JP2002296268A - 水質評価方法および水質管理システム - Google Patents

水質評価方法および水質管理システム

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ボイラの腐食防止に重点を置き、ボイラおよ
びプレボイラ系統の酸素濃淡電池形成による孔食の発生
を抑制し、リアルタイムで連続的に水質評価が可能な水
質管理システムを提供する。 【解決手段】 発電プラントにおける水系配管中の水質
管理方法であって、ボイラ給水中の酸電気伝導率および
溶存酸素濃度を計測することから、下記式 Icorr=f(O2・μS) ・・・(1) 〔式中、Icorrは腐食電流、O2は溶存酸素濃度、μSは酸
電気伝導率、をそれぞれ示す。〕に従い、腐食電流Icor
rを算出し、該腐食電流とボイラおよびプレボイラ系統
の使用温度との関係より、ボイラおよびプレボイラ系統
の水質評価を行うことを特徴とする水質評価方法、並び
に、該評価方法を用いた水質管理システム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水の水質評価方法
および水質管理システムに関し、特に、発電プラントの
ボイラの腐食防止に重点を置いて評価基準を確立した、
リアルタイムで連続的に水質評価が可能な方法、および
水質管理システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】発電プラントの水系配管について、図1
を用いて説明する。通常、ボイラ給水配管15には給水
ポンプが設けてあり、運転時にはこの給水ポンプによっ
て水が節炭器に供給された後、ボイラ1に送られるよう
になっている。ボイラ内の水は、加熱されて蒸気とな
り、さらに加熱器で加熱されて蒸気タービン2へ送られ
るようになっている。
【0003】発電プラントでは、構成材料の腐食を極力
少なくする為、pH調整した純水が循環されている。そ
して復水器4では、循環してきた蒸気を元に戻すため
に、海水を内部に流通させて、温度を低下させている。
つまり、蒸気で満たされた空間に、海水を通すパイプを
流通させて、パイプの外面で蒸気を凝縮させて、冷却す
る。この復水器4は常温付近が維持されており、その循
環水が、低圧給水加熱器6付近では約150℃、高圧給
水加熱器7付近では約300℃程度に、加熱されてか
ら、ボイラー1に供給される。このように水系配管中、
液相として存在するのは、ボイラーに至るまでであり、
ボイラー1の後段では蒸気(気相)として流通する。脱
気器5では、循環水に含まれる溶存酸素を除去し、発電
プラントでは腐食原因を取り除くことが行われている。
【0004】発電プラントには、循環水の性質につい
て、種々の基準値を設けて検査が行われて、腐食を防止
するようにしている。具体的には、例えばエコノマイザ
ー入口(節炭器入口)にて溶存酸素は7ppb以下、酸
電気伝導率0.03μS/cmのように規定されている。そし
て、例えばヒドラジンを、酸素を除去するために、配管
途中で循環水に添加することも行われている。一般的
に、発電プラントの水系統の腐食を防止するためには、
溶存酸素と酸電気伝導率、不純物の量を定量する管理方
法が利用されている。ここで、酸電気伝導率は不純物を
推定するために用いられている。通常、サンプルをイオ
ン交換樹脂に通して陽イオンだけを除去して求める。こ
こでは、水中の陰イオン(Cl-やSO4 2-などの腐食に悪影
響を及ぼす成分を含む)のみを抽出し、その電気伝導率
の合計が測定される。そして実際には、プラントの運転
中にて上記の各測定を実施することになる。しかしなが
ら、運転作業時においては、各作業員が上記管理基準の
全てを満たしているか否か、常時判断するのは困難な場
合がある。
【0005】一方、従来は溶存酸素と酸電気伝導率と
は、それぞれ単独で評価されており、これらの基準値を
各々満足する値であることが要求されていたが、その要
求を満たすように運転するのは容易でない。これらの基
準は、いずれも装置内部での腐食現象を回避するために
設定されており、ボイラおよびプレボイラ水系統でのピ
ッチング(孔食)等の腐食現象が起こることを防止する
ために設定されている。
【0006】具体的には、各種ボイラプラントの水質管
理はJISの水質管理基準値に基づいて行われており、各
管理項目それぞれの測定値が全て基準値を満足している
か否かによって総合的な評価が行われている。しかしな
がら、ボイラの型式,構造等が多様化している昨今で
は、多種多様なボイラの水質管理に対応できる基本的な
評価基準が必要である。また、現在、JISで定められて
いる水質管理項目は腐食を防止するための項目、およ
び、スケール化を抑制するための項目に大別される。と
ころが、それらの評価項目をそれぞれ満足させるのは容
易でない反面、温度条件等により評価内容の許容範囲は
異なるので、腐食防止の観点からは必要以上に厳しい条
件下で運転を行う必要が生じていた。よって、使用にお
ける範囲の幅を広げ、腐食防止を監視しながら運転条件
を緩和して、より自由な運転を可能にしたいとする要望
があった。
【0007】他方、鉄の電位−pHの関係を用いて各種水
処理の防食の原理の概略は示されていても、溶存酸素濃
度,酸電気伝導率及び温度条件をパラメータとした水質
の評価方法及び基準値は、未だ十分な研究がなされてい
なかった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、上記問
題点に鑑み、ボイラの腐食防止に重点を置き、配管内の
酸素濃淡電池形成による孔食の発生を抑制可能で、多種
多様なボイラに適用できる評価基準を確立し、リアルタ
イムで連続的に水質評価が可能な水質管理システムを開
発すべく、鋭意検討した。その結果、本発明者らは、酸
電気伝導率と溶存酸素濃度との特定の関係を考慮して、
腐食電流値を推測し、この腐食電流値とプラント各部の
循環水温度から水質評価を行うことによって、かかる問
題点が解決されることを見い出した。本発明は、かかる
見地より完成されたものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、ボ
イラ内における水系配管中の水質管理方法であって、ボ
イラ給水中の酸電気伝導率と溶存酸素濃度を計測するこ
とから、下記式 Icorr=f(O2・μS) ・・・(1) 〔式中、Icorrは腐食電流、O2は溶存酸素濃度、μSは酸
電気伝導率、をそれぞれ示す。〕に従い、腐食電流Icor
rを算出し、該腐食電流とボイラ中の循環水温度の関係
より、水質評価を行うことを特徴とする水質評価方法を
提供するものである。水質評価は、防食作用を有する領
域内にあるか否かを管理する計測方法である。
【0010】また、本発明は、ボイラ内における水系配
管中の水質管理システムであって、ボイラ給水を行う水
系配管内部に酸電気伝導率計および溶存酸素計が設けら
れており、かつ、ボイラおよびプレボイラ各部の循環水
温度を計測する複数の温度計が備えられており、測定結
果である酸電気伝導率、溶存酸素濃度および配管内部の
各測定部における温度を制御演算装置に入力し、該装置
にて、下記式 Icorr=f(O2・μS) ・・・(1) 〔式中、Icorrは腐食電流、O2は溶存酸素濃度、μSは酸
電気伝導率、をそれぞれ示す。〕に従い、腐食電流値Ic
orrを算出するとともに、該制御演算装置にて、各測定
部における温度と該腐食電流値との関係から、ボイラお
よびプレボイラ各部の各測定部の水質評価を行い、その
評価結果を、表示装置を有する水質監視計器上に連続的
に表示して、水質管理することを特徴とする水質管理シ
ステムを提供するものである。このようなシステムによ
れば、リアルタイムで水質管理を行うことができる。
【0011】本発明の水質評価は、酸電気伝導率と溶存
酸素濃度を測定(計測)することにより、見かけの腐食
電流値(Icorr)を算出して、例えば図3に示すような防
食域(腐食防止領域)内に水質が存在しているか否かを
調べるものである。本発明では、酸電気伝導率と溶存酸
素には相互に因果関係があることに着目して、両者の関
係を評価に利用する。腐食電流が流れるならば、流れる
腐食電流との間で、(腐食電流)=酸素濃度/抵抗(電
気伝導率の逆数)、の関係が成立すると考えられる。こ
の関係を考慮に入れて評価を行うことによって、従来の
複数の評価項目を削減することができる。同時に、この
関係から、溶存酸素と酸電気伝導率の両者には、それぞ
れに一定の幅・許容範囲があるので、その範囲内での自
由な運転が可能になる。
【0012】ここで、腐食電流とボイラ中の水温度の関
係、あるいは、各測定部における温度と該腐食電流値と
の関係、については、ボイラの種類やボイラ内の水系配
管の種類・構造等に依存する因子が多く、一定の関係を
規定することは困難な場合が多い。但し、本発明におい
ては、少なくとも温度と腐食電流値との間にて、温度が
高くなる程、各種イオン移動速度が速くなるため、見か
けの腐食電流をより低くコントロールする。本発明によ
れば、低温から高温までの種々の温度領域、種々の運転
時間において、腐食する条件に該当するか否かの判定が
できるため、特に、腐食電位を測定困難な高温域におい
て運転条件を管理できる利点がある。
【0013】本発明で対象とするボイラの大きさやタイ
プは何ら限定されるものではなく、多くのボイラで適用
できる。例えば高温で運転されるボイラの場合、ボイラ
を含む配管内の循環水温度が上昇すれば、イオンの移動
速度が上がり腐食も早くなるので、水質条件も厳しくな
る。このようなボイラでは、少なくとも高温域での防食
域が低温域での防食域よりも狭くなり、高温になるほど
腐食し易い条件での運転となる。但し、全てのボイラが
このように高温域で運転されるものではなく、低温の状
態で運転されるもの(小型のボイラ)や、高温になって
いない起動時の運転条件もある。本発明の水質評価・管
理法では、これら種々の場合を踏まえて、腐食が進行し
ない条件での、幅広い運転条件を導き出すことが可能で
あり、自由度が高く且つ腐食しない条件での運転が可能
となる。
【0014】本発明の方法によれば、多種多様なボイラ
の水質評価が可能になり、リアルタイムで連続的な評価
が可能となる。また、従来の水処理方法(AVT・CWT・NW
T)の枠組みを取り除き、水質管理の運用が個々のボイラ
の特性に応じて可能になる。そして、起動時における水
質調整時間を大幅に短縮できる。なお、AVTとは、揮
発性物質であるアンモニアとヒドラジンを用いて、薬注
処理を行い、溶存酸素濃度を極力低く抑えて水質を管理
する方法である。CWTとは、アンモニアのみで薬注処
理を行い、酸素を注入して系統内のスケール表面にヘマ
タイト(Fe2O3)を生成させることによって、ボイラ給
水中への鉄分の溶解を抑えボイラ伝熱面のスケール成長
速度を低下させる方法である。また、ヘマタイトはマグ
ネタイトに比較して、粒径が小さく、緻密なスケールが
形成されるため、伝熱管の圧損の低下が抑制される。本
発明に係る方法を実施するための形態について説明す
る。なお、本発明は以下の実施の形態に限定されるもの
ではない。
【0015】
〔式(1')中、Icorrは腐食電流、O2は溶存酸素濃度による電位(酸化還元電位)、μSは酸電気伝導率、をそれぞれ示す。〕
【0016】通常の配管内において、腐食電流を直接測
定することは困難であるが、本発明では、上記関係式よ
り腐食電流を推定し、さらに図3の防食域を規定するた
めに、循環水の温度を考慮する。上記式(1')におい
て、(O2・μS/cm)と温度をパラメータとして、ユニ
ット起動時の水質データの一例をプロットすると、図3
のようになる。図3の斜線部の防食域については孔食は
発生しない。このような関係を明らかにすることによっ
て、基本的な評価基準が確立できるとともに、リアルタ
イムで連続的な水質評価が可能となる。
【0017】例えば図1のような発電プラントで本発明
の水質評価を行う場合、図2に示すような孔食部を模擬
したモデルを用いて、溶存酸素濃度及び酸電気伝導率を
パラメータとしてスケール付着面と金属露出面との間の
腐食電流を算出する。図3に示すように、温度によって
防食域の範囲が異なることから、各種実機ユニットにお
いては起動時及び通常運転時の水質条件をそれぞれ確認
し、循環水温度と腐食電流Icorrとの関係を明らかに
し、水質許容範囲を算出しておくことが必要である。こ
の作業は通常、制御演算装置内で行うのが好ましい。
【0018】なお、上記の腐食電流とボイラ中の循環水
温度の関係、あるいは、各測定部における温度と該腐食
電流値との関係、については、本発明の水質評価方法・
水質管理を実施する前に、以下の項目を高温ループ試験
などを行って明らかにしておくことが良い。 起動時の水質条件(数点)を長期間維持した場合の腐食
(孔食)発生の有無。 溶存酸素濃度を一定にし,酸電気伝導率を変化させた
場合の各温度における腐食発生の有無。 酸電気伝導率を一定にし,溶存酸素濃度を変化させた
場合の各温度における腐食発生の有無。 炭酸イオン及び重炭酸イオン濃度の腐食発生に対する
影響。
【0019】本発明で対象とするボイラの形態は何ら制
限されないが、例えば発電プラントのボイラには、貫流
型ボイラとドラム型ボイラの2タイプが存在する。これ
らボイラを有する発電プラントでは、従来、複数の水質
基準(AVTやCWT)によって許容される範囲が定め
られていた。しかし、ボイラの運転当初は、水質管理基
準の基準値内で運転するのは困難である一方、基準値を
超えていても、実際に腐食が起こることは少ない。特に
ドラム型ボイラを有するプラントでは、溶存酸素の基準
値を満たすのは、容易ではない。本発明の水質評価法で
は、水質の管理を少ない評価項目で確実に行うことがで
きると同時に、評価内容によって許容される範囲の幅を
広げることが可能になった。また、リアルタイムで水質
を捕捉できるので、管理工程が容易になる利点もある。
【0020】以下、発電プラントにおいての水質管理の
具体的手順について、図1に基づいて説明する。発電プ
ラントでは、原水(陸水,海水,河川水)を原水処理(塩素
注入凝集沈殿処理、濾過処理等)及び淡水化処理(RO膜処
理,MSF処理)を行い、純水製造装置(イオン交換等)にお
いて純水とした後、ボイラ1の給水として用いている。
このボイラ・給水は、プレボイラ系統、ボイラ1、ター
ビン2と順に使用されており、必要に応じて冷却塔14
からの水系統が適宜使用されると共に、それらの排水は
排水処理によりその処理がなされている。
【0021】図1に示すように発電プラント設備は、タ
ービン2からの蒸気を冷却して復水する復水器4と、該
復水器4からの復水を復水ポンプ12により電磁濾過器
16を通して供給し、該復水中の塩分を除去する脱塩装
置17と、脱塩した復水を低圧条件で加熱する低圧給水
加熱器6と、低圧加熱された水中の酸素を脱気する脱気
器5と、該脱気器5より給水ポンプ11を介して供給さ
れた給水を高圧条件で加熱する高圧給水加熱器7と、高
圧加熱水の給水を高温高圧の蒸気として、タービン2へ
供給する節炭器を備えたボイラ1とから構成されてなる
ものである。なお、原水からのボイラ・給水である純水
は、補給水タンクに貯蔵され、ここから復水器に供給し
ている。
【0022】図1のプラントには、PH計、酸電気伝導率
計(μS計)、電気伝導率計(μS計)、溶存酸素計、温度計
等の各種センサが、A,A',B,M,O点等に各々設けられてい
る。また、プラント設備の各所にはカメラが設置されて
おり、プラント設備の内部の様子を画像情報(例えば炉
内の燃焼状態等)として送り、表示装置上で監視できる
ようになっている。上記各センサでは、各種の化学分析
指標がオンラインで測定できるものであり、測定結果
は、制御演算装置に送られる。
【0023】本発明において、上記水質管理の指標とな
る酸電気伝導率および溶存酸素濃度は、以下のように定
義される。 (1)酸電気伝導率計(μS計)、電気伝導率計(μS計)によ
り測定される酸電気伝導率及び電気伝導率 上記電気伝導率は、断面積1cm2,距離1cmの相対する電極
間にある溶液がもつ電気抵抗(Ω・cm)の逆数に相当し、
s/cm(ジーメンス/センチメートル)で表す。この値は
温度により異なるため、通常25℃における値で表す。電
気伝導率は給水,ボイラ水中の水処理薬品(pH調整用)濃
度や、不純物として存在する溶解性塩類濃度の概略値を
知るため測定している。なお、溶解性不純物濃度が高い
ほど電気伝導率の値も上昇する。また、揮発性物質処理
時の水処理薬品以外の微量の溶解性塩類濃度の概略値を
知るために、水素型強酸性陽イオン交換樹脂(通常カチ
オン樹脂という)を充填したカラムを通水後電気伝導率
(酸電気伝導率)を測定している。電気伝導率は、溶液中
の解離イオン、例えばNaC1水溶液(塩水)ではNa+とC1-
び水のH+と0H-が関与し、その濃度が値を決定する。酸
電気伝導率は主に復水器細管からの海水漏洩の監視に使
用される。これは、酸電気伝導率の方が電気伝導率に比
較し、より高感度に復水、給水中の塩類の存在を検出す
ることができるためである。
【0024】(2)上記溶存酸素計により測定される溶存
酸素濃度 水中の溶存酸素は、ボイラプラントの水側の金属材料を
腐食させる主な不純物である。溶存酸素による腐食は、
孔食の形態で生じることが多い。一般に、腐食反応は、
電気化学的に生じる。給水のpHが中性またはアルカリ性
であっても水中に溶存酸素が存在すると以下のような反
応が生じる。 Fe+H20+1/202 → Fe(0H)2 ・・・(2) 式(2)から分かるように鋼面から水中に溶出した水酸化
鉄(II)は、さらに水中に溶存酸素によって、式(3)に示
すように酸化され水酸化鉄(III)になる。 2Fe(0H)2+H20+1/202 → 2Fe(0H)3 ・・・(3) この水酸化鉄(III)は、水酸化鉄(II)より水に対する溶
解度は小さい。水中の電解質の濃度を極めて低くし、溶
存酸素の濃度が0.2mg0/L(200ppb)以下になるように調節
した場合には、鉄鋼面上に水酸化鉄(III)の不溶性の酸
化皮膜が形成され、その後の腐食の進行が抑制される。
このような考え方に基づいた処理方法が酸素処理(1.3水
処理の種類参照)方式である。また、銅合金に対しては
アンモニアが共存すると式(4)に示すような腐食を生じ
る。 Cu+1/202+4NH3+H20 → [Cu(NH3)4](0H)2 ・・・(4) 酸素の水に対する溶解度は温度及び圧力によって異な
る。同じ圧力ならば高温になればなるほど溶解度は減少
する。
【0025】
【発明の効果】本発明の方法によれば、多種多様なボイ
ラの水質評価が可能になり、またリアルタイムで連続的
な評価が可能となる。また、従来の水処理方法(AVT・CW
T・NWT)の枠組みを取り除き、個々のボイラの特性に応
じた水質管理が可能になる。さらに、起動時における溶
存酸素濃度低減等の水質調整の時間を大幅に短縮可能で
あり、従来より作業効率も向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の水質管理システムを好適に用いること
ができる、ボイラを有する発電プラントの一例に示す構
成図である。
【図2】配管中における孔食発生の概念を模式的に表す
図である。
【図3】腐食電流値(O2×μS)と温度の関係の一例をプ
ロットしたグラフである。
【符号の説明】 1 ボイラ 2 蒸気タービン 3 発電器 4 復水器 5 脱気器 6 低圧給水加熱器 7 高圧給水加熱器 8 空気予熱器 9 集塵器 10 煙突 11、12 給水ポンプ、復水ポンプ 13 循環水ポンプ 14 冷却塔 15 ボイラ給水管 16 電磁ろ過器 17 脱塩装置 20 酸化鉄層 21 Fe(OH)2 23 金属体の鋼
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 馬渡 憲次 長崎県長崎市深堀町五丁目717番1号 三 菱重工業株式会社長崎研究所内 (72)発明者 坂西 彰博 長崎県長崎市深堀町五丁目717番1号 三 菱重工業株式会社長崎研究所内 Fターム(参考) 2G060 AA06 AC05 AD04 AE28 AF08 HD01

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ボイラプラント内における水系統の水質
    管理方法であって、ボイラ給水中の酸電気伝導率および
    溶存酸素濃度を計測し、下記(1)式 Icorr=f(O2・μS) ・・・(1) 〔式中、Icorrは腐食電流、O2は溶存酸素濃度、 μSは酸電気伝導率、をそれぞれ示す。〕に従い、腐食
    電流値を算出し、該腐食電流値と循環水温度との関係よ
    り、系統内の水質評価を行うことを特徴とする水質評価
    方法。
  2. 【請求項2】 ボイラ内における水系配管中の水質管理
    システムであって、ボイラ給水系配管内部に酸電気伝導
    率計および溶存酸素計が設けられており、かつ、ボイラ
    およびプレボイラ各部の循環水温度を計測する複数の温
    度計が備えられており、 測定結果である酸電気伝導率、溶存酸素濃度および配管
    内部の各測定部における温度を制御演算装置に入力し、
    該装置にて、下記(1)式 Icorr=f(O2・μS) ・・・(1) 〔式中、Icorrは腐食電流、O2は溶存酸素濃度、 μSは酸電気伝導率、をそれぞれ示す。〕に従い、腐食
    電流値を算出するとともに、 該制御演算装置にて、各測定部における温度と該腐食電
    流値との関係から、ボイラおよびプレボイラ各部の各測
    定部の水質評価を行い、その評価結果を、表示装置を有
    する水質監視計器上に連続的に表示して、水質管理する
    ことを特徴とする水質管理システム。
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