JPH09309933A - 常温硬化型水系樹脂及びその製法 - Google Patents

常温硬化型水系樹脂及びその製法

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JPH09309933A
JPH09309933A JP12530096A JP12530096A JPH09309933A JP H09309933 A JPH09309933 A JP H09309933A JP 12530096 A JP12530096 A JP 12530096A JP 12530096 A JP12530096 A JP 12530096A JP H09309933 A JPH09309933 A JP H09309933A
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JP
Japan
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monomer
based resin
water
ethylenically unsaturated
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JP12530096A
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English (en)
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Norihisa Maeda
典久 前田
Kazuo Umekage
一雄 梅景
Atsushi Yoshida
敦志 吉田
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Kanebo NSC KK
Original Assignee
Kanebo NSC KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】架橋反応性は維持しつつ、従来の常温架橋型の
水系樹脂に見られる、特に高温条件下での貯蔵中の架橋
反応の進行を防止する。 【解決手段】常温硬化型水系樹脂中に、〔化1〕にて表
されるエポキシ基含有単量体、エチレン性不飽和単量
体、及び不飽和カルボン酸を構成単位として含ませる。 【化1】 (R1 :H又はCH3 、R2 :C1 〜C3 アルキル基) 本発明の水系樹脂は、エマルジョンタイプであって、構
成粒子がコアとシェルの2重構造を有し、一方に前記エ
ポキシ基含有単量体、他方にこれと反応しうるカルボキ
シル基等の官能基を有するものであることが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規なエポキシ基
及びこのエポキシ基と反応しうるカルボキシル基を有
し、皮膜形成により反応硬化する常温硬化型水系樹脂に
関するものであり、特に、いわゆるコア・シェル2層構
造を有すると考えられる1液タイプの常温硬化型水系樹
脂であって、1層の構成成分として新規なエポキシ化合
物を使用することにより、従来のエポキシ化合物を使用
した場合と同等の架橋性を有しつつ、貯蔵安定性を向上
させた1液タイプの常温硬化型水系樹脂に関するもので
ある。本発明による常温硬化型水系樹脂は、無機建材用
シーラー材料、塗料・コーティング剤、繊維処理剤、接
着・粘着剤等の広範囲の用途に使用が可能である。
【0002】
【従来の技術】水系樹脂は、溶剤系の樹脂に比べて安全
面、衛生面において優れており、塗料、接着剤、繊維処
理剤等の分野において幅広く利用されている。しかし、
水系樹脂は、溶剤系のものと比較して耐水性、基材浸透
性、含浸補強性、表面平滑性等において劣るという問題
を有している。これを改良する手段として、これらの原
料に使用するポリマーの分子量を低くすることにより基
材の浸透性や表面平滑性を向上させ、造膜後に架橋させ
ることにより皮膜の耐水性、含浸補強性を高める方法が
あり、例えば、グリシジル基含有モノマーとカルボキシ
ル基含有モノマーの架橋反応を利用したもの(特公昭6
3−39025号公報)、前記構成にさらに架橋官能基
と共に第3級アミンを触媒として使用する方法(特開平
6−73308号公報)等の技術が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記の従来技
術により得られた水系樹脂は貯蔵中に、粒子内、或いは
粒子間で架橋反応が進行する可能性があり、この貯蔵中
の架橋反応は特に高温条件下での保存において顕著に認
められる。その結果、分子量の増加、ゲル化が生じ、水
系樹脂より得られる皮膜は基材浸透性、表面平滑性が溶
剤系の樹脂より劣るという課題を有している。また、こ
のような従来の水系樹脂が粘着剤用途のものである場合
にはタックの減少という問題をも生じる。これを防止す
るために、架橋反応をする官能基の濃度を少なくすると
造膜後の架橋が不十分となる結果、耐水性や含浸補強性
が不十分となる。本発明は、このような状況に鑑みてな
されたものであり、架橋性を従来技術と同等のレベルに
維持したまま、貯蔵安定性を改善した水系樹脂を提供す
るものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の常温硬化型水系
樹脂は、〔化2〕にて表されるエポキシ基含有単量体、
エチレン性不飽和単量体、及び不飽和カルボン酸を構成
単位として含むものである。
【0005】
【化2】 (R1 :H又はCH3 、R2 :C1 〜C3 アルキル基)
【0006】〔化2〕にて表されるエポキシ基含有単量
体は、その(メタ)アクリレート基により、エチレン性
不飽和単量体と共重合し、共重合体に架橋基を付与す
る。この架橋基は、3員環エーテルを構成する炭素原子
にアルキル置換基を有し、その効果により従来の架橋性
水系樹脂と同等の反応性を有しつつ貯蔵安定性が改善さ
れる。本発明の常温硬化型水系樹脂は、エマルジョンタ
イプであって、構成粒子が下記の(A)、(B)より構
成されるコアとシェルの2重構造を有し、前記コアとシ
ェルが下記の(A)、(B)のいずれかであるポリマー
微粒子よりなるものであることが好ましい。 (A)前記〔化2〕にて表されるエポキシ基含有単量体
とエチレン性不飽和単量体を含む共重合体。 (B)不飽和カルボン酸とエチレン性不飽和単量体を含
む共重合体。
【0007】また、本発明の常温硬化型水系樹脂は、前
記〔化2〕にて表されるエポキシ基含有単量体を0.5
〜10重量部、エチレン性不飽和単量体を70〜99重
量部、不飽和カルボン酸を0.5〜20重量部使用する
ものであることが好ましく、コア・シェルタイプの2層
構造の樹脂粒子場合、前記(A)として、前記〔化2〕
にて表されるエポキシ基含有単量体を0.5〜10重量
部、エチレン性不飽和単量体を30〜49.5重量部、
前記(B)として不飽和カルボン酸を0.5〜20重量
部、エチレン性不飽和単量体を30〜49.5重量部使
用するコア、シェルよりなるものであることが好まし
い。前記(A),(B)はいずれがコアでいずれがシェ
ルであってもよい。
【0008】主要な樹脂形成成分であるエチレン性不飽
和単量体を70〜99重量部使用した場合、エポキシ基
含有単量体が0.5重量部以下になると架橋効果が小さ
く、10重量部以上になると架橋密度が高くなり過ぎる
と共にコストが高くなる。また、不飽和カルボン酸が
0.5部以下であれば架橋効果が小さく、20重量部以
上ではエポキシ基含有単量体とのバランスが崩れ、好ま
しくない。コアシェルタイプの2層構造の樹脂粒子場
合、上述の配合比率をエチレン性不飽和単量体をおよそ
等分し、エポキシ基含有単量体と不飽和カルボン酸を振
り分けて配合し、重合する。
【0009】前記〔化2〕にて表されるエポキシ基含有
単量体としては、コスト面等を考慮すると、メタクリル
酸 2,3−エポキシ−2−メチルプロピル(化2にお
いて、R1 =CH3 、R2 =CH3 )であることが好ま
しい。
【0010】本発明にかかる水系樹脂は、(A)前記
〔化2〕にて表されるエポキシ基含有単量体とエチレン
性不飽和単量体を含む成分を乳化液とし、これを開始剤
を使用して重合させ、次いで(B)不飽和カルボン酸と
エチレン性不飽和単量体を含む乳化液を添加し、さらに
反応させることにより製造することができる。こうして
得られた乳化液を構成する粒子は2層構造を形成してい
るものと考えられる。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の常温硬化型水系樹脂は、
前記〔化2〕にて表されるエポキシ基含有単量体、エチ
レン性不飽和単量体、及び不飽和カルボン酸を構成単位
を乳化重合することにより得られる。特に、(A)前記
〔化2〕にて表されるエポキシ基含有単量体とエチレン
性不飽和単量体の共重合体を乳化重合し、得られたエマ
ルジョンに(B)不飽和カルボン酸とエチレン性不飽和
単量体の乳化液を添加し、重合させることにより得られ
る。
【0012】本発明において使用するエチレン性不飽和
単量体としては、スチレン等の芳香属ビニルモノマー、
アクリロニトリル、塩化ビニル、酢酸ビニル、(メタ)
アクリル酸エステル等が使用可能である。(メタ)アク
リル酸エステルはアクリル酸エステル、メタクリル酸エ
ステルを総称したものである。これらのモノマーは単独
で使用しても、また2以上を併用してもよく、用途毎に
求められる特性、物性に応じ、共重合性、相溶性等を考
慮して選択される。
【0013】本発明に使用されるエポキシ基含有単量体
は、前記〔化2〕にて表されるものであり、3員環を構
成する炭素原子はC1 〜C3 アルキル基により置換され
ていることに特徴があり、その作用により硬化性が従来
のメタクリル酸グリシジルと同等でありつつ、保存安定
性を改善することができる。アルキル置換基はこの作用
を有するものであれば良いが、コスト等を考慮すると、
メタクリル酸2,3−エポキシ−2−メチルプロピル
(以下M−GMAと略す。)を使用することが好まし
い。
【0014】前記エポキシ化合物と反応しうる官能基を
有する単量体としては、カルボキシル基、第1級、第2
級アミノ基を有する化合物が使用できるが、変色の観点
よりカルボキシル基を有するものであることが好まし
く、アクリル酸、メタクリル酸等のモノマーの使用が好
ましい。
【0015】水系樹脂構成粒子中の前記エポキシ基とカ
ルボキシル基の反応を促進する触媒としては、第3級ア
ミンやイミダゾール系触媒があるが、これらは使用時に
添加してもよく、これらの官能基を有するモノマーを予
め(A)、(B)の少なくとも一方に共重合しておくこ
とも可能である。このようなモノマーとしては、N−ジ
メチルアミノエチルアクリレート等が例示できる。
【0016】本発明の水系樹脂の合成に使用する乳化剤
としては、アニオン系、ノニオン系、カチオン系等いず
れのものも使用できるが、他の水系樹脂との混合安定性
を考慮するとアニオン系もしくはノニオン系の界面活性
剤を使用することが好ましく、一般的に乳化重合に使用
されるものが使用可能である。
【0017】また、本発明の水系樹脂の合成に使用する
重合開始剤(単に「開始剤」とも称する。)としては、
一般的にラジカル重合に使用されるものが使用可能であ
る。例えば、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイル
パーオキサイド、MEKパーオキサイド等アゾ系化合
物、過酸化物が挙げられ、水溶性の開始剤として過硫酸
カリウム、過硫酸アンモニウムも使用できる。さらに、
過酸化水素と硫酸第1鉄の組み合わせのようなレドック
ス系も使用できる。
【0018】本発明の樹脂の重合においては、連鎖移動
剤の使用も好適であり、一般的に使用されるアルキルメ
ルカプタン類、特にn−ドデシルメルカプタン等の長鎖
のアルキルメルカプタン類、芳香族メルカプタン類、ア
ルコール類、ハロゲン化炭化水素類が例示できる。
【0019】本発明の水系樹脂の合成時または合成後に
おいて、液の安定性の改善等を目的として、各種の添加
剤を使用することも可能であり、例えば乳化安定剤とし
て、ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロー
ス、ポリビニルピロリドン等が使用できる。
【0020】
【実施例】以下、本発明の実施例を説明する。なお、配
合量において「部」は、重量部を表わす。 (実施例1)攪拌機、温度計、還流冷却器を取り付けた
4つ口フラスコに水68部、アニオン性界面活性剤レベ
ノールWZ(花王(株)製)1.0部を添加したのち、
加温して液温を75℃とした。この状態で下記〔表1〕
に示すモノマーと連鎖移動剤を含む乳化液Aの10%と
〔表2〕に記載した開始剤水溶液の15%を添加した。
次いで、開始剤水溶液の、残り85%を5時間かけて、
また乳化液Aの残り90%を2時間かけてそれぞれ滴下
して反応させ、その後0.5時間の完結反応を行った。
こうして得られた液に、さらに〔表1〕に示すモノマー
と連鎖移動剤を含む乳化液Bを2時間かけて滴下して反
応させ、続けて2時間の完結反応を行った。得られた乳
濁液を冷却後、アンモニア水0.25部を添加し、2層
構造を有する乳濁した水系樹脂を得た。
【0021】比較例として、表1に比較例1として示し
た組成の乳化液を使用し、実施例1と同様の方法によ
り、水系樹脂を合成した。
【0022】
【表1】
【0023】
【表2】
【0024】得られた水分散液について、以下の方法に
より貯蔵安定性および架橋性を評価した。
【0025】(貯蔵安定性の評価)水分散液を40℃に
て3か月間保存し、貯蔵安定性を評価した。評価は1ヵ
月、2ヵ月、3ヵ月ごとに液をサンプリングし、THF
を溶媒としてGPCにより分子量分布を測定した。使用
したGPCは、ウォーターズ社製、モデル66Kであ
り、カラムとしてウルトラスタイラジェル500Å、1
3 Å、104 Å、105 Åを直列に連結して測定を行
った。分子量は、標準ポリスチレン換算にて計算した。
【0026】(架橋性の評価)水分散液をあらかじめ造
膜助剤CS−12(チッソ(株)製)にて可塑化し、薄
膜状にキャスティングしたのち室温で1日乾燥して製膜
し、得られた皮膜について60℃、3時間のアセトン浸
漬を行い、その後アセトン不溶分を測定した。
【0027】以上の、貯蔵安定性、架橋性の評価結果を
〔表3〕に示した。この結果より、従来使用されていた
グリシジルメタクリレートを使用した水分散液と比較し
て、本発明にかかる水分散液は、貯蔵安定性については
3ヵ月経過後も元の状態とほとんど変化しておらず、一
方架橋性は従来品と同等であることが明らかである。
【0028】
【表3】 注)k:×103 を示す。
【0029】
【表4】
【0030】〔無機建材用シーラー(プライマー)とし
ての実施例〕 (実施例2、比較例2、3)攪拌装置、温度計、及び還
流冷却器を取り付けた4つ口フラスコに、水70部、ア
ニオン界面活性剤レベノールWZ(花王株式会社製)1
部を加え、液温を70℃となるように加温した。この状
態で、実施例1と同じ過硫酸カリウム0.3部と水10
部よりなる開始剤水溶液10.3部を5時間かけて滴下
しつつ〔表5〕に示す組成の乳化液Aを2時間かけて滴
下し、反応させ、その後さらに0.5時間の完結反応を
行った。次いで上記の反応で得られた液に〔表5〕に示
す組成の乳化液Bを2時間かけて滴下し、その後さらに
2時間、完結反応を行い、得られた液を冷却した後、ア
ンモニア水2部を添加し、乳濁した水系樹脂を得た。比
較例2、3についても同様に重合反応を行い、乳濁した
水系樹脂を得た。得られた水系樹脂の固形分は50重量
%であった。
【0031】
【表5】
【0032】上記の結果得られた水系樹脂を40℃にて
1ヵ月保存し、その後、40℃での保存テスト前の試料
と共に〔表6〕の組成によりシーラーを作成した。各シ
ーラーを市販のケイカル板(密度0.7g/cm3 )上
に、刷毛を使用して120g/m2 の割合で塗布し、1
20℃にて5分間乾燥した後、適当な大きさに切断して
密着性試験、耐水性試験、耐温水性試験を行った。
【0033】
【表6】
【0034】(密着性試験)塗膜の密着性試験は、碁盤
目試験によった。即ち、塗膜に市販のカッターを使用し
て4mm間隔で傷を付け、25個のます目を作成した。
この面に市販のセロハンテープを貼り付け、テープに一
端を持って急激に剥離した後塗膜面を観察し、残存した
ます目をカウントした。評価結果は、ます目25個が全
て残存したものを○、11〜24個残存したものを△、
残存したます目の数が10個以下のものを×として表示
した。
【0035】(耐水性試験)塗料化した試料を塗布した
試験体を10cm×5cmの大きさに切断し、20℃の
水中に1週間浸漬し、その後50℃にて4時間乾燥して
上記の碁盤目試験により塗膜の評価を行った。
【0036】(耐温水試験)塗料化した試料を塗布した
試験体を10cm×5cmの大きさに切断し、50℃の
温水中に1週間浸漬し、その後50℃にて4時間乾燥し
て上記の碁盤目試験により塗膜の評価を行った。
【0037】
【表7】
【0038】上記の結果より、本発明により得られたシ
ーラーは、原料の水系樹脂を40℃にて1ヵ月保存後に
シーラー化しても、密着性、耐水性、耐温水性のいずれ
においても従来のメタクリル酸グリシジルを使用したも
のより優れていることが分かる。
【0039】〔光沢塗料としての実施例〕 (実施例3、比較例4、5)下記の〔表8〕に示した配
合により、実施例2に記載した方法と同じ手法により乳
濁した水系樹脂を得た。得られた水系樹脂の固形分濃度
は50重量%であった。
【0040】
【表8】
【0041】実施例3、比較例4、5により得られた水
系樹脂を40℃にて1ヵ月保存し、その後、下記の〔表
9〕、〔表10〕の配合により塗料を調製した。得られ
た塗料のサンプルをガラス板上に10milのアプリケ
ーターを使用して塗布し、室温で3日間乾燥したのち6
0°及び20°の光沢を測定した。塗膜の耐水性試験
は、、上記試験体を20℃の水中に3日日間浸漬した
後、塗膜のふくれを目視により観察した。結果は、ふく
れの全く認められないものを○、ややふくれのみられる
ものを△、ふくれが多く認められるものを×として表示
した。評価結果は〔表11〕に示した。
【0042】
【表9】
【0043】
【表10】
【0044】
【表11】
【0045】上記の結果より、本発明の水系樹脂を使用
すれば、40℃における1ヵ月の保存テスト後において
も良好な光沢を示しており、保存安定性、塗膜の耐水性
のいずれにおいても優れていることが明らかである。
【0046】〔プラスチック用コーティング剤としての
実施例〕 (実施例2N、比較例2N、3N)原料組成中の連鎖移
動剤のn−ドデシルメルカプタンを除外する以外は実施
例2、比較例2、3と同一の原料組成、条件にて重合反
応を行い、乳濁した水系樹脂を得た。得られた水系樹脂
を使用してプラスチック用コーティング剤としての評価
を行った。試験体は前記水系樹脂サンプルを40℃にて
1ヵ月保存した後、液をPETフィルム上に10mil
のアプリケーターを用いて塗布し、80℃にて10分間
乾燥すた。このようにして得られた塗膜について、造膜
性の評価、密着性試験、耐水性試験、耐溶剤性試験を行
った。密着性試験、及び耐水性試験の方法は無機建材用
シーラーにおいて使用した方法と同一である。
【0047】(造膜性の評価)塗膜の表面を目視および
ルーペで観察し、評価結果は、ひび割れの全く無いもの
を○、ややひび割れの認められるものを△、ひび割れの
多いものを×として表示した。
【0048】(耐溶剤性試験)塗膜の試験体を、トルエ
ン/石油ベンジン=1/1の混合溶剤に、20℃にて2
日間浸漬した後、塗膜を観察した。試験結果は、試験前
と比較して変化のないものを○、塗膜が溶剤に侵された
ものを△、基材のPETフィルムが完全に露出したもの
を×として表示した。
【0049】試験結果を〔表12〕に示した。この結果
より明らかなように、本発明の実施品については水系樹
脂を1ヵ月保存したのちであっても、造膜性、密着性、
耐水性、耐溶剤性において優れた評価が得られた。
【0050】
【表12】
【0051】〔粘着剤としての実施例〕 (実施例4、比較例6、7)実施例2において記載した
製造方法と同一の方法により〔表13〕に記載した組成
の原料を重合させ、固形分濃度が50重量%の乳濁した
水系樹脂を得た。
【0052】
【表13】
【0053】得られた水系樹脂を、40℃にて1ヵ月保
存したのち、PETフィルム上に乾燥後の膜厚が20μ
mとなるようにコーティングし、80℃にて2分間乾燥
し、感圧接着テープを作成した。得られた感圧接着テー
プについてタック、接着力、保持力を測定した。 (タックの測定法)JIS Z 0237 に規定され
た球転法によりタックを測定した。 (接着力の測定法)JIS Z 0237 に規定され
た180°ピール接着力を測定した。なお、被着体とし
てはステンレス板を使用した。 (保持力の測定法)JIS Z 0237 に規定され
た方法により保持力を測定した。貼り付け面積を20×
20(mm)とし、40℃及び60℃における2時間後
のずれ巾を測定した。
【0054】評価の結果を〔表14〕に示した。この結
果より、従来のメタクリル酸グリシジルを架橋剤成分と
したものは40℃における1ヵ月の保存後はタック力、
接着力が低下し、架橋基を有しない比較例7はタック
力、接着力は大きいが保持力に欠ける。これに対し、本
発明の接着剤は保存安定性がよくバランスが良いことが
分かる。
【0055】
【表14】
【0056】〔繊維加工剤としての実施例〕 (実施例6、比較例8、9)実施例2の合成において記
載した方法と同一の方法により、〔表15〕に記載した
組成により、水系樹脂を合成した。得られた水系樹脂の
固形分濃度は50重量%であった。
【0057】
【表15】
【0058】得られた水系樹脂について、40℃にて1
ヵ月保存し、以下の方法に従い、耐溶剤性試験及び繊維
加工品の風合いを評価した。
【0059】(耐溶剤性試験)各水系樹脂について、1
0milのアプリケーターを用いてポリエチレン板上に
塗布し、20℃にて1日乾燥した後、さらに130℃に
て20分の熱処理を行い、評価用のフィルムを作成し
た。作成したフィルムは、還流下に60℃で3時間アセ
トンに浸漬し、その後アセトン不溶分を測定した。
【0060】(繊維加工品の風合い評価)各水系樹脂
を、目付量が350g/m2 となるようにナイフコータ
ーを使用してポリエステル製の織布に塗布し、130℃
で5分加熱乾燥し、試験体を得た。各試験体について、
風合いを目視及び手触りにて評価し、比較例9の試験体
を基準とし、これと同等以上の良好な風合いのものを
○、これより風合いが劣るものを×として表示した。
【0061】以上の試験結果を〔表16〕に示した。
【0062】
【表16】
【0063】上記の結果より、実施例6の水系樹脂は、
従来品と同等の架橋性と、良好な風合いを示すと共に、
保存安定性も優れていることが分かる。
【0064】
【発明の効果】上述のように本発明によれば、架橋性の
点では従来のメタクリル酸グリシジルを架橋剤とした水
系樹脂と同等であり、保存安定性が改良された水系樹脂
が得られ、無機建材用シーラー、プラスチック用コーテ
ィング剤、光沢塗料、接着剤・粘着剤、繊維加工剤等に
使用可能であり、かつ優れた特性が得られる。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】〔化1〕にて表されるエポキシ基含有単量
    体、エチレン性不飽和単量体、及び不飽和カルボン酸を
    構成単位として含む常温硬化型水系樹脂。 【化1】 (R1 :H又はCH3 、R2 :C1 〜C3 アルキル基)
  2. 【請求項2】下記の(A)、(B)より構成されるコア
    とシェルの2重構造を有し、前記コアとシェルが下記の
    (A)、(B)のいずれかであるポリマー微粒子を含む
    請求項1記載の常温硬化型水系樹脂。 (A)前記〔化1〕にて表されるエポキシ基含有単量体
    とエチレン性不飽和単量体を含む共重合体。 (B)不飽和カルボン酸とエチレン性不飽和単量体を含
    む共重合体。
  3. 【請求項3】前記〔化1〕にて表されるエポキシ基含有
    単量体0.5〜10重量部、エチレン性不飽和単量体を
    70〜99重量部、不飽和カルボン酸を0.5〜20部
    を使用する請求項1記載の常温硬化型水系樹脂。
  4. 【請求項4】前記(A)として、前記〔化1〕にて表さ
    れるエポキシ基含有単量体0.5〜10重量部、エチレ
    ン性不飽和単量体を30〜49.5重量部、前記(B)
    として不飽和カルボン酸0.5〜20重量部、エチレン
    性不飽和単量体を30〜49.5重量部を使用する請求
    項2記載の常温硬化型水系樹脂。
  5. 【請求項5】前記〔化1〕にて表されるエポキシ基含有
    単量体が、メタクリル酸2,3−エポキシ−2−メチル
    プロピルである請求項1〜4のいずれかに記載の常温硬
    化型水系樹脂。
  6. 【請求項6】(A)前記〔化1〕にて表されるエポキシ
    基含有単量体とエチレン性不飽和単量体を含む共重合
    体、(B)不飽和カルボン酸とエチレン性不飽和単量体
    を含む共重合体より構成されるコアとシェルの2重構造
    を有する常温硬化型水系樹脂の製造法であって、(A)
    を構成する単量体、連鎖移動剤及び界面活性剤を含む乳
    化液を開始剤を用いて重合し、次いで得られた水系樹脂
    に(B)を構成する単量体、連鎖移動剤及び界面活性剤
    を含む乳化液を加えて重合させる常温硬化型水系樹脂の
    製造法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN100389158C (zh) * 2005-06-09 2008-05-21 北京化工大学 一种室温交联水性涂料及其制备方法
CN100389156C (zh) * 2005-06-09 2008-05-21 北京化工大学 一种含有三层核壳结构胶乳粒子乳液的水性涂料及其制备方法

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