器にお
    いて、 前記2つの分室は仕切り手段により液密に仕切られ、か
    つ前記排出口と前記排出口に連通する分室の間は閉鎖手
    段により液密に閉鎖されており、 前記仕切り手段および前記閉鎖手段は、前記熱可塑性樹
    脂製フィルムからなる袋体の内面同志を加熱、押圧して
    形成された熱シールであり、かつ、前記閉鎖手段の熱シ
    ールは、前記仕切り手段の熱シールと同等またはそれ以
    上の強度で接着されており、 前記2つの分室のいずれか一方を外面より押圧して前記
    仕切り手段に内圧Aを加えることにより仕切り手段の熱
    シールが剥離され、さらに前記袋体を外面より押圧して
    前記閉鎖手段に前記内圧Aと同等またはそれ以上の圧力
    の内圧Bをかけることにより閉鎖手段の熱シールが剥離
    されることを特徴とする医療用容器。
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