JP2008063188A - Ptcサーミスタ用配合材料およびptcサーミスタ用半導体磁器組成物 - Google Patents

Ptcサーミスタ用配合材料およびptcサーミスタ用半導体磁器組成物 Download PDF

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Abstract


【課題】Pbを使用することなく、常温比抵抗値が低く、正の温度係数や温度に対する比抵抗変化率が大きく、かつ、キュリー点が高温側にシフトしたPTCサーミスタ用半導体磁器組成物及び当該PTCサーミスタ用半導体磁器組成物を得ることができるPTCサーミスタ用配合材料を提供する。
【解決手段】PTCサーミスタ用半導体磁器組成物を、Ba、Ti、Bi、Oの各元素を必須元素として含むとともに、1価のアルカリ金属を一種類以上含むものとする。そして、Biに対する1価のアルカリ金属のモル比Xが0.65≦X≦1.59であり、Nbの含有量が480ppm以下であり、Sb、Ta、各希土類元素の含有量がそれぞれ10ppm以下である。
【選択図】図1

Description

本発明は、ある温度において、その温度以上は電気抵抗値が急激に増加する特徴、いわゆる正の温度係数(または、正の抵抗温度特性)を有するPTCサーミスタ用半導体磁器組成物および当該半導体磁器組成物を得ることができるPTCサーミスタ用配合材料に関する。
チタン酸バリウム(BaTiO)に適当なドーパントを添加することによって、本来は誘電体であるBaTiOを半導体化させることができる。このBaTiO系半導体は、温度を上げていくと、ある温度を境として急激に抵抗値が増加するPTC特性を有することが知られている。このように抵抗値が急激に変化する温度は、サーミスタの特性値の一つと位置付けられており、抵抗値が25℃の常温抵抗値の2倍となる温度は、キュリー点もしくはキュリー温度と呼ばれている。
BaTiO系半導体のキュリー点は、一般的に約120℃であることが知られているが、BaTiO系半導体に対し、SrやCaを添加することによりキュリー点を低温側にシフトさせることができることが知られている。また、Pbを添加することによりキュリー点を高温側にシフトさせることが可能となることも、従来から知られている。このようにして製造されたPTCサーミスタは、キュリー点における急激な抵抗値変化を利用して温度スイッチング用センサー等に、また、正の抵抗温度特性を利用してセラミックヒーター用発熱体として一般に広く使用されている。
しかしながら、近年においては、電子部品の非鉛化が進められており、PTCサーミスタについても、鉛(Pb)を使用しない代替品が求められている。関連する技術として、特許文献1には、Baの置換元素としてPbの替わりにBiとNaとを用いるBaTiO系PTCサーミスタの製造方法が開示されている。この製造方法によれば、BaTiOのBaの一部をBiとNaとで置換したBa1−2X(BiNa)TiOなる構造(0<X≦0.15)の組成物にNb、Ta、または、希土類元素のいずれか一種類以上を添加して、窒素中で焼結した後、酸化性雰囲気中で熱処理するというものである。
また、特許文献2には、Pbを使用しないBaTiO系PTCサーミスタの組成が開示されている。実施形態には、BaTiOのBaの一部を1価アルカリ金属であるNa、K、Liのいずれか一種類以上とBiとで置換し、かつ、Baの一部をLa、Dy、Eu、Gdのいずれか一種類以上、または、Tiの一部をNb、Ta、Sbのいずれか一種類以上で置換した半導体磁器組成物、さらには、前記内容にSi酸化物とCa酸化物とを添加する半導体磁器組成物が種々記載されている。
特開昭56−169301号公報 特開2005−255493号公報
PTCサーミスタ用の半導体磁器組成物組成物の特性としては、常温比抵抗値が低く、正の温度係数や温度に対する比抵抗変化が大きく、かつ、キュリー点が高温側にシフトしていることが求められる。
特許文献1に記載されている半導体磁器組成物は、1価のアルカリ金属であるNaとBiのモル比が1:1である組成物にNb、Taまたは希土類元素のいずれか一種類以上を必須元素として添加し、酸化性雰囲気中で熱処理するものであり、実施例にはNdを添加した内容のみが記載されている。
また、特許文献2に記載されている半導体磁器組成物は、1価のアルカリ金属であるNa、K、Liのいずれか一種類以上とBiのモル比が1:1である組成物にNb、Ta、Sbまたは希土類元素のいずれか一種類以上を必須元素として添加する組成物であり、実施例が常温比抵抗値とキュリー点とともに多数記載されているものの、重要なPTCサーミスタ特性である正の温度係数や温度に対する比抵抗変化については一切記載がない。
本発明者らが検討した結果、特許文献1,2に記載されている半導体磁器組成物では、前述した要求特性を満たすことができない場合があることがわかった。
本発明は、常温比抵抗値が低く、正の温度係数や温度に対する比抵抗変化が大きく、かつ、キュリー点が高温側にシフトしたPTCサーミスタ用半導体磁器組成物及び当該PTCサーミスタ用半導体磁器組成物を得ることができるPTCサーミスタ用配合材料の提供を目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は、Pbを実質的に含まないPTCサーミスタ用配合材料であって、Ba、Ti、Bi、Oの各元素を必須元素として含むとともに、1価のアルカリ金属を一種類以上含み、前記Biに対する前記1価のアルカリ金属のモル比Xが1.03≦X≦3.16であり、Nbの含有量が400ppm以下であり、Sb、Ta、各希土類元素の含有量がそれぞれ10ppm以下であるPTCサーミスタ用配合材料を提供する。
ここで、Nbの含有量が400ppm以下であればよく、Nbを全く含有していなくてもよい。
さらに、Sb、Ta、各希土類元素の含有量もそれぞれ10ppm以下であればよく、Sb、Ta、希土類元素の各元素を全く含有していなくてもよい。
本発明によれば、Pbを使用することなく、常温比抵抗値が低く、正の温度係数や温度に対する比抵抗変化が大きく、かつ、キュリー点が高温側にシフトしたPTCサーミスタ用半導体磁器組成物を形成できる配合材料を得ることができる。
ここで、Pbを実質的に含まないとは、配合材料に原料として意図的にPbを添加しないことをいい、不可避的に含まれてしまうものは含む意味である。具体的には、Pbが10ppm以下であることをいう。
また、本発明によれば、Pbを実質的に含まないPTCサーミスタ用半導体磁器であって、Ba、Ti、Bi、Oの各元素を必須元素として含むとともに、1価のアルカリ金属を一種類以上含み、Biに対する前記1価のアルカリ金属のモル比Xが0.65≦X≦1.59であり、Nbの含有量が480ppm以下であり、Sb、Ta、各希土類元素の含有量がそれぞれ10ppm以下であるPTCサーミスタ用半導体磁器組成物が提供される。
ここで、Nbの含有量が480ppm以下であればよく、Nbを全く含有していなくてもよい。
さらに、Sb、Ta、各希土類元素の含有量もそれぞれ10ppm以下であればよく、Sb、Ta、希土類元素の各元素を全く含有していなくてもよい。
ここで、Pbを実質的に含まないとは、PTCサーミスタ用半導体磁器組成物の原料として意図的にPbを添加しないことをいい、不可避的に含まれてしまうものは含む意味である。具体的には、Pbが10ppm以下であることをいう。
本発明によれば、Pbを使用することなく、常温比抵抗値が低く、正の温度係数や温度に対する比抵抗変化が大きく、かつ、キュリー点が高温側にシフトしたPTCサーミスタ用半導体磁器組成物を得ることができる。
本発明のPTCサーミスタ用配合材料を焼成する際の1価のアルカリ金属とBiの効果作用については正確には不明であるが、次のように推測している。1価のアルカリ金属がBiに対して過剰に含まれる場合、1価のアルカリ金属は、Biを取り込む焼結助剤としての作用を発揮するとともに、1価のアルカリ金属に取り込まれないBiは、半導体化を促す作用を発揮しているものと考えられる。
ここで、特許文献1,2に記載されたような従来のPTCサーミスタ用配合材料では、半導体化を促すために、Nb、Sb、Taまたは希土類元素のいずれかを所定量添加している。しかしながら、本発明者らが検討を行った結果、Nb、Sb、Ta、希土類元素を一定量以上添加した場合には、PTCサーミスタ用半導体磁器組成物の温度に対する比抵抗変化や正の温度係数を低下させてしまうことがわかった。
本発明では、Nb、Sb、Ta及び希土類元素の含有量を所定量以下としているので、正の温度係数や温度に対する比抵抗変化が大きいPTCサーミスタ用半導体磁器組成物を確実に得ることができる。
PTCサーミスタ用配合材料及びPTCサーミスタ用半導体磁器組成物に含まれる1価のアルカリ金属としては、Na、K、Liのうち一種類以上からなることが好ましい。
本発明によれば、Pbを使用することなく、常温比抵抗値が低く、正の温度係数や温度に対する比抵抗変化が大きく、かつ、キュリー点が高温側にシフトしたPTCサーミスタ用半導体磁器組成物及び当該PTCサーミスタ用半導体磁器組成物を得ることができるPTCサーミスタ用配合材料を得ることができる。
以下、本発明を実施するための形態について、図1を参照しながら詳しく説明する。図1は、本発明の実施形態に係るPTCサーミスタ用配合材料及びPTCサーミスタ用半導体磁器組成物の製造方法を示すフローチャートの一例であるが、本発明は以下の例により制限されるものではない。
本実施形態にかかるPTCサーミスタ用配合材料は、Pbを実質的に含まないPTCサーミスタ用配合材料であって、Ba、Ti、Bi、Oの各元素を必須元素として含むとともに、1価のアルカリ金属を一種類以上含み、前記Biに対する前記1価のアルカリ金属のモル比Xが1.03≦X≦3.16であり、Nbの含有量が400ppm以下であり、Sb、Ta、各希土類元素の含有量がそれぞれ10ppm以下であるPTCサーミスタ用配合材料である。
なお、前記1価のアルカリ金属は、Na、K、Liのうち一種類以上を含むものであることが好ましい。
工程S1においては、PTCサーミスタ用配合材料を構成する主原料、副原料を秤量する。主原料としては、BaとTiとOとを含む原料が用いられる。具体的には、BaTiOを用いることが好ましいが、Baを含む原料としてBaCO、Ba(OH)等を、Tiを含む原料としてTiO、TiO(OH)、Ti(OH)等を用いても良い。
副原料としては、BiとTiとOと1価のアルカリ金属とを含む原料が用いられる。Biを含む原料としてBiを、Tiを含む原料としてTiOを、1価のアルカリ金属を含む原料としてNaCO、NaTiO、KTiO、LiTiOを用いることが好ましいが、Bi、Ti及び/または1価のアルカリ金属を含む原料として、Bi(CO、Bi(OH)、TiO(OH)、Ti(OH)、KCO、LiCO、NaTi、NaTi13、KTi、KTi、KTi13等の原料を用いても良い。
PTCサーミスタ用配合材料中の1価のアルカリ金属は、Na、K、Liのうち一種類以上を含むものであることが好ましい。
PTCサーミスタ用配合材料中のBiに対する1価のアルカリ金属のモル比Xを1.03以上とすることで、常温比抵抗値が低く、正の温度係数や温度に対する比抵抗変化が大きく、かつ、キュリー点が高温側にシフトしたPTCサーミスタ用半導体磁器組成物を得ることができる。
なかでも、PTCサーミスタ用配合材料中のBiに対する1価のアルカリ金属のモル比Xが1.27以上であることが好ましい。この場合には、広い本焼成温度範囲で上述の優れた特性を有するPTCサーミスタ用半導体磁器組成物を得ることができる。
また、PTCサーミスタ用配合材料中のBiに対する1価のアルカリ金属のモル比Xを3.16以下とすることで、経時的に安定したPTCサーミスタ用半導体磁器組成物を得ることができる。なかでも、PTCサーミスタ用配合材料中のBiに対する1価のアルカリ金属のモル比Xが2.50以下であることが好ましい。この場合には、経時的安定性に加えて、1価のアルカリ金属原料の使用量が減少でき、製造コストを抑制できるという効果がある。
主原料中のBaに対する副原料中のBiのモル比は、要求されるキュリー点に応じて任意に設定でき、キュリー点を高温側にシフトさせるためには、主原料中のBaに対する副原料中のBiのモル比を大きくすれば良い。
具体的には、PTCサーミスタ用配合材料中のBaに対するBiのモル比の下限については特に制限はないが、0.005以上であることが好ましい。このようにすることで、キュリー点を高温側に確実にシフトさせることができる。
また、PTCサーミスタ用配合材料中のBaに対するBiのモル比の上限については特に制限はないが、0.100以下であることが好ましい。このようにすることで、常温比抵抗値を確実に低くし、かつ、度に対する比抵抗変化を確実に大きくすることができる。たとえば、常温比抵抗値を1×10Ωcm以下で、温度に対する比抵抗変化(280℃/25℃)が5×10以上とすることができる。
ここで、PTCサーミスタ用配合材料において、Nbの含有量が400ppm以下であり、Sb、Ta、各希土類元素の含有量がそれぞれ10ppm以下である必要がある。
PTCサーミスタ用配合材料を構成する主原料、副原料に対し、Nb、Sb、Ta、希土類元素の各元素を含有する添加物を添加して、含有量を調整してもよい。
また、主原料や副原料(たとえば、BaTiOや、TiO等)に、元来、Nb、Sb、Ta、希土類元素が含まれているものを使用し、Nb、Sb、Ta、希土類元素の添加量を前述した範囲内のものとしてもよい。
なお、Nbの含有量が400ppm以下であればよく、Nbを全く含有していなくてもよい。
さらに、Sb、Ta、各希土類元素の含有量もそれぞれ10ppm以下であればよく、Sb、Ta、希土類元素の各元素を全く含有していなくてもよい。
工程S2における各原料の混合は、主原料と副原料とが十分に混合されるような方法であれば良く、本実施形態においては、たとえば、各原料の合計60gとイオン交換水180mLと直径3mmのジルコニアビーズ250gとを内容積700mLのポリエチレン製ボールミル容器に入れ、100rpmで1時間混合を行う。
工程S3における混合スラリーの乾燥は、各原料が偏在することなく均一に混合された状態で乾燥する方法であれば良く、本実施形態においては、混合粉砕が終了したスラリー全量をボールミル容器から取り出し、加熱ミキサーを使用して80℃で15時間行う。
工程S4における乾燥物の成型は、ドクターブレード法や押し出し成型法等を用いることができるが、本実施形態においては、内径40mm×15mmの金型に20gの原料を入れ、49MPaの圧力で加圧成型してブロック状の成型体を得る。
工程S5における仮焼成は、原料粉末の組成均一化や本焼成後の成型組成物の強度を増加させるため、中間反応生成物を作製しておくことを目的として行われる。従って、仮焼成の焼成温度は、本焼成における焼成温度よりも低い900℃前後とする。本実施形態においては、箱型炉を用いて、昇温速度を180℃/時間、875℃での保持時間を2時間、炉冷時の降温速度を350℃/時間として空気中で成型体を仮焼成する。
なお、工程S4及びS5においては、成型することなく仮焼成しても良く、回分式あるいは連続式回転焼成炉等を用いることもできる。また、仮焼成は還元性雰囲気であっても構わない。
工程S6における仮焼成物の粉砕は、本実施形態においては、電動式のメノウ乳鉢で粗粉砕した後、前記工程S2と同条件で行い、工程S7における粉砕スラリーの乾燥は、前記工程S3と同条件で行う。
なお、工程S6の仮焼成物の粉砕は、45μm以上の粗大粒子が残っている場合は、ポリエチレン製ボールミル容器の回転時間を任意に延長すればよい。
工程S8におけるバインダーの混合及びその後の整粒は、造粒機を用いて、前記の乾燥粉末に対して有効成分で1〜5wt%を噴霧添加して行う。これにより、下記の工程S9の金型による成型に適した原料の整粒物が得られる。バインダーとしては、1価のアルカリ金属を含まない水系バインダーや溶剤系バインダーを用いることができ、本実施形態においては、乾燥粉末に対して有効成分で2wt%の水系バインダーを噴霧添加する。
なお、工程S7及びS8においては、仮焼成物の粉砕スラリーにバインダーを混合し、スプレードライヤー等の気流乾燥装置を用いることもできる。
工程S9における原料整粒物の成型は、ドクターブレード法や押し出し成型法等を用いることができるが、本実施形態においては、内径10mmの金型に0.7gの原料を入れ、196MPaの圧力で加圧成型してブロック状の成型体を得る方法で行なう。
工程S10における成型体の本焼成は、種々の焼成炉を用いることができ、焼成温度は、1100℃〜1350℃、より好ましくは、1150℃〜1250℃とする。例えば、箱型炉を用いて、昇温速度を180℃/時間、1200℃での保持時間を2時間、炉冷時の降温速度を350℃/時間として空気中で成型体を焼成する。なお、本焼成は還元性雰囲気であっても構わない。焼成温度、焼成時間等の種々の条件を調整することにより、Pbを実質的に含まないPTCサーミスタ用半導体磁器であって、Ba、Ti、Bi、Oの各元素を必須元素として含むとともに、1価のアルカリ金属を一種類以上含み、Biに対する前記1価のアルカリ金属のモル比Xが0.65≦X≦1.59であり、Nbの含有量が480ppm以下であり、Sb、Ta、各希土類元素の含有量がそれぞれ10ppm以下であるPTCサーミスタ用半導体磁器組成物を得ることができる。
PTCサーミスタ用半導体磁器組成物中のBiに対する1価のアルカリ金属のモル比Xを0.65以上とすることで、常温比抵抗値が低く、正の温度係数や温度に対する比抵抗変化が大きく、かつ、キュリー点が高温側にシフトしたPTCサーミスタ用半導体磁器組成物とすることができる。
なかでも、PTCサーミスタ用半導体磁器組成物中のBiに対する1価のアルカリ金属のモル比Xが0.72以上であることが好ましい。この場合には、温度に対する比抵抗変化を確実に大きくすることができる。たとえば、280℃における比抵抗値が10Ωcm以上となり、温度に対する比抵抗変化(280℃/25℃)が10以上となる効果がある。
また、PTCサーミスタ用半導体磁器組成物中のBiに対する1価のアルカリ金属のモル比Xを1.59以下とすることで、経時的に安定したPTCサーミスタ用半導体磁器組成物とすることができる。なかでも、PTCサーミスタ用半導体磁器組成物中のBiに対する1価のアルカリ金属のモル比Xが1.38以下であることが好ましい。この場合には、経時的安定性に加えて、1価のアルカリ金属原料の使用量が減少でき、製造コストを抑制できる。
なお、前記1価のアルカリ金属は、Na、K、Liのうち一種類以上を含むものであることが好ましい。
さらに、PTCサーミスタ用半導体磁器組成物中Baに対するBiのモル比は0.005以上であることが好ましい。このようにすることで、キュリー点を高温側に確実にシフトさせることができる。
また、PTCサーミスタ用半導体磁器組成物中のBaに対するBiのモル比は0.100以下であることが好ましい。このようにすることで、常温比抵抗値を確実に低くするとともに、温度に対する比抵抗変化(280℃/25℃)を確実に高くすることができる。たとえば、常温比抵抗値を1×10Ωcm以下、温度に対する比抵抗変化(280℃/25℃)を5×10以上とすることができる。
さらに、Nbの含有量が480ppm以下であればよく、Nbを全く含有していなくてもよい。
さらに、Sb、Ta、各希土類元素の含有量もそれぞれ10ppm以下であればよく、Sb、Ta、希土類元素の各元素を全く含有していなくてもよい。
工程S11におけるPTCサーミスタ用半導体磁器組成物への電極形成は、焼成によって得られたPTCサーミスタ用半導体磁器組成物の両面に導電性ペーストを塗布した後に焼付け、二つの電極を形成することにより成される。本実施形態においては、導電性ペーストとして、銀ペーストを用い、塗布した後に580℃で10分の焼付けを行う。これによりPTCサーミスタが得られる。
なお、PTCサーミスタ用配合材料は、上記の工程S2〜S9の各工程で得られるものを指し、PTCサーミスタ用半導体磁器組成物は、上記の工程S10で得られるものを指す。
すなわち、PTCサーミスタ用配合材料は、本焼成が行われておらず、PTC特性を有していないものである。一方、PTCサーミスタ用半導体磁器組成物は、本焼成が行われたものであり、半導体化され、PTC特性を有しているものである。
また、PTCサーミスタ用配合材料、PTCサーミスタ用半導体磁器組成物中のBiに対する1価のアルカリ金属のモル比X1、Biに対する1価のアルカリ金属のモル比X、Nb、Sb、Ta及び希土類元素の含有量等は、化学分析や吸光光度法、原子吸光光度法、ICP法などの機器分析により検出し、計測することができる。
以下、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の例により制限されるものではない。
[PTCサーミスタ用配合材料及びPTCサーミスタ用半導体磁器組成物]
表1は、No.1〜No.30、No.31〜44におけるPTCサーミスタ用配合材料及びPTCサーミスタ用半導体磁器組成物の組成内容を示し、表2は、PTCサーミスタ用配合材料及びPTCサーミスタ用半導体磁器組成物中のNb、Sb、Ta及び希土類元素の含有濃度を示す。また、表3は、No.1〜No.30、No.31〜44で得たPTCサーミスタ用半導体磁器組成物の作製直後及び25℃、相対湿度50%の条件下で3ケ月間保管した後の25℃の常温比抵抗値、キュリー点の比抵抗値、キュリー点から50℃高温側の比抵抗値、280℃の比抵抗値、正の温度係数、比抵抗変化及びキュリー点を示す。No.1〜No.30は本発明の実施例に該当するものであり、No.31〜44は本発明の比較例に該当するものである。
(No.1)
No.1では、前記実施形態と同様に、主原料としてBaTiOを使用した。また、副原料中のBiを含む原料としてBiを、Tiを含む原料としてNb含有量が10ppm以下であるTiOを、1価のアルカリ金属原料としてNaTiOを用いた。
Biに対するNaのモル比Xが2.00、Baに対するBiのモル比が0.040となるよう各原料を秤量調合し、Nb、Sb、Ta、各希土類元素の含有量がそれぞれ10ppm以下であるPTCサーミスタ用配合材料を得た。
その後、工程S2〜11を前記実施形態と同様に行い、Pbを実質的に含まず、Biに対するNaのモル比Xが1.13、Baに対するBiのモル比が0.040であり、Nb、Sb、Ta、各希土類元素の含有量がそれぞれ10ppm以下であるPTCサーミスタ用半導体磁器組成物を得た。工程S10において、大気中雰囲気での本焼成温度は1200℃とした。
(No.2)
No.2では、工程S1において、1価のアルカリ金属原料としてNaCOを用いた。他の点はNo.1と同様である。
Pbを実質的に含まず、Biに対するNaのモル比Xが1.13、Baに対するBiのモル比が0.040であり、Nb、Sb、Ta、各希土類元素の含有量がそれぞれ10ppm以下であるPTCサーミスタ用半導体磁器組成物を得た。
(No.3)
No.3では、工程S1において、主原料として、BaCOとNb含有量が10ppm以下であるTiOとを使用した。他の点はNo.2と同様である。
(No.4)
No.4では、工程S1において、主原料として、BaCOとNb含有量が140ppmであるTiOを使用した。PTCサーミスタ用配合材料中のNbの含有量は40ppmであり、Sb、Ta、各希土類元素の含有量がそれぞれ10ppm以下であった。
他の点はNo.3と同様である。
Pbを実質的に含まず、Biに対するNaのモル比Xが1.13、Baに対するBiのモル比が0.040であり、Nbの含有量が50ppm、Sb、Ta、希土類元素の含有量がそれぞれ10ppm以下であるPTCサーミスタ用半導体磁器組成物を得た。
(No.5)
No.5では、工程S1において、主原料として、BaCOとNb含有量が1,400ppmであるTiOを使用した。PTCサーミスタ用配合材料中のNbの含有量は400ppmであり、Sb、Ta、各希土類元素の含有量がそれぞれ10ppm以下であった。
他の点はNo.3と同様である。
Pbを実質的に含まず、Biに対するNaのモル比Xが1.13、Baに対するBiのモル比が0.040であり、Nbの含有量が480ppm、Sb、Ta、各希土類元素の含有量がそれぞれ10ppm以下であるPTCサーミスタ用半導体磁器組成物を得た。
(No.6)
No.6では、工程S1において、1価のアルカリ金属原料としてKTiOを用い、Biに対するKのモル比Xが2.00となるよう各原料を秤量調合しPTCサーミスタ用配合材料を得た。他の点はNo.1と同様である。Pbを実質的に含まず、Biに対するKのモル比Xが1.13、Baに対するBiのモル比が0.040であり、Nb、Sb、Ta、各希土類元素の含有量がそれぞれ10ppm以下であるPTCサーミスタ用半導体磁器組成物を得た。
(No.7)
No.7では、工程S1において、1価のアルカリ金属原料としてLiTiOを用い、Biに対するLiのモル比Xが2.00となるよう各原料を秤量調合し、PTCサーミスタ用配合材料を得た。他の点はNo.1と同様である。
Pbを実質的に含まず、Biに対するLiのモル比Xが1.13、Baに対するBiのモル比が0.040であり、Nb、Sb、Ta、各希土類元素の含有量がそれぞれ10ppm以下であるPTCサーミスタ用半導体磁器組成物を得た。
(No.8)
No.8では、工程S1において、1価のアルカリ金属原料としてNaTiOとKTiOとLiTiOとを等モル用い、Biに対するNa、K、Liの合計モル比Xが2.01となるよう各原料を秤量調合しPTCサーミスタ用配合材料を得た。他の点はNo.1と同様である。
Pbを実質的に含まず、Biに対するNa、K、Liの合計モル比Xが1.13、Baに対するBiのモル比が0.040であり、Nb、Sb、Ta、各希土類元素の含有量がそれぞれ10ppm以下であるPTCサーミスタ用半導体磁器組成物を得た。
(No.9)
No.9では、工程S1において、Biに対するNaのモル比Xが3.16となるよう各原料を秤量調合し、工程S10において、1250℃で本焼成して、PTCサーミスタ用配合材料を得た。他の点はNo.1と同様である。
Pbを実質的に含まず、Biに対するNaのモル比Xが1.59、Baに対するBiのモル比が0.040であり、Nb、Sb、Ta、各希土類元素の含有量がそれぞれ10ppm以下であるPTCサーミスタ用半導体磁器組成物を得た。
(No.10)
No.10では、工程S1において、Biに対するNaのモル比Xが3.00となるよう各原料を秤量調合し、工程S10において、1225℃で本焼成し、PTCサーミスタ用配合材料を得た。他の点はNo.1と同様である。
Pbを実質的に含まず、Biに対するNaのモル比Xが1.58、Baに対するBiのモル比が0.040であり、Nb、Sb、Ta、各希土類元素の含有量がそれぞれ10ppm以下であるPTCサーミスタ用半導体磁器組成物を得た。
(No.11)
No.11では、工程S10において、1250℃で本焼成したこと以外はNo.10と同様に行い、Pbを実質的に含まず、Biに対するNaのモル比Xが1.51、Baに対するBiのモル比が0.040であり、Nb、Sb、Ta、各希土類元素の含有量がそれぞれ10ppm以下であるPTCサーミスタ用半導体磁器組成物を得た。
(No.12)
No.12では、工程S1において、Biに対するNaのモル比Xが2.50となるよう各原料を秤量調合しPTCサーミスタ用配合材料を得た。他の点はNo.1と同様である。
Pbを実質的に含まず、Biに対するNaのモル比Xが1.38、Baに対するBiのモル比が0.040であり、Nb、Sb、Ta、各希土類元素の含有量がそれぞれ10ppm以下であるPTCサーミスタ用半導体磁器組成物を得た。
(No.13)
No.13では、工程S1において、Biに対するNaのモル比Xが1.75となるよう各原料を秤量調合しPTCサーミスタ用配合材料を得た。他の点はNo.1と同様である。
Pbを実質的に含まず、Biに対するNaのモル比Xが1.05、Baに対するBiのモル比が0.040であり、Nb、Sb、Ta、各希土類元素の含有量がそれぞれ10ppm以下であるPTCサーミスタ用半導体磁器組成物を得た。
(No.14)
No.14では、工程S1において、Biに対するNaのモル比Xが1.66となるよう各原料を秤量調合しPTCサーミスタ用配合材料を得た。他の点はNo.1と同様である。
Pbを実質的に含まず、Biに対するNaのモル比Xが1.00、Baに対するBiのモル比が0.040であり、Nb、Sb、Ta、各希土類元素の含有量がそれぞれ10ppm以下であるPTCサーミスタ用半導体磁器組成物を得た。
(No.15)
No.15では、工程S1において、Biに対するNaのモル比Xが1.50となるよう各原料を秤量調合しPTCサーミスタ用配合材料を得た。他の点はNo.1と同様である。
Pbを実質的に含まず、Biに対するNaのモル比Xが0.91、Baに対するBiのモル比が0.040であり、Nb、Sb、Ta、各希土類元素の含有量がそれぞれ10ppm以下であるPTCサーミスタ用半導体磁器組成物を得た。
(No.16)
No.16では、工程S1において、Biに対するNaのモル比Xが1.27となるよう各原料を秤量調合し、工程S10において、1150℃で本焼成し、PTCサーミスタ用配合材料を得た。他の点はNo.1と同様である。
Pbを実質的に含まず、Biに対するNaのモル比Xが0.80、Baに対するBiのモル比が0.040であり、Nb、Sb、Ta、各希土類元素の含有量がそれぞれ10ppm以下であるPTCサーミスタ用半導体磁器組成物を得た。
(No.17)
No.17では、工程S10において、1200℃で本焼成したこと以外はNo.16と同様に行い、Pbを実質的に含まず、Biに対するNaのモル比Xが0.77、Baに対するBiのモル比が0.040であり、Nb、Sb、Ta、各希土類元素の含有量がそれぞれ10ppm以下であるPTCサーミスタ用半導体磁器組成物を得た。
(No.18)
No.18では、工程S10において、1250℃で本焼成したこと以外はNo.16と同様に行い、Pbを実質的に含まず、Biに対するNaのモル比Xが0.72、Baに対するBiのモル比が0.040であり、Nb、Sb、Ta、各希土類元素の含有量がそれぞれ10ppm以下であるPTCサーミスタ用半導体磁器組成物を得た。
(No.19)
No.19では、工程S1において、Biに対するNaのモル比Xが1.10となるよう各原料を秤量配合しPTCサーミスタ用配合材料を得た。他の点はNo.1と同様である。
Pbを実質的に含まず、Biに対するNaのモル比Xが0.67、Baに対するBiのモル比が0.040であり、Nb、Sb、Ta、各希土類元素の含有量がそれぞれ10ppm以下であるPTCサーミスタ用半導体磁器組成物を得た。
(No.20)
No.20では、工程S1において、Biに対するNaのモル比Xが1.06となるよう各原料を秤量調合し、工程S10において、1150℃で本焼成しPTCサーミスタ用配合材料を得た。他の点はNo.1と同様である。
Pbを実質的に含まず、Biに対するNaのモル比Xが0.67、Baに対するBiのモル比が0.040であり、Nb、Sb、Ta、各希土類元素の含有量がそれぞれ10ppm以下であるPTCサーミスタ用半導体磁器組成物を得た。
(No.21)
No.21では、工程S10において、1200℃で本焼成したこと以外はNo.20と同様に行い、Pbを実質的に含まず、Biに対するNaのモル比Xが0.65、Baに対するBiのモル比が0.040であり、Nb、Sb、Ta、各希土類元素の含有量がそれぞれ10ppm以下であるPTCサーミスタ用半導体磁器組成物を得た。
(No.22)
No.22では、工程S1において、Biに対するNaのモル比Xが1.03となるよう各原料を秤量調合し、工程S10において、1150℃で本焼成しPTCサーミスタ用配合材料を得た。他の点はNo.1と同様である。
Pbを実質的に含まず、Biに対するNaのモル比Xが0.65、Baに対するBiのモル比が0.040であり、Nb、Sb、Ta、各希土類元素の含有量がそれぞれ10ppm以下であるPTCサーミスタ用半導体磁器組成物を得た。
(No.23)
No.23では、工程S1において、Baに対するBiのモル比が0.005となるよう各原料を秤量配合しPTCサーミスタ用配合材料を得た。他の点はNo.1と同様である。
Pbを実質的に含まず、Biに対するNaのモル比Xが1.13、Baに対するBiのモル比が0.005であり、Nb、Sb、Ta、各希土類元素の含有量がそれぞれ10ppm以下であるPTCサーミスタ用半導体磁器組成物を得た。
(No.24)
No.24では、工程S1において、Baに対するBiのモル比が0.010となるよう各原料を秤量調合しPTCサーミスタ用配合材料を得た。他の点はNo.1と同様である。
Pbを実質的に含まず、Biに対するNaのモル比Xが1.13、Baに対するBiのモル比が0.010であり、Nb、Sb、Ta、各希土類元素の含有量がそれぞれ10ppm以下であるPTCサーミスタ用半導体磁器組成物を得た。
(No.25)
No.25では、工程S1において、Baに対するBiのモル比が0.027となるよう各原料を秤量調合しPTCサーミスタ用配合材料を得た。他の点はNo.1と同様である。
Pbを実質的に含まず、Biに対するNaのモル比Xが1.13、Baに対するBiのモル比が0.027であり、Nb、Sb、Ta、各希土類元素の含有量がそれぞれ10ppm以下であるPTCサーミスタ用半導体磁器組成物を得た。
(No.26)
No.26では、工程S1において、Baに対するBiのモル比が0.053となるよう各原料を秤量調合しPTCサーミスタ用配合材料を得た。他の点はNo.1と同様である。
Pbを実質的に含まず、Biに対するNaのモル比Xが1.13、Baに対するBiのモル比が0.053であり、Nb、Sb、Ta、各希土類元素の含有量がそれぞれ10ppm以下であるPTCサーミスタ用半導体磁器組成物を得た。
(No.27)
No.27では、工程S1において、1価のアルカリ金属原料としてKTiOを用い、Baに対するBiのモル比が0.053となるよう各原料を秤量調合しPTCサーミスタ用配合材料を得た。他の点はNo.1と同様である。
Pbを実質的に含まず、Biに対するKのモル比Xが1.13、Baに対するBiのモル比が0.053であり、Nb、Sb、Ta、各希土類元素の含有量がそれぞれ10ppm以下であるPTCサーミスタ用半導体磁器組成物を得た。
(No.28)
No.28では、工程S1において、1価のアルカリ金属原料としてKTiOを用い、Baに対するBiのモル比が0.075となるよう各原料を秤量調合しPTCサーミスタ用配合材料を得た。他の点はNo.1と同様である。
Pbを実質的に含まず、Biに対するKのモル比Xが1.13、Baに対するBiのモル比が0.075であり、Nb、Sb、Ta、各希土類元素の含有量がそれぞれ10ppm以下であるPTCサーミスタ用半導体磁器組成物を得た。
(No.29)
No.29では、工程S1において、1価のアルカリ金属原料としてKTiOを用い、Baに対するBiのモル比が0.100となるよう各原料を秤量配合しPTCサーミスタ用配合材料を得た。他の点はNo.1と同様である。
Pbを実質的に含まず、Biに対するNaのモル比Xが1.13、Baに対するBiのモル比が0.100であり、Nb、Sb、Ta、各希土類元素の含有量がそれぞれ10ppm以下であるPTCサーミスタ用半導体磁器組成物を得た。
(No.30)
No.30では、工程S1において、1価のアルカリ金属原料としてKTiOを用い、Baに対するBiのモル比が0.110となるよう各原料を秤量配合しPTCサーミスタ用配合材料を得た。他の点はNo.1と同様である。
Pbを実質的に含まず、Biに対するNaのモル比Xが1.13、Baに対するBiのモル比が0.110であり、Nb、Sb、Ta、各希土類元素の含有量がそれぞれ10ppm以下であるPTCサーミスタ用半導体磁器組成物を得た。
(No.31)
No.31では、工程S1において、Biに対するNaのモル比Xが3.19となるよう各原料を秤量調合し、工程S10において、1225℃で本焼成した。他の点は以外はNo.1と同様である。Pbを実質的に含まずBiに対するNaのモル比Xが1.68、Baに対するBiのモル比が0.040であり、Nb、Sb、Ta、各希土類元素の含有量がそれぞれ10ppm以下であるPTCサーミスタ用半導体磁器組成物を得た。
(No.32)
No.32では、工程S10において、1250℃で本焼成した。他の点はNo.31と同様である。Pbを実質的に含まず、Biに対するNaのモル比Xが1.61、Baに対するBiのモル比が0.040であり、Nb、Sb、Ta、各希土類元素の含有量がそれぞれ10ppm以下であるPTCサーミスタ用半導体磁器組成物を得た。
(No.33)
No.33では、工程S1において、Biに対するNaのモル比Xが1.00となるよう各原料を秤量調合し、工程S10において、1100℃で本焼成したこと以外はNo.1と同様に行い、Pbを実質的に含まず、Biに対するNaのモル比Xが0.64、Baに対するBiのモル比が0.040であり、Nb、Sb、Ta、各希土類元素の含有量がそれぞれ10ppm以下であるPTCサーミスタ用半導体磁器組成物(絶縁体)を得た。
(No.34)
No.34では、工程S10において、1150℃で本焼成したこと以外はNo.33と同様に行い、Pbを実質的に含まず、Biに対するNaのモル比Xが0.63、Baに対するBiのモル比が0.040であり、Nb、Sb、Ta、各希土類元素の含有量がそれぞれ10ppm以下であるPTCサーミスタ用半導体磁器組成物を得た。
(No.35)
No.35では、工程S10において、1200℃で本焼成したこと以外はNo.33と同様に行い、Pbを実質的に含まず、Biに対するNaのモル比Xが0.62、Baに対するBiのモル比が0.040であり、Nb、Sb、Ta、各希土類元素の含有量がそれぞれ10ppm以下であるPTCサーミスタ用半導体磁器組成物を得た。
(No.36)
No.36では、工程S10において、1250℃で本焼成したこと以外はNo.33と同様に行い、Pbを実質的に含まず、Biに対するNaのモル比Xが0.58、Baに対するBiのモル比が0.040であり、Nb、Sb、Ta、各希土類元素の含有量がそれぞれ10ppm以下であるPTCサーミスタ用半導体磁器組成物(絶縁体)を得た。
(No.37)
No.37では、工程S1において、Nbを添加し、Baに対するNbモル比が0.0054となるよう各原料を秤量調合したこと以外はNo.1と同様に行った。PTCサーミスタ用配合材料中のNbの含有量は2010ppmであり、Sb、Ta、各希土類元素の含有量はそれぞれ10ppm以下である。
Pbを実質的に含まず、Biに対するNaのモル比Xが1.13、Baに対するBiのモル比が0.040、Baに対するNbのモル比が0.0054であり、Nbの含有量が2020ppm、Sb、Ta、各希土類元素の含有量がそれぞれ10ppm以下であるPTCサーミスタ用半導体磁器組成物を得た。
(No.38)
No.38では、工程S1において、Sbを添加し、Baに対するSbのモル比が0.0054となるよう各原料を秤量調合した以外はNo.1と同様に行った。PTCサーミスタ用配合材料中のSbの含有量は2650ppmであり、Nb、Ta、各希土類元素の含有量はそれぞれ10ppm以下である。
Pbを実質的に含まず、Biに対するNaのモル比Xが1.13、Baに対するBiのモル比が0.040、Baに対するSbのモル比が0.0054であり、Sbの含有量が2660ppm、Nb、Ta、各希土類元素の含有量がそれぞれ10ppm以下であるPTCサーミスタ用半導体磁器組成物を得た。
(No.39)
No.39では、工程S1において、Taを添加し、Baに対するTaのモル比が0.0054となるよう各原料を秤量調合した以外はNo.1と同様に行った。PTCサーミスタ用配合材料中のTaの含有量は3930ppmであり、Nb,Sb、各希土類元素の含有量はそれぞれ10ppm以下である。
Pbを実質的に含まず、Biに対するNaのモル比Xが1.13、Baに対するBiのモル比が0.040、Baに対するTaのモル比が0.0054であり、Taの含有量が3950ppmであり、Nb,Sb、各希土類元素の含有量がそれぞれ10ppm以下であるPTCサーミスタ用半導体磁器組成物を得た。
(No.40)
No.40では、工程S1において、Laを添加し、Baに対するLaのモル比が0.0054となるよう各原料を秤量調合した以外はNo.1と同様に行った。PTCサーミスタ用配合材料中のLaの含有量は3010ppmであり、Nb,Sb、Ta、その他の各希土類元素の含有量は、それぞれ10ppm以下である。
Pbを実質的に含まず、Biに対するNaのモル比Xが1.13、Baに対するBiのモル比が0.040、Baに対するLaのモル比が0.0054であり、Laの含有量が3020ppmであり、Nb,Sb、Ta、その他の各希土類元素の含有量がそれぞれ10ppm以下であるPTCサーミスタ用半導体磁器組成物を得た。
(No.41)
No.41では、工程S1において、Nbを添加し、Baに対するNbのモル比が0.0054となるよう各原料を秤量調合したこと以外はNo.14と同様に行った。
PTCサーミスタ用配合材料中のNbの含有量は2020ppmであり、Sb、Ta、各希土類元素の含有量はそれぞれ10ppm以下である。
Pbを実質的に含まず、Biに対するNaのモル比Xが1.00、Baに対するBiのモル比が0.040、Baに対するNbのモル比が0.0054であり、Nbの含有量が2030ppmであり、Sb、Ta、各希土類元素の含有量がそれぞれ10ppm以下であるPTCサーミスタ用半導体磁器組成物を得た。
(No.42)
No.42では、工程S1において、Sbを添加し、Baに対するSbのモル比が0.0054となるよう各原料を秤量調合したこと以外はNo.14と同様に行った。
PTCサーミスタ用配合材料中のSbの含有量は2660ppmであり、Nb、Ta、各希土類元素の含有量はそれぞれ10ppm以下である。
Pbを実質的に含まず、Biに対するNaのモル比Xが1.00、Baに対するBiのモル比が0.040、Baに対するSbのモル比が0.0054であり、Sbの含有量が2670ppmであり、Nb、Ta、各希土類元素の含有量がそれぞれ10ppm以下であるPTCサーミスタ用半導体磁器組成物を得た。
(No.43)
No.43では、工程S1において、Nbを添加し、Baに対するNbのモル比が0.0054となるよう各原料を秤量調合したこと以外はNo.35と同様に行った。
PTCサーミスタ用配合材料中のNbの含有量は2030ppmであり、Sb、Ta、各希土類元素の含有量はそれぞれ10ppm以下である。
Pbを実質的に含まず、Biに対するNaのモル比Xが0.62、Baに対するBiのモル比が0.040、Baに対するNbのモル比が0.0054であり、Nbの含有量が2040ppmであり、Sb、Ta、各希土類元素の含有量がそれぞれ10ppm以下であるPTCサーミスタ用半導体磁器組成物を得た。
(No.44)
No.44では、工程S1において、Nbを添加し、Baに対するNbのモル比が0.0054となるよう各原料を秤量調合したこと以外はNo.36と同様に行った。
PTCサーミスタ用配合材料中のNbの含有量は2030ppmであり、Sb、Ta、各希土類元素の含有量はそれぞれ10ppm以下である。
Pbを実質的に含まず、Biに対するNaのモル比Xが0.58、Baに対するBiのモル比が0.040、Baに対するNbのモル比が0.0054であり、Nbの含有量が2040ppmであり、Sb、Ta、各希土類元素の含有量がそれぞれ10ppm以下であるPTCサーミスタ用半導体磁器組成物(絶縁体)を得た。
Figure 2008063188
Figure 2008063188
[PTCサーミスタ用半導体磁器組成物の評価]
No.1〜44で得たPTCサーミスタ用半導体磁器組成物の比抵抗値の温度特性を、加熱オーブンを用いて各PTCサーミスタ用半導体磁器組成物を加熱することにより測定し評価した。表2は、各PTCサーミスタ用半導体磁器組成物の25℃の常温比抵抗値、キュリー点の比抵抗値、キュリー点から50℃高温側の比抵抗値、280℃の比抵抗値、正の温度係数、比抵抗変化及びキュリー点を示す。なお、正の温度係数は、以下の式により求めた値であり、比抵抗変化率は、280℃の比抵抗値を25℃の常温比抵抗値で除した値である。

正の温度係数[%/℃]=2.303×log(R/R) ×100
−T

:キュリー点の比抵抗値 [Ωcm]
:キュリー点から50℃高温側の比抵抗値 [Ωcm]
:キュリー点(=キュリー温度) [℃]
:キュリー点+50℃ [℃]
また、本実施形態で得られるPTCサーミスタ用半導体磁器組成物の安定性を調べるため、No.1、No.9〜12、No.31,32で得たPTCサーミスタ用半導体磁器組成物を25℃、相対湿度50%の条件下で3ケ月間保管した後に比抵抗値の温度特性を測定し評価した。表4は、No.1、No.9〜12、No.31,32で得たPTCサーミスタ用半導体磁器組成物の作製直後及び25℃、相対湿度50%の条件下で3ケ月間保管した後の25℃の常温比抵抗値、キュリー点の比抵抗値、キュリー点から50℃高温側の比抵抗値、280℃の比抵抗値、正の温度係数、比抵抗変化及びキュリー点を示す。
Figure 2008063188
Figure 2008063188
図2は、No.1〜8で得たPTCサーミスタ用半導体磁器組成物の比抵抗値の温度特性を示す。なお、図2〜6においては、横軸を測定温度(℃)、横軸を比抵抗値(Ωcm)とし、測定温度毎(25,50,80,100,120,140,160,180,200,220,240,260及び280℃)に比抵抗値をプロットしたグラフである。
表1〜3及び図2に示したNo.1〜8の結果から、Ba、Ti、Bi、Oを必須元素として含み、Biに対するNa、K及びLiの一種類以上の合計モル比Xを2.00(あるいは2.01)、Baに対するBiのモル比を0.040とし、Nbの含有量が400ppm以下であり、Sb、Ta、希土類元素の各元素の含有量がそれぞれ10ppm以下であるPTCサーミスタ用配合材料を本焼成することで、Biに対するNa、K及びLiの一種類以上の合計モル比Xが1.13、Baに対するBiのモル比が0.040となり、Nbの含有量が480ppm以下であり、Sb、Ta、希土類元素の各元素の含有量がそれぞれ10ppm以下であるPTCサーミスタ用半導体磁器組成物を得ることができることがわかる。
PTCサーミスタ用半導体磁器組成物のPTC特性においては、常温比抵抗値が100Ωcm前後と低く、温度に対する比抵抗変化が10〜10と大きく、正の温度係数が10%/℃以上で、かつ、キュリー点が高温側にあることが分かる。
表1〜3に示したNo.9〜22の結果から、Ba、Ti、Bi、Oを必須元素として含み、Biに対するNaのモル比Xを1.03≦X≦3.16とし、Baに対するBiのモル比を0.040とし、Nb、Sb、Ta、希土類元素の各元素の含有量がそれぞれ10ppm以下であるPTCサーミスタ用配合材料を本焼成することで、Biに対するNaのモル比Xが0.65≦X≦1.59、Baに対するBiのモル比が0.040であり、Nb、Sb、Ta、希土類元素の各元素の含有量がそれぞれ10ppm以下であるPTCサーミスタ用半導体磁器組成物を得ることができることがわかる。
PTCサーミスタ用半導体磁器組成物は、常温比抵抗値が48〜350Ωcmと低く、温度に対する比抵抗変化が10〜10と大きく、正の温度係数が8%/℃以上で、かつ、キュリー点が高温側にシフトしていることが分かる。
また、Biに対するNaのモル比Xを1.27以上としたPTCサーミスタ用配合材料を本焼成することで、Biに対するNaのモル比Xが0.72以上のPTCサーミスタ用半導体磁器組成物を得、280℃における比抵抗値が10Ωcm以上となり、温度に対する比抵抗変化(280℃/25℃)が10以上と大きく、正の温度係数が9%/℃以上となり、より優れたPTC特性を示していることが分かる。
図3は、No.1及びNo.23〜30で得たPTCサーミスタ用半導体磁器組成物の比抵抗値の温度特性を示す。
表1〜2及び図3に示したNo.1及びNo.23〜30の結果から、Ba、Ti、Bi、Oを必須元素として含み、Biに対するNaまたはKのモル比Xを2.00、Baに対するBiのモル比を0.005〜0.110とし、Nb、Sb、Ta、希土類元素の各元素の含有量がそれぞれ10ppm以下であるPTCサーミスタ用配合材料を本焼成することで、Biに対するNaのモル比Xが1.13、Baに対するBiのモル比が0.005〜0.110であり、Nb、Sb、Ta、希土類元素の各元素の含有量がそれぞれ10ppm以下であるPTCサーミスタ用半導体磁器組成物を得ることができることがわかる。
PTCサーミスタ用半導体磁器組成物のPTC特性は、常温比抵抗値が1.9×10Ωcm以下、温度に対する比抵抗変化が10以上、正の温度係数が8%/℃以上で、Baに対するBiのモル比が大きくなるに従ってキュリー点がより高温側にシフトしていることがわかる。
次に、No.31,32についての結果を検討する。
No.31,32では、Ba、Ti、Bi、Oを必須元素として含み、Biに対するNaのモル比Xが3.16を超え、Baに対するBiのモル比を0.040とし、Nb、Sb、Ta、希土類元素の各元素の含有量がそれぞれ10ppm以下であるPTCサーミスタ用配合材料を本焼成することで、Biに対するNaのモル比Xが1.59を超えたPTCサーミスタ用半導体磁器組成物が得られた。
表3を参照し、このNo.31,32のPTCサーミスタ用半導体磁器組成物の経時変化に対する安定性と、N0.1及びNo.9〜12のPTCサーミスタ用半導体磁器組成物の経時変化に対する安定性とを比較すると、No.31,32のPTCサーミスタ用半導体磁器組成物は、作製直後には優れたPTC特性を示しているものの、25℃、相対湿度50%の条件下で3ケ月間保管した後は、常温比抵抗値が高くなる、温度に対する比抵抗変化が小さくなる、あるいは正の温度係数が小さくなるという測定結果となり、PTC特性が経時的に不安定であることが分かる。
これに対し、No.9〜12のPTCサーミスタ用半導体磁器組成物はPTC特性が経時的に安定であることがわかる。
次に、表1〜3を参照してNo.33〜36について検討する。
No.33〜36の結果から、Ba、Ti、Bi、Oを必須元素として含み、Biに対するNaのモル比Xを1.00、Baに対するBiのモル比を0.040とし、Nb、Sb、Ta、希土類元素の各元素の含有量がそれぞれ10ppm以下であるPTCサーミスタ用配合材料を1,100〜1,250℃で本焼成した場合、Biに対するNaのモル比Xが0.65未満であり、Nb、Sb、Ta、希土類元素の各元素の含有量がそれぞれ10ppm以下であるPTCサーミスタ用半導体磁器組成物を得ることができることがわかる。
これらのPTCサーミスタ用半導体磁器組成物では、PTCサーミスタ特性は得られるものの常温比抵抗値が高くなる、温度に対する比抵抗変化や正の温度係数が小さくなる、あるいは半導体化しないといった現象が生じていることが分かる。
図4は、No.1及びNo.37〜40で得たPTCサーミスタ用半導体磁器組成物の比抵抗値の温度特性を示す。
表1〜3及び図4に示したNo.37〜40の結果から、Ba、Ti、Bi、Oを必須元素として含み、Biに対するNaのモル比Xが2.00、Baに対するBiのモル比が0.040、Baに対するNb、Sb、TaまたはLaのモル比が0.0054としたPTCサーミスタ用配合材料を本焼成することで、Biに対するNaのモル比Xが1.13、Baに対するBiのモル比が0.040、Baに対するNb、Sb、TaまたはLaのモル比が0.0054となるPTCサーミスタ用半導体磁器組成物を得ることができることがわかる。
これらのPTCサーミスタ用半導体磁器組成物のPTC特性は、Nb、Sb、Ta、希土類元素の各元素の含有量がそれぞれ10ppm以下であるPTCサーミスタ用半導体磁器組成物(No.1)や、Nbの含有量が480ppm、Sb、Ta、希土類元素の各元素の含有量がそれぞれ10ppm以下であるPTCサーミスタ用半導体磁器組成物(No.5)に比し、常温比抵抗値が高く、温度に対する比抵抗変化や正の温度係数が小さく、かつ、キュリー点の高温側へのシフトが小さいことが分かる。
次に、表1〜3、図5を参照して、No.41,42について検討する。
図5は、No.14及びNo.No.41,42で得たPTCサーミスタ用半導体磁器組成物の比抵抗値の温度特性を示す。
表1〜3及び図5に示したNo.41,42の結果から、Ba、Ti、Bi、Oを必須元素として含み、Biに対するNaのモル比Xが1.66、Baに対するBiのモル比が0.040、Baに対するNbまたはSbのモル比が0.0054としたPTCサーミスタ配合材料を本焼成することで、Biに対するNaのモル比Xが1.00、Baに対するBiのモル比が0.040、Baに対するNbまたはSbのモル比が0.0054となるPTCサーミスタ用半導体磁器組成物を得ることがわかる。
これらのPTCサーミスタ用半導体磁器組成物のPTC特性は、Nb、Sb、Ta、希土類元素の各元素の含有量がそれぞれ10ppm以下であるPTCサーミスタ用半導体磁器組成物(No.14)に比し、常温比抵抗値が高く、温度に対する比抵抗変化や正の温度係数が小さく、かつ、キュリー点の高温側へのシフトが小さいことがわかる。
次に、表1〜3、図6を参照して、No.43,44について検討する。
図6は、No.35及びNo.43で得たPTCサーミスタ用半導体磁器組成物の比抵抗値の温度特性を示す
表1〜3に示したNo.43,44の結果から、Nbの含有量が2030ppmであり、Sb、Ta、各希土類元素の含有量がそれぞれ10ppm以下であり、Biに対するNaのモル比Xが1.00、Baに対するBiのモル比が0.040、Baに対するNbのモル比が0.0054としたPTCサーミスタ配合材料を1,200〜1,250℃で本焼成した場合、Biに対するNaのモル比Xが0.62、0.58、Baに対するBiのモル比が0.040、Baに対するNbのモル比が0.0054となり、Nbの含有量が2040ppmであり、Sb、Ta、各希土類元素の含有量がそれぞれ10ppm以下となるPTCサーミスタ用半導体磁器組成物(No.44は絶縁体)を得ることがわかる。
また、図6を参照すると、No.43で得たPTCサーミスタ用半導体磁器組成物のPTC特性は、Nb、Sb、Ta、希土類元素の各元素の含有量がそれぞれ10ppm以下であるPTCサーミスタ用半導体磁器組成物(No.35)に比し、常温比抵抗値が高く、温度に対する比抵抗変化や正の温度係数が小さく、かつ、キュリー点の高温側へのシフトが小さいことがわかる。
以上説明したように、本実施形態のNo.1〜30においては、本発明の常温比抵抗値が低く、正の温度係数や温度に対する比抵抗変化が大きく、かつ、キュリー点が高温側にシフトしたPTCサーミスタ用半導体磁器組成物及び当該PTCサーミスタ用半導体磁器組成物を作製することができるPTCサーミスタ用配合材料を得ることができる。
本発明の実施形態に係るPTCサーミスタの製造方法を示すフローチャートである。 No.1〜8で得たPTCサーミスタ用半導体磁器組成物の比抵抗値の温度特性を示す図である。 No.1及びNo.23〜30で得たPTCサーミスタ用半導体磁器組成物の比抵抗値の温度特性を示す図である。 No.1及びNo.37〜40で得たPTCサーミスタ用半導体磁器組成物の比抵抗値の温度特性を示す図である。 No.14及びNo.No.41,42で得たPTCサーミスタ用半導体磁器組成物の比抵抗値の温度特性を示す図である No.35及びNo.43で得たPTCサーミスタ用半導体磁器組成物の比抵抗値の温度特性を示す図である。

Claims (4)

  1. Pbを実質的に含まないPTCサーミスタ用配合材料であって、
    Ba、Ti、Bi、Oの各元素を必須元素として含むとともに、1価のアルカリ金属を一種類以上含み、
    前記Biに対する前記1価のアルカリ金属のモル比Xが1.03≦X≦3.16であり、
    Nbの含有量が400ppm以下であり、Sb、Ta、各希土類元素の含有量がそれぞれ10ppm以下であるPTCサーミスタ用配合材料。
  2. 請求項1に記載のPTCサーミスタ用配合材料において、
    前記1価のアルカリ金属がNa、K、Liのうち一種類以上を含むPTCサーミスタ用配合材料。
  3. Pbを実質的に含まないPTCサーミスタ用半導体磁器であって、
    Ba、Ti、Bi、Oの各元素を必須元素として含むとともに、1価のアルカリ金属を一種類以上含み、
    Biに対する前記1価のアルカリ金属のモル比Xが0.65≦X≦1.59であり、
    Nbの含有量が480ppm以下であり、Sb、Ta、各希土類元素の含有量がそれぞれ10ppm以下であるPTCサーミスタ用半導体磁器組成物。
  4. 請求項3に記載のPTCサーミスタ用半導体磁器組成物において、
    前記1価のアルカリ金属がNa、K、Liのうち一種類以上を含むPTCサーミスタ用半導体磁器組成物。
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