JP2005326014A - 駐車ブレーキ組立体 - Google Patents

Abstract

【課題】車両用駐車ブレーキを掛けるコンパクトで信頼でき低価格の方法を提供する。
【解決手段】空気式アクチュエータ１５によって供給された力を増幅し、その力をブレーキパッド２５に伝達する作動シャフト１４を備える空気圧式ディスクブレーキ８用駐車ブレーキ組立体であって、前記作動シャフトは１つの軸の周りを制動力が加えられていない静止位置と制動力が加えられた作動位置との間で回動可能であり、作動シャフトを作動位置に保持しそれによって駐車ブレーキを掛けるために組立体の相補的なラッチ５２によって選択的に係合可能な所定形状部が作動シャフト上に設けられる駐車ブレーキ組立体。
【選択図】図１

Description

本発明は、駐車ブレーキ組立体に関する。より詳細には、本発明は、空気圧式ディスクブレーキ用駐車ブレーキ組立体に関する。

一般に、空気圧式ディスクブレーキは、トラックやバスのブレーキ用など大型車両の適用分野で用いられる。一般に、このようなブレーキは、以下のように動作する。
加圧空気が、空気室のダイアフラムの裏側に導入され、それによってプッシュロッド中に負荷が発生する。プッシュロッドによって、回動可能に取り付けられた作動シャフトに力が加えられ、それによって作動シャフトが回転する。偏心動作によって増幅された力が、１つ又は複数のタペット組立体に加えられ、それがブレーキパッドをブレーキロータに向かって進ませ、それによってブレーキロータ上にクランプ効果が生じ、その結果、タペットに接触しているパッドとロータの反対側の面に取り付けられている別のブレーキパッドとの間で生じる摩擦によりロータの回転を遅らせる。

危険防止のための法規を順守するためには、空気圧式ブレーキを備えた車両を駐車したとき、空気が偶発的に漏れたことによって制動力が除去され、当然の結果をもたらす危険を克服するため、加圧空気を利用せずに機械的にブレーキを掛けなければならない。

従来技術では、上述のタイプの空気圧式ブレーキにおいて、この駐車ブレーキ機能は、加圧空気が存在しないときプッシュロッド上に負荷を発生させるために、空気室の裏側に大型のばねを追加することにより達成される。

常用ブレーキを掛けるための空気室の裏側に取り付けられた、駐車ブレーキを解放するために必要な追加の空気室と共にこのばねを加えると、車両のブレーキシステムの容積、重量、及び費用が増す。

本発明は、従来技術の諸問題を克服し、あるいは少なくとも緩和することを目指すものである。

したがって、本発明の一態様では、空気式アクチュエータによって供給された力を増幅し、この力をブレーキパッドに伝達する作動シャフトを備える空気圧式ディスクブレーキ用駐車ブレーキ組立体を提供し、この作動シャフトは１つの軸線の周りを制動力が加えられない静止位置と制動力が加えられた作動位置との間で回動可能である。作動シャフトを作動位置に保持しそれによって駐車ブレーキを掛けるように組立体の相補的なラッチによって選択的に係合可能である１つの所定形状部（ｆｏｒｍａｔｉｏｎ）が、作動シャフト上に設けられる。

本発明の第２の様態では、静止位置から作動位置に回動可能な作動シャフトを備える空気圧式ディスクブレーキの駐車ブレーキ組立体を働かせる方法を提供し、この方法は、先ず、作動シャフトを作動位置に移動させるために常用ブレーキを掛けるステップと、駐車ブレーキを掛けるために作動シャフトを作動位置に保持できるように、ラッチをブレーキの作動シャフトの相補的な所定形状部と機械的に係合させるステップとを含む。

次に、添付図面を参照して、本発明の実施形態を単なる例によって説明する。

図１及び２を参照すると、ブレーキ８は、ディスク又はロータ（図示せず）をまたぐキャリパハウジングを備えるタイプのものである。一般に、キャリパは、制動すべき車両の車軸（図示せず）上に取り付けられ、車軸に対して長手方向に摺動可能である。ロータは、車両の車輪と共に回転するように取り付けられる。加圧空気を空気室１５のダイアフラム（図示せず）の裏側に導くことによりブレーキ８を作動させる。このダイアフラムは、ブレーキの作動シャフトすなわち「ｏｐシャフト」１４の径方向外側端部でソケット１７と協働するプッシュロッド１１に連結されている。作動シャフト１４の内側端部は、その軸方向両端部に弓形の軸受面４２を有し、軸受面４２は、作動シャフト１４が軸線Ａ−Ａ周りで回転することができるようにキャリパの内側ハウジング部１６の下側端部に配置された軸受座４３に着座している。作動シャフト１４の内側端部には、さらに、回転すると同時に力をローラ２０に伝達させる、作動シャフトの回転軸線Ａ−Ａに対して偏心して位置決めされたポケット４５（図４）が設けられる。ローラ２０は、加えられた負荷を１対の間隔を置いて配置された内側タペット部材２２に伝達する。これらの内側タペット部材２２は、関連した外側タペット部材２４と係合するようにねじ止めされ、このタペット部材２４は、アクチュエータから内側ブレーキパッド２５の裏側に入力負荷を加え、それによってブレーキパッドの摩擦材料を押してロータと摩擦係合させる。

ロータと内側ブレーキパッド２５との間のこの摩擦係合によって反力が発生し、この反力はタペット２２及び２４、ローラ２０、及び内側ハウジング部１６によって支持されている作動シャフト１４によってフィードバックされる。内側ハウジング部１６は、外側ハウジング部（図示せず）に固定されている。したがって、作動シャフト１４の動きによって発生した加えられた力は、最終的に反力手段によって外側ハウジング部分に伝達され、それが外側ブレーキパッド（図示せず）を押してロータと摩擦係合させる。したがって、プッシュロッド１１から加えられた入力の動きの制御下で車両を制動する制動力を発生させるために、ロータは、作動シャフト１４が動くと同時に内側ブレーキパッド２５と外側ブレーキパッドの間で締め付けられる。

周知のように、外側タペット部材２４を内側タペット部材２２に比べて延ばすことによってブレーキパッドの摩擦材料の磨耗を自動的に処理する（ｔａｋｅ ｕｐ）ために、全体的に４０で示す調節機構が設けられている。

図３から５に最も明確に示すように、軸線Ａ−Ａ上に中心を合わせた螺旋形の所定形状部が、作動シャフト１４上の軸受面４２の軸方向で中間に設けられている。基本的に、この所定形状部は、軸Ａ−Ａから径方向外側に延びる螺旋形の当接面６２を備える。

駐車ブレーキ組立体５８のラッチ５２は、電気モータ６０と、小歯車６４、冠歯車６６及び親ねじ装置５６を備える減速歯車組立体とによって軸線Ａ−Ａに平行な方向に駆動可能である。ラッチ５２には、それが面６２の直線上のどの位置で接触しようとも作動シャフト１４の螺旋形の面６２と相補になるように角度を付けた表面６４が設けられる。作動シャフト１４がその休止位置からより多く回動されるほど、表面６２と接触させるためにラッチ５２をより長く駆動する必要がある。当接面６２を軸受面４２相互間に配置することにより、作動シャフト１４を広範囲の角度にわたり係止させることができる。これは、この配置のとき作動シャフトの軸方向長さが増加するので、たとえば所定形状部が作動シャフトの径方向外側端部の近くの位置にある場合よりも軸線Ａ−Ａに対して広い範囲の角度にわたって延長できるからである。

ラッチ５２は、キャリパ内側ハウジング１６の相補面７０上に摺動可能に支持された別の支持面６８を有する。好ましくは、面６８には、面６８と７０との間を潤滑する助けとなる陥凹部７２が設けられる。

ラッチ５２が当接面６２と接触しているとき、作動シャフト１４が回動してその静止位置に戻るのが防止される。
図１、４、及び５に示すように駐車ブレーキを掛け、常用ブレーキを掛けない場合、タペット内側組立体２２によって、ローラ２０に力Ｆ１が加えられるのがわかる。この力に対して軸受面４２の力Ｆ２、及びラッチ５２の面６４と作動シャフト上の当接面６２との間で働く力Ｆ３が働き、それによって作動シャフト１４が図１に示す位置に維持されブレーキが掛けられたままになる。

この実施形態では、力Ｆ３は作動シャフト１４の軸線Ａ−Ａに平行に働く成分を有する。親ねじ５６のねじのリード及びねじ山形状の適切な選択により、この力の成分によって、親ねじの回転が起こらないように、それが加えられた位置で親ねじがラッチ５２と「ロック」するようになる。したがって、ラッチ５２が面６２と接触しているとき、作動シャフト１４は、ラッチによって機械的に定位置に、その位置を維持するための外部の動力源を必要とせずに保持される。

他の実施形態では、歯車６４と６６の代わりに逆駆動不能のウォーム及びホイール式歯車装置を用い、それによって噛み合いを確実にすることができる。別の実施形態では、作動シャフト上の螺旋形の面６２に段差を付けることができ、ラッチ５２にそれに合う段差形状を設け、それによって軸線Ａ−Ａに平行な力成分が発生するのを防ぎ、作動シャフト１４の角度位置が固定される。別の実施形態では、電磁操作の阻止部材を使用してラッチを必要な位置に固定することができる。

図６は、駐車ブレーキ組立体５８の制御システムを概略的に示す。このシステムは、車両の運転席又は乗員室に取り付けられた駐車ブレーキレバー又はスイッチ（図示せず）に装着されたセンサ８２から入力信号を受け取る制御装置８０を備える。制御装置８０は、車両の常用ブレーキを掛けることができるように常用ブレーキの空気弁８４を開閉させる信号を送ることができ、またラッチ５２を展開又は復帰させるために駐車ブレーキ組立体５８のモータ６０を動作させる信号を送ることもできる。好ましくは、制御装置８０はマイクロプロセッサである。この組立体は、また、米国特許出願公開第２００２／０，１１７，８９２号又は欧州特許第０９９５６５９号に開示されたタイプの制御システムと共に用いることもできる。

駐車ブレーキ組立体の動作は以下の通りである。
車両の使用者は、乗員室に取り付けられた駐車ブレーキレバー又は他の入力装置を用いて駐車ブレーキを掛け、それによってセンサ８２に制御装置８０へ信号を送らせる。制御装置８０内のあらかじめプログラムされた論理回路に従って、制御装置は、空気室のダイアフラムの裏側に空気の圧力を導入するために、先ず常用ブレーキの空気弁８４を開く信号を送り、それによりプッシュロッド１１が作動シャフト１４を作動させて常用ブレーキを掛ける。

常用ブレーキを掛けている状態で、次いで、制御装置８０はモータ６０を駆動させる信号を送り、ラッチ５２を進ませて螺旋形の当接面６２に係合させる。ラッチが面６２と接触した後、モータが失速したことによってモータ電流が変化したのを検出したことに応答して、制御装置がモータ６０を停止させる信号を送る。別の実施形態では、ラッチが面６２と接触しているとき、たとえばモータ回転数センサ又は近接センサなど別の検出手段を使用することができる。駐車ブレーキを掛ける前に常用ブレーキを掛けることにより、駐車ブレーキを掛けるのに必要なエネルギーを最小限に抑え、したがって必要とされるモータ６０の寸法も最小限に抑える。

ラッチ５２が面６２と接触して駐車ブレーキが掛かり、制御装置８０が、常用ブレーキを解放することができるように常用ブレーキの空気弁８４を閉じる信号を送る。しかし、駐車ブレーキ組立体５８は働いたままとなる。

車両の使用者が駐車ブレーキを解放したいとき、センサ８２からの入力に応答して、制御装置８０は、モータ６０を後退駆動させる信号を送る前に、先ず常用ブレーキを掛ける信号を送る。この場合も、はじめに常用ブレーキを掛けることにより、面６２と６４との間の摩擦力に打ち勝つためにモータによって供給されなければならない力の総量を最小限に抑え、やはりより小型、安価、かつ低出力のモータを用いることができる。しかし、別の実施形態では、より高い出力のモータを設け、それによって駐車ブレーキを掛けるか、或いは解放する前に常用ブレーキを掛ける必要を無くすことができることが考えられる。

本発明は、信頼性が高くかつ安全でもある車両用駐車ブレーキを掛けるコンパクトで信頼でき低価格の方法を提供することを理解されたい。さらに、本明細書中で使用する「内側」及び「外側」などの用語は説明を容易にするためのものであり、限定するためのものと解釈すべきではないことも理解されたい。

本発明の範囲内で変更を多数加えることができる。たとえば、ボール及びランプ（ｂａｌｌ ａｎｄ ｒａｍｐ）式ブレーキ（回転軸上に中心を合わせた螺旋部分を設けることによって）、及び滑動ロータ式ブレーキなど空気又は電気で作動する様々なタイプのディスクブレーキも同様の原理を応用することができ、また、ラックピニオン装置などラッチを移動させる他の手段も用いることができる。圧縮空気／空気圧式モータ又は油圧モータなど他の手段もラッチを駆動するのに用いることができる。

本発明の一実施形態による、ブレーキ・キャリパの断面図である。 図１の軸２−２に沿った断面図である。 係脱した復帰位置にあるラッチ装置を示す、図１及び２の作動シャフトの斜視図である。 ラッチ装置が係合した展開位置にある、作動シャフトの斜視図である。 ラッチ装置が係合した展開位置にある、作動シャフトの斜視図である。 駐車ブレーキの制御システムの構成図である。

符号の説明

８ ブレーキ １１ プッシュロッド
１４ 作動シャフト １５ 空気室（空気式アクチュエータ）
５２ ラッチ ５６ 親ねじ装置
５８ 駐車ブレーキ組立体 ６０ 電気モータ
６２ 当接面

Claims (14)

1. 空気式アクチュエータ（１５）によって供給された力を増幅し、その力をブレーキパッド（２５）に伝達する作動シャフト（１４）を備える空気圧式ディスクブレーキ（８）用駐車ブレーキ組立体（５８）であって、前記作動シャフトは１つの軸線の周りを制動力が加えられない休止位置と制動力が加えられた作動位置との間で回動可能であり、前記作動シャフトを作動位置に保持し、それにより、駐車ブレーキを掛けるように前記組立体の相補的なラッチ（５２）によって選択的に係合可能な所定形状部（６２）が前記作動シャフト上に設けられる組立体。
2. 前記所定形状部が、前記作動シャフトの当接面（６２）を備える、請求項１に記載の組立体。
3. 前記所定形状部が螺旋形である、請求項１又は２に記載の組立体。
4. 前記所定形状部が段差付である、請求項１から３のいずれかに記載の組立体。
5. 前記ラッチが係合位置と非係合位置との間で直線的に移動可能である、請求項１から４のいずれかに記載の組立体。
6. 前記直線移動が親ねじ装置（５６）によってもたらされる、請求項５に記載の組立体。
7. 前記親ねじは、前記ラッチと前記所定形状部との間の接触によって後退駆動が可能にならないように、構成された、請求項６に記載の組立体。
8. 前記ラッチを駆動する電気モータ（６０）をさらに備える、請求項１から７のいずれかに記載の組立体。
9. 前記ラッチを駆動する空気式モータをさらに備える、請求項１から７のいずれか一項に記載の組立体。
10. 前記ラッチが、前記ブレーキのハウジング（１６）上に摺動可能に支持された、請求項１から９のいずれかに記載の駐車ブレーキ組立体。
11. 前記所定形状部が、前記作動シャフト上で前記作動シャフトの第１軸受面と第２軸受面（４２）との中間に設けられている、請求項１から１０のいずれかに記載の駐車ブレーキ組立体。
12. 休止位置から作動位置に回動可能な作動シャフトを備える空気圧式ディスクブレーキの駐車ブレーキ組立体を働かせる方法であって、
    ｉ）先ず、前記作動シャフトを前記作動位置に移動させるために常用ブレーキを掛けるステップと、
    ｉｉ）駐車ブレーキを掛けるよう前記作動シャフトを前記作動位置に保持するようにラッチを前記ブレーキの前記作動シャフトの相補的な所定形状部に機械的に係合させるステップと、
    を含む方法。
13. 前記所定形状部が、螺旋形の当接面である、請求項１２に記載の方法。
14. 前記所定形状部が、前記作動シャフトの第１軸受面と第２軸受面との中間に配置された、請求項１２又は１３に記載の方法。

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