JPH09309859A - 新規化合物am6898及びその製法 - Google Patents

新規化合物am6898及びその製法

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JPH09309859A
JPH09309859A JP8124357A JP12435796A JPH09309859A JP H09309859 A JPH09309859 A JP H09309859A JP 8124357 A JP8124357 A JP 8124357A JP 12435796 A JP12435796 A JP 12435796A JP H09309859 A JPH09309859 A JP H09309859A
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JP
Japan
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am6898b
am6898d
am6898a
am6898c
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JP8124357A
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English (en)
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Satoshi Yaginuma
慧 柳沼
Satoru Ishikawa
覚 石川
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Publication date
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  • Acyclic And Carbocyclic Compounds In Medicinal Compositions (AREA)
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  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
  • Heterocyclic Carbon Compounds Containing A Hetero Ring Having Oxygen Or Sulfur (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 下記の式(I)、式(II)、式(II
I)、および式(IV) 【化1】 で表される化合物AM6898A、化合物AM6898
B、化合物AM6898C、および化合物AM6898
Dからなる群より選ばれた化合物、およびシュ−ドアレ
シェリア属に属する該化合物の生産能力を有する微生物
による製造法。 【効果】 本発明の化合物は、IgE産生を抑制する作
用を有し、免疫抑制剤として有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、IgE抗体産生抑
制活性を示す新規化合物AM6898A、AM6898
B、AM6898CまたはAM6898D、それらの製
法、生産菌および用途に関するものである。
【0002】
【従来の技術】アレルギ−反応はその発症の機序、症状
の違いなどによりI型アレルギ−反応、II型アレルギ
−反応、III型アレルギ−反応およびIV型アレルギ
−反応に区別されている。アレルギ−反応の代表的なも
のは、即時型アレルギ−反応ともいわれているI型アレ
ルギ−反応である。I型アレルギ−反応においては、生
体内に入った抗原によりIgEが生起し、これが組織の
肥満細胞または血中の好塩基性細胞の細胞膜に固着した
IgE抗体が抗原と反応することにより、当該細胞から
ヒスタミン、セロトニン、その他の種々の化学伝達物質
を遊離する。該化学伝達物質は平滑筋の収縮、血管透過
性の亢進など様々な組織反応を引き起こす。I型アレル
ギ−の病態としては、アトピ−性気管支喘息、アトピ−
性皮膚炎、アレルギ−性鼻炎、花粉症、アナフィラキシ
−、食物アレルギ−などが挙げられる。
【0003】現在のところ、I型アレルギ−反応を抑制
する薬剤として、肥満細胞および好塩基性細胞からの化
学伝達物質遊離抑制薬、化学伝達物質拮抗薬が開発され
ている。しかしながら、化学伝達物質の遊離もしくは生
成を特異的に抑制する薬剤または特異的な拮抗薬が知ら
れている化学伝達物質は少なく、また化学伝達物質は多
種多様であるため、I型アレルギ−反応を抑制するため
には、種々の化学伝達物質の相互作用の解析が必要とさ
れているのが現状である。さらに、上記の薬剤は、アレ
ルギ−反応の根本的原因であるIgEの産生を抑制する
ことではなく、その意味で根本的治療剤にはなり得な
い。
【0004】また、サイクロスポリンAのような免疫抑
制剤によってIgE産生を抑制し、アレルギ−疾患を治
療しようとする試みも行われているが、非特異的免疫抑
制を伴うため、副作用の問題を克服することは困難であ
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来より、免疫抑制剤
として有用な新規化合物の提供が求められている。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、IgE抗
体産生を特異的に阻害する新規な生理活性物質を微生物
代謝産物より見出すべく鋭意探索を行った。その結果、
神奈川県三浦市油壺の海岸で採取した泥から分離したシ
ュ−ドアレシェリア属(Pseudallescheria sp.)に属す
るM6898株の培養液からIgE抗体産生に対して阻
害活性を示す新規生理活性物質AM6898A、AM6
898B、AM6898C及びAM6898Dが産生さ
れることを見出し本発明を完成させた。
【0007】即ち、本発明は、式(I)
【0008】
【化5】
【0009】で表される化合物AM6898A、式(I
I)
【0010】
【化6】
【0011】で表される化合物AM6898B、式(I
II)
【0012】
【化7】
【0013】で表される化合物AM6898C、および
式(IV)
【0014】
【化8】
【0015】で表される化合物AM6898Dからなる
群より選ばれた化合物である。本発明のAM6898
A、AM6898B、AM6898CまたはAM689
8Dの性状は以下の通りである。 [AM6898A] 1)外観:無色油状 2)酸性、塩基性、中性の区別:中性物質 3)比旋光度:[α]D 23 79.6°(c=0.5,
MeOH) 4)分子式:C15222 5)分子量:FAB−MS m/z 235(M+H)
+ 6)元素分析:計算値(%)(C15222 に対し) C,76.88;H,9.46 実測値(%) C,76.50;H,9.61 7)紫外部吸収スペクトル:末端吸収(MeOH) 8)赤外部吸収スペクトル:(KBr、cm-1)図1に
示す通りである。
【0016】主な吸収は次の通りである。3471、2
927、1693、1651、1450、1377、1
273、1190、1080 9) 1H−NMRスペクトル:(400MHz、CDC
3 )図2に示す通りである。 10)13C−NMRスペクトル:(100MHz,CD
Cl3 )δ(ppm)214.1(s)、149.3
(s)、139.8(s)、116.6(d)、10
9.0(t)、74.7(s)、56.8(d)、4
9.5(d)、46.5(d)、37.0(t)、3
6.6(t)、28.8(t)、26.4(q)、1
8.8(q)、18.6(q) 11)溶解性:クロロホルム、酢酸エチル、アセトン、
メタノ−ルに可溶で水に不溶である。
【0017】12)呈色試験:ヨウ素蒸気との反応、過
マンガン酸カリウム脱色反応に陽性を示し、塩化第二鉄
反応、ニンヒドリン反応に陰性を示す。 13)薄層クロマトグラフィ−:固定相 展開溶媒 Rf値 シリカゲルf S201 ヘキサン:アセトン 0.59 (東京化成社製) (10:2.5) 14)高速液体クロマトグラフィ−: 分離カラム:Shodex C18−5A(カラムサイ
ズ φ4.5x150mm、昭和電工社製) 溶媒:35%アセトニトリル 流速:1.0ml/分 検出:UV 205nm 保持時間:9.71分 [AM6898B] 1)外観:無色柱状結晶 2)酸性、塩基性、中性の区別:中性物質 3)比旋光度:[α]D 22 74.4゜(c=0.5、
MeOH) 4)分子式:C15223 5)分子量:FAB−MS m/z 251(M+H)
+ 6)元素分析:計算値(%)(C15223 に対し) C,71.97;H,8.86 実測値(%) C,72.03;H,8.86 7)紫外部吸収スペクトル:末端吸収(MeOH) 8)赤外部吸収スペクトル:(KBr、cm-1)図3に
示す通りである。
【0018】主な吸収は次の通りである。3419、2
929、1703、1647、1450、1192、1
155、1070、1007 9) 1H−NMRスペクトル:(400MHz、CDC
3 )図4に示す通りである。 10)13C−NMRスペクトル:(100MHz、CD
Cl3 )δ(ppm)213.7(s)、145.1
(s)、140.3(s)、115.5(d)、11
2.7(t)、76.6(s)、75.4(s)、5
6.1(d)、52.4(d)、40.3(t)、3
6.7(t)、28.9(t)、27.6(q)、2
6.4(q)、18.7(q) 11)溶解性:クロロホルム、酢酸エチル、アセトン、
メタノ−ルに可溶で、水に不溶である。
【0019】12)呈色試験:ヨウ素蒸気との反応、過
マンガン酸カリウム脱色反応に陽性を示し、塩化第二鉄
反応、ニンヒドリン反応に陰性を示す。 13)薄層クロマトグラフィ−:固定相 展開溶媒 Rf値 シリカゲルf S201 ヘキサン:アセトン 0.32 (東京化成社製) (10:2.5) 14)高速液体クロマトグラフィ−: 分離カラム:Shodex C18−5A(カラムサイ
ズ φ4.6x150mm、昭和電工社製) 溶媒:35%アセトニトリル 流速:1.0ml/分 検出:UV 205nm 保持時間:2.90分 [AM6898C] 1)外観:無色油状 2)酸性、塩基性、中性の区別:中性物質 3)比旋光度:[α]D 22 −67.2゜(c=1.
0、CHCl3 ) 4)分子式:C16254 5)分子量:FAB−MS m/z 281(M+H)
+ 6)元素分析:計算値(%)(C16254 に対し) C,68.30;H8.96 実測値(%) C,67.92;H8.77 7)紫外部吸収スペクトル:末端吸収(MeOH) 8)赤外部吸収スペクトル:(KBr、cm-1)図5に
示す通りである。
【0020】主な吸収は次の通りである。2968、2
922、1728、1448、1381、1115 9) 1H−NMRスペクトル:(400MHz、CDC
3 )図6に示す通りである。 10)13C−NMRスペクトル:(100MHz、CD
Cl3 )δ(ppm)207.1(s)、135.1
(s)、118.3(d)、83.3(d)、60.5
(d)、58.7(s)、58.6(q)、58.5
(s)、53.7(d)、51.9(d)、36.9
(t)、33.2(t)、27.4(t)、25.8
(q)、18.0(q)、14.0(q) 11)溶解性:ベンゼン、クロロホルム、酢酸エチル、
アセトンに可溶で、水に不溶である。
【0021】12)呈色試験:ヨウ素蒸気との反応、過
マンガン酸カリウム脱色反応に陽性を示し、塩化第二鉄
反応、ニンヒドリン反応に陰性を示す。 13)薄層クロマトグラフィ−:固定相 展開溶媒 Rf値 シリカゲルf S201 ヘキサン:アセトン 0.43 (東京化成社製) (10:2.5) 14)高速液体クロマトグラフィ−: 分離カラム:Shodex C18−5A(カラムサイ
ズ φ4.6x150mm、昭和電工社製) 溶媒:35%アセトニトリル 流速:1.0ml/分 検出:UV 205nm 保持時間:13.64分 [AM6898D] 1)外観:無色油状 2)酸性、塩基性、中性の区別:中性物質 3)比旋光度:[α]D 22 237.9゜(c=1.
0、CHCl3 ) 4)分子式:C15223 5)分子量:FAB−MS m/z 251(M+H)
+ 6)元素分析:計算値(%)(C15223 に対し) C,71.97;H,8.86 実測値(%) C,71.54;H,8.50 7)紫外部吸収スペクトル:末端吸収(MeOH) 8)赤外部吸収スペクトル:(KBr、cm-1)図7に
示す通りである。
【0022】主な吸収は次の通りである。3435、2
974、2933、1711、1647、1448、1
379、1136 9) 1H−NMRスペクトル:(400MHz、CDC
3 )図8に示す通りである。 10)13C−NMRスペクトル:(100MHz、CD
Cl3 )δ(ppm)215.0(s)、210.3
(s)、144.4(s)、141.4(s)、12
0.7(d)、114.7(t)、77.0(d)、4
8.6(d)、46.1(t)、42.8(d)、4
2.2(t)、31.3(t)、26.4(q)、1
9.1(q)、16.4(q) 11)溶解性:ベンゼン、クロロホルム、酢酸エチル、
アセトン、メタノ−ルに可溶で、水に不溶である。
【0023】12)呈色試験:ヨウ素蒸気との反応、過
マンガン酸カリウム脱色反応に陽性を示し、塩化第二鉄
反応、ニンヒドリン反応に陰性を示す。 13)薄層クロマトグラフィ−:固定相 展開溶媒 Rf値 シリカゲルf S201 ヘキサン:アセトン 0.45 (東京化成社製) (10:2.5) 14)高速液体クロマトグラフィ−: 分離カラム:Shodex C18−5A(カラムサイ
ズ φ4.6x150mm、昭和電工社製) 溶媒:35%アセトニトリル 流速:1.0ml/分 検出:UV 205nm 保持時間:11.48分 本発明による化合物AM6898と構造上類似する化合
物としては、天然物では、免疫抑制作用を有するオバリ
シン〔Helv.Chim.Acta, 51: 1395 (1968) 〕やPF11
31化合物〔特開平7−17957号公報〕、抗原虫活
性を有するフマギリン〔Science, 113: 202 (1951)〕、
免疫抑制作用を有するFR−65814〔特開昭61−
33181号公報〕、抗腫瘍活性を有する1771Aお
よびB〔特開平1−233275号公報〕、血管新生阻
害作用を有するWF2015AおよびB〔特開平2−2
33610号公報〕、FR125035〔特開平3−4
7120号公報〕等が知られている。また、フマギリン
の加水分解物であるフマギロールからの誘導体〔特開平
3−7222号公報、特開平3−279376号公報〕
が数多く合成されている。しかしながら、化合物AM6
898はこれらの既知化合物とは化学構造が異なり明確
に区別される。
【0024】また、本発明は、シュ−ドアレシェリア属
に属するAM6898A化合物、AM6898B化合
物、AM6898C化合物またはAM6898D化合物
を産生する能力を有する微生物を培養し、その培養物よ
りAM6898A化合物、AM6898B化合物、AM
6898C化合物またはAM6898D化合物を採取す
ることを特徴とするAM6898A、AM6898B、
AM6898CまたはAM6898Dの製造方法であ
る。
【0025】本発明のシュ−ドアレシェリア属に属する
AM6898A化合物、AM6898B化合物、AM6
898C化合物またはAM6898D化合物を産生する
能力を有する微生物としては、本発明の化合物を生産す
る能力があれば特に限定されないが、例えば、下記のシ
ュ−ドアレシェリア・エリプソイデム(Pseudallescher
ia ellipsoideum)M6898株(FERM BP−55
43)が例示される。
【0026】上記M6898株は、神奈川県三浦市油壺
の海岸で採取した泥から分離した糸状菌であり、その菌
学的性状は次の通りである。 1.各培地上での生育状態 1)イ−スト・リン酸・可溶性澱粉(YpSs)寒天培
地 25℃、7日間の培養でコロニ−の直径は27mm以上
に達し、培地上で白色(1A1)、綿毛状のコロニ−と
なる。コロニ−の裏面は白色(1A1)ないし灰色(1
B2)である。25℃、40日間の培養では、コロニ−
は培地全面に広がり、表面はフェルト状で幅の広い環状
模様が認められ、パステル灰色(1C1)ないし赤褐色
(9E3)のコロニ−となる。コロニ−の最外縁部は灰
褐色(8D3)である。コロニ−裏面は暗褐色(8F
8)を主体とするが、最外縁部は鈍赤色(8C3)であ
る。裏面全体に閉子嚢果が粒子状に散在する。37℃、
7日間の培養でコロニ−の直径は25mmであった。
【0027】2)ポテト・グルコ−ス寒天培地 25℃、7日間の培養でコロニ−の直径は22mm以上
に達し、表面はフェルト状で白色(1A1)ないし灰色
(1C1)である。コロニ−の裏面は白色(1A1)な
いし黄白色(3A2)である。25℃、40日間培養し
た場合、コロニ−は培地全面に広がり、表面はフェルト
状で幅の狭い環状模様が認められる。コロニ−は褐灰色
(6D2)で、裏面は淡肌色(6B3)ないし暗褐色
(6F7)である。裏面全体に閉子嚢果が粒子状に散在
する。37℃、7日間の培養でコロニ−の直径は11m
mであった。
【0028】2.生理学的性状 ポテト・グルコ−ス液体培地で培養した場合、生育し得
るpHの範囲は、3.0〜9.0であり、最適生育pH
は、5.0〜8.0である。ポテト・グルコ−ス寒天培
地で培養した場合、生育し得る温度の範囲は、16.5
〜39℃であり、最適生育温度は、27〜33℃であ
る。
【0029】3.顕微鏡下における形態的特徴 本菌は、有性世代と無性世代を形成する。有性世代は、
暗褐色(7F6)で球形ないし亜球形で、直径60〜1
50μmの閉子嚢果を形成する。閉子嚢果の殻壁は厚さ
が5〜7μmで、暗褐色(7F6)で多角形の細胞で構
成される。子嚢は消失性で、13x15μmの大きさで
あり、球形ないし亜球形で8胞子性である。子嚢胞子は
単胞子性で5x7〜8μmの楕円形である。両端に発芽
孔を有するが、発芽孔が不明瞭な胞子もある。子嚢胞子
の表面は滑面で、成熟したものは淡黄色(4B4)ない
し淡橙色(5C5)である。
【0030】無性世代の分生子は、黄白色(3A2)な
いし淡黄色(4A3)で滑面であり、Scedospo
rium型の分生子を形成する。分生子形成様式は、ア
レウリオ型で、分生子の大きさは、6〜8x3〜5μm
である。分生子は単細胞性で、球形、亜球形、卵形、楕
円形、棒状と様々な形態のものが認められるが、基部に
切り取ったような跡(truncate base)が
共通して認められる。
【0031】4.同定 本菌は、有性世代に閉子嚢果の形成が認められることか
ら子嚢菌類に属する。また、子嚢胞子が単細胞であり、
滑面で小型であること、淡黄色(4B4)ないし淡橙色
(5C5)でること、子嚢胞子の両端の発芽孔がしばし
ば不明瞭であることからMicroascus科に属す
1)。さらにScedosporium型の無性世代が
存在すること、子嚢胞子が楕円形で、その長径が6μm
以上あることからPseudallescheria属
に属する1,2)
【0032】Pseudallescheria属は現
在7種存在しており3)、子嚢胞子が小型であることか
ら、P.africanum、P.angustum、
P.boydii、P.ellipsoideumおよ
びP.fusoideumの5種が考えられる。本菌
は、閉子嚢果の大きさが60〜150μm、子嚢の大き
さが13x15μm、子嚢胞子が楕円形で7〜8x5μ
mの大きさであり、また分生子の大きさは3〜5x6〜
8μmであることからP.ellipsoideumの
特徴に良く一致する1)。従って、本菌株をシュ−ドアレ
シェリア・エリプソイデム(Pseudallesch
eria ellipsoideum)M6898と呼
称することにした。尚本菌株は、工業技術院生命工学工
業技術研究所にFERM BP−5543として寄託さ
れている。
【0033】各培地における生育状態の色の表示は、K
ornerup A.and Wanscher J.
H.1978 (Methuen Handbook
ofColour 3rd ed.)Eye Meth
uen,Londonの表示に従った。 参考文献 1).von Arx,J.A.1973.The G
enera Petriellidium and P
ithoascus(Microascaceae).
Persoonia :367−375. 2).McGinnis,M.R.,Padhye,
A.A.and Ajello,L.1970.Pse
udallescheria Negroniet F
ischer,1943 and its later
synonym Petriellidium Ma
lloch.1970.Mycotaxon 14:9
4−102. 3).Hawksworth,D.L.,Kirk,
P.M.,Sutton,B.C.and Pegle
r,D.N.1995.“Ainsworth& Bi
sby’s Dictionary of the F
ungi”,8th ed.,pp.377.CAB
International,UK. 本発明に係わるAM6898A、AM6898B、AM
6898CまたはAM6898Dの効果的な製造方法
は、シュ−ドアレシェリア属に属する該化合物生産菌
(例えばPseudallescheria elli
psoideumM6898)を好適な培地で培養し、
その培養物から分離する方法である。
【0034】本発明物質を製造するのに使用される培地
は、液体培地による振盪培養または通気攪拌培養が最も
適しているが、これに限定されない。培地はAM689
8A、AM6898B、AM6898CまたはAM68
98D生産菌が生育して培地中に該化合物を蓄積するも
のが望ましい。例えば、炭素源としてはグルコ−ス、シ
ュ−クロ−ス、デキストリン、澱粉、グリセリン、糖
蜜、有機酸などが使用できる。また窒素源としては、例
えばイ−ストエキス、ペプトン、肉エキス、大豆粉、綿
実粉、グルテンミ−ル、小麦胚芽、コ−ンスティ−プリ
カ−、アミノ酸類、アンモニウム塩、硝酸塩、その他各
種有機あるいは無機窒素化合物が用いられる。無機塩と
しては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、炭酸カルシウ
ム、各リン酸塩、マグネシウム塩、銅塩、コバルト塩等
を添加してもよい。また菌の生育及びAM6898A、
AM6898B、AM6898CまたはAM6898D
の生産を促進するようなビタミン類、補酵素類等を添加
してもよい。特に、培地が強く発泡するのであれば、必
要あるときに液体パラフィン、動物油、植物油、鉱物
油、シリコン等を添加してもよい。
【0035】AM6898A、AM6898B、AM6
898CまたはAM6898D生産菌の培養における培
養温度、培養時間、攪拌速度、通気量、培養液のpHな
どの条件は、AM6898A、AM6898B、AM6
898CまたはAM6898Dの蓄積量が最大となるよ
うに適当に選択、調節される。例えば、通常の通気攪拌
培養の場合、培養温度27〜30℃、2〜5日間の培養
が好ましく、また培養液のpHはpH5.0〜8.0に
調節するのが好ましい。
【0036】培養の経過に伴って培養液中に蓄積される
AM6898A、AM6898B、AM6898Cまた
はAM6898Dの量の経時的変化は後述の産生阻害活
性あるいは逆相HPLCにより測定することができる。
通常は、48時間から96時間の培養でその生産量は最
大に達する。培養終了後、主としてその液体部分に蓄積
するAM6898A、AM6898B、AM6898C
またはAM6898Dは、菌体その他の固形部分を濾過
操作または遠心分離によって除去し、その濾液または上
清液から分離するのが好ましいが、必要に応じて菌体を
除去することなく培養液から該化合物を分離することも
可能である。培養液からのAM6898A、AM689
8B、AM6898CまたはAM6898Dの分離、精
製には、その物理化学的特性に基づく種々の方法を用い
ることができる。例えば、濾液または上清液中に存在す
るAM6898A、AM6898B、AM6898Cま
たはAM6898Dは、中性pH条件下で水と混和しな
い有機溶媒、例えば酢酸エチル、酢酸ブチル、ブタノ−
ル、クロロホルム、ジクロルメタン、塩化メチレン、塩
化エチレンなどの単独またはそれらの組み合わせにより
抽出精製することができる。あるいは吸着剤として例え
ばダイヤイオンHP−20(三菱化成社製)等が使用さ
れる。AM6898A、AM6898B、AM6898
CまたはAM6898Dを含む画分を上記の吸着剤の層
を通過させて不純物を吸着させて取り除くか、または、
AM6898A、AM6898B、AM6898Cまた
はAM6898Dを吸着させた後、メタノ−ル水、アセ
トン水などを用いて溶出させることにより該化合物を得
ることができる。更にシリカゲル、アルミナ、フロリジ
ルのような担体を用いた吸着カラムクロマトグラフィ
−、セファデックスLH−20(ファルマシア社製)、
トヨパ−ルHW−40(東ソ−社製)などを用いた分配
カラムクロマトグラフィ−、および順相、逆相カラムを
用いた高速液体クロマトグラフィ−などでAM6898
A、AM6898B、AM6898CまたはAM689
8Dを精製することができる。
【0037】本発明は、AM6898A化合物、AM6
898B化合物、AM6898C化合物、およびAM6
898D化合物からなる群より選ばれた少なくとも一つ
の化合物を有効成分とする医薬である。本発明の医薬
は、通常、AM6898A化合物、AM6898B化合
物、AM6898C化合物、およびAM6898D化合
物からなる群より選ばれた少なくとも一つの化合物の他
に、薬学的に許容される担体とからなることができる。
担体としては、公知のものが使用でき、その性質によっ
ては賦型剤、結合剤、崩壊剤、潤沢剤、矯味矯臭剤、溶
解補助剤、懸濁剤、コ−ティング剤等と分類されること
もあるが、例えば、ラクト−ス、コ−ンスタ−チ、ステ
アリン酸マグネシウム等が挙げられる。
【0038】さらに本発明の医薬は、例えば免疫抑制剤
であり、さらに詳しくは、IgE産生抑制剤、あるい
は、IgEの異常産生に基づく免疫疾患の予防治療剤で
あり、例えば、抗アトピ−性気管支喘息剤、抗アトピ−
性皮膚炎剤、抗アレルギ−性鼻炎剤、抗花粉症剤、抗ア
ナフィラキシ−剤または抗食物アレルギ−剤が例示され
る。
【0039】本発明のAM6898A、AM6898
B、AM6898CまたはAM6898Dを抗アトピ−
性気管支喘息剤、抗アトピ−性皮膚炎剤、抗アレルギ−
性鼻炎剤、抗花粉症剤、抗アナフィラキシ−剤または抗
食物アレルギ−剤として用いる場合、種々の形態で投与
される。その投与形態としては、例えば錠剤、カプセル
剤、顆粒剤、シロップ剤等による経口投与または注射剤
(静脈内、筋肉内、皮下)、点眼剤、坐薬、軟膏、スプ
レ−、ロ−ション等による非経口投与を挙げることがで
きる。
【0040】これらの医薬は、症状、年齢、体重、投与
方法および剤形等によって異なるが通常は成人に対し
て、有効成分として1日20mg乃至1000mgを投
与することができる。
【0041】
【実施例】次に実施例をあげて本発明を更に具体的に説
明する。 実施例1 (1)AM6898化合物の醗酵生産 グルコ−ス2%、可溶性澱粉2%、大豆粉2%、イ−ス
トエキス0.5%、NaCl0.25%、CaCO
3 0.35%およびセライト1%を含有する水性培地
(pH6.5)100mlを500ml容三角フラスコ
に分注し、120℃で20分間滅菌した。これにM68
98株(FERM BP−5543)のスラントを一白
金耳接種し、28℃で3日間ロ−タリ−シェ−カ−(毎
分200rpm)で培養を行い1次種培養液とした。得
られた1次種培養液を、30l容ジャ−ファ−メンタ−
中の上記と同じ滅菌培地20l中へ接種した。ファ−メ
ンタ−を20l/分の通気および200rpm、28℃
で48時間通気攪拌培養し、2次種培養液とした。
【0042】こうして得た2次種培養液4lをさらに、
グルコ−ス2%、綿実粉0.5%、乾燥酵母0.2%、
ペプトン0.1%、NaNO3 0.5%、MgSO4
7H 2 O0.1%、CoCl2 ・6H2 O0.001
%、CaCO3 0.2%およびアンチフォ−ムFS−0
28(Dow Corning K.K社製)0.03
%を含有する300l容ステンレス製ファ−メンタ−中
の滅菌培地200lに接種した。280l/分の通気お
よび300rpmの攪拌のもとに、28℃で72時間培
養を行った。
【0043】(2)AM6898化合物の精製 上記の培養方法で得られたブロス200lに珪藻土(5
kg)を添加後濾過し、濾液(180l)を得た。得ら
れた濾液を塩酸でpH7.0に調製した後、酢酸エチル
(90l)を添加し、抽出操作を行った。この酢酸エチ
ル層を減圧下に濃縮し、約100mlのシロップ状物質
を得た。このシロップ状物質にヘキサン約1lを添加
し、不溶物を濾過により除き、濾液を減圧濃縮した。濃
縮物を予めベンゼン−酢酸エチル(10:2)混合溶媒
で作製したシリカゲルカラム(850ml)に付し、同
混合溶媒で溶出を行い、20mlずつ分画した。精製過
程に於ける活性物質の検出には、シリカゲル薄層クロマ
トグラフィ−[TLC:東京化成社製、シリカゲルf
S201;展開系:ベンゼン−酢酸エチル=10:3で
Rf値0.60、0.32、0.43および0.49の
物質]を用いた。
【0044】フラクションNo.83−No.130に
主としてRf値0.60を示すAM6898A成分が溶
出され、フラクションNo.131−No.220に主
としてRf値0.43及び0.49を示すAM6898
C及びAM6898Dの混合成分が溶出され、フラクシ
ョンNo.225−No.297にRf値0.32を示
すAM6898B成分が溶出された。AM6898A成
分、AM6898B成分およびAM6898CとAM6
898Dの混合成分を含む各々のフラクションを集め、
減圧下濃縮した。
【0045】AM6898A成分を含む濃縮物はさらに
シリカゲルカラム(280ml)に付し、ヘキサン−ク
ロロホルム−酢酸エチル(3:7:0.5)で溶出を行
い、20mlずつ分画した。フラクションNo.41−
No.50にAM6898A成分が溶出された。このフ
ラクションを集め減圧下濃縮し、再度シリカゲルカラム
(160ml)に付した。カラムをヘキサン−アセトン
(10:1)混液で展開し、15mlずつ分画した。フ
ラクションNo.16−No.22にRf値0.60を
示すAM6898A成分が単一成分として溶出された。
この活性画分を集め、減圧下濃縮して、精製された無色
油状のAM6898A(87mg)を得た。
【0046】上記AM6898C及びAM6898D混
合成分を含む濃縮物は、分取用HPLC,Shodex
C18−5F(20φx250mm;昭和電工社製)
に付し、35%アセトニトリル水で展開し、10mlず
つ分画した。フラクションNo.36−No.39にR
f値0.49を示すAM6898D成分が単一成分とし
て溶出された。またフラクションNo.46−No.4
9にRf値0.43を示すAM6898C成分が単一成
分として溶出された。フラクションNo.36−No.
39及びフラクションNo.46−No.49を各々集
め、減圧下濃縮してアセトニトリルを除去後、各々に酢
酸エチルを添加し抽出操作を行った。各々の酢酸エチル
層を減圧下濃縮して、精製された無色油状のAM689
8D(32mg)及びAM6898C(55mg)を得
た。
【0047】上記AM6898B成分を含む濃縮物はシ
リカゲルカラム(160ml)に付し、ヘキサン−クロ
ロホルム(2:8)で溶出を行い15mlずつ分画し
た。フラクションNo.28−No.38にRf値0.
32を示すAM6898B成分が単一成分として溶出さ
れた。この活性画分を集め、減圧下濃縮し、約1mlの
クロロホルムに溶解後、ヘキサン約15mlを加え室温
に放置するとAM6898Bが柱状結晶として得られ
た。この結晶を濾過によりグラスフィルタ−上に集め、
乾燥することで精製された無色柱状結晶のAM6898
B(57mg)を得た。 実施例2 (1)AM6898のIgEまたはIgG2
b抗体産生抑制活性 実施例1で得られたAM6898A、AM6898B、
AM6898CまたはAM6898Dについて、IgE
抗体またはIgG2b抗体産生抑制活性の測定を次のよ
うにして行い、該活性を確認した。
【0048】6週齢の雌性Balb/c系マウスの脾臓
を無菌的に摘出し、ステンレスメッシュを通過させ大き
な細胞塊を除いた後、10%牛胎児血清、2mMグルタ
ミン、5x10-5M2−メルカプトエタノ−ル、0.3
%NaHCO3 、アンピシリン(50μg/ml)及び
ストレプトマイシン(50μg/ml)を含むRPMI
1640培地に細胞を懸濁して脾臓細胞浮遊液を得
た。この液を1200rpmで10分間遠心後、NH4
Cl−トリス溶液で赤血球を破壊し、更に抗Thy−1
抗体及びウサギ補体を用いてT細胞を死滅させB細胞源
とした。B細胞浮遊液はPBS(2.68mMKCl、
1.47mMKH2 PO4 、0.137MNaCl、
8.06mMNa2 HPO4 ・7H2 Oを含有する)に
て2回洗浄し、上記RPMI 1640培地にて5x1
6 細胞/mlに調製した。B細胞刺激剤としてLPS
(Difco社;E.coli由来)を50μg/ml
となるように添加し、24時間、37℃、5%CO2
で前培養した。その後、細胞を回収し、上記PBSで2
回洗浄した。再度細胞をRPMI 1640培地にて5
x106 細胞/mlに調製し、この細胞浮遊液100μ
lを96穴プレ−トの各ウェル(5x105 細胞/ウェ
ル)に入れ、これにLPS5μgとIL−4(CHO細
胞で生産した組み換え体マウスIL−4)100Uを添
加した。次いで各種濃度のAM6898化合物50μl
を加え、200μl/ウェルとし、5%CO2 インキュ
ベ−タ−を用いて37℃で7日間培養した後、培地中の
IgE量およびIgG2b量を測定した。
【0049】培養上清中のIgE量は以下の方法により
測定した。1次抗体としてラット抗マウスIgEモノク
ロナ−ル抗体(社内作製品)を2μg/mlとなるよう
にPBSに溶解し、96穴ELISAプレ−ト(Dyn
atech社)に50μg/ウェルの割合で分注し、室
温で1.5時間保持した。その後PBS溶液を捨て、3
00μl/ウェルの割合で0.005%Tween20
含有PBS溶液を加えることにより各ウェルを洗浄し
た。この洗浄操作を4回繰り返し行った。洗浄後、20
0μl/ウェルの割合でブロッキング溶液[1%BSA
(Miles社;fraction V)含有PBS]
を加え、4℃で一昼夜保持し、ブロッキングを行った。
次いで、ブロッキング溶液を捨て、先に述べた0.05
%Tween20含有PBS溶液による洗浄操作を4回
繰り返した。次に予め用意しておいた活性測定用の一連
のサンプル希釈液を50μl/ウェルの割合で加え、室
温で1時間保持した。0.05%Tween20含有P
BS溶液による洗浄操作を4回繰り返した。次に2次抗
体としてビオチン標識ラット抗マウスIgEモノクロナ
−ル抗体(社内作製品)を2μg/mlとなるようにP
BSで溶解し、50μl/ウェル加え、室温で1時間保
持した。0.05%Tween20含有PBS溶液によ
る洗浄操作を4回繰り返した後、PBS溶液を用いて2
000倍に希釈したHorseradish Pero
xidaseAvidin D(Vector社、A2
004)を50μl/ウェル加えて室温で1時間保持し
た。0.05%Tween20含有PBS溶液による洗
浄操作を4回繰り返した後、ABTS溶液[0.129
gクエン酸;0.276gNa2 HPO4 ・12H
2 O;30%H2 2 1μl;3mg2,2−Azin
o−bis(3−ethylbenzothiazol
ine−6−sulfonic acid)diamm
onium salt(和光純薬社);10ml蒸留
水]を50μl/ウェル加えて室温で10分間保持し、
5%(w/v)のシュウ酸を50μl/ウェル加えて反
応を停止した。その後、415nmの吸光度を測定する
ことによりIgE量の測定を行った。検量線の作製は抗
TNPマウスモノクロナ−ルIgE抗体(ATCC T
IB−142細胞由来)を用い行った。
【0050】培養上清中のIgG2b抗体量は、IgE
抗体測定時に用いた1次抗体および2次抗体が異なるだ
けで、IgE抗体量測定と同様の方法により行った。即
ち、1次抗体としてヒツジ抗マウスIgG2b抗体(C
altag社;M32400Human Absorb
ed)を使用時2000倍に希釈して用いた。また2次
抗体としてビオチン標識ウサギ抗マウスIgG2b抗体
(Zymed;61−0340)を使用時4000倍に
希釈して用いた。
【0051】IgE抗体産生抑制活性およびIgG2b
抗体産生抑制活性は、IgE抗体産生量およびIgG2
b抗体産生量がコントロ−ルの50%に減少した濃度を
IC 50(μg/ml)として求め、AM6898A、A
M6898B、AM6898C及びAM6898Dの活
性を算出した。
【0052】
【表1】
【0053】上記の結果から明らかなように、AM68
98A、AM6898B、AM6898CまたはAM6
898D化合物はいずれもIgG2b抗体産生を抑制す
ることなく、特異的に低濃度でIgE抗体産生抑制作用
を有することが確認された。したがって、本発明の化合
物が、免疫抑制剤であること、さらに、特異的なIgE
産生抑制剤であること、あるいは、IgEの異常産生に
基づく免疫疾患の予防治療剤であり、例えば、抗アトピ
−性気管支喘息剤、抗アトピ−性皮膚炎剤、抗アレルギ
−性鼻炎剤、抗花粉症剤、抗アナフィラキシ−剤または
抗食物アレルギ−剤に使用できる可能性が確認された。
【0054】(2)AM6898化合物の細胞毒性 この研究では、マウスリンパ腫P388細胞を用いた。
細胞生存率は、Michael C,Alleyらの方
法[Cancer Res.,48,589−601
(1988)]に準じ、MTT[3−(4,5−dim
ethylthiazol−2−yl)−2,5−di
phenyltetrazolium bromid]
試薬を用いて測定した。即ち、10%牛胎児血清、2m
Mグルタミン、5μM2−メルカプトエタン−ル、0.
3%炭酸水素ナトリウム、アンピシリン(50μg/m
l)及びストレプトマイシン(50μg/ml)を含有
するRPMI 1640培地にてマウスリンパ腫P38
8細胞を1x105 細胞/mlに調製した。この細胞浮
遊液100μlを96穴プレ−トの各ウェル(1x10
4 細胞/ウェル)に入れた。これに上記培地を用いて作
製した各種濃度のAM6898化合物溶液100μl/
ウェルを加え、5%CO2 インキュベ−タ−を用いて3
7℃で3日間培養した。その後、細胞数をMTT法でカ
ウントした。尚、AM6898化合物は水に不溶性なの
で、DMSOに溶解した後、上記培地で希釈した。コン
トロ−ルとして、AM6898化合物を添加しなかった
他は上記の操作を繰り返した。細胞数がコントロ−ルの
50%に減少した濃度をIC50(μg/ml)としてA
M6898A、AM6898B、AM6898Cおよび
AM6898DのIC50値を測定した。以上の結果を表
2に示した。
【0055】
【表2】
【0056】以上の結果から明らかなように、AM68
98A、AM6898B、AM6898CまたはAM6
898D化合物は、いずれも細胞毒性の低い化合物であ
ることが確認された。 (3)AM6898化合物の急性毒性 AM6898A、AM6898B、AM6898Cまた
はAM6898D化合物をDMSOに溶解した後、生理
的食塩水溶液で希釈し、30mg/kgを1日1回5日
間ICR系マウス5匹(雌性、5週齢)に腹腔内投与し
た。結果としてマウスの異常な症状は何ら観察されず、
本発明に係わる化合物は安全性も高いことが確認され
た。 実施例3 経口用カプセル剤 実施例1で製造したAM6898Aの30mgを、ラク
ト−ス170mg、コ−ンスタ−チ140mg、ステア
リン酸マグネシウム2mgと良く混合し、この粉末35
0mgをゼラチンカプセルに入れ、カプセル剤とした。
【0057】
【発明の効果】本発明は、新規な化合物を提供するもの
であり、これらの化合物は、一般的免疫抑制作用を示さ
ず、優れたIgE抗体産生抑制作用を示す。したがっ
て、特に、IgEの産生異常で惹起される病気、例えば
アトピ−性気管支喘息、アトピ−性皮膚炎、アレルギ−
性鼻炎、花粉症、アナフィラキシ−、食物アレルギ−等
の治療薬または予防薬あるいはそれらへの変換素材とし
て非常に有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1はAM6898Aの臭化カリウム錠剤中で
の赤外部吸収スペクトルを示す。
【図2】図2はAM6898Aの重クロロホルム溶液中
での400MHz 1H−NMRスペクトルを示す。
【図3】図3はAM6898Bの臭化カリウム錠剤中で
の赤外部吸収スペクトルを示す。
【図4】図4はAM6898Bの重クロロホルム溶液中
での400MHz 1H−NMRスペクトルを示す。
【図5】図5はAM6898Cの臭化カリウム錠剤中で
の赤外部吸収スペクトルを示す。
【図6】図6はAM6898Cの重クロロホルム溶液中
での400MHz 1H−NMRスペクトルを示す。
【図7】図7はAM6898Dの臭化カリウム錠剤中で
の赤外部吸収スペクトルを示す。
【図8】図8はAM6898Dの重クロロホルム溶液中
での400MHz 1H−NMRスペクトルを示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C07D 493/08 C07D 493/08 A C12N 1/14 C12N 1/14 A C12P 7/26 C12P 7/26 17/18 17/18 D //(C12N 1/14 C12R 1:645) (C12P 7/26 C12R 1:645) (C12P 17/18 C12R 1:645)

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式(I) 【化1】 で表される化合物AM6898A、式(II) 【化2】 で表される化合物AM6898B、式(III) 【化3】 で表される化合物AM6898C、および式(IV) 【化4】 で表される化合物AM6898Dからなる群より選ばれ
    た化合物。
  2. 【請求項2】 シュ−ドアレシェリア属に属するAM6
    898A化合物、AM6898B化合物、AM6898
    C化合物またはAM6898D化合物を産生する能力を
    有する微生物を培養し、その培養物よりAM6898A
    化合物、AM6898B化合物、AM6898C化合物
    またはAM6898D化合物を採取することを特徴とす
    るAM6898A、AM6898B、AM6898Cま
    たはAM6898Dの製造方法。
  3. 【請求項3】 AM6898A化合物、AM6898B
    化合物、AM6898C化合物、およびAM6898D
    化合物からなる群より選ばれた少なくとも一つの化合物
    を有効成分とする医薬。
  4. 【請求項4】 医薬が、免疫抑制剤である請求項3に記
    載の医薬。
  5. 【請求項5】 医薬が、IgE産生抑制剤である請求項
    3または請求項4に記載の医薬。
  6. 【請求項6】 医薬が、IgEの異常産生に基づく免疫
    疾患の予防治療剤である請求項3に記載の医薬。
  7. 【請求項7】 シュ−ドアレシェリア・エリプソイデム
    (Pseudallescheriaellipsoideum)M6898株(FE
    RM BP−5543)。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006107184A1 (en) * 2005-04-07 2006-10-12 Mycoplus Co., Ltd. A pharmaceutical composition for the treatment of atopic dermatitis containing 4-hydroxy-5-methoxy-4-[2-methyl-3-(3-methyl-2-butenyl)-2-oxiranyl]-1-oxaspiro [2,5]octan-6-one

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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006107184A1 (en) * 2005-04-07 2006-10-12 Mycoplus Co., Ltd. A pharmaceutical composition for the treatment of atopic dermatitis containing 4-hydroxy-5-methoxy-4-[2-methyl-3-(3-methyl-2-butenyl)-2-oxiranyl]-1-oxaspiro [2,5]octan-6-one

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