JPH09317490A - 内燃機関のギアトレイン - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 内燃機関のギアトレインによる振動、騒音を
低減する。 【解決手段】 ギアトレイン１は機関本体４に軸支され
たクランクギア３、カムシャフトギア８、およびインジ
ェクションポンプギア９と、アイドラギア６とを具備す
る。クランクギア３の駆動力はアイドラギア６を介しカ
ムシャフトギア８およびインジェクションポンプギア９
に伝達される。ドライブギア３、カムシャフトギア８お
よびインジェクションポンプギア９の回転軸線Ｊ、Ｋ、
Ｌを結んで得られる三角形Ｔの内側にアイドラギア６の
回転軸線Ｍを位置させることによりアイドラギア６をド
ライブギア３、カムシャフトギア８、およびインジェク
ションポンプギア９により挟持し、それによってアイド
ラギア６を軸支することなく支持する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は内燃機関のギアトレ
インに関する。

【０００２】

【従来の技術】内燃機関のクランクシャフトに接続され
たクランクギアと、例えばカムシャフトおよびインジェ
クションポンプに接続された複数のドリブンギアと、こ
れらクランクギアおよびドリブンギアに係合してクラン
クギアの駆動力をドリブンギアに伝達するアイドラギア
とを具備し、これらドリブンギアおよびアイドラギアを
機関本体により軸支した内燃機関のギアトレインが公知
である（実開平５−１０７５２号公報参照）。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ところで、通常のギア
トレインではギア同士の噛み合いや歯打ちによって好ま
しくない振動が発生する。上述のギアトレインではアイ
ドラギアにクランクギアおよび複数のドリブンギアが係
合しており、したがってアイドラギアには比較的大きな
振動が生じうる。しかしながら、上述のギアトレインに
おけるようにアイドラギアを機関本体に軸支するとこの
大きな振動がアイドラギアの支持シャフトを介して機関
本体に伝達され、斯くして好ましくない騒音を引き起こ
すという問題点がある。

【０００４】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本発明によれば、内燃機関のクランクシャフトに接続
されたクランクギアと、機関本体に軸支された複数のド
リブンギアと、これらクランクギアおよびドリブンギア
に係合してクランクギアの駆動力をドリブンギアに伝達
するアイドラギアとを具備した内燃機関のギアトレイン
において、アイドラギアをドライブギアおよびドリブン
ギアにより挟持してこのアイドラギアを軸支することな
く支持するようにしている。したがって、アイドラギア
に生ずる振動が機関本体に伝達されるのが阻止され、好
ましくない振動、騒音が低減される。

【０００５】

【発明の実施の形態】図１は本発明をディーゼル機関に
適用した場合を示している。しかしながら本発明を火花
点火機関に適用することもできる。図１を参照すると、
ギアトレイン１はディーゼル機関のクランクシャフト２
に接続されたクランクギア３と、機関本体４に軸支され
た複数のドリブンギア５と、環状体をなすアイドラギア
６とを具備する。本実施態様において、ドリブンギア５
は吸排気弁を駆動するカムシャフト７に接続されたカム
シャフトタイミングギア８と、インジェクションポンプ
の入力シャフト９に接続されたインジェクションポンプ
駆動用ギア１０とを具備する。しかしながら、ドリブン
ギアは機関駆動式の補機、すなわち例えばバキュームポ
ンプ、パワーステアリングポンプ、オルターネータ、オ
イルポンプ、冷却水ポンプ、過給機などを駆動するため
のギアを含むことができる。なお、これらクランクギア
３、ドリブンギア５、およびアイドラギア６は平歯車で
もよいし、はすば歯車でもよい。

【０００６】アイドラギア６はクランクギア３に係合す
ると共にドリブンギア５であるカムシャフトタイミング
ギア８およびインジェクションポンプ駆動用ギア１０に
も係合している。したがって、クランクギア３の駆動力
がアイドラギア６を介してカムシャフト７およびインジ
ェクションポンプに伝達され、すなわち吸排気弁および
インジェクションポンプが駆動される。

【０００７】図２からもわかるように、クランクシャフ
ト２、カムシャフト７、およびインジェクションポンプ
入力シャフト９は機関本体４に、それぞれ対応する回転
軸線Ｊ−Ｊ、Ｋ−Ｋ、Ｌ−Ｌ周りに回転可能に支持され
る。これらシャフトにはそれぞれ対応するクランクギア
３、カムシャフトタイミングギア８、およびインジェク
ションポンプ駆動用ギア１０がワッシャおよびボルトに
よって固定される。すなわち、これらクランクギア３、
カムシャフトタイミングギア８、およびインジェクショ
ンポンプ駆動用ギア１０が機関本体４に軸支されてい
る。

【０００８】これに対して、アイドラギア６は機関本体
４に軸支されることなくクランクギア３およびドリブン
ギア５により、回転軸線Ｍ−Ｍ周りに回転可能に支持さ
れる。すなわち、図１に示されるようにアイドラギア６
はクランクギア３、カムシャフトタイミングギア８、お
よびインジェクションポンプ駆動用ギア１０によって挟
持される。

【０００９】アイドラギア６をクランクギア３、カムシ
ャフトタイミングギア８、およびインジェクションポン
プ駆動用ギア１０によって挟持するために、クランクギ
ア３、カムシャフトタイミングギア８、およびインジェ
クションポンプ駆動用ギア１０は、アイドラギア６の回
転軸線Ｍがこれらギアの回転軸線Ｊ，Ｋ，Ｌを結んで得
られる三角形Ｔの内側に位置するように配置される。

【００１０】このようにアイドラギア６を機関本体４に
軸支することなく支持するようにすると、アイドラギア
６とクランクギア３およびドリブンギア５間の噛み合い
または歯打ちによる振動が機関本体４に伝達されるのを
阻止することができる。したがって機関本体４の振動を
低減することができ、斯くして好ましくない騒音を低減
することができる。

【００１１】また、アイドラギア６にシャフト連結構造
を設ける必要がなくなるのでアイドラギア６を環状体と
して形成することができる。その結果、アイドラギア６
の重量を小さくすることができ、したがってアイドラギ
ア６とクランクギア３およびドリブンギア５間の衝撃力
を低減することができる。したがって振動および騒音を
さらに低減することができる。加えて、機関全体の重量
を低減することもできる。

【００１２】さらに、アイドラギア６の自重によって、
アイドラギア６の下方に位置するクランクギア３との間
のバックラッシュがほぼ零にまで低減される。したがっ
て振動および騒音をさらに低減することができる。さら
に図１および図２を参照すると、クランクギア３はその
外側面上および内側面上に円板状の支持板３ａ，３ｂを
それぞれ備えている。これら支持板３ａ，３ｂの直径は
クランクギア３の直径よりも大きくされ、したがってこ
れら支持板３ａ，３ｂはアイドラギア６を軸線方向にお
いて挟持する。カムシャフトタイミングギア８の外側面
上および内側面上にも支持板３ａ，３ｂと同様な支持板
８ａ，８ｂが設けられ、インジェクションポンプ駆動用
ギア１０の外側面上および内側面上にも支持板３ａ，３
ｂと同様な支持板１０ａが設けられる。その結果アイド
ラギア６が軸線方向に移動するのが阻止されるのでクラ
ンクギア３およびドリブンギア５から離脱するのが阻止
され、したがってギアトレイン１の信頼性が高められ
る。

【００１３】また、ギア間の係合部分がこれら支持板に
よって覆われることになる。したがって、これらアイド
ラギア６とクランクギア３およびドリブンギア５同士の
噛み合いまたは歯打ちによる騒音をさらに低減すること
ができる。さらに、ギア間の係合部分がこれら支持板に
よって覆われるのでクランクギア３、ドリブンギア５、
およびアイドラギア６の歯面に供給される潤滑油の消費
量を低減することができる。

【００１４】なお、この実施態様では支持板をクランク
ギア３およびドリブンギア５の各両側面上に設けてい
る。しかしながら、支持板をアイドラギア６の両側面に
設けてこれら支持板によりクランクギア３およびドリブ
ンギア５を軸線方向において挟持するようにしてもよ
い。或いは支持板をクランクギア３およびドリブンギア
５の一側面上に設けると共にアイドラギア６の他側面上
に設けることもできる。

【００１５】図３（Ａ）および（Ｂ）に別の実施態様を
それぞれ示す。図３（Ａ）および（Ｂ）において、上述
の実施態様と同様の構成要素は同一の参照番号で示され
る。また、図３（Ａ）および（Ｂ）はクランクギア３と
アイドラギア６のみを部分的にかつ互いに離脱した状態
で示している。まず、図３（Ａ）を参照すると、アイド
ラギア６の外周面上には半径方向外側に向けて突出する
突出部１１が形成される。本実施態様においてこの突出
部１１はアイドラギア６の全周にわたって形成される
が、必ずしもアイドラギア６の全周にわたって形成しな
くてもよい。一方、クランクギア３の外周面上には、突
出部１１を受容する受容部１２が形成される。なお、図
面には示されないがドリブンギア５の各外周面上にも受
容部１２が形成される。

【００１６】次いで図３（Ｂ）を参照すると、クランク
ギア３は軸線方向に分割されてほぼ同一形状を有する一
対のクランクギア部分３１，３２を具備する。クランク
ギア部分３１，３２はこれらクランクギア部分３１，３
２よりも大きい直径のスペーサ３３を介して互いに連結
され、その結果クランクギア３の外周面上に突出部１１
が形成される。また、アイドラギア６は軸線方向に分割
されてほぼ同一形状を有する一対のアイドラギア部分６
１，６２を具備し、これらアイドラギア部分６１，６２
はアイドラギア部分６１，６２よりも小さい直径のスペ
ーサ６３を介して互いに連結される。その結果、アイド
ラギア６の外周面上に突出部１１を受容する受容部１２
が形成される。なお、図面には示されないがドリブンギ
ア５の各外周面上にも突出部１１が形成される。

【００１７】アイドラギア６とクランクギア３およびド
リブンギア５とが互いに係合すると突出部１１と受容部
１２とが互いに係合する。その結果、アイドラギア６が
軸線方向に移動するのが阻止されるのでクランクギア３
およびドリブンギア５から離脱するのが阻止される。し
たがって、支持板を設けることなくギアトレイン１の信
頼性を高めることができる。

【００１８】ところで、図３（Ｂ）に示されるようにク
ランクギア３、ドリブンギア５、またはアイドラギア６
を一対のギア部分から形成した場合、一方のギア部分を
他に対して周方向または半径方向にずらしてこれらギア
部分を互いに連結するか、或いはギア部分間において歯
の形をわずかばかり異ならせるとバックラッシュをさら
に低減することができる。その結果、ギアトレイン１の
騒音および振動をさらに低減することができる。

【００１９】これまで述べてきた実施態様では、ドリブ
ンギア５を一対のギアから形成してアイドラギア６を３
つのギアにより挟持するようにしている。しかしなが
ら、ドリブンギア５を３つ以上のギアから形成してアイ
ドラギア６を４つ以上のギアにより挟持するようにして
もよい。この場合、クランクギア３およびドリブンギア
５の各回転軸線を結んで得られる多角形の内側にアイド
ラギア６の回転軸線Ｍが位置するように、クランクギア
６およびドリブンギア５を配置すればよい。

【００２０】

【発明の効果】内燃機関のギアトレインによる振動、騒
音を低減することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】ギアトレインの全体図である。

【図２】図１の線ＩＩ−ＩＩに沿ってみたギアトレイン
の断面図である。

【図３】別の実施態様を示す、ギアトレインの部分拡大
断面図である。

【符号の説明】

１…ギアトレイン ２…クランクシャフト ３…クランクギア ４…機関本体 ５…ドリブンギア ６…アイドラギア ７…カムシャフト ８…カムシャフトタイミングギア ９…インジェクションポンプの入力シャフト １０…インジェクションポンプ駆動用ギア ３ａ，３ｂ，８ａ，８ｂ，１０ａ…支持板 １１…突出部 １２…受容部 Ｊ…クランクギアの回転軸線 Ｋ…カムシャフトタイミングギアの回転軸線 Ｌ…インジェクションポンプ駆動用ギアの回転軸線 Ｍ…アイドラギアの回転軸線 Ｔ…三角形

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 内燃機関のクランクシャフトに接続され
   たクランクギアと、機関本体に軸支された複数のドリブ
   ンギアと、これらクランクギアおよびドリブンギアに係
   合してクランクギアの駆動力をドリブンギアに伝達する
   アイドラギアとを具備した内燃機関のギアトレインにお
   いて、アイドラギアをドライブギアおよびドリブンギア
   により挟持して該アイドラギアを軸支することなく支持
   するようにしたギアトレイン。