JPH09304577A - 原子炉内検査装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】炉内構造材の狭隘な検査部に目視検査用テレビ
カメラをアクセス自在に挿入して迅速かつ容易に検査で
きるように構成する。 【解決手段】原子炉圧力容器の外部から原子炉圧力容器
内にテレビカメラ１を降下して炉内構造物の狭隘部を目
視検査する原子炉内検査装置において、テレビカメラ１
を操作する操作ポール２にクランク軸３を設け、クラン
ク軸３に操作部ジョイント４を介してアーム支持軸５を
接続する。アーム支持軸５に伸縮機構６をピン結合14に
より枢支し、伸縮機構６にカメラ保持アーム７をピン結
合14により枢支し、カメラ保持アーム７にテレビカメラ
１を固定する。このような構成により原子炉圧力容器内
の限られたスペースを操作ポール２に設けたクランク軸
３および伸縮動作により回避し、狭隘部の目視検査を容
易かつ迅速に行うことができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は原子炉圧力容器内に
設置されている炉内構造物などを水中でテレビカメラに
より目視検査するための原子炉内検査装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】原子炉圧力容器内の炉内構造物には高い
健全性が要求され、定期的に種々の検査を受けなければ
ならない。この検査の一つとして炉内構造津の外観を目
視により検査する方法があるが、放射線被曝低減上から
原子炉または燃料貯蔵プール，蒸気乾燥器，シュラウド
ヘッド貯蔵ピット等は水で満たされており、直接的に機
器の外観を観察することは困難である。このため、光学
的検査装置、とくに水中テレビカメラを使用した検査が
一般に実施されている。

【０００３】従来、この水中テレビカメラを使用した目
視検査は作業員が水中テレビカメラの信号ケーブルを持
ち、原子炉作業フロア上からテレビカメラヘッドの高さ
および向きを調整し、被検体の映像を原子炉作業フロア
上に設置したモニタ上に出力し、これを確認することで
実施している。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】従来のカメラの信号ケ
ーブルを操作することによる原子炉内検査は簡便であ
り、外部装置を必要としないもの、テレビカメラの保持
を信号ケーブルに依存しているため、カメラヘッドの慣
性等により制御し難く、安定した検査映像を取得し難い
課題があり、また原子炉の構造上テレビカメラのアクセ
スが不可能となる部分もかなり生じる課題がある。

【０００５】本発明は上記課題を解決するためになされ
たもので、例えば原子炉圧力容器内に設置されているジ
ェットポンプと炉心シュラウド胴の狭隘部内に安定して
テレビカメラをアクセスして位置決めを行うことによ
り、この近傍の被検査対象物に対し信頼性の高い検査を
迅速かつ確実に実施することができる原子炉内検査装置
を提供することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】請求項１の発明は、原子
炉圧力容器の外部からこの原子炉圧力容器内にテレビカ
メラを降下し炉内構造物が近接する狭隘部を目視検査す
る原子炉内検査装置において、前記テレビカメラを操作
する操作ポールにクランク軸を設け、このクランク軸に
操作部ジョイントを介してアーム支持軸を接続し、この
アーム支持軸に回動自在に伸縮機構を枢支し、この伸縮
機構にカメラ保持アームを回動自在に枢支し、このカメ
ラ保持アームに前記テレビカメラを固定してなることを
特徴とする。

【０００７】請求項２の発明は、前記伸縮機構は前記操
作部アーム支持軸と、このアーム支持軸に左右対称に一
端がピン接合された一対のエアシリンダアームと一対の
伸縮アームとを有し、前記一対のエアシリンダアームお
よび一対の伸縮アームの他端は前記カメラ保持アームに
ピン接合してなることを特徴とする。

【０００８】請求項３の発明は、前記操作部ジョイント
はクランク軸の先端部にナットをねじ込むねじ部を有
し、このねじ部の先端部にピンを有し、このピンを挿し
込むピン溝を前記アーム支持軸の先端部に設けてなるこ
とを特徴とする。

【０００９】請求項４の発明は、前記カメラ保持アーム
は前記エアシリンダアームおよび伸縮アームの一端をピ
ンにより回動自在に支持する連結部材と前記テレビカメ
ラを保持する保持部材とが着脱自在にボルトナットによ
り接続されてなることを特徴とする。

【００１０】請求項５の発明は、前記テレビカメラはカ
メラケーブルを介してカメラコントローラに接続し、こ
のカメラコントローラはモニタに接続してなることを特
徴とする。

【００１１】請求項６の発明は、前記一対のエアシリン
ダシャフトにはエアシリンダが設けられ、このエアシリ
ンダはエアホースを介してエアコントローラに接続して
なることを特徴とする。請求項７の発明は、前記一対の
伸縮アームと前記アーム支持軸との間に弾性体を設けて
なることを特徴とする。

【００１２】テレビカメラを操作する操作ポールに障害
物を回避するクランク部とテレビカメラの姿勢を伸縮機
構により調整する。原子炉圧力容器の外部から内部にテ
レビカメラを降下し、炉内構造物が近接する狭隘部を伸
縮機構により回避して目視検査を容易かつ迅速に行うこ
とができる。

【００１３】

【発明の実施の形態】図１から図３により本発明に係る
原子炉内検査装置の実施の形態を説明する。図１は本実
施の形態に係る原子炉内検査装置全体を示す構成図で、
図２は図１の操作部ジョイントを示し、図３はテレビカ
メラの固定部を示している。

【００１４】図１中符号１はテレビカメラで、このテレ
ビカメラ１は操作ポール２にクランク軸３，操作部ジョ
イント４，アーム支持軸５および伸縮機構６を介して接
続している。すなわち、操作ポール２にはクランク軸３
の一端が接続し、クランク軸３の他端には操作部ジョイ
ント４が接続している。

【００１５】操作部ジョイント４にはアーム支持軸５が
接続している。アーム支持軸５には回動自在に伸縮機構
６が枢着し、この伸縮機構６にカメラ保持アーム７が回
動自在に枢着し、カメラ保持アーム７にカメラ１が保持
されている。

【００１６】伸縮機構６は一対のエアシリンダアーム８
と伸縮アーム９と、アーム支持軸５と伸縮アーム９との
間に設けた弾性体10とからなっている。エアシリンダア
ーム８にはエアシリンダ11が取り付けられており、エア
シリンダ11はエアホース12によりエアコントローラ13に
接続している。アーム支持軸５およびカメラ保持アーム
７への伸縮機構６の枢着はそれぞれピン接合14となって
いる。

【００１７】テレビカメラ１はカメラケーブル15により
カメラコントローラ16に接続し、カメラコントローラ16
はモニタ17に接続している。操作部ジョイント４は図２
（ａ）に示したようにクランク軸３の下端部におねじ18
が設けられ、このおねじ18に図２（ｃ）に示すようにロ
ックナット19がねじ込まれ、おねじ18の下端部にピン20
を取り付けている。

【００１８】アーム支持軸５の上端部には図２（ｂ）に
示すようにピン溝21が設けられており、このピン溝21内
にピン20を挿入してロックナット19をねじ込み締め付け
ることにより図２（ａ）に示すようにクランク軸３とア
ーム支持軸５とを連結している。

【００１９】カメラ保持アーム７は図３に示したように
テレビカメラ１を保持する保持部材22と、この保持部材
22と伸縮機構６のエアシリンダアーム８および伸縮アー
ム９の一端を取着する連結部材23との間に設けた中間部
材24とからなり、これらの部材22〜24はボルト25および
ナット26により結合している。

【００２０】つぎに図４および図５により上記構成の原
子炉内検査装置により原子炉圧力容器内を検査する方法
を説明する。図４は原子炉圧力容器27内のシュラウド上
部胴28およびシュラウド中間胴29とジェットポンプ30の
配置関係を概略的に示しており、図５は図４の配置関係
の要部を拡大して示している。

【００２１】すなわち、図４および図５において、シュ
ラウド上部胴28およびシュラウド中間胴29と原子炉圧力
容器28との間にはジェットポンプ30が設けられ、ジェッ
トポンプ30は上方にトラジションピース31とボルト32を
有し、下方にノズル33を有している。ノズル33の下方に
はライザ管34がライザブレース35により原子炉圧力容器
27の内面に支持されている。シュラウド上部胴28の上方
で原子炉圧力容器27の内面には給水スパージャ36が設け
られている。

【００２２】なお、図４において符号37はテールパイ
プ、38は燃料交換機プラットホーム、39は装置重心位
置、40はシュラウド外端部で、図５中符号41はシュラウ
ド上部胴28に取り付けられているブラケットで、このブ
ラケット41の部分はオーバーハング42となっている。ま
た43は検査部で、この検査部43はライザ管34とライザブ
レース35との溶接部である。

【００２３】本実施の形態に係る原子炉内検査装置のテ
レビカメラ１は例えば図５に示したように原子炉圧力容
器27とシュラウド中間胴29との間に設置されたライザ管
34とライザブレース35の溶接部の検査部43にアクセスす
るが、ジェットポンプ30とシュラウド上部胴28のオーバ
ーハング42を操作ポールに設けたクランク軸３により回
避しながらアクセスする。

【００２４】このアクセスルートから検査部43までの距
離はテレビカメラ１の挿入部の寸法より大きいため、テ
レビカメラ１の挿入時は伸縮アーム９を伸ばし、検査部
43の位置にテレビカメラ１を位置決めする。テレビカメ
ラ１には照明が設けられており、操作ポール２はプラン
トサイズおよび検査部43の位置に合わせて各部の長さが
調整できるように分割できるように操作部ジョイント４
で連結される。

【００２５】クランク軸３はシュラウド上部胴28のオー
バーハング42を回避してテレビカメラ１をシュラウド中
間胴29に接近させるため、オーバーハング42から若干下
方のレベルに当たる位置にする。弾性体10は緊急時にテ
レビカメラ１を回収する場合に伸縮アーム９を縮めるた
めのもので、カメラ保持アーム７はテレビカメラ１を任
意の角度で固定することができる。

【００２６】エアシリンダアーム８および伸縮アーム９
はアーム支持軸５にピン結合14により枢支されて回動自
在状態となっており、エアシリンダ11を作動するとエア
シリンダアーム８が縮み、これに伴って伸縮アーム９も
縮み、エアシリンダアーム８を伸ばすと伸縮アーム９も
伸びてテレビカメラ１を検査部43の位置まで達するよう
に伸ばすことができる。

【００２７】万一、エアシリンダ11を駆動するためのエ
アを送るエアホース12に損傷が生じ、伸縮アーム９が伸
びた状態で動作しなくなると、装置の回収が不可能とな
るため、緊急時に伸縮アーム９を縮めるための弾性体10
が伸縮アーム９を引張る状態で取り付けられている。伸
縮アーム９が動作しなくなった場合、操作側のエアコン
トローラ13のエア圧を０として、エアシリンダ11を自由
な状態とすれば、弾性体10の引張り力が働いて伸縮アー
ム９は縮む。伸縮アーム９は炉心シュラウドの曲率に合
わせるため若干の角度が設けてある。

【００２８】カメラ保持アーム７は伸縮アーム９に対し
て固定，回転可能な自由度を有している。検査を行うに
あたり、予め点検位置にテレビカメラ１が向くようにカ
メラ保持アーム７を調整し、テレビカメラ１を固定す
る。また、オプションとして、カメラ保持アーム７を回
転可能なモジュールとして、モータ制御によりカメラの
角位置を制御できる機構にも変換が可能となっている。

【００２９】つぎに、エアホース12，カメラケーブル15
をそれぞれエアコントローラ13およびカメラコントロー
ラ16，モニタ17に接続し、動作確認を行った後、伸縮ア
ーム９を縮めた状態でテレビカメラ１を検査部43の位置
近傍の隣合うジェットポンプ30の間の空間へ降下する。

【００３０】この時、万一伸縮アーム９が伸びた状態に
なっていると、図６に示したように、給水スパージャ3
6，シュラウド上部胴28に設けられたブラケット41に伸
縮アーム９がその干渉部44で干渉してアクセス不能とな
る。テレビカメラ１を隣合うジェットポンプ30の間に降
下したら、装置全体をシュラウド中間胴29側に寄せ、伸
縮アーム９を伸ばし、検査部43の位置側に装置を寄せる
ことでジェットポンプライザ管34とライザブレース35と
の検査部43上にテレビカメラ１が安定した状態で位置決
めできる。

【００３１】本装置はクランク軸３を有するため重心バ
ランスが崩れ、テレビカメラ１がシュラウド中間胴29か
ら離れる方向に動くが、図７に示すようにクランク軸３
の上側がはるかに長くなっているため、操作ポール２の
上部の固定位置をシュラウド上部胴28の外面より内側に
することで、問題なくオーバーハング42を回避してテレ
ビカメラ１をシュラウド中間胴29近傍にアクセスでき
る。

【００３２】以上説明したように本実施の形態によれ
ば、テレビカメラ１をシュラウド上部胴のオーバーハン
グ42を回避した状態でジェットポンプ30とシュラウド中
間胴29の間に安定して保持できるため、通常検査が不可
能であった部位の検査が可能となる。

【００３３】

【発明の効果】本発明によれば、安定的かつ容易に例え
ばジェットポンプとシュラウドとの間の狭隘部にテレビ
カメラをアクセス可能となり、従来のテレビカメラをカ
メラケーブルで下げる場合と比較して観察不可能であっ
た部位の観察を確実に行うことができ、また検査工程の
段取りが容易であり、確実な検査を従来例よりも短い工
程で行うことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る原子炉内検査装置の実施の形態を
一部ブロックで示す正面図。

【図２】（ａ）は図１におけるジョイント部の連結後状
態を示す側面図、（ｂ）は（ａ）におけるアーム支持軸
の上端部を示す側面図、（ｃ）は（ａ）におけるクラン
ク部の下端部を示す側面図。

【図３】図１におけるテレビカメラの固定部を拡大して
示す正面図。

【図４】図１における原子炉内検査装置で検査する方法
を説明するための概念図。

【図５】図４における要部を拡大して一部断面で示す側
面図。

【図６】図４において伸縮アームを伸ばした状態を概略
的に示す上面図。

【図７】図４において装置をアクセスさせた状態を概略
的に示す上面図。

【符号の説明】

１…テレビカメラ、２…操作ポール、３…クランク軸、
４…操作部ジョイント、５…アーム支持軸、６…伸縮機
構、７…カメラ保持アーム、８…エアシリンダアーム、
９…伸縮アーム、10…弾性体、11…エアシリンダ、12…
エアホース、13…エアコントローラ、14…ピン結合、15
…カメラケーブル、16…カメラコントローラ、17…モニ
タ、18…おねじ、19…ロックナット、20…ピン、21…ピ
ン溝、22…保持部材、23…連結部材、24…中間部材、25
…ボルト、26…ナット、27…原子炉圧力容器、28…シュ
ラウド上部胴、29…シュラウド中間胴、30…ジェットポ
ンプ、31…トラジションピース、32…ボルト、33…ノズ
ル、34…ライザ管、35…ライザブレース、36…給水スパ
ージャ、37…テールパイプ、38…燃料交換機プラットホ
ーム、39…装置重心位置、40…シュラウド外端部、41…
ブラケット、42…オーバハング、43…検査部、44…干渉
部。

Claims (7)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 原子炉圧力容器の外部からこの原子炉圧
   力容器内にテレビカメラを降下し炉内構造物が近接する
   狭隘部を目視検査する原子炉内検査装置において、前記
   テレビカメラを操作する操作ポールにクランク軸を設
   け、このクランク軸に操作部ジョイントを介してアーム
   支持軸を接続し、このアーム支持軸に回動自在に伸縮機
   構を枢支し、この伸縮機構にカメラ保持アームを回動自
   在に枢支し、このカメラ保持アームに前記テレビカメラ
   を固定してなることを特徴とする原子炉内検査装置。
2. 【請求項２】 前記伸縮機構は前記操作部アーム支持軸
   と、このアーム支持軸に左右対称に一端がピン接合され
   た一対のエアシリンダアームと一対の伸縮アームとを有
   し、前記一対のエアシリンダアームおよび一対の伸縮ア
   ームの他端は前記カメラ保持アームにピン接合してなる
   ことを特徴とする請求項１記載の原子炉内検査装置。
3. 【請求項３】 前記操作部ジョイントはクランク軸の先
   端部にナットをねじ込むねじ部を有し、このねじ部の先
   端部にピンを有し、このピンを挿し込むピン溝を前記ア
   ーム支持軸の先端部に設けてなることを特徴とする請求
   項１記載の原子炉内検査装置。
4. 【請求項４】 前記カメラ保持アームは前記エアシリン
   ダアームおよび伸縮アームの一端をピンにより回動自在
   に支持する連結部材と前記テレビカメラを保持する保持
   部材とが着脱自在にボルトナットにより接続されてなる
   ことを特徴とする請求項１記載の原子炉内検査装置。
5. 【請求項５】 前記テレビカメラはカメラケーブルを介
   してカメラコントローラに接続し、このカメラコントロ
   ーラはモニタに接続してなることを特徴とする請求項１
   記載の原子炉内検査装置。
6. 【請求項６】 前記一対のエアシリンダシャフトにはエ
   アシリンダが設けられ、このエアシリンダはエアホース
   を介してエアコントローラに接続してなることを特徴と
   する請求項１記載の原子炉内検査装置。
7. 【請求項７】 前記一対の伸縮アームと前記アーム支持
   軸との間に弾性体を設けてなることを特徴とする請求項
   １記載の原子炉内検査装置。