JPH09304247A - 処理液の濃度管理方法及びその装置 - Google Patents

処理液の濃度管理方法及びその装置

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JPH09304247A
JPH09304247A JP8117197A JP11719796A JPH09304247A JP H09304247 A JPH09304247 A JP H09304247A JP 8117197 A JP8117197 A JP 8117197A JP 11719796 A JP11719796 A JP 11719796A JP H09304247 A JPH09304247 A JP H09304247A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 伸銅製品の防錆処理等における処理液の濃度
管理を適正且つ自動的に行うことができるようにする。 【解決手段】 銅コイル等の伸銅製品1を防錆処理液3
に浸漬させて防錆処理を施す場合において、高温度に維
持した状態で処理液3を収容する処理槽2から当該処理
液3の一部を、常時、サンプリング液3bとして取出
す。取り出されたサンプリング液3bを、これに希釈水
21aを混入させることにより、一定割合で希釈化させ
ると共に低温化させる。そして、希釈化,低温化された
サンプリング液3cの濃度を濃度検出器22により常時
検出し、その検出濃度に基づいて、処理槽2への処理液
濃度調整液3´の補給を制御することによって、処理槽
2における処理液3の濃度を設定濃度に維持,管理する
ようにする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、銅コイル,真鍮コ
イル等の伸銅製品に防錆処理を施す場合等において、防
錆処理液等の濃度を適正に維持,管理させておくための
濃度管理方法とこれを実施するための濃度管理装置に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】例えば、銅コイル,真鍮コイル等の伸銅
製品については、一般に、ベンゾトリアゾール等を主成
分とする防錆処理液に浸漬させることにより、防錆処理
を施しておくことが行なわれている。而して、良好な防
錆処理を施すためには、処理槽における処理液の濃度を
処理条件に応じた適正濃度に維持,管理しておく必要が
ある。すなわち、処理液の濃度は浸漬処理の進行に伴っ
て低下していくため、それが適正濃度より低くなったと
きは、防錆剤原液である処理液濃度調整液を処理槽に補
給してやる必要がある。
【0003】ところで、処理液濃度調整液の補給時期及
び補給量を防錆処理液を適正濃度に維持すべく的確に判
断,決定することは、作業者が経験の少ない未熟練者で
ある場合には勿論、かなりの経験を積んだ熟練者であっ
ても、極めて困難である。
【0004】一方、防錆処理は、防錆処理液の性質上、
高温,高濃度条件下で行われる。例えば、防錆処理は、
一般に、処理液温度を60℃以上(コイルスピード等の
処理条件によっては80℃以上)で行なわれる。また、
処理液濃度は、伸銅製品の材質等を含めた処理条件によ
って多少異なるが、一般に、銅系製品の防錆処理におい
ては0.8%程度であり、黄銅系製品では0.5%程度
である。しかし、このような高温,高濃度条件下で、防
錆処理液の濃度を直接且つ正確に測定,検出できる濃度
検出器は、現在のところ、市販されていない。
【0005】そこで、従来にあっては、作業者が処理液
濃度調整液の補給時期及び補給量を経験的に判断,決定
して、処理液濃度調整液の補給を人為的に行なうよう
に、つまり防錆処理液の濃度管理を人為的に行うように
しているのが実情である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】したがって、どうして
も、防錆処理液を一定の適正濃度に維持,管理しておく
ことができず、濃度が大きく変動して、良好な防錆処理
を行い得ないでいたのが実情であり、種々の問題が生じ
ていた。例えば、処理液濃度調整液を補給する必要がな
いにも拘らず補給を行ったり、処理液濃度調整液を必要
以上に補給したために、防錆処理液が適正濃度より高濃
度となると、液中での粘着物質の発生が著しくなるた
め、製品表面を汚染する他、浸漬処理槽を出た製品が絞
りロールを通過する際に処理液残滓が絞りロールに付着
して、製品表面に変色(まだらな変色)を生じさせる原
因となる。更には、後工程であるスキンパス工程におい
てスキンパス圧延ロールに曇り生じて、それが製品表面
に転写される結果、製品の光沢不良を起こす原因ともな
る。逆に、処理液濃度調整液の補給時期が遅れたり、補
給量不足のため、適正濃度に達しない低濃度となってい
るときは、当然に良好な防錆処理を施し得ず、製品が変
色する虞れがある。また、防錆処理液には、製品表面同
士の接触による表面損傷を防止するために、一般に潤滑
剤成分が含有されているが、防錆処理不良の製品につい
ては、後工程において製品同士が接触した場合、製品表
面が擦れ合って疵を生じる虞れがある。そして、このよ
うな潤滑不足の製品は、防錆処理膜除去を行った上で、
防錆処理を再度施す必要がある。
【0007】このような処理液の濃度管理を適正に行い
得ないといった問題は、浸漬法による防錆処理のみなら
ず、市販の濃度検出器を使用できない高温,高濃度条件
下で行われる処理一般に指摘されていることであり、そ
の解決が強く要請されているのが実情である。
【0008】本発明は、このような実情に鑑みてなされ
たもので、防錆処理等における処理液の濃度管理を適正
且つ自動的に行うことができる方法を提供すると共に、
この方法を好適に実施することができる装置を提供する
ことを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】この課題を解決した本発
明の濃度管理方法は、所定の高温度に維持した状態で処
理液を収容する処理槽から当該処理液の一部を、常時、
サンプリング液として取出し、取り出されたサンプリン
グ液を一定割合で希釈化させると共に低温化させた上
で、そのサンプリング液の濃度を濃度検出器により常時
検出し、その検出濃度に基づいて、処理槽への処理液濃
度調整液の補給を制御することによって、処理槽におけ
る処理液の濃度を設定濃度に維持,管理するようにした
ものである。
【0010】また、かかる方法を実施するための本発明
の濃度管理装置は、所定の高温度に維持した状態で処理
液を収容する処理槽から当該処理液の一部を、常時、サ
ンプリング液として取出すサンプリング液抽出装置と、
処理槽に処理液濃度調整液を補給する濃度調整液補給装
置と、サンプリング液抽出装置により取り出されたサン
プリング液を、これに希釈水を混入させることにより、
一定割合で希釈化させると共に一定温度以下に冷却させ
る濃度検出用前処理装置と、濃度検出用前処理装置によ
り希釈化且つ低温化されたサンプリング液の濃度を濃度
検出器により検出する濃度検出装置と、濃度検出器によ
り検出されたサンプリング液濃度に基づいて、濃度調整
液補給装置による処理液濃度調整液の補給量を、処理槽
内の処理液濃度を設定濃度に維持すべく、制御する制御
装置と、を具備するものである。かかる装置にあって
は、サンプリング液抽出装置が、処理槽内の処理液の一
部を当該槽外に設けた浄化フィルタを通過して処理槽に
循環させる浄化循環路を具備しており、この浄化循環路
における浄化フィルタの下流側を流動する浄化済処理液
の一部をサンプリング液として取り出すように構成され
たものであることが好ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図1
に基づいて具体的に説明する。
【0012】この実施の形態は、本発明を銅コイル等の
銅系伸銅製品の防錆処理システムに適用した例に関する
ものである。すなわち、図1に示す如く、銅コイル等の
銅系伸銅製品1は、処理槽2内を一定速度で通過して、
処理槽2に収容された防錆剤たる処理液3中に浸漬され
ることにより、所定の防錆処理(製品1の変色防止処
理)を施されるが、かかる防錆処理システムにおいて
は、処理槽2における防錆処理液3の濃度管理が本発明
に従って次のように行なわれる。ところで、処理槽2に
は、周知のように、処理液3を防錆処理に最適な温度条
件(この例では約80℃)に維持,管理する温度管理装
置(図示せず)が付設されている。また、処理液3とし
てはベンゾトリアゾールを主成分とする防錆剤であっ
て、適宜の潤滑成分を含有させたものが使用されている
が、銅系伸銅製品1をかかる処理液3に浸漬させること
により冒頭で述べた如き問題を生じることなく防錆処理
するためには、処理槽2における処理液3を処理条件に
応じた適正な濃度(以下「適正濃度」という)に維持,
管理しておく必要がある。この例では、適正濃度を約
0.8%に設定してある。
【0013】本発明に係る濃度管理装置4は、図1に示
す如く、サンプリング液抽出装置5と濃度調整液補給装
置6と濃度検出用前処理装置7と濃度検出装置8と制御
装置9とを具備してなる。
【0014】サンプリング液抽出装置5は、図1に示す
如く、処理槽2に接続された浄化循環路10と、浄化循
環路10に設けた循環ポンプ11及びその下流側に配し
た浄化フィルタ12と、浄化循環路10に分岐接続され
たサンプリング液抽出路13と、サンプリング液抽出路
10に設けたサンプリング液抽出ポンプ14とを具備し
てなる。而して、浄化循環路10は、循環ポンプ11を
常時駆動させることにより、処理槽2内の処理液3の一
部3aを浄化フィルタ12により浄化した上で処理槽2
に循環させて、処理槽2内における処理液3の浄化(例
えば、防錆処理中に発生するスカムの除去等)を行な
う。サンプリング液抽出路13は、浄化循環路10にお
ける浄化フィルタ12の下流側部分に接続されていて、
サンプリング液抽出ポンプ14を常時駆動させることに
より、浄化フィルタ12によって浄化された清浄処理液
3aの一部をサンプリング液3bとして取り出すように
なっている。なお、サンプリング液抽出ポンプ14は、
予め設定された一定量のサンプリング液3bを浄化循環
路10からサンプリング液抽出路13に取り出す定量ポ
ンプである。
【0015】濃度調整液補給装置6は、図1に示す如
く、処理液濃度調整液である防錆剤原液3´を貯蔵する
原液槽15と、原液槽15から処理槽2に導いた補給路
16と、補給路16に設けた定量ポンプである補給ポン
プ17とを具備してなり、補給ポンプ17を駆動させる
ことにより所定量の防錆剤原液3´を処理槽2に補給す
るようになっている。
【0016】濃度検出用前処理装置7は、図1に示す如
く、サンプリング液抽出路13の末端部分である希釈サ
ンプリング液導入部分13aを底部に導いた前処理槽1
8と、サンプリング液抽出路13におけるサンプリング
液抽出ポンプ14の下流側適所である希釈サンプリング
液導入部分13aの上流端に分岐接続された希釈水導入
路19と、希釈水導入路19に設けた希釈水導入ポンプ
20とを具備してなる。希釈水導入路19は、希釈水導
入ポンプ20を常時駆動させることにより、蒸留水タン
ク,水道等の適宜の給水源21から一定量の希釈水21
aをサンプリング液抽出路13内のサンプリング液3b
に混入させる。希釈水21aとしては、サンプリング液
3bより低温の蒸留水,上水,工水等を任意に使用でき
るが、この例では工水を使用している。したがって、前
処理槽18には、常時、希釈水21aの混入によって一
定割合で希釈化され且つ一定温度範囲に低温化(冷却)
されたサンプリング液(以下「希釈サンプリング液」と
いう)3cが希釈サンプリング液導入部分13aから導
入されることになる。ところで、希釈水導入ポンプ20
は、サンプリング液3bへの混入水量を任意に設定でき
る定量ポンプであるが、その混入水量は、希釈サンプリ
ング液3cの濃度及び温度が後述する濃度検出器22の
使用条件を満足するように、サンプリング液抽出ポンプ
14によって設定されたサンプリング液抽出量との関係
において、適宜に設定される。なお、前処理槽18には
溢流部18aが設けられていて、希釈サンプリング液導
入部分13aからの新たな希釈サンプリング液3cの導
入により余剰となった希釈サンプリング液3cを前処理
槽18外に溢流排出させるようになっている。
【0017】濃度検出装置8は、図1に示す如く、分析
部に導入されてくる希釈サンプリング液3cの濃度を常
時検出する濃度検出器22と、希釈サンプリング液3c
を前処理槽18の底部から濃度検出器22の分析部へと
導入する被検出試料導入路23と、濃度検出器22の分
析部に導入された希釈サンプリング液3cを排出する検
出済試料排出路24とを具備してなる。濃度検出器22
としては、処理液3の主成分(ベンゾトリアゾール)を
検出できる市販の光電濃度計等を任意に使用できるが、
この例では、濃度分析を紫外線吸光光度法により常時継
続的に行なうことができる市販の光電濃度計を使用して
いる。なお、この光電濃度計(濃度検出器22)の使用
条件つまり適正な濃度検出を行いうる被検出試料の温
度,濃度範囲は、温度:2〜40℃,濃度:0〜0.1
%であり、この範囲を超える条件の被検出試料について
は適正な濃度検出を行ない得ない。
【0018】希釈水導入ポンプ20による希釈水21a
の混入量は、サンプリング液抽出ポンプ14によるサン
プリング液3bの抽出量との関係において、前処理槽1
8に導入される希釈サンプリング液3cつまり濃度検出
器22の分析部に導入される被検出試料の温度及び濃度
が上記使用条件の範囲となるように設定されている(以
下、このように設定された量の希釈水を混入させること
によるサンプリング液3bの希釈率を「設定希釈率」と
いう)。設定希釈率は、処理槽2における処理液3の温
度,濃度と濃度検出器22の使用条件(被検出試料の温
度,濃度範囲)とを比較考量して、一定の値に設定され
る。この例では、設定希釈率を9.1%(サンプリング
液3bをその10倍の量の希釈水21aで希釈させる)
に設定して、希釈サンプリング液3cの濃度及び温度
が、サンプリング液3bの濃度,温度に拘わらず、常
に、2〜40℃,0〜0.1%の範囲に入るように図っ
ている。例えば、80℃のサンプリング液3bは、これ
を上記した設定希釈率で希釈させると、約20℃にまで
降温されることになる。
【0019】制御装置9は、図1に示す如く、濃度検出
器22による検出濃度に基づいて、濃度調整液補給装置
6を制御するものである。すなわち、制御装置9は、適
正濃度の処理液を上記希釈水21aにより設定希釈率で
希釈させた場合における濃度(以下「適正希釈濃度」と
いう)と濃度検出器22による検出濃度とを比較して、
検出濃度が適正希釈濃度より低いときには、補給ポンプ
17を駆動制御して、防錆剤原液3´を処理槽2に補給
する。そして、検出濃度が適正希釈濃度に達すると、補
強ポンプ17を停止制御して、防錆剤原液3´の補給を
停止する。
【0020】而して、本発明の方法は、以上のように構
成された濃度管理装置4を使用して、次のように実施さ
れる。
【0021】すなわち、処理槽2からは、常時、処理液
3の一部がサンプリング液3bとして抽出され、希釈水
21aの混入により、一定の設定希釈率で希釈され且つ
低温化された上で、前処理槽18から濃度検出器22の
分析部へと導入される。すなわち、濃度検出器22の分
析部には、濃度検出器22の使用条件を満足する低濃度
且つ低温の希釈サンプリング液3cが導入されることに
なる。したがって、希釈サンプリング液3cの濃度は濃
度検出器22により正確に検出されることになる。
【0022】そして、濃度調整液補給装置6による防錆
剤原液3´の処理槽2への補給時期,補給量が、濃度検
出器22による検出濃度に基づいて、自動制御される。
すなわち、制御装置9が、適正濃度の処理液を希釈水2
1aにより設定希釈率で希釈させた場合における濃度で
ある適正希釈濃度と濃度検出器22による検出濃度とを
比較して、検出濃度が適正希釈濃度より低いときにおい
てのみ、補給ポンプ17を駆動制御する。そして、防錆
剤原液3´の処理槽2への補給により、検出濃度が適正
希釈濃度に達すると、補強ポンプ17を停止制御して、
防錆剤原液3´の補給を停止する。つまり、濃度検出器
22による検出濃度が適正希釈濃度となるように、防錆
剤原液3´の処理槽2への補給を制御するのである。
【0023】ところで、希釈サンプリング液3cは処理
槽2から抽出されたサンプリング液3bを希釈水21a
により一定の設定希釈率で希釈したものであるから、濃
度検出器22により検出される希釈サンプリング液3c
の濃度は、常に、サンプリング液3aの濃度つまり処理
槽2における処理液3の濃度と一定の比例関係にある。
【0024】したがって、処理槽2からサンプリング液
3bを常時抽出して、これを希釈した希釈サンプリング
液3cの濃度を検出することにより、当該処理液3の濃
度変動をリアルタイムで正確に把握することができ、濃
度調整液補給装置6による処理槽2への防錆原液3´の
補給を、濃度検出器22による検出濃度が適正希釈濃度
となるように制御することにより、処理槽2における処
理液3の濃度を常に適正濃度に維持させることができ
る。その結果、防錆処理を冒頭で述べた如き問題を生じ
ることなく、適正且つ良好に行うことができる。
【0025】また、上記した例では、処理槽2内の処理
液3の一部3aを浄化フィルタ12により浄化させつつ
循環させるようにしているから、処理槽2内の処理液3
をスカム等により汚染されない清浄液に維持させておく
ことができ、防錆処理をより良好に行うことができる。
しかも、浄化フィルタ12により浄化された清浄処理液
3aの一部をサンプリリング液3bとして抽出するよう
にしているため、濃度検出器22の分析部にはスカム等
の異物が含有されない清浄な希釈サンプリング液3cが
導入されることになり、その濃度検出もより正確に行わ
れることになる。
【0026】なお、本発明は上記した実施の形態に限定
されるものではなく、本発明の基本原理を逸脱しない範
囲において、適宜に改良,変更することができる。
【0027】例えば、防錆処理は、上記した如く伸銅製
品を処理液中に浸漬させる浸漬法による他、処理槽内に
おいて銅製品の表面に防錆処理液を噴射させるスプレー
法,シャワー法によっても行なわれるが、図2に示す如
く、本発明はこのような防錆処理にも当然に適用するこ
とができる。
【0028】すなわち、図2に示す防錆処理システムに
あっては、銅コイル等の伸銅製品1が処理槽2´内を水
平に通過するようになっており、処理槽2´内における
製品通過経路の上下には、送液路26を介して処理槽2
´の処理液溜に接続されたノズル体25,25が配設さ
れている。そして、送液路26に設けた送液ポンプ27
を駆動させて、処理槽2´内の処理液3をノズル体2
5,25から銅製品1の表面に噴射させることにより、
浸漬法によると同様に、銅製品1に防錆処理を施すよう
になっている。処理槽2´内の処理液3はノズル体2
5,送液路26,送液ポンプ27を介して循環されるこ
とになる。而して、かかるシステムにおいても、図2に
示す如く、濃度管理装置4の構成は図1に示すものと同
一とされており、上記した例におけると同様の良好且つ
適正な濃度管理を行なうことができることは勿論であ
る。なお、濃度管理装置4の構成は上記したと同一であ
るから、図1に示すものと同一の構成部材については、
図2において同一の符号を付して、その詳細は省略す
る。
【0029】また、希釈水導入路19をサンプリング液
抽出路13に接続させず前処理槽18の底部に導くこと
によって、サンプリング液3bと希釈水21aとの混合
を前処理槽18において行うようにしてもよい。また、
前処理槽18を廃して、希釈サンプリング液導入部分1
3aを直接濃度検出器22の分析部に導くようにしても
よい。
【0030】また、希釈水21aの混入によっては、希
釈サンプリング液3cを濃度検出器22の使用温度まで
冷却し難い場合には、処理槽2から濃度検出器22に至
るサンプリング液流路の適所に熱交換器等の格別の冷却
手段を設けるようにしてもよい。また、サンプリング液
3bを希釈させる流体は、蒸留水,上水,工水等の希釈
水21aに限定されるものではなく、濃度検出器22に
よる濃度検出に影響しないものであることを条件とし
て、サンプリング液3bつまり処理液3の性状等に応じ
て適宜に選択することができる。例えば、処理液3が溶
剤によってのみ希釈できるものである場合には、サンプ
リング液3bに溶剤を混入して希釈を行なう。但し、使
用できる溶剤に濃度検出器22との関係で制限があるこ
とはいうまでもない(例えば、分析機が測定している紫
外線吸収ピーク位置又は可視光線吸収ピーク位置に、濃
度測定しようとする溶質が吸収ピークをもち、且つ希釈
する溶剤(溶媒)が当該ピークより大きい吸収ピークを
もたないものであることが必要である)。また、かかる
場合、溶剤の混入,希釈によってはサンプリング液3b
を所定温度に冷却することができないときは、上記した
如く格別の冷却手段により冷却させるようにすればよ
い。
【0031】また、給水源21の圧力変動等によりポン
プ14,20からの吐出量を一定に維持することが困難
であり、そのため一定の希釈率(設定希釈率)で希釈し
た希釈サンプリング液3cを得難い場合には、各ポンプ
14,20の吐出側に各々流量調整弁を設けて、一定の
希釈率を得るようにすることが可能である。勿論、ポン
プ14,20を廃しても、サンプリング液3b及び希釈
水21aを流動,混入させるに充分な圧力が得られる場
合には、ポンプ14,20に代えて流量調整弁を使用し
て、希釈サンプリング液3cを得るようにすることもで
きる。
【0032】また、循環路10を廃して、サンプリング
液3bを処理槽2から直接取り出すようにすることも可
能である。但し、サンプリング液3bに濃度検出器22
による適正な濃度検出を妨げるような異物が混入する虞
れがある場合には、サンプリング液抽出路13に適宜の
フィルタを設けておくことが好ましい。また、図2に示
す如く、処理槽2´内の処理液3をノズル体25,送液
路26,送液ポンプ27により循環させるような処理手
段を採用するシステムにあっては、送液路26を循環路
10として代替させること、つまり循環路10を廃し
て、送液路26の適所からサンプリング液3bを抽出す
るようにすることも可能である。この場合、送液26に
は、循環路10におけると同様に、浄化フィルタ12を
設けておくことが可能である。
【0033】また、濃度検出装置8は、濃度検出器22
による検出濃度を、設定希釈率で除した値に補正して、
つまり希釈される前のサンプリング液3aの濃度である
真正濃度に補正して、その真正濃度を制御装置に入力さ
せるようにしてもよい。すなわち、上記した例では、検
出濃度(希釈サンプリング液3cの濃度)と適正希釈濃
度との比較により処理液濃度調整液たる防錆剤原液3´
の補給制御を行うようにしたが、この検出濃度を希釈前
のサンプリング液濃度に補正換算して、この換算濃度と
適正濃度との比較により上記補給制御を行うようにして
もよい。この場合、換算濃度を適宜の表示器により表示
させるようにすれば、作業者が処理液3の濃度をリアル
タイムで直接的に把握することができ、防錆処理作業上
便利である。さらに、換算濃度をデータ出力するように
すれば、防錆処理に何らかの不具合が生じた場合にもロ
ット追跡を容易に行うことができ、防錆処理条件の適正
化等を効果的に図ることができる。
【0034】また、本発明は、上記した銅コイル等の伸
銅製品を防錆処理する場合における処理液の濃度管理の
みならず、濃度検出器の使用条件(温度,濃度)上、処
理槽2内の処理液濃度を直接に検出,測定し得ない場合
であって、処理液濃度を一定範囲に維持,管理しておく
必要がある、あらゆる浸漬処理において、上記同様に適
用することができる。例えば、処理槽2,2´における
処理液濃度が処理の進行に伴って(高温処理による溶剤
蒸発等により)上昇し、処理液濃度を適正に維持させる
ために、溶剤を処理液濃度調整液として処理槽2に補給
してやる必要がある場合等においても、本発明を適用す
ることができる。
【0035】
【発明の効果】以上の説明から容易に理解されるよう
に、請求項1及び請求項2の発明によれば、処理槽内に
おける処理液の温度,濃度が市販の濃度検出器の使用条
件から逸脱している場合においても、当該濃度検出器に
より処理液濃度の変動をリアルタイムで正確に把握する
ことができ、処理液濃度を適正範囲に確実に維持,管理
しておくことができる。したがって、伸銅製品の防錆処
理等の処理を良好且つ適正に行うことができ、高品質の
処理製品を効率良く経済的に得ることができる。
【0036】さらに、請求項3の発明によれば、処理槽
内の処理液及び濃度検出器の被検出液たるサンプリング
液を清浄なものとでき、浸漬処理等の処理をより良好に
行うことができると共に、濃度検出器による濃度検出及
びこれによる濃度管理の信頼性をより高めることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る処理液の濃度管理装置の一例を示
す系統図である。
【図2】その変形例を示す系統図である。
【符号の説明】
1…伸銅製品、2,2´…処理槽、3…処理液、3´…
防錆剤原液(処理液濃度調整液)、3a…清浄処理液、
3b…サンプリング液、3c…希釈サンプリング液(希
釈化且つ低温化されたサンプリング液)、4…濃度管理
装置、5…サンプリング液抽出装置、6…濃度調整液補
給装置、7…濃度検出用前処理装置、8…濃度検出装
置、9…制御装置、10…浄化循環路、12…浄化フィ
ルタ、22…濃度検出器。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成8年5月13日
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図2
【補正方法】変更
【補正内容】
【図2】

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 所定の高温度に維持した状態で処理液を
    収容する処理槽から当該処理液の一部を、常時、サンプ
    リング液として取出し、 取り出されたサンプリング液を一定割合で希釈化させる
    と共に低温化させた上で、そのサンプリング液の濃度を
    濃度検出器により常時検出し、 その検出濃度に基づいて、処理槽への処理液濃度調整液
    の補給を制御することによって、処理槽における処理液
    の濃度を設定濃度に維持,管理するようにしたことを特
    徴とする、処理液の濃度管理方法。
  2. 【請求項2】 所定の高温度に維持した状態で処理液を
    収容する処理槽から当該処理液の一部を、常時、サンプ
    リング液として取出すサンプリング液抽出装置と、 処理槽に処理液濃度調整液を補給する濃度調整液補給装
    置と、 サンプリング液抽出装置により取り出されたサンプリン
    グ液を、これに希釈水を混入させることにより、一定割
    合で希釈化させると共に一定温度以下に冷却させる濃度
    検出用前処理装置と、 濃度検出用前処理装置により希釈化且つ低温化されたサ
    ンプリング液の濃度を濃度検出器により検出する濃度検
    出装置と、 濃度検出器により検出されたサンプリング液濃度に基づ
    いて、濃度調整液補給装置による処理液濃度調整液の補
    給量を、処理槽内の処理液濃度を設定濃度に維持すべ
    く、制御する制御装置と、 を具備することを特徴とする、処理液の濃度管理装置。
  3. 【請求項3】 サンプリング液抽出装置が、処理槽内の
    処理液の一部を当該槽外に設けた浄化フィルタを通過し
    て処理槽に循環させる浄化循環路を具備しており、この
    浄化循環路における浄化フィルタの下流側を流動する清
    浄処理液の一部をサンプリング液として取り出すように
    構成されたものであることを特徴とする、請求項2に記
    載する処理槽における処理液の濃度管理装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2020139204A (ja) * 2019-02-28 2020-09-03 栗田工業株式会社 水系の防食方法及び水系システム

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