JP2017179989A - エネルギ吸収デバイス及び耐震壁 - Google Patents

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Abstract

【課題】入力された荷重に対するエネルギを安定して吸収する。【解決手段】エネルギ吸収デバイス20は、変形軸線Lの回りに配置され、一の部材及び他の部材がそれぞれ接続される第1接続部30及び第2接続部32を備えている。また、エネルギ吸収デバイス20の第1接続部30と第2接続部32との間には、第1接続部30と第2接続部32とを繋ぐエネルギ吸収部36が設けられている。エネルギ吸収部36は、変形軸線Lの軸方向の一方側が開放されたU字状に湾曲された複数の湾曲部38と、複数の湾曲部38と第1接続部30とを繋ぐ複数の内側延在部36Bと、複数の湾曲部38と第2接続部32とを繋ぐ複数の外側延在部36Aと、を備えている。複数の湾曲部38、複数の外側延在部36A及び内側延在部36Bは、変形軸線Lの軸方向から見て該変形軸線Lを囲むように互いに離間して配置されている。【選択図】図4A

Description

本発明は、エネルギ吸収デバイス及び耐震壁に関する。
下記特許文献1には、塑性変形されることによりエネルギを吸収することが可能とされたエネルギ吸収デバイス(U字形弾塑性ダンパー)及び当該エネルギ吸収デバイスを備えた耐震壁(制振パネル)が開示されている。この文献に記載された耐震壁は、矩形枠所に形成されたパネルフレームと、パネルフレーム内に架け渡されていると共に建物の上下方向に間隔をあけて配置された上剛体及び下剛体と、上剛体と下剛体との間に配置されたエネルギ吸収デバイスと、を含んで構成されている。そして、地震による建物の水平方向への荷重が耐震壁に入力されて、エネルギ吸収デバイスが変形されることで、耐震壁に入力された地震エネルギを吸収することが可能となっている。
なお、塑性変形されることによりエネルギを吸収することが可能とされたエネルギ吸収デバイスとしては、上記特許文献1に記載されたものの他に、建築の分野では下記特許文献2に記載されたもの等が知られており、車両の分野では下記特許文献3及び特許文献4に記載されたもの等が知られている。
特開2009−270336号公報 特開平5−263549号公報 特開2004−51084号公報 実開平1−90667号公報
本発明は上記事実を考慮し、入力された荷重に対してエネルギを安定して吸収することができるエネルギ吸収デバイス及び耐震壁を得ることが目的である。
請求項1記載のエネルギ吸収デバイスは、変形軸線の方向に作用する荷重に対して変形するエネルギ吸収デバイスであって、前記エネルギ吸収デバイスの変形軸線上又は変形軸線の回りに配置され、一の部材が接続される第1接続部と、前記第1接続部よりも前記変形軸線から離れて該変形軸線の回りに配置され、他の部材が接続される第2接続部と、前記変形軸線の軸方向の一方側が開放された形状に湾曲された複数の湾曲部と、該複数の湾曲部と前記第1接続部とを繋ぐ複数の第1延在部と、該複数の湾曲部と前記第2接続部とを繋ぐ複数の第2延在部と、を有し、前記変形軸線の軸方向から見て該変形軸線を囲むように又は挟むように互いに離間して配置され、前記変形軸線の軸方向への荷重によって、前記第1接続部と前記第2接続部との前記変形軸線の軸方向への相対位置が変化されることで、少なくとも前記湾曲部が塑性変形されてエネルギを吸収するエネルギ吸収部と、を備えている。
請求項1記載のエネルギ吸収デバイスによれば、一の部材及び他の一の部材が当該エネルギ吸収デバイスの第1接続部及び第2接続部にそれぞれ接続される。そして、一の部材と他の一の部材との間に変形軸線の軸方向への荷重が作用されて、第1接続部と第2接続部との相対位置が変化されると、エネルギ吸収デバイスにおける少なくとも湾曲部が塑性変形される。また、請求項1記載のエネルギ吸収デバイスでは、エネルギ吸収部が変形軸線の軸方向から見て当該変形軸線を囲むように又は挟むように互いに離間して配置されている。すなわち、エネルギ吸収部を構成する湾曲部、第1延在部及び第2延在部が変形軸線の軸方向から見て当該変形軸線を囲むように又は挟むように互いに離間して配置されている。当該構成とすることにより、上記入力された荷重に対して、エネルギ吸収デバイスが発生させるエネルギ吸収荷重(第1接続部と第2接続部との相対位置の変化を妨げる方向に作用する荷重)を安定させることができる。
請求項2記載のエネルギ吸収デバイスは、請求項1記載のエネルギ吸収デバイスにおいて、前記湾曲部、前記第1延在部及び前記第2延在部の幅が一定の幅に設定されている。
請求項2記載のエネルギ吸収デバイスによれば、エネルギ吸収部における湾曲部が塑性変形される際に、湾曲部の幅が保たれる。これにより、変形軸線の軸方向への荷重に対してエネルギ吸収デバイスが発生させるエネルギ吸収荷重をより安定させることができる。
請求項3記載のエネルギ吸収デバイスは、請求項1又は請求項2記載のエネルギ吸収デバイスにおいて、前記第1延在部及び前記第2延在部は、前記変形軸線の軸方向に沿って平板状に延在されている。
請求項3記載のエネルギ吸収デバイスによれば、エネルギ吸収部における第1延在部及び第2延在部が平板状に延在されている。換言すると、エネルギ吸収部における第1延在部及び第2延在部が湾曲又は屈曲されていない。これにより、エネルギ吸収部における第1延在部及び第2延在部が変形される際に、当該第1延在部及び第2延在部をその幅方向にわたって均一に曲げ変形させることができる。その結果、湾曲部、第1延在部及び第2延在部の幅方向における局所的な応力やひずみの発生を抑制することができ、変形軸線の軸方向への荷重が作用した際にエネルギ吸収デバイスが発生させるエネルギ吸収荷重を安定させることができる。
請求項4記載のエネルギ吸収デバイスは、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のエネルギ吸収デバイスにおいて、前記エネルギ吸収部は、第1拘束部と該第1拘束部と前記変形軸線と直交する方向に対向して配置された第2拘束部との間に配置されることで、前記変形軸線の軸方向への荷重に対して、前記第1延在部と前記第2延在部との間隔が保たれた状態で該湾曲部が塑性変形される。
請求項4記載のエネルギ吸収デバイスによれば、エネルギ吸収部が、第1拘束部と第2拘束部との間に配置されることで、当該エネルギ吸収部の第1延在部と第2延在部との間隔が保たれた状態で、当該エネルギ吸収部の湾曲部が塑性変形される。これにより、エネルギ吸収部の第1延在部と第2延在部との間隔が保たれない構成に比べて、変形軸線の軸方向への荷重が作用した際にエネルギ吸収デバイスが発生させるエネルギ吸収荷重を高めることができる。
請求項5記載のエネルギ吸収デバイスは、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のエネルギ吸収デバイスにおいて、前記エネルギ吸収部は、前記第1延在部及び前記第2延在部が該第1延在部及び該第2延在部の周縁部の部材と離間した状態で配置されることで、前記変形軸線の軸方向への荷重に対して、前記第1延在部と前記第2延在部との間隔が変化可能な状態で前記湾曲部が塑性変形される
請求項5記載のエネルギ吸収デバイスによれば、第1延在部及び第2延在部が当該第1延在部及び第2延在部の周縁部の部材と離間した状態で配置される。これにより、エネルギ吸収部の第1延在部と前記第2延在部との間隔が変化可能な状態で当該エネルギ吸収部の湾曲部が塑性変形される。これにより、エネルギ吸収部の第1延在部と第2延在部との間隔が保たれる構成に比べて、変形軸線の軸方向への荷重が作用した際にエネルギ吸収デバイスが発生させるエネルギ吸収荷重を下げることができる。
請求項6記載のエネルギ吸収デバイスは、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のエネルギ吸収デバイスにおいて、前記第1接続部及び前記第2接続部は、前記変形軸線を軸方向とする円筒状又は多角形断面の筒状に形成されている。
請求項6記載のエネルギ吸収デバイスによれば、円筒状に形成された部材又は多角形断面の筒状に形成された部材の一方側の部分(変形軸線の軸方向一方側の部分)を径方向外側に折返した後に、第1接続部と第2接続部との間の部位を分割することにより、エネルギ吸収デバイスを形成することができる。
請求項7記載のエネルギ吸収デバイスは、請求項6記載のエネルギ吸収デバイスにおいて、複数のスリットが、前記エネルギ吸収部に形成されており、前記スリットと前記エネルギ吸収部とが、前記変形軸線の軸方向から見て該変形軸線の回りに交互に配置されている。
請求項7記載のエネルギ吸収デバイスによれば、円筒状に形成された部材又は多角形断面の筒状に形成された部材の一方側の部分(変形軸の軸方向一方側の部分)を径方向外側に折返した後にスリットを形成することにより、或いは、円筒状に形成された部材又は多角形断面の筒状に形成された部材の一方側の部分にスリットを形成した後に当該円筒状に形成された部材の一方側の部分(変形軸の軸方向一方側の部分)を径方向外側に折返すことにより、エネルギ吸収デバイスを形成することができる。
請求項8記載のエネルギ吸収デバイスは、請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載のエネルギ吸収デバイスにおいて、前記第1接続部及び前記第2接続部には、着脱可能な締結要素が係合される被係合部がそれぞれ設けられている。
請求項8記載のエネルギ吸収デバイスによれば、締結要素と被係合部との係合を解除することにより、当該エネルギ吸収デバイスを交換する必要が生じた場合に、当該エネルギ吸収デバイスを容易に交換することができる。
請求項9記載の耐震壁は、建物の水平方向に間隔をあけて建物の上下方向に延在する一対の縦材と、前記一対の縦材の上端部及び下端部を建物の水平方向に繋ぐ一対の横材と、を有するフレーム部と、前記一対の縦材の間かつ前記一対の横材の間に配置され、前記フレーム部に入力された荷重が伝達されることで前記湾曲部が塑性変形される請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載のエネルギ吸収デバイスと、を備えている。
請求項9記載の耐震壁を備えた建物に地震による荷重が作用すると、当該荷重がフレーム部に伝達される。また、フレーム部に伝達された荷重は、当該フレーム部の一対の縦材及び一対の横材の間に配置されたエネルギ吸収デバイスに伝達される。そして、エネルギ吸収デバイスに伝達された荷重が所定値を超えると、エネルギ吸収デバイスのエネルギ吸収部が変形される、すなわち、当該エネルギ吸収部の複数の湾曲部が塑性変形される。これにより、耐震壁に伝達された荷重によるエネルギを吸収することができる。
請求項10記載の耐震壁は、請求項9記載の耐震壁において、前記一対の縦材の間かつ前記一対の横材の間には、建物の上下方向に対して傾斜された斜材が設けられており、前記斜材の一端部が、前記エネルギ吸収デバイスの前記第1接続部及び前記第2接続部のいずれか一方に接続されていると共に、前記フレーム部が、前記第1接続部及び前記第2接続部のいずれか他方に接続されている。
請求項10記載の耐震壁によれば、フレーム部の一対の縦材及び一対の横材との間には、斜材が設けられており、この斜材とフレーム部とは、エネルギ吸収デバイスを介して繋がれている。この耐震壁を備えた建物に地震による一方側への荷重及び当該荷重とは反対側への荷重が繰り返し作用すると、斜材とフレーム部との間の間隔が繰り返し変化する。この場合、エネルギ吸収デバイスのエネルギ吸収部の湾曲部が繰り返し塑性変形される。これにより、請求項10記載の耐震壁では、例えば地震による繰り返しの荷重によるエネルギを吸収することができる。
請求項11記載の耐震壁は、請求項9記載の耐震壁において、前記フレーム部と前記エネルギ吸収デバイスとを繋ぐ連結部材が、前記一対の縦材の間かつ前記一対の横材の間に設けられることで、前記変形軸線の軸方向が、前記縦材又は前記横材が延在する方向と一致している。
請求項11記載の耐震壁によれば、上記連結部が設けられることで、エネルギ吸収デバイスの変形軸線の軸方向が、縦材又は横材が延在する方向と一致している。これにより、フレーム部の単位変形量あたりのエネルギ吸収デバイスに加わる荷重を小さくすることができると共に変形量を小さくすることができる。その結果、耐震壁のエネルギ吸収能をより一層高めることができる。
本発明に係るエネルギ吸収デバイスは、入力された荷重に対するエネルギを安定して吸収することができる、という優れた効果を有する。
また、本発明に係る耐震壁は、入力された荷重に対するエネルギを安定して吸収することができる、という優れた効果を有する。
第1実施形態の耐震壁を示す側面図である。 図1Aに示された耐震壁に荷重Qが入力され、当該耐震壁に設けられたエネルギ吸収デバイスに変形軸線の軸方向への荷重Pが作用する状態を示す側面図である。 第2実施形態の耐震壁を示す側面図である。 図2Aに示された耐震壁に荷重Qが入力され、当該耐震壁に設けられたエネルギ吸収デバイスに変形軸線の軸方向への荷重Pが作用する状態を示す側面図である。 第3実施形態の耐震壁を示す側面図である。 図3Aに示された耐震壁に荷重Qが入力され、当該耐震壁に設けられたエネルギ吸収デバイスに変形軸線の軸方向への荷重Pが作用する状態を示す側面図である。 第1実施形態に係るエネルギ吸収デバイスを示す斜視図である。 斜材が接合された第1実施形態に係るエネルギ吸収デバイスに変形軸線の軸方向への荷重Pが作用した状態を示す側断面図である。 図4Bに示された4C−4C線に沿って切断した斜材の断面及びエネルギ吸収デバイスを示す断面図である。 第2実施形態に係るエネルギ吸収デバイスを示す側面図である。 図5Aに示された5B−5B線に沿って切断した斜材の断面及びエネルギ吸収デバイスを示す断面図である。 第3実施形態に係るエネルギ吸収デバイスを示す側面図である。 図6Aに示された6B−6B線に沿って切断した斜材の断面及びエネルギ吸収デバイスを示す断面図である。 第4実施形態に係るエネルギ吸収デバイスをその変形軸の軸線方向に沿って切断した断面を示す断面図である。 第4実施形態に係るエネルギ吸収デバイスを示す斜視図である。 第5実施形態に係るエネルギ吸収デバイスをその変形軸の軸線方向に沿って切断した断面を示す断面図である。 第5実施形態に係るエネルギ吸収デバイスを示す斜視図である。 第6実施形態に係るエネルギ吸収デバイスをその変形軸の軸線方向に沿って切断した断面を示す断面図である。 第6実施形態に係るエネルギ吸収デバイスを示す斜視図である。 第7実施形態に係るエネルギ吸収デバイスをその変形軸の軸線方向に沿って切断した断面を示す断面図である。 第7実施形態に係るエネルギ吸収デバイスを示す斜視図である。 第8実施形態に係るエネルギ吸収デバイスをその変形軸の軸線方向に沿って切断した断面を示す断面図である。 第8実施形態に係るエネルギ吸収デバイスを示す斜視図である。 第9実施形態に係るエネルギ吸収デバイスをその変形軸の軸線方向に沿って切断した断面を示す断面図である。 第9実施形態に係るエネルギ吸収デバイスを示す斜視図である。 第10実施形態に係るエネルギ吸収デバイスをその変形軸の軸線方向に沿って切断した断面を示す断面図である。 第10実施形態に係るエネルギ吸収デバイスを示す斜視図である。 第11実施形態に係るエネルギ吸収デバイスをその変形軸の軸線方向に沿って切断した断面を示す断面図である。 第11実施形態に係るエネルギ吸収デバイスを示す斜視図である。 第12実施形態に係るエネルギ吸収デバイスをその変形軸の軸線方向に沿って切断した断面を示す断面図である。 第12実施形態に係るエネルギ吸収デバイスを示す斜視図である。 第13実施形態に係るエネルギ吸収デバイスをその変形軸の軸線方向に沿って切断した断面を示す断面図である。 第13実施形態に係るエネルギ吸収デバイスを示す斜視図である。 第14実施形態に係るエネルギ吸収デバイスを示す平面図である。 第14実施形態に係るエネルギ吸収デバイスを示す斜視図である。 図17Bに示された17C−17C線に沿って切断した断面を示す断面図である。 第15実施形態に係るエネルギ吸収デバイスをその変形軸の軸線方向に沿って切断した断面を示す断面図である。 第16実施形態に係るエネルギ吸収デバイスをその変形軸の軸線方向に沿って切断した断面を示す断面図である。 第17実施形態に係るエネルギ吸収デバイスをその変形軸の軸線方向に沿って切断した断面を示す断面図である。 第17実施形態に係るエネルギ吸収デバイスを示す斜視図である。 第18実施形態に係るエネルギ吸収デバイスをその変形軸の軸線方向に沿って切断した断面を示す断面図である。 第18実施形態に係るエネルギ吸収デバイスを示す斜視図である。 CAE解析を行ったエネルギ吸収デバイス等の各部の寸法を説明するための説明図である。 (A)〜(C)は、CAE解析を行ったエネルギ吸収デバイス等の各部の寸法を説明するための説明図である。 CAE解析を行ったエネルギ吸収デバイス等の各部の寸法を示す表である。 CAE解析により得られたエネルギ吸収荷重を示すグラフである。 CAE解析を行ったエネルギ吸収デバイス等の各部の寸法を説明するための説明図である。 CAE解析を行ったエネルギ吸収デバイス等の各部の寸法を説明するための説明図である。 CAE解析を行ったエネルギ吸収デバイス等の各部の寸法を示す表である。 CAE解析により得られたエネルギ吸収荷重を示すグラフである。
図1A〜図4Cを用いて本発明の第1実施形態、第2実施形態及び第3実施形態に係る耐震壁及び第1実施形態に係るエネルギ吸収デバイスについて説明する。
(第1実施形態に係る耐震壁)
図1Aに示されるように、第1実施形態に係る耐震壁10は、矩形枠状に形成されたフレーム部12と、フレーム部12内に配置された単一の斜材18と、斜材18とフレーム部12との間に設けられた一対のエネルギ吸収デバイス20と、を含んで構成されている。
フレーム部12は、建物の水平方向Hに間隔をあけて建物の上下方向Vに延在する一対の縦材14と、一対の縦材14の上端部及び下端部を建物の水平方向Hに繋ぐ一対の横材16と、を備えている。一対の縦材14及び一対の横材16としては、角形鋼管、溝形鋼、山形鋼、H形鋼及びI形鋼等の形鋼が用いられている。そして、一対の縦材14と一対の横材16とは、溶接や図示しない締結部材を介して接合されている。なお、縦材12及び横材16は、形鋼に限らず、溶接組立された鋼部材、薄板軽量形鋼による部材、木製の部材などであってもよい。また、建物の最下階に用いられる耐震壁においては、一対の縦材14の下端部を建物の基礎に接続することにより、フレーム部12の下端部に配置された横材16の機能を建物の基礎にもたせてもよい。
斜材18は、円形鋼管を用いて構成されており、この斜材18は、一対の縦材14及び一対の横材16との間に建物の水平方向H及び上下方向Vに対して傾斜された状態で配置されている。この斜材18の一方側の端部は、エネルギ吸収デバイス20及び締結材22を介して一方の縦材14と一方の横材16との接合部の近傍に接続されており、斜材18の他方側の端部は、エネルギ吸収デバイス20及び締結材22を介して他方の縦材14と他方の横材16との接合部の近傍に接続されている。そして、図1Bに示されるように、地震による荷重Qが耐震壁10に入力されて、フレーム部12が略平行四辺形状に変形された際に、斜材18とフレーム部12との間に設けられた一対のエネルギ吸収デバイス20が変形軸線の軸方向への荷重Pを受けて変形することで、耐震壁10に入力された地震エネルギを吸収することが可能となっている。
(第2実施形態に係る耐震壁)
図2Aに示されるように、第2実施形態に係る耐震壁24は、第1実施形態の耐震壁10と同様の構成のフレーム部12と、斜材としての第1斜材26及び第2斜材28と、第1斜材26とフレーム部12との間及び第2斜材28とフレーム部12との間にそれぞれ設けられた二対のエネルギ吸収デバイス20と、を含んで構成されている。
第1斜材26及び第2斜材28は、円形鋼管を用いて構成されている。第1斜材26の一方側の端部は、エネルギ吸収デバイス20及び締結材22を介して一方の縦材14の上下方向の中央部の近傍に接続されており、第1斜材26の他方側の端部は、エネルギ吸収デバイス20及び締結材22を介して他方の縦材14と他方の横材16との接合部の近傍に接続されている。また、第2斜材28の一方側の端部は、エネルギ吸収デバイス20及び締結材22を介して一方の縦材14の上下方向の中央部の近傍に接続されており、第2斜材28の他方側の端部は、エネルギ吸収デバイス20及び締結材22を介して他方の縦材14と一方の横材16との接合部の近傍に接続されている。そして、図2Bに示されるように、地震による荷重Qが耐震壁24に入力されて、フレーム部12が略平行四辺形状に変形された際に、第1斜材26及び第2斜材28とフレーム部12との間に設けられた二対のエネルギ吸収デバイス20の一部が変形軸の軸線方向に作用する荷重Pを受けて変形されることで、耐震壁24に入力された地震エネルギを吸収することが可能となっている。
(第3実施形態に係る耐震壁)
図3Aに示されるように、第3実施形態に係る耐震壁25は、第1実施形態の耐震壁10と同様の構成のフレーム部12の内部に、長尺状の連結部材17A、17B及びブロック状の連結部材17Cが設けられている。連結部材17Aは建物の水平方向H及び上下方向Vに対して傾斜された状態で延在されている。この連結部材17Aの下端部は建物の下方側の配置された横材16の長手方向の中間部に接合されており、連結部材17Aの上端部は後述する連結部材17Bの上端部に接合されている。また、連結部材17Bは建物の上下方向Vに延在されている。この連結部材17Bの下端部は建物の下方側の配置された横材16の長手方向の中間部に接合されており、連結部材17Bの上端部は建物の上方側の配置された横材16と離間している。さらに、連結部材17Cは、建物の上方側の配置された横材16の長手方向の略中央部に接合されている。
また、連結部材17Bの上端部と連結部材17Cとは、円形鋼管を用いて構成された軸部材19、一対のエネルギ吸収デバイス20及び一対の締結材22を介して建物の水平方向Hに繋がれている。すなわち、軸部材19の一方側の端部は、エネルギ吸収デバイス20及び締結材22を介して連結部材17Bの上端部に接続されており、軸部材19の他方側の端部は、エネルギ吸収デバイス20及び締結材22を介して連結部材17Cに接続されている。これにより一対のエネルギ吸収デバイス20の変形軸線の軸方向と建物の水平方向Hとが一致するようになっている。なお、エネルギ吸収デバイス20は、フレーム部12の形状等に応じて、建物の上下方向Vが変形軸線の軸方向となるように配置されていてもよい。この場合、連結部材(17A、17B、17C)を一対の縦材16にそれぞれ接合すればよい。
そして、図3Bに示されるように、地震による外力Qが耐震壁25に入力されて、フレーム部12が略平行四辺形状に変形されると、連結部材17Bの上端部と連結部材17Cとの間隔が変化する。これにより、一対のエネルギ吸収デバイス20が軸方向に作用する力Pを受けて変形することで、耐震壁25に入力された地震エネルギを吸収することが可能となっている。
(第1実施形態に係るエネルギ吸収デバイス)
次に、第1実施形態の耐震壁10、第2実施形態の耐震壁24及び第3実施形態の耐震壁25に用いられるエネルギ吸収デバイス20について説明する。
図4Aに示されるように、第1実施形態に係るエネルギ吸収デバイス20は、所定の長さ及び厚みとされた円形断面の鋼管材の一方側の端部が当該鋼管材の径方向外側に折り返されること等により形成されている。ここで、エネルギ吸収デバイス20の変形軸線Lとは、エネルギ吸収デバイス20が変形される前の状態において、当該エネルギ吸収デバイス20を当該エネルギ吸収デバイス20が変形される方向と直交する方向へ沿って切断した断面における重心(図心)を通り、かつエネルギ吸収デバイス20が変形され方向へのびる線である。図4Aにおいては、エネルギ吸収デバイス20を形成する鋼管材の半径方向Rの中央を通る線がエネルギ吸収デバイス20の変形軸線Lとなっている。また、以下の説明において単に軸方向、径方向及び周方向を用いる場合は、特に断りのない限り、エネルギ吸収デバイス20の変形軸線Lの軸線方向Z、エネルギ吸収デバイス20の径方向R及び周方向Cを示すものとする。
図1A、図2A及び図3Aに示されるように、エネルギ吸収デバイス20の一方側の端部(素材の鋼管材の内外径と同一の内外径とされている側の端部)は、締結材22が溶接等により接合されることでフレーム部12と繋がれる第1接続部30とされている。図4A及び図4Bに示されるように、エネルギ吸収デバイス20の他方側の端部(素材の鋼管材の内外径に対して拡径された側の端部)は、斜材18、第1斜材26、第2斜材28及び軸部材19の一方側の端部が接合される第2接続部32とされている。この第2接続部32の外径は、斜材18、第1斜材26、第2斜材28及び軸部材19の内径と対応する外径とされている。そして、斜材18、第1斜材26、第2斜材28及び軸部材19の一方側の端部が第2接続部32の外周面に沿って配置された状態で当該第2接続部32に溶接等により接合される。なお、第1接続部30及び第2接続部32は、他の部材が接合されるための部位であり、この第1接続部30及び第2接続部32には、後述するエネルギ吸収部36のように塑性変形等の大きな変形がなされることは期待されていない。また、本実施形態では、第1接続部30及び第2接続部32には、後述するスリット40は形成されていない。
図4A〜図4Cに示されるように、エネルギ吸収デバイス20における第1接続部30と第2接続部32とを繋ぐ部分は、第1接続部30と第2接続部32との相対位置が変化されることで変形されるエネルギ吸収部36とされている。このエネルギ吸収部36における変形軸線Lの軸方向一方側の部分は、変形軸線Lの軸方向他方側が開放されたU字状に湾曲された湾曲部38とされている。なお、エネルギ吸収部36において湾曲部38よりも第2接続部32側の部位36A及び湾曲部38よりも第1接続部30側の部位36Bのことを第2延在部としての外側延在部36A及び第1延在部としての内側延在部36Bというものとする。また、エネルギ吸収部36における湾曲部38、当該湾曲部38の両側部分である外側延在部36A及び内側延在部36Bには、変形軸線Lの軸方向に沿って複数のスリット40が形成されている。これにより、湾曲部38が周方向に分割されている。本実施形態では、周方向に等間隔に配列された12個のスリット40が形成されることにより、湾曲部38、外側延在部36A及び内側延在部36Bが周方向に12分割されている。換言すると、エネルギ吸収部36(複数の湾曲部38、複数の外側延在部36A及び複数の内側延在部36B)が、変形軸線Lの軸方向一方側から見て当該変形軸線Lを囲むように互いに離間して配置されている。
図1A及び図1Bに示されるように、以上説明したエネルギ吸収デバイス20を含んで構成された耐震壁10を備えた建物に地震による荷重Qが作用すると、当該荷重が耐震壁10のフレーム部12に伝達される。また、フレーム部12に伝達された荷重は、締結材22を介してエネルギ吸収デバイス20及び斜材18に伝達される。ここで、本実施形態では、斜材18が一対のエネルギ吸収デバイス20及び締結材22を介してフレーム部12に架け渡された構成とされている。そのため、フレーム部12が略平行四辺形状に変形されると、斜材18及び一対のエネルギ吸収デバイス20には、軸方向への引張荷重又は圧縮荷重としての荷重Pが作用する。
図4Bに示されるように、エネルギ吸収デバイス20に作用する引張荷重(荷重P)が所定値を超えると、エネルギ吸収部36が塑性変形される。すなわち、複数の湾曲部38、複数の外側延在部36A及び複数の内側延在部36Bが塑性変形される。なお、エネルギ吸収部36が塑性変形される前の状態を二点鎖線で示している。これにより、外側延在部36Aが新たな湾曲部38を形成すると共に湾曲部38を形成していた部分が延ばされることで、第1接続部30と第2接続部32との軸方向への距離が長くなる。
また、エネルギ吸収デバイス20に作用する圧縮荷重(荷重P)が所定値を超える場合においても、エネルギ吸収部36が変形される。すなわち、複数の湾曲部38、複数の外側延在部36A及び複数の内側延在部36Bが塑性変形される。これにより、内側延在部36Bが新たな湾曲部38を形成すると共に湾曲部38を形成していた部分が延ばされることで、第1接続部30と第2接続部32との軸方向への距離が短くなる。
以上説明したエネルギ吸収デバイス20を備えた耐震壁10では、エネルギ吸収デバイス20のエネルギ吸収部36が繰り返し変形されることで、すなわち、複数の湾曲部38の位置が軸方向に沿って往復移動されることで、地震エネルギを吸収することができる。また、図2A及び図2Bに記載された第2実施形態に係る耐震壁24についても同様に、エネルギ吸収デバイス20のエネルギ吸収部36が繰り返し変形されることで、地震エネルギを吸収することができる。特に、第2実施形態に係る耐震壁24は、第1実施形態に係る耐震壁10に比べてエネルギ吸収デバイス20が設けられている数が多いことに加えて、エネルギ吸収デバイス20の変形軸線の軸方向の水平方向Hに対する傾斜角度が小さくなっている。これにより、フレーム部12の単位変形量あたりのエネルギ吸収デバイス20に加わる荷重Pを小さくすることができると共に変形量を小さくすることができる。その結果、耐震壁24のエネルギ吸収能を高めることができる。さらに、図3A及び図3Bに記載された第3実施形態に係る耐震壁25についても同様に、エネルギ吸収デバイス20のエネルギ吸収部36が繰り返し変形されることで、地震のエネルギを吸収することができる。特に、第3実施形態に係る耐震壁25は、第1実施形態に係る耐震壁10に比べてエネルギ吸収デバイス20が水平方向Hに対して平行して設けられている。これにより、フレーム部12の単位変形量あたりのエネルギ吸収デバイス20に加わる荷重Pをより一層小さくすることができると共に変形量をより一層小さくすることができる。その結果、耐震壁25のエネルギ吸収能をより一層高めることができる。
ここで、本実施形態の耐震壁10、24、25の一部を構成するエネルギ吸収デバイス20では、複数のスリット40が形成されることによりエネルギ吸収部36の複数の湾曲部38が変形軸線Lの軸方向から見て当該変形軸線Lを囲むように互いに離間して配置されている。当該構成とすることにより、上記複数のスリット40が形成されていない構成に比べて、湾曲部38並びにその両側部分である外側延在部36A及び内側延在部36Bの変形を安定させることができる。これにより、一の湾曲部38の両側部分である外側延在部36A及び内側延在部36Bを、他の湾曲部38の両側部分である外側延在部36A及び内側延在部36Bの影響を受けることなく、或いは、その影響を受け難くしつつ変形させることができる。その結果、第1接続部30と第2接続部32との相対位置に関わらず、安定したエネルギ吸収荷重(第1接続部30と第2接続部32との相対位置の変化を妨げる方向に作用する荷重)を得ることができる。また、複数のスリット40が第2接続部32まで形成されていない構成とすることで、締結材22を第2接続部32へ溶接等により容易に接続することができる。
なお、上記実施形態では、複数のエネルギ吸収デバイス20を用いて耐震壁10、24、25を構成したが、本発明はこれに限定されず、例えば、単一のエネルギ吸収デバイス20を用いて耐震壁を構成してもよい。
(第2実施形態に係るエネルギ吸収デバイス)
次に、図5A及び図5Bを用いて本発明の第2実施形態に係るエネルギ吸収デバイス42について説明する。なお、上記第1実施形態に係るエネルギ吸収デバイス20と対応する部材や部分については上記実施形態と同一の符号を付してその説明を省略することがある。また、後述する第3実施形態〜第18実施形態に係るエネルギ吸収デバイスの説明においても、既に説明したエネルギ吸収デバイスの各部材や部分と同一の符号を付してその説明を省略することがある。
図5A及び図5Bに示されるように、本実施形態のエネルギ吸収デバイス42は、湾曲部38、外側延在部36A及び内側延在部36Bの幅寸法B(周方向Cへの寸法)が軸方向に沿って一定となるように複数のスリット40の形状が設定されていることに特徴がある。当該構成によれば、エネルギ吸収部36における湾曲部38の位置が変化される際に、当該湾曲部38の幅が保たれる。これにより、第1接続部30と第2接続部32との相対位置に関わらず、より一層安定したエネルギ吸収荷重を生じさせることができる。なお、図5Aでは、スリット40の閉止端側を角のある開孔形状としたが、当該部分を丸みのある開孔形状とし、当該部分に生じる応力やひずみ集中を緩和することもできる。
(第3実施形態に係るエネルギ吸収デバイス)
次に、図6A及び図6Bを用いて本発明の第3実施形態に係るエネルギ吸収デバイス44について説明する。
図6A及び図6Bに示されるように、本実施形態のエネルギ吸収デバイス44では、軸方向視でエネルギ吸収部36が多角形状に(本実施形態では12角形状に)形成されることにより、湾曲部38の両側部分である外側延在部36A及び内側延在部36Bが平板状(平坦状)に形成されている。すなわち、外側延在部36A及び内側延在部36Bが矩形状断面とされることで周方向に湾曲されていない。また、このエネルギ吸収デバイス44では、複数のスリット40が第2接続部32にかけて形成されていることにより、第2接続部32が周方向に分割されている。当該構成によれば、エネルギ吸収部36の外側延在部36A及び内側延在部36Bが変形される際に、当該外側延在部36A及び内側延在部36Bをその幅方向にわたって均一に曲げ変形させることができる。これにより、湾曲部38、外側延在部36A及び内側延在部36Bの幅方向における局所的な応力やひずみの発生を抑制することができ、エネルギ吸収デバイス20の局所的な損傷が抑制されて、エネルギ吸収デバイス20が発生させるエネルギ吸収荷重をより一層安定させることができる。また、複数のスリット40が第2接続部32にかけて形成された構成では、多角形状に形成された鋼管材の一方側の端部に複数のスリット40を形成した後に、当該鋼管材の一方側の端部を径方向外側に折り返すことによりエネルギ吸収デバイス44を形成することができる。これにより、鋼管を拡径する塑性加工によらず、曲げによる塑性加工により当該鋼管材からエネルギ吸収デバイス44を形成できる。その結果、加工に伴う各部の板厚の減少やひずみの発生を抑制することができる。
(第4実施形態〜第7実施形態に係るエネルギ吸収デバイス)
次に、図7A及び図7Bを用いて本発明の第4実施形態に係るエネルギ吸収デバイス46について説明する。
図7A及び図7Bに示されるように、本実施形態のエネルギ吸収デバイス46は、角パイプ状に形成された鋼材を用いて形成されていることに特徴がある。具体的には、素材となる鋼材は、互いに平行に延在された第1側壁部48と第3側壁部52及び第2側壁部50と第4側壁部54を有することにより軸方向視で正方形断面に形成されている。この素材となる鋼材の軸方向一方側の部分における第1側壁部48と第2側壁部50との境界部、第2側壁部50と第3側壁部52との境界部、第3側壁部52と第4側壁部54との境界部及び第4側壁部54と第1側壁部48との境界部には、軸方向に沿ってスリット40が形成されている。また、第1側壁部48、第2側壁部50、第3側壁部52及び第4側壁部54において第2接続部32を構成する側の端部には、軸方向に沿って間隔をあけて配置されていると共に後述するボルト56が挿通される被係合部としてのボルト挿通孔が形成されている。そして、素材となる鋼材の軸方向一方側の部分における第1側壁部48、第2側壁部50、第3側壁部52及び第4側壁部54がそれぞれU字状に折り曲げられることで、エネルギ吸収デバイス46が形成されている。なお、本実施形態では、エネルギ吸収デバイス46の第1接続部30にはスリット40が設けられていない。また、第2接続部32は、エネルギ吸収デバイス46の一方側の端部からボルト56の締結によってエネルギ吸収デバイス46の変形が拘束される部位までの範囲となっている。また、本実施形態では、エネルギ吸収デバイス46の周方向の幅Bは、図7Bに示すように湾曲部38において曲率がなく平坦な形状となる方向の幅となる。この幅Bは、図6Bに示された幅Bと対応している。
また、本実施形態では、角パイプ状に形成された斜材18がエネルギ吸収デバイス46の第2接続部32に着脱可能な締結部材としてのボルト56及びナット58を介して接続される。そして、ボルト挿通孔にボルト56が挿通されてこのボルト56にナット58が螺合されることで、斜材18がエネルギ吸収デバイス46の第2接続部32に接続されている。
さらに、本実施形態では、上記ボルト56に円環状に形成されたスペーサ60が挿通されることで、当該スペーサ60が第2接続部32と斜材18との間に介装されるようになっている。これにより、湾曲部38が当該湾曲部38の周縁部に配置された斜材18の内側の面と離間されるようになっている。また、エネルギ吸収デバイス46に荷重が入力されることで、湾曲部38の位置が変化される際においても、当該湾曲部38が斜材18の内側の面と離間されるようになっている。
以上説明した本実施形態では、斜材18をエネルギ吸収デバイス46の第2接続部32にボルト56及びナット58を介して容易に接続することができる。また、本実施形態では、エネルギ吸収部36の湾曲部38が当該湾曲部38の周縁部に配置された斜材18と離間された状態で当該湾曲部38の位置が変化される。これにより、湾曲部38と斜材18とが摺接することを抑制することがき、エネルギ吸収デバイス46の変形性能を高めることができる。
なお、図8A及び図8Bに示された第5実施形態のように、円管状に形成された鋼材を用いて上記第4実施形態に係るエネルギ吸収デバイス46と同様の工程を経てエネルギ吸収デバイス62を形成することもできる。また、図9A及び図9Bに示された第6実施形態に係るエネルギ吸収デバイス64や図10A及び図10Bに示された第7実施形態に係るエネルギ吸収デバイス66のようにスペーサ60を第2接続部32と斜材18との間に介装させない構成としてもよい。
(第8実施形態及び第9実施形態に係るエネルギ吸収デバイス)
次に、図11A及び図11Bを用いて本発明の第8実施形態に係るエネルギ吸収デバイス68について説明する。
図11A及び図11Bに示されるように、本実施形態のエネルギ吸収デバイス68では、図9A及び図9Bに示されたエネルギ吸収デバイス64に加えて角パイプ状に形成された第1拘束部としての芯管70が設けられていることに特徴がある。この芯管70の寸法は、エネルギ吸収部36において湾曲部38に対して第1接続部30側の内部形状に対応する寸法に設定されている。そして、芯管70がエネルギ吸収部36内に挿入された状態で、当該芯管70の軸方向他方側の端部が第1接続部30の内側の面に溶接WJにより接合されている。当該構成では、エネルギ吸収部36が、芯管70と第2拘束部としての斜材18との間に配置されて、当該エネルギ吸収部36の外側延在部36Aと内側延在部36Bとの間隔が保たれた状態で、湾曲部38が変形する。このように、エネルギ吸収部36の外側延在部36Aと内側延在部36Bとの間隔が保たれた状態で湾曲部38が変形する構成では、前述の図7A及び図7Bに示された第4実施形態に係るエネルギ吸収デバイス46や図9A及び図9Bに示されたエネルギ吸収デバイス64に比べて、エネルギ吸収荷重を高めることができ、これにより、エネルギ吸収デバイス68の変形の進展に伴う荷重の低下を抑制することができる。
なお、図12A及び図12Bに示された第9実施形態に係るエネルギ吸収デバイス72のように、円管状に形成された第1拘束部としての芯管70を設けた構成としてもよい。当該構成では、前述の図10A及び図10Bに示されたエネルギ吸収デバイス66に比べて、前述の第8実施形態に係るエネルギ吸収デバイス68と同様の作用効果を得ることができることにより、エネルギ吸収デバイス72の変形の進展に伴う荷重の低下を抑制することができる。
(第10実施形態に係るエネルギ吸収デバイス)
次に、図13A及び図13Bを用いて本発明の第10実施形態に係るエネルギ吸収デバイス74について説明する。
図13A及び図13Bに示されるように、本実施形態のエネルギ吸収デバイス74は、矩形状に形成された鋼板材が軸方向他方側が開放されたU字状に湾曲されることによって形成された2つのエネルギ吸収部材76によって構成されている。この2つのエネルギ吸収部材76は、変形軸線Lのまわりに互いに対向して当該変形軸線Lを挟むように配置されている。ここで、エネルギ吸収デバイス74の変形軸線Lとは、エネルギ吸収デバイス74が変形される前の状態において、当該エネルギ吸収デバイス20を当該エネルギ吸収デバイス20が変形される方向と直交する方向へ沿って切断した2つのエネルギ吸収部材76の断面における重心(図心)を通り、かつエネルギ吸収デバイス74が変形され方向へのびる線である。また、本実施形態では、エネルギ吸収デバイス74の変形軸線Lは、エネルギ吸収デバイス74の奥行き方向Y及び高さ方向Xの中心点を通る線となる。なお、エネルギ吸収デバイス74の奥行き方向Yとは、エネルギ吸収部材76のU字状となる断面でかつ最小の断面積となる断面の法線方向のことであり、エネルギ吸収デバイス74の高さ方向Xとは、エネルギ吸収部材76の奥行き方向Y及びエネルギ吸収デバイス74の変形軸線Lと直交する方向のことである。
一方のエネルギ吸収部材76の第1接続部30と他方のエネルギ吸収部材76の第1接続部30との間には、板状に形成された接続板78の一方側の端部が配置されている。そして、一方のエネルギ吸収部材76の第1接続部30及び他方のエネルギ吸収部材76の第1接続部30には、ボルト56及びナット58を介して接続板78の一方側の端部が接続されている。なお、接続板78においてエネルギ吸収部材76の第1接続部30に接続される部分とは反対側の部分には、複数のボルト挿通孔80が形成されている。そして、このボルト挿通孔80に挿通されたボルト等を介して、接続板78においてエネルギ吸収部材76の第1接続部30に接続される部分とは反対側の部分が、締結材22(図1A等参照)に接続されるようになっている。また、2つのエネルギ吸収部材76の第2接続部32には、角パイプ状に形成された斜材18の一方側の端部がボルト56及びナット58を介して接続されている。なお、エネルギ吸収デバイス46の第1接続部30及び第2接続部32とは、エネルギ吸収デバイス46の端部からボルト56の締結によってエネルギ吸収デバイス46の変形が拘束される部位までの範囲となっている。
以上説明した本実施形態では、接続板78及び斜材18が2つのエネルギ吸収部材76の第1接続部30及び第2接続部32にそれぞれボルト56及びナット58を介して接続される構成とされている。当該構成では、地震による荷重がエネルギ吸収部材76に入力されることにより、当該エネルギ吸収部材76を交換する必要が生じた場合に、当該エネルギ吸収部材76を容易に交換することができる。
(第11実施形態に係るエネルギ吸収デバイス)
次に、図14A及び図14Bを用いて本発明の第11実施形態に係るエネルギ吸収デバイス82について説明する。
図14A及び図14Bに示されるように、本実施形態のエネルギ吸収デバイス82では、2つのエネルギ吸収部材76の第1接続部30に接続板78の長手方向中間部78Aが接続されている。これにより、2つのエネルギ吸収部材76のそれぞれのエネルギ吸収部36が、第1拘束部としての接続板78の長手方向一方側の部位78Bと第2拘束部としての斜材18との間に配置されて、エネルギ吸収部36の外側延在部36Aと内側延在部36Bとの間隔が保たれた状態で当該湾曲部38が塑性変形されるようになっている。
以上説明した当該構成では、接続板78の長手方向一方側の部位78Bが、図11B及び図12Bに示された芯管70と同様に機能する。これにより、本実施形態では、前述の図13A及び図13Bに示されたエネルギ吸収デバイス74に比べて、荷重が作用した際にエネルギ吸収デバイス82の変形の進展に伴う荷重の低下を抑制することができる。
(第12実施形態に係るエネルギ吸収デバイス)
次に、図15A及び図15Bを用いて本発明の第12実施形態に係るエネルギ吸収デバイス84について説明する。
図15A及び図15Bに示されるように、本実施形態のエネルギ吸収デバイス84は、エネルギ吸収部材76の一方側の端部76Aが、変形軸線上に配置されていると共に図13A及び図13Bに示された接続板78においてボルト挿通孔80が形成された部分と同様の機能を有することに特徴がある。当該構成では、エネルギ吸収部材76の一方側の端部76Aに形成されたボルト挿通孔80に挿通されたボルト等を介して、当該エネルギ吸収部材76の一方側の端部76Aを第1接続部30として締結材22(図1A等参照)等に接続することができる。なお、本実施形態では、一方のエネルギ吸収部材76の長手方向の中間部と他方のエネルギ吸収部材76の長手方向の中間部が、ボルト56及びナット58を介して繋がれている。
(第13実施形態に係るエネルギ吸収デバイス)
次に、図16A及び図16Bを用いて本発明の第13実施形態に係るエネルギ吸収デバイス86について説明する。
図16A及び図16Bに示されるように、本実施形態のエネルギ吸収デバイス86は、エネルギ吸収部材76において変形軸線Lと離間する側の端部が、締結材22に繋がれる第1接続部30とされていると共に、エネルギ吸収部材76において変形軸線L側の端部が接続板78を介して斜材18(図1A等参照)に繋がれる第2接続部32とされていることに特徴がある。なお、このエネルギ吸収デバイス86の構成は、図14Aに記載された第11実施形態に係るエネルギ吸収デバイス82の構成を軸方向に反転させた構成である。当該構成においても、図14A及び図14Bに示された第11実施形態に係るエネルギ吸収デバイス82と同様に、荷重が入力された際のエネルギを吸収することができる。
(第14実施形態に係るエネルギ吸収デバイス)
次に、図17A〜図17Cを用いて本発明の第14実施形態に係るエネルギ吸収デバイス88について説明する。
図17A〜図17Cに示されるように、本実施形態のエネルギ吸収デバイス88は、4つのエネルギ吸収部材76を含んで構成されていると共に、軸方向視でI断面状に形成された斜材18の一方側の端部が、各々のエネルギ吸収部36の第2接続部32に接続されることに特徴がある。
斜材18は、軸方向に沿って互いに平行に延在すると共にエネルギ吸収部材76の第2接続部32に接続される一対の第1延在部18Aと、一対の第1延在部18Aの短手方向の中央部を繋ぐ第2延在部18Bと、を有することにより軸方向視でI字状(H字状)に形成されたH型鋼を用いて形成されている。
4つのエネルギ吸収部材76のうち2つのエネルギ吸収部材76は、斜材18の第2延在部18Bに対して一方側でかつ一対の第1延在部18Aの間に配置されている。残りの2つのエネルギ吸収部材76は、斜材18の第2延在部18Bに対して他方側でかつ一対の第1延在部18Aの間に配置されている。これにより、4つのエネルギ吸収部材76が軸方向視で変形軸線Lのまわりに当該変形軸線Lを挟むように配置されるようになっている。
また、本実施形態では、接続板78の短手方向の中央部に軸方向に沿って延びる溝78Cが形成されている。そして、斜材18の第2延在部18Bが溝78C内に配置されることで、接続板78と斜材18とが当接することが抑制されて、エネルギ吸収部材76の変形が妨げられないようになっている。また、図17Cに示されるように、接続板78と締結材22(図1Aも参照)とは、両者を架け渡すように配置された一対の添板90並びにボルト56及びナット58を介して繋がれる。
以上説明した本実施形態のエネルギ吸収デバイス88は、軸方向視でI字状(H字状)断面に形成された部材(斜材18)を含んで構成された耐震壁10(図1A参照)等に適用することができる。
(第15実施形態〜第18実施形態に係るエネルギ吸収デバイス)
次に、図18〜図21Bを用いて本発明の第15実施形態〜第18実施形態に係るエネルギ吸収デバイスについて説明する。
図18に示されるように、第15実施形態に係るエネルギ吸収デバイス92は、エネルギ吸収部材76の第1接続部30を接続板78の軸方向他方側の端78Dよりも軸方向他方側へ延出させていることに特徴がある。当該構成とすることにより、エネルギ吸収部材76の第1接続部30に図17Cに示された添板90としての機能を持たせることができる。
図19に示されるように、第16実施形態に係るエネルギ吸収デバイス94は、図17Cに示された接続板78を設けずに、エネルギ吸収部材76の第1接続部30が締結材22に一対の添板90並びにボルト56及びナット58を介して繋がれることに特徴がある。当該構成では、図17C記載された構成に比べて、接続板78を省略することができる。
図20A及び図20Bに示されるように、第17実施形態に係るエネルギ吸収デバイス96は、エネルギ吸収部材76において変形軸線Lと離間する側の端部が締結材22に繋がれる第1接続部30とされていると共に、エネルギ吸収部材76において変形軸線L側の端部が角パイプ状に形成された斜材18に繋がれる第2接続部32とされていることに特徴がある。なお、このエネルギ吸収デバイス96の構成は、図15Aに記載された第12実施形態に係るエネルギ吸収デバイス84の構成を軸方向に反転させた構成をベースとするものである。また、本実施形態では、2つのエネルギ吸収部材76の第2接続部32が角パイプ状に形成された斜材18の一方側の端部に挿入されている。そして、斜材18の一方側の端部が、ボルト56及びナット58を介して2つのエネルギ吸収部材76の第2接続部32に接続されている。
図21A及び図21Bに示されるように、第18実施形態に係るエネルギ吸収デバイス98の構成は、図20Aに示された第17実施形態に係るエネルギ吸収デバイス96において2つのエネルギ吸収部材76の第2接続部32を離間して配置させると共に第2接続部32を第1接続部30に対して斜材18側にオフセットして配置させた構成である。また、本実施形態では、2つのエネルギ吸収部材76のそれぞれの第2接続部32の間に角パイプ状に形成された斜材18の一方側の端部が配置されている。そして、斜材18の一方側の端部が、ボルト56及びナット58を介して2つのエネルギ吸収部材76の第2接続部32に接続されている。当該構成では、斜材18の内側にエネルギ吸収部材76の第2接続部32を配置させないことにより、斜材18の大型化を抑制することができる。
(CAE解析結果の説明)
次に、図22A〜図23Dを用いて、本発明のエネルギ吸収デバイスに変形軸線の軸方向への荷重が入力された際に生じるエネルギ吸収荷重の特性のCAE解析による評価結果について説明する。
(第1の条件によるCAE解析)
図22A〜図22Cには、CAE解析を行った際のエネルギ吸収デバイス100及び斜材18の各部の寸法が示されている。図22A、図22B(A)及び図22Cに示されるように、ケースナンバーC1に係るエネルギ吸収デバイス100は、図4Cに示された第1実施形態に係るエネルギ吸収デバイス20と同様の構成であり、図22A、図22B(B)及び図22Cに示されるように、ケースナンバーC2に係るエネルギ吸収デバイス100は、図5Bに示された第2実施形態に係るエネルギ吸収デバイス42と同様の構成である。また、図22A、図22B(C)及び図22Cに示されるように、ケースナンバーC3に係るエネルギ吸収デバイス100は、図5Bに示された第2実施形態に係るエネルギ吸収デバイス42に図12Bに示されたエネルギ吸収デバイス72の芯管70を加えたものである。なお、ケースナンバーC0に係るエネルギ吸収デバイスは、湾曲部38、外側延在部36A及び内側延在部36Bにスリット40が形成されていない比較対象に係るものである。そして、図22Cに示されるように、芯管70を除く各部の内外径、板厚、長さ及びスリット間隔(隣り合うスリット40の周方向への角度)を同一の条件に設定して、軸線方向への引張荷重(又は圧縮荷重)Pを加えた。
図22Dには、上記引張荷重(又は圧縮荷重)Pを加えた際における変形量(第1接続部30に対する第2接続部32の変位量)とエネルギ吸収荷重を示したグラフが示されている。この図に示されるように、本発明の構成であるケースナンバーC1〜C3に係るエネルギ吸収デバイス100では、従来技術の構成であるケースナンバーC0に係るエネルギ吸収デバイスに比べて、変形量に対するエネルギ吸収荷重が安定していることがわかる。この点、従来技術のエネルギ吸収デバイスでは、変形量が多くなるにつれてエネルギ吸収荷重が急激に増加する。
また、ケースナンバーC2及びC3に係るエネルギ吸収デバイス100は、湾曲部38の幅が一定の幅に保たれた状態で外側延在部36A及び内側延在部36Bが変形される。これにより、ケースナンバーC2及びC3に係るエネルギ吸収デバイス100では、プラス方向(引張方向)へ変形された際のエネルギ吸収荷重とマイナス方向(圧縮方向)へ変形された際の変形初期のエネルギ吸収荷重とがほぼ同一の特性となっていることがわかる。これに対して、ケースナンバーC1に係るエネルギ吸収デバイス100は、湾曲部38の幅が変化しながら外側延在部36A及び内側延在部36Bが変形される。そのため、ケースナンバーC1に係るエネルギ吸収デバイス100では、プラス方向(引張方向)へ変形された際のエネルギ吸収荷重とマイナス方向(圧縮方向)へ変形された際のエネルギ吸収荷重とが変形初期の異なる特性となっていることがわかる。
また、ケースナンバーC3に係るエネルギ吸収デバイス100は、外側延在部36Aと内側延在部36Bとの間隔が略一定に保たれた状態で当該外側延在部36A及び内側延在部36Bが変形される。これにより、ケースナンバーC3に係るエネルギ吸収デバイス100は、芯管70が設けられていないケースナンバーC2に係るエネルギ吸収デバイス100に比べて高い値のエネルギ吸収荷重が得られ、変形の進展に伴うエネルギ吸収荷重の低下が抑えられていることがわかる。
(第2の条件によるCAE解析)
図23A〜図23Cには、CAE解析を行った際のエネルギ吸収デバイス102の各部の寸法が示されている。図23A及び図23Cに示されるように、ケースナンバーF1及びF3に係るエネルギ吸収デバイス102の構成は、図13Bに記載された第10実施形態に係るエネルギ吸収デバイス74を模擬した構成である。すなわち、エネルギ吸収デバイス74の第1接続部30と接続板78がスペーサ60を介して接合されていると共に、第2接続部32と斜材18がスペーサ60を介して接合されている状態を模擬している。また、図23B及び図23Cに示されるように、ケースナンバーF2及びF4に係るエネルギ吸収デバイス102の構成は、図14Bに記載された第11実施形態に係るエネルギ吸収デバイス82を模擬した構成である。そして、図23Cに示されるように、幅寸法を除く各部の寸法が同一の寸法に設定された2つのエネルギ吸収部材76を有するエネルギ吸収デバイス102に軸線方向への引張荷重Pを加えた。
図23Dには、上記引張荷重Pを加えた際における変形量(第1接続部30に対する第2接続部32の変位量)とエネルギ吸収荷重を示したグラフが示されている。この図に示されるように、第1延在部36Aと第2延在部36Bとの間隔が保たれるように拘束された構成(ケースナンバーF2及びF4に係る構成)では、当該拘束を受けない構成(ケースナンバーF1及びF3に係る構成)に比べて高い値のエネルギ吸収荷重が得られることがわかる。また、エネルギ吸収部材76の幅Wを増加させることでエネルギ吸収荷重を高めることができることもわかる。
以上説明した第1の条件及び第2の条件によるCAE解析の結果等を踏まえて、所望のエネルギ吸収荷重の特性が得られるエネルギ吸収デバイスを設計すればよい。
また、以上説明した各実施形態及びCAE解析では、エネルギ吸収デバイスの材質が鋼とされた例について説明したが、本発明はこれに限定されない。エネルギ吸収デバイスの材質は鋼に限らず、ステンレスやアルミなど可塑性の金属や合金であってもよく、樹脂などのその他の素材であってもよい。また、エネルギ吸収デバイスに用いる素材の強度も任意に選択することができる。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、その主旨を逸脱しない範囲内において上記以外にも種々変形して実施することが可能であることは勿論である。
10 耐震壁
12 フレーム部
14 縦材
16 横材
17A 連結部材
17B 連結部材
17C 連結部材
18 斜材(第2拘束部)
20 エネルギ吸収デバイス
24 耐震壁
26 第1斜材(斜材)
28 第2斜材(斜材)
30 第1接続部
32 第2接続部
36 エネルギ吸収部
36A 外側延在部(第2延在部)
36B 内側延在部(第1延在部)
38 湾曲部
40 スリット
42 エネルギ吸収デバイス
44 エネルギ吸収デバイス
46 エネルギ吸収デバイス
56 ボルト(締結要素)
58 ナット(締結要素)
62 エネルギ吸収デバイス
64 エネルギ吸収デバイス
66 エネルギ吸収デバイス
68 エネルギ吸収デバイス
70 芯管(第1拘束部)
72 エネルギ吸収デバイス
74 エネルギ吸収デバイス
78B 接続板の長手方向一方側の部位(第1拘束部)
82 エネルギ吸収デバイス
84 エネルギ吸収デバイス
86 エネルギ吸収デバイス
88 エネルギ吸収デバイス
92 エネルギ吸収デバイス
94 エネルギ吸収デバイス
96 エネルギ吸収デバイス
98 エネルギ吸収デバイス
100 エネルギ吸収デバイス
102 エネルギ吸収デバイス
H 建物の水平方向
V 建物の上下方向
Q フレーム部に入力された荷重
P 変形軸線の軸方向への荷重
L 変形軸線
Z 変形軸線の軸方向

Claims (11)

  1. 変形軸線の方向に作用する荷重に対して変形するエネルギ吸収デバイスであって、
    前記エネルギ吸収デバイスの変形軸線上又は変形軸線の回りに配置され、一の部材が接続される第1接続部と、
    前記第1接続部よりも前記変形軸線から離れて該変形軸線の回りに配置され、他の部材が接続される第2接続部と、
    前記変形軸線の軸方向の一方側が開放された形状に湾曲された複数の湾曲部と、該複数の湾曲部と前記第1接続部とを繋ぐ複数の第1延在部と、該複数の湾曲部と前記第2接続部とを繋ぐ複数の第2延在部と、を有し、前記変形軸線の軸方向から見て該変形軸線を囲むように又は挟むように互いに離間して配置され、前記変形軸線の軸方向への荷重によって、前記第1接続部と前記第2接続部との前記変形軸線の軸方向への相対位置が変化されることで、少なくとも前記湾曲部が塑性変形されてエネルギを吸収するエネルギ吸収部と、
    を備えたエネルギ吸収デバイス。
  2. 前記湾曲部、前記第1延在部及び前記第2延在部の幅が一定の幅に設定されている請求項1記載のエネルギ吸収デバイス。
  3. 前記第1延在部及び前記第2延在部は、前記変形軸線の軸方向に沿って平板状に延在されている請求項1又は請求項2記載のエネルギ吸収デバイス。
  4. 前記エネルギ吸収部は、第1拘束部と該第1拘束部と前記変形軸線と直交する方向に対向して配置された第2拘束部との間に配置されることで、前記変形軸線の軸方向への荷重に対して、前記第1延在部と前記第2延在部との間隔が保たれた状態で該湾曲部が塑性変形される請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のエネルギ吸収デバイス。
  5. 前記エネルギ吸収部は、前記第1延在部及び前記第2延在部が該第1延在部及び該第2延在部の周縁部の部材と離間した状態で配置されることで、前記変形軸線の軸方向への荷重に対して、前記第1延在部と前記第2延在部との間隔が変化可能な状態で前記湾曲部が塑性変形される請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のエネルギ吸収デバイス。
  6. 前記第1接続部及び前記第2接続部は、前記変形軸線を軸方向とする円筒状又は多角形断面の筒状に形成されている請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のエネルギ吸収デバイス。
  7. 複数のスリットが、前記エネルギ吸収部に形成されており、
    前記スリットと前記エネルギ吸収部とが、前記変形軸線の軸方向から見て該変形軸線の回りに交互に配置されている請求項6記載のエネルギ吸収デバイス。
  8. 前記第1接続部及び前記第2接続部には、着脱可能な締結要素が係合される被係合部がそれぞれ設けられている請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載のエネルギ吸収デバイス。
  9. 建物の水平方向に間隔をあけて建物の上下方向に延在する一対の縦材と、前記一対の縦材の上端部及び下端部を建物の水平方向に繋ぐ一対の横材と、を有するフレーム部と、
    前記一対の縦材の間かつ前記一対の横材の間に配置され、前記フレーム部に入力された荷重が伝達されることで前記湾曲部が塑性変形される請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載のエネルギ吸収デバイスと、
    を備えた耐震壁。
  10. 前記一対の縦材の間かつ前記一対の横材の間には、建物の上下方向に対して傾斜された斜材が設けられており、
    前記斜材の一端部が、前記エネルギ吸収デバイスの前記第1接続部及び前記第2接続部のいずれか一方に接続されていると共に、前記フレーム部が、前記第1接続部及び前記第2接続部のいずれか他方に接続されている請求項9記載の耐震壁。
  11. 前記フレーム部と前記エネルギ吸収デバイスとを繋ぐ連結部材が、前記一対の縦材の間かつ前記一対の横材の間に設けられることで、前記変形軸線の軸方向が、前記縦材又は前記横材が延在する方向と一致している請求項9記載の耐震壁。
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