JPH06192860A - 工業用冷却水系統の障害防止管理システムとその制御方法 - Google Patents

工業用冷却水系統の障害防止管理システムとその制御方法

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JPH06192860A
JPH06192860A JP4348844A JP34884492A JPH06192860A JP H06192860 A JPH06192860 A JP H06192860A JP 4348844 A JP4348844 A JP 4348844A JP 34884492 A JP34884492 A JP 34884492A JP H06192860 A JPH06192860 A JP H06192860A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 工業用冷却水系統を流れる冷却水が接触する
配管の腐食速度と冷却水の汚染度を連続的に測定し、腐
食及び汚染の状況の変化を総合的に監視し、適切な時期
に適切な障害防止の処置が自動的に行なわれ、的確かつ
容易な冷却水系統配管の障害防止の管理をすることを目
的とする。 【構成】 工業用冷却水系統を流れる冷却水を連続的に
採取する冷却水採取手段と、水処理薬剤の濃度を測定す
る薬剤濃度測定手段と、水処理薬剤の添加量を調節する
薬剤濃度調節手段と、配管の腐食速度を測定する腐食速
度測定手段と、冷却水の汚染度を測定する汚染度測定手
段と、演算手段と、演算手段の結果から汚染と腐食の進
行状況と水処理薬剤の添加量の増減を判定する薬剤添加
量判定手段と、前記判定結果に基づき薬剤濃度設定値を
補正する薬剤濃度設定値補正手段とからなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、工業用冷却水系統の
障害防止管理システムに関し、さらに詳しくは、工業用
冷却水系統の配管の中で生じる冷却水の腐食及び汚染等
の障害の状況を連続的に監視し、その結果に基づき、冷
却水に注入される各種水処理薬剤の注入量を適切に制御
する工業用冷却水系統の障害防止管理システムに関す
る。
【0002】
【従来の技術】製鐡、化学、石油化学その他各種工場で
は、プロセス冷却用に、又ユーティリティ、保全用に、
一方学校、病院、ホテルその他のビルでは空調用に大量
の冷却水が使用されている。冷却水の使用の増大に伴
い、冷却塔を設け水を循環再利用し、更に節水のため可
能な範囲で高濃度運転を行いその有効利用を図ってい
る。
【0003】これら冷却水系では常に水に起因する腐
食、スケール、スライム及び藻類等の様々な障害が発生
し、ことに濃縮に基づく水質悪化により水に起因する障
害が益々発生し易い状況となり、機器耐用年数の低減、
機器・配管の閉塞、破損や熱効率の低下等資源並びにエ
ネルギーの損失、メンテナンス費の増大の他、工場での
生産ダウンや生産停止、またビル等での不快指数の増大
等諸問題を引き起こすことが知られている。
【0004】従来、これらの障害を防止するために水処
理薬剤を添加することが行われてきた。例えば、腐食を
防止するためには、モリブデン酸塩、タングステン酸
塩、重合燐酸塩、亜鉛塩、アミン類、アゾール類、各種
ホスホン酸類等が使用され、スケールを防止するために
は、ボリリン酸塩、アクリル酸系重合体、各種ホスホン
酸類が使用され、またスライムや藻類を防止するために
は、過酸化水素、次亜塩素酸塩、第4級アンモニウム
塩、3−イソチアゾロン類、ブロモニトロアルコール類
等が使用されてきた。
【0005】また、各種水処理薬剤が効果を充分に発揮
しているかを確認するために水質分析、薬剤濃度分析及
び生菌数測定等の管理状況の監視や、テストクーポン或
いは電気化学的方法(分極抵抗法、交流インピーダンス
法等)による腐食状況の監視、熱交換器のスケール付着
状態を知るためのバイパス試験及びスライムボードなど
によるスライム状況の監視等のモニタリングが行われて
きた。
【0006】しかしながら、水質分析等の管理状況の監
視は、比較的短時間で知ることができるが、間接的な方
法であり実際の障害を防止しているかどうかの判定の目
安にしかならず、さらに、テストクーポンやスライムボ
ードの設置及びバイパス試験においては、直接的な方法
であるが、モニタリング期間が7〜30日程度の長期間
となり、かつ、ある期間の平均的な障害を知ることしか
できず、環境の変化に基づく障害の有無を迅速に知るこ
とは困難であった。
【0007】また、これらのモニタリングは、腐食、ス
ケール、スライムの個々指標にすぎず、実際の冷却水系
の障害と相関が得られない場合もあり、障害の進行を関
知する事ができずトラブルが発生する場合があった。一
方、連続的に腐食モニタリングを行い防食を維持するこ
とを目的として、腐食媒体にさらされている金属構造
物、機器、配管、容器等の腐食速度と環境因子とを計測
して演算した結果に基づく環境因子の制御によって防食
する腐食防食・監視制御システムが特公平3−3179
2号に提案されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】特公平3−31792
号公報記載の発明は、腐食モニタリングの方法として、
腐食媒体中の金属材料の分極抵抗法からその腐食速度を
連続的に測定して、腐食抑制剤の注入を制御しようとす
るものである。分極抵抗法は電気化学的な分極抵抗から
測定時点の腐食速度を求めるものであるが、標準試験片
を用いてモニタリングを行うため、この標準試験片が実
際の配管の形状や表面状態と異なり、しばしば実際の状
況とは異なった結果を得るおそれがあった。また、この
方法では、最も腐食を受けやすい伝熱面における測定を
行うことが困難であった。
【0009】さらに、このシステムは、Na2SO4を主
成分とするイオン交換樹脂再生廃液貯蔵タンクの腐食防
食・監視制御システムとして開発されたものであり、こ
のシステムをこの発明の対象である工業用循環冷却系に
応用した場合には、上記問題点とともに、腐食抑制剤を
多量に注入したり、他の環境因子を制御しても腐食状況
が改善されないことがあり、工業用循環冷却系の腐食防
食・監視制御システムとしては、充分に満足できるもの
ではなかった。
【0010】この発明は、以上のような事情を考慮して
なされたもので、冷却水が接触する配管の腐食速度と冷
却水の汚染度を連続的に測定し、腐食及び汚染の状況の
変化を総合的に監視することによって、適切な時期に適
切な障害防止の処置が自動的に行なわれ、かつ、冷却水
系統の配管の障害防止の管理が容易にできる工業用冷却
水系統の障害防止管理システムを提供することを目的と
する。
【0011】
【課題を解決するための手段】図1に、この発明の構成
ブロック図を示す。同図において、この発明は、工業用
冷却水系統配管101の中を流れる冷却水の一部を連続
的に採取する冷却水採取手段102と、採取した冷却水
に含まれる水処理薬剤の濃度を測定する薬剤濃度測定手
段103と、冷却水が接触する配管の腐食速度を測定す
る腐食速度測定手段104と、冷却水の汚染度を測定す
る汚染度測定手段105と、薬剤濃度と腐食速度と汚染
度の測定値とこの各測定値に対応するあらかじめ設定さ
れた基準設定値との比較演算を行う演算手段106と、
演算手段106の結果から汚染と腐食の進行状況と水処
理薬剤の添加量の増減を判定する薬剤添加量判定手段1
07と、前記判定結果に基づき薬剤濃度設定値を補正す
る薬剤濃度設定値補正手段108と、所定の薬剤濃度設
定値に一致するように水処理薬剤の添加量を調節する薬
剤濃度調節手段109とからなる工業用冷却水系統の障
害防止管理システムを提供するものである。
【0012】また、前記薬剤濃度測定手段103は、冷
却水に含まれる水処理薬剤の分解用試薬及び発色試薬の
添加手段、水処理薬剤を分解する紫外線照射手段、及び
吸光度測定手段からなるものであることが好ましい。
【0013】また、前記腐食速度測定手段104は、冷
却水と接触する測定対象の配管と実質的に同一材質の円
筒状パイプからなる試料極、このパイプの液体と接触す
る側の長手方向に平行に近傍する位置に設けられた導電
性材料からなる照合極、及びこの試料極と照合極と非接
触で任意の位置に設けられた導電性材料からなる対照極
よりなり、これらの電極に電気的に接続された電流又は
電圧印加部及び測定部とから構成されることが好まし
い。
【0014】また、この発明において、障害防止管理シ
ステムの制御方法としては、腐食速度の測定値のみがあ
らかじめ設定された基準設定値以上となり、腐食の進行
が悪化したと前記薬剤添加量判定手段107が判定した
場合に、前記薬剤濃度設定値補正手段108が腐食防止
剤の基本濃度設定値を増加させる補正を行い、腐食速度
及び汚染度の測定値が共にあらかじめ設定された基準設
定値以上となり、腐食及び汚染の進行が悪化したと前記
薬剤添加量判定手段107が判定した場合に、前記薬剤
濃度設定値補正手段108が、汚染度が基準設定値未満
となるまで汚れ防止剤の基本濃度設定値を増加させる補
正を行い、かつ汚染度が回復してもなお腐食速度が基準
設定値以上の場合には腐食防止剤の基本濃度設定値を増
加させる補正を行い、汚染度の測定値のみがあらかじめ
設定された基準設定値以上となり、汚染の進行が悪化し
たと前記薬剤添加量判定手段107が判定した場合に
は、汚染度が基準設定値未満となるまで前記薬剤濃度設
定値補正手段108が汚れ防止剤の基本濃度設定値を増
加させる補正を行い、さらに、汚染度又は腐食速度が回
復した傾向を示した場合には、汚れ防止剤又は腐食防止
剤の基本濃度設定値を減少させる補正を行うようにする
ことが好ましい。
【0015】また、前記冷却水採取手段102は、冷却
塔ピットから熱交換器までの冷却水配管に設けられたバ
イパス配管に接続され、冷却塔のピットから熱交換器ま
での冷却水配管やピットから冷却水の一部を、循環水の
水圧を利用すること又は自給式のポンプ等の使用によっ
て連続的に採取するものである。
【0016】また、前記薬剤濃度測定手段103として
は、冷却水系に添加されている各種水処理薬剤、例えば
腐食防止剤、スケール防止剤及び殺菌剤等の水中濃度を
連続的に測定する手段であるJIS K−0101及び
JIS K−0102に記載の吸光度測定手段を用いて
もよい。
【0017】また、前記薬剤濃度調節手段109は、通
常、水処理薬剤を冷却水系統に注入する薬剤注入ポンプ
とこれに連動したパーソナルコンピュータから構成され
インバータ制御により、注入する薬剤の量を調節するも
のである。
【0018】また、前記汚染度測定手段105は実際の
熱交換器を縮小した構成を持つ公知のモニター用熱交換
器を用いることが好ましい。なお、前記薬剤濃度測定手
段103、腐食速度測定手段104、及び汚染度測定手
段105は前記した冷却塔ピットから熱交換器までの冷
却水配管に設けられたバイパス配管に接続されている。
また、前記演算手段106、薬剤添加量判定手段10
7、及び薬剤濃度設定値補正手段108は、通常、CP
U、記憶手段、表示手段およびデータ入力手段等から構
成されるパーソナルコンピュータが用いられる。
【0019】
【作用】この発明によれば、工業用冷却水系統におい
て、腐食速度測定手段と汚染度測定手段によって冷却水
が接触する配管の腐食速度と冷却水の汚染度を測定し、
その測定値に基づいて演算手段と薬剤添加量判定手段に
よって判定を行い水処理薬剤の添加量を制御しているの
で、冷却水系統の腐食と汚染の障害を有効に防止でき
る。
【0020】すなわち、腐食速度と汚染度との相対関係
は次の3通りが考えられ、演算手段と薬剤添加量判定手
段によって判定され、薬剤濃度調節手段と薬剤濃度設定
値補正手段によって障害を防止するべく、水処理薬剤の
添加量が制御される。 1)腐食速度が上昇し汚染度が一定の場合 2)腐食速度が上昇し汚染度も上昇する場合 3)腐食速度が一定で汚染度が上昇する場合
【0021】1)の場合、腐食速度の測定値が所定の設
定値以上に上昇したと判定されると、腐食抑制剤を段階
的に添加又はその添加量を増加させることによって、腐
食の進行を抑制させることができる。
【0022】2)の場合、腐食の原因は、スケールやス
ライムの汚れによる酸素濃淡電池形成等によるものと考
えられるので、まず、スケール抑制剤やスライム制御剤
を添加して又はその添加量を増加させて系内の汚染を防
止する。また、汚染度の程度により、洗浄剤の添加を行
い、系内の汚染を除去することが必要な場合もある。そ
の後、汚染度が回復してもなお腐食速度が設定値未満に
低下しない場合には、腐食抑制剤を添加又はその添加量
を増加させる。
【0023】3)の場合、汚染度の測定値が所定の汚染
度の設定値以上に上昇したと判定されると、系内の汚染
を防止するための前記抑制剤を添加又はその添加量を増
加させることによって、汚染の防止又は進行を抑制させ
ることができる。
【0024】
【実施例】以下、図に示す実施例に基づいてこの発明を
説明する。しかし、これによって、この発明が限定され
るものではない。図2に、この発明の障害防止管理シス
テムの一実施例のブロック図を示す。同図において、1
は冷却水系、2は冷却水系1から採取した水の腐食速度
を測定する装置、3は冷却水系から採取した水の汚れを
測定する装置、4は冷却水系から採取した水の水処理剤
濃度を測定する装置である。
【0025】5は腐食速度測定装置2からの信号をアナ
ログデータに変換する腐食速度測定データ変換装置であ
り、2及び5は、分極抵抗法により腐食速度を連続的に
測定する腐食速度測定手段104を構成する。たとえ
ば、この腐食速度測定手段104としては、特願平4−
161248号記載の腐食測定装置が用いられる。
【0026】6は、汚れ測定装置3からの信号をアナロ
グデータに変換する汚れ測定データ変換装置であり、3
及び6は、モニター用の熱交換器等を用いその入口及び
出口の冷却水の温度差により伝熱量の変化又は、総括伝
熱係数を連続的に測定することによって間接的に汚染度
の尺度を求める汚染度測定手段105を構成する。
【0027】たとえば、伝熱量は、熱交換器の出口と入
口の温度を計測することにより次の計算式で算出でき
る。伝熱量をQ(kcal/m2・hr) 冷却水出入口温度差をΔ
T(℃)、冷却水流量をW(m3/hr) 、熱交換器のチュー
ブ内面積をS(m2)とする。
【0028】
【数1】
【0029】ここで、もし熱交換器に汚れの原因となる
付着物が付着した場合、伝熱の阻害が生じ、前記伝熱量
Qが低下する。すなわち、汚染が生じたかどうかを判定
する基準として、単位時間当りに対して伝熱量Qの低下
変動の割合が所定の基準値(%)を越えるかどうかで判
定できる。
【0030】7は、水処理剤濃度測定装置4からの信号
をアナログデータに変換する水処理剤濃度測定データ変
換装置であり、4及び7は、薬剤濃度測定手段103を
構成する。たとえば、この薬剤濃度測定手段103とし
ては、特願平4−209241号記載の装置が用いられ
る。また、前記5、6、および7の各測定データ変換装
置は、各測定装置からの信号を例えば4〜20mAの連
続的なアナログ信号に変換して出力するものである。
【0031】8は、前記5、6、および7の各測定デー
タ変換装置から入力されるアナログデータをA/D変換
し、これらの測定データから適切な薬剤注入濃度を算出
する演算装置であり、CPU、ROM、RAM、CRT
ディスプレイ、キーボード、アナログデータ入出力のイ
ンタフェースとなるA/D変換ボード、D/A変換ボー
ド等から構成されるパーソナルコンピュータ等が用いら
れる。
【0032】9は、冷却水系1へ薬剤を注入する装置で
ある水処理剤注入ポンプ10の駆動速度を変化させるた
めの周波数を出力するインバータ制御装置である。な
お、このインバータ装置9における周波数の変換の指示
は、演算装置8のD/A変換ボードから出力されるアナ
ログ信号によって行なわれる。
【0033】11は、測定データを記録するための装置
であり、プリンタ又はプロッター等が用いられる。12
は、電話回線13などの通信回線を介して、この発明の
システムとは離れた場所において、この発明のシステム
の動作状況および測定データを表示し監視するための他
の遠隔監視装置であり、必要に応じて設置されるもので
ある。
【0034】次に、図3に、この発明の一実施例におけ
る演算装置の動作フローチャートを示す。まず、図2に
おいて冷却水系1を流れる冷却水の一部は連続的に採取
され、この採取された冷却水に含まれる水処理剤の濃度
は、常時、図2に示した水処理剤濃度測定装置4によっ
て測定され、水処理剤濃度測定データ変換装置7でアナ
ログデータに変換され、演算装置8に入力される(ステ
ップS1:水処理剤濃度データ入力)。
【0035】同様に、採取された冷却水は前記した腐食
測定装置に導かれ、常時腐食速度測定装置2によって腐
食速度に対応する分極抵抗が測定され、腐食速度測定デ
ータ変換装置5でアナログデータに変換され、演算装置
8に入力される(ステップS2:腐食速度データ入
力)。演算装置8では、この入力されたアナログデータ
値をもとに、腐食速度(MDD)を計算し、記憶する。
【0036】また、採取された冷却水は、前記した汚染
度を測定するための熱交換器に導かれ、汚れ測定装置3
によって熱交換器の冷却水の出入口などの数カ所で、熱
交換器の温度が測定され、汚れ測定データ変換装置6で
アナログデータに変換され、演算装置8に入力される
(ステップS3:汚染度データ入力)。演算装置8で
は、この入力されたアナログデータ値をもとに、汚染度
の尺度となる伝熱量Q(kcal/m2・hr)を計算し、記憶す
る。
【0037】次に、ステップS1で入力された水処理剤
濃度の値は、経験によってあらかじめ設定されている基
本薬剤濃度設定値と比較される(ステップS4)。ここ
で冷却水に添加されている水処理剤としては、腐食防止
剤と汚れ防止剤が用いられているものとする。
【0038】たとえば腐食防止剤としては、1,1−ジ
ヒドロキシエタンジホスホン酸10重量部と(アクリル
酸−メタクリル酸−アクリル酸エチル)共重合体10重
量部、残部が水とからなる製剤品が用いられ、汚れ防止
剤としは、次亜塩素酸ナトリウムの水溶液(有効塩素1
2%)90重量部と(アクリル酸−メタクリル酸−アク
リル酸エチル)共重合体10重量部とからなる製剤品が
用いられる。また、前記基本薬剤濃度設定値として、前
記の腐食防止剤の添加濃度値を用い100mg/lと設定
し、前記の汚れ防止剤の添加濃度値を用い10mg/lと設
定した。
【0039】さらに、腐食防止剤の濃度は、特願平4−
209241号に示した方法で、1,1−ジヒドロキシ
エタンジホスホン酸の濃度を測定することによって換算
できる。また、汚れ防止剤の濃度は、JIS K−01
01に準拠した方法で有効塩素濃度を測定することによ
って換算される。
【0040】ステップS4において、測定された水処理
剤の濃度が前記の基本薬剤濃度設定値に等しくなけれ
ば、ステップS5において、冷却水中の水処理剤濃度を
基本薬剤濃度設定値に近づくように、水処理剤濃度を調
節する。具体的には、演算装置8は、その内部に持つD
/A変換ボードを通してインバータ制御装置9に対し
て、水処理薬剤注入ポンプ10の駆動能力を調節するた
めの周波数の補正を行うアナログ信号を送る。これによ
り水処理薬剤注入ポンプ10から冷却水系に注入される
水処理薬剤の添加量の増減が制御される。
【0041】ステップS4において、測定された水処理
剤の濃度が前記の基本薬剤濃度設定値に等しい場合に
は、ステップS6からステップS10において、冷却水
系1の汚染度及び腐食速度の状況をステップS2及びス
テップS3で入力された入力データを基に判定し、汚れ
防止剤又は腐食防止剤のそれぞれの基本薬剤濃度設定値
を補正する。たとえば、この実施例では、汚染度及び腐
食速度の判定基準を次のように設定する。ステップS6
において汚染度を表わす尺度である伝熱量の変動割合が
5%以上となった場合には汚染が生じたと判定する。
【0042】ステップS7において、腐食速度の設定値
が10(MDD:mg/dm2・day)以上となった場合には、
腐食が生じたと判定する。ステップS7において、腐食
速度が10(MDD)以上となり、汚染度の変動割合が
5%未満の場合には、腐食速度が10(MDD)未満と
なるまで腐食防止剤の基本濃度設定値を腐食速度の上昇
度合に応じて比例的に増加させるように段階的に補正す
る(ステップS8)。
【0043】次に、ステップS1へ戻り、再度、入力デ
ータ値とこの補正された基本薬剤濃度設定値とを比較
し、薬剤基本濃度を調節する。その後、入力された薬剤
濃度が基本薬剤濃度設定値に等しくなり、腐食速度低下
傾向を示し、ステップS7の判定において腐食速度が1
0(MDD)未満となった場合には、ステップS10に
おいて、腐食防止剤の基本濃度設定値を減少させるよう
に段階的に補正する。この一連の操作により配管の腐食
が防止されるとともに、腐食防止剤の添加量も適切に維
持されることになる。
【0044】また、ステップS6において、腐食速度に
関係なく汚染度の変動割合が設定値である5%以上とな
った場合には、ステップS9におけるように、汚れ防止
剤の基本濃度設定値を、汚染度の変動割合の変化に応じ
て比例的に増加させるように段階的に補正する。
【0045】このとき、ステップS6において汚染度及
び腐食速度とも判定基準の設定値をこえて汚染及び腐食
が発生していると判定されていた場合において、前記ス
テップS9による補正によって汚染度が回復してもなお
腐食速度が判定基準設定値以上である場合には、前記し
たステップS8において補正が実行される。
【0046】その後、腐食速度も減少傾向を示し、かつ
汚染度が上昇しない傾向を示す場合には、ステップS1
0において汚れ防止剤の基本濃度設定値を減少させるよ
うに段階的に補正される。この一連の操作により腐食と
汚染は防止されるとともに、腐食防止剤及び汚れ防止剤
の添加量も適切に維持されることになる。
【0047】また、ステップS6において、汚染度の変
動割合が判定基準の設定値以上であるが、腐食速度が1
0(MDD)未満である場合にも、前記したステップS
9の補正処理が実行されるが、この補正処理により、そ
の後汚染度が減少傾向を示した場合には、ステップS1
0において汚れ防止剤の基本濃度設定値を減少させるよ
うに段階的に補正される。この一連の操作により汚染は
防止されるとともに、汚れ防止剤の添加量も適切に維持
されることになる。
【0048】次に、この発明の障害防止管理システムを
利用して疑似的に汚染、及び腐食の原因となる要因を加
えてこのシステムを運用した場合の実施例を図4に示
す。図4のグラフにおいて、横軸は経過日数(日)を示
し、縦軸は各測定量を示し、各グラフは、疑似的に障害
を加えた場合の各測定量の変化の状況を示している。
【0049】この例においては、基本水処理薬剤濃度設
定値として、腐食防止剤〔1,1−ジヒドロキシエタン
ジホスホン酸10重量部と(アクリル酸−メタクリル酸
−アクリル酸エチル)共重合体10重量部、残部が水と
からなる製剤品〕の添加濃度を100mg/lと設定した。
また、汚れ防止剤〔次亜塩素酸ナトリウムの水溶液(有
効塩素12%)90重量部と(アクリル酸−メタクリル
酸−アクリル酸エチル)共重合体10重量部とからなる
製剤品〕の添加濃度を10mg/lと設定した。
【0050】また、腐食防止剤の水中濃度は、1,1−
ジヒドロキシエタンジホスホン酸の濃度の測定によっ
た。また、汚れ防止剤の濃度は、JIS K−0101
に準拠して、有効塩素濃度の測定によった。
【0051】また、腐食速度(MDD:mg/dm2・day 換
算値)の測定は、特願平4−161248号記載の腐食
測定装置を用いて行い、汚染度(伝熱量Q:kcal/m2
hr換算値)の測定は、前記した熱交換器の伝熱量の変動
の割合を測定することにより行った。この例において
は、腐食速度(MDD:mg/dm2・day 換算値)の設定値
を10未満に、汚染度(伝熱量Q:kcal/m2 ・hr換算
値)の設定値を24時間毎の低下変動割合が5%未満と
なるように設定した。
【0052】次に、図4を用いて各試験期間における冷
却水系の障害の状況の変化を説明する。まず、試験期間
において、試験開始後、6日目に腐食促進因子である
塩化ナトリウムを500mg/lとなるように冷却水に添加
した。7日目より、腐食速度が上昇しはじめ、10日目
には、その値がMDDとして10(mg/dm2・day )以上
になり、かつ熱交換部の汚染度は若干上昇傾向(伝熱量
は低下傾向)にあるものの、その変動割合は5%未満で
あった。
【0053】そこで、演算装置の比較演算の結果、腐食
防止剤の基本濃度設定値は腐食速度の上昇度合いに応じ
て比例的に増加させるように段階的に補正され、腐食抑
制剤の濃度が200mg/lとなった時、腐食速度を示すM
DD値は最高値19から減少しはじめ、20日目には1
0未満となった。その後、腐食速度が、さらに低下傾向
を示したので、演算装置の制御により腐食防止剤の基本
濃度設定値は20日目から減少させるように段階的に補
正され、腐食速度がMDD値として30日目ごろには5
付近で一定となった。
【0054】次に、試験期間において、試験開始後、
33日目に汚染因子であるスライムの発生を促進させる
ため、バクテリアを該冷却水に添加した。37日目よ
り、腐食速度も汚染度もともに上昇傾向(汚染度を示す
伝熱量は低下傾向)を示し、43日目にはどちらも設定
値以上となったため、演算装置は汚れ防止剤の基本濃度
設定値を、汚染度の変動割合の度合に応じて比例的に増
加させるように段階的に補正した。
【0055】その後、汚れ防止剤の濃度が35mg/lとな
った時、汚染度は設定値未満となり、試験期間で示す
ように62日目には腐食速度も10未満となり、さらに
汚染度が低下(伝熱量が増加)したので、演算装置によ
ってその基本濃度設定値が減少するように段階的に補正
されている。62日目〜70日目には、腐食速度も汚染
度も設定値未満となり安定している。
【0056】次に、試験期間において、試験開始後、
72日目に汚染因子であるスケールを促進させるために
塩化カルシウム(CaCl2・2H2O)を200mg/l及
び炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)を100mg/lとな
るように冷却水系に添加した。78日目に汚染度が設定
値以上となったが、腐食速度は10未満と安定している
ため、演算装置は汚れ防止剤の基本濃度設定値を、汚染
度の変動割合の度合に応じて比例的に増加させるように
段階的に補正している。その後汚れ防止剤の濃度が28
mg/lとなった時、汚染度は設定値未満となり、また、腐
食速度も設定値未満で安定した。
【0057】以上のように、疑似的に汚染及び腐食の原
因となる要因を加えて、この発明の障害防止管理システ
ムを工業用冷却水系統に運用した例においても、汚染度
及び腐食速度を常時監視することにより、きめ細かい薬
剤の基本濃度設定値の補正と薬剤注入量の増減を行わせ
ているため、適切な障害の除去及び発生防止ができ、さ
らに、適切な薬剤の添加量の維持管理が可能となる。
【0058】
【発明の効果】この発明によれば、冷却水が接触する配
管の腐食速度と冷却水の汚染度を測定し、腐食及び汚染
の状況の変化を総合的に監視しているので、適切な時期
に的確な障害防止の処置が自動的に行なわれ、かつ、冷
却水系統の配管の障害防止の管理が容易に可能であると
共に、腐食及び汚れの障害を防止する薬剤の添加量も適
切に維持され、薬剤の費用削減が可能である。
【0059】また、的確な障害防止の処置を適切な時期
に行うことにより、致命的な障害の発生の防止又は、致
命的な障害の発生を遅延させることが可能となり、長期
的には工業用冷却水系統の運用コスト削減をはかること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の構成を示したブロック図である。
【図2】この発明の一実施例の構成を示したブロック図
である。
【図3】この発明の一実施例における演算装置の動作フ
ローチャートを示す。
【図4】この発明の一実施例における障害発生状況と薬
剤濃度の変化を示した図である。
【符号の説明】
1 冷却水系 2 腐食速度測定装置 3 汚れ測定装置 4 水処理剤濃度測定装置 5 腐食速度測定データ変換装置 6 汚れ測定データ変換装置 7 水処理剤濃度測定データ変換装置 8 演算装置 9 インバータ制御装置 10 水処理薬剤注入ポンプ 11 記憶装置 12 遠隔制御装置 13 電話回線 101 工業用冷却水系統配管 102 冷却水採取手段 103 薬剤濃度測定手段 104 腐食速度測定手段 105 汚染度測定手段 106 演算手段 107 薬剤添加量判定手段 108 薬剤濃度設定値補正手段 109 薬剤濃度調節手段
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成5年1月29日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0002
【補正方法】変更
【補正内容】
【0002】
【従来の技術】製鐡、化学、石油化学その他各種工場で
は、プロセス冷却用に、又ユーティリティ、保全用に、
一方学校、病院、ホテルその他のビルでは空調用に大量
の冷却水が使用されている。冷却水の使用の増大に伴
い、冷却塔を設け水を循環再利用し、更に節水のため可
能な範囲で高濃運転を行いその有効利用を図ってい
る。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0004
【補正方法】変更
【補正内容】
【0004】従来、これらの障害を防止するために水処
理薬剤を添加することが行われてきた。例えば、腐食を
防止するためには、モリブデン酸塩、タングステン酸
塩、重合燐酸塩、亜鉛塩、アミン類、アゾール類、各種
ホスホン酸類等が使用され、スケールを防止するために
は、リリン酸塩、アクリル酸系重合体、各種ホスホン
酸類が使用され、またスライムや藻類を防止するために
は、過酸化水素、次亜塩素酸塩、第4級アンモニウム
塩、3−イソチアゾロン類、ブロモニトロアルコール類
等が使用されてきた。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正内容】
【0016】また、前記薬剤濃度測定手段103として
は、冷却水系に添加されている各種水処理薬剤、例えば
腐食防止剤、スケール防止剤及び殺菌剤等の有効成分の
水中濃度を連続的に測定する手段であるJIS K−0
101及びJIS K−0102に記載の吸光度測定手
段を用いてもよい。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正内容】
【0017】また、前記薬剤濃度調節手段109は、通
常、水処理薬剤を冷却水系統に注入する薬剤注入ポンプ
とこれに連動したパーソナルコンピュータから構成さ
れインバータ制御により、注入する薬剤の量を調節する
ものである。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0031
【補正方法】変更
【補正内容】
【0031】8は、前記5、6、および7の各測定デー
タ変換装置から入力されるアナログデータをA/D変換
し、これらの測定データから適切な薬剤注入濃度を算出
する演算装置であり、演算手段106、薬剤添加量判定
手段107及び薬剤濃度設定値補正手段108を構成す
る。通常、CPU、ROM、RAM、CRTディスプレ
イ、キーボード、アナログデータ入出力のインタフェー
スとなるA/D変換ボード、D/A変換ボード等から構
成されるパーソナルコンピュータ等が用いられる。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0032
【補正方法】変更
【補正内容】
【0032】9は、冷却水系1へ薬剤を注入する装置で
ある水処理剤注入ポンプ10の駆動速度を変化させるた
めの周波数を出力するインバータ制御装置であり、9及
び10は薬剤濃度調節手段109を構成する。なお、こ
のインバータ装置9における周波数の変換の指示は、演
算装置8のD/A変換ボードから出力されるアナログ信
号によって行なわれる。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0038
【補正方法】変更
【補正内容】
【0038】たとえば腐食防止剤としては、1,1−ジ
ヒドロキシエタンジホスホン酸10重量部と(アクリル
酸−メタクリル酸−アクリル酸エチル)共重合体10重
量部、残部が水とからなる製剤品が用いられ、汚れ防止
剤としは、次亜塩素酸ナトリウムの水溶液(有効塩素
12%)90重量部と(アクリル酸−メタクリル酸−ア
クリル酸エチル)共重合体10重量部とからなる製剤品
が用いられる。また、前記基本薬剤濃度設定値として、
前記の腐食防止剤の添加濃度値を100mg/lと設定し、
前記の汚れ防止剤の添加濃度値を10mg/lと設定した。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0042
【補正方法】変更
【補正内容】
【0042】ステップS7において、腐食速度の設定値
が10(MDD:mg/dm2・day)以上となった場合には、
腐食が生じたと判定する。ステップS7において、腐食
速度が10(MDD)以上となり、汚染度の変動割合が
5%未満の場合には、腐食速度が10(MDD)未満と
なるまで腐食防止剤の基本濃度設定値を腐食速度の上昇
度合に応じて比例的に増加させるように段階的に補正す
る(ステップS)。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0043
【補正方法】変更
【補正内容】
【0043】次に、ステップS1へ戻り、再度、入力デ
ータ値とこの補正された基本薬剤濃度設定値とを比較
し、薬剤基本濃度を調節する。その後、入力された薬剤
濃度が基本薬剤濃度設定値に等しくなり、腐食速度
下傾向を示し、ステップS7の判定において腐食速度が
10(MDD)未満となった場合には、ステップS10
において、腐食防止剤の基本濃度設定値を減少させるよ
うに段階的に補正する。この一連の操作により配管の腐
食が防止されるとともに、腐食防止剤の添加量も適切に
維持されることになる。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0044
【補正方法】変更
【補正内容】
【0044】また、ステップS6において、腐食速度に
関係なく汚染度の変動割合が設定値である5%以上とな
った場合には、ステップSにおけるように、汚れ防止
剤の基本濃度設定値を、汚染度の変動割合の変化に応じ
て比例的に増加させるように段階的に補正する。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0045
【補正方法】変更
【補正内容】
【0045】このとき、ステップS6において汚染度及
び腐食速度とも判定基準の設定値をこえて汚染及び腐食
が発生していると判定されていた場合において、前記ス
テップSによる補正によって汚染度が回復してもなお
腐食速度が判定基準設定値以上である場合には、前記し
たステップSにおいて補正が実行される。
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0047
【補正方法】変更
【補正内容】
【0047】また、ステップS6において、汚染度の変
動割合が判定基準の設定値以上であるが、腐食速度が1
0(MDD)未満である場合にも、前記したステップS
の補正処理が実行されるが、この補正処理により、そ
の後汚染度が減少傾向を示した場合には、ステップS1
0において汚れ防止剤の基本濃度設定値を減少させるよ
うに段階的に補正される。この一連の操作により汚染は
防止されるとともに、汚れ防止剤の添加量も適切に維持
されることになる。
【手続補正13】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0050
【補正方法】変更
【補正内容】
【0050】また、腐食防止剤の水中濃度は、特願平4
−209241号に示した方法で、1,1−ジヒドロキ
シエタンジホスホン酸の濃度の測定によった。また、汚
れ防止剤の濃度は、JIS K−0101に準拠して、
有効塩素濃度の測定によった。
【手続補正14】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0055
【補正方法】変更
【補正内容】
【0055】その後、汚れ防止剤の濃度が35mg/lとな
った時、汚染度は設定値未満となり、62日目には腐食
速度も10未満となり、さらに汚染度が低下(伝熱量が
増加)したので、演算装置によってその基本濃度設定値
が減少するように段階的に補正されている。62日目〜
70日目には、腐食速度も汚染度も設定値未満となり安
定している。
【手続補正15】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0056
【補正方法】変更
【補正内容】
【0056】次に、試験期間 において、試験開始後、
72日目に汚染因子であるスケールを促進させるために
塩化カルシウム(CaCl2・2H2O)を200mg/l及
び炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)を100mg/lとな
るように冷却水系に添加した。78日目に汚染度が設定
値以上となったが、腐食速度は10未満と安定している
ため、演算装置は汚れ防止剤の基本濃度設定値を、汚染
度の変動割合の度合に応じて比例的に増加させるように
段階的に補正している。その後汚れ防止剤の濃度が28
mg/lとなった時、汚染度は設定値未満となり、また、腐
食速度も設定値未満で安定した。
【手続補正16】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図4
【補正方法】変更
【補正内容】
【図4】

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 工業用冷却水系統配管の中を流れる冷却
    水の一部を連続的に採取する冷却水採取手段と、採取し
    た冷却水に含まれる水処理薬剤の濃度を測定する薬剤濃
    度測定手段と、冷却水が接触する配管の腐食速度を測定
    する腐食速度測定手段と、冷却水の汚染度を測定する汚
    染度測定手段と、薬剤濃度と腐食速度と汚染度の測定値
    とこの各測定値に対応するあらかじめ設定された基準設
    定値との比較演算を行う演算手段と、演算手段の結果か
    ら汚染と腐食の進行状況と水処理薬剤の添加量の増減を
    判定する薬剤添加量判定手段と、前記判定結果に基づき
    薬剤濃度設定値を補正する薬剤濃度設定値補正手段と、
    所定の薬剤濃度設定値に一致するように水処理薬剤の添
    加量を調節する薬剤濃度調節手段とからなる工業用冷却
    水系統の障害防止管理システム。
  2. 【請求項2】 前記薬剤濃度測定手段が、冷却水に含ま
    れる水処理薬剤の分解用試薬及び発色試薬の添加手段、
    水処理薬剤を分解する紫外線照射手段、及び吸光度測定
    手段からなることを特徴とする請求項1記載の工業用冷
    却水系統の障害防止管理システム。
  3. 【請求項3】 前記腐食速度測定手段が、冷却水と接触
    する測定対象の配管と実質的に同一材質の円筒状パイプ
    からなる試料極、このパイプの液体と接触する側の長手
    方向に平行に近傍する位置に設けられた導電性材料から
    なる照合極、及びこの試料極と照合極と非接触で任意の
    位置に設けられた導電性材料からなる対照極よりなり、
    これらの電極に電気的に接続された電流又は電圧印加部
    及び測定部とから構成される請求項1記載の工業用冷却
    水系統の障害防止管理システム。
  4. 【請求項4】 腐食速度の測定値のみがあらかじめ設定
    された基準設定値以上となり、腐食の進行が悪化したと
    前記薬剤添加量判定手段が判定した場合に、前記薬剤濃
    度設定値補正手段が腐食防止剤の基本濃度設定値を増加
    させる補正を行い、腐食速度及び汚染度の測定値が共に
    あらかじめ設定された基準設定値以上となり、腐食及び
    汚染の進行が悪化したと前記薬剤添加量判定手段が判定
    した場合に、前記薬剤濃度設定値補正手段が、汚染度が
    基準設定値未満となるまで汚れ防止剤の基本濃度設定値
    を増加させる補正を行い、かつ汚染度が回復してもなお
    腐食速度が基準設定値以上の場合には腐食防止剤の基本
    濃度設定値を増加させる補正を行い、汚染度の測定値の
    みがあらかじめ設定された基準設定値以上となり、汚染
    の進行が悪化したと前記薬剤添加量判定手段が判定した
    場合には、汚染度が基準設定値未満となるまで前記薬剤
    濃度設定値補正手段が汚れ防止剤の基本濃度設定値を増
    加させる補正を行い、さらに、汚染度又は腐食速度が回
    復した傾向を示した場合には、汚れ防止剤又は腐食防止
    剤の基本濃度設定値を減少させる補正を行うことを特徴
    とする工業用冷却水系統の障害防止管理システムの制御
    方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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