JPH0932343A

JPH0932343A - 鋼製弾塑性ダンパとオイルダンパを組み合わせた付加減衰装置

Info

Publication number: JPH0932343A
Application number: JP17990995A
Authority: JP
Inventors: Shunichi Yamada; 俊一山田; Mitsuo Sakamoto; 光雄坂本; Tomohiko Arita; 友彦有田; Norihide Kojika; 紀英小鹿; Nobuyuki Miyagawa; 信幸宮川; Yasutsugu Kurokawa; 泰嗣黒川; Satoru Orui; 哲大類
Original assignee: Kajima Corp
Current assignee: Kajima Corp
Priority date: 1995-07-17
Filing date: 1995-07-17
Publication date: 1997-02-04

Abstract

(57)【要約】【課題】主として、既存の建物に地震時の減衰補強を
する場合、従来は建物の剛性、耐力を補強した上で一種
類の減衰装置を組み込んでいた。しかし、充分な地震応
答の減衰が得られないのみならず、費用対効果は非現実
的であった。この問題を解決することが、本発明の課題
である。【解決手段】柱、梁及びブレース等からなる架構に於
いて、鋼製弾塑性ダンパ、例えばハニカムダンパを取着
して建物の剛性、耐力を補強し、履歴減衰を引出し、更
にオイルダンパを併用して地震時の応答減衰を高めるも
のとする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】一般の建造物に鋼製弾塑性ダ
ンパと、オイルダンパを組み込む付加減衰装置に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】従来は建物に鋼製弾塑性ダンパ或いはオ
イルダンパを単独に組込んで、地震時の応答低減と構造
物の安全性を期待していた。

【０００３】図８は柱、梁架構のブレース頭部と柱間に
直接オイルダンパ６のみを設けた図であり、この場合は
地震時の構面外変形を拘束するために梁に構面に沿って
長孔１４を穿設しブレース側にダボピン１３を出して、
前記長孔１４に貫通せしめて構面外変形を拘束してい
た。

【０００４】図９はダボピン１３部のＡ−Ａ断面図であ
り、長孔１４は紙面に直角方向に長く、紙面左右にブレ
ースの変形は拘束される。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】新規設計の場合は、建
物重量に対して躯体に必要な剛性と耐力を与え、それに
見合った最適の減衰装置を選定することによって、地震
応答低減に大きな効果が得られる。換言すれば、建物の
剛性、耐力、減衰装置の組合わせに於いて選択の自由度
が大きいので、地震応答低減の面からは建物の設計は容
易である。

【０００６】しかるに既存の建物の地震時の安全性を確
保しようとする場合、建物の剛性と耐力は既に決まって
おり、選択肢は減衰装置のみとなる。ここで単に一種類
のみの減衰装置を組み込んだだけでは充分な地震応答低
減が得られない。

【０００７】既存の建物の安全性を向上させたい場合
は、本質的に建物剛性とか耐力が不定している場合であ
り、単に減衰装置を組み込んでも充分な効果は得られな
い。

【０００８】そこで、既存の建物の剛性或いは耐力を補
強した上に、更に減衰装置を組み込み地震応答低減を図
って建物の安全性を確保することが考えられるが、コス
トが掛かる割に効果はあまり上らず、費用対効果は非現
実的である。

【０００９】そこで剛性・耐力を鋼製弾塑性ダンパで補
強し、履歴減衰を得る一方、更にオイルダンパを組み込
み付加減衰の効果を引き出すことを目的とする。

【００１０】一般に鋼製弾塑性ダンパは剛性、耐力を兼
ね備えているが減衰の効果はオイルダンパ程大きくな
い。一方オイルダンパは減衰効果は大きく見込めるが剛
性、耐力の補強には寄与しない。

【００１１】また、鋼製弾塑性ダンパとオイルダンパを
組合せる方法は、既存の建物のみならず、新築建物にも
適用出来る。

【００１２】

【課題を解決するための手段】柱、梁及びブレース等か
らなる架構に於いて、鋼製弾塑性ダンパを取着して建物
の剛性、耐力を補強し、履歴減衰を引出し、更にオイル
ダンパを併用して地震時の応答減衰を高めるものとす
る。

【００１３】

【発明の実施の形態】１階がピロティ形式で片廊下の共
同住宅の様な場合、１階に店舗等が計画されれているこ
とが多いが、全部或いは半分以上の構面に壁を入れて耐
震補強することは可能であるが、空間が小さく分割され
て建築計画上好ましくない。両妻等の構面に壁をい入れ
て耐震補強する場合、壁を入れたことによって剛性は上
るが、応答剪断力が増加し、壁を入れた構面に応力が集
中するという悪条件により既存の部材の耐力不足や、杭
基礎部の引き抜け等解決出来ない問題が残る。図１は１
階がピロティ形式で片廊下の共同住宅の図で（ａ）は平
面図、（ｂ）は正面図、（ｃ）は側面図である。この問
題を解決するために、両妻の部分に鋼製弾塑性ダンパ５
とオイルダンパ６を組合わせて設置し、剛性耐力を与え
ながら減衰を期待する。

【００１４】図２に鋼製弾塑性ダンパ５に例えばハニカ
ムダンパ５ａを使用し、オイルダンパ６を併用した両妻
の部分を示す。

【００１５】図３は又別の例で、柱、梁架構のＫ型ブレ
ース頭部にハニカムダンパ５ａを取着し、該ハニカムダ
ンパ５ａと柱７の間にオイルダンパ６を設けた図であ
る。ブレース頭部にハニカムダンパ５ａを取着すること
によって地震時の剛性、耐力を補強すると共に構面外の
変形を拘束して有効である。同様にＶ型（逆Ｋ型）ブレ
ースの脚部に、ハニカムダンパ５ａを組み込むことも可
能である。

【００１６】一般に既存の建物の構造設計では、水平力
を耐力壁でＸ％負担、ラーメン部分でＹ％負担として静
的設計がなされたが、動的設計を考慮すれば耐力壁４部
分に応力が、例えば静的設計での水平分担比の２倍以上
に集中し、耐力壁４の剪断破壊が先行した後、応力の再
分配ができず崩壊に至る建物が多い。

【００１７】このような場合は耐力壁４の他に一構面に
鋼製弾塑性ダンパ５とオイルダンパ６を組込んだ構面を
用いるか、或いは耐力壁４を撤去して一構面に鋼製弾塑
性ダンパ５を組込み、剛性・耐力を付与すると同時に、
他の一構面にオイルダンパ６を組み込んだ構面を併用
し、双方の作用により大きな減衰力を得る。

【００１８】図４は耐力壁付ラーメン構造よりなる一般
の建物の耐力壁４を残した場合の平面図である。鋼製弾
塑性ダンパ５とオイルダンパ６で形成した構面１１を設
けてある。この場合も、前述の図２又は図３に示すよう
な一構面に、鋼製弾塑性ダンパ５とオイルダンパ６を組
み合わせた付加減衰装置を用いる。図５は、耐力壁４を
撤去して、鋼製弾塑性ダンパ５を組み込み、剛性と耐力
を付与し、更に別の構面にオイルダンパ６を設けて、地
震時の減衰効果を上げることを示した建物の平面図であ
る。

【００１９】図６はオイルダンパ６のみを装備した構面
の図であり、図７は鋼製弾塑性ダンパ５として例えばハ
ニカムダンパ５ａを用いて構面を構成した図である。

【００２０】以上は、鋼性弾塑性ダンパの例を示した
が、剛性、耐力のあるものなら、摩擦ダンパ、他の金属
の弾塑性ダンパ（鉛ダンパ等）でも可能であり、オイル
ダンパに限定せず、粘性体をりようしたダンパでも可能
である。

【００２１】

【発明の効果】本発明の効果は、既存の建物に、鋼製弾
塑性ダンパを組み込み剛性と耐力を付与すると同時に履
歴減衰を引き出し、オイルダンパを併用することによっ
て高い減衰効果を得ることができる。従って従来のよう
に特別に剛性と耐力を上げてから、一種類の減衰補強を
施工する場合のように、費用対効果率が劣ることはな
い。なお、新築工事にも応用出来ることはいうまでもな
い。

【００２２】また柱、梁架構のブレース頭部にハニカム
ダンパを取着し、該ハニカムダンパと柱の間にオイルダ
ンパを設ける場合は、剛性、耐力を補強すると同時に構
面外の変形を拘束する効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】１階がピロティ形式で片廊下の共同住宅の図で
（ａ）は平面図、（ｂ）は正面図、（ｃ）は側面図であ
る。

【図２】鋼製弾塑性ダンパに、例えばハニカムダンパを
使用し、オイルダンパと併用した両妻の部分を示す。

【図３】柱、梁架構のブレース頭部にハニカムダンパを
取着し、該ハニカムダンパと柱の間にオイルダンパを設
けた図である。

【図４】耐力壁付ラーメン構造よりなる一般の建物の、
耐力壁を残した場合の平面図である。

【図５】耐力壁を撤去して鋼製弾塑性ダンパを組み込
み、剛性と耐力を付与し更に別の構面にオイルダンパを
設けて、地震時の減衰効果を上げることを示した建物の
平面図である。

【図６】オイルダンパのみを装備した構面の図である。

【図７】鋼製弾塑性ダンパとして例えばハニカムダンパ
を用いて構面を構成した図である。

【図８】柱、梁架構のブレース頭部と柱間に直接オイル
ダンパを設けた図である。

【図９】ダボピン部のＡ−断面図である。

【符号の説明】

１・・・ピロティ式片廊下の共同住宅、２・・・廊下、
３・・・ベランダ、４・・・耐力壁、５・・・鋼製弾塑
性ダンパ、５ａ・・・ハニカムダンパ、６・・・オイル
ダンパ、７・・・柱、８・・・梁、９・・・プレース、
１０・・・鋼製弾塑性ダンパ（例えばハニカムダンパ）
とオイルダンパで構成する構面、１１・・・鋼製弾塑性
ダンパ（例えばハニカムダンパ）のみにより構成される
構面、１２・・・オイルダンパのみにより構成される構
面、１３・・・ダボピン、１４・・・長孔

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者小鹿紀英東京都港区元赤坂１丁目２番７号鹿島建設株式会社内 (72)発明者宮川信幸東京都港区元赤坂１丁目２番７号鹿島建設株式会社内 (72)発明者黒川泰嗣東京都港区元赤坂１丁目２番７号鹿島建設株式会社内 (72)発明者大類哲東京都港区元赤坂１丁目２番７号鹿島建設株式会社内

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】建造物の減衰効果を上げる付加減衰装置
であり、柱、梁架構に鋼製弾塑性ダンパを取着し、該建
造物の剛性、耐力を高めると同時に履歴減衰を与え、更
にオイルダンパを併用することによって付加減衰効果を
高めてなることを特徴とした鋼製弾塑性ダンパとオイル
ダンパを組合わせた付加減衰装置。
【請求項２】建造物の減衰効果を上げる付加減衰装置
であり、建造物を構成する一構面内のブレースの頭部に
鋼性弾塑性ダンパを取着し、該鋼性弾塑性ダンパと、柱
に設けたブラケット間に、オイルダンパを取着してなる
ことを特徴とする請求項１記載の鋼製弾塑性ダンパとオ
イルダンパを組合わせた付加減衰装置。