JPH09303372A - クランクシャフトの軸受け構造 - Google Patents

クランクシャフトの軸受け構造

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JPH09303372A
JPH09303372A JP11788296A JP11788296A JPH09303372A JP H09303372 A JPH09303372 A JP H09303372A JP 11788296 A JP11788296 A JP 11788296A JP 11788296 A JP11788296 A JP 11788296A JP H09303372 A JPH09303372 A JP H09303372A
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bearing
crankshaft
bearings
divided
oil clearance
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Zenichiro Kato
善一郎 加藤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 加振力に対する負荷容量を増大させかつ摩擦
損失を増大させずに2分割軸受けの焼付や摩耗を防止す
るクランクシャフトの軸受け構造を提供する。 【解決手段】 2分割軸受けにより軸支されるクランク
シャフト30の軸受け構造において、2分割軸受けのう
ち、クランクシャフト30から受ける加振力が大なる方
の半割軸受け32とクランクシャフト30との間のオイ
ルクリアランスΔγ1が、他方の半割軸受け31とクラ
ンクシャフト30との間のオイルクリアランスΔγ2よ
り小さくなるよう構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は多気筒機関のクラン
クシャフトの軸受け構造に関し、特に多気筒機関の各気
筒の爆発行程にピストン、コンロッドおよびクランクシ
ャフトを介してシリンダブロックに加振力が加えられる
際、クランクシャフトを軸支する2分割軸受けが受ける
加振力に対する負荷容量を増大させるとともに、クラン
クシャフトと2分割軸受けとの間で生じる摩擦損失を増
大させないクランクシャフトの軸受け構造に関する。
【0002】
【従来の技術】多気筒機関のシリンダブロックの下端に
は、各気筒のピストンの往復運動によって回転されるク
ランクシャフトが複数の2分割軸受けにより軸支されて
いる。そして、各気筒の爆発行程にピストン、コンロッ
ド、クランクシャフトおよび2分割軸受けを介してシリ
ンダブロックに加振力が加えられ機関は振動する。各2
分割軸受けはこの爆発行程に加振力を受けその面圧が過
大となった2分割軸受けは焼付あるいは急激な摩耗等を
生じ易い。
【0003】特開昭62−46014号公報は、クラン
クシャフトを軸支する複数の2分割軸受けのうち、両端
から数えて2番目に位置する2分割軸受けが、例えば直
列4気筒型機関ではプーリからフライホイールに向かっ
て順にNo1からNo5の5つの2分割軸受けのうちNo2と
No4の2分割軸受けが、他のNo1、No3、No5の2分割
軸受けと比して爆発行程にクランクシャフトから受ける
加振力が大きいことを確認し、各2分割軸受けが受ける
加振力を平均化して焼付や摩耗を防止するクランクシャ
フトの軸受け構造を開示している。この構造は、少なく
とも3つ以上の2分割軸受けの両端から数えて2番目に
位置する2分割軸受けにおける気筒の軸方向の支持剛性
を他の2分割軸受けにおける気筒の軸方向の支持剛性に
比して低く設定したものである。またこの構造は、2分
割軸受けに2つの同一形状の半割軸受けを使用している
ので、シリンダブロック側(以下、上側と記す)の半割
軸受けとクランクシャフトとの間のオイルクリアランス
はキャップ側(以下、下側と記す)の半割軸受けとクラ
ンクシャフトとの間のオイルクリアランスと略同じとな
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記上
下同一形状の2分割軸受けの上側半割軸受けと下側半割
軸受けのクランクシャフトとの間の各オイルクリアラン
スの設定において、大きい加振力が加わる半割軸受けに
合わせて両方の半割軸受けのオイルクリアランスを小さ
く設定すると、各半割軸受け内側表面への油膜圧力が周
方向で平均化され最大油膜圧力が小さくなるので各半割
軸受けの加振力に対する負荷容量は増大するが、オイル
クリアランスが減少するのでクランクシャフトと2分割
軸受けとの間で生じる摩擦損失も増大する。一方、小さ
い加振力が加わる半割軸受けに合わせて両方の半割軸受
けのオイルクリアランスを大きく設定すると、上記と反
対の理由により、クランクシャフトと2分割軸受けとの
間で生じる摩擦損失は減少するが、各半割軸受けの加振
力に対する負荷容量も減少する。すなわち上記2分割軸
受けは、2分割軸受けへの加振力に対する負荷容量を増
大させるとともに、クランクシャフトと2分割軸受けと
の間に生じる摩擦損失を増大させないオイルクリアラン
スの設定ができないという問題がある。
【0005】それゆえ本発明は上記問題を解決し、すな
わち多気筒機関の爆発行程によりクランクシャフトから
2分割軸受けに加えられる加振力に対する負荷容量を増
大させるとともに、クランクシャフトと2分割軸受けと
の間で生じる摩擦損失を増大させない、2分割軸受けの
焼付や摩耗を防止するクランクシャフトの軸受け構造を
提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記問題を解決する本発
明によるクランクシャフトの軸受け構造はクランクシャ
フトから2分割軸受けが受ける加振力が上下の半割軸受
けで異なることに着目している。第一発明による2分割
軸受けにより軸支されるクランクシャフトの軸受け構造
において、前記2分割軸受けのうち、前記クランクシャ
フトから受ける加振力が大なる方の半割軸受けと前記ク
ランクシャフトとの間のオイルクリアランスを、他方の
半割軸受けと前記クランクシャフトとの間のオイルクリ
アランスより小さくしたことを特徴とする。
【0007】第一発明によるクランクシャフトの軸受け
構造は、クランクシャフトから受ける加振力が大なる方
の第一半割軸受けとクランクシャフトとの間の第一オイ
ルクリアランスを、他方の第二半割軸受けとクランクシ
ャフトとの間の第二オイルクリアランスより小さくした
ので、第一半割軸受けの軸受け面への油膜圧力が周方向
で平均化され最大油膜圧力が小さくなり、それゆえ第一
半割軸受けの加振力に対する負荷容量が増大し、かつ第
二オイルクリアランスにより第一オイルクリアランスの
不足が補われクランクシャフトと2分割軸受けとの間で
生じる摩擦損失は増大しない。
【0008】前記問題を解決する第二発明によるクラン
クシャフトの軸受け構造は、複数組の2分割軸受けによ
り軸支されるクランクシャフトの軸受け構造において、
前記複数組の2分割軸受けのうち、前記クランクシャフ
トから受ける加振力が大なる部位に配置される少なくと
も1組の第一の2分割軸受けの中で、前記加振力が大な
る方の第一半割軸受けの軸受け面の曲率半径中心が、前
記複数組の2分割軸受けのうち、前記第一の2分割軸受
けに加わる加振力と比して前記クランクシャフトから受
ける加振力が小なる部位に配置される少なくとも1組の
第二の2分割軸受けの中で、前記加振力が大なる方の第
二半割軸受けの軸受け面の曲率半径中心と比べて、前記
第一半割軸受けに加わる加振力の方向とは逆方向にオフ
セットされたことを特徴とする。
【0009】第二発明のクランクシャフトの軸受け構造
は、クランクシャフトを支持する複数組の2分割軸受け
のうち、クランクシャフトから受ける加振力が大なる部
位に配置される少なくとも1組の第一の2分割軸受けの
中で、加振力が大なる方の第一半割軸受けの軸受け面の
曲率半径中心が、複数組の2分割軸受けのうち、第一の
2分割軸受けに加わる加振力と比してクランクシャフト
から受ける加振力が小なる部位に配置される少なくとも
1組の第二の2分割軸受けの中で、加振力が大なる方の
第二半割軸受けの軸受け面の曲率半径中心と比べて、第
一半割軸受けに加わる加振力の方向とは逆方向にオフセ
ットされる構成により、第一半割軸受けのオイルクリア
ランスが小さく設定されるので、第一半割軸受けの軸受
け面への油膜圧力が周方向で平均化され最大油膜圧力が
小さくなり、第一半割軸受けの加振力に対する負荷容量
が増大する。また第二半割軸受けのオイルクリアランス
が大きく設定される構成により、第二の2分割軸受けの
オイルクリアランスにより第一半割軸受けのオイルクリ
アランスの不足が補われ、クランクシャフトと複数の2
分割軸受けとの間で生じる全体の摩擦損失は増大しな
い。
【0010】
【発明の実施の形態】図1は本発明による実施例の直列
4気筒型機関の骨組みを示す図であり、(a)は側面
図、(b)は平面図、(c)は斜視図である。図1に
は、直列4気筒型機関1のブロックシリンダ2、クラン
クシャフト3、クランクプーリ4、クランクシャフト3
の2分割軸受け5、変速機6およびディファレンシャル
ギヤ8が示されている。また本実施例においては、変速
機6から最も遠い側の気筒から順に#1、2、3および
#4気筒とし、同様に変速機6から最も遠い側の2分割
軸受けから順にNo1、2、3、4およびNo5の2分割軸
受けとする。また線Cはシリンダブロック2のロアデッ
キの位置を示し、線Dはシリンダブロック2内のボア間
に引かれた線を示し、線Eはクランクシャフト3の高さ
を示す。
【0011】図2は直列4気筒型機関に使用されるクラ
ンクシャフトの構造を示す側面図である。2A〜2Eは
クランクシャフト20を支持する第1、2、3、4およ
び5番目のクランクジャーナルを示し、2a〜2dはコ
ンロッドを取り付けるクランクピンを示し、21はクラ
ンクジャーナル2A〜2Eとクランクピン2a〜2dを
結合するクランクアーム、22はバランスウェイト、2
3はフライホイールが取り付けられるフランジを示して
いる。
【0012】図3は本発明による実施例の2分割軸受け
の説明図であり、(a)は図1の(a)に示す線分Dに
よる2分割軸受けの断面図であり、(b)はオイルクリ
アランスが小さい場合の油膜圧力の説明図、(c)はオ
イルクリアランスが大きい場合の油膜圧力の説明図であ
る。図3の(a)に示すように、クランクシャフト30
は2分割軸受けにより軸支される。2分割軸受けは図3
中に右上から左下に斜線で示した領域で示される上側半
割軸受け31と左上から右下に斜線で示した領域で示さ
れる下側半割軸受け32とからなる。一方の上側半割軸
受け31はシリンダブロック34側に、他方の下側半割
軸受け32はベアリングキャップ35側に、クランクシ
ャフト30を支持するようにベアリングキャップ35と
シリンダブロック34との間に組み込まれ、締めつけボ
ルト36により固定される。
【0013】2分割軸受けがクランクシャフト30から
受ける加振力は上下で、および、設ける部位によっても
異なる。本実施例ではクランクシャフト30から受ける
加振力が大なる方の下側半割軸受け32とクランクシャ
フト30との間の図3中に縦線で示すオイルクリアラン
スをクランクシャフト30から受ける加振力が小なる方
の上側半割軸受け31とクランクシャフト30との間の
図3中に横線で示すオイルクリアランスより小さくなる
ようにクランクシャフトの軸受け構造を形成している。
【0014】図3の(b)に示すように下側半割軸受け
32とクランクシャフト30のなすオイルクリアランス
は小さく設定されている。このようにオイルクリアラン
スを小さく設定すると、下側半割軸受け32の軸受け面
への油膜圧力が周方向で平均化され最大油膜圧力が小さ
くなるので、クランクシャフト30から受ける加振力に
対する下側半割軸受け32の負荷容量は増大する。37
はこの油膜圧力の分布を示す。また下側半割軸受け32
側のオイルクリアランスは減少するが、これを補うべく
他方の上側半割軸受け31側のオイルクリアランスが増
大するよう上側半割軸受け31が形成されるのでクラン
クシャフト30と2分割軸受けとの間で生じる摩擦損失
は増大しない。
【0015】図3の(c)に示すように上側半割軸受け
31とクランクシャフト30のなすオイルクリアランス
は大きく設定される。このようにオイルクリアランスを
大きく設定すると、上側半割軸受け31の軸受け面への
油膜圧力が周方向で平均化されず最大油膜圧力が大きく
なるので、クランクシャフト30から受ける加振力に対
する上側半割軸受け31の負荷容量は減少する。38は
この油膜圧力の分布を示す。しかしながら、上側半割軸
受け31が受けるクランクシャフト30からの加振力は
下側半割軸受け32が受けるクランクシャフト30から
の加振力と比して小さいので上側半割軸受け31の加振
力に対する負荷容量は十分であり、上側半割軸受け31
の軸受け面を摩耗するには至らない。また上側半割軸受
け31側のオイルクリアランスは増大するが、これを補
うべく他方の下側半割軸受け32側のオイルクリアラン
スが減少するのでクランクシャフト30と2分割軸受け
との間で生じる摩擦損失は増大しない。次に第一発明に
よる2分割軸受けの構成を説明する前に従来技術による
2分割軸受けの構成を説明する。
【0016】図4は従来技術による2分割軸受けとオイ
ルクリアランスの関係を示す図である。図4に示すよう
に従来技術による2分割軸受けは2つの略同一形状の半
割軸受け41と42からなる。上側半割軸受け41の最
大肉厚t41と下側半割軸受け42の最大肉厚t42は
同一厚さであり、かつ上側半割軸受け41の曲率半径r
41と下側半割軸受け42の曲率半径r42、および、
曲率半径中心のオフセット量e41、e42も等しく形
成される。従って、上側半割軸受け41とクランクシャ
フト40のなす上下方向のオイルクリアランスγ41と
下側半割軸受け42とクランクシャフト40のなす上下
方向のオイルクリアランスγ42とは等しく、上下で2
分される周方向のオイルクリアランスも等しい。次に第
一発明による第一、第二実施例の2分割軸受けの構成を
説明する。
【0017】図5は第一実施例の2分割軸受けとオイル
クリアランスの関係を示す図である。図5に示すように
2分割軸受けは2つの異なる形状の半割軸受け51と5
2からなる。上側半割軸受け51の最大肉厚t51と下
側半割軸受け52の最大肉厚t52は同一厚さである
が、上側半割軸受け51の曲率半径r51は下側半割軸
受け52の曲率半径r52より大きく形成される。本実
施例においては、上側半割軸受け51とクランクシャフ
ト50のなすオイルクリアランスγ51は下側半割軸受
け52とクランクシャフト50のなすオイルクリアラン
スγ52と比べてもその差は小さいものの、下側半割軸
受け52側半分の周方向のオイルクリアランスは減少
し、その減少量を補うべく上側半割軸受け51側半分の
周方向のオイルクリアランスは増大するので、クランク
シャフト50と2分割軸受け51、52との間で生じる
摩擦損失は増大しない。また下側半割軸受け52の軸受
け面への油膜圧力は周方向で平均化され最大油膜圧力が
小さくなるので、下側半割軸受け52が受けるクランク
シャフト50からの加振力に対する負荷容量は増大す
る。
【0018】図6は第二実施例の2分割軸受けとオイル
クリアランスの関係を示す図である。上側半割軸受け6
1の最大肉厚t61は下側半割軸受け62の最大肉厚t
62より厚さが小であるが、上側半割軸受け61の曲率
半径r61は下側半割軸受け62の曲率半径r62より
小さく形成される。従って、上側半割軸受け61とクラ
ンクシャフト60のなすオイルクリアランスγ61は下
側半割軸受け62とクランクシャフト60のなすオイル
クリアランスγ62より大きく、下側半割軸受け62側
のオイルクリアランスは減少するが、その減少量を補う
べく上側半割軸受け61側のオイルクリアランスは増大
するので、クランクシャフト60と2分割軸受け61、
62との間で生じる摩擦損失は増大しない。また下側半
割軸受け62の軸受け面への油膜圧力は周方向で平均化
され最大油膜圧力が小さくなるので、下側半割軸受け6
2が受けるクランクシャフト60からの加振力に対する
負荷容量は増大する。これより第二発明による第三実施
例と第四実施例の二分割軸受けの構造を説明する。
【0019】図7は第三実施例の2分割軸受けとオイル
クリアランスの関係を示す図である。図7に示すように
2分割軸受けは2つの異なる形状の半割軸受け71と7
2からなる。上側半割軸受け71の曲率半径r71と下
側半割軸受け72の曲率半径r72とは同じであるが、
下側半割軸受け72の曲率半径中心のオフセット量e7
2が上側半割軸受け71の曲率半径中心のオフセット量
e71より大きく形成されている。また、上側半割軸受
け71の最大肉厚t71は下側半割軸受け72の最大肉
厚t72より小さく形成されている。従って、下側半割
軸受け72とクランクシャフト70のなす上下方向のオ
イルクリアランスγ72は上側半割軸受け71とクラン
クシャフト70のなす上下方向のオイルクリアランスγ
71より小さく形成され、かつ下側半割軸受け72側半
分の周方向のオイルクリアランスは減少し、全体として
下側半割軸受け72のオイルクリアランスは減少する。
【0020】しかし、その減少量を補うべく上側半割軸
受け71とクランクシャフト70のなす上下方向のオイ
ルクリアランスγ71は下側半割軸受け72とクランク
シャフト70のなすオイルクリアランスγ72より大き
く形成され、かつ上側半割軸受け71側半分の周方向の
オイルクリアランスは増加するため、クランクシャフト
70と2分割軸受け71、72との間で生じる摩擦損失
は増大しない。また、下側半割軸受け72の軸受け面へ
の油膜圧力は周方向で平均化され最大油膜圧力が小さく
なるので、下側半割軸受け72が受けるクランクシャフ
ト70からの加振力に対する負荷容量は増大する。
【0021】図8は第四実施例の2分割軸受けとオイル
クリアランスの関係を示す図である。図8に示すように
2分割軸受けは2つの異なる形状の半割軸受け81と8
2からなる。上側半割軸受け81の曲率半径r81は下
側半割軸受け82の曲率半径r82より小さく、下側半
割軸受け82の曲率半径中心のオフセット量e82が上
側半割軸受け81の曲率半径中心のオフセット量e81
より大きく形成されている。また、上側半割軸受け81
の最大肉厚t81は下側半割軸受け82の最大肉厚t8
2より小さく形成されている。従って、下側半割軸受け
82とクランクシャフト80のなす上下方向のオイルク
リアランスγ82は上側半割軸受け81とクランクシャ
フト80のなす上下方向のオイルクリアランスγ81よ
り小さく形成され、かつ下側半割軸受け82側半分の周
方向のオイルクリアランスは減少する。
【0022】しかし、その減少量を補うべく上側半割軸
受け81とクランクシャフト80のなす上下方向のオイ
ルクリアランスγ81は下側半割軸受け82とクランク
シャフト80のなす上下方向のオイルクリアランスγ8
2より大きく形成され、かつ上側半割軸受け81側半分
の周方向のオイルクリアランスは増加するため、クラン
クシャフト80と2分割軸受け81、82との間で生じ
る摩擦損失は増大しない。また、下側半割軸受け82の
軸受け面への油膜圧力は周方向で平均化され最大油膜圧
力が小さくなるので、下側半割軸受け82が受けるクラ
ンクシャフト80からの加振力に対する負荷容量は増大
する。次に、本発明による組み合わせ軸受けの具体例を
表1〜表3を参照して以下に説明する。
【0023】表1は第一発明の軸受けを組み合わせた組
み合わせ軸受けにおけるオイルクリアランスを示す。
【表1】 表1に示すように、従来技術においては、加振力が小な
る上側半割軸受け、加振力が大なる下側半割軸受け共に
同一のオイルクリアランスとし、その上側および下側半
割軸受けのオイルクリアランスの合計を50μmに形成
しているのに対し、第一発明の組み合わせ軸受けにおい
ては、例えばNo.1〜No.5軸受け共に上側半割軸
受けのオイルクリアランスの方が下側半割軸受けのオイ
ルクリアランスより大きく、上側を29μm、下側を2
1μmのように形成している。
【0024】このような第一発明によるクランクシャフ
トの軸受け構造は、クランクシャフトから受ける加振力
が大なる下側の第一半割軸受けとクランクシャフトとの
間の第一オイルクリアランス21μmを、他方の上側の
第二半割軸受けとクランクシャフトとの間の第二オイル
クリアランス29μmより小さくしたので、第一半割軸
受けの軸受け面への油膜圧力が周方向で平均化され最大
油膜圧力が小さくなり、それゆえ第一半割軸受けの加振
力に対する負荷容量が増大し、かつ第二オイルクリアラ
ンス29μmにより第一オイルクリアランス21μmの
不足が補われクランクシャフトと2分割軸受けとの間で
生じる摩擦損失は増大しない。他に、上(アッパー)側
半割軸受けを順に33μm、37μm、41μm、下
(ロア)側半割軸受けを順に17μm、13μm、9μ
mのように形成してもよい。この例に示すものは上側と
下側のオイルクリアランスの合計が何れの場合も50μ
mである。すなわち、全体のオイルクリアランスは同一
に形成してある。次に、オイルクリアランスが異なる複
数組の軸受けを配置して構成する第二発明の例を以下に
示す。
【0025】表2は第二発明の組み合わせ軸受けにおい
て、No.1軸受けとNo.5軸受けのオイルクリアラ
ンスを変更した例を示す。
【表2】 表2に示すように、従来技術においては、上側半割軸受
け、下側半割軸受け共に同一オイルクリアランスとし、
No.1軸受けとNo.5軸受けの上側および下側軸受
けのオイルクリアランスの合計を30μmに、No.2
軸受けとNo.4軸受けの上側および下側軸受けのオイ
ルクリアランスの合計を70μmに、No.3軸受けの
上側および下側軸受けのオイルクリアランスの合計を5
0μmにそれぞれ形成しているのに対し、第二発明の組
み合わせ軸受けにおいては、No.1軸受けとNo.5
軸受けのオイルクリアランスを、例えば上側を29μ
m、下側を21μmのように形成し、No.2軸受け〜
No.4軸受けのオイルクリアランスは上側、下側半割
軸受け共に同一オイルクリアランスとし、その上側およ
び下側軸受けのオイルクリアランスの合計を50μmに
形成している。
【0026】このような第二発明のクランクシャフトの
軸受け構造は、クランクシャフトを支持する複数の2分
割軸受けのうち、クランクシャフトから受ける加振力が
大なる部位、表2の例ではNo.1軸受けとNo.5軸
受けに、上下でオイルクリアランスが異なる軸受けを配
置している。このように配置される少なくとも1組の第
一の2分割軸受け(No.1またはNo.5軸受け)の
中で、加振力が大なる方の第一半割軸受け(下側)の軸
受け面の曲率半径中心が、複数組の2分割軸受けのう
ち、第一の2分割軸受け(No.1またはNo.5軸受
け)に加わる加振力と比してクランクシャフトから受け
る加振力が小なる部位、表2の例ではNo.2軸受け〜
No.4軸受けに配置される少なくとも1組の第二の2
分割軸受け(オイルクリアランスが50μm)の中で、
加振力が大なる方の第二半割軸受け(例えば下側)の軸
受け面の曲率半径中心と比べて、第一半割軸受けに加わ
る加振力の方向とは逆方向にオフセットされる構成によ
り、第一半割軸受け(下側)のオイルクリアランスが小
さく設定されるので、第一半割軸受けの軸受け面への油
膜圧力が周方向で平均化され最大油膜圧力が小さくな
り、第一半割軸受けの加振力に対する負荷容量が増大す
る。また第二半割軸受けのオイルクリアランスが上側お
よび下側半割軸受けで同一とし、それぞれ50μmの半
分25μmと大きく設定される構成により、第二の2分
割軸受けのオイルクリアランスにより第一半割軸受けの
オイルクリアランスの不足が補われ、クランクシャフト
と複数の2分割軸受けとの間で生じる全体の摩擦損失は
増大しない。
【0027】表3は第二発明の組み合わせ軸受けにおい
て、No.2軸受けとNo.4軸受けのオイルクリアラ
ンスを変更した例を示す。
【表3】 表3に示すように、従来技術においては、上側半割軸受
け、下側半割軸受け共に同一のオイルクリアランスと
し、その上側および下側半割軸受けのオイルクリアラン
スの合計を50μmに形成しているのに対し、第二発明
の組み合わせ軸受けにおいては、No.2軸受けとN
o.4軸受けのオイルクリアランスを、例えば上側を2
9μm、下側を21μmのように形成し、No.1軸受
け、No.3軸受けおよびNo.5軸受けのオイルクリ
アランスは上側、下側半割軸受け共に同一のオイルクリ
アランスとし、その上側および下側半割軸受けのオイル
クリアランスの合計を50μmに形成している。
【0028】この第二発明のクランクシャフトの軸受け
構造は、表2の例で、クランクシャフトを支持する複数
組の2分割軸受けのうち、クランクシャフトから受ける
加振力が大なる部位をNo.2軸受けとNo.4軸受け
とし、クランクシャフトから受ける加振力が小なる部位
をNo.1軸受け、No.3軸受けおよびNo.5軸受
けとした点を除いて同一であるので説明は省略する。
【0029】なお、本発明のクランクシャフトの軸受け
構造においては、上記実施例に限定されるものではな
く、例えば請求項1に記載のクランクシャフトの軸受け
構造においては、加振力の大なる方の半割軸受けのオイ
ルリリーフ量を他方の半割軸受けのオイルリリーフ量よ
り小さくすることにてオイルクリアランスを小さくして
もよい。
【0030】
【発明の効果】第一発明のクランクシャフトの軸受け構
造によれば、クランクシャフトから受ける加振力が大な
る方の半割軸受けとクランクシャフトとの間のオイルク
リアランスが、他方の半割軸受けとクランクシャフトと
の間のオイルクリアランスと比して小さくなるよう構成
したので、加振力の大なる半割軸受けの軸受け面への油
膜圧力が周方向で平均化され最大油膜圧力が小さくなる
ので加振力に対する負荷容量が増大し、かつ加振力が小
なる方の半割軸受けのオイルクリアランスにより2分割
軸受け全体のオイルクリアランスの不足が補われクラン
クシャフトと2分割軸受けとの間で生じる摩擦損失を増
大させないで、2分割軸受けの焼付や摩耗を防止するク
ランクシャフトの軸受け構造を提供することができる。
【0031】第二発明のクランクシャフトの軸受け構造
によれば、クランクシャフトを支持する複数組の2分割
軸受けのうち、クランクシャフトから受ける加振力が大
なる部位に配置される少なくとも1つの第一の2分割軸
受けの中で、加振力が大なる方の第一半割軸受けの軸受
け面の曲率半径中心が、複数組の2分割軸受けのうち、
第一の2分割軸受けに加わる加振力と比してクランクシ
ャフトから受ける加振力が小なる部位に配置される少な
くとも1組の第二の2分割軸受けの中で、加振力が大な
る方の第二半割軸受けの軸受け面の曲率半径中心と比べ
て、第一半割受けに加わる加振力の方向とは逆方向にオ
フセットされる構成としたことにより、第一半割軸受け
のオイルクリアランスが小さく設定されるので、第一半
割軸受けの軸受け面への油膜圧力が周方向で平均化され
最大油膜圧力が小さくなり、第一半割軸受けの加振力に
対する負荷容量が増大する。また第二半割軸受けのオイ
ルクリアランスが大きく設定される構成としたことによ
り、第二半割軸受けのオイルクリアランスにより第一半
割軸受けのオイルクリアランスの不足が補われクランク
シャフトと複数の2分割軸受けとの間で生じる全体の摩
擦損失を増大させないで、2分割軸受けの焼付や摩耗を
防止するクランクシャフトの軸受け構造を提供すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による実施例の直列4気筒型機関の骨組
みを示す図であり、(a)は側面図、(b)は平面図、
(c)は斜視図である。
【図2】直列4気筒型機関に使用されるクランクシャフ
トの構造の側面図である。
【図3】本発明による実施例の2分割軸受けの説明図で
あり、(a)は図1の(a)に示す線分Dによる2分割
軸受けの断面図であり、(b)はオイルクリアランスが
小さい場合の油膜圧力の説明図、(c)はオイルクリア
ランスが大きい場合の油膜圧力の説明図である。
【図4】従来技術による2分割軸受けとオイルクリアラ
ンスの関係を示す図である。
【図5】第一実施例の2分割軸受けとオイルクリアラン
スの関係を示す図である。
【図6】第二実施例の2分割軸受けとオイルクリアラン
スの関係を示す図である。
【図7】第三実施例の2分割軸受けとオイルクリアラン
スの関係を示す図である。
【図8】第四実施例の2分割軸受けとオイルクリアラン
スの関係を示す図である。
【符号の説明】
1…直列4気筒型機関 2…シリンダブロック 3、20…クランクシャフト 4…プーリ 5…2分割軸受け 6…変速機 8…ディファレンシャルギヤ

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 2分割軸受けにより軸支されるクランク
    シャフトの軸受け構造において、 前記2分割軸受けのうち、前記クランクシャフトから受
    ける加振力が大なる方の半割軸受けと前記クランクシャ
    フトとの間のオイルクリアランスを、他方の半割軸受け
    と前記クランクシャフトとの間のオイルクリアランスよ
    り小さくしたことを特徴とするクランクシャフトの軸受
    け構造。
  2. 【請求項2】 複数組の2分割軸受けにより軸支される
    クランクシャフトの軸受け構造において、 前記複数組の2分割軸受けのうち、前記クランクシャフ
    トから受ける加振力が大なる部位に配置される少なくと
    も1組の第一の2分割軸受けの中で、前記加振力が大な
    る方の第一半割軸受けの軸受け面の曲率半径中心が、 前記複数組の2分割軸受けのうち、前記第一の2分割軸
    受けに加わる加振力と比して前記クランクシャフトから
    受ける加振力が小なる部位に配置される少なくとも1組
    の第二の2分割軸受けの中で、前記加振力が大なる方の
    第二半割軸受けの軸受け面の曲率半径中心と比べて、 前記第一半割軸受けに加わる加振力の方向とは逆方向に
    オフセットされたことを特徴とするクランクシャフトの
    軸受け構造。
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