JP3610100B2 - 発熱体組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、家庭または産業界で使用可能な、電気抵抗熱を利用したヒーターを作製するための発熱体組成物に関する。
【0002】
【従来の技術及びその課題】
特開昭53−59893号公報、特開昭53−59894号公報、特開昭55−72001号公報には金属ケイ化物を導電物質とするグレーズ抵抗体が、特公昭61−27866号公報には金属ケイ化物を導電物質とするグレーズヒーターが開示されている。
これらのグレーズ抵抗体またはグレーズヒーターについては850℃程度の低温、空気中で焼成された例も記載されているが、いずれも抵抗値が高い。
【0003】
また、特開平4−96201号公報には、導電物質粉末とガラスフリットと金属酸化物粉末および/または金属粉末から構成された発熱体組成物が開示されている。
しかし、この組成物は窒素雰囲気中で1050℃という高温で焼成しなければ、低抵抗のヒーターを作製することは不可能であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
一般に導電物質粉末とガラスフリットとを混合し、これにバインダーを混ぜてペーストとし、スクリーン印刷法で所定パターンに印刷し、乾燥、焼成して形成する発熱体、いわゆるグレーズ発熱体から構成されるセラミックヒーターにおいては、その機能を十分に発揮するための重要な要素として、低い抵抗値が要求される。
【0005】
なぜなら、抵抗値が低くなれば、そのヒーターの厚みを薄くできることによって、ヒーターの均一な発熱のために必要な任意のパターンに形成できる。
【0006】
従来の発熱体組成物は低抵抗のヒータが得られないか、得られるとしても、窒素雰囲気中で高温焼成する必要があり、コストアップが課題となっていた。
そこで本発明は、より低い焼成温度(1000℃以下)で1Ω/sq.以下の低抵抗のヒータを窒素雰囲気中焼成のみならず、より低コストの空気中焼成でも作製することができる発熱体組成物を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記の課題をふまえた上で開発された発熱体組成物およびこれを焼成して得られるヒーターに関する。すなわち本発明の発熱体組成物はケイ化ニッケルとケイ化モリブデンからなる導電物質粉末60〜75重量%とガラスフリット40〜25重量%の混合物(計100重量%)に、その合計量に対して0.1〜12重量%の金属粉末を加えたものであって、前記導電物質粉末とガラスフリットの合計量の内、ケイ化ニッケルが1〜22重量%であることを第1の特徴とし、ケイ化ニッケルが5〜22重量%であることを第2の特徴とする。
【0008】
また、本発明の発熱体組成物は上記第1または第2の特徴に加え、金属粉末がニッケル、銀、銅、鉄およびこれらを主成分とする合金から選ばれた少なくとも一種であることを第3の特徴とする。
【0009】
また、本発明の発熱体組成物は上記第1乃至第3のいずれかの特徴に加え、金属粉末がニッケルであることを第4の特徴とする。
【0010】
また、本発明の発熱体組成物は上記第1乃至第4のいずれかの特徴に加え、ケイ化ニッケルとケイ化モリブデンからなる導電物質粉末とガラスフリットの合計量の内、ケイ化ニッケルが8〜18重量%であることを第5の特徴とする。
【0011】
また、本発明の発熱体組成物は上記第1乃至第5のいずれかの特徴に加え、ケイ化ニッケルとケイ化モリブデンからなる導電物質粉末が64〜72重量%、ガラスフリットが36〜28重量%であることを第6の特徴とする。
【0012】
また、本発明の発熱体組成物は上記第1乃至第6のいずれかの特徴に加え、ケイ化ニッケルとケイ化モリブデンからなる導電物質粉末とガラスフリットの合計量に対して0.5〜6重量%の金属粉末を加えることを第7の特徴とする。
【0013】
また、本発明の発熱体組成物は上記第1乃至第7のいずれかの特徴に加え、ガラスフリットが酸化物の重量%表示で:
Figure 0003610100
(但し、Mは一種以上のアルカリ金属、MIIはMg、Ca、Sr、Baから選ばれた一種以上のアルカリ土類金属、MIII はSc,Yおよびランタニドから選ばれた一種以上の金属、核形成剤はTiO、ZrO、P、SnO、ZnO、MoO、Ta、Nb、Asから選ばれた少なくとも一種)
の組成を有することを第8の特徴とする。
【0014】
また、本発明の発熱体組成物は上記第1乃至第8のいずれかの特徴に加え、ガラスフリットが酸化物の重量%表示で:
Figure 0003610100
(但し、Mは一種以上のアルカリ金属、MIIはMg、Ca、Sr、Baから選ばれた一種以上のアルカリ土類金属、MIII はSc,Yおよびランタニドから選ばれた一種以上の金属、核形成剤はZrO、P、SnO、ZnO、MoO、Ta、Nb、Asから選ばれた少なくとも一種)
の組成を有することを第9の特徴とする。
【0015】
また、本発明の発熱体組成物は上記第1乃至第9のいずれかの特徴に加え、ガラスフリットが酸化物の重量%表示で:
Figure 0003610100
(但し、Mは一種以上のアルカリ金属、MIIはMg、Ca、Sr、Baから選ばれた一種以上のアルカリ土類金属、MIII はSc,Yおよびランタニドから選ばれた一種以上の金属、核形成剤はZrO、P、SnO、ZnO、MoO、Ta、Nb、Asから選ばれた少なくとも一種)
の組成を有することを第10の特徴とする。
【0016】
さらに、本発明は上記第1乃至第10のいずれかの特徴に加え、上記組成物を成形した後、窒素雰囲気中で焼成して作製されたヒーターであることを第11の特徴とする。
また本発明は上記第2乃至第10のいずれかの特徴に加え、上記組成物を成形した後、空気中で焼成して作製されたヒーターであることを第12の特徴とする。
【0017】
上記の発熱体組成物において、導電物質粉末としてケイ化ニッケルとケイ化モリブデンを組合せて用いる。ケイ化ニッケルの融点は993℃であり、ケイ化モリブデンの2020℃より低いので、比較的低い焼成温度でヒーターを作製することができる。
さらに図1に示すように、ケイ化ニッケルはケイ化モリブデンに比べて酸化されにくいので、ケイ化ニッケルとケイ化モリブデンを組合せて用いると、空気中焼成でさえそれほどヒーターの抵抗を増大させることなく本発明の発熱体組成物を焼結させることができる。
しかしながら、ケイ化ニッケルの比抵抗はケイ化モリブデンのそれよりも高いので、得られたヒーターの抵抗は十分低くはならない。この問題は、ケイ化ニッケルとケイ化モリブデンからなる導電物質粉末に、得られたヒーターの抵抗を低下させる作用をもつ金属粉末、好ましくは、ニッケル、銀、銅、鉄およびこれらを主成分とする合金から選ばれた少なくとも一種の金属粉末を、さらに好ましくはニッケル粉末を添加することにより解決することができる。
【0018】
一方、これらの金属および合金の融点は総じてケイ化モリブデンの融点より低い。また、これらの金属および合金はケイ化モリブデンより酸化されにくい。
従ってケイ化ニッケルとケイ化モリブデンからなる導電物質粉末と、ニッケル、銀、銅、鉄およびこれらを主成分とする合金から選ばれた少なくとも一種の金属粉末と、ガラスフリットとを好ましい比率で混合すると、その発熱体組成物からは空気中焼成でさえ焼成温度を上げることなく十分低い抵抗値を持ったヒーターを作製することができる。
【0019】
金属粉末としてニッケル粉末を用いると焼結性が良く、最も好ましいヒ―タ―を作製成することができる。
【0020】
ケイ化ニッケルとケイ化モリブデンからなる導電物質粉末、およびガラスフリットの合計量(計100重量%)の内、ケイ化ニッケルが1重量%未満では得られたヒ−タ−の抵抗値は窒素雰囲気中焼成ですら高くなる。また、ケイ化ニッケルが1重量%以上5重量%未満では、窒素雰囲気中で焼成して得られたヒ−タ−の抵抗値はそれ程高くはないが、空気中で焼成して得られたヒ−タ−の抵抗値は1重量%未満の場合と同様極端に高い。また、ケイ化ニッケルが22重量%を越えると、空気中はもちろん、窒素雰囲気中で焼成しても、得られたヒ−タ−の抵抗値は高くなる。ケイ化ニッケルの量は8〜18重量%であることがより好ましい。
【0021】
ケイ化ニッケルとケイ化モリブデンからなる導電物質粉末は60〜75重量%で、これに対応しガラスフリットは40〜25重量%で用いられる。上記導電物質粉末の合計量が60重量%未満では、ヒ−ターの抵抗値は低くならない。逆に導電物質粉末の合計量が75重量%を越えると、ヒ−ターの抵抗値が低くならないばかりか、耐ヒ−トサイクル性(昇温・降温の繰り返しに対する耐熱衝撃性)も劣化する。導電物質粉末の合計量は64〜72重量%、ガラスフリットは36〜28重量%とすることがより好ましい。
【0022】
ケイ化ニッケルとケイ化モリブデンからなる導電物質粉末およびガラスフリットの合計量(計100重量%)に対して金属粉末の添加量が0.1重量%未満では、得られたヒ−ターの抵抗値は低くならない。
また、金属粉末の添加量が12重量%を越えると抵抗値は増大する。更に、この場合には得られたヒ−タ−の熱膨張係数が大きくなり、その結果基板の熱膨張係数との差が大きくなるので耐ヒ−トサイクル性が劣化する。金属粉末の添加量は0.5〜6重量%であることがより好ましい。
【0023】
ガラスフリットとしては、本願出願人の特開平2−283001号公報および特開平4−96201号公報に開示されている下記の組成のガラスを用いる。
すなわち、酸化物の重量%表示で;
Figure 0003610100
(但し、Mは一種以上のアルカリ金属、MIIはMg、Ca、Sr、Baから選ばれた一種以上のアルカリ土類金属、MIII はSc,Yおよびランタニドから選ばれた一種以上の金属、核形成剤はTiO、ZrO、P、SnO、ZnO、MoO、Ta、Nb、Asから選ばれた少なくとも一種)
である。
【0024】
好ましくは、上記組成のガラスにさらにTiOを必須成分として含有させた下記組成のものを用いる。
すなわち、本発明の発熱体組成物に好適なガラスフリットの組成は酸化物の重量%表示で;
Figure 0003610100
(但し、Mは一種以上のアルカリ金属、MIIはMg、Ca、Sr、Baから選ばれた一種以上のアルカリ土類金属、MIII はSc,Yおよびランタニドから選ばれた一種以上の金属、核形成剤はZrO、P、SnO、ZnO、MoO、Ta、Nb、Asから選ばれた少なくとも一種)
である。
【0025】
また,より好ましいガラスフリットの組成は酸化物の重量%表示で;
Figure 0003610100
(但し、Mは一種以上のアルカリ金属、MIIはMg、Ca、Sr、Baから選ばれた一種以上のアルカリ土類金属、MIII はSc,Yおよびランタニドから選ばれた一種以上の金属、核形成剤はZrO、P、SnO、ZnO、MoO、Ta、Nb、Asから選ばれた少なくとも一種)
である。
【0026】
上記組成および含有量の限定理由は、以下の通りである。
IIOはMg、Ca、Sr、Baなどの一種以上のアルカリ土類金属の酸化物であり、Bと共に必須の成分である。MIIOが5重量%未満では、硼酸主体のガラスとなり、ガラス溶融工程中に分相を生じ、均質なガラスが得られない。また、MIIOが50重量%を越えると、ガラス中のBが相対的に減少するため、導電物質と混合して得られた発熱体組成物から得られたヒーターの抵抗値が高くなると共に、ガラス化も困難になる。このMIIOは、25〜45重量%がさらに好ましい。
【0027】
は、ヒーターにした時の抵抗値に大きな影響を及ぼす成分である。すなわち、20重量%未満では、ヒーターの抵抗値が高くなり、80重量%を越えると、ガラス溶融工程中に分相を生じ、均質なガラスが得られない。20〜80重量%の範囲内では、Bの量の増加と共に抵抗値が低下する。
このBは、20〜60重量%がさらに好ましい。
【0028】
III は、Sc(スカンジウム)、Y(イットリウム)及び/又はランタニドの酸化物であり、ヒーターと基板との密着強度を上げるために加えてもよいが、10重量%を越えてもその効果がそれ以上良くならないため、0〜10重量%とする。このMIII は0〜5重量%が好ましく、1〜5重量%がさらに好ましい。
尚、本明細書中のランタニドは、ランタン(La)からルテチウム(Lu)までの元素の総称である。
【0029】
Oは、Li、Na、K、Rb、Cs等の一種以上のアルカリ金属の酸化物であり、
5重量%を超えるとそのガラスを導電物質粉末および金属粉末と混合し、焼結させて得たヒーターを使用した時、アルカリイオンの移動による抵抗値の変化を生じるため、せいぜい5重量%であり、0重量%が最も好ましい。しかし、実際にはガラス原料中に約0.1%以内の量で不純物として含まれる。
【0030】
SiOは、安定なガラスを得るために適量添加してもよいが、40重量%を超えると相対的にBが少なくなり、上述したヒーターの抵抗値が高くなるので、好ましくない。このSiOは、2〜10重量%がさらに好ましい。
【0031】
Alも、SiOと同様、安定なガラスを得るために適量添加してもよいが、40重量%を越えると、相対的にBが少なくなり、好ましくない。このAlは、2〜10重量%がさらに好ましい。
【0032】
Biは、ヒーターの基板への密着性向上及び低抵抗化のために適量添加してもよいが、10重量%を越えると、ガラスの物性が大きく変動するため好ましくない。このBiは、1〜10重量%がより好ましい。また5〜10重量%がさらに好ましい。
【0033】
TiO、ZrO、P、SnO、ZnO、MoO、Ta、Nb、Asの少なくとも一種又は二種以上は、いずれも結晶相形成が必要な場合、結晶核形成剤として添加される。通常、ガラス中のこれら核形成剤の含有量は、20重量%以下である。尚、結晶相形成が必要な場合であってもこの結晶核形成剤は、ガラスの組成を適当に選択することにより、ガラスの結晶化が得られれば、必ずしも添加する必要はない。ガラスの結晶化が得られると、ヒーターの耐熱性や靭性が増し、クラック耐性も向上する。
【0034】
TiOは、核形成剤としての作用の他に、ガラスの必須構成成分とすると、以下の効果を有する。もっとも、このときTiOが核形成剤として十分機能しない場合もある。
ガラスの必須構成成分としてTiOを含有させると、5〜8重量%付近で、TiOを含有しないガラスと比べ、得られたヒーターの抵抗値を大幅に低下させることができる。また、ガラスの必須構成成分としてTiOを含有させることにより耐ヒートサイクル性も改善される。
ガラスフリット中のTiOが20重量%を越えると、ガラス溶融プロセスが困難となる。ガラスフリット中のTiO量はその効果および経済性のバランスを考慮すると5〜20重量%であることが好ましく、8〜17重量%であることがより好ましい。8〜17重量%の範囲にすると、溶融コストおよび溶融プロセスにおいて直面する困難を最小にすることができる。
【0035】
なお、本発明のガラスフリットは結晶性であることが好ましいが非晶質のものも使用できる。すなわち、上記組成範囲に属するものであれば結晶性ガラスフリットでも非晶質ガラスフリットでも良い。ここで結晶性ガラスとは熱処理により結晶が析出するガラスであり、非晶質ガラスとは熱処理しても実質的に結晶が析出しないガラスである。
【0036】
図2に、本発明の発熱体組成物を基板3上に施した後、焼成して得られたヒーター1とその上に施したオ−バ−コ−ト層2を示す。
発熱体組成物を基板3上に施し、それを高温の炉に入れ、発熱体組成物の成分材料が十分焼結するのに必要な時間焼成し、ヒーター1を得る。また、焼結後のヒーター1上にガラスオーバーコート層2を施すことにより、ヒーター1の保護がなされ、漏電防止能が付与される。このガラスオーバーコート層はフリットとしてペーストの形態でヒ−タ−1上に施される。これを高温の炉に入れオーバーコート層のフリットを焼結させ、ガラスオーバーコート層2を得る。このようにして作製されたヒーターは60℃、95%RH中1,000時間放置しても抵抗の変化はみられず、より良好なヒーターが得られることがわかった。
【0037】
ガラスオーバーコート層2を施すために使用するガラスはヒーター1と熱膨張係数が合致したもので、ヒーター1と反応しないガラスが望ましい。オーバーコートの方法は発熱体組成物と反応しないガラス組成を選択することにより、発熱体組成物との同時焼成も可能であり、この場合、オーバーコートすることによる性能上の低下はみられない。
【0038】
本発明の発熱体組成物をペーストの形態で基板3上に印刷し、その後焼成によりヒーター1を作製してもよい。また、ペーストをグリーンシート上に印刷し、一層もしくは積層して焼成してもよい。
【0039】
さらに、発熱体組成物をプレス成形して焼結させたり、このプレス成形体をセラミック粉末に埋め込んで焼結させてもよい。また発熱体組成物を棒状に成形して焼結させることも可能である。このように、本発明の発熱体組成物の適用方法は、以下の実施例に記した適用方法に限定されない。
【0040】
【作用効果】
本発明の発熱体組成物はケイ化ニッケルとケイ化モリブデンからなる導電物質粉末60〜75重量%と、ガラスフリット40〜25重量%の混合物に、その合計量に対して0.1〜12重量%の金属粉末を添加剤として加えた構成であって、かつ導電物質粉末とガラスフリットの合計量の内、ケイ化ニッケルを1〜22重量%としたので、低抵抗のヒ―タ―が得られた。またケイ化ニッケルを5〜22重量%としたので、窒素雰囲気中のみならず、より低コストの空気中でも1000℃以下の低温焼成で1Ω/sq.以下の低抵抗のヒーターが得られた。
【0041】
また、本発明の発熱体組成物から得られたヒーターは低抵抗であるため均一な発熱が可能となり、任意の形状の発熱パターンを持った厚みの薄いヒーターが形成可能となった。
さらに、本発明の発熱体組成物から得られたヒーターは上記のような構成としたので、均一な発熱が可能となるとともに基板との整合性が良くなり、耐ヒートサイクル性、耐熱衝撃性が改善された。
【0042】
【実施例および比較例】
酸化物の重量%表示でMgO:1.9%、CaO:3.3%、BaO:31.4%、B:40.4%、SiO:4.4%、Al:6.7%、TiO:11.9%の組成になるように、それぞれ炭酸塩、水酸化物、酸化物などの原料を選択し、調合し、1,350℃で60分間溶融後、双ロールで急冷し、ガラスフレークを作製した。得られたガラスフレークをボールミルで6時間粉砕し、平均粒径2〜3μmの結晶性ガラスフリットを得た。
【0043】
このガラスフリットと、平均粒径約3μmのケイ化モリブデン粉末、平均粒径約3μmのケイ化ニッケル粉末、平均粒径約3μmの金属粉末とを十分混合した。表1のNo.2〜8、11〜13、16〜19および21〜25は本発明の組成物であり、No.1、9、10、14、15、20は本発明外の組成物(比較例)である。
上記の組成の各々の組成物を、樹脂(例えばアクリル樹脂)、有機溶媒などから成るビヒクルと約80:20の比率(重量比)で十分混合、混練し、ペーストとした。このペーストを200メッシュスクリーンでアルミナ基板上に厚み約20μmとなるように印刷し、120℃で15分間乾燥した。次いで、ガラスオーバーコート用ペーストを発熱体組成物層上に印刷し、さらに乾燥した後、窒素雰囲気中950℃、窒素雰囲気中1,050℃、空気中950℃でそれぞれ10分間同時焼成を行った。その後、焼成して得られたオーバーコートを施したヒーターを室温まで冷却した。
【0044】
得られたヒーターの抵抗値を4端子法で測定した。その結果表1および2に示す。
尚、表において“耐ヒートサイクル性”の欄に付されている○、△は下記の意味を示す。
○:ヒーターの耐ヒートサイクル性良好。スイッチのON−OFFを5万回繰り返し、20〜500℃の間で昇温、降温を繰り返した後の抵抗値の増減が0.5%未満。
△:ヒーターの耐ヒートサイクル性は良好でない。スイッチのON−OFFを5万回繰り返し、20〜500℃の間で昇温、降温を繰り返した後の抵抗値の増減が0.5%より大。
【0045】
表1
【0046】
表2
【図面の簡単な説明】
【図1】ケイ化ニッケルとケイ化モリブデンの空気中でのDTA曲線を表すグラフ。
【図2】基板上に本発明の発熱体組成物より得られたヒーターとオーバーコート層を積層した断面図。
【符号の説明】
1……ヒータ、2……オーバーコート層、3……基板。
【表1】
Figure 0003610100
【表2】
Figure 0003610100

Claims (12)

  1. ケイ化ニッケルとケイ化モリブデンからなる導電物質粉末60〜75重量%とガラスフリット40〜25重量%の混合物に、その合計量に対して0.1〜12重量%の金属粉末を加えた発熱体組成物であって、前記導電物質粉末とガラスフリットの合計量の内、ケイ化ニッケルが1〜22重量%であることを特徴とする発熱体組成物。
  2. 導電物質粉末とガラスフリットの合計量の内、ケイ化ニッケルが5〜22重量%であることを特徴とする請求項1に記載の発熱体組成物。
  3. 金属粉末がニッケル、銀、銅、鉄およびこれらを主成分とする合金から選ばれた少なくとも一種であることを特徴とする請求項1または2に記載の発熱体組成物。
  4. 金属粉末がニッケルであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の発熱体組成物。
  5. ケイ化ニッケルとケイ化モリブデンからなる導電物質粉末とガラスフリットの合計量の内、ケイ化ニッケルが8〜18重量%であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の発熱体組成物。
  6. ケイ化ニッケルとケイ化モリブデンからなる導電物質粉末が64〜72重量%、ガラスフリットが36〜28重量%であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の発熱体組成物。
  7. ケイ化ニッケルとケイ化モリブデンからなる導電物質粉末とガラスフリットの合計量に対して0.5〜6重量%の金属粉末を加えることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の発熱体組成物。
  8. ガラスフリットが酸化物の重量%表示で:
    Figure 0003610100
    (但し、Mは一種以上のアルカリ金属、MIIはMg、Ca、Sr、Baから選ばれた一種以上のアルカリ土類金属、MIII はSc,Yおよびランタニドから選ばれた一種以上の金属、核形成剤はTiO、ZrO、P、SnO、ZnO、MoO、Ta、Nb、Asから選ばれた少なくとも一種)
    の組成を有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の発熱体組成物。
  9. ガラスフリットが酸化物の重量%表示で:
    Figure 0003610100
    (但し、Mは一種以上のアルカリ金属、MIIはMg、Ca、Sr、Baから選ばれた一種以上のアルカリ土類金属、MIII はSc,Yおよびランタニドから選ばれた一種以上の金属、核形成剤はZrO、P、SnO、ZnO、MoO、Ta、Nb、Asから選ばれた少なくとも一種)
    の組成を有することを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の発熱体組成物。
  10. ガラスフリットが酸化物の重量%表示で:
    Figure 0003610100
    (但し、Mは一種以上のアルカリ金属、MIIはMg、Ca、Sr、Baから選ばれた一種以上のアルカリ土類金属、MIII はSc,Yおよびランタニドから選ばれた一種以上の金属、核形成剤はZrO、P、SnO、ZnO、MoO、Ta、Nb、Asから選ばれた少なくとも一種)
    の組成を有することを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の発熱体組成物。
  11. 請求項1乃至10に記載のいずれかの組成物を成形した後、窒素雰囲気中で焼成して作製されるヒーター。
  12. 請求項2乃至10に記載のいずれかの組成物を成形した後、空気中で焼成して作製されるヒーター。
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