JPH09323427A - 液体吐出ヘッドの製造方法および該製造方法により得られる液体吐出ヘッド - Google Patents

液体吐出ヘッドの製造方法および該製造方法により得られる液体吐出ヘッド

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JPH09323427A
JPH09323427A JP14527996A JP14527996A JPH09323427A JP H09323427 A JPH09323427 A JP H09323427A JP 14527996 A JP14527996 A JP 14527996A JP 14527996 A JP14527996 A JP 14527996A JP H09323427 A JPH09323427 A JP H09323427A
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liquid
movable member
head
separation wall
flow path
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JP14527996A
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English (en)
Inventor
Hiroyuki Sugiyama
裕之 杉山
Kazuaki Masuda
和明 益田
Shuji Koyama
修司 小山
Toshio Kashino
俊雄 樫野
Yoshie Nakada
佳恵 中田
Fumi Yoshihira
文 吉平
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Original Assignee
Canon Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 製造工程数が少なく、歩留まり良く、コスト
を抑えた液体吐出ヘッドを提供することにある。 【解決手段】 液体吐出ヘッドは、吐出口9に連通する
第1の液流路3を有する第1部材を変位可能な可動部材
6を有する分離壁5と、可動部材6を変位させるための
液体を収容する第2の液流路4を有する第2部材と、こ
れに対応する位置に発熱抵抗素子2を備えた素子基板1
を含む。素子基板上に前記第2部材を設け、さらに第2
部材の上に分離壁5を設け、さらに分離壁5上に第1部
材を設ける積層タイプである。第2部材となる樹脂層1
5に対してエキシマレーザーによりパターニングして第
2凹部を形成し、第2部材上に分離壁となる樹脂フィル
ム5を設置し、樹脂フィルム5に対してエキシマレーザ
ーによりパターニングして前記素子基板1の前記発熱抵
抗素子2の上に前記可動部材6を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱エネルギー等に
よる気泡の発生によって所望の液体を吐出する液体吐出
ヘッドに関し、特に気泡の発生を利用して変位する可動
部材を用いる液体吐出ヘッドに関する。さらに、本発明
は、液体吐出ヘッド、該液体吐出ヘッドを用いたヘッド
カートリッジ、液体吐出装置およびヘッドキットに関す
る。
【0002】また、本発明は紙、糸、繊維、布帛、皮
革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス
等の被記録媒体に対し記録を行うプリンター、複写機、
通信システムを有するファクシミリ、プリンタ部を有す
るワードプロセッサ等の装置、さらには各種処理装置と
複合的に組み合わせた産業用記録装置に適用できる発明
である。
【0003】なお、本発明における、「記録」とは、文
字や図形等の意味を持つ画像を被記録媒体に対して付与
することだけでなく、パターン等の意味を持たない画像
を付与することをも意味するものである。
【0004】
【従来の技術】熱等のエネルギーをインクに与えること
で、インクに急峻な体積変化(気泡の発生)を伴う状態
変化を生じさせ、この状態変化に基づく作用力によって
吐出口からインクを吐出し、これを被記録媒体上に付着
させて画像形成を行なうインクジェット記録方法、いわ
ゆるバブルジェット記録方法が従来知られている。この
バブルジェット記録方法を用いる記録装置には、米国特
許明細書第4,723,129号等の公報に開示されて
いるように、インクを吐出するための吐出口と、この吐
出口に連通するインク流路と、インク流路内に配された
インクを吐出するためのエネルギー発生手段としての発
熱体(電気熱変換体)が一般的に配されている。
【0005】この様な記録方法によれば、品位の高い画
像を高速、低騒音で記録することができると共に、この
記録方法を行うヘッドではインクを吐出するための吐出
口を高密度に配置することができるため、小型の装置で
高解像度の記録画像、さらにカラー画像をも容易に得る
ことができるという多くの優れた点を有している。この
ため、このバブルジェット記録方法は近年、プリンタ
ー、複写機、ファクシミリ等の多くのオフィス機器に利
用されており、さらに、捺染装置等の産業用システムに
まで利用されるようになってきている。
【0006】このようなバブルジェット記録方法では従
来より吐出効率を向上させるべく弁等の可動部材を流路
内に設ける構成が提案されている。
【0007】例えば、特開昭63−199972号公報
には流路内に弁を設けたインクジェット記録ヘッドにお
ける弁素子の製造方法が記載されている。
【0008】この公報では感光性樹脂等をフォトリソグ
ラフィーにより弁のパターンを形成している。
【0009】また、特開昭63−197652号公報に
は、流路上流に逆止弁を設けたインクジェット記録ヘッ
ドにおける弁の製造方法が記載されている。
【0010】この公報において、弁はフォトリソグラフ
ィーによって基板の一部を利用し基板と一体形成されて
いる。
【0011】また、特開平6−31918号公報(米国
特許明細書第5,278,585号)には、断面三角形
流路に対して先端三角形のバック波防止板を発泡液の上
流側の一部に有するヘッドの製造方法として、この防止
板を作成した後、三角形の流路をもエッチングして形成
するインクジェットヘッドの製造方法が開示されてい
る。これは、フォトリソグラフィーによりパターン化さ
れ、かつ、異方性エッチングにより処理されたシリコン
基板と可動部材を有するインクジェットの製造方法であ
る。この公報では、可動部材をシリコン基板に、二酸化
珪素層で形成する方法や、ホウ素を打ち込み又は拡散さ
せることでシリコンウエハー表面部分中に形成する方法
や、ホウ素を打ち込むことで生じるパターン化されたエ
ッチング止めにより形成する方法等が、開示されてい
る。
【0012】
【背景技術】一方、本発明者たちの一部は、この背景技
術として気泡自体が吐出量に与えるエネルギーを考慮す
ると気泡の下流側の成長成分を考慮することが吐出特性
を格段に向上できる要因として最大であるとの知見に至
った。つまり、気泡の下流側の成長成分を吐出方向へ効
率よく変換させることこそ吐出効率、吐出速度の向上を
もたらすことも判明した。このことから、本発明者らは
気泡の下流側の成分を積極的に可動部材の自由端側に移
動させるという従来の技術水準に比べ極めて高い技術水
準に至った。
【0013】本発明者達の一部は、このような知見に基
づいて、全く新規な構成の液体噴射ヘッドを発明し、先
に提案している。
【0014】このヘッドは、吐出口に連通する第1路部
と電気熱変換素子が設けられた第2路部と、第1路部と
第2路部との間に配され、第1路部側に変位する可動部
材を有する分離壁とを備え、電気熱変換素子の駆動によ
って気泡を発生させ、この気泡に応じて可動部材を第1
路部側に変位させると共に変位した可動部材によって圧
力を吐出口方向に導くことで吐出を行うものである。
【0015】このような構成によると、気泡の発生によ
る圧力の多くを可動部材によって直接吐出口側に効率よ
く伝達できるので、高吐出効率で、また高い吐出力で液
体を吐出することができる。
【0016】特に、気泡の発生が行われる第2の液流路
とインクの吐出が行われる第1の液流路とを別に設ける
構成では、第2の液流路で発生した圧力(圧力波)を集
中して可動部材側に向けることができる。そして、この
圧力を吐出口方向に可動部材によって向けることができ
るため、さらに、吐出効率、吐出力を高めることができ
る。また、この様な構成の場合、第1の液流路に伝わる
圧力波その多くが吐出方向に向かう圧力であり第1の液
流路内ではバック波そのものが始めから非常に少ないの
でリフィルも良好である。
【0017】また、吐出液と発泡液として異なる液体を
用いた場合には、発熱体上への堆積物が低減でき、発泡
が生じない液体や発泡が困難である液体、加熱に弱い液
体等をも良好に吐出することができる。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来例
のように可動板を種々の目的で構成するにあたって、液
路に対して、加工済の板材を設ける際のバラツキや、加
工済の液路自体のバラツキによって生じる可動板機能の
低下や、エッチングによる可動板形成後の液路形成の精
度低下による吐出不良に着目し、従来技術に対して有効
でかつ高精度のヘッド製造方法を提供するものである。
【0019】また、本発明は、上記従来技術に対して提
案されている上記背景技術の優れたヘッド、吐出原理に
対しても、より有効な可動部材の製造方法を提供する。
【0020】本発明は、この製造方法にあって製造工程
が少なく、安価でかつ、確実な製造方法を提供すること
を課題とする。
【0021】本発明の目的は、気泡発生可能な領域に対
して設けられる可動部材を気泡発生領域のバラツキ要素
があっても、可動部材の挙動をより確実なものとするこ
とができる製造方法を提供することである。
【0022】本発明の別の目的は、気泡発生領域を実質
的に密閉する構成を有する吐出ヘッドの可動部材を精度
よく、所望性能を十分に得られた状態で形成できる製造
方法を提供することである。
【0023】本発明の他の目的は、以下の実施例の説明
から理解できよう。
【0024】
【課題を解決するための手段】上述のような目的を達成
するための本発明の代表的な要件は、次のようなもので
ある。
【0025】吐出口に連通する第1の液流路を構成する
第1凹部を有する第1部材と、該第1凹部に対して変位
可能な可動部材を有する分離壁と、該分離壁の前記可動
部材を変位させるための発熱抵抗素子を備えた第2の液
流路を構成する第2凹部を有する第2部材と、を有する
液体吐出ヘッドの製造方法において、上記第2凹部が形
成されている上記第2部材に対して分離壁となる層を有
する上記第2部材に対して、上記第2凹部に対応して上
記可動部材をレーザー加工することで形成する工程を有
する液体吐出ヘッドの製造方法、吐出口に連通する第1
の液流路を構成する第1凹部を有する第1部材と、該第
1凹部に対して変位可能な可動部材を有する分離壁と、
該分離壁の前記可動部材を変位させるための発熱抵抗素
子を備えた第2の液流路を構成する第2凹部を有する第
2部材と、を有する液体吐出ヘッドの製造方法におい
て、エキシマレーザーによりパターニングして前記第2
凹部を形成し、該第2凹部を形成した前記第2部材上に
前記分離壁となるシート材料を設置し、該シート材料に
対してエキシマレーザーによりパターニングして前記発
熱抵抗素子に対応して前記可動部材を前記シート材料に
形成する液体吐出ヘッドの製造方法、前記可動部材は前
記分離壁にスリットを設けることにより形成される液体
吐出ヘッドの製造方法、前記分離壁にエキシマレーザー
を照射することで前記可動部材のスリットを形成する液
体吐出ヘッドの製造方法、前記分離壁を形成する材料が
樹脂である液体吐出ヘッドの製造方法、前記分離壁とな
る前記シート材料は樹脂フィルムまたは金属フィルムで
ある液体吐出ヘッドの製造方法、前記発熱抵抗素子は電
気信号を受け取ることで熱を発生する電気熱変換体であ
る液体吐出ヘッドの製造方法、吐出口に連通する第1の
液流路を構成する第1凹部を有する第1部材と、該第1
凹部に対して変位可能な可動部材を有する分離壁と、該
分離壁の前記可動部材を変位させるための発熱抵抗素子
を備えた第2の液流路を構成する第2凹部を有する第2
部材と、を有する液体吐出ヘッドにおいて、前記第2部
材は、エキシマレーザーによるパターニングにより形成
された前記第2凹部を有し、前記分離壁は、前記第2部
材上に設置されたシート材料に対するエキシマレーザー
によるパターニングにより前記シート材料に前記可動部
材を、前記発熱抵抗素子に対応して形成した液体吐出ヘ
ッド、前記分離壁はスリットを有し、前記可動部材は該
スリットにより分離壁と同じ部材で形成されている液体
吐出ヘッド、前記液体吐出ヘッドと、該液体吐出ヘッド
に供給される液体を保持する少なくとも1つの液体容器
とを有するヘッドカートリッジ、前記液体容器は、第2
の液流路に供給される液体と第1の液流路に供給される
液体とを別々に保持するものであるヘッドカートリッ
ジ、前記液体吐出ヘッドと前記液体容器とは、分離可能
であるヘッドカートリッジ、前記液体容器には液体が再
充填されているヘッドカートリッジ、前記液体吐出ヘッ
ドを用いて液体を吐出する液体吐出装置、前記液体吐出
ヘッドと、該液体吐出ヘッドから液体を吐出させるため
の駆動信号を供給する駆動信号供給手段とを有する液体
吐出装置、前記液体吐出ヘッドと、該液体吐出ヘッドか
ら吐出された液体を受ける被記録媒体を搬送する被記録
媒体搬送手段とを有する液体吐出装置、前記被記録媒体
が皮革である液体吐出装置、前記被記録媒体がプラスチ
ックである液体吐出装置、前記被記録媒体が金属である
液体吐出装置、前記被記録媒体が木材である液体吐出装
置、前記液体吐出ヘッドと、第1の液流路に供給される
液体を充填するための液体充填手段とが設けられたヘッ
ドキット、前記液体吐出ヘッドと、気泡を発生するため
の第2の液流路に供給される液体を充填するための液体
充填手段とが設けられたヘッドキット、前記液体吐出装
置によって液体として吐出されたインクを受けた記録
物。
【0026】本発明の特徴的な構成によれば、一般的な
弁あるいは先行して出願されている新規なヘッドの吐出
原理に対して、有効、かつ、有用な気泡の成長を規制で
きる可動部材を、製品として実用化できるレベルに安価
なコスト、少ない部品点数で精度良く製造することが可
能となり、従来の吐出原理においてもより最大に出せる
ヘッドを提供することができた。
【0027】詳しくは、予め可動部を有する分離壁を第
2路部の壁と一体にすることにより、分離壁と第2路部
の壁との間の間隙が生じる虞がなくなるとともに、液体
吐出ヘッドの製造上の工程数を減らすことが可能とな
り、製造歩留りを向上させることができる。
【0028】さらに、分離壁とこの分離壁に対して所定
のスリット幅で分離した可動部とをエキシマレーザーで
作成することにより、スリット幅等を精密に加工できる
ので、電気熱変換用素子からの熱を受けた液体の発泡に
よる圧力に正確に応答して可動部を変位させて吐出用液
体を所望量だけ正確に吐出させることが可能であるた
め、高画質への対応が可能となる。
【0029】本発明のその他の効果については、各実施
例の記載から理解される。
【0030】なお、本発明の説明で用いる「上流」「下
流」とは、液体の供給源から液流路を経て、吐出口へ向
かう液体の流れ方向に関して、又はこの構成上の方向に
関しての表現として表されている。
【0031】また、気泡自体に関する「下流側」とは、
主として液滴の吐出に直接作用するとされる気泡の吐出
口側部分を代表する。より具体的には気泡の中心に対し
て、上記流れ方向や上記構成上の方向に関する下流側、
又は、発熱体の面積中心より下流側の領域で発生する気
泡を意味する。
【0032】また、本発明の説明で用いる「実質的に密
閉」とは、気泡が成長するとき、可動部材が変位する前
に可動部材の周囲の隙間(スリット)から気泡がすり抜
けない程度の状態を意味する。
【0033】また、本発明でいう「分離壁」とは、広義
では気泡発生領域と吐出口に直接連通する領域とを区分
するように介在する壁(可動部材を含んでもよい)を意
味し、狭義では気泡発生領域を含む流路を吐出口に直接
連通する液流路とを区分し、それぞれの領域にある液体
の混合を防止するものを意味する。
【0034】(原理説明)以下、図面を参照して本発明
に適用可能な吐出原理について説明する。
【0035】図13(A)〜(D)は液体吐出ヘッドを
液流路方向で切断した断面模式図を示しており、図14
はこの液体吐出ヘッドの部分破断斜視図を示している。
【0036】図13(A)〜(D)の液体吐出ヘッド
は、液体を吐出するための吐出エネルギー発生素子とし
て、液体に熱エネルギーを作用させる発熱体402(本
実施例においては40μm×105μmの形状の発熱抵
抗体)が素子基板401に設けられており、この素子基
板401上に発熱体402に対応して液流路410が配
されている。液流路410は吐出口18に連通している
と共に、複数の液流路410に液体を供給するための共
通液室413に連通しており、吐出口から吐出された液
体に見合う量の液体をこの共通液室413から受け取
る。
【0037】この液流路410の素子基板401上に
は、前述の発熱体402に対向するように面して、金属
等の弾性を有する材料で構成され、平面部を有する板状
の可動部材431が片持梁状に設けられている。この可
動部材の一端は液流路410の壁や素子基板上に感光性
樹脂などをパターニングして形成した土台(支持部材)
434等に固定されている。これによって、可動部材は
保持されると共に支点(支点部分)433を構成してい
る。
【0038】この可動部材431は、液体の吐出動作に
よって共通液室413から可動部材431を経て吐出口
418側へ流れる大きな流れの上流側に支点(支点部
分;固定端)433を持ち、この支点433に対して下
流側に自由端(自由端部分)432を持つように、発熱
体402に面した位置に発熱体402を覆うような状態
で発熱体から15μm程度の距離を隔てて配されてい
る。この発熱体と可動部材との間が気泡発生領域とな
る。なお発熱体、可動部材の種類や形状および配置はこ
れに限られることなく、後述するように気泡の成長や圧
力の伝搬を制御しうる形状および配置であればよい。な
お、上述した液流路410は、後に取り上げる液体の流
れの説明のため、可動部材431を境にして直接吐出口
418に連通している部分を第1路部414とし、気泡
発生領域411や液体供給路412を有する第2路部4
16の2つの領域に分けて説明する。
【0039】発熱体402を発熱させることで可動部材
431と発熱体402との間の気泡発生領域411の液
体に熱を作用し、液体に米国特許明細書第4,723,
129号に記載されているような膜沸騰現象に基づく気
泡を発生させる。気泡の発生に基づく圧力と気泡は可動
部材に優先的に作用し、可動部材431は図13(A)
もしくは図14で示されるように支点433を中心に吐
出口側に大きく開くように変位する。可動部材431の
変位若しくは変位した状態によって気泡の発生に基づく
圧力の伝搬や気泡自身の成長が吐出口側に導かれる。
【0040】ここで、本発明に適用される基本的な吐出
原理の一つを説明する。本発明において最も重要な原理
の1つは、気泡に対面するように配された可動部材が気
泡の圧力あるいは気泡自体に基づいて、定常状態の第1
の位置から変位後の位置である第2の位置へ変位し、こ
の変位する可動部材431によって気泡の発生に伴う圧
力や気泡自身を吐出口418が配された下流側へ導くこ
とである。
【0041】この原理を可動部材を用いない従来の液流
路構造を模式的に示した図15と本発明の図16とを比
較してさらに詳しく説明する。なおここでは吐出口方向
への圧力の伝搬方向をVA、上流側への圧力の伝搬方向
をVBとして示した。
【0042】図15で示されるような従来のヘッドにお
いては、発生した気泡440による圧力の伝搬方向を規
制する構成はない。このため気泡440の圧力伝搬方向
はV1〜V8のように気泡表面の垂線方向となり様々な
方向を向いていた。このうち、特に液吐出に最も影響を
及ぼすVA方向に圧力伝搬方向の成分を持つものは、V
1〜V4即ち気泡のほぼ半分の位置より吐出口に近い部
分の圧力伝搬の方向成分であり、液吐出効率、液吐出
力、吐出速度等に直接寄与する重要な部分である。さら
にV1は吐出方向VAの方向に最も近いため効率よく働
き、逆にV4はVAに向かう方向成分は比較的少ない。
【0043】これに対して、図16で示される本発明の
場合には、可動部材431が図15の場合のように様々
な方向を向いていた気泡の圧力伝搬方向V1〜V4を下
流側(吐出口側)へ導き、VAの圧力伝搬方向に変換す
るものであり、これにより気泡440の圧力が直接的に
効率よく吐出に寄与することになる。そして、気泡の成
長方向自体も圧力伝搬方向V1〜V4と同様に下流方向
に導かれ、上流より下流で大きく成長する。このよう
に、気泡の成長方向自体を可動部材によって制御し、気
泡の圧力伝搬方向を制御することで、吐出効率や吐出力
また吐出速度等の根本的な向上を達成することができ
る。
【0044】次に図13(A)〜(D)に戻って、上述
した液体吐出ヘッドの吐出動作について詳しく説明す
る。
【0045】図13(A)は、発熱体402に電気エネ
ルギー等のエネルギーが印加される前の状態であり、発
熱体が熱を発生する前の状態である。ここで重要なこと
は、可動部材431が、発熱体の発熱によって発生した
気泡に対し、この気泡の少なくとも下流側部分に対面す
る位置に設けられていることである。つまり、気泡の下
流側が可動部材に作用するように、液流路構造上では少
なくとも発熱体の面積中心403より下流(発熱体の面
積中心403を通って流路の長さ方向に直交する線より
下流)の位置まで可動部材431が配されている。
【0046】図13(B)は、発熱体402に電気エネ
ルギー等が印加されて発熱体402が発熱し、発生した
熱によって気泡発生領域411内を満たす液体の一部を
加熱し、膜沸騰に伴う気泡を発生させた状態である。
【0047】このとき可動部材431は気泡440の発
生に基づく圧力により、気泡440の圧力の伝搬方向を
吐出口方向に導くように第1位置から第2位置へ変位す
る。ここで重要なことは前述したように、可動部材43
1の自由端432を下流側(吐出口側)に配置し、支点
433を上流側(共通液室側)に位置するように配置し
て、可動部材の少なくとも一部を発熱体の下流部分すな
わち気泡の下流部分に対面させることである。
【0048】図13(C)は気泡440がさらに成長し
た状態であるが、気泡440発生に伴う圧力に応じて可
動部材431はさらに変位している。発生した気泡は上
流より下流に大きく成長すると共に可動部材の第1の位
置(点線位置)を越えて大きく成長している。このよう
に気泡440の成長に応じて可動部材431が徐々に変
位して行くことで気泡440の圧力伝搬方向や堆積移動
のしやすい方向、すなわち自由端側への気泡の成長方向
を吐出口に均一的に向かわせることができることも吐出
効率を高めると考えられる。可動部材は気泡や発泡圧を
吐出口方向へ導く際もこの伝達の妨げになることはほと
んどなく、伝搬する圧力の大きさに応じて効率よく圧力
の伝搬方向や気泡の成長方向を制御することができる。
【0049】図13(D)は気泡440が、前述した膜
沸騰の後気泡内部圧力の減少によって収縮し、消滅する
状態を示している。
【0050】第2の位置まで変位していた可動部材43
1は、気泡の収縮による負圧と可動部材自身のばね性に
よる復元力によって図13(A)の初期位置(第1の位
置)に復帰する。また、消泡時には、気泡発生領域41
1での気泡の収縮体積を補うため、また、吐出された液
体の体積分を補うために上流側(B)、すなわち共通液
室側から流れのVD1、VD2のように、また、吐出口
側から流れのVcのように液体が流れ込んでくる。
【0051】以上、気泡の発生に伴う可動部材の動作と
液体の吐出動作について説明したが、以下に本発明の液
体吐出ヘッドにおける液体のリフィルについて詳しく説
明する。
【0052】図13(C)の後、気泡440が最大体積
の状態を経て消泡過程に入ったときには、消泡した体積
を補う体積の液体が気泡発生領域に、第1路部414の
吐出口418側と第2路部416の共通液室側13から
流れ込む。可動部材431を持たない従来の液流路構造
においては、消泡位置に吐出口側から流れ込む液体の量
と共通液室から流れ込む液体の量は、気泡発生領域より
吐出口に近い部分と共通液室に近い部分との流抵抗の大
きさに起因する(流路抵抗と液体の慣性に基づくもので
ある。)。
【0053】このため、吐出口に近い側の流抵抗が小さ
い場合には、多くの液体が吐出口側から消泡位置に流れ
込みメニスカスの後退量が大きくなることになる。特
に、吐出効率を高めるために吐出口に近い側の流抵抗を
小さくして吐出効率を高めようとするほど、消泡時のメ
ニスカスMの後退が大きくなり、リフィル時間が長くな
って高速印字を妨げることとなっていた。
【0054】これに対して本構成は可動部材431を設
けたため、気泡の体積Wを可動部材431の第1位置を
境に上側をW1、気泡発生領域411側をW2とした場
合、消泡時に可動部材が元の位置に戻った時点でメニス
カスの後退は止まり、その後残ったW2の体積分の液体
供給は主に第2路部416の流れVD2からの液供給に
よって成される。これにより、従来、気泡Wの体積の半
分程度に対応した量がメニスカスの後退量になっていた
のに対して、それより少ないW1の半分程度のメニスカ
ス後退量に抑えることが可能になった。
【0055】さらに、W2の体積分の液体供給は消泡時
の圧力を利用して可動部材431の発熱体側の面に沿っ
て、主に第2路部の上流側(VD2)から強制的に行う
ことができるためより速いリフィルを実現できた。
【0056】ここで特徴的なことは、従来のヘッドで消
泡時の圧力を用いたリフィルを行った場合、メニスカス
の振動が大きくなってしまい画像品位の劣化につながっ
ていたが、本実施例の高速リフィルにおいては可動部材
によって吐出口側の第1路部414の領域と、気泡発生
領域411との吐出口側での液体の流通が抑制されるた
めメニスカスの振動を極めて少なくすることができるこ
とである。
【0057】このように本発明に適用される上述した構
成は、第2路部416の液供給路412を介しての発泡
領域への強制リフィルと、上述したメニスカス後退や振
動の抑制によって高速リフィルを達成することで、吐出
の安定や高速繰り返し吐出、また記録の分野に用いた場
合、画質の向上や高速記録を実現することができる。
【0058】上述した構成においてはさらに次のような
有効な機能を兼ね備えている。それは、気泡の発生によ
る圧力の上流側への伝搬(バック波)を抑制することで
ある。発熱体402上で発生した気泡の内、共通液室4
13側(上流側)の気泡による圧力は、その多くが、上
流側に向かって液体を押し戻す力(バック波)になって
いた。このバック波は、上流側の圧力と、それによる液
移動量、そして液移動に伴う慣性力を引き起こし、これ
らは液体の液流路内へのリフィルを低下させ高速駆動の
妨げにもなっていた。本発明においては、まず可動部材
431によって上流側へのこれらの作用を抑えることで
もリフィル供給性の向上をさらに図っている。
【0059】次に、本構成の更なる特徴的な構造と効果
について、以下に説明する。
【0060】本実施例の第2路部416は、発熱体40
2の上流に発熱体402と実質的に平坦につながる(発
熱体表面が大きく落ち込んでいない)内壁を持つ液体供
給路412を有している。このような場合、気泡発生領
域411および発熱体402の表面への液体の供給は、
可動部材431の気泡発生領域411に近い側の面に沿
って、VD2のように行われる。このため、発熱体40
2の表面上に液体が淀むことが抑制され、液体中に溶存
していた気体の析出や、消泡できずに残ったいわゆる残
留気泡が除去され易く、また、液体への蓄熱が高くなり
すぎることもない。従って、より安定した気泡の発生を
高速に繰り返し行うことができる。なお、本実施例では
実質的に平坦な内壁を持つ液体供給路412を持つもの
で説明したが、これに限らず、発熱体表面となだらかに
繋がり、なだらかな内壁を有する液供給路であればよ
く、発熱体上に液体の淀みや、液体の供給に大きな乱流
を生じない形状であればよい。
【0061】また、気泡発生領域への液体の供給は、可
動部材の側部(スリット435)を介してVD1から行
われるものもある。しかし、気泡発生時の圧力をさらに
有効に吐出口に導くために図13で示すように気泡発生
領域の全体を覆う(発熱体面を覆う)ように大きな可動
部材を用い、可動部材431が第1の位置へ復帰するこ
とで、気泡発生領域411と第1路部414の吐出口に
近い領域との液体の流抵抗が大きくなるような形態の場
合、前述のVD1から気泡発生領域411に向かっての
液体の流れが妨げられる。しかし、本発明のヘッド構造
においては、気泡発生領域に液体を供給するための流れ
VD1があるため、液体の供給性能が非常に高くなり、
可動部材431で気泡発生領域411を覆うような吐出
効率向上を求めた構造を取っても、液体の供給性能を落
とすことがない。
【0062】ところで、可動部材431の自由端432
と支点433の位置は、例えば図13で示されるよう
に、自由端が相対的に支点より下流側にある。このよう
な構成のため、前述した発泡の際に気泡の圧力伝搬方向
や成長方向を吐出口側に導く等の機能や効果を効率よく
実現できるのである。さらに、この位置関係は吐出に対
する機能や効果のみならず、液体の供給の際にも液流路
410を流れる液体に対する流抵抗を小さくしでき高速
にリフィルできるという効果を達成している。これは図
13(D)に示すように、吐出によって後退したメニス
カスMが毛管力により吐出口418へ復帰する際や、消
泡に対しての液供給が行われる場合に、液流路410
(第1路部414、第2路部416を含む)内を流れる
流れB、VD1、VD2に対し、逆らわないように自由
端と支点433とを配置しているためである。
【0063】補足すれば、上述した構成においては、前
述のように可動部材431の自由端432が、発熱体4
02を上流側領域と下流側領域とに2分する面積中心4
03(発熱体の面積中心(中央)を通り液流路の長さ方
向に直交する線)より下流側の位置に対向するように発
熱体402に対して延在している。これによって発熱体
の面積中心位置3より下流側で発生する液体の吐出に大
きく寄与する圧力、又は気泡を可動部材431が受け、
この圧力及び気泡を吐出口側に導くことができ、吐出効
率や吐出力を根本的に向上させることができる。
【0064】さらに、加えて上記気泡の上流側をも利用
して多くの効果を得ている。
【0065】また、上述した構成においては可動部材4
31の自由端が瞬間的な機械的変位を行っていること
も、液体の吐出に対して有効に寄与している考えられ
る。
【0066】次に、本発明の液体吐出ヘッドのうち、特
に分離壁の作製方法について詳しく説明する。
【0067】なお、以下の各実施形態で得られた分離壁
は本発明の液体吐出ヘッドに好適に組み込むことが可能
な部材である。
【0068】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施形態を詳細に説明する。
【0069】図1は本発明の液体吐出ヘッドの一実施形
態における主要構成を説明するための模式的分解斜視図
である。尚、図1では吐出口を備えるオリフィスプレー
トが省略されている。また、図2は、図1の液体吐出ヘ
ッドの要部である吐出口及び液流路部分を示す断面図で
あり、図3は、図1の液体吐出ヘッドの要部を示す部分
模式図である。
【0070】図1〜図3において、1は液体に気泡を発
生させるための熱エネルギーを与える電気熱変換用素子
としての発熱体2が設けられた素子基板である。
【0071】素子基板1には、シリコン等の基体に絶縁
および蓄熱を目的としたSiO2 膜またはSiN膜が成
膜され、更にその上に発熱体2を構成するHfB2 、T
aN、TaAl等の電気抵抗層(0.01〜0.2μm
厚)とAl等の配線電極(0.2〜1.0μm厚)が形
成されている。この配線電極から抵抗層に電圧を印加す
ることにより発熱体2を発熱させる。
【0072】そして、配線電極間の抵抗層(発熱体2)
上には、SiO2 またはSiN等の保護層(0.1〜
2.0μm厚)が設けられ、さらにその上にはTa等の
耐キャビテーション層(0.1〜0.6μm厚)が成膜
されており、インク等の各種の液体から発熱体2を保護
している。
【0073】ここで、気泡の発生、消泡の際に発生する
圧力や衝撃波は非常に強く、堅くてもろい保護層の耐久
性を著しく低下させるため、耐キャビテーション層の材
料としてはTa等の金属材料が好ましく用いられる。
【0074】また、液体、液流路構成、抵抗材料の組み
合わせにより発熱体2上に上述の保護層を必要としない
構成でもよく、このような発熱体2上に保護層を必要と
しない抵抗層の材料としてはIr−Ta−Al合金等が
挙げられる。
【0075】このように、前述の各実施例における発熱
体の構成としては、前述の電極間の抵抗層(発熱部)だ
けででもよく、また抵抗層を保護する保護層を含むもの
でもよい。
【0076】本実施例においては、発熱体として電気信
号に応じて発熱する抵抗層で構成された発熱部を有する
ものを用いたが、これに限られることなく、第1路部中
の液体を吐出させるのに十分な気泡を第2路部中の液体
に生じさせるものであればよい。例えば、発熱部として
レーザ等の光を受けることで発熱するような光熱変換体
や高周波を受けることで発熱するような発熱部を有する
発熱体でもよい。
【0077】なお、素子基板1には、前述の抵抗層とこ
の抵抗層に電気信号を供給するための配線電極で構成さ
れる電気熱変換体(発熱抵抗素子)の他に、この電気熱
変換体を選択的に駆動するためのトランジスタ、ダイオ
ード、ラッチ、シフトレジスタ等の機能素子が一体的に
半導体製造工程によって作り込まれていてもよい。
【0078】発熱体2を備える素子基板1上には、この
発熱体2から発生された熱エネルギーを液体に作用させ
るために底面に発熱体2が形成された液流路の第2路部
4があり、更に第2路部4の上方には吐出口9に直接連
通した液流路の第1路部3が配されている。そして、第
2路部4と第1路部3の間には、金属、樹脂等の弾性を
有する材料で構成された分離壁5が配されており、第2
路部と第1路部とを区分している。
【0079】液流路における発熱体2の発熱体形成面に
対して直交する方向(上方)の投影空間(図1における
第1路部中のAの領域と第2路部中のBの領域)は液体
を吐出するための圧力が働く領域の吐出圧発生領域であ
り、本発明の液体噴射ヘッドでは第2路部中の液体が発
熱体によって加熱されることにより発泡し、この気泡発
生時の気泡成長に伴う圧力が吐出圧発生領域で作用し液
体が吐出される。
【0080】分離壁5のうち、この吐出圧発生領域に位
置する部分には、スリットによって片持梁形状の可動部
6が形成されており、この可動部6は、吐出口9側(流
体流れ方向の下流側であり、図2に向かって左側)に自
由端6aが配され、第1路部3の共通液室10および第
2路部4の共通液室11側に可動部6の支点6bが位置
するように形成されている。
【0081】本発明の液体吐出ヘッドは、第2路部中の
吐出圧発生領域Bに面して分離壁5の可動部6が配され
ているため、可動部6は後述するように第2路部中の液
体の発泡による圧力によって第1路部3側に開口するよ
うに動作する(図1中の矢印方向)。
【0082】可動部6を有する分離壁5を構成する材質
は液流路中の液体に対して耐溶剤性があり、可動部とし
て良好に動作するに十分な弾性を有し、エキシマレーザ
ー加工によって微細なスリットを形成できるものであれ
ば良い。これらの要求を満たす材料としては、ポリエチ
レン、ポリエチレンテレフタレート等のエチル基を有す
る樹脂、ポリアセタール等のアルデヒト基を有する樹
脂、ポリプロピレン等のアルキル基を有する樹脂、ポリ
アミド等のアミド基を有する樹脂、メラミン樹脂等のア
ミノ基を有する樹脂、フェノール樹脂等の水酸基を有す
る樹脂、エポキシ樹脂等のエポキシ基を有する樹脂、キ
シレン樹脂等のメチロール基を有する樹脂、ポリブタジ
エン等のスチレン基を有する樹脂、ポリイミド等のイミ
ド基を有する樹脂、ポリエーテルエーテルケトン等のケ
トン基を有する樹脂、ポリカーボネイト等のカルボキシ
ル基を有する樹脂、ポリウレタン、ポリエーテルサルフ
ォン、ポリアクリレート、ポリサルフォン、液晶ポリマ
ー(LCP)等の近年のエンジニアリングプラスチック
に代表される耐熱性、耐溶剤性、成型性の良好な樹脂、
およびその化合物、もしくは、二酸化珪素、チッ化珪
素、銀、ニッケル、金、鉄、チタン、白金、タンタル、
ステンレスアルミニウム、りん酸銅等の金属、合金およ
びその化合物、もしくは表面にチタンや金をコーティン
グしたものが望ましい。
【0083】また、分離壁5の厚さは、分離壁5に要求
される強度を達成でき、かつ、可動部6として良好に作
動するという観点からその材質と形状等を考慮して決定
すればよいが、大まかに0.5μm〜10μmが望まし
い。
【0084】また、スリットの形状としては図17
(A)に示すように長方形の形状であっても良いし、図
17(B)に示すように支点側が細くなっている形状
や、図17(C)に示すように支点側が広くなっている
形状でも良い。図17(B)の形状は可動部の動作が容
易な形状であり、図17(C)の形状は可動部の耐久性
が向上する形状である。なお、本発明においてはスリッ
トは上述の形状に限らず、第2路部内におさまるもので
あれば良い。
【0085】また、分離壁5と可動部6との間のスリッ
トの幅は、第1路部中の液体と第2路部中の液体とが異
なる液体であり、両液体の混合を防止したい場合は、ス
リット幅を両者の液体間でメニスカスを形成する程度の
間隔とし、それぞれの液体同士の流通を制御すればよ
い。例えば、発泡液として2cP(センチポアズ)程度
の液体を用い、吐出液として100cP以上の液体を用
いた場合には、5μm程度のスリットでも混液を防止す
ることができるが、3μm以下にすることが好ましい。
【0086】スリットをエキシマレーザー照射によって
作成する場合は、分離壁を形成する材料として樹脂の使
用が可能である。
【0087】第2路部4の形状としては、気泡に応じて
生じる圧力が効果的に可動部側に伝えられる形状であれ
ば良いが、第2路部4が発熱体2の上流側(ここでの上
流側とは液室側から発熱体位置、可動部材、第1路部3
を経て吐出口に向う大きな流れの中の上流側のことであ
る。)に狭窄部を持っており、発泡時の圧力が第2路部
の上流側に容易に逃げることを抑制するような室(発泡
室)構造をとることにより、第2路部4で発生した発泡
時の圧力が周囲に逃げることをさらに抑制でき、圧力を
集中して可動部側に向けることができるため、より高い
吐出効率、吐出力を達成することができる。
【0088】また、第2路部4の高さとしては、第2路
部4で発生した気泡の一部が第1路部まで延在するよう
な高さにすることで、気泡が第1路部3まで延在しない
場合に比べ更に吐出力を向上させることができる。この
様に気泡が第1路部3まで延在するようにするために
は、第2路部4の高さを最大気泡の高さより低くするこ
とが望ましく、この高さを数μm〜30μmとすること
が望ましい。
【0089】分離壁5上には吐出口9に連通する第1路
部3が設けられており、この第1路部3は第1路部とな
る第1凹部3aが設けられた溝付天板8を分離壁5に接
合することで形成されている。
【0090】この溝付天板8は、更に吐出口9を有する
オリフィスプレートと液流路に液体を供給するための液
室となる凹部10aを備えている。
【0091】本液体吐出ヘッドによれば、気泡を発生す
る部分である第2路部が吐出口と連通する第1路部と分
離壁によって区分されているため、第2路部中の液体と
第1路部中の液体とを異なるものとすることができる。
本実施例ではこの第2路部と第1路部とを別液体とでき
る2流路構成の液体吐出ヘッドを示している。
【0092】第2の共通液室に液体を供給するための第
2の供給口20と、第1の共通液室に液体を供給するた
めの第1の供給口21とを有している。第1の供給口
は、第2の共通液室の外に配され分離壁を貫通して第1
の共通液室に連通する連通路に繋がっており、この連通
路によって第1路部に供給される液体と混合することな
く第2路部に供給される液体を第1の共通液室に供給す
ることができる。
【0093】このような溝付天板8は、その上部から第
1共通液室15内に到達する第1液体供給路20を有し
ている。また、溝付部材50は、その上部から分離壁3
0を突き抜けて第2共通液室17内に到達する第2の液
体供給路21を有している。
【0094】なお、発熱体2や可動部6の大きさ、形状
および配置は、これに限られることなく、発泡時の圧力
を吐出エネルギーとして有効に利用できる形状および配
置にすればよい。
【0095】本発明においては、分離壁5と第2路部4
の側壁とが一体に形成されているが、別体であってもよ
い。ここで一体とは分離壁5が素子基板1に対して接合
される際に分離壁5と第2路部4の側壁とが1つの部材
になっていることを示すものであって、分離壁材料と第
2路部の側壁となる材料とは同一の材料であっても異な
る材料であっても構わない。本発明では分離壁5と第2
路部4の側壁とが一体に形成されているため分離壁5と
第2路部4の側壁との間に間隙が生じる畏れがなくな
り、液体吐出ヘッドの歩留まりが向上するものである。
また、分離壁5と第2路部4の側壁とを一体に形成する
ことにより分離壁5の第1路部側壁の当接部分に第1路
部壁嵌込み用の嵌合溝を設けることができる。分離壁5
にこの嵌合溝を設けることにより第1路部側壁を有する
溝付天板8を分離壁5に対して容易に位置決めすること
が可能となるだけでなく、溝付天板8が熱膨張した場合
に第1路部3と可動部6との位置ずれを低減することも
できるという効果を有する。
【0096】なお、本発明の説明においては分離壁5と
第2路部4の側壁とが一体に形成されているものを溝付
分離壁と称し、通常の分離壁と区別している。
【0097】次に、本発明の液体吐出ヘッドの要部の組
立方法の一例を説明する。
【0098】図4は、本発明の液体吐出ヘッドの要部を
示す分解斜視図である。本実施形態においては、まず、
素子基板1上に第2部材を形成し、その上に分離壁5を
設置してから天板8を分離壁5に設置し、場合によって
は接着剤で仮止めする。
【0099】次に、これを接合機を用いて、基板1上の
電気熱変換用素子の位置をTVカメラ等によって得られ
た画像上で計測すると共に所定の位置ステージに接着さ
れる天板8を移動させながらその位置を同様に画像上で
計測し、これにより、基板1に設けられた電気熱変換用
素子と天板8に設けられた吐出口9とを位置合わせし、
押さえバネ102により天板8と基板1とを圧着する。
【0100】天板8と基板1の接合方法としては、この
他に加振天接という方法がある。加振天接とは、基板1
上に天板8を大まかに位置合わせし、天板8を上から垂
直に軽く抑える。ベースプレート101の前部底面が当
接している圧電素子に信号を与えることで、基板1に振
動を与える(本実施形態では、約5kHzの矩形波)圧
電素子は振幅約1μmで振動する。時間は約1秒であ
る。振動停止後、押さえバネ102あるいは接着剤等に
て相互に固定する。
【0101】一方、第1の液室10および第2の液室1
1については、封止剤で周囲を封止することで気密性を
保持する。
【0102】
【実施例】以下、図面を参照して本発明の一実施例を説
明する。
【0103】(第1実施例)図5(A)〜(F)は本発
明の液体吐出ヘッドの製造方法の第1の実施例を工程順
に説明するための概略断面図である。
【0104】まず、図5(A)に示すように、発熱抵抗
素子2を備えた素子基板1上に第2部材となる樹脂層1
5を形成する。
【0105】次に、図5(B)に示すように、樹脂層1
5のうち、第2の液流路を構成する第2凹部となるべき
領域に向けてマスク16を介してエキシマレーザー光を
照射した後、図5(C)に示すように露光部分の樹脂を
除去して第2凹部17を形成する。
【0106】次に、図5(D)に示すように、分離壁と
なる樹脂フィルム5を、第2凹部17が形成された第2
部材15上に設置し、図5(E)に示すように、樹脂フ
ィルム5に向けてマスク18を介してエキシマレーザー
光を照射した後、図5(F)に示すように、樹脂フィル
ム5の細長い所定領域の樹脂を除去してスリットSを形
成する。
【0107】本実施例では、第2凹部17および分離壁
5と可動部材6との間のスリットSをエキシマレーザー
光による加工で精密かつ均一な寸法、形状が得られる。
また、マスクを変更することによりこれらの寸法を容易
に変更することができる。
【0108】実施例1で用いたエキシマレーザー光は従
来の一般的な加工用レーザー(YAGレーザーやCO2
レーザーなど)と比較して次のような特徴を有してい
る。
【0109】1)きわめて短波長である。光子エネルギ
ーが大きい(たとえば波長193nmのArFレーザー
光では6.4eV、波長248nmのKrFレーザー光
で4.9eVの量子エネルギーを有する)ので、電子遷
移を利用した光化学反応を効果的に誘起でき、これによ
り加工プロセスの低温化が図れる。
【0110】2)高分解能である。発振波長が短いので
回折広がりが小さく、従って高分解能(<1μm)の加
工も可能となる。
【0111】3)大面積照射が可能である。通常のレー
ザー光と異なり、エキシマレーザー光はきわめて高次の
多重横モード(モード数〜105 )で発振するため、エ
キシマレーザー光の干渉により生じるスペクトルのコン
トラストを低く抑えることができ、マスクを介してのパ
ターン転写などを行った場合において鮮明な像を得るこ
とができる。
【0112】このエキシマレーザー光は紫外光を発振す
ることが可能なレーザー光であり、高強度である,単色
性が良い,指向性がある,短パルス発振できる,レンズ
で集光することでエネルギー密度を非常に大きくできる
などの利点を有する。
【0113】エキシマレーザー光発振器は希ガスとハロ
ゲンの混合気体を放電励起することで、短パルス(15
〜35ns)の紫外光を発振できる装置であり、Kr−
F,Xe−Cl,Ar−Fレーザーがよく用いられる。
これらの発振エネルギーは数100mJ/パルス,パル
ス繰返し周波数は30〜1000Hzである。
【0114】このエキシマレーザー光のような高輝度の
短パルス紫外光を非感光性樹脂表面に照射すると、照射
部分が瞬間的にプラズマ発光と衝撃音を伴って分解,飛
散するAblative Photodecompos
ition(APD)過程が生じ、この過程によって非
感光性樹脂の加工が可能となる。
【0115】(第2実施例)図6(A)〜(F)は本発
明の液体吐出ヘッドの製造方法の第2の実施例を工程順
に説明するための概略断面図である。なお、本実施例に
おける製造工程のうち、図6(A)〜(D)に示す工程
は、先の第1の実施例における製造工程のうち、図5
(A)〜(D)に示した工程と同一であるので、その部
分の説明は省略する。
【0116】本実施例の特徴は、先の第1実施例の場合
よりも可動部材の幅が小さい点にある。すなわち、図6
(E)および(F)に示すように、可動部材6の幅は第
2凹部17の幅よりも小さく形成される。図5(E)お
よび(F)に示すように、先の第1実施例の可動部材6
の幅が第2凹部17の幅よりも大きく形成されていた場
合には、例えばレーザー加工の精度にバラツキが生じて
可動部材の形成位置が第2凹部17内の気泡発生領域の
位置に対してずれてしまった場合に可動部材6の本来発
揮すべき挙動変位が損なわれるおそれがあるが、本実施
例のように可動部材6の幅が小さい場合には、第2凹部
17の範囲が可動部材6の寸法に対して十分に大きいの
で、可動部材に位置ずれが生じても第2凹部の許容範囲
が大きく、可動部材の挙動変位を阻害することがない。
【0117】以上説明したように、本実施例では、レー
ザー加工にバラツキを生じて可動部材の位置が気泡発生
領域に対してずれても、また、可動部材の幅方向の片側
のみが第2凹部にのったとしても、可動部材の挙動変位
を阻害することがないものとなる。また、可動部材と分
離壁との間はレーザーの精度で決まるため、第1流路、
第2流路との実質的な密閉精度も確実なものとなる。
【0118】<吐出液体、発泡液体>先の実施例で説明
したように本発明においては、前述のような可動部材を
有する構成によって、従来の液体吐出ヘッドよりも高い
吐出力や吐出効率でしかも高速に液体を吐出することが
できる。本実施例の内、第1路部中の液体と第2路部中
の液体に同じ液体を用いる場合には、発熱体から加えら
れる熱によって劣化せずに、また加熱によって発熱体上
に堆積物を生じにくく、熱によって気化、凝縮の可逆的
状態変化を行うことが可能であり、さらに液流路や可動
部材や分離壁等を劣化させない液体であれば種々の液体
を用いることができる。
【0119】このような液体の内、記録を行う上で用い
る液体(記録液体)としては従来のバブルジェット装置
で用いられていた組成のインクを用いることができる。
【0120】上述の実施形態の方法によって製造され得
られた液体吐出ヘッドは、第1路部中の液体と第2路部
中の液体とを別液体とし、第2路部中の液体の発泡で生
じた圧力によって第1路部中の液体を吐出することがで
きる。このため従来、熱を加えても発泡が十分に行われ
にくく吐出力が不十分であったポリエチレングリコール
等の高粘度の液体であっても、この液体を第1の液流路
に供給し、第2路部中の液体に発泡が良好に行われる液
体(エタノール:水=4:6の混合液1〜2cP程度
等)を第2路部に供給することで良好に吐出させること
ができる。さらに、本発明の液体吐出ヘッドの構造にお
いては先の実施形態で説明したような効果をも生じさせ
るため、さらに高吐出効率、高吐出圧で高粘性液体を吐
出することができる。
【0121】また、加熱に弱い液体の場合においてもこ
の液体を第1の液流路に第1路部中の液体として供給
し、第2路部で熱的に変質しにくく良好に発泡を生じる
液体を供給すれば、加熱に弱い液体に熱的な害を与える
ことなく、しかも上述のように高吐出効率、高吐出圧で
吐出することができる。
【0122】本発明の2流路構成のヘッドを用い、第1
路部中の液体と第2路部中の液体を別液体とした場合に
は、第2路部中の液体として前述のような性質の液体を
用いればよく、具体的には、メタノール、エタノール、
n−プロパノール、イソプロパノール、n−ヘキサン、
n−ヘプタン、n−オクタン、トルエン、キシレン、二
塩化メチレン、トリクレン、フレオンTF、フレオンB
F、エチルエーテル、ジオキサン、シクロヘキサン、酢
酸メチル、酢酸エチル、アセトン、メチルエチルケト
ン、水等およびこれらの混合物が挙げられる。
【0123】第1路部中の液体としては、発泡性の有
無、熱的性質に関係なく様々な液体を用いることができ
る。また、従来吐出が困難であった発泡性が低い液体、
熱によって変質、劣化しやすい液体や高粘度液体等であ
っても利用できる。
【0124】ただし、第1路部中の液体の性質として第
1路部中の液体自身、又は第2路部中の液体との反応に
よって、吐出や発泡また可動部材の動作等を妨げるよう
な液体でないことが望まれる。
【0125】記録用の第1路部中の液体としては、高粘
度インク等をも利用することができる。その他の第1路
部中の液体としては、熱に弱い医薬品や香水等の液体を
利用することもできる。
【0126】本発明においては、第1路部中の液体と第
2路部中の液体の両方に用いることができる記録液体と
して以下のような組成のインクを用いて記録を行った
が、吐出力の向上によってインクの吐出速度が高くなっ
たため、液滴の着弾精度が向上し非常に良好な記録画像
を得ることができた。
【0127】 染料インク(粘度2cP)の組成 (C.I.フードブラック2)染料 3重量% ジエチレングリコール 10重量% チオジグリコール 5重量% エタノール 5重量% 水 77重量% また、第2路部中の液体と第1路部中の液体に以下で示
すような組成の液体を組み合わせて吐出させて記録を行
った。その結果、従来のヘッドでは吐出が困難であった
十数cPの粘度の液体はもちろん150cPという非常
に高い粘度の液体でさえも良好に吐出でき、高画質な記
録物を得ることができた。
【0128】 発泡液1の組成 エタノール 40重量% 水 60重量% 発泡液2の組成 水 100重量% 発泡液3の組成 イソプロピルアルコール 10重量% 水 90重量% 吐出液1顔料インク(粘度15cP)の組成 カーボンブラック 5重量% スチレン−アクリル酸−アクリル酸エチル共重合体 1重量% (酸価140、重量平均分子量8000) モノエタノールアミン 0.25重量% グリセリン 69重量% チオジグリコール 5重量% エタノール 3重量% 水 16.75重量% 吐出液2(粘度55cP)の組成 ポリエチレングリコール200 100重量% 吐出液3(粘度150cP)の組成 ポリエチレングリコール600 100重量% ところで、前述したような従来吐出されにくいとされて
いた液体の場合には、吐出速度が低いために、吐出方向
性のバラツキが助長され記録紙上のドットの着弾精度が
悪く、また吐出不安定による吐出量のバラツキが生じこ
れらのことで、高品位画像が得にくかった。しかし、上
述の実施例の構成においては、気泡の発生を第2路部中
の液体を用いることで充分に、しかも安定して行うこと
ができる。このことで、液滴の着弾精度向上とインク吐
出量の安定化を図ることができ記録画像品位を著しく向
上することができた。
【0129】<液体吐出ヘッドカートリッジ>次に、上
記実施形態例に係る液体吐出ヘッドを搭載した液体吐出
ヘッドカートリッジを概略説明する。
【0130】図7は、前述した液体吐出ヘッドを含む液
体吐出ヘッドカートリッジの模式的分解斜視図であり、
液体吐出ヘッドカートリッジは、主に液体吐出ヘッド部
200と液体容器80とから概略構成されている。
【0131】液体吐出ヘッド部200は、素子基板1、
分離壁30、溝付部材50、押さえバネ78、液体供給
部材90、支持体70等から成っている。素子基板1に
は、前述のように第2路部中の液体(以下、「発泡用の
液体」とも称す。)に熱を与えるための発熱抵抗体が、
複数個、列状に設けられており、また、この発熱抵抗体
を選択的に駆動するための機能素子が複数設けられてい
る。この素子基板1と可動壁を持つ前述の分離壁30と
の間に第2路部が形成され発泡用の液体が流通する。こ
の分離壁30と溝付天板50との接合によって、吐出用
の液体が流通する第1路部(不図示)が形成される。
【0132】押さえバネ78は、溝付部材50に素子基
板1方向への付勢力を作用させる部材であり、この付勢
力により素子基板1、分離壁30、溝付部材50と、後
述する支持体70とを良好に一体化させている。
【0133】支持体70は、素子基板1等を支持するた
めのものであり、この支持体70上にはさらに素子基板
1に接続し電気信号を供給するための回路基板71や、
装置側と接続することで装置側と電気信号のやりとりを
行うためのコンタクトパッド72が配置されている。
【0134】液体容器90は、液体吐出ヘッドに供給さ
れる、インク等の吐出用の液体たる第1路部中の液体と
気泡を発生させるための発泡用の液体たる第2路部中の
液体とを内部に区分収容している。液体容器90の外側
には、液体吐出ヘッドと液体容器との接続を行う接続部
材を配置するための位置決め部94と接続部を固定する
ための固定軸95が設けられている。吐出用の液体の供
給は、液体容器の吐出用の液体供給路92から接続部材
の供給路84を介して液体供給部材80の吐出用の液体
供給路81に供給され、各部材の吐出用の液体供給路8
3,71,21を介して第1の共通液室に供給される。
発泡用の液体も同様に、液体容器の供給路93から接続
部材の供給路を介して液体供給部材80の発泡用の液体
供給路82に供給され、各部材の発泡用の液体供給路8
4,71,22を介して第2液室に供給される。
【0135】以上の液体吐出ヘッドカートリッジにおい
ては、発泡用の液体と吐出用の液体が異なる液体である
場合も、供給を行いうる供給形態および液体容器で説明
したが、吐出用の液体と発泡用の液体とが同じである場
合には、発泡用の液体と吐出用の液体の供給経路および
容器を分けなくてもよい。
【0136】なお、この液体容器には、各液体の消費後
に液体を再充填して使用してもよい。このためには液体
容器に液体注入口を設けておくことが望ましい。又、液
体吐出ヘッドと液体容器とは一体であってもよく、分離
可能としてもよい。
【0137】<液体吐出装置>図8は、前述の液体噴射
ヘッドを搭載した液体吐出装置の概略構成を示してい
る。本実施例では特に吐出用の液体としてインクを用い
たインク吐出記録装置を用いて説明する液体吐出装置の
キャリッジHCは、インクを収容する液体タンク部90
と液体吐出ヘッド部200とが着脱可能なヘッドカート
リッジを搭載しており、被記録媒体搬送手段で搬送され
る記録紙等の被記録媒体150の幅方向に往復移動す
る。
【0138】不図示の駆動信号供給手段からキャリッジ
上の液体吐出手段に駆動信号が供給されると、この信号
に応じて液体吐出ヘッドから被記録媒体に対して記録液
体が吐出される。
【0139】また、本実施例の液体吐出装置において
は、被記録媒体搬送手段とキャリッジを駆動するための
駆動源としてのモータ111、駆動源からの動力をキャ
リッジに伝えるためのギア112、113、キャリッジ
軸115等を有している。この記録装置及びこの記録装
置で行う液体吐出方法によって、各種の被記録媒体に対
して液体を吐出することで良好な画像の記録物を得るこ
とができた。
【0140】図9は、本発明の液体吐出方法および液体
吐出ヘッドを適用したインク吐出記録を動作させるため
の装置全体のブロック図である。
【0141】記録装置は、ホストコンピュータ300よ
り印字情報を制御信号として受ける。印字情報は印字装
置内部の入力インタフェイス301に一時保存されると
同時に、記録装置内で処理可能なデータに変換され、ヘ
ッド駆動信号供給手段を兼ねるCPU302に入力され
る。CPU302はROM303に保存されている制御
プログラムに基づき、前記CPU302に入力されたデ
ータをRAM304等の周辺ユニットを用いて処理し、
印字するデータ(画像データ)に変換する。
【0142】またCPU302は前記画像データを記録
用紙上の適当な位置に記録するために、画像データに同
期して記録用紙および記録ヘッドを移動する駆動用モー
タを駆動するための駆動データを作る。画像データおよ
びモータ駆動データは、各々ヘッドドライバ307と、
モータドライバ305を介し、ヘッド200および駆動
モータ306に伝達され、それぞれ制御されたタイミン
グで駆動され画像を形成する。
【0143】上述のような記録装置に適用でき、インク
等の液体の付与が行われる被記録媒体としては、各種の
紙やOHPシート、コンパクトディスクや装飾板等に用
いられるプラスチック材、布帛、アルミニュウムや銅等
の金属材、牛皮、豚皮、人工皮革等の皮革材、木、合板
等の木材、竹材、タイル等のセラミックス材、スポンジ
等の三次元構造体等を対象とすることができる。
【0144】また上述の記録装置として、各種の紙やO
HPシート等に対して記録を行うプリンタ装置、コンパ
クトディスク等のプラスチック材に記録を行うプラスチ
ック用記録装置、金属板に記録を行う金属用記録装置、
皮革に記録を行う皮革用記録装置、木材に記録を行う木
材用記録装置、セラミックス材に記録を行うセラミック
ス用記録装置、スポンジ等の三次元網状構造体に対して
記録を行う記録装置、又布帛に記録を行う捺染装置等を
も含むものである。
【0145】またこれらの液体吐出装置に用いる吐出用
の液体としては、夫々の被記録媒体や記録条件に合わせ
た液体を用いればよい。
【0146】<記録システム>次に、本発明の液体吐出
ヘッドを記録ヘッドとして用い被記録媒体に対して記録
を行う、インクジェット記録システムの一例を説明す
る。
【0147】図10は、前述した本発明の液体吐出ヘッ
ド201を用いたインクジェット記録システムの構成を
説明するための模式図である。本実施例における液体吐
出ヘッドは、被記録媒体150の記録可能幅に対応した
長さに360dpiの間隔で吐出口を複数配したフルラ
イン型のヘッドであり、イエロー(Y),マゼンタ
(M),シアン(C),ブラック(Bk)の4色に対応
した4つのヘッドをホルダ202によりX方向に所定の
間隔を持って互いに平行に固定支持されている。
【0148】これらのヘッドに対してそれぞれ駆動信号
供給手段を構成するヘッドドライバ307から信号が供
給され、この信号に基づいて各ヘッドの駆動が成され
る。
【0149】各ヘッドには、吐出用の液体としてY,
M,C,Bkの4色のインクがそれぞれ204a〜20
4dのインク容器から供給されている。なお、符号20
4eは発泡用の液体が蓄えられた発泡用の液体容器であ
り、この容器から各ヘッドに発泡用の液体が供給される
構成になっている。
【0150】また、各ヘッドの下方には、内部にスポン
ジ等のインク吸収部材が配されたヘッドキャップ203
a〜203dが設けられており、非記録時に各ヘッドの
吐出口を覆うことでヘッドの保守を成すことができる。
【0151】符号206は、先の各実施例で説明したよ
うな各種、非記録媒体を搬送するための搬送手段を構成
する搬送ベルトである。搬送ベルト206は、各種ロー
ラにより所定の経路に引き回されており、モータドライ
バ305に接続された駆動用ローラにより駆動される。
【0152】本実施例のインクジェット記録システムに
おいては、記録を行う前後に被記録媒体に対して各種の
処理を行う前処理装置251および後処理装置252を
それぞれ被記録媒体搬送経路の上流と下流に設けてい
る。
【0153】前処理と後処理は、記録を行う被記録媒体
の種類やインクの種類に応じて、その処理内容が異なる
が、例えば、金属、プラスチック、セラミックス等の被
記録媒体に対しては、前処理として、紫外線とオゾンの
照射を行い、その表面を活性化することでインクの付着
性の向上を図ることができる。また、プラスチック等の
静電気を生じやすい被記録媒体においては、静電気によ
ってその表面にゴミが付着しやすく、このゴミによって
良好な記録が妨げられる場合がある。このため、前処理
としてイオナイザ装置を用い被記録媒体の静電気を除去
することで、被記録媒体からごみの除去を行うとよい。
また、被記録媒体として布帛を用いる場合には、滲み防
止、先着率の向上等の観点から布帛にアルカリ性物質、
水溶性物質、合成高分子、水溶性金属塩、尿素およびチ
オ尿素から選択される物質を付与する処理を前処理とし
て行えばよい。前処理としては、これらに限らず、被記
録媒体の温度を記録に適切な温度にする処理等であって
もよい。
【0154】一方、後処理は、インクが付与された被記
録媒体に対して熱処理、紫外線照射等によるインクの定
着を促進する定着処理や、前処理で付与し未反応で残っ
た処理剤を洗浄する処理等を行うものである。
【0155】なお、本実施例では、ヘッドとしてフルラ
インヘッドを用いて説明したが、これに限らず、前述し
たような小型のヘッドを被記録媒体の幅方向に搬送して
記録を行う形態のものであってもよい。
【0156】<ヘッドキット>以下に、本発明の液体吐
出ヘッドを有するヘッドキットを説明する。図11は、
このようなヘッドキットを示した模式図であり、このヘ
ッドキットは、インクを吐出するインク吐出部511を
有する本発明のヘッド510と、このヘッドと不可分も
しくは分離可能な液体容器であるインク容器520と、
このインク容器にインクを充填するためのインクを保持
したインク充填手段とを、キット容器501内に納めた
ものである。
【0157】インクを消費し終わった場合には、インク
容器の大気連通口521やヘッドとの接続部や、もしく
はインク容器の壁に開けた穴などに、インク充填手段の
挿入部(注射針等)531の一部を挿入し、この挿入部
を介してインク充填手段内のインクをインク容器内に充
填すればよい。
【0158】このように、本発明の液体吐出ヘッドと、
インク容器やインク充填手段等を一つのキット容器内に
納めてキットにすることで、インクが消費されてしまっ
ても前述のようにすぐに、また容易にインクをインク容
器内に充填することができ、記録の開始を迅速に行うこ
とができる。
【0159】なお、本実施例のヘッドキットでは、イン
ク充填手段が含まれるもので説明を行ったが、ヘッドキ
ットとしては、インク充填手段を持たず、インクが充填
された分離可能タイプのインク容器とヘッドとがキット
容器510内に納められている形態のものであってもよ
い。
【0160】また、この図11では、インク容器に対し
てインクを充填するインク充填手段のみを示している
が、インク容器の他に発泡用の液体を発泡用の液体容器
に充填するための発泡用の液体充填手段をキット容器内
に納めた形態のものであってもよい。
【0161】本発明は、上述の説明において示された液
体吐出ヘッドは、図2に示したような発熱体2の面に沿
う方向に液流路の一端に吐出口を有する、いわゆるエッ
ジシュータタイプのヘッドに限定されることなく、例え
ば図12に示す発熱体2の面に対向する側に吐出口を有
する、いわゆるサイドシュータタイプのヘッドにも適用
可能である。すなわち、サイドシュータタイプの液体吐
出ヘッドも、例えば本実施形態に示した製造工程を経て
作製することができる。
【0162】図12に示したサイドシュータタイプの液
体吐出ヘッドは、各吐出口ごとに、液体に気泡を発生さ
せるための熱エネルギを与える発熱体2が設けられた基
板1上に、発熱体が底面に配された第2路部4が形成さ
れ、その上方に吐出口9に直接連通した第1路部3が形
成され、第1路部3と第2路部4とは、金属等の弾性を
有する材料で構成された分離壁5が設けられ、第1路部
3内の液体と第2路部4内の液体とが区分されている点
で、上述のエッジシュータタイプの液体吐出ヘッドと同
様である。
【0163】サイドシュータタイプの液体吐出ヘッド
は、上記第1路部3上に配されたオリフィスプレート1
4のうち、発熱体2の直上の部分に吐出口9が設けられ
ている点に特徴がある。この吐出口9と発熱体2との間
の分離壁5には、観音開きに開口する一対の可動部6が
設けられている。すなわち、両可動部6は片持梁形状の
もので、両方の自由端同士は、非吐出時においては、吐
出口9の中央部分の直下に位置するスリットSにより僅
かに離間して対向している。吐出時においては、両可動
部6は、図12中の矢印で示すように、気泡発生する領
域Bにおける液体の発泡によって第1路部3側に開口
し、前記液体の収縮によって閉口する。この領域Aに
は、後述の吐出用の液体タンクから吐出される液体がリ
フィルされて吐出可能状態となり、次の液体の発泡に備
えることができる。
【0164】第1路部3は、他の吐出口9の第2路部と
共に、第2の共通液室10を介して吐出用の液体を貯留
するタンク(図示略)に連絡しており、第2路部4も、
他の吐出口9の第1路部と共に、第1の共通液室11を
介して発泡するための液体を貯留するタンク(図示略)
に連絡している。
【0165】このような構成を有するサイドシュータタ
イプの液体吐出ヘッドにおいても、エッジシュータタイ
プのヘッドとほぼ同様に、吐出される液体のリフィルを
向上させつつ、高吐出エネルギー効率、高吐出圧で液体
を吐出することができるという優れた効果を得ることが
できる。
【0166】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
予め第2凹部が形成され、かつ、分離壁が形成されてい
る第2部材に対してレーザー加工するので、第2凹部間
の気泡発生領域の気泡に対して可動部材が確実に変位で
き、第2凹部が形成上でバラツキがあったとしても、可
動部材は、このバラツキに左右されることなく変位でき
る。
【0167】また、本発明によれば、第2部材の第2凹
部、さらに分離壁の可動部材の加工にエキシマレーザー
を用いるので、第2凹部の幅、分離壁と可動部材との間
のスリット幅等を精密に加工でき、信頼性が高く、安定
した寸法および形状が得られることから、製造歩留まり
が良く、安価な液体吐出ヘッドを提供することができ
る。
【0168】さらに、エキシマレーザー光の照射時に使
用するマスクを変更するだけで、第2凹部および可動部
材の寸法を容易に変更できることから、発熱抵抗素子か
らの熱を受けた液体の発泡による圧力に正確に応答して
変位する可動部材を形成でき、この可動部材の変位によ
り吐出用液体を所望量だけ正確に吐出させることが可能
となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の液体吐出ヘッドの一実施形態における
主要部の構成を説明するための模式的分解図である。
【図2】図1に示した液体吐出ヘッドの主要部である吐
出口および液流路部分を示す断面図である。
【図3】図1に示した液体吐出ヘッドの要部を示す分解
模式図である。
【図4】本発明の液体噴射ヘッドの要部を示す分解斜視
図である。
【図5】(A)〜(F)は本発明の第1の実施例におけ
る分離壁作製工程を示す説明図である。
【図6】(A)〜(F)は本発明の第2の実施例におけ
る分離壁作製工程を示す説明図である。
【図7】本発明の液体吐出ヘッドを搭載した液体吐出ヘ
ッドカートリッジの模式的分解斜視図である。
【図8】本発明の液体吐出ヘッドを搭載した液体吐出装
置の模式図である。
【図9】本発明に適用可能な液体吐出方法及び液体吐出
ヘッドを適用したインク吐出記録を動作させるための装
置全体のブロック図である。
【図10】本発明の液体吐出ヘッドを用いたインクジェ
ット記録システムの構成を説明するための模式的斜視図
である。
【図11】本発明の液体吐出ヘッドを有するヘッドキッ
トを示す模式的平面図である。
【図12】本発明の液体吐出ヘッドのうち、サイドシュ
ータタイプのヘッドの主要構成を示す断面図である。
【図13】(A)〜(D)は本発明に適用可能な新規な
吐出原理を達成する液体噴射ヘッドの一例を示す模式図
である。
【図14】図13(A)〜(D)の液体噴射ヘッドの部
分破断断面図である。
【図15】従来の吐出原理における気泡からの圧力伝搬
の様子を示す模式図である。
【図16】本発明に適用可能な新規な吐出原理における
気泡からの圧力伝搬の様子を示す模式図である。
【図17】分離壁のスリットの形状を示す模式的平面図
である。
【符号の説明】
1 素子基板 2 発熱抵抗素子 3 第1路部(第1の液流路) 4 第2路部(第2の液流路) 5 分離壁 6 可動部材 6a 自由端 6b 支点 7 オリフィスプレート 8 天板 9 吐出口 15 樹脂層 16 マスク 17 第2凹部 18 マスク S スリット
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 樫野 俊雄 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 中田 佳恵 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 吉平 文 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内

Claims (23)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 吐出口に連通する第1の液流路を構成す
    る第1凹部を有する第1部材と、該第1凹部に対して変
    位可能な可動部材を有する分離壁と、該分離壁の前記可
    動部材を変位させるための発熱抵抗素子を備えた第2の
    液流路を構成する第2凹部を有する第2部材と、を有す
    る液体吐出ヘッドの製造方法において、 上記第2凹部が形成されている上記第2部材に対して分
    離壁となる層を有する上記第2部材に対して、上記第2
    凹部に対応して上記可動部材をレーザー加工することで
    形成する工程を有することを特徴とする液体吐出ヘッド
    の製造方法。
  2. 【請求項2】 吐出口に連通する第1の液流路を構成す
    る第1凹部を有する第1部材と、該第1凹部に対して変
    位可能な可動部材を有する分離壁と、該分離壁の前記可
    動部材を変位させるための発熱抵抗素子を備えた第2の
    液流路を構成する第2凹部を有する第2部材と、を有す
    る液体吐出ヘッドの製造方法において、 エキシマレーザーによりパターニングして前記第2凹部
    を形成し、該第2凹部を形成した前記第2部材上に前記
    分離壁となるシート材料を設置し、該シート材料に対し
    てエキシマレーザーによりパターニングして前記発熱抵
    抗素子に対応して前記可動部材を前記シート材料に形成
    することを特徴とする液体吐出ヘッドの製造方法。
  3. 【請求項3】 前記可動部材は前記分離壁にスリットを
    設けることにより形成されることを特徴とする請求項1
    または2に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  4. 【請求項4】 前記分離壁にエキシマレーザーを照射す
    ることで前記可動部材のスリットを形成することを特徴
    とする請求項3記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  5. 【請求項5】 前記分離壁を形成する材料が樹脂である
    ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかの項に記載の
    液体吐出ヘッドの製造方法。
  6. 【請求項6】 前記分離壁となる前記シート材料は樹脂
    フィルムまたは金属フィルムであることを特徴とする請
    求項2記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  7. 【請求項7】 前記発熱抵抗素子は電気信号を受け取る
    ことで熱を発生する電気熱変換体であることを特徴とす
    る請求項1〜6のいずれかの項に記載の液体吐出ヘッド
    の製造方法。
  8. 【請求項8】 吐出口に連通する第1の液流路を構成す
    る第1凹部を有する第1部材と、該第1凹部に対して変
    位可能な可動部材を有する分離壁と、該分離壁の前記可
    動部材を変位させるための発熱抵抗素子を備えた第2の
    液流路を構成する第2凹部を有する第2部材と、を有す
    る液体吐出ヘッドにおいて、 前記第2部材は、エキシマレーザーによるパターニング
    により形成された前記第2凹部を有し、前記分離壁は、
    前記第2部材上に設置されたシート材料に対するエキシ
    マレーザーによるパターニングにより前記シート材料に
    前記可動部材を、前記発熱抵抗素子に対応して形成した
    ことを特徴とする液体吐出ヘッド。
  9. 【請求項9】 前記分離壁はスリットを有し、前記可動
    部材は該スリットにより分離壁と同じ部材で形成されて
    いることを特徴とする請求項8記載の液体吐出ヘッド。
  10. 【請求項10】 請求項8または9に記載の液体吐出ヘ
    ッドと、該液体吐出ヘッドに供給される液体を保持する
    少なくとも1つの液体容器とを有することを特徴とする
    ヘッドカートリッジ。
  11. 【請求項11】 前記液体容器は、第2の液流路に供給
    される液体と第1の液流路に供給される液体とを別々に
    保持するものであることを特徴とする請求項10記載の
    ヘッドカートリッジ。
  12. 【請求項12】 前記液体吐出ヘッドと前記液体容器と
    は、分離可能であることを特徴とする請求項10記載の
    ヘッドカートリッジ。
  13. 【請求項13】 前記液体容器には液体が再充填されて
    いることを特徴とする請求項10〜12のいずれかに記
    載のヘッドカートリッジ。
  14. 【請求項14】 請求項8または9に記載の液体吐出ヘ
    ッドを用いて液体を吐出することを特徴とする液体吐出
    装置。
  15. 【請求項15】 請求項8または9に記載の液体吐出ヘ
    ッドと、該液体吐出ヘッドから液体を吐出させるための
    駆動信号を供給する駆動信号供給手段とを有することを
    特徴とする液体吐出装置。
  16. 【請求項16】 請求項8または9に記載の液体吐出ヘ
    ッドと、該液体吐出ヘッドから吐出された液体を受ける
    被記録媒体を搬送する被記録媒体搬送手段とを有するこ
    とを特徴とする液体吐出装置。
  17. 【請求項17】 前記被記録媒体が皮革であることを特
    徴とする請求項16に記載の液体吐出装置。
  18. 【請求項18】 前記被記録媒体がプラスチックである
    ことを特徴とする請求項16に記載の液体吐出装置。
  19. 【請求項19】 前記被記録媒体が金属であることを特
    徴とする請求項16に記載の液体吐出装置。
  20. 【請求項20】 前記被記録媒体が木材であることを特
    徴とする請求項16に記載の液体吐出装置。
  21. 【請求項21】 請求項8または9に記載の液体吐出ヘ
    ッドと、第1の液流路に供給される液体を充填するため
    の液体充填手段とが設けられたことを特徴とするヘッド
    キット。
  22. 【請求項22】 請求項8または9に記載の液体吐出ヘ
    ッドと、気泡を発生するための第2の液流路に供給され
    る液体を充填するための液体充填手段とが設けられたこ
    とを特徴とするヘッドキット。
  23. 【請求項23】 請求項14〜20のいずれかの項に記
    載の液体吐出装置によって液体として吐出されたインク
    を受けたことを特徴とする記録物。
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