JP3563871B2 - 処理液の濃度管理方法及びその装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、銅コイル,真鍮コイル等の伸銅製品に防錆処理を施す場合等において、防錆処理液等の濃度を適正に維持,管理させておくための濃度管理方法とこれを実施するための濃度管理装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば、銅コイル,真鍮コイル等の伸銅製品については、一般に、ベンゾトリアゾール等を主成分とする防錆処理液に浸漬させることにより、防錆処理を施しておくことが行なわれている。而して、良好な防錆処理を施すためには、処理槽における処理液の濃度を処理条件に応じた適正濃度に維持,管理しておく必要がある。すなわち、処理液の濃度は浸漬処理の進行に伴って低下していくため、それが適正濃度より低くなったときは、防錆剤原液である処理液濃度調整液を処理槽に補給してやる必要がある。
【0003】
ところで、処理液濃度調整液の補給時期及び補給量を防錆処理液を適正濃度に維持すべく的確に判断,決定することは、作業者が経験の少ない未熟練者である場合には勿論、かなりの経験を積んだ熟練者であっても、極めて困難である。
【0004】
一方、防錆処理は、防錆処理液の性質上、高温,高濃度条件下で行われる。例えば、防錆処理は、一般に、処理液温度を60℃以上(コイルスピード等の処理条件によっては80℃以上)で行なわれる。また、処理液濃度は、伸銅製品の材質等を含めた処理条件によって多少異なるが、一般に、銅系製品の防錆処理においては0.8%程度であり、黄銅系製品では0.5%程度である。しかし、このような高温,高濃度条件下で、防錆処理液の濃度を直接且つ正確に測定,検出できる濃度検出器は、現在のところ、市販されていない。
【0005】
そこで、従来にあっては、作業者が処理液濃度調整液の補給時期及び補給量を経験的に判断,決定して、処理液濃度調整液の補給を人為的に行なうように、つまり防錆処理液の濃度管理を人為的に行うようにしているのが実情である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、どうしても、防錆処理液を一定の適正濃度に維持,管理しておくことができず、濃度が大きく変動して、良好な防錆処理を行い得ないでいたのが実情であり、種々の問題が生じていた。例えば、処理液濃度調整液を補給する必要がないにも拘らず補給を行ったり、処理液濃度調整液を必要以上に補給したために、防錆処理液が適正濃度より高濃度となると、液中での粘着物質の発生が著しくなるため、製品表面を汚染する他、浸漬処理槽を出た製品が絞りロールを通過する際に処理液残滓が絞りロールに付着して、製品表面に変色(まだらな変色)を生じさせる原因となる。更には、後工程であるスキンパス工程においてスキンパス圧延ロールに曇り生じて、それが製品表面に転写される結果、製品の光沢不良を起こす原因ともなる。逆に、処理液濃度調整液の補給時期が遅れたり、補給量不足のため、適正濃度に達しない低濃度となっているときは、当然に良好な防錆処理を施し得ず、製品が変色する虞れがある。また、防錆処理液には、製品表面同士の接触による表面損傷を防止するために、一般に潤滑剤成分が含有されているが、防錆処理不良の製品については、後工程において製品同士が接触した場合、製品表面が擦れ合って疵を生じる虞れがある。そして、このような潤滑不足の製品は、防錆処理膜除去を行った上で、防錆処理を再度施す必要がある。
【0007】
このような処理液の濃度管理を適正に行い得ないといった問題は、浸漬法による防錆処理のみならず、市販の濃度検出器を使用できない高温,高濃度条件下で行われる処理一般に指摘されていることであり、その解決が強く要請されているのが実情である。
【0008】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたもので、防錆処理等における処理液の濃度管理を適正且つ自動的に行うことができる方法を提供すると共に、この方法を好適に実施することができる装置を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
この課題を解決した本発明の濃度管理方法は、所定の高温度に維持した状態で処理液を収容する処理槽から当該処理液の一部を、常時、サンプリング液として取出し、取り出されたサンプリング液を一定割合で希釈化させると共に低温化させた上で、そのサンプリング液の濃度を濃度検出器により常時検出し、その検出濃度に基づいて、処理槽への処理液濃度調整液の補給を制御することによって、処理槽における処理液の濃度を設定濃度に維持,管理するようにしたものである。
【0010】
また、かかる方法を実施するための本発明の濃度管理装置は、所定の高温度に維持した状態で処理液を収容する処理槽から当該処理液の一部を、常時、サンプリング液として取出すサンプリング液抽出装置と、処理槽に処理液濃度調整液を補給する濃度調整液補給装置と、サンプリング液抽出装置により取り出されたサンプリング液を、これに希釈水を混入させることにより、一定割合で希釈化させると共に一定温度以下に冷却させる濃度検出用前処理装置と、濃度検出用前処理装置により希釈化且つ低温化されたサンプリング液の濃度を濃度検出器により検出する濃度検出装置と、濃度検出器により検出されたサンプリング液濃度に基づいて、濃度調整液補給装置による処理液濃度調整液の補給量を、処理槽内の処理液濃度を設定濃度に維持すべく、制御する制御装置と、を具備するものである。かかる装置にあっては、サンプリング液抽出装置が、処理槽内の処理液の一部を当該槽外に設けた浄化フィルタを通過して処理槽に循環させる浄化循環路を具備しており、この浄化循環路における浄化フィルタの下流側を流動する浄化済処理液の一部をサンプリング液として取り出すように構成されたものであることが好ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図1に基づいて具体的に説明する。
【0012】
この実施の形態は、本発明を銅コイル等の銅系伸銅製品の防錆処理システムに適用した例に関するものである。すなわち、図1に示す如く、銅コイル等の銅系伸銅製品1は、処理槽2内を一定速度で通過して、処理槽2に収容された防錆剤たる処理液3中に浸漬されることにより、所定の防錆処理(製品1の変色防止処理)を施されるが、かかる防錆処理システムにおいては、処理槽2における防錆処理液3の濃度管理が本発明に従って次のように行なわれる。ところで、処理槽2には、周知のように、処理液3を防錆処理に最適な温度条件(この例では約80℃)に維持,管理する温度管理装置(図示せず)が付設されている。また、処理液3としてはベンゾトリアゾールを主成分とする防錆剤であって、適宜の潤滑成分を含有させたものが使用されているが、銅系伸銅製品1をかかる処理液3に浸漬させることにより冒頭で述べた如き問題を生じることなく防錆処理するためには、処理槽2における処理液3を処理条件に応じた適正な濃度(以下「適正濃度」という)に維持,管理しておく必要がある。この例では、適正濃度を約0.8%に設定してある。
【0013】
本発明に係る濃度管理装置4は、図1に示す如く、サンプリング液抽出装置5と濃度調整液補給装置6と濃度検出用前処理装置7と濃度検出装置8と制御装置9とを具備してなる。
【0014】
サンプリング液抽出装置5は、図1に示す如く、処理槽2に接続された浄化循環路10と、浄化循環路10に設けた循環ポンプ11及びその下流側に配した浄化フィルタ12と、浄化循環路10に分岐接続されたサンプリング液抽出路13と、サンプリング液抽出路10に設けたサンプリング液抽出ポンプ14とを具備してなる。而して、浄化循環路10は、循環ポンプ11を常時駆動させることにより、処理槽2内の処理液3の一部3aを浄化フィルタ12により浄化した上で処理槽2に循環させて、処理槽2内における処理液3の浄化(例えば、防錆処理中に発生するスカムの除去等)を行なう。サンプリング液抽出路13は、浄化循環路10における浄化フィルタ12の下流側部分に接続されていて、サンプリング液抽出ポンプ14を常時駆動させることにより、浄化フィルタ12によって浄化された清浄処理液3aの一部をサンプリング液3bとして取り出すようになっている。なお、サンプリング液抽出ポンプ14は、予め設定された一定量のサンプリング液3bを浄化循環路10からサンプリング液抽出路13に取り出す定量ポンプである。
【0015】
濃度調整液補給装置6は、図1に示す如く、処理液濃度調整液である防錆剤原液3´を貯蔵する原液槽15と、原液槽15から処理槽2に導いた補給路16と、補給路16に設けた定量ポンプである補給ポンプ17とを具備してなり、補給ポンプ17を駆動させることにより所定量の防錆剤原液3´を処理槽2に補給するようになっている。
【0016】
濃度検出用前処理装置7は、図1に示す如く、サンプリング液抽出路13の末端部分である希釈サンプリング液導入部分13aを底部に導いた前処理槽18と、サンプリング液抽出路13におけるサンプリング液抽出ポンプ14の下流側適所である希釈サンプリング液導入部分13aの上流端に分岐接続された希釈水導入路19と、希釈水導入路19に設けた希釈水導入ポンプ20とを具備してなる。希釈水導入路19は、希釈水導入ポンプ20を常時駆動させることにより、蒸留水タンク,水道等の適宜の給水源21から一定量の希釈水21aをサンプリング液抽出路13内のサンプリング液3bに混入させる。希釈水21aとしては、サンプリング液3bより低温の蒸留水,上水,工水等を任意に使用できるが、この例では工水を使用している。したがって、前処理槽18には、常時、希釈水21aの混入によって一定割合で希釈化され且つ一定温度範囲に低温化(冷却)されたサンプリング液(以下「希釈サンプリング液」という)3cが希釈サンプリング液導入部分13aから導入されることになる。ところで、希釈水導入ポンプ20は、サンプリング液3bへの混入水量を任意に設定できる定量ポンプであるが、その混入水量は、希釈サンプリング液3cの濃度及び温度が後述する濃度検出器22の使用条件を満足するように、サンプリング液抽出ポンプ14によって設定されたサンプリング液抽出量との関係において、適宜に設定される。なお、前処理槽18には溢流部18aが設けられていて、希釈サンプリング液導入部分13aからの新たな希釈サンプリング液3cの導入により余剰となった希釈サンプリング液3cを前処理槽18外に溢流排出させるようになっている。
【0017】
濃度検出装置8は、図1に示す如く、分析部に導入されてくる希釈サンプリング液3cの濃度を常時検出する濃度検出器22と、希釈サンプリング液3cを前処理槽18の底部から濃度検出器22の分析部へと導入する被検出試料導入路23と、濃度検出器22の分析部に導入された希釈サンプリング液3cを排出する検出済試料排出路24とを具備してなる。濃度検出器22としては、処理液3の主成分(ベンゾトリアゾール)を検出できる市販の光電濃度計等を任意に使用できるが、この例では、濃度分析を紫外線吸光光度法により常時継続的に行なうことができる市販の光電濃度計を使用している。なお、この光電濃度計(濃度検出器22)の使用条件つまり適正な濃度検出を行いうる被検出試料の温度,濃度範囲は、温度:2〜40℃,濃度:0〜0.1%であり、この範囲を超える条件の被検出試料については適正な濃度検出を行ない得ない。
【0018】
希釈水導入ポンプ20による希釈水21aの混入量は、サンプリング液抽出ポンプ14によるサンプリング液3bの抽出量との関係において、前処理槽18に導入される希釈サンプリング液3cつまり濃度検出器22の分析部に導入される被検出試料の温度及び濃度が上記使用条件の範囲となるように設定されている(以下、このように設定された量の希釈水を混入させることによるサンプリング液3bの希釈率を「設定希釈率」という)。設定希釈率は、処理槽2における処理液3の温度,濃度と濃度検出器22の使用条件(被検出試料の温度,濃度範囲)とを比較考量して、一定の値に設定される。この例では、設定希釈率を9.1%(サンプリング液3bをその10倍の量の希釈水21aで希釈させる)に設定して、希釈サンプリング液3cの濃度及び温度が、サンプリング液3bの濃度,温度に拘わらず、常に、2〜40℃,0〜0.1%の範囲に入るように図っている。例えば、80℃のサンプリング液3bは、これを上記した設定希釈率で希釈させると、約20℃にまで降温されることになる。
【0019】
制御装置9は、図1に示す如く、濃度検出器22による検出濃度に基づいて、濃度調整液補給装置6を制御するものである。すなわち、制御装置9は、適正濃度の処理液を上記希釈水21aにより設定希釈率で希釈させた場合における濃度(以下「適正希釈濃度」という)と濃度検出器22による検出濃度とを比較して、検出濃度が適正希釈濃度より低いときには、補給ポンプ17を駆動制御して、防錆剤原液3´を処理槽2に補給する。そして、検出濃度が適正希釈濃度に達すると、補強ポンプ17を停止制御して、防錆剤原液3´の補給を停止する。
【0020】
而して、本発明の方法は、以上のように構成された濃度管理装置4を使用して、次のように実施される。
【0021】
すなわち、処理槽2からは、常時、処理液3の一部がサンプリング液3bとして抽出され、希釈水21aの混入により、一定の設定希釈率で希釈され且つ低温化された上で、前処理槽18から濃度検出器22の分析部へと導入される。すなわち、濃度検出器22の分析部には、濃度検出器22の使用条件を満足する低濃度且つ低温の希釈サンプリング液3cが導入されることになる。したがって、希釈サンプリング液3cの濃度は濃度検出器22により正確に検出されることになる。
【0022】
そして、濃度調整液補給装置6による防錆剤原液3´の処理槽2への補給時期,補給量が、濃度検出器22による検出濃度に基づいて、自動制御される。すなわち、制御装置9が、適正濃度の処理液を希釈水21aにより設定希釈率で希釈させた場合における濃度である適正希釈濃度と濃度検出器22による検出濃度とを比較して、検出濃度が適正希釈濃度より低いときにおいてのみ、補給ポンプ17を駆動制御する。そして、防錆剤原液3´の処理槽2への補給により、検出濃度が適正希釈濃度に達すると、補強ポンプ17を停止制御して、防錆剤原液3´の補給を停止する。つまり、濃度検出器22による検出濃度が適正希釈濃度となるように、防錆剤原液3´の処理槽2への補給を制御するのである。
【0023】
ところで、希釈サンプリング液3cは処理槽2から抽出されたサンプリング液3bを希釈水21aにより一定の設定希釈率で希釈したものであるから、濃度検出器22により検出される希釈サンプリング液3cの濃度は、常に、サンプリング液3aの濃度つまり処理槽2における処理液3の濃度と一定の比例関係にある。
【0024】
したがって、処理槽2からサンプリング液3bを常時抽出して、これを希釈した希釈サンプリング液3cの濃度を検出することにより、当該処理液3の濃度変動をリアルタイムで正確に把握することができ、濃度調整液補給装置6による処理槽2への防錆原液3´の補給を、濃度検出器22による検出濃度が適正希釈濃度となるように制御することにより、処理槽2における処理液3の濃度を常に適正濃度に維持させることができる。その結果、防錆処理を冒頭で述べた如き問題を生じることなく、適正且つ良好に行うことができる。
【0025】
また、上記した例では、処理槽2内の処理液3の一部3aを浄化フィルタ12により浄化させつつ循環させるようにしているから、処理槽2内の処理液3をスカム等により汚染されない清浄液に維持させておくことができ、防錆処理をより良好に行うことができる。しかも、浄化フィルタ12により浄化された清浄処理液3aの一部をサンプリリング液3bとして抽出するようにしているため、濃度検出器22の分析部にはスカム等の異物が含有されない清浄な希釈サンプリング液3cが導入されることになり、その濃度検出もより正確に行われることになる。
【0026】
なお、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の基本原理を逸脱しない範囲において、適宜に改良,変更することができる。
【0027】
例えば、防錆処理は、上記した如く伸銅製品を処理液中に浸漬させる浸漬法による他、処理槽内において銅製品の表面に防錆処理液を噴射させるスプレー法,シャワー法によっても行なわれるが、図2に示す如く、本発明はこのような防錆処理にも当然に適用することができる。
【0028】
すなわち、図2に示す防錆処理システムにあっては、銅コイル等の伸銅製品1が処理槽2´内を水平に通過するようになっており、処理槽2´内における製品通過経路の上下には、送液路26を介して処理槽2´の処理液溜に接続されたノズル体25,25が配設されている。そして、送液路26に設けた送液ポンプ27を駆動させて、処理槽2´内の処理液3をノズル体25,25から銅製品1の表面に噴射させることにより、浸漬法によると同様に、銅製品1に防錆処理を施すようになっている。処理槽2´内の処理液3はノズル体25,送液路26,送液ポンプ27を介して循環されることになる。而して、かかるシステムにおいても、図2に示す如く、濃度管理装置4の構成は図1に示すものと同一とされており、上記した例におけると同様の良好且つ適正な濃度管理を行なうことができることは勿論である。なお、濃度管理装置4の構成は上記したと同一であるから、図1に示すものと同一の構成部材については、図2において同一の符号を付して、その詳細は省略する。
【0029】
また、希釈水導入路19をサンプリング液抽出路13に接続させず前処理槽18の底部に導くことによって、サンプリング液3bと希釈水21aとの混合を前処理槽18において行うようにしてもよい。また、前処理槽18を廃して、希釈サンプリング液導入部分13aを直接濃度検出器22の分析部に導くようにしてもよい。
【0030】
また、希釈水21aの混入によっては、希釈サンプリング液3cを濃度検出器22の使用温度まで冷却し難い場合には、処理槽2から濃度検出器22に至るサンプリング液流路の適所に熱交換器等の格別の冷却手段を設けるようにしてもよい。また、サンプリング液3bを希釈させる流体は、蒸留水,上水,工水等の希釈水21aに限定されるものではなく、濃度検出器22による濃度検出に影響しないものであることを条件として、サンプリング液3bつまり処理液3の性状等に応じて適宜に選択することができる。例えば、処理液3が溶剤によってのみ希釈できるものである場合には、サンプリング液3bに溶剤を混入して希釈を行なう。但し、使用できる溶剤に濃度検出器22との関係で制限があることはいうまでもない(例えば、分析機が測定している紫外線吸収ピーク位置又は可視光線吸収ピーク位置に、濃度測定しようとする溶質が吸収ピークをもち、且つ希釈する溶剤(溶媒)が当該ピークより大きい吸収ピークをもたないものであることが必要である)。また、かかる場合、溶剤の混入,希釈によってはサンプリング液3bを所定温度に冷却することができないときは、上記した如く格別の冷却手段により冷却させるようにすればよい。
【0031】
また、給水源21の圧力変動等によりポンプ14,20からの吐出量を一定に維持することが困難であり、そのため一定の希釈率(設定希釈率)で希釈した希釈サンプリング液3cを得難い場合には、各ポンプ14,20の吐出側に各々流量調整弁を設けて、一定の希釈率を得るようにすることが可能である。勿論、ポンプ14,20を廃しても、サンプリング液3b及び希釈水21aを流動,混入させるに充分な圧力が得られる場合には、ポンプ14,20に代えて流量調整弁を使用して、希釈サンプリング液3cを得るようにすることもできる。
【0032】
また、循環路10を廃して、サンプリング液3bを処理槽2から直接取り出すようにすることも可能である。但し、サンプリング液3bに濃度検出器22による適正な濃度検出を妨げるような異物が混入する虞れがある場合には、サンプリング液抽出路13に適宜のフィルタを設けておくことが好ましい。また、図2に示す如く、処理槽2´内の処理液3をノズル体25,送液路26,送液ポンプ27により循環させるような処理手段を採用するシステムにあっては、送液路26を循環路10として代替させること、つまり循環路10を廃して、送液路26の適所からサンプリング液3bを抽出するようにすることも可能である。この場合、送液26には、循環路10におけると同様に、浄化フィルタ12を設けておくことが可能である。
【0033】
また、濃度検出装置8は、濃度検出器22による検出濃度を、設定希釈率で除した値に補正して、つまり希釈される前のサンプリング液3aの濃度である真正濃度に補正して、その真正濃度を制御装置に入力させるようにしてもよい。すなわち、上記した例では、検出濃度(希釈サンプリング液3cの濃度)と適正希釈濃度との比較により処理液濃度調整液たる防錆剤原液3´の補給制御を行うようにしたが、この検出濃度を希釈前のサンプリング液濃度に補正換算して、この換算濃度と適正濃度との比較により上記補給制御を行うようにしてもよい。この場合、換算濃度を適宜の表示器により表示させるようにすれば、作業者が処理液3の濃度をリアルタイムで直接的に把握することができ、防錆処理作業上便利である。さらに、換算濃度をデータ出力するようにすれば、防錆処理に何らかの不具合が生じた場合にもロット追跡を容易に行うことができ、防錆処理条件の適正化等を効果的に図ることができる。
【0034】
また、本発明は、上記した銅コイル等の伸銅製品を防錆処理する場合における処理液の濃度管理のみならず、濃度検出器の使用条件(温度,濃度)上、処理槽2内の処理液濃度を直接に検出,測定し得ない場合であって、処理液濃度を一定範囲に維持,管理しておく必要がある、あらゆる浸漬処理において、上記同様に適用することができる。例えば、処理槽2,2´における処理液濃度が処理の進行に伴って(高温処理による溶剤蒸発等により)上昇し、処理液濃度を適正に維持させるために、溶剤を処理液濃度調整液として処理槽2に補給してやる必要がある場合等においても、本発明を適用することができる。
【0035】
【発明の効果】
以上の説明から容易に理解されるように、請求項1及び請求項2の発明によれば、処理槽内における処理液の温度,濃度が市販の濃度検出器の使用条件から逸脱している場合においても、当該濃度検出器により処理液濃度の変動をリアルタイムで正確に把握することができ、処理液濃度を適正範囲に確実に維持,管理しておくことができる。したがって、伸銅製品の防錆処理等の処理を良好且つ適正に行うことができ、高品質の処理製品を効率良く経済的に得ることができる。
【0036】
さらに、請求項3の発明によれば、処理槽内の処理液及び濃度検出器の被検出液たるサンプリング液を清浄なものとでき、浸漬処理等の処理をより良好に行うことができると共に、濃度検出器による濃度検出及びこれによる濃度管理の信頼性をより高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る処理液の濃度管理装置の一例を示す系統図である。
【図2】その変形例を示す系統図である。
【符号の説明】
1…伸銅製品、2,2´…処理槽、3…処理液、3´…防錆剤原液(処理液濃度調整液)、3a…清浄処理液、3b…サンプリング液、3c…希釈サンプリング液(希釈化且つ低温化されたサンプリング液)、4…濃度管理装置、5…サンプリング液抽出装置、6…濃度調整液補給装置、7…濃度検出用前処理装置、8…濃度検出装置、9…制御装置、10…浄化循環路、12…浄化フィルタ、22…濃度検出器。
Claims (3)
- 所定の高温度に維持した状態で処理液を収容する処理槽から当該処理液の一部を、常時、サンプリング液として取出し、
取り出されたサンプリング液を一定割合で希釈化させると共に低温化させた上で、そのサンプリング液の濃度を濃度検出器により常時検出し、
その検出濃度に基づいて、処理槽への処理液濃度調整液の補給を制御することによって、処理槽における処理液の濃度を設定濃度に維持,管理するようにしたことを特徴とする、処理液の濃度管理方法。 - 所定の高温度に維持した状態で処理液を収容する処理槽から当該処理液の一部を、常時、サンプリング液として取出すサンプリング液抽出装置と、
処理槽に処理液濃度調整液を補給する濃度調整液補給装置と、
サンプリング液抽出装置により取り出されたサンプリング液を、これに希釈水を混入させることにより、一定割合で希釈化させると共に一定温度以下に冷却させる濃度検出用前処理装置と、
濃度検出用前処理装置により希釈化且つ低温化されたサンプリング液の濃度を濃度検出器により検出する濃度検出装置と、
濃度検出器により検出されたサンプリング液濃度に基づいて、濃度調整液補給装置による処理液濃度調整液の補給量を、処理槽内の処理液濃度を設定濃度に維持すべく、制御する制御装置と、
を具備することを特徴とする、処理液の濃度管理装置。 - サンプリング液抽出装置が、処理槽内の処理液の一部を当該槽外に設けた浄化フィルタを通過して処理槽に循環させる浄化循環路を具備しており、この浄化循環路における浄化フィルタの下流側を流動する清浄処理液の一部をサンプリング液として取り出すように構成されたものであることを特徴とする、請求項2に記載する処理槽における処理液の濃度管理装置。
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JP7188190B2 (ja) * | 2019-02-28 | 2022-12-13 | 栗田工業株式会社 | 水系の防食方法及び水系システム |
-
1996
- 1996-05-13 JP JP11719796A patent/JP3563871B2/ja not_active Expired - Lifetime
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JPH09304247A (ja) | 1997-11-28 |
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