JP2815166B2 - 新規抗生物質mk1688物質ならびにその製造法 - Google Patents
新規抗生物質mk1688物質ならびにその製造法Info
- Publication number
- JP2815166B2 JP2815166B2 JP1049329A JP4932989A JP2815166B2 JP 2815166 B2 JP2815166 B2 JP 2815166B2 JP 1049329 A JP1049329 A JP 1049329A JP 4932989 A JP4932989 A JP 4932989A JP 2815166 B2 JP2815166 B2 JP 2815166B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- substance
- culture
- antibiotic
- present
- production
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Lifetime
Links
Landscapes
- Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
- Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
- Heterocyclic Carbon Compounds Containing A Hetero Ring Having Nitrogen And Oxygen As The Only Ring Hetero Atoms (AREA)
- Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
- Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)
Description
【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、エニアチン系の新規抗生物質MK1688物質な
らびにその製造法に関する。
らびにその製造法に関する。
(従来の技術及び発明が解決しようとする問題点) 従来、微生物が生産する種々の抗生物質が知られてお
り、医薬品、動物薬、農薬等の分野で実用化されてい
る。しかしながら耐性菌の出現などの問題から、現在も
新規な抗生物質の出現が常に求められている。本発明
は、新規な抗生物質を提供するとともに、その製造法を
確立することによって、この問題を解決しようとするも
のである。
り、医薬品、動物薬、農薬等の分野で実用化されてい
る。しかしながら耐性菌の出現などの問題から、現在も
新規な抗生物質の出現が常に求められている。本発明
は、新規な抗生物質を提供するとともに、その製造法を
確立することによって、この問題を解決しようとするも
のである。
(問題点を解決するための手段) 本発明者らは、上述の期待にこたえるべく、抗菌活性
を有する物質の探索を続けたところ、フザリウム属に属
するある菌株の培養物中に抗菌活性を有する物質が生産
されていることを見い出し、同物質を単離し、その物理
化学的性質を測定した結果、同物質はエニアチン系の化
合物であることがわかった。
を有する物質の探索を続けたところ、フザリウム属に属
するある菌株の培養物中に抗菌活性を有する物質が生産
されていることを見い出し、同物質を単離し、その物理
化学的性質を測定した結果、同物質はエニアチン系の化
合物であることがわかった。
本発明の抗生物質MK1688物質と理化学的性状が類似す
るエニアチン系の化合物として、エニアチンA〔P1.A.P
lattnerら、ヘルベチカ キミカ アクタ(Helv.Chim.A
cta)、第31巻、2192頁、1948年発行〕;偽エニアチン
A(pseudo−Enniatin A)〔M.M.Shemyakinら、ジャ
ーナル オブシュケイ キミィ(Zh.Obshch.Khim.)、
第42巻、2320〜2334頁、1972年発行〕;シクロ(D−2
−ヒドロキシ−3−メチルペンタノイル−N−メチル−
D−バリル−D−2−ヒドロキシ−3−メチルペンタノ
イル−N−メチル−D−バリル−D−2−ヒドロキシ−
3−メチルペンタノイル−N−メチル−D−バリル〔M.
M.Shemyakin,トエルブス プロシィディングス オブ
ザ ヨーロピアン ペプチド シンポジウム(12th.Pro
c.Eur.Pept.Symp.)、346〜352頁、1972年発行〕などが
知られている。
るエニアチン系の化合物として、エニアチンA〔P1.A.P
lattnerら、ヘルベチカ キミカ アクタ(Helv.Chim.A
cta)、第31巻、2192頁、1948年発行〕;偽エニアチン
A(pseudo−Enniatin A)〔M.M.Shemyakinら、ジャ
ーナル オブシュケイ キミィ(Zh.Obshch.Khim.)、
第42巻、2320〜2334頁、1972年発行〕;シクロ(D−2
−ヒドロキシ−3−メチルペンタノイル−N−メチル−
D−バリル−D−2−ヒドロキシ−3−メチルペンタノ
イル−N−メチル−D−バリル−D−2−ヒドロキシ−
3−メチルペンタノイル−N−メチル−D−バリル〔M.
M.Shemyakin,トエルブス プロシィディングス オブ
ザ ヨーロピアン ペプチド シンポジウム(12th.Pro
c.Eur.Pept.Symp.)、346〜352頁、1972年発行〕などが
知られている。
しかし、更に検討した結果、本発明の抗性物質MK1688
物質は構成アミノ酸がN−メチル−L−バリンであるこ
とがわかり、上記の公知化合物とは構成アミノ酸が異な
ることから、本発明の抗生物質は新規な化合物であるこ
とを確定するに至り、本発明を完成した。
物質は構成アミノ酸がN−メチル−L−バリンであるこ
とがわかり、上記の公知化合物とは構成アミノ酸が異な
ることから、本発明の抗生物質は新規な化合物であるこ
とを確定するに至り、本発明を完成した。
即ち、本発明の要旨は、下記式(I)で表される新規
抗生物質MK1688物質、 及びフザリウム属に属する、抗生物質MK1688物質生産
菌を培養し、その培養物から抗生物質MK1688物質を採取
することを特徴とする上記式(I)で表される抗生物質
MK1688物質の製造法に存する。
抗生物質MK1688物質、 及びフザリウム属に属する、抗生物質MK1688物質生産
菌を培養し、その培養物から抗生物質MK1688物質を採取
することを特徴とする上記式(I)で表される抗生物質
MK1688物質の製造法に存する。
以下本発明を説明するに、本発明の新規抗生物質MK16
88物質は、N−メチル−L−バリンを構成アミノ酸とす
る上記式(I)で表される新規化合物である。
88物質は、N−メチル−L−バリンを構成アミノ酸とす
る上記式(I)で表される新規化合物である。
本発明の抗生物質MK1688物質は、フザリウム属に属す
る該MK1688物質生産菌により生産される。
る該MK1688物質生産菌により生産される。
かかる生産菌としては、例えば工業技術院微生物工業
技術研究所に、微工研菌寄第10564号(FERM P−1056
4)として寄託されているフザリウム・オキシスポルム
(Fusarium oxysporum)D338が挙げられる。その菌学
的性質は下記の通りである。
技術研究所に、微工研菌寄第10564号(FERM P−1056
4)として寄託されているフザリウム・オキシスポルム
(Fusarium oxysporum)D338が挙げられる。その菌学
的性質は下記の通りである。
(1) 形態学的特徴 コロニーは生育旺盛で、PDA培地上においてフェニト
状〜線毛状となり、その表面は白色、裏面は黄味白色〜
明るい黄橙色を呈する。
状〜線毛状となり、その表面は白色、裏面は黄味白色〜
明るい黄橙色を呈する。
基底菌糸は隔壁を有し無色で、放射状に伸長、分枝し
幅8.2μmに至る。
幅8.2μmに至る。
気生菌糸は豊富に形成される。
フイアライドは気生菌糸上に側生または分生子柄上に
形成され、長さは3.2〜43μmと短かく、先端に向かっ
て先が細くなっており、幅は基部で1.8〜2.7μmであ
る。
形成され、長さは3.2〜43μmと短かく、先端に向かっ
て先が細くなっており、幅は基部で1.8〜2.7μmであ
る。
分生子は大分生子と小分生子の2つの型を有し、分生
子形成様式はフイアロ型である。
子形成様式はフイアロ型である。
大分生子は多分枝の分生子柄上に形成され、その形態
は、膜が薄く平滑な新月型で両端が劣っており、無色で
ある。
は、膜が薄く平滑な新月型で両端が劣っており、無色で
ある。
また該大分生子は通常3〜5隔壁(まれに6〜7隔
壁)でその基部にはくちばし状のフットセルを有する。
壁)でその基部にはくちばし状のフットセルを有する。
上記大分生子の大きさは、2隔壁分生子では35〜60μ
m×4〜5.6μm、5隔壁分生子で51.6〜57μm×4〜
5.6μm、6〜7隔壁分生子で54〜73μm×4〜5.6μm
である。
m×4〜5.6μm、5隔壁分生子で51.6〜57μm×4〜
5.6μm、6〜7隔壁分生子で54〜73μm×4〜5.6μm
である。
小分生子は菌糸から側生した分生子柄上に生じ、その
形態は膜が薄く無色で平滑な円筒形〜楕円形である。
形態は膜が薄く無色で平滑な円筒形〜楕円形である。
また該小分生子は1〜2個の細胞から成り、その大き
さは7.6〜27μm×2〜4μmである。尚、完全世代は
観察されなかった。
さは7.6〜27μm×2〜4μmである。尚、完全世代は
観察されなかった。
(2) 生理的状質 最適生育条件 成育の範囲 pH:pH2〜9(LCA液体培地中で2週間培養) 温度:10℃〜30℃(PDA培地上で2週間培養) (3) 分類学的考察 属レベルの同定 本菌株(D338)は1)フィアロ型分生子形成様式を持
つ、2)大分生子は新月型で隔壁を有し、基部には明瞭
なフットセル(Foot Cell)を有する。
つ、2)大分生子は新月型で隔壁を有し、基部には明瞭
なフットセル(Foot Cell)を有する。
上記菌学的性状を有する不完全糸状菌鋼(Hyphomycet
es)の属について、H.L.BarnettとB.B.Hunterの“イラ
ストレイテッド ジェネラ オブ インパーフェクト
フンギ(Illustrated genera of Imperfect Fung
i)”記載の検索表に従って検索した結果、本菌株(D33
8)はフザリウム属に帰属することが判明した。
es)の属について、H.L.BarnettとB.B.Hunterの“イラ
ストレイテッド ジェネラ オブ インパーフェクト
フンギ(Illustrated genera of Imperfect Fung
i)”記載の検索表に従って検索した結果、本菌株(D33
8)はフザリウム属に帰属することが判明した。
レベルの固定 本菌株(D338)は1)大分生子と小分生子を持つ、
2)小分生子単純なフィアライド型の分生子柄上に生
じ、その分生子柄は短い、3)小分生子は連鎖状に形成
されない、4)小分生子は円筒形〜長楕円形である。Bo
oth(1971)の“ザ ジェヌス フザリウム(The genu
s Fusarinm)、1〜237頁”の記載によれば、フザリウ
ム属菌には47種が知られている。本菌株(D338)の形態
学的性状と上記文献記載の47菌種のものを対比したとこ
ろ本菌株の性状は上記文献に記載してあるフザリウム・
オキシスポルムの性状とほとんど合致した。その中で近
縁種のフザリウム・ソラニイ(F.solani)とは小分生子
柄の長さの相違によって識別された。従って本菌株(D3
38)はフザリウム・オキシスポルム(F.oxysporum)と
同定された。
2)小分生子単純なフィアライド型の分生子柄上に生
じ、その分生子柄は短い、3)小分生子は連鎖状に形成
されない、4)小分生子は円筒形〜長楕円形である。Bo
oth(1971)の“ザ ジェヌス フザリウム(The genu
s Fusarinm)、1〜237頁”の記載によれば、フザリウ
ム属菌には47種が知られている。本菌株(D338)の形態
学的性状と上記文献記載の47菌種のものを対比したとこ
ろ本菌株の性状は上記文献に記載してあるフザリウム・
オキシスポルムの性状とほとんど合致した。その中で近
縁種のフザリウム・ソラニイ(F.solani)とは小分生子
柄の長さの相違によって識別された。従って本菌株(D3
38)はフザリウム・オキシスポルム(F.oxysporum)と
同定された。
一般に、フザリウム属(Fusarium属)菌は他の菌類の
場合にみられるようにその性状が変化しやすいが、本発
明においては、例えば、D338株の、またはこの株に由来
する突然変異株(自然発生または誘発性)であっても、
或いはその形質接合体または遺伝子組換え体であって
も、新規構成物質MK1688物質の生産能を有するものはす
べて本発明の方法に使用することができる。
場合にみられるようにその性状が変化しやすいが、本発
明においては、例えば、D338株の、またはこの株に由来
する突然変異株(自然発生または誘発性)であっても、
或いはその形質接合体または遺伝子組換え体であって
も、新規構成物質MK1688物質の生産能を有するものはす
べて本発明の方法に使用することができる。
本発明においては、前記の菌を通常の微生物が利用し
うる栄養物を含有する培地で培養する。栄養源としては
グルコース、水アメ、デキストリン、シュクロース、デ
ンプン、糖蜜、動・植物油等を使用できる。また窒素源
として大豆粉、小麦胚芽、コーンスティーブ・リカー、
線実粕、肉エキス、ペプトン、酵母エキス、硫酸アンモ
ニウム、硝酸ソーダ、尿素等を使用できる。その他必要
に応じて、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネ
シウム、コバルト、塩素、リン酸、硫酸及びその他のイ
オンを生成することのできる無機塩類を添加することは
有効である。また菌の生育を助け抗生物質MK1688物質の
生産を促進するような有機及び無機物を適当に添加する
ことができる。
うる栄養物を含有する培地で培養する。栄養源としては
グルコース、水アメ、デキストリン、シュクロース、デ
ンプン、糖蜜、動・植物油等を使用できる。また窒素源
として大豆粉、小麦胚芽、コーンスティーブ・リカー、
線実粕、肉エキス、ペプトン、酵母エキス、硫酸アンモ
ニウム、硝酸ソーダ、尿素等を使用できる。その他必要
に応じて、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネ
シウム、コバルト、塩素、リン酸、硫酸及びその他のイ
オンを生成することのできる無機塩類を添加することは
有効である。また菌の生育を助け抗生物質MK1688物質の
生産を促進するような有機及び無機物を適当に添加する
ことができる。
培養法としては、好気的条件下での培養法、特に深部
培養法が最も適している。培養に適当な温度は10〜30℃
であるが多くの場合、20〜27℃付近で培養する。抗生物
質MK1688物質の生産は培地や培養条件により異なるが、
振とう培養、タンク培養とも通常3〜10日の間でその蓄
積が最高に達する。培養物中のMK1688物質の蓄積量が最
高になった時に培養を停止し、培養液から目的物質を単
離精製する。
培養法が最も適している。培養に適当な温度は10〜30℃
であるが多くの場合、20〜27℃付近で培養する。抗生物
質MK1688物質の生産は培地や培養条件により異なるが、
振とう培養、タンク培養とも通常3〜10日の間でその蓄
積が最高に達する。培養物中のMK1688物質の蓄積量が最
高になった時に培養を停止し、培養液から目的物質を単
離精製する。
本発明において、MK1688物質の培養物からの採取に当
たっては、その性状を利用した通常の分離手段、例え
ば、溶剤抽出法、イオン交換樹脂法、吸着または分配カ
ラムクロマト法、ゲルろ過法、透析法、沈澱法等を単独
でまたは適宜組み合わせて抽出精製することができる。
例えば、MK1688物質は、培養菌体中からはアセトン−水
またはメタノール−水で抽出される。また、培養液中に
蓄積されたMK1688物質は水と混ざらない有機溶剤、例え
ば、ブタノール、酢酸エチル等で抽出すればMK1688物質
は有機溶剤層に抽出される。MK1688物質をさらに精製す
るには、シリカゲル(ワコーゲルC−200、和光純薬工
業社製等)、アルミナ等の吸着剤やセファデックスLH−
20(ファルマシア社製)等を用いるクロマトグラフィー
を行うとよい。
たっては、その性状を利用した通常の分離手段、例え
ば、溶剤抽出法、イオン交換樹脂法、吸着または分配カ
ラムクロマト法、ゲルろ過法、透析法、沈澱法等を単独
でまたは適宜組み合わせて抽出精製することができる。
例えば、MK1688物質は、培養菌体中からはアセトン−水
またはメタノール−水で抽出される。また、培養液中に
蓄積されたMK1688物質は水と混ざらない有機溶剤、例え
ば、ブタノール、酢酸エチル等で抽出すればMK1688物質
は有機溶剤層に抽出される。MK1688物質をさらに精製す
るには、シリカゲル(ワコーゲルC−200、和光純薬工
業社製等)、アルミナ等の吸着剤やセファデックスLH−
20(ファルマシア社製)等を用いるクロマトグラフィー
を行うとよい。
かくして得られる前記式(I)で表される本発明の抗
生物質MK1688物質は、下記表1に示すように、グラム陽
性菌に対して抗菌活性を有する。
生物質MK1688物質は、下記表1に示すように、グラム陽
性菌に対して抗菌活性を有する。
また、本発明の抗生物質MK1688物質は、jcl:ICLマウ
ス(体重25gの雄を3匹使用)への腹腔内投与による急
性毒性試験を行ったが、100m/kgの投与量で死亡例はな
かった。
ス(体重25gの雄を3匹使用)への腹腔内投与による急
性毒性試験を行ったが、100m/kgの投与量で死亡例はな
かった。
以下に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明する
が、本発明の要旨を超えない限り、本発明は、以下の実
施例に限定されるものではない。
が、本発明の要旨を超えない限り、本発明は、以下の実
施例に限定されるものではない。
実施例1 培養 コーンスターチ3.0%、大豆粉3.5%、大豆油0.2%、
小麦胚芽1.5%、K2HPO40.2%、CaCO30.5%を含有する種
培地(pH6.0)を40mlずつ200mlの三角フラスコ10本に分
注して、121℃、20分間高圧滅菌した。
小麦胚芽1.5%、K2HPO40.2%、CaCO30.5%を含有する種
培地(pH6.0)を40mlずつ200mlの三角フラスコ10本に分
注して、121℃、20分間高圧滅菌した。
次いで、フザリウム・オキシスポルムD338(微工研菌
寄第10564号)を1白金耳ずつ植菌し、26℃で3日間、2
10回転にて振とう培養した。
寄第10564号)を1白金耳ずつ植菌し、26℃で3日間、2
10回転にて振とう培養した。
別に、水アメ2.0%、大豆粉1.0%、大豆油0.15%、サ
ングレイン0.25%、綿実粕0.5%、FeSO4・7H2O 0.0005
%、NiCl2・6H2O 0.00005%、CoCl2・6H2O 0.00005%
およびCaCO3 0.1%を含有する主醗酵培地(pH6.0)を
調製し、その80mlを500ml三角フラスコ100本に分注し、
121℃において20分間高圧滅菌する。この主醗酵培地に
前記種培養液を4mlずつ接種し、26℃において6日間、2
10回転にて振とう培養する。得られた培養を遠心分離し
て、培養上清液4と培養菌体を得た。
ングレイン0.25%、綿実粕0.5%、FeSO4・7H2O 0.0005
%、NiCl2・6H2O 0.00005%、CoCl2・6H2O 0.00005%
およびCaCO3 0.1%を含有する主醗酵培地(pH6.0)を
調製し、その80mlを500ml三角フラスコ100本に分注し、
121℃において20分間高圧滅菌する。この主醗酵培地に
前記種培養液を4mlずつ接種し、26℃において6日間、2
10回転にて振とう培養する。得られた培養を遠心分離し
て、培養上清液4と培養菌体を得た。
培養物の精製 上記で得られた菌体約500g(湿重量)に、50%アセ
トン−水(4)を加え、30分間撹拌した後、菌体を濾
別し、減圧下アセトンを留去して菌体抽出液(2.0)
を得た。この菌体抽出液と上記で得た培養上清(4
)を混合し、この混合液より酢酸エチル(6)で有
効成分の抽出操作を行い、溶媒層を濃縮乾固した。得ら
れた抽状物質を、予めクロロホルム−メタノール(20:
1)で充填したシリカゲルカラム(ワコーゲルC−200、
100g)の上端に付し、クロロホルム−メタノール(20:
1)で展開して溶出液を15gずつ分画した。活性画分(N
o.125−143)を濃縮乾固すると796mgの油状物質が得ら
れた。この油状物質をセファデックスLH−20(870ml)
カラム(Φ35mm×1m、90cmの高さまでセファデックスLH
−20を詰めた)の上端に付し、メタノールで展開して溶
出液を10gずつ分画した。活性画分(No.21−28)を濃縮
乾固すると387mgのMK1688物質が得られた。
トン−水(4)を加え、30分間撹拌した後、菌体を濾
別し、減圧下アセトンを留去して菌体抽出液(2.0)
を得た。この菌体抽出液と上記で得た培養上清(4
)を混合し、この混合液より酢酸エチル(6)で有
効成分の抽出操作を行い、溶媒層を濃縮乾固した。得ら
れた抽状物質を、予めクロロホルム−メタノール(20:
1)で充填したシリカゲルカラム(ワコーゲルC−200、
100g)の上端に付し、クロロホルム−メタノール(20:
1)で展開して溶出液を15gずつ分画した。活性画分(N
o.125−143)を濃縮乾固すると796mgの油状物質が得ら
れた。この油状物質をセファデックスLH−20(870ml)
カラム(Φ35mm×1m、90cmの高さまでセファデックスLH
−20を詰めた)の上端に付し、メタノールで展開して溶
出液を10gずつ分画した。活性画分(No.21−28)を濃縮
乾固すると387mgのMK1688物質が得られた。
尚、各工程での抗菌活性の測定は、被検菌としてバシ
ルス サブティリス(B.subtilis)ATCC 6633を使用し
て行った。
ルス サブティリス(B.subtilis)ATCC 6633を使用し
て行った。
かくして得られたMK1688物質の理化学的性質は次の通
りであった。
りであった。
(1)色および形状:無色粉末 (2)分子式:C36H63N3O9 (3)元素分析値:C 63.02 H 9.58 N 6.08 (4)マススペクトル(EI−MS):m/z681(M+) (5)融点:吸湿性のため明確な融点を示さない。
(6)比旋光度:▲〔α〕22 D▼=−93.8゜(c1.0,CHCl
3) (7)紫外部吸収スペクトル:末端吸収 (8)赤外部吸収スペクトル (KBr cm-1):3430,2950,2930,2860,1735,1660,1460,1
415,1375,1295,1190,1125,1100,1040,1010,870,770 (9)1H NMRスペクトル(400MHZ,CD3OD) δ(ppm):0.92(3H,d,6.5Hz),0.95(3H,t,7.4Hz),0.
99(3H,d,6.7Hz),1.07(3H,d,6.7Hz),1.23(1H,m),
1.47(1H,m),1.96(1H,m),2.28(1H,d septet,10.0,
6.7Hz) 3.15(3H,s),4.76(1H,d,10.0Hz),5.38(1H,d,6.5H
z)。
3) (7)紫外部吸収スペクトル:末端吸収 (8)赤外部吸収スペクトル (KBr cm-1):3430,2950,2930,2860,1735,1660,1460,1
415,1375,1295,1190,1125,1100,1040,1010,870,770 (9)1H NMRスペクトル(400MHZ,CD3OD) δ(ppm):0.92(3H,d,6.5Hz),0.95(3H,t,7.4Hz),0.
99(3H,d,6.7Hz),1.07(3H,d,6.7Hz),1.23(1H,m),
1.47(1H,m),1.96(1H,m),2.28(1H,d septet,10.0,
6.7Hz) 3.15(3H,s),4.76(1H,d,10.0Hz),5.38(1H,d,6.5H
z)。
(10)13C NMRスペクトル(100MHz,CD3OD) δ(ppm):12.5 q,15.9 q,20.9 q,21.3 q,27.2 t,
30.1 d,33.7 q,38.5 d,64.5 d,76.0 d,172.41 s,
172.44s。
30.1 d,33.7 q,38.5 d,64.5 d,76.0 d,172.41 s,
172.44s。
(11)溶解性:メタノール、クロロホルム、酢酸エチ
ル、アセトンに溶け、水に溶けない。
ル、アセトンに溶け、水に溶けない。
(12)塩基性、酸性、中性の区別:中性物質 上記理化学的性質及び下記参考例1の結果から、得ら
れたMK−1688物質は前記式(I)で表わされる構造であ
ることが確認された。
れたMK−1688物質は前記式(I)で表わされる構造であ
ることが確認された。
参考例1 MK1688物質(50mg)を6N HC1(3ml)に溶解し、110
℃で16時間加熱還流した。反応液は冷却後、濃縮乾固し
た。得られた油状物質は5mlの水に溶解し、1N NaOHでp
H4.0に調製した後ダウエックス50Wx2(H+)(ダウケミ
カル社製、5ml)カラムに通過させた。通過液と水洗液
(10ml)を混合し、濃縮乾固して粗物質を得た。この粗
物質は、水を展開溶媒とするセファデックスG−10(フ
ァルマシア社製、440ml)のカラムクロマトグラフィー
を行い、溶出液を5gずつ分画した。1−ブタノール−メ
タノール−水(4:1:2)を展開溶媒とするシリカゲル薄
膜クロマトグラフィー上でRf値0.51に検出される物質を
含む画分(No.30−35)を濃縮乾固すると2−ヒドロキ
シ−3−メチルペンタン酸(20.2mg)が得られた。
℃で16時間加熱還流した。反応液は冷却後、濃縮乾固し
た。得られた油状物質は5mlの水に溶解し、1N NaOHでp
H4.0に調製した後ダウエックス50Wx2(H+)(ダウケミ
カル社製、5ml)カラムに通過させた。通過液と水洗液
(10ml)を混合し、濃縮乾固して粗物質を得た。この粗
物質は、水を展開溶媒とするセファデックスG−10(フ
ァルマシア社製、440ml)のカラムクロマトグラフィー
を行い、溶出液を5gずつ分画した。1−ブタノール−メ
タノール−水(4:1:2)を展開溶媒とするシリカゲル薄
膜クロマトグラフィー上でRf値0.51に検出される物質を
含む画分(No.30−35)を濃縮乾固すると2−ヒドロキ
シ−3−メチルペンタン酸(20.2mg)が得られた。
ダウエックス50Wx2(H+)カラムに吸着した成分は0.5
N HC1で溶出し、濃縮乾固して粗物質を得た。この粗物
質は、水を展開溶媒とするファデックスG−10(440m
l)のカラムクロマトグラフィーを行った後、分取用TLC
(メルク社製、Art.5744、展開溶媒:1−ブタノール−メ
タノール−水、4:1:2))で精製してニンヒドリン陽性
の粗粉末を得た。この粗粉末は再び水を展開溶媒とする
セファデックG−10(440ml)のカラムクロマトグラフ
ィーを行い、ニンヒドリン陽性画分を濃縮乾固してN−
メチル−L−バリン(11.9mg)を得た。
N HC1で溶出し、濃縮乾固して粗物質を得た。この粗物
質は、水を展開溶媒とするファデックスG−10(440m
l)のカラムクロマトグラフィーを行った後、分取用TLC
(メルク社製、Art.5744、展開溶媒:1−ブタノール−メ
タノール−水、4:1:2))で精製してニンヒドリン陽性
の粗粉末を得た。この粗粉末は再び水を展開溶媒とする
セファデックG−10(440ml)のカラムクロマトグラフ
ィーを行い、ニンヒドリン陽性画分を濃縮乾固してN−
メチル−L−バリン(11.9mg)を得た。
これらの結果から、MK1688物質は、2−ヒドロキシ−
3−メチルペンタン酸とN−メチル−L−バリンを構成
成分とすることが分った。
3−メチルペンタン酸とN−メチル−L−バリンを構成
成分とすることが分った。
<2−ヒドロキシ−3−メチルペンタン酸> マススペクトル(EI−MS):m/z 132(M+)1 H NMRスペクトル(400MHz,D2O) δ(ppm):0.86(3H,d,7.0Hz),0.92(3H,t,7.4Hz),1.
31(1H,ddq,14.0,7.4,7.0Hz),1.44(1H,ddq,14.0,7.4,
7.0Hz),1.86(1H,dddq,7.0,7.0,7.0,3.3Hz),4.30(1
H,d,3.3Hz)。13 C NMRスペクトル(100MHz,D2O) δ(ppm):11.7 q,13.6 q,26.1 t,38.6 d,73.5 d,
178.9 s。
31(1H,ddq,14.0,7.4,7.0Hz),1.44(1H,ddq,14.0,7.4,
7.0Hz),1.86(1H,dddq,7.0,7.0,7.0,3.3Hz),4.30(1
H,d,3.3Hz)。13 C NMRスペクトル(100MHz,D2O) δ(ppm):11.7 q,13.6 q,26.1 t,38.6 d,73.5 d,
178.9 s。
<N−メチル−L−バリン> マススペクトル(EI−MS):m/z 131(M+) 比旋光度:▲〔α〕22 D▼=+26.9゜(c 0.7,6N HC
1)1 H NMRスペクトル(400MHz,D2O) δ(ppm):1.01(3H,d,7.0Hz),1.04(3H,d,7.0Hz),2.
23(1H,d septet,4.5,7.0Hz) 2.71(3H,s),3.47(1H,d,4.5Hz)。13 C NMRスペクトル(100MHz,D2O) δ(ppm):18.0 q,18.5 q,29.8 d,33.3 q,70.0 d,
173.1 s。
1)1 H NMRスペクトル(400MHz,D2O) δ(ppm):1.01(3H,d,7.0Hz),1.04(3H,d,7.0Hz),2.
23(1H,d septet,4.5,7.0Hz) 2.71(3H,s),3.47(1H,d,4.5Hz)。13 C NMRスペクトル(100MHz,D2O) δ(ppm):18.0 q,18.5 q,29.8 d,33.3 q,70.0 d,
173.1 s。
(発明の効果) 本発明の新規抗生物質MK1688物質は、グラム陽性菌に
対して抗菌活性を有するので、抗菌剤としての有用性が
期待できる。
対して抗菌活性を有するので、抗菌剤としての有用性が
期待できる。
第1図は、MK1688物質の臭化カリウム錠での赤外部吸収
スペクトルを示す図である。 第2図は、MK1688物質の重メタノール溶液中での400MHz
1H NMRスペクトルを示す図である。 第3図は、MK1688物質の重メタノール溶液中での100MHz
13C NMRスペクトルを示す図である。
スペクトルを示す図である。 第2図は、MK1688物質の重メタノール溶液中での400MHz
1H NMRスペクトルを示す図である。 第3図は、MK1688物質の重メタノール溶液中での100MHz
13C NMRスペクトルを示す図である。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C12R 1:77) (C12N 1/14 C12R 1:77) (72)発明者 大岸 治行 神奈川県横浜市緑区鴨志田町1000番地 三菱化成株式会社総合研究所内 (72)発明者 五味 修一 神奈川県横浜市港北区師岡町760 明治 製菓株式会社薬品研究所内 (72)発明者 宮道 慎二 神奈川県横浜市港北区師岡町760 明治 製菓株式会社薬品研究所内 (72)発明者 瀬崎 正次 神奈川県横浜市港北区師岡町760 明治 製菓株式会社薬品研究所内 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C12P 17/00 - 17/18 C07D 273/00 A61K 31/395 C12N 1/14 CA(STN) REGISTRY(STN) BIOSIS(DIALOG) WPI(DIALOG)
Claims (2)
- 【請求項1】下記式(I)で表される新規抗生物質MK16
88物質 - 【請求項2】フザリウム属に属し、請求項1に記載の抗
生物質MK1688物質を生産する能力を有する微生物を培養
し、その培養物から抗生物質MK1688物質を採取すること
を特徴とする、抗生物質MK1688物質の製造法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1049329A JP2815166B2 (ja) | 1989-03-01 | 1989-03-01 | 新規抗生物質mk1688物質ならびにその製造法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1049329A JP2815166B2 (ja) | 1989-03-01 | 1989-03-01 | 新規抗生物質mk1688物質ならびにその製造法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH02229177A JPH02229177A (ja) | 1990-09-11 |
JP2815166B2 true JP2815166B2 (ja) | 1998-10-27 |
Family
ID=12827948
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP1049329A Expired - Lifetime JP2815166B2 (ja) | 1989-03-01 | 1989-03-01 | 新規抗生物質mk1688物質ならびにその製造法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2815166B2 (ja) |
-
1989
- 1989-03-01 JP JP1049329A patent/JP2815166B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH02229177A (ja) | 1990-09-11 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP3111470B2 (ja) | 新規ポリペプチド化合物およびその製造法 | |
FI112503B (fi) | Polysyklisiä antiparasiittisia aineita ja niiden käyttö | |
KR830002329B1 (ko) | 모나콜린 k의 제조방법 | |
FI66427B (fi) | Foerfarande foer framstaellning av en ny som laekemedel anvaendbar foerening monacolin k | |
EP0352092A2 (en) | Novel antibiotics R106 | |
JP2860370B2 (ja) | 抗生物質bu―3608dおよびbu―3608e | |
KR100230961B1 (ko) | 신규한 아미노올리고당 유도체 및 그의 제조방법 | |
JP2815166B2 (ja) | 新規抗生物質mk1688物質ならびにその製造法 | |
JP2768829B2 (ja) | 抗生物質 | |
US4940582A (en) | Antibiotic YI-HU3 | |
JP3026864B2 (ja) | 新規セスキテルペン誘導体 | |
JP2695225B2 (ja) | 新規物質uct−1003 | |
EP0413967B1 (en) | Novel antibiotic | |
EP0189330A2 (en) | Antitumor antibiotics and their production | |
US5426038A (en) | Process for production of an antibiotic compound with Zalerion arboricola | |
US4902781A (en) | Novel tripetide derivatives | |
JP2750697B2 (ja) | 新規抗生物質mk3018物質およびその製造法 | |
EP0074849A1 (en) | A-32724 antibiotics and process for production thereof | |
KR0143769B1 (ko) | 항균성 폴리펩티드 화합물과 그 제조방법 및 이를 함유하는 약학 조성물 | |
DE69902537T2 (de) | Eine verbindung, wf002, ein verfahren zu ihrer herstellung und ihre verwendung | |
KR830001245B1 (ko) | 항생물질 마이코플라네신의 제조방법 | |
KR820001433B1 (ko) | 항생물질 c-15003 p-4의 제조법 | |
JPH0676434B2 (ja) | 新規抗生物質pf1032物質ならびにその製造法 | |
EP0187528B1 (en) | A new compound fr-68504, production thereof and use thereof | |
JP2594085B2 (ja) | 新規抗腫瘍抗生物質sf2575物質ならびにその製造法 |