JPH09324227A - 低α低酸素金属スカンジウムとその製造方法 - Google Patents

低α低酸素金属スカンジウムとその製造方法

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JPH09324227A
JPH09324227A JP14413496A JP14413496A JPH09324227A JP H09324227 A JPH09324227 A JP H09324227A JP 14413496 A JP14413496 A JP 14413496A JP 14413496 A JP14413496 A JP 14413496A JP H09324227 A JPH09324227 A JP H09324227A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 α線発生量が少ない低酸素スカンジウム金属
とその製造方法の提供 【解決手段】 硝酸溶液および塩酸溶液での陰イオン交
換樹脂によるウランおよびトリウムの除去工程と、ハロ
ゲン化工程およびスカンジウム合金との混合溶融による
脱酸素工程、さらに脱合金化工程によって得た精製金属
スカンジウムであって、ウランおよびトリウムの含有量
が各々100ppb 以下、酸素含有量が500ppm以下の
金属スカンジウム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体用材料に利
用される金属スカンジウムに関する。詳しくは、低放射
性および低酸素であり、半導体の電極ゲート材や配線材
の成分として用いた場合に、ソフトエラーや信号の遅
延、断線などが少ない金属スカンジウムとその製造方法
に関する。
【0002】
【従来技術と問題点】スカンジウム(Sc)は、触媒や蛍光
体あるいは超伝導材料の原料として幅広い応用が期待さ
れている元素である。また、アルミニウムにスカンジウ
ムを0.01〜1%程度含有させるとその強度が改善さ
れるため、最近ではアルミニウム系ターゲット材に添加
して半導体のゲート電極材や配線材にも利用されてい
る。 スカンジウムは地殻中に25ppm程度含まれてい
るが、高濃度で含有する単独鉱石は種類も産出量も少な
いため、主としてウランの精練残滓から得ている。
【0003】このため、通常、粗スカンジウムには相当
量のウラン(U)やトリウム(Th)を含んでおり、特にトリ
ウムはスカンジウムと化学的挙動が似ているため一般的
な操作では分離が困難であり、このウランやトリウムが
放射線を発生し、ソフトエラーを引き起こす原因とな
る。実際に市販の4N級酸化スカンジウムには数〜十数
ppmのウランおよびトリウムが含まれている。
【0004】また、一般に金属スカンジウムはフッ化ス
カンジウムを還元して得られるが、この方法で製造され
た従来の金属スカンジウムには2000ppm程度の酸素
が含まれている。このような酸素濃度の金属スカンジウ
ムを半導体配線材料として使用すると、電気抵抗が高
く、信号遅延の原因となる他に配線パターンの性能を低
下させ、断線を生じ易い問題がある(特開平6-280005号
公報)。
【0005】
【発明の解決課題】本発明は、従来の金属スカンジウム
における上記問題を解決したものであり、放射線の発生
源であるウランやトリウムの含有量が格段に少なく、か
つ酸素濃度が著しく低い金属スカンジウムとその製造方
法を提供するものである。
【0006】即ち、本発明によれば、以下の金属スカン
ジウムが提供される。 (1) ウランおよびトリウムの含有量がそれぞれ重量
濃度で100ppb 以下、酸素含有量が重量濃度で500
ppm 以下であることを特徴とする低α低酸素金属スカン
ジウム。 (2) 半導体金属材料に、0.01〜5重量%の範囲
で添加される上記(1)に記載の金属スカンジウム。 (3) 半導体金属材料がアルミニウムである上記(2)
に記載の金属スカンジウム。
【0007】また、本発明によれば、以下の構成からな
る金属スカンジウムの製造方法が提供される。 (4)硝酸濃度4規定以上の硝酸スカンジウム溶液を陰
イオン交換樹脂に通液してトリウムを除去する工程、塩
酸スカンジウム溶液を陰イオン交換樹脂に通液してウラ
ンを除去する工程、トリウムおよびウランを除去した後
にハロゲン化する工程、ハロゲン化スカンジウムをスカ
ンジウム合金と共に混合溶融して酸素を除く工程、およ
び脱合金化工程を経ることより上記(1)に記載の金属ス
カンジウムを得ることを特徴とする低α低酸素金属スカ
ンジウムの製造方法。 (5)脱合金化工程として、スカンジウム合金を真空分
離してスポンジ状の金属スカンジウムを回収する上記
(4)に記載の製造方法。
【0008】
【具体的な説明】(I)金属スカンジウム 本発明に係る金属スカンジウムはトリウムおよびウラン
の含有量がそれぞれ100ppb以下であり、かつ酸素含
有量が500ppm 以下である。トリウムおよびウランの
含有量が各々100ppbを超えると、α線放出量が増加
し、半導体材料としてアルミニウム等に配合して使用し
た場合、放射線による回路誤作動を引き起こし易くな
る。また、酸素含有量が500ppmを超えると電気的な
抵抗が大きくなり、回路用材料としてアルミニウム等に
配合して使用した場合、抵抗による信号遅延や断線等が
生じ易くなる。
【0009】本発明の金属スカンジウムはアルミニウム
等に添加配合して半導体回路用のスパッタリングターゲ
ット材料として用いることができる。アルミニウムなど
に配合することにより材料強度が向上するなどの効果が
ある。この場合、金属スカンジウムの配合量は0.01
重量%以上が適当であり、添加量がこれより少ないとス
カンジウムの添加による効果が発現し難い。一方、添加
量の上限は、上記金属スカンジウムはウランやトリウム
などの不純物量が少ないので2重量%程度まで配合して
も半導体材料として使用できるが、添加量が多いと効果
が頭打ちとなるうえ、経済的にも不利であるため0.5
重量%程度までが実用的である。
【0010】従来の精製金属スカンジウムにはトリウム
およびウランがそれぞれ数ppmないし十数ppm程度含まれ
ており、そのα線放出量は5CPH/cm2程度である。一
方、本発明の上記金属スカンジウムのα線放出量は0.
1CPH/cm2程度あるいはそれ以下であり、半導体材料に
通常使用されているハンダの放射線量を大きく下回る。
従って、本発明の金属スカンジウムをアルミニウムに1
0重量%程度添加しても通常の半導体に使用される材料
の1/10程度のα線量しか放出せず、材料の信頼性が
増す。
【0011】(II)製造方法 本発明の金属スカンジウムは、(イ)硝酸濃度4規定以上
の硝酸スカンジウム溶液を陰イオン交換樹脂に通液して
トリウムを除去する工程、(ロ)塩酸スカンジウム溶液を
陰イオン交換樹脂に通液してウランを除去する工程、
(ハ)トリウムおよびウランを除去した後にハロゲン化す
る工程、(ニ)ハロゲン化スカンジウムをスカンジウム合
金と共に混合溶融して酸素を除く工程、(ホ)脱合金化工
程を経て製造することができる。
【0012】(イ)トリウムの除去工程 原料のスカンジウム含有物を濃度4規定以上の硝酸に溶
解し、この硝酸スカンジウム溶液を陰イオン交換樹脂に
接触させて液中に溶存するトリウムを該陰イオン交換樹
脂に吸着させることにより除去する。原料のスカンジウ
ム含有物としては、鉱石浸出残滓より得たスカンジウム
含有物などを用いることができる。典型的な例として
は、ウラン精練における酸浸出残滓などから得た酸化ス
カンジウムなどが挙げられる。好ましくは既知の手段に
より予備精製を行ない、ウランやトリウムを含む不純物
濃度を10ppm 程度まで予め低減する。
【0013】硝酸溶液中でトリウムは陰イオン錯体を形
成するのに対してスカンジウムは陰イオン錯体を形成せ
ず、従って、この硝酸スカンジウム溶液を陰イオン交換
樹脂に通じるとスカンジウムは溶液中に残るが、トリウ
ムは陰イオン交換樹脂に吸着されるのでスカンジウムと
分離することができる。
【0014】硝酸の代わりに硫酸や塩酸を用いた場合に
はトリウムを除去できない。即ち、硫酸溶液中では、ト
リウムと共にスカンジウムも陰イオン錯体を形成するた
め、両者とも陰イオン交換樹脂に吸着されてしまい、ト
リウムをスカンジウムから分離することができない。一
方、塩酸溶液中では、スカンジウムおよびトリウムのい
ずれも陰イオン錯体を形成しないため、両者とも陰イオ
ン交換樹脂に吸着されない。ところが、硝酸溶液中で
は、前述したように、トリウムは陰イオン錯体を形成す
るがスカンジウムは陰イオン錯体を形成しないため、こ
の硝酸溶液を陰イオン交換樹脂に通じるとトリウムのみ
が選択的に陰イオン交換樹脂に吸着されてスカンジウム
から分離される。このイオン交換処理により、流出液中
のトリウム濃度は数十ppb以下に減少する。
【0015】硝酸スカンジウム溶液の硝酸濃度は4規定
以上、好ましくは5〜9規定が適当である。硝酸濃度が
4規定未満であると、処理液を陰イオン交換樹脂を通し
た際に未吸着のウランやトリウムが増えてこれらの不純
物の除去効果が低下する。硝酸濃度が5規定以上であれ
ばトリウムの除去率が著しく改善され回収スカンジウム
中のトリウム含有量をおよそ30ppb以下に抑えること
ができる。一方、硝酸濃度が9規定を超えると陰イオン
交換樹脂へのトリウムの吸着率が低下するので好ましく
ない。硝酸溶液の液温は特に限定されず、陰イオン交換
樹脂の種類などの処理条件に応じた液温であればよい。
【0016】上記硝酸スカンジウム溶液と陰イオン交換
樹脂の接触は、典型的には樹脂を充填したカラムに硝酸
溶液を通すことにより行なわれるが、必ずしもこの方法
に限らない。また樹脂の形状も特に限定されず、膜状、
繊維状、シート状、管状など各種形状のものを用いるこ
とができる。一般的には、粒径0.35〜0.5mm程度の
粒状樹脂をカラムないし塔に充填したものが好適に使用
できる。カラムないし塔を用いる場合には、破過が生じ
ないように通液量を調整する。スカンジウム濃度および
硝酸濃度にもよるが、一般的には処理液の1/10(容
積比)以上の樹脂を用いることが好ましい。陰イオン交
換樹脂としては、強酸性条件下で効果的なもの、例えば
4級アンモニウム基を有するものが好適に用いられる。
【0017】(ロ)ウランの除去工程 不純物のウランは、濃度3規定以上の塩酸スカンジウム
溶液を陰イオン交換樹脂に接触させ、ウランを吸着させ
ることにより除去することができる。このウラン除去工
程は上記トリウム除去工程の前または後に実施すること
ができる。塩酸溶液中でウランは陰イオン錯体を形成す
るのに対してスカンジウムは陰イオン錯体を形成せず、
従って、塩酸スカンジウム溶液を陰イオン交換樹脂に通
じるとスカンジウムは溶液中に残るが、ウランは陰イオ
ン交換樹脂に吸着されるのでスカンジウムと分離するこ
とができる。本工程で使用する陰イオン交換樹脂の種類
や量は上記トリウム除去工程と同様である。このイオン
交換処理により、流出液中のウラン濃度は数百ppb 以下
に減少する。
【0018】(ハ)ハロゲン化工程 スカンジウム溶液から不純物のウランおよびトリウムを
除去した後に、スカンジウムをハロゲン化物にする。例
えば、陰イオン交換樹脂から抜き出したスカンジウム溶
液のpHを1〜2程度に調整した後に、0.5〜1規定
濃度の蓚酸を加えると、蓚酸スカンジウムが沈澱する。
これを濾過回収し乾燥後、焼成すれば酸化スカンジウム
が得られる。この酸化スカンジウムを塩酸あるいは硝酸
に溶解し、フッ化水素を液中に導入することによりフッ
化スカンジウムが得られる。或いは、陰イオン交換樹脂
から抜き出したスカンジウム溶液のpHを3以下に調整
した後に、フッ酸を加えると、フッ化スカンジウムが沈
澱する。
【0019】このフッ化スカンジウムに塩化カルシウム
またはフッ化カルシウムまたは両化合物の混合物を加
え、これらハロゲン化合物とフッ化スカンジウムからな
る低融点化合物を形成する。この低融点化合物中に四塩
化炭素ガスあるいは炭素源と共に塩素ガスを導入して、
フッ化スカンジウム中に残留していた酸素を除去する。
【0020】(ニ)脱酸素工程 上記ハロゲン化工程の後、上述したハロゲン化スカンジ
ウムを含む低融点化合物をスカンジウム合金と共に混合
溶融することにより、残留する酸素が更に除去される。
混合するスカンジウム合金は、後工程において真空分離
が可能な低融点合金が用いられる。具体的には、亜鉛あ
るいはマグネシウムなどとの合金が用いられる。スカン
ジウム単独での融点は約1500℃であるが、これらの
スカンジウム合金の融点は1000℃以下であり、溶融
後、真空分離により亜鉛ないしマグネシウムを除去する
ことができる。
【0021】ハロゲン化スカンジウムを含む低融点化合
物とスカンジウム合金との混合割合は、2:3〜4:1
の範囲が適当であり、好ましくは1:1〜2:1であ
る。ハロゲン化スカンジウムを含む低融点化合物が1:
1より少なすぎると酸素除去効率が低下する。また2:
1より多い場合は、その添加量に比べて除去効率が上が
らず、しかも容積の大きな容器が必要になる欠点があ
る。混合溶融後、スラグを分離し、合金部分を真空分離
工程に送る。この混合溶融により、酸素含有量は500
ppm以下まで除去される。
【0022】(ホ)脱合金化工程 上記脱酸素工程から回収された合金部分を真空分離に付
してスポンジ状の金属スカンジウムを得る。真空分離
は、上記スカンジウム合金を真空下で約1000〜11
00℃に加熱することにより行う。真空分離により合金
成分の亜鉛(沸点:約907℃)やマグネシウム(沸点:約1102
℃)が揮発し、スポンジ状の精製金属スカンジウムが得
られる。
【0023】
【発明の実施形態】以下、本発明の実施例を比較例と共
に示す。実施例1 トリウム及びウラン濃度がそれぞれ8ppm、12ppmの酸
化スカンジウム40gを7Nの硝酸に完全に溶解させ、
硝酸スカンジウム溶液1リットル得た。一方、32〜42メ
ッシュの陰イオン交換樹脂(三菱化学社製タ゛イヤイオンSA10A)
50gを充填したカラムを用意し、これに4%苛性ソー
ダ溶液400mlを通じ、さらにイオン交換水にて洗浄し
た。このイオン交換カラムに上記硝酸スカンジウム溶液
を1ml/minの流速にて通液した。
【0024】この流出液にアンモニア水を加えてpH1
に調整した後、撹拌しながら濃度111g/lの蓚酸水溶
液を1.3リットル添加して蓚酸スカンジウム沈澱を生成さ
せ、これを濾過回収し、エタノール洗浄後120℃で1
5時間乾燥し、さらに800℃で1時間焼成して酸化ス
カンジウム粉末37.8gを得た。この酸化スカンジウム
粉末を特級試薬の塩酸250mlにて再び溶解した後、イ
オン交換水を添加し300mlの塩化スカンジウム水溶液
とした。一方、前述したイオン交換樹脂を同様にして処
理した後、イオン交換カラムに塩化スカンジウム水溶液
を1ml/minの流速にて通液した。カラムより流出した塩
化スカンジウム水溶液に半導体級純度の弗化水素酸10
0mlを添加し、弗化スカンジウム沈澱を生成させ、濾過
回収後、300℃に乾燥して弗化スカンジウム粉末53
gを得た。
【0025】この弗化スカンジウム40gにカルシウム
16g、亜鉛94g、塩化カルシウム88gを内容積50
0mlのタンタルルツボに入れ、アルゴンガス雰囲気の反
応容器内にて950℃で1時間反応させた。反応終了
後、室温にてルツボを取出し、フラックス層と合金層を
分離した。一方、同様にして得られたフッ化スカンジウ
ム30gを塩化カルシウム88gと共にグラッシーカーボ
ンルツボに入れ、900℃の温度にて塩素ガスを200
ml/min.にて2時間融体に吹き込み反応させた。反応終
了後、室温にてルツボを取り出し、フッ化スカンジウム
を含む低融点化合物を取り出した。
【0026】さらに、前述した合金層とフッ化スカンジ
ウムを含む低融点化合物を内容積500mlのタンタルル
ツボに入れ、再びアルゴンガス雰囲気の反応容器内にて
950℃で1時間反応させた。反応終了後、室温にてル
ツボを取り出し、フラックス層と合金層を分離した。次
いでアルゴン雰囲気のグローブボックス中で、得られた
合金層92gを1cm程度に粉砕し、再度タンタルルツボ
に入れて、真空容器内で1000℃に5時間加熱して亜
鉛を除去し、精製金属スカンジウムを得た。このスカン
ジウムのトリウム濃度、ウラン濃度および酸素濃度を表
1に示した。
【0027】実施例2 トリウムおよびウラン濃度が各々5ppm、5ppmの酸化ス
カンジウム40gを7Nの硝酸に完全に溶解させ、硝酸
スカンジウム溶液1リットル得た。一方、32〜42メッシュの
陰イオン交換樹脂50gを充填したカラムを用意し、こ
れに4%苛性ソーダ溶液400mlを通じ、さらにイオン
交換水にて洗浄した。このイオン交換カラムに、上記硝
酸スカンジウム溶液を1ml/minの流速にて通液した。こ
の流出液にアンモニア水を添加し、pH8にて加水分解
を生じさせ、水酸化スカンジウムを得た。この水酸化ス
カンジウムを塩酸250mlにて溶解し、前述と同様に処
理した上記イオン交換樹脂に通液した。カラムより流出
した塩化スカンジウムに半導体級純度の弗化水素酸10
0mlを添加し、弗化スカンジウム沈澱を生成させ、濾過
回収後、300℃に乾燥して弗化スカンジウム粉末56
gを得た。得られた弗化スカンジウム40gを用い、実施
例1と同様にして精製金属スカンジウムを得た。このス
カンジウムのウラン濃度、トリウム濃度および酸素濃度
を表1に示した。
【0028】実施例3 純度99.999%のアルミニウム300gに実施例1で得た
精製金属スカンジウム3.6gを添加し、真空800℃に
て溶融し、鋳造した。得られた鋳塊に520℃で10時
間熱処理を施し、圧延率80%の冷間圧延を施し、さら
に420℃で30分の熱処理を施した。得られた素材を
用いて直径120mmφ、厚さ2mmのスパッタリングター
ゲットを作成した。このターゲットを用い、スパッタリ
ング法およびリソグラフィー法により配線パターンを形
成した。配線パターン中の各配線の幅は2μm、長さ3m
m、厚さ1μmとし、各試料ターゲットごとに10本づつ
の配線を選定した。各配線に通電して加速信頼性試験を
行った。試験条件は基盤温度150℃、電流密度5×1
6 A/cm2とした。各試料ターゲットから各々得られた
配線について、断線が発生した本数の全体本数に対する
比率を算定し、配線の信頼性を評価した。この結果を表
2に示した。
【0029】実施例4 実施例2で得た金属スカンジウムを用いた以外は実施例
3と同様の方法にて配線の信頼性を試験した。この結果
を表2に示した。
【0030】比較例1 市販の金属スカンジウム(酸素濃度:2000ppm)を用いた
以外は実施例1と同様の方法にて配線の信頼性を試験し
た。この結果を表2に示した。
【0031】通常、市販の酸化スカンジウムにはウラン
およびトリウムが各々5〜12ppm程度含有されてお
り、また酸素濃度は2000ppm程度であるが、表1に
示すように、実施例1、2で得た金属スカンジウムのウ
ラン濃度およびトリウム濃度は従来の1/100程度と
格段に低く、また酸素濃度も450ppm以下であって大
幅に低い。さらに、表2から明らかなように、従来品の
金属スカンジウムを添加した比較例1の配線では10%
の断線発生率を示すが、本発明に係る酸素含有量の低い
金属スカンジウムを用いた実施例3、4の断線発生率は
4%であり、従来の半分以下に抑えられており、配線信
頼性に優れることがわかる。
【0032】
【表1】
【0033】
【表2】
【0034】
【発明の効果】本発明の金属スカンジウムは、ウランお
よびトリウムの含有量がそれぞれ重量濃度で100ppb
以下で、かつ酸素含有量が重量濃度で500ppm 以下で
あり、アルミニウムなどの金属に配合して半導体回路用
ターゲット材に使用した場合、ウランおよびトリウムの
含有量が低いためα線の放出を抑えることができ、回路
誤作動を引き起こすことがなく、かつ酸素の含有量が低
いため電気的抵抗による信号の遅延や断線発生の虞が極
めて少なく、従って生産性や歩留まりの向上に寄与す
る。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ウランおよびトリウムの含有量がそれぞ
    れ重量濃度で100ppb以下、酸素含有量が重量濃度で
    500ppm以下であることを特徴とする低α低酸素金属
    スカンジウム。
  2. 【請求項2】 半導体金属材料に、0.01〜5重量%
    の範囲で添加される請求項1に記載の金属スカンジウ
    ム。
  3. 【請求項3】 半導体金属材料がアルミニウムである請
    求項2に記載の金属スカンジウム。
  4. 【請求項4】 硝酸濃度4規定以上の硝酸スカンジウム
    溶液を陰イオン交換樹脂に通液してトリウムを除去する
    工程、塩酸スカンジウム溶液を陰イオン交換樹脂に通液
    してウランを除去する工程、トリウムおよびウランを除
    去した後にハロゲン化する工程、ハロゲン化スカンジウ
    ムをスカンジウム合金と共に混合溶融して酸素を除く工
    程および脱合金化工程を経ることより請求項1に記載の
    金属スカンジウムを得ることを特徴とする低α低酸素金
    属スカンジウムの製造方法。
  5. 【請求項5】 脱合金化工程として、スカンジウム合金
    を真空分離してスポンジ状の金属スカンジウムを回収す
    る請求項4に記載の製造方法。
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