JPH10331876A - 電動式ブレーキ装置 - Google Patents

電動式ブレーキ装置

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JPH10331876A
JPH10331876A JP9242679A JP24267997A JPH10331876A JP H10331876 A JPH10331876 A JP H10331876A JP 9242679 A JP9242679 A JP 9242679A JP 24267997 A JP24267997 A JP 24267997A JP H10331876 A JPH10331876 A JP H10331876A
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涼一 倉迫
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康徳 吉野
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    • F16DCOUPLINGS FOR TRANSMITTING ROTATION; CLUTCHES; BRAKES
    • F16D65/00Parts or details
    • F16D65/14Actuating mechanisms for brakes; Means for initiating operation at a predetermined position
    • F16D65/16Actuating mechanisms for brakes; Means for initiating operation at a predetermined position arranged in or on the brake
    • F16D65/18Actuating mechanisms for brakes; Means for initiating operation at a predetermined position arranged in or on the brake adapted for drawing members together, e.g. for disc brakes

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Abstract

(57)【要約】 【課題】モータを駆動源とするディスクブレーキを備え
た電動式ブレーキ装置において、ディスクブレーキの大
形化および構造複雑化を回避しつつ、モータの駆動力の
割りに大きな車輪制動力を発生させる。 【解決手段】超音波モータ72を駆動源とするディスク
ブレーキ10に、超音波モータ72を一対のレバー3
0,30を介して一対の摩擦パッド14,14に係合さ
せることにより、車両制動時に、ディスクロータ11と
一対の摩擦パッド14,14との間に発生する摩擦力に
よりその摩擦力を増加させるセルフサーボ効果を発生さ
せる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、モータを駆動源と
して車輪を制動するモータ駆動式ディスクブレーキを備
えた電動式ブレーキ装置に関するものであり、特に、モ
ータの駆動力(駆動トルクを含む)の割に大きな車輪制
動力を得る技術の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】上記電動式ブレーキ装置においては、モ
ータの駆動力の割に大きな車輪制動力を発生させたいと
いう要望がある。この要望を満たす一従来装置が実開平
5−22234号公報に記載されている。この従来装置
においては、モータと摩擦パッドとの間に、モータの駆
動力を倍力して摩擦パッドに付与する倍力機構が設けら
れるとともに、その倍力機構が、減速機構とねじ機構と
が直列に接続された構造とされている。しかし、この従
来装置には、大きな車輪制動力を発生させるためにモー
タおよび倍力機構にかかる負担が大きく、そのため、そ
れらモータおよび倍力機構が大形化し易く、その結果、
モータ駆動式ディスクブレーキが大形化し易いという問
題があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題,課題解決手段,作用お
よび効果】本発明は以上の事情を背景としてなされたも
のであり、その課題は、車輪制動時に摩擦パッドに発生
する摩擦力を有効に利用することにより、モータ駆動式
ディスクブレーキの大形化を回避しつつ、モータの駆動
力の割に大きな車輪制動力を発生させ得る電動式ブレー
キ装置を提供することにある。
【0004】この課題は下記態様の電動式ブレーキ装置
によって解決される。なお、以下の説明において、本発
明の各態様を、それぞれに項番号を付して請求項と同じ
形式で記載する。各項に記載の特徴を組み合わせて採用
することの可能性を明示するためである。
【0005】(1) モータを駆動源として車輪を制動する
モータ駆動式ディスクブレーキであって、(a) 摩擦面を
備えて車輪と共に回転するディスクロータと、(b) その
ディスクロータに前記摩擦面において接触させられてデ
ィスクロータの回転を抑制する摩擦パッドと、(c) その
摩擦パッドを少なくとも前記摩擦面と交差する方向に移
動可能に支持するパッド支持機構と、(d) モータおよび
加圧部材を備え、モータの駆動力により加圧部材を介し
て前記摩擦パッドを前記ディスクロータに向かって加圧
するパッド加圧機構と、(e) 前記ディスクロータと前記
摩擦パッドとの間に発生する摩擦力によりその摩擦力を
増加させるセルフサーボ機構とを有するモータ駆動式デ
ィスクブレーキと、前記モータを制御するモータ制御装
置とを含むことを特徴とする電動式ブレーキ装置〔請求
項1〕。このブレーキ装置においては、セルフサーボ機
構により、摩擦パッドに、モータの同じ駆動力の下にお
いてセルフサーボ機構がない場合におけるより大きな摩
擦力が付与される。したがって、このブレーキ装置によ
れば、摩擦パッドの摩擦力を利用しないでモータの駆動
力のみを利用して摩擦パッドをディスクロータに押圧す
る前記従来装置に比較して、モータにかかる負担が軽減
されてモータの小形化が容易となる。その結果、モータ
駆動式ディスクブレーキの小形化も容易となり、よっ
て、そのモータ駆動式ディスクブレーキの車体への搭載
し易さも向上する。このブレーキ装置の用途は、常用ブ
レーキとしたり、駐車ブレーキとすることができ、ま
た、常用ブレーキのうち、アンチロック制御,トラクシ
ョン制御等、自動ブレーキにも使用することができる。
また、このブレーキ装置において「モータ」は、巻線型
モータとしたり、超音波モータとすることができる。超
音波モータは、非通電状態における静止保持トルクが巻
線型モータに比較して大きいことから、このブレーキ装
置を駐車ブレーキ装置として使用する場合に、「モー
タ」を超音波モータとすれば、駐車のための制動力を少
ない電力で確保し得る。また、このブレーキ装置は例え
ば、摩擦パッドがディスクロータを両側から挟んで一対
設けられる場合に、それら一対の摩擦パッドの一方に発
生した摩擦力により同じ摩擦パッドのセルフサーボ効果
を発生させる形態で実施したり、一方の摩擦パッドに発
生した摩擦力により異なる摩擦パッドのセルフサーボ効
果を発生させる形態で実施することができる。 (2) 前記パッド加圧機構が、前記モータの駆動力により
前記摩擦パッドを前記ディスクロータに押圧する第1押
圧力を発生させる第1押圧装置を含み、前記セルフサー
ボ機構が、前記摩擦力により前記摩擦パッドを前記ディ
スクロータに押圧する第2押圧力を発生させる第2押圧
装置を含む(1) 項に記載の電動式ブレーキ装置。このブ
レーキ装置において「第1および第2押圧力」はそれぞ
れ、互いに異なる経路に沿って加圧部材から摩擦パッド
に伝達される態様としたり、同じ経路に沿って伝達され
る態様とすることができる。 (3) 前記摩擦パッドが、前記ディスクロータを両側から
挟んで一対設けられ、前記パッド加圧装置およびセルフ
サーボ機構が、前記一対の摩擦パッドの少なくとも一方
に対応して設けられたレバーを含み、そのレバーが、
(a) 前記ディスクロータの回転軸線と交差する第1回動
軸線の回りに回動可能に固定部材と連結された第1連結
部と、(b) 車体が前方向と後方向とのうち予め定められ
た第1方向に走行するときに前記一対の摩擦パッドのう
ち対応する対応摩擦パッドに発生する前記摩擦力を受け
る第1受け部と、(c) 前記対応摩擦パッドに背後から係
合して力を付与する係合部とを有するとともに、それら
第1連結部,第1受け部および係合部間の相対位置関係
が、第1受け部が前記対応摩擦パッドから受けた摩擦力
により、係合部がディスクロータに接近する向きのモー
メントが当該レバーに発生するように予め設定された
(1) または(2) 項に記載の電動式ブレーキ装置。このブ
レーキ装置によれば、レバーを主体とした構造によりセ
ルフサーボ機能を実現し得る。このブレーキ装置を実施
するための一形態においては、レバーにおける力点(第
1受け部),支点(第1連結部)および作用点(係合
部)間の相対位置関係(レバー比)が、摩擦パッドに発
生した摩擦力が倍力された力が摩擦パッドに付与される
ように予め設定される。そして、この形態によれば、セ
ルフサーボ機能が効果的に実現される。別の形態におい
ては、レバーに、モータの駆動力が入力される入力部が
設けられる。そして、この形態によれば、共通のレバー
により、モータの駆動力に基づく力の摩擦パッドへの付
与と、摩擦パッドに発生した摩擦力に基づく力の摩擦パ
ッドへの付与とが一緒に行われるため、別々の部材によ
りそれら2種類の力の付与を行う場合に比較して、モー
タ駆動式ディスクブレーキの小形化を容易に行い得る。 (4) 前記パッド加圧機構およびセルフサーボ機構が、前
記レバーを前記一対の摩擦パッドに対応して一対含むと
ともに、さらに、それら一対のレバーを前記ディスクロ
ータを跨いで互いに連結する一対のリンクを含み、それ
ら一対のリンクが、2本のリンクが互いに、前記第1回
動軸線と平行な第2回動軸線の回りに回動可能に連結さ
れた構成を有し、各リンクが、(d) 前記第2回動軸線と
平行な第3回動軸線の回りに回動可能に、前記一対のレ
バーのうち対応する対応レバーと連結された第2連結部
と、(e) 前記車体が前方向と後方向とのうち前記第1方
向とは異なる第2方向に走行するときに前記対応摩擦パ
ッドに発生する前記摩擦力を受ける第2受け部とを有す
るとともに、それら第2連結部および第2受け部と前記
第1連結部および係合部間の相対位置関係が、第2受け
部が前記対応摩擦パッドから受けた摩擦力により、係合
部がディスクロータに接近する向きのモーメントが前記
対応レバーに発生するように予め設定された(3) 項に記
載の電動式ブレーキ装置。このブレーキ装置によれば、
車体が前進する際のみならず後退する際にもセルフサー
ボ機能を実現し得、車体の前進時であるか後退時である
かを問わず、大きな車輪制動力を発生させ得る。 (5) さらに、前記車輪と路面との間に発生する制動力が
第1設定値より小さい状態で、前記セルフサーボ機構に
よるセルフサーボ効果の発生を阻止するセルフサーボ効
果発生阻止機構を含む(1) ないし(4) 項のいずれかに記
載の電動式ブレーキ装置〔請求項2〕。セルフサーボ効
果は、モータ駆動力の割りに大きな摩擦力を摩擦パッド
に発生させ得るという利点を有する反面、モータ駆動力
のみかけ上の倍力率(ゲイン,増幅率)、すなわち、実
摩擦力をモータ駆動力で割り算した値が大きくなり、そ
のため、モータ駆動力に対する実摩擦力すなわち実車輪
制動力の応答性が過敏になり易く、また、実摩擦力がモ
ータ駆動力に対して非線形で増加する傾向があり、ま
た、摩擦パッドの摩擦係数の変動の影響を受け易いとい
う欠点を有する。そして、この欠点は、ブレーキの効き
の不安定化につながり易い。一方、セルフサーボ効果
は、その必要性がブレーキ操作状態において常に高いわ
けではなく、通常ブレーキ操作時には低い一方、急ブレ
ーキ操作時には高い。また、通常ブレーキ操作時には、
ブレーキの効きの安定化を優先すべきである一方、急ブ
レーキ操作時には、実車輪制動力の極大化のためにブレ
ーキの効きの極大化を優先すべきである。以上の事情に
鑑み、本項に記載のブレーキ装置は、必要の有無に応じ
てセルフサーボ効果を選択的に発生させることを課題と
してなされたものである。そして、このブレーキ装置に
おいては、車輪と路面との間に発生する車輪制動力が第
1設定値より小さい状態で、セルフサーボ機構によるセ
ルフサーボ効果の発生が阻止される。したがって、この
ブレーキ装置によれば、セルフサーボ効果の発生が不適
当である状態、すなわち、要求される車輪制動力が小さ
い通常ブレーキ操作時に、セルフサーボ効果が発生せ
ず、よって、ブレーキの効きが不安定にならずに済み、
一方、要求される車輪制動力が大きい急ブレーキ操作時
に、セルフサーボ効果が発生し、ブレーキの効きが増加
して、モータ駆動力の割りに大きな車輪制動力が発生す
る。このブレーキ装置において「第1設定値」は、ブレ
ーキ操作力が通常使用範囲(通常ブレーキ操作時におけ
るブレーキ操作力の変化範囲)の上限値にあるときに車
輪制動力が取ることが予想される値としたり、車体減速
度が0.5〜0.6Gであるときに車輪制動力が取るこ
とが予想される値とすることができる。また、このブレ
ーキ装置において「セルフサーボ効果発生阻止機構」
は、摩擦力により摩擦パッドがディスクロータに連れ回
ることを利用してセルフサーボ効果を発生させる構造を
有する場合に、摩擦パッドの連れ回りを機械的に阻止す
る形式(電気信号を使用しない形式)としたり、電気的
に阻止する形式(電気信号を使用する形式)とすること
ができる。 (6) 前記セルフサーボ機構が、前記摩擦力により前記摩
擦パッドが前記ディスクロータに連れ回ることを利用し
てセルフサーボ効果を発生させる構造を有するものであ
り、前記セルフサーボ効果発生阻止機構が、弾性力によ
り前記摩擦パッドの連れ回りを阻止する弾性部材を含む
(5) 項に記載の電動式ブレーキ装置。 (7) 前記セルフサーボ機構が、前記摩擦力により前記摩
擦パッドが前記ディスクロータに連れ回ることを利用し
てセルフサーボ効果を発生させるとともにその連れ回り
量に応じた大きさでセルフサーボ効果を発生させる構造
を有するものであり、前記弾性部材が、弾性力が弾性変
形量の増加に対して増加する状態で使用されるものであ
る(5) 項に記載の電動式ブレーキ装置。前項に記載のブ
レーキ装置における「弾性部材」は例えば、弾性変形量
とはほぼ無関係に一定の弾性力を摩擦パッドに付与する
状態で使用される。この場合には、その一定の弾性力の
設定により、摩擦パッドの連れ回り開始時期すなわちセ
ルフサーボ効果の発生開始時期を制御可能である。これ
に対して、「弾性部材」を、弾性力を弾性変形量の増加
に対して増加する状態で使用する場合には、「弾性部
材」により、セルフサーボ効果の発生開始時期のみなら
ず、セルフサーボ状態においてセルフサーボ効果の増加
勾配(前述の、モータ駆動力のみかけ上の倍力率に対応
する)をも制御可能となる。そして、「弾性部材」の弾
性力と弾性変形量との関係すなわち弾性係数を適正化す
れば、(a) 「弾性部材」から摩擦パッドに付与する力を
小さくして摩擦パッドの連れ回り開始を容易にすること
により、セルフサーボ効果の発生開始を容易にすること
と、(b) セルフサーボ効果の発生状態で、「弾性部材」
から摩擦パッドに付与する力を大きくして摩擦パッドの
連れ回り速度の過大化を抑制することにより、セルフサ
ーボ効果の増加勾配の過大化を防止することとの両立を
容易に実現し得る。以上の知見に基づき、本項に記載の
ブレーキ装置においては、弾性部材が、弾性力が弾性変
形量の増加に対して増加する状態で使用される。したが
って、このブレーキ装置によれば、セルフサーボ効果の
発生開始時期のみならず、セルフサーボ効果の発生状態
においてセルフサーボ効果の増加勾配をも制御可能とな
る。また、セルフサーボ効果の減少勾配も制御可能とな
る。ところで、例えば、摩擦パッドをくさびとして機能
させてセルフサーボ効果を発生させるくさび型セルフサ
ーボ機構を採用する場合であって、「弾性部材」を弾性
変形量とはほぼ無関係に一定の弾性力を摩擦パッドに付
与する状態で使用する場合には、ブレーキ操作の解除時
に、車輪制動力の減少勾配が過大になる可能性がある。
その理由は後に発明の実施の形態の欄において説明す
る。そして、セルフサーボ効果の発生状態において「弾
性部材」の弾性力を大きくすることが、車輪制動力の減
少勾配の過大化を防止するのに有効であり、このことを
セルフサーボ効果の発生開始の容易化と両立させるため
に、本項に記載のブレーキ装置が有効である。 (8) 前記弾性部材が、弾性力が弾性変形量の増加に対し
て線型で増加する状態で使用される(7) 項に記載の電動
式ブレーキ装置。 (9) 前記セルフサーボ機構が、前記摩擦力により前記摩
擦パッドが前記ディスクロータに連れ回ることを利用し
てセルフサーボ効果を発生させるとともにその連れ回り
量に応じた大きさでセルフサーボ効果を発生させる構造
を有するものであり、前記セルフサーボ効果発生阻止機
構が、弾性力により前記摩擦パッドの連れ回りを阻止す
る弾性部材であって、弾性力が弾性変形量の増加に対し
て非線型で増加する状態で使用されるものを含む(5) 項
に記載の電動式ブレーキ装置〔請求項3〕。このブレー
キ装置によれば、前項に記載のブレーキ装置におけるよ
り、一つの弾性部材に対する種々の要求を同時に満たす
ことが容易となる。(10)前記弾性部材が、前記弾性変形
量の増加に対する前記弾性力の増加率が弾性変形量が大
きい場合において小さい場合におけるより大きい状態で
使用される(9) 項に記載の電動式ブレーキ装置〔請求項
4〕。弾性部材を、弾性変形量の増加に対する弾性力の
増加率(弾性係数)が弾性変形量が大きい場合において
小さい場合におけるより大きくなるように設計すれば、
セルフサーボ効果の発生開始を容易にすることと、セル
フサーボ状態においてセルフサーボ効果の増加勾配の過
大化を防止することとの両立をより容易に図り得る。ま
た、くさび型セルフサーボ機構を採用する場合には、さ
らにセルフサーボ効果の減少勾配の早期過大化の防止と
の両立もより容易に図り得る。 (11)さらに、前記モータの駆動力の変化に対する前記セ
ルフサーボ効果の変化勾配を機械的に制御する勾配制御
機構を含む(1) ないし(10)項のいずれかに記載の電動式
ブレーキ装置〔請求項5〕。上述のように、セルフサー
ボ状態においてはセルフサーボ効果の変化勾配が過大化
し易いが、このブレーキ装置によれば、勾配制御機構に
より機械的にセルフサーボ効果の変化勾配を制御し得る
ため、セルフサーボ効果の変化勾配の過大化を防止し得
る。このブレーキ装置において「勾配制御機構」の一態
様は、上記弾性部材を用い、かつ、それの弾性係数を適
正化することによりセルフサーボ効果の増加勾配を制御
するものであり、別の態様は、摩擦パッドの加圧部材と
の接触面を用い、かつ、その接触面の、摩擦面に対する
傾斜角を適正化することによりセルフサーボ効果の増加
勾配を制御するものであり、さらに別の態様は、上記弾
性部材を用い、かつ、それの弾性係数を適正化すること
によりセルフサーボ効果の減少勾配を制御するものであ
る。 (12)前記パッド支持機構が、固定部材を含み、かつ、そ
の固定部材が、前記摩擦パッドを前記ディスクロータの
回転方向における両側から挟む一対の部分を含み、前記
弾性部材が、一端部が、前記摩擦パッドの前記ディスク
ロータの回転方向における両端部のうち車体前進時に摩
擦パッドがディスクロータに連れ回る側に位置する連れ
回り側端部に連携させられる一方、他端部が、前記一対
の部分のうち前記連れ回り側端部に近いものに連携させ
られるものである(1) ないし(11)項のいずれかに記載の
電動式ブレーキ装置。このブレーキ装置において「固定
部材」は例えば、車体に位置固定に取り付けられるマウ
ンティングブラケットである。また、「一対の部分」は
例えば、車体前進時と車体後退時とに摩擦力により摩擦
パッドのディスクロータの回転方向における両端部の一
方と他方とからそれぞれ作用する力を受ける一対の受け
部である。 (13)前記パッド支持機構が、固定部材を含み、かつ、そ
の固定部材が、前記摩擦パッドの前記ディスクロータの
回転方向における両側から挟む一対の部分を含み、前記
弾性部材が、一端部が、前記摩擦パッドの前記ディスク
ロータの回転方向における両端部のうち車体前進時に摩
擦パッドがディスクロータに連れ回る側に位置する連れ
回り側端部に連携させられる一方、他端部が、前記一対
の部分のうち前記連れ回り側端部から遠いものに連携さ
せられるものである(1) ないし(11)項のいずれかに記載
の電動式ブレーキ装置〔請求項6〕。このブレーキ装置
においては、前項に記載のブレーキ装置(以下、「先の
ブレーキ装置」という)におけると同様に、弾性部材の
一端部は摩擦パッド、他端部は固定部材の一対の部分に
連携させられるが、先のブレーキ装置に比較して、弾性
部材をディスクブレーキに容易に搭載可能となる。具体
的に説明すれば、先のブレーキ装置においては、弾性部
材の一端部が、摩擦パッドの連れ回り側端部に連携させ
られる一方、他端部が、固定部材の一対の部分のうち連
れ回り側端部に近いものに連携させられる。そのため、
弾性部材を棒状または板状とする場合に、弾性部材の両
端部間の距離が短いにもかかわらず十分な弾性圧縮量を
確保するために、弾性部材の形状を概して、一対のアー
ム部が狭い空間を隔てて並んだU字状とすることが必要
となる。その結果、弾性部材をディスクブレーキに搭載
するために、弾性部材搭載のためのスペースをディスク
ブレーキにあえて設けることが必要となり、ディスクブ
レーキが大形化し易い。これに対して、本項に記載のブ
レーキ装置においては、弾性部材の一端部は、先のブレ
ーキ装置におけると同様に、摩擦パッドの連れ回り側端
部に連携させられる一方、他端部は、先のブレーキ装置
におけるとは異なり、固定部材の一対の部分のうち連れ
回り側端部から遠いものに連携させられる。そのため、
弾性部材を棒状または板状とする場合に、弾性部材の両
端部間の距離が長いために、弾性部材を上記の場合にお
けるような形状とすることが不可欠ではなくなり、弾性
部材搭載のためのスペースをディスクブレーキにあえて
設けることも不可欠ではなくなる。ディスクブレーキに
既存の空間を有効に利用して搭載可能となるのである。
したがって、このブレーキ装置によれば、先のブレーキ
装置に比較して、弾性部材をディスクブレーキに容易に
搭載可能となるのである。このブレーキ装置において
「弾性部材」は棒状または板状で真っ直ぐに延びる形状
を主体としたり、円弧状に延びる形状を主体としたり、
波状で真っ直ぐにまたは曲がって延びる形状を主体とす
ることができる。 (14)前記摩擦パッドが、前記ディスクロータを両側から
挟んで一対設けられ、前記パッド加圧機構が、(a) 前記
ディスクロータを跨いで前記一対の摩擦パッドに係合す
るとともに前記摩擦面と交差する方向に移動可能なキャ
リパボデーであって、一方の摩擦パッドをディスクロー
タに押圧するための押圧部と、他方の摩擦パッドに係合
するリアクション部とが形成されているキャリパボデー
と、(b)前記押圧部に前記摩擦面と交差する方向に移動
可能に支持された加圧ロッドであって、前記モータの駆
動力により作動させられるものとを含み、前記加圧部材
が、前記一方の摩擦パッドについては前記キャリパボデ
ー、前記他方の摩擦パッドについては前記加圧ロッドで
あり、前記パッド支持機構が、(a) 固定部材と、(b) そ
の固定部材のうち前記他方の摩擦パッドを前記ディスク
ロータの回転方向において両側から挟む一対の部分を互
いに連結するブリッジ部を含み、前記弾性部材が、その
ブリッジ部と概して平行に配置されている(13)項に記載
の電動式ブレーキ装置。ディスクブレーキは一般に、上
記ブリッジ部を含むように構成され、弾性部材は、その
ブリッジ部と概して平行に配置される形態で実施可能で
ある。ただし、ブリッジ部を設けることはディスクブレ
ーキにとって不可欠なことではない。そのため、ブリッ
ジ部を省略する一方、本来であればブリッジ部が設けら
れるべき位置に弾性部材を配置可能であり、このように
すれば、弾性部材の搭載のために新たな空間を確保せず
に済む。 (15)さらに、前記車輪と路面との間に発生する制動力が
第2設定値を超えようとする状態で、前記セルフサーボ
機構によるセルフサーボ効果の増加を阻止するセルフサ
ーボ効果増加阻止機構を含む(1) ないし(14)項のいずれ
かに記載の電動式ブレーキ装置〔請求項7〕。セルフサ
ーボ機能を実現し得る電動式ブレーキ装置においては、
摩擦パッドの摩擦力によりその摩擦力が増加させられる
ため、適当な時期にセルフサーボ効果の増加を積極的
に、または機械的に制限することが、セルフサーボ効果
の過大化を防止する上において望ましい。セルフサーボ
効果が過大となると、例えば、前述のように、摩擦パッ
ドのくさび効果を利用してセルフサーボ効果を発生させ
る形式のディスクブレーキにおいては、摩擦パッドがデ
ィスクロータと加圧部材との間に過大な力で挟まれ、加
圧部材の摩擦パッドへの食い込み量が過大となり、ブレ
ーキ操作の解除時に摩擦パッドが素早く戻らない等の不
都合が生じる可能性がある。以上の事情に鑑み、本項に
記載のブレーキ装置は、セルフサーボ効果の過大化を防
止し得ることを課題としてなされたものである。そし
て、このブレーキ装置においては、車輪と路面との間に
発生する制動力が第2設定値を超えようとする状態で、
セルフサーボ機構によるセルフサーボ効果の増加が阻止
される。したがって、このブレーキ装置によれば、セル
フサーボ効果の過大化を防止し得る。その結果、例え
ば、摩擦パッドのくさび効果を利用してセルフサーボ効
果を発生させる形式のディスクブレーキにおいては、加
圧部材の摩擦パッドへの食い込み量が過大とならずに済
み、ブレーキ操作の解除時に摩擦パッドが素早く戻らな
い等の不都合を回避し得る。このブレーキ装置において
「増加を阻止する」とは、増加を完全に阻止して一切許
容しない場合と、部分的に阻止して部分的に許容する場
合との双方を含む。また、このブレーキ装置において
「セルフサーボ効果増加阻止機構」は、摩擦パッドのさ
らなる連れ回りを阻止することにより、セルフサーボ効
果の増加を阻止する態様とすることができる。この態様
においては、摩擦パッドのさらなる連れ回りは、機械的
に阻止する形式(電気信号を使用しない形式)とした
り、電気的に阻止する形式(電気信号を使用する形式)
とすることができる。 (16)前記セルフサーボ機構が、前記摩擦力により前記摩
擦パッドが前記ディスクロータに連れ回ることを利用し
てセルフサーボ効果を発生させるとともにその連れ回り
量に応じた大きさでセルフサーボ効果を発生させる構造
を有するものであり、前記セルフサーボ効果増加阻止機
構が、その摩擦パッドを固定部材に当接させることによ
って摩擦パッドのさらなる連れ回りを阻止するストッパ
構造を有するものである(15)項に記載の電動式ブレーキ
装置。このブレーキ装置において「固定部材」は例え
ば、車体に位置固定に取り付けられるマウンティングブ
ラケットである。 (17)さらに、前記モータの温度上昇を抑制する温度上昇
抑制手段を含む(1) ないし(16)項のいずれかに記載の電
動式ブレーキ装置〔請求項8〕。モータを駆動源とする
電動式ブレーキ装置においては、摩擦パッドとディスク
ロータとの摩擦熱によりモータの温度が上昇したり、モ
ータ自身のコイルの発熱によってモータの温度が上昇す
る可能性がある。また、モータの温度(特に、コイルの
温度)が上昇すると、その作動が不安定になる可能性が
ある。以上の事情を背景として、本項に記載のブレーキ
装置は、熱に対する信頼性を向上させることを課題とし
てなされたものである。そして、このブレーキ装置にお
いては、温度上昇抑制手段により、モータの温度上昇が
抑制される。したがって、このブレーキ装置によれば、
モータの作動がそれの温度上昇によって不安定にならず
に済み、モータを駆動源とする電動式ブレーキ装置の熱
に対する信頼性を向上させ得る。 (18)前記温度上昇抑制手段が、前記モータから前記摩擦
パッドに力が伝達される力伝達系に設けられ、摩擦パッ
ドと前記ディスクロータとの間に発生する摩擦熱が前記
力伝達系を経てモータに伝達されることを抑制する伝熱
抑制部材を含む(17)項に記載の電動式ブレーキ装置〔請
求項9〕。このブレーキ装置によれば、簡単な熱対策に
よってモータの温度上昇を抑制し得る。 (19)前記セルフサーボ機構が、前記摩擦力により前記摩
擦パッドが前記ディスクロータに連れ回ることを積極的
に許容するとともに、その連れ回り状態において摩擦パ
ッドをディスクロータと前記加圧部材との間においてく
さびとして機能させることにより、セルフサーボ効果を
発生させるくさび型である(1) ないし(18)項のいずれか
に記載の電動式ブレーキ装置〔請求項10〕。このブレ
ーキ装置によれば、摩擦パッドのくさび効果を利用して
セルフサーボ機能を実現可能となる。このブレーキ装置
において「加圧部材」は、摩擦パッドがディスクロータ
を両側から挟んで一対設けられるとともに、それら一対
の摩擦パッドに対してモータが1個だけ、それら一対の
摩擦パッドの一方の側に配置される場合に、それら一対
の摩擦パッドのうちモータが配置された側に位置するも
のにそのモータの駆動力を伝達する部材を意味する用語
であると解釈することができ、また、その部材と、モー
タの駆動力を反対側の摩擦パッドに伝達する部材との双
方を含む用語であると解釈することもできる。 (20)さらに、前記摩擦パッドと前記加圧部材との間の摩
擦を低減させる摩擦低減手段を含む(19)項に記載の電動
式ブレーキ装置〔請求項11〕。このブレーキ装置にお
いては、摩擦低減手段により摩擦パッドと加圧部材との
間の摩擦が低減させられる。したがって、このブレーキ
装置によれば、摩擦パッドの連れ回りが加圧部材との摩
擦によって阻害されることが防止され、よって、セルフ
サーボ効果を効率よく発生させ得る。このブレーキ装置
において「摩擦低減手段」は、摩擦パッドと加圧部材と
の間に設けられ、少なくとも1個のボール,ローラ等、
転動体を転動可能に保持してそれら摩擦パッドと加圧部
材とを互いに当接させるスラストベアリング機構を含む
態様としたり、摩擦パッドの加圧部材との接触面と、加
圧部材のうち摩擦パッドとの接触面との少なくとも一方
に低摩擦材料が付着された態様としたり、それら2つの
接触面の少なくとも一方に、複数本の溝または突条が互
いに平行に並んだ凹凸形状が形成された態様とすること
ができる。 (21)前記セルフサーボ機構が、前記摩擦パッドの前記加
圧部材との接触面が、摩擦パッドが前記ディスクロータ
に連れ回るにつれて前記摩擦面との距離が増加する向き
にその摩擦面に対して傾斜した斜面を含むものである(1
9)または(20)項に記載の電動式ブレーキ装置。このブレ
ーキ装置において「斜面」は、ディスクロータの摩擦面
に対して傾斜するものであるため、「摩擦パッドの加圧
部材との接触面」が「斜面」を含むか否かは、摩擦パッ
ドのみとの関係において判断すべきではなく、ディスク
ロータの摩擦面との関係において判断すべきである。以
下、摩擦パッドが、表面においてディスクロータに接触
させられるべき摩擦材の裏面に裏金の表面が固着された
構造を有する場合を例に取り、具体的に説明する。この
例においては、摩擦パッドは裏金の裏面において加圧部
材と接触することになる。すなわち、この場合には、裏
金の裏面が「接触面」となるのである。そして、このよ
うな摩擦パッドに対して、摩擦材の板厚を摩擦パッドの
連れ回り方向において均一とする一方、裏金の板厚を摩
擦パッドの連れ回り方向において不均一とすれば、裏金
の裏面に、摩擦材に対して傾斜する斜面が形成されるこ
とになる。摩擦パッド単体で見た場合に斜面であると認
識される面が裏金の裏面に形成されることになるのであ
る。そして、摩擦材の板厚を均一とする一方、裏金の板
厚を不均一とした場合には、摩擦材に対して傾斜する斜
面は、ディスクロータに対して傾斜する斜面でもあるた
め、この場合には、「接触面」に「斜面」が形成されて
いると容易に判断することができる。これに対して、裏
金の板厚を摩擦パッドの連れ回り方向において均一とす
る一方、摩擦材の板厚を不均一とした場合には、摩擦材
の表面に、裏金に対して傾斜する斜面が形成されること
になる。摩擦パッド単体で見た場合に斜面であると認識
される面が摩擦材の表面、すなわち、「接触面」でない
面に形成されることになるのである。しかしながら、こ
の摩擦パッドをディスクロータの摩擦面との関係におい
て見れば、摩擦面に対する斜面は、この場合にも、裏金
の裏面、すなわち、「接触面」に形成されている。すな
わち、摩擦材または裏金のいずれかの板厚を不均一にす
ることによって斜面を形成する場合、板厚が不均一とさ
れる対象が裏金であるか摩擦材であるかを問わず、必ず
「接触面」に「斜面」が形成されることになるのであ
る。 (22)前記セルフサーボ機構が、前記摩擦パッドの前記加
圧部材との接触面が摩擦パッドの連れ回り方向において
前記摩擦面に対して傾斜する傾斜角が、摩擦パッドの連
れ回り方向において変化するものである(19)または(20)
項に記載の電動式ブレーキ装置〔請求項12〕。くさび
型セルフサーボ機構は、摩擦パッドの加圧部材との接触
面全体が斜面とされ、かつ、その斜面の勾配が摩擦パッ
ドの連れ回り方向において変化しない形態で実施可能で
ある。一方、くさび型セルフサーボ機構においては、斜
面の勾配が緩やかであるほど、摩擦パッドの連れ回りが
行われ易い。摩擦パッドがディスクロータに連れ回るた
めに打ち勝つべき力が小さくて済むからである。また、
くさび型セルフサーボ機構においては、斜面の勾配が急
であるほど、摩擦パッドに発生する摩擦力すなわち車輪
制動力の増加勾配が急になる。セルフサーボ効果の増加
勾配に急になるのである。したがって、摩擦パッドの接
触面全体を勾配が一定の斜面とした場合には、摩擦パッ
ドの連れ回りが容易には開始されないためにセルフサー
ボ効果の発生が容易には開始されないとともに、セルフ
サーボ機構の作用状態(以下、「セルフサーボ状態」と
もいう)においてセルフサーボ効果が過大になり易い。
すなわち、斜面の勾配を一定とした場合には、セルフサ
ーボ効果の発生開始の容易化と、セルフサーボ効果の増
加勾配の過大化防止との両立が困難となるのである。以
上の事情を背景にして、本項に記載のブレーキ装置は、
それらの両立を容易にすることを課題としてなされたも
のである。そして、このブレーキ装置においては、摩擦
パッドの加圧部材との接触面が摩擦パッドの連れ回り方
向において摩擦面に対して傾斜する傾斜角が、摩擦パッ
ドの連れ回り方向において変化する。したがって、この
ブレーキ装置によれば、摩擦パッドの接触面のうち、セ
ルフサーボ効果の発生開始時期に関与する部分と、セル
フサーボ効果に実質的に関与する部分と、セルフサーボ
効果の増加勾配の過大化防止に関与する部分との間で、
摩擦面に対する傾斜角を互いに異ならせることが可能と
なり、よって、セルフサーボ効果の発生開始の容易化
と、セルフサーボ効果の増加勾配の過大化防止との両立
が容易となる。このブレーキ装置において「接触面」
は、その全体を摩擦面に対して傾斜した「斜面」とした
り、その一部のみを「斜面」とすることができる。全体
を「斜面」とする場合には、接触面の摩擦面に対する傾
斜角が摩擦パッドの連れ回り方向において変化するとい
う要求を満たすために、「斜面」を例えば、一曲面によ
り構成したり、互いに連結された複数の曲面で構成した
り、互いに連結された複数の平面により構成することが
必要となる。例えば、一つの部分円筒面により構成した
り、互いに勾配が異なる複数の斜面を互いに連結するこ
とにより構成したり、複数の部分円筒面を互いに連結す
ることにより構成することが必要となるのである。これ
に対して、一部のみを「斜面」とする場合には、「接触
面」に摩擦面に平行な部分、すなわち、傾斜角が0であ
って、「斜面」における傾斜角とは異なる部分が存在す
ることから、たとえ「斜面」を一平面により構成して
も、「接触面」全体としては、それの傾斜角が摩擦パッ
ドの連れ回り方向において変化することになる。また、
このブレーキ装置における「傾斜角」は、前記(11)項に
おける「勾配制御機構」として機能すると考えることが
できる。 (23)前記接触面が、前記摩擦パッドの連れ回り方向とは
逆向きの方向において、第1部分と、その第1部分にお
けるより傾斜角が大きい第2部分と、その第2部分にお
けるより傾斜角が小さい第3部分とがそれらの順に並ん
で構成されている(22)項に記載の電動式ブレーキ装置。
このブレーキ装置においては、摩擦パッドとディスクロ
ータとの間の摩擦力が増加するにつれて、加圧部材は摩
擦パッドの接触面上を、第1部分,第2部分および第3
部分にそれらの順に接触することになる。セルフサーボ
効果の発生開始時に第1部分と接触し、その後第2部分
と接触し、続いて第3部分と接触するのである。そし
て、第1部分の傾斜角が第2部分におけるより小さくさ
れているため、摩擦パッドの連れ回り開始が容易とな
り、セルフサーボ効果の発生開始が容易となる。また、
第2部分の傾斜角が第1部分におけるより大きくされて
いるため、十分なセルフサーボ効果が発生する。また、
第3部分の傾斜角が第2部分におけるより小さくされて
いるため、セルフサーボ効果の増加勾配の過大化が防止
される。このブレーキ装置において「第1部分」の傾斜
角は、0とすることができる。また、「第3部分」の傾
斜角は、第1部分の傾斜角と等しくしたり、0とするこ
とができる。 (24)前記摩擦パッドが、前記ディスクロータを両側から
挟んで一対設けられ、それら一対の摩擦パッドのうちの
一方である第1摩擦パッドは、前記ディスクロータに連
れ回り可能なものであり、他方である第2摩擦パッドは
連れ回り不能なものであり、前記パッド加圧機構が、
(a) 前記ディスクロータを跨いで前記一対の摩擦パッド
に係合するとともに前記摩擦面と交差する方向に移動可
能なキャリパボデーであって、前記第1摩擦パッドをデ
ィスクロータに押圧するための押圧部と、前記第2摩擦
パッドに係合するリアクション部とが形成されているキ
ャリパボデーと、(b) 前記押圧部に前記摩擦面と交差す
る方向に移動可能に支持された加圧ロッドであって、前
記モータの駆動力により作動させられるものとを含み、
前記加圧部材が、前記第1摩擦パッドについては前記加
圧ロッド、前記第2摩擦パッドについては前記キャリパ
ポデーである(9) ,(10),(19)ないし(24)項のいずれか
に記載の電動式ブレーキ装置。 (25)前記摩擦パッドが、前記ディスクロータを両側から
挟んで一対設けられ、それら一対の摩擦パッドのうちの
一方である第1摩擦パッドは、前記ディスクロータに連
れ回り可能なものであり、他方である第2摩擦パッドは
連れ回り不能なものであり、前記パッド加圧機構が、
(a) 前記ディスクロータを跨いで前記一対の摩擦パッド
に係合するとともに前記摩擦面と交差する方向に移動可
能なキャリパボデーであって、前記第2摩擦パッドをデ
ィスクロータに押圧するための押圧部と、前記第1摩擦
パッドに係合するリアクション部とが形成されているキ
ャリパボデーと、(b) 前記押圧部に前記摩擦面と交差す
る方向に移動可能に支持された加圧ロッドであって、前
記モータの駆動力により作動させられるものとを含み、
前記加圧部材が、前記第1摩擦パッドについては前記キ
ャリパボデー、前記第2摩擦パッドについては前記加圧
ロッドである(9) ,(10),(19)ないし(24)項のいずれか
に記載の電動式ブレーキ装置〔請求項13〕。前記くさ
び型セルフサーボ機構は、前項に記載されているよう
に、加圧ロッドが一対の摩擦パッドのうちディスクロー
タに連れ回る第1摩擦パッドに接触させられる態様で実
施可能である。しかし、この態様においては、セルフサ
ーボ状態において第1摩擦パッドがディスクロータに連
れ回ると、第1摩擦パッドと加圧ロッドとの接触部にす
べりが発生する。このすべりにより、加圧ロッドにそれ
の円滑な作動を妨げる向きの力や、加圧ロッドを予定外
に変形させる向きの力が付与される可能性がある。これ
に対して、本項に記載のブレーキ装置においては、加圧
ロッドが、一対の摩擦パッドのうちディスクロータに連
れ回らない第2摩擦パッドに接触させられており、セル
フサーボ状態において加圧ロッドと第2摩擦パッドとの
接触部にすべりが発生せずに済む。したがって、このブ
レーキ装置によれば、セルフサーボ機構の正常作動を常
時保証し得る。 (26)前記モータが、非通電状態では静止し、第1の通電
状態では正回転し、第2の通電状態では逆回転するもの
であり、前記パッド加圧機構が、前記モータの正回転に
より前記加圧部材に前記摩擦パッドを前記ディスクロー
タに向かって加圧させるものであり、前記モータ制御装
置が、前記モータを、前記摩擦パッドの加圧力の実際値
が指令値と等しくなるように制御するものであり、当該
電動式ブレーキ装置が、さらに、前記セルフサーボ機構
の作用状態において前記加圧力実際値を増加させること
が必要である場合に、前記摩擦パッドからの反力に抗し
て前記加圧部材をロックさせることにより、加圧力実際
値の増加量が不足することを防止する増加量不足防止機
構を含む(1) ないし(25)項のいずれかに記載の電動式ブ
レーキ装置〔請求項14〕。セルフサーボ機構の作用状
態(以下、単に「セルフサーボ状態」ともいう)におい
ては、本来、モータが第1の通電状態にあれば、セルフ
サーボ機構の作用によって摩擦パッドの摩擦力に生じる
効果(以下、「セルフサーボ効果」という)が正常な勾
配で増加し、加圧力実際値も正常な勾配で増加するはず
である。しかし、本発明者らは、セルフサーボ効果があ
る程度大きくなり、加圧力実際値もある程度大きくなる
と、セルフサーボ効果も加圧力実際値もそれ以上増加し
なくなるという問題があることに気がついた。この問題
が発生する理由は次のように考えられる。すなわち、加
圧力実際値が増加すれば、摩擦パッドから加圧部材を経
てモータに入力される反力も増加する。これに対して、
モータが出力し得る駆動トルクに限界があり、そのた
め、摩擦パッドから入力される反力が駆動トルクの限界
を超えようとする場合には、モータはそれの駆動トルク
ではその反力に対抗することができない。そのため、セ
ルフサーボ効果がある程度大きくなり、反力もある程度
大きくなった場合には、それらセルフサーボ効果および
反力がさらに増加しようとしても、摩擦パッドからの反
力によってモータが逆回転させられて加圧部材が摩擦パ
ッドによって押し戻されてしまい、セルフサーボ効果も
加圧力実際値もそれ以上増加しなくなるのである。とこ
ろで、本発明者らはまた、セルフサーボ機構を備えたデ
ィスクブレーキには、セルフサーボ状態においては、加
圧部材を摩擦パッドに接近する向きに前進させることが
できなくても同じ位置に保持することさえできれば、摩
擦パッドがくさびとして機能して加圧力実際値が増加さ
せられるという特性があることにも気がついた。以上の
知見に基づき、本項に記載のブレーキ装置は、セルフサ
ーボ機構の上記のような特性を利用することにより、セ
ルフサーボ状態において加圧力実際値が正常に増加しな
くなることがあるという問題を解決することを課題とし
てなされたものである。そして、このブレーキ装置によ
れば、増加量不足防止機構により、セルフサーボ状態に
おいて加圧力実際値を増加させることが必要である場合
に、加圧力実際値の増加量(時間的増加量)が不足する
ことが防止される。このブレーキ装置において「モー
タ」は、超音波モータとしたり、DCモータとしたり、
他のモータとすることができる。また、このブレーキ装
置において「モータ制御装置」は、指令値に基づいて一
方的にモータを制御するオープンループ制御式とした
り、センサにより検出された実際値と指令値との比較に
よってモータを制御するフィードバック制御式とするこ
とができる。また、このブレーキ装置において「増加量
不足防止機構」は、加圧部材を機械的にロックさせる形
式としたり、電磁的にまたは電気的にロックさせる形式
とすることができる。 (27)前記モータを超音波モータとするとともに、前記モ
ータ制御装置に、前記セルフサーボ機構の作用状態にお
いて前記加圧力実際値を増加させることが必要である場
合に、前記超音波モータを非通電状態としてその超音波
モータに静止保持トルクを発生させ、その発生させられ
た静止保持トルクによって前記加圧部材のロックを行う
静止保持トルク発生手段を設けることにより、前記増加
量不足防止機構が構成されている(26)項に記載の電動式
ブレーキ装置〔請求項15〕。超音波モータには、それ
の静止時(非通電時)において発生し得る保持トルクの
方が、駆動時(通電時)において発生し得る駆動トルク
より大きいという特性があることが既に知られている。
また、前述のように、本発明者らは、セルフサーボ機構
を備えたディスクブレーキには、セルフサーボ状態にお
いては、モータを正回転させることができなくても同じ
回転位置に保持することさえできれば、摩擦パッドがく
さびとして機能して加圧力実際値が増加させられるとい
う特性があることに気がついた。そこで、本項に記載の
ブレーキ装置においては、それら超音波モータの特性と
セルフサーボ機構を備えたディスクブレーキの特性との
双方に着目し、セルフサーボ状態において加圧力実際値
を増加させることが必要である場合に、超音波モータの
静止保持トルクによって加圧力実際値が増加させられ
る。したがって、このブレーキ装置によれば、超音波モ
ータの駆動トルクによってでは加圧力実際値を増加させ
得ない場合に、静止保持トルクによって加圧力実際値が
増加させられるため、超音波モータの駆動トルクの割り
に大きな車輪制動力を発生させ得る。そして、このブレ
ーキ装置によれば、例えば、超音波モータの小形軽量化
が可能となり、ひいては、ディスクブレーキの小形軽量
化も可能となる。さらに、このブレーキ装置によれば、
超音波モータを非通電状態にする期間を設けることによ
って加圧力実際値が増加させられるため、超音波モータ
による電力消費量を節減し得る。このブレーキ装置にお
いて「超音波モータ」は、進行波式としたり、定在波式
とすることができる。 (28)前記静止保持トルク発生手段が、前記超音波モータ
の第1の通電状態において、前記加圧力実際値の増加量
が第1基準増加量を下回ったことに応じて、超音波モー
タを非通電状態にする増加量不足時制御手段を含む(27)
項に記載の電動式ブレーキ装置〔請求項16〕。このブ
レーキ装置においては、超音波モータの第1の通電状態
において加圧力実際値の増加量が第1基準増加量を下回
ったことに応じて超音波モータが非通電状態にされる。
したがって、このブレーキ装置によれば、加圧力実際値
の増加量が第1基準増加量を下回る可能性が生じたこと
に応じて超音波モータを非通電状態にする態様で前項に
記載の電動式ブレーキ装置を実施する場合に比較して、
超音波モータが無駄に非通電状態にさせられずに済み、
超音波モータの作動応答性すなわちディスクブレーキの
制御応答性を容易に向上させ得る。このブレーキ装置に
おいて「第1基準増加量」は例えば、超音波モータが第
1の通電状態にあり、かつ、超音波モータがそれの駆動
トルクで摩擦パッドからの反力に対抗し得る状態におい
て、加圧力実際値の増加量がとることが予想される正常
値としたり、その正常値より小さい値、例えば、0とす
ることができる。ここに、「第1基準増加量」を0とし
た場合には、超音波モータの第1の通電状態において加
圧力実際値が減少したことに応じて超音波モータが非通
電状態にされることになる。 (29)前記増加量不足時制御手段が、(a) 前記加圧力実際
値に関連する量を検出する加圧力関連量センサと、(b)
その加圧力関連量センサの出力信号に基づき、前記加圧
力実際値の増加量を検出する増加量検出手段とを含む(2
8)項に記載の電動式ブレーキ装置。このブレーキ装置に
おいては、結果的に、加圧力関連量センサの出力信号に
基づき、超音波モータを第1の通電状態から非通電状態
に切り換える時期が決定されることとなる。したがっ
て、このブレーキ装置によれば、非通電状態への切換時
期を、加圧力実際値との関係において精度よく決定し得
る。このブレーキ装置において「加圧力関連量センサ」
は例えば、加圧力実際値を直接に検出する加圧力センサ
としたり、加圧力関連量のうち加圧力実際値を除くもの
を検出するセンサとすることができる。ここに、加圧力
関連量のうち加圧力実際値を除くものには、例えば、摩
擦パッドとディスクロータとの間の摩擦力,車輪制動
力,車体減速度等を選ぶことができる。 (30)前記モータ制御装置が、さらに、前記増加量不足時
制御手段により前記超音波モータが非通電状態にされた
後において、前記加圧力実際値の増加量が第2基準増加
量を下回ったことに応じて、超音波モータを第1の通電
状態にする第1制御手段を含む(29)項に記載の電動式ブ
レーキ装置。このブレーキ装置においては、加圧力実際
値の増加量が第1基準増加量を下回ったために超音波モ
ータが非通電状態にされた後、加圧力実際値が正常に増
加しない場合がある。超音波モータの静止保持トルクを
利用して加圧力実際値を増加させるためには、加圧部材
と摩擦パッドとの間に予定外の隙間が生じないことが必
要であるが、何らかの理由により、そのような隙間が生
じてしまう場合が考えられ、そのような事態を想定し、
このブレーキ装置においては、加圧力実際値の増加量が
第1基準増加量を下回ったために超音波モータが非通電
状態にされた後、加圧力実際値の増加量が第2基準増加
量を下回った場合には、超音波モータが第1の通電状態
にされ、それにより、超音波モータが正回転させられて
加圧部材と摩擦パッドとの間の予定外の隙間が消滅させ
られ、セルフサーボ機構によって加圧力実際値が正常に
増加する状態とされる。したがって、このブレーキ装置
によれば、セルフサーボ機構の適正作動が保証される。
このブレーキ装置において「第2基準増加量」は例え
ば、セルフサーボ機構が正常に作動する状態において加
圧力実際値の増加量がとることが予想される正常値とし
たり、その正常値より小さい値、例えば、0とすること
ができる。また、この「第2基準増加量」は、前記第1
基準増加量と等しい値としたり、異なる値とすることが
できる。 (31)前記モータ制御装置が、さらに、前記増加量不足時
制御手段により前記超音波モータが非通電状態にされた
後において、前記加圧力実際値の増加量とは無関係に、
超音波モータが非通電状態にされたときから設定時間が
経過したことに応じて、超音波モータを第1の通電状態
にする第2制御手段を含む(29)項に記載の電動式ブレー
キ装置。このブレーキ装置においては、加圧力実際値の
増加量が第1基準増加量を下回ったために超音波モータ
が非通電状態にされた後、超音波モータが非通電状態に
されたときから設定時間が経過したことに応じて、超音
波モータが第1の通電状態にされる。したがって、この
ブレーキ装置によれば、上記のように、加圧力実際値の
増加量が第1基準増加量を下回ったために超音波モータ
が非通電状態にされた後、加圧部材と摩擦パッドとの間
に予定外の隙間が生じれば、その予定外の隙間が消滅さ
せられ、セルフサーボ機構の適正作動が保証される。ま
た、このブレーキ装置においては、加圧力実際値の増加
量が第1基準増加量を下回ったために超音波モータが非
通電状態にされた後、加圧力実際値の増加量とは無関係
に、超音波モータが第1の通電状態にされる。したがっ
て、このブレーキ装置によれば、前項に記載の電動式ブ
レーキ装置とは異なり、加圧力実際値の増加量の検出が
不要となり、電動式ブレーキ装置の設計(特に、ソフト
ウェアの設計)が容易になる。なお、本項に記載のブレ
ーキ装置においては、加圧力実際値の増加量が第1基準
増加量を下回ったために超音波モータが非通電状態にさ
れた後、超音波モータを非通電状態にし続けることが加
圧力実際値を正常に増加させるために必要である場合で
あっても、超音波モータが第1の通電状態にされてしま
う。しかし、この場合には、その後、前記増加量不足時
制御手段により、超音波モータが非通電状態にされ、そ
れにより、加圧力実際値が超音波モータの静止保持トル
クによって増加させられることになるため、不都合はな
い。このブレーキ装置において「設定時間」は例えば、
超音波モータによる摩擦パッドの加圧制御があるコンピ
ュータプログラムがコンピュータにより一定または可変
の制御周期で実行されることによって実現される場合、
その制御周期とすることができる。すなわち、「第2制
御手段」は例えば、コンピュータプログラムのある回の
実行において、加圧力実際値の増加量が第1基準増加量
を下回ったために超音波モータが非通電状態にされた場
合に、コンピュータプログラムの次回の実行において、
超音波モータを第1の通電状態にする態様とすることが
できるのである。 (32)前記静止保持トルク発生手段が、前記セルフサーボ
機構の作用開始に応じて、前記超音波モータを非通電状
態にするサーボ開始時制御手段を含む(27)項に記載の電
動式ブレーキ装置〔請求項17〕。このブレーキ装置に
おいては、超音波モータの第1の通電状態において、加
圧力実際値の増加量が前記第1基準増加量を下回ったか
否かを問わず、セルフサーボ機構の作用開始に応じて、
超音波モータが非通電状態にされる。したがって、この
ブレーキ装置によれば、超音波モータの第1の通電状態
において加圧力実際値の増加量が第1基準増加量を下回
る手前から、超音波モータを非通電状態にして超音波モ
ータの静止保持トルクを利用可能となる。 (33)前記サーボ開始時制御手段が、(a) 前記加圧力実際
値に関連する量を検出する加圧力関連量センサと、(b)
その加圧力関連量センサの出力信号に基づき、前記超音
波モータの第1の通電状態において前記加圧力実際値の
増加量が第3基準増加量を超えるという条件を含む少な
くとも一つの条件が同時に成立した場合に、前記セルフ
サーボ機構の作用が開始されたと判定するセルフサーボ
状態判定手段とを含む(32)項に記載の電動式ブレーキ装
置〔請求項18〕。このブレーキ装置においては、超音
波モータの第1の通電状態において加圧力実際値が時間
と共に増加する勾配すなわち増加量が、セルフサーボ機
構の作用状態において非作用状態におけるより大きくな
るという知見に基づき、超音波モータの第1の通電状態
において加圧力実際値の増加量が第3基準増加量を超え
るという条件を含む少なくとも一つの条件が同時に成立
した場合に、セルフサーボ機構の作動が開始されたと判
定されて、超音波モータが非通電状態にされる。このブ
レーキ装置において「加圧力関連量センサ」は、前記(2
9)項に記載のブレーキ装置におけると同様に考えること
ができる。また、「第3基準増加量」は例えば、セルフ
サーボ機構の作用状態において加圧力実際値の増加量が
とることが予想される正常値としたり、その正常値より
小さい値とすることができる。 (34)前記少なくとも一つの条件が、前記超音波モータの
第1の通電状態において加圧力実際値の増加量が第3基
準増加量を超えるという条件以外の条件として、加圧力
実際値が判定加圧力を超えるという条件を含む(33)項に
記載の電動式ブレーキ装置。後述のように、セルフサー
ボ機構が前記セルフサーボ効果発生阻止機構を有し、加
圧力実際値が基準加圧力以上となったときにセルフサー
ボ機構の作用が開始されるように当該ブレーキ装置が設
計される場合があり、この場合には、その基準加圧力と
等しいかまたはそれより大きい値として判定加圧力を設
定し、加圧力実際値が判定加圧力を超えるという条件を
上記「少なくとも一つの条件」に含めることができる。
このようにする場合には、超音波モータの第1の通電状
態において加圧力実際値の増加量が第3基準増加量を超
えれば直ちにセルフサーボ機構の作用が開始されたと判
定する場合に比較して、セルフサーボ状態の判定精度が
向上する。 (35)前記増加量不足防止機構が、前記モータと加圧部材
との間に設けられ、モータの側から加圧部材の側へのト
ルク伝達は行うがその逆向きのトルク伝達は行わないこ
とにより、前記加圧部材のロックを行うトルク伝達機構
を含む(26)ないし(34)項のいずれかに記載の電動式ブレ
ーキ装置。このブレーキ装置においては、セルフサーボ
状態において、摩擦パッドから加圧部材に入力された反
力がモータの駆動トルクに勝ろうとしても、トルク伝達
機構により、トルク伝達が加圧部材の側からモータの側
へ向かう向きには行われない。したがって、このブレー
キ装置によれば、セルフサーボ状態においてトルク伝達
機構により、摩擦パッドからの反力に抗して加圧部材が
ロックされるため、モータが逆回転させられずに済む。
このブレーキ装置において「モータ」は、前記超音波モ
ータとしたり、DCモータとしたり、他のモータとする
ことができる。 (36)前記パッド加圧機構が、さらに、前記モータと加圧
部材との間に設けられ、モータと共に回転する回転部材
と加圧部材と共に直線運動する移動部材とを備えて回転
部材の回転運動を移動部材の直線運動に変換する運動変
換機構を含み、前記トルク伝達機構が、前記モータと回
転部材との間に設けられ、トルク伝達をモータから回転
部材へ向かう向きには行うがその逆向きには行わない機
構を含む(35)項に記載の電動式ブレーキ装置。 (37)前記パッド加圧機構が、さらに、前記モータと加圧
部材との間に設けられ、モータと共に回転する回転部材
と加圧部材と共に直線運動する移動部材とを備えて回転
部材の回転運動を移動部材の直線運動に変換する運動変
換機構を含み、前記トルク伝達機構が、前記モータと回
転部材との間に設けられ、モータと共に回転するウォー
ムと回転部材と共に回転するウォームホイールとがかみ
合うウォームギヤを含む(35)または(36)項に記載の電動
式ブレーキ装置。このブレーキ装置によれば、トルク伝
達機構を簡単な構造で実現し得る。 (38)前記モータ制御装置が、前記トルク伝達機構が前記
逆向きのトルク伝達を阻止する状態において、前記モー
タを非通電状態にする逆向きトルク伝達阻止時制御手段
を含む(35)ないし(37)項のいずれかに記載の電動式ブレ
ーキ装置。このブレーキ装置によれば、トルク伝達機構
が加圧部材の側からモータの側へのトルク伝達を阻止す
る状態、すなわち、モータを通電状態にすることが必要
でない状態において、モータが非通電状態にされるた
め、モータによる無駄な電力消費が防止される。 (39)前記逆向きトルク伝達阻止時制御手段が、前記セル
フサーボ機構の作用開始に応じて、前記モータを非通電
状態にするサーボ開始時制御手段を含む(38)項に記載の
電動式ブレーキ装置。このブレーキ装置においては、セ
ルフサーボ状態においてモータが非通電状態にされる。
一方、セルフサーボ状態においては、トルク伝達機構が
加圧部材の側からモータの側へのトルク伝達を阻止する
状態、すなわち、モータを通電状態にすることが不要で
ある状態にある可能性が高い。したがって、このブレー
キ装置によれば、モータによる無駄な電力消費が防止さ
れる。 (40)前記サーボ開始時制御手段が、(a) 前記加圧力実際
値に関連する量を検出する加圧力関連量センサと、(b)
その加圧力関連量センサの出力信号に基づき、前記モー
タの第1の通電状態において前記加圧力実際値の増加量
が第2基準増加量を超えるという条件を含む少なくとも
一つの条件が同時に成立した場合に、前記セルフサーボ
機構の作動が開始されたと判定するセルフサーボ状態判
定手段とを含む(39)項に記載の電動式ブレーキ装置。 (41)前記モータ制御装置が、(a) 運転操作に関連する情
報を検出する運転操作関連情報センサと、車両の状態に
関連する情報を検出する車両状態関連情報センサと、車
輪の状態に関連する情報を検出する車輪状態関連情報セ
ンサとの少なくとも一つを含む関連情報センサと、(b)
その関連情報センサの出力信号に基づいて前記加圧力指
令値を決定する加圧力指令値決定手段と、(c) その決定
された加圧力指令値に基づいて前記モータを、加圧力の
実際値が指令値と等しくなるように制御するコントロー
ラとを含む(1) ないし(40)項のいずれかに記載の電動式
ブレーキ装置。 (42)前記モータ制御装置が、(a) 主ブレーキ操作時に前
記モータを制御して前記モータ駆動式ディスクブレーキ
を作動させる主ブレーキ用モータ制御装置と、(b) 駐車
ブレーキ操作時に前記モータを制御して前記モータ駆動
式ディスクブレーキを作動させる駐車ブレーキ用モータ
制御装置とを含む(1) ないし(40)項のいずれかに記載の
電動式ブレーキ装置。 (43)前記主ブレーキ用モータ制御装置が、(a) 運転操作
に関連する情報を検出する運転操作関連情報センサと、
車両の状態に関連する情報を検出する車両状態関連情報
センサと、車輪の状態に関連する情報を検出する車輪状
態関連情報センサとの少なくとも一つを含む関連情報セ
ンサと、(b) その関連情報センサの出力信号に基づいて
前記加圧力指令値を決定する加圧力指令値決定手段と、
(c) その決定された加圧力指令値に基づいて前記モータ
を、加圧力の実際値が指令値と等しくなるように制御す
る主ブレーキコントローラとを含む(42)項に記載の電動
式ブレーキ装置。 (44)前記駐車ブレーキ用モータ制御装置が、(a) 車両を
停止状態に保持することが必要である場合に運転者によ
り操作される駐車ブレーキ操作部材と、(b) その駐車ブ
レーキ操作部材の操作を検出する駐車ブレーキ操作セン
サと、(c) その駐車ブレーキ操作センサの出力信号に基
づいて前記加圧力指令値を、車両を停止状態に保持する
ために前記モータにより発生させることが必要である高
さに決定する加圧力指令値決定手段と、(d) その決定さ
れた加圧力指令値に基づいて前記モータを、加圧力の実
際値が指令値と等しくなるように制御する駐車ブレーキ
コントローラとを含む(42)項に記載の電動式ブレーキ装
置。 (45)さらに、前記モータによる前記摩擦パッドの加圧力
の実際値を直接に検出する加圧力センサを含み、かつ、
前記加圧力センサと接続された状態で前記モータ制御装
置に設けられ、前記モータ駆動式ディスクブレーキの非
作用時に前記加圧部材が前記摩擦パッドから退避させら
れる位置を制御する退避位置制御手段であって、加圧力
センサの出力信号に基づいて加圧部材が摩擦パッドとの
押圧を開始したかまたは終了した位置を検出し、その検
出位置から設定距離だけ摩擦パッドから離間する向きに
離れた退避位置まで加圧部材が移動するように前記モー
タを作動させ、加圧部材がその退避位置に到達したなら
ばモータを非通電状態にする退避位置制御手段を含む
(1) ないし(44)項のいずれかに記載の電動式ブレーキ装
置。 (46)モータを駆動源として車輪を制動するモータ駆動式
ディスクブレーキであって、(a) 摩擦面を備えて車輪と
共に回転するディスクロータと、(b) そのディスクロー
タに前記摩擦面において接触させられてディスクロータ
の回転を抑制する摩擦パッドと、(c) その摩擦パッドを
少なくとも前記摩擦面と交差する方向に移動可能に支持
するパッド支持機構と、(d) モータおよび加圧部材を備
え、モータの駆動力により加圧部材を介して前記摩擦パ
ッドを前記ディスクロータに向かって加圧するパッド加
圧機構であって、前記モータが、非通電状態では静止さ
せられ、第1の通電状態では摩擦パッドを加圧するため
に正回転させられ、第2の通電状態では摩擦パッドを摩
擦面から離間させるために逆回転させられるパッド加圧
機構とを有するモータ駆動式ディスクブレーキと、前記
モータによる前記摩擦パッドの加圧力の実際値を直接に
検出する加圧力センサと、その加圧力センサと前記モー
タとに接続され、前記加圧力の指令値に基づいてモータ
を、加圧力の実際値が指令値と等しくなるように制御す
るモータ制御装置とを含む電動式ブレーキ装置におい
て、前記加圧力センサと接続された状態で前記モータ制
御装置に設けられ、前記モータ駆動式ディスクブレーキ
の非作用時に前記加圧部材が前記摩擦パッドから退避さ
せられる位置を制御する退避位置制御手段であって、加
圧力センサの出力信号に基づいて加圧部材が摩擦パッド
との押圧を開始したかまたは終了した位置を検出し、そ
の検出位置から設定距離だけ摩擦パッドから離間する向
きに離れた退避位置まで加圧部材が移動するように前記
モータを作動させ、加圧部材がその退避位置に到達した
ならばモータを非通電状態にする退避位置制御手段を設
けたことを特徴とするモータ駆動式ディスクブレーキを
備えた電動式ブレーキ装置。前項および本項に記載のブ
レーキ装置においては、加圧力センサの出力信号に基づ
いて加圧部材が摩擦パッドとの押圧を開始したかまたは
終了した位置が検出され、その検出位置から設定距離だ
け摩擦パッドから離間する向きに離れた退避位置まで加
圧部材が移動するようにモータが作動させられる。した
がって、このブレーキ装置によれば、摩擦パッドの実際
の板厚を考慮して加圧部材の退避位置に制御されるた
め、ディスクブレーキの非作用状態において、摩擦パッ
ドがディスクロータに接近し過ぎてディスクロータによ
る引きずりを生じたり、摩擦パッドがディスクロータか
ら離間し過ぎてディスクブレーキの効き遅れを生じたり
することが防止される。また、このブレーキ装置におい
ては、加圧力実際値を検出する加圧力センサによって加
圧部材の位置が検出されるため、加圧力実際値と加圧部
材の位置とを別個のセンサにより検出することが不要と
なり、当該ブレーキ装置におけるセンサの数を削減可能
となる。また、このブレーキ装置においては、加圧部材
が摩擦パッドとの押圧を開始したかまたは終了した位置
を基準として加圧部材の退避位置が決定されるため、加
圧部材を最大加圧力でディスクロータに押圧された位置
を基準として加圧部材の退避位置を決定する場合に比較
して、加圧部材の退避位置が、摩擦パッドの弾性変形量
の個体ばらつきの影響を受けずに済む。 (47)車輪に設けられた、(1) ないし(46)項のいずれかに
記載のモータ駆動式ディスクブレーキと、前記車輪の制
動力を検出する制動力センサと、少なくともその制動力
センサにより検出された車輪の制動力に基づき、車輪の
実制動力が目標制動力となるように前記モータを制御す
るモータ制御装置とを含むことを特徴とする電動式ブレ
ーキ装置。モータを駆動源とする電動式ブレーキ装置に
おいては、摩擦パッドとディスクロータとの間の摩擦係
数の変動等にもかかわらず車輪制動力の大きさを正しく
制御するために、摩擦パッドの実摩擦力すなわち車輪の
実制動力に基づいてモータを制御することが望ましい。
以上の事情に鑑み、本項に記載のブレーキ装置は、車輪
の実制動力をフィードバックすることにより、摩擦パッ
ドとディスクロータとの間の摩擦係数の変動等にもかか
わらず目標制動力を精度よく実現することを課題として
なされたものである。そして、このブレーキ装置によれ
ば、実制動力を監視しつつモータが制御される。したが
って、このブレーキ装置によれば、摩擦パッドとディス
クロータとの間の摩擦係数の変動にもかかわらず目標制
動力を精度よく実現し得る。このブレーキ装置において
「制動力センサ」は例えば、各車輪のモータ駆動式ディ
スクブレーキの構成部材であって各車輪の制動力に応じ
た歪みが発生するもののその歪みを検出する形式とする
ことができる。また、このブレーキ装置において「モー
タ制御装置」は例えば、ブレーキ操作中、セルフサーボ
効果の発生状態であるか不発生状態であるかを問わず、
実制動力に基づいてモータのフィードバック制御を行う
態様としたり、セルフサーボ効果の発生状態でのみモー
タのフィードバック制御を行う態様としたり、セルフサ
ーボ効果の不発生状態でのみモータのフィードバック制
御を行う態様とすることができる。 (48)摩擦面を有して車輪と共に回転するディスクロータ
と、そのディスクロータに前記摩擦面において接触させ
られてディスクロータの回転を抑制する摩擦パッドと、
モータの駆動力により前記摩擦パッドを前記ディスクロ
ータに押圧する押圧装置とを含むモータ駆動式ディスク
ブレーキにおいて、前記押圧装置を、さらに、レバーを
含み、かつ、そのレバーを、(a) 前記ディスクロータの
回転軸線と交差する回動軸線の回りに回動可能に固定部
材と連結された連結部と、(b) 前記モータの駆動力が入
力される入力部と、(c) 前記摩擦パッドに背後から係合
して前記押圧力を付与する係合部とを有するとともに、
それら連結部,入力部および係合部間の相対位置関係
が、前記モータの駆動力が倍力されて前記摩擦パッドに
作用するように予め設定されたモータ駆動式ディスクブ
レーキ。このディスクブレーキは、モータと摩擦パッド
との間の倍力機構の構造を簡単にすることにより、構造
複雑化を回避しつつ、モータの駆動力の割に大きな車輪
制動力を発生させることを課題としてなされたものであ
る。そして、このディスクブレーキにおいては、モータ
の駆動力がレバーを主体とする簡単な構造によって倍力
されて摩擦パッドに伝達される。したがって、このディ
スクブレーキによれば、モータの駆動力の割に大きな車
輪制動力を発生させるために構造が複雑にならずに済
む。このディスクブレーキは、前記(17)項に記載の温度
上昇抑制手段や、(18)項に記載の伝熱抑制部材を使用し
得る。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明のさらに具体的な実
施形態のいくつかを図面に基づいて詳細に説明する。
【0007】本発明の第1実施形態は、各車輪毎にモー
タ駆動式ディスクブレーキを備えた4輪自動車用の電動
式ブレーキ装置である。図1には、一つの車輪に設けら
れるディスクブレーキ10が代表的に示されるととも
に、ブレーキ装置全体が系統図として示されている。
【0008】ディスクブレーキ10はディスクロータ1
1を備えており、ディスクロータ11は車輪と共に回転
する。ディスクロータ11の両面はそれぞれ摩擦面12
とされ、それら摩擦面12に対向して一対の摩擦パッド
14,14が配設されている。各摩擦パッド14は、摩
擦材18と、その背面に固着された鋼製の裏板20とを
備えている。
【0009】ディスクロータ11の近傍には、車体に位
置固定に取り付けられた固定部材26がディスクロータ
11を跨いで配設されている。ディスクロータ11の両
側には一対のレバー30,30がディスクロータ11お
よび一対の摩擦パッド14,14を隔てて互いに対向す
る状態で配設されている。
【0010】各レバー30は、それの前端部(図におい
て右側の端部)において固定部材26に、ディスクロー
タ11の回転軸線(図において上下方向に延びる直線)
と立体交差(交差の一例である)する第1回動軸線L1
(図2参照)の回りに回動可能に連結されている。固定
部材26には、ディスクロータ11を隔てて互いに対向
する一対の連結部32,32がそれぞれ形成されてい
る。各連結部32は、図2に示すように、固定部材26
の本体部から車体後方に空間34を隔てて延びる一対の
延出部36,36として形成されている。各レバー30
の前端部に第1連結部40が形成されており、この第1
連結部40は、空間34内において一対の延出部36,
36に僅かな隙間を残して回動可能に配置されている。
それら一対の延出部32,32と第1連結部40とは、
それらを同時に貫通する連結部材としてのボルト42に
より互いに連結されている。
【0011】各レバー30の中間部には、図1に示すよ
うに、各摩擦パッド14の裏板20の裏面に係合する係
合部44が形成されている。さらに、各レバー30の前
端部には、図2に示すように、裏板20のうち車体前側
(摩擦パッド14のトレーリング側、すなわち、ディス
クロータ11の回出側の一例)を向いた部分である係合
凹部46を、車体後側(摩擦パッド14のリーディング
側、すなわち、ディスクロータ11の回入側の一例)を
向いた面において受ける第1受け部50も形成されてい
る。
【0012】一対のレバー30,30は、図1に示すよ
うに、係合部44と後端部(図において左側の端部)と
の間の部分において、一対のリンク54,54により連
結されている。一対のリンク54,54はピン56によ
り互いに、第1回動軸線L1と平行な第2回動軸線L2
の回りに回動可能に連結されている。各リンク54のう
ちピン56とは反対側の端部がピン60により各レバー
30の第2連結部62と、第2回動軸線L2と平行な第
3回動軸線L3の回りに回動可能に連結されている。各
リンク54の中間部には、各摩擦パッド14の裏板20
のうち車体後側を向いた部分である係合凹部66を、車
体前側を向いた面において受ける第2受け部68が形成
されている。一対のリンク54,54の機能については
後述する。
【0013】以上要するに、各摩擦パッド14は各レバ
ー30と、それの車体前側の部分においては第1受け部
50、車体後側の部分においては第2受け部68により
それぞれ係合しているのである。そして、各摩擦パッド
14はそれら受け部50,68により、ディスクロータ
11の摩擦面12に対する接近と離間とが可能な状態で
支持されている。
【0014】一対のレバー30,30の後端部には第1
押圧装置70が配設されている。第1押圧装置70は、
モータとしての超音波モータ72と、その超音波モータ
72の回転軸74の回転運動を直線運動に変換する運動
変換機構76とを備えている。
【0015】超音波モータ72は、よく知られているよ
うに、ステータに超音波振動を与えて表面波を生じさせ
るとともに、ステータとロータとの間に働く摩擦力によ
ってロータを回転させるものである。ロータは付勢手段
によってステータに押し付けられ、両者の間に必要な摩
擦力が得られるようになっており、電圧が印加されない
状態でもステータとロータとの間には一定の摩擦力が生
じている。このように構成された超音波モータ72は、
一対のレバー30,30の一方(図において下側のレバ
ー)の後端部に設定された入力部77に固定的に取り付
けられ、これに対し、運動変換機構76は、他方のレバ
ー30(図において上側のレバー)の後端部に設定され
た入力部78に設けられている。
【0016】運動変換機構76は、図3に示すように、
回転軸74と共に回転するおねじ80にめねじ82が螺
合されたねじ機構とされている。めねじ82は球関節継
手84を介してレバー30の後端部に取り付けられてい
る。一対のレバー30,30の相対回動に伴ってそれら
の一対の後端部の相対位置関係が変化するからであり、
具体的には、めねじ82がボール90にそれの中心を貫
通して形成されるとともに、レバー30の後端部にソケ
ット92が形成され、ボール90がソケット92に摺動
可能に嵌合されているのである。ソケット92には、超
音波モータ72の側の部分には球面92aが形成されて
いるが、反対側の部分にはボール90をソケット92内
に挿入するための穴92bが形成されており、挿入後、
ボール90の離脱防止のため、離脱防止手段としてのC
リング94がレバー30に固定される。また、穴92b
の開口部はカバー96によって閉塞される。カバー96
とボール90の外面とソケット92の内面とによって確
定された空間にグリスが封入されることにより、ボール
90とソケット92との摺動がスムーズに行われるよう
にされている。
【0017】したがって、本実施形態においては、図1
に示すように、超音波モータ72が、一対のレバー3
0,30をそれらの後端部において接近する向きに回動
させる向きに回転させられれば、一対のレバー30,3
0が一対の係合部44,44が互いに接近する向き、す
なわち、各係合部44がディスクロータ11の摩擦面1
2に接近する向きに回動させられる。その結果、一対の
摩擦パッド14,14が互いに接近させられてディスク
ロータ11に押圧され、それによって、各摩擦パッド1
4とディスクロータ11との間に摩擦力が発生し、ディ
スクロータ11の回転が抑制されて車輪が制動される。
【0018】この状態から超音波モータ72が逆回転さ
せられれば、一対のレバー30,30がそれらの後端部
が互いに離間する向きに回動させられ、一対の係合部4
4,44が互いに離間させられる。その結果、各摩擦パ
ッド14がディスクロータ11から離間させられ、車輪
の制動力が減少させられる。
【0019】車体前進中に車輪の制動が行われれば、各
摩擦パッド14に前向き摩擦力が発生し、この前向き摩
擦力が第1受け部50に伝達されれば、各レバー30
に、係合部44がディスクロータ11に接近する向きの
モーメントが発生させられる。一方、車体後退中に車輪
の制動が行われれば、各摩擦パッド14に後向き摩擦力
が発生し、この後向き摩擦力が第2受け部68に伝達さ
れれば、一対のリンク54,54がピン56の回りに一
対のピン60,60が互いに接近する向きに回動させら
れ、その結果、各レバー30に、係合部44がディスク
ロータ11に接近する向きのモーメントが発生させられ
る。
【0020】したがって、本実施形態においては、車体
が前進するか後退するかを問わず、車輪の制動が行われ
れば、各レバー30に、係合部44がディスクロータ1
1に接近する向きのモーメントが発生させられ、係合部
44から摩擦パッド14に、その摩擦力に基づく第2押
圧力が付与され、みかけ上、超音波モータ72の駆動力
に基づく第1押圧力が倍力され、セルフサーボ効果が発
生するのである。
【0021】すなわち、本実施形態においては、一対の
レバー30,30と一対のリンク54,54とによって
第2押圧装置98が構成され、また、一対のレバー3
0,30は、前記第1押圧装置70の一構成要素として
も機能するようになっているのである。
【0022】以上の説明から明らかなように、本実施形
態においては、一対のレバー30の一対の第1受け部5
0および一対の第2受け部68が互いに共同して「パッ
ド支持機構」の一例を構成し、また、一対のレバーが
「加圧部材」の一例を構成し、また、超音波モータ72
と一対のレバー30,30と運動変換機構76とが互い
に共同して「パッド加圧機構」の一例を構成し、また、
第2押圧装置98が「セルフサーボ機構」の一例を構成
しているのである。
【0023】超音波モータ72はモータ制御装置として
のコントローラ100によって制御される。コントロー
ラ100は、概略的に説明すれば、各車輪の実制動力F
を監視しつつ、ブレーキ操作量fに応じた目標制動力F
* が各車輪に発生するように各車輪のディスクブレーキ
10における超音波モータ72を制御するブレーキ制御
を行う。すなわち、このブレーキ制御は、図4に示すよ
うに、フィードバック制御系を構成しているのである。
【0024】このブレーキ制御を実行するため、コント
ローラ100には、図1に示すように、ブレーキ操作量
センサとしての踏力センサ102が接続されている。踏
力センサ102は、ブレーキ操作部材としてのブレーキ
ペダル104が運転者によって踏み込まれた踏力fを検
出し、それに応じた信号を出力する。また、コントロー
ラ100には、超音波モータ72に電力を供給するため
の電源装置106も接続されている。電源装置106は
例えば、車両に搭載されたバッテリである。さらに、コ
ントローラ100には、各車輪毎に設けられ、各車輪に
実際に発生した制動力Fを検出する制動力センサ110
も接続されている。制動力センサ110は例えば、各車
輪のディスクブレーキ10の構成部材のうち各車輪に発
生した制動力Fに応じた歪みが発生する部材(例えば、
図1に示すレバー30)に装着された歪みゲージを主体
として構成される。
【0025】図5には、コントローラ100の構成が機
能ブロック図で示されている。コントローラ100は、
(a) 踏力センサ102の出力信号に基づいて踏力fをブ
レーキ操作量として演算するブレーキ操作量演算手段1
20と、(b) 演算されたブレーキ操作量としての踏力f
に基づいて各車輪の目標制動力F* を演算する目標制動
力演算手段122と、(c) 制動力センサ110の出力信
号に基づいて各車輪の実制動力Fを演算する実制動力演
算手段124と、(d) 各車輪における実制動力Fと目標
制動力F* との偏差ΔFに基づいて実制動力Fが目標制
動力F* となるために各車輪の超音波モータ72に出力
することが適当な駆動信号を演算する駆動信号演算手段
126と、(e) 演算された駆動信号を各車輪の超音波モ
ータ72に出力する駆動信号出力手段128とを備えて
いる。
【0026】コントローラ100は、CPU,ROMお
よびRAMを含むコンピュータを主体として構成されて
おり、記憶媒体としてのROMに記憶されているブレー
キ制御ルーチンがCPUによりRAMを使用しつつ実行
されることにより、上記ブレーキ制御が実行される。
【0027】図6には、上記ブレーキ制御ルーチンがフ
ローチャートで表されている。本ルーチンは車両のエン
ジンのイグニションスイッチがONに操作された後、一
定の周期で繰り返し実行される。各回の実行時にはま
ず、ステップS1(以下、単に「S1」で表す。他のス
テップについても同じとする。)において、踏力センサ
102の出力信号に基づいて現在の踏力fが演算され
る。次に、S2において、演算された踏力fに基づいて
各車輪の目標制動力F* が演算される。ROMに、踏力
fと左右前輪の合計制動力Ff と左右後輪の合計制動力
Fr との関係がテーブル,マップ,関数式等で記憶され
ている。その関係の一例が図7にグラフで表されてい
る。この関係に従い、まず、踏力fに対応する左右前輪
の目標合計制動力Ff * が求められ、それの半値がそれ
ぞれ左前輪の目標制動力Ffl* および右前輪の目標制動
力Ffr* として求められる。さらに、左右前輪の目標合
計制動力Ff * に対応する左右後輪の目標合計制動力F
r * が求められ、同様に、それの半値がそれぞれ左後輪
の目標制動力Frl* および右後輪の目標制動力Frr*
して求められる。
【0028】その後、S3において、各車輪の制動力セ
ンサ110の出力信号に基づいて各車輪の実制動力Ff
l,Ffr,Frl,Frrがそれぞれ演算される。続いて、
S4において、各車輪の実制動力Fと目標制動力F*
の偏差ΔFに基づき、実制動力Fが目標制動力F* とな
るために各車輪の超音波モータ72に供給することが適
当な駆動信号が演算される。各車輪の超音波モータ72
の駆動信号は例えば、PID動作の下に例えば次の式に
基づいて演算することができる。 K・[ΔF+(t/Ti )・ΣΔF+(Td /t)・Δ
ΔF] ただし、 K :比例係数(定数) ΔF:各車輪の目標制動力F* から実制動力Fを引き算
した偏差 t :サンプリング時間(本ルーチンの実行周期。定
数) Ti :積分時間(定数) Td :微分時間(定数) ΔΔF:偏差ΔFの時間微分値である偏差微分
【0029】その後、S5において、演算された各車輪
の駆動信号が各車輪の超音波モータ72に出力される。
以上で本ルーチンの一回の実行が終了する。
【0030】したがって、本実施形態によれば、以下の
ようないくつかの効果が得られる。すなわち、車輪に制
動力を発生させるために作動液を使用せずに済むため、
マスタシリンダ,ブレーキブースタ,ブレーキチュー
ブ,ブレーキホース,Pバルブ,電磁液圧制御弁,ポン
プ,リザーバ等、圧力関連部品が不要となり、ブレーキ
装置の組付性が向上するとともに、ブレーキ装置の大幅
な小形軽量化が図られ、車両重量の軽減および客室スペ
ースの増加が図られる。また、作動液の交換やエア抜き
作業が不要となり、ブレーキ装置のメンテナンス性が向
上する。また、マスタシリンダによってディスクブレー
キ10を作動させる場合には、マスタシリンダのピスト
ン径によってブレーキ操作力とブレーキ操作ストローク
との関係がほぼ一義的に決定されてしまうが、本実施形
態によれば、ブレーキ操作力とブレーキ操作ストローク
との関係を自由に設定でき、その関係を自由に設定でき
る。また、もちろん、ベーパロックという現象が発生す
る余地はない。
【0031】さらに次のような効果も得られる。すなわ
ち、本実施形態によれば、超音波モータ72から摩擦パ
ッド14までの力伝達系がレバー30を主体とした部品
点数の少ない簡単な構造となるため、目標制動力の変化
に素早く応答して実制動力を変化させることができる。
また、セルフサーボ機能が発揮されることにより、実制
動力の応答性は一層向上する。また、電気自動車におい
て各車輪について回生ブレーキと併用される摩擦ブレー
キとしてディスクブレーキ10が使用される場合には、
各車輪に発生する制動力のうち摩擦ブレーキによって各
車輪に発生させられる分を自由に制御可能となり、回生
ブレーキによって各車輪に発生させられる分が車輪の回
転速度等に依存するにもかかわらず、ブレーキ操作量に
正確に対応した大きさの合計制動力が各車輪に発生し、
その結果、電気自動車における回生ブレーキと摩擦ブレ
ーキとの協調制御の設計が容易になる。
【0032】本実施形態には種々の変更を加えることが
できる。例えば、図3においては、ボール90のソケッ
ト92からの離脱がCリング94によって阻止されるよ
うになっているが、例えば、図8に示すように、ボール
90との摺動面を増加させることや、ボール90とカバ
ー96との間の空間を減少させることなどに好適な形状
を有する押さえリング130をCリング94に代えて使
用するという変更を加えることができる。また、その押
さえリング130の材質を合成樹脂、例えば、自己潤滑
性の優れたナイロンとしてボール90の摺動抵抗を低減
させるという変更を加えることもできる。また、同図に
示すように、押さえリング130をソケット92に摺動
可能に嵌合するとともに、その押さえリング130の背
面にカバー96を係合させ、かつ、そのカバー96に弾
性を付与することにより、押さえリング130と弾性を
有するカバー96との共同によってボール90をソケッ
ト92に弾性支持し、これにより、ソケット90の振動
を低減させるという変更を加えることもできる。
【0033】次に、第2実施形態を説明する。ただし、
本実施形態は先の第1実施形態と共通する要素が多く、
異なるのはセルフサーボ機構のみであるため、そのセル
フサーボ機構についてのみ詳細に説明し、他の要素につ
いては説明を省略する。
【0034】第1実施形態においては、前述の説明から
明らかなように、ディスクブレーキ10の作用時に摩擦
パッド14に、ディスクロータ11の回転方向に発生し
た力がレバー30によりその摩擦パッド14自身に戻さ
れることにより、セルフサーボ効果が発生させられる。
これに対して、本実施形態においては、図9に示すよう
に、超音波モータ72の駆動力Fにより運動変換機構を
介してまたは直接に直線方向に駆動される駆動部材14
0と摩擦パッド14の裏板20とが各斜面142,14
4によって係合させられ、それにより、摩擦パッド14
のくさび効果によって摩擦パッド14のセルフサーボ効
果が発生させられる。
【0035】すなわち、本実施形態においては、駆動部
材140が「加圧部材」の一例を構成し、超音波モータ
72と駆動部材140とが互いに共同して「パッド加圧
機構」の一例を構成し、また、摩擦パッド14をくさび
として機能させるために摩擦パッド14に形成された斜
面144が「セルフサーボ機構」の一例を構成している
のである。
【0036】次に、第3実施形態を説明する。ただし、
本実施形態は、先の第1実施形態と共通する要素が多い
ため、共通する要素については同一の符号を使用するこ
とによって詳細な説明を省略し、異なる要素についての
み詳細に説明する。また、本実施形態は、摩擦パッド1
4のくさび効果を利用してセルフサーボ効果を発生させ
る点で先の第2実施形態と共通する。
【0037】本実施形態は、各輪毎にディスクブレーキ
150が設けられるとともに、4輪に共通にコントロー
ラ100,踏力センサ102および電源装置106が設
けられた4輪自動車用のブレーキ装置である。各ディス
クブレーキ150は制動力センサ110を備えており、
その制動力センサ110はコントローラ100に接続さ
れている。
【0038】ディスクブレーキ150は、車体に位置固
定に取り付けられた固定部材としてのマウンティングブ
ラケット152を備えている。マウンティングブラケッ
ト152は、(a) 一対の摩擦パッド14a,14bをデ
ィスクロータ11を両側から挟む位置においてディスク
ロータ11の回転軸線に沿って移動可能に支持する部分
と、(b) ディスクロータ11との摩擦により各摩擦パッ
ド14a,14bに、ディスクロータ11の回転方向に
発生する力を受ける部分(受け部材)とを備えている。
【0039】図11には、一対の摩擦パッド14a,1
4bのうち車体取り付け状態で外側(図10において上
側)に位置するアウタパッド14aがマウンティングブ
ラケット152により支持される様子が示されている。
図において矢印Xは、車体前進時にディスクロータ11
が回転する前進回転方向を示している。アウタパッド1
4aのその前進回転方向における前端面156と後端面
158とからそれぞれ係合凸部160,162が突出さ
せられており、それに対応してマウンティングブラケッ
ト152に係合凹部164,166がディスクロータ1
1の回転軸線に沿って延びる状態で形成されている。そ
して、アウタパッド14aは係合凸部160,162に
おいてマウンティングブラケット152の係合凹部16
4,166にディスクロータ11の回転軸線に沿って摺
動可能に嵌合されている。ただし、互いに対応する係合
凸部160と係合凹部164、および係合凸部162と
係合凹部166は、ディスクロータ11の回転軸線から
アウタパッド14aに向かう方向において変位可能に嵌
合させられており、それにもかかわらずアウタパッド1
4aがマウンティングブラケット152内においてみだ
りに動くことがないように、スプリング168によりア
ウタパッド14aがディスクロータ11の回転軸線から
離間する向きに付勢されている。また、アウタパッド1
4aは、マウンティングブラケット152により、ディ
スクロータ11との連れ回りが実質的に阻止される状態
で支持されている。
【0040】図12には、一対の摩擦パッド14a,1
4bのうち車体取付け状態で内側(図10において下
側)のインナパッド14bがマウンティングブラケット
152により支持される様子が示されている。アウタパ
ッド14aと同様に、インナパッド14bの前端面17
0と後端面172とからそれぞれ係合凸部174,17
6が突出させられており、それに対応してマウンティン
グブラケット152に係合凹部178,180がディス
クロータ11の回転軸線に沿って延びる状態で形成され
ている。そして、インナパッド14bは係合凸部17
4,176においてマウンティングブラケット152の
係合凹部178,180にディスクロータ11の回転軸
線に沿って摺動可能に嵌合されている。また、アウタパ
ッド14aと同様に、インナパッド14bがスプリング
182によりマウンティングブラケット152内におい
てみだりに動くことがないようにされている。
【0041】インナパッド14bは、アウタパッド14
aとは異なり、マウンティングブラケット152によ
り、ディスクロータ11との連れ回りが積極的に許容さ
れる状態で支持されている。図12において矢印Yは、
インナパッド14bの連れ回り方向を示している。イン
ナパッド14bの前側の係合凸部174がマウンティン
グブラケット152との間に、連れ回り方向において大
きな隙間が残るようにマウンティングブラケット152
に取り付けられているのである。
【0042】ただし、インナパッド14bの連れ回り
は、常に許容されるのではなく、インナパッド14bと
ディスクロータ11との間に発生した摩擦力が設定値よ
り小さい状態では阻止され、設定値以上になった状態で
はじめて許容されるようになっている。このような連れ
回り制御を実現するため、本実施形態においては、係合
凸部174が、スプリング184を介してマウンティン
グブラケット152に係合させられるとともに、それら
係合凸部174とスプリング184との間に、係合凸部
174と共に移動可能な移動部材186が設けられ、さ
らに、その移動部材186の係合凸部174への接近限
度を規制するストッパ188が設けられている。インナ
パッド14bの摩擦力が設定値より小さい状態では、ス
プリング184が弾性変形せずにインナパッド14bの
連れ回りが阻止され、設定値以上となった状態ではじめ
てスプリング184が弾性変形してインナパッド14b
の連れ回りが許容されるのである。また、本実施形態に
おいては、インナパッド14bの連れ回り量が設定値と
なったときにマウンティングブラケット152に当接す
るストッパ190が移動部材186に設けられている。
これにより、インナパッド14bの連れ回り限度が規制
され、ひいては、セルフサーボ効果の限度が規制され
る。
【0043】ディスクブレーキ150はさらに、図10
に示すように、ディスクロータ11の回転軸線方向には
移動可能、ディスクロータ11の回転方向には移動不能
なキャリパボデー202を備えている。
【0044】キャリパボデー202は、図11および図
12に二点鎖線で示すように、ディスクロータ11の回
転軸線に平行に延びる姿勢で車体に取り付けられた複数
本のピン204に摺動可能に嵌合されている。キャリパ
ボデー202は、図10に示すように、ディスクロータ
11を跨き、一対の摩擦パッド14a,14bを背後か
ら挟む姿勢で複数本のピン204に取り付けられてい
る。具体的には、キャリパボデー202は、(a) アウタ
パッド14aに背後から係合するリアクション部206
と、(b) インナパッド14bに背後において近接する押
圧部208と、(c) それらリアクション部206と押圧
部208とを互いに連結する連結部210とを含むよう
に構成されている。
【0045】押圧部208においては、モータとしての
超音波モータ212が運動変換機構としてのボールねじ
機構214を介して加圧ロッド216に同軸に連結され
ている。加圧ロッド216は一軸線を有するとともに、
押圧部208により、その軸線回りに回転不能かつその
軸線方向に移動可能に支持されている。したがって、超
音波モータ212の回転軸218が回転すればその回転
運動がボールねじ機構214によって加圧ロッド216
の直線運動に変換される。それにより、加圧ロッド21
6がそれの軸線に沿って前後に移動させられ、その移動
に基づいてインナパッド14bがディスクロータ11の
一側の摩擦面12に押圧されるとともに、インナパッド
14bからの反力がキャリパボデー202を介してアウ
タパッド14aに伝達されることにより、アウタパッド
14aもディスクロータ11に反対側の摩擦面12にお
いて押圧される。
【0046】すなわち、本実施形態においては、キャリ
パボデー202が「加圧部材」の一例を構成し、また、
そのキャリパボデー202と超音波モータ212とボー
ルねじ機構214と加圧ロッド216とが互いに共同し
て「パッド加圧機構」の一例を構成しているのである。
【0047】アウタパッド14aにおいては、裏板20
の板厚が均一とされているが、インナパッド14bにお
いては、それの連れ回り方向Yにおいて後側から前側に
たどるにつれて板厚が漸減するようにされている。イン
ナパッド14aの裏板20の背面が、ディスクロータ1
1の摩擦面12に対する斜面220とされ、それによ
り、加圧ロッド216の前端面がその斜面220におい
てインナパッド14bと接触させられているのである。
さらに、その斜面220と加圧ロッド216の前端面と
はそれらの面に沿って相対移動可能とされている。した
がって、インナパッド14bの連れ回りが行われる状態
では、インナパッド14bがディスクロータ11と加圧
ロッド216との間においてくさびとして機能し、それ
により、インナパッド14bにセルフサーボ効果が発生
する。なお、本実施形態においては、加圧ロッド216
の軸線が斜面220と直角とされている。
【0048】本実施形態においては、加圧ロッド216
の前端面において複数のボール222(ローラ等でも
可)が加圧ロッド216の軸線回りの一円周に沿ってほ
ぼ等間隔で保持されるとともに、各ボール222が転動
可能に保持されている。インナパッド14bの裏板20
と加圧ロッド216とがスラストベアリング224によ
り互いに接触させられているのであり、それらインナパ
ッド14bと加圧ロッド216との間の摩擦が低減され
ている。すなわち、本実施形態においては、スラストベ
アリング224が「摩擦低減手段」の一例を構成してい
るのである。なお、摩擦の低減は例えば、加圧ロッド2
16のうち少なくとも斜面220と接触する部分の材質
を、金属より耐摩耗性,耐蝕性,摺動性のよい材質(例
えば、窒化珪素,炭化珪素等、耐摩耗性のよいセラミッ
クスや、自己潤滑性のよいポリアミド樹脂,自己潤滑性
がよく、かつ、耐摩耗性がよいために加圧ロッド216
の防錆性を向上させるふっ素樹脂)とすることによって
実現することもできる。
【0049】また、本実施形態においては、ボール22
2の材質が、金属より断熱性のよい材質(例えば、窒化
珪素,炭化珪素等、断熱性のよいセラミックス)とされ
ている。超音波モータ212からインナパッド14bに
力が伝達される力伝達系の途中に、そのように断熱性の
よいボール222が設けられ、それにより、インナパッ
ド14bとディスクロータ11との間に発生する摩擦熱
が力伝達系を経て超音波モータ212に伝達されること
が抑制され、それにより、超音波モータ212の温度上
昇が抑制される。すなわち、本実施形態においては、断
熱性のよいボール222が「温度上昇抑制手段」の一例
および「伝熱抑制部材」の一例を構成しているのであ
る。なお、温度上昇の抑制は例えば、加圧ロッド216
の材質を、金属より断熱性のよい材質とすることによっ
て実現することもできる。
【0050】次に作動を説明する。運転者によりブレー
キペダル104が踏み込まれ、それに伴って超音波モー
タ212が回転させられて加圧ロッド216が非作動位
置から前進させられれば、インナパッド14bがディス
クロータ11に押圧される。それにより、それらインナ
パッド14bとディスクロータ11との間に摩擦力が発
生するとともに、アウタパッド14aとディスクロータ
11との間にも摩擦力が発生し、その結果、車輪が制動
される。
【0051】インナパッド14bの摩擦力が設定値より
低く、スプリング184の設定荷重に打ち勝つことがで
きない状態では、スプリング184によってインナパッ
ド14bの連れ回りが阻止され、それにより、セルフサ
ーボ効果の発生が阻止される。したがって、ディスクブ
レーキ150の効き当初,弱いブレーキ操作状態等であ
るためにインナパッド14bの摩擦力が小さい状態で
は、超音波モータ212の駆動のみにより車輪が制動さ
れる。
【0052】これに対して、ブレーキペダル104がさ
らに強く踏み込まれたため、インナパッド14bの摩擦
力が設定値以上となり、スプリング184の設定荷重に
打ち勝つことができる状態となれば、スプリング184
によってインナパッド14bの連れ回りが許容される。
インナパッド14bがディスクロータ11に連れ回れ
ば、それに伴って斜面220が一体的に移動し、その結
果、ディスクロータ11の摩擦面12と斜面220との
距離が増加する。それにより、インナパッド14bがデ
ィスクロータ11と加圧ロッド216とにより板厚方向
に強く圧縮され、その結果、インナパッド14bが大き
な力でディスクロータ11に押圧される。
【0053】すなわち、ブレーキペダル104が強く
(例えば、車体に0.3ないし0.6G程度の減速度が
発生する程度に)踏み込まれたためにインナパッド14
bの摩擦力が大きくなった状態では、ディスクロータ1
1と加圧ロッド216との間においてインナパッド14
bがくさびとして機能し、それにより、インナパッド1
4bにセルフサーボ効果が発生し、その結果、超音波モ
ータ212の駆動とセルフサーボ効果との双方により車
輪が制動される。
【0054】なお、セルフサーボ機能によってインナパ
ッド14bとディスクロータ11との押圧力が増加すれ
ば、それに伴って加圧ロッド216の軸力が増加し、ひ
いては、超音波モータ212の回転軸218の回転トル
クも増加する。これに対して、本実施形態においては、
ボールねじ機構214の逆効率を通常より小さくするこ
とと、モータの中で保持トルクが大きい超音波モータ2
12を採用することとの双方により、超音波モータ21
2の逆転が防止され、セルフサーボ機能が確実に実現さ
れる。
【0055】インナパッド14bの摩擦力がさらに増加
してストッパ190がマウンティングブラケット152
と当接すれば、インナパッド14bの更なる連れ回りが
阻止され、セルフサーボ効果の増加が阻止される。した
がって、インナパッド14bの連れ回り量が過大とな
り、インナパッド14bの裏板20への加圧ロッド21
6の食い込み量が過大となって、裏板20が弾性回復不
能に局部的に凹まされることが防止される。その結果、
ブレーキ操作の解除に伴って加圧ロッド216が作動位
置から非作動位置に戻るにもかかわらずインナパッド1
4bが連れ回り位置から初期位置に戻らないためにいわ
ゆるブレーキの引きずりが発生することが防止される。
【0056】以上の説明から明らかなように、本実施形
態においては、インナパッド14bをくさびとして機能
させるために、マウンティングブラケット152にイン
ナパッド14bをディスクロータ11に連れ回り可能に
支持させるとともに、インナパッド14bに斜面220
を形成することにより、「セルフサーボ機構」の一例を
構成し、また、スプリング184が「セルフサーボ効果
発生阻止機構」の一例および「弾性部材」の一例を構成
し、また、ストッパ190が「セルフサーボ効果増加阻
止機構」の一例を構成しているのである。
【0057】また、本実施形態においては、インナパッ
ド14bのみが「対象摩擦パッド」とされている。ま
た、マウンティングブラケット152のうち、一対の摩
擦パッド14a,14bを、インナパッド14bにおい
てアウタパッド14aにおけるより、各摩擦パッド14
の前端部とマウンティングブラケット152との間の隙
間が大きくなるように、すなわち、インナッド14bと
マウンティングブラケット152との間の隙間が、マウ
ンティングブラケット152がインナパッド14bをデ
ィスクロータ11の回転軸線に沿って摺動可能に支持す
るために必要な摺動隙間より大きくなるように支持する
部分が「連れ回り許容機構」を構成している。
【0058】以上の説明から明らかなように、本実施形
態においては、モータの駆動力の割に大きな車輪制動力
が実現されるという利点と、車輪制動力を不安定化させ
易いという欠点とを併せ持つセルフサーボ機能が、すべ
ての制動状態において一律に実現されるのではなく、欠
点が実質的に問題にならずに利点のみを享受し得る特定
の制動状態においてのみ選択的に実現されるため、セル
フサーボ機能を実現可能なディスクブレーキを備えたブ
レーキ装置において、車輪制動力の不安定化なしで車輪
制動力の増大が可能になるという効果が得られる。
【0059】次に、第4実施形態を説明する。ただし、
本実施形態は先の第3実施形態と共通する要素が多いた
め、共通する要素については同一の符号を使用すること
によって詳細な説明を省略し、異なる要素については詳
細に説明する。
【0060】本実施形態の特徴は、ディスクブレーキ2
30が超音波モータ212を積極的に冷却することによ
ってそれの温度上昇を抑制する冷却装置232を備えて
いることにある。超音波モータ212の温度上昇の原因
には、一対の摩擦パッド14a,14bとディスクロー
タ11との摩擦熱の他に、超音波モータ212のコイル
の発熱もあり、摩擦熱の超音波モータ212への伝達の
み抑制しても、十分な温度上昇抑制効果が得られない場
合があり、このような場合に本実施形態が有効となる。
【0061】冷却装置232は、本実施形態において
は、水冷式とされており、超音波モータ212のハウジ
ングを外側から覆うジャケット234を備えている。ジ
ャケット234には、冷却液としての水(他の液体でも
可)を導く通路236が形成されている。その通路23
6には水がポンプ238によって循環させられるように
なっている。ポンプ238はモータ240によって駆動
され、モータ240は前記コントローラ100によりそ
の始動・停止が制御される。冷却装置232はまた、水
を蓄えるタンク242も備えている。図14には、冷却
装置232の要部のみが取り出されて拡大して示されて
いる。すなわち、本実施形態においては、冷却装置23
2が「温度上昇抑制手段」の一例を構成しているのであ
る。
【0062】したがって、本実施形態によれば、超音波
モータ212が積極的に冷却されるため、超音波モータ
212の温度上昇が効果的に抑制され、温度上昇に起因
した超音波モータ212の異常を確実に回避可能とな
る。
【0063】なお、本実施形態においては、冷却装置2
32が水冷式とされているが、電動モータに風を当てる
冷却ファンと、それを回転させるモータとを含む空冷式
とすることができる。なお、空冷式の冷却装置は、広範
囲にわたって冷却を行うように設計することが容易であ
るため、ディスクブレーキ230のうち超音波モータ2
12のみならず、熱源である一対の摩擦パッド14a,
14bやディスクロータ11をも冷却するようにするこ
とが望ましい。
【0064】次に、第5実施形態を説明する。ただし、
本実施形態は、先の第4実施形態と共通する要素が大き
いため、共通する要素については同一の符号を使用する
ことによって詳細な説明を省略し、異なる要素について
のみ詳細に説明する。
【0065】第4実施形態においては、ディスクロータ
11の制動を行う超音波モータ212の冷却が別のモー
タ240によって行われるが、本実施形態においては、
冷却されるべき超音波モータ212自身によってその冷
却が行われる。具体的には、図15に示すように、超音
波モータ212が、伝達制御装置250を介してディス
クブレーキ230と、超音波モータ212を駆動源とし
てポンプまたはファンを作動させ、それにより、超音波
モータ212に向かう液体または気体の流れを生起させ
る冷却装置252とに接続されている。伝達制御装置2
50は、超音波モータ212によってディスクロータ1
1を制動することが必要である場合には、超音波モータ
212の駆動力をディスクブレーキ230に伝達する一
方、その必要がない場合の少なくとも一時期には、超音
波モータ212の駆動力を冷却装置252に伝達する構
成とされている。
【0066】一連のブレーキ操作においては普通、ブレ
ーキペダル104の踏込みが連続的に行われるのではな
く断続的に行われ、よって、踏込み状態とその解除状態
(非踏込み状態)とが交互に繰り返される。一方、超音
波モータ212の温度を上昇させる原因は、ブレーキペ
ダル104の踏込み状態に発生し、また、ブレーキペダ
ル104の解除状態では、超音波モータ212の駆動力
を別の用途に利用可能である。したがって、一連のブレ
ーキ操作において、各回の踏込み状態では超音波モータ
212を本来の用途である車輪制動に利用し、各回の解
除状態では超音波モータ212を別の用途の一例である
冷却に利用することが可能である。そして、そのように
すれば、一連のブレーキ操作中、超音波モータ212が
時期的に分散して冷却されるため、一連のブレーキ操作
の終了毎に超音波モータ212を時期的に集中して冷却
する場合に比較して、一連のブレーキ操作中に超音波モ
ータ212の温度上昇が効果的に抑制される。
【0067】以上の知見に基づき、本実施形態において
は、伝達制御装置250が、ブレーキペダル104の踏
込み状態(例えば、ブレーキ操作を検出するブレーキス
イッチがONされた状態)では、超音波モータ212の
駆動力をディスクブレーキ230に伝達し、これに対し
て、ブレーキペダル104の非踏込み状態(例えば、ブ
レーキスイッチがOFFされている状態)では、超音波
モータ212の駆動力を冷却装置252に伝達する構成
とされている。すなわち、本実施形態においては、超音
波モータ212と伝達制御装置250と冷却装置252
とが互いに共同して「温度上昇抑制手段」の一例を構成
しているのである。
【0068】したがって、本実施形態によれば、ディス
クロータ11の制動を行う超音波モータ212が効果的
に冷却されて、その超音波モータ212の作動が安定す
るとともに、ブレーキ装置に使用するモータの数が減少
し、装置コストを容易に削減可能となるという効果が得
られる。
【0069】なお付言すれば、以上説明したいくつかの
モータ冷却技術は、モータを駆動源とするがセルフサー
ボ機能を実現しないディスクブレーキにも適用可能であ
る。
【0070】さらに付言すれば、以上説明したすべての
実施形態においては、摩擦パッドの摩擦力をディスクロ
ータへの押圧力に変換して同じ摩擦パッドに付与するセ
ルフサーボ作用が、押圧力がモータから摩擦パッドに伝
達される力伝達系において行われ、これに対して、摩擦
パッドの連れ回り制御、すなわち、セルフサーボ作用の
許可・禁止が、摩擦パッドと受け部材とにおいて行われ
る。すなわち、セルフサーボ作用と連れ回り制御とがデ
ィスクブレーキにおいて互いに異なる部位において実現
されるのである。したがって、いずれの実施形態におい
ても、セルフサーボ作用と連れ回り制御とを同じ部位に
おいて実現する場合に比較して、それらセルフサーボ作
用と連れ回り制御とを簡単な構造で確実に実現可能とな
る。
【0071】次に、第6〜第8実施形態を説明する。た
だし、それら実施形態は、先の第3実施形態と共通する
要素が多いため、共通する要素については同一の符号を
使用することによって詳細な説明を省略し、異なる要素
についてのみ詳細に説明する。
【0072】先の第3実施形態においては、制動力セン
サ110が、インナパッド14bからマウンティングブ
ラケット152に入力される力を制動力として検出する
形式とされている。これに対して、第6実施形態におい
ては、図16に示すように、制動力センサ260が、加
圧ロッド216の途中に配置されてインナパッド14b
から加圧ロッド216に入力される力を制動力関連量と
して検出する形式として設けられている。また、第7実
施形態においては、図17に示すように、制動力センサ
262が、超音波モータ212のうち加圧ロッド216
とは反対側の部分とキャリパボデー202とに挟まれて
配置されてインナパッド14bから加圧ロッド216を
経て超音波モータ212に入力される力を制動力関連量
として検出する形式として設けられている。また、第8
実施形態においては、図18に示すように、加圧ロッド
216の先端部に取り付けられ、概して球面状を成す凸
面でインナパッド14bの背面に接触することにより、
インナパッド14bから加圧ロッド216に入力される
力を制動力関連量として検出する形式として設けられて
いる。
【0073】次に、第9実施形態を説明する。図19に
は、本実施形態である4輪車両用ブレーキ装置における
モータ駆動式ディスクブレーキ(以下、単に「ディスク
ブレーキ」という)310が示されている。このディス
クブレーキ310は、車両に各輪毎にホイールブレーキ
として設けられるが、図には、一つのディスクブレーキ
310が代表的に示されている。
【0074】ディスクブレーキ310は、車輪と共に回
転する回転体としてのディスクロータ312を備えてい
る。ディスクロータ312の両面はそれぞれ摩擦面31
4とされ、それら摩擦面314に対向して一対の摩擦パ
ッド320a,320bが配設されている。各摩擦パッ
ド320は、前面において各摩擦面314と接触する摩
擦材322を備えるとともに、その摩擦材322の背面
に鋼製の裏板324の前面が固着された構造とされてい
る。
【0075】ディスクブレーキ310は、パッド支持機
構326とセルフサーボ機構327とパッド加圧機構3
28とを備えている。
【0076】まず、パッド支持機構326を説明する。
ディスクブレーキ310は、図20に示すように、マウ
ンティングブラケット330を備えている。マウンティ
ングブラケット330は、ディスクロータ312を跨ぐ
状態で車体に位置固定に取り付けられている。マウンテ
ィングブラケット330は、(a) 一対の摩擦パッド32
0a,320bをディスクロータ312を両側から挟む
位置において摩擦面314と交差する方向に移動可能に
支持する部分と、(b) 各摩擦パッド320とディスクロ
ータ312との接触時に各摩擦パッド320に発生する
摩擦力を受ける部分(受け部材)とを備えている。図に
おいて「X」は、車体前進時に、ディスクロータ312
のうちマウンティングブラケット330を通過する部分
が回転するロータ回転方向を表し、一方、「Y」は、各
摩擦パッド320が移動可能な、摩擦面314と交差す
るパッド移動方向を表している。マウンティングブラケ
ット330は車体に、図2を符号が正立する向きに見た
場合に図において上側となる部分が車体前側、右側とな
る部分が車体外側、左側となる部分が車体内側にそれぞ
れ位置するように取り付けられている。したがって、一
対の摩擦パッド320,320のうち、図において右側
のものがアウタパッド320a、左側のものがインナパ
ッド320bである。
【0077】次に、セルフサーボ機構327を説明す
る。このセルフサーボ機構327は、インナパッド32
0bをくさびとして機能させることにより、インナパッ
ド320bにセルフサーボ効果を発生させるものであ
る。そのため、インナパット320bが、マウンティン
グブラケット330により、先の第3実施形態における
と同様な構造により、ディスクロータ312に連れ回る
ことが積極的に許容される状態で支持されている。図に
おいて「Z」は、車体前進時にインナパッド320bが
連れ回るパッド連れ回り方向を表している。インナパッ
ド320bをくさび形状とするために、本実施形態にお
いては、摩擦材322の板厚がパッド連れ回り方向Zに
おいてそれの開始側から終了側に向かって漸減するよう
になっている。その結果、摩擦材322の前面に、板厚
が均一である裏板324に対して傾斜した斜面334が
形成されている。この斜面334を対向する摩擦面31
4に接触させると、裏板324の背面がその摩擦面31
4に対して傾斜することになる。このように傾斜した裏
板324に対して後述の加圧ロッドを直角に係合させる
ために、マウンティングブラケット330が車体に、設
計基準線L1がディスクロータ312の回転軸線L2に
対して、マウンティングブラケット330のうち車体内
側の部分が車体前側にずれる向きに傾斜する姿勢で取り
付けられている。設計基準線L1は、一対の摩擦パッド
320,320の両中心を通過して各摩擦パッド320
の移動方向と平行に延びる一直線であり、また、一対の
摩擦パッド320a,320bに背後から係合するキャ
リパボデー336がマウンティングブラケット330に
ピンスライド構造により摺動可能に取り付けられる際の
その摺動方向に平行な直線でもある。
【0078】アウタパッド320aは、セルフサーボ効
果を発生させる対象ではないため、くさび形状とするこ
とが不可欠ではない。しかし、上述のように、マウンテ
ィングブラケット330をインナパッド320bの裏板
324に追従するように回転軸線L2に対して傾斜させ
ると、それに伴って、キャリパボデー326も同様に傾
斜するため、そのキャリパボデー326の傾斜に追従す
るようにアウタパッド320aもくさび形状とされてい
る。ただし、インナパッド320bにおけるとは異な
り、摩擦材322の板厚がロータ回転方向Xにおいてそ
れの開始側から終了側に向かって漸増するようになって
いる。これにより、キャリパボデー326の傾斜にもか
かわらずアウタパッド320aがそれの摩擦材322の
前面において隙間なく対向する摩擦面314に接触する
ことになる。
【0079】上記のように、インナパッド320bは、
マウンティングブラケット330により、ディスクロー
タ310に連れ回ることが積極的に許容される状態で支
持されているが、アウタパッド320aは、連れ回りが
実質的に阻止される状態で支持されている。
【0080】ただし、インナパッド320bの連れ回り
は常時許容されるわけではなく、そのインナパッド32
0bの摩擦力が基準値に達するまでは阻止されるように
設計されている。具体的には、インナパッド320bと
マウンティングブラケット330とが弾性的制御機構3
40を介して連携させられている。その弾性的制御機構
340は、インナパッド320bから入力される入力荷
重が基準値に達しないうちは、弾性変形せずにインナパ
ッド320bとマウンティングブラケット330とのパ
ッド連れ回り方向Zにおける相対移動を阻止し、それに
より、インナパッド320bの連れ回りを阻止し、一
方、その入力荷重が基準値を超えた後には、弾性変形し
てその相対移動を許容し、それにより、インナパッド3
20bの連れ回りを許容する機構とされている。
【0081】弾性的制御機構340は、種々の形式を採
用可能であるが、本実施形態においては、図21に取り
出して示されているように、(a) U字形状を成して一対
のアームを有する弾性部材342と、(b) その弾性部材
342の弾性変形量を変化させることによって弾性部材
342の初期荷重を調節する調節機構344とを含む構
造とされている。「初期荷重」は、インナパッド320
bが弾性部材342の弾性力に抗してパッド連れ回り方
向Zに移動し始めるときの上記入力荷重に等しい荷重を
いう。弾性部材342は、それの一対のアームが車体左
右方向に延びる姿勢で配置されるとともに、一方のアー
ムにおいてマウンティングブラケット330に連携させ
られ、他方のアームにおいてインナパッド320bに連
携させられている。調節機構344は、パッド連れ回り
方向Zにほぼ平行に延びて弾性部材342の一対のアー
ムを互いに接近可能かつ離間不能に連結する長さ調節ボ
ルトを含み、弾性部材342の弾性変形量を変化させる
ことによって弾性部材342の初期荷重を調節する。
【0082】図4には、別の形式である弾性的制御機構
350が示されている。この弾性的制御機構350は、
(a) 複数枚の皿ばねが同軸に重ね合わせられて構成され
た弾性機構352と、(b) その弾性機構352の弾性力
をインナパッド320bに伝達する伝達機構354と、
(c) その弾性力を調節する調節機構356とを備えてい
る。伝達機構354は、図21におけると同様に、U字
形状を成して弾性を有するとともに、それの一対のアー
ムが車体左右方向に延びる姿勢で配置され、かつ、一方
のアームにおいてマウンティングブラケット330に連
携させられ、他方のアームにおいてインナパッド320
bに連携させられている。しかし、この弾性的制御機構
350においては、インナパッド320bに力を付与す
るのは弾性機構352であり、伝達機構354はその弾
性機構352により発生させられた力をインナパッド3
20bに伝達することが目的とされている。したがっ
て、伝達機構354は、それに形状が類似する前記弾性
部材342におけるほどには大形化せずに済む。また、
調整機構356は、図21におけると同様に長さ調節ボ
ルトを含み、弾性機構352における皿ばねの弾性変形
量を変化させることによって弾性機構352の初期荷重
を調節する。
【0083】なお、本実施形態においては、図20に示
すように、インナパッド320bにつき、摩擦材322
の板厚がロータ回転方向Xに漸減するのに対して、裏板
324の板厚が均一とされ、それにより、斜面334が
摩擦材322の側に形成されているが、これとは逆に、
摩擦材322の板厚が均一とされのに対して、裏板32
4の板厚がロータ回転方向Xに漸減し、それにより、斜
面334が裏板324の側に形成されるようにして本発
明を実施することはもちろん可能である。このことは、
アウタパッド320aについても同様である。
【0084】本実施形態においては、弾性的制御機構3
40における「基準値」が、ディスクブレーキ310に
よって車体に0.5〜0.6G程度の減速度が発生する
ときに前記入力荷重がとることが予想される値に設定さ
れている。したがって、通常ブレーキ操作時には、イン
ナパッド320bの連れ回りが阻止され、それにより、
セルフサーボ効果が発生せず、一方、急ブレーキ操作時
(正確には、強ブレーキ操作時)には、インナパッド3
20bの連れ回りが許容され、それにより、セルフサー
ボ効果が発生する。
【0085】以上の説明から明らかなように、本実施形
態においては、弾性的制御機構340が「セルフサーボ
効果発生阻止機構」の一例を構成しているのである。
【0086】次に、パッド加圧機構328について説明
する。ディスクブレーキ310は、図20に示すよう
に、キャリパポデー336を備えている。キャリパボデ
ー336は、図1に示すように、本体部358にそれの
車体内側の部分においてブラケット(後述の超音波モー
タの取付部)360がねじ止めされることによって構成
されている。キャリパボデー336は、さらに、図20
に示すように、車体の前後方向に延びる一対のアーム3
61を備えている。一対のアーム361は、図23に示
すように、本体部358にねじ止めされるとともに、ブ
ラケット360に2箇所においてねじ止めされている。
なお、図23には、キャリパボデー336を図2におい
て左側から見た図が示されており、本体部358および
一対のアーム361が実線、ブラケット360が二点鎖
線で示されている。
【0087】なお、本実施形態においては、キャリパボ
デー336が、上記のように、本体部358とブラケッ
ト360と一対のアーム361とが互いに別部品とされ
てねじ止めされた3分割構造とされているが、一体構造
とすることができるのはもちろんである。
【0088】キャリパボデー336は、図20に示すよ
うに、本体部358においてマウンティングブラケット
330にパッド移動方向Yに摺動可能に支持されてい
る。各アーム361の先端部には、各々パッド移動方向
Yに平行に延びる2本のピン362が取り付けられてお
り、それら2本のピン362はマウンティングブラケッ
ト330にパッド移動方向Yに摺動可能に嵌合されてい
る。キャリパボデー336は、本体部358と2本のピ
ン362とにおいてマウンティングブラケット330に
摺動可能に支持されているのである。
【0089】キャリパボデー336の本体部358は、
インナパッド320bの背後に位置する押圧部364と
アウタパッド320aの背後に位置するリアクション部
366とがディスクロータ312を跨ぐ連結部368に
より互いに連結された構造とされている。
【0090】図19に示すように、押圧部364には加
圧ロッド370がインナパッド320bの背後において
摺動可能に嵌合されている。加圧ロッド370はそれの
前面においてインナパッド320bの背面に接触させら
れる。加圧ロッド370の背後には、超音波モータ37
2が同軸に配置されている。超音波モータ372はブラ
ケット360に取り付けられている。加圧ロッド370
と超音波モータ372とは、パッド移動方向Yに平行に
配置されるとともに、運動変換機構としてのボールねじ
機構374により同軸に連結されている。それら加圧ロ
ッド370と超音波モータ372とボールねじ機構37
4とに共通の一軸線L3は、図20に示すように、マウ
ンティングブラケット330の設計基準線L1に平行で
あるが、その設計基準線L1からロータ回転方向Xに所
定距離だけオフセットさせられている。
【0091】以上の説明から明らかなように、本実施形
態においては、ディスクロータ312と加圧ロッド37
0との間においてインナパッド320bが、ディスクロ
ータ312に連れ回り可能に配置されるとともに、ディ
スクロータ312と加圧ロッド370とがそのインナパ
ッド320bの斜面334を介して係合させられてい
る。したがって、インナパッド320bがディスクロー
タ312に連れて回れば、そのインナパッド320bが
くさびとして機能し、そのインナパッド320bとディ
スクロータ312との間に発生した摩擦力がディスクロ
ータ312と加圧ロッド370とを互いに離間させる向
きの軸力に変換される。それにより、一対の摩擦パッド
320とディスクロータ312との間の押圧力が増加
し、その結果、インナパッド320bとディスクロータ
312との間の摩擦力が増加する。すなわち、インナパ
ッド320bがディスクロータ312に連れて回れば、
インナパッド320bにセルフサーボ効果が発生するの
である。
【0092】超音波モータ(以下、単に「モータ」とい
う。)372は、進行波式である。このモータ372
は、原理および駆動方法がよく知られたものであるた
め、簡単に説明する。
【0093】このモータ372は、ステータに超音波振
動を与えて表面波を生じさせるとともに、ステータとロ
ータとの間に働く摩擦力によってロータを回転させる。
モータ372は、図19に示すように、ハウジング38
0にステータ382とロータ384とが同軸に配置され
た構造とされている。
【0094】ステータ382は、共に円環板状を成す弾
性体390と圧電体392とが重ね合わせられて接着さ
れた構造とされている。圧電体392は、それの片側に
おいて、図24に示すように、各々、交互に分極方向が
異なる複数(図の例では、9つ)のセグメント電極から
成る電極群392aと392bとの2組が形成されてお
り、それら電極群392a,392bは互いに位相が9
0°異なるように配置されている。それら電極群392
aと392bとの間に存在する2つの領域の一方には、
後述の周波数追尾のための電極392cが配置されてい
る。また、圧電体392の反対側の面において、図7に
示すように、電極群392aと392bとの各々につい
ては、それに属する複数のセグメント電極が一つにまと
められて共通電極92dと392eとされている。
【0095】ロータ384は押圧接触機構394によっ
てステータ382に押し付けられ、両者の間に必要な摩
擦力が得られるようになっている。ロータ384のうち
ステータ382と接触する部分には摩擦材料が接着され
ている。これにより、ステータ382に発生した進行波
振動がロータ384に伝達されてロータ384が回転さ
せられる。その押圧接触機構394により、圧電体39
2に電圧が印加されない非通電状態(OFF状態)でも
ステータ382とロータ384との間には一定の摩擦力
が生じている。この摩擦力に基づいてモータ372に発
生するトルクが静止保持トルクである。押圧接触機構3
94は、本実施形態においては、皿ばね396を主体と
する形式とされているが、コイルばねを主体とする形式
とすることができるのはもちろんである。
【0096】また、モータ372は、ロータ384の回
転位置を検出する回転位置センサとしてエンコーダ39
8を備えている。
【0097】前記ボールねじ機構374は、おねじ部材
(スクリューシャフト)400とめねじ部材(スクリュ
ーナット)402とが複数個のボール(図示しない)を
介して螺合された構造とされている。おねじ部材400
は回転不能かつ軸方向移動可能、めねじ部材402は回
転可能かつ軸方向移動不能に前記ハウジング380に取
り付けられている。具体的には、おねじ部材400は、
スプライン嵌合部404によってハウジング380に回
転不能に取り付けられている。これに対して、めねじ部
材402は、ラジアル軸受410とスラスト軸受412
とにより回転可能にハウジング380に取り付けられる
とともに、ストッパ414により軸方向移動不能にハウ
ジング380に取り付けられている。このめねじ部材4
02にロータ384と押圧接触機構394とが相対回転
不能に取り付けられている。したがって、ロータ384
が正回転してめねじ部材402も正回転すれば、おねじ
部材400が前進して(図において右方に移動して)加
圧ロッド370が摩擦パッド320がディスクロータ3
12に接近する向きに移動する。逆に、ロータ384が
逆回転してめねじ部材402も逆回転すれば、おねじ部
材400が後退して(図において左方に移動して)加圧
ロッド370が摩擦パッド320がディスクロータ31
2に接近する向きに移動することが許容される。
【0098】おねじ部材400の先端部には荷重センサ
420が同軸に取り付けられており、おねじ部材400
はその荷重センサ420を介して加圧ロッド370に背
後から係合する。したがって、荷重センサ420からの
出力信号に基づき、モータ372によりインナパッド3
20bが加圧される際の加圧力が検出可能となる。
【0099】図26には、本ブレーキ装置の電気的構成
がブロック図で示されている。本ブレーキ装置は、主ブ
レーキコントローラ430を備えている。主ブレーキコ
ントローラ430は、主ブレーキ操作時に、モータ37
2によるインナパッド320bの加圧力(以下、単に
「加圧力」という)を制御してディスクブレーキ310
を制御するものであり、CPU,ROMおよびRAMを
含むコンピュータを主体として構成されている。
【0100】主ブレーキコントローラ430の入力側に
は、コンピュータを主体とする加圧力指令値コントロー
ラ432が接続されている。加圧力指令値コントローラ
432には、運転操作情報センサ434と車両状態セン
サ436と車輪状態センサ438とが接続されている。
【0101】運転操作情報センサ434は、ステアリン
グホイールの操舵角,ブレーキ操作部材の操作状態量
(操作力や操作ストローク),アクセル操作部材の操作
状態量(操作力や操作ストローク)等、運転操作に関す
る情報を検出する。本ブレーキ装置は、運転者によって
踏み込まれるブレーキ操作部材としてのブレーキペダル
(図示しない)と、そのブレーキペダルの踏み込みに応
じてブレーキ操作力を発生させるブレーキ操作装置(図
示しない)とを備えており、運転操作情報センサ434
は、少なくとも、ブレーキ操作力をブレーキ操作状態量
として検出するブレーキ操作力センサを含むものとされ
ている。車両状態センサ436は、車速,車体横加速
度,車体前後加速度,車体ヨーレート,車体スリップ角
等、車両の状態に関する情報を検出する。車輪状態セン
サ438は、車輪速,車輪加速度,車輪スリップ率等、
車輪の状態に関する情報を検出する。
【0102】加圧力指令値コントローラ432は、それ
らセンサ434,436,438の出力信号に基づき、
制動力配分制御,アンチロック制御,トラクション制
御,車両安定性制御およびブレーキアシスト制御を行
う。
【0103】「制動力配分制御」は、主ブレーキ操作時
に、車輪制動力の前後配分が適正となり、ブレーキ操作
力に応じた高さの減速度が車体に、前輪より先行して後
輪がロックすることがないように発生するように各輪の
ディスクブレーキ310の加圧力を制御することをい
う。ブレーキ操作力は、運転操作情報センサ434(例
えば、ブレーキ踏力センサ等)により検出される。「ア
ンチロック制御」は、車両制動中に各輪にロック傾向が
生じた場合に、そのロック傾向が過大とならないように
各輪のディスクブレーキ310の加圧力を制御すること
をいう。各輪のロック傾向は、少なくとも車輪状態セン
サ438(例えば、車輪速センサ)の出力信号に基づい
て検出される。「トラクション制御」は、車両駆動時に
各駆動車輪にスピン傾向が生じた場合に、そのスピン傾
向が過大とならないように各駆動車輪のディスクブレー
キ310の加圧力を制御することをいう。各駆動車輪の
スピン傾向も、少なくとも車輪状態センサ438(例え
ば、車輪速センサ)の出力信号に基づいて検出される。
「車両安定性制御」は、車両のアンダステア傾向または
オーバステア傾向が生じた場合に、それら傾向が過大と
ならないようにディスクブレーキ310の加圧力の左右
輪間における差を制御することをいう。車両のアンダス
テア傾向およびオーバステア傾向は車両状態センサ43
6により検出される。「ブレーキアシスト制御」は、急
ブレーキ操作時に、ブレーキ操作力の不足分に対応する
車輪制動力の不足が補われるように各輪のディスクブレ
ーキ310の加圧力を制御することをいう。急ブレーキ
操作は、運転操作情報センサ434としての、ブレーキ
操作部材の操作位置を検出するブレーキ操作位置センサ
により検出されたブレーキ操作位置の時間的変化量が、
通常ブレーキ操作時には超えない基準値を超えたとき
に、検出される。
【0104】主ブレーキコントローラ430の入力側に
は、さらに、ブレーキスイッチ440とイグニションス
イッチ442とが接続されている。
【0105】ブレーキスイッチ440は、ブレーキペダ
ルの踏み込みをブレーキ操作として検出するセンサの一
例であり、ブレーキ操作の検出時にはON、非検出時に
はOFFとなる。イグニションスイッチ442は、エン
ジンの始動を検出するセンサの一例であり、エンジン始
動の検出時にはON、非検出時にはOFFとなる。
【0106】主ブレーキコントローラ430の入力側に
は、さらに、前記荷重センサ420とエンコーダ398
も接続されている。
【0107】本ブレーキ装置は、さらに、駐車ブレーキ
コントローラ450を備えている。この駐車ブレーキコ
ントローラ450は、駐車ブレーキ操作時に、ディスク
ブレーキ310を作動させて車両を停止状態に保持する
ためのコントローラであり、主ブレーキコントローラ4
30と同様に、コンピュータを主体として構成されてい
る。この駐車ブレーキコントローラ450の入力側に
は、駐車ブレーキスイッチ452が接続されている。こ
の駐車ブレーキスイッチ452は、駐車ブレーキ操作を
検出する駐車ブレーキ操作センサの一例として、駐車ブ
レーキ操作の検出時にはON、非検出時にはOFFとな
る。
【0108】主ブレーキコントローラ430の出力側と
駐車ブレーキコントローラ450の出力側には、モータ
駆動回路454が接続されている。このモータ駆動回路
454は、各輪のディスクブレーキ310のモータ37
2に対応して設けられており、各モータ駆動回路454
に、各モータ372と、4輪のディスクブレーキ310
のモータ372に共通の直流電源456とが接続されて
いる。
【0109】図27には、モータ駆動回路454の構造
が機能ブロック図で示されている。モータ駆動回路45
4は、駆動信号発生部458と、電力供給部460と、
周波数追尾部462とを備えている。
【0110】駆動信号発生部458は、主ブレーキコン
トローラ430の出力側と駐車ブレーキコントローラ4
50の出力側とに接続され、それらコントローラ43
0,450から供給されるモータ指令信号に基づき、電
力供給部460に供給すべき駆動信号を発生させる。駆
動信号は、可変の駆動周波数を有するとともに、電極群
392aと392bとの間において位相が90度異なる
高周波2相交流信号である。電力供給部460は、駆動
信号発生部458と直流電源456とに接続され、駆動
信号発生部458から供給された駆動信号に基づき、直
流電源456から電力を電極群392aと392bとに
供給する。
【0111】モータ372は、圧電体392の共振点ま
たはその近傍(以下、単に「共振点近傍」という)で駆
動されることがモータ372の駆動効率を向上させるた
めに望ましいが、圧電体392の共振周波数は圧電体3
92の温度,モータ372の負荷等によって変動する。
周波数追尾部462は、そのような共振周波数の変動に
追尾して駆動周波数を変化させるために設けられている
のであり、周波数追尾部462は、電極392cが圧電
効果によりステータ382の振動振幅に応じた電圧を発
生させるという事実を利用し、電極392cの出力信号
に基づき、ステータ382の振動状態を監視しつつ駆動
周波数を適正化するための信号を駆動信号発生部458
に供給する。
【0112】図28には、主ブレーキコントローラ43
0のコンピュータのROMに記憶されているブレーキ制
御ルーチンがフローチャートで表されている。
【0113】本ルーチンを概略的に説明すれば、本ルー
チンは主ブレーキ操作時にパッド加圧制御を行う。この
パッド加圧制御においては、加圧力実際値FS が加圧力
指令値F* と等しくなるようにモータ372が制御され
る。
【0114】加圧力実際値FS が加圧力指令値F* より
小さい場合には、モータ372に正回転指令信号(モー
タ372を「第1の通電状態」にするための信号)が出
力されてモータ372が正回転させられ、それにより、
加圧力実際値FS が増加させられる。
【0115】ただし、モータ372に正回転指令信号を
出力したにもかかわらず、加圧力実際値FS が増加しな
くなった場合、すなわち、加圧力実際値FS の今回値F
S (N) の前回値FS (N-1) からの増加量が、第1基準増
加量としての0以下となった場合に、モータ372にO
FF指令信号(モータ372を「非通電状態」にするた
めの信号)が出力されてモータ372がOFFにされ、
それにより、モータ372に静止保持トルクが発生させ
られる。その結果、インナパッド320bからの反力に
抗してモータ372,めねじ部材402,おねじ部材4
00および加圧ロッド370がロックさせられ、前記く
さび効果によって加圧力実際値FS が増加させられる。
【0116】また、そのようにモータ372がOFFに
された後、加圧力実際値FS が増加し続けた場合、すな
わち、加圧力実際値FS の今回値FS (N) の前回値FS
(N-1) からの増加量が、第2基準増加量としての0より
大きくなった場合には、モータ372がOFFにし続け
られるが、そうでない場合には、モータ372に正回転
指令信号が出力される。
【0117】これに対して、加圧力実際値FS が加圧力
指令値F* より大きい場合には、モータ372に逆回転
指令信号(モータ372を「第2の通電状態」にするた
めの信号)が出力されてモータ372が逆回転させら
れ、それにより、加圧力実際値FS が減少させられる。
【0118】また、加圧力実際値FS が加圧力指令値F
* と等しい場合には、モータ372にOFF指令信号が
出力されてモータ372がOFFにされる。
【0119】さらに、このパッド加圧制御においては、
主ブレーキ操作が解除された場合には、その後、加圧ロ
ッド停止位置制御(退避位置制御)が行われる。この加
圧ロッド停止位置制御の概略および詳細については後述
する。
【0120】次に、ブレーキ制御ルーチンの内容を図2
8を参照して具体的に説明する。なお、本ルーチンは4
輪について順にかつ、イグニションスイッチ442のO
N・OFFを問わず繰り返し実行されるが、説明を簡単
にするために、以下、ブレーキ制御ルーチンが同じ車輪
について制御周期Tで繰り返し実行されると仮定して説
明する。
【0121】本ルーチンの各回の実行時にはまず、S1
1において、イグニションスイッチ442(図において
「IG/SW」で表す)からイグニションスイッチ信号
が入力され、その信号に基づいてイグニションスイッチ
442がONであるか否かが判定される。ONでなけれ
ば、判定がNOとなり、直ちに本ルーチンの一回の実行
が終了し、ONであれば、判定がYESとなり、S12
に移行する。
【0122】このS12においては、初期設定が行われ
る。具体的には、当該車輪に対応する後述の加圧ロッド
停止位置フラグが0とされる。続いて、S13におい
て、主ブレーキコントローラ430と、ブレーキアクチ
ュエータとしての、当該車輪に対応するモータ372
と、当該車輪に対応するモータ駆動回路454とに対し
てプライマリチェックが行われ、故障診断が行われる。
その後、S14において、ブレーキスイッチ440(図
において「ブレーキSW」で表す)からブレーキスイッ
チ信号が入力され、その信号に基づいてブレーキスイッ
チ440がOFFであるか否かが判定される。ONであ
れば、判定がNOとなり、S15において、パッド加圧
制御が行われる。続いて、S16において、加圧ロッド
停止位置フラグが0とされ、その後、S14に戻る。し
たがって、ブレーキスイッチ440がONである限り、
S14〜S16の実行が繰り返されることになる。
【0123】S15の詳細がパッド加圧制御ルーチンと
して図29にフローチャートで表されている。以下、こ
のパッド加圧制御ルーチンを説明するが、前記S14〜
S16の実行が繰り返されるためにこのパッド加圧制御
ルーチンも繰り返し実行されると仮定して説明する。
【0124】まず、S101において、駐車ブレーキコ
ントローラ450(図において「PKBコントローラ」
で表す)に対して、駐車ブレーキ解除指令信号(図にお
いて「PKB解除指令信号」で表す)が出力される。こ
れにより、当該車輪に対応するディスクブレーキ310
による駐車ブレーキ作用が解除されるが、この解除につ
いては後に詳述する。次に、S102において、加圧力
指令値コントローラ432から、当該車輪に対応する加
圧力指令値信号finが入力され、その信号finに基づ
き、当該車輪に対応する加圧力指令値F* が取得され
る。続いて、S103において、加圧力指令値F* が0
以上かつ加圧力最大値fmax (既知の固定値)以下であ
るか否かが判定される。加圧力指令値F* に異常がない
か否かが判定されるのであり、0以上かつ加圧力最大値
max 以下でなければ、判定がNOとなり、直ちに本ル
ーチンの一回の実行が終了し、0以上かつ加圧力最大値
max以下であれば、判定がYESとなり、S104に
移行する。
【0125】このS104においては、当該車輪に対応
する荷重センサ420からの荷重信号fに基づき、当該
車輪に対応するディスクブレーキ310において加圧ロ
ッド370がインナパッド320bを実際に加圧する加
圧力実際値FS (N) (ここに、(N) は加圧力実際値FS
が今回検出された値であることを表す。)が加圧力指令
値F* より小さいか否かが判定される。実際には、例え
ば、加圧力実際値FS(N) が、加圧力指令値F* と一定
微小値Δとの和より小さいか否かが判定される。
【0126】以下、加圧力実際値FS (N) が加圧力指令
値F* より小さい場合と、大きい場合と、ほぼ等しい場
合とについて順に説明する。
【0127】(1) 加圧力実際値FS (N) が加圧力指令値
* より小さい場合 この場合には、S105の判定がYESとなり、S10
6において、モータ372に正回転指令信号が出力され
ているか否かが判定される。
【0128】図30には、荷重センサ420により加圧
力実際値FS が検出される時期tと、モータ372にモ
ータ指令信号が出力される時期t′との関係がグラフで
表されている。モータ372へ今回出力すべきモータ指
令信号は、加圧力実際値FS(N) に基づいて決定される
ため、例えば、今回のモータ指令信号はモータ372
に、加圧力実際値FS の今回値検出時期t(N) から少し
遅れた時期t′(N) に出力され、次回のモータ指令信号
はモータ372に、加圧力実際値FS の次回値検出時期
t(N+1) から少し遅れた時期t′(N+1) に出力されるこ
とになる。したがって、加圧力実際値FS の今回値検出
時期t(N) から次回値検出時期t(N+1) までを今回の制
御サイクル(制御周期がT)として定義すれば、その今
回の制御サイクルの当初には、モータ372に前回と同
じモータ指令信号が出力され、やがて、今回のモータ指
令信号が出力されることになる。よって、このS106
においては、結局、モータ372についての前回のモー
タ指令信号が正回転指令信号であるか否かが判定される
ことになる。
【0129】モータ372に正回転指令信号が出力され
てはいないと仮定すれば、S106の判定がNOとな
り、S107において、モータ372がOFFであるか
否かが判定される。モータ372に正回転指令信号が出
力されていない場合には、モータ372に逆回転指令信
号が出力されている場合と、モータ372がOFFであ
る場合とがあり、このS107においては、後者の場合
に該当するか否かが判定されるのである。モータ372
がOFFであると仮定すれば、判定がYESとなり、S
108において、加圧力実際値FS (N) が加圧力実際値
S (N-1) より大きいか否かが判定される。加圧力実際
値FS が増加中であるか否かが判定されるのである。な
お、本ルーチンの今回の実行が初回のものである場合に
は、加圧力実際値FS (1) が加圧力実際値FS (0) より
大きいか否かが判定されることになるが、加圧力実際値
S (0) は0としてROMに記憶されている。
【0130】加圧力実際値FS (N) が加圧力実際値FS
(N-1) より大きくはない場合には、S108の判定がN
Oとなり、S109において、モータ372に正回転指
令信号が出力される。以上で本ルーチンの一回の実行が
終了する。
【0131】再び本ルーチンが実行され、S106にお
いて、モータ372に正回転指令信号が出力されている
か否かが判定されれば、今回は正回転指令信号が出力さ
れているため、判定がYESとなる。この場合、S11
0において、加圧力実際値F S (N) が加圧力実際値FS
(N-1) 以下であるか否かが判定される。モータ372が
駆動限界に達しないうちは、モータ372に正回転指令
信号が出力し続けられることに追従してモータ372が
正回転させられて加圧力実際値FS が増加するが、モー
タ372が駆動限界に達した後には、モータ372に正
回転指令信号が出力し続けられるにもかかわらずモータ
372が正回転せずに逆回転させられてしまい、そのた
め、加圧力実際値FS が増加しない。このような事情に
基づき、このS110においては、加圧力実際値F
S (N) が加圧力実際値FS (N-1) 以下であるか否かによ
ってモータ372が駆動限界に達したか否かが判定され
るのである。加圧力実際値FS (N) が加圧力実際値FS
(N-1) 以下ではない場合には、判定がNOとなり、S1
09において、再度、モータ372に正回転指令信号が
出力される。以上で本ルーチンの一回の実行が終了す
る。
【0132】その後、加圧力実際値FS (N) が加圧力実
際値FS (N-1) 以下とならないうちは、S110の判定
がNOとなり、S109において、今回もモータ372
に正回転指令信号が出力される。ディスクブレーキ31
0にセルフサーボ効果が発生し、モータ372が駆動限
界を超えたため、加圧力実際値FS (N) が加圧力実際値
S (N-1) 以下となった後には、S110の判定がYE
Sとなり、S111において、モータ372がOFFに
される。モータ372が静止させられてモータ372に
静止保持トルクが発生させられ、モータ372はその静
止保持トルクによって摩擦パッド320からの反力に対
抗することになる。
【0133】したがって、図30に示す一制御例におい
ては、モータ372が駆動限界に達したため、加圧力実
際値FS がそれの今回値検出時期t(N) において前回値
検出時期t(N-1) におけるより増加しなくなれば、モー
タ指令信号の今回出力タイミングt′(N) において、モ
ータ372がOFFにされる。その結果、モータ372
に静止保持トルクが発生し、その静止保持トルクによっ
て加圧力実際値FS が増加させられる。
【0134】再度、本ルーチンが実行されれば、現在、
モータ372はOFFであるから、S106の判定はN
O、S107の判定はYESとなり、S108に移行す
る。モータ372の静止保持トルクによってセルフサー
ボ効果が増加したため、加圧力実際値FS (N) が加圧力
実際値FS (N-1) より大きくなった場合には、S108
の判定がYESとなり、S112において、今回も、モ
ータ372がOFFにされる。
【0135】したがって、図30に示す一制御例におい
ては、加圧力実際値FS がそれの次回値検出時期t(N+
1) において今回値検出時期t(N) におけるより増加し
ているため、次回出力時期t′(N+1) においても、モー
タ372がOFFにされる。
【0136】これに対して、セルフサーボ効果が低下し
たために、モータ372が静止保持トルクを出力する状
態にあるにもかかわらず加圧力実際値FS (N) が加圧力
実際値FS (N-1) より大きくならなかった場合には、S
108の判定がNOとなり、S109において、モータ
372に正回転指令信号が出力され、それにより、加圧
力実際値FS の増加が図られる。なお、モータ372の
静止中にセルフサーボ効果が低下する理由には、例え
ば、モータ372が静止させられているのに対して摩擦
パッド320がディスクロータ312に向かって前進さ
せられたことなどが原因となって加圧ロッド370の先
端面とインナパッド320bの背面との間に隙間が発生
するという理由が考えられる。
【0137】なお、モータ372に逆回転指令信号が出
力中にS105の判定がYESとなる場合もあり、この
場合には、S106の判定はNO、S107の判定もN
Oとなり、S113において、モータ372が一旦OF
Fにされ、その後、モータ372に正回転指令信号が出
力される。
【0138】図31には、図30とは異なり、主ブレー
キ操作が開始されてから加圧力実際値FS が増加して加
圧力指令値F* に到達するまでに加圧力実際値FS が変
化する様子の一例がグラフで表されている。
【0139】時期t0 において、主ブレーキ操作が開始
され、加圧力指令値F* が決定される。それに応じてモ
ータ372が作動させられ、加圧力実際値FS が増加す
る。ただし、時期t0 から時期t1 までの間は、インナ
パッド320bの連れ回りが弾性的制御機構340によ
り阻止され、ディスクブレーキ310にセルフサーボ効
果が発生しない。
【0140】その後、モータ372が正回転させられて
加圧力実際値FS が増加した結果、時期t1 において、
インナッド320bの摩擦力が弾性的制御機構340に
打ち勝ち、インナパッド320bがディスクロータ31
2に連れて回り、ディスクブレーキ310にセルフサー
ボ効果が発生する。グラフの勾配が急になっていること
がそのことを表している。
【0141】やがて、モータ372が駆動限界に到達し
たため、時期t2 において、加圧力実際値FS が増加し
なくなる。その結果、時期t3 において、モータ372
がOFFにされ、モータ372の静止保持トルクによ
り、再度、加圧力実際値FS が増加し始める。そして、
時期t4 において、加圧力実際値FS が加圧力指令値F
* に到達し、以後、後述のように、加圧力実際値FS
加圧力指令値F* に保持されるようにモータ372が制
御される。
【0142】(2) 加圧力実際値FS (N) が加圧力指令値
* より大きい場合 この場合には、S105の判定がNOとなり、S114
において、加圧力実際値FS (N) が加圧力指令値F*
等しいか否かが判定される。実際には、例えば、加圧力
実際値FS (N) が、加圧力指令値F* から一定微小値Δ
を引いた値以上であり、かつ、加圧力指令値F* に一定
微小値Δを加えた値以下であるか否かが判定される。今
回は、加圧力実際値FS (N) が加圧力指令値F* より大
きいと仮定されているから、このS114の判定はNO
となり、S115に移行する。このS115において
は、モータ372に逆回転指令信号が出力されている
か、または、モータ372がOFFであるか否かが判定
される。モータ372に逆回転指令信号が出力されてい
るか、または、モータ372がOFFであると仮定すれ
ば、判定がYESとなり、S116において、モータ3
72に逆回転指令信号が出力され、それにより、加圧力
実際値FS が減少させられる。以上で本ルーチンの一回
の実行が終了する。
【0143】これに対して、モータ372に正回転指令
信号が出力されていると仮定すれば、S115の判定が
NOとなり、S117において、モータ372を一旦O
FFした後に、逆回転指令信号が出力される。以上で本
ルーチンの一回の実行が終了する。
【0144】(3) 加圧力実際値FS (N) が加圧力指令値
* と等しい場合 この場合、S105の判定はNO、S114の判定はY
ESとなり、S118において、モータ372がOFF
される。以上で本ルーチンの一回の実行が終了する。
【0145】以上、ブレーキスイッチ440がONであ
る場合について説明したが、OFFである場合には、図
28のS14の判定がYESとなり、S17において、
加圧ロッド停止位置フラグが1であるか否かが判定され
る。0であると仮定すれば、判定がのNOとなり、S8
において、前記加圧ロッド停止位置制御が行われる。そ
の後、S19において、イグニションスイッチ442が
OFFであるか否かが判定される。ONであれば、判定
がNOとなり、S14に戻る。したがって、ブレーキス
イッチ440がOFFであり、かつ、イグニションスイ
ッチ442がONであり、かつ、加圧ロッド停止位置フ
ラグが0である限り、S14およびS17〜S19の実
行が繰り返されることになる。
【0146】S18の詳細が加圧ロッド停止位置制御ル
ーチンとして図32にフローチャートで表されている。
以下、この加圧ロッド停止位置圧制御ルーチンを説明す
るが、前記S14およびS17〜S19の実行が繰り返
されるために加圧ロッド停止位置圧制御ルーチンが繰り
返し実行されると仮定して説明する。
【0147】まず、概略的に説明する。パッド加圧制御
は、ディスクブレーキ310の非作用状態において、加
圧ロッド370を常に同じ初期位置に退避させて停止さ
せる態様で実施することは可能である。しかし、一対の
摩擦パッド320a,320b(以下、単に「摩擦パッ
ド320」と総称する)の摩耗にもかかわらず加圧ロッ
ド370を常に同じ初期位置に退避させたのでは、摩擦
パッド320の摩耗量の増加につれて初期位置にある加
圧ロッド370の先端面とインナパッド320bの背面
との隙間が拡大し、ディスクブレーキ310が非作用状
態から作用状態に移行する際に、加圧ロッド370が無
駄なストロークをさせられることとなる。そこで、本実
施形態においては、パッド加圧制御が、インナパッド3
20bの背面の位置の変化に追従して加圧ロッド370
の退避位置を変化させる態様で実行される。
【0148】具体的には、まず、主ブレーキ操作が解除
された後直ちに、加圧ロッド370が初期位置から前進
させられ、それにより加圧ロッド370がインナパッド
320bを加圧し始めた時期が検出され、その時期にお
ける加圧ロッド370の軸方向位置が検出される。ここ
に、加圧ロッド370がインナパッド320bを加圧し
始めた時期は、荷重センサ420による検出値がその荷
重センサ420により検出可能な最小値またはそれより
少し大きい値に一致した時期として検出される。また、
加圧ロッド370の軸方向位置は、モータ372の回転
位置として検出される。また、加圧ロッド370がイン
ナパッド320bを加圧し始めた時期は、インナパッド
320bの摩耗のみならずアウタパッド320aの摩耗
をも反映する。次に、加圧ロッド370をインナパッド
320bの背面の位置から一定距離だけ後退させるため
に、モータ372が一定角度ΔΘだけ逆回転させられ、
その結果、加圧ロッド370がインナパッド320bの
実際の位置から一定距離だけ後退した位置に退避させら
れて停止させられる。
【0149】次に具体的に説明する。まず、図32のS
201において、加圧力指令値コントローラ432から
加圧力指令値信号が入力される。加圧力指令値コントロ
ーラ432は、ブレーキスイッチ440がOFFである
場合には、荷重センサ420により検出可能な最小値を
表す加圧力指令値信号fm を当該主ブレーキコントロー
ラ430に出力するように設計されている。したがっ
て、このS201においては、その加圧力指令値信号f
m に基づいて加圧力指令値F* が取得される。
【0150】次に、S202において、荷重センサ42
0からの荷重信号fに基づいて加圧力実際値FS が取得
され、その後、S203において、その加圧力実際値F
S が加圧力指令値F* より小さいか否かが判定される。
加圧ロッド370がインナパッド320bを加圧してい
ない状態にあるか否かが判定されるのである。実際に
は、例えば、加圧力実際値FS 、加圧力指令値F* と一
定微小値Δとの和より小さいか否かが判定される。加圧
力実際値FS が加圧力指令値F* より小さい場合には、
判定がYESとなり、S204において、モータ372
に正回転指令信号が出力され、それにより、インナパッ
ド320bが前進させられる。その後、S202に戻
る。
【0151】これに対して、加圧力実際値FS が加圧力
指令値F* より小さくはない場合は、S203の判定が
NOとなり、S205において、加圧力実際値FS が加
圧力指令値F* と等しいか否かが判定される。加圧ロッ
ド370がインナパッド320bを加圧し始めた時期で
あるか否かが判定されるのである。加圧力実際値FS
加圧力指令値F* より大きいと仮定すれば、判定がNO
となり、S206において、モータ372に正回転指令
信号が出力中であるか否かが判定される。正回転指令信
号が出力中である場合には、判定がYESとなり、S2
07において、モータ372が一旦OFFされた後、モ
ータ372に逆回転指令信号が出力される。その後、S
202に戻る。これに対して、正回転指令信号が出力中
ではない場合には、S206の判定がNOとなり、S2
08において、モータ372に逆回転指令信号が出力さ
れる。いずれの場合にも、加圧ロッド370が後退させ
られてそれの行き過ぎが是正されるのである。その後、
S202に戻る。
【0152】これに対して、加圧力実際値FS が加圧力
指令値F* と等しい場合には、S205の判定がYES
となり、S209において、モータ372がOFFされ
る。その後、S210において、エンコーダ398から
モータ回転位置信号θが入力され、その信号に基づき、
モータ372のロータ384の回転位置Θが取得され
る。続いて、S211において、その回転位置Θを基準
にして、モータ372が一定角度ΔΘだけ逆回転するよ
うにモータ372に逆回転指令信号を出力する。ここ
に、一定角度ΔΘは、摩擦パッド320がディスクロー
タ312により引きずられることを防止するために、そ
れら摩擦パッド320とディスクロータ312との間に
確保することが必要な距離に対応するものとして設定さ
れ、また、摩擦パッド320の偏摩耗を考慮して設定す
ることが望ましい。このS211の実行により、加圧ロ
ッド370がインナパッド320bの実際位置から一定
距離離間した位置に停止させられることになる。その
後、S212において、加圧ロッド停止位置フラグが1
とされる。すなわち、この加圧ロッド停止位置フラグ
は、0で加圧ロッド370が正規の停止位置には位置し
ないことを示し、1で正規の停止位置に位置することを
示すフラグなのである。以上で本ルーチンの一回の実行
が終了する。
【0153】この加圧ロッド停止位置制御ルーチンの一
回の実行が終了すれば、図28のS9において、イグニ
ションスイッチ442がOFFであるか否かが判定され
る。ONであれば、判定がNOとなり、S14に戻る。
ブレーキスイッチ440がOFFであれば、S14の判
定がYESとなり、S17に移行するが、今回は、加圧
ロッド停止位置フラグが1であるため、S17の判定が
YESとなり、S18がスキップされてS19が実行さ
れる。S14,S17およびS19の実行が繰り返され
るうちにイグニションスイッチ442がOFFになれ
ば、S19の判定がYESとなり、本ブレーキ制御の一
連の実行が終了する。
【0154】図33には、駐車ブレーキコントローラ4
50のROMに記憶されている駐車ブレーキ制御ルーチ
ンがフローチャートで表されている。
【0155】本ルーチンも、イグニションスイッチ44
2のON・OFFを問わず、繰り返し実行される。各回
の実行時にはまず、S301において、駐車ブレーキス
イッチ452(図において「PKB/SW」で表す)が
ONであるか否かが判定される。ONであれば、判定が
YESとなり、S302において、モータ372に正回
転指令信号が出力され、それにより、モータ372のロ
ータ384が一定角度ΘPKB 正回転させられ、加圧ロッ
ド370が初期位置から前進させられて加圧力実際値F
S が駐車に必要な値に増加させられる。その後、S30
3において、モータ372がOFFにされ、それによ
り、モータ372の静止保持トルクによってディスクブ
レーキ310が駐車ブレーキ作用状態に維持され、車両
が停止状態に維持される。以上で本ルーチンの一回の実
行が終了する。
【0156】これに対して、駐車ブレーキスイッチ45
2がOFFである場合には、S301の判定がNOとな
り、S304において、主ブレーキコントローラ430
から駐車ブレーキ解除指令信号が入力されたか否かが判
定される。入力されていない場合には、判定がNOとな
り、直ちに本ルーチンの一回の実行が終了するが、入力
された場合には、判定がYESとなり、S305に移行
する。このS305においては、モータ372に逆回転
指令信号が出力され、それにより、モータ372が一定
角度ΘPKB 逆回転させられて加圧ロッド370が初期位
置に復帰させられる。続いて、S303において、モー
タ372がOFFにされ、以上で本ルーチンの一回の実
行が終了する。
【0157】以上の説明から明らかなように、本実施形
態においては、主ブレーキコントローラ430,加圧力
指令値コントローラ432,運転操作情報センサ43
4,車両状態センサ436,車輪状態センサ438,ブ
レーキスイッチ440,イグニションスイッチ442,
荷重センサ420,駐車ブレーキコントローラ450,
駐車ブレーキスイッチ452,モータ駆動回路454お
よびエンコーダ398が「モータ制御装置」の一例を構
成しているのである。また、超音波モータ372と、荷
重センサ420と、主ブレーキコントローラ430のう
ち図29のS106〜S112を実行する部分とが互い
に共同して「増加量不足防止機構」の一例を構成し、ま
た、荷重センサ420と、主ブレーキコントローラ43
0のうちS106〜S112を実行する部分とが互いに
共同して「静止保持トルク発生手段」の一例および「増
加量不足時制御手段」の一例をそれぞれ構成しているの
である。また、荷重センサ420が「加圧力関連量セン
サ」の一例および「加圧力センサ」の一例をそれぞれ構
成しているのである。
【0158】次に、第10実施形態を説明する。本実施
形態は、先の第9実施形態と共通する要素が多く、異な
るのはパッド加圧制御ルーチンについてのみであり、し
かも、そのルーチンについても共通するステップが多
く、異なるのは一部のステップのみであるため、その一
部のステップのみを詳細に説明し、他のステップおよび
要素については同一の符号を使用することによって詳細
な説明を省略する。
【0159】第9実施形態においては、図29に示すよ
うに、加圧力実際値FS (N) が加圧力指令値F* より小
さく、かつ、モータ372がOFFである場合には、S
105の判定はYES、S106の判定はNO、S10
7の判定はYESとなり、S108に移行し、加圧力実
際値FS の今回値FS (N) が前回値FS (N-1) より増加
したか否かによって、S109とS112とに分岐させ
られる。加圧力実際値FS の今回値FS (N) が前回値F
S (N-1) より増加しなかった場合には、モータ372を
OFFにし続けることが適当ではないと判定され、S1
08の判定がNOとなり、S109において、モータ3
72に正回転指令信号が出力される。これに対して、加
圧力実際値FS の今回値FS (N) が前回値FS (N-1) よ
り増加した場合には、モータ372にOFFにし続ける
ことが適当であると判定され、S108の判定がYES
となり、S112において、モータ372がOFFにし
続けられるのである。
【0160】これに対して、本実施形態においては、図
34に示すように、S108およびS112が省略され
るとともに、加圧力実際値FS (N) が加圧力指令値F*
より小さく、かつ、モータ372がOFFであるため
に、S105の判定はYES、S106の判定はNO、
S107の判定はYESとなった場合には、加圧力実際
値FS の今回値FS (N) が前回値FS (N-1) より増加し
たか否かを問わず、直ちにS109に移行するようにな
っている。S107のYES判定後に必ずS109にお
いてモータ372をOFF指令信号出力状態から正回転
指令信号出力状態に移行するようにしても、その移行が
適切でなかったために、加圧力実際値FSの次回値F
S (N+1) が今回値FS (N) より増加しなかった場合に
は、本ルーチンの次回の実行時において、S106の判
定はYES、S110の判定もYESとなり、S111
において、モータ372がOFFにされ、状態移行の不
適切さはその直後に是正される。
【0161】したがって、本実施形態によれば、パッド
加圧制御ルーチンの設計を容易に簡単化し得るという効
果が得られる。
【0162】以上の説明から明らかなように、本実施形
態においては、超音波モータ372と、荷重センサ42
0と、主ブレーキコントローラ430のうち図34のS
106,S107,S109,S110およびS111
を実行する部分とが互いに共同して「増加量不足防止機
構」の一例を構成し、また、荷重センサ420と、主ブ
レーキコントローラ430のうちS106,S107,
S109,S110およびS111を実行する部分とが
互いに共同して「静止保持トルク発生手段」の一例およ
び「増加量不足時制御手段」の一例をそれぞれ構成して
いるのである。
【0163】次に、第11実施形態を説明する。ただ
し、本実施形態も、先の第9実施形態と共通する要素が
多く、異なるのはパッド加圧制御ルーチンについてのみ
であり、しかも、そのルーチンについても共通するステ
ップがあるため、パッド加圧制御ルーチンについてのみ
詳細に説明するとともに、そのルーチンのうち第9実施
形態におけると共通するステップについては同一の符号
を使用することによって詳細な説明を省略する。
【0164】図35には、パッド加圧制御ルーチンがフ
ローチャートで表されている。このパッド加圧制御ルー
チンにおいては、概略的に説明すれば、加圧力実際値F
S が加圧力指令値F* と等しい場合を除き、モータ37
2が駆動限界に達したか否かを問わず、本ルーチンの一
回の実行サイクルである制御サイクルにおいて、モータ
372がONにされた後にOFFにされる。それによ
り、一回の制御サイクルにおいて、加圧ロッド370は
前進または後退した後に停止させられるのである。した
がって、第9実施形態におけるとは異なり、モータ37
2を逆転させる毎にモータ372にOFFにすることが
不要となり、本ルーチンの設計を容易に簡単化し得る。
【0165】また、本実施形態においては、加圧力実際
値FS の増加中には、加圧ロッド370が積極的に前進
し、非増加中には、消極的に前進することとなるよう
に、加圧力実際値FS が増加中であるか否かに応じて、
モータ372のモータ指令信号のON継続時間が変化さ
せられる。具体的には、加圧力実際値FS の増加中に
は、図36の(a) にグラフで表されているように、制御
周期TのうちのT1 時間は、モータ372に正回転指令
信号が出力され、残りの(T−T1 )時間は、モータ3
72がOFFされる。これに対して、非増加中には、同
図の(b) にグラフで表されているように、制御周期Tの
うちのT2 時間(T1 時間より短い)は、モータ372
に正回転指令信号が出力され、残りの(T−T2 )時間
は、モータ372がOFFされる。
【0166】したがって、本実施形態においては、モー
タ372の駆動時に加圧力実際値F S が増加しなくなっ
た場合には、モータ372がOFFにされる期間の存在
により、モータ372の静止保持トルクを利用して加圧
ロッド370がロックさせられて加圧力実際値FS が増
加させられる。また、モータ372の静止時に加圧力実
際値FS が増加しなくなった場合には、モータ372に
正回転指令信号が出力される期間の存在により、モータ
372の正回転によって加圧ロッド370が前進させら
れて摩擦パッド320に押圧され、それにより、加圧力
実際値FS が増加させられる。
【0167】次に、本パッド加圧制御ルーチンを具体的
に説明する。本ルーチンも繰り返し実行される。各回の
実行時には、図35のS101〜S105が最先の実施
形態におけると同様に実行される。加圧力実際値F
S (N) が加圧力指令値F* より小さいために、S105
の判定がYESとなる場合には、S131において、加
圧力実際値FS の今回値FS (N) が前回値FS (N-1) よ
り大きいか否かが判定される。加圧力実際値FS が増加
中であるか否かが判定されるのである。増加中であれ
ば、判定がYESとなり、S132において、モータ3
72に正回転指令信号がT1 時間だけ出力され、その
後、S133において、モータ372がOFFとされ
る。以上で本ルーチンの一回の実行が終了する。
【0168】これに対して、加圧力実際値FS が今回値
S (N) が前回値FS (N-1) より大きくない場合には、
S131の判定がNOとなり、S134において、モー
タ372に正回転指令信号がT2 時間だけ出力され、そ
の後、S133において、モータ372がOFFとされ
る。以上で本ルーチンの一回の実行が終了する。
【0169】また、加圧力実際値FS (N) が加圧力指令
値F* より大きい場合には、S105の判定はNO、S
114の判定もNOとなり、S135において、モータ
372に逆回転指令信号がT3 時間(例えば、前記T1
時間と等しい。)だけ出力され、その後、S133にお
いて、モータ372がOFFとされる。以上で本ルーチ
ンの一回の実行が終了する。
【0170】また、加圧力実際値FS (N) が加圧力指令
値F* と等しい場合には、S105の判定はNO、S1
14の判定はYESとなり、S133において、モータ
372がOFFとされる。以上で本ルーチンの一回の実
行が終了する。
【0171】以上の説明から明らかなように、本実施形
態においては、超音波モータ372と、荷重センサ42
0と、主ブレーキコントローラ430のうち図35のS
131〜S134を実行する部分とが互いに共同して
「増加量不足防止機構」の一例を構成し、また、荷重セ
ンサ420と、主ブレーキコントローラ430のうちS
131〜S134を実行する部分とが互いに共同して
「静止保持トルク発生手段」の一例を構成しているので
ある。
【0172】次に、第12実施形態を説明する。ただ
し、本実施形態も、先の第9実施形態と共通する要素が
多く、異なるのはパッド加圧制御ルーチンについてのみ
であり、しかも、そのルーチンについても共通するステ
ップがあるため、パッド加圧制御ルーチンについてのみ
詳細に説明するとともに、そのルーチンのうち第9実施
形態におけると共通するステップについては同一の符号
を使用することによって詳細な説明を省略する。
【0173】第9実施形態においては、加圧力実際値F
S が増加しなくなったときに、モータ372がOFFに
されるようになっているが、本実施形態においては、デ
ィスクブレーキ310にセルフサーボ効果が生じたなら
ば、加圧力実際値FS が増加しなくなることを待つこと
なく、モータ372がOFFにされる。そのため、本実
施形態においては、セルフサーボ状態判定ルーチンもR
OMに記憶されている。セルフサーボ状態判定ルーチン
は、加圧力実際値FS の時間的変化勾配がセルフサーボ
効果の発生時において不発生時におけるより急になると
いう現象に着目してセルフサーボ効果の発生の有無を判
定するものである。
【0174】図37には、本実施形態におけるパッド加
圧制御ルーチンがフローチャートで表されている。本ル
ーチンも繰り返し実行され、各回の実行時には、S10
1〜S105が最第9実施形態におけると同様に実行さ
れる。
【0175】加圧力実際値FS (N) が加圧力指令値F*
より大きいために、S105の判定がYESとなる場合
には、S151において、セルフサーボ状態判定が行わ
れる。
【0176】このS151においては、図38にフロー
チャートで表されているセルフサーボ状態判定ルーチン
が実行される。
【0177】このセルフサーボ状態判定ルーチンにおい
てはまず、S401において、加圧力実際値FS (N) が
加圧力基準値fc より大きいか否かが判定される。ここ
に、加圧力基準値fC は、弾性的制御機構340の前記
初期荷重に対応する値であり、ディスクブレーキ310
においてセルフサーボ効果が発生し始めるときの加圧力
実際値FS を意味する。加圧力実際値FS (N) が加圧力
基準値fc より大きくはない場合には、判定がNOとな
り、S402において、0でセルフサーボ効果が不発生
であることを示し、1で発生していることを示すセルフ
サーボフラグが0とされる。以上で、本ルーチンの一回
の実行が終了する。
【0178】これに対して、加圧力実際値FS (N) が加
圧力基準値fc より大きい場合には、S401の判定が
YESとなり、S403において、モータ372に正回
転指令信号が出力中であるか否かが判定される。出力中
でなければ、判定がNOとなり、S402に移行し、出
力中であれば、S404に移行する。このS404にお
いては、加圧力実際値FS の今回値FS (N) の前回値F
S (N-1) からの変化量ΔFS が演算される。続いて、S
405において、演算された変化量ΔFS が変化量基準
値ΔfS より大きいか否かが判定される。ここに、変化
量基準値ΔfSは、セルフサーボ効果が発生していない
状態において、モータ372を正回転させて加圧ロッド
370を前進させる際に加圧力実際値FS が一回の制御
サイクル当たりに増加する量と等しくされている。そし
て、変化量ΔFS が変化量基準値ΔfS より大きい場合
には、判定がYESとなり、S406において、セルフ
サーボフラグが1とされ、これに対して、変化量ΔFS
が変化量基準値ΔfS より大きくはない場合には、判定
がNOとなり、S402において、セルフサーボフラグ
が0とされる。以上で本ルーチンの一回の実行が終了す
る。
【0179】なお付言すれば、セルフサーボ状態判定
は、加圧力実際値FS が加圧力基準値fC を超えたこと
と、変化量ΔFS が変化量基準値ΔfS より大きくなっ
たこととのいずれかのみを検出し、その検出時にセルフ
サーボ効果が発生していると判定するものとすることは
可能であるが、本実施形態においては、その判定の確度
を向上させるため、加圧力実際値FS が加圧力基準値f
C を超えたことと、変化量ΔFS が変化量基準値ΔfS
より大きくなったこととの双方が同時に検出されたとき
に、セルフサーボ効果が発生していると判定するものと
されている。
【0180】セルフサーボ状態判定ルーチンの一回の実
行が終了すれば、その後、図37のS152において、
セルフサーボフラグが1であるか否かが判定される。0
であれば、判定がNOとなり、S153において、モー
タ372に正回転指令信号が出力されているか、または
モータ372がOFFにされているか否かが判定され
る。モータ372がOFFにされていると仮定すれば、
判定がYESとなり、S154において、モータ372
に正回転指令信号が出力される。以上でこのパッド加圧
制御ルーチンの一回の実行が終了する。これに対して、
モータ372に逆回転指令信号が出力されていると仮定
すれば、S153の判定がNOとなり、S155におい
て、モータ372が一旦OFFにされた後に正回転指令
信号が出力される。以上で本ルーチンの一回の実行が終
了する。
【0181】以上、セルフサーボ効果が発生していない
場合について説明したが、発生している場合には、セル
フサーボフラグが1であるから、S152の判定がYE
Sとなり、S156において、モータ372がOFFに
される。以上で本ルーチンの一回の実行が終了する。な
お、本ルーチンには、第9実施形態におけるとは異な
り、図29におけるS106,S107およびS113
に相当するステップが設けられていないが、これは、図
38のセルフサーボ状態判定ルーチンにおいて、モータ
372に正回転指令信号が出力中に限ってセルフサーボ
フラグが1とされるようになっていて、本ルーチンにお
いて、S152の判定がYESとなるときには、モータ
372に正回転指令信号が出力中であることが明らかで
あり、モータ指令信号の現在状態を判定することが不要
であるとともに、モータ372に逆回転指令信号が出力
中であることはないからである。
【0182】以上、加圧力実際値FS (N) が加圧力指令
値F* より大きい場合について説明したが、小さい場合
および等しい場合は、第9実施形態におけると同様であ
るため、説明を省略する。
【0183】ここで、パッド加圧制御中に加圧力実際値
S が変化する様子の一例を図39のグラフに基づいて
説明する。
【0184】この例は、図31に示す例と同様に、主ブ
レーキ操作中のある時期t10においてブレーキ操作が開
始され、加圧力指令値F* が増加し、その結果、加圧力
指令値F* が加圧力実際値FS を上回った場合におい
て、その後に加圧力実際値FSが増加して加圧力指令値
* に到達した例である。
【0185】時期t10においては、インナパッド320
bがディスクロータ312に連れて回ることが弾性的制
御機構340により阻止され、セルフサーボ効果が発生
していない。その後、モータ372が正回転させられて
加圧力実際値FS が増加した結果、時期t11において、
インナパッド320bの摩擦力が弾性的制御機構340
の弾性力に打ち勝ち、インナパッド320bがディスク
ロータ312に連れて回り、セルフサーボ効果が発生し
始める。
【0186】セルフサーボ効果が発生し始めると、モー
タ372が実際に駆動限界に達したか否かを問わず、モ
ータ372がOFFにされ、その結果、モータ372の
静止保持トルクと前記くさび効果との共同により、加圧
力実際値FS が増加し続ける。そして、時期t12におい
て、加圧力実際値FS が加圧力指令値F* に到達し、以
後、加圧力指令値F* に保持されるようにモータ372
が制御される。
【0187】以上の説明から明らかなように、本実施形
態においては、超音波モータ372と、荷重センサ42
0と、主ブレーキコントローラ430のうち図37のS
151(図38のセルフサーボ状態判定ルーチン)〜S
156を実行する部分とが互いに共同して「増加量不足
防止機構」の一例を構成し、また、荷重センサ420
と、主ブレーキコントローラ430のうちS151〜S
156を実行する部分とが互いに共同して「静止保持ト
ルク発生手段」の一例および「サーボ開始時制御手段」
の一例をそれぞれ構成しているのである。また、主ブレ
ーキコントローラ430のうち図38のセルフサーボ状
態判定ルーチンを実行する部分が「セルフサーボ状態判
定手段」の一例を構成しているのである。
【0188】第9〜第12実施形態においては、超音波
モータの加圧力実際値を増加させることが必要である場
合に超音波モータがOFFにされてそれに静止保持トル
クが発生させられるようになっているが、超音波モータ
のOFF時に加圧力指令値F * を低下させることが必要
になったため、超音波モータをOFFからON(逆回転
のため)に切り換えても超音波モータが素早く起動でき
ない可能性がある。したがって、そのような起動遅れの
防止を優先させたい場合には、超音波モータの加圧力実
際値を増加させることが必要となっても超音波モータを
ONし続けて静止状態をとらないようにすることが望ま
しい。
【0189】次に、第13実施形態を説明する。ただ
し、本実施形態は、先の第12実施形態と共通する要素
が多く、異なるのはパッド加圧制御ルーチンについての
みであり、しかも、そのルーチンについても共通するス
テップがあるため、パッド加圧制御ルーチンについての
み詳細に説明するとともに、そのルーチンのうち先の実
施形態におけると共通するステップについては同一の符
号を使用することによって詳細な説明を省略する。
【0190】セルフサーボ効果の発生状態において、モ
ータ372の駆動限界前にモータ372を正回転させる
か、またはモータ372の駆動限界後にモータ372を
OFFにすれば、加圧力実際値FS が増加するが、その
ときの増加勾配は比較的急である。そのため、加圧力実
際値FS の加圧力指令値F* からの不足量ΔFが少ない
場合には、モータ372をOFFにすることによって加
圧力実際値FS が急増して加圧力指令値F* をやや大き
く超えてしまう可能性がある。
【0191】また、セルフサーボ効果の発生状態におい
て、モータ372を逆回転させれば、加圧力実際値FS
が減少するが、そのときの減少勾配は、増加時における
と同様に、比較的急である。そのため、加圧力実際値F
S の加圧力指令値F* からの過剰量ΔF′が少ない場合
には、モータ372を逆回転させることによって加圧力
実際値FS が急減して加圧力指令値F* をやや大きく下
回ってしまう可能性がある。
【0192】セルフサーボ効果の不発生状態において
は、インナパッド320bとディスクロータ312との
押圧状態でモータ372をOFFにすれば、加圧力実際
値FSが保持される。これに対して、セルフサーボ効果
の発生状態においては、モータ372をOFFにして
も、セルフサーボ効果によって加圧力実際値FS が増加
してしまう。このように、セルフサーボ効果の発生状態
においては、加圧力実際値FS を保持するために特別な
対策を講じることが必要となる。
【0193】そこで、本実施形態においては、セルフサ
ーボ効果の発生状態において、加圧力実際値FS を増加
させることが必要である場合と、減少させることが必要
である場合と、保持することが必要である場合とについ
てそれぞれ、加圧力実際値F S の変化勾配を制御する増
加制御手段と減少制御手段と保持制御手段とが設けられ
ている。
【0194】ところで、前述のように、モータ駆動回路
454においては、モータ372に供給される駆動信号
の駆動周波数がステータ382の共振周波数の変動に追
尾させられるが、本実施形態においては、その周波数追
尾が次のようにして行われる。
【0195】すなわち、周波数追尾部462と駆動信号
発生部458とが互いに共同して、モータ372の駆動
時に、駆動周波数を適正周波数(ステータ382の共振
周波数またはその近傍値)の予想値より所定値だけ高い
値から減少させて適正周波数の実際値を検出する検出工
程を何回も繰り返すのである。
【0196】1回目の検出工程においては、まず、駆動
周波数が、モータ372が始動しない程度に高い値にさ
れ、次に、図40にグラフで表されているように、駆動
周波数が適正周波数の予想値(1回目の検出工程におい
ては、適正周波数の予想値が初期値として予め設定され
ている。)に向かって設定速度で減少させられる。その
減少中、モータ372の駆動トルクが始動トルクを超え
れば、モータ372が始動する。また、駆動周波数の減
少中、電極392cの出力信号に基づき、ステータ38
2の振動状態が基準状態(例えば、共振状態)に達した
か否かが判定され、達したと判定されれば、駆動周波数
の減少が中止させられるとともに、駆動周波数のそのと
きの値が適正周波数の次回の予想値とされる。
【0197】2回目の検出工程においては、まず、駆動
周波数が最新の予想値より所定値だけ高い値に増加させ
られる。次に、1回目の検出工程におけると同様に、駆
動周波数がその予想値に向かって設定速度で減少させら
れ、その減少中、電極392cの出力信号に基づき、ス
テータ382の振動状態が基準状態に達したか否かが判
定され、達したと判定されれば、駆動周波数の減少が中
止させられるとともに、駆動周波数のそのときの値が適
正周波数の次回の予想値とされる。
【0198】以後、同様な検出工程がモータ372がO
FFにされるまで繰り返される。その結果、モータ37
2の駆動中、ステータ382の温度,モータ372の負
荷等の変動に応じて適正周波数が変動すれば、駆動周波
数が適正周波数の変化に追尾させられ、モータ372が
常に高い効率で駆動されることになる。
【0199】モータ372には、一般に、駆動周波数が
ステータ382の共振周波数より高い領域においては、
駆動周波数が減少するにつれてモータ372の駆動トル
クが増加するという特性がある。したがって、上記1回
目の検出工程の当初には、モータ372がONにされる
にもかかわらず、モータ372の駆動トルクが小さく、
モータ372が回転させられない。また、1回目の検出
工程において、駆動周波数を減少させる速度を通常より
遅くすれば、駆動トルクの増加速度も減少し、よって、
駆動トルクが小さい期間が長くなる。図40には、1回
目の検出工程における駆動周波数の減少速度(以下、
「最初周波数減少速度」という)が速い場合がグラフ
で示され、遅い場合がグラフで示されており、また、
最初周波数減少速度が速い場合においてモータ372が
始動する時期がt1 で示され、最初周波数減少速度が遅
い場合においてモータ372が始動する時期がt2 で示
されている。
【0200】したがって、加圧力実際値FS を急な勾配
で減少させることが必要である場合には、モータ372
を逆回転させるとともに最初周波数減少速度を通常速度
0とすればよい。一方、加圧力実際値FS を緩やかな
勾配で減少させることが必要である場合には、モータ3
72を逆回転させるとともに最初周波数減少速度を通常
速度V0 より遅い第1速度V1 とすればよい。
【0201】また、加圧力実際値FS を急な勾配で増加
させることが必要である場合には、セルフサーボ状態に
おいては、モータ372をOFFし続ければよい。一
方、加圧力実際値FS を緩やかな勾配で増加させること
が必要である場合に、モータ372を逆回転させるとと
もに最初周波数減少速度を通常速度V0 としたのでは、
加圧力実際値FS が減少してしまう。したがって、加圧
力実際値FS を緩やかな勾配で増加させることが必要で
ある場合には、モータ372を逆回転させるとともに最
初周波数減少速度を通常速度V0 より遅い第2速度V2
とすればよい。この第2速度V2 は、上記第1速度V1
と等しい値としたり、異なる値とすることができる。
【0202】また、加圧力実際値FS を保持することが
必要である場合には、セルフサーボ状態においては、モ
ータ372をOFFし続けたのでは、加圧力実際値FS
が増加してしまう。また、モータ372を逆回転させる
とともに最初周波数減少速度を通常速度V0 としたので
は、加圧力実際値FS が減少してしまう。また、モータ
372を逆回転させるとともに最初周波数減少速度を第
2速度V2 としたのでは、加圧力実際値FS がやや減少
してしまう。したがって、加圧力実際値FS を保持する
ことが必要である場合には、モータ372を逆回転させ
るとともに最初周波数減少速度を第2速度V2 より遅い
第3速度V3 とすればよい。
【0203】以上の知見に基づき、本実施形態において
は、ブレーキ制御ルーチンが設計されており、図41に
は、そのうちのパッド加圧制御ルーチンがフローチャー
トで表され、図42においては、そのパッド加圧制御ル
ーチンのうちの減少制御ルーチンがフローチャートで表
されている。なお、増加制御および保持制御は、パッド
制御ルーチンにより実行される。
【0204】パッド加圧制御ルーチンは繰り返し実行さ
れ、各回の実行時には、S101〜S105が第12実
施形態(図37)におけると同様に実行される。
【0205】加圧力実際値FS (N) が加圧力指令値F*
より小さい場合には、S105の判定がYESとなり、
S151において、図38のセルフサーボ状態判定ルー
チンが実行される。続いて、S152において、セルフ
サーボフラグが1であるか否かが判定される。0である
場合には、判定がNOとなり、S153〜S155が先
の実施形態におけると同様に実行される。なお、モータ
372がOFFにあってS153の判定がYESとなっ
たためにS154が実行される場合には、前記最初周波
数減少速度が通常速度V0 とされ、また、モータ372
に逆回転指令信号が出力中であってS153の判定がN
OとなったためにS155が実行される場合にも、最初
周波数減少速度が通常速度V0 とされる。以上で本ルー
チンの一回の実行が終了する。
【0206】これに対して、セルフサーボフラグが1で
ある場合には、S152の判定がYESとなり、S15
7において、加圧力実際値FS (N) の加圧力指令値F*
から不足量ΔFが演算される。続いて、S158におい
て、演算された不足量ΔFが勾配判定基準値fa より大
きいか否かが判定される。不足量ΔFが勾配判定基準値
a より大きい場合には、判定がYESとなり、S15
6において、モータ372がOFFにされる。それによ
り、加圧力実際値FS が急な勾配で増加させられる。こ
れに対して、不足量ΔFが勾配判定基準値fa より大き
くはない場合には、S158の判定がNOとなり、S1
59において、モータ372がOFFされた後にモータ
372に逆回転指令信号が出力されるが、その際、最初
周波数減少速度が第2速度V2 とされる。それにより、
加圧力実際値FS が緩やかな勾配で増加させられる。い
ずれの場合にも、以上で本ルーチンの一回の実行が終了
する。
【0207】以上、加圧力実際値FS (N) が加圧力指令
値F* より大きい場合について説明したが、小さい場合
には、S105の判定はNO、S114の判定もNOと
なり、S160において、図42の減少制御ルーチンが
実行される。
【0208】この減少制御ルーチンにおいてはまず、S
501において、前記セルフサーボ状態判定ルーチンが
実行され、次に、S502において、セルフサーボフラ
グが1であるか否かが判定される。0であれば、判定が
NOとなり、S503において、モータ372に逆回転
指令信号が出力中であるか、またはモータ372がOF
Fにされているか否かが判定される。モータ372に逆
回転指令信号が出力中であるか、またはモータ372が
OFFにされている場合には、判定がYESとなり、S
504において、モータ372に逆回転指令信号が出力
される。なお、モータ372がOFFにある状態で逆回
転指令信号が出力される場合には、最初周波数減少速度
が通常速度V0 とされる。これに対して、モータ372
に正回転指令信号が出力中である場合には、S503の
判定がNOとなり、S505において、モータ372が
OFFされた後にモータ372に逆回転指令信号が出力
される。この場合にも、最初周波数減少速度が通常速度
0 とされる。いずれの場合にも、以上で本ルーチンの
一回の実行が終了する。
【0209】これに対して、セルフサーボ効果が発生し
ている場合には、セルフサーボフラグが1であるから、
S502の判定がYESとなり、S506において、加
圧力実際値FS (N) の加圧力指令値F* からの過剰量Δ
F′が演算される。続いて、S507において、演算さ
れた過剰量ΔF′が勾配判定基準値fg より大きいか否
かが判定される。過剰量ΔF′が勾配判定基準値fg
り大きい場合には、判定がYESとなり、S503〜S
505において、最初周波数減少速度が通常速度V0
され、それにより、加圧力実際値FS が急な勾配で減少
させられる。これに対して、過剰量ΔF′が勾配判定基
準値fg より大きくはない場合には、S507の判定が
NOとなり、S508において、モータ372がOFF
であるか否かが判定される。OFFであれば、判定がY
ESとなり、S509において、モータ372に逆回転
指令信号が出力されるとともに最初周波数減少速度が第
1速度V1 とされ、それにより、加圧力実際値FS が緩
やかな勾配で減少させられる。これに対して、モータ3
72がOFFでなければ、S508の判定がNOとな
り、S510において、モータ372をOFFした後に
モータ372に逆回転指令信号を出力し、この際、最初
周波数減少速度を第1速度V1 とする。それにより、加
圧力実際値FS が緩やかな勾配で減少させられる。いず
れの場合にも、以上で本ルーチンの一回の実行が終了す
る。
【0210】以上、加圧力実際値FS (N) が加圧力指令
値FS より小さい場合と大きい場合とについて説明した
が、等しい場合には、図41のS105の判定はNO、
S114の判定はYESとなり、S161において、前
記セルフサーボ状態判定ルーチンが実行され、続いて、
S162において、セルフサーボフラグが1であるか否
かが判定される。0であれば、判定がNOとなり、S1
63において、モータ372がOFFされる。以上で本
ルーチンの一回の実行が終了する。
【0211】これに対して、セルフサーボフラグが1で
ある場合には、S162の判定がYESとなり、S16
4において、モータ372がOFFであるか否かが判定
される。OFFであれば、判定がYESとなり、S16
5において、モータ372に逆回転指令信号が出力され
るとともに最初周波数減少速度が第3速度V3 とされ
る。これに対して、モータ372がOFFでない場合に
は、S164の判定がNOとなり、S166において、
モータ372がOFFされた後にモータ372に逆回転
指令信号が出力され、この際、最初周波数減少速度が第
3速度V3 とされる。いずれの場合にも、加圧力実際値
S が保持されるのであり、以上で本ルーチンの一回の
実行が終了する。
【0212】以上の説明から明らかなように、本実施形
態においては、超音波モータ372と、荷重センサ42
0と、主ブレーキコントローラ430のうち図41のS
151(図38のセルフサーボ状態判定ルーチン)〜S
159を実行する部分とが互いに共同して「増加量不足
防止機構」の一例を構成しているのである。また、主ブ
レーキコントローラ430のうち図38のセルフサーボ
状態判定ルーチンを実行する部分が「セルフサーボ状態
判定手段」の一例を構成しているのである。
【0213】なお付言すれば、以上説明した実施形態に
おいては、「超音波モータの第1の通電状態において加
圧力実際値の増加量が第1基準増加量を下回ったとき
に、超音波モータの駆動が限界に到達したと判定する技
術」、および「超音波モータの第1の通電状態において
加圧力実際値の増加量が第3基準増加量を超えるという
条件を含む少なくとも一つの条件が同時に成立したとき
に、セルフサーボ機構の作動が開始されたと判定する技
術」が、超音波モータの加圧力実際値を増加させること
が必要であるか否かを判定するために採用されている
が、それら技術は他の目的のために採用することも可能
である。
【0214】次に、第14実施形態を説明する。ただ
し、本実施形態は、先の第12実施形態と共通する要素
が多いため、異なる要素のみを詳細に説明し、共通する
要素は同一の符号を使用することによって詳細な説明を
省略する。
【0215】図43には、本実施形態である4輪車両用
ブレーキ装置におけるモータ駆動式ディスクブレーキ
(以下、単に「ディスクブレーキ」という)470が示
されている。このディスクブレーキ470は、第12実
施形態におけるディスクブレーキ310とは、(a) 超音
波モータ372に代えてDCモータ472が使用されて
いる点と、(b) そのDCモータ472と運動変換機構と
してのボールねじ機構374との間にウォームギヤ47
4がトルク伝達機構として設けられている点とで異なっ
ている。他の点については共通するため、第12実施形
態におけると同一の符号を使用することによって詳細な
説明を省略する。
【0216】キャリパボデー336には、インナパッド
320b(図において左側)の背後において、駆動装置
476が設けられている。駆動装置476は、ハウジン
グ478を備えており、そのハウジング478において
キャリパボデー336に固定的に取り付けられている。
そのハウジング478に、ボールねじ機構374の前記
めねじ部材402(運動変換機構の回転部材)が前記ラ
ジアル軸受410とスラスト軸受412とを介して支持
されている。めねじ部材402は、回転は許容されるが
ストッパ414により軸方向移動は制限された状態で支
持されている。また、そのハウジング478には、DC
モータ472とウォームギヤ474とが収容されてい
る。
【0217】ウォームギヤ474は、よく知られている
ように、ウォームホイール480とウォーム482とが
かみ合って回転する構造とされている。ウォームホイー
ル480の軸線とウォーム482の軸線とは直角に立体
交差させられている。ウォームホイール480はめねじ
部材402に同軸かつ相対回転不能に取り付けられてお
り、一方、ウォーム482は、ハウジング478に回転
は許容されるが軸方向移動は制限された状態で支持され
ている。ウォーム482は、それのラジアル荷重とスラ
スト荷重とが図示しないラジアル軸受とスラスト軸受と
によって受けられるようになっている。このウォーム4
82にDCモータ472の回転軸が同軸かつ相対回転不
能に取り付けられている。それらウォーム482および
DCモータ472の軸線は図において紙面に直角な方向
に延びている。
【0218】したがって、このディスクブレーキ470
においては、DCモータ472が正回転指令信号に応じ
て正回転させられ、それにより、ウォーム482が正回
転させられれば、ウォームホイール480が正回転させ
られ、それにより、めねじ部材402が正回転させられ
る。めねじ部材402が正回転させられれば、おねじ部
材400(運動変換機構の移動部材)が前進させられ、
それにより、加圧ロッド370が前進させられる。加圧
ロッド370が前進させられれば、一対の摩擦パッド3
20a,320bがディスクロータ312に両側から押
圧される。
【0219】本実施形態においては、ウォームギヤ47
4の逆効率が0となるように設計されている。すなわ
ち、DCモータ472の回転トルクはめねじ部材402
に伝達されるが、めねじ部材402の回転トルクはすべ
てウォームギヤ474で受けてDCモータ472には伝
達されないように設計されているのである。したがっ
て、このディスクブレーキ470にセルフサーボ効果が
発生した結果、インナパッド320bからの反力によ
り、めねじ部材402の回転トルクがDCモータ472
の駆動トルクを超えようとしても、ウォームホイール4
80もウォーム482もDCモータ472も逆回転せず
に、同位置に保持される。その結果、インナパッド32
0bからの反力に抗して加圧ロッド370がロックさせ
られ、よって、DCモータ472の駆動トルクの割りに
大きなセルフサーボ効果を享受し得る。
【0220】ディスクブレーキ470にセルフサーボ効
果が発生する間、ウォームギヤ474によってインナパ
ッド320bの加圧力実際値を保持することが可能であ
る。また、DCモータ472を回転制限状態でONにし
続けることは、主ブレーキ操作中にDCモータ472が
発熱する可能性があるとともに、DCモータ472によ
り電力が無駄に消費されることとなる。そこで、本実施
形態においては、主ブレーキ操作中のうちのセルフサー
ボ状態においては、DCモータ472がOFFにされる
ようになっている。なお、DCモータ472は、駐車ブ
レーキの作用状態においてもOFFにされるようになっ
ている。
【0221】図44には、本ブレーキ装置の電気的構成
が示されている。本実施形態においては、主ブレーキコ
ントローラ484がモータ駆動回路454を介してDC
モータ472に接続されている。この主ブレーキコント
ローラ484は、基本的には、第12実施形態における
と同様であるが、第12実施形態におけるとは異なるパ
ッド加圧制御ルーチンをコンピュータにより記憶して実
行し、それにより、インナパッド320bの加圧制御を
行う。
【0222】図45には、そのパッド加圧制御ルーチン
がフローチャートで表されている。以下、本ルーチンを
説明するが、第12実施形態におけるルーチン(図3
7)と共通するステップについては同一の符号を使用す
ることによって詳細な説明を省略する。
【0223】加圧力実際値FS (N) が加圧力指令値F*
より小さい場合には、S105の判定がYESとなり、
S151において、セルフサーボ状態判定が行われる。
この判定は、第12実施形態におけると同様に、図38
に示すセルフサーボ状態判定ルーチンにより行われる。
今回は、セルフサーボ状態にないと仮定すれば、S15
2の判定がNOとなり、S171において、DCモータ
472に正回転指令信号が出力される。これに対して、
今回は、セルフサーボ状態にあると仮定すれば、S15
2の判定がYESとなり、S172において、DCモー
タ472にOFF指令信号が出力される。いずれの場合
にも、以上で本ルーチンの一回の実行が終了する。
【0224】これに対して、加圧力実際値FS (N) が加
圧力指令値F* より大きい場合には、S105の判定は
NO、S114の判定もNOとなり、S173におい
て、DCモータ472に逆回転指令信号が出力される。
また、加圧力実際値FS (N) が加圧力指令値F* と等し
い場合には、S105の判定はNO、S114の判定は
YESとなり、S174において、DCモータ472に
OFF指令信号が出力される。いずれの場合にも、以上
で本ルーチンの一回の実行が終了する。
【0225】以上の説明から明らかなように、本実施形
態においては、ウォームギヤ474と、荷重センサ42
0と、主ブレーキコントローラ484のうち図45のS
151(図38のセルフサーボ状態判定ルーチン),S
152,S171およびS172を実行する部分とが互
いに共同して「増加量不足防止機構」の一例を構成して
いるのである。また、主ブレーキコントローラ484の
うち図38のセルフサーボ状態判定ルーチンを実行する
部分が「セルフサーボ状態判定手段」の一例を構成して
いるのである。
【0226】なお付言すれば、本実施形態においては、
ディスクブレーキ470がセルフサーボ状態にあるか否
かを判定し、セルフサーボ状態においてはDCモータ4
72をOFFにすることにより、DCモータ472の発
熱が防止され、さらに、無駄な電力の消費も防止される
ようになっているが、そのようにすることは本発明を実
施する上において不可欠なことではなく、セルフサーボ
状態においてDCモータ472をONにし続けるように
してパッド加圧制御を行うことは可能である。
【0227】さらに付言すれば、本実施形態において
は、インナパッド320bからの反力がDCモータ47
2の駆動トルクに勝ろうとしたときにその反力のDCモ
ータ472への伝達がウォームギヤ474によって阻止
されるようになっているが、例えば、ウォームギヤ47
4を設ける代わりに、運動変換機構としてのねじ機構に
おいてそれの逆効率を実質的に0とすることにより目的
を達成することも可能である。
【0228】次に、第15実施形態を説明する。ただ
し、本実施形態は、先の第9実施形態と共通する要素が
多く、異なるのは弾性的制御機構のみについてであるか
ら、弾性的制御機構については詳細に説明し、共通する
要素については同一の符号を使用することによって詳細
な説明を省略する。
【0229】第9実施形態においては、弾性的制御機構
340(図20)の弾性係数、すなわち、弾性力(イン
ナパッド320bから弾性的制御機構340への入力荷
重に等しい)を弾性変形量(インナパッド320bの連
れ回り量に等しい)で割り算した値が、非常に小さく設
定されていた。その結果、図47に破線グラフで示すよ
うに、弾性力がセット荷重を超えないうちは弾性変形量
が0に保たれてインナパッド320bの連れ回りが阻止
される一方、セット荷重を超えた後には、弾性変形量が
急に増加してインナパッド320bの連れ回り量も急に
増加するようになっていた。
【0230】ところで、セルフサーボ効果を利用する場
合には、加圧力実際値の増加勾配が過大になり易い。こ
の増加勾配の過大化を防止するためには、例えば、弾性
的制御機構340の弾性力を大きな値に設定する対策が
考えられる。しかし、弾性的制御機構340は、弾性力
を一つの値しか有しないため、弾性力を大きな値に設定
したのでは、加圧力実際値の増加勾配の過大化が抑制さ
れる効果は得られる反面、セルフサーボ効果の発生開始
が困難となってしまう。弾性力が大きいと、インナパッ
ド320bの連れ回り開始が困難となるからである。一
方、弾性力を小さな値に設定したのでは、セルフサーボ
効果の発生開始は容易となる効果は得られる反面、加圧
力実際値の増加勾配が過大化する傾向が生じる。
【0231】そこで、本実施形態においては、弾性的制
御機構500が、弾性力が弾性変形量の増加に対して増
加する特性を有するように設計されている。その特性に
は、弾性力が弾性変形量の増加に対して非線型で増加す
る非線型特性を有するものを選ぶことができる。非線形
特性の二つの例が図47に実線グラフとで示されて
いる。実線グラフは、弾性係数が2段階で、弾性変形
量が小さい領域では小さな値、大きい領域では大きな値
となるように変化する第1の非線型特性を示しており、
一方、実線グラフは、弾性係数が連続的に、弾性変形
量が増加するにつれて増加する第2の非線型特性を示し
ている。また、上記特性には、弾性力が弾性変形量の増
加に対して線型で増加する線型特性を有するものを選ぶ
こともできる。その一例が同図に二点鎖線グラフで示
されており、そのグラフは右上がりの直線とされてい
る。
【0232】図46には、弾性的制御機構500が示さ
れている。この弾性的制御機構500は、弾性的制御機
構340と同様に、(a) U字形状を成して一対のアーム
501a,501bを有するU字状ばね502(第1弾
性部材)と、(b) そのU字状ばね502の弾性変形量を
変化させることによってU字状ばね502の初期荷重を
調節する調節機構504とを含む構造とされている。調
節機構504は、パッド連れ回り方向Zにほぼ平行に延
びてU字状ばね502の一対のアーム501a,501
bを互いに接近可能かつ離間不能に連結する長さ調節ボ
ルト506を含み、U字状ばね502の弾性変形量を変
化させることによってU字状ばね502の初期荷重を調
節する。
【0233】弾性的制御機構500は、さらに、コイル
スプリング508(第2弾性部材)を備えている。コイ
ルスプリング508は、長さ調節ボルト506にほぼ同
軸に貫通させられている。コイルスプリング508の長
さは、一対のアーム501a,501bの内面との間に
クリアランスδが残るように設定されている。したがっ
て、インナパッド320bからU字状ばね502のアー
ム501b(インナパッド320bに近い可動側)に力
Rが付与されると、その力Rが小さく、連れ回り量も小
さいうちは、U字状ばね502のみが弾性変形するのに
対して、力Rが大きくなり、連れ回り量も大きくなる
と、U字状ばね502のみならずコイルスプリング50
8も弾性変形することになる。その結果、この弾性的制
御機構500によれば、図47において実線グラフで
示す第1の非線型特性が実現されることになる。
【0234】本実施形態には種々の変形を加えることが
できる。例えば、図48に示すように、コイルスプリン
グ508をその位置において複数枚の皿ばね512に代
えるという変更を加えることができる。また、図49に
示すように、コイルスプリング508を板ばね516に
代えるという変更を加えることもできる。板ばね516
は、一端部が、U字状ばね502のアーム501b(可
動側)に位置固定に取り付けられる一方、他端部が、ア
ーム501bとの間にインナパッド320bの側におい
てクリアランスδが存在するようにされる。
【0235】なお、図48に示す変形例は、図46にお
けると同様に、弾性変形量の増加につれて、1つの弾性
部材を弾性変形させる状態から、互いに並列な2つの弾
性部材を同時に弾性変形させる状態に移行させることに
より、弾性係数を弾性変形量に応じて増加させる方式を
採用する。これに対して、図49に示す変形例は、弾性
変形量の増加につれて、互いに直列な2つの弾性部材を
同時に弾性変形させる状態から、1つの弾性部材のみを
弾性変形させる状態に移行させることにより、弾性係数
を弾性変形量に応じて増加させる方式を採用している。
【0236】また、弾性的制御機構500は、コイルス
プリング508または皿ばね512の組立体の外周に円
筒状のゴムを追加的に配置したり、コイルスプリング5
08または皿ばね512の組立体とU字状ばね502と
の隙間にゴムを追加的に配置したり、コイルスプリング
508の各巻線間の隙間または皿ばね512間の隙間に
ゴムを追加的に配置することでき、このようにすれば、
図47において実線グラフで示す第2の非線型特性の
実現が可能となる。なお、コイルスプリング508の各
巻線間の隙間は、もともと存在する隙間をそのまま利用
するか、またはもともと存在する隙間を積極的に拡大し
て利用することができる。また、皿ばね512間にはも
ともと隙間が存在しないのが普通であるから、ゴムを挿
入するためには、皿ばね512間に隙間を積極的に設け
ることが必要となる。
【0237】以上の説明から明らかなように、本実施形
態においては、弾性的制御機構500が「弾性部材」の
一例を構成するとともに「勾配制御機構」の一例を構成
しているのである。
【0238】次に、第16実施形態を説明する。ただ
し、本実施形態は、先の第3実施形態と共通する要素が
多く、異なるのはディスクブレーキのみについてであ
り、しかも、ディスクブレーキの一部についてのみであ
るから、ディスクブレーキのその一部のみについて詳細
に説明し、他の要素については同一の符号を使用するこ
とによって詳細な説明を省略する。
【0239】第3実施形態においては、図10に示すよ
うに、ディスクブレーキ150においてインナパッド1
4bがくさびとして機能させられ、それにより、インナ
パッド14bにセルフサーボ効果が発生させられる。こ
れに対して、本実施形態においては、図50に示すよう
に、ディスクブレーキ520においてアウタパッド14
aがくさびとして機能させられ、それにより、アウタパ
ッド14aにセルフサーボ効果が発生させられる。
【0240】具体的には、インナパッド14bは、ディ
スクロータ11との連れ回りが積極的に許容される状態
ではマウンティングブラケット152に支持されていな
い。また、インナパッド14bについては、摩擦材18
も裏板20も板厚が均一とされている。また、加圧ロッ
ド216および超音波モータ212がそれらの軸線がデ
ィスクロータ11の摩擦面12に直角となる姿勢でディ
スクブレーキ520に配置されている。
【0241】これに対して、アウタパッド14aは、デ
ィスクロータ11との連れ回りが積極的に許容される状
態でマウンティングブラケット152に支持されてい
る。また、アウタパッド14aについては、摩擦材18
の板厚が均一とされる一方、裏板20の板厚が連れ回り
方向Yにおいてそれの開始側から終了側に向かって漸減
するようになっている。裏板20の裏面に、ディスクロ
ータ11の摩擦面12に対する斜面524が形成されて
いるのである。また、アウタパッド14aの連れ回りを
制御するために、第3実施形態におけると同様に、弾性
部材184,移動部材186およびストッパ190が設
けられている。キャリパホデー202のリアクション部
206には、アウタパッド14aの裏板20をそれの斜
面524においてディスクロータ11に連れ回り可能に
支持する支持面526が形成されている。この支持面5
26も、ディスクロータ11の摩擦面12に対して傾斜
させられている。この支持面526とアウタパッド14
aとの間には、それら間の摩擦を低減させる手段とし
て、スラストベアリング528が設けられている。スラ
ストベアリング528は、複数個の転動体としてのボー
ルが一円周に沿って転動可能に保持された構造を有して
いる。
【0242】本実施形態には種々の変形を加えることが
できる。例えば、図51に示すように、インナパッド1
4bにも斜面530を設けるという変形を加えることが
できる。ただし、インナパッド14bはくさびとして機
能しない。
【0243】次に、第17実施形態を説明する。ただ
し、本実施形態は、先の第16実施形態と共通する要素
が多く、異なるのはセルフサーボ効果発生阻止機構のみ
についてであるから、その機構のみについて詳細に説明
し、他の要素については同一の符号を使用することによ
って詳細な説明を省略する。
【0244】ところで、従来のディスクブレーキにおい
ては一般に、マウンティングブラケットが、(a) アウタ
パッドをディスクロータの回転方向における両側から挟
む一対の部分と、(b) アウタパッドをそれの背後におい
て跨いでそれら一対の部分を互いに連結するブリッジ部
とを含むように構成される。それら一対の部分およびブ
リッジ部を図20において説明すれば、一対の部分は符
号538a,538bで示され、ブリッジ部は符号54
0で示されている。
【0245】これに対して、本実施形態においては、図
52および図53に示すように、ブリッジ部540が省
略される一方、ブリッジ部540が設けられるべき位置
に弾性部材542が設けられている。弾性部材542
は、概して棒状を成し、一端部543aと他端部543
bとを備えている。他端部543bは、アウタパッド1
4aのディスクロータ回転方向Xにおける両端部544
a,544bのうち車体前進時にアウタパッド14aが
ディスクロータ312に連れ回る側に位置する連れ回り
側端部544bに連携させられている。一方、一端部5
43aは、一対の部分538a,538bのうち連れ回
り側端部544bから遠い部分538aに連携させられ
ている。
【0246】他端部543bは、アウタパッド14aの
連れ回り側端部544bのうち、アウタパッド14aの
連れ回り方向を向いた面に係合させられていて、アウタ
パッド14aから連れ回り方向に作用する力を受ける。
その力により弾性部材542が弾性変形し、その弾性部
材542の弾性特性が適正化されることにより、アウタ
パッド14aの連れ回り開始、すなわち、セルフサーボ
効果の発生開始が制御される。
【0247】図54には、他端部543bと連れ回り側
端部544bとが拡大して示されている。マウンティン
グブラケット152の部分538bには、弾性部材54
2の端部543bの、連れ回り側端部544bへの接近
限度を規定するストッパ546が形成されている。この
ストッパ546により、他端部543bと連れ回り側端
部544bとのクリアランスの初期値が安定化させられ
る。また、他端部543bと部分538bとは、サポー
ト548を介して接触させられ、それにより、アウタパ
ッド14aの連れ回り時に、他端部543bと部分53
8bとの直接の接触が回避されるようになっている。
【0248】弾性部材542の弾性特性は、第15実施
形態におけるように、非線型特性とされており、そのた
め、弾性部材542の端部543bには、図52に示す
ように、切欠き550が設けられている。アウタパッド
14aから端部543bへの入力荷重が小さく、切欠き
550内における隙間が消滅しないうちは、弾性部材5
42の最小断面係数が小さくなって弾性係数が小さくな
り、これに対して、アウタパッド14aから端部543
bへの入力荷重が大きくなり、切欠き550内における
隙間が消滅した後には、弾性部材542の最小断面係数
が大きくなって弾性係数が大きくなる。すなわち、本実
施形態においては、弾性部材542に切欠き550を設
け、その切欠き55内の隙間が存在する状態と、隙間が
消滅した状態とで、弾性部材542の最小断面係数が異
なることを利用して、弾性部材542の非線型特性が実
現されるようになっているのである。
【0249】なお、図54に示すように、弾性部材54
2の他端部543bとマウンティングブラケット152
の部分538bとの間には、アウタパッド14aの連れ
回りの進行につれて減少する隙間が存在するが、この隙
間内にゴム製の第2の弾性部材552を装填することが
可能である。このようにすれば、弾性部材542および
第2の弾性部材552とが互いに共同して「弾性部材」
の一例を構成することになるとともに、その一例の「弾
性部材」の弾性特性が、弾性係数が連続的に変化する非
線型特性を示すものとなる。
【0250】弾性部材542の一端部543aは、図5
2に示すように、マウンティングブラケット152の部
分538aにボルト554で固定されている。ただし、
ボルト554で固定することは不可欠ではなく、一端部
543aと部分538aとの第1方向における相対移動
を、例えば、突起と溝とを互いに嵌合させる第1の構造
で阻止するとともに、第1方向と交差する第2方向にお
ける相対移動を、ピンと穴とを互いに嵌合させる第2の
構造で阻止することができる。図55には、それら第1
および第2の構造を構成する一例が記載されている。こ
の例においては、一端部543aに突起556を設ける
一方、部分538aに溝558を設け、それにより、第
1の構造が構成されている。また、それら一端部543
aと部分538aとの双方に穴560,562を同軸に
設ける一方、それら穴560,562にピン564を嵌
合させ、それにより、第2の構造が構成されている。
【0251】なお、本実施形態においては、マウンティ
ングブラケット152においてブリッジ部540が省略
されているが、省略しないとともに、ブリッジ部540
に近接し、かつ、平行に弾性部材542を配置すること
が可能である。また、ピン564に代えてボルトを用い
てもよい。
【0252】また、本実施形態においては、図52に示
すように、切欠き550が弾性部材542に、他端部5
43bと中央部566とが互いに直角に接続される部分
において、弾性部材542の中心から外側に向かって延
びるように形成されていたが、切欠き568を、図56
に示すように、他端部543bにおいて、弾性部材54
2の中心からディスクロータ11に向かって延びるよう
に形成することができる。また、図57に示すように、
第2の弾性部材570を、他端部543bに、アウタパ
ッド14aの連れ回り量が小さいうちは、アウタパッド
14aからの力が弾性部材542には作用するが第2の
弾性部材570には作用しないように設ける一方、アウ
タパッド14aの連れ回り量が大きくなると、アウタパ
ッド14aからの力が弾性部材542のみならず第2の
弾性部材570にも作用するように取り付けることもで
きる。
【0253】以上の説明から明らかなように、本実施形
態においては、弾性部材542が「弾性部材」の一例を
構成するとともに「勾配制御機構」の一例を構成してい
るのである。
【0254】次に、第18実施形態を説明する。ただ
し、本実施形態は、先の第16実施形態と共通する要素
が多いため、共通する要素については同一の符号を使用
することによって詳細な説明を省略し、異なる要素につ
いてのみ詳細に説明する。
【0255】第16実施形態においては、図50に示す
ように、アウタパッド14aの裏板20の裏面に斜面5
24が形成され、その斜面524が一平面で構成され、
その結果、裏板20の裏面の、ディスクロータ11の摩
擦面12に対する傾斜角が、アウタパッド14aの連れ
回り方向Yにおいて変化しないようにされていた。これ
に対して、本実施形態においては、図58に示すよう
に、斜面572が、それの傾斜角が連れ回り方向Yにお
いて変化するように形成されている。なお、リアクショ
ン部206のうち裏板20の斜面572を支持する支持
面574は、斜面572に球面状の突起で接触するよう
になっている。これにより、斜面572の傾斜角を変化
させる目的が確実に達成される。
【0256】図59には、アウタパッド14aが取り出
されて拡大して示されている。斜面572は、傾斜角が
0ではない第1部分斜面576と、その第1部分斜面5
76より傾斜角が大きい第2部分斜面578とがそれら
の順に、連れ回り方向Yとは逆向きに並んで形成されて
いる。アウタパッド14aがディスクロータ11に連れ
回りにつれて、支持面574が、第1部分斜面576と
第2部分斜面578とにそれらの順に接触するようにな
っているのである。それら部分斜面576,578はい
ずれも一平面で構成されている。
【0257】したがって、本実施形態においては、アウ
タパッド14aにセルフサーボ効果が発生する前には、
支持面574が第1部分斜面576と接触しており、そ
れの傾斜角が小さいため、アウタパッド14aは容易に
連れ回り可能となっている。そのため、セルフサーボ効
果の発生が容易に開始される。また、セルフサーボ効果
の発生後には、支持面574が第2部分斜面578と接
触し、十分なセルフサーボ効果が得られることになる。
【0258】以上の説明から明らかなように、本実施形
態においては、斜面572が「勾配制御機構」の一例を
構成しているのである。
【0259】次に、第19〜21実施形態を説明する。
ただし、それら実施形態は、先の第18実施形態とアウ
タパッド14aの斜面形状のみが異なるため、その斜面
形状のみについて詳細に説明し、他の要素については説
明を省略する。
【0260】第19実施形態においては、図60に示す
ように、斜面580が、凹の曲面形状とされている。例
えば、連れ回り方向Yに沿った一平面で切断した場合
に、外形線が一円弧となる曲面形状とされている。した
がって、本実施形態においては、セルフサーボ効果の発
生前には、支持面574が斜面580のうち傾斜角が小
さい第1部分で接触し、セルフサーボ効果の発生後に
は、斜面580のうち第1部分より傾斜角が大きい第2
部分で接触する。したがって、図59に示すアウタパッ
ド14aと同等な効果が得られる。すなわち、斜面58
0が「勾配制御機構」の一例を構成しているのである。
【0261】第20実施形態においては、図61に示す
ように、斜面582が、傾斜角が小さい第1部分斜面5
84と、その第1部分斜面584におけるより傾斜角が
大きい第2部分斜面586と、その第2部分斜面586
におけるより傾斜角が小さい第3部分斜面588とがそ
れらの順に、連れ回り方向Yとは逆向きに並んで形成さ
れている。いずれの斜面584,586,588も一平
面で構成されている。したがって、本実施形態において
は、セルフサーボ効果の発生前には、支持面574が第
1部分斜面548と接触する。第1部分斜面548は傾
斜角が小さいため、セルフサーボ効果の発生が容易に開
始される。セルフサーボ効果の発生後にはまず、支持面
574が第2部分斜面586と接触する。第2部分斜面
586は第1部分斜面584より傾斜角が大きいため、
十分なセルフサーボ効果が発生する。セルフサーボ効果
の増加勾配が過大になろうとすると、支持面574が第
3部分斜面588と接触する。第3部分斜面588は第
2部分斜面586より傾斜角が小さいため、セルフサー
ボ効果の増加勾配が過大になることが防止される。すな
わち、斜面582が「勾配制御機構」の一例を構成して
いるのである。
【0262】第21実施形態においては、図62に示す
ように、斜面590が、凹の曲面形状の第1部分斜面5
92と、凸の曲面形状の第2部分斜面594とがそれら
の順に、連れ回り方向Yとは逆向きに並んで形成されて
いる。したがって、本実施形態においては、セルフサー
ボ効果の発生前には、支持面574が第1部分斜面59
2のうち傾斜角が小さい第1部分と接触する。そのた
め、セルフサーボ効果の発生が容易に開始される。セル
フサーボ効果の発生後にはまず、支持面574が第1部
分斜面592のうち傾斜角が第1部分より大きい第2部
分と接触する。そのため、十分なセルフサーボ効果が発
生する。セルフサーボ効果が過大になろうとすると、支
持面574が第2部分斜面594と接触する。第2部分
斜面594は第1部分斜面592より傾斜角が小さいた
め、セルフサーボ効果の増加勾配が過大になることが防
止される。すなわち、斜面590が「勾配制御機構」の
一例を構成しているのである。
【0263】次に、第22実施形態を説明する。ただ
し、先の第1実施形態と共通する要素が多いため、共通
する要素については同一の符号を使用することによって
詳細な説明を省略し、異なる要素についてのみ詳細に説
明する。
【0264】第1実施形態においては、超音波モータ7
2の駆動力が一対のレバー30,30により倍力されて
一対の摩擦パッド14,14に伝達され、それにより、
レバーによる倍力なしで超音波モータ72の駆動力によ
り一対の摩擦パッド14,14にディスクロータ11に
押圧する場合に比較して大きな車輪制動力が発生する。
そして、この効果はセルフサーボ効果を発生させないで
も享受できる。
【0265】このような観点から本実施形態はなされた
ものであり、図63に示すように、一対のレバー60
0,600が、固定部材602に、ディスクロータ11
の回転軸線と立体交差する各軸線に沿って延びる各ピン
604により回動可能に連結されており、各レバー60
0は、それのレバー比に応じて超音波モータ72の駆動
力を倍力して各摩擦パッド14に背後から作用させる。
固定部材602は、このように各レバー600を回動可
能に支持するレバー支持部材として機能し、さらに、一
対の摩擦パッド14,14をディスクロータ11を挟ん
で互いに対向する方向に摺動可能に支持するパッド支持
部材としても、各摩擦パッド14の摩擦力を受ける受け
部材としても機能するようになっている。
【0266】超音波モータ72は、第1実施形態におけ
ると同様に、踏力センサ102の信号と制動力センサ1
10の信号とに基づき、コントローラ100によりフィ
ードバック制御され、それにより、車輪の制動力が操作
力に応じて制御される。
【0267】したがって、本実施形態によれば、超音波
モータ72の駆動力がレバー600を主体とする簡単な
構造によって倍力されて摩擦パッド14に伝達されるた
め、ディスクブレーキの構造を複雑にすることなく、超
音波モータ72の駆動力の割に大きな車輪制動力が発生
するという効果が得られる。
【0268】次に、第23実施形態を説明する。本実施
形態は、図64に示すように、第22実施形態に、第4
実施形態における冷却装置232が追加されたものであ
る。それら第4および第22実施形態におけると共通す
る要素については同一の符号が使用されている。したが
って、本実施形態によれば、超音波モータ72の駆動力
がレバー600により倍力されて摩擦パッド14に伝達
されるディスクブレーキを備えた電動式ブレーキ装置に
おいて、超音波モータ72が積極的に冷却されることに
より、超音波モータ72の熱に対する作動安定性が向上
するという効果が得られる。
【0269】なお付言すれば、以上説明したすべての実
施形態においては、モータを駆動源とするディスクブレ
ーキが常用ブレーキとして使用されるようになっている
が、例えば、駐車ブレーキとしても使用したり、駐車ブ
レーキとしてのみ使用する形態で本発明を実施すること
ができる。
【0270】さらに付言すれば、以上明細書に記載の技
術のうちセルフサーボ効果の欠点を解消する技術は、デ
ィスクブレーキが電動式であるか機械式であるかを問わ
ず、採用可能である。
【0271】以上、本発明のいくつかの実施形態を図面
に基づいて詳細に説明したが、それらの他にも、特許請
求の範囲を逸脱することなく、当業者の知識に基づいて
種々の変形,改良を施した形態で本発明を実施すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態である電動式ブレーキ装
置を示す系統図であるとともに、それのモータ駆動式デ
ィスクブレーキを示す平面図である。
【図2】図1におけるAA断面図である。
【図3】図1においてBで示す部分を拡大して示す平面
断面図と、その部分を拡大して示す側面図である。
【図4】図1におけるコントローラにより実行されるブ
レーキ制御の内容を概念的に示すブロック線図である。
【図5】図1におけるコントローラの構成を示す機能ブ
ロック図である。
【図6】図1におけるコントローラのコンピュータによ
り実行されるブレーキ制御ルーチンを示すフローチャー
トである。
【図7】第1実施形態における踏力fと前輪制動力Ff
と後輪制動力Fr との関係の一例を示すグラフである。
【図8】第1実施形態におけるディスクブレーキの一変
形例のうち図1においてBで示す部分に相当する部分を
拡大して示す平面断面図と、その部分を拡大して示す側
面図である。
【図9】本発明の第2実施形態である電動式ブレーキ装
置のモータ駆動式ディスクブレーキのうちの要部を取り
出して概念的に示す平面図である。
【図10】本発明の第3実施形態である電動式ブレーキ
装置を示す系統図であるとともに、それのモータ駆動式
ディスクブレーキを示す部分断面平面図である。
【図11】図10においてアウタパッド14aを通過す
る一平面に関する断面図である。
【図12】図10においてインナパッド14bを通過す
る一平面に関する断面図である。
【図13】本発明の第4実施形態である電動式ブレーキ
装置を示す系統図であるとともに、それのモータ駆動式
ディスクブレーキを示す平面図である。
【図14】図13における冷却装置232を取り出して
拡大して示す斜視図である。
【図15】本発明の第5実施形態である電動式ブレーキ
装置の構成を概念的に示すブロック図である。
【図16】本発明の第6実施形態である電動式ブレーキ
装置を示す系統図であるとともに、それのモータ駆動式
ディスクブレーキを示す平面図である。
【図17】本発明の第7実施形態である電動式ブレーキ
装置を示す系統図であるとともに、それのモータ駆動式
ディスクブレーキを示す平面図である。
【図18】本発明の第8実施形態である電動式ブレーキ
装置を示す系統図であるとともに、それのモータ駆動式
ディスクブレーキを示す平面図である。
【図19】本発明の第9実施形態である電動式ブレーキ
装置におけるモータ駆動式ディスクブレーキを示す側面
断面図である。
【図20】図19におけるモータ駆動式ディスクブレー
キを示す平面図である。
【図21】図20における弾性的制御機構340を取り
出し拡大して示す平面図である。
【図22】図21における弾性的制御機構340の一変
形例を示す平面図である。
【図23】上記モータ駆動式ディスクブレーキを示す正
面図である。
【図24】図19における圧電体392の表面における
電極配置を示す平面図である。
【図25】その圧電体392の裏面における電極配置を
示す平面図である。
【図26】上記電動式ブレーキ装置の電気的構成を示す
ブロック図である。
【図27】図26におけるモータ駆動回路454の詳細
とそのモータ駆動回路454と直流電源242と超音波
モータ372との接続関係とを示すブロック図である。
【図28】図26における主ブレーキコントローラ43
0のコンピュータのROMに記憶されているブレーキ制
御ルーチンを示すフローチャートである。
【図29】図28におけるS15の詳細をパッド加圧制
御ルーチンとして示すフローチャートである。
【図30】上記ブレーキ制御ルーチンによる一制御例を
示すグラフである。
【図31】上記ブレーキ制御ルーチンによる別の制御例
を示すグラフである。
【図32】図28におけるS18の詳細を加圧ロッド停
止位置制御ルーチンとして示すフローチャートである。
【図33】図26における駐車ブレーキコントローラ4
50のコンピュータのROMに記憶されている駐車ブレ
ーキ制御ルーチンを示すフローチャートである。
【図34】本発明の第10実施形態である電動式ブレー
キ装置における主ブレーキコントローラ430のコンピ
ュータのROMに記憶されているブレーキ制御ルーチン
のうちのパッド加圧制御ルーチンを示すフローチャート
である。
【図35】本発明の第11実施形態である電動式ブレー
キ装置における主ブレーキコントローラ430のコンピ
ュータのROMに記憶されているブレーキ制御ルーチン
のうちのパッド加圧制御ルーチンを示すフローチャート
である。
【図36】そのパッド加圧制御ルーチンにより出力され
るモータ指令信号を示すタイムチャートである。
【図37】本発明の第12実施形態である電動式ブレー
キ装置における主ブレーキコントローラ430のコンピ
ュータのROMに記憶されているブレーキ制御ルーチン
のうちのパッド加圧制御ルーチンを示すフローチャート
である。
【図38】図37におけるS151の詳細をセルフサー
ボ状態判定ルーチンとして示すフローチャートである。
【図39】上記パッド加圧制御ルーチンによる一制御例
を示すグラフである。
【図40】本発明の第13実施形態である電動式ブレー
キ装置におけるモータ駆動回路の周波数追尾部によって
超音波モータの駆動周波数が変化させられる様子を示す
グラフである。
【図41】その電動式ブレーキ装置における主ブレーキ
コントローラ430のコンピュータのROMに記憶され
ているブレーキ制御ルーチンのうちのパッド加圧制御ル
ーチンを示すフローチャートである。
【図42】図41におけるS160の詳細を減少制御ル
ーチンとして示すフローチャートである。
【図43】本発明の第14実施形態である電動式ブレー
キ装置におけるモータ駆動式ディスクブレーキを示す側
面断面図である。
【図44】その電動式ブレーキ装置の電気的構成を示す
ブロック図である。
【図45】図44における主ブレーキコントローラ48
4のコンピュータのROMに記憶されているブレーキ制
御ルーチンのうちのパッド加圧制御ルーチンを示すフロ
ーチャートである。
【図46】本発明の第15実施形態である電動式ブレー
キ装置におけるモータ駆動式ディスクブレーキの弾性的
制御機構を示す平面図である。
【図47】その弾性的制御機構の弾性特性を示すグラフ
である。
【図48】その弾性的制御機構の一変形例を示す平面図
である。
【図49】その弾性的制御機構の別の変形例を示す平面
図である。
【図50】本発明の第16実施形態である電動式ブレー
キ装置におけるモータ駆動式ディスクブレーキを示す部
分断面平面図である。
【図51】第16実施形態の一変形例を示す部分断面平
面図である。
【図52】本発明の第17実施形態である電動式ブレー
キ装置におけるモータ駆動式ディスクブレーキを示す平
面図である。
【図53】そのモータ駆動式ディスクブレーキを示す正
面図である。
【図54】図53における端部544b周辺を拡大して
示す部分断面正面図である。
【図55】図52における一端部543aと部分538
aとの取付け構造の一変形例を説明するための平面図で
ある。
【図56】図52における弾性部材542の一変形例を
示す平面図である。
【図57】図52における弾性部材542の別の変形例
を示す平面図である。
【図58】本発明の第18実施形態である電動式ブレー
キ装置におけるモータ駆動式ディスクブレーキを示す部
分断面正面図である。
【図59】図58におけるアウタパッド14aを取り出
して拡大して示す側面図である。
【図60】本発明の第19実施形態である電動式ブレー
キ装置におけるモータ駆動式ディスクブレーキのアウタ
パッドを取り出して拡大して示す側面図である。
【図61】本発明の第20実施形態である電動式ブレー
キ装置におけるモータ駆動式ディスクブレーキのアウタ
パッドを取り出して拡大して示す側面図である。
【図62】本発明の第21実施形態である電動式ブレー
キ装置におけるモータ駆動式ディスクブレーキのアウタ
パッドを取り出して拡大して示す側面図である。
【図63】本発明の第22実施形態である電動式ブレー
キ装置を示す系統図であるとともに、それのモータ駆動
式ディスクブレーキを示す部分断面平面図である。
【図64】本発明の第23実施形態である電動式ブレー
キ装置を示す系統図であるとともに、それのモータ駆動
式ディスクブレーキを示す部分断面平面図である。
【符号の説明】
10,150,230,310,470,520 モー
タ駆動式ディスクブレーキ 11,312 ディスクロータ 12,314 摩擦面 14 摩擦パッド 14a,320a アウタパッド 14b,320b インナパッド 30 レバー 26 固定部材 72,212,372 超音波モータ 100 コントローラ 142 斜面 144 斜面 184 スプリング 190 ストッパ 216,370 加圧ロッド 222 ボール 224 スラストベアリング 326 パッド支持機構 327 セルフサーボ機構 328 パッド加圧機構 340,500,510 弾性的制御機構 430 主ブレーキコントローラ 472 DCモータ 542 弾性部材 552,570 第2の弾性部材 572,580,582,590 斜面
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 今井 和彦 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】モータを駆動源として車輪を制動するモー
    タ駆動式ディスクブレーキであって、(a) 摩擦面を備え
    て車輪と共に回転するディスクロータと、(b)そのディ
    スクロータに前記摩擦面において接触させられてディス
    クロータの回転を抑制する摩擦パッドと、(c) その摩擦
    パッドを少なくとも前記摩擦面と交差する方向に移動可
    能に支持するパッド支持機構と、(d) モータおよび加圧
    部材を備え、モータの駆動力により加圧部材を介して前
    記摩擦パッドを前記ディスクロータに向かって加圧する
    パッド加圧機構と、(e) 前記ディスクロータと前記摩擦
    パッドとの間に発生する摩擦力によりその摩擦力を増加
    させるセルフサーボ機構とを有するモータ駆動式ディス
    クブレーキと、 前記モータを制御するモータ制御装置とを含むことを特
    徴とする電動式ブレーキ装置。
  2. 【請求項2】さらに、前記車輪と路面との間に発生する
    制動力が第1設定値より小さい状態で、前記セルフサー
    ボ機構によるセルフサーボ効果の発生を阻止するセルフ
    サーボ効果発生阻止機構を含む請求項1に記載の電動式
    ブレーキ装置。
  3. 【請求項3】前記セルフサーボ機構が、前記摩擦力によ
    り前記摩擦パッドが前記ディスクロータに連れ回ること
    を利用してセルフサーボ効果を発生させるとともにその
    連れ回り量に応じた大きさでセルフサーボ効果を発生さ
    せる構造を有するものであり、前記セルフサーボ効果発
    生阻止機構が、弾性力により前記摩擦パッドの連れ回り
    を阻止する弾性部材であって、弾性力が弾性変形量の増
    加に対して非線型で増加する状態で使用されるものを含
    む請求項2に記載の電動式ブレーキ装置。
  4. 【請求項4】前記弾性部材が、前記弾性変形量の増加に
    対する前記弾性力の増加率が弾性変形量が大きい場合に
    おいて小さい場合におけるより大きい状態で使用される
    請求項3に記載の電動式ブレーキ装置。
  5. 【請求項5】さらに、前記モータの駆動力の変化に対す
    る前記セルフサーボ効果の変化勾配を機械的に制御する
    勾配制御機構を含む請求項1ないし4のいずれかに記載
    の電動式ブレーキ装置。
  6. 【請求項6】前記パッド支持機構が、固定部材を含み、
    かつ、その固定部材が、前記摩擦パッドを前記ディスク
    ロータの回転方向における両側から挟む一対の部分を含
    み、前記弾性部材が、一端部が、前記摩擦パッドの前記
    ディスクロータの回転方向における両端部のうち車体前
    進時に摩擦パッドがディスクロータに連れ回る側に位置
    する連れ回り側端部に連携させられる一方、他端部が、
    前記一対の部分のうち前記連れ回り側端部から遠いもの
    に連携させられるものである請求項1ないし5のいずれ
    かに記載の電動式ブレーキ装置。
  7. 【請求項7】さらに、前記車輪と路面との間に発生する
    制動力が第2設定値を超えようとする状態で、前記セル
    フサーボ機構によるセルフサーボ効果の増加を阻止する
    セルフサーボ効果増加阻止機構を含む請求項1ないし6
    のいずれかに記載の電動式ブレーキ装置。
  8. 【請求項8】さらに、前記モータの温度上昇を抑制する
    温度上昇抑制手段を含む請求項1ないし7のいずれかに
    記載の電動式ブレーキ装置。
  9. 【請求項9】前記温度上昇抑制手段が、前記モータから
    前記摩擦パッドに力が伝達される力伝達系に設けられ、
    摩擦パッドと前記ディスクロータとの間に発生する摩擦
    熱が前記力伝達系を経てモータに伝達されることを抑制
    する伝熱抑制部材を含む請求項8に記載の電動式ブレー
    キ装置。
  10. 【請求項10】前記セルフサーボ機構が、前記摩擦力に
    より前記摩擦パッドが前記ディスクロータに連れ回るこ
    とを積極的に許容するとともに、その連れ回り状態にお
    いて摩擦パッドをディスクロータと前記加圧部材との間
    においてくさびとして機能させることにより、セルフサ
    ーボ効果を発生させるくさび型である請求項1ないし9
    のいずれかに記載の電動式ブレーキ装置。
  11. 【請求項11】さらに、前記摩擦パッドと前記加圧部材
    との間の摩擦を低減させる摩擦低減手段を含む請求項1
    0に記載の電動式ブレーキ装置。
  12. 【請求項12】前記セルフサーボ機構が、前記摩擦パッ
    ドの前記加圧部材との接触面が摩擦パッドの連れ回り方
    向において前記摩擦面に対して傾斜する傾斜角が、摩擦
    パッドの連れ回り方向において変化するものである請求
    項10または11に記載の電動式ブレーキ装置。
  13. 【請求項13】前記摩擦パッドが、前記ディスクロータ
    を両側から挟んで一対設けられ、それら一対の摩擦パッ
    ドの一方である第1摩擦パッドは、前記ディスクロータ
    に連れ回り可能なものであり、他方である第2摩擦パッ
    ドは連れ回り不能なものであり、前記パッド加圧機構
    が、前記ディスクロータを跨いで前記一対の摩擦パッド
    に係合するとともに前記摩擦面と交差する方向に移動可
    能なキャリパボデーであって、前記第2摩擦パッドをデ
    ィスクロータに押圧するための押圧部と、前記第1摩擦
    パッドに係合するリアクション部とが形成されているキ
    ャリパボデーと、(b) 前記押圧部に前記摩擦面と交差す
    る方向に移動可能に支持された加圧ロッドであって、前
    記モータの駆動力により作動させられるものとを含み、
    前記加圧部材が、前記第1摩擦パッドについては前記キ
    ャリパポデー、前記第2摩擦パッドについては前記加圧
    ロッドである請求項3,4,10ないし12のいずれか
    に記載の電動式ブレーキ装置。
  14. 【請求項14】前記モータが、非通電状態では静止し、
    第1の通電状態では正回転し、第2の通電状態では逆回
    転するものであり、前記パッド加圧機構が、前記モータ
    の正回転により前記加圧部材に前記摩擦パッドを前記デ
    ィスクロータに向かって加圧させるものであり、前記モ
    ータ制御装置が、前記モータを、前記摩擦パッドの加圧
    力の実際値が指令値と等しくなるように制御するもので
    あり、当該電動式ブレーキ装置が、さらに、前記セルフ
    サーボ機構の作用状態において前記加圧力実際値を増加
    させることが必要である場合に、前記摩擦パッドからの
    反力に抗して前記加圧部材をロックさせることにより、
    加圧力実際値の増加量が不足することを防止する増加量
    不足防止機構を含む請求項1ないし13のいずれかに記
    載の電動式ブレーキ装置。
  15. 【請求項15】前記モータを超音波モータとするととも
    に、前記モータ制御装置に、前記セルフサーボ機構の作
    用状態において前記加圧力実際値を増加させることが必
    要である場合に、前記超音波モータを非通電状態として
    その超音波モータに静止保持トルクを発生させ、その発
    生させられた静止保持トルクによって前記加圧部材のロ
    ックを行う静止保持トルク発生手段を設けることによ
    り、前記増加量不足防止機構が構成されている請求項1
    4に記載の電動式ブレーキ装置。
  16. 【請求項16】前記静止保持トルク発生手段が、前記第
    1の通電状態において前記加圧力実際値の増加量が第1
    基準増加量を下回ったことに応じて、前記超音波モータ
    を非通電状態にする増加量不足時制御手段を含む請求項
    15に記載の電動式ブレーキ装置。
  17. 【請求項17】前記静止保持トルク発生手段が、前記セ
    ルフサーボ機構の作用開始に応じて、前記超音波モータ
    を非通電状態にするサーボ開始時制御手段を含む請求項
    15に記載の電動式ブレーキ装置。
  18. 【請求項18】前記サーボ開始時制御手段が、(a) 前記
    加圧力実際値に関連する量を検出する加圧力関連量セン
    サと、(b) その加圧力関連量センサの出力信号に基づ
    き、前記第1の通電状態において前記加圧力実際値の増
    加量が第3基準増加量を超えるという条件を含む少なく
    とも一つの条件が同時に成立した場合に、前記セルフサ
    ーボ機構の作用が開始されたと判定するセルフサーボ状
    態判定手段とを含む請求項17に記載の電動式ブレーキ
    装置。
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