JPH09315137A - 車載用空気調和装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 車両用空気調和装置での室外エアコンユニッ
トケース内に収納されている電動コンプレッサやインバ
ータ回路を効率良く冷却できるようにする。 【解決手段】 室外エアコンユニットケース２は、内部
が通風性で車両の下部などの車両走行による走行風を受
けやすい場所に設置されている。かかる室外エアコンユ
ニットケース２内では、室外熱交換器３が最前部の最も
走行風を受けやすい場所に位置付けられ、その後部に室
外フアン４と室外フアンモータ５とが配置され、さらに
その後部に、電動コンプレッサ７とインバータ回路６と
が配置されている。電動コンプレッサ７と室外フアン４
との間には、冷房運転時電動コンプレッサ７が冷却され
るように開き、暖房運転時電動コンプレッサ７が冷却さ
れないように閉じるダンパ８が設けられている。この電
動コンプレッサ７は横型のスクロールタイプのものであ
り、車両の進行方向に直角に配置されている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、電気自動車などの
車両に搭載される車載用ヒートポンプ式空気調和装置に
関する。

【０００２】

【従来の技術】据え付けやメンテナンスの簡易化を図っ
た車両用の空気調和装置としては、例えば、特開平４ー
１６６４１２号公報に示されるようなものがある。これ
は、エアコンユニットとして、１個のケース内に電動コ
ンプレッサや室外熱交換器，室内熱交換器，サイクル配
管，その他空気調和装置（エアコン）などを構成する機
器を収めたものであり、これにより、配管の全長を短く
して軽量，コンパクト化を図っている。

【０００３】また、空気調和装置を構成する全ての機器
を一個のケース内に収めることにより、据え付けやメン
テナンスの簡易化を図っている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来例で
は、エアコン機器部品が同一ケース内に収められている
が、かかる部品の冷却については配慮されていない。特
に、冷房時には、コンプレッサの冷却が考慮されていな
いこともあり、発熱によりケースの内温度が上昇してし
まい、空調効率の低下や異常発熱によってコンプレッサ
モータが損傷するという問題があった。

【０００５】また、暖房運転時では、仮りに、室外フア
ンによってコンプレッサが冷却されてしまうと、コンプ
レッサ内の冷媒が液化するため、運転開始時に冷媒を気
化してコンプレッサ温度を上昇させるのに時間がかか
り、暖房運転の立上り時間が長くなるという問題もあ
る。

【０００６】本発明の目的は、かかる問題を解消し、電
動コンプレッサやインバータ回路の冷却効率を向上させ
るとともに、暖房運転の立上り時間も短縮できるように
し、据え付け性の簡易化を可能とした車載用空気調和装
置を提供することにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、少なくとも電動コンプレッサや室外熱交
換器，室外ファン，室外ファンモータ，該電動コンプレ
ッサを制御するインバータ回路を一体に収めた内部が通
風性の室外エアコンユニットケースを車両の走行による
走行風を受けやすい場所に設置し、該電動コンプレッサ
を横型のスクロールタイプのものとして車両の進行方向
に対して直角に配置し、かつ、該室外フアンと該電動コ
ンプレッサとの間に、エアコンの運転状態に応じて開閉
するダンパを設ける。

【０００８】かかる構成により、車両の走行風でもって
室外熱交換器や電動コンプレッサ，インバータ回路の冷
却を行なうことができ、特に、電動コンプレッサやイン
バータ回路については、専用の冷却フアンを不要として
効率良く冷却をするすることができる。

【０００９】そして、電動コンプレッサは、横型のスク
ロールタイプのものとしているが、車両の進行方向に対
して直角に配置されているので、車両が坂道を上った
り、下ったりして冷凍機油の油面が大きく傾いても、こ
の冷凍機油の各部への給油が滞ることがない。

【００１０】さらに、室外フアンと電動コンプレッサと
の間に開閉式のダンパーを設けているので、冷房運転時
には、このダンパを開くことにより、電動コンプレッサ
を車両の走行風や室外フアンの送風によって効率よく冷
却することができるし、暖房運転時には、室外フアンと
電動コンプレッサとの間を遮断することにより、電動コ
ンプレッサが車両の走行風や室外フアンの送風によって
冷却されることがなく、運転開始の立上り時間を短縮す
ることができる。

【００１１】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に
より説明する。

【００１２】図１は本発明による車載用空気調和装置の
一実施形態の実装図であり、１は車両、２は室外エアコ
ンユニットケースである。

【００１３】図２（ａ）は図１における室外エアコンユ
ニットケース２内での室外装置などの配置関係を示す縦
断面図、図２（ｂ）は同様の横断面図であって、３は室
外熱交換器、４は室外フアン、５は室外フアンモータ、
６はインバータ回路、７は電動コンプレッサ、８はダン
パである。

【００１４】この実施形態は、例えば、電気自動車など
の車両に搭載されるヒートポンプ式の空気調和装置であ
って、図１において、室外機を収納した内部が通風性の
室外エアコンユニットケース２が、車両１の下部などの
車両１の走行時に走行風を受けやすい場所に設置されて
いる。

【００１５】この室外エアコンユニット２は、図２
（ａ），（ｂ）に示すように、縦幅が大きい収納空間２
ａと、この収納空間２ａに対し、実線矢印で示す車両の
進行方向からみて、後部に位置する収納空間２ｂとから
なり、この収納空間２ｂは収納空間２ａの上部分でこの
収納空間２ａと連結されている。これら収納空間２ａ，
２ｂ間は隔壁によって区切られているが、図２（ｂ）か
ら明らかなように、網などが張られた開口１０ｄ，１０
ｃが設けられている。また、収納空間２ａの前面（以
下、前面，後面とは車両の進行方向から見て前方側の
面，後方側の面をいう）に同様の開口１０ａが、収納空
間２ａでの収納空間２ｂより下方の後面に同様の開口１
０ｂが、収納空間２ｂの後面に同様の開口１０ｃが夫々
設けられ、これにより、室外エアコンユニット２の内部
の通風性が良好となるようにしている。白抜き矢印９は
室外ファン４を運転したときの走行風の風向を示す。

【００１６】室外エアコンユニットケース２内には、少
なくとも電動コンプレッサ７や室外熱交換器３，室外フ
ァン４，室外ファン４を駆動する室外ファンモータ５及
び電動コンプレッサ７の制御を行なうインバータ回路６
が収められている。

【００１７】室外熱交換器３は、熱交換率が最も高くな
るようにするために、収納空間２ａ内において、車両１
の最も進行方向側（開口１０ａ側）に配置され、かつ、
車両１の進行方向に対して正面が直角になるように設置
されており、室外熱交換器３の前面全てで車両１の走行
風を受けることができるようにしている。

【００１８】なお、室外熱交換器３のフィンはフィンチ
ューブ型とし、暖房運転時に霜が付着しにくく、かつ除
霜しやすい構造となっている。

【００１９】収納空間２ａの室外熱交換器３の後部に
は、室外フアン４と室外フアンモータ５とが配置されて
いる。

【００２０】電動コンプレッサ７は、車両のバッテリを
電源に用いる、例えば、横型のスクロールコンプレッサ
であって、室外エアコンユニットケース２の収納空間２
ｂ内の片側に開口１０ｅと対向して、車両１の進行方向
に対して直角になるように配置されており、この収納空
間２ｂ内の他方の片側に開口１０ｄと対向して、インバ
ータ回路６が配置されている。従って、これら電動コン
プレッサ７とインバータ回路６とは、室外フアン４の後
部で、室外熱交換器３の上半分と同程度の高さの位置に
配置される。

【００２１】また、収納空間２ａ，２ｂ間の隔壁の開口
１０ｅの部分には、ダンパ８が設けられており、これに
よって開口１０ｅが開閉できるようになっている。

【００２２】冷房運転時には、このダンパ８は開かれ
る。これにより、電動コンプレッサ７は、開口１０ｅを
通して、室外ファン４の送風が受けられるし、さらに、
室外熱交換器３を通過した後の車両１の走行風９も受け
られるため、効率良く冷却されることになる。

【００２３】インバータ回路６も、開口１０ｄを通し
て、室外ファン４の送風が受けられるし、室外熱交換器
３を通過した後の車両１の走行風９も受けられるので、
これら送風によってインバータ回路６のパワー素子を冷
却でき、新たに専用の冷却用ファンを設ける必要がな
い。

【００２４】室外ファン４及び室外ファンモータ５は、
車両１の進行方向に対して室外熱交換器３のすぐ後部に
配置され、室外熱交換器３で熱交換された空気を開口１
０ｂから排出できるようにする。

【００２５】暖房運転時には、ダンパ８が閉じられ、室
外ファン４の送風や車両１の走行風９が電動コンプレッ
サ７に当たるのを遮断することができるようにしてい
る。これにより、電動コンプレッサ７がかかる送風によ
って不要に冷却されることにより、その能力低下や暖房
立ち上がり性能が低下するのを防止することができる。

【００２６】ここで、電動コンプレッサ７を車両の走行
方向に対して直角に配置したことによる効果について、
図３により、説明する。

【００２７】図３（ａ）は電動コンプレッサ７の要部の
シャフトに沿う断面図、同図（ｂ）はシャフトに垂直な
断面図であって、７ａは電動コンプレッサ７の密閉容
器、１１は電動機の固定子、１２は回転子、１３はシャ
フト、１４は給油パイプ、１４ａは給油口、１５は給油
通路、１６〜２１は冷凍機の油面である。

【００２８】図３（ａ）において、横型の電動コンプレ
ッサ７が水平な状態にあるときには、電動コンプレッサ
７の密閉容器７ａ内において、冷凍機油の油面１６は水
平（即ち、シャフト１３に平行）であって、密閉容器７
ａの底部に下方に向いた給油パイプ１４の給油口１４ａ
は冷凍機油に充分浸っている。このため、冷凍機油は、
吐出圧力と中間圧力との差により、給油パイプ１４の給
油口１４ａから吸い上げられ、実線矢印で示す給油通路
１５を通ってスクロール部などの摺動部に給油される。

【００２９】ところで、かかる電動コンプレッサ７が車
両の進行方向に平行に配置されているとすると、車両が
坂道を登ったり、下ったりした場合、密閉容器７ａ内に
おいて、冷凍機油の油面が傾くことになる。例えば、い
ま、図３（ａ）の右方を車両の前方側とした場合、車両
が坂道を下っているときには、密閉容器７ａの図面上右
側が下がることになるので、冷凍機油は図面上右上りの
油面１８となり、給油パイプ１４の給油口１４ａは充分
冷凍機油に浸っているが、車両が坂道を登っているとき
には、密閉容器７ａの図面上右側が上がることになるの
で、冷凍機油は図面上右下がりの油面となり、この坂道
が急な場合には、給油パイプ１４の給油口１４ａが冷凍
機油から出てしまうような油面１９となるようなことも
ある。このような場合には、スクロール部などへ冷凍機
油の給油を確保することができず、ロックするおそれが
ある。

【００３０】これに対し、上記実施形態のように、電動
コンプレッサ７を車両の進行方向に直角に配置した場合
には、車両が坂道の登り，降りをしても、密閉容器７ａ
がシャフト１３方向に傾くことはほとんどない。道路が
車両の幅方向に傾斜している場合には、この傾きが生ず
ることもあるが、それは僅かなものであり、冷凍機油は
僅かに傾いた油面１７となるだけである。

【００３１】勿論、図３（ｂ）に示すように、密閉容器
７ａ内のシャフト１３に垂直な断面についてみると、車
両が坂道の登り，降りしたときには、冷凍機油は大きな
傾きの油面２０，２１となるが、これら油面２０，２１
は、シャフト１３を通る垂直な断面上の水平線を中心に
回動するように傾くものであり、かつ、給油パイプ１４
はこの断面に沿うように密閉容器７ａの左右中央部に設
けられているものであるから、この油面の傾きによって
給油パイプ１４の給油口１４ａが冷凍機油から飛び出る
ようなことはない。

【００３２】このようにして、この実施例では、車両が
坂道を登り，降りして傾いても、スクロール部などへの
冷凍機油の給油に支障が生ずるようなことがない。

【００３３】

【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
室外エアコンユニットケース内において、車両の最も進
行方向側に、かつ車両の進行方向に対して垂直に室外熱
交換器を、その後部に室外ファン及び室外ファンモータ
を、さらにそれらの後部に、例えば、室外熱交換器の高
さの半分程度以下で収まるように、電動コンプレッサ及
びインバータ回路を設けているので、車両の走行時の走
行風を充分に室外エアコンユニットケース内に導入する
ことができ、かつ、室外ファンも室外熱交換器の熱交換
した空気を排出して、電動コンプレッサ及びインバータ
回路を冷却でき、電動コンプレッサやインバータ回路の
冷却を効率良く行なうことができて、専用の冷却ファン
が不要となる。これにより、室外熱交換器で充分な熱交
換を達成できるとともに、電動コンプレッサやインバー
タ回路の異常発熱による空気調和機器の効率低下や、損
傷を防止することができる。

【００３４】また、室外熱交換器や電動コンプレッサ，
インバータ回路，室外ファン，室外ファンモータなどを
１つのケース内に収めているので、実装作業が簡略化さ
れ、メンテナンス性も向上する。

【００３５】さらに、本発明によると、横型の電動コン
プレッサを車両の進行方向に対して直角に配置している
ので、車両が坂道を登り降りするなどして大きく傾いて
も、冷凍機油の給油に支障が生ずるようなこともない。

【００３６】さらに、本発明によると、ダンパを設けて
電動コンプレッサへ送風を送ったり、遮断したりするこ
とができるので、冷房運転時では、電動コンプレッサを
効率良く冷却することができるし、暖房運転時での電動
コンプレッサの不要な冷却を防止することもできる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明による車両用空器調和装置の一実施形態
の実装図である。

【図２】図１における室外エアコンユニットケースにお
ける各装置の配置関係を示す縦断面図である。

【図３】図２に示す電動コンプレッサの配置状態による
効果の説明図である。

【符号の説明】

１ 車両 ２ 室外エアコンユニットケース ２ａ，２ｂ 収納空間 ３ 室外熱交換器 ４ 室外ファン ５ 室外ファンモータ ６ インバータ回路 ７ 電動コンプレッサ ８ ダンパ ９ 走行風 １０ａ〜１０ｅ 開口

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岡村 哲信 栃木県下都賀郡大平町大字富田800番地 株式会社日立製作所冷熱事業部内 (72)発明者 臼井 建司 栃木県下都賀郡大平町大字富田800番地 株式会社日立製作所冷熱事業部内 (72)発明者 鐘撞 光章 広島県広島市中区小町４番33号 中国電力 株式会社内 (72)発明者 ▲高▼木 恒雄 広島県広島市中区小町４番33号 中国電力 株式会社内

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 電気自動車などの車両に搭載されるヒー
   トポンプ式の空気調和装置において、 少なくとも該車両のバッテリを電源として駆動する電動
   コンプレッサと、冷凍サイクルを形成する室外熱交換器
   と、室外ファンと、該室外ファンを駆動する室外ファン
   モータと、該電動コンプレッサを駆動させるインバータ
   回路とを収納した内部が通風性の室外エアコンユニット
   を該車両の走行風を受けやすい場所に設置し、 該電動コンプレッサは、横型のスクロールコンプレッサ
   であって、該車両の進行方向に対して直角に配置し、 かつ、暖房，冷房などの運転状態に応じて開閉制御され
   るダンパを該室外フアンと該電動コンプレッサとの間に
   設けたことを特徴とする車載用空気調和装置。
2. 【請求項２】 請求項１において、 前記室外熱交換器は、前記室外エアコンユニット内で、
   前記車両の走行風を直接受ける最前部に、かつ正面が前
   記車両の進行方向に対して垂直になるように設置され、 前記室外フアンと前記室外フアンモータとは、前記車両
   の進行方向に対して前記室外熱交換器の後方に設置さ
   れ、 前記電動コンプレッサと前記インバータ回路とは、前記
   車両の進行方向に対して前記室外ファンの後方で、かつ
   前記室外熱交換器を通過した前記車両の走行風と前記室
   外フアンの送風を受ける位置に設置されたことを特徴と
   する車載用空気調和装置。
3. 【請求項３】 請求項１または２において、 前記室外熱交換器がフィンチューブ型であることを特徴
   とする車載用空気調和装置。