JPH0932197A - 鉄骨有孔梁の補強構造 - Google Patents
鉄骨有孔梁の補強構造Info
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- JPH0932197A JPH0932197A JP18300595A JP18300595A JPH0932197A JP H0932197 A JPH0932197 A JP H0932197A JP 18300595 A JP18300595 A JP 18300595A JP 18300595 A JP18300595 A JP 18300595A JP H0932197 A JPH0932197 A JP H0932197A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 低コストでかつ少ない作業工数で十分な応力
及び剛性となる鉄骨有孔梁の補強構造を得る。 【解決手段】 有孔梁10のウエブ16の一方側に短尺
状のリブプレート18、20がフランジ14から約45
°の傾斜をもって固着され、リブプレート18、20の
一端はフランジ14に固着される。ウエブ16の他方側
にもリブプレート22、24が同様に固着され、リブプ
レート22、24の一端はリブプレート18、20が固
着された付近のフランジ14に固着される。リブプレー
ト18、20、22、24はウエブ16を介して交差か
つ孔12を囲むように位置しており、孔12の有孔部分
の断面欠損による剪断力を約45度でリブプレート及び
トラス効果でフランジからウエブに応力伝達を図って剛
性を確保する。
及び剛性となる鉄骨有孔梁の補強構造を得る。 【解決手段】 有孔梁10のウエブ16の一方側に短尺
状のリブプレート18、20がフランジ14から約45
°の傾斜をもって固着され、リブプレート18、20の
一端はフランジ14に固着される。ウエブ16の他方側
にもリブプレート22、24が同様に固着され、リブプ
レート22、24の一端はリブプレート18、20が固
着された付近のフランジ14に固着される。リブプレー
ト18、20、22、24はウエブ16を介して交差か
つ孔12を囲むように位置しており、孔12の有孔部分
の断面欠損による剪断力を約45度でリブプレート及び
トラス効果でフランジからウエブに応力伝達を図って剛
性を確保する。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鉄骨有孔梁の補強
構造にかかり、特に、耐震耐風構造でかつ孔が穿設され
た鉄骨有孔梁を補強する鉄骨有孔梁の補強構造に関す
る。
構造にかかり、特に、耐震耐風構造でかつ孔が穿設され
た鉄骨有孔梁を補強する鉄骨有孔梁の補強構造に関す
る。
【0002】
【従来の技術】柱と梁との構造部材から構成される構造
体が、極めて希に発生する地震あるいは強風によって大
きな水平力を受ける際、梁の端部を塑性化させることに
よって水平力のエネルギーを吸収する構造方式が一般に
採用されている。
体が、極めて希に発生する地震あるいは強風によって大
きな水平力を受ける際、梁の端部を塑性化させることに
よって水平力のエネルギーを吸収する構造方式が一般に
採用されている。
【0003】一方、建築物では、その建築物の暖冷房、
給排水等の諸設備配管を床下(あるいは天井裏)に配置
することが多く、その際、建築物の階高の有効利用を図
るため、床下(あるいは天井裏)の梁に孔を穿設し、穿
設した孔に上記配管類を通すことが多い。
給排水等の諸設備配管を床下(あるいは天井裏)に配置
することが多く、その際、建築物の階高の有効利用を図
るため、床下(あるいは天井裏)の梁に孔を穿設し、穿
設した孔に上記配管類を通すことが多い。
【0004】梁に孔を穿設した場合、孔を穿設した部分
(有孔部分)の梁の耐荷力が低下するため、従来、孔を
穿設した部分を補強することによって、耐力を保証し
た。
(有孔部分)の梁の耐荷力が低下するため、従来、孔を
穿設した部分を補強することによって、耐力を保証し
た。
【0005】このような従来の補強法は、図12(1)
に示すように、リングプレート102をウエブ104に
穿設された孔106の周囲に固着する方法、図12
(2)に示すように、孔106を囲むようにすると共
に、上下のフランジ114、116に接触するようにス
チフナプレート112を固着する方法が一般に用いられ
ており、補強鉄骨量、加工工数及び溶接量が多かった。
に示すように、リングプレート102をウエブ104に
穿設された孔106の周囲に固着する方法、図12
(2)に示すように、孔106を囲むようにすると共
に、上下のフランジ114、116に接触するようにス
チフナプレート112を固着する方法が一般に用いられ
ており、補強鉄骨量、加工工数及び溶接量が多かった。
【0006】また、同様の穿設された孔の補強構造とし
て、特開平4−258446号公報に記載の技術では図
12(3)に示すように、側部に配管用等の貫通された
孔106を有する建築物の梁鉄骨100を、側面の孔1
06の周囲に孔106を囲むような形状に形成された補
強鉄筋122を固着することによって、上下方向の曲げ
および剪断荷重に対する強度を補強している。
て、特開平4−258446号公報に記載の技術では図
12(3)に示すように、側部に配管用等の貫通された
孔106を有する建築物の梁鉄骨100を、側面の孔1
06の周囲に孔106を囲むような形状に形成された補
強鉄筋122を固着することによって、上下方向の曲げ
および剪断荷重に対する強度を補強している。
【0007】この技術によれば、補強鉄筋122は、建
築資材として用いる鉄筋を利用することによってコスト
を低減することができる。また、補強鉄筋122は、孔
106の補強に好適な形状に簡便に形成でき、かつ梁鉄
骨100への固着作業も簡便であり、作業能率が向上す
る。
築資材として用いる鉄筋を利用することによってコスト
を低減することができる。また、補強鉄筋122は、孔
106の補強に好適な形状に簡便に形成でき、かつ梁鉄
骨100への固着作業も簡便であり、作業能率が向上す
る。
【0008】このように、従来、梁孔が穿設された部分
に両側からドーナツ状のプレートを溶接する方法や、孔
の直径と略同じ外径の短い円形鋼管で構成されたスリー
プを孔に嵌合してウエブに溶接する方法や、フランジの
幅に相当するプレートを斜め交差状に溶接する方法など
により、孔穿設による耐力の低下を補強している。この
補強は、通常、梁に穿設した全ての孔に実施されてお
り、この補強のために鉄骨梁の製作上多くの費用を必要
としている。
に両側からドーナツ状のプレートを溶接する方法や、孔
の直径と略同じ外径の短い円形鋼管で構成されたスリー
プを孔に嵌合してウエブに溶接する方法や、フランジの
幅に相当するプレートを斜め交差状に溶接する方法など
により、孔穿設による耐力の低下を補強している。この
補強は、通常、梁に穿設した全ての孔に実施されてお
り、この補強のために鉄骨梁の製作上多くの費用を必要
としている。
【0009】この問題を解決するため、構造体の地震力
や風力に対する耐力を損なうこと無く、梁に設備配管の
ための孔を無補強で設け、補強に要する費用を減じた、
低コストの鉄骨有孔梁及びこの鉄骨有孔梁を利用した建
造物が提案されている(特開平7−11732号公報参
照)。
や風力に対する耐力を損なうこと無く、梁に設備配管の
ための孔を無補強で設け、補強に要する費用を減じた、
低コストの鉄骨有孔梁及びこの鉄骨有孔梁を利用した建
造物が提案されている(特開平7−11732号公報参
照)。
【0010】図13に示すように、この技術による鉄骨
有孔梁216には、無補強の孔218が複数個穿設さ
れ、鉄骨有孔梁216は両端が柱220と剛接または半
剛接されている。孔218は、地震荷重及び風荷重の少
なくとも一方及び積載荷重が作用して鉄骨有孔梁の有孔
部分の曲げ耐力が作用曲げモーメントと等しくなる時、
有孔部分の剪断耐力が作用剪断力より大きくなる領域内
に穿設されている。これにより、孔を補強しなくとも地
震力や風力に対抗することができる。
有孔梁216には、無補強の孔218が複数個穿設さ
れ、鉄骨有孔梁216は両端が柱220と剛接または半
剛接されている。孔218は、地震荷重及び風荷重の少
なくとも一方及び積載荷重が作用して鉄骨有孔梁の有孔
部分の曲げ耐力が作用曲げモーメントと等しくなる時、
有孔部分の剪断耐力が作用剪断力より大きくなる領域内
に穿設されている。これにより、孔を補強しなくとも地
震力や風力に対抗することができる。
【0011】従って、この技術による鉄骨有孔梁では、
柱と剛接または半剛接された鉄骨有孔梁に地震荷重及び
風荷重の少なくとも一方及び積載荷重が作用して鉄骨有
孔梁の有孔部分の曲げ耐力が作用曲げモーメントと等し
くなる時、有孔部分の剪断耐力が作用剪断力より大きく
なる領域内に穿設された孔は補強されていない。従っ
て、補強のための補強鉄骨量、加工工数及び溶接量を最
小限度に抑制することができ、低コストで鉄骨梁を製作
することができる。
柱と剛接または半剛接された鉄骨有孔梁に地震荷重及び
風荷重の少なくとも一方及び積載荷重が作用して鉄骨有
孔梁の有孔部分の曲げ耐力が作用曲げモーメントと等し
くなる時、有孔部分の剪断耐力が作用剪断力より大きく
なる領域内に穿設された孔は補強されていない。従っ
て、補強のための補強鉄骨量、加工工数及び溶接量を最
小限度に抑制することができ、低コストで鉄骨梁を製作
することができる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記配
管類を通すための孔は、その建物の構造上、任意の位置
に任意の数だけ穿孔することがある。このようなときに
は、穿設した孔が無補強たる位置でない場合がある。す
なわち、上記の技術で規定された領域外に孔を穿設した
場合には補強する必要がある。従って、孔補強のための
補強鉄骨量、加工工数及び溶接量が増加し、鉄骨梁の製
作上多くの費用を必要とする。
管類を通すための孔は、その建物の構造上、任意の位置
に任意の数だけ穿孔することがある。このようなときに
は、穿設した孔が無補強たる位置でない場合がある。す
なわち、上記の技術で規定された領域外に孔を穿設した
場合には補強する必要がある。従って、孔補強のための
補強鉄骨量、加工工数及び溶接量が増加し、鉄骨梁の製
作上多くの費用を必要とする。
【0013】本発明は、上記事実を考慮して、鉄骨梁に
孔を設けた場合であっても低コストでかつ少ない作業工
数で十分な応力及び剛性となる鉄骨有孔梁の補強構造を
得ることが目的である。
孔を設けた場合であっても低コストでかつ少ない作業工
数で十分な応力及び剛性となる鉄骨有孔梁の補強構造を
得ることが目的である。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明は、1対のフランジとウエブとから成る鉄骨梁
のウエブに孔が穿設されかつ柱と剛接または半剛接され
る鉄骨有孔梁の補強構造であって、前記ウエブの一方側
に前記孔を挟んで1組の長尺状の補強プレートからなる
第1補強プレート組の各補強プレートの一端を前記各フ
ランジの前記穿設された孔近傍の部位に固着しかつ当該
各補強プレートの他端が前記ウエブの中腹部分の部位ま
たは中腹部分を越えた部位に位置するように各補強プレ
ートの側部を固着し、前記ウエブの他方側に前記孔を挟
んで1組の長尺状の補強プレートからなる第2補強プレ
ート組が前記第1補強プレート組と第2補強プレート組
の間に前記孔が位置するように固着されると共に、前記
第1補強プレート組の前記フランジの固着部位と対応す
る部位に第2補強プレート組の各補強プレートの一端を
固着しかつ当該各補強プレートの他端が前記第1補強プ
レートの他端部位と対応する部位近傍の部位または当該
部位近傍を越えた部位に位置するように各補強プレート
の側部を固着する、ことを特徴としている。
に本発明は、1対のフランジとウエブとから成る鉄骨梁
のウエブに孔が穿設されかつ柱と剛接または半剛接され
る鉄骨有孔梁の補強構造であって、前記ウエブの一方側
に前記孔を挟んで1組の長尺状の補強プレートからなる
第1補強プレート組の各補強プレートの一端を前記各フ
ランジの前記穿設された孔近傍の部位に固着しかつ当該
各補強プレートの他端が前記ウエブの中腹部分の部位ま
たは中腹部分を越えた部位に位置するように各補強プレ
ートの側部を固着し、前記ウエブの他方側に前記孔を挟
んで1組の長尺状の補強プレートからなる第2補強プレ
ート組が前記第1補強プレート組と第2補強プレート組
の間に前記孔が位置するように固着されると共に、前記
第1補強プレート組の前記フランジの固着部位と対応す
る部位に第2補強プレート組の各補強プレートの一端を
固着しかつ当該各補強プレートの他端が前記第1補強プ
レートの他端部位と対応する部位近傍の部位または当該
部位近傍を越えた部位に位置するように各補強プレート
の側部を固着する、ことを特徴としている。
【0015】本発明の鉄骨有孔梁は、1対のフランジと
ウエブとから成る鉄骨梁のウエブに孔が穿設されかつ柱
と剛接または半剛接される。ウエブの一方側には孔を挟
んで1組の長尺状の補強プレートからなる第1補強プレ
ート組の各補強プレートの一端を各フランジの穿設され
た孔近傍の部位に固着しかつ当該各補強プレートの他端
がウエブの中腹部分の部位または中腹部分を越えた部位
に位置するように各補強プレートの側部を固着する。こ
の補強プレートは、直線的な板状の長尺状のプレート材
を用いることができる。これと共に、ウエブの他方側に
孔を挟んで1組の長尺状の補強プレートからなる第2補
強プレート組が第1補強プレート組と第2補強プレート
組の間に孔が位置するように固着されると共に、第1補
強プレート組の前記フランジの固着部位と対応する部位
に第2補強プレート組の各補強プレートの一端を固着し
かつ当該各補強プレートの他端が第1補強プレートの他
端部位と対応する部位近傍の部位または当該部位近傍を
越えた部位に位置するように各補強プレートの側部を固
着する。
ウエブとから成る鉄骨梁のウエブに孔が穿設されかつ柱
と剛接または半剛接される。ウエブの一方側には孔を挟
んで1組の長尺状の補強プレートからなる第1補強プレ
ート組の各補強プレートの一端を各フランジの穿設され
た孔近傍の部位に固着しかつ当該各補強プレートの他端
がウエブの中腹部分の部位または中腹部分を越えた部位
に位置するように各補強プレートの側部を固着する。こ
の補強プレートは、直線的な板状の長尺状のプレート材
を用いることができる。これと共に、ウエブの他方側に
孔を挟んで1組の長尺状の補強プレートからなる第2補
強プレート組が第1補強プレート組と第2補強プレート
組の間に孔が位置するように固着されると共に、第1補
強プレート組の前記フランジの固着部位と対応する部位
に第2補強プレート組の各補強プレートの一端を固着し
かつ当該各補強プレートの他端が第1補強プレートの他
端部位と対応する部位近傍の部位または当該部位近傍を
越えた部位に位置するように各補強プレートの側部を固
着する。
【0016】ここで、本発明を図面を参照して説明す
る。図1に示すように、上記説明した構成の如く、長尺
状の補強プレートとしてのリブプレートをウエブを介し
て両面に配置する。すなわち、有孔梁10は、孔12を
有するウエブ16とその両側にフランジ14を備えてい
る。そのウエブ16の一方側にリブプレート18、20
がフランジ14から約45°の傾斜をもって固着されて
おり、このリブプレート18、20の一端はフランジ1
4に固着される。ウエブ16の他方側にはリブプレート
22、24がフランジ14から約45°の傾斜をもって
固着されており、このリブプレート22、24の一端は
リブプレート18、20が固着された付近のフランジ1
4に固着される。リブプレート18、20とリブプレー
ト22、24とはウエブ16を介して交差かつ孔12を
囲むように位置している。従って、孔12の有孔部分の
断面欠損による剪断力を所定角度(図1では約45度)
に配置した長尺状のリブプレート及びフランジからトラ
ス効果により無孔部分のウエブに応力伝達を図るととも
に剛性も確保できる。
る。図1に示すように、上記説明した構成の如く、長尺
状の補強プレートとしてのリブプレートをウエブを介し
て両面に配置する。すなわち、有孔梁10は、孔12を
有するウエブ16とその両側にフランジ14を備えてい
る。そのウエブ16の一方側にリブプレート18、20
がフランジ14から約45°の傾斜をもって固着されて
おり、このリブプレート18、20の一端はフランジ1
4に固着される。ウエブ16の他方側にはリブプレート
22、24がフランジ14から約45°の傾斜をもって
固着されており、このリブプレート22、24の一端は
リブプレート18、20が固着された付近のフランジ1
4に固着される。リブプレート18、20とリブプレー
ト22、24とはウエブ16を介して交差かつ孔12を
囲むように位置している。従って、孔12の有孔部分の
断面欠損による剪断力を所定角度(図1では約45度)
に配置した長尺状のリブプレート及びフランジからトラ
ス効果により無孔部分のウエブに応力伝達を図るととも
に剛性も確保できる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施形態の一例を詳細に説明する。
施形態の一例を詳細に説明する。
【0018】本発明の実施形態における応力(剪断力)
の伝達メカニズムを説明する。前提条件として、図1に
示す、ウエブ16のうち無孔部のウエブ16Aから、4
5°の傾斜角を有する補強プレートであるリブプレート
18に剪断力が軸力として伝達され、孔中心位置でフラ
ンジ14を介して、ウエブ反対側に設けたリブプレート
22へ力が伝達され、無孔部16Bに剪断力として力が
伝達される。
の伝達メカニズムを説明する。前提条件として、図1に
示す、ウエブ16のうち無孔部のウエブ16Aから、4
5°の傾斜角を有する補強プレートであるリブプレート
18に剪断力が軸力として伝達され、孔中心位置でフラ
ンジ14を介して、ウエブ反対側に設けたリブプレート
22へ力が伝達され、無孔部16Bに剪断力として力が
伝達される。
【0019】このとき、無孔部の剪断力をQとすると、
有孔部では孔断面積分の剪断力を補強プレートにて負担
し(Q1 )、残りを残存ウエブにて負担する(Q2 )。
孔径をウエブ成の1/2とした場合には、次の式で剪断
力Qを表せる。
有孔部では孔断面積分の剪断力を補強プレートにて負担
し(Q1 )、残りを残存ウエブにて負担する(Q2 )。
孔径をウエブ成の1/2とした場合には、次の式で剪断
力Qを表せる。
【0020】Q=Q1 +Q2 、 Q1 =Q2
【0021】図4には、リブプレート及び有孔部ウエブ
に関する軸歪及び剪断歪についての応力伝達モデルを示
した。上記前提条件上では、リブプレートと共に有孔部
ウエブにおける応力は、図4の予想線ST1 、ST
2 (図4には点線で示した)上をたどり、それぞれが同
時に降伏し、無孔部と同等の剪断耐力を発揮するはずで
ある。しかし、以下に説明する実験から有孔部ウエブの
方がリブプレートよりも効きが良く、有効部ウエブが先
に降伏剪断歪γy に達する(点a)、という知見を得て
いる。また、弾性範囲内に於ける剪断力の分担割合は、
有孔部ウエブが80%、リブプレートが20%である。
に関する軸歪及び剪断歪についての応力伝達モデルを示
した。上記前提条件上では、リブプレートと共に有孔部
ウエブにおける応力は、図4の予想線ST1 、ST
2 (図4には点線で示した)上をたどり、それぞれが同
時に降伏し、無孔部と同等の剪断耐力を発揮するはずで
ある。しかし、以下に説明する実験から有孔部ウエブの
方がリブプレートよりも効きが良く、有効部ウエブが先
に降伏剪断歪γy に達する(点a)、という知見を得て
いる。また、弾性範囲内に於ける剪断力の分担割合は、
有孔部ウエブが80%、リブプレートが20%である。
【0022】有孔部ウエブが降伏すると有孔梁が降伏耐
力Qy となる。そのため、リブプレートによる補強は剪
断力に対して完全補強とはならない。ただし、ウエブに
余力のある通常の梁では、無孔梁の全塑性耐力以上とな
り問題はないと考える。リブプレートは、有孔部ウエブ
が塑性化後、剪断力を負担するとともに、有孔部ウエブ
の局部座屈を拘束し、変形能力を無孔部と同等以上に確
保する効果がある。
力Qy となる。そのため、リブプレートによる補強は剪
断力に対して完全補強とはならない。ただし、ウエブに
余力のある通常の梁では、無孔梁の全塑性耐力以上とな
り問題はないと考える。リブプレートは、有孔部ウエブ
が塑性化後、剪断力を負担するとともに、有孔部ウエブ
の局部座屈を拘束し、変形能力を無孔部と同等以上に確
保する効果がある。
【0023】この鉄骨有孔梁を長尺状のリブプレートに
より補強したときの詳細を説明する。図2に示すよう
に、有孔梁10の各部位について、孔12の直径をΦ、
リブプレートの厚さをtr 、リブプレートの幅をBr 、
フランジ14の板厚をtf 、ウエブ16の板厚をtw 、
フランジ14の幅をB、梁成をHとする。この有孔梁1
0を無開口とした場合の許容剪断力 AQは、次の式
(1)で表すことができる。
より補強したときの詳細を説明する。図2に示すよう
に、有孔梁10の各部位について、孔12の直径をΦ、
リブプレートの厚さをtr 、リブプレートの幅をBr 、
フランジ14の板厚をtf 、ウエブ16の板厚をtw 、
フランジ14の幅をB、梁成をHとする。この有孔梁1
0を無開口とした場合の許容剪断力 AQは、次の式
(1)で表すことができる。
【0024】A Q=tw (H−2tf ) ・fs ・・・(1) 但し、fs :鋼材の許容剪断応力度
【0025】次に開口部の残ウエブの剪断力 AQw は次
の式(2)で表すことができる。A Qw =tw (H−2tf −φ) ・fs ・・・(2)
の式(2)で表すことができる。A Qw =tw (H−2tf −φ) ・fs ・・・(2)
【0026】リブプレートによる剪断力 AQR は、有孔
梁10を無開口とした場合の許容剪断力 AQから残ウエ
ブの剪断力 AQw を減算したものであるため、次の式
(3)で表すことができる。
梁10を無開口とした場合の許容剪断力 AQから残ウエ
ブの剪断力 AQw を減算したものであるため、次の式
(3)で表すことができる。
【0027】A QR = AQ− AQw =tw ・φ・fs ・・・(3)
【0028】ここで、リブプレートの厚さをtr 、幅を
Br 、許容引張応力度をft とすると、次の式(4)に
示す関係を保てば無開口とした場合の許容剪断力を確保
できる。
Br 、許容引張応力度をft とすると、次の式(4)に
示す関係を保てば無開口とした場合の許容剪断力を確保
できる。
【0029】 tr ・Br ・ft ≧tw ・φ・fs ÷sinθ ・・・(4) 但し、30°≦θ≦60°、好ましくは、45°
【0030】図2に示すように45度で配置した場合に
は、 tr ・Br ・ft ≧(tw ・φ・fs )×(√2/2) となる。
は、 tr ・Br ・ft ≧(tw ・φ・fs )×(√2/2) となる。
【0031】また、リブプレートの長さLは、次のよう
にして決定される。なお、孔12の中心を通るリブプレ
ート20の法線位置からリブプレート20の端点までの
距離をLaとする(図2)。図3に示すように、リブプ
レート18とウエブ16とを略垂直にして溶接するとき
溶接部分のウエブからの高さをSとしたとき、のど厚は
S/√2となる。これを溶接条件とすると、リブプレー
トの長さLは次の式(5)で表される関係にある。
にして決定される。なお、孔12の中心を通るリブプレ
ート20の法線位置からリブプレート20の端点までの
距離をLaとする(図2)。図3に示すように、リブプ
レート18とウエブ16とを略垂直にして溶接するとき
溶接部分のウエブからの高さをSとしたとき、のど厚は
S/√2となる。これを溶接条件とすると、リブプレー
トの長さLは次の式(5)で表される関係にある。
【0032】
【数1】
【0033】また、トラス効果を考慮してリブプレート
は梁の中央部まで至り、ウエブ16を介してリブプレー
トは交差するものとする。この条件は次の式(6)で表
せる。
は梁の中央部まで至り、ウエブ16を介してリブプレー
トは交差するものとする。この条件は次の式(6)で表
せる。
【0034】 L・sinθ≧(H−2tf )/2 ・・・(6)
【0035】以上説明した上記の式(4)、(5)、
(6)の条件を満たすようにすれば、変形能力を無孔部
と同等以上に確保できる有孔梁を提供できる。
(6)の条件を満たすようにすれば、変形能力を無孔部
と同等以上に確保できる有孔梁を提供できる。
【0036】なお、上記フランジ14にリブプレート1
8を溶接するときには、つぎのようにすれば、開先加工
が不要になる。図5に示すように、フランジ14に裏あ
て17を固着し、リブプレート18をフランジ14から
空間を有して位置させる。そして、この裏あて17、リ
ブプレート18及びフランジ14の空間を埋めるように
溶接し溶接部19を形成する。この場合の溶接部材は、
鋼材と同等以上の耐力を発揮できるようにするものとす
る。
8を溶接するときには、つぎのようにすれば、開先加工
が不要になる。図5に示すように、フランジ14に裏あ
て17を固着し、リブプレート18をフランジ14から
空間を有して位置させる。そして、この裏あて17、リ
ブプレート18及びフランジ14の空間を埋めるように
溶接し溶接部19を形成する。この場合の溶接部材は、
鋼材と同等以上の耐力を発揮できるようにするものとす
る。
【0037】次に、貫通孔を有する梁を補強するにあた
り、図6に示す、BH−800×250×14×25の
H型材に400mmの孔を穿設した場合の、リブプレー
トの各寸法の導出を説明する。
り、図6に示す、BH−800×250×14×25の
H型材に400mmの孔を穿設した場合の、リブプレー
トの各寸法の導出を説明する。
【0038】リブプレートは、貫通孔によるウエブの断
面欠損による剪断力見合いの板厚とする。
面欠損による剪断力見合いの板厚とする。
【0039】断面欠損による剪断力Q1 (リブプレート
による剪断力 AQR )は、上記の式(3)から次のよう
にして求まる。
による剪断力 AQR )は、上記の式(3)から次のよう
にして求まる。
【0040】 Q1 =1.4×40×(2.4/√3)=77.6t 次に、リブプレートの厚さは、(a)リブプレートをフ
ランジ面と突合せ溶接して補強する場合(図7(1)参
照)、(b)リブプレートをフランジ面とすみ肉溶接し
て補強する場合(図7(2)参照)とで異なるので別個
に演算する。
ランジ面と突合せ溶接して補強する場合(図7(1)参
照)、(b)リブプレートをフランジ面とすみ肉溶接し
て補強する場合(図7(2)参照)とで異なるので別個
に演算する。
【0041】(a)リブプレートをフランジ面と突合せ
溶接して補強する場合、リブプレートの幅b1 は、次の
ようにして求まる。
溶接して補強する場合、リブプレートの幅b1 は、次の
ようにして求まる。
【0042】 b1 =(250−14)/2=118mm リブプレートの厚さt1 は、上記の式(4)から次のよ
うにして求まる。
うにして求まる。
【0043】
【数2】
【0044】従って、リブプレートをフランジ面と突合
せ溶接して補強する場合のリブプレートの厚さは10.
6mm以上であればよく、既存の12mmの材料を用い
ればよいことになる。
せ溶接して補強する場合のリブプレートの厚さは10.
6mm以上であればよく、既存の12mmの材料を用い
ればよいことになる。
【0045】(b)リブプレートをフランジ面とすみ肉
溶接して補強する場合、リブプレートの幅b2 は、次の
ようにして求まる。
溶接して補強する場合、リブプレートの幅b2 は、次の
ようにして求まる。
【0046】 b2 =(250−14)/2 −15=103mm リブプレートの厚さt1 は、上記の式(4)から次のよ
うにして求まる。
うにして求まる。
【0047】
【数3】
【0048】従って、リブプレートをフランジ面と突合
せ溶接して補強する場合のリブプレートの厚さは11.
1mm以上であればよく、既存の12mmの材料を用い
ればよいことになる。
せ溶接して補強する場合のリブプレートの厚さは11.
1mm以上であればよく、既存の12mmの材料を用い
ればよいことになる。
【0049】次に、リブプレートの長さL1 (図2の長
さLaに相当)は、溶接強度の条件から次の関係が求ま
る。なお、リブプレート18とウエブ16とを略垂直に
して溶接するとき溶接部分のウエブからの高さSを9m
mとし、のど厚は7mmであるものとする(図3参
照)。
さLaに相当)は、溶接強度の条件から次の関係が求ま
る。なお、リブプレート18とウエブ16とを略垂直に
して溶接するとき溶接部分のウエブからの高さSを9m
mとし、のど厚は7mmであるものとする(図3参
照)。
【0050】
【数4】
【0051】以上のことにより、製造の容易性から29
cmとすればよい。
cmとすればよい。
【0052】次に、梁端部に大口径貫通孔を有する梁の
塑性変形性能を説明する。上記では、鉄骨梁の有孔部の
補強方法として、孔の位置に関わらず有孔部で耐力や塑
性変形能力が決まらないように有孔部を補強する補強構
造について説明した。以下、上記で説明した補強構造に
ついて、スティフナープレート補強形式を採用した場合
の具体例、及びその有効性を検討した。
塑性変形性能を説明する。上記では、鉄骨梁の有孔部の
補強方法として、孔の位置に関わらず有孔部で耐力や塑
性変形能力が決まらないように有孔部を補強する補強構
造について説明した。以下、上記で説明した補強構造に
ついて、スティフナープレート補強形式を採用した場合
の具体例、及びその有効性を検討した。
【0053】(試験体)図8には、本発明の実施形態に
用いた試験体を示し、図8(1)に無孔の試験体FW、
図8(2)に有孔の試験体OWST、を示した。有孔の
試験体OWSTには、スティフナ厚が6mmで孔の直径
が162.5mmの試験体OWST1、スティフナ厚が
9mmで孔の直径が162.5mmの試験体OWST
2、スティフナ厚が6mmで孔の直径が190.0mm
の試験体OWST3がある。これらの関係を次の表1に
試験体の主要寸法一覧として示した。
用いた試験体を示し、図8(1)に無孔の試験体FW、
図8(2)に有孔の試験体OWST、を示した。有孔の
試験体OWSTには、スティフナ厚が6mmで孔の直径
が162.5mmの試験体OWST1、スティフナ厚が
9mmで孔の直径が162.5mmの試験体OWST
2、スティフナ厚が6mmで孔の直径が190.0mm
の試験体OWST3がある。これらの関係を次の表1に
試験体の主要寸法一覧として示した。
【0054】
【表1】
【0055】補強のためのスティフナープレートは45
°の傾斜角を有して溶接され、このスティフナープレー
トがトラスを構成し、剪断力を軸力として伝達する。こ
のとき有孔部の断面積欠損分が負担する剪断力 hQ
w は、上記で説明したように、スティフナープレートが
負担するとし、剪断力に対し無効部分と同等の性能を保
持する。スティフナープレートはウエブを挟んで交互に
配置した(図中実線は手前)。孔位置は試験体すべて梁
端から3/4Hとした。パラメータとしてスティフナー
プレート板厚と孔径を採用した。なお、次の表2には各
材料の機械的性質を示した。
°の傾斜角を有して溶接され、このスティフナープレー
トがトラスを構成し、剪断力を軸力として伝達する。こ
のとき有孔部の断面積欠損分が負担する剪断力 hQ
w は、上記で説明したように、スティフナープレートが
負担するとし、剪断力に対し無効部分と同等の性能を保
持する。スティフナープレートはウエブを挟んで交互に
配置した(図中実線は手前)。孔位置は試験体すべて梁
端から3/4Hとした。パラメータとしてスティフナー
プレート板厚と孔径を採用した。なお、次の表2には各
材料の機械的性質を示した。
【0056】
【表2】
【0057】上記の試験体を用いて各種実験を行った。 (荷重・変形関係)図9には、スティフナープレートに
より補強された有孔梁を含む各試験体の荷重一変形関係
を示した。図中実線は無孔の試験体FWを示し、1点鎖
線は試験体OWST1を示し、2点鎖線は試験体OWS
T2を示し、点線は試験体OWST3を示す。有孔の試
験体OWST1〜OWST3の全塑性耐力 cPp はすべ
て試験体FWのそれとほぼ同等の値を示している。最大
耐力は試験体OWST2(図9の最大耐力P2 で27.
7t)、試験体OWST1(図9の最大耐力P1 で2
7.0t)、試験体OWST3(図9の最大耐力P3 で
25.6t)の順に低下している。無孔の試験体の最大
耐力は図9から理解されるように27.3tを示してお
り、試験体OWST2、OWST1が無孔の試験体と同
等の耐力を有している。一方、試験体OWST3の最大
耐力は試験体FWの耐力をやや下回った。最大耐力時の
塑性率は、スティフナープレートによりウエブの局部座
屈が拘束されたため、有孔の試験体OWST1〜OWS
T3はすべて無孔の試験体FWと同等以上の値を示し、
スティフナープレートによる補強効果が得られるという
知見を得た。
より補強された有孔梁を含む各試験体の荷重一変形関係
を示した。図中実線は無孔の試験体FWを示し、1点鎖
線は試験体OWST1を示し、2点鎖線は試験体OWS
T2を示し、点線は試験体OWST3を示す。有孔の試
験体OWST1〜OWST3の全塑性耐力 cPp はすべ
て試験体FWのそれとほぼ同等の値を示している。最大
耐力は試験体OWST2(図9の最大耐力P2 で27.
7t)、試験体OWST1(図9の最大耐力P1 で2
7.0t)、試験体OWST3(図9の最大耐力P3 で
25.6t)の順に低下している。無孔の試験体の最大
耐力は図9から理解されるように27.3tを示してお
り、試験体OWST2、OWST1が無孔の試験体と同
等の耐力を有している。一方、試験体OWST3の最大
耐力は試験体FWの耐力をやや下回った。最大耐力時の
塑性率は、スティフナープレートによりウエブの局部座
屈が拘束されたため、有孔の試験体OWST1〜OWS
T3はすべて無孔の試験体FWと同等以上の値を示し、
スティフナープレートによる補強効果が得られるという
知見を得た。
【0058】(剪断力の伝達メカニズム)図10には、
試験体OWST1〜OWST3におけるスティフナープ
レートの荷重と軸歪の関係を示した。図10(1)は一
方のウエブ側(表面)に固着されたスティフナープレー
トの荷重と軸歪の関係を示し、図10(2)は他方のウ
エブ側(裏面)に固着されたスティフナープレートの荷
重と軸歪の関係を示している。縦軸は梁端の全塑性モー
メント時の荷重PP で、横軸をその時のスティフナープ
レートの弾性軸歪で除算し無次元化した値を用いてい
る。図中の直線SSは演算により求めた予想値である。
図から理解されるように、初期の弾性域ではスティフナ
ープレートの軸歪は予想値より歪みが小さく、また荷重
PP を超えたあとに降伏軸歪に到達している。
試験体OWST1〜OWST3におけるスティフナープ
レートの荷重と軸歪の関係を示した。図10(1)は一
方のウエブ側(表面)に固着されたスティフナープレー
トの荷重と軸歪の関係を示し、図10(2)は他方のウ
エブ側(裏面)に固着されたスティフナープレートの荷
重と軸歪の関係を示している。縦軸は梁端の全塑性モー
メント時の荷重PP で、横軸をその時のスティフナープ
レートの弾性軸歪で除算し無次元化した値を用いてい
る。図中の直線SSは演算により求めた予想値である。
図から理解されるように、初期の弾性域ではスティフナ
ープレートの軸歪は予想値より歪みが小さく、また荷重
PP を超えたあとに降伏軸歪に到達している。
【0059】また、図11には有孔部上下に3軸ゲージ
を貼付したときにこの3軸ゲージの測定値より算定した
剪断歪を示す。図11(1)は一方のウエブ側(表面)
に固着されたスティフナープレートの荷重と剪断歪の関
係を示し、図11(2)は他方のウエブ側(裏面)に固
着されたスティフナープレートの荷重と剪断歪の関係を
示している。縦軸は図10と同様に梁端の全塑性モーメ
ント時の荷重PP で、横軸をその時の弾性剪断歪で除算
し無次元化した値を用いている。なお、剪断歪は断面内
で矩形として分布するものとした。有孔部の剪断歪は予
想値を上回る値で増加し、荷重PP に到達する以前に降
伏している。
を貼付したときにこの3軸ゲージの測定値より算定した
剪断歪を示す。図11(1)は一方のウエブ側(表面)
に固着されたスティフナープレートの荷重と剪断歪の関
係を示し、図11(2)は他方のウエブ側(裏面)に固
着されたスティフナープレートの荷重と剪断歪の関係を
示している。縦軸は図10と同様に梁端の全塑性モーメ
ント時の荷重PP で、横軸をその時の弾性剪断歪で除算
し無次元化した値を用いている。なお、剪断歪は断面内
で矩形として分布するものとした。有孔部の剪断歪は予
想値を上回る値で増加し、荷重PP に到達する以前に降
伏している。
【0060】上記で(図4を参照して)説明したよう
に、スティフナープレート軸歪および有孔部ウエブの剪
断歪が図4に示す予想線ST1 、ST2 上を辿るとする
と、ウエブが先に降伏し、その後スティフナープレート
が降伏に達し無孔部と同等の以上の剪断力を発揮すると
考えられる。しかし、実際に剪断力が伝達される割合
は、有孔部ウエブでは予想値より大きく補強スティフナ
ープレートでは小さくなる。そのため有孔部ウエブが補
強スティフナープレートより先に降伏歪に達し、その後
補強スティフナープレートに剪断力が流れ降伏軸歪に達
している。ここで有孔部のウエブが降伏剪断歪に到達し
た時を有孔梁の降伏剪断耐力Qy と考える。そのとき本
来スティフナープレートが負担すべき剪断力は有孔部欠
損部分剪断耐力 hQw である。実際にスティフナープレ
ートが負担した剪断力Qstとの割合αをとすると、降伏
剪断耐力Qy は次式(7)で表すことができる。
に、スティフナープレート軸歪および有孔部ウエブの剪
断歪が図4に示す予想線ST1 、ST2 上を辿るとする
と、ウエブが先に降伏し、その後スティフナープレート
が降伏に達し無孔部と同等の以上の剪断力を発揮すると
考えられる。しかし、実際に剪断力が伝達される割合
は、有孔部ウエブでは予想値より大きく補強スティフナ
ープレートでは小さくなる。そのため有孔部ウエブが補
強スティフナープレートより先に降伏歪に達し、その後
補強スティフナープレートに剪断力が流れ降伏軸歪に達
している。ここで有孔部のウエブが降伏剪断歪に到達し
た時を有孔梁の降伏剪断耐力Qy と考える。そのとき本
来スティフナープレートが負担すべき剪断力は有孔部欠
損部分剪断耐力 hQw である。実際にスティフナープレ
ートが負担した剪断力Qstとの割合αをとすると、降伏
剪断耐力Qy は次式(7)で表すことができる。
【0061】 Qy =Qwy+α hQw ・・・(7) 但し、Qwy:有孔部ウエブの降伏剪断耐力
【0062】表3には各試験体の割合αと降伏剪断耐力
Qy の関係を示した。これによればスティフナープレー
トの負担剪断力Qstは有孔部断面欠損部分の剪断力 hQ
w の16.8〜22.8%を示し、剪断力に対して完全
補強にはならない。そのためスティフナープレート補強
形式では通常の梁のような作用剪断力に対するウエブの
余力はないが、本実験では図9の荷重・変形関係におい
てもスティフナープレート形式の有孔梁の全塑性耐力は
無孔梁とあまり差が見られなかった。
Qy の関係を示した。これによればスティフナープレー
トの負担剪断力Qstは有孔部断面欠損部分の剪断力 hQ
w の16.8〜22.8%を示し、剪断力に対して完全
補強にはならない。そのためスティフナープレート補強
形式では通常の梁のような作用剪断力に対するウエブの
余力はないが、本実験では図9の荷重・変形関係におい
てもスティフナープレート形式の有孔梁の全塑性耐力は
無孔梁とあまり差が見られなかった。
【0063】
【表3】
【0064】(変形能力と耐力上昇率)表4には変形能
力と耐力上昇率および耐力保持率を示した。変形能力で
はすべての試験体で最大荷重時、90%耐力時ともに無
孔の試験体FWの塑性変形能力を上回っている。有孔の
試験体では全塑性耐力 ePp は無孔の試験体を若干下回
るが、全塑性耐力後にスティフナープレートがウエブの
局部座屈を拘束し最大耐力が上昇したため、耐力上昇率
は塑性変形能力と同様に無孔の試験体の値を上回り、ス
ティフナープレートの補強効果が伺える。試験体FWの
耐力との比を示す耐力保持率は、全塑性耐力 ePp 時で
は有孔の試験体OWST1〜OWST3はすべて無孔の
試験体FWをやや下回っている。これは弾性挙動時にお
ける有孔部の剪断力の分担の影響によるものであり、有
孔部ウエブが降伏する時点の耐力に相当する。
力と耐力上昇率および耐力保持率を示した。変形能力で
はすべての試験体で最大荷重時、90%耐力時ともに無
孔の試験体FWの塑性変形能力を上回っている。有孔の
試験体では全塑性耐力 ePp は無孔の試験体を若干下回
るが、全塑性耐力後にスティフナープレートがウエブの
局部座屈を拘束し最大耐力が上昇したため、耐力上昇率
は塑性変形能力と同様に無孔の試験体の値を上回り、ス
ティフナープレートの補強効果が伺える。試験体FWの
耐力との比を示す耐力保持率は、全塑性耐力 ePp 時で
は有孔の試験体OWST1〜OWST3はすべて無孔の
試験体FWをやや下回っている。これは弾性挙動時にお
ける有孔部の剪断力の分担の影響によるものであり、有
孔部ウエブが降伏する時点の耐力に相当する。
【0065】
【表4】
【0066】以上説明したように、有孔梁にスティフナ
ープレートによって補強を施し、その補強による有効性
を検討した。本発明の実施の形態で用いたスティフナー
プレートによる補強は剪断力に対する初期分担が小さい
ため、先に有孔部ウエブが剪断降伏する。このときステ
ィフナープレートが負担する剪断力は、欠損断面積分に
作用するであろう剪断力の20%程度である。スティフ
ナープレートは有孔部ウエブの局部座屈を拘束するた
め、塑性変形能力は無孔梁の性能と同等の性能を確保で
き、穿設された孔が存在しても十分に補強することがで
きるという効果がある。また、上記のような構造として
いるので補強をするためのリブプレートの鉄骨量・加工
工数・溶接量が少なくなりコスト低減となる。
ープレートによって補強を施し、その補強による有効性
を検討した。本発明の実施の形態で用いたスティフナー
プレートによる補強は剪断力に対する初期分担が小さい
ため、先に有孔部ウエブが剪断降伏する。このときステ
ィフナープレートが負担する剪断力は、欠損断面積分に
作用するであろう剪断力の20%程度である。スティフ
ナープレートは有孔部ウエブの局部座屈を拘束するた
め、塑性変形能力は無孔梁の性能と同等の性能を確保で
き、穿設された孔が存在しても十分に補強することがで
きるという効果がある。また、上記のような構造として
いるので補強をするためのリブプレートの鉄骨量・加工
工数・溶接量が少なくなりコスト低減となる。
【0067】また、本発明者は、従来のリングプレート
による補強(図12(1)の補強方法)と、本発明の実
施の形態による補強(図1等)とについて、補強のため
に鉄骨梁を補強するために必要な製作上の費用の試算を
行い、次の結果を得た。
による補強(図12(1)の補強方法)と、本発明の実
施の形態による補強(図1等)とについて、補強のため
に鉄骨梁を補強するために必要な製作上の費用の試算を
行い、次の結果を得た。
【0068】(試算)梁成:700、孔径:350 リングプレートによる補強 100% 本発明の実施の形態による補強方法 65%
【0069】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、フ
ランジに固着されたリブプレートにより、有孔梁の応力
・剛性を無開口梁と同等とすることができ、鉄骨梁に孔
を設けた場合であっても低コストでかつ少ない作業工数
で十分な応力及び剛性となる鉄骨有孔梁を得ることがで
きる、という効果がある。
ランジに固着されたリブプレートにより、有孔梁の応力
・剛性を無開口梁と同等とすることができ、鉄骨梁に孔
を設けた場合であっても低コストでかつ少ない作業工数
で十分な応力及び剛性となる鉄骨有孔梁を得ることがで
きる、という効果がある。
【図1】本発明の鉄骨有孔梁の補強構造の一例を示す概
略構成図である。
略構成図である。
【図2】鉄骨有孔梁の概略構成を示す線図である。
【図3】リブプレートとウエブとの溶接部分の構成を示
す線図である。
す線図である。
【図4】リブプレートとウエブに関する軸歪及び剪断歪
みのモデル図である。
みのモデル図である。
【図5】リブプレートとフランジとの位置関係を示す線
図である。
図である。
【図6】鉄骨有孔梁の概略構成を示す線図である。
【図7】(1)は突合せ溶接補強のリブプレートとフラ
ンジとの関係、(2)はすみ肉溶接補強のリブプレート
とフランジとの関係を示すイメージ図である。
ンジとの関係、(2)はすみ肉溶接補強のリブプレート
とフランジとの関係を示すイメージ図である。
【図8】(1)は無孔の試験体、(2)は有孔の試験体
を示す概略構成図である。
を示す概略構成図である。
【図9】試験体の荷重と変形度との関係を示す特性図で
ある。
ある。
【図10】スティフナープレートの荷重と軸歪との関係
を示す特性図である。
を示す特性図である。
【図11】ウエブの剪断歪を示す特性図である。
【図12】従来の鉄骨有孔梁の補強構造の一例を示す概
略構成図である。
略構成図である。
【図13】従来の鉄骨有孔梁の補強構造の一例を示す概
略構成図である。
略構成図である。
10 鉄骨有孔梁 12 孔 14 フランジ 16 ウエブ 18 リブプレート
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 野上 邦宏 東京都中央区銀座8丁目21番1号 株式会 社竹中工務店東京本店内 (72)発明者 伊藤 武司 東京都中央区銀座8丁目21番1号 株式会 社竹中工務店東京本店内 (72)発明者 岩間 和博 東京都中央区銀座8丁目21番1号 株式会 社竹中工務店東京本店内 (72)発明者 宇佐美 徹 千葉県印旛郡印西町大塚1丁目5番 株式 会社竹中工務店技術研究所内
Claims (1)
- 【請求項1】 1対のフランジとウエブとから成る鉄骨
梁のウエブに孔が穿設されかつ柱と剛接または半剛接さ
れる鉄骨有孔梁の補強構造であって、 前記ウエブの一方側に前記孔を挟んで1組の長尺状の補
強プレートからなる第1補強プレート組の各補強プレー
トの一端を前記各フランジの前記穿設された孔近傍の部
位に固着しかつ当該各補強プレートの他端が前記ウエブ
の中腹部分の部位または中腹部分を越えた部位に位置す
るように各補強プレートの側部を固着し、 前記ウエブの他方側に前記孔を挟んで1組の長尺状の補
強プレートからなる第2補強プレート組が前記第1補強
プレート組と第2補強プレート組の間に前記孔が位置す
るように固着されると共に、前記第1補強プレート組の
前記フランジの固着部位と対応する部位に第2補強プレ
ート組の各補強プレートの一端を固着しかつ当該各補強
プレートの他端が前記第1補強プレートの他端部位と対
応する部位近傍の部位または当該部位近傍を越えた部位
に位置するように各補強プレートの側部を固着する、 ことを特徴とする鉄骨有孔梁の補強構造。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP18300595A JPH0932197A (ja) | 1995-07-19 | 1995-07-19 | 鉄骨有孔梁の補強構造 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP18300595A JPH0932197A (ja) | 1995-07-19 | 1995-07-19 | 鉄骨有孔梁の補強構造 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0932197A true JPH0932197A (ja) | 1997-02-04 |
Family
ID=16128087
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP18300595A Pending JPH0932197A (ja) | 1995-07-19 | 1995-07-19 | 鉄骨有孔梁の補強構造 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0932197A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2003232105A (ja) * | 2001-12-04 | 2003-08-22 | Hitachi Metals Ltd | 梁補強金具およびこれを用いた梁貫通孔補強構造 |
JP2012012798A (ja) * | 2010-06-30 | 2012-01-19 | Okabe Co Ltd | 鋼製梁の貫通孔用補強部材およびその貫通孔補強構造 |
JP2016164327A (ja) * | 2015-03-06 | 2016-09-08 | Jfeスチール株式会社 | 異径管の接合構造 |
TWI568913B (zh) * | 2014-07-01 | 2017-02-01 | Senqcia Corp | Liang Buqiang Metal Parts and Beam Reinforcement Structure |
-
1995
- 1995-07-19 JP JP18300595A patent/JPH0932197A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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