JPH09318867A - カメラの測距装置 - Google Patents

カメラの測距装置

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JPH09318867A
JPH09318867A JP8136380A JP13638096A JPH09318867A JP H09318867 A JPH09318867 A JP H09318867A JP 8136380 A JP8136380 A JP 8136380A JP 13638096 A JP13638096 A JP 13638096A JP H09318867 A JPH09318867 A JP H09318867A
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JP
Japan
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lens
housing
lenses
distance measuring
sensor
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JP8136380A
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English (en)
Inventor
Hidenori Miyamoto
英典 宮本
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Nikon Corp
Original Assignee
Nikon Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 温度、湿度の周囲環境が変化し、樹脂成形品
である測距用レンズやこれらを保持するハウジングが膨
張、収縮しても、所期の測距精度を維持する。 【解決手段】 測距用の一対のレンズ11,12と、こ
れら各レンズの結像面上に配置させるセンサ面13a,
13bを有する測距用回路基板14とを所定の間隔をお
いて保持するハウジング15とを備える。このハウジン
グを、導電性熱硬化型樹脂で成形する。前記一対のレン
ズをそれぞれ独立した部品として構成し、かつハウジン
グのそれぞれのレンズ取付部に、対をなす位置決め用ボ
ス21a〜21d、22a〜22dを少なくとも一組づ
つ設ける。位置決め用ボスの対をなすものを結ぶ線をレ
ンズ光軸を横切るように設ける。これらの位置決め用ボ
スに対向し各ボスが係合する係合穴23a〜23d、2
4a〜24dを、レンズに、各レンズの光軸を中心とし
て放射方向に長い穴形状に形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、被写体までの距離
を測定しこれに対応して撮影光学系を合焦動作させるた
めの電気信号を得る測距モジュールと呼ばれる焦点検出
用の光学系ユニットを備えたカメラの測距装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】この種のカメラの測距装置として従来か
ら様々な形式のものが提案されているが、いずれの形式
のものも主要な構成は略同じである。すなわち、この種
の測距装置は、被写体像または投光像を結像させるため
の一対の撮像レンズと、これら各撮像レンズの結像位置
に配置した像検出用センサと、これらの光学的な位置関
係を所定の間隔で保って保持するための保持部材である
ハウジングとからなる焦点検出用の光学系ユニットを備
えている。
【0003】たとえば特開平5−303032号公報に
は、三角測距によって被写体までの距離に対応した制御
信号を得る測距装置が開示されている。この測距装置
は、測距用として一対をなす結像レンズ部を有するレン
ズプレートと、これら各レンズプレートを前端に保持す
るとともに各レンズ部を通る測距用光路を形成する角筒
を二列に並列した形状のハウジングと、このハウジング
の後端に設けられ各測距用光路に対応する位置に測距用
センサを有する測距用回路基板とを備えている。ここ
で、上述したハウジングは、合成樹脂、たとえばガラス
ファイバ入りのポリカーボネートあるいはポリエチルエ
チルケトン(PEEK)のような合成樹脂による樹脂成
形品として形成されている。また、レンズプレートは、
アクリル樹脂あるいはポリカーボネートのような合成樹
脂による樹脂成形品として形成されている。
【0004】さらに、このような従来例では、上述した
樹脂成形品であるレンズプレートやハウジング、さらに
シリコン基板によって形成されている測距用回路基板
が、周囲温度や湿度の影響によって、それぞれ異なって
膨張、収縮しても、レンズの基線長と前記回路基板上で
の一対のセンサ間の基線長が相対的に変化しないように
している。すなわち、ハウジングの前端に、各レンズプ
レートに係合することにより各レンズ部の光軸間の距離
が三角測距の基線長と一致する位置で各レンズプレート
を個別に位置決めするとともに、基線長と直交する方向
では位置決めに余裕をもたせた位置決めピンと長穴とか
らなる位置決め手段を設けている。
【0005】また、特開平6−324261号公報に
は、位相差方式のTTL(Through the taking lens )
オートフォーカスによる焦点検出装置を備えた測距装置
が開示されている。この測距装置は、撮影レンズの予定
焦点面近傍に位置し測距用光学系を構成する撮像レンズ
と、この撮像レンズの後方で撮影レンズの瞳を二つの領
域に分割する一対の再結像レンズ部を有する再結像レン
ズプレートと、この再結像レンズプレートの背後に設け
られ各レンズ部で再結像される像を検出するセンサを有
する測距用回路基板とを備えている。そして、これらの
撮像レンズ、再結合レンズプレート、さらに測距用回路
基板は、これらの光学的な位置関係を確保する状態でこ
れらの部材を一体的に組付け保持するハウジングを備え
ている。この従来例では、測距用光学系の途中には反射
ミラーによる反射部が設けられ、これに合わせてハウジ
ングは側面視略L字状に形成されている。
【0006】ここで、この従来例では、前記ハウジング
を、グラスファイバを添加した合成樹脂により射出成形
によって成形されている。また、再結像レンズプレート
は、ポリオレフィン系樹脂、非晶質ポリオレフィン系樹
脂のような低吸湿性樹脂によって成形されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従来の測距装置では、
上述した通り、撮像レンズや再結像レンズ、さらに像検
出用センサを、光学的な位置関係を所定の間隔で保って
保持するハウジングの形状が複雑であることから、合成
樹脂による成形品を用いることが多い。しかし、このよ
うな樹脂成形品によるハウジングの成形材料として従来
は、熱可塑性の合成樹脂を使っているため、温度変化に
よる影響によって熱膨張、収縮問題を考慮しなければな
らない。たとえば熱膨張によってレンズおよびセンサの
位置が変化し、レンズの基線長がセンサ部分での基線長
に対し相対的に変化してしまうことが避けられない。こ
のような問題は、特開平5−303032号公報におけ
る図3やこれに対応する説明にある通りである。
【0008】特に、レンズの基線長とセンサ部分での基
線長との間の相対的なずれは測距誤差を生じさせる大き
な原因になり、周囲環境の温度変化によりこのようなず
れが変動すると、測距精度を安定して維持することがで
きなくなる。このため、前述した特開平5−30303
2号公報には、共に樹脂成形品として成形されているハ
ウジングとレンズとが熱膨張した場合でもレンズの基線
長とセンサ部分での基線長が変わらないように、レンズ
の線膨張率とハウジングの線膨張率とを予め調べ、レン
ズとハウジングとの熱膨張が釣り合いのとれるハウジン
グの位置に位置決めボスを設けている。しかし、線膨張
率の数値は成形材料のロットの違いや含有材料であるガ
ラス繊維の入り方、さらに混合材料に至っては混合比率
の違いによって、安定した数値を常に維持するのはきわ
めて難しい。
【0009】本発明はこのような事情に鑑みてなされた
ものであり、周囲環境での温度や湿度の変化にもかかわ
らず、測距精度を安定して維持することができ、また磁
気シール効果も得られ、耐ノイズ性を向上させることも
可能な樹脂成形品によるレンズやハウジングを備えたカ
メラの測距装置を得ることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】このような要請に応える
ために本発明に係るカメラの測距装置は、測距用光学系
を構成する一対のレンズとこれら各レンズの結像面上に
センサ面を配置させる測距用回路基板とを保持するハウ
ジングを、導電性熱硬化型樹脂で成形したものである。
【0011】また、本発明に係るカメラの測距装置は、
測距用光学系を構成する一対のレンズをそれぞれ独立し
た部品として構成し、かつこれら各レンズをハウジング
のレンズ取付部にそれぞれの測距用光路に臨ませて配置
したときの位置決め用ボスを、少なくとも一組づつ対を
なすように設け、これらの各対の位置決め用ボスを結ぶ
線を、レンズの光軸を横切るように配置するとともに、
これらの位置決め用ボスに対向し各ボスが係合する係合
穴を、前記各レンズに、レンズの光軸を中心として放射
方向に長い穴形状に形成したものである。
【0012】ここで、上述したレンズおよび像検出用の
センサを有する測距用回路基板を固定するハウジング
を、成形収縮率が小さくかつ線膨張係数を前記センサの
受光面の線膨張係数と略同じであってしかも導電性を有
する熱硬化型の合成樹脂、たとえばエポクラスタ(商品
名)を用いて成形する。このエポクラスタは、型抜き用
テーパを用いない成形が簡単で、熱膨張係数がきわめて
小さく、高温、高湿中での寸法安定性に優れ、成形収縮
がほとんどなく、さらに電磁遮蔽性を有する等の特徴を
もつ。
【0013】本発明によれば、ハウジングの材料選定に
よって成形収縮率が小さくできるため、成形後の寸法の
ばらつきを小さくすることができ、これによりレンズの
基線長とセンサ部分での基線長との誤差を少なくするこ
とができる。さらに、本発明によれば、ハウジングの線
膨張係数が小さいために環境温度の変化の影響によるレ
ンズの基線長とセンサ部分での基線長の誤差を少なくす
ることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】図1ないし図4は本発明に係るカ
メラの測距装置の一つの実施の形態を示すものであり、
これらの図において、符号10は測距装置を構成する測
距モジュールと呼ばれる焦点検出用の光学系ユニット
で、測距用光学系を構成する一対の撮像レンズ11,1
2と、これらのレンズ11,12の結像面上に配置させ
る像検出用受光部であるセンサ面13a,13bを有す
る測距用回路基板としてのICパッケージ14と、これ
らを所定の間隔をおいて保持するハウジング15を備え
ている。16は前記ハウジング15の前部に配設される
レンズ11,12の前面を覆うように設けられる絞りカ
バーであって、前記ハウジング15の前端部に固定され
る。
【0015】前記ハウジング15は、たとえば酸化シリ
コン(Si02 )、酸化アルミニュム(Al2 3 )を
含有したエポキシ系の熱硬化型樹脂により二つの測距用
光路17a,17bを形成するように二つの角筒を並列
させた形状で形成されている。このハウジング15の後
端には、前記ICパッケージ14が、センサ面13a,
13bを各光路17a,17bに対応するように組付け
ることにより接着固定される。前記ICパッケージ14
は、図1や図4に示すように、ライン状イメージセンサ
を構成するセンサチップ13によるセンサ面13a,1
3bのほか、演算処理部(図4中18で示す)をも一体
に成形したシリコン基板をセラミックパッケージ内に封
入したもので、前面にはカバーガラス14aが嵌め込ま
れている。
【0016】また、前記ハウジング15の前端には、レ
ンズ位置決め用のボス21a〜21d、22a〜22d
がそれぞれ一体に設けられ、側面には前記絞りカバー1
6を係止して固定するためのフック15a,15bが設
けられている。なお、図中16a,16bは絞りカバー
16の両側での折曲げ片に形成した係止穴である。
【0017】前記レンズ11,12は、透明なアクリル
樹脂により中央部に集光レンズとなる略半球状のレンズ
部11a,12aを有する角形プレート形状で成形さ
れ、前記レンズ部11a,12aにおける焦点距離は等
しくなっている。また、これらのプレート形状のレンズ
11,12の周縁部分には、前記ハウジング15側の位
置決め用ボス21a〜21d、22a〜22dが入り込
むことにより係合する長穴形状を呈する係合穴23a〜
23d、24a〜24dが形成されている。ここで、こ
れらの係合穴23a〜23d、24a〜24dは、それ
ぞれのレンズ11,12の光軸を中心として放射方向に
長い穴形状に形成されている。また、これらの係合穴2
3a〜23d、24a〜24dの穴寸法は前記位置決め
用ボス21a〜21d、22a〜22dの外径と略等し
くなっている。
【0018】前記絞りカバー16には略コ字状を呈する
ように折曲げ形成されており、前記レンズ11,12の
レンズ部11a,12aに対向する開口25a,25b
が設けられ、レンズ11,12に入射する光束を制限す
るように構成されている。そして、レンズ11,12を
覆うように絞りカバー16を被せ、前記係止穴16a,
16bを前記ハウジング15のフック15a,15bに
係止させることにより、絞りカバー16をハウジング1
5に固定することができる。
【0019】また、前記レンズ11,12は、ハウジン
グ15の前端部において相対的に変位可能な状態で付設
され、このハウジング15の前端に粘着剤によって接合
されている。ここで、このようなレンズ11,12を、
前述した長穴形状を呈する係合穴23a〜23d、24
a〜24dが位置決め用ボス21a〜21d、22a〜
22dに係合するように取付けると、レンズ11,12
の光軸は正確に位置決めされ、かつそれぞれの光軸間の
距離が一義的に決められる。これが、図2〜図4に示す
ように基線長Bとなる。
【0020】この基線長Bは、ICパッケージ14のセ
ンサチップ13(センサ面13a,13b)の基準とな
る画素相互間の距離すなわちセンサ部分での基線長さC
と一致する。なお、このセンサ部分での基線長Cは、こ
の光学系ユニット10の組立て工程中でレンズ11,1
2を組付けた後に、テスト用の被写体を測距した結果に
応じて決めるのが通常であるから、標準状態では、常に
基線長Bと合致する。そして、「基線長B=センサ基線
長C」が維持されている限り、測距精度が落ちることは
ない。なお、上述した実施の形態では、センサチップ1
3が図4の図示とは異なり、レンズ11,12ごとに分
離されてはいないが、これは光電信号の読み出し時に電
気的に簡単に分離することができるので、実用上では問
題がない。
【0021】さらに、図4において、符号1はカメラに
組込まれる測距装置であって、前記演算処理部18で得
られた測距信号が、図4中4で示したレンズ駆動部に送
られ、カメラの撮影光学系を構成するレンズ2を電動モ
ータ3により光軸方向に進退移動させ、焦点合わせを自
動的に行なうことは広く知られている通りである。この
図4において、各レンズ11,12の焦点距離がf、点
Sにある被写体までの距離がLであり、点Sからの光線
がレンズ12を取ってセンサ面13b上に入射した点と
レンズ12の光軸との間隔をxとすると、L=(B・
f)/xの関係がある。
【0022】ここで、この図4は三角測距方式による焦
点検出機構の概要を示すものであり、上述した式は、点
Sにある被写体からの光を各レンズ11,12を通して
各センサ面13a,13bに結像させたときに、センサ
面13a,13bに結像される輝度パターンとのずれ量
xを検出すれば、被写体までの距離Lが求められること
を意味する。このずれ量xは、センサ面13a,13b
からの光電信号を演算処理部18で画素をずらしながら
比較してゆき、それぞれの光電信号パターンが一致した
時点での画素のずらし個数に、画素の配列ピッチを乗じ
ることで求められる。このようにして得られたずれ量x
は被写体距離Lに対応する値であるから、ずれ量xに応
じてレンズ駆動部4を作動させ、モータ3により撮影レ
ンズ2の位置を決めるとよい。
【0023】以上の構成による測距装置における作用効
果について、以下に説明する。図2は絞りカバー16を
取り外した状態での光学系ユニット10の正面から見た
図であり、この図2において、温度や湿度の周囲環境条
件が一定であって、レンズ11,12やハウジング15
が膨張、収縮しない限り、レンズ側の基線長Bとセンサ
部分での基線長Cとが一致しており、精度のよい測距を
行なうことができる。また、温度および湿度の変化によ
りハウジング15およびレンズ11,12が図示の状態
から膨張したとしても、このハウジング15の成形材料
の成形収縮率が小さく、しかも線膨張係数が金属材料の
線膨張係数とほぼ同じ程度の樹脂であるので、ハウジン
グ15における測距用光路17a,17bの軸(光軸)
とセンサ部分での光軸とにずれは生じない。
【0024】また、測距用光学系を構成するレンズ11
と12とは、位置決め用ボス21a〜21d、22a〜
22dと各レンズ11,12の長穴状の係合穴23a〜
23d、24a〜24dとが係合することによって、ハ
ウジング15に対しレンズ11,12の光軸がそれぞれ
位置決めされている。そして、このような構成におい
て、これらのレンズ11,12が膨張した場合には、ハ
ウジング15の位置決め用ボス21a〜21d、22a
〜22dに対してレンズ11,12側の係合穴23a〜
23d、24a〜24dが光軸に対し放射方向に向って
長穴形状を呈しているので、レンズ11,12の光軸位
置は変化せず膨張することが可能になっている。したが
って、ハウジング15の線膨張率は、シリコンで作られ
たセンサチップ13の受光面の線膨張率と略等しいので
温度変化に伴なう測距精度が大きく狂うことはない。
【0025】ここで、上述したハウジング15の成形材
料としては導電性を有する熱硬化型樹脂材料でもあるの
で、このハウジング15にセンサ面13a,13bを有
するセンサチップ13を設けた測距用回路基板であるプ
リント基板19のグランド端子を、ハウジング15にア
ース接続することにより、磁気シールド効果が得られ、
ノイズに強い製品を得ることができる。
【0026】すなわち、図5は上述したセンサ面13
a,13bを構成するセンサチップ13を含むICパッ
ケージ14と図示しないカメラ側の制御回路とを接続す
るためのプリント基板19の接続部分を表したものであ
り、このプリント基板19は両面にパターン形成可能な
両面基板であって、図中19aは紙面の裏側に略全面に
わたって形成された磁気シールド用のパターンである。
そして、この磁気シールド用パターン19aは、このプ
リント基板19がハウジング15の後端に組み付けら
れ、センサチップ13の接続端子19cが半田付けによ
り基板19に固定された時に、ハウジング15と接触し
て導通状態となり、前記センサチップ13を取り囲むシ
ールドとして機能する。
【0027】なお、上述したプリント基板19の表面に
は、図3、図5に示すように、接続ライン19bが形成
されている。ここで、図5中表面側の接続ライン25b
は前記ハウジング15に直接接着して設けられるので、
導通が図れることになる。また、ハウジング15は熱硬
化型の樹脂で成形されているので、融点温度が高く、上
述した接続端子19cの基板19への半田付け時におい
ても熱が加わって変形を起こすこともない。
【0028】図6は本発明に係るカメラの測距装置の第
2の実施の形態を説明するためのものであって、ここで
は一眼レフカメラに用いる焦点検出用の光学系ユニット
30における再結像レンズに関する例を説明する。この
焦点検出用の光学系ユニット30は撮影レンズ31の焦
点調節状態を検出するために用いられる。
【0029】これを説明すると、図6において、カメラ
ボディ32に対し交換可能な交換式レンズ鏡筒33が装
着され、その内部に撮影レンズ31配置されている。そ
して、被写体から到来する撮影光束は、撮影レンズ31
を通ってカメラボディ32に設けられているメインミラ
ー34により一部はメインミラー34を透過し、その背
面側のサブミラー35により反射され、焦点検出用の光
束としてAFモジュールと呼ばれる前記光学系ユニット
30に導かれる。なお、図中36は前記メインミラー3
4で反射されペンタプリズム37を介して反射された被
写体からの光束が導かれているファインダ窓である。
【0030】図7はこの実施の形態で用いる焦点検出モ
ジュールの光学的構成を模式的に示した図であって、こ
の図では説明の都合上、撮影レンズ31も合わせて示し
ている。なお、図中31a〜31dはこの撮影レンズ3
1の四個の射出瞳となる領域を示す。図中符号41は赤
外線カットフィルタ、42は中央部分に焦点検出視野範
囲に対応した開口を有する視野マスク、43は撮像レン
ズとしてのコンデンサレンズ、44は再結像レンズで、
縦横に方向にそれぞれ並んだ二対、合計四個のレンズ片
44a〜44dが同一基板上に一体的に形成した合成樹
脂からなる樹脂成形品によって構成されている。
【0031】なお、実際にはコンデンサレンズ43と再
結像レンズ44との間に光路を折り曲げるためのミラー
を介在させるが、この図では省略している。また、再結
像レンズ44にほとんど密着し、遮光性を有する薄板状
の絞りマスク45は、中央部に光を通す四つの開口45
a〜45dを有する。また、センサ面を構成する測距用
回路基板としてのイメージセンサ46(46a〜46
d)は、その受光面に注いだ光量分布に応じた電気信号
を出力する。
【0032】この焦点検出用のAFモジュール30は、
撮影レンズ31の予定焦点面となるフィルム面に光学的
に等価な面の後方に配置されている。コンデンサレンズ
43は絞りマスク45に穿設された四個の開口45a〜
45dの像を撮影レンズ31の射出瞳面(31a〜31
d)の近傍に投影する。これら四個の開口像のそれぞれ
で囲まれた領域(31a〜31d)を透過した光束は、
上述した予定焦点面近傍で一旦被写体像を結ぶ。その
後、それぞれの領域31a〜31dを透過した被写体か
らの光束は、赤外線カットフィルタ41、視野マスク4
2、コンデンサレンズ43を順次通過し、さらにそれぞ
れの絞りマスク45の開口45a〜45d、再結像レン
ズ44の片44a〜44dを通って、イメージセンサ4
6内のセンサ列46a〜46d上に被写体の像か、また
はそれがぼけた光量分布を形成する。これらの光量分布
のうち、センサ列46a,46b上の光量分布どおしの
距離、およびセンサ列46c,46d上の光量分布どお
しの距離を各センサ列の出力より図示しないCPUで演
算することにより、撮影レンズ31での焦点調節状態が
検出される。
【0033】なお、上述したような検出原理は、位相差
方式等と呼ばれ、たとえば応用物理学会分科会日本光学
会刊「光学」第18巻第11号(1989年11月)掲
載の鈴木著「一眼レフカメラのオートフォーカス技術」
に詳述されている通りで、詳細な説明はここでは省略す
る。ただし、この例では縦横二方向の被写体コントラス
トに対して焦点検出を行なうため、光学設計上から上記
文献記載の焦点検出モジュール構成要素を撮影レンズの
光軸を中心として90度回転したものを付加している構
造となっている。
【0034】図8はこの実施の形態での焦点検出用のA
Fモジュール30の断面図、図9はその分解斜視図であ
って、各要素には図7と共通の番号を付している。な
お、図7では図示していないが47は測距光路を折り曲
げるための表面鏡であり、48は上述した各要素の位置
関係を保持する役割を果たすハウジングで、合成樹脂に
よる射出成型品で酸化ケイ素(SiO2 )、酸化アルミ
ニウム(Al2 3 )を含有したエポキシ系の熱硬化型
樹脂である。また、49は再結像レンズ44および表面
鏡(ミラー)47を固定するための板ばねである。
【0035】このような構成による焦点検出用のAFモ
ジュール(30)を組立てるには、まず赤外線カットフ
ィルタ41を視野マスク42に接着し、次にコンデンサ
レンズ43、視野マスク42、ミラー47を順にハウジ
ング48に装着する。さらに、絞りマスク45、再結像
レンズ44をハウジング48に組込み、板ばね49を装
着し、しかる後ハウジング48とイメージセンサ46を
接着することにより、AFモジュールの組立が完了す
る。
【0036】この第2の実施の形態では、測距光路をハ
ウジング48の形状でミラー47を介して90゜に曲げ
ているので、環境温度の変化でハウジング48が膨張す
るとコンデンサレンズ43、ミラー47および再結像レ
ンズ44の受け面が傾き、正しい光路が形成されず、こ
れによりセンサ46上に測距エリア内の像が結像されず
測距できなくなるおそれがある。しかし、この実施の形
態では、ハウジング48に線膨張率が金属材料に近い程
度に小さい導電性を有する熱硬化型樹脂材料を使用して
いるので、環境温度の変化でハウジング48が膨張する
ことがない。
【0037】図10に本発明の第3の実施の形態を示
す。この実施の形態では、前述した第1の実施の形態で
の測距精度を高くするために、測距用レンズ51a,5
1bの基線長を長くしながらセンサ52(センサ部52
a,52b)として小型のものを使った光学系ユニット
50の場合を示す。
【0038】ここで、基線長が長いほど距離が同じ被写
体のある点Sの像位置、すなわち図4で示すxの量が大
きくなるため、センサ52の分解能が同じなら精度は向
上する。しかし、この場合には、センサ52でのセンサ
部52a,52bによる基線長Cも大きくする必要があ
る。このようなセンサ部52a,52bは同一のシリコ
ン基板上に形成した方が、両センサ部間の距離や平行度
を正確に出すことができるし、また小型に構成できる。
したがって、このようなセンサ部52a,52bによる
基線長Cは小さい程作り易く、コストも低くできる。こ
の実施の形態では、このような基線長Cをできるだけ小
さくするために、図10に示すように、ミラー53と反
射プリズム54によって小さくしている。
【0039】また、これと同様にハウジング55を合成
樹脂で成形すると周囲環境の温度変化によりハウジング
55が膨張あるいは収縮し、測距用レンズ51a,51
b、ミラー53a,53bおよび反射プリズム54とセ
ンサの受け面52a,52bが傾いて正しい光路が形成
されず、センサ52上に測距エリア内の像が結像されず
測距できなくなるおそれある。しかし、この実施の形態
では、ハウジング55に線膨張率が金属材料に近い程度
に小さい成形材料、すなわち導電性熱硬化型樹脂を使用
しているので、環境温度の変化でこのハウジング55が
膨張したりすることがない。
【0040】また、この実施の形態での測距用レンズ5
1a,51bの固定方法も図示は省略しているが、前述
した第1の実施の形態で示したように、ハウジング55
の位置決め用ボスに対し、レンズ51a,51b側の取
付穴を光軸を中心としかつ放射方向に長い穴とすること
により、レンズ51a,51b自体の膨張による光軸ず
れを起こすことがない。
【0041】図11は本発明の第4の実施の形態を示す
ものであって、この実施の形態は、赤外線を使った三角
測距方式のAFモジュールである光学系ユニットに応用
した場合である。図中左側に赤外線を照射するLED6
1とその赤外光を被写体へ向かって投光ビームを作る投
光レンズ62を設け、図中右側には被写体上に投光され
た赤外光の像の反射光をセンサアレイ63上に結像させ
る受光レンズ64を設け、これらをハウジング65に保
持させている。
【0042】ここで、被写体までの距離Rは、センサア
レイ63上に結像した像の位置δから既知の値HとLか
ら求められる。しかし、ハウジング65が環境温度の変
化により膨張あるいは収縮すると、上述したH、Lは変
化するため正しい距離を検出することができない。この
実施の形態でも上述した第1〜第3の実施の形態と同様
に、ハウジング65に線膨張率が金属材料に近い程度に
小さい導電性熱硬化型樹脂を成形材料として使用してい
るので、環境温度の変化によってハウジング65が膨張
したりすることがない。また、この実施の形態での測距
用のレンズ62,64の固定方法も図示は省略したが、
前述した第1の実施の形態で示したように、ハウジング
65に設けた位置決め用ボスに対し、レンズ側に形成し
た取付穴を、光軸を中心として放射方向に長い穴に形成
することにより、レンズ62,64自体の膨張による光
軸ずれを起こすことがなくなる。
【0043】なお、本発明は上述した実施の形態で説明
した構造には限定されず、各部の形状、構造等を適宜変
形、変更してもよい。たとえばハウジング15,48,
55,65を成形する導電性熱硬化型樹脂としては、た
とえば成形収縮率が小さくかつ線膨張係数を前記センサ
の受光面の線膨張係数と略同じであって、しかも導電性
を有する合成樹脂、たとえばエポクラスタ(商品名)を
用いるとよい。しかし、これに限らず、その他の導電性
熱硬化型樹脂であってもよい。
【0044】
【実施例】導電性熱硬化型樹脂として、たとえば成形収
縮率が小さくかつ線膨張係数を前記センサの受光面の線
膨張係数と略同じであってしかも導電性を有するエポク
ラスタ(商品名)を用いる。
【0045】
【発明の効果】以上説明したように本発明に係るカメラ
の測距装置によれば、測距用光学系を構成する一対のレ
ンズとこれら各レンズの結像面上にセンサ面を配置させ
る測距用回路基板とを保持するハウジングを、導電性熱
硬化型樹脂で成形したので、周囲環境での温度や湿度の
変化にもかかわらず、ハウジングが膨張したりすること
を防ぎ、測距精度を安定して維持することができる。さ
らに、このような導電性熱硬化型樹脂からなるハウジン
グによれば、ノイズに強い製品が得られるという利点が
ある。
【0046】また、本発明に係るカメラの測距装置によ
れば、測距用光学系を構成する一対のレンズをそれぞれ
独立した部品として構成し、かつこれら各レンズをハウ
ジングのレンズ取付部にそれぞれの測距用光路に臨ませ
て配置したときの位置決め用ボスを、少なくとも一組づ
つ対をなすように設け、これらの各対の位置決め用ボス
を結ぶ線を、レンズの光軸を横切るように配置するとと
もに、これらの位置決め用ボスに対向し各ボスが係合す
る係合穴を、前記各レンズに、レンズの光軸を中心とし
て放射方向に長い穴形状をもって形成したので、周囲環
境での温度変化に伴ない、レンズやハウジングが膨張、
収縮しても、レンズの光軸を、ハウジング側の測距用光
路での光軸、さらにセンサ部での光軸と略一致させるこ
とが可能であり、光軸ずれを生じるおそれはない。
【0047】特に、本発明によれば、レンズや測距用回
路基板を保持するハウジングを、成形収縮率が小さくか
つ線膨張係数をセンサの受光面の線膨張係数と略同じで
あってしかも導電性を有する熱硬化型合成樹脂、たとえ
ばエポクラスタ(商品名)を用いて成形することによ
り、型抜き用テーパを用いない成形が簡単で、熱膨張係
数がきわめて小さく、高温、高湿中での寸法安定性に優
れ、成形収縮がほとんどなく、さらに電磁遮蔽性を有す
る等の特徴をもつエポクラスタによって、周囲環境での
温度や湿度の変化しても、ハウジングが膨張したりする
ことを防ぎ、測距精度を安定して維持することができ
る。また、本発明によれば、このようなハウジングを形
成する樹脂材料の選定によって、成形収縮率が小さいこ
とから、成形後の寸法のばらつきが小さくすることがで
き、さらにハウジングの線膨張係数が小さいために、レ
ンズの基線長とセンサ部分での基線長との誤差を小さく
することができる。
【0048】また、本発明によれば、ハウジングを金属
材料ではなく導電性熱硬化型樹脂によって樹脂成形して
いるので、たとえばアルミダイカストによって形成する
場合のばり取りやタップ立てが不要となり、加工時間を
大幅に短縮でき、成形性がよくなる。しかも、従来のエ
ンジニアリングプラスチックスのように成形収縮率、線
膨張係数が小さいので、温度補償装置が不要になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るカメラの測距装置の一つの実施
の形態を示す光学系ユニットの分解斜視図である。
【図2】 図1の光学系ユニットを正面側から見た図で
ある。
【図3】 図1の光学系ユニットの横断側面図である。
【図4】 図1の光学系ユニットによる三角測距方式に
よる焦点検出機構の概要を示す図である。
【図5】 センサチップを含むICパッケージにおける
プリント基板の接続部分を示す図である。
【図6】 本発明に係るカメラの測距装置の第2の実施
の形態を示し、カメラ全体の概要を説明するための図で
ある。
【図7】 この第2の実施の形態での焦点検出モジュー
ルの光学的構成を模式的に示す図である。
【図8】 この第2の実施の形態での焦点検出用のAF
モジュールの断面図である。
【図9】 図8のAFモジュールの分解斜視図である。
【図10】 本発明に係るカメラの測距装置の第3の実
施の形態を示し、AFモジュールである光学系ユニット
の概要を示す横断側面図である。
【図11】 本発明に係るカメラの測距装置の第4の実
施の形態を示すAFモジュールの概要を示す図である。
【符号の説明】
1…測距装置、2…撮影レンズ、3…電動モータ、4…
レンズ駆動部、10…測距モジュールとなる光学系ユニ
ット、11,12、51a,51b…測距用の撮像レン
ズ、13…センサチップ、13a,13b…センサ面、
14…ICパッケージ(測距用回路基板)、15,4
8,55,65…ハウジング、16…絞りカバー、17
a,17b…測距用光路、18…演算処理部、19…プ
リント基板、21a〜21d、22a〜22d…位置決
め用ボス、23a〜23d、24a〜24d…長穴形状
の係合穴、30…AFモジュールとしての焦点検出用光
学系ユニット、31…撮影レンズ、44…再結像レン
ズ、46,52…イメージセンサ、46a〜46d…セ
ンサ列、52a,52b…センサ部、62…投光レン
ズ、63…センサアレイ、64…受光レンズ。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 測距用光学系を構成する一対のレンズ
    と、これら各レンズの結像面上に配置させるセンサ面を
    有する測距用回路基板とを所定の間隔をおいて保持する
    ハウジングとを備えたカメラの測距装置において、 前記ハウジングを、導電性熱硬化型樹脂で成形したこと
    を特徴とするカメラの測距装置。
  2. 【請求項2】 測距用光学系を構成する一対のレンズ
    と、これら各レンズの結像面上に配置させるセンサ面を
    有する測距用回路基板と所定の間隔をおいて保持するハ
    ウジングとを備えたカメラの測距装置において、 前記一対のレンズをそれぞれ独立した部品として構成
    し、 かつ前記ハウジングのそれぞれのレンズ取付部に、対を
    なす位置決め用ボスを少なくとも一組づつ設け、 これら各対をなす位置決め用ボスを結ぶ線を、前記レン
    ズの光軸を横切るように配置するとともに、 これらの位置決め用ボスに対向し各ボスが係合する係合
    穴を、前記レンズに、各レンズの光軸を中心として放射
    方向に長い穴形状に形成したことを特徴とするカメラの
    測距装置。
  3. 【請求項3】 請求項2記載のカメラの測距装置におい
    て、 ハウジングを、導電性熱硬化型樹脂で成形したことを特
    徴とするカメラの測距装置。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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