JPH09326302A - Ptc材料組成物及びptc材料 - Google Patents

Ptc材料組成物及びptc材料

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JPH09326302A
JPH09326302A JP8141595A JP14159596A JPH09326302A JP H09326302 A JPH09326302 A JP H09326302A JP 8141595 A JP8141595 A JP 8141595A JP 14159596 A JP14159596 A JP 14159596A JP H09326302 A JPH09326302 A JP H09326302A
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和晴 加藤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 室温抵抗率が低く、抵抗変化点の温度が高
く、抵抗変化率が大きく、かつ安定なPTC材料及びそ
の組成物を得る。 【解決手段】 本発明のPTC材料組成物は、500℃
以下の結晶化温度の結晶化ガラスの粉末に導電性材料粉
末を含有する構成とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、正の抵抗温度特
性(以下、PTC特性と略す)を有するPTC材料及び
その組成物に関するもので、このPTC材料は大電力の
電流制御、保護回路として機器を過大電流から保護する
ために用いられる。
【0002】
【従来の技術】電流制御、保護回路に用いたPTC材料
からなる抵抗素子(PTC素子)は、過大電流が通電さ
れたときに、ジュール熱による自己発熱によって温度が
上昇して素子抵抗が大きくなり、過大電流を絞る働きを
有する。
【0003】PTC素子に用いられる材料として最も一
般的なものは、BaTiO3にLa、Ce、Srあるい
はPbなどの酸化物をドープして半導体化したセラミッ
クスが知られている。微量の酸化物をドープしたBaT
iO3系半導体は、キューリー点以下においては、粒界
の強誘電性のために結晶粒界のショットキー障壁が低く
なっているが、キューリー点以上では、誘電率が低下す
るために結晶粒界のショットキー障壁が高くなり抵抗が
急上昇するものと考えられている。
【0004】BaTiO3あるいはBaTiO3系組成物
からなるPTC材料を使用した種々の製品が知られてお
り、例えば、特開昭60−32282号公報には、PT
Cの抵抗変化幅の大きなセラミックヒータを得るため
に、BaTiO3と半導体化のための成分とからなるガ
ラス粉末を有機バインダと混合し、結晶析出温度以下で
加熱処理する製造方法が提案されている。
【0005】しかし、上記公報に記載されているBaT
iO3系のPTC材料は、抵抗値が急激に増加するキュ
ーリー点が、通常100〜120℃の低温域に存在す
る。また、BaTiO3系PCT材料は、ドープする酸
化物の種類と添加量によってキューリー温度をコントロ
ールすることができ、例えば、Pb(鉛)酸化物を添加
することによって高温側にシフトさせることが試みられ
ているが、約300〜400℃が限界になっている。ま
た、大電力を得るためには室温近辺における抵抗率がで
きるだけ小さい方が好ましいが、100〜101Ω・cm
程度が限界であった。
【0006】BaTiO3系のPCT材料は、キューリ
ー温度が高く、かつ室温抵抗率が十分低いものが得られ
ないため、高温域あるいは大電力における使用が困難
で、形状も限られるという欠点があった。
【0007】上記のようなBaTiO3系のPCT材料
の欠点を解消したものとして、例えばBaPbO3にP
bO、B23、ZnOを主成分とするソルダーガラスを
重量比で5〜30%含有したPTC材料が、特開昭60
−59702号公報に記載されている。このPTC材料
は、室温抵抗率の値が10-4〜10-1Ω・cmと低く、
キューリー温度が約750℃と高温域にある。しかし、
添加するソルダーガラスの影響で室温抵抗率が著しく変
動したり、製造工程中における高温の焼成のためにPb
Oが飛散して組成変動を生じるという問題があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記のよう
な従来の問題を解決し、室温抵抗率が低く、抵抗率変化
点の温度が高く、抵抗変化率が大きな、安定なPCT材
料を得るものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る発明は、
結晶化温度が500℃以下の結晶化ガラスの粉末と、導
電性材料粉末とを含有したPTC材料組成物である。
【0010】請求項2に係る発明は、請求項1記載のP
TC材料組成物において、結晶化ガラスがV(バナジウ
ム)、Zn(亜鉛)及びB(ボロン)の酸化物を主成分
とするものである。
【0011】請求項3に係る発明は、請求項1記載のP
TC材料組成物において、導電性材料粉末が、金属粉末
からなるものである。
【0012】請求項4に係る発明は、請求項3記載のP
TC材料組成物において、結晶化ガラスの粉末と金属粉
末との合計100重量部に対して、金属粉末の含有量が
20〜40重量%であるものである。
【0013】請求項5に係る発明は、請求項1記載のP
TC材料組成物において、導電性材料粉末が、導電性カ
ーボン粉末からなるものである。
【0014】請求項6に係る発明は、請求項5記載のP
TC材料組成物において、結晶化ガラスの粉末と導電性
カーボン粉末との合計100重量部に対して、導電性カ
ーボン粉末の含有量が5〜20重量部であるものであ
る。
【0015】請求項7に係る発明は、請求項3記載のP
TC材料組成物において、低融点ガラスの粉末を含有す
るものである。
【0016】請求項8に係る発明は、請求項7記載のP
TC材料組成物において、結晶化ガラスの粉末と低融点
ガラスの粉末と金属粉末との合計100重量部に対し
て、結晶化ガラスの粉末の含有量が30〜60重量部、
低融点ガラスの粉末の含有量が10〜40重量部、金属
粉末の含有量が20〜50重量部のものである。
【0017】請求項9に係る発明は、結晶化温度が50
0℃以下の結晶化ガラスの粉末と、導電性材料粉末とを
含有したPTC材料組成物を成形した成形物を焼成して
なるPTC材料である。
【0018】請求項10に係る発明は、請求項9記載の
PTC材料において、結晶化ガラスの粉末が、V(バナ
ジウム)、Zn(亜鉛)及びB(ボロン)の酸化物を主
成分とするものである。
【0019】請求項11に係る発明は、請求項9記載の
PTC材料において、導電性材料粉末が、金属粉末から
なるものである。
【0020】請求項12に係る発明は、請求項11記載
のPTC材料において、結晶化ガラスの粉末と金属粉末
との合計100重量部に対して、金属粉末の含有量が2
0〜40重量部であるものである。
【0021】請求項13に係る発明は、請求項9記載の
PTC材料において、導電性材料粉末が、導電性カーボ
ン粉末からなるものである。
【0022】請求項14に係る発明は、請求項13記載
のPTC材料において、結晶化ガラスの粉末と導電性カ
ーボン粉末との合計100重量部に対して、導電性カー
ボン粉末の含有量が5〜20重量部であるものである。
【0023】請求項15に係る発明は、請求項11記載
のPTC材料において、PTC材料組成物が、低融点ガ
ラスの粉末を含有するものである。
【0024】請求項16に係る発明は、請求項15記載
のPTC材料において、結晶化ガラスの粉末と低融点ガ
ラスの粉末と金属粉末との合計100重量部に対して、
結晶化ガラスの粉末の含有量が30〜60重量部、低融
点ガラスの粉末の含有量が10〜40重量部、金属粉末
の含有量が20〜50重量部であるものである。
【0025】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態を示
す。本発明のPTC材料組成物は、結晶化温度が500
℃以下の結晶化ガラスの粉末と、導電性材料の粉末とを
含有する。
【0026】結晶化ガラスの粉末は、V(バナジウ
ム)、Zn(亜鉛)およびB(ボロン)の酸化物(V2
5、ZnO及びB23)を主成分とするものである。
【0027】上記結晶化ガラスの粉末と、導電性材料の
粉末とを含有するPTC材料組成物を成形し、焼成する
ことによって、室温抵抗率が低く、抵抗率変化点の温度
が高く、抵抗変化率が大きな、安定なPCT材料が得ら
れる。
【0028】上記導電性材料粉末として、金属粉末ある
いは導電性カーボン粉末で構成することができる。
【0029】金属粉末あるいは導電性カーボン粉末の含
有量は、多すぎる場合は抵抗変化率が小さくなり、PT
C特性における高抵抗率を保持できなくり、少なすぎる
場合は、室温抵抗率が著しく大きくなる。従って、全体
100重量部に対して、金属粉末の含有量は20〜40
重量部、好ましくは25〜35重量部とし、導電性カー
ボン粉末の場合の含有量は5〜20重量部とする。
【0030】また、本発明のPTC材料組成物は、結晶
化ガラスの粉末と、金属粉末とを含むものに、さらに低
融点ガラスの粉末を含有することによって、成形・焼成
後のPTC材料のPTC抵抗変化率をさらに大きくでき
る。
【0031】結晶化ガラスの粉末、低融点ガラスの粉末
及び金属粉末それぞれの含有量は、PTC特性の改善に
対して適正な範囲がある。すなわち、低融点ガラスの粉
末の含有量は、少なすぎるとPTC特性に対する改善効
果が得られず、多すぎると室温抵抗率が著しく増大し、
抵抗変化率が小さくなったり、温度上昇にともなって抵
抗が低下するNTC(Negative Temmpe
rature Coefficiennt)が発生し、
また、金属粉末の含有量は、多すぎる場合は抵抗変化率
が小さくなり、PTC特性における高抵抗率を保持でき
なくり、少なすぎる場合は、室温抵抗率が著しく大きく
なる。種々検討した結果、結晶化ガラスの粉末と低融点
ガラスの粉末と金属粉末との合計100重量部に対し
て、結晶化ガラスの粉末の含有量は30〜60重量部、
好ましくは40〜55重量部、低融点ガラスの粉末の含
有量は10〜40重量部、好ましくは20〜30重量
部、金属粉末の含有量は20〜50重量部、好ましくは
25〜45重量部の範囲(図2中の斜線部の範囲)とす
るのがよい。
【0032】上記PTC材料組成物を原料として、この
PTC材料組成物を均一に混合・調整して成形材料を作
製し、この成形材料を加圧成形して成形品を作製した
後、この成形品を焼成し、結晶析出と焼結を進行させ
て、本発明になるPTC材料を製造する。
【0033】焼成して得られたPTC材料は、結晶化ガ
ラスの結晶粒界に、導電性材料粉末を含有する。
【0034】結晶化ガラスの結晶粒界の導電性材料粉末
は導電体として存在し、導体回路を形成する。抵抗の温
度変化に対する急激な変化、すなわち、PTC特性は、
従来のBaTiO3系PTC材料のようなキューリー点
における強誘電−常誘電転移に基づくものとは異なり、
23系のような結晶変態にともなう導電体−絶縁体転
移の機構、あるいは結晶化ガラスの結晶粒界に存在する
導電体の導体回路が、温度上昇によって結晶粒界に生成
されるわずかなガラス液相あるいはこのガラス液相から
析出する結晶によって排除され、切断されるといった新
たな機構によるものと推察される。
【0035】通常の結晶化ガラスの結晶化温度は、90
0〜1000℃と高く、このような高い結晶化温度にお
いては、導電性材料の粉末は不安定になり、表面に酸化
物が形成されるなどして、導電性が著しく低下するが、
結晶化温度が500℃以下の結晶化ガラスを用い、50
0℃付近の温度で焼結することによって、導電性材料粉
末の導電性を維持するとともに、結晶化と焼結を同時に
進行させ、緻密なPTC材料を得ることができる。
【0036】導電性材料粉末として、金属粉末あるいは
導電性カーボン粉末を用いることができる。
【0037】金属粉末は、PTC材料の結晶化ガラスの
結晶粒界に、500℃付近の温度で液相または固相とし
て安定に存在し、焼結時には焼結性を向上させる働きも
有する。
【0038】PTC材料中の金属粉末の含有量は、多す
ぎる場合は抵抗変化率が小さくなり、PTC特性におけ
る高抵抗率を保持できなくなり、少なすぎる場合は、室
温抵抗率が著しく大きくなる。従って、全体100重量
部に対して、20〜40重量部、好ましくは25〜35
重量部とする。
【0039】また、PTC材料中の導電性カーボン粉末
は比重が小さいので、多すぎる場合は焼成時に発生する
結晶化ガラスの液相と混じり合わず、焼結が困難にな
り、たとえ焼結できても抵抗変化率は導電性カーボンと
変わらないものになる。また、少なすぎる場合は、室温
抵抗率が著しく大きくなる。従って、全体100重量部
に対して、導電性カーボン粉末の場合には、含有量は5
〜20重量部とする。
【0040】焼成温度は、低すぎると結晶化が不十分に
なるので結晶化温度より約20℃高い温度とし、高すぎ
ると結晶化ガラスの液相成分が増大し発泡し焼結密度が
低下するので、550℃以下の温度とする。種々検討し
た結果によれば、金属粉末を含むものでは550℃以下
で焼成し、導電性カーボン粉末を含有するものでは50
0℃以下で焼成することによって良好な結果が得られ
る。
【0041】また、上記のように、PTC材料組成物
に、さらに低融点ガラスの粉末を含有させることによっ
て、PTC抵抗変化率を大きくできるが、この低融点ガ
ラス粉末の融点は、焼成温度より低く、さらに結晶化ガ
ラス粉末の結晶化温度より低いものが用いられ、焼成温
度は、結晶化ガラスの結晶化の進行及び低融点ガラスの
発泡による焼結密度の低下の点から、500℃とするの
がよい。
【0042】低融点ガラスの粉末を含有することによっ
て、焼成時に、溶融した低融点ガラスの中で結晶化ガラ
スの結晶析出及び結晶成長が進行するため、結晶化ガラ
スの粒界に導電性金属粉末が有効に存在するようになっ
て、金属粉末の界面が増大し、PTC抵抗変化幅が大き
くなる。
【0043】また、低融点ガラス粉末として、主成分が
PbO、B23、SiO2(融点が300〜350℃)
のソルダーガラスを用いることができる。このソルダー
ガラスは、融点がPTC材料の焼成温度より低いため、
この溶融したソルダーガラスの中での結晶化ガラスの析
出・結晶成長が進行するのに好適であり、また、焼結を
促進し焼結したPTC材料の強度を向上する働きを有す
る。
【0044】本発明のPTC材料組成物及びPTC材料
の結晶化ガラスは、V25、ZnO及びB23を主成分
とし、Al23及びBi23を添加したもの、あるいは
Al23及びLi23を添加したものなど結晶化温度が
500℃以下のものであればよく、また、結晶化ガラス
の平均粒径は、特に限定されないが、通常3〜20μm
であるのが好ましい。
【0045】また、導電性材料粉末は、カーボン粉末、
Sn、Fe、Co、Ni、Mo、W、Ag、Ptあるい
はPdなどの金属粉末、合金粉末、これらの金属あるい
は合金粉末の1種または2種以上を混合したものなど導
電性のものであればよいが、特に、室温抵抗率が11×
10-6Ω・cm以下の金属粉末あるいは室温抵抗率が1
×10-3Ω・cm以下の導電性カーボン粉末が好まし
い。
【0046】また、導電性材料粉末の平均粒径は特に限
定されないが、金属粉末の平均粒径は、通常、0.1〜
5μmであるのが好ましく、導電性カーボンの平均粒径
は、30〜100nmのものがPTC特性発現上好まし
い。
【0047】
【実施例】以下に、本発明について、実施例と比較例を
挙げて詳細に説明する。 実施例1〜28.表1は、本実施例におけるPTC材料
組成物の組成、焼成温度、室温抵抗率、抵抗率変化点及
び変化率(500℃における抵抗率/室温抵抗率)を、
比較例1〜5とともに示すものである。
【0048】
【表1】
【0049】本実施例のPCT材料組成物は、V25
ZnO−B23−Al23−Bi23系結晶化ガラス
(結晶化温度:430℃、融点:670℃)の粉末と、
金属粉末としてAg、Sn、Cu、Fe、Co、Ni、
Mo、W、PtまたはPdの1種以上の金属粉末とを原
料とした。これらの金属粉末には、高純度試薬(99.
99%)を用いた。
【0050】まず、この原料を秤量して上記表1に示す
組成で、結晶化ガラスと、金属粉末を配合した後、オム
ニミキサーで5分間予備混合し、次に、アセトンを加え
て5分間石川式攪袢擂潰機で混合し、さらに、湿式ボー
ルミルで6時間混合を行って均一化を図り、混合材料を
得た。
【0051】次に、上記混合材料を常態ドラフト中に放
置してアセトンを見かけ上揮発させた後、50℃のオー
ブン中で、1時間保持し、さらに、80℃に昇温して1
昼夜保持して、アセトンを完全に除去・乾燥してPTC
材料組成物を得た。
【0052】得られたPTC材料組成物を直径30mm
の金型に充填し、加圧整形して高さが約2mmの成形体
を形成した。この成形体を電気炉中で500℃前後の温
度に加熱し自然放冷させてPTC材料を得た。この加熱
によって、ガラスの結晶化及び焼結が進行する。
【0053】得られたPTC材料にAgペーストを塗布
し焼き付けて電極を形成し、室温から500℃までの抵
抗率の温度特性を測定した。
【0054】上記表1の結果が示すように、比較例1
(結晶化ガラス90重量%)は室温抵抗率が高く、抵抗
変化点が観測されず、比較例2及び3(結晶化ガラス5
0重量%)は室温抵抗率は低いものの、抵抗変化点が観
測されなかった。一方、実施例1〜28(結晶化ガラス
の含有量が60〜80重量%、金属粉末の含有量が20
〜40重量%)は、室温抵抗率が約100Ω・cm以
下、抵抗率変化点が400℃以上で抵抗変化率が5以上
のPTC材料が得られ、特に、結晶化ガラスの含有量が
65〜75重量%で金属粉末の含有量が25〜35重量
%(実施例4〜5)の場合に良好な結果が得られた。
【0055】比較例4及び5は焼成温度を検討したもの
であるが、焼成温度は450〜550℃とした場合に良
好な結果が得られ、比較例4(焼成温度400℃)のよ
うに焼成温度が低い場合は未焼結となり、比較例5(焼
成温度600℃)のように焼成温度が高い場合は発泡し
て室温抵抗率が高くなり、抵抗変化点が観測されなかっ
た。
【0056】実施例29〜41.本実施例は、結晶化ガ
ラスと導電性材料粉末(金属粉末)に、さらに低融点ガ
ラスを含むもので、表2にそのPTC材料組成物の組
成、焼成温度、室温抵抗率、抵抗率変化点及び抵抗変化
率(500℃における抵抗率/室温抵抗率)を、比較例
6〜9とともに示した。
【0057】
【表2】
【0058】結晶化ガラスにはV25−ZnO−B23
−Al23−Bi23系結晶化ガラス(結晶化温度:4
30℃、融点:670℃)の粉末を用い、低融点ガラス
にはPbO−B23−SiO2−Bi23系のフリット
ガラスを用いた。導電性材料粉末にはAg粉末、Agと
Cuとを混合した金属粉末、AgとCuとPdとを混合
した金属粉末とし、金属粉末には、高純度試薬(99.
99%)を用いた。
【0059】まず、この原料を秤量して上記表2に示す
組成で、結晶化ガラスと、低融点ガラス粉末と、金属粉
末とを配合した後、実施例1〜28と同様、予備混合、
石川式攪袢擂潰機による混合、湿式ボールミルによる均
一化を経て混合材料を得、この混合材料を常態ドラフト
中及びオーブン中における乾燥を行ってPTC材料組成
物を得た。
【0060】得られたPTC材料組成物を、実施例1〜
28と同様に加圧成形して直径30mm、高さ約2mm
の成形体を形成した。この成形体を電気炉中で500℃
前後の温度に加熱し自然放冷させてPTC材料を得た。
この加熱によって、ガラスの結晶化及び焼結が進行す
る。
【0061】得られたPTC材料にAgペーストを塗布
し焼き付けて電極を形成し、室温から500℃までの抵
抗率の温度特性を測定した。図2は本実施例の組成1と
比較例の組成2とを示すものである。
【0062】上記表2の結果が示すように、結晶化ガラ
ス30〜60重量%、低融点ガラス10〜40重量%、
金属粉末20〜50重量%の範囲、すなわち実施例の組
成2を含む範囲(図2の斜線部)で室温抵抗率が約10
0Ω・cm以下、抵抗率変化点が400℃以上、抵抗変
化率が5以上のPTC材料が得られ、特に、結晶化ガラ
ス35〜55重量%、低融点ガラス15〜35重量%、
金属粉末25〜45重量%の範囲で良好な特性が得られ
る。上記斜線で示す組成の外側(図2の比較例の組成
2)の比較例6及び7は室温抵抗率が高く、比較例8は
室温抵抗率は低いものの抵抗変化点が観測されなかっ
た。
【0063】焼成温度は結晶化ガラスの結晶化温度より
高い450〜500℃の範囲でよい結果が得られる。比
較例9は焼成温度を検討したもので、図2の斜線部の範
囲内の組成であっても、焼成温度が500℃を越えると
発泡し、室温抵抗率が高くなることを示している。
【0064】実施例42〜45.本実施例は、導電性材
料粉末の原料として導電性カーボンを用いたもので、表
3にそのPTC材料組成物の組成、焼成温度、室温抵抗
率、抵抗率変化点及び抵抗変化率(500℃における抵
抗率/室温抵抗率)を、比較例10〜13とともに示し
た。
【0065】
【表3】
【0066】結晶化ガラスにはV25−ZnO−B23
−Al23−Bi23系結晶化ガラス(結晶化温度:4
30℃、融点:670℃)の粉末を用い、導電性カーボ
ンには平均粒子径50nmの高純度(99.99%)の
ものを用いた。
【0067】まず、この原料を秤量して上記表3に示す
組成で配合した後、実施例1〜28と同様、予備混合、
石川式攪袢擂潰機による混合、湿式ボールミルによる均
一化を経て混合材料を得、この混合材料を常態ドラフト
中及びオーブン中における乾燥を行ってPTC材料組成
物を得た。
【0068】得られたPTC材料組成物を、実施例1〜
28と同様に加圧成形して直径30mm、高さ約2mm
の成形体を形成した。この成形体を電気炉中で500℃
前後の温度に加熱し自然放冷させてPTC材料を得た。
この加熱によって、ガラスの結晶化及び焼結が進行す
る。
【0069】得られたPTC材料にAgペーストを塗布
し焼き付けて電極を形成し、室温から500℃までの抵
抗率の温度特性を測定した。
【0070】上記表3の結果が示すように、結晶化ガラ
ス80〜95重量%、導電性カーボン5〜20重量%
(実施例42〜45)で室温抵抗率が約100Ω・cm
以下、抵抗率変化点が400℃以上、抵抗変化率が5以
上のPTC材料が得られ、この組成の外側の組成の場合
(比較例10及び11)は室温抵抗率が高く、抵抗変化
点が観測されず(比較例10)、また観測されても抵抗
変化率が小さなもの(比較例11)であった。
【0071】焼成温度は結晶化ガラスの結晶化温度より
高い450〜500℃の範囲でよい結果が得られる。比
較例12及び13は焼成温度を検討したもので、焼成温
度が500℃を越えると発泡し、焼成温度が低い(43
0℃)では室温抵抗率が高く抵抗変化率が負(NTC特
性)になる。
【0072】なお、上記実施例1〜45において、V2
5−ZnO−B23−Al23−Bi23系結晶化ガ
ラスの粉末を用いたが、V25−ZnO−B23−Al
23−Li23系結晶化ガラスの粉末を用いた場合おい
ても同様のPTC特性のが得られた。
【0073】
【発明の効果】請求項1〜16に係る発明によれば、室
温抵抗率が低く、抵抗変化点の温度が高く、抵抗変化率
が大きく、安定なPTC特性を示すPTC材料が得られ
る。
【0074】請求項7、8、15および16に係る発明
によれば、さらに抵抗変化率が大きくでき、安定なPT
C特性を示すPTC材料が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 一般的なPTC材料の温度特性を示すグラフ
である。
【図2】 本発明の低融点ガラスを含有するPTC材料
の組成範囲を示す図である。
【符号の説明】 1 実施例の組成、2 比較例の組成

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 結晶化温度が500℃以下の結晶化ガラ
    スの粉末と、導電性材料粉末とを含有したことを特徴と
    するPTC材料組成物。
  2. 【請求項2】 結晶化ガラスの粉末がV(バナジウ
    ム)、Zn(亜鉛)及びB(ボロン)の酸化物を主成分
    とすることを特徴とする請求項1記載のPTC材料組成
    物。
  3. 【請求項3】 導電性材料粉末が、金属粉末からなるこ
    とを特徴とする請求項1記載のPTC材料組成物。
  4. 【請求項4】 結晶化ガラスの粉末と金属粉末との合計
    100重量部に対して、金属粉末の含有量が20〜40
    重量部であることを特徴とする請求項3記載のPTC材
    料組成物。
  5. 【請求項5】 導電性材料粉末が、導電性カーボン粉末
    からなることを特徴とする請求項1記載のPTC材料組
    成物。
  6. 【請求項6】 結晶化ガラスの粉末と導電性カーボン粉
    末との合計100重量部に対して、導電性カーボン粉末
    の含有量が5〜20重量部であることを特徴とする請求
    項5記載のPTC材料組成物。
  7. 【請求項7】 低融点ガラスの粉末を含有することを特
    徴とする請求項3記載のPTC材料組成物。
  8. 【請求項8】 結晶化ガラスの粉末と低融点ガラスの粉
    末と金属粉末との合計100重量部に対して、結晶化ガ
    ラスの粉末の含有量が30〜60重量部、低融点ガラス
    の粉末の含有量が10〜40重量部、金属粉末の含有量
    が20〜50重量部であることを特徴とする請求項7記
    載のPTC材料組成物。
  9. 【請求項9】 結晶化温度が500℃以下の結晶化ガラ
    スの粉末と、導電性材料粉末とを含有したPTC材料組
    成物を成形した成形物を焼成してなることを特徴とする
    PTC材料。
  10. 【請求項10】 結晶化ガラスの粉末が、V(バナジウ
    ム)、Zn(亜鉛)及びB(ボロン)の酸化物を主成分
    とすることを特徴とする請求項9記載のPTC材料。
  11. 【請求項11】 導電性材料粉末が、金属粉末からなる
    ことを特徴とする請求項9記載のPTC材料。
  12. 【請求項12】 結晶化ガラスの粉末と金属粉末との合
    計100重量部に対して、金属粉末の含有量が20〜4
    0重量部であることを特徴とする請求項11記載のPT
    C材料。
  13. 【請求項13】 導電性材料粉末が、導電性カーボン粉
    末からなることを特徴とする請求項9記載のPTC材
    料。
  14. 【請求項14】 結晶化ガラスの粉末と導電性カーボン
    粉末との合計100重量部に対して、導電性カーボン粉
    末の含有量が5〜20重量部であることを特徴とする請
    求項13記載のPTC材料。
  15. 【請求項15】 PTC材料組成物が、低融点ガラスの
    粉末を含有することを特徴とする請求項11記載のPT
    C材料。
  16. 【請求項16】 結晶化ガラスの粉末と低融点ガラスの
    粉末と金属粉末との合計100重量部に対して、結晶化
    ガラスの粉末の含有量が30〜60重量部、低融点ガラ
    スの粉末の含有量が10〜40重量部、金属粉末の含有
    量が20〜50重量部であることを特徴とする請求項1
    5記載のPTC材料。
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