JPH09325566A - 帯電装置および画像形成装置 - Google Patents

帯電装置および画像形成装置

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JPH09325566A
JPH09325566A JP14331196A JP14331196A JPH09325566A JP H09325566 A JPH09325566 A JP H09325566A JP 14331196 A JP14331196 A JP 14331196A JP 14331196 A JP14331196 A JP 14331196A JP H09325566 A JPH09325566 A JP H09325566A
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JP
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layer
charging
atom
photoconductor
gas
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JP14331196A
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English (en)
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Takaaki Kashiwa
孝明 栢
Masaya Kawada
将也 河田
Tetsuya Karaki
哲也 唐木
Toshiyuki Ebara
俊幸 江原
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Original Assignee
Canon Inc
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Publication date
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  • Electrostatic Charge, Transfer And Separation In Electrography (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】接触帯電部材を構成する磁性粒子が感光体に付
着することに起因する画像の劣化を防止する。 【解決手段】多極磁性体102と、磁性粉体からなる磁
気ブラシ層101によって接触帯電部材100を構成す
る。帯電部材100に電圧を印加し、磁気ブラシ層10
1を介して感光体104を帯電する。帯電に際し、帯電
部材100、感光体104を矢印方向に回転させる。帯
電部材100の両端部近傍で、磁性粉体が帯電部材10
0から感光体104に付着してしまう。帯電部材100
の両端に補助電極105を配置し、電圧を印加する。こ
れにより、磁性粉体が感光体104に付着するのを静電
的に防止し、また、両補助電極105、105の間の磁
性粉体が、これらの外側に移動するのを機械的に防止す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁性粉体によって
構成した磁気ブラシを被帯電体に接触させて帯電を行う
帯電装置および画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、複写機、レーザビームプリンタ等
の画像形成装置において、磁気ブラシからなる接触帯電
部材を利用して帯電を行う帯電装置が知られている。
【0003】このものは、図9に示すように、例えば、
多極磁性体902−2の表面に、磁性粉体からなる磁気
ブラシ層902−1を担持して帯電部材(帯電磁気ブラ
シ)902を構成し、磁気ブラシ層902−1を感光体
(被帯電体)901表面に接触させるとともに帯電磁気
ブラシ902に帯電電圧を印加し、感光体901を所定
の電圧に帯電するものである。この帯電によると、磁性
粉体を介して感光体901に直接的に電荷を付与するた
め、帯電電圧を低く抑えられること、オゾンの発生がま
ったくないことなどの利点がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
ような電圧印加式の磁性粒子を磁気ブラシ層902−1
として用いた帯電部材902を感光体901の帯電手段
として利用した場合の問題点として、以下の点があげら
れる。
【0005】特に感光体901の回転速度が速い場合
や、帯電電位と非帯電部との電位差が大きい場合に、帯
電部材902の耐久性が悪いことがあげられる。前述の
図9に示すように、磁気ブラシ層902−1を構成する
磁性粉体等のキャリヤ(以下「帯電キャリヤ」という)
が帯電工程等、感光体901の回転中に感光体表面へ移
動し、帯電効率が低下し、画像上では感光体901の回
転方向に濃度差が見られるようになる。特に、アモルフ
ァスシリコン感光体のように、高速で使用され、極めて
長い寿命を有する感光体を用いた画像形成装置において
は、帯電部材902の帯電キャリヤの減少により画質が
低下し、メンテナンスないし帯電部材902の交換をせ
ざるを得なくなってしまう。こうしたことはサービスコ
ストの増加を招き、メンテナンスフリー化を阻害すると
いった問題となる。
【0006】さらに、耐久時の縦スジ(以下「まだらス
ジ」という)の問題がある。
【0007】まだらスジの発生メカニズムとしては以下
のようなことが考えられる。
【0008】それは、磁性体902−2と帯電キャリヤ
との磁気的吸引力に対し、感光体901の回転による摩
擦等の機械的力、磁気ブラシ層902−1と感光体表面
の非帯電部の電位差により生じる電界による電気的引力
等により帯電キャリヤが感光体901に移動し、そのい
くらかは現像器のスリーブ(現像スリーブ)906に磁
気的に吸引される。そして、耐刷枚数が増加するに従
い、現像スリーブ906に吸引される帯電キャリヤが増
加し、現像剤が感光体表面に現像される際の妨げとな
り、その結果まだらスジが発生するのである。
【0009】特開昭59−133569号公報では、感
光体の回転方向で帯電器の下流側にブレードを設けて上
記帯電キャリヤの再捕獲を行う機構が開示されている
が、上記のごとくメンテナンスフリー化の妨げになると
いう問題がある。また、特に表面硬度がそれほど高くな
い感光体においては、スリーブ部に補集された帯電キャ
リヤにより、感光体表面が研磨され、画質低下を招くこ
とがある。
【0010】したがって、画像形成装置や電子写真画像
形成方法を設計する際に、上記のような問題が解決され
るように、画像形成装置用感光体の電子写真物性、機械
的耐久性など総合的な観点からの改良を図るとともに、
帯電部材、帯電装置、画像形成装置の一段の改良を図る
ことが必要とされている。
【0011】なお、上述の磁性粉体が感光体に転移する
ことによる画像不良を防止するための一つの方策とし
て、感光体表面の磁性粉体を除去するための機構を設け
ることが考えられるが、これによると装置全体の大型化
を招いてしまう。
【0012】そこで、本発明は、帯電部材を構成する磁
性粉体が被帯電体に付着することに起因する画質の低下
を、装置の大型化を招くことなく防止するようにした帯
電装置および画像形成装置を提供することを目的とする
ものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、上述事情に鑑
みてなされたものであって、磁性体表面に磁性粉体を担
持させて接触帯電部材を構成し、前記磁性粉体を被帯電
体に接触させるとともに、前記接触帯電部材に電圧を印
加して前記被帯電体を帯電する帯電装置において、前記
磁性体と前記被帯電体との間に配置した補助電極と、該
補助電極に電圧を印加する電源と、を備える、ことを特
徴とする。
【0014】この場合、前記補助電極を、前記接触帯電
部材の少なくとも一方の端部に配置することができる。
【0015】また、前記補助電極を、前記磁性体を構成
する部材の抵抗値よりも高い抵抗値を有する部材によっ
て構成し、かつ前記補助電極の抵抗値を1×104 〜1
×109 Ω・cmの範囲内に設定するとよい。
【0016】さらに、前記補助部材を、前記磁性粉体と
前記被帯電体との間に形成される帯電ニップの両端部を
それぞれ閉鎖するように配置するとよい。
【0017】次に、画像形成装置は、被帯電体と、上述
のいずれか記載の帯電装置と、該帯電装置によって帯電
された前記被帯電体を露光して静電潜像を形成する露光
装置と、前記静電潜像にトナーを付着させてトナー像と
して現像する現像装置と、を備える構成とすることがで
きる。
【0018】(作用)以上構成に基づき、例えば、接触
帯電部材の両端部に補助電極を設け、これに電圧をかけ
ることにより、第1に被帯電体に対する磁性粉体の付着
を静電的に防止することができ、第2に補助電極によっ
て両端部におけるキャリヤの逃げ道を遮断し、キャリヤ
の流出を機械的に防止することができる。これにより、
接触帯電部材の耐久性を向上させることができる。ま
た、画像形成装置においては、現像剤とともに磁性粉体
が静電潜像に付着されること、現像器中に磁性粉体が混
入して正規のトナー現像が妨げられること等による画質
の低下を防止することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、図面に沿って、本発明の実
施の形態について説明する。
【0020】まず、画像形成装置およびその構成部材等
について説明する。 1.画像形成装置 画像形成装置は、従来の、原稿を複写するいわゆる複写
機のみならず、近年需要の伸びの著しいコンピュータ、
ワードプロセッサの出力手段としてのプリンタを加え広
く利用されている。こうしたプリンタは従来のオフィス
ユースのみならず、パーソナルユースが増大したため、
低コスト、メンテナンスフリーといった経済性が重視さ
れる。
【0021】さらに、エコロジーの観点から、両面コピ
ー、再生紙利用等紙の消費低減、消費電力低減の省エネ
ルギー、オゾン量低減等近隣生物への影響対策が、経済
性と同様の重要度で求められている。
【0022】従来の帯電方式の主流であったコロナ帯電
器は、50〜100μm程度の金属ワイヤーに5〜10
kV程度の高電圧を印加し、雰囲気を電離し対向物に帯
電を付与する。その過程において、ワイヤー自身も汚れ
を吸着し、定期的な清掃、交換が必要となる。また、コ
ロナ放電に伴うオゾンの発生量も多い。
【0023】省エネルギーに関しては、感光体ヒータの
問題もある。近年使用される電子写真感光体は、耐刷枚
数の増大を図るため表面硬度が高くなっており、繰り返
し使用により帯電器から発生するオゾンから派生するコ
ロナ生成物の影響で感光体表面が湿度に敏感となり水分
を吸着し易くなり、これが感光体表面の電荷の横流れの
原因となり、画像流れといわれる画像品質低下を引き起
こす欠点を有している。
【0024】このような画像流れを防止するために、実
公平1−34205号公報に記載されているようなヒー
タによる加熱や、特公平2−23856号公報に記載さ
れているようなマグネットローラと磁性トナーから形成
されたブラシにより感光体表面を摺察しコロナ生成物を
取り除く方法、特開昭61−100780号公報に記載
されているような弾性ローラによる感光体表面の摺察で
コロナ生成物を取り除く方法等が用いられてきた。
【0025】感光体表面を摺察する方法は、極めて硬度
の高いアモルファスシリコン感光体で使用されるが、装
置の小型化や低コスト化が困難な一因となる。また、ヒ
ータによる常時加熱は前述のように消費電力量の増大を
招く。こうしたヒータの容量は通常15Wから80W程
度と必ずしも大電力量といった印象を得ないが、夜間も
含め常時通電されているケースがほとんどであり、一日
あたりの消費電力量としては、画像形成装置全体の消費
電力の5〜15%にも達する。
【0026】また、本発明に類似する形態での外部ヒー
タ加熱方式、すなわち、特開昭59−111179号公
報や特開昭62−2787577号公報においても、感
光体の温度変動に伴う画像濃度不安定要素の改善につい
てはなんらの開示もない。
【0027】また、こうした画像流れの元凶である前述
オゾンは、画像形成装置周囲の人や生物への影響があ
り、従来からオゾン除去フィルタで分解無害化して排出
していた。特にパーソナルユースの場合、排出オゾン量
は極力低減しなければならない。このように経済面から
も帯電時の発生オゾン量を大幅に低減する方式が求めら
れている。
【0028】こうした状況から、新たな帯電部材、帯電
装置、画像形成装置としての発生オゾン量が皆無、ある
いは低減された帯電装置、除湿装置が求められている。 2.帯電装置 前述の問題点を解決すべく、各種帯電装置が提案されて
いる。
【0029】特開昭63−208878号公報に記載さ
れているような接触帯電は、電圧を印加した帯電部材を
被帯電体に当接させて被帯電面を所用の電位に帯電する
もので、帯電部装置として広く利用されているコロナ帯
電装置に比べ、第1に、被帯電体面に所望の電位を得る
のに必要とされる印加電圧の低電圧化が図れること、第
2に、帯電過程で発生するオゾン量が無ないし極微量で
ありオゾン除去フィルタの必要性が無くなること、その
ため装置の排気系の構成が簡素化されること、メンテナ
ンスフリーであること、第3に、帯電過程において発生
したオゾン並びにオゾン生成物が被帯電体面である像担
持体、例えば感光体表面に付着し、コロナ生成物の影響
で感光体表面が湿度に敏感となり水分を吸着し易くなる
ことによる、表面の低抵抗化による画像流れを防止する
ため、終日行われている加熱ヒータによる除湿の必要性
がなくなること、そのため夜間通電等の電力消費の大幅
な低減が図れること、等の長所を有している。
【0030】そこで例えば、画像形成装置(複写機、レ
ーザビームプリンタ)、静電記録装置等の画像形成装置
において、感光体、誘電体等の像担持体、その他の被帯
電体を帯電処理する手段としてコロナ放電装置に代わる
ものとして注目され、実用化されている。
【0031】従来、接触帯電手段としては、ブレードや
シート状の固定式の帯電部材を被帯電体に当接させ、こ
れにバイアスを印加して帯電を行うものが周知である。
【0032】図8にその一実施態様を示す。801は感
光ドラムであり、矢印A方向(時計回り方向)に所定の
周速度(プロセススピード)にて回転駆動されるドラム
型の電子写真感光体である。802は接触帯電部材であ
り、電極802−1、およびその帯電面に形成した抵抗
層802−2とからなる。
【0033】電極802−1は、通常、アルミニウム、
アルミニウム合金、真鍮、銅、鉄、ステンレス等の金属
や、樹脂、セラミック等の絶縁材料に導電処理、すなわ
ち、金属をコーティングしたり、導電性塗料を塗布した
りしたものを用いる。
【0034】抵抗層802−2は、ポリプロピレン、ポ
リエチレン等の樹脂や、シリコンゴム、ウレタンゴム等
のエラストマーに、酸化チタン、炭素粉、金属粉等の導
電性フィラーを分散させたものが一般的に用いられる。
【0035】この抵抗層802−1の抵抗値は、HIO
KI社(メーカー)製のMΩテスターで0.25〜1k
Vの印加電圧における測定にて、1×103 〜1×10
12Ω・cmなる抵抗を有する。
【0036】803は帯電部材に対する電圧印加電源で
あり、この電源803により帯電開始電圧の2倍以上の
ピーク間電圧VPPを有する振動電圧Vacと直流電圧Vdc
とを重畳した電圧(Vac+Vdc)が帯電部材802の電
極802−2に印加されて、回転駆動されている感光ド
ラム801の外周面が均一に帯電される。
【0037】さらに、画像信号に応じて強度変調される
レーザビームプリンタ光805が走査されることによっ
て該感光ドラム上に静電潜像が形成される。
【0038】この潜像は、現像剤が塗布された現像スリ
ーブ806によって顕画像化された後、転写材807上
に転写ローラ808を介して転写される。転写残トナー
は、クリーニングブレード809によって感光ドラム上
から除去されるとともに該転写像は、不図示の定着装置
によって定着された後、出力される。
【0039】しかしながらこの方式では、感光ドラム8
01と接触帯電部材802との直接接触、摩擦影響が大
きいため、長期の使用により接触帯電部材802がどう
しても摩耗し、定期的な交換が必要となる。近年画像形
成装置に広く用いられ始めたアモルファスシリコン感光
体は半永久的な寿命を有しており、接触帯電部材802
の交換は装置のメンテナンスフリーの律速となる問題で
あり、改善が強く求められていた。
【0040】その解決策として、接触帯電部材のさまざ
まな改善といった進み方の中で、特開昭59−1335
69号公報等のように、磁性体と磁性粉体(あるいは粒
子)からなる磁気ブラシ状の接触帯電部材が像担持体に
接触、帯電を付与する機構の新方式が提案されている。
【0041】図9(a)、(b)にその一実施態様を示
す。901は像担持体である感光ドラムであり、矢印A
方向(時計回り方向)に所定の周速度(プロセススピー
ド)にて回転駆動されるドラム型の電子写真感光体であ
る。902は帯電部材(磁気ブラシ)であり、多極磁性
体902−2およびその帯電面に磁性粉体により形成し
た磁気ブラシ層902−1とからなる。磁気ブラシ90
2の正面から概略図を図9(b)に示す。
【0042】多極磁性体902−2は、通常、フェライ
ト磁石、ゴムマグネット等の磁性材料を用い、円筒状
の、いわゆるマグネットローラのごとく構成される。
【0043】磁気ブラシ層902−1は、磁性酸化鉄
(フェライト)粉、マグネタイト粉、周知の磁性トナー
材等が一般的に用いられる。
【0044】帯電部材902の抵抗値は、その使用され
る環境、高帯電効率、あるいは感光ドラム901の表面
層の耐圧特性等に応じて適宜選択されることが望まし
い。
【0045】感光ドラム901と接触帯電部材902と
の最近接間隙は、磁気ブラシ層902−1の接触幅(以
下「帯電ニップ」という)を安定に制御するため、一定
の距離に安定的に設定される必要がある。この距離は、
50〜2000μmの範囲が好ましく、より好ましくは
100〜1000μmである。
【0046】903は帯電部材に対する電圧印加電源で
あり、この電源903により直流電圧Vdcが帯電部材の
多極磁性体902−2、磁気ブラシ層902−1に印加
されて、回転駆動されている感光ドラム901の外周面
が均一に帯電される。
【0047】さらに、画像信号に応じて強度変調される
レーザビームプリンタ光905が走査されることによっ
て該感光ドラム上に静電潜像が形成される。この潜像
は、現像剤が塗布された現像スリーブ906によって顕
画像化された後、転写材907上に転写ローラ908を
介して転写される。転写残トナーは、クリーニングブレ
ード909によって感光ドラム上から除去されるととも
に該転写像は、不図示の定着装置によって定着された
後、出力される。
【0048】前述方式により、感光ドラム901と接触
帯電部材902との接触性、摩擦性等の特性が向上し、
耐久劣化に対して機械的摩耗等の格段の向上が図られ
た。 3.感光体 [有機光導電体(OPC)]好適な感光体の一形態であ
るOPC感光体について以下に述べる。図11(e)
は、本発明の画像形成装置用感光体の層構成を説明する
ための模式的構成図である。
【0049】図11(e)に示す画像形成装置用OPC
感光体1100は、感光体用としての支持体1101の
上に、感光層1102が設けられている。該感光層11
02は電荷発生層1106、電荷輸送層1107からな
り、必要に応じて、保護層ないし表面層1104、およ
び支持体1101と電荷発生層1106との間に中間層
を設けて構成されている。
【0050】用いられるOPC感光体、すなわち表面
層、光導電層、必要に応じて設けられる中間層、特にそ
の表面層は、前述接触帯電部材からの電荷注入を効率的
に受容し、該電荷を有効に保持することが必要である。
本出願人らは、高融点ポリエステル樹脂と硬化樹脂を混
成させた材料、特に表面層では、高融点ポリエステル樹
脂と硬化樹脂の混成材にSnO2 など金属酸化物等の電
荷保持粒子を分散させた材料がそれぞれの樹脂成分の特
性を相乗的に作用させあい、こうした条件を満足するこ
とを見いだした。
【0051】本発明の電子感光体の表面層、光導電層、
電荷輸送層および電荷発生層の形成に用いる樹脂成分に
ついて説明する。
【0052】ポリエステルとは酸成分とアルコール成分
との結合ポリマーであり、ジカルボン酸とグリコールと
の縮合あるいはヒドロキシ安息香酸のヒドロキシ基とカ
ルボキシ基とを有する化合物の縮合によって得られる重
合体である。
【0053】酸成分としてテレフタル酸、イソフタル
酸、ナフタレンジカルホン酸等の芳香族ジカルボン酸、
コハク酸、アジピン酸、セバチン酸等の脂肪族ジカルボ
ン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸等の脂環族ジカルボン
酸、ヒドロキシエトキシ安息香酸等のオキシカルボン酸
等を用いることができる。
【0054】グリコール成分としては、エチレングリコ
ール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコ
ール、ヘキサメチレングリコール、シクロヘキサンジメ
チロール、ポチエチレングリコール、ポリプロピレング
リコール等を使用することができる。
【0055】なお、前記ポリエステル樹脂が実質的に線
状である範囲でペンタエリスリトール、ロリメチロール
プロパン、ピロメリット酸およびこられのエステル形成
誘導体等の多官能化合物を共重合させても良い。
【0056】ポリエステル樹脂としては、高融点ポリエ
ステル樹脂が用いられる。
【0057】高融点ポリエステル樹脂としては、オルソ
クロロフェノール中36℃で測定した極限粘度が0.4
dl/g以上、好ましくは、0.5dl/g以上、さら
に好ましくは0.65dl/g以上のものが用いられ
る。
【0058】好ましい高融点ポリエステル樹脂として
は、ポリアルキレンテレフタレート系樹脂があげられ
る。ポリアルキレンテレフタレート系樹脂は酸成分とし
ては、テレフタール酸、グリコール成分として、アルキ
レングリコールから主としてなるものである。
【0059】その具体例としては、テレフタル酸成分と
エチレングリコール成分とから主としてなるポリエチレ
ンテレフタレート(PET)、テレフタル酸成分1,4
−テトラメチレングリコール(1,4−ブチレングリコ
ール)成分とから主としてなるポリブチレンテレフタレ
ート(PBT)、テレフタル酸成分とシクロヘキサンジ
メチロール成分とから主としてなるポリシクロヘキシル
ジメチレンテレフタレート(PCT)等をあげることが
できる。他の好ましい高分子量ポリエステル樹脂として
は、ポリアルキレンナフタレート系樹脂を例示できる。
ポリアルキレンナフタレート系樹脂は酸成分としてナフ
タレンジカルボン酸成分とグリコール成分としてアルキ
レングリコール成分とから主としてなるものであって、
その具体例としては、ナフタレンジカルボン酸成分とエ
チレングリコール成分とから主としてなるポリエチレン
ナフタレート(PEN)等をあげることができる。
【0060】高融点ポリエステル樹脂としては、その融
点が好ましくは160°以上、特に好ましくは200℃
以上のものである。
【0061】ポリエステル樹脂の他に、アクリル樹脂を
使用しても良い。また、バインダとしては2官能アクリ
ル、6官能アクリル、ソフファゼン等が使用される。
【0062】これらの樹脂は、比較的結晶性が高く、硬
化樹脂ポリマー鎖と高融点ポリマー鎖との相互の絡み合
いが均一かつ密になって、高耐久性の表面層を形成でき
るものと考えられる。低融点ポリエステル樹脂等の場合
には、結晶性が低いので、硬化樹脂ポリマー鎖との絡み
合いの程度が大きいところと小さいところが生じ、耐久
性が劣るものと考えられる。
【0063】表面層には、SnO2 等の電荷保持材を分
散させた物を用いた。使用条件等により適宜に選択され
た分散量を用い、抵抗値、帯電効率を制御されている。 [アモルファスシリコン系感光体(a−Si)]電子写
真において、感光体における感光層を形成する光導電材
料としては、高感度で、SN比[光電流(Ip)/暗電
流(Id)]が高く、照射する電磁波のスペクトル特性
に適合した吸収スペクトルを有すること、光応答性が早
く、所望の暗抵抗値を有すること、使用時において人体
に対して無害であること、等の特性が要求される。特
に、事務機としてオフィスで使用される画像形成装置内
に組み込まれる画像形成装置用感光体の場合には、大量
に、かつ長期にわたり複写されることを考えると、画
質、画像濃度の長期安定性も重要な点である。
【0064】このような点に優れた性質を示す光導電材
料に水素化アモルファスシリコン(以下、「a−Si:
H」という)があり、例えば、特公昭60−35059
号公報には画像形成装置用感光体としての応用が記載さ
れている。
【0065】このような画像形成装置用感光体は、一般
的には、導電性支持体を50〜400℃に加熱し、該支
持体上に真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレー
ティング法、熱CVD法、光CVD法、プラズマCVD
法等の成膜法によりa−Siからなる光導電層を形成す
る。なかでもプラズマCVD法、すなわち、原料ガスを
直流または高周波あるいはマイクロ法グロー放電によっ
て分解し、支持体上にa−Si堆積膜を形成する方法が
好適なものとして実用に付されている。
【0066】また、特開昭54−83746号公報にお
いては、導電性支持体と、ハロゲン原子を構成要素とし
て含むa−Si(以下「a−Si:X」という)光導電
層からなる画像形成装置用感光体が提案されている。当
該公報においては、a−Siにハロゲン原子を1〜40
原子%含有させることにより、耐熱性が高く、画像形成
装置用感光体の光導電層として良好な電気的、光学的特
性を得ることができるとしている。
【0067】また、特開昭57−11556号公報に、
a−Si堆積膜で構成された光導電層を有する光導電部
材の、暗抵抗値、光感度、光応答性等の電気的、光学
的、光導電的特性および耐湿性等の使用環境特性、さら
には経時的安定性について改善を図るため、シリコン原
子を母体としたアモルファス材料で構成された光導電層
上に、シリコン原子および炭素原子を含む非光導電性の
アモルファス材料で構成された表面障壁層を設ける技術
が記載されている。さらに、特開昭60−67951号
公報には、アモルファスシリコン、炭素、酸素およびフ
ッ素を含有してなる透光絶縁性オーバーコート層を積層
する感光体についての技術が記載され、特開昭62−1
68161号公報には、表面層として、シリコン原子と
炭素原子と41〜70原子%の水素原子を構成要素とし
て含む非晶質材料を用いる技術が記載されている。
【0068】さらに、特開昭60−67951号公報に
は、アモルファスシリコン、炭素、酸素およびフッ素を
含有してなる透光絶縁性オーバーコート層を積層する感
光体についての技術が記載され、特開昭62−1681
61号公報には、表面層として、シリコン原子と炭素原
子と41〜70原子%の水素原子を構成要素として含む
非晶質材料を用いる技術が記載されている。
【0069】さらに、特開昭57−158650号公報
には、水素を10〜40原子%含有し、赤外吸収スペク
トルの2100cm-1と2000cm-1の吸収ピークの吸収
係数比が0.2〜1.7であるa−Si:Hを光導電層
に用いることにより高感度で高抵抗な画像形成装置用感
光体が得られることが記載されている。
【0070】一方、特開昭60−95551号公報に
は、アモルファスシリコン感光体の画像品質向上のため
に、感光体表面近傍の温度を30〜40℃に維持して帯
電、露光、現像および転写といった画像形成行程を行う
ことにより、感光体表面での水分の吸着による表面抵抗
の低下とそれに伴って発生する画像流れを防止する技術
が開示されている。
【0071】これらの技術により、画像形成装置用感光
体の電気的、光学的、光導電的特性および使用環境特性
が向上し、それに伴って画像品質も向上してきた。
【0072】画像形成装置用感光体は、導電性支持体
と、シリコン原子を母体とする非単結晶材料からなる光
導電層を有する感光層とから構成され、光導電層は10
〜30原子%の水素を含み、光吸収スペクタルの指数関
数裾(アーバックテイル)の特性エネルギーが50〜6
0meVであって、かつ局在状態密度が1×1014〜1
×1016cm-3であることを特徴としている。
【0073】上記したような構成をとるように設計され
た画像形成装置用感光体は、前記した諸問題点の全てを
解決し得、極めて優れた電気的、光学的、光導電的特
性、画像品質、耐久性および使用環境特性を示す。
【0074】一般的に、a−Si:Hのバンドギャップ
内には、Si−Si結合の構造的な乱れにもとづくテイ
ル(裾)準位と、Siの未結合手(ダングリングボン
ド)等の構造欠陥に起因する深い準位が存在する。これ
らの準位は電子、正孔の捕獲、再結合中心として働き、
素子の特性を低下させる原因になることが知られてい
る。
【0075】このようなバンドギャップ中の局在準位の
状態を測定する方法として、一般に深準位分光法、等温
容量過渡分光法、光熱偏向分光法、一定光電流法等が用
いられている。中でも一定光電流法[Constant
PhotocurrentMethod](以下「C
PM」という)は、a−Si:Hの局在準位に基づくサ
ブギャップ光吸収スペクトルを簡便に測定する方法とし
て有用である。
【0076】CPMによって測定された光吸収スペクト
ルから求められる指数関数裾(アーバックテイル)の特
性エネルギー(以下「Eu」という)や局在状態密度
(以下「D.O.S」という)と感光体特性との相関を
種々の条件に渡って調べた結果、EuおよびD.O.S
がa−Si感光体の温度特性や光メモリと密接な関係に
あることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0077】ドラムヒータ等で感光体を加熱したときに
帯電能が低下する原因として、熱励起されたキャリヤ
(以下「熱励起キャリヤ」という)が帯電時の電界に引
かれてバンド裾の局在準位やバンドギャップ内の深い局
在準位への捕獲、放出を繰り返しながら表面に走行し、
表面電荷を打ち消してしまうことがあげられる。このと
き、帯電器を通過する間に表面に到達する熱励起キャリ
ヤについては帯電能の低下にはほととんど影響がない
が、深い準位に捕獲された熱励起キャリヤは、帯電器を
通過した後に表面へ到達して表面電荷を打ち消すために
温度特性として観測される。また、帯電器を通過した後
に熱励起された熱励起キャリヤも表面電荷を打ち消し帯
電能の低下を引き起こす。したがって、感光体の使用温
度領域における熱励起キャリヤの生成を抑え、なおかつ
該熱励起キャリヤの走行性を向上させることが温度特性
の向上のために必要である。
【0078】さらに、光メモリはブランク露光や像露光
によって生じた光キャリヤがバンドギャップ内の局在準
位に捕獲され、光導電層内に該光キャリヤが残留するこ
とによって生じる。すなわち、ある複写行程において生
じた光キャリヤのうち光導電層内に残留した光キャリヤ
が、次回の帯電時あるいはそれ以降に表面電荷による電
界によって掃き出され、光の照射された部分の電位が他
の部分よりも低くなり、その結果画像上に濃淡が生じ
る。したがって、光キャリヤが光導電層内に残留するこ
となく、1回の複写行程で走行するように、光キャリヤ
の走行性を改善しなければならない。
【0079】したがって、Euおよび特定のエネルギー
範囲のD.O.Sを制御することにより、熱励起キャリ
ヤの生成が抑えられ、なおかつ熱励起キャリヤや光キャ
リヤが局在準位に捕獲される割合を小さくすることがで
きるために上記キャリヤ(以下「電荷キャリヤ」とい
う)の走行性が著しく改善される。その結果、感光体の
使用温度領域での温度特性が飛躍的に改善され、同時に
光メモリの発生を抑制することができるために、感光体
の使用環境に対する安定性が向上し、ハーフトーンが鮮
明に出てかつ解像力の高い高品質の画像を安定して得る
ことができる。
【0080】以下、図面に従って、本発明の光導電部材
について詳細に説明する。
【0081】図11(a)〜(d)は、本発明の画像形
成装置用感光体の層構成を説明するための模式的構成図
である。
【0082】図11(a)に示す画像形成装置用感光体
1100は、感光体用としての支持体1101の上に、
感光層1102が設けられている。該感光層1102は
a−Si:H、Xからなり光導電性を有する光導電層1
103で構成されている。
【0083】図11(b)は、本発明の画像形成装置用
感光体の他の層構成を説明するための模式的構成図であ
る。図11(b)に示す画像形成装置用感光体1100
は、感光体用としての支持体1101の上に、感光層1
102が設けられている。該感光層1102はa−S
i:H、Xからなり光導電性を有する光導電層1103
と、アモルファスシリコン系表面層1104とから構成
されている。
【0084】図11(c)は、本発明の画像形成装置用
感光体の他の層構成を説明するための模式的構成図であ
る。図11(c)に示す画像形成装置用感光体1100
は、感光体用としての支持体1101の上に、感光層1
102が設けられている。該感光層1102はa−S
i:H、Xからなり光導電性を有する光導電層1103
と、アモルファスシリコン系表面層1104と、アモル
ファスシリコン系電荷注入阻止層1105とから構成さ
れている。
【0085】図11(d)は、本発明の画像形成装置用
感光体のさらに他の層構成を説明するための模式的構成
図である。図11(d)に示す画像形成装置用感光体1
100は、感光体用としての支持体1101の上に、感
光層1102が設けられている。該感光層1102は光
導電層1103を構成するa−Si:H、Xからなる電
荷発生層1106ならびに電荷輸送層1107と、アモ
ルファスシリコン系表面層1104とから構成されてい
る。 (支持体)使用される支持体としては、導電性であって
も電気絶縁性であっても良い。導電性支持体としては、
Al、Cr、Mo、Au、In、Nb、Te、V、T
i、Pt、Pd、Fe等の金属、およびこれらの合金、
例えばステンレス等があげられる。また、ポリエステ
ル、ポリエチレン、ポリカーボネート、セルロースアセ
テート、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレ
ン、ポリアミド等の合成樹脂のフィルムまたはシート、
ガラス、セラミック等の電気絶縁性支持体の少なくとも
感光層を形成する側の表面を導電処理した支持体も用い
ることができる。
【0086】使用される支持体1101の形状は平滑表
面あるいは凹凸表面の円筒状または板状無端ベルト状で
あることができ、その厚さは、所望通りの画像形成装置
用感光体1100を形成し得るように適宜決定するが、
画像形成装置用感光体1100としての可撓性が要求さ
れる場合には、支持体1101としての機能が充分発揮
できる範囲内で可能な限り薄くすることができる。しか
しながら、支持体1101は製造上および取り扱い上、
機械的強度等の点から通常は10μm以上とされる。
【0087】特にレーザ光などの可干渉性光を用いて像
記録を行う場合には、可視画像において現われる、いわ
ゆる干渉縞模様による画像不良をより効果的に解消する
ために、帯電キャリヤの減少が実質的にない範囲で支持
体1101の表面に凹凸を設けても良い。支持体110
1の表面に設けられる凹凸は、特開昭60−16815
6号公報、同60−178457号公報、同60−22
5854号公報に記載された公知の方法により作成され
る。
【0088】また、レーザ光などの可干渉光を用いた場
合の干渉縞模様による画像不良をより効果的に解消する
別の方法として、帯電キャリヤの減少が実質的にない範
囲で支持体1101の表面に複数の球状痕跡窪みによる
凹凸形状を設けても良い。すなわち、支持体1101の
表面が画像形成装置用感光体1100に要求される解像
力よりも微少な凹凸を有し、しかも該凹凸は、複数の球
状痕跡窪みによるものである。支持体1101の表面に
設けられる複数の球状痕跡窪みによる凹凸は、特開昭6
1−231561号公報に記載された公知の方法により
作成される。
【0089】また、レーザ光等の可干渉光を用いた場合
の干渉縞模様による画像不良をより効果的に解消するさ
らに別の方法として、感光層1102内、あるいは該層
1102の下側に光吸収層等の干渉防止層あるいは領域
を設けても良い。 (光導電層)支持体1101上、必要に応じて下引き層
(不図示)上に形成され、感光層1102の一部を構成
する光導電層1103は真空堆積膜形成方法によって、
所望特性が得られるように適宜成膜パラメータの数値条
件が設定されて作成される。具体的には、例えばグロー
放電法(低周波CVD法、高周波CVD法またはマイク
ロ波CVD法等の交流放電CVD法、あるいは直流放電
CVD法等)、スパッタリング法、真空蒸着法、イオン
プレーティング法、光CVD法、熱CVD法などの数々
の薄膜堆積法によって形成することができる。これらの
薄膜堆積法は、製造条件、設備資本投資下の負荷程度、
製造規模、作成される画像形成装置用感光体に所望され
る特性等の要因によって適宜選択されて採用されるが、
所望の特性を有する画像形成装置用感光体を製造するに
当たっての条件の制御が比較的容易であることからグロ
ー放電法、特にRF帯またはVHF帯の電源周波数を用
いた高周波グロー放電法が好適である。
【0090】グロー放電法によって光導電層1103を
形成するには、基本的にはシリコン原子(Si)を供給
し得るSi供給用の原料ガスと、水素原子(H)を供給
し得るH供給用の原料ガスおよび/またはハロゲン原子
(X)を供給し得るX供給用の原料ガスを、内部を減圧
にし得る反応容器内に所望のガス状態で導入して、該反
応容器内にグロー放電を生起させ、あらかじめ所定の位
置に設定されてある所定の支持体1101上にa−S
i:H、Xからなる層を形成すれば良い。
【0091】また、光導電層1103中に水素原子およ
び/またはハロゲン原子が含有されることが必要である
が、これはシリコン原子の未結合手を補償し、層品質の
向上、特に光導電性および電荷保持特性を向上させるた
めに必須不可欠であるからである。よって水素原子また
はハロゲン原子の含有量、または水素原子とハロゲン原
子の和の量はシリコン原子と水素原子および/またはハ
ロゲン原子の和に対して10〜30原子%、より好まし
くは15〜25原子%とされのが望ましい。
【0092】Si供給用ガスとなり得る物質としては、
SiH4 、Si26 、Si38、Si410等のガ
ス状態の、またはガス化し得る水素化珪素(シラン類)
が有効に使用されるものとしてあげられ、さらに層作成
時の取り扱い易さ、Si供給効率の良さ等の点でSiH
4 、Si26 が好ましいものとしてあげられる。
【0093】そして、形成される光導電層1103中に
水素原子を構造的に導入し、水素原子の導入割合の制御
を一層容易になるように図り、これらのガスにさらにH
2 および/またはHeあるいは水素原子を含む珪素化合
物のガスも所望量混合して層形成することが必要であ
る。また、各ガスは単独種のみでなく所定の混合比で複
数種混合しても差し支えない。
【0094】また、ハロゲン原子供給用の原料ガスとし
て有効なのは、例えばハロゲンガス、ハロゲン化物、ハ
ロゲンを含むハロゲン間化合物、ハロゲンで置換された
シラン誘導体等のガス状のまたはガス化し得るハロゲン
化合物が好ましくあげられる。また、さらにはシリコン
原子とハロゲン原子とを構成要素とするガス状のまたは
ガス化し得る、ハロゲン原子を含む水素珪素化合物も有
効なものとしてあげることができる。本発明において好
適に使用し得るハロゲン化合物としては、具体的にはフ
ッ素ガス(F2 )、BrF、ClF、ClF3 、BrF
3 、BrF5 、IF3 、IF7 等のハロゲン間化合物を
あげることができる。ハロゲン原子を含む珪素化合物、
いわゆるハロゲン原子で置換されたシラン誘導体として
は、具体的には、例えばSiF4 、Si26 等のフッ
化珪素が好ましいものとしてあげることができる。
【0095】光導電層1103中に含有される水素原子
および/またはハロゲン原子の量を制御するには、例え
ば支持体1101の温度、水素原子および/またはハロ
ゲン原子を含有させるために使用される原料物質の反応
容器内へ導入する量、放電電力等を制御すれば良い。
【0096】光導電層1103には必要に応じて伝導性
を制御する原子を含有させることが好ましい。伝導性を
制御する原子は、光導電層1103中に万遍なく均一に
分布した状態で含有されても良いし、あるいは層厚方向
には不均一な分布状態で含有している部分があっても良
い。
【0097】前記伝導性を制御する原子としては、半導
体分野における、いわゆる不純物をあげることができ、
p型伝導性を与える周期律表III b族に属する原子(以
後「第III b族原子」という)またはn型伝導特性を与
える周期律表Vb族に属する原子(以下「第Vb族原
子」という)を用いることができる。
【0098】第III b族原子としては、具体的には、硼
素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、
インジウム(In)、タリウム(Tl)等があり、特に
B、Al、Gaが好適である。第Vb族原子としては、
具体的には燐(P)、砒素(As)、アンチモン(S
b)、ビスマス(Bi)等があり、特にP、Asが好適
である。
【0099】光導電層1103に含有される伝導性を制
御する原子の含有量としては、好ましくは1×10-2
1×104 原子ppm、より好ましくは5×10-2〜5
×103 原子ppm、最適には1×10-1〜1×103
原子ppmとされるのが望ましい。
【0100】伝導性を制御する原子、例えば、第III b
族原子あるいは第Vb族原子を構造的に導入するには、
層形成の際に、第III b族原子導入用の原料物質あるい
は第Vb族原子導入用の原料物質をガス状態で反応容器
中に、光導電層1103を形成するための他のガスとと
もに導入してやれば良い。第III b族原子導入用の原料
物質あるいは第Vb族原子導入用の原料物質となり得る
ものとしては、常温常圧でガス状のまたは、少なくとも
層形成条件下で容易にガス化し得るものが採用されるの
が望ましい。
【0101】そのような第III b族原子導入用の原料物
質として具体的には、硼素原子導入用としては、B2
6 、B410、B59 、B511、B610、B6
12、B614等の水素化硼素、BF3 、BCl3 、BB
3 等のハロゲン化硼素等があげられる。この他、Al
Cl3 、GaCl3 、Ga(CH33 、InCl3
TlCl3 等もあげることができる。
【0102】第Vb族原子導入用の原料物質として有効
に使用されるのは、燐原子導入用としては、PH3 、P
24 、等の水素化燐、PH4 I、PF3 、PF5 、P
Cl3 、PCl5 、PBr3 、PBr5 、PI3 等のハ
ロゲン化燐があげられる。この他、AsH3 、AsF
3 、AsCl3 、AsBr3 、AsF5 、SbH3 、S
bF3 、SbF5 、SbCl3 、SbCl5 、BiH
3 、BiCl3 、BiBr3 等の第Vb族原子導入用の
出発物質の有効なものとしてあげることができる。
【0103】また、これらの伝導性を制御する原子導入
用の原料物質を必要に応じてH2 および/またはHeに
より希釈して使用してもよい。
【0104】さらに本発明においては、光導電層110
3に炭素原子および/または酸素原子および/または窒
素原子を含有させることも有効である。炭素原子および
/または酸素原子/およびまたは窒素原子の含有量はシ
リコン原子、炭素原子、酸素原子および窒素原子の和に
対して好ましくは1×10-5〜10原子%、より好まし
くは1×10-4〜8原子%、最適には1×10-3〜5原
子%が望ましい。炭素原子および/または酸素原子およ
び/または窒素原子は、光導電層中に万遍なく均一に含
有されても良いし、光導電層の層厚方向に含有量が変化
するような不均一な分布をもたせた部分があっても良
い。
【0105】光導電層1103の層厚は所望の電子写真
特性が得られることおよび経済的効果等の点から適宜所
望にしたがって決定され、好ましくは20〜50μm、
より好ましくは23〜45μm、最適には25〜40μ
mとされるのが望ましい。
【0106】所望の膜特性を有する光導電層1103を
形成するには、Si供給用のガスと希釈ガスとの混合
比、反応容器内のガス圧、放電電力ならびに支持体温度
を適宜設定することが必要である。
【0107】希釈ガスとして使用するH2 および/また
はHeの流量は、層設計に従って適宜最適範囲が選択さ
れるが、Si供給用ガスに対しH2 および/またはHe
を、通常の場合3〜20倍、好ましくは4〜15倍、最
適には5〜10倍の範囲に制御することが望ましい。
【0108】反応容器内のガス圧も同様に層設計に従っ
て適宜最適範囲が選択されるが、通常の場合1×10-4
〜10Torr、好ましくは5×10-3〜5Torr、
最適には1×10-3〜1Torrとするのが好ましい。
【0109】放電電力もまた同様に層設計に従って適宜
最適範囲が選択されるが、Si供給用のガスの流量に対
する放電電力を、通常の場合2〜7倍、好ましくは2.
5〜6倍、最適には3〜5倍の範囲に設定することが望
ましい。
【0110】さらに、支持体1101の温度は、層設計
に従って適宜最適範囲が選択されるが、通常の場合、好
ましくは200〜350℃、より好ましくは230〜3
30℃、最適には250〜310℃とするのが望まし
い。
【0111】光導電層1103を形成するための支持体
温度、ガス圧の望ましい数値範囲として前記した範囲が
あげられるが、条件は通常は独立的に別々に決められる
ものではなく、所望の特性を有する感光体を形成すべく
相互的かつ有機的関連性に基づいて最適値を決めるのが
望ましい。 (表面層)上述のようにして支持体1101上に形成さ
れ光導電層1103の上に、さらにアモルファスシリコ
ン系の表面層1104を形成することが好ましい。この
表面層1104は自由表面1104aを有し、主に耐湿
性、連続繰り返し使用特性、電気的耐圧性、使用環境特
性、耐久性において本発明の目的を達成するために設け
られる。
【0112】また、感光層1102を構成する光導電層
1103と表面層1104とを形成する非晶質材料の各
々がシリコン原子という共通の構成要素を有しているの
で、積層界面において化学的な安定性の確保が十分なさ
れている。
【0113】表面層1104は、アモルファスシリコン
系の材料であればいずれの材質でも可能であるが、例え
ば、水素原子(H)および/またはハロゲン原子(X)
を含有し、さらに炭素原子を含有するアモルファスシリ
コン(以下「a−SiC:H、X」という)、水素原子
(H)および/またはハロゲン原子(X)を含有し、さ
らに酸素原子を含有するアモルファスシリコン(以下
「a−SiO:H、X」という)、水素原子(H)およ
び/またはハロゲン原子(X)を含有し、さらに窒素原
子を含有するアモルファスシリコン(以下「a−Si
N:H、X」という)、水素原子(H)および/または
ハロゲン原子(X)を含有し、さらに炭素原子、酸素原
子、窒素原子の少なくとも一つを含有するアモルファス
シリコン(以下「a−SiCON:H、X」という)等
の材料が好適に用いられる。
【0114】表面層1104は真空堆積膜形成方法によ
って、所望特性が得られるように適宜成膜パラメータの
数値条件が設定されて作成される。具体的には、例えば
グロー放電法(低周波CVD法、高周波CVD法または
マイクロ波CVD法等の交流放電CVD法、あるいは直
流放電CVD法等)、スパッタリング法、真空蒸着法、
イオンプレーティング法、光CVD法、熱CVD法など
の数々の薄膜堆積法によって形成することができる。こ
れらの薄膜堆積法は、製造条件、設備資本投資下の負荷
程度、製造規模、作成される画像形成装置用感光体に所
望される特性等の要因によって適宜選択されて採用され
るが、感光体の生産性から光導電層と同等の堆積法によ
ることが好ましい。
【0115】例えば、グロー放電法によってa−Si
C:H、Xからなる表面層1104を形成するには、基
本的にはシリコン原子(Si)を供給し得るSi供給用
の原料ガスと、炭素原子(C)を供給し得るC供給用の
原料ガスと、水素原子(H)を供給し得るH供給用の原
料ガスおよび/またはハロゲン原子(X)を供給し得る
X供給用の原料ガスを、内部を減圧にし得る反応容器内
に所望のガス状態で導入して、該反応容器内にグロー放
電を生起させ、あらかじめ所定の位置に設置された光導
電層1103を形成した支持体1101上にa−Si
C:H、Xからなる層を形成すれば良い。
【0116】表面層1104の材質としてはシリコンを
含有するアモルファス材料ならばいずれでも良いが、炭
素、窒素、酸素より選ばれた元素を少なくとも一つ含む
シリコン原子との化合物が好ましく、特にa−SiCを
主成分としたものが好ましい。
【0117】表面層1104をa−SiCを主成分とし
て構成する場合の炭素量は、シリコン原子と炭素原子の
和に対して30〜90%の範囲が好ましい。
【0118】また、表面層1104中に水素原子および
/またはハロゲン原子が含有されることが必要である
が、これはシリコン原子の未結合手を補償し、層品質の
向上、特に光導電性特性および電荷保持特性を向上させ
るために必須不可欠である。水素含有量は、構成原子の
総量に対して通常の場合、30〜70原子%、好適には
35〜65原子%、最適には40〜60原子%とするの
が望ましい。また、フッ素原子の含有量として、通常の
場合は0.01〜15原子%、好適には0.1〜10原
子%最適には0.6〜4原子%とされるのが望ましい。
【0119】これらの水素および/またはフッ素含有量
の範囲内で形成される感光体は、実際面において従来に
ない格段に優れたものとして充分適用させ得られるもの
である。すなわち、表面層1104内に存在する欠陥
(主にシリコン原子や炭素原子のダングリングボンド)
は画像形成装置用感光体としての特性に悪影響を及ぼす
ことが知られている。例えば自由表面1104aから光
導電層への電荷の注入による帯電特性の劣化、使用環
境、例えば高い湿度のもので表面構造が変化することに
より帯電特性の変動、例えば高い湿度のもとで表面構造
が変化することによる帯電特性の変動、さらにコロナ帯
電時や光照射時に光導電層1103による表面層110
4に電荷が注入され、前記表面層1104内の欠陥に電
荷がトラップされることにより繰り返し使用時の残像現
象の発生等がこの悪影響としてあげられる。
【0120】しかしなが表面層1104内の水素含有量
を30原子%以上に制御することで表面層1104内の
欠陥が大幅に減少し、その結果、従来に比べて電気的特
性面および高速連続使用性において飛躍的な向上を図る
ことができる。
【0121】一方、前記表面層1104中の水素含有量
が71原子%以上になると表面層1104の硬度が低下
するために、繰り返し使用に耐えられなくなる。したが
って、表面層1104中の水素含有量を前記の範囲内に
制御することが格段に優れた所望の電子写真特性を得る
上で非常に重要な因子の一つである。表面層1104中
の水素含有量は、H2 ガスの流量、支持体温度、放電パ
ワー、ガス圧等によって制御し得る。
【0122】また、表面層1104中のフッ素含有量を
0.01原子%以上の範囲に制御することで表面層11
04内のシリコン原子と炭素原子の結合の発生をより効
果的に達成することが可能となる。さらに、表面層11
04中のフッ素原子の働きとして、コロナ等のダメージ
によるシリコン原子と炭素原子の結合の切断を効果的に
防止することができる。
【0123】一方、表面層1104中のフッ素含有量が
15原子%を超えると表面層1104内のシリコン原子
と炭素原子の結合の発生の効果およびシリコン原子と炭
素原子の結合の切断を防止する効果がほとんど認められ
なくなる。さらに過剰のフッ素原子が表面層1104中
のキャリヤの走行性を阻害するため、残留電位や画像メ
モリが顕著に認められてくる。したがって、表面層11
04中のフッ素含有量を前記範囲内に制御することが所
望の電子写真特性を得る上で重要な因子の一つである。
表面層1104中のフッ素含有量は、水素含有量と同様
にH2 ガスの流量、支持体温度、放電パワー、ガス圧等
によって制御し得る。
【0124】本発明の表面層1104の形成において使
用されるシリコン(Si)供給用ガスとなり得る物質と
しては、SiH4 、Si26 、Si38 、Si4
10等のガス状態の、またはガス化し得る水素化珪素(シ
ラン類)が有効に使用されるものとしてあげられ、さら
に層作成時の取り扱い易さ、Si供給効率の良さ等の点
でSiH4 、Si26 が好ましいものとしてあげられ
る。また、これらのSi供給用の原料ガスを必要に応じ
てH2 、He、Ar、Ne等のガスにより希釈して使用
しても良い。
【0125】炭素供給用ガスとなり得る物質としては、
CH4 、C26 、C38 、C410等のガス状態
の、またはガス化し得る炭素水素が有効に使用されるも
のとしてあげられ、さらに層作成時の取り扱い易さ、C
供給効率の良さ等の点でCH4、C26 が好ましいも
のとしてあげられる。また、これらのC供給用の原料ガ
スを必要に応じてH2 、He、Ar、Ne等のガスによ
り希釈して使用しても良い。
【0126】窒素または酸素供給ガスとなり得る物質と
しては、NH3 、NO、N2 O、NO2 、H2 O、O
2 、CO、CO2 、N2 等のガス状態の、またはガス化
し得る化合物が有効に使用されるものとしてあげられ
る。また、これらの窒素、酸素供給用の原料ガスを必要
に応じてH2 、He、Ar、Ne等のガスにより希釈し
て使用しても良い。
【0127】また、形成される表面層1104中に導入
される水素原子の導入割合の制御を一層容易になるよう
に図るために、これらのガスにさらに水素ガスまたは水
素原子を含む珪素化合物のガスも所望量混合して層形成
することが好ましい。また、各ガスは単独種のみでなく
所定の混合比で複数種混合しても差し支えないものであ
る。
【0128】ハロゲン原子供給用の原料ガスとして有効
なのは、例えばハロゲンガス、ハロゲン化物、ハロゲン
を含むハロゲン間化合物、ハロゲンで置換されたシラン
誘導体等のガス状のまたはガス化し得るハロゲン化合物
が好ましくあげられる。また、さらにはシリコン原子と
ハロゲン原子とを構成要素とするガス状のまたはガス化
し得る、ハロゲン原子を含む水素化珪素化合物も有効な
ものとしてあげることができる。
【0129】本発明において好適に使用し得るハロゲン
化合物としては、具体的にはフッ素ガス(F2 )、Br
F、ClF、ClF3 、BrF3 、BrF5 、IF3
IF7 等のハロゲン間化合物をあげることができる。ハ
ロゲン原子を含む珪素化合物、いわゆるハロゲン原子で
置換されたシラン誘導体としては、具体的には、例えば
SiF4 、Si26 等のフッ化珪素が好ましいものと
してあげることができる。
【0130】表面層1104中に含有される水素原子お
よび/またはハロゲン原子の量を制御するには、例えば
支持体1101の温度、水素原子および/またはハロゲ
ン原子を含有させるために使用される原料物質の反応容
器内へ導入する量、放電電力等を制御すればよい。
【0131】炭素原子および/または酸素原子および/
または窒素原子は、表面層1104中に万遍なく均一に
含有されても良いし、表面層1104の層厚方向に含有
量が変化するような不均一な分布を持たせた部分があっ
ても良い。
【0132】さらに本発明においては、表面層1104
には必要に応じて伝導性を制御する原子を含有させるこ
とが好ましい。伝導性を制御する原子は、表面層110
4中に万遍なく均一に分布した状態で含有されても良い
し、あるいは層厚方向には不均一な分布状態で含有して
いる部分があっても良い。
【0133】前記の伝導性を制御する原子としては、半
導体分野における、いわゆる不純物をあげることがで
き、p型伝導性を与える周期律表III b族に属する原子
(以下「第III b族原子」という)またはn型伝導特性
を与える周期律表Vb族に属する原子(以下「第Vb族
原子」という)を用いることができる。
【0134】第III b族原子としては、具体的には、硼
素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、
インジウム(In)、タリウム(Tl)等があり、特に
B、Al、Gaが好適である。第Vb族原子としては、
具体的には燐(P)、砒素(As)、アンチモン(S
b)、ビスマス(Bi)等があり、特にP、Asが好適
である。
【0135】表面層1104に含有される伝導性を制御
する原子の含有量としては、好ましくは1×10-3〜1
×103 原子ppm、より好ましくは1×10-2〜5×
102 原子ppm、最適には1×10-1〜1×102
子ppmとされるのが望ましい。伝導性を制御する原
子、例えば、第III b族原子あるいは第Vb族原子を構
造的に導入するには、層形成の際に、第III b族原子導
入用の原料物質あるいは第Vb族原子導入用の原料物質
をガス状態で反応容器中に、表面層1104を形成する
ための他のガスとともに導入してやれば良い。第III b
族原子導入用の原料物質あるいは第Vb族原子導入用の
原料物質となり得るものとしては、常温常圧でガス状の
または、少なくとも層形成条件下で容易にガス化し得る
ものが採用されるのが望ましい。そのような第III b族
原子導入用の原料物質として具体的には、硼素原子導入
用としては、B26 、B410、B59 、B5
11、B610、B612、B614等の水素化硼素、
BF3 、BCl3 、BBr3 等のハロゲン化硼素等があ
げられる。この他、AlCl3 、GaCl3 、Ga(C
33 、InCl3 、TlCl3 等もあげることがで
きる。
【0136】第Vb族原子導入用の原料物質として有効
に使用されるのは、燐原子導入用としては、PH3 、P
24 、等の水素化燐、PH4 I、PF3 、PF5 、P
Cl3 、PCl5 、PBr3 、PBr5 、PI3 等のハ
ロゲン化燐があげられる。この他、AsH3 、AsF
3 、AsCl3 、AsBr3 、AsF5 、SbH3 、S
bF3 、SbF5 、SbCl3 、SbCl5 、BiH
3 、BiCl3 、BiBr3 等の第Vb族原子導入用の
出発物質の有効なものとしてあげることができる。
【0137】また、これらの伝導性を制御する原子導入
用の原料物質を必要に応じてH2 、He、Ar、Ne等
のガスにより希釈して使用してもよい。
【0138】表面層1104の層厚としては、通常0.
01〜3μm、好適には0.05〜2μm、最適には
0.1〜1μmとされるのが望ましいものである。層厚
が0.01μmよりも薄いと感光体を使用中に摩耗等の
理由により表面層1104が失われてしまい、3μmを
超えると残留電位の増加等の電子写真特性の低下がみら
れる。
【0139】表面層1104は、その要求される特性が
所望通りに与えられるように注意深く形成される。すな
わち、Si、Cおよび/またはNおよび/またはO、H
および/またはXを構成要素とする物質はその形成条件
によって構造的には結晶からアモルファスシリコンまで
の形態を取り、電気物性的には導電性から半導体性、絶
縁性までの間の性質を、また、光導電的性質から非光導
電的性質までの間の性質を各々示すので、本発明におい
ては、目的に応じた所望の特性を有する化合物が形成さ
れるように、所望に従ってその形成条件の選択が厳密に
なされる。
【0140】例えば、表面層1104を耐圧性の向上を
主な目的として設けるには、使用環境において電気絶縁
性的挙動の顕著な非単結晶材料として作成される。
【0141】また、連続繰り返し使用特性や使用環境特
性の向上を主たる目的として表面層1104が設けられ
る場合には、上記の電気絶縁性の度合いはある程度緩和
され、照射される光に対してある程度の感度を有する非
単結晶材料として形成される。
【0142】さらに、帯電機構においては、表面層11
04の低抵抗による画像流れを防止し、あるいは残留電
位等の影響を防止するために、一方では帯電効率を良好
にするために、層作成に際して、その抵抗値を適宜に制
御することが好ましい。
【0143】目的を達成し得る特性を有する表面層11
04を形成するには、支持体1101の温度、反応容器
内のガス圧を所望に従って、適宜設定する必要がある。
【0144】支持体1101の温度(Ts)は、層設計
に従って適宜最適範囲が選択されるが、通常の場合、好
ましくは200〜350℃、より好ましくは230〜3
30℃、最適には250〜300℃とするのが望まし
い。
【0145】反応容器内のガス圧も同様に層設計に従っ
て適宜最適範囲が選択されるが、通常の場合1×10-4
〜10Torr、好ましくは5×10-3〜5Torr、
最適には1×10-3〜1Torrとするのが好ましい。
【0146】表面層1101を形成するための支持体温
度、ガス圧の望ましい数値範囲として前記した範囲があ
げられるが、条件は通常は独立的に別々に決められるも
のではなく、所望の特性を有する感光体を形成すべく相
互的かつ有機的関連性に基づいて最適値を決めるのが望
ましい。
【0147】さらに光導電層1103と表面層1104
の間に、炭素原子、酸素原子、窒素原子の含有量を表面
層1104より減らしたブラッキング層(下部表面層)
を設けることも帯電能等の特性をさらに向上させるため
には有効である。
【0148】また、表面層1104と光導電層1103
との間に炭素原子および/または酸素原子および/また
は窒素原子の含有量が光導電層1103に向かって減少
するように変化する領域を設けても良い。これにより表
面層1104と光導電層1103の密着性を向上させ、
界面での光の反射による干渉の影響をより少なくするこ
とができる。 (電荷注入阻止層)画像形成装置用感光体においては、
導電性支持体1101と光導電層1103との間に、導
電性支持体側からの電荷の注入を阻止する働きのある電
荷注入阻止層1105を設けるのが一層効果的である。
すなわち、電荷注入阻止層1105は感光層1102が
一定極性の帯電処理をその自由表面1104aに受けた
際、支持体側より光導電層側に電荷が注入されるのを阻
止する機能を有し、逆の極性の帯電処理を受けた際には
そのような機能は発揮されない、いわゆる極性依存性を
有している。そのような機能を付与するために、電荷注
入阻止層1105には伝導性を制御する原子を光導電層
1103に比べ比較的多く含有させる。
【0149】該層に含有される伝導性を制御する原子
は、該層中に万遍なく均一に分布されても良いし、ある
いは層厚方向には万遍なく含有されてはいるが、不均一
に分布する状態で含有している部分があってもよい。分
布濃度が不均一な場合には、支持体側に多く分布するよ
うに含有させるのが好適である。
【0150】しかしながら、いずれの場合にも支持体1
101の表面と平行面内方向においては、均一な分布で
万遍なく含有されることが面内方向における特性の均一
化を図る点からも必要である。
【0151】電荷注入阻止層1105に含有される伝導
性を制御する原子としては、半導体分野における、いわ
ゆる不純物をあげることができ、p型伝導性を与える周
期律表III 族に属する原子(以下「第III 族原子」とい
う)またはn型伝導特性を与える周期律表V族に属する
原子(以下「第V族原子」という)を用いることができ
る。
【0152】第III 族原子としては、具体的には、硼素
(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、イ
ンジウム(In)、タリウム(Tl)等があり、特に
B、Al、Gaが好適である。第V族原子としては、具
体的には燐(P)、砒素(As)、アンチモン(S
b)、ビスマス(Bi)等があり、特にP、Asが好適
である。
【0153】電荷注入阻止層1105中に含有される伝
導性を制御する原子の含有量としては、本発明の目的が
効果的に達成できるように所望に従って適宜決定される
が、好ましくは10〜1×104 原子ppm、より好適
には50〜5×103 原子ppm、最適には1×102
〜1×103 原子ppmとされるのが望ましい。
【0154】さらに、電荷注入阻止層1105には、炭
素原子、窒素原子および酸素原子の少なくとも一種を含
有させることによって、該電荷注入阻止層1105に直
接接触して設けられる他の層との間の密着性の向上をよ
り一層図ることができる。
【0155】該層に含有される炭素原子または窒素原子
または酸素原子は該層中に万遍なく均一に分布されても
良いし、あるいは層厚方向には万遍なく含有されてはい
るが、不均一に分布する状態で含有している部分があっ
ても良い。しかしながら、いずれの場合にも支持体11
01の表面と平行面内方向においては、均一な分布で万
遍なく含有されることが面内方向における特性の均一化
を図る点からも必要である。
【0156】電荷注入阻止層1105の全層領域に含有
される炭素原子および/または窒素原子および/または
酸素原子の含有量は、本発明の目的が効果的に達成され
るように適宜決定されるが、一種の場合はその量とし
て、二種以上の場合はその総和として、好ましくは1×
10-3〜50原子%、より好適には5×10-3〜30原
子%、最適に1×10-2〜10原子%とされるのが望ま
しい。
【0157】また、電荷注入阻止層1105に含有され
る水素原子および/またはハロゲン原子は層内に存在す
る未結合手を補償し膜質の向上に効果を奏する。電荷注
入阻止層1105中の水素原子またはハロゲン原子ある
いは水素原子とハロゲン原子の和の含有量は、好適には
1〜50原子%、より好適には5〜40原子%、最適に
は10〜30%とするのが望ましい。
【0158】電荷注入阻止層1105の層厚は所望の電
子写真特性が得られること、および経済的効果等の点か
ら好ましくは0.1〜5μm、より好ましくは0.3〜
4μm、最適には0.5〜3μmとされるのが望まし
い。
【0159】電荷注入阻止層1105を形成するには、
前述の光導電層1103を形成する方法と同様の真空堆
積法が採用される。
【0160】目的を達成し得る特性を有する電荷注入阻
止層1105を形成するには、光導電層1103と同様
にSi供給用のガスと希釈ガスとの混合比、反応容器内
のガス圧、放電電力ならびに支持体1101のを適宜設
定することが必要である。
【0161】希釈ガスであるH2 および/またはHeの
流量は、層設計に従って適宜最適範囲が選択されるが、
Si供給用ガスに対しH2 および/またはHeを、通常
の場合1〜20倍、好ましくは3〜15倍、最適には5
〜10倍の範囲に制御することが望ましい。
【0162】反応容器内のガス圧も同様に層設計に従っ
て適宜範囲が選択されるが、通常の場合、1×10-4
10Torr、好ましくは5×10-3〜5Torr、最
適には1×10-3〜1Torrとするのが好ましい。
【0163】放電電力もまた同様に層設計に従って適宜
最適範囲が選択されるが、Si供給用のガスの流量に対
する放電電力を、通常の場合1〜7倍、好ましくは2〜
6倍、最適には3〜5倍の範囲に設定することが望まし
い。
【0164】さらに、支持体1101の温度は、層設計
に従って適宜最適範囲が選択されるが、通常の場合、好
ましくは200〜350℃、より好ましくは230〜3
30℃、最適には250〜300℃とするのが望まし
い。
【0165】電荷注入阻止層1105を形成するための
希釈ガスの混合比、ガス圧、放電電力、支持体温度の望
ましい数値範囲として前記した範囲があげられるが、こ
れらの層作成ファクターは通常は独立的に別々に決めら
れるものではなく、所望の特性を有する表面層1104
を形成すべく相互的かつ有機的関連性に基づいて各層作
成ファクターの最適値を決めるのが望ましい。
【0166】このほかに、画像形成装置用感光体におい
ては、感光層1102の前記支持体1101側に、少な
くともアルミニウム原子、シリコン原子、水素原子およ
び/またはハロゲン原子が層厚方向に不均一な分布状態
で含有する層領域を有することが望ましい。
【0167】また、画像形成装置用感光体においては、
支持体1101と光導電層1103あるいは電荷注入阻
止層1105との間の密着性の一層の向上を図る目的
で、例えば、Si34 、SiO2 、SiO、あるいは
シリコン原子を母体とし、水素原子および/またはハロ
ゲン原子と、炭素原子および/または酸素原子および/
または窒素原子とを含む非晶質材料等で構成される密着
層を設けても良い。さらに、前述のごとく、支持体11
01からの反射光による干渉模様の発生を防止するため
の光吸収層を設けても良い。
【0168】次に、感光層1102を形成するための装
置および膜形成方法について詳述する。
【0169】図2は電源周波数としてRF帯を用いた高
周波プラズマCVD法(以下「RF−PCVD」とい
う)による画像形成装置用感光体の製造装置の一例を示
す模式的な構成図である。図2に示す製造装置の構成は
以下の通りである。
【0170】この装置は大別すると、堆積装置210
0、原料ガス供給装置2200、反応容器2111内を
減圧するための排気装置(不図示)から構成されてい
る。堆積装置2100中の反応容器2111内には円筒
状支持体2112、支持体加熱用ヒータ2113、原料
ガス導入管2114が設置され、さらに高周波マッチン
グボックス2115が接続されている。
【0171】原料ガス供給装置2200は、SiH4
GeH4 、H2 、CH4 、B26、PH3 等の原料ガ
スのボンベ2221〜2226とガスボンベのバルブ2
231〜2236、流入バルブ2241〜2246、流
出バルブ2251〜2256、およびマスフローコント
ローラ2211〜2216から構成され、各原料ガスの
ボンベ2221〜2226は補助バルブ2260を介し
て反応容器2111内のガス導入管2114に接続され
ている。
【0172】この装置を用いた堆積膜の形成は、例えば
以下のように行うことができる。
【0173】まず、反応容器2111内に円筒状支持体
2112を設置し、排気装置、例えば真空ポンプ(不図
示)により反応容器2111内を排気する。つづいて、
支持体加熱用ヒータ2113により円筒状支持体211
2の温度を200〜350℃の所定の温度に制御する。
【0174】堆積膜形成用の原料ガスを反応容器211
1に流入させるには、ガスボンベのバルブ2231〜2
236、反応容器2111のリークバルブ2117が閉
じられていることを確認し、また、流入バルブ2241
〜2246、流出バルブ2251〜2256、補助バル
ブ2260が開かれていることを確認して、まずメイン
バルブ2118を開いて反応容器2111およびガス配
管2116内を排気する。
【0175】次に、真空計2119の読みが約5×10
-6Torrになった時点で補助バルブ2260、流出バ
ルブ2251〜2256を閉じる。
【0176】その後、ガスボンベ2221〜2226に
より各ガスをバルブ2231〜2236を開いて導入
し、圧力調整器2261〜2266により各ガス圧を2
kg/cm2 に調整する。次に、流入バルブ2241〜2
246を徐々に開けて、各ガスをマスフローコントロー
ラ2211〜2216内に導入する。
【0177】以上のようにして成膜の準備が完了した
後、以下の手順で各層の形成を行う。
【0178】円筒状支持体2112が所定の温度になっ
たところで流出バルブ2251〜2256のうちの必要
なものおよび補助バルブ2260を徐々に開き、ガスボ
ンベ2221〜2226から所定のガスを原料ガス導入
管2114を介して反応容器2111内に導入する。次
に、マスフローコントローラ2211〜2216によっ
て各原料ガスが所定の流量になるように調整する。その
際、反応容器2111内の圧力が1Torr以下の所定
の圧力になるように真空計2119を見ながらメインバ
ルブ2118の開口を調整する。内圧が安定したところ
で、周波数13.56MHzのRF電源(不図示)を所
望の電力に設定して、高周波マッチングボックス211
5を通じて反応容器211内にRF電力を導入し、グロ
ー放電を生起させる。この放電エネルギーによって反応
容器2111内に導入された原料ガスが分解され、円筒
状支持体2112上にシリコンを主成分とする所定の堆
積膜が形成されるところとなる。所望の膜厚の形成が行
われた後、RF電力の供給を止め、流出バルブを閉じて
反応容器2111へのガスの流入を止め、堆積膜の形成
を終える。
【0179】同様の操作を複数回繰り返すことによっ
て、所望の多層構造の感光層が形成される。
【0180】それぞれの層を形成する際には必要なガス
以外の流出バルブはすべて閉じられていることはいうま
でもなく、また、それぞれのガスが反応容器2111
内、流出バルブ2251〜2256から反応容器211
1に至る配管内に残留することを避けるために、流出バ
ルブ2251〜2256を閉じ、補助バルブ2260を
開き、さらにメインバルブ2118を全開にして系内を
一旦、高真空に排気する操作を必要に応じて行う。
【0181】また、膜形成の均一化を図るために、層形
成を行っている間は、支持体2112を駆動装置(不図
示)によって所定の速度で回転させることも有効であ
る。
【0182】なお、上述のガス種およびバルブ操作は各
々の層の作成条件にしたがって変更が加えられることは
いうまでもない。
【0183】次に、電源にVHF帯の周波数を用いた高
周波プラズマCVD(以下「VHF−PCVD」とい
う)法によって形成される画像形成装置用感光体の製造
方法について説明する。
【0184】図2に示した製造装置におけるRF−PC
VD法による堆積装置2100を図3に示す堆積装置3
100に交換して原料ガス供給装置2200と接続する
ことにより、VHF−PCVD法による以下の構成の画
像形成装置用感光体製造装置を得ることができる。な
お、VHF−PCVD法の原料ガス供給装置2200
は、図2のものと同じなので、これについては図2を参
照して説明する。
【0185】この装置は大別すると、真空密化構造の、
減圧にし得る反応容器3111、原料ガスの供給装置2
200、および反応容器3111内を減圧にするための
排気装置(不図示)から構成されている。反応容器31
11内には円筒状支持体3112、支持体加熱用ヒータ
3113、原料ガス導入管3114、電極3115が設
置され、電極3115にはさらに高周波マッチングバッ
クス3116が接続されている。また、反応容器311
1内は排気管3121を通じて拡散ポンプ(不図示)に
接続されている。
【0186】原料ガス供給装置2200は、SiH4
GeH4 、H2 、CH4 、B26、PH3 等の原料ガ
スのボンベ2221〜2226とガスボンベのバルブ2
231〜2236、流入バルブ2241〜2246、流
出バルブ2251〜2256およびマスフローコントロ
ーラ2211〜2216から構成され、各原料ガスのボ
ンベは補助バルブ2260を介して反応容器3111内
の原料ガス導入管3114に接続されている。また、円
筒状支持体3112によって取り囲まれた空間3130
が放電空間を形成している。
【0187】VHF−PCVD法によるこの装置での堆
積膜の形成は、以下のように行うことができる。
【0188】まず、反応容器3111内に円筒状支持体
3112を設置し、駆動装置3120によって支持体3
112を回転させ、排気装置、例えば真空ポンプ(不図
示)により反応容器3111内を排気管3121を介し
て排気し、反応容器3111内の圧力を1×10-7To
rr以下に調整する。つづいて、支持体加熱用ヒータ3
113により円筒状支持体3112の温度を200〜3
50℃の所定の温度に加熱保持する。
【0189】堆積膜形成用の原料ガスを反応容器311
1に流入させるには、ガスボンベのバルブ2231〜2
236、反応容器3111のリークバルブ(不図示)が
閉じられていることを確認し、また、流入バルブ224
1〜2246、流出バルブ2251〜2256、補助バ
ルブ2260が開かれていることを確認して、まずメイ
ンバルブ(不図示)を開いて反応容器3111およびガ
ス配管(不図示)内を排気する。
【0190】次に、真空計の読みが約5×10-6Tor
rになった時点で補助バルブ2260、流出バルブ22
51〜2256を閉じる。
【0191】その後、ガスボンベ2221〜2226よ
り各ガスをバルブ2231〜2236を開いて導入し、
圧力調整器2261〜2266により各ガス圧を2kg
/cm2 に調整する。次に、流入バルブ2241〜224
6を徐々に開けて、各ガスをマスフローコントローラ2
211〜2216内に導入する。
【0192】以上のようにして成膜の準備が完了した
後、以下のようにして円筒状支持体3112上に各層の
形成を行う。
【0193】円筒状支持体3112が所定の温度になっ
たところで流出バルブ2251〜2256のうちの必要
なものおよび補助バルブ2260を徐々に開き、ガスボ
ンベ2221〜2226から所定のガスを原料ガス導入
管3114を介して反応容器3111内の放電空間31
30に導入する。次にマスフローコントローラ2211
〜2216によって各原料ガスが所定の流量になるよう
に調整する。その際、放電空間3130内の圧力が1T
orr以下の所定の圧力なるように真空計を見ながらメ
インバルブの開口を調整する。
【0194】圧力が安定したところで、周波数500M
HzのVHF電源(不図示)を所望の電力に設定して、
マッチングボックス3120を通じて放電空間3130
にVHF電力を導入し、グロー放電を生起させる。この
ようにして円筒状支持体3112により取り囲まれた放
電空間3130において、導入された原料ガスは、放電
エネルギーにより励起されて解離し、円筒状支持体31
12上に所定の堆積膜が形成される。この時、層形成の
均一化を図るため支持体回転用モータ3120によっ
て、所望の回転速度で回転させる。
【0195】所望の膜厚の形成が行われた後、VHF電
力の供給を止め、流出バルブを閉じて反応容器3111
へのガスの流入を止め、堆積膜の形成を終える。
【0196】同様の操作を複数回繰り返すことによっ
て、所望の多層構造の感光層が形成される。
【0197】それぞれの層を形成する際には必要なガス
以外の流出バルブは全て閉じられていることはいうまで
もなく、また、それぞれのガスが反応容器3111内、
流出バルブ2251〜2256から反応容器3111に
至る配管内に残留することを避けるために、流出バルブ
2251〜2256を閉じ、補助バルブ2260を開
き、さらにメインバルブを全開にして系内を一旦、高真
空に排気する操作を必要に応じて行う。
【0198】上述のガス種およびバルブ操作は各々の層
の作成条件に従って変更が加えられることはいうまでも
ない。
【0199】いずれの方法においても、堆積膜形成時の
支持体温度は、特に200℃以上350℃以下、好まし
くは230℃以上330℃以下、より好ましくは250
℃以上300℃以下が好ましい。
【0200】円筒状支持体3112の加熱方法は、真空
仕様である発熱体であればよく、より具体的にはシース
状ヒータの巻き付けヒータ、板状ヒータ、セラミックヒ
ータ等の電気抵抗発熱体、ハロゲンランプ、赤外線ラン
プ等の熱放射ランプ発熱体、液体、気体等を温媒とし熱
交換手段による発熱体等があげられる。加熱手段の表面
材質は、ステンレス、ニッケル、アルミニウム、銅等の
金属類、セラミック、耐熱性高分子樹脂等を使用するこ
とができる。
【0201】それ以外にも、反応容器3111以外に加
熱専用の容器を設け、加熱した後、反応容器3111内
に真空中で円筒状支持体3112を搬送する等の方法が
用いられる。
【0202】また、特にVHF−PCVD法において、
放電空間の圧力として、好ましくは1mTorr以上5
00mTorr以下、より好ましくは3mTorr以上
300mTorr以下、最も好ましくは5mTorr以
上100mTorr以下に設定することが望ましい。
【0203】VHF−PCVD法において放電空間31
30に設けられる電極3115の大きさおよび形状は、
放電を乱さないならばいずれのものでも良いが、実用上
は直径1mm以上10cm以下の円筒状が好ましい。この
時、電極3115の長さも円筒状支持体3112に電界
が均一にかかる長さであれば任意に設定できる。
【0204】電極3115の材質としては、表面が導電
性となるものならばいずれのものでも良く、例えば、ス
テンレス、Al、Cr、Mo、Au、In、Nb、T
e、V、Ti、Pt、Pb、Fe等の金属、これらの合
金または表面を導電処理したガラス、セラミック、プラ
スチック等が通常使用される。 [帯電部材]図1(a)、(b)にそれぞれ本実施の形
態で使用する帯電部材、被帯電体の概略構成を示す。図
1において、100は接触帯電部材(磁気ブラシ)、1
01は帯電キャリヤからなる磁気ブラシ層、102は多
極磁性体、103は多極磁性体102と感光体104と
の間のギャップを規制するスペーサ、104は被帯電体
としてのドラム状の感光体、105は電圧の印加が可能
な補助電極である。
【0205】上述の多極磁性体102は、通常、フェラ
イト磁石等の金属や、プラスチィクマグネット等の多極
構成が可能な磁性体を用いている。その磁力線密度はそ
の使用するプロセススピード、印加電圧と非帯電部との
電位差による電界、被帯電体の誘電率や表面性等の多く
の要因により異なるが、磁性体102の表面から1mm
の距離において測定される、磁極位置における磁力線密
度で500ガウス(G)以上が好ましい。より好ましく
は1000G以上である。
【0206】感光体104と多極磁性体102の最近接
間隙は、磁気ブラシ層101の接触幅(以下「ニップ」
という)を安定に制御するため、コロやスペーサ103
等、適宜な方法で、一定の距離に安定的に設定される必
要がある。該距離は50〜2000μmの範囲が好まし
く、より好ましくは100〜1000μmである。その
他にニップ調整用にブレード等の機構を設けても良い。
【0207】接触帯電部材100の、上述の帯電キャリ
ヤからなる磁気ブラシ層101は、一般にフェライト、
マグネタイト等の磁性粉体、周知の磁性トナーのキャリ
ヤを使用する。該磁性粉体の粒径は一般に1〜100μ
m以下のものが用いられるが、画質に支障がなければさ
らに大粒径の粉体を使用しても良い。また、流動性向上
のため異なる粒径の帯電キャリヤを混合して使用しても
良い。
【0208】また、補助電極の105の抵抗は、接触帯
電部材100から帯電キャリヤを通して帯電効率よくで
きるために、帯電キャリヤ以上の抵抗値を持つことが必
要であり、特に画像端部の画像を鮮明にするためには帯
電キャリヤと同等の抵抗値を持つ部材を使用することが
望ましく、1×103 〜1×1012Ω・cmとすることが
好ましい。より好ましくは1×104 〜1×109 Ω・
cmである。該抵抗値の測定は、HIOKI社(メーカ)
製のMΩテスターで0.25〜1kVの印加電圧におけ
る測定にて行った。
【0209】また、補助電極105は接触帯電部材10
0の両端に配設されてキャリヤ付着を防止する作用を持
つ。なお、補助電極105は画像形成に対する接触帯電
部材部分以外の位置に設置するのが良い。
【0210】補助電極105は、図13(a)に示すよ
うにニップ部分まででキャリヤの付着を防止するものや
接触帯電部材100の横側まで回り込む構造を取ること
でキャリヤの付着を防止するものとすることができる。
【0211】また、形状は図14(b)で示すような構
造を取ることができる。なお、同図(a)は、接触帯電
部材100と補助電極105との位置関係を示すため
に、これらを下方から見た図である。形状については、
同図(b)に示すように、長方形状、台形、長方
形と台形とを組み合わせたもの、とすることができ、さ
らに、これらの長さを長くして、、、に示すよう
にすることもできる。
【0212】補助電極105にかけるバイアス電圧印加
用電源は接触帯電部材100にかける電源を共用し用い
ることができるが、別途の電源を用いても良い。
【0213】感光体104は従来のものと同じものでも
よいが、必要に応じて後述する新規な感光体を用いるよ
うにしてもよい。
【0214】本発明では、上述のように、磁気ブラシを
用いた接触帯電部材100の両端に、補助電極105を
設けることにより、接触帯電部材100から感光体(被
帯電部材)104への帯電キャリヤの付着を防止し、こ
の帯電キャリヤが感光体104に付着したときに発生す
る現像器への混入や、帯電キャリヤの減少を防止するこ
とができる。
【0215】本発明と異なり、補助電極105を設けな
い場合では、接触帯電部材100の両端部は、それぞ
れの端部を境としてその内側と外側との間に電位差(電
界)が生じ、静電的に帯電キャリヤが感光体104に付
着しやすいこと。物理的に両端がフリーであるため、
帯電キャリヤの逃げ道が存在すること。の原因で特
に両端部から帯電キャリヤが感光体104に付着しやす
い。本発明では、接触帯電部材100の両端部に補助電
極を設置することにより、端部での静電的な付着を防
止するとともに、の両端のキャリヤの逃げ道をなく
し、キャリヤの流出を防止できる。
【0216】この作用により、プロセススピードや感光
体104の帯電設定等の画像形成装置の設定変更に対
し、広範囲に対応できる接触型帯電システムが可能とな
った。
【0217】以上述べてきた、実施の形態を単独で、ま
たは組み合わせて用いることにより、優れた効果を引き
出すことが可能である。
【0218】図10にその一例を示す。1001は像担
持体である感光ドラムであり、矢印A方向(同図中、時
計回り方向)に所定の周速度(プロセススピード)にて
回転駆動されるドラム型の電子写真感光体(以下単に
「感光体」という)である。
【0219】感光体1001の表面層の抵抗値は、その
電荷保持能、帯電効率等の電気的特性を良好に有し、電
圧により表面層が損傷するいわゆるピンホールリークを
防止するために、1×1010〜5×1015Ω・cmなる抵
抗を有することが好ましい。より好ましくは1×1012
〜1×1014Ω・cmである。該抵抗値の測定はHIOK
I社(メーカ)製のMΩテスターで0.25〜1kVの
印加電圧における測定にて行った。
【0220】1002は前記帯電キャリヤを用いた接触
帯電部材(以下適宜単に「帯電部材」という)であり、
多極磁性体1002−2およびその面上に形成した帯電
キャリヤからなる磁気ブラシ層1002−1を備えてい
る。
【0221】磁気ブラシ層1002−1は、前述のごと
く磁性フィライトや磁性マグ、磁性トナーのキャリヤ等
の帯電キャリヤで構成される。
【0222】該帯電部材1002の磁気ブラシ層100
2−1の抵抗値は、良好な帯電効率を保持するため、一
方ではピンホール防止のためにHIOKI社(メーカ)
製のMΩテスターで0.25〜1kVの印加電圧におけ
る測定にて、1×103 〜1×1012Ω・cmm なる抵抗
を有することが好ましい。より好ましくは1×104
1×108 Ω・cmである。
【0223】感光体1001と多極磁性体1002−2
の最近接間隙は、そのニップ制御のために50〜200
0μmの範囲にスペーサ(不図示)等で安定的に設定さ
れることが好ましく、より好ましくは100〜1000
μmである。その他に、ニップ調整用のブレード等の機
構を設けても良い。
【0224】該帯電部材1002両端には、それぞれ補
助電極1010を設ける。その配設位置は、感光体10
01の非画像部分に相当する部分とする。該補助電極1
010は、抵抗値が1×103 〜1×1012Ω・cmのも
のを用いる。具体的にはカーボンフェルト、銅亜鉛フェ
ライト、バリウムフェライト、ニッケル系フェライト、
マンガン亜鉛フェライト、マグネタイト等の金属含有樹
脂等を使用する。補助電極1010の形状は、ブロック
形状、ブラシ形状などのものが使用できる。
【0225】1003は帯電部材1002に対する電圧
印加電源であり、この電源1003により直流電圧Vdc
が帯電部材1002の帯電キャリヤからなる磁気ブラシ
層1002−1に印加されて、回転駆動されている感光
体1001の外周面が均一に帯電される。また、電源1
003は補助電極1010にも接続されており、補助電
極1010に電圧を印加できる構造を有している。
【0226】さらに、原稿画像に対応した露光光100
5が感光体1001上に照射されることで静電潜像が形
成される。この潜像は、現像剤が塗布された現像スリー
ブ1006によってトナー像として顕画像化された後、
転写材1007上に転写ローラ1008を介して転写さ
れる。トナー像転写後の転写材1007は、表面のトナ
ー像が定着器(不図示)によって定着された後、画像形
成装置本体外部に排出される。一方、トナー像転写後の
感光体1001は、表面の転写残トナーがクリーニング
ブレード1009によって除去され、次の画像形成に供
される。
【0227】以下の各実施の形態において、具体的な数
値をあげて本発明をさらに詳述する。なお、本発明はこ
れらの実施の形態に限定されるものではない。 〈実験例1〉図2に示すRF−PCVD法による画像形
成装置用感光体の製造装置を用い、直径108mmの鏡
面加工を施したアルミニウムシリダンー上に、図16に
示す条件で電荷注入阻止層、光導電層、表面層からなる
感光体を作製した。さらに光導電層のSiH4 とH2
の混合比ならびに放電電力を変えることによって、種々
の感光体を作製した。
【0228】作製した感光体を画像形成装置(キヤノン
製NP6060をテスト用に改造)にセットして、画像
およびキャリヤの減少を評価した。
【0229】また、画像については、画像上で、カブ
リ、スジ、端部画像を総合的に判断し、カブリ温度特性
は、感光体の温度を室温から約45℃まで変えて帯電能
を測定し、◎:非常に良好、〇:良好、△:実用上問題
なし、×:実用上やや難ありの4段階にランク分けし
た。
【0230】キャリヤの減少については、画像出し評価
を行い、〇:10万枚後にキャリヤの減少量が5%以下
のものが認められたもの、×:10万枚耐久以前にキャ
リヤが5%以上減少したもの、という2段階で評価し
た。
【0231】一方、円筒形のサンプルホルダーに設置し
たガラス基板(コーンニング社7059)ならびにSi
ウエハー上に、光導電層の作成条件で膜厚約1μmのa
−Si膜を堆積した。ガラス基板上の堆積膜にはAlの
櫛型電極を蒸着し、CPMにより指数関数裾の特性エネ
ルギー(Eu)と局在準位密度(D.O.S)を測定
し、Siウエハー上の堆積膜はFTIRにより含有水素
量を測定した。
【0232】このときのEuと温度特性との関係を図4
に、またD.O.Sとメモリ、画像流れとの関係を図
5、図6示す。いずれのサンプルも水素含有量は10〜
30原子%の間であった。
【0233】図4、図5および図6から明らかなよう
に、Eu=50〜60meV、D.O.S=1×1014
〜5×1015cm-3の範囲にすることが良好な電子写真特
性を得るために必要であることがわかった。また、同様
に表面層のサンプルを作成し、櫛型電極を用いて抵抗値
の測定を行った。
【0234】つづいて、接触帯電部材を以下の条件で作
製した。
【0235】多極磁性体はφ18mmのローラ状に構成
した。その磁極数はニップ幅内で複数存在するように構
成することが好ましい。本実施の形態では磁極数12
極、磁極部表面での磁力線密度を3000Gのものを作
成した。
【0236】磁気ブラシ層は、5〜25μmの磁性酸化
鉄等のキャリヤと1〜5μmの小粒径マグ等の磁性粉
を、所定の比で混合したものを帯電キャリヤとして使用
した。該帯電キャリヤはキャリヤ粒径25μmのものを
用いた。また、ニップ幅は6〜7mmとした。
【0237】作製した帯電部材を図10に示す画像形成
装置にセットして、帯電能力を評価した。結果を図12
に示す。帯電部材の抵抗値が、1×103 〜1×1011
Ω・cmなる抵抗を有する時、良好な帯電が得られた。よ
り好ましくは、1×104 〜1×109 Ω・cmのときに
良好な帯電特性、および画像流れ等の環境特性が得られ
た。
【0238】帯電部材抵抗が1×103 Ω・cm未満だっ
た場合は、異常放電、ピンホールが発生し感光体が破損
した。また、1×1012Ω・cm以上だった場合は帯電効
率低下、注入による帯電がほとんど生じなかった。
【0239】また、作製した帯電部材のうち、Euは5
5meV、D.O.Sは6×1014cm-3を使用し、帯電
部材の抵抗値が1×103 、1×106 、1×109
1×1012Ω・cmの場合についてぞれぞれ、補助電極の
抵抗値を変え画像を評価した。補助電極には、図14
(b)に示した形状のものを用いた。
【0240】帯電部材への印加電圧条件は、600
dc。また、プロセススピードは300mm/sec で行
った。温度20℃、湿度40%RHの環境で10万枚の
耐刷試験を行い、画像およびキャリヤの減少を比較し
た。結果を図15に示す。
【0241】補助電極の抵抗値が、帯電部材の抵抗値と
同等以上の場合に良好な画像が得られた。 〈実験例2〉実施の形態1で作製した感光体の中から下
記a〜fを用い、前記補助電極の中から下記A、B−1
〜B−3、C−1〜C−3を用いて、図10に示すよう
な画像形成装置を用い、図14(b)で示した形状の
補助部材を使用した。23℃、60%RHの環境で画像
評価およびキャリヤの減少を比較した。
【0242】結果を図17、図18に示す。
【0243】帯電部材への印加電圧条件は、600
dc。プロセススピードは250mm/sec で行った。
【0244】感光体の条件は、 a:Euは47meV、D.O.Sは9×1015cm-3 b:Euは50meV、D.O.Sは2×1014cm-3 c:Euは52meV、D.O.Sは2×1015cm-3 d:Euは55meV、D.O.Sは6×1014cm-3 e:Euは58meV、D.O.Sは8×1015cm-3 f:Euは64meV、D.O.Sは1×1016cm-3 補助電極の条件は、 A:補助電極なし B:補助電極を画像形成部以外にもつ場合(図14
(b)の形状 B−1:補助電極の抵抗値がキャリヤの抵抗値より小さ
い場合 B−2:補助電極の抵抗値がキャリヤの抵抗値と同等の
場合 B−3:補助電極の抵抗値がキャリヤの抵抗値より大き
い場合 C:補助電極が画像形成部内まである場合(図14
(b)の形状 C−1:補助電極の抵抗値がキャリヤの抵抗値より小さ
い場合 C−2:補助電極の抵抗値がキャリヤの抵抗値と同等の
場合 C−3:補助電極の抵抗値がキャリヤの抵抗値より大き
い場合 図17の結果から、補助電極を設けることで良好な画像
が得られることが分かった。また、補助電極は画像形成
部以外に設置し、かつ補助電極の抵抗値をキャリヤ以上
にすることが有効であることが分かった。補助電極が画
像形成部内にある場合については、補助電極の抵抗値を
キャリヤの抵抗値と同等にすることで、良好な画像が得
られることが分かった。
【0245】また、サブバンドギャップ光吸収スペクト
ルから得られる指数関数裾の特性エネルギが50〜60
meV、かつ伝導帯端下0.45〜0.95eVにおけ
る局在状態密度が1×1014〜1×1016cm-3であるこ
と、磁気ブラシ層が1×103 〜1×1012Ω・cmなる
抵抗を有することが好適条件であることが判明した。6
00Vdc印加で帯電直後でTRek社(メーカ)製表面
電位形にて測定したところ、暗状態電位が550〜60
0Vであった。 〈実験例3〉図2に示す製造装置を用い、図19に示す
作製条件で画像形成装置用感光体を作製した。このとき
の光導電層のEuとD.O.Sは、それぞれ55me
V、2×1015cm-3であった。
【0246】これに、磁極を12極有する構成にした磁
性体と、実施の形態1と同様のキャリヤと磁性粉からな
る磁気ブラシ層を有する磁極ブラシを帯電部材として作
製した。抵抗は5×108 Ω・cmであった。帯電部材へ
の印加電圧条件は、600Vdc。プロセススピードは2
50mm/sec で、帯電部材を感光体との当接面で周速
比が150%となるように同方向に回転させた(当接面
ではそれぞれの表面が逆方向に移動する:図1の矢印参
照)。補助電極としてカーボンフェルト製の8×108
Ω・cm部材を用い図13(b)のように配置した。実験
例1と同様の評価をしたところ、良好な画像が得られ、
キャリヤの付着防止に有効であった。
【0247】このように、補助電極を帯電部材の反対の
部分までを回り込ませることにより、より効果的にキャ
リヤの付着防止の効果が得られるのではないかと思われ
る。 〈実験例4〉実験例3と同じ画像形成装置に図14
(b)〜に示した形状の補助電極を用い、実験例1
と同様の評価をしたところ、用いた補助電極1010の
すべての場合において良好な画像が得られ、キャリヤの
付着防止に有効であった。
【0248】このように、補助電極を帯電部材の反対の
部分までを回り込ませること、およびキャリヤを掻き集
める構造にすることがより、キャリヤ付着防止の効果が
得られるのではないかと思われる。 〈実施の形態1〉外径80mm×長さ358mmのアル
ミニウムシリンダーを基体とし、これにアルコキシメチ
ル化ナイロンの5%メタノール溶液を浸漬法で塗布し
て、膜厚1μmの下引き層(中間層)を設けた。
【0249】次に、チタニルフタロシアニン顔料を10
部(重量部、以下同様)、ポリビニルブチラール8部、
およびシクロヘキサノン50部を直径1mmのガラスビ
ーズ100部を用いたサンドミル装置で20時間混合分
散させた。この分散液にメチルエチルケント70〜12
0(適宜)部を加えて下引き層上に塗布し、100℃で
5分間乾燥して0.2μmの電荷発生層を形成させた。
【0250】次に、この電荷発生層の上に図20の構造
式のスチリル化合物10とビスフェノールZ型ポリカー
ボネート10部をモノクロルベンゼン65部に溶解し
た。この溶液をディッピング法によって基体上に塗布
し、120℃で60分間の熱風乾燥させて、20μm厚
の電荷輸送層を形成させた。
【0251】次に、この電荷輸送層の上に以下の方法で
膜厚1.0μmの表面層を設けた。
【0252】酸成分としてテレフタル酸を、またグリコ
ール成分としてエチレングリコールを用いて得られた高
融点ポリエチレンテレフタレート(A)[極限粘度0.
70dl/g、融点258℃(示差熱測定器を用いて1
0℃/minの昇温速度で測定した。また、測定サンプ
ルは5mgで、測定しようとするポリエステル樹脂を2
80℃で溶融後、0℃の氷水で急冷して作製した)、ガ
ラス点移転温度70℃]100部とエポキシ樹脂(B)
[エポキシ当量160:芳香族エステルタイプ;商品
名:エピコート190P(油化シェルエポキシ社製)]
30部とをフェノールとテトラクロロエタン(1:1)
混合液100mlに溶解させた。さらに上記溶液中に電
荷保持粒子として、SnO2 粉を60wt%混入した。
次いで光重合開始剤としてトリフェニルスルフォニウム
ヘキサフルオロアンチモネート(C)3部を添加して樹
脂組成物溶液を調製した。
【0253】光の照射条件としては、2kW高圧水銀灯
(30W/cm)を20cm離した位置から130℃で8秒
間照射して硬化させた。
【0254】このようにして作製した感光体を、図10
に示す画像形成装置において、補助電極は画像形成部分
外に設置し、図14(b)で示した形状のものを用い
た。キャリヤの抵抗は8×107 Ω・cm、補助電極の抵
抗は1×108 Ω・cmのものを使用した。
【0255】この条件下で、30℃、80%RHの環境
において10万枚の耐刷試験を行い、画像、およびキャ
リヤの減少を評価した。帯電部材への印加電圧条件は、
700Vdc。プロセススピード200mm/sec で行っ
た。帯電直後に測定した帯電電位は650V以上であっ
た。実験例1と同様の評価をしたところ、良好な画像が
得られ、キャリヤの付着防止に有効であった。 〈実施の形態2〉後述の実施の形態3で用いた保護層を
用いた保護層の代わりに、電荷輸送層で用いたものと同
じバインダーとして、アクリル樹脂中にSnO2 粉を6
0wt%混入し、層上に膜厚1.0μmになるように塗
布して感光体表面層とし、実施の形態1と同様に耐久テ
ストを行い、実験例1と同様の評価をしたところ、用い
た補助電極のすべての場合において良好な画像が得ら
れ、キャリヤの付着防止に有効であった。 〈実施の形態3〉図3に示すVHF−PCVD法による
画像形成装置用感光体の製造装置を用い、実施の形態1
と同様に直径108mmの鏡面加工を施したアルミニウ
ムシリンダー(支持体)上に図21に示す条件で電荷注
入阻止層、光導電層、表面層からなる感光体を作成し
た。
【0256】さらに光導電層のSiH4 とH2 との混合
比、放電電力、支持体温度ならびに内圧を変えることに
より、種々の感光体を作製した。作製した感光体を画像
形成装置(キヤノン製NP6060をテスト用に改造)
にセットして、帯電能の温度依存性(温度特性)、ブラ
ンク露光メモリならびにゴーストメモリを評価した。温
度特性ならびにメモリの評価は実施の形態1と同様にし
た。さらにハーフトーン画像の濃度ムラ(ガサツキ)を
メモリと同様、4段階のランク分けを行って評価した。
【0257】一方、光導電層の作製条件で、円筒形のサ
ンプルホルダーに設置したガラス基板(コーニング社7
059)ならびにSiウエハー上に膜厚約1μmのa−
Si膜を堆積した。ガラス基板上の堆積膜にはAlの櫛
型電極を蒸着して、CPMにより指数関数裾の特性エネ
ルギー(Eu)と局在準位密度(D.O.S)を測定
し、Siウエハー上の堆積膜はFTIRにより含有水素
量ならびにSi−H2 結合とSi−H結合の吸収ピーク
強度比を測定した。Eu、D.O.Sと温度特性、メモ
リ、画像流れとの関係は実施の形態1と同様であり、良
好な電子写真特性のためにはEu=50〜60meV、
D.O.S=1×1014〜5×1016cm-3であることが
必要であることがわかった。さらに、図7に示すSi−
2 /Si−Hとガサツキとの関係から、Si−H2
Si−H=0.2〜0.5の範囲にすることが必要であ
ることがわかった。
【0258】この感光体のうち、Eu、D.O.Sおよ
びSi−H2 /Si−Hが、各々54meV、8×10
14cm-3、0.29の感光体について、図10に示す画像
形成装置において評価を行った。補助電極は画像形成部
分外に設置し、図14(b)で示した形状のものを用
いた。キャリヤの抵抗は4×105 Ω・cm、補助電極の
抵抗は2×106 Ω・cmのものを使用した。この条件下
で25℃、50%RHの環境において評価を行い、画
像、およびキャリヤの減少を評価した。帯電部材への印
加電圧条件は、700Vdc。プロセススピード200m
m/sec で行った。帯電直後に測定した帯電電位は65
0V以上であった。
【0259】図14(b)に示す形状の補助電極を用
い、実験例1と同様の評価をしたところ、良好な画像が
得られ、キャリヤの付着防止に有効であった。 〈実施の形態4〉図3に示す画像形成装置用感光体の製
造装置を用い、図22に示す作製条件で画像形成装置用
感光体を作製した。
【0260】図10に示す画像形成装置において、補助
電極は画像形成部分外に設置し、図14(b)で示す
形状のものを用いた。キャリヤの抵抗は1×1010Ω・
cm、補助電極の抵抗は3×1010Ω・cmのものを使用し
た。この条件下で20℃、40%RHの環境において評
価を行い、画像、およびキャリヤの減少を評価した。帯
電部材への印加電圧条件は、700Vdc。プロセススピ
ード200mm/secで行った。帯電直後に測定した帯
電電位は650V以上であった。実験例1と同様の評価
をしたところ、良好な画像が得られ、キャリヤの付着防
止に有効であった。
【0261】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によると、
磁性体の表面に磁性粉体を担持させて形成した接触帯電
部材の両端に補助電極を設けることにより、接触帯電部
材から被帯電体への磁性粉体の付着を防止することがで
きるので、磁性粉体の現像器への混入や、磁性粉体の減
少による接触帯電部材の劣化を防止することができる。
これにより、長期にわたり画像の安定化を図ることがで
きる。
【0262】具体的には、補助電極を用いて接触帯電部
材の両端部に電圧をかけることにより、第1に静電的に
キャリヤの付着を防止すること、第2に補助電極によっ
て両端部におけるキャリヤの逃げ道を遮断し、キャリヤ
の流出を防止できることができる。このため、接触帯電
部材の耐久性が飛躍的に向上し、さらに、現像剤ととも
に磁性粉体が静電潜像に付着されること、現像器中に磁
性粉体が混入して正規のトナー現像が妨げられること等
による画質の低下が防止され、メンテナンスフリー化を
さらに促進することが可能となる。加えて、磁性粉体お
よび補助電極の抵抗値を好適に設定することにより、高
画質な画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は実施の形態1における接触帯電部材、
感光体の側面図。 (b)は実施の形態1における接触帯電部材、感光体の
正面図。
【図2】本発明の画像形成装置用感光体の光受容層を形
成するための装置の一例で、RF帯の高周波を用いたグ
ロー放電法による画像形成装置用感光体の製造装置の模
式的説明図。
【図3】本発明の画像形成装置用感光体の光受容層を形
成するための装置の一例で、VHF帯の高周波を用いた
グロー放電法による画像形成装置用感光体の製造装置の
模式的説明図。
【図4】感光体における光導電層のアーバックテイルの
特性エネルギー(Eu)と温度特性との関係を示す図。
【図5】感光体における光導電層の局在状態密度(D.
O.S)と光メモリとの関係を示す図。
【図6】感光体における光導電層の局在状態密度(D.
O.S)と画像流れとの関係を示す図。
【図7】感光体における光導電層のSi−H2 結合とS
i−H結合の吸収ピーク強度比とハーフトーン濃度ムラ
(ガサツキ)との関係を示す図。
【図8】従来の画像形成装置の要部の構成を示す図。
【図9】従来の他の(磁気ブラシを用いた)画像形成装
置の要部の構成を示す図。
【図10】実施の形態1の画像形成装置の要部の構成を
示す図。
【図11】(a)〜(e)はそれぞれ別の感光体の構成
を示す部分断面図。
【図12】磁気ブラシの抵抗と帯電状態との関係を示す
図。
【図13】(a)は実施の形態1の補助電極の装着状態
を示す側面図。(b)は実施の形態1の別の補助電極の
装着状態を示す側面図。
【図14】(a)は補助電極の装着位置を示すための、
感光体側から見た(下方から見た)図。(b)〜は
それぞれ別の補助電極の形状、配設位置を、感光体側か
ら見た図。
【図15】補助電極の抵抗と画質との関係を示す図。
【図16】実験例1の感光体の作製条件を示す図。
【図17】実験例2の各補助電極と各感光体との組み合
わせと、画質との関係を示す図。
【図18】実験例2の各補助電極と各感光体との組み合
わせと、キャリヤの減少との関係を示す図。
【図19】実験例3の感光体の作製条件を示す図。
【図20】実施の形態1における電荷輸送層を構成する
スチリル化合物の構造式を示す図。
【図21】実施の形態3の感光体の作製条件を示す図。
【図22】実施の形態4の感光体の作製条件を示す図。
【符号の説明】
100 接触帯電部材 101 磁性粉体(磁気ブラシ層) 102 多極磁性体(マグネットローラ) 103 スペーサ 104 被帯電体(像担持体、感光体、感光ドラ
ム) 105 補助電極 1001 被帯電体(像担持体、感光体、感光ドラ
ム) 1002 接触帯電部材 1002−1磁性粉体(磁気ブラシ層) 1002−2多極磁性体(マグネットローラ) 1003 電源 1010 補助電極 1101 支持体(円筒状支持体) 1102 感光層 1103 光導電層 1104 表面層 1105 電荷注入阻止層 1106 電荷発生層 1107 電荷輸送層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 江原 俊幸 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 磁性体表面に磁性粉体を担持させて接触
    帯電部材を構成し、前記磁性粉体を被帯電体に接触させ
    るとともに、前記接触帯電部材に電圧を印加して前記被
    帯電体を帯電する帯電装置において、 前記磁性体と前記被帯電体との間に配置した補助電極
    と、 該補助電極に電圧を印加する電源と、を備える、 ことを特徴とする帯電装置。
  2. 【請求項2】 前記補助電極を、前記接触帯電部材の少
    なくとも一方の端部に配置した、 ことを特徴とする請求項1記載の帯電装置。
  3. 【請求項3】 前記補助電極を、前記磁性体を構成する
    部材の抵抗値よりも高い抵抗値を有する部材によって構
    成し、かつ前記補助電極の抵抗値を1×104 〜1×1
    9 Ω・cmの範囲内に設定する、 ことを特徴とする請求項1または請求項2記載の帯電装
    置。
  4. 【請求項4】 前記補助部材を、前記磁性粉体と前記被
    帯電体との間に形成される帯電ニップの両端部をそれぞ
    れ閉鎖するように配置する、 ことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか記
    載の帯電装置。
  5. 【請求項5】 被帯電体と、請求項1ないし請求項4の
    いずれか記載の帯電装置と、該帯電装置によって帯電さ
    れた前記被帯電体を露光して静電潜像を形成する露光装
    置と、前記静電潜像にトナーを付着させてトナー像とし
    て現像する現像装置と、を備える、 ことを特徴とする画像形成装置。
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