JPH09222773A - 磁気ブラシ帯電装置、画像形成装置及びプロセスカートリッヂ - Google Patents

磁気ブラシ帯電装置、画像形成装置及びプロセスカートリッヂ

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JPH09222773A
JPH09222773A JP8053989A JP5398996A JPH09222773A JP H09222773 A JPH09222773 A JP H09222773A JP 8053989 A JP8053989 A JP 8053989A JP 5398996 A JP5398996 A JP 5398996A JP H09222773 A JPH09222773 A JP H09222773A
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magnetic powder
magnetic brush
layer
photoconductor
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JP8053989A
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English (en)
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Masaya Kawada
将也 河田
Tetsuya Karaki
哲也 唐木
Takaaki Kashiwa
孝明 栢
Toshiyuki Ebara
俊幸 江原
Michihito Yamazaki
道仁 山崎
Hiroaki Ogata
寛明 緒方
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Canon Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 磁力により磁性粉体の磁気ブラシ100cを
保持させた磁気ブラシ帯電部材100を有し、該帯電部
材の磁気ブラシを移動する被帯電体102に接触させ、
電圧を印加して被帯電体を帯電させる磁気ブラシ帯電装
置、該帯電装置を用いた機器において、高速・高耐久・
オゾンレスプロセス、省エネルギー、夜間通電オフ等を
実現すること。 【解決手段】 磁気ブラシ帯電部材100よりも被帯電
体移動方向下流側に、磁気ブラシ帯電部材の磁気ブラシ
100cから離脱して被帯電体面に移動した磁性粉体を
磁力により捕集する磁性粉体再捕獲機構101を有する
事、該再捕獲機構101が被帯電体と非接触である事、
回転体である事、磁気ブラシ帯電部材に印加される電圧
以下の電圧が印加される事、磁気ブラシの磁性粉体量の
規制手段を有すること、特性を向上させた感光体の利用
等。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気ブラシ帯電装
置、画像形成装置及びプロセスカートリッヂに関する。
【0002】
【従来の技術】便宜上、原稿を複写するいわゆる複写
機、近年需要の伸びの著しい、コンピューター・ワード
プロセッサー等における出力手段としてのプリンター等
の画像形成装置を例にして説明する。
【0003】(1)画像形成装置に関して 複写機やプリンター等の画像形成装置は一般的に転写方
式の電子写真プロセス機構が利用されている。図19に
その一例の基本的構成模式図を示した。
【0004】1は像担持体(被帯電体)としてのドラム
型の電子写真感光体であり、矢示の時計方向に所定の周
速度(プロセススピード)をもって回転駆動される。
【0005】2は帯電手段であり、回転感光体1の表面
を所定の極性・電位に一様に帯電処理(一次帯電)す
る。
【0006】その回転感光体1の帯電処理面に対して不
図示の、原稿画像投影露光機構、レーザービーム走査露
光機構等の画像情報露光手段(画像信号付与手段)によ
る目的の画像情報の画像露光Lがなされることで、回転
感光体1の面に露光画像情報に対応した静電潜像が形成
される。
【0007】3は現像手段であり、回転感光体1面の静
電潜像をトナー画像として現像(顕画像化)する。
【0008】4は転写手段であり、回転感光体1と該転
写手段4との間の転写部Tに不図示の給紙機構から所定
のタイミングで給送された被記録材としてのコピー用紙
等の転写材Pに対して回転感光体1面のトナー画像を転
写する。
【0009】転写部Tでトナー画像の転写を受けた転写
材Pは回転感光体1の面から分離されて熱ローラータイ
プ等の定着手段6へ導入されてトナー画像の定着処理を
受け、画像形成物(コピー、プリント)として出力され
る。
【0010】転写材分離後の回転感光体1面はクリーニ
ング手段5により転写残りトナー等の付着残留汚染物の
除去を受けて清掃され、繰り返して作像に供される。
【0011】この種の複写機やプリンター等の画像形成
装置においては、従来のオフィスユースのみならず、パ
ーソナルユースが増大した為、低コスト、メンテナンス
フリーといった経済性が重視される。
【0012】また、エコロジーの観点から、両面コピー
機能や再生紙利用等による紙消費の低減化、消費電力低
減による省エネルギー化、発生オゾン量低減対策等が、
経済性と同様の重要度で求められている。
【0013】しかし、従来、被帯電体としての感光体1
の帯電手段2として主流であったコロナ放電装置(コロ
ナ帯電器)は、50〜100μm程度の金属ワイヤーに
5〜10kV程度の高電圧を印加し、雰囲気を電離し感
光体表面を帯電させるものであるが、帯電過程におい
て、ワイヤー自身も汚れを吸着し、定期的な清掃、交換
が必要となる。また、コロナ放電にともない、好ましく
ないオゾンがかなり発生してしまう。
【0014】省エネルギーに関しては、感光体ヒーター
(ドラムヒーター)の問題もある。即ち、感光体は繰り
返し使用につれてその表面がコロナ放電装置から発生す
るオゾンから派生するコロナ生成物の付着で汚染され
る。その付着コロナ生成物の影響で感光体表面が湿度に
敏感となり水分を吸着し易くなり、これが感光体表面の
電荷の横流れの原因となり、画像流れといわれる画像品
質低下を引き起こす。
【0015】この様な画像流れを防止する為に、実公平
1−34205号公報に記載されている様なヒーターに
よる感光体加熱や、特公平2−38956号公報に記載
されている様なマグネットローラーと磁性トナーから形
成されたブラシにより感光体表面を摺擦しコロナ生成物
を取り除く方法、特開昭61−100780号公報に記
載されている様な弾性ローラーによる感光体表面の摺擦
でコロナ生成物を取り除く方法等が用いられてきた。
【0016】感光体表面を摺擦する方法は、感光体が極
めて表面硬度の高いアモルファスシリコン感光体で使用
されるが、装置の小型化や低コスト化が困難な一因とな
る。また、ヒーターによる感光体加熱は熱により感光体
表面を除湿状態に保持させるものであるが、常時加熱は
前述の様に消費電力量の増大を招く。こうしたヒーター
の容量は通常15Wから80W程度と必ずしも大電力量
といった印象を得ないが、夜間も含め常時通電されてい
るケースがほとんどであり、一日あたりの消費電力量と
しては、画像形成装置全体の消費電力量の5〜15%に
も達する。
【0017】また、特開昭59−111179号公報や
特開昭62−278577号公報に記載の外部ヒーター
加熱方式は感光体の温度変動に伴う画像濃度不安定要素
の改善についてはなんら開示がない。
【0018】また、発生するオゾンについては、従来か
らオゾン除去フィルターで分解無害化して排出してい
た。特にパーソナルユースの場合、排出オゾン量は極力
低減しなければならない。このように経済面からも帯電
時の発生オゾン量を大幅に低減する方式が求められてい
る。
【0019】(2)帯電装置2に関して そのような要望に沿う帯電装置2として、特開昭63−
208878号公報に記載されている様な接触帯電方式
がある。これは、電圧を印加した帯電部材を被帯電体に
当接させて被帯電面を所用の電位に帯電するもので、コ
ロナ放電装置に比べて、 .第1に、被帯電体面に所望の電位を得るのに必要と
される印加電圧の低電圧化が図れる事、 .第2に、帯電過程で発生するオゾン量が無乃至極微
量であり、オゾン除去フィルターの必要性が無くなる
事、そのため装置の排気系の構成が簡素化される事、 .第3に、帯電過程で発生するオゾン量が無乃至極微
量であることで、オゾン並びにオゾン生成物が被帯電体
である像担持体、例えば感光体の表面に付着し、コロナ
生成物の影響で感光体表面が湿度に敏感となり水分を吸
着し易くなることによる、表面の低抵抗化による画像流
れを防止する為、終日行われている加熱ヒーターによる
感光体除湿の必要性が無くなる事、そのため夜間通電等
の電力消費の大幅な低減が図れる事 等の長所を有している。
【0020】そこで該接触帯電方式は、例えば、電子写
真装置や静電記録装置等の画像形成装置において、感光
体や誘電体等の像担持体、その他の被帯電体を帯電処理
する手段としてコロナ放電装置に代わるものとして注目
されている。
【0021】接触帯電方式の帯電装置において、被帯電
体に接触させる帯電部材にはローラー型(帯電ローラ
ー)・ブレード型(帯電ブレード)など種々の形態があ
り、またさまざまな改善提案がある。
【0022】その中で、特開昭59−133569号公
報等の様に、磁性体(マグネット)と磁性粉体(或いは
粒子)からなる磁気ブラシ状の接触帯電部材を用いた磁
気ブラシ帯電装置が提案されている。
【0023】磁気ブラシ帯電装置は、接触帯電部材とし
てローラー型・ブレード型などを用いた場合よりも、被
帯電体と帯電部材の接触性等の特性の向上が図られる。
【0024】図20の(a)と(b)はそれぞれ磁気ブ
ラシ帯電装置2の実施態様例の模式図である。
【0025】(a)はマグネットローラー回転タイプの
装置である。20は磁気ブラシ帯電部材であり、本例の
ものは、芯金21と、該芯金まわりに同心一体に設けた
円筒状の多極磁性体としてのマグネットローラー22
と、このマグネットローラー22の外周面に該マグネッ
トローラーの磁力により磁気ブラシとして吸着保持させ
た、磁性粉体(或は磁性粒子、磁性キャリア)の磁気ブ
ラシ層23からなる。
【0026】マグネットローラー22は、通常、フェラ
イト磁石やゴムマグネット等の磁性材料が用いられる。
【0027】磁気ブラシ層23を形成させる磁性粉体に
は、Cu−Zn−Fe−O系などの磁性酸化鉄(フェラ
イト)粉、マグネタイト粉、樹脂中にフェライトやマグ
ネタイト等の磁性材料を分散させたもの、周知の磁性ト
ナー材等が一般的に用いられる。
【0028】上記の磁気ブラシ帯電部材20を、被帯電
体としての回転ドラム型の感光体1に略並行にして芯金
21の両端部を軸受けさせ、磁気ブラシ層23を感光体
1面に所定幅の帯電ニップ部nを形成させて接触させて
配設してある。
【0029】この磁気ブラシ帯電部材20は、帯電ニッ
プ部nにおいて感光体1の回転方向とは逆方向(カウン
ター方向)である矢示の時計方向に回転駆動され、ある
いは帯電ニップ部nにおいて感光体1の回転方向と順方
向である反時計方向に回転駆動され、回転感光体1面が
帯電ニップ部nにおいて磁気ブラシ層23で摺擦され
る。
【0030】該帯電部材20の抵抗値は、その使用され
る環境、高帯電効率、或いは感光体1の表面層の耐圧特
性等に応じて適宜選択されることが望ましい。
【0031】Sは帯電部材20に対する帯電バイアス電
圧印加電源であり、この電源Sにより所定の極性・電位
の直流電圧Vdc単独(DC印加方式)、或いはそれに
交流電圧Vacを重畳した振動電圧(Vdc+Vac;
AC印加方式)が芯金21・マグネットローラー22を
介して磁気ブラシ層23に印加されて、回転駆動されて
いる感光体1の外周面が接触帯電方式にて所定の極性・
電位に均一帯電処理される。
【0032】図20の(b)はスリーブ回転回転タイプ
の磁気ブラシ帯電装置2である。この装置は、芯金21
まわりに同心一体に設けた円筒状の多極磁性体としての
マグネットローラー22の外側に非磁性のスリーブ(電
極スリーブ)24を芯金21を中心に回転自由に同心に
外嵌させて設け、このスリーブ24の外周面に該スリー
ブ内側のマグネットローラー22の磁力により磁性粉体
を吸着保持させて磁気ブラシ層23を形成させて磁気ブ
ラシ帯電部材20とし、この磁気ブラシ帯電部材20
を、被帯電体としての回転ドラム型の感光体1に略並行
にして芯金21の両端部を軸受けさせ、磁気ブラシ層2
3を感光体1面に所定幅の帯電ニップ部nを形成させて
接触させて配設してある。
【0033】この磁気ブラシ帯電部材20のスリーブ2
4が非回転のマグネットローラー22の外側を、帯電ニ
ップ部nにおいて感光体1の回転方向とは逆方向である
矢示の時計方向に回転駆動され、あるいは帯電ニップ部
nにおいて感光体1の回転方向と順方向である反時計方
向に回転駆動され、回転感光体1面が帯電ニップ部nに
おいて磁気ブラシ層23で摺擦される。
【0034】そして帯電バイアス電圧印加電源Sにより
スリーブ24を介して磁気ブラシ層23に対して所定の
帯電バイアスがDC印加方式或いはAC印加方式で印加
されて、回転駆動されている感光体1の外周面が接触帯
電方式にて所定の極性・電位に均一帯電処理される。
【0035】(3)感光体1に関して a)有機光導電体(OPC) 電子写真感光体1の光導電材料として、近年種々の有機
光導電材料の開発が進み、特に電荷発生層と電荷輸送層
を積層した機能分離型感光体は既に実用化されて複写機
やレーザービームプリンターに搭載されている。
【0036】しかしながら、これらの感光体は一般的に
耐久性が低い事が1つの大きな欠点であるとされてき
た。耐久性としては、感度、残留電位、帯電能、画像ぼ
け等の電子写真物性面の耐久性、及び摺擦による感光体
表面の摩耗や引っ掻き傷等の機械的耐久性に大別され、
いずれも感光体の寿命を決定する大きな要因となってい
る。
【0037】この内、電子写真物性面の耐久性、特に画
像ぼけに関しては、コロナ放電装置から発生するオゾ
ン、NOx等の活性物質により感光体表面層に含有され
る電荷輸送物質が劣化する事が原因である事が知られて
いる。
【0038】また機械的耐久性に関しては、感光層に対
して紙(被記録材)、ブレード/ローラー等のクリーニ
ング部材、トナー等が物理的に接触して摺擦する事が原
因である事が知られている。
【0039】電子写真物性面の耐久性を向上させる為に
は、オゾン、NOx等の活性物質により劣化されにくい
電荷輸送物質を用いることが重要であり、酸化電位の高
い電荷輸送物質を選択する事が知られている。
【0040】また、機械的耐久性を上げる為には、紙や
クリーニング部材による摺擦に絶える為に、表面の潤滑
性を上げ摩擦を小さくする事、トナーのフィルミング融
着等を防止する為に表面の離形性をよくすることが重要
であり、フッ素系樹脂粉体、フッ化黒鉛、ポリオレフィ
ン系樹脂粉体等の滑材を表面層に配合することが知られ
ている。
【0041】しかしながら、感光体の摩耗が著しく小さ
くなると、オゾン、NOx等の活性物質により生成した
吸湿性物質が感光体表面に堆積し、その結果として表面
抵抗が下がり、表面電荷が横方向に移動し、いわゆる画
像流れを生ずるという問題があった。
【0042】b)アモルファスシリコン系感光体(a−
Si) 電子写真において、感光体における感光層を形成する光
導電材料としては、高感度で、SN比[光電流(Ip)
/暗電流(Id)]が高く、照射する電磁波のスペクト
ル特性に適合した吸収スペクトルを有すること、光応答
性が早く、所望の暗抵抗値を有すること、無害であるこ
と、等の特性が要求される。特に、事務機としてオフィ
スで使用される画像形成装置内に組み込まれる画像形成
装置用感光体の場合には、大量に、且つ長期にわたり複
写される事を考えると、画質、画像濃度の長期安定性も
重要な点である。
【0043】この様な点に優れた性質を示す光導電材料
として、水素化アモルファスシリコン(a−Si:H)
がある。特公昭60−35059号公報には画像形成装
置用感光体としての応用が記載されている。
【0044】このような画像形成装置用感光体は、一般
的には、導電性支持体を50℃から400℃に加熱し、
該支持体上に真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプ
レーティング法、熱CVD法、光CVD法、プラズマC
VD法等の成膜法によりa−Siからなる光導電層を形
成する。
【0045】なかでもプラズマCVD法、すなわち、原
料ガスを直流または高周波あるいはマイクロ波グロー放
電によって分解し、支持体上にa−Si堆積膜を形成す
る方法が好適なものとして実用されている。
【0046】特開昭54−83746号公報において
は、導電性支持体と、ハロゲン原子を構成要素として含
むa−Si(a−Si:X)光導電層からなる画像形成
装置用感光体が提案されている。当該公報においては、
a−Siにハロゲン原子を1乃至40原子%含有させる
ことにより、耐熱性が高く、画像形成装置用感光体の光
導電層として良好な電気的、光学的特性を得ることがで
きるとしている。
【0047】特開昭57−115556号公報には、a
−Si堆積膜で構成された光導電層を有する光導電部材
の、暗抵抗値、光感度、光応答性等の電気的、光学的、
光導電的特性及び耐湿性等の使用環境特性、さらには経
時的安定性について改善を図るため、シリコン原子を母
体としたアモルファス材料で構成された光導電層上に、
シリコン原子及び炭素原子を含む非光導電性のアモルフ
ァス材料で構成された表面障壁層を設ける技術が記載さ
れている。
【0048】特開昭60−67951号公報には、アモ
ルファスシリコン、炭素、酸素及び弗素を含有してなる
透光絶縁性オーバーコート層を積層する感光体について
の技術が記載されている。
【0049】特開昭62−168161号公報には、表
面層として、シリコ原子と炭素原子と41〜70原子%
の水素原子を構成要素として含む非晶質材料を用いる技
術が記載されている。
【0050】特開昭57−158650号公報には、水
素を10〜40原子%含有し、赤外吸収スペクトルの2
100cm-1と2000cm-1の吸収ピークの吸収係数
比が0.2〜1.7であるa−Si:Hを光導電層に用
いることにより高感度で高抵抗な画像形成装置用感光体
が得られることが記載されている。
【0051】特開昭60−95551号公報には、アモ
ルファスシリコン感光体の画像品質向上のために、感光
体表面近傍の温度を30乃至40℃に維持して帯電、露
光、現像および転写といった画像形成行程を行うことに
より、感光体表面での水分の吸着による表面抵抗の低下
とそれに伴って発生する画像流れを防止する技術が開示
されている。
【0052】これらの技術により、画像形成装置用感光
体の電気的、光学的、光導電的特性及び使用環境特性が
向上し、それに伴って画像品質も向上してきた。
【0053】(4)環境対策ヒーター(感光体ヒータ
ー、ドラムヒーター)に関して 前述した感光体1の高湿画像流れを防止、除去する為
に、感光体1の内面に熱源を設けて感光体1を除湿する
事が周知であり、最も一般的なのは、面状の電熱ヒータ
ー7(図19)乃至棒状の電熱ヒーターを円筒状感光体
1の内面に配設している。
【0054】
【発明が解決しようとする課題】ところで、画像形成装
置において被帯電体としての感光体1の帯電処理手段と
して前述した磁気ブラシ帯電部材20を用いる磁気ブラ
シ帯電装置2を利用した場合の問題点として、以下の点
が挙げられる。
【0055】.感光体1の回転速度や、印加される帯
電電位Vpと帯電前の感光体表面電位や非帯電部の電位
差が大きい時、磁気ブラシ帯電部材20の耐久性が不十
分である。
【0056】即ち、磁気ブラシ層23を構成する磁性粉
体が帯電工程時等の感光体回転中に少しずつ磁気ブラシ
層23から離脱して感光体表面側へ移動して持ち去ら
れ、耐久の進行に伴って磁気ブラシ層23の磁性粉体が
減少して、磁気ブラシ層23が痩せていく。
【0057】この磁気ブラシ層23を構成する磁性粉体
の感光体表面側への離脱・移動現象は、磁気ブラシ層2
3を構成する磁性粉体のマグネットローラー22側や電
極スリーブ24側への磁気的吸引力に対し、感光体1の
回転による摩擦等の機械的力、磁気ブラシ層23と感光
体1表面の非帯電部の電位差により生じる電界によるク
ーロン力等が打ち勝つことで生じる。
【0058】その結果、耐久の進行に伴って磁気ブラシ
層23のを磁性粉体が減少して、磁気ブラシ層23が痩
せていくことで、帯電効率が低下し、画像の濃度差が見
られる様になる。
【0059】特に、アモルファスシリコン感光体の様に
高速で使用され、極めて長い寿命を有する感光体を用い
た画像形成装置においては、磁気ブラシ層23の磁性粉
体の減少により画質が低下し、何れはメンテナンス乃至
磁気ブラシ帯電部材20の交換をせざるをえなくなって
しまう。
【0060】こうした事はサービスコストの増加をまね
き、メンテナンスフリー化を阻害する問題である。
【0061】.耐久時の縦スジ(以下、まだらスジと
記す)発生の問題がある。まだらスジの発生メカニズム
としては以下の様な事が考えられる。
【0062】即ち、上述のように磁気ブラシ23から感
光体1側に離脱・移動した磁性粉体は感光体1の回転に
伴い現像手段3へ搬送され、いくらかは現像手段3の現
像部材としての現像スリーブ(現像ローラー)に磁気的
に吸引される。そして、耐刷枚数が増加するに従い、現
像スリーブに吸引される該磁性粉体の累積が増加し、そ
れが現像の妨げとなり、その結果まだらスジが発生す
る。
【0063】更には被記録材Pであるところのコピー用
紙に現像、転写され、いわゆる「かぶり」が発生する場
合もあった。
【0064】.特開昭59−133569号公報で
は、図21のごとく、磁気ブラシ帯電部材20よりも感
光体回転方向下流側に感光体1に当接させてブレード2
5を設けて該ブレード25により磁気ブラシ23から感
光体1側に離脱・移動した磁性粉体を捕獲23aして現
像手段3側へのまわり込みを防止する磁性粉体捕獲機構
が開示されているが、ブレードエッジ部に捕集された磁
性粉体23aにより感光体表面が研磨され、画質低下を
招く場合もある。特に表面硬度がそれほど高く無い感光
体においては、その影響は更に大きくなる。
【0065】したがって、画像形成装置にあっては設計
する際に、上記のような課題が解決されるように、被帯
電体としての感光体の電子写真物性、機械的耐久性など
総合的な観点からの改良を図るとともに、帯電部材、帯
電装置、画像形成装置の一段の改良を図ることが必要と
されている。
【0066】本発明は、特に、磁気ブラシ帯電部材を用
いた帯電装置、該帯電装置を用いた画像形成装置につい
て、上記の改良を図ったものである。
【0067】
【課題を解決するための手段】本発明は下記の構成を特
徴とする、磁気ブラシ帯電装置、画像形成装置及びプロ
セスカートリッヂである。
【0068】(1)磁力により磁性粉体の磁気ブラシを
保持させた磁気ブラシ帯電部材を有し、該帯電部材の磁
気ブラシを移動する被帯電体に接触させ、電圧を印加し
て被帯電体を帯電させる磁気ブラシ帯電装置において、
磁気ブラシ帯電部材よりも被帯電体移動方向下流側に、
磁気ブラシ帯電部材の磁気ブラシから離脱して被帯電体
面に移動した磁性粉体を磁力により捕集する磁性粉体再
捕獲機構を有する事を特徴とする磁気ブラシ帯電装置。
【0069】(2)磁気ブラシ帯電部材の磁気ブラシ保
持部材と、磁性粉体再捕獲機構が磁性体からなる事を特
徴とする(1)に記載の磁気ブラシ帯電装置。
【0070】(3)磁性粉体再捕獲機構が被帯電体と非
接触である事を特徴とする(1)に記載の磁気ブラシ帯
電装置。
【0071】(4)磁気ブラシ帯電部材の磁気ブラシ保
持部材と被帯電体面との距離を規制する機構、磁性粉体
再捕獲機構の磁性粉体捕集面と被帯電体面との距離を規
制する機構を設けた事を特徴とする(1)ないし(3)
に記載の磁気ブラシ帯電装置。
【0072】(5)磁性粉体再捕獲機構が回転体であ
り、少なくとも被帯電体の帯電工程時は回転駆動される
事を特徴とする(1)ないし(4)の何れか1つに記載
の磁気ブラシ帯電装置。
【0073】(6)磁性粉体再捕獲機構に、磁気ブラシ
帯電部材に印加される電圧以下の電圧が印加される事を
特徴とする(1)ないし(5)の何れか1つに記載の磁
気ブラシ帯電装置。
【0074】(7)磁性粉体再捕獲機構で再捕獲させた
磁性粉体を磁気ブラシ帯電部材へ搬送する機構を設けた
事を特徴とする(1)ないし(6)の何れか1つに記載
の磁気ブラシ帯電装置。
【0075】(8)磁性粉体再捕獲機構から磁気ブラシ
帯電部材への磁性粉体搬送機構が強磁性体からなる事を
特徴とする(7)に記載の磁気ブラシ帯電装置。
【0076】(9)磁性粉体再捕獲機構が磁性粉体落下
防止機構を有する事を特徴とする(7)または(8)に
記載の磁気ブラシ帯電装置。
【0077】(10)磁気ブラシ帯電部材と磁性粉体再
捕獲機構の各々、又は両方の磁性粉体の量を規制する機
構を設けた事を特徴とする(1)ないし(9)の何れか
1つに記載の磁気ブラシ帯電装置。
【0078】(11)磁気ブラシ帯電部材の磁力線密度
が、磁性粉体再捕獲機構の磁力線密度以上である事を特
徴とする(1)ないし(10)の何れか1つに記載の磁
気ブラシ帯電装置。
【0079】(12)移動する像担持体に、該像担持体
面を帯電する工程、その帯電処理面に静電潜像を形成す
る工程を含む画像形成プロセスを適用して画像形成を実
行する画像形成装置において、該像担持体を帯電する工
程手段が(1)ないし(11)の何れか1つに記載の磁
気ブラシ帯電装置であり、磁性粉体再捕獲機構は磁気ブ
ラシ帯電部材よりも像担持体移動方向下流側で、像担持
体面に対する静電潜像形成工程部よりも像担持体移動方
向上流側に設けられている事を特徴とする画像形成装
置。
【0080】(13)磁気ブラシ帯電装置の少なくとも
磁気ブラシ帯電部材、あるいは磁気ブラシ帯電部材と磁
性粉体再捕獲機構と、像担持体、現像装置、クリーニン
グ装置の少なくとも1つとが一括して画像形成装置本体
に対して着脱自在に装着されるプロセスカートリッヂと
して構成されている事を特徴とする(12)に記載の画
像形成装置。
【0081】(14)像担持体が、導電性支持体と、シ
リコン原子を母体として水素原子及び/またはハロゲン
原子を含有する非単結晶材料から成り光導電性を示す光
導電層、及び電荷を保持する機能を有する表面層を有す
る光受容層から構成される感光体であって、光導電層が
10〜30原子%の水素を含有し、少なくとも光の入射
する部分において、サブバンドギャップ光吸収スペクト
ルから得られる指数関数裾の特性エネルギーEuが50
〜60meV、かつ局在状態密度D.O.S.が1×1
14〜1×1016cm-3、である事を特徴とする(1
2)または(13)に記載の画像形成装置。
【0082】(15)像担持体が、導電性支持体と、有
機感光層、及び電荷保持粒子を含む表面層を有する感光
体である事を特徴とする(12)または(13)に記載
の画像形成装置。
【0083】(16)画像形成装置本体に対して着脱自
在に装着されるプロセスカートリッヂであり、(1)な
いし(11)の何れか1つに記載の磁気ブラシ帯電装置
の少なくとも磁気ブラシ帯電部材、あるいは磁気ブラシ
帯電部材と磁性粉体再捕獲機構と、像担持体、現像装
置、クリーニング装置の少なくとも1つとを収容してい
る事を特徴とするプロセスカートリッヂ。
【0084】〈作 用〉 (a)磁気ブラシ帯電装置は前述したようにコロナ放電
のようなオゾン生成物が実質的に発生しないた為、被帯
電体の帯電電荷のいわゆる高湿流れ防止対策が不要にな
り、画像形成装置にあっては被帯電体である像担持体の
除湿のための加熱手段を設ける必要がなく、装置の小型
化、低コスト化が可能となり、エコロジーの点からも有
効である。
【0085】(b)磁気ブラシ帯電部材から離脱して被
帯電体面に移動した磁性粉体は次位の磁性粉体再捕獲機
構により被帯電体面から捕集除去される。離脱磁性粉体
の被帯電体面からの再捕獲は磁力によりなされ、磁性粉
体再捕獲機構を被帯電体面に非接触に設けることができ
て被帯電体表面への機械的なストレスを抑制した上で、
磁気ブラシ帯電部材から離脱して被帯電体面に移動した
漏れ磁性粉体を高効率に再捕獲することができる。
【0086】したがって、画像形成装置にあっては、磁
気ブラシ帯電部材から離脱して像担持体面に移動した漏
れ磁性粉体を像担持体面に損傷を与えることなく高効率
に再捕獲して、漏れ磁性粉体が現像装置に持ち込まれて
混入することによるまだらスジ等の現像障害で画質が低
下すること、被記録材に転移してかぶり等の画像障害が
発生することが防止され、極めて好適な画像安定化が達
成された。
【0087】像担持体としてa−Si系感光体を用いた
画像形成装置など、特に帯電前に主除電光等により除電
を行なう機構を有する場合では、帯電後に感光体の表面
電位が減衰する、いわゆる「暗減衰」があり、その為感
光体表面の漏れ磁性粉体に対する引力の低減効果も相乗
し、よりよい漏れ磁性粉体再捕獲効果が顕れている。
【0088】また、耐久性の向上した保護層に、更に温
度特性や電気的特性を向上させた新規な感光体を組み合
わせる事により、夜間通電無し、省エネルギー、高画質
保持のまま、高湿画像流れの除去が可能となった。
【0089】なお加熱手段を必要に応じて具備させるこ
とを妨げるものではない。
【0090】(c)磁性粉体再捕獲機構は回転させるこ
とで該機構の磁性体の磁極が被帯電体面上の漏れ磁性粉
体を捕獲する機会が増加して漏れ磁性粉体の再捕獲の効
率が向上する。
【0091】(d)磁性粉体再捕獲機構には適宜の電圧
を印加することにより、被帯電体面上の漏れ磁性粉体の
再捕獲の効率が向上する。
【0092】(e)磁性粉体再捕獲機構で再捕獲させた
磁性粉体を磁気ブラシ帯電部材へ搬送・帰還させる機構
を設ける事で、磁気ブラシ帯電部材の耐久に伴う磁性粉
体の実質的な減少を顕著に低減させることができて、磁
気ブラシ帯電部材の耐刷寿命(耐久性)が飛躍的に向上
し、画像形成装置にあっては画質が良好なレベルで長期
にわたり確保され、メンテナンスフリー化が更に進み、
磁気ブラシ帯電部材に対する磁性粉体の補給、即ちサー
ビスメンテナンスの簡易化が可能になった。
【0093】磁性粉体再捕獲機構で再捕獲させた磁性粉
体を磁気ブラシ帯電部材へ搬送・帰還させる機構は、磁
気ブラシ帯電部材と磁性粉体再捕獲機構を適当に近接さ
せ、磁気ブラシ帯電部材の磁力線密度を、磁性粉体再捕
獲機構の磁力線密度以上にすることで、磁性粉体再捕獲
機構で再捕獲させた磁性粉体を磁気ブラシ帯電部材へ磁
気的作用等で自然に飛翔帰還させる構成としたり、磁性
粉体再捕獲機構と磁気ブラシ帯電部材との間に磁性体等
の簡単な橋渡し部材を配設する等により、別途、磁性粉
体搬送用の駆動源等の機構を設ける必要無く磁性粉体再
捕獲機構側から磁気ブラシ帯電部材側へ再捕獲磁性粉体
を搬送・帰還させることが可能であり、装置の小型化、
低コスト化が可能になる。
【0094】画像形成装置にあっては、予期せぬ効果と
して、特に耐久時における感光体長軸方向での濃度むら
特性が向上した。
【0095】これは、磁気ブラシ帯電部材の磁気ブラシ
を構成している磁性粉体の帯電部材長軸方向即ち感光体
長軸方向への移動の自由度が、該磁性粉体が帯電部材中
にある時と比較して、磁性粉体再捕獲機構や搬送系を経
由して帯電部材に返還される途上の方が大きくなり、帯
電部材上の局部的な磁性粉体の減少に応じた位置に該磁
性粉体が返還され易いからと思われる。
【0096】更に、再捕獲磁性粉体を搬送する機構を併
用した系で磁性粉体の汚染レベルが改善されていた。
【0097】これは、再捕獲された磁性粉体が、再捕獲
機構から帯電部材に磁気力により搬送される際に、紙粉
やタルク等が分離されているものと思われる。この効果
により更に磁性粉体の耐刷寿命の向上がなされた。
【0098】(f)磁気ブラシ帯電部材と磁性粉体再捕
獲機構とにおける磁性粉体の量を規制する機構を設け
て、磁気ブラシ帯電部材と磁性粉体再捕獲機構の磁気ブ
ラシの磁性粉体に働く磁気力及びクーロン力の相関を考
慮し磁性粉体の量、即ち磁気ブラシの適宜な「穂の高
さ」規制を行うことで、帯電に必要十分な磁性粉体量の
磁気ブラシが帯電部材に確保され、不必要な磁性粉体の
漏れ、或いは帯電不良といった画質低下の原因を抑制
し、常時適宜な条件で帯電部材を使用でき、帯電部材の
耐久性を向上できる。
【0099】(g)上記のような作用により、画像形成
装置にあっては、プロセススピードや像担持体の帯電設
定等の装置の設定変更に対し、耐久性、その他広範囲に
対応できる。
【0100】
【発明の実施の形態】
(1)画像形成装置例(図1・図2) 図1・図2はそれぞれ画像形成装置例の概略構成図であ
る。
【0101】a)図1の画像形成装置 図1の画像形成装置は、転写方式電子写真プロセス利用
の、原稿台固定−光学系移動型の電子写真複写機であ
る。
【0102】121は固定の原稿台ガラスであり、複写
機本体外装筐120の上面板に設けた開口部に嵌め込ん
である。この原稿台ガラス121の上に原稿Oを複写す
べき画像面を下向きにして所定の載置基準にて載置し、
その上に原稿押え板122をかぶせて押え込み状態にす
る。
【0103】123・124・125・126は原稿台
ガラス121の下側に配設した、原稿照明ランプ、第1
移動ミラー、第2移動ミラー、第3移動ミラーである。
コピースタート信号に基づいて原稿照明ランプ123が
点灯し、該ランプ123と第1移動ミラー124が一緒
に原稿台ガラス121の左辺側のホームポジションから
右辺側に原稿台ガラス下面に沿って所定の速度Vで往動
移動する。これに連動して第2及び第3移動ミラー12
5・126が一緒に原稿台ガラス121の左辺側のホー
ムポジションから右辺側に原稿台ガラス下面に沿って速
度V/2で往動移動する。これにより、原稿台ガラス1
21上のセット原稿Oの下向き画像面が左辺側から右辺
側に原稿台ガラス121を通して照明走査され、その照
明走査光の原稿面反射光が第1移動ミラー124→第2
移動ミラー125→第3移動ミラー126→結像レンズ
127→固定ミラー128の光学系により、像担持体と
しての回転ドラム型の電子写真感光体102に対する画
像露光部(静電潜像形成工程部)103において回転感
光体102の面に結像投影露光(スリット露光)Lされ
る。
【0104】原稿照明ランプ123・第1移動ミラー1
24のVの移動速度に対して、第2及び第3移動ミラー
125・126がV/2の速度で同方向に移動すること
で、光学系の移動過程において原稿面から回転感光体1
02の画像露光部面までの光学光路長は一定に保たれ
る。原稿照明ランプ123、第1移動ミラー124、第
2移動ミラー125、第3移動ミラー126は所定の往
動終点に達すると復動移動されてはじめのホームポジシ
ョンに戻される。
【0105】ドラム型の感光体102は所定の周速度
(プロセススピード)をもって矢示の時計方向に回転駆
動される。この感光体102については後記(4)項で
詳述する。
【0106】感光体102はその回転過程において、前
露光装置109による前露光除電処理(電気的メモリー
の除去)を受け、磁気ブラシ帯電部材100による所定
の極性・電位の一次帯電処理を受け、画像露光部103
において上記の光学系による原稿画像の結像投影露光L
を受けることで、その表面に露光画像に対応した静電潜
像が形成される。
【0107】101は磁性粉体の再捕獲部材であり、上
記の磁気ブラシ帯電部材100と回転感光体102に対
する画像露光部103との間位置に配設してあり、磁気
ブラシ帯電部材100の磁気ブラシ層から離脱して感光
体102面に移動付着した磁性粉体を捕獲し、現像装置
104や転写装置105へ持ち運ばれるのを防止する役
目をする。
【0108】上記の磁気ブラシ帯電部材100及び磁性
粉体再捕獲部材101についてはそれぞれ後記(2)項
及び(3)項で詳述する。
【0109】回転感光体1面に形成された静電潜像は現
像装置104によりトナー画像として可視化される。1
04aは回転現像スリーブである。この現像スリーブ1
04aには不図示の電源から所定の現像バイアス電圧が
所定のタイミングで印加される。
【0110】そのトナー画像は、感光体102と転写装
置としての転写ローラー105との当接ニップ部である
転写部Tにおいて、該転写部Tに、不図示の給紙機構部
から給紙され、レジストローラー106で所定のタイミ
ングにて給送された被記録材としての転写材Pに対して
転写されていく。転写ローラー105には不図示の電源
から所定の転写バイアス電圧が所定のタイミングで印加
される。
【0111】転写部Tを通った転写材Pは除電・分離部
材107で、除電され、感光体102面から分離され
て、搬送ベルト装置110により熱ローラータイプ等の
定着装置111へ搬送され、トナー画像の定着処理を受
けてコピーとして出力される。
【0112】両面画像形成モードや多重画像形成モード
の場合には定着装置111を出た第1面画像形成済みあ
るいは第1回目画像形成済みの転写材は不図示の再循環
シートパス機構に導入されて、転写部Tに再給送され
る。
【0113】転写材分離後の回転感光体102面はクリ
ーニング装置108により転写残りトナー等の付着残留
汚染物の除去を受けて清掃され、繰り返して作像に供さ
れる。108aはクリーニングブレードである。
【0114】b)図2の画像形成装置 図2の画像形成装置は、転写方式電子写真プロセス利
用、プロセスカートリッヂ着脱式のレーザービームプリ
ンターである。
【0115】像担持体としての回転ドラム型の電子写真
感光体102はその回転過程において磁気ブラシ帯電部
材100により一次帯電処理を受け、その帯電処理面に
レーザービームスキャナー131によるレーザービーム
走査露光L(画像信号付与、画像情報書込み)を受ける
ことにより目的の画像情報の静電潜像が形成される。
【0116】レーザービームスキャナー131は半導体
レーザ、回転多面鏡(ポリゴンミラー)、F−Θレンズ
等からなり、不図示の画像読取装置(イメージスキャナ
ー)、コンピューター、ワードプロセッサー等のホスト
装置から入力する目的の画像情報の時系列電気ディジタ
ル画素信号に対応して変調されたレーザービームを出力
し、そのレーザービームを偏向して回転感光体102面
を走査露光する。131aはレーザービームスキャナー
131からの出力レーザーを感光体102に折り返すミ
ラーである。
【0117】回転感光体102面の静電潜像は現像装置
104でトナー画像として現像される。レーザービーム
プリンターの場合、回転感光体102面の静電潜像は一
般に反転現像にて可視化される。
【0118】一方、用紙カセット132内の転写材Pが
給紙ローラー133と分離部材133aにより一枚分離
給送されてシートパス134を経由して回転感光体10
2と転写ローラー105との当接ニップ部である転写部
Tに所定のタイミングで給送され、該転写材の面に回転
感光体102面側のトナー画像が順次に転写される。
【0119】転写部Tを通って感光体102面から分離
された転写材Pはシートパス135を経由して定着装置
111へ搬送されてトナー画像の定着処理を受け、排紙
ローラー136、排紙口137からプリンター本体外装
筐130の上面に設けた排紙トレイ138上にプリント
アウトされる。Paは排紙されたプリントである。
【0120】転写材分離後の回転感光体102面はクリ
ーニング装置108により転写残りトナー等の付着残留
汚染物の除去を受けて清掃され、繰り返して作像に供さ
れる。
【0121】このプリンターにも、磁気ブラシ帯電部材
100と回転感光体102に対する画像露光部であるレ
ーザービーム走査露光部103(静電潜像形成工程部)
との間位置に磁性粉体再捕獲部材101を配設してあ
る。129は磁性粉体再捕獲部材101で捕獲した磁性
粉体を磁気ブラシ接触帯電部材100に戻す搬送ブレー
ド、もしくは磁性粉体量規制用ブレードである。このブ
レード129については後記(3)項で詳述する。
【0122】本例のプリンターは、感光体102、磁気
ブラシ帯電部材100、磁性粉体再捕獲部材101、搬
送ブレード129、クリーニング装置108のクリーニ
ングブレード108aと廃トナー容器108bを一体化
して、プリンター本体内に対して着脱交換自在のプロセ
スカートリッヂPCとしてある。
【0123】プロセスカートリッヂPCはプリンター本
体内に対して所定に装着することでプリンター本体と機
械的・電気的に接続化してプリント動作可能状態にな
る。
【0124】プロセスカートリッヂPCとなるプロセス
機器のの組み合わせは上記に限られるものではない。
【0125】(2)磁気ブラシ帯電部材100 磁気ブラシ帯電部材100は前述図20の(a)のマグ
ネットローラー回転タイプのもの、あるいは(b)のス
リーブ回転タイプのものと同様のものを用いることがで
きる。
【0126】a)図3・図4の磁気ブラシ帯電部材10
0はマグネットローラー回転タイプのものを示してい
る。即ち、芯金100aと、該芯金まわりに同心一体に
設けた円筒状の多極磁性体としてのマグネットローラー
100bと、このマグネットローラー100bの外周面
に該マグネットローラーの磁力により磁気ブラシとして
吸着保持させた磁性粉体の磁気ブラシ層100cと、芯
金100aの両端側にそれぞれ回転自由に外嵌させた円
盤型のスペーサーコロ100d・100dからなる。
【0127】この磁気ブラシ帯電部材(以下、帯電部材
と略記する)100を、感光体102に略並行にして、
両端側のスペーサーコロ100d・100dを感光体1
02の両端側の面に常時当接させた状態に保持させて、
芯金100aの両端部を軸受け保持させる。
【0128】スペーサーコロ100d・100dはマグ
ネットローラー100bの外径よりも所定に大きく、磁
気ブラシ層100cの外径よりも所定に小さい外径とし
てあり、マグネットローラー100bと感光体102と
の最近接間隙(ギャップ)αを所定に規制する役目をす
る。該間隙αは50〜2000μmの範囲が好ましく、
より好ましくは100〜1000μmである。
【0129】磁気ブラシ層100cは感光体102とマ
グネットローラー100bとの間において感光体102
の面に接触して帯電ニップ部nを形成する。感光体10
2とマグネットローラー100bの最近接間隙αが上記
のようにスペーサーコロ100d・100dで所定に規
制されることで、帯電ニップ部nの感光体回転方向にお
ける幅が安定化される。その他にニップ調整用の機構を
設けても良い。
【0130】帯電部材100のマグネットローラー10
0bは、本例においては、帯電ニップ部nにおいて感光
体102の回転方向とは逆方向である矢示の時計方向に
回転駆動され、回転感光体102面が帯電ニップ部nに
おいて磁気ブラシ層100cで摺擦される。
【0131】電源Sにより芯金100a・マグネットロ
ーラー100bを介して磁気ブラシ層100cに対して
所定の帯電バイアスがDC印加方式或はAC印加方式で
印加されて、回転駆動されている感光体102の外周面
が接触帯電方式にて所定の極性・電位に均一帯電処理さ
れる。
【0132】磁性体としてのマグネットローラー100
bは、通常フェライト磁石等の金属や、プラスティック
マグネット等の多極構成が可能な材質材を用いることが
できる。
【0133】その磁力線密度はその使用するプロセスス
ピード、印加電圧と非帯電部との電位差による電界、被
帯電体の誘電率や表面性等多くの要因により異なり、そ
れらの条件に応じて適宜選択されるものであるが、該磁
性体としてのマグネットローラー100bの表面から1
mmの距離において測定される。磁極位置における磁力
線密度で500ガウス(G;Gauss)以上が好まし
い。より好ましくは1000G以上である。
【0134】磁気ブラシ層100cを構成させる磁性粉
体は、Cu−Zn系フェライトやMn−Zn系フェライ
ト等の磁性フェライト、磁性マグネタイト等の磁性粉
体、ピロール等の樹脂中に磁性粉末を分散させた物、磁
性トナーのキャリア、あるいは磁性体と樹脂からなるト
ナーを使用することができる。
【0135】該磁性粉体の粒径は一般に1乃至100μ
m以下の物が用いられるが、画質に支障が無ければ更に
大粒径の粉体を使用しても良い。又、粒径は均一なもの
を用いても良いし、流動性向上のため異なる粒径の磁性
粉体を混合して使用しても良い。
【0136】磁性粉体の粒径、及び粒度分布の測定はレ
ーザー回折式粒度分布測定装置HEROS(日本電子
製)を用いて、0.05μm〜200μmの範囲を32
対数分割して測定した。また、該測定値の50%平均粒
径を以て平均粒径とした。
【0137】全体の平均粒子半径の測定法としては、こ
の他に光学顕微鏡或いは走査型電子顕微鏡により、ラン
ダムに100個以上のサンプルを抽出し、水平方向最大
弦長を以てその粒径としてもよい。
【0138】また、図8に示す様に、磁気ブラシ層10
0cの抵抗は、帯電効率を良好に保持し、一方で、リー
クポチや感光体表面の微小欠陥から帯電部材長軸方向で
電位が低下してしまう事の防止等のために、1×103
〜1×1012Ωcmなる抵抗を有することが好ましい。
より好ましくは1×104 〜1×109 Ωcmである。
該抵抗値の測定は、HIOKI社(メーカー)製のMΩ
テスターで250V〜1kVの印加電圧における測定に
て行なった。
【0139】b)図7の磁気ブラシ帯電部材100はス
リーブ回転タイプのものを示している。即ち、マグネッ
トローラー100bの外側に非磁性のスリーブ(電極ス
リーブ)100eを芯金100aを中心に回転自由に同
心に外嵌させて設け、このスリーブ100eの外周面に
外スリーブ内側のマグネットローラー100bの磁力に
より磁性粉体を吸着保持させて磁気ブラシ層100cを
形成させ、芯金100aの両端側にそれぞれ円盤型のス
ペーサーコロ100d・100dを回転自由に外嵌させ
てある。スペーサーコロ100d・100dはスリーブ
100eの外径よりも所定に大きい外径としてあり、ス
リーブ100eと感光体102との最近接間隙αを所定
に規制する役目をする。
【0140】この帯電部材100を、回転ドラム型の感
光体102に略並行にして、両端側のスペーサーコロ1
00d・100dを感光体102の両端側の面に常時当
接させた状態に保持させて、芯金100aの両端部を軸
受け保持させる。
【0141】スリーブ100eが非回転のマグネットロ
ーラー100bの外側を、本例においては、帯電ニップ
部nにおいて感光体102の回転方向とは逆方向である
矢示の時計方向に回転駆動され、回転感光体102面が
帯電ニップ部nにおいて磁気ブラシ層100cで摺擦さ
れる。
【0142】電源Sによりスリーブ100eを介して磁
気ブラシ層100cに対して所定の帯電バイアスがDC
印加方式或はAC印加方式で印加されて、回転駆動され
ている感光体102の外周面が接触帯電方式にて所定の
極性・電位に均一帯電処理される。
【0143】(3)磁性粉体再捕獲部材101 磁性粉体再捕獲部材(以下、再捕獲部材と略記する)1
01は磁性体(磁石体)からなり、帯電部材100より
も感光体回転方向の下流側で、感光体102に対する画
像露光部103よりも感光体回転方向の上流側に配設し
てあり、帯電ニップ部n中で静電引力・摩擦力等により
離脱して感光体102面に移動した、磁気ブラシ層10
0cを構成している磁性粉体を感光体面から磁気吸着で
拾って捕獲し、磁性粉体の現像装置104への混入や、
転写材であるところのコピー用紙への移動、即ち現像に
よる画質の低下防止する。
【0144】図3・図5の再捕獲部材101はマグネッ
トローラーである。これはマグネットローラー回転タイ
プの帯電部材100から磁気ブラシ層100cを省いた
ものと同様の構成のものである。即ち、芯金101a
と、該芯金まわりに同心一体に設けた円筒状の多極磁性
体としてのマグネットローラー101bと、芯金101
aの両端側にそれぞれ回転自由に外嵌させた円盤型のス
ペーサーコロ101d・101dからなる。
【0145】この再捕獲部材101を、回転ドラム型の
感光体102に略並行にして、両端側のスペーサーコロ
101d・101dを感光体102の両端側の面に常時
当接させた状態に保持させて、芯金101aの両端部を
軸受け保持させる。
【0146】スペーサーコロ101d・101dはマグ
ネットローラー101bの外径よりも所定に大きい外径
としてあり、マグネットローラー101bと感光体10
2との最近接間隙αを所定に規制してマグネットローラ
ー101bと感光体102を非接触に保つ役目をする。
該間隙αは50〜2000μmの範囲が好ましく、より
好ましくは100〜1000μmである。
【0147】再捕獲部材101のマグネットローラー1
01bは、本例においては、感光体102の回転と順方
向である矢示の反時計方向に回転され、帯電ニップ部n
で離脱して感光体面に移動した磁性粉体を、間隙α部に
おいて感光体102面から磁気力で拾ってマグネットロ
ーラー101bの周面に吸着し捕獲する。
【0148】再捕獲部材101のマグネットローラー1
01bの周面には再捕獲された磁性粉体により形成され
る磁気ブラシ層101fが付随する。
【0149】再捕獲部材101は、スリーブ回転タイプ
の帯電部材100から磁気ブラシ層100cを省いたも
のと同様の構成のものを用いることもできる。図7の再
捕獲部材101はそれである。
【0150】即ち、マグネットローラー101bの外側
に非磁性のスリーブ101eを芯金101aを中心に回
転自由に同心に外嵌させて設け、芯金101aの両端側
にそれぞれ円盤型のスペーサーコロ101d・101d
を回転自由に外嵌させてある。スペーサーコロ101d
・101dはスリーブ101eの外径よりも所定に大き
い外径としてあり、スリーブ101eと感光体102と
の最近接間隙αを所定に規制してスリーブ101eと感
光体102を非接触に保つ役目をする。該間隙αは50
〜2000μmの範囲が好ましく、より好ましくは10
0〜1000μmである。
【0151】この再捕獲部材101を、感光体102に
略並行にして、両端側のスペーサーコロ101d・10
1dを感光体102の両端側の面に常時当接させた状態
に保持させて、芯金101aの両端部を軸受け保持させ
る。
【0152】この再捕獲部材101のスリーブ101e
は、本例においては、感光体の回転と順方向である矢示
の反時計方向に回転され、帯電ニップ部nで離脱して感
光体面に移動した磁性粉体を、間隙α部において感光体
102面からスリーブ101e内のマグネットローラー
100bの磁気力で拾ってスリーブ101eの周面に吸
着し捕獲する。
【0153】再捕獲部材101のスリーブ101eの周
面には再捕獲された磁性粉体により形成される磁気ブラ
シ層101fが付随する。
【0154】再捕獲部材101の磁力線密度や帯電部材
100との距離は、感光体表面に移動した磁性粉体を再
捕獲でき、かつ捕獲した磁性粉体を帯電部材100に搬
送し得る強度に設定することができる。
【0155】再捕獲部材101に再捕獲された磁性粉体
は、上記の電磁気的な力により直接に、或いは再捕獲部
材101と帯電部材100間に図6や図7のように設け
た強磁性板金等の補助部材である搬送ブレード129等
の搬送機構を介して、帯電部材100側へ搬送、返還補
充させることができる。
【0156】また、再捕獲部材101で捕獲した磁性粉
体を帯電部材100に高効率で搬送する為、再捕獲部材
101に使用した多極磁性体101bの磁力線密度は帯
電部材100に使用した磁性体100bのそれよりも小
さくなるように組み合わせて使用する事も有効である。
【0157】前露光を有する電子写真装置、特にアモル
ファスシリコン系感光体を使用した電子写真装置におい
ては、帯電部材で印加後の時間に応じて表面電位が減衰
する、いわゆる暗減衰があり、その為帯電部材よりも下
流に行く程、感光体表面に移動した磁性粉体を滞留させ
る力の1つである電位差に起因するクーロン力が小さく
なり、再捕獲部材101での磁性粉体再捕獲が効率的に
なされる。
【0158】再捕獲部材101として図3・図5・図6
のようにマグネットローラー101bを使用する場合、
該マグネットローラー101bを回転させる事で磁極が
磁性粉体を捕獲する機会が増加し、再捕獲の効率が向上
する。
【0159】磁性粉体の再捕獲は磁力にるものであり、
再捕獲部材101を感光体表面に非接触で設置する事も
でき、この場合、再捕獲部材101に再捕獲された磁性
粉体や再捕獲部材101自体により感光体102を傷つ
ける危険が非常に少ない。
【0160】又、再捕獲部材101を図7のようにスリ
ーブ回転タイプとした場合、感光体表面に漏れた磁性粉
体を再捕獲する部位、即ち実質的に感光体側の磁極の磁
束密度を適宜な値に規定してやれば良い。この磁極は実
質的に磁性粉体を再捕獲できる磁束線密度やその方向を
満足すれば良いのであり、感光体に直角でなくてもよい
事はいうまでもない。
【0161】再捕獲部材101で再捕獲した磁性粉体を
帯電部材100に搬送する機構129と併用する事で実
用的な磁性粉体の寿命が延び、サービスメンテナンスの
点でも有効である。
【0162】また、再捕獲部材101で再捕獲した磁性
粉体を磁気的な作用を利用して帯電部材100に搬送す
る系は、磁性粉体搬送用の機構を別途設ける必要が無
く、装置の構成を簡易にし、低コスト化に有効である。
【0163】(4)感光体102 被帯電体としての感光体は従来のものと同じものでもよ
いが、前述の問題を解決する為の一つの手段として、本
発明者らは温度依存性が小さく、かつ表面耐久性に優れ
た次のような新規な感光体を用いて、長期にわたり極め
て好適な画像安定化が達成される事を見いだした。
【0164】a)有機光導電体(OPC感光体) 本発明に用いた好適なOPC感光体の一形態について述
べる。図9は該OPC感光体の層構成を説明するための
摸式的構成図である。
【0165】本例の感光体102は感光体用としての支
持体1101の上に感光層1102が設けられている。
感光層1102は、電荷発生層1106、電荷輸送層1
107からなる光導電層1103と、その上に、必要に
応じて、保護層ないし表面層1104、及び支持体11
01と光導電層1103の間に中間層を設けて構成され
ている。
【0166】OPC感光体において、表面層1104、
光導電層1103(1106・1107)、必要に応じ
て設けられる中間層、特に表面層1104は、前述帯電
部材100からの電荷注入を効率的に受容し、該電荷を
有効に保持する事が必要である。本発明者らは、特に表
面層1104で高融点ポリエステル樹脂と硬化樹脂の混
成材等の高抵抗樹脂中にSnO2 など金属酸化物等の電
荷保持粒子を分散させた材料がそれぞれの樹脂成分の特
性を相乗的に作用させあい、こうした条件を満足する事
を見いだした。
【0167】感光体の表面層、光導電層、電荷輸送層及
び電荷発生層の形成にもちいる樹脂の1例を説明する。
【0168】ポリエステルとは酸成分とアルコール成分
との結合ポリマーであり、ジカルボン酸とグリコールと
の縮合、あるいはヒドロキシ安息香酸のヒドロキシ基と
カルボキシ基とを有する化合物の縮合によって得られる
重合体である。
【0169】酸成分として、 ・テレフタル酸,イソフタル酸,ナフタレンジカルボン
酸等の芳香族ジカルボン酸、 ・コハク酸,アジピン酸,セバチン酸等の樹脂族ジカル
ボン酸、 ・ヘキサヒドロテレフタル酸等の脂環族ジカルボン酸、
ヒドロキシエトキシ安息香酸等のオキシカルボン酸 等を用いる事が出来る。
【0170】グリコール成分としては、エチレングリコ
ール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコ
ール、ヘキサメチレングリコール、シクロヘキサンジメ
チロール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレング
リコール等を使用することが出来る。
【0171】尚、前記ポリエステル樹脂が実質的に線状
である範囲で、ペンタエリスリトール、ロリメチロール
プロパン、ピロメリット酸、及びこれらのエステル形成
誘導体等の多官能化合物を共重合させても良い。
【0172】ポリエステル樹脂としては、高融点ポリエ
ステル樹脂を用いる。この高融点ポリエステル樹脂とし
ては、オルソクロロフェノール中36℃で測定した極限
粘度が0.4dl/g以上、好ましくは0.5dl/g
以上、更に好ましくは0.65dl/g以上のものが用
いられる。
【0173】好ましい高融点ポリエステル樹脂として
は、ポリアルキレンテレフタレート系樹脂が挙げられ
る。ポリアルキレンテレフタレート系樹脂は、酸成分と
してテレフタル酸、グリコール成分としてアルキレング
リコールから主としてなるものである。
【0174】その具体例としては、 ・テレフタル酸成分とエチレングリコール成分とから主
としてなるポリエチレンテレフタレート(PET)、 ・テレフタル酸成分と1、4−テトラメチレングリコー
ル(1、4−ブチレングリコール)成分とから主として
なるポリブチレンテレフタレート(PBT)、 ・テレフタル酸成分とシクロヘキサンジメチロール成分
とから主としてなるポリシクロヘキシルジメチレンテレ
フタレート(PCT) 等をあげることが出来る。
【0175】他の好ましい高分子量ポリエステル樹脂と
しては、ポリアルキレンナフタレート系樹脂を例示出来
る。ポリアルキレンナフタレート系樹脂は、酸成分とし
てナフタレンジカルボン酸成分と、グリコール成分とし
てアルキレングリコール成分とから主としてなるもので
あって、その具体例としては、ナフタレンジカルボン酸
成分とエチレングリコール成分とから主としてなるポリ
エチレンナフタレート(PEN)等を挙げることが出来
る。
【0176】高融点ポリエステル樹脂としては、その融
点が好ましくは160℃以上、特に好ましくは200℃
以上のものである。
【0177】ポリエステル樹脂の他に、アクリル樹脂を
使用しても良い。又、バインダとしては2官能アクリ
ル、6官能アクリル、ホスファゼン等が使用される。
【0178】これらの樹脂は、比較的結晶性が高く、硬
化樹脂ポリマー鎖と高融点ポリマー鎖との相互の絡み合
いが均一かつ密になって、高耐久性の表面層を形成出来
るものと考えられる。低融点ポリエステル樹脂等の場合
には、結晶性が低いので、硬化樹脂ポリマー鎖との絡み
合いの程度が大きいところと小さいところが生じ、耐久
性が劣るものと考えられる。
【0179】表面層1104には、SnO2 等の電荷保
持材を分散させた物を用いた。使用条件等により適宜に
選択された分散量を用い、抵抗値、帯電効率を制御する
事が好ましい。
【0180】b)アモルファスシリコン系感光体(a−
Si感光体) a−Si感光体について好適な形態例を述べる。a−S
i系感光体は周知の、導電性支持体と、シリコン原子を
母体とする非単結晶材料から成る光導電層を有する感光
層とから構成される。使用する感光体は従来と同じ感光
体でも構わないが、必要に応じて特性を向上させた物を
用いる。
【0181】特性を向上させたa−Si系感光体は、光
導電層は10〜30原子%の水素を含み、光吸収スペク
トルの指数関数裾(アーバックテイル)の特性エネルギ
ーEuが50〜60meVであって、かつ局在状態密度
D.O.S.が1×1014〜1×1016cm-3であるこ
とを特徴としている。
【0182】上記したような構成をとるように設計され
た感光体は、帯電能の温度依存性を初め、極めて優れた
電気的、光学的、光導電的特性、画像品質、耐久性及び
使用環境特性を示す。
【0183】一般的に、a−Si:Hのバンドギャップ
内には、Si−Si結合の構造的な乱れに基づくテイル
(裾)準位と、Siの未結合手(ダングリングボンド)
等の構造欠陥に起因する深い準位が存在する。これらの
準位は、電子や正孔の捕獲、再結合中心として働き、素
子の特性を低下させる原因になることが知られている。
【0184】このようなバンドギャップ中の局在準位の
状態を測定する方法として、一般に深準位分光法、等温
容量過渡分光法、光熱偏向分光法、一定光電流法等が用
いられている。中でも一定光電流法[Constant
PhotocurrentMethod: CPMと
略記する]は、a−Si:Hの局在準位に基づくサブキ
ャップ光吸収スペクトルを簡便に測定する方法として有
用である。
【0185】CPMによって測定された光吸収スペクト
ルから求められる指数関数裾(アーバックテイル)の特
性エネルギーEuや、局在状態密度D.O.S.と感光
体特性との相関を種々の条件にわたって調べた結果、特
性エネルギーEu及び局在状態密度D.O.S.がa−
Si感光体の温度特性や光メモリーと密接な関係にある
ことを見いだした。
【0186】ドラムヒーター等で感光体を加熱したとき
に帯電能が低下する原因として、熱励起されたキャリア
(熱励起キャリア)が帯電時の電界に引かれてバンド裾
の局在準位やバンドギャップないの深い局在準位への捕
獲・放出を繰り返しながら表面に走行し、表面電荷を打
ち消してしまうことが挙げられる。このとき、帯電器を
通過する迄に表面に到達する熱励起キャリアについては
帯電能の低下には殆ど影響がないが、深い準位に捕獲さ
れた熱励起キャリアは、帯電器を通過した後に表面へ到
達して表面電荷を打ち消す為に温度特性として観測され
る。また、帯電器を通過した後に熱励起された熱励起キ
ャリアも表面電荷を打ち消し帯電能の低下を引き起こ
す。したがって、感光体の使用温度領域における熱励起
キャリアの生成を抑え、なおかつ該熱励起キャリアの走
行性を向上させることが温度特性の向上の為に必要であ
る。
【0187】さらに、光メモリーはブランク露光や像露
光によって生じた光キャリアがバンドギャップないの局
在準位に捕獲され、光導電層内に該光キャリアが残留す
ることによって生じる。すなわち、ある複写工程におい
て生じた光キャリアのうち光導電層内に残留した光キャ
リアが、次回の帯電時あるいはそれ以降に表面電荷によ
る電界によってはき出され、光の照射された部分の電位
が他の部分よりも低くなり、その結果画像上に濃淡が生
じる。したがって、光キャリアが光導電層内に残留する
ことなく、1回の複写行程で走行するように、光キャリ
アの走行性を改善しなければならない。
【0188】したがって、特性エネルギーEuおよび特
定のエネルギー範囲の局在状態密度D.O.S.を制御
することにより、熱励起キャリアの生成が抑えられ、な
おかつ熱励起キャリアや光キャリアが局在準位に捕獲さ
れる割合を小さくすることができる為に上記キャリア
(電荷キャリア)の走行性が著しく改善される。その結
果、感光体の使用温度領域での温度特性が飛躍的に改善
され、同時に光メモリーの発生を抑制することができる
為に、感光体の使用環境に対する安定性が向上し、ハー
フトーンが鮮明に出てかつ高い高品質の画像を安定して
得ることができる。
【0189】図10の(a)乃至(d)はそれぞれa−
Si系感光体102の層構成形態例の摸式的構成図であ
る。
【0190】(a)のものは、感光体用としての支持体
1101の上に感光層1102が設けられている。該感
光層1102はa−Si:H、Xからなり光導電性を有
する光導電層1103で構成されている。
【0191】(b)のものは、感光体用としての支持体
1101の上に感光層1102が設けられている。該感
光層1102は、a−Si:H,Xからなり光導電性を
有する光導電層1103と、アモルファスシリコン系表
面層1104とから構成されている。
【0192】(c)のものは、感光体用としての支持体
1101の上に感光層1102が設けられている。該感
光層1102は、アモルファスシリコン系電荷注入阻止
層1105と、a−Si:H,Xからなり光導電性を有
する光導電層1103と、アモルファスシリコン系表面
層1104から構成されている。
【0193】(d)のものは、感光体用としての支持体
1101の上に感光層1102が設けられている。該感
光層1102は、光導電層1103を構成するa−S
i:H,Xからなる電荷発生層1106ならびに電荷輸
送層1107と、アモルファスシリコン系表面層110
4とから構成されている。
【0194】.支持体1101 支持体1101としては、導電性でも電気絶縁性であっ
てもよい。
【0195】導電性支持体としては、Al、Cr、M
o、Au、In、Nb、Te、V、Ti、Pt、Pd、
Fe等の金属、およびこれらの合金、例えばステンレス
等が挙げられる。
【0196】また、ポリエステル、ポリエチレン、ポリ
カーボネート、セルロースアセテート、ポリプロピレ
ン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリアミド等の合
成樹脂のフィルムまたはシート、ガラス、セラミック等
の電気絶縁性支持体の少なくとも感光層を形成する側の
表面を導電処理した支持体も用いることができる。
【0197】また、支持体1101の形状は平滑表面あ
るいは凹凸表面の円筒状または板状、無端ベルト状であ
ることができ、その厚さは、所望通りの画像形成装置用
感光体102を形成し得るように適宜決定するが、画像
形成装置用感光体102としての可撓性が要求される場
合には、支持体1101としての機能が充分発揮できる
範囲内で可能な限り薄くすることができる。しかしなが
ら、支持体1101は製造上および取り扱い上、機械的
強度等の点から通常は10μm以上とされる。特にレー
ザー光などの可干渉性光を用いて像記録を行う場合に
は、可視画像において現われる、いわゆる干渉縞模様に
よる画像不良をより効果的に解消するために、磁性粉体
の減少が実質的にない範囲で支持体1101の表面に凹
凸を設けてもよい。支持体1101の表面に設けられる
凹凸は、特開昭60−168156号公報、同60−1
78457号公報、同60−225854号公報等に記
載された公知の方法により作成される。
【0198】また、レーザー光などの可干渉性光を用い
た場合の干渉縞模様による画像不良をより効果的に解消
する別の方法として、磁性粉体の減少が実質的にない範
囲で支持体1101の表面に複数の球状痕跡窪みによる
凹凸形状を設けてもよい。即ち、支持体1101の表面
が画像形成装置用感光体102に要求される解像力より
も微少な凹凸を有し、しかも該凹凸は、複数の球状痕跡
窪みによるものである。支持体1101の表面に設けら
れる複数の球状痕跡窪みによる凹凸は、特開昭61−2
31561号公報に記載された公知の方法により作成さ
れる。
【0199】又、レーザー光等の可干渉性光を用いた場
合の干渉縞模様による画像不良をより効果的に解消する
さらに別の方法として、感光層1102内、或いは該層
1102の下側に光吸収層等の干渉防止層或いは領域を
設けても良い。
【0200】以上は図4のOPC感光体の支持体110
1についても同様である。
【0201】.光導電層1103 支持体1101上、必要に応じて下引き層(不図示)上
に形成され、感光層1102の一部を構成する光導電層
1103は、真空堆積膜形成方法によって、所望特性が
得られるように適宜成膜パラメーターの数値条件が設定
されて作成される。
【0202】具体的には、例えばグロー放電法(低周波
CVD法、高周波CVD法またはマイクロ波CVD法等
の交流放電CVD法、あるいは直流放電CVD法等)、
スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング
法、光CVD法、熱CVD法などの数々の薄膜堆積法に
よって形成することができる。
【0203】これらの薄膜堆積法は、製造条件、設備資
本投資下の負荷程度、製造規模、作成される画像形成装
置用感光体に所望される特性等の要因によって適宜選択
されて採用されるが、所望の特性を有する画像形成装置
用感光体を製造するに当たっての条件の制御が比較的容
易であることからしてグロー放電法、特にRF帯または
VHF帯の電源周波数を用いた高周波グロー放電法が好
適である。
【0204】グロー放電法によって光導電層1103を
形成するには、基本的にはシリコン原子(Si)を供給
し得るSi供給用の原料ガスと、水素原子(H)を供給
し得るH供給用の原料ガスまたは/及びハロゲン原子
(X)を供給し得るX供給用の原料ガスを、内部を減圧
にし得る反応容器内に所望のガス状態で導入して、該反
応容器内にグロー放電を生起させ、あらかじめ所定の位
置に設置されてある所定の支持体1101上にa−S
i:H,Xからなる層を形成すればよい。
【0205】また、光導電層1103中に水素原子また
は/及びハロゲン原子が含有されることが必要である
が、これはシリコン原子の未結合手を補償し、層品質の
向上、特に光導電性および電荷保持特性を向上させるた
めに必須不可欠であるからである。よって水素原子また
はハロゲン原子の含有量、または水素原子とハロゲン原
子の和の量はシリコン原子と水素原子または/及びハロ
ゲン原子の和に対して10〜30原子%、より好ましく
は15〜25原子%とされるのが望ましい。
【0206】Si供給用ガスとなり得る物質としては、
SiH 、Si 、Si 、Si
10等のガス状態の、またはガス化し得る水素化珪
素(シラン類)が有効に使用されるものとして挙げら
れ、更に層作成時の取り扱い易さ、Si供給効率の良さ
等の点でSiH 、Si が好ましいものと
して挙げられる。
【0207】そして、形成される光導電層1103中に
水素原子を構造的に導入し、水素原子の導入割合の制御
をいっそう容易になるように図り、これらのガスに更に
および/またはHeあるいは水素原子を含む珪素化
合物のガスも所望量混合して層形成することが必要であ
る。また、各ガスは単独種のみでなく所定の混合比で複
数種混合しても差し支えないものである。
【0208】またハロゲン原子供給用の原料ガスとして
有効なのは、たとえばハロゲンガス、ハロゲン化物、ハ
ロゲンをふくむハロゲン間化合物、ハロゲンで置換され
たシラン誘導体等のガス状のまたはガス化し得る、ハロ
ゲン化合物が好ましく挙げられる。また、さらにはシリ
コン原子とハロゲン原子とを構成要素とするガス状のま
たはガス化し得る、ハロゲン原子を含む水素化珪素化合
物も有効なものとして挙げることができる。
【0209】好適に使用し得るハロゲン化合物として
は、具体的には弗素ガス(F )、BrF、ClF、
ClF 、BrF 、BrF 、IF 、IF
等のハロゲン間化合物を挙げることができる。
【0210】ハロゲン原子を含む珪素化合物、いわゆる
ハロゲン原子で置換されたシラン誘導体としては、具体
的には、たとえばSiF 、Si 等の弗化
珪素が好ましいものとして挙げることができる。
【0211】光導電層1103中に含有される水素原子
または/及びハロゲン原子の量を制御するには、例えば
支持体1101の温度、水素原子または/及びハロゲン
原子を含有させるために使用される原料物質の反応容器
内へ導入する量、放電電力等を制御すればよい。
【0212】光導電層1103には必要に応じて伝導性
を制御する原子を含有させることが好ましい。伝導性を
制御する原子は、光導電層1103中に万遍なく均一に
分布した状態で含有されても良いし、あるいは層厚方向
には不均一な分布状態で含有している部分があってもよ
い。
【0213】前記伝導性を制御する原子としては、半導
体分野における、いわゆる不純物を挙げることができ、
p型伝導特性を与える周期律表IIIb族に属する原子
(以後、第IIIb族原子と記す)、またはn型伝導特性
を与える周期律表Vb族に属する原子(以後、第Vb族
原子と記す)を用いることができる。
【0214】第IIIb族原子としては、具体的には、硼
素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、
インジウム(In)、タリウム(Tl)等があり、特に
B、Al、Gaが好適である。
【0215】第Vb族原子としては、具体的には、燐
(P)、砒素(As)、アンチモン(Sb)、ビスマス
(Bi)等があり、特にP、Asが好適である。
【0216】光導電層1103に含有される伝導性を制
御する原子の含有量としては、好ましくは1×10−2
〜1×10 原子ppm、より好ましくは5×10
−2〜5×10 原子ppm、最適には1×10−1
〜1×10 原子ppmとされるのが望ましい。
【0217】伝導性を制御する原子、たとえば、第III
b族原子あるいは第Vb族原子を構造的に導入するに
は、層形成の際に、第IIIb族原子導入用の原料物質あ
るいは第Vb族原子導入用の原料物質をガス状態で反応
容器中に、光導電層1103を形成するための他のガス
とともに導入してやればよい。
【0218】第IIIb族原子導入用の原料物質あるいは
第Vb族原子導入用の原料物質となり得るものとして
は、常温常圧でガス状の、または少なくとも層形成条件
下で容易にガス化し得るものが採用されるのが望まし
い。
【0219】そのような第IIIb族原子導入用の原料物
質として具体的には、硼素原子導入用としては、B
、B10、B 、B11
10、B12、B14等の水素化硼
素、BF 、BCl、BBr 等のハロゲン化硼
素等が挙げられる。この他、AlCl 、GaCl
、Ga(CH 、InCl 、TlCl
等も挙げることができる。
【0220】第Vb族原子導入用の原料物質として有効
に使用されるのは、燐原子導入用としては、PH
等の水素化燐、PH I、PF 、P
、PCl 、PCl 、PBr 、PBr
、PI 等のハロゲン化燐が挙げられる。この他、
AsH 、AsF 、AsCl 、AsBr
、AsF 、SbH 、SbF 、SbF
、SbCl 、SbCl 、BiH 、BiC
、BiBr 等も第Vb族原子導入用の出発物
質の有効なものとして挙げることができる。
【0221】また、これらの伝導性を制御する原子導入
用の原料物質を必要に応じてHおよび/またはHeに
より希釈して使用してもよい。
【0222】さらに、光導電層1103に炭素原子及び
/または酸素原子及び/または窒素原子を含有させるこ
とも有効である。炭素原子及び/または酸素原子及び/
または窒素原子の含有量はシリコン原子、炭素原子、酸
素原子及び窒素原子の和に対して、好ましくは1×10
−5〜10原子%、より好ましくは1×10−4〜8原
子%、最適には1×10−3〜5原子%が望ましい。炭
素原子及び/または酸素原子及び/または窒素原子は、
光導電層中に万遍なく均一に含有されても良いし、光導
電層の層厚方向に含有量が変化するような不均一な分布
をもたせた部分があっても良い。
【0223】光導電層1103の層厚は所望の電子写真
特性が得られること及び経済的効果等の点から適宜所望
にしたがって決定され、好ましくは20〜50μm、よ
り好ましくは23〜45μm、最適には25〜40μm
とされるのが望ましい。
【0224】所望の膜特性を有する光導電層1103を
形成するには、Si供給用のガスと希釈ガスとの混合
比、反応容器内のガス圧、放電電力ならびに支持体温度
を適宜設定することが必要である。
【0225】希釈ガスとして使用するH および/ま
たはHeの流量は、層設計にしたがって適宜最適範囲が
選択されるが、Si供給用ガスに対しH および/ま
たはHeを、通常の場合3〜20倍、好ましくは4〜1
5倍、最適には5〜10倍の範囲に制御することが望ま
しい。
【0226】反応容器内のガス圧も同様に層設計にした
がって適宜最適範囲が選択されるが、通常の場合1×1
−4〜10Torr、好ましくは5×10−4〜5T
orr、最適には1×10−3〜1Torrとするのが
好ましい。
【0227】放電電力もまた同様に層設計にしたがって
適宜最適範囲が選択されるが、Si供給用のガスの流量
に対する放電電力を、通常の場合2〜7倍、好ましくは
2.5〜6倍、最適には3〜5倍の範囲に設定すること
が望ましい。
【0228】さらに、支持体1101の温度は、層設計
にしたがって適宜最適範囲が選択されるが、通常の場
合、好ましくは200〜350℃、より好ましくは23
0〜330℃、最適には250〜310℃とするのが望
ましい。
【0229】光導電層を形成するための支持体温度、ガ
ス圧の望ましい数値範囲として前記した範囲が挙げられ
るが、条件は通常は独立的に別々に決められるものでは
なく、所望の特性を有する感光体を形成すべく相互的且
つ有機的関連性に基づいて最適値を決めるのが望まし
い。
【0230】.表面層1104 上述のようにして支持体1101上に形成された光導電
層1103の上に、更にアモルファスシリコン系の表面
層1104を形成することが好ましい。この表面層11
04は自由表面1106を有し、主に耐湿性、連続繰り
返し使用特性、電気的耐圧性、使用環境特性、耐久性に
おいて目的を達成するために設けられる。
【0231】又、感光層1102を構成する光導電層1
103と表面層1104とを形成する非晶質材料の各々
がシリコン原子という共通の構成要素を有しているの
で、積層界面において化学的な安定性の確保が十分成さ
れている。表面層1104は、アモルファスシリコン系
の材料であればいずれの材質でも可能であるが、例え
ば、 ・水素原子(H)及び/またはハロゲン原子(X)を含
有し、更に炭素原子を含有するアモルファスシリコン
(a−SiC:H,X)、 ・水素原子(H)及び/またはハロゲン原子(X)を含
有し、更に酸素原子を含有するアモルファスシリコン
(a−SiO:H,X)、 ・水素原子(H)及び/またはハロゲン原子(X)を含
有し、更に窒素原子を含有するアモルファスシリコン
(a−SiN:H,X)、 ・水素原子(H)及び/またはハロゲン原子(X)を含
有し、更に炭素原子、酸素原子、窒素原子の少なくとも
一つを含有するアモルファスシリコン(a−SiCO
N:H,X) 等の材料が好適に用いられる。
【0232】該表面層1104は真空堆積膜形成方法に
よって、所望特性が得られるように適宜成膜パラメータ
ーの数値条件が設定されて作成される。具体的には、例
えば、グロー放電法(低周波CVD法、高周波CVD法
またはマイクロ波CVD法等の交流放電CVD法、ある
いは直流放電CVD法等)、スパッタリング法、真空蒸
着法、イオンプレーティング法、光CVD法、熱CVD
法など数々の薄膜堆積法によって形成することができ
る。
【0233】これらの薄膜堆積法は、製造条件、設備資
本投資下の負荷程度、製造規模、作成される画像形成装
置用感光体に所望される特性等の要因によって適宜選択
されて採用されるが、感光体の生産性から光導電層と同
等の堆積法によることが望ましい。
【0234】例えば、グロー放電法によってa−Si
C:H,Xよりなる表面層1104を形成するには、基
本的にはシリコン原子(Si)を供給し得る、Si供給
用の原料ガスと、炭素原子(C)を供給し得るC供給用
の原料ガスと、水素原子(H)を供給し得るH供給用の
原料ガスまたは/及びハロゲン原子(X)を供給し得る
X供給用の原料ガスを、内部を減圧にし得る反応容器内
に所望のガス状態で導入して、該反応容器内にグロー放
電を生起させ、あらかじめ所定の位置に設置された光導
電層1103を形成した支持体1101上にa−Si
C:H,Xからなる層を形成すればよい。
【0235】表面層1104の材質としてはシリコンを
含有するアモルファス材料ならば何れでも良いが、炭
素、窒素、酸素より選ばれた元素を少なくとも1つ含む
シリコン原子との化合物が好ましく、特にa−SiCを
主成分としたものが好ましい。
【0236】表面層1104をa−SiCを主成分とし
て構成する場合の炭素量は、シリコン原子と炭素原子の
和に対して30%から90%の範囲が好ましい。
【0237】また、表面層1104中に水素原子または
/及びハロゲン原子が含有されることが必要であるが、
これはシリコン原子の未結合手を補償し、層品質の向
上、特に光導電性特性および電荷保持特性を向上させる
ために必須不可欠である。水素含有量は、構成原子の総
量に対して通常の場合30〜70原子%、好適には35
〜65原子%、最適には40〜60原子%とするのが望
ましい。また、弗素原子の含有量として、通常の場合は
0.01〜15原子%、好適には0.1〜10原子%、
最適には0.6〜4原子%とされるのが望ましい。
【0238】これらの水素及び/または弗素含有量の範
囲内で形成される感光体は、実際面に於いて従来にない
格段に優れたものとして充分適用させ得るものである。
すなわち、表面層内に存在する欠陥(主にシリコン原子
や炭素原子のダングリングボンド)は画像形成装置用感
光体としての特性に悪影響を及ぼすことが知られてい
る。例えば自由表面から光導電層への電荷の注入による
帯電特性の劣化、使用環境、例えば高い湿度のもとで表
面構造が変化することによる帯電特性の変動、更にコロ
ナ帯電時や光照射時に光導電層により表面層に電荷が注
入され、前記表面層内の欠陥に電荷がトラップされるこ
とにより繰り返し使用時の残像現象の発生等がこの悪影
響として挙げられる。
【0239】しかしながら表面層内の水素含有量を30
原子%以上に制御することで表面層内の欠陥が大幅に減
少し、その結果、従来に比べて電気的特性面及び高速連
続使用性において飛躍的な向上を図ることができる。
【0240】一方、前記表面層中の水素含有量が71原
子%以上になると表面層の硬度が低下するために、繰り
返し使用に耐えられなくなる。従って、表面層中の水素
含有量を前記の範囲内に制御することが格段に優れた所
望の電子写真特性を得る上で非常に重要な因子の1つの
である。表面層中の水素含有量は、H ガスの流量、
支持体温度、放電パワー、ガス圧等によって制御し得
る。
【0241】また、表面層中の弗素含有量を0.01原
子%以上の範囲に制御することで表面層内のシリコン原
子と炭素原子の結合の発生をより効果的に達成すること
が可能となる。さらに、表面層中の弗素原子の働きとし
て、コロナ等のダメージによるシリコン原子と炭素原子
の結合の切断を効果的に防止することができる。
【0242】一方、表面層中の弗素含有量が15原子%
を越えると表面層内のシリコン原子と炭素原子の結合の
発生の効果およびシリコン原子と炭素原子の結合の切断
を防止する効果がほとんど認められなくなる。さらに、
過剰の弗素原子が表面層中のキャリアの走行性を阻害す
るため、残留電位や画像メモリーが顕著に認められてく
る。従って、表面層中の弗素含有量を前記範囲内に制御
することが所望の電子写真特性を得る上で重要な因子の
一つである。表面層中の弗素含有量は、水素含有量と同
様にH ガスの流量、支持体温度、放電パワー、ガス
圧等によって制御し得る。
【0243】表面層の形成において使用されるシリコン
(Si)供給用ガスとなり得る物質としては、SiH
、Si 、Si 、Si10
等のガス状態の、またはガス化し得る水素化珪素(シラ
ン類)が有効に使用されるものとして挙げられ、更に層
作成時の取り扱い易さ、Si供給効率の良さ等の点でS
iH 、Si が好ましいものとして挙げら
れる。また、これらのSi供給用の原料ガスを必要に応
じてH 、He、Ar、Ne等のガスにより希釈して
使用してもよい。
【0244】炭素供給用ガスとなり得る物質としては、
CH 、C 、C 、C10
等のガス状態の、またはガス化し得る炭化水素が有効に
使用されるものとして挙げられ、更に層作成時の取り扱
い易さ、Si供給効率の良さ等の点でCH 、C
が好ましいものとして挙げられる。また、これら
のC供給用の原料ガスを必要に応じてH 、He、A
r、Ne等のガスにより希釈して使用してもよい。
【0245】窒素または酸素供給用ガスとなり得る物質
としては、NH 、NO、NO、NO 、H
O、O 、CO、CO 、N 等のガス状態の、
またはガス化し得る化合物が有効に使用されるものとし
て挙げられる。また、これらの窒素、酸素供給用の原料
ガスを必要に応じてH 、He、Ar、Ne等のガス
により希釈して使用してもよい。
【0246】また、形成される表面層1104中に導入
される水素原子の導入割合の制御をいっそう容易になる
ように図るために、これらのガスに更に水素ガスまたは
水素原子を含む珪素化合物のガスも所望量混合して層形
成することが好ましい。また、各ガスは単独種のみでな
く所定の混合比で複数種混合しても差し支えないもので
ある。
【0247】ハロゲン原子供給用の原料ガスとして有効
なのは、たとえばハロゲンガス、ハロゲン化物、ハロゲ
ンを含むハロゲン間化合物、ハロゲンで置換されたシラ
ン誘導体等のガス状の、またはガス化し得るハロゲン化
合物が好ましく挙げられる。また、さらにはシリコン原
子とハロゲン原子とを構成要素とするガス状のまたはガ
ス化し得る、ハロゲン原子を含む水素化珪素化合物も有
効なものとして挙げることができる。本発明に於て好適
に使用し得るハロゲン化合物としては、具体的には弗素
ガス(F )、BrF、ClF、ClF 、BrF
、BrF、IF IF 等のハロゲン間化合
物を挙げることができる。ハロゲン原子を含む珪素化合
物、いわゆるハロゲン原子で置換されたシラン誘導体と
しては、具体的には、たとえばSiF 、Si
等の弗化珪素が好ましいものとして挙げることがで
きる。
【0248】表面層1104中に含有される水素原子ま
たは/及びハロゲン原子の量を制御するには、例えば支
持体1101の温度、水素原子または/及びハロゲン原
子を含有させるために使用される原料物質の反応容器内
へ導入する量、放電電力等を制御すればよい。
【0249】炭素原子及び/または酸素原子及び/また
は窒素原子は、表面層中に万遍なく均一に含有されても
良いし、表面層の層厚方向に含有量が変化するような不
均一な分布をもたせた部分があっても良い。
【0250】さらに、表面層1104には必要に応じて
伝導性を制御する原子を含有させることが好ましい。伝
導性を制御する原子は、表面層1104中に万遍なく均
一に分布した状態で含有されても良いし、あるいは層厚
方向には不均一な分布状態で含有している部分があって
もよい。
【0251】前記の伝導性を制御する原子としては、半
導体分野における、いわゆる不純物を挙げることがで
き、p型伝導特性を与える周期律表IIIb族に属する原
子(第IIIb族原子)またはn型伝導特性を与える周期
律表Vb族に属する原子(第Vb族原子)を用いること
ができる。
【0252】第IIIb族原子としては、具体的には、硼
素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、
インジウム(In)、タリウム(Tl)等があり、特に
B、Al、Gaが好適である。第Vb族原子としては、
具体的には燐(P)、砒素(As)、アンチモン(S
b)、ビスマス(Bi)等があり、特にP、Asが好適
である。
【0253】表面層1104に含有される伝導性を制御
する原子の含有量としては、好ましくは1×10−3
1×10 原子ppm、より好ましくは1×10−2
〜5×10 原子ppm、最適には1×10−1〜1
×10 原子ppmとされるのが望ましい。伝導性を
制御する原子、たとえば、第IIIb族原子あるいは第V
b族原子を構造的に導入するには、層形成の際に、第II
Ib族原子導入用の原料物質あるいは第Vb族原子導入
用の原料物質をガス状態で反応容器中に、表面層110
4を形成するための他のガスとともに導入してやればよ
い。第IIIb族原子導入用の原料物質あるいは第Vb族
原子導入用の原料物質となり得るものとしては、常温常
圧でガス状のまたは、少なくとも層形成条件下で容易に
ガス化し得るものが採用されるのが望ましい。そのよう
な第IIIb族原子導入用の原料物質として具体的には、
硼素原子導入用としては、B 、B
10、B 、B11、B10
12、B14等の水素化硼素、BF
、BCl 、BBr 等のハロゲン化硼素等が
挙げられる。この他、AlCl 、GaCl 、G
a(CH 、InCl 、TlCl 等も
挙げることができる。
【0254】第Vb族原子導入用の原料物質として、有
効に使用されるのは、燐原子導入用としては、PH
、P 等の水素化燐、PH I、PF
、PF 、PCl 、PCl 、PBr
PBr 、PI 等のハロゲン化燐が挙げられる。
この他、AsH 、AsF 、AsCl 、As
Br 、AsF 、SbH 、SbF 、Sb
、SbCl 、SbCl 、BiH 、B
iCl 、BiBr 等も第Vb族原子導入用の出
発物質の有効なものとして挙げることができる。また、
これらの伝導性を制御する原子導入用の原料物質を必要
に応じてH 、He、Ar、Ne等のガスにより希釈
して使用してもよい。
【0255】表面層1104の層厚としては、通常0.
01〜3μm、好適には0.05〜2μm、最適には
0.1〜1μmとされるのが望ましいものである。層厚
が0.01μmよりも薄いと感光体を使用中に摩耗等の
理由により表面層が失われてしまい、3μmを越えると
残留電位の増加等の電子写真特性の低下がみられる。
【0256】表面層1104は、その要求される特性が
所望通りに与えられるように注意深く形成される。即
ち、Si、C及び/またはN及び/またはO、H及び/
またはXを構成要素とする物質はその形成条件によって
構造的には結晶からアモルファスまでの形態を取り、電
気物性的には導電性から半導体性、絶縁性までの間の性
質を、又光導電的性質から非光導電的性質までの間の性
質を各々示すので、目的に応じた所望の特性を有する化
合物が形成される様に、所望に従ってその形成条件の選
択が厳密になされる。
【0257】例えば、表面層1104を耐圧性の向上を
主な目的として設けるには、使用環境に於いて電気絶縁
性的挙動の顕著な非単結晶材料として作成される。
【0258】又、連続繰り返し使用特性や使用環境特性
の向上を手たる目的として表面層1104が設けられる
場合には、上記の電気絶縁性の度合いはある程度緩和さ
れ、照射される光に対して有る程度の感度を有する非単
結晶材料として形成される。
【0259】更に、帯電機構においては、表面層の低抵
抗による画像流れを防止し、或は残留電位等の影響を防
止する為に、一方では帯電効率を良好にする為に、層作
成に際して、その抵抗値を適宜に制御する事が好まし
い。
【0260】目的を達成し得る特性を有する表面層11
04を形成するには、支持体1101の温度、反応容器
内のガス圧を所望にしたがって、適宜設定する必要があ
る。
【0261】支持体1101の温度(Ts)は、層設計
にしたがって適宜最適範囲が選択されるが、通常の場
合、好ましくは200〜350°、より好ましくは23
0〜330°、最適には250〜300°とするのが望
ましい。
【0262】反応容器内のガス圧も同様に層設計にした
がって適宜最適範囲が選択されるが、通常の場合、好ま
しくは1×10−4〜10Torr、より好ましくは5
×10−4〜5Torr、最適には1×10−3〜1T
orrとするのが好ましい。
【0263】表面層を形成するための支持体温度、ガス
圧の望ましい数値範囲として前記した範囲が挙げられる
が、条件は通常は独立的に別々に決められるものではな
く、所望の特性を有する感光体を形成すべく相互的且つ
有機的関連性に基づいて最適値を決めるのが望ましい。
【0264】さらに、光導電層と表面層の間に、炭素原
子、酸素原子、窒素原子の含有量を表面層より減らした
ブロッキング層(下部表面層)を設けることも帯電能等
の特性を更に向上させるためには有効である。
【0265】また表面層1104と光導電層1103と
の間に炭素原子及び/または酸素原子及び/または窒素
原子の含有量が光導電層1103に向かって減少するよ
うに変化する領域を設けても良い。これにより表面層と
光導電層の密着性を向上させ、界面での光の反射による
干渉の影響をより少なくすることができる。
【0266】.電荷注入阻止層1105 画像形成装置用感光体においては、導電性支持体110
1と光導電層1103との間に、導電性支持体1101
側からの電荷の注入を阻止する働きのある電荷注入阻止
層1105を設けるのがいっそう効果的である。
【0267】すなわち、電荷注入阻止層1105は感光
層が一定極性の帯電処理をその自由表面に受けた際、支
持体1101側より光導電層1103側に電荷が注入さ
れるのを阻止する機能を有し、逆の極性の帯電処理を受
けた際にはそのような機能は発揮されない、いわゆる極
性依存性を有している。
【0268】そのような機能を付与するために、電荷注
入阻止層1105には伝導性を制御する原子を光導電層
1103に比べ比較的多く含有させる。
【0269】該層1105に含有される伝導性を制御す
る原子は、該層1105中に万遍なく均一に分布されて
も良いし、あるいは層厚方向には万遍なく含有されては
いるが、不均一に分布する状態で含有している部分があ
ってもよい。分布濃度が不均一な場合には、支持体側に
多く分布するように含有させるのが好適である。
【0270】しかしながら、いずれの場合にも支持体の
表面と平行面内方向においては、均一な分布で万遍なく
含有されることが面内方向における特性の均一化をはか
る点からも必要である。
【0271】電荷注入阻止層1105に含有される伝導
性を制御する原子としては、半導体分野における、いわ
ゆる不純物を挙げることができ、p型伝導特性を与える
周期律表III 族に属する原子(第III 属原子)またはn
型伝導特性を与える周期律表V族に属する原子(第V属
原子)を用いることができる。
【0272】第III族原子としては、具体的には、B
(ほう素),Al(アルミニウム),,Ga(ガリウ
ム),In(インジウム),Ta(タリウム)等があ
り、特にB,Al,Gaが好適である。第V族原子とし
ては、具体的にはP(リン),As(砒素),Sb(ア
ンチモン),Bi(ビスマス)等があり、特にP,As
が好適である。
【0273】電荷注入阻止層中に含有される伝導性を制
御する原子の含有量としては、本発明の目的が効果的に
達成できるように所望にしたがって適宜決定されるが、
好ましくは10〜1×10 原子ppm、より好適に
は50〜5×10 原子ppm、最適には1×10
〜1×10 原子ppmとされるのが望ましい。
【0274】さらに、電荷注入阻止層には、炭素原子、
窒素原子及び酸素原子の少なくとも一種を含有させるこ
とによって、該電荷注入阻止層に直接接触して設けられ
る他の層との間の密着性の向上をよりいっそう図ること
ができる。
【0275】該層に含有される炭素原子または窒素原子
または酸素原子は該層中に万遍なく均一に分布されても
良いし、あるいは層厚方向に万遍なく含有されてはいる
が、不均一に分布する状態で含有している部分があって
もよい。しかしながら、いずれの場合にも支持体の表面
と平行面内方向においては、均一な分布で万遍なく含有
されることが面内方向における特性の均一化をはかる点
からも必要である。
【0276】電荷注入阻止層の全層領域に含有される炭
素原子及び/または窒素原子および/または酸素原子の
含有量は、本発明の目的が効果的に達成されるように適
宜決定されるが、一種の場合はその量として、二種以上
の場合はその総和として、好ましくは1×10−3〜5
0原子%、より好適には5×10−3〜30原子%、最
適には1×10−2〜10原子%とされるのが望まし
い。
【0277】また、電荷注入阻止層に含有される水素原
子および/またはハロゲン原子は層内に存在する未結合
手を補償し膜質の向上に効果を奏する。電荷注入阻止層
中の水素原子またはハロゲン原子あるいは水素原子とハ
ロゲン原子の和の含有量は、好適には1〜50原子%、
より好適には5〜40原子%、最適には10〜30原子
%とするのが望ましい。
【0278】電荷注入阻止層1105の層厚は所望の電
子写真特性が得られること、及び経済的効果等の点から
好ましくは0.1〜5μm、より好ましくは0.3〜4
μm、最適には0.5〜3μmとされるのが望ましい。
【0279】電荷注入阻止層1105を形成するには、
前述の光導電層1103を形成する方法と同様の真空堆
積法が採用される。
【0280】目的を達成し得る特性を有する電荷注入阻
止層1105を形成するには、光導電層1103と同様
に、Si供給用のガスと希釈ガスとの混合比、反応容器
内のガス圧、放電電力ならびに支持体1101の温度を
適宜設定することが必要である。
【0281】希釈ガスであるH および/またはHe
の流量は、層設計にしたがって適宜最適範囲が選択され
るが、Si供給用ガスに対しH および/またはHe
を、通常の場合1〜20倍、好ましくは3〜15倍、最
適には4〜10倍の範囲に制御することが望ましい。
【0282】反応容器内のガス圧も同様に層設計にした
がって適宜最適範囲が選択されるが、通常の場合1×1
−4 〜10Torr、好ましくは5×10−4〜5
Torr、最適には1×10−3〜1Torrとするの
が好ましい。
【0283】放電電力もまた同様に層設計にしたがって
適宜最適範囲が選択されるが、Si供給用のガスの流量
に対する放電電力を、通常の場合1〜7倍、好ましくは
2〜6倍、最適には3〜5倍の範囲に設定することが望
ましい。
【0284】さらに、支持体1101の温度は、層設計
にしたがって適宜最適範囲が選択されるが、通常の場
合、好ましくは200〜350°、より好ましくは23
0〜330℃、最適には250〜300℃とするのが望
ましい。
【0285】電荷注入阻止層1105を形成するための
希釈ガスの混合比、ガス圧、放電電力、支持体温度の望
ましい数値範囲として前記した範囲が挙げられるが、こ
れらの層作成ファクターは通常は独立的に別々に決めら
れるものではなく、所望の特性を有する表面層を形成す
べく相互的且つ有機的関連性に基づいて各層作成ファク
ターの最適値を決めるのが望ましい。
【0286】このほかに、画像形成装置用感光体におい
ては、感光層1102の前記支持体1101側に、少な
くともアルミニウム原子、シリコン原子、水素原子また
は/及びハロゲン原子が層厚方向に不均一な分布状態で
含有する層領域を有することが望ましい。
【0287】また、本発明の画像形成装置用感光体に於
いては、支持体1101と光導電層1103あるいは電
荷注入阻止層1105との間の密着性の一層の向上を図
る目的で、例えば、Si 、SiO 、Si
O、あるいはシリコン原子を母体とし、水素原子及び/
またはハロゲン原子と、炭素原子及び/または酸素原子
及び/または窒素原子とを含む非晶質材料等で構成され
る密着層を設けても良い。
【0288】更に、前述のごとく、支持体からの反射光
による干渉模様の発生を防止するための光吸収層を設け
ても良い。
【0289】.各層の製造 上記の各層は、例えば、図11や図12に示される様な
装置および膜形成方法にて製造される。
【0290】a)図11の装置 図11は、電源周波数としてRF帯を用いた高周波プラ
ズマCVD法(RF−PCVD)による画像形成装置用
感光体の製造装置の一例を示す摸式的な構成図である。
【0291】この装置は大別すると、堆積装置310
0、原料ガスの供給装置3200、堆積装置3100中
の反応容器3111内を減圧にするための排気装置(不
図示)から構成されている。
【0292】堆積装置3100中の反応容器3111内
には、感光体101の円筒状支持体1101、支持体加
熱用ヒーター3113、原料ガス導入管3114が設置
され、更に高周波マッチングボックス3115が接続さ
れている。
【0293】原料ガス供給装置3200は、SiH
、GeH 、H 、CH 、B
PH 等の原料ガスのボンベ3221〜3226とバ
ルブ3231〜3236,3241〜3246,325
1〜3256、圧力調整器3261〜3266およびマ
スフローコントローラー3211〜3216から構成さ
れ、各原料ガスのボンベ3221〜3226はバルブ3
160、導管3116を介して反応容器3111内の原
料ガス導入管3114に接続されている。3118は排
気系のメイン排気バルブ、3117は反応容器リークバ
ルブ、3119は真空計である。
【0294】この装置を用いた堆積膜の形成は、例えば
以下のように行なうことができる。
【0295】まず、反応容器3111内に感光体用円筒
状支持体1101を設置し、不図示の排気装置(例えば
真空ポンプ)により反応容器3111内を排気する。
【0296】続いて、支持体加熱用ヒーター3113に
より円筒状支持体1101の温度を200℃乃至350
℃の所定の温度に制御する。
【0297】堆積膜形成用の原料ガスを反応容器311
1に流入させるには、ガスボンベのバルブ3231〜3
237、反応容器のリークバルブ3117が閉じられて
いることを確認し、又、流入バルブ3241〜324
6、流出バルブ3251〜3256、補助バルブ316
0が開かれていることを確認して、まずメイン排気バル
ブ3118を開いて反応容器3111およびガス配管内
3116を排気する。
【0298】次に真空計3119の読みが約5×10
−6Torrになった時点で補助バルブ3160、流出
バルブ3251〜3256を閉じる。
【0299】その後、ガスボンベ3221〜3226よ
り各ガスをバルブ3231〜3236を開いて導入し、
圧力調整器3261〜3266により各ガス圧を2Kg
/cm に調整する。次に、流入バルブ3241〜3
246を徐々に開けて、各ガスをマスフローコントロー
ラー3211〜3216内に導入する。
【0300】以上のようにして成膜の準備が完了した
後、以下の手順で各層の形成を行う。
【0301】円筒状支持体1101が所定の温度になっ
たところで流出バルブ3251〜3256のうちの必要
なものおよび補助バルブ3160を徐々に開き、ガスボ
ンベ3221〜3226から所定のガスをガス導入管3
114を介して反応容器3111内に導入する。
【0302】次に、マスフローコントローラー3211
〜3216によって各原料ガスが所定の流量になるよう
に調整する。その際、反応容器3111内の圧力が1T
orr以下の所定の圧力になるように真空計3119を
見ながらメイン排気バルブ3118の開口を調整する。
【0303】内圧が安定したところで、周波数13.5
6MHzのRF電源(不図示)を所望の電力に設定し
て、高周波マッチングボックス3115を通じて反応容
器3111内にRF電力を導入し、グロー放電を生起さ
せる。
【0304】この放電エネルギーによって反応容器内に
導入された原料ガスが分解され、円筒状支持体1101
上に所定のシリコンを主成分とする堆積膜が形成される
ところとなる。
【0305】所望の膜厚の形成が行われた後、RF電力
の供給を止め、流出バルブを閉じて反応容器へのガスの
流入を止め、堆積膜の形成を終える。
【0306】同様の操作を複数回繰り返すことによっ
て、所望の多層構造の感光層が形成される。
【0307】それぞれの層を形成する際には必要なガス
以外の流出バルブはすべて閉じられていることは言うま
でもなく、また、それぞれのガスが反応容器3111
内、流出バルブ3251〜3256から反応容器311
1に至る配管内に残留することを避けるために、流出バ
ルブ3251〜3256を閉じ、補助バルブ3160を
開き、さらにメイン排気バルブ3118を全開にして系
内を一旦高真空に排気する操作を必要に応じて行う。
【0308】また、膜成形の均一化を図るために、層形
成を行なっている間は、支持体1101を駆動装置(不
図示)によって所定の速度で回転させることも有効であ
る。
【0309】さらに、上述のガス種およびバルブ操作は
各々の層の作成条件にしたがって変更が加えられること
は言うまでもない。
【0310】b)図12の装置 次に、電源にVHF帯の周波数を用いた高周波プラズマ
CVD(VHF−PCVD)法によって形成される画像
形成装置用感光体の製造装置は、例えば、上述した図1
1に示したRF−PCVD法による製造装置における堆
積装置3100を図12に示す堆積装置4100に交換
して、これに原料ガス供給装置3200(図11)を接
続することにより得ることができる。
【0311】この装置4100は大別すると、真空気密
化構造を成した減圧にし得る反応容器4111、原料ガ
スの供給装置3200(図11)、および反応容器41
11内を減圧にするための排気装置(不図示)から構成
されている。
【0312】反応容器4111内には、感光体用円筒状
支持体1101、支持体加熱用ヒーター4113、原料
ガス導入管4114、電極4115が設置され、電極4
115には更に高周波マッチングボックス4116が接
続されている。4120は支持体回転用モーターであ
る。
【0313】また、反応容器4111内は排気管412
1を通じて不図示の拡散ポンプに接続されている。
【0314】原料ガス供給装置3200(図11)は反
応容器4111内のガス導入管4114に接続されてい
る。また、円筒状支持体1101によって取り囲まれた
空間4130が放電空間を形成している。
【0315】VHF−PCVD法によるこの装置での堆
積膜の形成は、以下のように行なうことができる。
【0316】まず、反応容器4111内に感光体用円筒
状支持体1101を設置し、駆動装置4120によって
支持体1101を回転し、不図示の排気装置(例えば真
空ポンプ)により反応容器4111内を排気管4121
を介して排気し、反応容器4111内の圧力を1×10
−7Torr以下に調整する。続いて、支持体加熱用ヒ
ーター4113により円筒状支持体1101の温度を2
00℃乃至350℃の所定の温度に加熱保持する。
【0317】堆積膜形成用の原料ガスを反応容器411
1に流入させるには、ガスボンベのバルブ3231〜2
236(図11)、反応容器のリークバルブ3117が
閉じられていることを確認し、又、流入バルブ3241
〜3246、流出バルブ3251〜3256、補助バル
ブ3160が開かれていることを確認して、まずメイン
排気バルブ3118を開いて反応容器4111およびガ
ス配管3116内を排気する。
【0318】次に真空計3119の読みが約5×10
−6Torrになった時点で補助バルブ3160、流出
バルブ3251〜3256を閉じる。
【0319】その後、ガスボンベ3221〜3226よ
り各ガスをバルブ3231〜3236を開いて導入し、
圧力調整器3261〜3266により各ガス圧を2kg
/cm に調整する。
【0320】次に流入バルブ3241〜3246を徐々
に開けて、各ガスをマスフローコントローラー3211
〜3216内に導入する。
【0321】以上のようにして成膜の準備が完了した
後、以下のようにして円筒状支持体1101上に各層の
形成を行う。
【0322】円筒状支持体1101が所定の温度になっ
たところで流出バルブ3251〜3256のうちの必要
なものおよび補助バルブ3160を徐々に開き、ガスボ
ンベ3221〜3226から所定のガスをガス導入管4
114を介して反応容器4111内の放電空間4130
に導入する。
【0323】次にマスフローコントローラー3211〜
3216によって各原料ガスが所定の流量になるように
調整する。その際、放電空間4130内の圧力が1To
rr以下の所定の圧力になるように真空計3119を見
ながらメイン排気バルブ3118の開口を調整する。
【0324】圧力が安定したところで、周波数500M
HzのVHF電源(不図示)を所望の電力に設定して、
マッチングボックス4116を通じて放電空間4130
にVHF電力を導入し、グロー放電を生起させる。
【0325】かくして支持体1101により取り囲まれ
た放電空間4130において導入された原料ガスは、放
電エネルギーにより励起されて解離し、円筒状支持体1
101上に所定の堆積膜が形成される。この時、層形成
の均一化を図るため支持体回転用モーター4120によ
って、所望の回転速度で回転させる。
【0326】所望の膜厚の形成が行われた後、VHF電
力の供給を止め、流出バルブを閉じて反応容器へのガス
の流入を止め、堆積膜の形成を終える。
【0327】同様の操作を複数回繰り返すことによっ
て、所望の多層構造の感光層が形成される。
【0328】それぞれの層を形成する際には必要なガス
以外の流出バルブはすべて閉じられていることは言うま
でもなく、また、それぞれのガスが反応容器4111
内、流出バルブ3251〜3256から反応容器411
1に至る配管内に残留することを避けるために、流出バ
ルブ3251〜3256を閉じ、補助バルブ3160を
開き、さらにメイン排気バルブ3118を全開にして系
内を一旦高真空に排気する操作を必要に応じて行う。
【0329】上述のガス種およびバルブ操作は各々の層
の作成条件にしたがって変更が加えられることは言うま
でもない。
【0330】いずれの方法においても、堆積膜形成時の
支持体温度は、特に200℃以上350℃以下、好まし
くは230℃以上330℃以下、より好ましくは250
℃以上300℃以下が好ましい。
【0331】支持体1101の加熱方法は、真空仕様で
ある発熱体であれば良く、より具体的にはシース状ヒー
ターの巻き付けヒーター、板状ヒーター、セラミックヒ
ーター等の電気抵抗発熱体、ハロゲンランプ、赤外線ラ
ンプ等の熱放射ランプ発熱体、液体、気体等を温媒とし
熱交換手段による発熱体等が挙げられる。加熱手段の表
面材質は、ステンレス、ニッケル、アルミニウム、銅等
の金属類、セラミックス、耐熱性高分子樹脂等を使用す
ることができる。
【0332】それ以外にも、反応容器以外に加熱専用の
容器を設け、加熱した後、反応容器内に真空中で支持体
を搬送する等の方法が用いられる。
【0333】また、特にVHF−PCVD法において、
放電空間の圧力として、好ましくは1mTorr以上5
00mTorr以下、より好ましくは3mTorr以上
300mTorr以下、最も好ましくは5mTorr以
上100mTorr以下に設定することが望ましい。
【0334】VHF−PCVD法において放電空間に設
けられる電極の大きさ及び形状は、放電を乱さないなら
ばいずれのものでも良いが、実用上は直径1mm以上1
0cm以下の円筒状が好ましい。この時、電極の長さも
支持体に電界が均一にかかる長さであれば任意に設定で
きる。
【0335】電極の材質としては、表面が導電性となる
ものならばいずれのものでも良く、例えば、ステンレ
ス,Al,Cr,Mo,Au,In,Nb,Te,V,
Ti,Pt,Pb,Fe等の金属、これらの合金または
表面を導電処理したガラス、セラミック、プラスチック
等が通常使用される。
【0336】
【実施例】以下、具体的な実施例を説明する。なお、本
発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0337】〈実施例1〉(再捕獲部材の効果、a−S
i感光体) 本実施例は、 a.磁性粉体再捕獲部材101の効果、 b.a−Si感光体の特性エネルギーEuと局在準位密
度D.O.S.の測定を示す。
【0338】a)a−Si感光体102 前述図11のRF−PCVD法による画像形成装置用感
光体の製造装置を用い、支持体1101としての直径1
08mmの鏡面加工を施したアルミニウムシリンダー上
に、表1に示す条件で、前述図10の(c)の層構成、
即ち、支持体1101、電荷注入阻止層1105、光導
電層1103、表面層1104からなるa−Si感光体
102を作製した。さらに光導電層1103のSiH4
とH2 との混合比ならびに放電電力を変えることによっ
て、種々の感光体を作製した。
【0339】
【表1】 SCCM;Standard CCper Mint、原料ガス流量単位、
標準状態に換算した時の流量 作製した感光体102を画像形成装置(キヤノン製NP
6060をテスト用に改造)にセットして、帯電能の温
度依存性(温度特性)、メモリーならびに画像欠陥を評
価した。
【0340】温度特性は、感光体102の温度を室温か
ら約45℃まで変えて帯電能を測定し、このときの温度
1℃当たりの帯電能の変化を測定して、2V/deg以
下を合格と判定した。
【0341】また、メモリー、画像流れについては、画
像を目視により判定し、1:非常に良好、2:良好、
3:実用上問題なし、4:実用上やや難ありの4段階に
ランク分けした。
【0342】一方、円筒形のサンプルホルダーに設置し
たガラス基板(コーニング社 7059)ならびにSi
ウエハー上に、光導電層1103の作成条件で膜厚約1
μmのa−Si膜を堆積した。ガラス基板上の堆積膜に
はAlの串型電極を蒸着し、CPMにより指数関数裾の
特性エネルギーEuと局在準位密度D.O.S.を測定
し、Siウエハー上の堆積膜はFTIR(フーリエ変換
赤外吸収スペクトル。IR(赤外吸収)をフーリエ変換
して使用する手法。赤外吸収スペクトル測定に使用す
る)により含有水素量を測定した。
【0343】このときの特性エネルギーEuと温度特性
の関係を図13に、また局在準位密度D.O.S.とメ
モリー、画像流れとの関係を図14と図15に示す。い
ずれのサンプルも水素含有量は10〜30原子%の間で
あった。
【0344】図13、図14ならびに図15から明らか
なように、 特性エネルギーEu=50〜60meV、 局在準位密度D.O.S.=1×1014〜1×1016
-3 の範囲にすることが良好な電子写真特性を得るために必
要であることがわかった。又、同様に表面層1104の
サンプルを作成し、櫛型電極を用いて抵抗値の測定を行
なった。
【0345】b)磁気ブラシ接触型帯電部材100 本実施例では前述図3・図4のマグネットローラー回転
タイプの部材である。マグネットローラー100bに磁
性粉体を付着させて磁気ブラシ層100cを形成した状
態でφ22mmのローラー状になる様に構成した。その
磁力線密度は前述のごとく制御される。本実施例では磁
極数12極、磁極部表面での磁力線密度は前述のごとき
測定にて1000〜3000Gaussの物を作成し
た。
【0346】磁気ブラシ層100cは、粒径5乃至25
μmの磁性酸化鉄等と1乃至5μmの小粒径マグネタイ
ト等の磁性粉を、所定の比で混合した物を磁性粉体とし
て使用した。該磁性粉体は前述のごとく、一般にトナー
に利用される周知のキャリアと同成分の物でも良いし、
複数の成分を混合して使用しても良い。また、その粒径
は均一であっても、また異なる粒径のものを混合して用
いても良い。
【0347】又、本実施例では帯電ニップ部nの幅を6
乃至7mmとした。
【0348】c)磁性粉体再捕獲部材101 再捕獲部材101は、接触帯電部材100よりも感光体
回転方向下流側で、感光体102に対する画像露光部1
03よりも感光体回転方向下流側に配置した。
【0349】本実施例ではこの再捕獲部材101として
φ12mmのローラー状多極磁性体を使用、磁力線密度
は300〜3000Gaussとした。
【0350】d)帯電部材100の抵抗値 上記の感光体102、帯電部材100および再捕獲部材
101(再捕獲ブラシ)を前述図1に示した様な画像形
成装置にセットして、感光体102の支持体としてのア
ルミニウムシリンダー1101の内周面の設けた環境対
策ヒーター(感光体ヒーター;面状電熱ヒーター等)H
はOFFにして帯電能力を評価した。結果を図8に示
す。帯電部材100の抵抗値が、1×103 〜1×10
12Ωcmなる抵抗を有する時、良好な帯電が得られた。
【0351】より好ましくは、1×104 〜1×109
Ωcmのときに良好な帯電特性、および画像流れ等の環
境特性が得られた。
【0352】帯電部材100の抵抗が1×103 Ωcm
未満だった場合は、異常放電、ピンホールが発生し感光
体102が破損する危険性がある。また、1×1012Ω
cm以上だった場合は帯電効率低下、注入による帯電性
が低下した。
【0353】e)耐刷試験 前記感光体102として下記a乃至fの条件のものを用
い、前記再捕獲部材101として下記AからHの条件の
もの用い、図1に示す様な画像形成装置を用い、23
℃、60%RHの環境で10万枚の耐刷試験を行い、耐
久に伴い磁性粉体が現像装置104或いは転写材Pであ
る所のコピー用紙に移動した量、および前後の画質を比
較した。なお、この耐刷試験に際しても上記環境対策ヒ
ーターHはOFFにした。
【0354】感光体102の条件; a:Euは47meV、D.O.S.は9×1015cm-3 b:Euは50meV、D.O.S.は2×1014cm-3 c:Euは52meV、D.O.S.は2×1015cm-3 d:Euは55meV、D.O.S.は6×1014cm-3 e:Euは58meV、D.O.S.は8×1015cm-3 f:Euは64meV、D.O.S.は1×1016cm-3 再捕獲部材101の多極磁性体の条件; A: 700Gauss B:1000Gauss C:1200Gauss D:1500Gauss E:2000Gauss F:3000Gauss G: 500Gauss H: 300Gauss Z:再捕獲部材 無し 画像は目視判断の他、耐久後の画質の保持率の判断の1
つとして、耐久に伴い磁性粉体が現像装置104或いは
コピー用紙に移動する事による局所的な濃度変化を測定
した。該画像濃度測定はベタ白黒像及びハーフトーン画
像における局所的な濃度変化をマクベス社製反射濃度計
により測定した。
【0355】帯電部材100への印加電圧条件は600
Vdc、プロセススピードは250mm/secで行っ
た。又、帯電部材100は感光体102と同方向、即ち
帯電ニップ部nにおいて感光体102とは反対方向に進
行する様に60rpmの回転速度で回転させた(帯電ニ
ップ部nでは感光体102と帯電部材100各々逆方向
に進行している:図3の矢印方向)。
【0356】さらに、再捕獲部材101は感光体102
との距離αが1.0〜1.5mmとなる様にギャップ調
整用にスペーサーコロ101d・101dを設けて耐久
試験を行った。
【0357】又、帯電部材100の磁気ブラシ層100
c中の磁性粉体量の変化による画質への影響を分離する
為、帯電ニップ部nの幅等の帯電部材条件を一定にする
ように、耐久中に帯電部材100の磁気ブラシ層100
cに対して適宜磁性粉体の補給を行なった。
【0358】磁力線密度2000Gauss、抵抗率1
×108 Ωcmの帯電部材100、及び上記A〜H,Z
の条件の各再捕獲部材101を使用した時の耐久に伴う
磁性粉体の移動量割合を図17に、また耐久前後の画像
の評価結果を表2と表3に示す。
【0359】
【表2】
【0360】
【表3】 図17より、再捕獲部材101により磁性粉体が現像装
置やコピー用紙に移動する割合が減少している。
【0361】また、表2及び表3の結果から、再捕獲部
材101により磁性粉体の現像装置104への混入や転
写材Pへの移動が防止され、結果良好な画質が維持され
た。また、感光体102の表面に傷等は見られなかっ
た。
【0362】さらに、サブバンドギャップ光吸収スペク
トルから得られる指数関数裾の特性エネルギーEuが5
0〜60meV、かつ伝導帯端下の局在状態密度D.
O.S.が1×1014〜1×1016cm-3である事が好
適条件である事が判明した。
【0363】なお、帯電部材100に対する600Vd
c印加による感光体帯電直後でTRek社(メーカー)
製表面電位計にて感光体電位を測定した所、暗状態電位
は耐久前後で差は認められなかった。
【0364】〈実施例2〉(再捕獲部材の回転) 再捕獲部材101は回転させる事が有効である。本実施
例はその例である。
【0365】前述した図11のRF−PCVD法による
画像形成装置用感光体の製造装置を用い、表4に示す作
製条件で画像形成装置用感光体102を作製した。この
ときの光導電層1103の特性エネルギーEuと局在準
位密度D.O.S.は Eu:55meV、 D.O.S.:2×1015cm-3 であった。
【0366】
【表4】 帯電部材100は、実施例1と同様に、2000Gau
ssのマグネットローラー100bと、磁性粉体からな
る磁気ブラシ層100cを有するマグネットローラー回
転タイプのものを使用した。この帯電部材100の抵抗
率は5×107Ωcmである。該帯電部材100への印
加電圧条件は600Vdcとした。プロセススピードは
250mm/secで、帯電部材100を実施例1同様
に回転させた。
【0367】再捕獲部材101は、実施例1の1500
Gaussのマグネットローラーを使用し、感光体10
2との距離αを1〜1.5mmとなる様にギャップ調整
用にフペーサーコロ101d・101dを設け、感光体
102と逆方向、すなわち感光体101と対向部におい
て感光体102と同方向に進行する様に、60rpmの
回転速度で回転させて耐久試験を行なった。
【0368】実施例1と同様の評価をしたところ、磁性
粉体が現像装置104或いはコピー用紙に移動する割合
が減少し、また良好な画像が更に長期にわたり安定して
得られた。
【0369】暗状態電位は耐久前で差は認められなかっ
た。
【0370】再捕獲部材101の回転方向は感光体10
0と同方向、即ち感光体100との対向部において感光
体102と逆方向に進行する方向に回転させても同様の
結果が得られた。
【0371】再捕獲部材101を回転させる事により、
複数の磁極で分割して磁性粉体を再捕獲する為に、再捕
獲部材停止の場合よりも耐久性が良くなるのではないか
と思われる。
【0372】〈実施例3〉(再捕獲部材から帯電部材へ
の磁性粉体の磁気力戻し) 本実施例は、再捕獲部材101に捕獲させた磁性粉体を
帯電部材100側に磁気力で自然に戻らせて、再捕獲部
材101の磁性粉体捕獲能力を一定に保たせるととも
に、帯電部材100側の磁気ブラシ層100cの耐久に
伴う痩せを防止して帯電能力を一定に保たせるようにし
た例である。
【0373】再捕獲部材101は前述図7のようなスリ
ーブ回転タイプのものにした。スリーブ101e(再捕
獲スリーブ)は感光体102に向いた磁性体を内蔵する
外径φ30mmのもので、回転機構により回転駆動され
る。
【0374】帯電部材100は実施例1で用いたと同様
のマグネットローラー回転タイプのものである。
【0375】帯電部材100と再捕獲部材101は、帯
電部材100の磁気ブラシ層100cと再捕獲部材10
1の再捕獲スリーブ101eとの最近接部位の間隔が
0.5〜2.0mmの範囲になるように接近させて配設
した。
【0376】再捕獲部材101に捕獲された磁性粉体が
再捕獲スリーブ101eから帯電部材100側に上記の
最近接部位の間隔を磁気力で自然に飛翔して移動する様
にする為、再捕獲スリーブ101eと帯電部材100の
最近接部位での磁力線密度を帯電部材の磁力線密度H
100 >再捕獲スリーブの磁力線密度H101となる様にし
た。
【0377】本実施例では帯電部材の磁力線密度及び再
捕獲スリーブ感光体側の最大磁力線密度は各々2500
Gauss、700Gaussである。
【0378】帯電部材100への印加電圧条件、プロセ
ススピードは実施例1と同じで有る。また、帯電部材1
00は実施例1と同様に60rpmで、感光体102の
回転方向と同方向(帯電ニップ部nにおいては感光体1
00の回転方向と逆方向に進行)に、また再捕獲スリー
ブ101eは80rpmで感光体102の回転方向と逆
方向(感光体との対向部においては感光体100の回転
方向と同方向に進行)に回転させた。
【0379】感光体102は実施例2と同様の感光体を
用い、実施例1と同様の評価をしたところ、耐久後では
実施例1よりも更に良好な画像が得られた。また、耐久
中に補給する磁性粉体量が減少した。
【0380】また、暗状態電位は耐久前後の差は認めら
れなかった。
【0381】本実施例においては、再捕獲部材101に
捕獲された磁性粉体が再捕獲スリーブ101eから帯電
部材100側に上記の最近接部位の間隔を磁気力で自然
に飛翔して移動する。即ち、帯電部材100側の磁性粉
体の減少分を、再捕獲部材101で再捕獲し、それを帯
電部材100に返還・再利用する事で、再捕獲部材10
1上にたまる捕獲磁性粉体の量が規制され、磁性粉体再
捕獲の能力が一定以上に保持されるし、帯電部材100
には離脱した磁性粉体が戻ってくる為、帯電に寄与する
磁気ブラシ層100cの磁性粉体量が一定の状態で保持
される。これらの作用により耐久性、画質ともに良好な
状態になったと考えられる。
【0382】〈実施例4〉(再捕獲部材への電圧印加) 本実施例は、再捕獲部材101に電圧を印加することで
磁性粉体再捕獲の効率を向上させた例である。
【0383】再捕獲部材101は実施例3と同様にスリ
ーブ回転タイプのものである。
【0384】帯電部材100は実施例2で示したマグネ
ットローラー回転タイプのものである。
【0385】帯電部材100と再捕獲部材101は、帯
電部材100の磁気ブラシ層100cと再捕獲部材10
1の再捕獲スリーブ101eとの最近接部位の間隔が
0.5〜2.0mmの範囲になるように接近させて配設
した。
【0386】再捕獲部材101に捕獲された磁性粉体が
再捕獲スリーブ101eから帯電部材100側に上記の
最近接部位の間隔を磁気力で自然に飛翔して移動する様
にする為、再捕獲スリーブ101eと帯電部材100の
最近接部位での磁力線密度を帯電部材の磁力線密度H
100 >再捕獲スリーブの磁力線密度H101となる様にし
た。
【0387】ここで使用した帯電部材、及び再捕獲スリ
ーブの磁力線密度は各々2500Gauss、700G
aussである。
【0388】帯電部材への印加電圧条件、回転条件や、
プロセススピードは実施例1と同じとした。
【0389】感光体102は実施例2と同様の感光体を
用い、実施例1と同様に帯電部材100には直流電圧+
600Vdcを印加した。
【0390】また再捕獲スリーブ101eには直流電圧
+500Vdcを印加した。
【0391】実施例1と同様の評価をしたところ、耐久
後では実施例3と同様に良好な画像が得られた。
【0392】また、耐久前後での帯電効率の変化は見ら
れなかった。
【0393】磁性粉体の帯電部材100、再捕獲部材1
01への吸引力は磁気力などが挙げられ、一方、遠心力
としては上記部材100,101と感光体102との電
位差に基づく電界、クーロン力等が挙げられる。磁性粉
体が受ける磁気力は磁性体表面からの距離に応じて減少
する。
【0394】クーロン力は感光体表面から帯電部材10
0の電界に応じて変化するが実用的にはほぼ一定と近似
して良かろう。
【0395】帯電部材100或いは再捕獲部材101と
感光体102の当接領域或いは最近接領域においては磁
性体、感光体間の磁性粉体の挙動として近似することが
でき、この場合、磁力線密度、帯電部材100と感光体
表面の電位差、磁性粉体の特性等により、位置的に、磁
気力が主の領域と、クーロン力が主の領域が存在する。
【0396】ここで、再捕獲部材101に適宜な電圧が
印加する事により電位差ひいてはクーロン力を減少させ
る事により、再捕獲部材101への各力の合力結果とし
て、再捕獲部材である所の磁性体への吸引力を増加さ
せ、再捕獲の効率を向上させたものと考えられる。
【0397】また、特にa−Si系感光体系では、帯電
後に感光体の表面電位が減少する、いわゆる「暗減衰」
特性が有り、磁性粉体を保持する作用の1つと思われる
電位差即ち電界が小さくなる為、印加する電圧低減、或
いは再捕獲部材の磁力線密度を小さくするのにより有利
である。
【0398】該再捕獲部材101に、暗減衰特性等によ
り再捕獲部材101を設置する位置での感光体表面電位
に応じて、帯電部材100に印加する電圧以下の適宜な
電圧を印加すれば、より効果が向上する。これは再捕獲
部材101に適宜な電圧を印加することにより上記の電
界による影響を減少でき、また帯電部材間の電界も減少
する事に起因すると考えられる。
【0399】また、帯電部材に交流電圧を重畳して印加
した場合にも、同様の効果が得られた。
【0400】〈実施例5〉(磁気ブラシ層の磁性粉体量
調整) 本実施例は、図6や図7のように、帯電部材100と再
捕獲部材101との間に、各々の部材の磁気ブラシ層1
00c,101fの磁性粉体量、即ち磁性体表面から磁
気ブラシ層100c,101fの先端の距離(「穂の高
さ」と称する)を規制する手段としてブレード129を
設けたものである。
【0401】本実施例において、帯電部材100は実施
例1と同様のマグネットローラー回転タイプのものであ
る。
【0402】再捕獲部材101は実施例2と同じマグネ
ットローラー回転タイプのものであり、感光体102と
逆方向、即ち感光体102との対向部では感光体回転方
向と同方向に移動する様に回転させる。
【0403】感光体102は実施例2と同様の感光体を
用いた。
【0404】ブレード129の材料としては、樹脂・ガ
ラス等の非磁性部材でも、Fe・Ni等の磁性材料でも
構わない。本実施例では、加工の容易性や安価、軽量で
ある事などから1.5mm厚のテフロンから成るシート
をブレード129にして、これを上記両磁気ブラシ層1
00c,101fブラシの間に、帯電部材100の磁性
体であるマグネットローラー100bの面から2mm、
再捕獲部材101の磁性体であるマグネットローラー1
01bの面から1mmの位置に端部を持つ様に設置し
た。このブレード129の両側端部により、帯電部材1
00と再捕獲部材101の各々の部材の磁気ブラシ層1
00c,101fの磁性粉体量、即ち磁性体表面から磁
気ブラシ層100c,101fの先端の距離(穂の高
さ)が規制される。
【0405】また、このブレード129の感光体長軸方
向側の端部は磁性粉体落下防止の為、折り曲げ加工をし
てある。
【0406】帯電部材100への印加電圧条件、回転条
件、プロセススピードは実施例2と同じで有る。
【0407】実施例1と同様の評価をしたところ、耐久
後、良好な画像が得られた。また、耐久前後での帯電効
率の変化は見られなかった。
【0408】磁性粉体に働く力としては、大きくは磁気
力とクーロン力が有り、その他に、摩擦力や磁性粉体間
のファンデルワールス力等が有る。本実施例の様に磁気
ブラシ層100c,101fの「穂の高さ」を規制する
事により、上記の磁気力、クーロン力を制御することが
できる。
【0409】磁性体と感光体の間にある磁性粉体が受け
る磁気力は、前述のごとくその存在する位置により、磁
気力が主となる領域と、クーロン力が主となる領域が存
在する。ここで、少なくとも磁気力が主となる領域に磁
性粉体が保持されるよう規制し、帯電部材100、再捕
獲部材101を使用する事により上記の効果が得られ
る。
【0410】再捕獲部材101については磁気ブラシ層
101fの「穂の高さ」を規制する事により、磁性粉体
に働く磁気力がクーロン力以上の範囲を保持し、磁性粉
体を高効率に、安定して再捕獲する事ができる。
【0411】なお、磁気力、クーロン力の相関は磁性体
の磁力線密度、使用する磁性粉体の粒径や成分、帯電部
材と再捕獲部材の各部材と感光体表面との電位差等によ
り異なり、それらに応じて「穂の高さ」は適宜設定され
る。
【0412】〈実施例6〉(再捕獲部材から帯電部材へ
の磁性粉体の戻し搬送) 本実施例は、再捕獲部材101に捕獲させた磁性粉体を
帯電部材100側に搬送手段で戻し搬送して、再捕獲部
材101の磁性粉体捕獲能力を一定に保たせるととも
に、帯電部材100側の磁気ブラシ層100cの耐久に
伴う痩せを防止して帯電能力を一定に保たせるようにし
た例である。
【0413】再捕獲部材101は磁力線密度1000G
aussのスリーブ回転タイプとし、感光体102との
間隔αを0.5〜1.0mmとした。
【0414】帯電部材100は実施例1で作成したもの
のうち、磁力線密度3000Gaussのマグネットロ
ーラー回転タイプのものとした。
【0415】帯電部材100は感光体102と同方向に
60rpm、再捕獲部材101の再捕獲スリーブ101
eは感光体102と逆方向に80rpmで回転させた。
感光体102は実施例2と同様の感光体を用いた。帯電
部材100への印加電圧、プロセススピード等は実施例
1と同条件である。
【0416】更に、再捕獲部材101に捕獲させた磁性
粉体を帯電部材100側に戻し搬送するための搬送手段
を設けた。
【0417】該搬送手段としては、別途駆動系統を有す
る周知の廃トナー搬送装置の様な装置でも良いが、本実
施例では装置の簡易化の為、磁性粉体再捕獲部材101
を感光体102と逆方向即ち感光体102との対向部に
おいては感光体の回転方向と同方向に移動する様に回動
させ、さらに該再捕獲部材101と帯電部材100表面
との間に実施例5と同様にブレード129(図6・図
7)を搬送ブレードとして設けた。
【0418】本実施例ではこの搬送ブレード129を強
磁性体からなる板金にした。再捕獲部材101に捕獲さ
れた磁性粉体が、該板金ブレード129を介して帯電部
材100と再捕獲部材101との磁気力の差により帯電
部材100側にブレード面に沿って戻し搬送され、磁性
粉体として再利用される。
【0419】実施例1と同様の評価をしたところ、耐久
後に良好な画像が得られた。
【0420】また、耐久中の磁性粉体補給量が減少し
た。これは、上記のように再捕獲部材101に捕獲され
た磁性粉体が、板金ブレード129を介して帯電部材1
00と再捕獲部材101との磁気力の差により帯電部材
100側に戻し搬送され、磁性粉体として再利用される
事による。
【0421】再捕獲部材101を感光体101と同方
向、即ち感光体102との対向部において感光体の回転
方向とは逆方向に移動する様にしても、再捕獲部材10
1に捕獲された磁性粉体が、板金ブレード129を介し
て帯電部材100に返還され、同様の結果が得られた。
【0422】搬送ブレード部材129として、非磁性材
料を使用する場合、再捕獲部材101を感光体102と
逆方向、即ち感光体102との対向部において感光体の
回転方向と同方向に移動する様にする、或いは再捕獲部
材101に捕獲された磁性粉体が帯電部材100に返還
される途中での落下防止機構として、該搬送部を筒状に
形成した場合では再捕獲部材101を感光体102と同
方向、即ち感光体との対向部において感光体の回転方向
とは逆方向に移動する様にしても、同様に、該ブレード
材129を介して再捕獲部材101に捕獲された磁性粉
体が帯電部材100に返還され、同様の効果が得られ
た。
【0423】本実施例では、前述の実施例3の、再捕獲
部材101から帯電部材100への磁性粉体の磁気力に
よる直接的な返還と比較して、帯電部材100と再捕獲
部材101とを近接する必要がない為、各々の部材10
0・101の小型化、配置の自由度が向上し、結果とし
て帯電装置の小型化が可能である。
【0424】特に磁性粉体搬送手段として磁性材を用い
た系では、該搬送手段で再捕獲部材101から帯電部材
100へ搬送される磁性粉体の落下防止機構等が不要に
なり、帯電装置の小型化にさらに有利である。
【0425】〈実施例7〉(電荷保持粒子OCLのOP
C感光体、再捕獲部材−非接触) 下記の要領、仕様でOPC感光体102(図9)を作製
した。
【0426】a)外径80mm×長さ358mmのアル
ミニウムシリンダーを支持体1101(基体)とし、こ
れにアルコキシメチル化ナイロンの5%メタノール溶液
を浸漬法で塗布して、膜厚1μmの下引き層(中間層)
を設けた。
【0427】b)次に、 .チタニルフタロシアニン顔料 10部(重量部、
以下同様) .ポリビニルブチラール 8部 .シクロヘキサノン 50部 を直径1mmのガラスビーズ100部を用いたサンドミ
ル装置で20時間混合分散した。
【0428】この分散液にメチルエチルケトン70〜1
20(適宜)部を加えて上記の下引き層上に塗布し、1
00℃で5分間乾燥して0.2μmの電荷発生層110
3を形成させた。
【0429】c)次に、この電荷発生層1106の上に
下記の方法で電荷輸送層1107を形成した。
【0430】 .下記構造式のスチリル化合部 10部
【0431】
【化1】 .ビスフェノールZ型ポリカーボネート 10部 をモノクロルベンゼン65部に溶解した。
【0432】この溶液をディッピング法によって電荷発
生層1106上に塗布し、120℃で60分間の熱風乾
燥させて、20μm厚の電荷輸送層1107を形成させ
た。
【0433】d.次に、この電荷輸送層1107の上に
以下の方法で膜厚1.0μmの表面層1105を設け
た。
【0434】.酸成分としてテレフタル酸を、またグ
ルコール成分としてエチレングリコールを用いて得られ
た高融点ポリエチレンテレフタレート(A)[極限粘度
0.70dl/g、融点258℃(示差熱測定器を用い
て10℃/minの昇温速度で測定した。また、測定サ
ンプルは5mgで、測定しようとするポリエステル樹脂
を280℃で溶融後、0℃の氷水で急冷して作成し
た)、ガラス点移転温度70℃] 100部 .エポキシ樹脂(B)[エポキシ当量160;芳香族
エステルタイプ;商品名:エピコート190P(油化シ
ェルエポキシ社製)] 30部 とをフェノールとテトラクロロエタン(1:1)混合液
100mlに溶解させた。更に上記溶液中に電荷保持粒
子として、SnO2 粉を60wt%混入した。次いで光
重合開始剤としてトリフェニルスルフォニウムヘキサフ
ルオラアンチモネート(C)3部を添加して樹脂組成物
溶液を調製した。
【0435】上記の樹脂組成物溶液を電荷発生層110
6の上に塗布して光硬化させて、膜厚1.0μmの、電
荷注入性の表面層1104(電荷保持粒子OCL;Over
Coat Layer、SnO2等の電荷保持粒子を分散させた表
面(保護)層)を設けた。
【0436】この様にして作成したOPC感光体102
を用い、帯電部材100として実施例1の帯電部材のう
ち磁力線密度1500Gaussのマグネットツローラ
ー回転タイプのものを用い、再捕獲部材101として実
施例1のA〜H記載と同磁力線密度のスリーブ回転タイ
プのものを用い、実施例6と同様に回転させた。また、
帯電ニップ部nの幅は実施例1と同様に6〜7mmとし
た。また再捕獲部材101と感光体102の間隔αは
1.0〜1.5mmとした。
【0437】また帯電部材100と再捕獲部材101と
の間には実施例6と同様に、磁性体の搬送ブレード(板
金ブレード)129を配設して、再捕獲部材101に捕
獲させた磁性粉体を帯電部材100側に戻し搬送させる
ようにした。
【0438】30℃、80%の条件下で、10万枚の耐
刷試験を行い、高湿画像流れ、及びまだらスジ、かぶり
に着目し評価した。帯電部材100への印加電圧条件
は、−700Vdc、プロセススピード200mm/s
ecで行った。帯電直後に測定した感光体帯電電位は、
耐久前後共に−680〜−700Vであった。評価の結
果を表5・表6に示す。
【0439】
【表5】
【0440】
【表6】 耐久後の感光体表面の傷や削れ量は帯電部材のみの場合
と同等ないしは改善されており、画像上問題となる様な
傷、削れは認められない。
【0441】これは、感光体等に移動した磁性粉体を再
捕獲する事によりクリーニングブレード等で圧迫された
該磁性粉体が感光体が削られる事を防止し、さらに再捕
獲部材が感光体に非接触である為、更に良好な結果をも
たらしたものと考えられる。
【0442】〈実施例8〉実施例7の感光体102にお
いて、表面層1104を下記のものに変更した。
【0443】即ち、電荷輸送層1107で用いたものと
同じバインダーとして、アクリル樹脂中にSnO2 粉を
60wt%混入し、電荷輸送層1107上に膜厚1.0
μmになる様に塗布して表面層1104とした。
【0444】この感光体を用いて、実施例7と同様に耐
久テストを行った。結果を表5と表6に示す。
【0445】表5と表6より、被帯電体としての感光体
が、高融点ポリエステル樹脂、及び硬化樹脂を含み、S
nO2 等の電荷保持粒子を分散させた表面層、或いはア
クリル樹脂中にSnO2 等の電荷保持粒子を分散させた
表面層等の、電荷保持部材を分散させた表面層を有する
ことが好適条件である事が判明した。
【0446】また、耐久後の感光体表面の傷や削れ量は
実施例7と同様であった。
【0447】〈実施例9〉(VHF−PCVD法による
a−Si感光体) 前述図12のVHF−PCVD法による感光体製造装置
を用い、実施例1と同様に直径108mmの鏡面加工を
施したアルミニウムシリンダーを支持体1101にし
て、この上に表7に示す条件で、図10の(c)のよう
に電荷注入阻止層1105、光導電層1103、表面層
1104からなる感光体102を作製した。
【0448】
【表7】 さらに光導電層1103のSiH4 とH2 との混合比、
放電電力、支持体温度ならびに内圧を変えることによ
り、種々の感光体を作製した。
【0449】一方、光導電層1103の作成条件で、円
筒形のサンプルホルダーに設置したガラス基板(コーニ
ング社 7059)ならびにSiウエハー上に膜厚約1
μmのa−Si膜を堆積した。ガラス基板上の堆積膜に
はAlの串型電極を蒸着して、CPMにより指数関数裾
の特性エネルギーEuと局在準位密度D.O.S.を測
定し、Siウエハー上の堆積膜はFTIRにより含有水
素量ならびにSi−H2 結合とSi−H結合の吸収ピー
ク強度比を測定した。特性エネルギーEu、局在準位密
度D.O.S.と温度特性、メモリー、画像流れとの関
係は実施例1と同様であり、良好な電子写真特性のため
には 特性エネルギーEu=50〜60meV、 局在準位密度D.O.S.=1×1014〜1×1016
-3 であることが必要であることがわかった。
【0450】さらに、図16に示すSi−H2 /Si−
Hとガサツキとの関係から、Si−H2 /Si−H=
0.2〜0.5の範囲にすることが必要であることがわ
かった。
【0451】この感光体の内、特性エネルギーEu、局
在準位密度D.O.S.及びSi−H2 /Si−Hが、
各々54meV、8×1014cm-3、0.29の感光体
について、実施例2と同様の評価を行ったところ、良好
な結果を得た。
【0452】〈実施例10〉(プロセスカートリッヂ適
用例) 前述した図2の画像形成装置のように、実施例7で用い
たものと同処方の感光体102、及び帯電部材100、
再捕獲部材101、再捕獲した磁性粉体を帯電部材10
0に戻す為の搬送ブレード129、感光体クリーニング
装置108のブレード108a、廃トナー容器108b
を一体化し、画像形成装置本体130に対して着脱自在
としたプロセスカートリッヂPCを構成した。
【0453】本実施例の感光体102の表面層削れ等に
よる寿命は約5万枚程度であり、廃トナー容器108b
の容量も該感光体102の寿命に合わせて設計してあ
る。
【0454】又、再捕獲部材101、搬送ブレード12
9を用いる事で実施例6で述べたのと同様の効果によ
り、磁性粉体の補給無しで帯電部材100の帯電効率を
5万枚のプリント動作でも問題のないレベルに保つ事が
可能になった。
【0455】これにより、小型、簡単且つ安価な構成の
もと、本発明の効果を有し、且つ感光体102、廃トナ
ー容器108b、帯電部材100の交換というユーザー
の手間を大幅に軽減できる長所を有するプロセスカート
リッヂを供給することができた。
【0456】〈比較例1〉図11に示すRF−PCVD
法による感光体製造装置を用い、実施例2の、光導電層
の特性エネルギーEuと局在準位密度D.O.S.がそ
れぞれ55meV、2×1015cm-3である画像形成装
置用感光体102を製造し、使用した。
【0457】これに、実施例1の磁性粉体と磁力線密度
2000Gaussのマグネッツトローラー回転タイプ
の帯電部材100を使用した。
【0458】再捕獲部材101は設けないで、その他は
実施例2と同様の実験を行なった。実施例2と同様の評
価をしたところ、耐久数10〜100枚で磁性粉体が現
像装置104の現像スリーブ104aに混入、或いは転
写材である所のコピー用紙に転写され始め、500〜6
00枚で画像上に濃度差として認められた。
【0459】〈比較例2〉実施例7の感光体102を使
用し、実施例1の磁性粉体と磁力線密度1500Gau
ssのマグネッツトローラー回転タイプの帯電部材10
0を使用した。抵抗は5×108 Ωcmである。帯電部
材100への印加電圧条件は−700Vdcである。プ
ロセススピードは250mm/secで、帯電部材10
0を感光体102と同方向に60rpmで回転させた。
【0460】図21のごとく、磁性粉体漏れ防止用に帯
電部材100(20)の直後にウレタンブレード25を
設けた以外は実施例2と同様の実験を行なった。
【0461】実施例2と同様の評価をしたところ、画像
上に感光体の回転方向に並行なスジが発生していた。画
像のスジに相当する位置で、感光体表面に研磨すじが見
られた。又一方では比較例1同様に濃度差が発生してい
た。
【0462】〈その他〉 1)帯電部材100及び再捕獲部材101は非回転の部
材とすることもできる。図18の(a)と(b)にそれ
ぞれそのような例を示した。
【0463】(a)における磁気ブラシ接触帯電部材1
00は、図面に垂直方向を長手とする横長の角棒状のマ
グネット100gの長手両側に該マグネット100gを
挟ませて一対の低炭素鋼材の横長ヨーク材100h・1
00hを設け、この両ヨーク材の先端側対向ギャップ
(隙間)部にギャップ間磁力により磁性粉体を磁気ブラ
シ部100cとして吸着保持させてなる。磁気ブラシ部
100cを被帯電体としての感光体102面に所定幅の
帯電ニップ部nを形成させて接触させて帯電部材100
を定置配設する。磁気ブラシ部100cにはヨーク材1
00hを介して電源Sから帯電バイアスが印加される。
【0464】磁性粉体再捕獲部材101は、図面に垂直
方向を長手とする横長の板状のマグネット部材である。
【0465】(b)における磁気ブラシ接触帯電部材1
00は、上記両ヨーク材100h・100hの先端部に
それぞれ磁性粉体を磁気ブラシ部100c・100cと
して吸着保持させ、その各磁気ブラシ部100c・10
0cをそれぞれ被帯電体としての感光体102面に所定
幅の帯電ニップ部n・nを形成させて接触させて帯電部
材100を定置配設する。磁気ブラシ部100cにはヨ
ーク材100h・100hを介して電源Sから帯電バイ
アスが印加される。
【0466】磁性粉体再捕獲部材101は、図面に垂直
方向を長手とする横長の板状のマグネット部材である。
【0467】2)被帯電体としての像担持体は電子写真
感光体に限らず、静電記録における誘電体等であっても
よい。また被帯電体は像担持体に限られるものではな
い。
【0468】3)本発明において画像形成装置は、回動
ベルト型等の被帯電体の面に形成した画像部分を表示部
に位置させて閲読に供し、然る後その画像を記録媒体に
転写することなしに、被帯電体面からクリーニング除去
し、被帯電体は繰り返して表示画像の形成に使用するよ
うな画像形成表示装置、また直接方式の画像形成装置、
即ち感光紙や静電記録紙等の被帯電体に帯電工程を含む
作像プロセスを適用して転写工程なしに画像形成を実行
する装置等であってもよい。
【0469】4)帯電部材100に直流電圧Vdcに交
流電圧Vacを重畳した振動電圧を印加して被帯電体の
帯電を行う場合(ACバイアス印加方式)において、交
流電圧の波形としては、正弦波、矩形波、三角波等適宜
使用可能である。また、交流バイアスは、例えば直流電
源を周期的にON,OFFすることによって形成された
矩形波の電圧を含むのはもちろんである。この時交流バ
イアスを制御するとは、そのピーク間電圧を制御すれば
良い。このように、交流バイアスは、周期的にその電圧
値が変化するようなバイアスが使用できる。
【0470】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、磁気ブラ
シ帯電装置、該帯電装置を用いた画像形成装置等の機器
について、前述の従来の課題が効果的に解消される。
【0471】即ち、磁気ブラシ帯電装置はコロナ放電の
ようなオゾン生成物が実質的に発生しないた為、被帯電
体の帯電電荷のいわゆる高湿流れ防止対策が不要にな
り、画像形成装置にあっては被帯電体である像担持体の
除湿のための加熱手段(ドラムヒーター)を設ける必要
がなく、装置の小型化、低コスト化が可能となり、エコ
ロジーの点からも有効である。
【0472】磁気ブラシ帯電部材から離脱して被帯電体
面に移動した磁性粉体は次位の磁性粉体再捕獲機構によ
り被帯電体面から捕集除去される。離脱磁性粉体の被帯
電体面からの再捕獲は磁力によりなされ、磁性粉体再捕
獲機構を被帯電体面に非接触に設けることができて被帯
電体表面への機械的なストレスを抑制した上で、磁気ブ
ラシ帯電部材から離脱して被帯電体面に移動した漏れ磁
性粉体を高効率に再捕獲することができる。
【0473】したがって、画像形成装置にあっては、磁
気ブラシ帯電部材から離脱して像担持体面に移動した漏
れ磁性粉体を像担持体面に損傷を与えることなく高効率
に再捕獲して、漏れ磁性粉体が現像装置に持ち込まれて
混入することによるまだらスジ等の現像障害で画質が低
下すること、被記録材に転移してかぶり等の画像障害が
発生することが防止され、極めて好適な画像安定化が達
成された。
【0474】また、耐久性の向上した保護層に、更に温
度特性や電気的特性を向上させた新規な感光体を組み合
わせる事により、夜間通電無し、省エネルギー、高画質
保持のまま、高湿画像流れの除去が可能となった。
【0475】磁性粉体再捕獲機構は回転させることで該
機構の磁性体の磁極が被帯電体面上の漏れ磁性粉体を捕
獲する機械が増加して漏れ磁性粉体の再捕獲の効率が向
上する。
【0476】磁性粉体再捕獲機構には適宜の電圧を印加
することにより、被帯電体面上の漏れ磁性粉体の再捕獲
の効率が向上する。
【0477】磁性粉体再捕獲機構で再捕獲させた磁性粉
体を磁気ブラシ帯電部材へ搬送・帰還させる機構を設け
る事で、磁気ブラシ帯電部材の耐久に伴う磁性粉体の実
質的な減少を顕著に低減させることができて、磁気ブラ
シ帯電部材の耐刷寿命(耐久性)が飛躍的に向上し、画
像形成装置にあっては画質が良好なレベルで長期にわた
り確保され、メンテナンスフリー化が更に進み、磁気ブ
ラシ帯電部材に対する磁性粉体の補給、即ちサービスメ
ンテナンスの簡易化が可能になった。
【0478】磁性粉体再捕獲機構で再捕獲させた磁性粉
体を磁気ブラシ帯電部材へ搬送・帰還させる機構は、磁
気ブラシ帯電部材と磁性粉体再捕獲機構を適当に近接さ
せ、磁気ブラシ帯電部材の磁力線密度を、磁性粉体再捕
獲機構の磁力線密度以上にすることで、磁性粉体再捕獲
機構で再捕獲させた磁性粉体を磁気ブラシ帯電部材へ磁
気的作用等自然に飛翔帰還させる構成としたり、磁性粉
体再捕獲機構と磁気ブラシ帯電部材との間に磁性体等の
簡単な橋渡し部材を配設する等により、別途、磁性粉体
搬送用の駆動源等の機構を設ける必要無く磁性粉体再捕
獲機構側から磁気ブラシ帯電部材側へ再捕獲磁性粉体を
搬送・帰還させることが可能であり、装置の小型化、低
コスト化が可能になる。
【0479】画像形成装置にあっては、予期せぬ効果と
して、特に耐久時における感光体長軸方向での濃度むら
特性が向上した。
【0480】更に、再捕獲磁性粉体を搬送する機構を併
用した系で磁性粉体の汚染レベルが改善されていた。
【0481】磁気ブラシ帯電部材と磁性粉体再捕獲機構
の磁性粉体の量を規制する機構を設けて、磁気ブラシ帯
電部材と磁性粉体再捕獲機構の磁気ブラシの磁性粉体に
働く磁気力及びクーロン力の相関を考慮し磁性粉体の
量、即ち磁気ブラシの適宜な「穂の高さ」規制を行うこ
とで、帯電に必要十分な磁性粉体量の磁気フラシが帯電
部材に確保され、不必要な磁性粉体の漏れ、或いは帯電
不良といった画質低下の原因を抑制し、常時適宜な条件
で帯電部材を使用でき、帯電部材の耐久性を向上でき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】画像形成装置の一例の概略構成図
【図2】画像形成装置の他の例の概略構成図
【図3】磁気ブラシ帯電部材(マグネットローラー回転
タイプ)と磁性粉体再捕獲部材(同)の横断面模型図
【図4】磁気ブラシ帯電部材の途中部分省略・一部切欠
き正面模型図
【図5】磁性粉体再捕獲部材の途中部分省略・一部切欠
き正面模型図
【図6】磁気ブラシ帯電部材と磁性粉体再捕獲部材の他
の形態例の横断面模型図
【図7】磁気ブラシ帯電部材と磁性粉体再捕獲部材の更
に他の形態例の横断面模型図
【図8】帯電部材の抵抗値と帯電効率の関係図
【図9】OPC感光体の一例の層構成模型図
【図10】(a)乃至(d)はそれぞれa−Si感光体
の各種の層構成模型図
【図11】RF−PCVD法による感光体製造装置の一
例の模式的構成図
【図12】VHF−PCVD法による感光体製造装置の
堆積装置の一例の模式的構成図
【図13】感光体の光導電層のアーバックテイルの特性
エネルギーEuと温度特性との関係を示す図
【図14】感光体の光導電層の局在状態密度D.O.
S.と光メモリーとの関係を示す図
【図15】感光体の光導電層の局在状態密度D.O.
S.と画像流れとの関係を示す図
【図16】感光体の光導電層のSi−H2 結合とSi−
H結合の吸収ピーク強度比とハーフトーン濃度ムラ(ガ
サツキ)との関係を示す図
【図17】再捕獲部材による磁性粉体移動率減少を示す
【図18】(a)及び(b)はそれぞれ磁気ブラシ帯電
部材及び磁性粉体再捕獲部材を非回転の部材とした例の
模型図
【図19】画像形成装置の一例の基本的構成模型図
【図20】(a)・(b)はそれぞれマグネットローラ
ー回転タイプとスリーブ回転タイプの磁気ブラシ接触帯
電部材ないしは帯電装置の模式的模型図
【図21】離脱磁性粉体を接触ブレードにより捕集する
ようにした装置の構成模型図
【符号の説明】
100 磁気ブラシ帯電部材 100a 芯金 100b マグネットローラー(磁性体) 100c 磁気ブラシ層 100d スペーサーコロ 100e スリーブ S 帯電バイアス印加電源 n 帯電ニップ部 101 磁性粉体再捕獲部材 101a 芯金 101b マグネットローラー(磁性体) 101d スペーサーコロ 101e スリーブ 129 磁性粉体搬送ブレードまたは磁性粉体量調整
用ブレード 102 感光体(像担持体、被帯電体) 3100 堆積装置 3200 原料ガス供給装置 4100 堆積装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 江原 俊幸 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 山崎 道仁 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 緒方 寛明 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 磁力により磁性粉体の磁気ブラシを保持
    させた磁気ブラシ帯電部材を有し、該帯電部材の磁気ブ
    ラシを移動する被帯電体に接触させ、電圧を印加して被
    帯電体を帯電させる磁気ブラシ帯電装置において、 磁気ブラシ帯電部材よりも被帯電体移動方向下流側に、
    磁気ブラシ帯電部材の磁気ブラシから離脱して被帯電体
    面に移動した磁性粉体を磁力により捕集する磁性粉体再
    捕獲機構を有する事を特徴とする磁気ブラシ帯電装置。
  2. 【請求項2】 磁気ブラシ帯電部材の磁気ブラシ保持部
    材と、磁性粉体再捕獲機構が磁性体からなる事を特徴と
    する請求項1に記載の磁気ブラシ帯電装置。
  3. 【請求項3】 磁性粉体再捕獲機構が被帯電体と非接触
    である事を特徴とする請求項1に記載の磁気ブラシ帯電
    装置。
  4. 【請求項4】 磁気ブラシ帯電部材の磁気ブラシ保持部
    材と被帯電体面との距離を規制する機構、磁性粉体再捕
    獲機構の磁性粉体捕集面と被帯電体面との距離を規制す
    る機構を設けた事を特徴とする請求項1ないし請求項3
    に記載の磁気ブラシ帯電装置。
  5. 【請求項5】 磁性粉体再捕獲機構が回転体であり、少
    なくとも被帯電体の帯電工程時は回転駆動される事を特
    徴とする請求項1ないし請求項4の何れか1つに記載の
    磁気ブラシ帯電装置。
  6. 【請求項6】 磁性粉体再捕獲機構に、磁気ブラシ帯電
    部材に印加される電圧以下の電圧が印加される事を特徴
    とする請求項1ないし請求項5の何れか1つに記載の磁
    気ブラシ帯電装置。
  7. 【請求項7】 磁性粉体再捕獲機構で再捕獲させた磁性
    粉体を磁気ブラシ帯電部材へ搬送する機構を設けた事を
    特徴とする請求項1ないし請求項6の何れか1つに記載
    の磁気ブラシ帯電装置。
  8. 【請求項8】 磁性粉体再捕獲機構から磁気ブラシ帯電
    部材への磁性粉体搬送機構が強磁性体からなる事を特徴
    とする請求項7に記載の磁気ブラシ帯電装置。
  9. 【請求項9】 磁性粉体再捕獲機構が磁性粉体落下防止
    機構を有する事を特徴とする請求項7または請求項8に
    記載の磁気ブラシ帯電装置。
  10. 【請求項10】 磁気ブラシ帯電部材と磁性粉体再捕獲
    機構の各々、又は両方の磁性粉体の量を規制する機構を
    設けた事を特徴とする請求項1ないし請求項9の何れか
    1つに記載の磁気ブラシ帯電装置。
  11. 【請求項11】 磁気ブラシ帯電部材の磁力線密度が、
    磁性粉体再捕獲機構の磁力線密度以上である事を特徴と
    する請求項1ないし請求項10の何れか1つに記載の磁
    気ブラシ帯電装置。
  12. 【請求項12】 移動する像担持体に、該像担持体面を
    帯電する工程、その帯電処理面に静電潜像を形成する工
    程を含む画像形成プロセスを適用して画像形成を実行す
    る画像形成装置において、 該像担持体を帯電する工程手段が請求項1ないし請求項
    11の何れか1つに記載の磁気ブラシ帯電装置であり、
    磁性粉体再捕獲機構は磁気ブラシ帯電部材よりも像担持
    体移動方向下流側で、像担持体面に対する静電潜像形成
    工程部よりも像担持体移動方向上流側に設けられている
    事を特徴とする画像形成装置。
  13. 【請求項13】 磁気ブラシ帯電装置の少なくとも磁気
    ブラシ帯電部材、あるいは磁気ブラシ帯電部材と磁性粉
    体再捕獲機構と、像担持体、現像装置、クリーニング装
    置の少なくとも1つとが一括して画像形成装置本体に対
    して着脱自在に装着されるプロセスカートリッヂとして
    構成されている事を特徴とする請求項12に記載の画像
    形成装置。
  14. 【請求項14】 像担持体が、導電性支持体と、シリコ
    ン原子を母体として水素原子及び/またはハロゲン原子
    を含有する非単結晶材料から成り光導電性を示す光導電
    層、及び電荷を保持する機能を有する表面層を有する光
    受容層から構成される感光体であって、 光導電層が10〜30原子%の水素を含有し、 少なくとも光の入射する部分において、サブバンドギャ
    ップ光吸収スペクトルから得られる指数関数裾の特性エ
    ネルギーEuが50〜60meV、かつ局在状態密度
    D.O.S.が1×1014〜1×1016cm-3、 である事を特徴とする請求項12または請求項13に記
    載の画像形成装置。
  15. 【請求項15】 像担持体が、導電性支持体と、有機感
    光層、及び電荷保持粒子を含む表面層を有する感光体で
    ある事を特徴とする請求項12または請求項13に記載
    の画像形成装置。
  16. 【請求項16】 画像形成装置本体に対して着脱自在に
    装着されるプロセスカートリッヂであり、請求項1ない
    し請求項11の何れか1つに記載の磁気ブラシ帯電装置
    の少なくとも磁気ブラシ帯電部材、あるいは磁気ブラシ
    帯電部材と磁性粉体再捕獲機構と、像担持体、現像装
    置、クリーニング装置の少なくとも1つとを収容してい
    る事を特徴とするプロセスカートリッヂ。
JP8053989A 1996-02-16 1996-02-16 磁気ブラシ帯電装置、画像形成装置及びプロセスカートリッヂ Pending JPH09222773A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6792232B2 (en) 2002-02-26 2004-09-14 Canon Kabushiki Kaisha Charging apparatus and image forming apparatus

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