JP2020139204A - 水系の防食方法及び水系システム - Google Patents
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Abstract
Description
[1]孔径が0.01〜0.50μmであるフィルタで、水系の水の少なくとも一部を濾過して濾過水を得る濾過工程と、前記濾過水の全リン酸濃度を測定する測定工程と、前記全リン酸濃度に基づいて、前記水系にリン化合物を含む防食剤を添加する添加工程と、を備える、水系の防食方法。
[2]前記水系が、鉄系金属部材を有する、[1]に記載の水系の防食方法。
[3]前記リン化合物が、オルトリン酸及び/又はその塩、ホスホン酸及び/又はその塩、重合リン酸、ピロリン酸アルカリ金属塩、ヘキサメタリン酸アルカリ金属塩、ピロリン酸二水素塩よりなる群から選ばれる少なくとも1種である、[1]又は[2]に記載の水系の防食方法。
[4]前記添加工程において、前記全リン酸濃度が5〜50mg−PO4/Lの範囲となるように、前記水系に前記防食剤を添加する、[1]〜[3]の何れかに記載の水系の防食方法。
[5]孔径が0.01〜0.50μmであるフィルタで、水系の水の少なくとも一部を濾過して濾過水を得る濾過手段と、前記濾過水の全リン酸濃度を測定する測定手段と、前記全リン酸濃度に基づいて、前記水系にリン化合物を含む防食剤を添加する添加手段と、を含む、水系システム。
本発明の水系システムは、孔径が0.01〜0.50μmであるフィルタで、水系の水の少なくとも一部を濾過して濾過水を得る濾過手段と、前記濾過水の全リン酸濃度を測定する測定手段と、前記全リン酸濃度に基づいて、前記水系にリン化合物を含む防食剤を添加する添加手段と、を含む。前記孔径は、公称孔径でよく、例えば、平均細孔径である。
熱交換器2で負荷の冷却を行うことにより高温となった水は、蓄熱水槽1経由で冷凍機3に導かれて冷却され、蓄熱水槽1経由で再び循環使用される。
濾過装置5を設けることにより、水系内におけるスラッジやスライムの増加を抑制することができ、その結果、熱交換機における熱効率の低下や、水系を構成する循環ポンプの閉塞を回避することができる。
本発明の水系システムにおける濾過手段は、孔径が0.01〜0.50μmであるフィルタを含むものであればよい。濾過手段は、図1のように水系内に設けた濾過部材8に限定されず、水系から水を採取して、水系を構成するラインの外で濾過を行うものでもよい。
本発明の水系システムにおける測定手段は、前記濾過手段で濾過して得た濾過水の全リン酸濃度を測定するものであればよい。測定手段として、例えば、水系システムから自動的に保有水の採取及び分析を行う全リン酸濃度分析装置(図示しない)を設けることもできる。
本発明の水系システムにおける添加手段は、前記全リン酸濃度に基づいて、水系に、リン化合物を含む防食剤を添加するものであればよい。添加手段として、例えば、蓄熱水槽1に防食剤を添加する防食剤添加装置(図示しない)を設けることもできる。
本発明の水系の防食方法は、孔径が0.01〜0.50μmであるフィルタで、水系の水の少なくとも一部を濾過して濾過水を得る濾過工程と、前記濾過水の全リン酸濃度を測定する測定工程と、前記全リン酸濃度に基づいて、前記水系にリン化合物を含む防食剤を添加する添加工程と、を備える。
本発明の水系システムを構成する鉄系金属部材は、水と接触すると著しい腐食が発生するが、水系の保有水に防食剤を添加して、該水系の金属部材表面に防食皮膜を形成することで腐食を防止することができる。
水系の金属部材表面に防食皮膜を形成する工程には、通常、水系システムの運転開始時に行われる基礎処理工程と、基礎処理を行った後の通常運転時に行われる通常処理工程が含まれる。
一般に、水系システムの運転開始時においては金属部材表面に防食皮膜が形成されておらず、極めて腐食が発生しやすい状態となっている。基礎処理工程では、鉄系金属部材の表面に対し、比較的高濃度の防食剤によって防食皮膜を形成させる。通常処理工程では、基礎処理工程で防食皮膜を形成させた鉄系金属部材に対し、低濃度の防食剤によって防食皮膜を維持する。本発明の方法は、いずれの工程にも適用することができる。
リン化合物としては、オルトリン酸及び/又はその塩、例えばリン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウムのほか、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸(HEDP)、2−ホスホノブタン−1,2,3−トリカルボン酸(PBTC)、アミノトリメチルホスホン酸などのホスホン酸及び/又はその塩、ピロリン酸及び/又はその塩、トリポリリン酸及び/又はその塩、ヘキサメタリン酸及び/又はその塩などの重合リン酸、例えばピロリン酸カリウム、ピロリン酸ナトリウム等のピロリン酸アルカリ金属塩、ヘキサメタリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸カリウム等のヘキサメタリン酸アルカリ金属塩、ピロリン酸二水素二ナトリウム等のピロリン酸二水素塩等を用いることができる。これらは1種を単独で用いても良く、2種以上を併用してもよい。
これらのうち、防食皮膜の形成をより促進する観点から、オルトリン酸及び/又はその塩、ホスホン酸及び/又はその塩、重合リン酸、ピロリン酸アルカリ金属塩、ヘキサメタリン酸アルカリ金属塩、ピロリン酸二水素塩よりなる群から選ばれる少なくとも1種であることがより好ましい。
なお、防食成分の消耗等で、上記最低必要リン酸濃度を下回った場合には、最低必要リン酸濃度を維持するようにリン酸等を追加添加して、水系の全リン酸濃度を管理することが好ましい。このため、水系内の全リン酸濃度を、定期的に測定することが好ましい。
図1の水系システムでは、分岐ライン7の採取ポイント(図1のA点)で水系内の保有水を採取して、全リン酸濃度を測定する。
図1の水系システムは、分岐ライン7のA点の上流に、濾過部材8を備えている。この濾過部材8において、スラッジ等と結合して防食機能が低下したリン化合物が捕捉されるため、図1のA点では、防食機能が低下したリン化合物を除いた濾過水の全リン酸濃度が測定される。
全リン酸濃度は、例えば、ペルオキソ二硫酸カリウム分解法や硝酸−硫酸分解法などによりオルソリン酸に分解したのち、モリブデン青吸光光度法やイオンクロマトグラフ法によって測定することができる。
防食剤の添加量は、例えば、濾過水の測定値を系内の全リン酸濃度とみなし、そのみなし値が最低必要リン酸濃度を下回らないように調整することができる。
上記の実機冷却水1Lを1Lビーカー9に満たし、添加薬剤として、0.1%オルトリン酸、NaCl、塩化鉄(III)を、それぞれ添加後に、全リン酸濃度:10mg/L、塩化物イオン濃度:50mg/L、鉄濃度:2mg/Lとなるように添加した。
腐食速度は下記式により求めた。
腐食速度(mdd:mg/dm2/day)={試験前の試験片重量(mg)−試験後の試験片重量(mg)}÷{試験片の表面積(dm2)×試験期間(day)}
なお、試験後の試験片重量測定前に試験片を酸洗浄し腐食生成物を除去した。
フィルタの濾過孔径を、それぞれ、下記のように変更した以外は、実施例1と同様にして鉄試験片の腐食速度を測定した。
実施例2:濾過孔径0.22μm(メルクミリポア社製、製品名:デュラポア(フィルターコード:GVWP)、材質:親水性PVDF
実施例3:濾過孔径0.1μm(メルクミリポア社製、製品名:デュラポア(フィルターコード:VVLP)、材質:親水性PVDF
比較例1:濾過孔径1.0μm(アドバンテック社製、製品名:No5C、材質:セルロース)
添加薬剤のうち、塩化鉄(III)の添加量を、添加後に鉄濃度が5mg/Lとなるように変更した以外は、実施例1と同様にして鉄試験片の腐食速度を測定した。
フィルタの濾過孔径を、それぞれ、下記のように変更した以外は、実施例4と同様にして鉄試験片の腐食速度を測定した。
実施例5:上記濾過孔径0.22μm
実施例6:上記濾過孔径0.1μm
比較例2:上記濾過孔径1.0μm
2:熱交換器
3:冷凍機
4:冷却ライン
5:濾過装置
6:循環ポンプ
7:分岐ライン
8:濾過部材
A:採取ポイント
9: ビーカー
10:支持棒
11:鉄試験片
12:実機冷却水
13:恒温槽
Claims (5)
- 孔径が0.01〜0.50μmであるフィルタで、水系の水の少なくとも一部を濾過して濾過水を得る濾過工程と、
前記濾過水の全リン酸濃度を測定する測定工程と、
前記全リン酸濃度に基づいて、前記水系にリン化合物を含む防食剤を添加する添加工程と、
を備える、水系の防食方法。 - 前記水系が、鉄系金属部材を有する、請求項1に記載の防食方法。
- 前記リン化合物が、オルトリン酸及び/又はその塩、ホスホン酸及び/又はその塩、重合リン酸、ピロリン酸アルカリ金属塩、ヘキサメタリン酸アルカリ金属塩、ピロリン酸二水素塩よりなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1又は2に記載の水系の防食方法。
- 前記添加工程において、前記全リン酸濃度が5〜50mg−PO4/Lの範囲となるように、前記水系に前記防食剤を添加する、請求項1〜3の何れかに記載の水系の防食方法。
- 孔径が0.01〜0.50μmであるフィルタで、水系の水の少なくとも一部を濾過して濾過水を得る濾過手段と、
前記濾過水の全リン酸濃度を測定する測定手段と、
前記全リン酸濃度に基づいて、前記水系にリン化合物を含む防食剤を添加する添加手段と、
を含む、水系システム。
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