JPH08230638A - 流体圧アクチュエータ - Google Patents

流体圧アクチュエータ

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Publication number
JPH08230638A
JPH08230638A JP4187595A JP4187595A JPH08230638A JP H08230638 A JPH08230638 A JP H08230638A JP 4187595 A JP4187595 A JP 4187595A JP 4187595 A JP4187595 A JP 4187595A JP H08230638 A JPH08230638 A JP H08230638A
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JP
Japan
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motor
cam
reduction ratio
gear
throttle valve
Prior art date
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Pending
Application number
JP4187595A
Other languages
English (en)
Inventor
Masahiro Tsukamoto
雅裕 塚本
Takafumi Okamoto
孝文 岡本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
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Publication date
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Priority to JP4187595A priority Critical patent/JPH08230638A/ja
Publication of JPH08230638A publication Critical patent/JPH08230638A/ja
Pending legal-status Critical Current

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Classifications

    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16HGEARING
    • F16H35/00Gearings or mechanisms with other special functional features
    • F16H2035/003Gearings comprising pulleys or toothed members of non-circular shape, e.g. elliptical gears

Landscapes

  • Regulating Braking Force (AREA)
  • Control Of Throttle Valves Provided In The Intake System Or In The Exhaust System (AREA)
  • Supply Devices, Intensifiers, Converters, And Telemotors (AREA)
  • Transmission Devices (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 制御性、応答性の性能面と、低価格化等のコ
スト面の両立を図るブレーキ制御アクチュエータやスロ
ットル制御アクチュエータを提供する。 【構成】 モータ7aにより駆動されるカム8aの面を
倣い動作する軸9aとピストン6aを有し、軸部材とカ
ムとの接触部にはカムフォロア9bを有するアクチュエ
ータの場合なら、ホイールシリンダ3側の容積が最小に
なる位置で減速比を高く、容積が大きくなるにつれ低く
する構造の非円形ギア組7d,7eをモータとカムの間
に設ける。高い圧力に対応した充分な減速比を確保し、
かつ圧力が高くなり得ない容積が拡大した位置では、減
速比を下げカムの回転を高める。モータを常に最大出力
点付近で動作でき、必要最低限の出力のもので性能を達
成する。装置の小型化・モータの低価格化を図れ、フル
減圧まで動作させたときのモータ回転量が減少し、モー
タの耐久性向上等によるコスト低減も図れる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、流体圧アクチュエータ
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】例えば、ブレーキ液路に臨んで位置させ
たピストンを回動カムを介して変位させることでABS
等の制御を実現させるようにした、アクチュエータは、
先に特願平5−229525号により、本出願人によっ
て提案されている。これによると、従前の特開平2−2
96565号公報(文献1)に記載の如くのアクチュエ
ータに比し、改良されたABS制御用アクチュエータを
提供できる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかして、上記先の出
願のものは、次のような点から考察すると、なお改良で
きる余地があることを本発明者は見い出したものであ
る。即ち、上記カムは、モータの回転を減速する機構に
より回転駆動されることができるものでが、そこに使用
されている減速機構については、一般的な円形のギアを
用いるものであり、カムの位置によらず一定の減速を行
う(比較例1)。しかしてこうした場合、減速比は、例
えば、制御中に生じ得る最高の圧力から計算された、カ
ムを駆動するのに必要なトルクと、駆動モータが発生す
る最大のトルク、の双方から決められる。そして、かか
るABSアクチュエータの場合にあっては、運転者が与
えたブレーキ圧力を減圧制御するものであることから、
前記の制御中に生じ得る最高の圧力は制御開始時、ある
いは終了時にしか発生しない。制御開始・終了時のカム
の位置は、制御時にホイールシリンダ側へ至る液路に一
部に形成されることとなる圧力制御室の容積を最小にす
る位置であり、ここでは前記の減速比が必要となるが、
その容積が拡大するに従って(ホイールシリンダ圧が減
圧されるに従って)発生し得る最高圧力は徐々に下がる
ため、必要となる減速比はより小さなものとなる。
【0004】従って、比較例1のように、モータ回転の
減速に円形のギアを用い、そのギア比は予め上述のよう
な観点から定めた一定のものであって、一定の減速比
(例えば「10」)の場合、圧力が下がるに従って大き
なトルクは必要ないためモータが高速で回るが、減速比
が大きいまま(例えば「10」のままで一定)であるこ
とからカムを高速で回すことはできない。このことから
制御性を良くし応答性を高めるためにはモータの出力を
必要以上に高める必要があり、結果、装置が大きくなる
といったことや、使用モータとしてコストの高いものが
要求されるなどすることとなる。また、ホイールシリン
ダ側の液圧剛性は、一般的に圧力が下がるに従って低く
なる。これは、ホースの剛性の非線形性や、ブレーキを
かけ始めるときのブレーキパッドの移動などが原因であ
る。このことから、同じ圧力変化を生じるためには、圧
力が低いほど大きな容積変化を起こさせる必要がある
が、比較例1のように一定の減速比では、低圧でもカム
の回転を高回転にすることができず、上記と同様の事態
を生じさせることとなり、制御性を良くしようとすれば
大出力のコストのかかるモータの採用が必要になる。上
記のようなことは、円形のギアを用いる減速比一定(ギ
ア比一定)の減速機構を用いる、例えば電子スロットル
制御装置においてもいえる。
【0005】本発明は、このような点から改善を加え、
制御性や応答性といったアクチュエータの要求される性
能の面と、低価格化等のコスト面との両立を図ることの
できる、改良された流体圧アクチュエータを実現しよう
というものである。他の目的は、ブレーキ制御アクチュ
エータとして好適なものを提供することである。また、
他の目的は、スロットル制御アクチュエータとして好適
なものを提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明によって、以下の
流体圧アクチュエータが提供される。即ち、流体路に配
置される被制御体を回転部材を介して作動させるよう構
成されたアクチュエータであって、前記回転部材の駆動
源となるモータを備えるとともに、該モータと前記回転
部材との間に、当該回転部材の回転角度に応じて減速比
が変化する減速比変化機構を具備させてなる、ことを特
徴とするものである。また、ブレーキ制御アクチュエー
タであって、前記被制御体を回転部材を介して作動させ
る系は、マスターシリンダとホイールシリンダの間を遮
断する遮断手段と、斯く遮断されるホイールシリンダ側
の容積を変化させる容積変化手段とを備え、該容積変化
手段は、前記モータにより駆動されるカムと、該カムの
面をカムフォロアを介し倣い動作することで直進駆動さ
れる軸部材と、該軸部材に当接する容積可変制御用のピ
ストンとを有し、前記減速比変化機構が前記モータと当
該容積変化手段のカムの間に設けられ、当該カムの回転
角度に伴って減速比が変化するように構成されてなる、
ことを特徴とするものである。
【0007】また、上記において、前記カムフォロア
は、前記ピストンが容積を拡大する方向にカムが回転す
る場合には回転しないよう構成してなる、ことを特徴と
したブレーキ制御アクチュエータである。また、前記減
速比変化機構は、2つの歯車のピッチ円が回転角度に応
じて変化するような、円形でない歯車対を用いて構成し
てなる、ことを特徴としたブレーキ制御アクチュエータ
である。また、前記減速比変化機構は、前記ホイールシ
リンダ側の容積を最小にする位置においてモータ回転/
カム回転の減速比を高くし、前記ホイールシリンダの容
積を最大にする位置において該減速比を低くするよう
に、設定してなる、ことを特徴としたブレーキ制御アク
チュエータである。
【0008】また、流体路に配置される被制御体を、モ
ータの回転を減速する減速機構により減速される出力回
転部を介して作動させるよう構成されたアクチュエータ
であって、前記減速機構の一部に、前記出力回転部の回
転角度に応じて減速比が変化する減速比変化機構を設け
てなる、ことを特徴とするものである。また、前記出力
回転部が、車両のエンジンへの空気流量を調節するスロ
ットルバルブの制御を行うよう構成されてなる、ことを
特徴とするものである。また、上記において、前記減速
比変化機構は、2つの歯車のピッチ円が回転角度に応じ
て変化するような、円形でない歯車対を用いたものであ
る、ことを特徴とするものである。
【0009】また、前記出力回転部は、プーリーを用い
て前記スロットルバルブとスロットル制御装置との間を
ワイヤーで結ぶ形態をもって構成してなる、ことを特徴
としたスロットル制御アクチュエータ、及び前記減速比
変化機構による減速比の変化は、前記スロットルバルブ
が全閉のときに低く、全開のときに高くなるように、設
定してなる、ことを特徴としたスロットル制御アクチュ
エータである。また、前記出力回転部は、前記スロット
ルバルブに直結された形態をもって構成してなる、こと
を特徴とスロットル制御アクチュエータ、及び前記減速
比変化機構による減速比の変化は、前記スロットルバル
ブが全閉のときに低く、全開のときに高くなるように、
設定してなる、ことを特徴としたスロットル制御アクチ
ュエータ、及び前記減速比変化機構による減速比の変化
は、前記スロットルバルブが全閉のときに高く、全開の
ときに低くなるように、設定してなる、ことを特徴とス
ロットル制御アクチュエータ、及び前記減速比変化機構
による減速比の変化は、前記スロットルバルブが全閉の
ときに高く、全閉と全開の間の開度のとき一旦低くな
り、全開のときに再度高くなるような傾向で設定されて
いる、ことを特徴とスロットル制御アクチュエータであ
る。
【0010】
【作用】上述した構成により、流体路に配置される被制
御体を、その回転部材乃至は出力回転部を介して作動さ
せる場合、その回転角度に応じて減速比が変化する減速
比変化機構をそのアクチュエータに組み込むことで、円
形ギアを用いて回転角度によらず一律減速比一定の構造
のものに比し、制御性、応答性等の要求性能の面と、小
型化、低価格化等のコスト面との両立を図ることを実現
することを可能とする。例えば、大なる減速比が必要な
制御状態ならそれを高めて必要な充分な減速比を確保
し、かつ、他方では、それより減速比を下げその回転部
材乃至出力回転部の回転はこれを高める状態とし得て、
応答性を高めて制御を容易なものにしつつ、使用モータ
はこれを最大出力点付近で動作せしめうるようにする、
といったようなことにも、容易に対応可能であって、か
かる要求に適切に応えられるアクチュエータを実現する
ことができる。
【0011】適用するアクチュエータが特にブレーキ制
御アクチュエータの場合は、好ましくは、マスターシリ
ンダとホイールシリンダの間を遮断する遮断手段と、斯
く遮断されるホイールシリンダ側の容積を変化させる容
積変化手段とを備え、該容積変化手段が、モータにより
駆動されるカムと、該カムの面をカムフォロアを介し倣
い動作することで直進駆動される軸部材と、該軸部材に
当接する容積可変制御用のピストンとを有し、かつ、減
速比変化機構は、そのモータと当該容積変化手段のカム
の間に、当該カムの回転角度に伴って減速比が変化する
ような機構として設けるよう構成して、本発明は好適に
実施できる。この場合は、カムの位置に応じ、圧力変化
のためのそのホイールシリンダ側の容積の拡縮変化が行
われる一方、これに伴い、その容積小から容積大の変化
の状態に適切に合わせたものとしてその減速比の高低を
も同時に変化せしめることを容易に実現でき、構成簡単
で効果的なものとなる。例えば先の提案のものとの比較
しても、駆動源となるモータとして必要な性能のもの
を、より有効かつ効果的に使用し、大きなトルクを要求
されるときはそれに応じた減速比を得、大きなトルクが
必要とされないとき、減速比はこれを小さなものとして
カム回転を高回転にし得、もって制御を容易なものにす
ることも容易に実現でき、かつまた、減速比一定の場合
に比べ、相対的に作動に必要なモータの回転量を減少せ
しめられる結果、モータの耐久性向上、あるいはモータ
の耐久寿命低下分によるコスト低減を図ることを実現す
ることも可能ならしめる。
【0012】また、この場合、カムフォロアを上述の構
成のように一方向しか回転しないカムフォロアとして、
本発明は実施でき、同様に上記のことを実現することを
可能ならしめる。かかる態様を採用するときは、先の提
案のものと同様の利点も得て、電磁ブレーキなど別途部
品の追加、使用をせずに実施でき、かつ上記容積の縮小
時には高効率でピストンを作動せしめ得て、その分、上
記に加え、使用モータにつき更になるモータの小型化、
低価格化を促進し、一層経済的なものとなる。もっと
も、カムフォロアを使用する場合であっても、本発明
は、カムフォロアはこれを双方向に回転可能なものとし
ても実施可能である。
【0013】また、好ましくは、減速比変化機構は、カ
ムの回転角度に伴って2つの歯車のピッチ円が変化する
ような、円形でない歯車対を用いた構成のものとして、
本発明は実施でき、非円形歯車組により減速比が一意的
に変化する減速比変化構造をもって、同様に上記のこと
を実現することを可能ならしめる。また、減速比変化機
構は、ホイールシリンダ側の容積を最小にする位置にお
いてモータ回転/カム回転の減速比を高くし、ホイール
シリンダの容積を最大にする位置において該減速比を低
くするように設定して、本発明は実施でき、同様に上記
のことを実現することを可能ならしめる。この場合は、
ホイールシリンダ側の容積が最小になる位置においては
減速比を高く、容積が大きくなるに従って減速比を低く
する構造をモータとカムの間に設けることで、圧力が高
くなり得る容積最小位置においては、その高い圧力に対
応した充分な減速比を確保し、かつ圧力が高くなり得な
い容積が拡大した位置においては、減速比を下げてカム
の回転を高める構成として、モータを常に最大出力点付
近で動作するようにでき、よって、必要最低限の出力の
モータで性能を達成することもでき、装置の小型化・モ
ータの低価格化を図ることが可能となるとともに、圧力
の高い状態からフル減圧までの必要な制御動作範囲に対
するモータ回転量の減少も図れ、上記したと同様の作用
をもたらすものとなり、特に車両のABS制御等のアク
チュエータに好適なものを提供可能である。
【0014】適用するアクチュエータが特にスロットル
制御アクチュエータの場合は、好ましくは、その出力回
転部が、車両のエンジンへの空気流量を調節するスロッ
トルバルブの制御を行うよう構成されたものとして、本
発明は好適に実施でき、同様に上記のことを実現するこ
とを可能ならしめる。また、この場合においても、好ま
しくは、当該制御を行う出力回転部の回転角度に応じて
減速比が変化する機構は、同様に、非円形歯車組を用い
る構成とでき、減速比が一意的に変化する減速比変化構
造をもって、本発明は実施でき、同様に上記のことを実
現することを可能ならしめる。
【0015】スロットルバルブの制御を行う出力回転部
の回転角度に応じて減速比が変化する構造の場合は、例
えば小開度でギア比の高い場合の応答性の不十分さを解
消させうるよう、バルブ開度が大きくなるに従ってギア
比を高める構造を採用し、それぞれの開度で必要十分な
トルクでバルブを駆動できる構成として、あるいは小開
度から大開度までモータの回転に対する空気流量の精度
が変化しないよう、ギア比を設定する構成として、それ
らの要求に容易に応えられるスロットル制御アクチュエ
ータを実現することが可能である。よって、スロットル
制御に際し、応答性が高まる、あるいは、要求精度に応
じたギア比が設定できる、などの機能を実現し得て、空
気流量制御が容易となり、従ってまた、制御の難しさに
起因する応答性を確保するための大出力モータの採用、
高要求精度領域での別機能部品の追加、などを省くこと
が可能で、コストの低下を図ることを実現することも可
能となる。また、ギア比一定の場合のものに比し、スロ
ットルバルブのフルストロークに対するモータの回転量
の減少も図れ、上記したと同様の作用をもたらすことも
可能である。
【0016】また、出力回転部については、好適例で
は、プーリーを用いてスロットルバルブとスロットル制
御装置との間をワイヤーで結ぶ形態、またはスロットル
バルブに直結された形態であり、本発明はいずれでも実
施でき、同様に上記のことを実現することを可能ならし
める。好ましくは、前者の形態において、減速比の変化
を、スロットルバルブが全閉のときに低く全開のときに
高くなるように設定するときは、定速走行装置の場合で
も、特に小開度での動作が早くなる結果、車速ずれや、
動作開始時の車速の低下を回避するのに効果的なものと
なる。
【0017】また、後者の形態にあっては、減速比の変
化は、スロットルバルブが全閉のときに低く全開のとき
に高くなるようにするか、全閉のときに高く全開のとき
に低くなるようにするか、または全閉のときに高く、全
閉と全開の間の開度のとき一旦低くなり、全開のときに
再度高くなるような傾向で設定するかの、いずれでも実
施可能である。この場合において、その第1の態様で
は、全閉からの急激な運転者のアクセル操作にも効果的
に追従可能であり、その第2の態様では、全閉近傍では
モータ回転に対するバルブの動きを鈍くし得る結果、モ
ータの回転角度制御による空気流量のきめ細かな制御を
容易にし得てエンジンアイドリング回転数制御にも対応
可能であり、また、その第3の態様にあっては、それら
第1,第2の態様の長所を併せ有するものを実現するこ
とを可能ならしめる。
【0018】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づき説明す
る。図1は、車両のブレーキ制御アクチュエータとして
構成した本発明アクチュエータの一実施例を示す。図に
おいて、1はブレーキ操作部、2はブレーキ液を導き圧
力を伝達する液圧配管、3はブレーキ圧を受けて、ブレ
ーキディスク15を制動するホイールシリンダ(W/
C)をそれぞれ示す。ここでは、ホイールシリンダ3は
アクチュエータ制御により得られる流体圧で作動し、液
路16(液圧配管)へのブレーキ液圧に応動し、車輪と
ともに回動する該ディスク5に制動力を与える。
【0019】ブレーキ操作部1は、ブレーキ操作力を応
じたブレーキ操作力対応圧を発生する圧力源を含み、こ
こでは、ブレーキペダル1aと、該ペダル1aに加わる
踏力を増幅するブースター1bと、その増幅された踏力
を受けてブレーキ液を圧縮し、ブレーキ圧を発生させる
マスターシリンダ(M/C)1cを備える。車両のブレ
ーキマスターシリンダからの液圧系は、通常、フェイル
セーフのため2系統(プライマリとセカンダリ)あり、
この場合、例えば、1系統がFr2輪(前2輪)のホイ
ールシリンダ、他方のもう1系統がRr2輪(後2輪)
のホイールシリンダに、または1系統がFr/RH(前
右輪ホイールシリンダ)・Rr/LH(後左輪ホイール
シリンダ)、他方のもう1系統がFr/LH(前左輪ホ
イールシリンダ)・Rr/RH(後右輪ホイールシリン
ダ)に接続される構成とすることができる。図では、セ
カンダリ側の1輪に係わるブレーキ液圧系についてのみ
示すが、例えば4チャンネル(CH)4センサ式のブレ
ーキ制御システムなら、4輪個々に本実施例に従う同様
のアクチュエータ構成のブレーキ液圧制御系が存在し、
ここでは、矢印で示される他輪にも同様なものが接続さ
れているとする。
【0020】マスターシリンダ1cは、運転者によるブ
レーキぺダル1aの踏み込みによるブレーキ操作に連動
して、ブレーキぺダル踏力に応ずる液圧(マスターシリ
ンダ圧)を出力し、一方、各輪に配設のホイールシリン
ダ3は、その発生圧が本実施例アクチュエータを通して
そのままブレーキ液圧(ホイールシリンダ圧)として供
給されるとき、該液圧に応じた制動力をそれぞれ対応車
輪に生起させて、車輪個々を制動することができる。マ
スターシリンダ1cとホイールシリンダ3の間に配され
た本例のアクチュエータは、車両から検出される走行状
態に応じてマスターシリンダ1cとホイールシリンダ3
の間を遮断する通路遮断手段としての弁4を備えるとと
もに、遮断されたホイールシリンダ3側の容積を変化さ
せる容積変化手段を備えるものとすることができる。図
中、5は制御シリンダ部、6は制御ピストン部、7はト
ルク発生装置、8は円筒カム(端面カム)部、9は軸部
をそれぞれ示し、図示例では、上記のような容積変化手
段は、図示の如くのトルク発生装置7の回転モータ(駆
動モータ)7aにより駆動されるカム8a、そのカムの
面8bを倣い動作することで直進駆動される軸部材とし
ての軸部9、その軸部材とともに変位(進退)するピス
トン6a、該ピストンを内蔵するシリンダ5aを含んで
構成することができる。
【0021】上記弁4は、本例では、リターンスプリン
グ4aと、ボール4bと、該ボール4bがシートして油
路を閉じるバルブシート4cとからなるカット弁であ
る。該カット弁のポート4dは、図示のように、マスタ
ーシリンダ1cからの配管2に接続し、また、バルブシ
ート4c側の開口は、シリンダ5aの圧力制御室(チャ
ンバ)に臨ませてある。制御ピストン部6のプッシュピ
ン(ロッド)6bは、かかる開口を介してボール4bと
接離可能である。リターンスプリング4aはボール4b
を図中下方へ付勢する方向に作用するスプリングであ
り、ボール4bは、リターンスプリング4aで付勢され
てバルブシート4cへ着座するとき油路を閉じる。他
方、ボール4bは、後述のピストン6aの変位に伴い、
そのプッシュピン6bによりリターンスプリング4aに
抗して押されるとき油路を開く。ボール4bはこのよう
に油路を開閉するものであるが、図1は、制御ピストン
のプッシュピン6bが常態でボール4bを押し上げてい
る状態が表されている。
【0022】カット弁4は、本例では通路遮断手段に相
当し、マスターシリンダ1cと制御シリンダ部5の間を
制御ピストン部6の変位によって遮断し、液圧を制御シ
リンダ5側に封じ込めるようにすることができる。な
お、本実施例では、上述したようなカット弁4を使用
し、そのカット弁はピストン6aの変位に伴って開閉す
るものであるが、通路遮断手段としては、これに限ら
ず、それ以外に、例えばピストンへの指令値と連動して
開閉成される電磁カットバルブや、両者が並列に接続さ
れた構成などでも構わない。
【0023】制御シリンダ部5のシリンダ5aは、図示
の如くに、上端にカット弁4を、左側壁部にはホイール
シリンダ3に至る液路16と接続してシリンダ5aとホ
イールシリンダ3とをつなぐポート5bをそれぞれ備
え、制御ピストン部6で密閉される。ブレーキ液の流路
に臨みその圧力の作用する制御ピストン部6は、図示の
ように、ピストン6a及びプッシュピン6bを有する。
ピストン6aは、外周面部にシール6cを備え、制御シ
リンダ5a内を上下の部屋に分離する。図中、上部側の
室が圧力制御室を形成する。このピストン6aが図中上
下に摺動することで、カット弁4とホイールシリンダ3
に接続されるシリンダ5aの容積(圧力制御室の容積)
が変化する。プッシュピン6bは、ピストン6aの上端
面に形成され、ピストン6aが図示の如くの最上端の位
置(シリンダ容積を最小にする位置)にあるときにカッ
ト弁4のボール4bを押して油路を開き、マスターシリ
ンダ1cと制御シリンダ5の間を連通する。
【0024】なお、制御ピストン6aに取り付けられ、
シリンダ5aを密封するシール6c部分は、通常はOリ
ングなどの弾性体材料でできたシールで構成されるもの
とすることができるが、制御シリンダ5内の圧力が高圧
になる場合、その圧力によってOリングが図の下方向に
はみ出すのを防ぐためのバックアップリング(例えば、
材質テフロンなどで低摩擦のもの)とセットで構成さ
れ、本実施例ではそうしてある。また、制御シリンダ部
5はハウジング10のボディ10により支持されてお
り、ボディ10は装置全体を固定する。
【0025】トルク発生装置7は、ここでは、電動モー
タ7aのほか、ピニオン7b、ギヤ7c、駆動側非円形
ギア7d、従動側非円形ギア7eを備える構成のものと
してあり、これらが、カム部8の回転駆動源に相当す
る。電動モータ7aは電流を流すとトルクを発生する
が、トルクは一般に電流に比例するので、電流を制御す
ることでトルクの制御ができる。また、電流を逆向きに
流せば逆向きのトルクを発生させることもできる。本例
では、モータ7aを可逆転モータとし、ピニオン7b、
ギヤ7c、駆動側非円形ギア7d、従動側非円形ギア7
eは、その減速装置を構成する。電動モータ7aは、図
示のようにその駆動軸側を図中下に向けてベース11上
に配置してある。
【0026】ピニオン7bは、電動モータ7aの発生し
たトルクをギヤ7cに伝え、ギア7cは、ピニオン7b
から力を受け、駆動側非円形ギア7dにトルクを伝え
る。ギヤ7cは、ベース11に設けたベアリング7fに
より支持された軸7gに取り付けられている。ギア7c
とピニオン7bではギア7cの方が径が大きいので、電
動モータ7aで発生したトルクは、ギア比に応じて増幅
されて駆動側非円形ギア7dに伝えられる。
【0027】駆動側非円形ギア7d(駆動ギア)は、従
動側非円形ギア7e(従動ギア)とかみ合い、かつギア
7cと同軸に一体的に回転可能に配置され、ギア7cに
加わったトルクでそのまま駆動される。従動側非円形ギ
ア7eは、円筒カム部下端の軸8dに取り付けられて、
駆動側非円形ギア7dからの力を受けて該カム部8を駆
動する。これら非円形ギア7d,7eについて、その詳
細は更に図3を参照して後記で説明される。
【0028】円筒カム部8は、ボールベアリング8cに
よりベース11に取り付けられている。ボールベアリン
グ8cは、カム8aを軸方向で固定し、滑らかにカム8
aとギア7cを回転させるとともに後述の軸部9から加
わる図中下向きの力を支える。ギア7eと同軸で回転す
るカム8aは、その上端の端面8bが螺旋状に傾斜して
おり、以下に述べる軸部9の軸9aに取り付けられたカ
ムフォロア9bがこの端面8bに接触するものである。
端面8bは、カム8aの軸回り角度とともに低下し、1
回転弱(1回転に満たない)の螺旋を描いている。
【0029】ここに、本実施例では、軸部9はカム上端
面8bを倣い動作する軸部材に相当するが、これは、図
中上下方向に移動する軸9aと、その軸9aの円筒面の
中央付近において図中左側の軸直角方向に突出させた中
心軸を有して取り付けた構成のカムフォロア9bと、更
にその取付中心軸先端側に配したガイド9cと、軸9a
の上端部に取り付けたリング部材9dとを有する。軸9
aは、中央付近にカムフォロア9bが取り付けられ、カ
ム8aの端面8bから力を受ける。また、その上端がシ
リンダ5a内のピストン6aに当接し、ピストン部6を
押すことができる。カム8aの端面8bは傾斜している
ため、円筒カム部8と軸部9が相対回転すると、カムフ
ォロア9bの接触位置が軸方向にずれるので、カム8a
は、従動側ギア7e及び軸8dを介して伝えられる回転
トルクを軸方向推力に変化させることができる。また、
内部に図示されない軸受けを備え、カム部8と軸部9の
同軸を保ち、かつ回転と軸方向の移動が滑らかに行える
ようになっている。
【0030】カムフォロア9bは、例えばボールベアリ
ングの外輪を厚くしたようなもので、中心軸が軸9aに
取り付けられ、外輪がカム8aの端面8bに当接しなが
ら移動する構成とすることができる。この場合におい
て、本実施例では、カムフォロア9bは、好ましくは、
内部に例えば図2に示すようなベアリングとワンウェイ
クラッチを一体としたものが内蔵されているものとし、
図1中の矢印Aの方向から見てCCW方向(反時計回り
方向)には回転するが、逆方向、即ちCW方向(時計回
り方向)には回転しない構成となっている。
【0031】図2に示すワンウェイクラッチ機構の場合
は、上記の取付中心軸に一体的に設けられた内輪101
の両端面に固定されてワンウェイ歯形部102が設けら
れている。また、複数の針状ころ103を介して内輪1
01の外周を回転するカムフォロア9bの両端面にもワ
ンウェイ歯形部104が固定されて設けられている。更
に、針状ころ103を等間隔で保持するための保持器1
05がセンターピン106に支持されて設けられてい
る。これら針状ころ、ピン、保持器によって、内輪10
1側とカムフォロア9c間のベアリングが構成される。
更に、保持器105には、ひし形の両爪部材107がピ
ン108により回転可能に設けられているとともに、図
示しない板ばねなどよって図の矢印方向に軽く付勢され
ている。
【0032】かかる構成において、カムフォロア9bが
内輪101に対して、図中P方向(図1中にあっては、
矢印Aの方向から見たCCW方向)に相対回転する場合
は、両爪部材107はワンウェイ歯形部102,104
を乗り越え、従ってカムフォロア9bは同方向の向きに
は回転する。しかし、それと反対に、図中P方向と逆方
向(図1中において矢印Aの方向から見たCW方向)に
回されるようとするときは、両爪部材107がワンウェ
イ歯形部102,104に係合し、結果、その向きには
相対回転できない。
【0033】上記のようなワンウェイクラッチ機構を内
蔵させてあることによって、カム8aを図1のB方向か
ら見てCW方向(時計回り方向)に回した場合はカムフ
ォロア9b自身が回転しながらカム端面8bに倣ってこ
れを昇り、カム8aをB方向から見て逆のCCW方向
(反時計回り方向)に回した場合はカムフォロア9bは
回転はせずに摺動しながらカム端面8bを下る動作をす
る。このため、前者の場合は、カムフォロア9bは回り
ながらそのカムフォロア9bの接触するカム端面8bの
傾斜につれて、軸9a、従ってピストン6aを上動させ
シリンダ部5の圧力室の容積を縮小させるよう作用する
のに対し、逆に、その容積が拡大する方向に作用するよ
うにカム8aを回転させ軸9aを下動させるとき、即ち
カム8aが図1中B方向から見てCCW方向に回転駆動
せしめられる後者の場合には、カムフォロア9bは、図
1中の矢印Aの方向から見てCW方向に回されようとし
ても、その向きでの回転はしない構成となっている。従
って、本実施例では、カムフォロア9bは、ピストン6
aが遮断時のホイールシリンダ側の容積を拡大する方向
にカム8aが回転した場合には回転しない構造としてあ
る。こうして、本実施例では、軸部材部分とカム8aと
の接触部には一方向にしか回転しないカムフォロア9b
が設けられ、カムフォロア9bがカム端面8bに接触し
ている。
【0034】カムフォロア9bの軸先端側に配したガイ
ド9cは、ハウジング10のレール部10bと嵌合して
いる。レール部10bは、軸方向の長穴であり、内部に
ガイド9cが嵌合することで、ガイド9cと一体になっ
た軸部9を、回転はしないが上下方向の移動は許すよう
に支持するものである。こうしたガイド9cとレール部
10bと嵌合により、軸部9が円筒カム部8とともに回
転せず、かつ上下方向には移動できるように支える。ま
た、本実施例において軸部9の軸9aの上端部近傍に取
り付けられたリング部材9dは、シリンダ5a内面に突
っ張る形で軸9aとシリンダ5aの同軸を保つ。リング
部材9dは、軸9aの上下動に際し、このような効果を
発揮するものであるが、その材質は、例えばシール6c
に用いるバックアップリングと同じテフロンなどにすれ
ば、ピストン6aや軸9aの上下動時の摺動抵抗も小さ
く、かつ安価な構成とすることができる。なお、ガイド
9cについては、レール部10bとの摺動抵抗が問題に
なる場合はベアリング状のものを使用し、それが問題で
なければ、かかるガイド部材は、単なる棒でも構わな
い。
【0035】図3は、非円形ギア組(ギア7d・ギア7
e)の詳細の一例を示す図である。これらは、駆動モー
タ7aとカム8aの間にあって、カム8aの回転角度に
伴って減速比が一意的に変化するような減速比変化構造
を実現するためのものとして機能し、好ましくは、図示
例の如くの、カム8aの回転角度に伴って2つの歯車の
ピッチ円が徐々に変化するような、円形でない歯車を用
いる構成とすることができる。
【0036】軸7gに設けられる駆動側非円形ギア7d
とカム8a側の軸8dに設けられる従動側非円形ギア7
eとは、図に示すように、両者7d,7eとも、回転角
度に応じて歯車の径が徐々に変化する形状となってい
る。この図に示す初期状態から、駆動側非円形ギア7d
は図中CW方向、従動側非円形ギア7eは図中CCW方
向(それぞれ矢印で表記)にかみ合ったまま回ることが
てきるように、それぞれのかみ合い位置において軸間距
離が変化しないように作られている。従って、このギア
組は、決まった位置でしかかみ合うことがきない。ま
た、両者7d,7eの周長さは必ずしも一致しないた
め、一方が一回転したときに他方も−回転するとは限ら
ない。このため、一方が1回転する範囲でしか動作する
ことがてきないが、円筒カム部8も同じように1回転弱
しか動作することのできないので、かかる円筒カム部分
に取り付ける図1の構造であれば何等不都合は生じない
ものであり、そうした1回転に満たないものの用途にも
充分に適用できる。
【0037】そして、モータ7aの回転による駆動側非
円形ギア7dのCW方向への回転駆動で従動側非円形ギ
ア7eをCCW方向に回転させていくと、かみ合い位置
が、初期状態(図示状態)の駆動側非円形ギア7d寄り
のものから徐々に従動側非円形ギア7e寄りの位置へ移
動しいくので、本例に従うとカム回転に伴い減速比は徐
々に低くなっていく。よって、従動側非円形ギアの上記
CCW方向への回転方向を、それによって回転されるこ
ととなる円筒カム部8の当該カム端面8bを低下させる
べき向きに設定するように、かかるギア組をモータとカ
ム間の減速機構中に組み合わせると、モータ回転/カム
回転の減速比は、前記変位するピストンが6aホイール
シリンダ3側の容積を最小にする位置において該減速比
を最大とし、ホイールシリンダ3側の容積を最大にする
位置において減速比を最小とするように減速比を変化さ
せることができる。
【0038】本実施例においては、そうしてあり、この
従動側非円形ギア7eがCCW方向に回転する方向はカ
ム8aの端面8bが低下する方向、従って軸9a,ピス
トン6aの部分が下降する向き、つまりシリンダ圧力室
の容積が拡大する方向(圧力の減圧制御方向)なので、
その容積の拡大に伴ってギア比が低下するようになって
いる。ここに、この変化のプロフィールは、線形の場
合、非線形の場合など、各種考えられるが、少なくとも
カム8aの回転角度に伴って圧力が下がる割合よりは変
化の幅を小さくする必要がある。これは、圧力が下がる
以上にギア比が下がってしまうと、その回転角度におい
て駆動できなくなるためである。
【0039】しかして、これらの非円形ギヤ7d,7e
を取り付けた場合のモータ7aからカム8aまでの減速
比は、具体的には、例えば次のようにものとできる。即
ち、該減速比は、前段のピニオン7bとギア7cのギア
比との掛け算で求められる。従って、例えば、図3のよ
うな初期位置では例えば「2」だったものが、フルに回
転した状態では「0.2」に変化し、他方、上記したピ
ニオン7bとギア7cのギア比を例えば「5」であった
とすれば、本例の場合、トータルでは「10」(=2×
5)」(最大)から「1」(=0.2×5)」(最小)
まで変化することになる。なお、必要な減速比として
「10」が要求されるのであれば、前記比較例1の場合
では、カムの回転角によらずにこれが一律に「10」一
定である(この場合の基本的な考え方は、それを1段の
大きな歯車、あるいは2段の小さな歯車の組で実現しよ
うとするものである)。
【0040】逆転可能な電動モータ7aに対する供給電
流及び電流の向きは、これをコントローラにより制御
し、そのコントローラには車輪の車輪速を検出する車輪
速センサ(いずれも不図示)等からの信号を入力する。
コントローラは、入力情報に基づきモータ7aに対する
制御を実行し、ABS制御の場合、車輪のスキッド状態
を検出してモータ7aへの通電を制御する。
【0041】上記構成による本ブレーキ制御アクチュエ
ータにおいて、通常ブレーキ時はブレーキペダル踏力に
対応するブレーキ力を車両の各車輪に与えられる。ま
た、ABS作動時は、各部の下記するような機能による
ホイールシリンダ圧の減圧、増圧の態様をもってブレー
キ制御を実行することができる。
【0042】〔通常のブレーキの場合〕通常は、モータ
7aを図1のB方向から見てCW方向に回して、ピスト
ン6aを図示の如く上方(シリンダ内の上限端位置)に
寄せてから電流を0としておく。この図示位置では、ピ
ストン6aの先端のプッシュピン(ロッド)6bがカッ
ト弁4のボール4bを押し上げ、カット弁4が開いてマ
スターシリンダ1cとホイールシリンダ3の間は、マス
ターシリンダ1c→液圧配管2→開弁状態のカット弁4
→シリンダ5圧力室→ポート5b→液圧配管16→ホイ
ールシリンダ3の液路で連通する。本実施例アクチュエ
ータは、常態で、このような状態に設定して使用するこ
とができる。
【0043】従って、今、かかる状態で、運転者により
ブレーキングのためブレーキペダル1aが踏み込まれれ
ば、マスターシリンダ1cに発生した圧力は、上記経路
でホイールシリンダ3にそのまま伝わって作用し、運転
者の意思通りにブレーキが効く。ここで、この圧力は、
ピストン6aを下向きに押す力を発生し、軸部9を押し
戻そうとする。こうして、上記経路で圧が伝達されると
き、ピストン6aに下向きの力が作用し、これで軸9a
を押し戻そうとするが、軸9aはカムフォロア9bを介
してカム端面8bに当たっており、また軸9aはガイド
9cとレール部10bによって回転を抑えられているの
で、カム8aをB方向からみてCCW方向に回しながら
下へ移動しようとする。このとき、もし後記第2実施例
のようにカムフォロアが回転するとカム8aは回されて
軸9a・ピストン6aの部分が下へ移動するため電磁ブ
レーキなどの拘束手段を必要とするが、本実施例では前
述の如くカムフォロア9bが回転できない構成を採用し
ているため大きな摺動抵抗を発生し、カム8aを回そう
とする力はキャンセルされる。従って、モータ7aの電
流が0のままであってもカム8aが回されることはな
く、軸9aが下方向に移動しないのでピストン6aはそ
の位置のまま静止している。
【0044】このようにして、ピストン6a及び軸9a
は図示のそのままの常態の位置を保ち、通常ブレーキ時
は踏み込み通りの運転者の意思に対応する制動を行うこ
とができる。一方、低ミュー路面での制動でコントロー
ラにより車輪スキッド状態が検知されるときは、ABS
制御の減増圧によるブレーキ液圧制御がなされる。
【0045】〔ABS制御で減圧する場合〕このとき
は、次のような動作となる。上述したような液圧経路で
車輪にブレーキ力が働く場合において、コントローラに
より車輪のロック傾向が検出され、これに基づきホイー
ルシリンダ圧を減圧する場合には、コントローラは、モ
ータ7aをB方向から見てCCW方向に回す制御電流を
モータ7aに与える(これは、ピストン6aへの下降指
令となる)。すると、カム8aは、ピニオン7b,ギア
7c、及び前述した非円形ギア7d,7eの組による2
段のギアを経由して、B方向から見てCCW方向に回ろ
うとする。このとき、ピストン6aから軸9aに加わっ
ている力によってカム8aの回転を妨げる方向のトルク
が働いているが、それ以上のトルクをモータ7aが与え
ることでカム8aは回転してピストン6aは下に移動す
る。
【0046】ピストン6aがこうして移動すると、図示
位置にあったプッシュピン6bはカット弁4のボール4
bから離れ、他方、ボール4bはリターンスプリング4
aに押されてバルブシート4cに当り、かくして油路、
即ち上記の「→液圧配管2→カット弁4→シリンダ5圧
力室→ポート5b」の経路を閉じる。こうして、マスタ
ーシリンダ1cとホイールシリンダ3間が遮断される一
方、更にピストン6aが下へ移動すればシリンダ5a内
の容積(制御圧力室の容積)が拡大し、密閉されたシリ
ンダ5aからホイールシリンダ3までの部分の系の液
圧、従ってホイールシリンダ3の作用することとなるホ
イールシリンダ圧がその分低下する。
【0047】このことで車輪のロック状態が回避され、
グリップを回復して車両の安定性が保たれる。こうし
て、ホイールシリンダ側の容積を拡大変化させることで
ロック回避の減圧制御を行える。更に、液圧が0になる
と、ピストンと軸を押しつける力がなくなるので、ピス
トン6aはその位置に停止し、圧力が負圧になることは
ない。上記のような減圧制御のためのカム回転駆動は、
回転角度に応じて減速比が既述のように変化する減速機
構を含んだピニオン7b,ギア7c、及び非円形ギア7
d,7e組による伝達駆動系を通して行われ、該減圧制
御の過程で減圧し低圧になるほど低い減速比の状態をも
ってカム回転が行える。
【0048】〔減圧後に再増圧する場合〕このときは、
次のような作動で当該減圧ホイールシリンダ圧の増圧制
御が行われる。上記のようにして、該当車輪のホイール
シリンダ3の圧力の減圧により車輪の拘束力を弱める
と、その車輪の回転が回復する。これで路面と車輪のス
リップ率が減少すると、コントローラがこれを判断して
増圧制御を開始する。
【0049】この再増圧の場合は、コントローラは、モ
ータ7aに対し、上記減圧制御時とは反対に、モータ7
aをB方向から見てCW方向に回す制御電流を与える
(これは、ピストン6aへの上昇指令となる)。する
と、この場合は、カム8aもB方向から見てCW方向に
回るので、軸部9に対してはカム8aからの上向きの力
が加わる。こうして、モータ7aにより駆動されるカム
8aは、カムフォロア9bとの接触部においてカム8a
のその回転につれ上昇するよう変化するカム端面8bの
作用によりカムフォロア9bを介し軸9aを上方向に進
ませようとする。
【0050】こうしたカム端面8bを倣い動作する軸9
aの上方向への移動は、今度は、減圧制御時に前述の如
く拡張されるに至ったシリンダ5aの圧力室の容積を縮
小させるようピストン6aを上方へストロークさせるよ
う変位させる。このときもピストン6aからは圧力(圧
力室内での液圧)に応じた力が働いているが、前記のカ
ムフォロア9b自体が回らない場合と異なり、カムフォ
ロア9bは図1のA方向から見てCCW方向に回転させ
られる向きでの動作となるので、カムフォロア9bはそ
の回転を許され(図2参照)、結果、カムフォロア9b
が回転して摩擦係数が下がり、トルク発生装置7のモー
タ7aからピニオン7b,ギア7c、非円形ギア7d,
7e、及び軸8dを介してカム8aに加わるトルクはカ
ムフォロア9bを押し上げる力に効率よく変換されて、
シリンダ5aの室圧、従ってホイールシリンダ3の圧力
が増加する。
【0051】こうして、ホイールシリンダ圧を前述の遮
断時における圧に向け増圧でき、ホイールシリンダ側の
容積を、拡大されたものから元に戻すよう縮小変化させ
ることで減圧状態からの再増圧制御を行うことができ
る。かかる制御の場合も、その増圧制御のためのカム回
転は、回転角度に応じて減速比が既述のように変化する
減速機構を含んだ伝達駆動系を通して行われ、この場合
は、該増圧制御の過程で元の高い圧力に向け増圧される
に至るほど高い減速比の状態をもってカム回転駆動が行
える。
【0052】ABS作動時は、コントローラによる本ア
クチュエータに対する制御下で、こうした減圧、再増圧
のスキッドサイクルを繰り返えしてブレーキ液圧制御を
実行でき、従って、制動時、この減増圧を調整すること
で車両を安定かつ短い距離で制動できる。ABS制御終
了のときは、ピストン6aがカット弁4のボールを押し
上げる元の常態の位置まで上昇することで、前述した遮
断状態を解除することができる。
【0053】上述のように、本実施例のブレーキ制御ア
クチュエータによると、モータ7aによるカム8aの駆
動にあたり、ホイールシリンダ側の容積が最小になる位
置においては減速比を高く、容積が大きくなるに従って
減速比を低くするようにすることができ、圧力が高くな
り得る容積最小位置においては、その高い圧力に対応し
た充分な減速比を確保し、かつ圧力が高くなり得ない容
積が拡大した位置においては、減速比を下げてカム8a
の回転を高める構成とすることができる。このようにす
ることで、(1):モータ7aを常に最大出力点付近で
動作するようにできるため、モータ7aとして必要最低
限の出力のモータで性能を達成することができる。従っ
て、装置の小型化・モータの低価格化を図ることができ
る。 (2):更に、動作させたときのモータ7aの必要回転
量が少なくて済むものであり、例えば初期状態(常態の
図1図示の状態)からフル減圧まで動作させたときのモ
ータ7aの回転量が、減速比が一定のものであった場合
のものに比し減少するので、その分、アクチュエータの
寿命におけるモータとブラシの摺動距離が短くなり、モ
ータの耐久性向上、あるいはモータのみの耐久寿命低下
によるコスト低減を図ることができる。
【0054】このことは、図4を参照し、更に以下のよ
うに説明することもできる。図4は、モータの性能線図
と動作の様子を表すものである。モータは、一般に供給
電圧が一定であれば、回転数はトルクとともに低下する
(図4中、一点鎖線)。従って、モータの出力は無負荷
回転と拘束状態の中間付近で最大となる(図4の凸曲
線)。
【0055】しかして、比較例1の一定減速比の構造の
場合では、上述のような圧力の制御において、圧力が高
い状態では拘束に近い部分で動作し、圧力が低下するに
従って無負荷に近い部分で動作することとなる。従っ
て、動作範囲は図4のEからFのような範囲であり、平
均した出力は同図の如くGに示すような値のものにな
る。ところが、本実施例に従う構造を用いると、前述の
ようにカム8aの回転角度(=負荷)に応じて減速比が
変化するため、使用モータの動作点を例えば図4に示す
HからIのように最高出力点に近い所に集めることがで
きる。従って、平均したモータの出力は同図のJのよう
に高まり、モータの能力をより高く発揮させることがで
きる。従って、システムとして必要な平均出力が図示の
Gに相当する出力であれば、本実施例のアクチュエータ
を採用することによって、図のJがGになるように、使
用することとなるそのモータ自体の最高出力を下げるこ
とができ、このことからモータの低コスト化・小型化、
装置の低コスト化を図ることができる。
【0056】また、使用する円筒カムの動作範囲を例え
ば0.8回転(一回転弱)とするとともに、減速比につ
いては、これを、比較例1ではカム位置によらず「1
0」一定のものとし、一方、本実施例では既述の例のよ
うに「10」から「1」まで比例的に変化させる構成の
ものと仮定して、これらを対比すると、カム(8a)を
フルに動作せる(0.8回転させる)ためのモータ(7
a)の回転量は、比較例1の場合にあっては、単純に
0.8×10=8回転であるのに対し、本実施例では、
減圧方向へ制御するに従って、つまりギア比が下がるに
従ってモータ7aの回転量は少なくなるため、4.4回
転で済む。ABS作動によるアクチュエータ動作時に
は、上述のようなスキッドサイクルが繰り返えされると
ころ、そのように少ないモータ回転で足りると、これ
は、寿命の面から見たときのブラシの摺動距離(積算さ
れる総摺動距離)が、半減することを意味する。ここ
で、モータの耐久性は、回転摺動によるブラシの摩耗が
大きな原因となるところ、本実施例構成に従い上述のよ
うに動作中のモータ7aの回転量が減ることによって、
その分、そのようなブラシの摩耗も減らし、よって耐久
性の向上を図ることがもきる。あるいはまた、これによ
れば、モータの寿命を比較例1の場合の使用モータより
短くしても、アクチュエータとしての寿命は縮まないこ
とになるので、モータの耐久寿命低下分でコスト低下を
図ることも実現することが可能となる。更に、本実施例
では、次に説明する第2実施例にはない、カムフォロア
9bが一方向にしか回転しない構成により、電磁ブレー
キなどの複雑な構造の追加を必要とせず、通常ブレーキ
時のピストン6aの低下を安価な構成で防ぐことができ
る。
【0057】次に、本発明の他の実施例(第2実施例)
について、図5により説明する。本実施例は、図示のよ
うに、例えばモータ7aに電磁ブレーキ7iを追加する
構成とするとともに、円筒カム8aの接触面8bと接触
させるカムフォロアを双方向に回転できる構成のものに
代えて使用するものである。他の構成部分については、
基本的に、前記第1実施例と同様であってよく、図1と
同様の要素については同一の符号を付してある。以下、
本実施例に要部を説明する。
【0058】図5において、追加された電磁ブレーキ7
fは、図示しないコントローラから与えられる電流によ
って、モータ7aの軸の拘束・自由回転を制御すること
ができる。その制御は、例えば、電磁ブレーキ7fに電
流を与えない状態ではモータ軸を拘束し、電流が与えら
れると、モータ軸が自由に回転できるようにする態様で
実施するのがよい。一方、本実施例におけるカムフォロ
ア9b′は、例えば、ボールベアリングの外輪を厚くし
たようなもので、中心軸が軸9aに取り付けられ、外輪
がカム8aの端面8bに当接しながら移動する構成は、
図1のものと同様であるが、前記第1実施例では、一方
向(図1のA方向から見てCCW方向)にしか回らなか
ったが、ここでは、双方向に自由に回転できる(即ち、
時計回りにも反時計回りにも、いずれの方向にも回転で
きる)ものとする。従って、該カムフォロア9b′に
は、前記図2のようなワンウェイクラッチ機構は内蔵さ
れていない。図1との比較でいえば、本実施例は上述し
たような点が異なる。
【0059】また、作動上、前記第1実施例と異なるの
は下記の点であり、本実施例によるブレーキ制御アクチ
ュエータは、次のようにして使用することができる。 〔通常ブレーキ時〕この場合は、電磁ブレーキ7fの電
流が0でありモータ軸が拘束される。このため、モータ
7aの回転を減速する減速機構中のピニオン7b、ギア
7c、駆動側非円形ギア7d、従動側非円形ギア7e、
従ってカム8aは回転を阻止され、結果、カムフォロア
9b′が双方向に自由に回転可能であっても、軸9a及
びピストン6aの部分は図5の位置に静止したままであ
り、結果、第1実施例と同様、ブレーキ圧力によってピ
ストン6aが下方向に押されても低下することはない。
【0060】〔ABS制御での増減圧制御時〕この場合
には、コントローラは電磁ブレーキ7fに電流を与え、
モータ軸が自由に回転できるようにする。このため、ピ
ストン6aはモータ7aに与えられる電流によって上昇
・降下を制御され、従って圧力が任意に制御される。こ
の場合において、ABS制御での減圧制御のための円筒
カム部8の回転駆動は、図1,3の構成の場合と同様に
して、回転角度に応じて減速比が既述のように変化する
減速機構を含んだピニオン27b,ギア27c、及び非
円形ギア37d,37e組による伝達駆動系を通して行
われ、該減圧制御の過程で減圧し低圧になるほど低い減
速比の状態をもってカム回転が行え、また、同様に、増
圧制御のためのカム回転は、かかる減速比の変化する減
速機構を含んだ伝達駆動系を通して行われ、この場合
は、該増圧制御の過程で元の高い圧力に向け増圧される
に至るほど高い減速比の状態をもってカム回転駆動が行
える等の点については、前記第1実施例のものと同じで
ある。
【0061】本実施例によっても、ホイールシリンダ3
側の容積が最小になる位置においては減速比を高く、容
積が大きくなるに従って減速比を低くする減速比機構を
モータ7aとカム8aの間に設けることによって、前述
の(1),(2)で述べたと同様に、モータ7aを常に
最大出力点付近で動作するようにでき、かつまた、動作
させたときのモータ7aの回転量を減少させることがで
き、ギア7d,7eの非円形歯車によるモータ小型化な
どの既述の作用効果は、前記第1実施例とまったく同様
に得ることができるものである。また、本実施例の態様
の場合は、電磁ブレーキ7iという新たな軸の拘束手段
を必要とし、この点で第1実施例と比較すれば部品追加
はあるが、その反面、カムフォロアには図2のようなワ
ンウェイクラッチ機構が不要となる。
【0062】このように、一方向しか回転しないカムフ
ォロアに代えて双方向に回転可能なカムフォロアとし、
他方、コントローラからの制御信号でモータの軸の拘束
・自由回転を切換え制御可能な電磁ブレーキ等を使用す
る構成として、これを通常ブレーキ時のピストンの常態
位置での保持のために用いる態様でもよい。本発明は、
このようにして実施してもよい。
【0063】なお、前記円筒カム8aの軸回り角度とと
もに螺旋を描いて傾斜する上面のカム端面8bは、位置
によってカムの傾斜の度合いを変えてはいないが、カム
の傾斜を位置によって変化させることで、カムの部分に
おいて同様の効果を出そうということも考えられる。特
開平2−296565号公報においては、平面カムでは
あるが傾斜の変化による技術が開示される。ここで、も
し、カムの傾斜を位置によって変化させるといった手法
で、本発明に従ったブレーキ制御アクチュエータにもの
と同じような狙いを実現しようとするとき、その場合、
ホイールシリンダ側の容積が小さな位置ではカムの傾斜
を小さく、容積が大きな位置ではカムの傾斜が大きくな
るようにするといった方法も考えられなくはない。
【0064】しかしながら、カムの傾斜を変化させる
と、次のような点が問題となる。 (a)即ち、傾斜を小さくすると、トルクから推力への
変換は大きくなるが、その効率が傾斜と摩擦係数に依存
するため同時に低下してしまう。これに対し、実施例の
ように、非円形ギア37d,37e組による構成による
ときは、歯車では効率は大きく変化しないので、本アク
チュエータによるものの方が得られる効果は大きい。 (b)また、第1実施例の如く、カムフォロア9bをピ
ストン6aが容積を拡大する方向にカム8aが回転した
場合には回転しない構造のものとして本アクチュエータ
は実施できるものであるところ、かかる構成は、カム8
aの傾斜と摩擦係数によってピストン6aの保持を行う
ものであるが、これに対し、傾斜が位置によって変化す
る構成のものであると摩擦係数の設定も非常に難しくな
る。故に、カムの傾斜が変化したものでは、かかる構成
の場合にはには適用が難しく、汎用性も低いものとな
る。従って、カムの傾斜を位置によって変化させる方法
のものに比べても、本発明に従ったアクチュエータの方
がメリットは大きいものである。
【0065】次に、本発明の更に他の実施例を説明す
る。以下の各例は、流体路に配置される被制御体を回転
部材を介して作動させるものにおいて、モータ及び該モ
ータの回転を減速する機構を含む駆動源でその回転部材
を駆動する場合に、同様に、その減速機構の一部に、回
転部材の回転角度に応じて減速比が変化する機構を設け
るものであって、ここでは、具体的には、車両のスロッ
トル制御装置におけるアクチュエータに適用してある。
かかる態様によるものは、下記のような点の考察結果に
基づくものであり、この点を図11以下を参照し、説明
する。
【0066】図11は、車両におけるクルーズコントロ
ール装置の構成を示す。具体的には、これは、ワイヤを
介してスロットルバルブを駆動する装置で、アクセルペ
ダルから足を放しても指定した速度で走行する装置(定
速走行装置)に用いるアクチュエータであり、そのギア
関係や周辺機構が表されている。
【0067】図において、駆動モータ201−1の軸に
形成されたウォーム201−2によって、ウォームホイ
ール201−3が駆動れさる。ウォームホイール201
−3の内側には電磁クラッチ201−4があり、電流を
与えることで円形のピニオンギア201−5とウォーム
ホイール201−3を締結する。ピニオンギア201−
5は、やはり円形のファイナルギア201−6とかみ合
っており、ファイナルギア201−6はワイヤープーリ
ー201−7(コントロールアーム相当部材)に固定さ
れている。ワイヤープーリー201−7にはワイヤー2
01−8が取り付けられ、スロットルバルブ201−9
に取り付けられたプーリーに固定される。
【0068】スロットルバルブ201−9側のプーリー
は2連になっており、上記ワイヤー201−8は一方の
プーリー201−10に固定され、もう一方のプーリー
201−11にアクセルペダル(不図示)に取り付けら
れたワイヤー201−12が固定されている。スロット
ルバルブ201−9は円盤であり、チャンバ201−1
3の中に収められ、軸回りに回転することでチャンバ2
01−13との隙間を調節するよう作動し、空気の流量
を増減する。また、これは、リターンスプリング201
−14によって閉じ方向に付勢されている。なお、スロ
ットルバルブは、その構成上90°以上は駆動される必
要がないため、ファイナルギア部は、図11の如く完全
な円ではなく、円形ではあるがその一部の扇形となって
いる。駆動モータ201−1及び電磁クラッチ201−
4は、図示されないコントローラ(制御回路)により制
御される。
【0069】上記構成の場合における作動は、運転者が
高速道路など車速変化の少ない状況において、動作開始
をボタンなどから、コントローラ(制御回路)に指令を
送ることで始まる。この場合、コントローラはまず、電
磁クラッチ201−4に通電し、ピニオンギア201−
5とウォームホイール201−3を締結する。更に、駆
動モータ201−1に通電してウォーム201−2を回
転させ、ウォームホィール201−3,ピニオンギア2
01−5,ファイナルギア201−6によってその回転
を減速し、ワイヤープーリー201−7を駆動する。こ
のことでワイヤー201−8を引っ張り、空気流入通路
のスロットルバルブ201−9を駆動する。
【0070】スロットルバルブ201−9は、通常、ア
クセスペダルを離すとリターンスプリング201−14
によって閉じる構造であるが、この装置の動作によって
運転者がアクセスペダルから足を離しても車両は走行し
続ける。そして、コントローラが車両の速度の変化を見
て駆動モータ201−1を正転・逆転させることでワイ
ヤー201−8の引っ張り具合いを調節し、車速が一定
になるように、制御する。コントローラや駆動モータ2
01−1に異常が生じた場合、及び制御を行わない場合
は、電磁クラッチ201−4の通電を止め、ピニオンギ
ア201−5とウォームホィール201−3を切り放
す。すると、ワイヤー201−8は自由に移動できるよ
うになるので、スロットルバルブ201−9はアクセル
ペダルに取り付けられたワイヤー201−12によって
駆動されるようになる。
【0071】図12〜14に示すものは、ワイヤーを介
さずにスロットルバルブを駆動する装置であり、アクセ
ルペダルの動きを電気的に検出し、その信号を基にモー
タを制御することでスロットルバルブを駆動するもので
ある。なお、この場合、電磁クラッチなどを用いて安全
性と最低限の走行機能を確保する構造が備わっている
が、ここでは、主にとしてスロットル制御アクチュエー
タに関係する駆動に関わる部分のみが表されている。
【0072】図示のように、この場合のものでは、駆動
モータ203−1とギア列203−2〜203−5、ス
ロットルバルブ203−6、チャンバ203−7、及び
リターンスプリング203−8を備える。駆動モータ2
03−1は、その軸端に第1ピニオン203−2が形成
され、不図示のコントローラより与えられる電流によっ
て第1ピニオン203−2を回転させる。第1ピニオン
203−2は第1ギア203−3とかみ合い、第1ギア
203−3と一体で形成された円形の第2ピニオン20
3−4は、円形の第2ギア203−5とかみ合う。
【0073】第2ギア203−5を取り付けた軸203
−6aは、スロットルチャンバ203−7を貫通し、ス
ロットルバルブ203−6と締結され、更に、該軸の反
対側の端にリターンスプリング203−8が設けられて
いる。スロットルバルブ203−6は、同様に、円盤状
のものであり、図14に示す如くにスロットルチャンバ
203−7の円筒状の通路内を動いて空気流量を調節す
る。リターンスプリング203−8は、スロットルバル
ブ203−6をスロットルチャンバ203−7の円筒状
通路を閉じる方向に付勢している。なお、前記と同様
に、スロットルバルブ203−6は、その構成上90°
以上は駆動される必要がないため、第2ギア203−5
は、図13に示すように、全周にわたるような完全な円
ではなく、円形ではあるがその一部の扇形となってい
る。
【0074】この場合の作動については、コントローラ
より与えられる電流によって、駆動モータ203−1が
正・逆転するのは同じである。このとき、図13で見て
モータ203−1が図中CCW方向(反時計方向)に回
転すれば、ギア列(203−2〜203−5)によって
増幅されたトルクがスロットルバルブ203−6をCC
W方向に回転させ、通路を開いてより多くの空気を送る
動作を行い(図14参照)、逆の方向に回転させれば、
通路を閉じて空気流量を減らす動作を行う。
【0075】図11(比較例2)や図12〜14(比較
例3)の装置の減速比は、モータの発生するトルクとス
ロットルバルブを駆動するために必要なトルクの比より
決められるが、これらのスロットル駆動装置では、駆動
に必要なトルクはスロットルに取り付けられたリターン
スプリングによってほとんど決まる。従って、ほぼバル
ブが閉じた状態ではスプリングが伸びている(反力小)
ので必要トルクは小さいが、開くに従ってスプリングも
縮められる(反力大)ので必要トルクが大きくなる。し
かるに、比較例のスロットル駆動装置では、ギア列での
ギア比が一定の構造であり、このため、ギア比ついて
は、最大開度で必要なトルクを発生する値に設定され
る。従って、低い開度の場合は、必要以上の高いギア比
によってバルブの開閉速度が制限され、応答性の悪いも
のとなる。このことより、制御性が悪い、あるいは制御
性を良くするためには大出力のモータが必要になる、な
どし、大出力のモータを用いると、この種アクチュエー
タにおいて、やはり、装置が大きくなったり、使用モー
タのコストが高くなったりする。
【0076】また一方で、スロットルバルブは円筒状の
通路内を円形のバルブ体が傾斜して開度を調節する構造
であるため、回転角度に対する空気流量の変化が、小開
度(バルブ開度小)では大きいが、大開度(バルブ開度
大)では小さくなるという非線形な特性を有する。従っ
て、ギア比が一定である比較例のスロットル制御アクチ
ュエータの場合、微少開度の制御が必要となるアイドル
回転数から大開度が必要な急加速時までを同じように制
御することは非常に困難であり、微少開度制御には別の
バルブを設けるなどの対策が必要であり、その分、コス
ト高のものとなる。
【0077】そこで、以下の例では、車両のエンジンへ
の空気流量を調節するスロットルブルブの制御を行う出
力軸の回転角度に応じてギア比が一意的に変化する構造
を採用しようというものであり、上述の小開度でギア比
が高く応答性が悪いという点に対しては、開度が大きく
なるに従ってギア比を高める構造を採用し、それぞれの
開度で必要十分なトルクでバルブを駆動できる構成とす
るものである。好ましくはまた、バルブ開度の非線形性
に対しては、モータの回転角度とバルブの空気流量が線
形な関係になるギア比に設定し、小開度から大開度ま
で、モータの回転に対する空気流量の精度が変化しない
ようにする。
【0078】図6にその構成を示す本実施例(第3実施
例)は、この一例であり、定速走行装置用アクチュエー
タに適用した場合である。本実施例は、ブレーキ制御ア
クチュエータがスロットル制御アクチュエータへ、また
前記図1,5の作動ピストン、軸、カムフォロア、円筒
カムの系が次のような構成要素へ代えられている点で
は、第1,第2実施例の変形例にも相当する。
【0079】本実施例の基本的な構成については、出力
軸がプーリーで形成され、スロットルバルブとスロット
ル制御装置との間をワイヤーで結ぶ形態の図11の場合
と同様であってよく、図示例ではそうしてある。図6に
おいて、駆動モータ52−1は、図示しないコントロー
ラから与えられる電流によって正転逆転する電動モータ
であり、ウォーム52−2を駆動する。駆動モータ52
−1によって駆動されるウォーム52−2は、ウォーム
ホイール52−3を回転させる。これによって回転させ
られるウォームホイール52−3は、内部に電磁クラッ
チ52−4を備える。
【0080】駆動ギア52−5及びこれとかみ合う従動
ギア52−6は、駆動モータ52−1の回転を減速しワ
イヤープーリー52−7を回転させるギア列の一部であ
るが、ここでは、プーリー52−7の回転角度に応じて
減速比を変化させるべく図示の如くにピッチ円が角度に
応じて変化するような円形でない歯車対によって構成し
てある。これは、基本的な考え方については、前記実施
例で示した非円形ギア組によるものと同様のものであ
り、それぞれ円形でない歯車からなる駆動側非円形ギ
ア、従動側非円形ギアを構成する。
【0081】電磁クラッチ52−4は、コントローラの
制御の下、電流によって駆動され、駆動モータ52−1
の回転を減速する減速機構中のかかる駆動ギア52−5
(駆動側非円形ギア)と上記ウォームホイール52−3
を締結したり切り放したりする。電流が与えられたとき
は、両者を締結し、ウォームホイール52−3と駆動ギ
ア52−5が一体で回転するが、電流を切ると両者は切
り放され、各々別に回転できる。
【0082】上記駆動ギア52−5は上記従動ギア52
−6とのかみ合って、これによりギア比を変化させる。
駆動ギア52−5は軸52−5aに取り付けられ、従動
ギア52−6は、プーリー52−7と一体に軸52−7
aに取り付けてある。ここに、本例では、ギア比は、図
10の特性1に示すように、スロットルバルブ52−9
が全閉になる位置では最小、全開になる位置では最大と
設定し、それぞれの位置で、スロットルバルブ52−9
に設けられたリターンスプリング52−14による反力
を考慮して決める。また、前記実施例と同様、両ギア5
2−5,52−6の軸間距離は常に一定に保たれるよう
に設計されており、このことから両ギア52−5,52
−6は決まった位置でしかかみ合うことができない。更
に、両ギア52−5,52−6は1回転以上することは
できないが、スロットルバルブ制御の本実施例アクチュ
エータにおいては、スロットルバルブ52−9、従って
プーリー52−7が高々90°程度しか回転しないた
め、機能は充分満足する。
【0083】このようにして駆動ギア52−5及び従動
ギア52−6が組み込まれ、ワイヤプーリー52−7は
その従動ギア52−6と一体で回転する。そして、これ
にワイヤー52−8が前記図11と同様にして取り付け
られ、プーリー52−10を介してスロットルバルブ5
2−9を駆動する。本実施例において、トルク発生装置
は、駆動モータ52−1、ウォーム52−2、ウォーム
ホイール52−3、駆動ギア52−5、従動ギア52−
6を含んで構成される。なお、以上のほかの構成要素や
取り付け関係等については、図11の場合と同じであ
り、従って、図6中のプーリー52−11、ワイヤー5
2−12、チャンバ52−13等も、それぞれ図11の
対応要素に該当するものであって、同様のものでよい。
【0084】本実施例の場合の作動は、次のようにな
る。図11の比較例2と同様に、運転者が動作開始をボ
タンなどからコントローラに指令を送ることで動作を開
始させることができる。コントローラは、まず、電磁ク
ラッチ52−4に通電し、駆動ギア52−5とウォーム
ホイール52−3を締結する。更に、駆動モータ52−
1に通電してウォーム52−2を回転させ、ウォームホ
イール52−3、及び駆動ギア52−5,従動ギア52
−6の組によってその回転を減速し、ワイヤープーリー
52−7を駆動する。このことでワイヤー52−8を引
っ張り、スロットルバルブ52−9を駆動するように
し、その開度を必要なものへ制御する。こうして、車速
を指定速度となるように、定速走行制御を実行すること
ができる。
【0085】しかして、かかる制御において、スロット
ルバルブ52−9が閉じ加減の場合は、リターンスプリ
ング52−14の反力が小さいため、スロットルバルブ
52−9を開くためのトルクは小さくてよい。ところ
が、一定減速比の比較例2ではスロットルバルブ全開の
時に必要なトルクを出せるような高いギア比に決めてあ
ったことから、モータが軽負荷で高速で回転しても、そ
のようなギア比で減速される軸に取り付けて回動される
ワイヤープーリー、従ってスロットルバルブの動きは遅
いものとなる。従って、例えば坂が現われたりした場合
に車速が変動したり、また、動作開始ボタンを運転者が
押してすぐにアクセルを放すと、一旦車速が低下してか
ら指定速度になる、などの制御性の低下を生じる場合が
ある。また、この不具合を生じさせないようにするため
には充分な出力のある大きさモータが必要となるため、
コスト高を招く。
【0086】これに対し、本実施例によれば、ワイヤー
52−8の引っ張り具合い、つまりスロットルバルブ5
2−9の開き具合いによってギア比が変化する構造であ
るため、小さなトルクしか必要としない小開度では低い
ギア比、大きなトルクを必要とする大開度では高いギア
比に一意的に変化させることができる(図10、特性
1)。従って、リターンスプリング52−14の特性と
ギア比の関係を一致させることで、モータ52−1を最
大出力点付近で常に回転させることが可能となる。この
考え方は、前記図4で説明したものに準ずる。従って、
スロットルバルブ52−9の応答性が向上、特に小開度
での動作が速くなるため、車速ずれや、動作開始時に一
旦車速が低下するなどの事態も防ぐことができる。そし
て、比較例のように大きな出力のモータでこの不具合を
カバーする必要がなく、小出力モータ52−1で性能を
出すことができるため、コスト低下も可能である。
【0087】このように、応答性が高まることで制御
が容易となり、従って、制御の難しさが原因で生じるコ
スト増、即ち、例えば応答性を確保するための大出力モ
ータの採用などを省くことが可能となり、コストの低下
を図ることができ、前記実施例のものの場合と同様、適
用アクチュエータにつき、前述した(1)と同じような
作用効果が得られる。
【0088】更に、本実施例によっても、前述した
(2)と同様な作用効果が得られ、応答性を高める構成
においては、比較例のギア比一定の構造に比べてバルブ
52−9のフルストロークに対する駆動モータ52−1
の回転角度が減少するため、モータの設計寿命を短くし
てコストを削減することもできる。即ち、小開度側のギ
ア比が比較例の場合より下がるため、スロットルバルブ
52−9のフルストロークに対するモータ52−1の回
転回数(必要回転量)が、本実施例では少なくなる。従
って、アクチュエータのライフに対する使用モータの寿
命(既述のように、主としてブラシの摩耗で決まる)が
相対的に長くなるため、モータの設計寿命を比較例より
短くしてもよいことになる。このことからもコスト低下
が可能である。
【0089】次に、本発明の更に他の実施例(第4実施
例)を図7,10を参照して説明する。本実施例も、前
記第1,第2実施例の変形例にも相当するが、出力軸が
スロットルバルブに直結された形態のスロットル制御ア
クチュエータである点では、第3実施例の変形例にも相
当する。
【0090】本実施例の基本的な構成については、図1
2〜14の場合との対比でいえば、次に述べる如くに図
7に示す駆動ギア(駆動側非円形ギア)56−4、従動
ギア(従動側非円形ギア)56−5が用いられている等
している点以外は、図12,13,14のものと同様で
あってよく、図示例ではそうしてある。なお、本実施例
の説明では、前記図13に相当する図7を代表として示
し、図12,14に相当する図の図示は省略してある。
【0091】以下、要部につき述べるに、図7におい
て、駆動モータ56−1は、コントローラ(不図示)か
ら与えられる電流によって正転・逆転し、第1ピニオン
56−2を駆動し、該第1ピニオン56−2が第1ギア
56−3を回転させる。第1ピニオン56−2とかみ合
って駆動される第1ギア56−3は、軸56−4aによ
り一体で設けられた円形でない歯車の駆動ギア56−4
を回転させる。
【0092】駆動ギア56−4と従動ギア56−5によ
る非円形ギア組の基本構成については、前記第3実施例
に準じており、駆動ギア56−4は、従動ギア56−5
とかみ合って、トルクを伝えるとともに、角度によって
ギア比が変化する構造を実現するが、ここでは、従動ギ
ア56−5は、スロットルバルブ203−6(図12,
14参照)を取り付けてある軸203−6aに直接に取
り付けられている。また、従動ギア56−5は駆動ギア
56−4とかみ合ってギア比を変化させるが、本実施例
にあっては、ギア比の変化傾向は、図10の特性1に示
すように、スロットルバルブ203−6が全閉になる位
置では最小、全開になる位置では最大となるよう設定す
るものとし、それぞれの位置でスロットルバルブ203
−6に設けられたリターンスプリング203−8(図1
2参照)による反力を考慮して決める。従って、減速機
構の減速比は、第3実施例と同じく、バルブ全閉のとき
に低く、全開のときに高くなる。
【0093】なお、両ギア56−4,56−5の軸間距
離は常に一定に保たれるように設計されており、このこ
とから両ギア56−4,56−5は決まった位置でしか
かみ合うことができない点、また、両ギア56−4,5
6−5は1回転以上することはできないが、スロットル
バルブ203−6が最大でも90°程度しか回転しない
ため、機能は満足する点などに関しては、前記第3実施
例で述べたのと同様である。また、スロットルチャンバ
56−7は、前記図12〜14のスロットルチャンバ2
03−7と同様のものであり、内部にスロットルバルブ
203−6を、図7で裏側に当たる位置にリターンスプ
リング203−8を備えることについては、図12〜1
4のアクチュエータの場合と同じでよい。
【0094】本実施例においては、不図示のコントロー
ラはアクセルぺダルの動きを検出して得られる制御入力
に基づきモータ制御を行うものであり、該コントローラ
より与えられる電流によって駆動モータ56−1が正・
逆転する。このとき、図7で見てモータ56−1がCC
W方向(反時計回り方向)に回転すれば、上記駆動ギア
56−4及び従動ギア56−5を一部に含むギア列(5
6−2〜56−5)によって増幅されたトルクがスロッ
トルバルブ203−6を軸203−6aのCCW方向へ
の回動により回転させ、通路を開いてより多くの空気を
送る動作を行い、逆にCW方向に回転させれば、通路を
閉じて空気流量を減らす動作を行うよう、制御が実行さ
れる。このとき、前記第3実施例と同じように、スロッ
トルバルブ203−6が閉じ加減の場合には、リターン
スプリング203−8の反力が小さいため、スロットル
バルブ203−6を開くためのトルクは小さくてよい。
しかるに、図12〜14の比較例3では、スロットルバ
ルブ全開の時に必要なトルクを出せるような高いギア比
に設定してあったため、バルブ開度によらず一律一定の
減速比である結果、モータが軽負荷で高速で回転して
も、制御されるスロットルバルブの動きは遅く、従っ
て、例えば運転者の全閉からの急激なアクセル操作に反
応することができない、などの不具合を生じる可能性が
あり、他方、そのために出力のある大きなモータを用い
るとコストの高いものとなる。
【0095】本実施例によれば、それらの点の両立を図
ることが可能で、スロットルバルブ203−6の開き具
合いによってギア比が変化する構造であるため、小さな
トルクしか必要とない小開度では低いギア比、大きなト
ルクを必要とする大開度では高いギア比に一意的に変化
する(図10、特性1参照)。従って、リターンスプリ
ング203−8の特性とギア比の関係を一致させること
で、モータ56−1を最大出力点付近で常に回転させる
ことも可能となる。従って、スロットルバルブ203−
6の応答性が向上し、たとえ急激なアクセル操作が必要
とされる場面でさえ、これにも追従することができる。
しかも、比較例のように大きな出力のモータで上述した
不具合をカバーする必要がなく、小出力モータで性能を
出すことができるため、コスト低下も可能である。スロ
ットルバルブ制御において、本実施例の直結タイプのア
クチュエータによっても、回動角度に応じてギア比を変
化せしめる構造を採用することで、制御性、応答性を高
められ、空気流量制御が容易なものとなり、制御の難し
さに起因するコストアップも抑えられ、第3実施例で述
べた前述のと同様の作用効果を奏することができ、か
つまた、前述のと同様の作用効果を奏し得る(それぞ
れの該当記載箇所を参照)。
【0096】次に、本発明の更に他の実施例(第5実施
例)を説明する。本実施例は、第4実施例の変形例でも
あり、スロットルバルブが全閉の時に減速比を高く、全
開の時に減速比を低く設定しようというものである。こ
れは、バルブ開度の非線形性に対する対応策として有効
で、特性を線形のものとして、制御を容易として、非線
形領域での別機能部品の追加などを省くことを可能と
し、コストの低下を図ろうという場合等に効果的であ
る。図8は、本実施例に係るスロットル制御アクチュエ
ータの要部構成を示すもので、使用する駆動・従動ギア
部分を示しており、本例では、第4実施例のアクチュエ
ータにおける駆動・従動ギア部分を、図8図示のような
駆動ギア57−4と従動ギア57−5による非円形ギア
組に代えて使用する(図7の駆動ギア56−4、従動ギ
ア56−5を、この図8の駆動ギア(駆動側非円形ギ
ア)57−4、従動ギア(従動側非円形ギア)57−5
に置き換えると本実施例アクチュエータ全体の正面図に
相当する図となる)。以下、本実施例の要部を説明す
る。
【0097】駆動ギア57−4と従動ギア57−5とは
かみ合ってトルクを伝えるとともに、角度によってギア
比が変化する構造を実現する。この場合、本実施例にあ
っては、第4実施例とは逆に、図10の特性2に示すよ
うに、ギア比変化特性は、スロットバルブ203−6
(図12,14参照)が全閉のときには高く、徐々に下
がって全開のときには最低になるような特性のものに設
定にする。このことでスロットルバルブ203−6が全
閉に近い状態では、モータ56−1(図7参照)の回転
に対するバルブ203−6の動きを鈍く、大開度になる
に従って素早くなるようにする。また、大開度でリター
ンスプリング203−8(図12参照)からの反力が最
も大きくなるので、第1ピニオン56−2・第1ギア5
6−2(図7参照)の減速比を含めたトータルなギア比
は、最大開度のとき(=最小の値)を比較例の値に合わ
せる必要がある。なお、他の実施例と同様に、両軸間距
離は一定に設定されており、更に、多回転しなくても機
能は満足しているものとすることができるのも、既に述
べたところである。他の構成については、第4実施例と
同様である。
【0098】本実施例では、基本的な制御、作動は同様
であって、コントローラより与えられる電流によって駆
動モータ56−1(図7参照)を正・逆転回転させ、図
7で見て該モータがCCW方向に回転すれば、ギア列
(56−2,56−3,57−4,57−5)によって
増幅されたトルクが図14中スロットルバルブ203−
6をCCW方向に回転させ、通路を開いてより多くの空
気を送る動作を行い、逆の方向に回転させれば、通路を
閉じて空気流量を減らす動作を行う。しかして、このと
き、例えば、アイドリングをしようとして、エンジンを
600rpm程度に制御しようとすると、空気の流量は
非常に微少なものとなり、全閉付近を微少に制御するこ
とになる。アイドリング状態は無負荷での回転であり、
空気流量の要求制御精度は非常に高い。従って、比較例
3の構成ではモータを小さな角度で精度よく制御しなけ
ればならず、それが困難なためにアイドリングの目的だ
けに別のバルブを設けるなどすることとなる。
【0099】ところが、本実施例では、スロットルバル
ブ全閉付近でギア比が高いため、モータ56−1の回転
角度に対する空気流量の変化がかかる全閉付近では比較
例3に比べて鈍くなる。このため、56−1モータの回
転角度制御による空気流量の制御が容易になり、アイド
リングのための別バルブなどを廃止する構成とし得、コ
ストの低下を図ることができる。
【0100】次に、本発明の更に他の実施例(第6実施
例)を、図9、及び各実施例(第3〜第6実施例)のギ
ア比変化比較を示す図10を参照して説明する。本実施
例は、前記第4実施例の変形例、または、第5実施例の
変形例にも相当するものである。図9は、本実施例に係
るスロットル制御アクチュエータの要部構成を示すもの
であり、図7の場合と同様、使用する駆動・従動ギア部
分を示してある。本例では、第4実施例のアクチュエー
タにおける駆動・従動ギア部分を、図9図示のような駆
動ギア58−4と従動ギア58−5による非円形ギア組
に代えて使用する(図7の駆動ギア56−4、従動ギア
56−5を、この図9の駆動ギア(駆動側非円形ギア)
58−4、従動ギア(従動側非円形ギア)58−5に置
き換えると本実施例アクチュエータ全体の正面図に相当
する図となる)。以下、本実施例の要部を説明する。
【0101】駆動ギア58−4と従動ギア58−5によ
りトルクを伝えるとともに、角度によってギア比が変化
する構造を実現する場合、本実施例では、例えば、各実
施例のギア比変化につき従動ギアの回転角度(スロット
ルバルブ回転角度)とともに表した図10に示すよう
に、ギア比は、スロットルバルブ203−6(図12,
14参照)が全閉のときには高く、その後急激に下がっ
て最低となり、更に全開に向かって再度ギア比が増加す
る構成とする(図10中、特性3参照)。全閉付近のギ
ア比が高い領域は、アイドリング制御などの微少な空気
流量制御に用いる領域のみであり、その一方、微少制御
が必要でなく、かつスロットルバルブ203−6の回転
角度に対する空気流量の変化が敏感でない領域ではリタ
ーンスプリング203−8(図12参照)の設定に合せ
たギア比とするものである。つまり、前記第4実施例と
第5実施例の良いところのみを組み合わせた構成とする
ものである。他の構成については、第4実施例と同様で
ある。
【0102】本実施例アクチュエータの場合の作動は次
のようになる。駆動モータ56−1(図7参照)の正・
逆転駆動で、第1ピニオン56−2,第1ギア56−2
(図7参照),駆動ギア58−4,従動ギア58−5の
ギア列によって増幅されたトルクがスロットルバルブ2
03−6(図12,14参照)を回転させ、空気流量の
制御を行う。ここで、例えばアイドリングをしようとし
て、エンジンを600rpm程度に制御しようとする場
合、更には、アイドリング状態からの急加速(例えば、
前記第4実施例で触れたような運転者のぺダル踏み込み
による急激なアクセル操作)の場合を考えると、本実施
例では、これらに適切に対応できる。
【0103】即ち、第1に、前述のとおりアイドリング
状態は無負荷での回転で空気流量の要求制御精度は非常
に高く、一定減速比の比較例3の構成ではモータを小さ
な角度で精度よく制御しなければならず、それが困難な
ためにアイドリングの目的だけに別のバルブを設けるな
どするとコスト高を招くところ、本実施例では、全閉付
近でギア比が高いため、第5実施例で述べたようにモー
タの回転角度に対する空気流量の変化が全閉付近では比
較例に比べて鈍くなり、よって、モータの回転角度制御
による空気流量の制御が容易となり、アイドリングのた
めの別バルブなど使用しないでも済み、コストの低下を
図ることができる。
【0104】更に第2に、これに加えて次のようなこと
も実現できる。即ち、アイドリングで使用しない領域ま
でスロットルバルブ203−6が開いたら、急激にギア
比が下がるため、モータ56−1の回転に対するスロッ
トルバルブ203−6の動きは非常に敏感になる。その
分応答性が高まり、従って、アイドリング状態からの急
加速でも、スロットルバルブを即座に全開にすることが
でき、前記第4実施例のものと同様にして、このための
大きな出力のモータなどは必要としない構成として実施
することができる。本発明は、このようにして実施する
こともできる。
【0105】上述した第3実施例〜第6実施例に従う態
様のものでは、スロットル制御において、従動ギアの回
転角度に応じてギア比が図10のような所要の特性をも
って変化する構造を採用することで、応答性が高まる、
あるいは要求精度に応じたギア比が設定できるなどの効
果があり、このことから空気流量制御が容易なものとな
る。従ってまた、制御の難しさに起因して生ずるコスト
増の問題、即ち、制御性、応答性等を確保するための大
出力モータの採用や、高要求精度領域での別機能部品の
追加などといったことを省くことが可能となり、その
分、装置の小型化、使用モータの低価格化を図ることが
できる。更に、応答性を高める構成においては、ギア比
一定の構造に比べてスロットルバルブのフルストローク
に対するモータの回転量が減少するため、モータの耐久
性向上が図れ、あるいはモータの設計寿命を短くしてそ
の分によるコスト低減も可能となる。
【0106】なお、本発明は、以上の実施例に限定され
るものではない。例えば、実施例では、車両のABS機
能のブレーキ制御アクチュエータ、スロットル制御アク
チュエータに適用した例を示したが、本発明は、これに
限らず、その他の流体圧アクチュエータとして広く適用
可能である。また、ブレーキシステムに使用する場合で
も、制動力対応圧を発生する圧力源をマスターシリンダ
に代えて備え、該圧力源からの圧を元圧とするシステム
でもよい。
【0107】以上の実施例等に記載された内容は、以下
の発明として捉えることもできる。 〔1〕 車両のブレーキマスターシリンダとホイールシ
リンダの間に介挿され、車両から検出される走行状態に
応じてマスターシリンダとホイールシリンダの間を遮断
する通路遮断手段と、遮断されたホイールシリンダ側の
容積を変化させる容積変化手段とを有し、容積変化手段
は回転モータにより駆動されるカムと、該カムの面を倣
い動作することで直進駆動される軸部材と、該軸部材に
当接するピストンと、該ピストンを内蔵するシリンダで
構成され、前記軸部材とカムとの接触面にカムフォロア
を設けたブレーキ制御アクチュエータであって、前記容
積変化手段を駆動するモータとカムの間に、カムの回転
角度に伴って減速比が一意的に変化するような減速比変
化手段(減速比変化機構,減速比変化構造)を設けてな
る、ことを特徴とするブレーキ制御アクチュエータ。 〔2〕 前記カムフォロアは、前記ピストンが容積を拡
大する方向にカムが回転した場合には回転しない構造と
した、ことを特徴とする、上記〔1〕項記載のブレーキ
制御アクチュエータ。
【0108】〔3〕 前記減速比変化手段は、カムの回
転角度に伴って2つの歯車のピッチ円が徐々に変化する
ような、円形でない歯車を用いたものである、ことを特
徴とする、上記〔1〕項、または〔2〕項記載のブレー
キ制御アクチュエータ。 〔4〕 前記減速比変化手段は、前記ホイールシリンダ
側の容積を最小にする位置においてモータ回転/カム回
転の減速比を最大とし、前記ホイールシリンダの容積を
最大にする位置においてその減速比を最小とするように
設定したことを特徴とする、上記〔3〕項記載のブレー
キ制御アクチュエータ。
【0109】〔5〕 モータと、該モータの回転を減速
する減速機構と、減速された軸に、車両のエンジンへの
空気流量を調節するスロットルブルブの制御を行う出力
軸を備えるスロットル制御装置であって、前記減速機構
の一部に、出力軸の回転角度に応じて減速比が一意的に
変化する減速比変化手段(減速比変化機構,減速比変化
構造)を設けてなる、ことを特徴とするスロットル制御
装置。 〔6〕 前記の出力軸の回転角度に応じて減速比が一意
的的に変化する減速比変化手段は、ピッチ円が角度に応
じて変化するような円形でない歯車対によって構成され
る、ことを特徴とする上記〔5〕項記載のスロットル制
御装置。 〔7〕 前記出力軸はプーリーで形成され、スロットル
バルブとスロットル制御装置との間をワイヤで結ぶ形態
である、ことを特徴とする上記〔5〕項、または〔6〕
項記載のスロットル制御装置。
【0110】〔8〕 前記の減速比の一意的な変化は、
スロットルバルブが全閉の時に低く、スロットルバルブ
が全開の時に高く設定された、ことを特徴とする上記
〔5〕項、〔6〕項、または〔7〕項記載のスロットル
制御装置。
〔9〕 前記出力軸は、スロットルバルブに直結された
形態である、ことを特徴とする上記〔5〕項、または
〔6〕項記載のスロットル制御装置。 〔10〕 前記の減速比の一意的な変化は、スロットル
バルブが全閉の時に低く、スロットルバルブが全開の時
に高く設定された、ことを特徴とする上記
〔9〕項記載
のスロットル制御装置。 〔11〕 前記の減速比の一意的な変化は、スロットル
バルブが全閉の時に高く、スロットルバルブが全開の時
に高く設定された、ことを特徴とする上記
〔9〕項記載
のスロットル制御装置。 〔12〕 前記の減速比の一意的な変化は、スロットル
バルブが全閉の時に高く、その後一旦低くなり、全開の
時に再度高く設定された、ことを特徴とする上記
〔9〕
項記載のスロットル制御装置。
【0111】
【発明の効果】本発明によれば、流体路に配置される被
制御体を、回転部材乃至は出力回転部を介して作動させ
る改良されたアクチュエータを提供でき、その回転角度
に応じて減速比が変化する減速比変化機構を組み込み、
円形ギアを用いて回転角度によらず一律減速比一定の構
造のものに対し、制御性、応答性等の要求性能の面と、
小型化、低価格化等のコスト面との両立を適切に図るこ
とを実現することができる。大なる減速比が必要な制御
状態ならそれを高めて必要な充分な減速比を確保し、か
つ、他方では、それより減速比を下げその回転部材乃至
出力回転部の回転はこれを高める状態とし得て、応答性
を高めて制御を容易なものにしつつ、使用モータはこれ
を最大出力点付近で動作せしめうるようにする、といっ
たことにも容易に対応可能であって、かかる要求に適切
に応えられる。
【0112】適用するアクチュエータが特にブレーキ制
御アクチュエータの場合は、好ましくは、マスターシリ
ンダとホイールシリンダの間を遮断する遮断手段と、斯
く遮断されるホイールシリンダ側の容積を変化させる容
積変化手段とを備え、該容積変化手段が、モータにより
駆動されるカムと、該カムの面をカムフォロアを介し倣
い動作することで直進駆動される軸部材と、該軸部材に
当接する容積可変制御用のピストンとを有し、かつ、減
速比変化機構は、そのモータと当該容積変化手段のカム
の間に、当該カムの回転角度に伴って減速比が変化する
ような機構として設ける構成として、本発明は好適に実
施できる。この場合は、カムの位置に応じ、圧力変化の
ためのそのホイールシリンダ側の容積の拡縮変化が行わ
れる一方、これに伴い、その容積小から容積大の変化の
状態に適切に合わせたものとしてその減速比の高低をも
同時に変化せしめることを容易に実現でき、構成簡単で
効果的なものとなる。例えば先の提案のものとの比較し
ても、駆動源となるモータとして必要な性能のものを、
より有効かつ効果的に使用し、大きなトルクを要求され
るときはそれに応じた減速比を得、大きなトルクが必要
とされないとき、減速比はこれを小さなものとしてカム
回転を高回転にし得、もって制御を容易なものにするこ
とも容易に実現でき、かつまた、減速比一定の場合に比
べ、相対的に作動に必要なモータの回転量を減少せしめ
られる結果、モータの耐久性向上、あるいはモータの耐
久寿命低下分によるコスト低減を図ることを実現するこ
とも可能となる。
【0113】また、この場合、カムフォロアを一方向し
か回転しないカムフォロアとして、本発明は実施でき、
同様に上記を実現することが可能である。かかる態様を
採用するときは、先の提案のものと同様の利点も得て、
電磁ブレーキなど別途部品の追加、使用せずに実施で
き、かつ容積の縮小時には高効率でピストンを作動せし
め得て、その分、上記に加え、使用モータにつき更にな
るモータの小型化、低価格化を促進し、一層経済的なも
のとなる。もっとも、カムフォロアを使用する場合であ
っても、本発明は、カムフォロアはこれを双方向に回転
可能なものとしても実施可能である。
【0114】また、好ましくは、減速比変化機構は、カ
ムの回転角度に伴って2つの歯車のピッチ円が変化する
ような、円形でない歯車対を用いた構成のものとして、
本発明は実施でき、非円形歯車組により減速比が一意的
に変化する減速比変化構造をもって、同様に上記を実現
することができる。また、減速比変化機構は、ホイール
シリンダ側の容積を最小にする位置においてモータ回転
/カム回転の減速比を高くし、ホイールシリンダの容積
を最大にする位置において該減速比を低くするように設
定して、本発明は実施でき、同様に上記を実現すること
ができる。この場合は、ホイールシリンダ側の容積が最
小になる位置においては減速比を高く、容積が大きくな
るに従って減速比を低くする構造をモータとカムの間に
設けることで、圧力が高くなり得る容積最小位置におい
ては、その高い圧力に対応した充分な減速比を確保し、
かつ圧力が高くなり得ない容積が拡大した位置において
は、減速比を下げてカムの回転を高める構成として、モ
ータを常に最大出力点付近で動作するようにでき、よっ
て、必要最低限の出力のモータで性能を達成することも
でき、装置の小型化・モータの低価格化を図ることが可
能となるとともに、圧力の高い状態からフル減圧までの
必要な制御動作範囲に対するモータ回転量の減少も図
れ、上記したと同様の作用効果をもたらすものとなり、
特に車輪のABS制御等のアクチュエータに好適なもの
となる。
【0115】適用するアクチュエータが特にスロットル
制御アクチュエータの場合は、好ましくは、出力回転部
が、車両のエンジンへの空気流量を調節するスロットル
バルブの制御を行うよう構成されたものとして、本発明
は好適に実施でき、同様に上記のことを実現することを
可能ならしめるものである。また、この場合において
も、好ましくは、当該制御を行う出力回転部の回転角度
に応じて減速比が変化する機構は、同様に、非円形歯車
組を用いる構成とでき、減速比が一意的に変化する減速
比変化構造をもって、本発明は実施でき、同様に上記を
実現することが可能である。
【0116】スロットルバルブの制御を行う出力回転部
の回転角度に応じて減速比が変化する構造の場合は、例
えば小開度でギア比の高い場合の応答性の不十分さを解
消させうるよう、バルブ開度が大きくなるに従ってギア
比を高める構造を採用し、それぞれの開度で必要十分な
トルクでバルブを駆動できる構成として、あるいは小開
度から大開度までモータの回転に対する空気流量の精度
が変化しないよう、ギア比を設定する構成として、それ
らの要求に容易に応えられるスロットル制御アクチュエ
ータを実現することが可能である。よって、スロットル
制御に吸入空気量制御に際し、応答性が高まる、あるい
は、空気流量における要求精度に応じたギア比が設定で
きる、などの効果が得られ、空気流量制御が容易なもの
となり、従ってまた、制御の難しさに起因する応答性を
確保するための大出力モータの採用、高要求精度領域で
の別機能部品の追加などを省くことが可能で、コストの
低下を図ることを実現することも可能となる。また、ギ
ア比一定の場合のものに比し、スロットルバルブのフル
ストロークに対するモータの回転量の減少も図れ、上記
したと同様の作用効果をもたらすことも可能である。ス
ロットル制御アクチュエータの場合でも、この点からの
コスト削減、低下を実現することもできる。
【0117】また、出力回転部については、好適例で
は、プーリーを用いてスロットルバルブとスロットル制
御装置との間をワイヤーで結ぶ形態、またはスロットル
バルブに直結された形態であり、本発明はいずれでも実
施でき、同様に上記を実現することができる。好ましく
は、前者の形態において、減速比の変化を、スロットル
バルブが全閉のときに低く全開のときに高くなるように
設定すると、車両の定速走行装置の場合でも、特に小開
度での動作が早くなる結果、車速ずれや、動作開始時の
車速の低下を回避するのに効果的なものとなる。
【0118】また、後者の形態にあっては、減速比の変
化は、スロットルバルブが全閉のときに低く全開のとき
に高くなるようにするか、全閉のときに高く全開のとき
に低くなるようにするか、または全閉のときに高く、全
閉と全開の間の開度のとき一旦低くなり、全開のときに
再度高くなるような傾向で設定するかの、いずれでも実
施可能である。この場合において、その第1の態様で
は、全閉からの急激な運転者のアクセル操作にも効果的
に追従可能であり、その第2の態様では、全閉近傍では
モータ回転に対するバルブの動きを鈍くし得る結果、モ
ータの回転角度制御による空気流量のきめ細かな制御を
容易にし得てエンジンアイドリング回転数制御にも対応
可能であり、また、その第3の態様にあっては、それら
第1,第2の態様の長所を併せ有するものを実現するこ
とが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例(第1実施例)の構成を示す
図である。
【図2】適用できるワンウェイクラッチ機構の一例の説
明図である。
【図3】適用できる非円形ギア組(非円形歯車対)の一
例の詳細の説明に供する図(図1のB方向から見た図)
である。
【図4】モータの性能線図、並びに動作の様子の説明図
である。
【図5】本発明の他の実施例(第2実施例)の構成を示
す図である。
【図6】本発明の更に他の実施例(第3実施例)の構成
を示す図である。
【図7】同じく、本発明の更に他の実施例(第4実施
例)の構成を示す図である。
【図8】同じく、本発明の更に他の実施例(第5実施
例)に係る要部(ギア部分)の構成を示す図である。
【図9】同じく、本発明の更に他の実施例(第6実施
例)に係る要部(ギア部分)の構成を示す図である。
【図10】実施例のギア比変化比較の一例を示す図であ
る。
【図11】比較例として示す、流体制御アクチュエータ
の構成図(定速走行装置とその周辺機器の説明にも供す
る図)である。
【図12】同じく、他の比較例として示す、アクチュエ
ータ(スロットル制御アクチュエータ)の構成図(平面
図)である。
【図13】同比較例における正面図である。
【図14】同比較例におけるチャンバー断面の様子を示
す図である。
【符号の説明】
1 ブレーキ操作部 1a ブレーキぺダル 1b ブースタ 1c マスターシリンダ 2 液圧配管 3 ホイールシリンダ 4 カット弁 4a リターンスプリング 4b ボール 4c バルブシート 4d ポート 5 制御シリンダ部 5a シリンダ 5b ポート 6 制御ピストン部 6a ピストン 6b プッシュピン(ロッド) 6c シール部 7 トルク発生装置 7a モータ 7b ピニオン 7c ギア 7d 駆動側非円形ギア 7e 従動側非円形ギア 7f ベアリング 7g 軸 7i 電動ブレーキ 8 円筒カム部 8a カム 8b カム端面 8c ベアリング 8d 軸 9 軸部 9a 軸 9b カムフォロア 9b′ カムフォロア 9c ガイド 10 ハウジング 10a ボディ 10b レール部 11 ベース 15 ブレーキディスク 16 液路(液圧配管) 52−1 駆動モータ 52−2 ウォーム 52−3 ウォームホイール 52−4 電磁クラッチ 52−5 駆動ギア(駆動側非円形ギア) 52−5a 軸 52−6 従動ギア(従動側非円形ギア) 52−7 ワイヤープーリー 52−7a 軸 52−8 ワイヤー 52−9 スロットルバルブ 52−10 プーリー 52−11 プーリー 52−12 ワイヤー 52−13 チャンバ 52−14 リターンスプリング 56−1 駆動モータ 56−2 第1ピニオン 56−3 第1ギア 56−4 駆動ギア(駆動側非円形ギア) 56−4a 軸 56−5 従動ギア(従動側非円形ギア) 56−6a 軸 56−7 スロットルチャンバ 57−4 駆動ギア(駆動側非円形ギア) 57−5 従動ギア(従動側非円形ギア) 58−4 駆動ギア(駆動側非円形ギア) 58−5 従動ギア(従動側非円形ギア) 101 内輪 102 ワンウェイ歯形部 103 針状ころ 104 ワンウェイ歯形部 105 保持器 106 センターピン 107 両爪部材 108 ピン

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 流体路に配置される被制御体を回転部材
    を介して作動させるよう構成されたアクチュエータであ
    って、 前記回転部材の駆動源となるモータを備えるとともに、 該モータと前記回転部材との間に、当該回転部材の回転
    角度に応じて減速比が変化する減速比変化機構を具備さ
    せてなる、 ことを特徴とする流体圧アクチュエータ。
  2. 【請求項2】 ブレーキ制御アクチュエータであって、 前記被制御体を回転部材を介して作動させる系は、マス
    ターシリンダとホイールシリンダの間を遮断する遮断手
    段と、斯く遮断されるホイールシリンダ側の容積を変化
    させる容積変化手段とを備え、 該容積変化手段は、前記モータにより駆動されるカム
    と、該カムの面をカムフォロアを介し倣い動作すること
    で直進駆動される軸部材と、該軸部材に当接する容積可
    変制御用のピストンとを有し、 前記減速比変化機構が前記モータと当該容積変化手段の
    カムの間に設けられ、当該カムの回転角度に伴って減速
    比が変化するように構成されてなる、 ことを特徴とする請求項1記載の流体圧アクチュエー
    タ。
  3. 【請求項3】 前記カムフォロアは、前記ピストンが容
    積を拡大する方向にカムが回転する場合には回転しない
    よう構成してなる、 ことを特徴としたブレーキ制御アクチュエータである、
    請求項2記載の流体圧アクチュエータ。
  4. 【請求項4】 前記減速比変化機構は、2つの歯車のピ
    ッチ円が回転角度に応じて変化するような、円形でない
    歯車対を用いて構成してなる、 ことを特徴としたブレーキ制御アクチュエータである、
    請求項1、請求項2、または請求項3記載の流体圧アク
    チュエータ。
  5. 【請求項5】 前記減速比変化機構は、前記ホイールシ
    リンダ側の容積を最小にする位置においてモータ回転/
    カム回転の減速比を高くし、前記ホイールシリンダの容
    積を最大にする位置において該減速比を低くするよう
    に、設定してなる、 ことを特徴としたブレーキ制御アクチュエータである、
    請求項2、請求項3、または請求項4記載の流体圧アク
    チュエータ。
  6. 【請求項6】 流体路に配置される被制御体を、モータ
    の回転を減速する減速機構により減速される出力回転部
    を介して作動させるよう構成されたアクチュエータであ
    って、 前記減速機構の一部に、前記出力回転部の回転角度に応
    じて減速比が変化する減速比変化機構を設けてなる、 ことを特徴とする流体圧アクチュエータ。
  7. 【請求項7】 前記出力回転部が、車両のエンジンへの
    空気流量を調節するスロットルバルブの制御を行うよう
    構成されてなる、 ことを特徴とする請求項6記載の流体圧アクチュエー
    タ。
  8. 【請求項8】 前記減速比変化機構は、2つの歯車のピ
    ッチ円が回転角度に応じて変化するような、円形でない
    歯車対を用いたものである、 ことを特徴とする請求項6、または請求項7記載の流体
    圧アクチュエータ。
  9. 【請求項9】 前記出力回転部は、プーリーを用いて前
    記スロットルバルブとスロットル制御装置との間をワイ
    ヤーで結ぶ形態をもって構成してなる、 ことを特徴としたスロットル制御アクチュエータであ
    る、請求項7、または請求項8記載の流体圧アクチュエ
    ータ。
  10. 【請求項10】 前記減速比変化機構による減速比の変
    化は、前記スロットルバルブが全閉のときに低く、全開
    のときに高くなるように、設定してなる、 ことを特徴としたスロットル制御アクチュエータであ
    る、請求項7、請求項8、または請求項9記載の流体圧
    アクチュエータ。
  11. 【請求項11】 前記出力回転部は、前記スロットルバ
    ルブに直結された形態をもって構成してなる、 ことを特徴としたスロットル制御アクチュエータであ
    る、請求項7、または請求項8記載の流体圧アクチュエ
    ータ。
  12. 【請求項12】 前記減速比変化機構による減速比の変
    化は、前記スロットルバルブが全閉のときに低く、全開
    のときに高くなるように、設定してなる、 ことを特徴としたスロットル制御アクチュエータであ
    る、請求項11記載の流体圧アクチュエータ。
  13. 【請求項13】 前記減速比変化機構による減速比の変
    化は、前記スロットルバルブが全閉のときに高く、全開
    のときに低くなるように、設定してなる、 ことを特徴としたスロットル制御アクチュエータであ
    る、請求項7、請求項8、または請求項11記載の流体
    圧アクチュエータ。
  14. 【請求項14】 前記減速比変化機構による減速比の変
    化は、前記スロットルバルブが全閉のときに高く、全閉
    と全開の間の開度のとき一旦低くなり、全開のときに再
    度高くなるような傾向で設定されている、 ことを特徴としたスロットル制御アクチュエータであ
    る、請求項7、請求項8、または請求項11記載の流体
    圧アクチュエータ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN103644162A (zh) * 2013-11-18 2014-03-19 苏州蓝王机床工具科技有限公司 一种带制动装置的液压马达

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