JPH0930387A - ブレーキ制御アクチュエータ、及びブレーキ制御システム - Google Patents

ブレーキ制御アクチュエータ、及びブレーキ制御システム

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JPH0930387A
JPH0930387A JP18277095A JP18277095A JPH0930387A JP H0930387 A JPH0930387 A JP H0930387A JP 18277095 A JP18277095 A JP 18277095A JP 18277095 A JP18277095 A JP 18277095A JP H0930387 A JPH0930387 A JP H0930387A
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JP
Japan
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control
pressure
cam
piston
cylinder
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Application number
JP18277095A
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English (en)
Inventor
Masahiro Tsukamoto
雅裕 塚本
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Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 小型、安価な構造でABS機能の他、M/C
圧以上の圧力へブレーキ増圧制御も可能なアクチュエー
タ、及びブレーキ制御システムを提供する。 【構成】 M/CとW/C間を遮断する開閉制御可能な
電磁弁構成のカット弁14を有し、モータ17aで駆動
される端面カム部18のカム面をカムフォロア19cを
介して倣い動作するロッド部19と共に変位するピスト
ン部16のシリンダ15a内に、その容積の拡大方向に
ピストンを付勢するスプリング15cを持つ。増圧制御
は、非制御状態でまず該モータを減圧方向に回転させ、
該スプリングの力でピストンが容積拡張方向に押されて
ブレーキ液が吸い込まれた後、該カット弁を閉じ、その
後該モータでピストン駆動し液を圧縮して行える。AB
S制御に加え、トラクション制御、定速走行装置等での
ブレーキ増圧制御が、ABSアクチュエータに液吸い込
み動作を加えて簡単に実現される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両で使用され
る、流体圧アクチュエータ、特に改良されたブレーキ制
御アクチュエータに関し、及び該アクチュエータを用い
たブレーキ制御システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】車両のブレーキ圧制御において、ブレー
キ液路に臨んで位置させたピストンを端面カムを介し、
及び一方向しか回転しないカムフォロアを用いて変位さ
せることで、制動時車輪ロック回避のアンチスキッド制
御(ABS)機能を実現させるようにした、アクチュエ
ータは、先に特願平5−229525号(特開平7−6
1338号公報(文献1))により、本出願人によって
提案されている。また、特願平5−81529号(特開
平6−270781号公報(文献2))により、ボール
ねじを用いてモータトルクを推力に変換しピストンを駆
動するが、通常のブレーキ操作でピストンが後退しない
ように与圧をかけたばねを設け、またピストンは前進・
後退どちらもできるように構成されている増減圧可能な
圧力制御アクチュエータとシステムの技術を、提案して
いる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記文献1の提案によ
れば、従前の特開平2−296565公報に記載の如く
のアクチュエータに比しても、構造、性能に優れたAB
S制御用アクチュエータを提供できるが、これは、専ら
制動時の減圧専用のABSアクチュエータであり、マス
ターシリンダ圧以上の圧力に制御することはできない。
従って、トラクション制御や定速走行装置などでブレー
キをかける制御を行う用途にまで使用し得るといたよう
な機能までは有してはいない。
【0004】他方、文献2によると増減圧可能なアクチ
ュエータを実現でき、このものでは、能力的にはフルブ
レーキ状態からこれを圧0までの減圧、及び圧0からフ
ルブレーキまで増圧することが可能である。しかし、通
常のブレーキペダル踏み込み操作においてピストンが後
退しないように設けているばねが、フルブレーキの大荷
重まで支える必要があるため非常に大きなアクチュエー
タとなってしまう。また、ピストンを押し引きする関係
でボールねじを用いており、結果、この点でもコストの
高いものとなり、特に、車両の4輪それぞれにアクチュ
エータを配するシステムとするとき、低コスト化などを
図りにくいものとなる。
【0005】一方また、かかるアクチュエータ及びシス
テムは、マスターシリンダ圧以上の圧への増圧を必要と
するブレーキ制御を達成しようとする場合、次のような
面に着目すると、場合によっては、オーバースペックで
あるともいえる点を見い出したものである。即ち、トラ
クション制御や定速走行装置のブレーキ制御では、増圧
制御でも、フルブレーキまでかけて制御をするといった
必要はほとんどないため、それ故に、こうした観点から
考察すれば、このものは能力的にはオーバースペックで
ある。これらのことから、増圧制御をすることは可能で
あるものの、文献2のアクチュエータでは必要以上の能
力を持つとともに、装置構成が大きくコストも高いもの
となってしまう。
【0006】本発明は、コスト高で大きなアクチュエー
タ構造となるのを避けつつ、ABS機能のほかマスター
シリンダ圧以上の圧力へのブレーキ増圧制御も行える、
改良されたブレーキ制御アクチュエータを実現しようと
いうものである。他の目的は、かかるアクチュエータに
更に改善を加え、摺動摩擦の発生等を抑えられ、使用モ
ータの小型化等も図れ、摺動摩擦減少、耐久性向上、装
置の一層の小型化等に効果的な、更に改良されたアクチ
ュエータを提供することである。また、他の目的は、本
発明アクチュエータを組み合わせて、ABS制御に加え
てトラクション制御や定速走行装置などの増圧を必要と
するブレーキ制御にも対応できるブレーキ制御システム
を実現しようというものである。更にまた、他の目的
は、その増圧制御に際し、動作遅れを防止し得て正確な
制御を実現することのできるブレーキ制御システムを提
供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明によって、下記の
ブレーキ制御アクチュエータ、及びこれを用いたブレー
キ制御システムが提供される。本発明ブレーキ制御アク
チュエータは、車輪のホイールシリンダ(3)に作動液
を導く系に介挿して用いられ、かつ、下記のカム(1
8,28)及びカムフォロア(19c,29c)の組合
せを有して構成されるアクチュエータ(10,10′)
であって、車両のブレーキマスターシリンダ(1c)と
前記ホイールシリンダの間の作動液通路を遮断する、開
閉制御可能な電磁弁(14)と、斯く遮断されるホイー
ルシリンダ側の容積を変化させる容積変化手段とを備
え、該容積変化手段は、モータ(17a,27a)によ
り駆動されるカム(18,28)と、該カムの面をカム
フォロア(19c,29c)を介し倣い動作することで
直進駆動される軸部材(19,29)と、該軸部材に当
接する容積可変制御用のピストン(16)と、該ピスト
ンを内蔵するシリンダ(15)とを有し、前記カムフォ
ロア(19c,29c)は、前記カムの面を上昇する方
向に倣う場合は回転し、そのカムの面を下る方向に倣う
場合は回転しないよう構成されるとともに、前記容積変
化手段には、前記シリンダ内のピストンを容積拡大方向
に付勢するばね(15c)を具備させてなる、ことを特
徴とするものである。
【0008】よって、本アクチュエータは、上記構成の
モータ駆動のカム及びカムフォロア、軸部材、ピスト
ン、シリンダのそれぞれを有する容積変化手段を備え
て、マスターシリンダ発生圧がブレーキ圧としてホイー
ルシリンダに作用する制動時、上記のマスターシリンダ
とホイールシリンダ間の作動液通路を遮断する電磁弁で
これをまず遮断し、しかる後、その容積変化手段による
シリンダ容積の拡縮変化を行わせ得て、そのマスターシ
リンダ圧以下へのブレーキ圧の減圧により制動ロックを
回避するABS制御が可能であり、従って、かかるカム
及びカムフォロアの組合せによる容積変化手段を備える
アクチュエータの基本的な有利な構造、性能も確保しう
るようにする一方、その基本構成を大幅に変更すること
なく、容積変化手段にそのシリンダの容積を拡大する方
向にそのピストンを付勢するばね(15c)を設け、か
つまた、上記作動液通路の遮断手段は、これが電気的操
作によって開閉できる電磁弁(14)であることから、
ABS機能に加えて、かかる構成とすることで、マスタ
ーシリンダ圧以上の圧力への増圧制御をも、次の制御手
順によりそれを実現可能ならしめる。
【0009】即ち、具体的には、アクチュエータ(1
0,10′)の非制御状態から、まず、その容積変化手
段のモータ(17a,27a)をABS制御の場合での
減圧相当方向に回転させると、すると当該ばね(15
c)の力でピストン(16)はこれが容積拡大方向に押
されるためマスターシリンダからその容積拡大したシリ
ンダ(15)に作動液が流れ込む。このとき、作動液通
路遮断手段の電磁弁(14)はそのピストン変位によら
ず開状態に維持可能で、電磁弁(14)を閉じるのは、
かかる作動液吸い込み後とでき、当該電磁弁(14)
は、その充填後、これを閉じるようにする。このこと
で、ピストンが圧縮方向に移動するに必要な余裕を残し
つつ、ホイールシリンダ側に液が密封される。しかる
後、該モータでそのピストンを駆動し、上記液吸い込み
動作で充填された液を圧縮すれば、これによって液圧を
マスターシリンダ圧以上に上昇せしめることが可能とな
る。
【0010】よって、ブレーキの増圧制御についても、
これを、アクチュエータ構成が大きくコストも高くなる
というのを避けつつ、かつまた、上記の基本のABS制
御が可能な構成のアクチュエータに対するその構成の大
幅な変更も伴わずに、その有利な点を活かしつつ、簡単
な構成の付加をもって、上記の吸い込み動作を加味する
ことで容易に実現することができ、従って、例えば、ト
ラクション制御や定速走行装置などでブレーキをかける
制御を行う用途にまで使用し得る。また、上記ばね(1
5c)は、かかる液吸い込み機能のほか、当該ばねの作
用によってその容積変化手段のカム(18,28)・カ
ムフォロア(19c,29c)間の抗力が圧力0の時で
も発生するため、たとえ振動が加わったとしても両者が
ずれてピストン(16)が下がる、という現象を回避す
る効果をも併せもせることができ、この点でも有利であ
る。
【0011】また、容積変化手段は、好ましくは、その
軸部材を、その一端にカムフォロアを設け、その他端が
ピストンに当接する構成とし、ピストン変位方向のほぼ
延長線上に当該カムフォロアとカムとの接触箇所がくる
ように、シリンダ、軸部材を配置するよう構成して、本
発明は実施でき、同様に上記のことを実現することを可
能ならしめる。この場合は、これにより、その一端にカ
ムフォロア(29c)を設け、他端がピストン(16)
に当接する構成の軸部材(29)に対し、ピストンから
の下向きの力と、カム(28)からの上向きの力とがほ
ぼ同一軸上で働くようにし得、よって、シリンダ(1
5)をカム・カムフォロアの接触部の真上もしくはほぼ
真上に配置することで、軸部材に生じる倒れは少なくな
るなどし、摺動摩擦の減少、耐久性の向上等を更に図る
ことのできるアクチュエータ(10′)となる。更にま
た、かかる構成で空間が生じるカム(28)内側のスペ
ースの有効利用も可能で、そのカム内側にモータ(27
a)を配置することもでき、その場合は、装置全体の小
型化を図ることもでき、この点でも有利で、より改良さ
れたブレーキ制御アクチュエータが実現される。
【0012】また、容積変化手段に設けるばね(15
c)については、適用する制御に合わせて、好ましく
は、例えば、ばねの長さは、その長さまでピストンを後
退させた状態から電磁弁(14)を閉じてシリンダ(1
5)のほぼ端部位置まで当該ピストンを進出させたとき
に発生する圧力が、制御上必要な圧力以上となる長さに
設定するよう構成して、本発明は実施でき、同様に上記
のことを実現することが可能である。好ましくはまた、
ばねの長さは、ABS制御を開始する際に初期に発生す
る圧力の最低値を、大気圧まで下げるだけの容積変化を
生じさせる長さ以下に設定するよう構成して、本発明ブ
レーキ制御アクチュエータは実施でき、同様に上記のこ
とを実現することを可能ならしめる。
【0013】また、本発明ブレーキ制御システムは、上
記構成のブレーキ制御アクチュエータを備え、運転者の
期待する制動度合いを検出する制動意志検出センサと、
車両の状態を検出する車両状態検出センサと、それらセ
ンサからの情報を基に制御対象車輪のブレーキ圧力の増
減圧を判断し、当該アクチュエータ(10−1〜10−
4)への指令を与える制御手段(51)とを備えて構成
することができる。上記アクチュエータ(10,1
0′)は、小型、安価なものとして、かつ上述の如き吸
い込み動作が加わることでブレーキ増圧制御も簡単に実
現できるものとして得られるものであることから、従っ
てまた、かかるアクチュエータとシステムとを組み合わ
せることで、本ブレーキ制御システムは、ABS制御に
加えてトラクション等のブレーキ制御も安価に実現でき
る。本発明アクチュエータ(10,10′)を用いるシ
ステムとしては、具体的には、例えば、車両状態検出セ
ンサの情報によって増圧・減圧などのモータ(17a,
27a)駆動を制御し、更に、制動意志検出センサの情
報と現在制御されている圧力や、増圧制御中か減圧制御
中かといった状態等によって、その電磁弁(14)を切
り換えるよう、制御することができる。これにより、A
BS制御に加えてトラクション制御や定速走行装置など
の増圧を必要とするブレーキ制御にも対応することがで
きる。
【0014】制御手段によるアクチュエータ(10,1
0′)に対する制御は、そのモータ(17a,27a)
のABS減圧相当方向への回転によりそのばね(15
c)の力でそのピストン(16)が容積拡大方向に押さ
れることによってその容積変化手段のシリンダ(15)
へ作動液を吸い込ませ、そうして、斯く容積の拡大した
シリンダ(15)に作動液を充填させた後に、その電磁
弁(14)を閉じるよう、アクチュエータ制御を実行す
る制御手順を含ませることができる。また、システムの
制動意志検出センサは、好ましくは、マスターシリンダ
圧力センサ(66)を用い、好ましくはまた、これに代
えて、ブレーキペダル踏力センサを用いることができ
る。
【0015】また、システムとしては、好ましくは、そ
の車両状態検出センサによって、ブレーキ圧力をマスタ
ーシリンダ圧力より上昇させる制御が必要となる可能性
があるか否かを判断し、この増圧制御可能性がある場合
には、アクチュエータ(10,10′)のばね(15
c)によってそのピストン(16)を後退させてシリン
ダ容積を拡大しシリンダ(15)内に作動液を充填する
ようにそのモータ(17a,27a)を駆動制御する構
成として、本発明は好適に実施でき、同様に上記のこと
を実現することを可能ならしめる。この場合は、更に、
増圧制御が必要となる状態を予め予想して吸い込み動作
を完了しておくよう制御することをも可能にし、かかる
制御手法によって、動作遅れのない正確な制御を実現で
きる。
【0016】この場合においてまた、車両状態検出セン
サとしてスロットル開度センサ(67)を用い、そのセ
ンサ(67)に基づき得られるスロットル開度、または
スロットル開速度、あるいはその両者が、予め決められ
た所定のしきい値を上回った場合にかかる増圧制御可能
性ありと判断するようにして、本発明ブレーキ制御シス
テムは実施でき、同様に上記のことを実現するを可能な
らしめる。
【0017】また、車両状態検出センサに、前車との距
離を測定する車間距離センサを含み、当該センサに基づ
き得られる、前車との車間距離、または相対速度、ある
いはその両者が、予め決められた所定のしきい値を上回
った場合にかかる増圧制御可能性ありと判断するように
して、本発明ブレーキ制御システムは車両の定速走行装
置としても実施でき、同様に上記のことを実現するを可
能ならしめる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態のいく
つかを図面に基づき説明する。図1は、車両のブレーキ
制御アクチュエータとして構成した本発明アクチュエー
タの構成の一実施例を示す。図において、1はブレーキ
操作部、2はブレーキ液を導き圧力を伝達する液圧配
管、3はブレーキ圧を受けて、パッドがブレーキディス
ク5を制動するホイールシリンダ(W/C)をそれぞれ
示す。ここでは、ホイールシリンダ3はアクチュエータ
制御により得られる流体圧で作動し、液路6(液圧配
管)へのブレーキ液圧に応動し、車輪とともに回動する
該ディスク5に制動力を与える。
【0019】ブレーキ操作部1は、ブレーキ操作力に応
じたブレーキ操作力対応圧を発生する圧力源を含み、こ
こでは、ブレーキペダル1aと、該ペダル1aに加わる
踏力を増幅するブースター1bと、その増幅された踏力
を受けてブレーキ液を圧縮し、ブレーキ圧を発生させる
マスターシリンダ(M/C)1cと、ブレーキ液を溜め
ておくリザーバタンク1dを備える。リザーバタンク1
dは、ブレーキペダル1aが踏まれない状態ではマスタ
ーシリンダ1cと連通しており、ホイールシリンダ3の
パッドの摩耗などで不足する液を補充するが、該ペダル
1aが踏まれるとこの連通路が遮断され、マスターシリ
ンダ1c内の作動液が圧縮される。
【0020】車両のブレーキマスターシリンダからの液
圧系は、通常、フェイルセーフのため2系統(プライマ
リとセカンダリ)あり、この場合、例えば、1系統がF
r2輪(前2輪)のホイールシリンダ、他方のもう1系
統がRr2輪(後2輪)のホイールシリンダに、または
1系統がFr/RH(前右輪ホイールシリンダ)・Rr
/LH(後左輪ホイールシリンダ)、他方のもう1系統
がFr/LH(前左輪ホイールシリンダ)・Rr/RH
(後右輪ホイールシリンダ)に接続される構成とするこ
とができる。図1では、1輪に係わるブレーキ液圧系に
ついてのみ示すが、例えば4チャンネル(CH)4セン
サ式のブレーキ制御システムなら、図2に例示の如く、
4輪個々に本実施例に従う同様のアクチュエータ構成の
ブレーキ液圧制御系が存在し、ここでは、他輪にも同様
のものが接続されている。
【0021】マスターシリンダ1cは、運転者(ドライ
バー)によるブレーキぺダル1aの踏み込みによるブレ
ーキ操作に連動して、ブレーキぺダル踏力に応ずる液圧
(マスターシリンダ圧)を出力し、一方、各輪に配設の
ホイールシリンダ3は、その発生圧が本実施例アクチュ
エータを通してそのままブレーキ液圧(ホイールシリン
ダ圧)として供給されるとき、該液圧に応じた制動力を
それぞれ対応車輪に生起させて、車輪個々を制動するこ
とができる。
【0022】マスターシリンダ1cとホイールシリンダ
3の間に配された本例のアクチュエータ10は、基本的
には、車両から検出される走行状態等に応じてマスター
シリンダ1cとホイールシリンダ3の間の作動液通路を
遮断することのできる通路遮断手段としての弁14を備
えるとともに、遮断されたホイールシリンダ3側の容積
を変化させる容積変化(容積可変)手段を備えるものと
することができる。図1中、15は制御シリンダ部、1
6は制御ピストン部、17はトルク発生装置、18は端
面カム部、19はロッド部をそれぞれ示し、図示例で
は、上記のような容積変化手段は、図示の如くのトルク
発生装置17の回転モータ17aにより駆動される端面
カム18a、そのカムの面18bを倣い動作することで
直進駆動される軸部材としてのロッド部19、その軸部
材とともに変位(進退)するピストン16a、該ピスト
ンを内蔵するシリンダ15aを含んで構成することがで
きる。
【0023】上記弁14は、シリンダ一端部側に一体に
組付けられ、当該弁及びシリンダ部分について一部を破
断した状態で示すように、電気的操作によって任意に開
閉可能なもので、マスターシリンダ1cと制御シリンダ
部15の間をその電磁コイルに与える電流のON/OF
Fで開閉するカット弁であり、リターンスプリング14
aと、バルブシート14cと、プランジャ14eと、電
流が与えられると該プランジャを図中下方向に吸引する
ように磁界を発生する電磁コイル14fを有する。該カ
ット弁のポート14dは、図示のように、マスターシリ
ンダ1cからの配管2に接続し、また、プランジャ14
eがシートして通路を閉じるバルブシート14c側の開
口は、シリンダ15aの圧力制御室(チャンバ)に臨ま
せてある。
【0024】リターンスプリング14aはプランジャ1
4eを図中上方へ付勢する方向に作用するスプリングで
あり、プランジャ14eは、リターンスプリング14a
により上方向に付勢され、一方、電磁コイル14fが発
生する磁界によって下方向に吸引される。また、プラン
ジャ14eには、その周側面に図中上下方向に数条の溝
を設けてあり、そのプランジャ側面に切った溝により、
ポート14dとバルブシート14c部分が連通してい
る。このことから、リターンスプリング14aによって
プランジャ14eが上方へ付勢されている常態で、コン
トロール系から電磁コイル14fに電流を与えると(O
Nすると)、プランジャ14eがバルブシート14cに
当たってマスターシリンダ1cから制御シリンダ15へ
の通路を遮断し、また、電流を流さない状態(OFF状
態)ではその逆に開放する。
【0025】カット弁14は、本例では通路遮断手段に
相当し、マスターシリンダ1cと制御シリンダ部15の
間を遮断するとき、液圧を制御シリンダ側に封じ込める
ようにすることができる。本アクチュエータ10では、
通路遮断手段をこのような開閉可能な電磁弁であるカッ
ト弁14とするとともに、制御シリンダ部15内部に
は、その容積を拡大する方向に内蔵のピストン16aを
付勢するばね(容積拡大方向付勢手段)を設ける。ま
た、この場合において、好ましくは、ばねの長さは、そ
の長さまでピストン16aを下げた状態から該カット弁
14を閉じてそのシリンダ内の上端位置までピストン部
を上昇させたとするとき発生する圧力が、制御上必要な
圧力以上となる長さに設定する。
【0026】制御シリンダ部15のシリンダ15aは、
図示の如くに、上端にカット弁14を、側壁部(図中左
側)にはホイールシリンダ3に至る液路6と接続してシ
リンダ15aとホイールシリンダ3とをつなぐポート1
5bをそれぞれ備え、制御ピストン部16で密閉され
る。また、ピストン16aを容積拡大方向に付勢する手
段として図示のようにスプリング15cが制御シリンダ
15a内に設置されている。その設置箇所は、カット弁
14下端面側と大径のピストン16a上面側の間であ
り、これが制御ピストン部16を下方向に付勢する。こ
のスプリングの長さは、制御ピストン部16が吸い込む
必要がある液の量、つまり増圧量と負荷の液圧剛性によ
って設定される。ただし、この量が多すぎる場合、制動
ロック回避のアンチスキッド制御(ABS制御)にあっ
ては、該ABS時にカット弁14が閉じたまま制御ピス
トン部16が無理に押されて圧力が負圧になる可能性が
あるため、ABS制御を開始する時に必ず発生する最低
圧力を0まで下げるストロークよりは小さく設定されて
いる。
【0027】ブレーキ液の流路に臨みその圧力の作用す
る制御ピストン部16は、図示のように、前記スプリン
グ15cの下端を受けるピストン16a、及び小径部1
6dを有する。大径のピストン16aの部分は、その外
周面部にシール16cを備え、制御シリンダ15a内を
上下の部屋に分離する。図中、小径部16d側の上部側
の室が圧力制御室を形成し、下側は大気開放とすること
ができる。このピストン16aが図中上下に摺動するこ
とで、カット弁14とホイールシリンダ3に接続される
シリンダ15aの容積(圧力制御室の容積)が変化す
る。その容積を拡大する方向では減圧制御が、また縮小
する方向では増圧制御が可能である。ここでは、スプリ
ング15cは、ピストン小径部16dを支持体とするコ
イルスプリングで、該小径部16dは、ピストン16a
の上側に形成され、図示のようにスプリング15cを支
える部材となるとともに、カット弁14の下端に当たっ
て制御ピストン部16全体の初期位置(シリンダ容積を
最小にする位置)を決める。また、その上部には、カッ
ト弁14のシート14dを塞がないように、ここでは例
えば小径部上端面に十字の溝が掘ってある。これは、た
とえ制御ピストン部16がカット弁下端に当たった状態
でもカット弁14のシート側開口を通じその形成十字溝
を介して制御シリンダ15aとの間を連通させる連通手
段として機能する。
【0028】上記スプリング15cは、制御ピストン部
16がその初期位置にある状態からトルク発生装置17
の電動モータ17aを後述の如くに減圧方向に回転させ
れば、当該スプリング15cの力でピストン部16が容
積拡張方向に押される(下方に押し下げられる)ため制
御シリンダ部15に作動液(ブレーキ液)が流れ込む状
態を容易に生起せしめることができる(スプリング15
cによる吸い込み動作)。結果、この状態でカット弁1
4を閉じることで、ピストン部16が圧縮方向に移動す
る余裕を残しつつホイールシリンダ側にその液吸い込み
機能により流入した液が密封されることとなり(作動液
の充填)、かくして、ドライバーによるブレーキぺダル
1aの非踏み込み時でも、その状態から、ブレーキ液圧
を発生させられ、圧力の増圧及び該増圧後の減圧を必要
とするトラクション制御等のブレーキ制御を行わせるこ
とをも可能にする。なお、制御ピストン16aに取り付
けられ、シリンダ15aを密封するシール16cは、通
常は、Oリングなどの弾性体材料でできたシールで構成
されるものとすることができるが、制御シリンダ15内
の圧力が高圧になる場合、その圧力によってOリングが
図の下方向にはみ出すのを防ぐためのバックアップリン
グ(例えば、材質テフロンなどで低摩擦のもの)とセッ
トで構成されるようにすると、より良い。
【0029】トルク発生装置17は、ここでは、電動モ
ータ17aのほか、円形のピニオン17b,ギヤ17c
を備える構成のものとしてあり、これらが、端面カム部
18の回転駆動源に相当する。電動モータ17aは電流
を流すとトルクを発生するが、トルクは一般に電流に比
例するので、電流を制御することでトルクの制御ができ
る。また、電流を逆向きに流せば逆向きのトルクを発生
させることもできる。本例では、モータ17aを可逆転
モータとし、ピニオン17b及びギヤ17cは、その減
速装置を構成する。電動モータ17aは、図示のように
その駆動軸側を図中下に向けて配置してある。
【0030】ピニオン17bは、電動モータ17aの発
生したトルクをギヤ17cに伝え、ギア17cは、ピニ
オン17bから力を受け、端面カム部18にトルクを伝
える。ここに、図示の如く、ギア17cとピニオン17
bではギアの方が径が大きいので、電動モータ17aで
発生したトルクは、ギア比に応じて増幅されてカム18
aに伝えられる。カム18aは、上記ギア17cと同軸
で回転し、上端の端面18bが螺旋状に所要の傾斜で傾
斜しており、以下に述べるロッド部(軸)19に取り付
けられたカムフォロア19cがこの端面18bに接触す
るものである。端面18bは、カム18aの軸回り角度
とともに低下し、1回転弱(1回転に満たない)の螺旋
を描く形状のものとすることができる。
【0031】ここに、本実施例では、ロッド部19は、
そのカム上端面18bを倣い動作する軸部材に相当する
が、これは、図中上下方向に移動するロッド19aと、
そのロッド19aの円筒面に対し軸直角方向に突出させ
た中心軸を有して取り付けた構成のカムフォロア19c
を備えるとともに、そのロッド19aは上部側に小径部
19a′を有する。カムフォロア19cが軸直に取り付
けられたロッド19aは、カム18aの端面18bから
軸方向の力を受ける。また、その上側の小径部19a′
がピストン16cに当接し、ピストン部16を上方向に
押すことができる。なお、本実施例では、例えば、カム
フォロア19cの先端には図示されない上下スライダが
設けられており、ロッド部19全体が軸回りに回転はし
ないが軸方向の移動はできるように支えられている。ロ
ッド部19を直進方向にのみ導く案内部材は、かかる上
下スライダを含んで構成することができる。
【0032】カムフォロア19cが接触するカム18a
の端面18bは上述のように傾斜しているため、カム部
18が回転すると、カムフォロア19cの接触位置が軸
方向(ロッド軸方向)にずれるので、回転トルクを軸方
向推力に変化させることができる。具体的には、端面1
8bは、図のように、カム軸回り角度とともに、アクチ
ュエータ上部からみれば、右回りで螺旋を描いて所要の
傾斜で徐々に上昇する面となっている。このため、ロッ
ド部19を上下のみに動くように支えていれば、カム部
18をトルク発生装置17により回すことで、ロッド部
19を上下させることができ、それに伴い圧力を増減圧
させることができる。また、この面は、円筒状のカムフ
ォロア19cが水平に当接したときに最も接触面積(接
触箇所)が広くなるような面に加工されている。
【0033】カムフォロア19cは、例えばボールベア
リングの外輪を厚くしたようなもので、中心軸がロッド
(軸)19aに取り付けられ、外輪部分がカム18aの
端面18bに当接しながら回動する構成とすることがで
き、更に内部に例えばベアリングとワンウェイクラッチ
を一体としたものが内蔵されているものとし、図中の矢
印Aの方向から見てCW方向(時計回り方向)には回ら
ずCCW方向(反時計回り方向)には回る構成となって
いる(なお、この点は、後記例でも同様である)。
【0034】かかる構成においては、カムフォロア19
cは、矢印Aの方向から見てCCW方向に回転する場合
は、ワンウェイクラッチ機構によって同方向の向きの回
転は許容されるが、しかし、それと反対に、矢印Aの方
向から見てCW方向に回されようとするときは、これが
ワンウェイクラッチ機構によって阻止され、その向きに
は回転できない。このようなタイプのワンウェイカムフ
ォロアの構成例については、前掲文献1に詳述されてお
り、その記載は、本明細書に全面的に取り入れられて参
照される。
【0035】カムフォロア19cは、ここでは、こうし
たワンウェイクラッチ機構を内蔵させてあることによっ
て、モータ17aによりロッド部19が駆動される場
合、そのロッド部19の上下方向の移動にあたり、ギア
17cと同軸のカム18aが図中矢印nの向き(図中、
矢印Bの方向から見てCW方向)に回転するとき、矢印
Aの方向から見たCCW方向に回ることができる。そし
て、この場合、カムフォロア19cは回りながらそのカ
ムフォロア19cの接触するカム端面18bの傾斜につ
れて、ロッド部9、従ってピストン16aを上動(ピス
トンUP)させシリンダ部15の圧力室の容積を縮小さ
せるよう作用するのに対し、逆に、その容積が拡大する
方向に作用するようにカム18aを回転させロッド部9
を下動させるとき(ピストンDOWN)、即ちカム18
aが図中矢印mの向き(図中、矢印Bの方向から見てC
CW方向)に回転せしめられる場合には、カムフォロア
19cは、矢印Aの方向から見てCW方向に回されよう
としても、その向きでの回転はしない構成(ピストン1
6aが容積を拡大する方向にカム18aが回転した場合
には回転しない構成)となっている。従って、本アクチ
ュエータ10では、ロッド部19のカムフォロア19c
は、カム18aの面18bを上昇する方向に動いた場合
は回転し、カム18aの面18bを下る方向に動いた場
合は回転しない構造としてある。
【0036】上記ブレーキ制御アクチュエータ10に対
する指令、従ってカット弁14のON/OFF、並びに
逆転可能な電動モータ17aへの供給電流及び電流の向
きは、それらをブレーキ制御システムのコントロール系
により制御する。システムは、車輪速情報に基づき、制
動時、制御対象車輪のスキッド状態を検出しカット弁1
4及びモータ17aに対する通電を制御し、ABS制御
をする構成とすることができる。とともに、スプリング
15cによる液吸い込み機能を具備せしめられた構成の
本アクチュエータ10との組み合わせにより、ABS制
御に加えて、トラクション制御など増圧を必要とするブ
レーキ制御(前車追従の定速走行装置や、自動ブレーキ
(アクティブブレーキ)その他の制御におけるブレーキ
制御を含む)を行うシステム構成とすることができる。
もっとも、トラクション制御との組み合わせの場合は、
例えば後輪駆動車において、その駆動輪側のブレーキ制
御アクチュエータとして本アクチュエータ10を介挿す
る態様とすることができる。
【0037】好ましくは、この場合、本発明に従うアク
チュエータ10を用いるブレーキ制御システムとして
は、ドライバーの望む制動度合を検出する制動意志検出
センサを設け、該センサと本アクチュエータ10と、更
に車両の状態を検出する車両状態検出センサ、及びシス
テムのコントローラ(コントロールユニット)を備える
ものとして構成される。この場合において、コントロー
ラは、それら制動意志検出センサ、車両状態検出センサ
の情報をもとにブレーキ圧力の増減圧を判断し本アクチ
ュエータ10への指令を与えるようにすることができ、
好ましくは、車両状態検出センサの情報によって増圧・
減圧などのモータ(17a)駆動を制御し、更に制動意
志検出センサの情報と現在制御されている圧力、及び増
圧制御中か減圧制御中かによってカット弁14を切り換
えるよう制御する。
【0038】好ましくはまた、本アクチュエータ10を
用いるシステムは、車両状態検出センサによって、ブレ
ーキ圧力をマスターシリンダ圧力より上昇させる制御が
必要となる可能性があるか否かを判断し、この増圧制御
可能性がある場合には、前述した如くに、そのシリンダ
15a内のスプリング15cによってピストン部16を
下げて(予め後退させて)シリンダ容積を拡大しそのシ
リンダ内に作動液を充填するように回転モータ17aの
駆動制御をする制御方式とする。また、この場合におい
て、好ましくは、システムは、車両状態検出センサにス
ロットル開度センサを用いるようにする構成のほか、こ
れに代えてまたはこれとともに、車両状態検出センサ
に、前車との距離を測定する車間距離センサを用い、そ
の車間距離、あるいは相対速度、あるいはその両者が、
それぞれに決められた或るしきい値を上回った場合に上
述の増圧制御可能性ありと判断し、そうした事前の液吸
い込み動作を行わせるブレーキ制御システムとすること
ができる。この場合は、増圧制御開始の可能性を前車と
の車間距離及び/又は相対速度で判断する定速走行シス
テムを構成させることができる。
【0039】図2は、本発明に従うブレーキ制御システ
ムの一実施例を示す。図示のシステムでは、車両の前後
左右の4輪それぞれに、上記したアクチュエータ10
が、参照符号10−1〜10−4を付して示すブレーキ
制御アクチュエータとして配置された構成の場合であっ
て、これらが制御回路51で制御される。4輪駆動車の
場合や、定速走行装置その他の制御におけるブレーキ制
御の場合は、4輪全てを対象に本アクチュエータ10を
用いることができるが、非駆動輪側にあっても、本アク
チュエータ10を用いることを妨げるものではない。
【0040】本実施例ではまた、車輪速センサのほか、
マスターシリンダ圧力検出手段、スロットル開度検出手
段を用いる構成としてある。ここでは、制御回路51に
は、それぞれの車輪速を検出する4輪の車輪速センサ6
1〜64からの信号、ドライバーの制動意志を検出する
マスターシリンダ圧力センサ66からの信号、及びスロ
ットル開度を検出するスロットル開度検出センサ67か
らの信号等を入力する。
【0041】システムコントローラとしての制御回路5
1は、入力検出部と、演算処理部と、該演算処理部で実
行される4チャンネルABS制御及びトラクション制御
等の制御プログラム並びに演算結果等を格納する記憶部
と、各アクチュエータ10のカット弁14及びモータ1
7aに指令を与えるための制御信号を送出する出力部等
を含むマイクロコンピュータからなる。
【0042】上記構成によるシステムにおいて、通常ブ
レーキ時はブレーキペダル踏力に対応するブレーキ力を
車両の各車輪に与えられる。また、ABS作動時は、制
御回路51の制御の下、該当する車輪のアクチュエータ
10の各部の下記するような機能による対応ホイールシ
リンダ圧の減圧、増圧、あるいは保持の態様をもってブ
レーキング時のタイヤのロックを回避するためのブレー
キ制御を実行することができる。更に、トラクション制
御時も、制御回路51の制御の下、駆動輪のアクチュエ
ータ10による対応ホイールシリンダ圧の増圧、減圧、
あるいは保持の態様をもって、小型、簡単、低コストの
構成のものでありながら、ABS制御に加えて、対応車
輪の駆動スリップを回避するためのブレーキ制御にも対
応し得て、かかる制御をもそのアクチュエータ10をも
って実行させることができる。
【0043】更にまた、この場合、制御回路51は、好
ましくは、そのトラクション制御の実行に備えるべく、
駆動輪空転防止のためブレーキ圧力の増圧制御が必要に
なることとなる可能性のある状態にあるかどうかにつ
き、逐次、スロットル開度センサ67からの信号に基づ
き、スロットル開度、あるいはスロットル開速度、ある
いはその両者をもって監視しつつ、それが所定値以上に
なった場合に、増圧制御開始の可能性ありと判定して、
そのタイミングで、トラクション制御実行に先立つ、前
述のアクチュエータ10のシリンダ内への作動液の事前
の吸い込みのための予備作動のための制御をも実行す
る。
【0044】図3〜5は、制御回路51により実行され
る、そのアクチュエータ10を用いたABS制御並びに
トラクション制御、及び上記の液吸い込み作動のための
制御処理をも含むブレーキ液圧制御プログラムの一例の
フローチャートである。本プログラムは、一定時間毎の
定時割り込みによって遂行される。以下、アクチュエー
タ10の作動、機能をも併せて述べつつ、更にこれら図
3〜5をも参照して具体的に説明する。なお、図3〜5
は、制御フローチャートを3分割して示したものであ
る。
【0045】〔1.通常のブレーキの場合〕通常は、図
3のフローチャート部分の中央のラインを上から下へ抜
けるように処理は進められ(Start→ステップS2
01〜S206→S208→End)、繰り返しこのル
ープでプログラムが動作する。このとき、アクチュエー
タ10(10−1〜10−4)の状態としては、モータ
17aを図1中の矢印B方向から見てCCW方向に回し
て(従って、カム部18を矢印n方向の向きに回転させ
て)、ピストン部16を図の上端(小径部16d先端が
カット弁14下端に当たるシリンダ内の上限位置である
初期位置)に寄せてから電流を0としておく。また、カ
ット弁14への電流も0(OFF)としておく。
【0046】この状態では、カット弁14はそのプラン
ジャ14eがリターンスプリング14aで上動していて
開状態にあり、また、ピストン部16の小径部16dの
十字の溝によりシリンダ部15への連通も確保され、よ
って、マスターシリンダ1cとホイールシリンダ3の間
は、マスターシリンダ1c→液圧配管2→開弁状態のカ
ット弁14→シリンダ部15圧力室→ポート15b→液
圧配管6→ホイールシリンダ3の液路で連通する。本実
施例アクチュエータ10は、常態で、このような状態に
設定して使用することができる。
【0047】従って、今、かかる状態で、ドライバーに
よりブレーキングのためブレーキペダル1aが踏み込ま
れれば、マスターシリンダ1cに発生した圧力は、各輪
とも、上記経路でホイールシリンダ3にそのまま伝わっ
て作用し、運転者の意志通りにブレーキが効く。また、
ここで、カット弁14とピストン16a間のスプリング
15cは圧縮されており、上記マスターシリンダ1cで
発生する圧力とともに、ピストン部16を下向きに押す
力を発生し、ロッド部19を押し戻そうとするところ、
次のようにして、該ロッド部19はそのままの位置を保
ち、結果、ブレーキ踏力に応じたホイールシリンダ圧が
得られる。
【0048】即ち、上記経路で圧が伝達されるとき、ピ
ストン部16に下向きの力が作用し、これでロッド部1
9を押し戻そうとするが、ロッド部19は、カムフォロ
ア19cを介してカム端面18bに当たっており、ま
た、ロッド部19全体は、図示されない上下スライダ等
によって軸回りに回転しない構造となっているので、カ
ム部18は矢印B方向からみてCCW方向(矢印mの向
き)に回されようとする。同時に、カムフォロア19c
は矢印A方向から見てCW方向に回される力が働く。こ
のとき、もし、カムフォロア19c自体が回転しカム端
面18bとの間の摩擦係数が小さくなると、カム18a
は回されてしまうが、カムフォロア19cの上記CW方
向回転が抑えられているため大きな摩擦係数となり、カ
ム18aを回そうとする力は摩擦力でキャンセルされ
る。従って、モータ17aの電流が0のままであって
も、カム18aが回されることはなく、ロッド部19が
下方向に移動しないので、ピストン16aはその位置の
まま静止している。
【0049】更に、カム18aとカムフォロア19cを
押し付ける力は、上記スプリング15cが設けられたこ
とによって圧力が0でも発生するため、例えば振動など
でカム18aに不測のトルクが加わったとしても、カム
18aの回転を抑える摩擦力が発生する。従って、モー
タ17aからトルクを加える以外にカム部18が回転す
ることはなく、ピストン部16その位置で保持される。
シリンダ15a内にピストン部16を容積拡大方向に付
勢するようカット弁14とピストン16aとの間におい
て設置したスプリング15cは、このような点でも効果
を発揮するものでもある。このようにして、ピストン部
16及びロッド部19はそのままの常態の位置を保ち、
また、通常ブレーキ時は踏み込み通りのドライバーの意
志に対応する制動を行うことができる。
【0050】なお、この間、本プログラム例では、プロ
グラム上、図3に示すような、センサ61〜64,6
6,67の出力信号に基づくマスターシリンダ圧力、車
輪速、スロットル開度などの情報の読み込みによる車両
状態検出(ステップS201)、ABS制御中かのチェ
ック(ステップS202)、トラクション制御中かのチ
ェック(ステップS203)、車輪スリップチェック
(ステップS204)、スロットル開度及びスロットル
開速度の所定しきい値との比較(ステップS205)、
吸い込み解除の選択、維持(ステップS206)、及び
車輪空転チェック(ステップS208)を経るループ
で、非制御時並びに上記の通常ブレーキ時に、その処理
が繰り返し実行されている。ステップS205,S20
6については、後記で詳しく述べられる。一方、低μ路
面での制動で制御回路51により車輪スリップ状態が検
知されるときは、ABS制御によるブレーキ液圧制御が
なされる。
【0051】〔2.ABS制御する場合〕 〔2−0:ABS制御の概要〕上述したような液圧経路
で車輪にブレーキ力が働く場合において、ABS制御
は、車輪のスリップを判断した時に開始する(ステップ
S204)。車輪がスリップを開始したら、該当車輪の
対応アクチュエータ10において、図4の如く、まず、
そのカット弁14の電磁コイル14fに電流を与え、こ
れによって常態では上動位置にあるプランジャ14eを
リターンスプリング14aに抗して下動させてバルブシ
ート14cに当てカット弁14を閉じ、その制御シリン
ダ部15から対応ホイールシリンダ3までの液を封入す
るよう通路を遮断する(ステップS211)。
【0052】次に、ABS動作中であることを示すフラ
グ(該ABS動作フラグは、ステップS202での判別
処理に適用される)をONし(ステップS212)、次
に、減圧・増圧・保持のいずれを行うかを判断し(AB
S指令動作判断)、そのモータ17aを駆動して(モー
タ電流出力)、動作を行う(ステップS213,S21
4)。更に、ABS制御中は、終了判断を行い動作を切
り換える(ステップS202,S221〜S223,S
231〜S234,S241〜S243)。それぞれの
詳細は、下記のようになる。
【0053】〔2−1:減圧時の動作〕タイヤがスリッ
プに向かっている場合は、減圧してグリップを回復する
ように制御する。このときは、制御回路51は、モータ
17aを図1の矢印B方向から見てCW方向に回す制御
電流を該モータに与える(ステップS213,S21
4)。すると、ピニオン17b及びギア17cを介し、
カム18aは矢印B方向からみてCCW方向(矢印mの
向き)に回ろうとする。このとき、ピストン16aから
ロッド部19に加わっている力によってカム18aの回
転を妨げる方向のトルクが働いているが、それ以上のト
ルクをモータ17aが与えることでカム18aは回転す
る。すると、ブレーキ液の圧力とシリンダ15a内のス
プリング15cの力によってピストン部16は下に移動
する。矢印mの向きの回転のときは、カムフォロア19
cとの接触部では、カム18aのその回転につれて接触
するカム端面18bは徐々に下降するよう変化し、カム
フォロア19cがこれに従って下降し、上記のようにピ
ストン部16が下に移動することとなる。このことでシ
リンダ15a内の容積が拡大し、密閉されたシリンダ1
5aからホイールシリンダ3までの部分の系の液圧、従
って対応ホイールシリンダ圧が低下する。
【0054】と同時に、圧縮されていたカット弁14及
びピストン16a間のスプリング15cが伸びるので、
該スプリング15cがピストン16aを押す力も減少す
る。ここで、スプリング15cの設定が前記のように極
低μ路でABS制御を開始する時の圧力を0まで下げる
ストロークより小さく設定されている場合、圧力が0に
なる前にスプリング15cの力は0となっている。従っ
て、減圧量が大きく圧力が0になった場合でも、ピスト
ン16aとロッド部16を押しつける力がなくなるの
で、ピストン16aはその位置に停止し、圧力が負圧に
なることはない。
【0055】〔2−2:増圧時の動作〕上記のような減
圧制御によりタイヤのグリップが回復して再度制動する
場合は、増圧が必要になる。この再増圧の場合は、制御
回路51は、モータ17aに対し、上記減圧制御時とは
反対に、モータ17aを矢印B方向から見てCCW方向
に回す制御電流を与える(ステップS213,S21
4)。すると、この場合は、カム18aは矢印B方向か
らCCW方向(矢印nの向き)に回るので、この向きの
回転駆動ときは、カムフォロア19cとの接触部におい
てカム18aのその回転につれ徐々に上昇するよう変化
するカム端面18bの作用によりカムフォロア19cを
介しカム18aはロッド部19を上方向に進ませようと
する。このときも、ピストン16aからは圧力に応じた
力が働いているが、カムフォロア19cは矢印A方向か
ら見てCCW方向の回転させられる向きでの動作となる
ので、カムフォロア19cが回転して摩擦係数が下が
り、カム18aに加わるトルクはカムフォロア19cを
押し上げる力に一層効率よく変換されて、シリンダ15
aの室圧、従ってホイールシリンダ3の圧力が増加す
る。
【0056】〔2−3:保持動作〕タイヤのスリップ状
態が丁度いい場合は、その圧力を保持する。この場合
は、制御回路51はモータ17aへの出力電流を0とす
る(ステップS213,S214)。このことでピスト
ン15aの位置は異なるが、前述した〔1.通常のブレ
ーキの場合〕と同様にカム端面18bとカムフォロア1
9cの摩擦力でピストン15aが停止した状態となる。
従って、その時の圧力が保持される。
【0057】〔2−4:制御終了判断と終了動作〕AB
S制御終了は、例えば、車体速、マスターシリンダ圧力
センサ66の出力と現在制御によってホイールシリンダ
3に与えられている圧力、及び増圧動作の時間から判断
することができる。まず、車体速(車体速値について
は、既知のABS制御で用いられている車輪速から推定
する疑似車体速値(車体速推定値)でもよく、車速セン
サ値でもよい)の場合は、車体速が0近傍になった場合
に、車両停止と判断し終了する(ステップS221)。
このときは、ここでは、まず、ピストン部16を上昇さ
せ(ピストンUP)、初期位置に戻してからモータ17
aの電流を0とする(ステップS231,S232)。
更に、制御回路51は、カット弁14の電磁コイル14
fの電流をOFFし、プランジャ14eをリターンスプ
リング14aにより元の常態の位置へ上動させることで
カット弁14を開くとともにABS動作フラグをOFF
に戻し(ステップS233,S234)、次回の動作に
備える。かくして、ABS動作フラグOFF後は、次回
処理では、前述のABS制御ループから脱することがで
きる。
【0058】次に、また、車体速が0近傍ではないが、
増圧制御を或る程度の時間行って、これ以上制御で増圧
できなくなったが、制御を必要とするスリップを生じな
い場合、これは路面μが高くなった場合と判断して終了
するものである(ステップS222)。このときは、ピ
ストン部16は上端まで上昇しているのでピストン16
aを上げる動作(ステップS231)は不要となる(ス
テップS232,S233,S234)。
【0059】第3に、増圧時間>許容値の状態ではない
が、マスターシリンダ圧力センサ66の出力が現在ホイ
ールシリンダ3に与えられている圧力を下回った場合
(マスターシリンダ圧力<制御圧)、これはドライバー
がブレーキペダル1aを緩めた場合に相当し、制御によ
って与えている制動効果まではドライバーが期待してい
ないと判断して終了するものである(ステップS22
3)。この場合は、ドライバーの期待する制動力まで素
早く下げるため、まず、本アクチュエータ10のシリン
ダ内のピストン部16の位置によらず任意に開閉制御で
きる電磁弁としたカット弁14を開くよう制御する(ス
テップS241)。そして、次にピストン部16をシリ
ンダ内のスプリング15cの力に抗して上昇させ(ピス
トンUP)、モータ17aの電流を0とし、フラグOF
Fとする(ステップS242,S243,S234)。
なお、マスターシリンダ圧力センサ66の代わりにブレ
ーキペダル踏力センサを用いた場合でも、踏力から圧力
への変換演算を加えることで同様の動作が行える。
【0060】制動時のABS制御は上記のようである
が、非制動時に圧力をマスターシリンダ圧力より上昇さ
せるよう制御するトラクション制御の場合は、これは次
のようにして行える。本アクチュエータ10は、これを
既述した構成の如く上記の電磁弁によるカット弁14、
スプリング15cを組み込んだ構成としてあり、かかる
構成とすることで、下記の手順により増圧制御が可能と
なる。 非制御状態からまずモータ17aを減圧方向に回転さ
せる。するとスプリング15cの力でピストン部16が
容積拡張方向に押されるためマスターシリンダ1c・リ
ザーバ1dから制御シリンダ15aにブレーキ液が流れ
込む。 その後、カット弁14を閉じる。このことでピストン
部16が圧縮方向に移動する余裕を残しつつ該当車輪の
ホイールシリンダ3側に液が密封される。 モータ17aでピストン部16を駆動し、液を圧縮す
る。この操作によって液圧がマスターシリンダ圧以上に
上昇する(増圧制御)。かかるアクチュエータ操作を基
本とし、更に、本実施例システムでは、以下の如き処理
等をも加味して、トラクション制御を実行させる。
【0061】〔3.トラクション制御の場合〕 〔3−0:トラクション制御の内容〕トラクション制御
は、基本的には、車輪(駆動輪)の空転を判断した時に
開始する(図3,ステップS208)。ここで、本アク
チュエータ10は、増圧する場合、一旦ピストン部16
を下げて液を吸い込んでから増圧するため、空転を開始
してからでは制御が遅れる可能性がある場合がある。そ
こで、この対策として、本制御システムでは、制御開始
の可能性があるか否かを予め判断するようにもしてい
る。即ち、該可能性があるか否かを予め判断し、吸い込
み動作までを完了しておくことがより望ましいとの観点
から、これをも実行させるようにするものである。
【0062】このため、ここでは、スロットル開度セン
サ67からの信号に基づき、先の通常状態での処理説明
で触れたように、スロットル開度及びそれから演算で算
出して得るスロットル開速度も対象として、スロットル
開度,スロットル開速度>しきい値が成立するか否かを
みるための判別処理をも導入してあり、スロットル開度
と開速度の値が、共にそれぞれについて個々に定められ
た或るしきい値を上回ったら、即ちスロットル開度>ス
ロットル開度の所定しきい値、かつスロットル開速度>
スロットル開速度の所定しきい値の状態が成立したら、
増圧制御可能性ありとみて、ピストン部16を下げて液
を吸い込む動作(ピストンDOWN)を行う(ステップ
S205,207)。
【0063】該動作では、スプリング15cによってピ
ストン部16を初期位置から下げてシリンダ容積を拡大
しシリンダ15a内に液を充填するよう、制御回路51
がモータ17aを駆動する。なお、一旦液吸い込み動作
がとられた後、上記ステップS205の判断が切り替わ
ったなら、増圧制御可能性ありの状態が解消されたとみ
て、そのときの吸い込み動作解除(ピストンUP)も制
御回路51によるモータ17aに対する制御で行わせる
ことができる。しかして、本プログラム例では、その後
に、車輪の空転の検出判断をすることとし(ステップS
208)、空転しなければそのまま今回ループでの処理
を終了することとし、空転したら制御を開始するもので
ある(図5)。
【0064】制御は、吸い込み動作(すでに吸い込んで
ある場合は無し)・カット弁14閉・トラクション動作
フラグON(該トラクション動作フラグは、ステップS
203での判別処理に適用される)を行った後(ステッ
プS251〜S253)、動作指令判断(増圧・減圧・
保持)してモータ17aを駆動して動作を行う(ステッ
プS254,S255)。更に、トラクション制御開始
後は終了判断を行い動作を切り換える(ステップS20
3,S261,S262,S271〜S273,S28
1〜S283)。それぞれの詳細は、下記のようにな
る。
【0065】〔3−1:吸い込み動作〕吸い込み動作は
トラクション制御を開始する可能性がある場合、または
制御を開始する時に行う。このときは、モータ17aを
図1の矢印B方向から見てCW方向に或る一定時間回転
させる。このことで、カム部18が矢印B方向から見て
CCW方向(矢印mの向き)に回転し、その端面18b
が下がることでカムフォロア19c・ロッド19aは下
方向の支えを失う。同時に、圧縮されたスプリング15
cで下方向に付勢されたピストン部16は、その力でロ
ッド部19を下向きに押し、シリンダ15aの容積を拡
張する。しかるに、このとき、まだカット弁14は開い
ているので、その拡大した容積分だけマスターシリンダ
1cから液が補充され、この圧力はマスターシリンダ1
cのそれと同じである。なお、好ましくは、上記モータ
駆動に際し、スプリング15cの力による液吸い込み機
能を有効に発揮させる点からは、モータ17aを回転さ
せる一定時間は、スプリング15cが伸びきって(予め
設定したその常態の長さにまで復帰して)充分な液の補
充が行える時間に設定する必要がある。
【0066】〔3−2:トラクション制御での増圧の動
作〕制御が開始されると、まず、カット弁14が閉じら
れるので(ステップS252)、制御シリンダ15aか
らホイールシリンダ3までの間に液が密封される。ここ
で、駆動輪の空転を止めるためには増圧が必要になり、
前述のABS制御の場合の増圧(〔2−2:増圧時の動
作〕)と同様に、モータ17aを矢印B方向からみてC
CW方向に駆動すれば(ステップS254,S25
5)、ピストン部16が上昇し、圧力がマスターシリン
ダ圧以上の値に増加し、増圧制御をすることができる。
【0067】〔3−3:増圧後の再減圧でのアクチュエ
ータ動作〕空転が止まり過ぎると減圧が必要になり、こ
のときも、前述のABS制御の減圧の場合(〔2−1:
減圧時の動作〕)と同様に、モータ17aを図1の矢印
B方向から見てCW方向に回す電流を与える(ステップ
S254,S255)。すると、ピストン部16が下に
移動し圧力が下がり、よってトラクション制御での減圧
制御をすることができる。
【0068】〔3−4:保持動作〕空転状態が丁度いい
場合はその時の圧力を保持するが、保持についても前述
のABS制御での場合と同様にモータ17aへの電流を
0とする(ステップS254,S255)。このこと
で、トラクション制御の場合も、ピストン部16が停止
し、圧力が保持される。
【0069】〔3−5:トラクション制御終了判断と終
了動作〕トラクション制御終了は、本プログラム例で
は、マスターシリンダ圧力センサ66の出力と現在制御
によってホイールシリンダ3に与えられている圧力、及
び減圧動作の時間から判断する。まず、減増圧制御を或
る程度の時間行ったが制御を必要とする空転を生じない
場合、これは駆動輪のタイヤと路面とのμ(摩擦係数)
が高くなった場合と判断して終了する(ステップS26
1)。このときは、すぐにまたトラクション制御を必要
とする状態が発生する可能性があるため、これをも考慮
し、制御回路51は、ピストン部16は上昇させずに、
吸い込み状態のままモータ17aの電流を0としてカッ
ト弁14を開く(ステップS271,S272)。更
に、トラクション動作フラグをOFFし(ステップS2
73)、次回の動作に備える。
【0070】かくして、該フラグOFF後は、次回ルー
プでは、ステップS203はステップS204側を選択
し、よって、処理は上記トラクション制御ループから脱
することができる。この場合において、該当するときは
前記ステップS205,S207を経る処理が実行され
る。次に、また、トラクション制御実行中、減圧時間>
許容値の状態ではないが、マスターシリンダ圧力センサ
66の出力が現在ホイールシリンダ3に与えられている
圧力を上回った場合(マスターシリンダ圧力>制御
圧)、これはドライバーがブレーキペダル1aを踏ん
で、自分で制動したい場合に相当し、本制御によって与
えられている制動効果以上をドライバーが期待している
と判断して本制御を終了するものである(ステップS2
62)。
【0071】この場合は、ドライバーの意志通りの液圧
を素早く与えるため、制御回路51は、まずカット弁1
4を開く(ステップS281)。次に、ドライバーがブ
レーキぺダル1aを踏んでいるということは、上記とは
反対に、すぐにまたトラクション制御を必要とする状況
は生じず、逆にABS制御を必要とする場合が考えられ
るので、この場合をも考慮して、ピストン部16はこれ
を上端(初期位置)まで上昇させ(ピストンUP)、モ
ータ17aの電流を0とする(ステップS282,S2
83)。そして、前記と同様、トラクション動作フラグ
をOFFとする(ステップS273)。かくして、この
場合も、適切に次回の動作に備えることができる。
【0072】上述のように、本実施例のアクチュエー
タ、並びにシステム及び制御方式によれば、従来技術に
よったとするとコストが高く大きなアクチュエータを用
いることで実現されるブレーキの増圧制御が、ABSア
クチュエータに小改造を加え、吸い込み動作を加えるこ
とで簡単に実現できる。従って、本アクチュエータ10
とシステムとを組み合わせることでABS制御に加えて
トラクション等のブレーキ制御が安価に実現できる。ま
た、電磁弁であるカット弁14とピストン15a間のス
プリング15cの作用によってカム18a・カムフォロ
ア19c間の抗力が圧力0の時でも発生するため、たと
え振動が加わったとしても両者がずれてピストン部16
が下がる、といったような現象をも回避する効果も併せ
持たせることができる。更に、増圧制御が必要となる状
態を予め予想して吸い込み動作を完了しておく制御方法
によって、動作遅れのない正確な制御をも実現できる。
【0073】更に、補足すれば、次のようなメリットを
有する。本実施例に従えば、前掲文献1のアクチュエー
タに対し、一旦液を吸って、電磁弁構成のカット弁14
を閉じてからピストン16aを上げることで増圧するこ
とができるものであり、しかも、その場合、制御シリン
ダ内のスプリング15c追加と通路遮断手段の電磁弁へ
の変更という小改造で増圧機能をもたせることができ
る。従って、トラクション制御や定速走行装置などでブ
レーキ制御を行う場合にも容易に対応できる。また、通
常のブレーキ操作でピストンを後退させないよう予圧を
かけたばねを使用する前掲文献2の予圧ばね式のアクチ
ュエータに比し、かような大荷重を支える大きなばねを
必要としない構成とできる。本アクチュエータにあって
は、初期加圧保持は、これをワンウェイカムフォロア1
9cで行える構成であるとともに、増圧・減圧両方向に
動作ストロークをもつ必要もなく、従って、この点で
も、小型で安価なアクチュエータとし得、かつ増減圧機
能をも具備させることができる。
【0074】更にまた、カムとカムフォロアを用いる構
成の場合に、カムとカムフォロアの間の抗力が0になる
と振動などで両者がずれピストンが低下するおそれがあ
るため、抗力が0にならないようにするのが望ましく、
この点から、本出願人は、先に、特願平5−30747
0号によって、カム・カムフォロア間の抗力を保持し、
振動が加わっても両者がずれてピストンが下がることが
ないようにしようとする改良技術も提案しているが、か
かる提案におけるばねは、ピストンとロッドの間、また
はカット弁のリターンスプリングと兼用で設けたもので
あり、液を吸い込む機能までは有しないものであるのに
対し、本アクチュエータ10では、既述の如くに、スプ
リング15cによって液吸い込み機能を実現させるとと
もに、該スプリング15cはかかる機能のみならず、そ
のスプリング15c自体によって、カム18a・カムフ
ォロア19c間の抗力を0にしない効果をも発揮し、従
って、その効果も併せ持たせることができ、この点で
も、より改良されたアクチュエータを実現することがで
きるといえるものである。
【0075】また、例えば、ABS制御時において、文
献1記載のボール式の通路遮断手段によるものに対し、
本アクチュエータ10では電磁弁によるカット弁14で
あることで、単にブレーキぺダル開放によるABS制御
終了といった判断はしにくくなるとろこ、制動意志を検
出するセンサ(マスターシリンダ圧力センサ、ブレーキ
ぺダル踏力センサ等)用いて、発生している圧力とドラ
イバーが出したいと考えている圧力の差をみて、該電磁
弁即ちカット弁14の開閉を制御することから、上述の
如くにABS制御終了判断を行えてその終了動作を実行
させることができる(図4)。
【0076】更に、文献2の予圧ばね式に対し、最高圧
まで増圧できないものの、例えばトラクションは空転し
ている車輪を止めるためにアクセルを閉じる制御の補助
としてブレーキをかけるものであり、また定速走行装置
では前車との車間距離が近づくのを防止するために緩ブ
レーキをかけるものであって、従って、そのブレーキ制
御においてフルブレーキは必要ではなく、わずかに必要
な増圧ができれば機能は満足する。ゆえに、必要能力は
確保しつつ、コスト面での調和との両立も図れる。
【0077】更にまた、本アクチュエータ10は、増圧
前に液を吸い込む必要があるが、応答性の面でもこれを
十分確保し得るものとすることができる。即ち、液の吸
い込み行程は、図1中矢印mの向きにモータ駆動でカム
部18を回すようにするもので、またスプリング15c
の力でピストン15aを下げて容積拡大方向へと付勢す
るときであり、かかる状態、当該モータ17aにとって
はほとんど無負荷回転であり非常に速い。また、上述し
たステップS205(図3)による処理の如くに、制御
開始は、アクセル開度が大きいとか、開速度が高いなど
の状況で事前に判断可能であり、その時点で(つまり制
御に先立ち)吸い込みを完了しておけば、動作遅れは生
じない。従って、こうするときは、応答が遅いといった
ことも避けられ、応答性も確保できる。また、吸い込み
中にブレーキぺダル1aが踏まれても、基本的にその圧
力に抗してピストン部16を上げる能力を持っているた
め、ABS制御を開始するまでにはピストン16を上端
まで上げることも可能である。
【0078】次に、アクチュエータについての他の実施
例を説明する。本実施例も、制御シリンダ内部にその容
積を拡大する方向にピストンを付勢するばねを設け、ま
た文献1のアクチュエータの如くピストン変位にともな
って開閉されていたボールタイプの弁ではなく、通路遮
断手段として電気的操作によって任意に開閉できる電磁
弁に変更するのは、前記実施例(第1実施例)と同様で
あるが、本実施例は、かかる構成を基本としつつ、カム
面を倣い動作する軸部材を、その一端にワンウエイカム
フォロアを設け、他端がピストンに当接する構成とし、
ピストン変位方向の延長線上にカムとカムフォロアの接
触点が来るように、シリンダ・軸部材を配置する等する
ことで更に改良を加え、摺動摩擦の発生を抑え得て使用
モータの小型化等を図るとともに、カム・カムフォロア
間の傾いた接触も適切に防止し得て両者の摩耗を防ぎ、
耐久性の向上等を図ろうというものである。また、モー
タの大きさ分のスペースの節約も可能で、更なる装置の
小型化等を実現しようというものである。
【0079】図6に、本実施例(第2実施例)の構成を
示す。同図において、第1実施例と同様の構成部分には
同じ符号を付してあり、本実施例にかかるブレーキ制御
アクチュエータ10′でも、カット弁14、制御シリン
ダ部15、及び制御ピストン部16については、基本的
に前述した構成、作用のものと同様であってよい。。
【0080】以下、本実施例の要部を説明する。図6に
示すように、図1に示したトルク発生装置17、カム部
18及びロッド部19の構成部分は、本実施例のアクチ
ュエータ10′では、トルク発生装置27、カム部28
及びロッド部29に置き換えられてる。また、スプリン
グ15cをカット弁14下端とピストン16a間の位置
で内蔵する制御シリンダ部15のシリンダ15aは、図
示のように、カム部28のカム端面28bとロッド部2
9のカムフォロア29cとの接触点の真上の位置に配置
される。
【0081】図に示すように、トルク発生装置27は、
本実施例では、電動モータ27a、第1ピニオン27
b、第1ギア27c、第2ピニオン27d、及び第2ギ
ア27eを含む構成とできる。後記でも述べられるが、
電動モータ27aは、ここでは、端面カム部28の中央
部の空間に配置される。ここに、端面カム部28は、後
述のように第2ギア27eをカム28aの下部側面に一
体形成するときは該ギア部分を含んで構成でき、カムフ
ォロア29cとの接触点(接触箇所)を外周付近に設定
し、その形状は円筒状のものとして、その内部に電動モ
ータ27aを収めるようになす。そして、更には、その
モータ側面に、ロッド部29を直動させるためのガイド
レール27fを備える構成のものとされている。
【0082】第1ピニオン27bは、電動モータ27a
の出力軸に形成され、カム28aの下端を貫通して外側
に突き出している。該ピニオン27bは、電動モータ2
7aが発生したトルクを第1ギヤ27cに伝える。第1
ギヤ27cは、第1ピニオン27bから力を受け、第2
ピニオン27eを回転させる。第2ピニオン27dは、
第1ギア27cと一体で形成され、第1ギア27cの回
転を第2ギア27eに伝える。第2ギア27eは、第2
ピニオン27dからの力を受け、カム28aを駆動す
る。上記第1ピニオン27bから第2ギア27eまでの
ギア列により、モータ27aのトルクは増幅されてカム
28aを駆動する。なお、第2ギア27eは、先に触れ
たように、この図の例では、カム28aの下部側面に形
成され、部品点数を減らして加工・組み立て費用の削減
を図っているが、この点については、円筒カム部と別体
でカム下端に取り付けるようにしててもよい。
【0083】カム28aは、第2ギア27eと同軸で回
転し、上端の端面28bが螺旋状に所要の傾斜で傾斜し
ており、ロッド部(軸)29に取り付けられたカムフォ
ロア29cがこの端面28bに接触する。ここに、本実
施例では、ロッド部29は、そのカム上端面28bを倣
い動作する軸部材に相当するが、該部材を、その一端に
カムフォロア29cを設け、他端がピストン16aに当
接する構成のものとし、ピストン変位方向の延長線上
(もしくはほぼ延長線上)にカム28aとカムフォロア
29cの接触点(接触箇所)が来るよう、シリンダ部1
5、ロッド部29を配置・構成するものである。
【0084】ここでは、ロッド部29のロッド29a
は、図中下端にカムフォロアハウジング29bが取り付
けられ、上端がシリンダ15a内のピストン16aに当
接している。ロッド29aは、カム端面28aから力を
受け、ピストン部16を押す。ロッド29aの下端に取
り付けられるカムフォロアハウジング29bは、例え
ば、図示の如く、略コの字形状に形成されたもので、そ
の内部にカムフォロア29cを備える。カムフォロア2
9cは、カムフォロアハウジング29bにその中心軸の
両端が水平に固定され、また、該カムフォロア29c
は、前記第1実施例同様、例えば内部にベアリングとワ
ンウェイクラッチを一体としたものが内蔵され、図6図
示の矢印Aの方向から見てCW方向には回らずCCW方
向には回る構成となっている。カムフォロアハウジング
19bは、案内される上下方向には移動できるが、それ
以外の方向には移動・回転などできないようになってい
る。
【0085】カムフォロア29cは、上記のようなカム
フォロアハウジング29bに備えられてカム端面28b
に当接する。こうして、図示の如く、ロッド部部分とカ
ム28aとの接触部にはカムフォロア29cが設けら
れ、カムフォロア29cがカム端面8bに接触し、カム
28aとカムフォロア29cの接触面の真上に(もしく
はほぼ真上に)シリンダ15aは配置され、ピストン部
16からの図中下向きの力と端面カム部28からの図中
上向きの力とが同一軸上(もしくはほぼ同一軸上)で働
くものとなる。
【0086】カム28aの端面28bは螺旋を描いて徐
々に上昇する面を構成するよう傾斜しているので、カム
部28を回転させた場合、カムフォロア29cの接触位
置が軸方向にずれ、回転トルクを軸方向推力に変化させ
ることができ、ロッド部29を上下のみに動くように支
えていれば、カム部28を回すことでロッド部29を上
下させることができ点や、また、その面は、円筒状のカ
ムフォロア29cが水平に当接したときに最も接触面積
が広くなるような面に加工されているなどの点は前記第
1実施例で述べたところと同様である。
【0087】また、前記文献1のものとの対比でいえ
ば、その場合は、カムと制御シリンダは同軸に配置され
るが、本実施例では、シリンダ15aを、円筒状形状の
外周カム端面28bとカムフォロア29cの接触点の真
上に配置する構成とするため、その分、利用可能な空間
ができ、カム内部には、ロッド部29のカムフォロアハ
ウジング29bのための案内手段以外は何もない構成と
することができるものである。そこで、本実施例では、
更にこれから一歩進め、その部分に、前記したように電
動モータ27aを配置し、かつまた、ロッド部29の案
内部材としてのガイドレール27fを電動モータ27a
の側面に設ける構成とすることとしたものである。
【0088】この場合において、そのように配置する電
動モータ自体でかかる案内部材をも兼用すると好ましい
ものとでき、一層のスペースの節約、装置の小型化、部
品点数の低減に効果的であり、より好ましくは、電動モ
ータ27aを例えば固定マグネット式直流モータとし、
当該案内部材をかかるモータのヨークに設ける構成とす
れば、更にこれをより好適に達成することを可能にす
る。
【0089】適用する電動モータ27aを固定マグネッ
ト式の直流モータとした場合、モータ断面については、
例えば図7に示されるようなものとすることができる。
同図のように、一対のマグネット27a−1,27a−
2は、モータ中心部のロータ27a−3を挟んでヨーク
27a−4に取り付けられる。従って、この構成の場
合、マグネット27a−1とマグネット27a−1の間
のヨーク27a−4の部分は、軸方向に沿って、内部の
ロータ27a−3に干渉しない範囲で、図示の破線の状
態から実線のようにへこませることが可能なため、ここ
にガイドレール27fを設けることができる。
【0090】本実施例においては、このようにしてモー
タ27aに設けられたガイドレール27fに対し、これ
を第1のガイドレールとして図示のようにカムフォロア
ハウジング29bの一端側が嵌合し、また、カムフォロ
アハウジング29bの他端側も図示されない反対側のガ
イドレール(第1のガイドレール)に嵌合して、保持さ
れるものとする。従って、本実施例では、カムフォロア
ハウジング29cは、これら第1ガイドレール27fと
第2ガイドレールとからなる案内部材に嵌合し、上下方
向には移動できるがそれ以外の方向には移動・回転など
できないようになっている。
【0091】なお、他の構成については、詳細な説明を
省略したが、第1実施例についての説明と同じである。
従って、例えば、好ましくは、シリンダ15内のスプリ
ング15cの長さを必要な圧力上昇が得られる長さのも
のにし、あるいは、ABS制御との関係では、スプリン
グ15cの長さを、ABS制御開始時に発生する最低圧
力が0になるストロークに設定するものとすることがで
きる。また、例えば前記図2のようなシステムと組み合
わせて同様のブレーキ制御に適用でき、前記第1実施例
のアクチュエータ10の場合と同様にして、ABS制御
に加えてトラクション制御や定速走行装置などの増圧を
必要とする制御にも対応することができる。
【0092】この場合において、本実施例アクチュエー
タ10′と制動意志検出センサ、及び他のセンサとコン
トローラを有するブレーキ制御システムとすることがで
きる。また、システムは、増圧制御開始の可能性有無を
判断した時点で、本アクチュエータ10′のピストン部
16を下げて事前の液吸入をするよう制御する。更には
また、その場合、トラクション制御での増圧制御開始の
可能性は、該可能性をアクセル開度やその開速度が所定
値以上で判断する制御方式にすることができる。
【0093】図2のブレーキ制御システムに適用した場
合での本実施例のブレーキ制御アクチュエータ10′の
具体的な機能、動作等については、前記〔1.通常のブ
レーキの場合〕、〔2.ABS制御する場合〕、〔3.
トラクション制御の場合〕の項の各説明と基本的に同様
である。従って、その説明中、該当する所要の記述部分
は、上記本実施例構成に従って変更された対応要素に読
み替えられて本実施例の説明に取り入られる。なお、そ
の場合において、トルク発生装置部分に関し、本実施例
では、ギアが2段になっているため電動モータ27aの
動きが第1実施例とは逆になる(即ち、図6で矢印C方
向から見て、減圧はCCW方向、増圧はCW方向となる
ようにモータを回すための制御電流を与える)が、それ
以外は同じでよい。
【0094】本実施例によっても、第1実施例で述べた
と同様の作用効果を奏し、既述したメリットをもたらす
ことができる上、更に、次のような作用効果も得られ
る。まず、例えば前掲文献1では、カムフォロアとカム
の接触点がピストンからの力の作用線からずれているた
め、特にカムが大きな径の場合を考えると、ロッドに倒
れ方向の力が働き、ロッドの上下動の摩擦力が増加して
駆動に要する動力が増加し、また、カム・カムフォロア
間の接触が傾き、接触面圧が上昇して摩耗するため、耐
久性が低いという点では、なお改善の余地がある。これ
に対して、本実施例によると、カム28aとカムフォロ
ア29cの接触面の真上にシリンダ15aを配置し、ピ
ストン16aからの下向きの力とカム28aからの上向
きの力とが同一軸上で働くようにすることができ、本ア
クチュエータ10′作動時、ロッド29aに生じる倒れ
を少なくすることができる。ロッド29aの倒れ方向の
力がなくなると、それだけカム28a・カムフォロア2
9c間の傾いた接触を防止して接触はより安定に広い面
で行われるようになり、このため摺動摩擦の増加を抑
え、両者の摺動摩擦の減少を図れ、摩耗を防いで耐久性
の向上を図ることができる。
【0095】また、かかるカムフォロア式の場合、ロッ
ドに働く曲げ力に起因するカムとカムフォロアの接触の
傾きいかんでは、接触した部分での面圧が非常に高く摩
耗を生じる要因となる一方で、それは加工精度やロッド
を保持する精度・剛性にも影響されるため、傾かずに接
触させるためには非常に高精度・高剛性が要求されるこ
ととなる。しかるに、例えば平面上に円筒部品を置いた
場合を考えると、その場合、重力が重心に働くので円筒
部品は自動的に最も安定で面積の広い接触、つまり軸方
向の線状な接触を行う。
【0096】本実施例に従えば、これと同様な状態を実
現することができるものである。つまり、本アクチュエ
ータ10′をみると、この場合は、ピストン26aから
の力がカムフォロア29cの真上から加わるので、カム
28aとカムフォロア29cは最も安定で面積が広い接
触を行うようになる。これはロッドを保持する精度が悪
かったり加工精度が悪かった場合でも、最適点を含む範
囲でカムフォロア29cの傾きの調整が可能であれば、
それなりの最適点に自動的に調整されるものであること
を意味する。従って、加工・組み立て上必要となる隙間
に高精度を要求することもなく、適度な大きさに設定す
ることによって、自動的に最適な接触状態とすることも
できる。このことで面圧を下げて摩耗を減らし、耐久性
の向上を図ることもできる。
【0097】更に、シリンダ15aをカム・カムフォロ
アの接触点の真上に配置する構成で空間が生じたカム内
側にモータ27aを配置することで、装置全体の小型化
を図ることもできる。即ち、かかる構成により使用カム
28a中央部にスペースができるのを部品配置の面で十
分有効に活かすことで、モータ27aをカム28aの内
側に収め、カム28aとモータ27aを同一軸上に配置
することもでき、更には、ロッド29a・カムフォロア
29cが上下する際のガイドレール部分をモータヨーク
27a−4をへこませてガイドレール27fとして構成
するようにもすることができ、これにより使用モータの
大きさ分のスペースを節約し、装置の小型化を図ること
ができ、更には、カムフォロア29cの安定した上下動
を最小の部品構成で実現することができ、小型・廉価と
することが可能となる。
【0098】なお、カム28aの内側に位置する第1ガ
イドレール27fは、独立した別体として配置すること
もできる。従って、望むときはそうしてもよいが、その
ようにする場合と比べていえば、本実施例では、完全な
別部品として必要となる第1,第2ガイドレールの一方
を、モータ27aの側面に構成することにより部品点数
をも減らし、更に小型で安価な構成とすることができ
る。また、文献1の構成によると、カムとモータという
大きな径をもつ2つの部品が平行に並んでいたため、そ
の分、装置全体が大きく小型化がしにくくものとなり、
この点でも改善する余地があるところ、本実施例では、
第1実施例によるピストン16aを下に付勢するスプリ
ング15cを設け、電磁弁のカット弁14を使用すると
いう構成を基本構成として、これに更に加えて、上述の
ようにスペースの開いたカム28aの中央部にモータ2
7aを配置し、カムの径+モータの径が必要となるであ
ろうその構成部分の大きさを、使用カムの径程度まで小
さくすることができ、この面からみれば、本実施例は第
1実施例の改良例でもある。本発明に従うアクチュエー
タは、このようにして実施してもよい。
【0099】〔変形例〕なお、前記ギア列による減速機
構中の第2ギア27eにつき、それをカム28aと別体
で取り付けてもよいことは既に述べたが、この場合、第
2ピニオン27dと第2ギア27eをセットで例えば図
8に示すような非円形ギア(非円形歯車)に変更するこ
とも可能であり、このギアによる使用モータの小型化な
どのメリットを得ることができる。
【0100】図8は、適用できる非円形ギア組の詳細の
一例を示す図で、駆動側非円形ギア37dが上記第2ピ
ニオン27dに代えて、また従動側非円形ギア37eが
上記第2ギア27eに代えて用いられる。駆動側非円形
ギア37dが図6の第1ギア27eと一体で回転し、従
動側非円形ギア37eがカム28aを回転する。これら
は、駆動モータ27aとカム28aの間にあって、カム
28aの回転角度に伴って減速比が一意的に変化するよ
うな減速比変化構造を実現するためのものとして機能
し、好ましくは、図示例の如くの、カム28aの回転角
度に伴って2つの歯車のピッチ円が徐々に変化するよう
な、円形でない歯車を用いる構成とすることができる。
【0101】第1ギア27e側に設けられる駆動側非円
形ギア37dとカム28a側に設けられる従動側非円形
ギア37eとは、図に示すように、両者37d,37e
とも、回転角度に応じて歯車の径が徐々に変化する形状
となっている。この図に示す初期状態から、駆動側非円
形ギア37dは図中CCW方向、従動側非円形ギア37
eは図中CW方向(それぞれ矢印で表記)にかみ合った
まま回ることができるように、それぞれのかみ合い位置
において軸間距離が変化しないように作られている。従
って、このギア組は、決まった位置でしかかみ合うこと
がきない。また、両者37d,37eの周長さは必ずし
も一致しないため、一方が一回転したときに他方も一回
転するとは限らない。このため、一方が1回転する範囲
でしか動作することがてきないが、円筒カム部28も同
じように1回転弱しか動作することができないので、か
かるカム部分に取り付ける構造であれば何等不都合は生
じないものであり、そうした1回転に満たないものの用
途にも充分に適用できる。従って、本例は、第2実施例
の態様のほか、前記第1実施例の態様でも、組合せ適用
して実施可能なものである。
【0102】そして、モータ27aの回転による駆動側
非円形ギア37dのCCW方向への回転駆動で従動側非
円形ギア37eをCW方向に回転させていくと、かみ合
い位置が、初期状態(図示状態)の駆動側非円形ギア3
7d寄りのものから徐々に従動側非円形ギア37e寄り
の位置へ移動しいくので、本例に従うとカム回転に伴い
減速比は徐々に低くなっていく。よって、従動側非円形
ギアの上記CCW方向への回転方向を、それによって回
転されることとなる円筒カム部28の当該カム端面28
bを低下させるべき向きに設定するように、かかるギア
組をモータとカム間の減速機構中に組み合わせると、モ
ータ回転/カム回転の減速比は、前記変位するピストン
16aがホイールシリンダ3側の容積を最小にする位置
において該減速比を最大とし、ホイールシリンダ3側の
容積を最大にする位置において減速比を最小とするよう
に減速比を変化させることができる。
【0103】本例においては、そうしてあり、この従動
側非円形ギア37eがCW方向に回転する方向はカム2
8aの端面28bが低下する方向、従ってロッド29
a,ピストン16aの部分が下降する向き、つまりシリ
ンダ圧力室の容積が拡大する方向(圧力の減圧制御方
向、及び該当するときはスプリング15cによる液吸い
込みの作動の方向)なので、その容積の拡大に伴ってギ
ア比が低下するようになっている。ここに、この変化の
プロフィールは、線形の場合、非線形の場合など、各種
考えられるが、少なくともカム28aの回転角度に伴っ
て圧力が下がる割合よりは変化の幅を小さくする必要が
ある。これは、圧力が下がる以上にギア比が下がってし
まうと、その回転角度において駆動できなくなるためで
ある。
【0104】しかして、これらの非円形ギヤ37d,3
7eを取り付けた場合のモータ27aからカム28aま
での減速比は、具体的には、例えば次のようにものとで
きる。即ち、該減速比は、前段のピニオン27bとギア
27cのギア比との掛け算で求められる。従って、例え
ば、図8のような初期位置では例えば「2」だったもの
が、フルに回転した状態では「0.2」に変化し、他
方、上記したピニオン27bとギア27cのギア比を例
えば「5」であったとすれば、本例の場合、トータルで
は「10」(=2×5)」(最大)から「1」(=0.
2×5)」(最小)まで変化することになる。なお、必
要な減速比として「10」が要求されるのであれば、円
形のギアによる構成の場合では、カムの回転角によらず
にこれが一律に「10」一定である(この場合の基本的
な考え方は、それを1段の大きな歯車で実現しようとす
るものである)。
【0105】本例の場合は、例えばABS制御での減圧
制御のためのカム回転駆動は、回転角度に応じて減速比
が既述のように変化する減速機構を含んだピニオン27
b,ギア27c、及び非円形ギア37d,37e組によ
る伝達駆動系を通して行われ、該減圧制御の過程で減圧
し低圧になるほど低い減速比の状態をもってカム回転が
行える。また、増圧制御のためのカム回転は、かかる減
速比の変化する減速機構を含んだ伝達駆動系を通して行
われ、この場合は、該増圧制御の過程で元の高い圧力に
向け増圧されるに至るほど高い減速比の状態をもってカ
ム回転駆動が行える。
【0106】本例のブレーキ制御アクチュエータによる
と、モータ27aによるカム28aの駆動にあたり、ホ
イールシリンダ側の容積が最小になる位置においては減
速比を高く、容積が大きくなるに従って減速比を低くす
るようにすることができ、圧力が高くなり得る容積最小
位置においては、その高い圧力に対応した、より充分な
減速比を確保し、かつ圧力が高くなり得ない容積が拡大
した位置においては、減速比を下げてカム28aの回転
を、より高める構成とすることができる。このようにす
ることで、モータ27aを常に最大出力点付近で動作す
るようにできるため、モータ27aとして、必要最低限
の出力のモータで性能を達成することができる。従っ
て、それによる更なる装置の小型化・モータの低価格化
を図ることができる。
【0107】更にまた、動作させたときのモータ27a
の必要回転量が少なくて済むものであり、例えば初期状
態(前述の〔1.通常のブレーキの場合〕の常態の状
態)からフル減圧まで動作させたときのモータ27aの
回転量が、減速比が一定のものであった場合のものに比
し減少するので、その分、アクチュエータの寿命におけ
るモータとブラシの摺動距離が短くなり、モータの耐久
性向上、あるいはモータのみの耐久寿命低下によるコス
ト低減を図ることができる。このことは、図9を参照
し、更に以下のように説明することもできる。図9は、
モータの性能線図と動作の様子を表すものである。モー
タは、一般に供給電圧が一定であれば、回転数はトルク
とともに低下する(図9中、一点鎖線)。従って、モー
タの出力は無負荷回転と拘束状態の中間付近で最大とな
る(図の凸曲線)。
【0108】しかして、一定減速比の減速機構の構造の
場合では、上述のような圧力の制御において、圧力が高
い状態では拘束に近い部分で動作し、圧力が低下するに
従って無負荷に近い部分で動作することとなる。従っ
て、動作範囲は図のE′からF′のような範囲であり、
平均した出力は同図の如くG′に示すような値のものに
なる。ところが、本例に従う構造を用いると、前述のよ
うにカム28aの回転角度(=負荷)に応じて減速比が
変化するため、使用モータの動作点を例えば図に示す
H′からI′のように最高出力点に近い所に集めること
ができる。従って、平均したモータの出力は同図のJ′
のように高まり、モータの能力をより高く発揮させるこ
とができる。従って、システムとして必要な平均出力が
図示のG′に相当する出力であれば、本例のアクチュエ
ータを採用することによって、図のJ′がG′になるよ
うに、使用することとなるそのモータ自体の最高出力を
下げることができ、このことから一層のモータの低コス
ト化・小型化、装置の低コスト化を図ることができる。
【0109】また、カムの動作範囲を例えば0.8回転
とするとともに、減速比については、これを、一定減速
比の減速機構の例ではカム位置によらず「10」一定の
ものとし、一方、本例では「10」から「1」まで比例
的に変化させる構成のものと仮定すると、カムをフルに
動作せるためのモータの回転量は、一定減速比の減速機
構の例の場合にあっては、単純に0.8×10=8回転
であるのに対し、本例では、減圧方向へ制御するに従っ
て、つまりギア比が下がるに従ってモータ27aの回転
量は少なくなるため、4.4回転で済む。
【0110】アクチュエータ動作時には、例えばABS
作動による前述のような〔2−1.減圧時の動作〕,
〔2−2.増圧時の動作〕等のスキッドサイクルが繰り
返えされるところ、かかる減増圧や、あるいはトラクシ
ョン制御等での増減圧において、そのように少ないモー
タ回転で足りると、これは、寿命の面から見たときのブ
ラシの摺動距離(積算される総摺動距離)が、半減する
ことを意味する。ここで、モータの耐久性は、回転摺動
によるブラシの摩耗が大きな原因となるところ、本実施
例構成に従い上述のように動作中のモータ27aの回転
量が減ることによって、その分、そのようなブラシの摩
耗も減らし、よって耐久性の向上を図ることがもきる。
【0111】あるいはまた、これによれば、モータの寿
命を一定減速比の例の場合の使用モータより短くして
も、アクチュエータとしての寿命は縮まないことになる
ので、モータの耐久寿命低下分でコスト低下を図ること
も実現することが可能となる。このように、図6の第2
ピニオン27d・第2ギア27eを上記のような非円形
ギアとすることも可能な構成であり、これを使用するメ
リット、即ちモータの小型化・低価格化・耐久性向上な
ども実現することができる。
【0112】以上の実施例、変形例等に記載された内容
は、以下の発明として捉えることもできる。 (1) 車両のブレーキマスターシリンダとホイールシ
リンダの間に介挿され、車両から検出される走行状態に
応じてマスターシリンダとホイールシリンダの間の作動
液通路を遮断する通路遮断手段と、遮断されたホイール
シリンダ側の容積を変化させる容積変化手段とを有し、
該容積変化手段は回転モータにより駆動される端面カム
と、そのカムの面を倣い動作することで直進駆動される
軸部材と、該軸部材に当接するピストンと、該ピストン
を内蔵するシリンダで構成され、前記軸部材とカムとの
接触面にカムフォロアを設け、該カムフォロアは、前記
ピストンが容積を拡大する方向にカムが回転する場合に
は回転しないよう構成したアクチュエータであって、前
記通路遮断手段を電気的操作によって開閉可能な電磁弁
とし、かつ前記シリンダ内に、ピストンを容積拡大方向
に付勢するばねを設け、また、好ましくは、前記軸部材
を、その一端にカムフォロアを設け、他端がピストンに
当接する構成とし、ピストン変移方向の延長線上にカム
とカムフォロアの接触部分が来るように、シリンダ・軸
部材を配置してなる、ことを特徴とするブレーキ制御ア
クチュエータ。
【0113】(2) 前記カムのカムフォロアとの接触
面をカムの外周付近に設定し、カム形状は円筒状とし、
その内部に前記モータを位置させる、ことを特徴とする
上記(1)項記載のブレーキ制御アクチュエータ。 (3) 前記軸部材を直進方向に導く案内部材を備える
とともに、前記モータが固定マグネット式直流モータで
あって、当該案内部材は該モータのヨークに設けるよう
構成してなる、ことを特徴とする上記(1)項、または
(2)項記載のブレーキ制御アクチュエータ。 (4) 前記モータの回転を減速する減速装置を備え、
該減速装置に非円形な歯車を用いる、ことを特徴とする
上記(1)項、(2)項、または(3)項記載のブレー
キ制御アクチュエータ。 (5) 上記(1)項、(2)項、(3)項、または
(4)項のいずれかに記載のブレーキ制御アクチュエー
タを用いて、制御対象車輪のブレーキ圧の制御をするト
ラクション制御装置または定速走行装置。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明アクチュエータの一実施例の構成を示す
図である。
【図2】本発明ブレーキ制御システムの一実施例の構成
を示す図である。
【図3】同システムでの制御プログラムの一例で、その
一部を示すフローチャートである。
【図4】同じく、他の一部を示すフローチャートであ
る。
【図5】同じく、他の一部を示すフローチャートであ
る。
【図6】本発明アクチュエータの他の実施例の構成を示
す図である。
【図7】同例に適用できる固定マグネット式直流モータ
の一例の断面図である。
【図8】変形例の説明に供する図である。
【図9】モータの性能線図、並びに動作の様子の説明図
である。
【符号の説明】
1 ブレーキ操作部 1a ブレーキぺダル 1b ブースタ 1c マスターシリンダ 1d リザーバタンク 2 液圧配管 3 ホイールシリンダ 5 ブレーキディスク 6 液路(液圧配管) 10,10′,10−1〜10−4 ブレーキ制御アク
チュエータ 14 カット弁 14a リターンスプリング 14c バルブシート 14d ポート 14e プランジャ 14f 電磁コイル 15 制御シリンダ部 15a シリンダ 15b ポート 15c スプリング 16 制御ピストン部 16a ピストン 16c シール 16d 小径部 17 トルク発生装置 17a モータ(電動モータ) 17b ピニオン 17c ギア 18 端面カム部 18a カム 18b 上面の端面 19 ロッド部 19a ロッド 19a′ 小径部 19c カムフォロア 27 トルク発生装置 27a モータ(電動モータ) 27a−1,27a−2 マグネット 27a−3 ローター 27a−4 ヨーク 27b ピニオン(第1ピニオン) 27c ギア(第1ギア) 27d ピニオン(第2ピニオン) 27e ギア(第2ギア) 27f カイドレール 28 端面カム部 28a カム 28b 上面の端面 29 ロッド部 29a ロッド 29b カムフォロアハウジング 29c カムフォロア 37d 駆動側非円形ギア 37e 従動側非円形ギア 51 制御回路 61〜64 車輪速センサ 66 マスターシリンダ圧力センサ 67 スロットル開度センサ

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車輪のホイールシリンダに作動液を導く
    系に介挿して用いられ、かつ、下記のカム及びカムフォ
    ロアの組合せを有して構成されるアクチュエータであっ
    て、 車両のブレーキマスターシリンダと前記ホイールシリン
    ダの間の作動液通路を遮断する、開閉制御可能な電磁弁
    と、斯く遮断されるホイールシリンダ側の容積を変化さ
    せる容積変化手段とを備え、 該容積変化手段は、モータにより駆動されるカムと、該
    カムの面をカムフォロアを介し倣い動作することで直進
    駆動される軸部材と、該軸部材に当接する容積可変制御
    用のピストンと、該ピストンを内蔵するシリンダとを有
    し、 前記カムフォロアは、前記カムの面を上昇する方向に倣
    う場合は回転し、そのカムの面を下る方向に倣う場合は
    回転しないよう構成されるとともに、 前記容積変化手段には、前記シリンダ内のピストンを容
    積拡大方向に付勢するばねを具備させてなる、 ことを特徴とするブレーキ制御アクチュエータ。
  2. 【請求項2】 前記容積変化手段の軸部材を、その一端
    に前記カムフォロアを設け、その他端が前記ピストンに
    当接する構成とし、前記ピストン変位方向のほぼ延長線
    上に当該カムフォロアと前記カムとの接触箇所がくるよ
    うに、前記シリンダ、軸部材を配置するよう構成してな
    る、 ことを特徴とする請求項1記載のブレーキ制御アクチュ
    エータ。
  3. 【請求項3】 前記ばねの長さは、その長さまで前記ピ
    ストンを後退させたとした状態から前記電磁弁を閉じて
    前記シリンダのほぼ端部位置まで当該ピストンを進出さ
    せたときに発生する圧力が、制御上必要な圧力以上とな
    る長さに設定される、 ことを特徴とする請求項1、または請求項2記載のブレ
    ーキ制御アクチュエータ。
  4. 【請求項4】 前記ばねの長さは、アンチスキッド制御
    を開始する際に初期に発生する圧力の最低値を、大気圧
    まで下げるだけの容積変化を生じさせる長さ以下に設定
    されている、 ことを特徴とする請求項1、請求項2、または請求項3
    記載のブレーキ制御アクチュエータ。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至請求項4のいずれかに記載
    のブレーキ制御アクチュエータを備えるとともに、 運転者の期待する制動度合いを検出する制動意志検出セ
    ンサと、 車両の状態を検出する車両状態検出センサと、 それらセンサからの情報を基に制御対象車輪のブレーキ
    圧力の増減圧を判断し、当該アクチュエータへの指令を
    与える制御手段とを備えてなる、 ことを特徴とするブレーキ制御システム。
  6. 【請求項6】 前記制御手段による制御は、 前記モータの回転により前記ばねの力で前記ピストンが
    容積拡大方向に押されることによってその容積変化手段
    のシリンダへ作動液を吸い込ませ、 斯く容積の拡大したシリンダに作動液を充填させた後
    に、前記電磁弁を閉じる制御を実行するよう、 前記アクチュエータにおける電磁弁とモータに対してす
    る制御手順を含む、 ことを特徴とする請求項5記載のブレーキ制御システ
    ム。
  7. 【請求項7】 前記制動意志検出センサは、マスターシ
    リンダ圧力センサか、またはブレーキペダル踏力センサ
    のいずれかである、 ことを特徴とする請求項5、または請求項6記載のブレ
    ーキ制御システム。
  8. 【請求項8】 前記車両状態検出センサによって、ブレ
    ーキ圧力をマスターシリンダ圧力より上昇させる制御が
    必要となる可能性があるか否かを判断し、この増圧制御
    可能性がある場合には、前記ばねによって前記ピストン
    を後退させてシリンダ容積を拡大しシリンダ内に作動液
    を充填するように前記モータを駆動制御する、 ことを特徴とする請求項5、請求項6、または請求項7
    記載のブレーキ制御システム。
  9. 【請求項9】 前記車両状態検出センサはスロットル開
    度センサを含み、 該センサに基づき得られるスロットル開度、またはスロ
    ットル開速度、あるいはその両者が、予め決められた所
    定のしきい値を上回った場合に前記増圧制御可能性あり
    と判断する、 ことを特徴とする請求項8記載のブレーキ制御システ
    ム。
  10. 【請求項10】 前記車両状態検出センサは、前車との
    距離を測定する車間距離センサを含み、 該センサに基づき得られる、前車との車間距離、または
    相対速度、あるいはその両者が、予め決められた所定の
    しきい値を上回った場合に前記増圧制御可能性ありと判
    断する、 ことを特徴とする請求項8、または請求項9記載ブレー
    キ制御システム。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE102008035292A1 (de) 2007-07-31 2009-02-05 Hitachi, Ltd. Bremsvorrichtung
JP2016068865A (ja) * 2014-09-30 2016-05-09 日信工業株式会社 バーハンドル車両用ブレーキ制御装置
CN112539110A (zh) * 2020-11-25 2021-03-23 潍柴动力股份有限公司 发动机缸内制动控制方法

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