JPH09324141A - 塗料組成物及び塗膜形成方法 - Google Patents

塗料組成物及び塗膜形成方法

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JPH09324141A
JPH09324141A JP8142002A JP14200296A JPH09324141A JP H09324141 A JPH09324141 A JP H09324141A JP 8142002 A JP8142002 A JP 8142002A JP 14200296 A JP14200296 A JP 14200296A JP H09324141 A JPH09324141 A JP H09324141A
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JP
Japan
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coating film
coating
film
resin
fluororesin powder
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Application number
JP8142002A
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English (en)
Inventor
Yoshiki Ikenaga
良樹 池永
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Nippon Paint Co Ltd
Original Assignee
Nippon Paint Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 塗膜のスリップ性を押さえつつ、スクラッチ
性良好な塗膜を提供する。 【解決手段】 (a)ポリエステル樹脂及び/又はエポ
キシ樹脂と、(b)架橋剤と、(c)(c−1)フッ素
樹脂粉末及び炭化ケイ素、又は(c−2)フッ素樹脂粉
末、酸化ケイ素及び炭化ケイ素と、を主成分とする塗料
組成物である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する分野】本発明は塗料組成物及び塗膜形成
方法、特に成型加工時に塗膜表面層(最上塗膜)に傷が
入りにくく塗膜剥離を抑制し、仮に塗膜が剥離しても素
材表面の露出を防止する、塗料組成物及び塗膜形成方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】建築材料、特に屋根材やサイディング剤
等の金属住居用部材は、通常耐食性等の点から、塗装さ
れる。塗装システムとしては、2コート2ベーク、例え
ばエポキシ樹脂又はポリエステル樹脂を主体とする下塗
塗料を塗装し、その後焼付けを行い、更にこの下塗塗膜
上にポリエステル樹脂を主体とする上塗塗料を塗装し、
その後焼付けを行う工程が一般的であった。更に、2コ
ート2ベークされた着色鋼板は、通常平面ではなくロー
ルフォーミング等の機械加工により角波、丸波等の波付
け等が施されている。この波付け等により外観が向上す
ると共に部材としての強度も向上するため、通常建築用
部材は、施行前に各種加工が施される。
【0003】上記機械加工は、加工機の一部が直接塗膜
を擦ったり、引っ掻いたりするに近い作用を塗膜に加え
るものであるため、加工時、塗膜は非常に過酷な条件下
に置かれている。上述の従来の塗料による塗膜では、塗
膜が傷付いたり、塗膜の剥離があったり、更に素地金属
が露出して、その部分から錆が発生して耐食性が低下し
てしまうという問題があった。
【0004】そこで、上記問題を解決すべく、ポリエチ
レンを主体とするワックスを最上層とする塗膜を形成す
る塗料を上塗塗膜として塗装していた。しかしながら、
これの最上層塗膜も十分ではなく、加工時に最上層塗膜
に傷が付き、加工後に補修用塗料で再度塗装し直す必要
があった。また、ワックスを添加することにより多少耐
傷付き性は向上したが、ワックスが多量に最上層の表面
に出るため、屋根を葺く時に通常履く地下足袋が滑りや
すくなってしまうおそれがあった。仮に作業者の地下足
袋がすべりやすくなると、屋根葺き作業に支障を来し、
作業の遅延を招くおそれがあった。
【0005】また、特公平6−32774号公報の「プ
レス成型性、耐食性及び塗装性に優れた樹脂塗装鋼板」
には、分子内に活性水素を有するウレタン系樹脂に常温
架橋型エポキシ系樹脂を1〜20重量%含有する樹脂を
主体として、0.01〜2μmのフッ素系樹脂粒子2.
5〜30重量%及び1〜30nmのシリカ粒子を1〜3
0重量%含有する樹脂被膜が付着量0.1〜5g/平方
メートルにて鋼板の表面に形成されているプレス成型性
等に優れる樹脂塗装鋼板が提案されている。
【0006】しかしながら、上記特公平6−32774
号公報の樹脂塗装鋼板は、金型によるプレス成型が主体
であって、強加工のプレス成型における金型の温度上昇
及び摺動面の極圧に対する擦り傷や黒変化性は抑制され
るものの、ロール加工による耐擦り傷性、曲げ加工であ
るハゼ折り性については、不十分であった。
【0007】また、特開平5−255587号公報の
「プレス加工性に優れた潤滑鋼板用皮膜組成物及びこれ
を使用した潤滑鋼板」には、水分散型ポリウレタン樹脂
100重量部に対してシリカ粒子5〜50重量部、及び
ポリオレフィン系ワックス及び/又はフッ素系樹脂微粉
末からなる潤滑機能付与剤0.5〜30重量部含有する
潤滑性皮膜を形成できる組成物が提案されている。
【0008】しかしながら、上記特開平5−25558
7号公報の潤滑鋼板用被膜組成物を用いた潤滑鋼板は、
高速プレス加工時が主体であって、上記同様、ロール加
工による耐擦り傷性、曲げ加工であるハゼ折り性につい
ては、不十分であった。尚、上記組成の潤滑性被膜が最
上被膜である。
【0009】更に、特開昭59ー193967号公報の
「塩化ビニル樹脂ディスパージョン塗料」には、塩化ビ
ニル樹脂100重量部に対し、平均粒子径3〜100
μ、モース硬度2〜14の粒状無機質材料、例えばCa
O,CaCO3 ,MgO,SiO2 ,Al2 3 ,Si
Cを10乃至100重量部未満の割合で含む塗料が記載
されている。
【0010】また、特開昭64−51473号公報の
「コーティング用組成物」には、メラミン樹脂ワニス6
0〜90重量%、アルキッド樹脂ワニス10〜40重量
%の混合ワニス100重量部に対し粒径0.1〜150
μmのセラミック粉末、例えばSiO2 ,Al2 3
SiC等50〜500重量部を配合してなるコーティン
グ用組成物が記載されている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記特
開昭59ー193967号公報に開示された塗料により
被覆された塩化ビニル樹脂を主成分とする皮膜は、塗膜
強度が劣り、加工性が不十分であるという問題があっ
た。
【0012】また、特開昭64−51473号公報に開
示されたコーティング用組成物は、アルキッド樹脂とメ
ラミン樹脂を混合することにより、適度な柔軟性と硬度
を有する皮膜を形成することができるが、ポストコート
に用いる組成物であって、成型加工前に行なうプレコー
トではなかった。従って、上記コーティング用組成物を
用いて形成した皮膜は、上述の過酷な成型加工に耐えら
れるものではなかった。
【0013】本発明は上記従来の課題に鑑みたものであ
り、その目的は、機械加工時の傷付き防止と、塗装後の
着色鋼板表面の傷付きによる素材露出防止機能を有する
塗料組成物及び塗膜形成方法を提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】前述した目的を達成する
ために、本発明の塗料組成物は、(a)ポリエステル樹
脂及び/又はエポキシ樹脂と、(b)架橋剤と、(c)
(c−1)フッ素樹脂粉末及び炭化ケイ素、又は(c−
2)フッ素樹脂粉末、酸化ケイ素及び炭化ケイ素と、を
主成分とする。
【0015】本発明の塗料組成物には、(c)成分とし
てフッ素樹脂粉末が含まれているため、この塗料組成物
を塗装して得られる下塗塗膜と上塗塗膜との層間には、
フッ素樹脂粉末が介在する。更に、下塗塗膜からフッ素
樹脂粉末の一部は、突出して上塗塗膜内に達している。
従って、加工機により上塗塗膜に大きな力が働いて、上
塗塗膜が傷付いたとしても、層間に存在するフッ素樹脂
粉末個所において金型の滑りをよくする。このため、機
械的摩擦から逃れて上記力の伝達をここで消滅させるこ
とができるので、塗膜の破壊を上塗塗膜だけに止めるこ
とができる。また、下塗塗膜と上塗塗膜の上下層間での
密着性をコントロールしている。すなわち、フッ素樹脂
粉末の個所は滑り、下塗塗膜は犠牲密着性を有すること
になり、上塗塗膜に力が加わったとしても、下塗塗膜層
全体が剥離することがない。従って、素地金属が露出す
ることがなく、耐食性に優れる。
【0016】更に、(c)成分として含まれる酸化ケイ
素により、下塗塗膜の強靭性が向上する。また、(c)
成分として含まれる炭化ケイ素により、下塗塗膜はスタ
ット(鋲)を打ち込んだ状態になり、下塗塗膜に硬さを
与える。従って、塗膜に加重がかかったとしても、塗膜
が傷付くことを防止できると共に、下塗塗膜表面で上塗
塗膜に対する滑り止めとして働く。
【0017】また、本発明に係る塗膜形成方法は、化成
処理した素材に、(A)(a)ポリエステル樹脂及び/
又はエポキシ樹脂と、(b)架橋剤と、(c)(c−
1)フッ素樹脂粉末及び炭化ケイ素、又は(c−2)フ
ッ素樹脂粉末、酸化ケイ素及び炭化ケイ素、又は(c−
3)フッ素樹脂粉末及び酸化ケイ素と、を含有する塗料
を下塗塗膜及び/又は中塗塗膜として形成する工程、
(B)前記下塗塗膜及び/又は中塗塗膜を焼付け後、好
ましくは急冷する工程、(C)ポリエステル樹脂及び架
橋剤を主成分とする上塗塗膜を形成する工程、(D)焼
付け工程、(E)成型加工工程、上記(A)〜(E)の
工程を順次経る塗膜形成方法である。
【0018】(A)工程で上記組成の塗料を下塗塗膜及
び/又は中塗塗膜として形成するした後、(B)工程で
前記下塗塗膜及び/又は中塗塗膜を焼付け後、特に急冷
することによって、溶融状態近くにまで加熱された塗膜
中のフッ素樹脂粉末の粒子が、塗膜中或いは塗膜表面で
引き締められ固定化が強固になる。その結果、フッ素樹
脂粒子が塗膜中或いは塗膜表面から脱落することを防止
でき、下塗塗膜及び/又は中塗塗膜からフッ素樹脂粉末
の一部が、突出して中塗塗膜又は上塗塗膜内に達する。
従って、加工機により上塗塗膜に大きな力が働いて、上
塗塗膜が傷付いたとしても、層間に存在するフッ素樹脂
粉末個所において金型の滑りをよくする。このため、機
械的摩擦から逃れて上記力の伝達をここで消滅させるこ
とができ、塗膜の破壊を上塗塗膜又は中塗塗膜だけに止
めることができる。従って、素地金属が露出することが
なく、耐食性に優れる。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明に係る塗料組成物は、
(a)ポリエステル樹脂及び/又はエポキシ樹脂と、
(b)架橋剤と、(c)(c−1)フッ素樹脂粉末及び
炭化ケイ素、又は(c−2)フッ素樹脂粉末、酸化ケイ
素及び炭化ケイ素と、を主成分とする。
【0020】(a)ポリエステル樹脂及び/又はエポキ
シ樹脂 本発明で用いられるポリエステル樹脂は、多価アルコー
ルと多塩基酸とから合成(エステル縮合反応による合
成)されるものが好ましい。具体的には、例えば、多価
アルコール成分としてはエチレングリコール、ジエチレ
ングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレング
リコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレング
リコール、ネオペンチルグリコール、1,2−ブタンジ
オール、1,3ブタンジオール、2,3−ブタンジオー
ル、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオー
ル、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサ
ンジメタノール、2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプ
ロピル−2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロピオネ
ート(BASHPH)、N,N−ビス(2−ヒドロキシ
エチル)ジメチルヒダントイン、ポリテトラメチレンエ
ーテルグリコール、ポリカプロラクトンポリオール、グ
リセリン、ソルビトール、アンニトール、トリメチロー
ルエタン、トリメチロールプロバン、トリメチロールブ
タン、ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール、ジ
ペンタエリスリトール、トリス(ヒドロキシエチル)イ
ソシアネート、1,9−ノナンジオール等が挙げられ、
これらの多価アルコールの二種以上を組み合わせて用い
ることもできる。また、多塩基酸としてはフタル酸、無
水フタル酸、テトラヒドロフタル酸、テトラヒドロ無水
フタル酸ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロ無水フタ
ル酸、メチルテトラヒドロフタル酸、メチルテトラヒド
ロ無水フタル酸、無水ハイミック酸、トリメット酸、無
水トリメット酸、ピロメリット酸、無水ピロメリット
酸、イソフタル酸、テレフタル酸、マレイン酸、無水マ
レイン酸、フマル酸、イタコン酸、アジビン酸、アゼラ
イン酸、セバシン酸、コハク酸、無水コハク酸、乳酸、
ドテセニルコハク酸、ドテセニル無水コハク酸、シクロ
ヘキサン−1,4−ジカルボン酸、無水エンド酸等が挙
げられ、これら多塩基酸の二種以上を組み合わせて用い
てもよい。また、ポリエステル樹脂の変性剤として、例
えば、長鎖モノエボキシド(商品名:カージュラE、シ
ェル株式会社製)、あるいはAOEX24(ダイセル株
式会社製)等を用いてもよい。
【0021】エポキシ樹脂としては、数平均分子量が4
00〜4,000、エポキシ当量が200〜2,000
の範囲にあるものが好適である。このようなエポキシ樹
脂としては、市販品であるエピコート#828,#83
4,#1001,#1004,#1007,#1009
[油化シェルエポキシ(株)製、商品名]などがある。
【0022】(b)架橋剤 本発明で用いる架橋剤としては、ブロックポリイソシア
ネート化合物及び又はメラミン樹脂を用いる。
【0023】ブロックポリイソシアネート化合物として
は、非黄変型のヘキサメチレンジイソシアネート(HM
DI)等の脂肪族多官能イソシアネート、イソホロンジ
イソシアネート(IPDI)等の脂環肪族多官能イソシ
アネート、及びジフェニルメタン−4,4´−ジイソシ
アネート(MDI)や水添MDI等のポリイソシアネー
ト化合物の官能基を、部分ブロック又は完全ブロックし
たものを用いる。
【0024】ブロック剤としては、アセトンオキシム、
シクロヘキサノンオキシム、アセトフェノンオキシム、
ベンゾフェノンオキシム等のオキシム系のブロック剤、
さらに、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、メタノ
ール等のブロック剤が挙げられる。
【0025】また、芳香族モノアルコール、ヒドロキシ
第3級アミン、フェノール、クレゾールや、ラクタム系
のブロック剤を用いることもできる。オキシム系のブロ
ック剤、又は上記したオキシム系以外のブロック剤を用
いれば、塗膜の黄変が防止できる。
【0026】ブロックポリイソシアネート化合物として
は、特にメチルエチルケトンオキシムでブロックしたI
PDIが好ましい。
【0027】メラミン樹脂としては、アルコキシメチル
メラミン樹脂を用いることができる。具体的には、アル
コキシ基としてメトキン基、エトキシ基、n−ブトキシ
基、イソブトキシ基等を用いたメチル化メラミン樹脂、
エチル化メラミン樹脂、n−ブチル化メラミン樹脂、イ
ソブチル化メラミン樹脂等が挙げられる。
【0028】メラミン樹脂の平均重合度は1.1〜3で
ある。平均重合度が1.1未満であると耐汚染性が低下
する。一方、3を越えると加工性が低下する。好ましい
平均重合度は1.1〜2.6である。
【0029】ブロックポリイソシアネート化合物とメラ
ミン樹脂を併用して使う場合には、ブロックポリイソシ
アネート(B)とメラミン樹脂(M)との固形分重量比
(B)/(M)は、95/5〜5/95が好ましい。
(B)/(M)が5/95未満であると加工性が低下す
る。一方、(B)/(M)が95/5を超すと耐汚染性
が低下する。好ましい(B)/(M)の範囲は4/6〜
6/4である。 ポリエステル樹脂(P)量と、架橋剤
成分であるブロックポリイソシアネート(B)及び/メ
ラミン樹脂(M)の量との固形分重量比(P)/
[(B)及び/(M)]は、9/1〜6/4が好まし
い。この比が6/4未満であると、加工性不良となる。
一方、9/1を超すと塗膜の硬化が十分でなくなり、良
好な塗膜硬化が得られない。
【0030】(c)(c−1)フッ素樹脂粉末及び炭化
ケイ素、又は(c−2)フッ素樹脂粉末、酸化ケイ素及
び炭化ケイ素 フッ素樹脂粉末としては、ポリ四フッ化エチレン(PT
FE)、ポリ三フッ化エチレン(PCTFE)、ポリフ
ッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PV
F)、ポリエチレン四フッ化エチレン共重合体(FTF
E)、ポリ四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重
合体(FEP)等が挙げられ、例えばポリ四フッ化エチ
レンとしては、「シャムロック ワックス」(シャムロ
ック ケミカル社製(米国))の「SST−3」(粒径
約2.5μm)、「SST−3P」(粒径約5μm)、
「SST−3K」(粒径約5μm)、及び「ホスタフロ
ン」(ヘキストジャパン(株)社製)の「TF920
2」(粒径約2.5μm)、「TF9205」(粒径約
5μm)が挙げられる。粒径は平均粒径を示す。
【0031】フッ素樹脂粉末の粒径は、2.5〜5μm
が好ましい。また、フッ素樹脂粉末は、塗料組成物中の
(a)樹脂樹脂固形分(容量%)に対して0.05〜5
容量%含まれていることが好ましく、より好ましくは
0.1〜3容量%、更に好ましくは0.1〜1容量%で
ある。フッ素樹脂粉末が、塗料組成物中の(a)樹脂樹
脂固形分(容量%)に対して0.05容量%未満の場合
には、フッ素樹脂粉末の存在効果がなく、上塗塗膜に力
が加わると上塗塗膜と共に下塗塗膜も剥離してしまう。
一方フッ素樹脂粉末が、塗料組成物中の(a)樹脂樹脂
固形分(容量%)に対して5容量%を超える場合には、
下塗塗膜の表面が滑り易くなり過ぎて、上塗塗装を均一
に行うことができない。すなわち、ロールコータ塗装性
が劣化するため、均一に上塗塗料を塗装できない。更
に、下塗塗膜と上塗り塗膜との密着性が悪くなり、いわ
ゆる層間密着性が低下する。
【0032】炭化ケイ素(SiC)としては、例えば
「セラロイ−C400」(旭硝子(株)社製)、「セラ
ロイ−C600」(旭硝子(株)社製)、「セラロイ−
C900」(旭硝子(株)社製)、「レッフェルF」
(旭硝子(株)社製)、「レッフェルS」(旭硝子
(株)社製)、「ARC」(アキタ理研)、「信越炭化
ケイ素SE−10」(信越化学(株)社製)、「100
FT」(屋久島電工(株)社製、平均粒径約50μ
m、)、「OY−3」(屋久島電工(株)社製、平均粒
径約3.3μm)、「OY−7」(屋久島電工(株)社
製、平均粒径約1.6μm)、「OY−15」(屋久島
電工(株)社製、平均粒径約0.7μm)を用いること
ができる。なお、次に示すように、「100FT」(粒
径約30〜40μm、)、「OY−3」(粒径約10〜
15μm)、「OY−7」(粒径約3〜8μm)、「O
Y−15」(粒径約1〜2μm)は、振るいにかけて粒
径を選択して用いた。
【0033】炭化ケイ素の粒径は、1〜20μmが好ま
しい。通常、下塗塗膜の膜厚は、2〜7μmであるか
ら、下塗塗膜にスタット(鋲)を打ち込んだ状態にな
り、下塗塗膜に硬さを与える。また、炭化ケイ素は、塗
料組成物中の(a)樹脂樹脂固形分(容量%)に対して
0.01〜20容量%含まれていることが好ましく、よ
り好ましくは0.02〜10容量%、更に好ましくは
0.05〜1容量%である。炭化ケイ素が、塗料組成物
中の(a)樹脂樹脂固形分(容量%)に対して0.01
容量%未満の場合には、下塗塗膜の滑り止め性がなくな
り、また傷が付き易くなる。一方、炭化ケイ素が、塗料
組成物中の(a)樹脂樹脂固形分(容量%)に対して2
0容量%を超える場合には、下塗塗膜の滑り止め性は良
くなるが、塗膜の脆さが出てしまい、加工性が低下す
る。また、傷付きにくくなるが、塗装板を切断する時
に、剪断機の歯こぼれを起こしてしまう。
【0034】酸化ケイ素(SiO2 、シリカ)として
は、例えば「CRYSTALITE」(龍森(株)社
製、粒径約8μm)、「シリカパウダーSP10」(大
阪窯業耐火煉瓦(株)社製、粒径約7μm)、「サイロ
イド308」(富士デヴィソン化学(株)社製、粒径約
7μm)、「CRYSTALITE」(龍森(株)社
製、粒径約4.5μm)、「サイロイド244」(富士
デヴィソン化学(株)社製、粒径約4μm)、「ニップ
シールE−200A」(日本シリカ工業(株)社製、粒
径約2μm)、「ニップシールE−220」(日本シリ
カ工業(株)社製、粒径約1μm)、「ミズカシルNP
−8」(水沢化学(株)社製、粒径約1μm)を用いる
ことができる。粒径は平均粒径を示す。
【0035】酸化ケイ素の粒径は、1〜12μmが好ま
しい。通常、下塗塗膜の膜厚は、2〜7μmであるか
ら、下塗塗膜に一部突出した酸化ケイ素は、下塗塗膜の
強靭性を向上させると同時に、また、下塗塗膜に粗度を
与え、下塗塗膜と上塗塗膜の密着性を向上させる。ま
た、酸化ケイ素は、塗料組成物中の(a)樹脂樹脂固形
分(容量%)に対して0.3〜25容量%含まれている
ことが好ましく、より好ましくは0.4〜10容量%、
更に好ましくは0.5〜5容量%である。酸化ケイ素
が、塗料組成物中の(a)樹脂樹脂固形分(容量%)に
対して0.3容量%未満の場合には、下塗塗膜に強靭性
が出ず、成型加工時に傷が付いたり、塗膜が層内で容易
に破壊したり剥離したりする。一方、酸化ケイ素が、塗
料組成物中の(a)樹脂樹脂固形分(容量%)に対して
25容量%を超える場合には、下塗塗膜の光沢が低下
し、これに伴い全体的に塗膜の光沢が低下する。また、
下塗塗膜の強靭性も低下して成型加工時に傷が付いた
り、塗膜が層内で容易に破壊したり剥離したりする。
【0036】また、(c)成分は、(c−2)フッ素樹
脂粉末、酸化ケイ素及び炭化ケイ素であることがより好
ましい。
【0037】また、塗料組成物は、必要に応じて顔料、
好ましくは防錆顔料を含有してもよい。尚、顔料及び防
錆顔料は、通常塗料に用いられるものを用いることがで
きる。
【0038】次に、本発明に係る塗膜形成方法は、化成
処理した素材に、(A)(a)ポリエステル樹脂及び/
又はエポキシ樹脂と、(b)架橋剤と、(c)(c−
1)フッ素樹脂粉末及び炭化ケイ素、又は(c−2)フ
ッ素樹脂粉末、酸化ケイ素及び炭化ケイ素、又は(c−
3)フッ素樹脂粉末及び酸化ケイ素と、を含有する塗料
を下塗塗膜及び/又は中塗塗膜として形成する工程、
(B)前記下塗塗膜及び/又は中塗塗膜を焼付け後、急
冷する工程、(C)ポリエステル樹脂及び架橋剤を主成
分とする上塗塗膜を形成する工程、(D)焼付け工程、
(E)成型加工工程、上記(A)〜(E)の工程を順次
経る塗膜形成方法である。
【0039】(A)工程 (A)工程は、化成処理した素材に、(a)ポリエステ
ル樹脂及び/又はエポキシ樹脂と、(b)架橋剤と、
(c)(c−1)フッ素樹脂粉末及び炭化ケイ素、又は
(c−2)フッ素樹脂粉末、酸化ケイ素及び炭化ケイ
素、又は(c−3)フッ素樹脂粉末及び酸化ケイ素と、
を含有する塗料を下塗塗膜及び/又は中塗塗膜として形
成する工程である。尚、上記塗料の組成物は、(c−
2)成分から炭化ケイ素を除いたものを(c−3)成分
とする点を除いて、上述と同様であるために、ここでは
省略する。
【0040】まず、金属板としては、亜鉛めっき板、亜
鉛合金めっき(Zn−Al等)鋼板、アルミニウム板、
アルミニウムめっき板、ステンレス板、冷延鋼板等であ
って、金属板はシート状、コイル状のいずれであっても
よい。
【0041】化成処理としては、金属板に適する表面処
理であればいずれでもよく、例えばクロメート処理やリ
ン酸亜鉛処理によって化成皮膜を形成してもよい。
【0042】上記(c)成分は、好ましくは(c−1)
フッ素樹脂粉末及び炭化ケイ素又は(c−2)フッ素樹
脂粉末、酸化ケイ素及び炭化ケイ素であり、より好まし
くは(c−2)フッ素樹脂粉末、酸化ケイ素及び炭化ケ
イ素である。
【0043】下塗塗膜及び中塗塗膜を形成する場合に
は、2本又は3本のロールを有するロールコータを用い
て、ナチュラル又はリバース塗装方式のいずれの方式に
より塗装してもよい。下塗塗膜は、焼付けによる乾燥時
膜厚が好ましくは2〜7μmになるように上記塗料の塗
装により形成される。また、中塗塗膜は焼付けによる乾
燥時膜厚が好ましくは2〜20μmになるように上記塗
料を塗装により形成される。
【0044】(B)工程 (B)工程は、前記下塗塗膜及び/又は中塗塗膜を焼付
け後、急冷する工程である。塗装後最高到達板温度が、
好ましくは200〜230℃になるように約20〜90
秒間焼付けを行う。好ましくは、焼付け後1〜5秒間の
間に40〜30℃まで板を急冷する。急冷は、水(ウォ
ータクエンチ)で行うことが好ましい。例えば、水を塗
膜面にスプレー又は浸漬して焼付け塗膜の温度を急冷し
てもよい。なお、徐冷する場合には、フッ素樹脂粒子
が、塗膜表面に浮いて固化するために、フッ素樹脂粒子
が塗膜表面より脱落し、塗膜層間の密着性が劣ってしま
う。
【0045】(C)工程 (C)工程は、ポリエステル樹脂及び架橋剤を主成分と
する上塗塗膜を形成する工程である。
【0046】例えば高分子ポリエステル、オイルフリー
ポリエステル、シリコンポリエステル樹脂等のポリエス
テル樹脂、及びフェノール、メラミン、ポリイソシアネ
ート化合物等の架橋剤とを用いて、ロールコータ等で塗
装後、2本又は3本のロールコータを用いて、ナチュラ
ル又はリバース塗装方式のいずれの方式により塗装して
もよい。焼付けにより乾燥時膜厚が10〜30μmにな
るように塗装する。
【0047】(D)工程 (D)工程は、上塗塗膜を焼付けする工程である。最高
到達板温度が、好ましくは200〜230℃になるよう
に約30〜90秒間焼付けを行う。焼付け後1〜5秒間
の間に40〜30℃まで板を急冷してもよい。急冷は、
上述したように、例えば水を塗膜面にスプレー又は浸漬
して焼付け塗膜の温度を急冷してもよい。
【0048】(E)工程 (E)工程は、ロール成型加工工程である。
【0049】尚、2コート2ベーク、すなわち下塗塗装
後、焼付けを行い、その後上塗塗装を行ってから更に焼
付けを行う場合には、上記(A)工程から(E)工程の
順に順次行う。また、3コート3ベーク、すなわち、下
塗塗装後、焼付けを行い、その後中塗り塗装を行い、そ
の後焼付けを行い、更に上塗塗装を行ってから更に焼付
けを行う場合には、上記(A)工程から(B)工程(下
塗塗膜形成)、(A)工程から(B)工程(中塗塗膜形
成)を経てから、上記(C)工程から(E)工程の順に
順次行う。
【0050】本発明に係る塗膜形成方法により塗膜が形
成された素材は、建築材料、例えば屋根用瓦棒、折板、
サイディング用平形、M型下見材、その他樋の角樋、丸
樋等に用いることができる。
【0051】更に、本発明の好ましい他の実施態様を以
下に示す。
【0052】1.塗料組成物に含有される(c)成分
は、(c−2)フッ素樹脂粉末、酸化ケイ素及び炭化ケ
イ素である。
【0053】2.上記フッ素樹脂粉末は、ポリ四フッ化
エチレン(PTFE)、ポリ三フッ化エチレン(PCT
FE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ
化ビニル(PVF)、ポリエチレン四フッ化エチレン共
重合体(FTFE)、ポリ四フッ化エチレン・六フッ化
プロピレン共重合体(FEP)の少なくとも1種であ
る。
【0054】3.上記フッ素樹脂粉末の平均粒径は、
2.5〜5μmである。
【0055】4.上記フッ素樹脂粉末は、塗料組成物中
の(a)樹脂樹脂固形分(容量%)に対して0.05〜
5容量%含まれている。
【0056】5.上記フッ素樹脂粉末は、塗料組成物中
の(a)樹脂樹脂固形分(容量%)に対して0.1〜3
容量%含まれている。
【0057】6.上記フッ素樹脂粉末は、塗料組成物中
の(a)樹脂樹脂固形分(容量%)に対して0.1〜1
容量%含まれている。
【0058】7.上記炭化ケイ素の粒径は、1〜20μ
mである。
【0059】8.上記炭化ケイ素は、塗料組成物中の
(a)樹脂樹脂固形分(容量%)に対して0.01〜2
0容量%含まれている。
【0060】9.上記炭化ケイ素は、塗料組成物中の
(a)樹脂樹脂固形分(容量%)に対して0.02〜1
0容量%含まれている。
【0061】10.上記炭化ケイ素は、塗料組成物中の
(a)樹脂樹脂固形分(容量%)に対して0.05〜1
容量%含まれている。
【0062】11.上記酸化ケイ素の粒径は、1〜12
μmである。
【0063】12.上記酸化ケイ素は、塗料組成物中の
(a)樹脂樹脂固形分(容量%)に対して0.3〜25
容量%含まれている。
【0064】13.上記酸化ケイ素は、塗料組成物中の
(a)樹脂樹脂固形分(容量%)に対して0.4〜10
容量%含まれている。
【0065】14.上記酸化ケイ素は、塗料組成物中の
(a)樹脂樹脂固形分(容量%)に対して0.5〜5容
量%である。
【0066】15.塗料組成物が上記3,4,7,8,
11,12である。
【0067】16.塗膜形成方法の(A)工程におい
て、下塗塗膜は焼付けによる乾燥時膜厚が2〜7μmに
なるように形成される。
【0068】17.塗膜形成方法の(A)工程におい
て、中塗塗膜は焼付けによる乾燥時膜厚が2〜20μm
になるように形成される。
【0069】18.塗膜形成方法の(B)工程におい
て、下塗塗膜及び/又は中塗塗膜の焼付けは、塗装後最
高到達板温度が、200〜230℃になるように約20
〜90秒間焼付けられる。
【0070】19.塗膜形成方法の(B)工程におい
て、焼付け後1〜5秒間の間に、水を塗膜面にスプレー
又は浸漬して焼付け塗膜の温度を40〜30℃まで急冷
する。
【0071】20.塗膜形成方法の(C)工程におい
て、上塗塗膜は焼付けによる乾燥時膜厚が10〜30μ
mになるように形成される。
【0072】21.塗膜形成方法の(D)工程におい
て、上塗塗膜の焼付けは、塗装後最高到達板温度が、2
00〜230℃になるように約30〜90秒間焼付けら
れる。
【0073】22.塗膜形成方法が上記16,18,1
9,20,21である。
【0074】
【実施例】次に、実施例及び比較例を挙げて、本発明を
具体的に説明する。尚、本発明はこれらの実施例によっ
て限定されるものではない。
【0075】実施例1〜15及び比較例1〜5 (1)金属板: 亜鉛めっき鋼板:溶融亜鉛めっき鋼板(JIS G 3302)、
厚さ;0.27mm 亜鉛めっき合金鋼板:亜鉛/アルミニウム合金めっき鋼
板、厚さ;0.27mm アルミニウム板:5052材,3005材(JIS H 400
0)、厚さ;0.5mm アルミニウムめっき板:アルミナイズドステール(JIS
H 3314)、厚さ;0.35mm 冷延鋼板:JIS G 3141 冷間圧延鋼板SPC
C 板厚0.35mm (2)化成処理 クロメート処理:「サーフコートNRC300」(日本
ペイント(株)社製)をロールコータを用いて皮膜クロ
ム量として20mg/m2になるように処理した。
【0076】リン酸塩処理:「サーフダインZD910
0」(日本ペイント(株)社製)を皮膜量として0.3
g/m2 になるようにデッピング処理した。
【0077】(3)下塗り、中塗り、上塗りの塗装方法 いずれもロールコータを用いて下記(4)の条件に従っ
て塗装した。
【0078】(4)上中下各塗膜形成 下塗塗膜形成 (i)下塗塗料 a:「ニッペスーパーコートDIFP−108プライマ
ー」(日本ペイント(株)社製、エポシキ樹脂/メラミ
ン硬化剤/防錆顔料) b:「フレキコートP−600プライマー」(日本ペイ
ント(株)社製、ポリエステル樹脂/メラミン硬化剤/
防錆顔料) (ii)焼付け後乾燥時膜厚:4μm (iii)焼付け条件: 焼付け温度;210℃(最高到達板温度) 焼付け時間;40秒 (iv)急冷条件: 急冷時間;3秒 急冷:浸漬 中塗塗膜形成 (i)中塗塗料及び焼付け後乾燥時膜厚: c:「ニッペスーパーコートDIFP−108プライマ
ー」(日本ペイント(株)社製、エポシキ樹脂/メラミ
ン硬化剤/防錆顔料)焼付け後乾燥時膜厚;5μm
焼付け温度 200℃ d:「ニッペスーパーコート100HQ」(日本ペイン
ト(株)社製、オイルフリーポリエステル樹脂/メラミ
ン硬化剤/防錆顔料) 焼付け後乾燥時膜厚;20μm 焼付け温度 200℃ e:「フレキコートP−600プライマー」(日本ペイ
ント(株)社製、ポリエステル樹脂/メラミン硬化剤/
防錆顔料) 焼付け後乾燥時膜厚;20μm 焼付け温度 215℃ f:「フレキコート200HQ」(日本ペイント(株)
社製、高分子ポリエステル樹脂/メラミン硬化剤/防錆
顔料) 焼付け後乾燥時膜厚;5μm 焼付け温度 230℃ (ii)焼付け条件: 焼付け温度;上記(最高到達板温度) 焼付け時間;40秒 (iii)急冷条件: 急冷時間;3秒 急冷:浸漬 上塗塗膜形成 (i)上塗塗料 イ:「ニッペスーパーコート100HQ」(日本ペイン
ト(株)社製、オイルフリーポリエステル樹脂/メラミ
ン硬化剤/着色顔料) 多価の多塩基酸及び2価のアルコールを原料とし、網目
状構造を有し、樹脂の数平均分子量は2000〜500
0である。
【0079】ロ:「フレキコート200HQ」(日本ペ
イント(株)社製、高分子ポリエステル樹脂/メラミン
硬化剤/着色顔料) 2価の多塩基酸及び2価のアルコールを原料とし、線状
構造を有し、樹脂の数平均分子量は10000〜300
00である。
【0080】ハ:「シリコート200HQ」(日本ペイ
ント(株)社製、シリコン変性ポリエステル樹脂/メラ
ミン硬化剤/着色顔料) オイルフリーポリエステル樹脂の水酸基とシリコン中間
体を縮合させた共重合体である。
【0081】(ii)焼付け後乾燥時膜厚:20μm (iii)焼付け条件: 焼付け温度;230℃(最高到達板温度) 焼付け時間;60秒 (iv)急冷条件: 急冷時間;3秒 急冷:浸漬 (5)評価方法及び評価基準 (i)成型加工性 評価方法:スクラッチ性試験;10円硬貨により塗膜
を引っ掻く。引っ掻きによって残った塗膜の傷を肉眼に
より判定した。
【0082】評価基準:5 :傷跡剥離共になく良好 4 :上塗塗膜に薄く傷跡が残る 3 :上塗塗膜に若干の剥離があるが、下塗塗膜は損傷
がない 2 :傷部の上塗塗膜が完全に剥離してはいるが、下塗
塗膜損傷がない 1 :塗膜が完全に剥離し、素地が完全に見えている 評価方法:ロールフォーマー試験;図1に示す形のロ
ール形にロール成型する機械を用いて、特に加工成型部
の塗膜の傷を肉眼により判定した。尚,図1中のRは丸
み部分の半径(単位:mm)を示す。
【0083】評価基準:5 :傷跡剥離共になく良好 4 :上塗塗膜に薄く傷跡が残る 3 :上塗塗膜に若干の剥離があるが、下塗塗膜は損傷
がない 2 :傷部の上塗塗膜が完全に剥離してはいるが、下塗
塗膜損傷がない 1 :塗膜が完全に剥離し、素地が完全に見えている 評価方法:折曲げ試験(0(ゼロ)T);上塗塗膜を
外側にして万力により何も挟むことなく折り曲げた。折
り曲げ部の塗膜剥離状態を肉眼で観察した。
【0084】評価基準:5 :剥離が全くなく良好 4 :折り曲げ部全面積に対して5%未満の剥離がある 3 :折り曲げ部全面積に対して10%未満の剥離があ
る 2 :折り曲げ部全面積に対して15%未満の剥離があ
る 1 :折り曲げ部全面積に対して15%以上の剥離があ
る (ii)スリップ性 評価方法:表面摩擦の測定;ヘイドン社(株)製表面
性測定機「HEIDON−14」を使用し、荷重500
g、移動速度50mm/分で上塗り塗装面の摩擦係数を
測定した 評価基準:摩擦係数値 評価方法:スリップ テスト 上塗塗装板の表面に上塗塗装面同士が合わさるように載
せて、この重ねた状態で傾斜角を上げて行き、滑り始め
る角度を測定した。
【0085】評価基準:滑り始めた傾斜角度 表1〜表3に示す工程で塗膜形成を行い、その評価結果
を表1〜表3に示す。
【表1】
【表2】
【表3】 註)Z1:「シャムロック ワックス」(シャムロック
ケミカル社製(米国))の「SST−3」(粒径約
2.5μm) Z2:「ホスタフロン」(ヘキストジャパン(株)社
製)の「TF9205」(粒径約5μm) X1:「CRYSTALITE VX−S2」(龍森
(株)社製、粒径約8μm) X2:「サイロイド308」(富士デヴィソン化学
(株)社製、粒径約7μm) X3:「サイロイド244」(富士デヴィソン化学
(株)社製、粒径約4μm) X4:「ミズカシルNP−8」(水沢化学(株)社製、
粒径約1μm) Y1:「100FT」(屋久島電工(株)社製、粒径約
30〜40μm) Y2:「OY−3」(屋久島電工(株)社製、粒径約1
0〜15μm) Y3:「OY−7」(屋久島電工(株)社製、粒径約3
〜8μm) Y4:「OY−15」(屋久島電工(株)社製、粒径約
1〜2μm) これらの結果から、本発明の塗料組成物及び塗膜形成方
法によれば、成型加工時に塗膜表面層(最上層塗膜)に
傷が入りにくく塗膜剥離を抑制し、仮に塗膜が剥離して
も素材表面の露出を防止する、及び塗膜面が高摩擦性に
優れることが判明した。
【0086】
【発明の効果】以上のように、本発明に係る塗料組成物
によれば、(c)成分としてフッ素樹脂粉末が含まれて
いるため、この塗料組成物を塗装して得られる下塗塗膜
と上塗塗膜との層間には、フッ素樹脂粉末が介在する。
更に、下塗塗膜からフッ素樹脂粉末の一部は、突出して
上塗塗膜内に達している。従って、加工機等により上塗
塗膜に大きな力が働いて、上塗塗膜が傷付いたとして
も、層間に存在するフッ素樹脂粉末個所において金型の
滑りをよくする。このため、機械的摩擦から逃れて上記
力の伝達をここで消滅させることができるので、塗膜の
破壊を上塗塗膜だけに止めることができる。また、下塗
塗膜と上塗塗膜の上下層間での密着性をコントロールし
ている。すなわち、フッ素樹脂粉末の個所は滑り、一方
フッ素樹脂粉末のないところは上下層の密着性が高いた
め、下塗塗膜は犠牲密着性を有し、上塗塗膜に力が加わ
ったとしても、下塗塗膜層全体が剥離することがない。
従って、素地金属が露出することがなく、耐食性に優れ
る。
【0087】更に、(c)成分として含まれる酸化ケイ
素により、下塗塗膜の強靭性が向上する。また、(c)
成分として含まれる炭化ケイ素により、下塗塗膜はスタ
ット(鋲)を打ち込んだ状態になり、下塗塗膜に硬さを
与える。従って、塗膜に加重がかかったとしても、塗膜
が傷付くことを防止できると共に、下塗塗膜表面で上塗
塗膜に対する滑り止めとして働く。
【0088】また、本発明の塗膜形成方法によれば、
(A)工程で上記組成の塗料を下塗塗膜及び/又は中塗
塗膜として形成するした後、(B)工程で前記下塗塗膜
及び/又は中塗塗膜を焼付け後、特に急冷するによっ
て、溶融状態近くにまで加熱された塗膜中のフッ素樹脂
粉末の粒子が、塗膜中或いは塗膜表面で引き締められ固
定化が強固になる。その結果、フッ素樹脂粒子が塗膜中
或いは塗膜表面から脱落することを防止でき、下塗塗膜
及び/又は中塗塗膜からフッ素樹脂粉末の一部が、突出
して中塗塗膜又は上塗塗膜内に達する。従って、上記同
様、加工機の刃等により上塗塗膜に大きな力が働いて、
上塗塗膜が傷付いたとしても、層間に存在するフッ素樹
脂粉末個所において加工機の刃が滑る。このため、機械
的摩擦から逃れて上記力の伝達をここで消滅させること
ができ、塗膜の破壊を上塗塗膜又は中塗塗膜だけに止め
ることができる。従って、素地金属が露出することがな
く、耐食性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に塗膜形成方法の成型加工性評価方法
であるロールフォーマー試験に用いる形の側面視図であ
る。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成8年6月10日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0029
【補正方法】変更
【補正内容】
【0029】ブロックポリイソシアネート化合物とメラ
ミン樹脂を併用して使う場合には、ブロックポリイソシ
アネート(B)とメラミン樹脂(M)との固形分重量比
(B)/(M)は、95/5〜5/95が好ましい。
(B)/(M)が5/95未満であると加工性が低下す
る。一方、(B)/(M)が95/5を超すと耐汚染性
が低下する。好ましい(B)/(M)の範囲は4/6〜
6/4である。 ポリエステル樹脂(P)量と、架橋剤
成分であるブロックポリイソシアネート(B)及び/
メラミン樹脂(M)の量との固形分重量比(P)/
[(B)及び/又は(M)]は、9/1〜6/4が好ま
しい。この比が6/4未満であると、加工性不良とな
る。一方、9/1を超すと塗膜の硬化が十分でなくな
り、良好な塗膜硬化が得られない。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C09D 163/00 PJN C09D 163/00 PJN 167/02 PKV 167/02 PKV PLB PLB

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)ポリエステル樹脂及び/又はエポ
    キシ樹脂と、 (b)架橋剤と、 (c)(c−1)フッ素樹脂粉末及び炭化ケイ素、又は
    (c−2)フッ素樹脂粉末、酸化ケイ素及び炭化ケイ素
    と、を主成分とすることを特徴とする塗料組成物。
  2. 【請求項2】 化成処理した素材に、 (A)(a)ポリエステル樹脂及び/又はエポキシ樹脂
    と、(b)架橋剤と、 (c)(c−1)フッ素樹脂粉末及び炭化ケイ素、又は
    (c−2)フッ素樹脂粉末、酸化ケイ素及び炭化ケイ
    素、又は(c−3)フッ素樹脂粉末及び酸化ケイ素と、
    を含有する塗料を下塗塗膜及び/又は中塗塗膜として形
    成する工程、 (B)前記下塗塗膜及び/又は中塗塗膜を焼付けする工
    程、 (C)ポリエステル樹脂及び架橋剤を主成分とする上塗
    塗膜を形成する工程、 (D)焼付け工程、 (E)成型加工工程、 上記(A)〜(E)の工程を順次経ることを特徴とする
    塗膜形成方法。
  3. 【請求項3】 請求項2記載の下塗塗膜及び/又は中塗
    塗膜を焼付け後、急冷することを特徴とする塗膜形成方
    法。
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