JPH09303118A - 弁開閉時期制御装置 - Google Patents

弁開閉時期制御装置

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JPH09303118A
JPH09303118A JP8120307A JP12030796A JPH09303118A JP H09303118 A JPH09303118 A JP H09303118A JP 8120307 A JP8120307 A JP 8120307A JP 12030796 A JP12030796 A JP 12030796A JP H09303118 A JPH09303118 A JP H09303118A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 カムシャフトとタイミングプーリとの間の位
相変換行い、流体で制御するベーンタイプの弁開閉時期
制御装置のカムシャフトとタイミングプーリとの間の位
相を固定するピンを解除する場合に、カムシャフトとタ
イミングプーリとの間を相対回転させる力が作用する力
が発生する前に確実にピンを解除すること。 【解決手段】 ピンに隣接する圧力室へ供給する油圧通
路に絞り機構を介在させることによって、圧力室へ流入
する油圧を制限しピンを解除する油圧を確保すること。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、内燃機関のクラン
クプーリからの回転力がタイミングプーリを介して伝達
されるカムシャフトとタイミングプーリとの間又はカム
シャフトと別のカムシャフトとの間で運転状態に応じた
位相の可変を行う内燃機関用の弁開閉時期制御装置に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、タイミングプーリとカムシャ
フトとのタイミングを制御する弁開閉時期制御装置は多
数紹介されており、またベーンタイプの弁開閉時期制御
装置も知られている。
【0003】例えば、ベーンタイプの弁開閉時期制御装
置には、特開平1−92504号に開示されたものがあ
る。
【0004】この公報に開示された技術を図4及び図4
のC−C断面図である図5により説明すると、101は
タイミングプーリで図示しない内燃機関のクランクプー
リを駆動源とし、環状ベルト、環状チェーン又はギア等
によって回転力が伝えられるようになっている。102
はカムシャフトでエンジンのシリンダーヘッド103に
支承されており、ベーン104が内部ロータ105を介
してカムシャフト102に固定されている。また、タイ
ミングプーリ101のタイミングプーリ内周部101a
には仕切壁101bが形成されており、仕切壁101
b、101bの間に油圧室106が形成されている。こ
の油圧室106にはそれぞれベーン104が挿入され、
このベーン104と外側版107とにより圧力作動室1
08,108aが形成され、かつ外側板107はプレー
ト109及び固定ボルト110とにより位置決めされて
いる。すなわち、ベーン104を含むカムシャフト10
2側と、油圧室106を含むタイミングプーリ101の
側とは、相対回転可能に支承されている。また、この相
対回転は、ベーン104がタイミングプーリ内周部に設
けられた油圧室106の範囲で回転することによって達
成され、その角度は図5に示すθの角度だけ回転するこ
とができる。カムシャフト102とタイミングプーリ1
01との相対回転は、ベーン104の両側に設けられた
圧力作動室108,108aへ吸排する油圧によって、
ベーン104を回転することによって行われている。な
お、図5に矢印で示す回転方向に対して、ベーン104
よりも上流側を圧力作動室108とし、ベーン104よ
りも下流側を圧力作動室108aとした。この油圧は図
示しないオイルポンプを油圧源とし、その制御を切換バ
ルブ111の制御によって行っている。この切換バルブ
111は、ソレノイド112へ通電することによって弁
スプール113をスプリング114に抗して図示右方向
へ摺動させるものであり、オイルポンプから供給される
オイルを油路115から切換バルブ111へ採り入れ、
油路116、117を介してベーン104の両側の油圧
作動室108、108aの油圧を調節するものである。
【0005】このような構造の弁開閉時期制御装置の作
動は、油路116は圧力作動室108へ連通しており、
油路117は圧力作動室108aへ連通している。切換
バルブ111を制御して油路116へオイルを供給し圧
力作動室108の油圧を高めると、ベーン104が図5
の矢印で示す方向に回転し、カムシャフト102の位相
がタイミングプーリ101に対してベーン104の回転
分だけ進ませることができ、カムシャフト102に回転
に伴って開閉する吸気弁又は排気弁の開閉タイミングを
進ませることができる。また、逆に切換バルブ111を
制御して油路117へオイルを供給し圧力作動室108
aの油圧を高めると、ベーン104が図5の矢印と逆方
向に回転し、カムシャフト102の位相がタイミングプ
ーリ101に対してベーン104の回転分だけ遅らせる
ことができ、カムシャフト102に回転に伴って開閉す
る吸気弁又は排気弁の開閉タイミングを遅らせることが
できる。
【0006】なお、図5に示す118はノックピンで、
内部ロータ105に設けた穴119内にスプリング12
0の付勢力により挿入されている。この穴119の位置
は、ベーン104の油圧室106内の相対回転可能範囲
の端部であり、タイミングプーリ101の回転方向に対
して最も遅れた位置に設けられている。また、121も
ノックピンでありノックピン118と対称位置に設けら
れており、図5に示す状態から角度θだけ相対回転する
と、ノックピン121は穴122にスプリング123の
付勢力により挿入されるようになっている。ノックピン
118、121には、それぞれ圧力作動室108、10
8aに供給されるオイルがスプリング120、123に
抗して作用して穴119、122から押し出すことで係
合を解除する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記の従来技術におい
ては、タイミングプーリ101とカムシャフト102と
を相対回転させる場合には、ベーン104を回転させる
ために圧力作動室108、108aに供給するオイルの
一部をカムシャフト側の穴119、122に挿入したノ
ックピン118、121に対して供給し、オイルの圧力
によってスプリング120、123の付勢力に抗して解
除するようになっている。従って、オイルの油圧は、ノ
ックピン118、121の係合が解除される部位と、ベ
ーン104を回転させるために圧力作動室108、10
8aとに同時に作用することになる。ここで、万が一、
ノックピン118、121がカムシャフト側の穴11
9、122から完全に抜ける前に、ベーン104を回転
させることができる程度に圧力作動室108、108a
の油圧が高くなるとタイミングプーリ101とカムシャ
フト102とを相対回転させる力が発生することにな
り、ノックピン118、121の内周側と外周側とでタ
イミングプーリ101とカムシャフト102による挟み
付けることとなり、ノックピン118、121が穴11
9、122から抜けず、タイミングプーリ101とカム
シャフト102とが相対回転できずに弁開閉時期制御装
置が作動不良となる可能性がある。更に、ノックピン1
18、121をタイミングプーリ101とカムシャフト
102による挟み付けることによるノックピン118、
121の変形等の不良の発生も危惧される。
【0008】そこで、本発明は、上記の従来技術の問題
点をノックピン118、121の係合を解除する油圧を
確実に供給することで解決した弁開閉時期制御装置を開
示するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記した課題を解決する
ために請求項1の発明において講じた手段は、内周部に
複数の圧力室を形成する仕切壁を備えた回転伝達部材
と、回転伝達部材の内周に配置し圧力室を区画するベー
ンを取り付けた吸気弁又は排気弁を開閉させる回転軸
と、ベーンで区画される圧力室をそれぞれ圧力作動室と
し圧力作動室へ流体を吸排するそれぞれの流体通路と、
回転軸に設けた受容孔に回転伝達部材の圧力室の間に設
けた支持孔に収容され付勢手段によって付勢されたピン
を挿入して回転伝達部材と回転軸の位相を保持し、ピン
に回転軸側から流体通路の流体を供給してピンの挿入を
解除し回転伝達部材と回転軸の相対回転を許容する位相
保持機構からなる弁開閉時期制御装置において、支持孔
に隣接する圧力室の圧力作動室へ流体を吸排する前記流
体通路に絞り機構を配置したことである。従って、絞り
機構によって、受容孔からピンの挿入を解除するオイル
がピンを収容する支持孔に隣接する圧力作動室へ流れ込
むことを防止することができるので、オイルの圧力を効
果的に受容孔からピンの挿入を解除する力として作用さ
せることができる。
【0010】請求項2の発明において講じた手段は、絞
り機構を、支持孔に隣接する2つの圧力室の圧力作動室
へ流体を吸排する流体通路に設けたことである。従っ
て、支持孔の両側の圧力室の圧力作動室へ流体を吸排す
る流体通路に絞り機構が設けられ、受容孔からピンの挿
入を解除するオイルを確実にピンに作用させることがで
きる。
【0011】請求項3の発明において講じた手段は、絞
り機構を、回転伝達部材と回転軸との所定量の相対回転
により、支持孔に隣接する圧力室の圧力作動室と流体通
路とが連通することである。従って、ピンが受容孔に挿
入された位置においては、流体通路のオイルは支持孔に
隣接する圧力作動室へ流れ込むことができず、流体通路
のオイルによって受容孔に挿入されたピンが解除された
後に、回転伝達部材と回転軸とが所定の量の相対回転が
行われて、支持孔に隣接する圧力室の圧力作動室と流体
通路とが連通するので、回転伝達部材と回転軸との相対
回転よりも前にピンが受容孔から解除することができ
る。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明に係る実施の形態を図1か
ら図3に基づいて説明する。
【0013】図1は、本発明を用いた実施の形態の弁開
閉時期制御装置10を示す図面である。12は、図示し
ないシリンダヘッドに回転可能に支持された吸気バルブ
用カムシャフトであり、弁開閉時期制御装置10は吸気
バルブ用カムシャフト12の先端部に次に詳細を説明す
るように取り付けられている。この実施の形態における
回転伝達部材は、ベルト又はチェーンによって回転力が
伝達されるタイミングプーリ14、ボルト16によりタ
イミングプーリ14と相対回動不能に一体に固定される
外部ロータ18及び外板20により構成されている。吸
気バルブ用カムシャフト12の軸方向長さが外部ロータ
18とほぼ等しい内部ロータ22と吸気バルブ用カムシ
ャフト12の鍔部26との間にタイミングプーリ14を
挟み込んでボルト24によって吸気バルブ用カムシャフ
ト12の先端部に取り付けられている。なお、内部ロー
タ22は、吸気バルブ用カムシャフト12と相対回動不
能に一体に固定されている。吸気バルブ用カムシャフト
12の内部には、進角油路28と遅角油路30が軸方向
に切削されており、それぞれ図示しないシリンダヘッド
に設けたオイル吸排口32、34を介して図示しない油
圧供給源へ連通している。
【0014】図1のA−A断面図である図2及び図3に
示すように、外部ロータ18の内周側には仕切壁36に
よって区画された5つの圧力室38と1つの支持孔40
が形成されている。支持孔40の底部略中央には支持孔
40よりも直径の小さな連通孔42が設けられている。
連通孔42にはスライドピン44が挿入されており、ス
ライドピン44は、スライドピン44の下端に一体形成
されたスライドピン保持部46と支持孔40の外周部に
固着したリング材48との間に配置されたスプリング5
0によって内周側に付勢されている。
【0015】吸気バルブ用カムシャフト12に一体に固
定される内部ロータ22の外周には、圧力室38に対応
する位置にベーン52が5枚取り付けられている。5枚
のベーン52は、圧力室38内を吸気バルブ用カムシャ
フト12の径方向に回転することができ、5つの圧力室
38を進角油圧室54、56、58、60、62と遅角
油圧室64、66、68、70、72に2分割してい
る。進角油圧室54、56、58、60、62はそれぞ
れ進角油路28と進角油路74、76、78、80、8
2を介して供給又は排出されるオイルによって油圧を供
給又は排出され、遅角油圧室64、66、68、70、
72はそれぞれ遅角油路30と遅角油路84、86、8
8、90、92、94を介して供給又は排出されるオイ
ルによって油圧を供給又は排出される。96は、内部ロ
ータ22に設けたスライドピン44が挿入できる受容孔
98へ連通する油路で、進角油路28と進角油路74、
76、78、80、82と連通している。
【0016】図2に示した状態は、図2の矢印で示した
タイミングプーリ14の回転方向に対して吸気バルブ用
カムシャフト12が最遅角の位置であり、この位置にお
いてスライドピン44が受容孔98に挿入され吸気バル
ブ用カムシャフト12とタイミングプーリ14との相対
回転を規制している。また、この状態において、進角油
路76、78、80は進角油圧室56、58、60と微
小隙間を介して連通しているが、スライドピン44を収
容する支持孔40に隣接する進角油路74、82は進角
油圧室54、62とは連通していない。進角油路74、
82は、スライドピン44が受容孔98から解除され、
吸気バルブ用カムシャフト12が図2に示す矢印の方向
に若干相対回転すると進角油圧室54、62と連通する
ようになっている。
【0017】上記の実施の形態の作動について説明す
る。図2に示した状態は、図2の矢印で示したタイミン
グプーリ14の回転方向に対して吸気バルブ用カムシャ
フト12が最遅角の位置であり、図示しないクランクシ
ャフトの回転がチェーン等を介してタイミングプーリ1
4に伝達されると、スライドピン44を介してタイミン
グプーリ14と相対回転不能となった吸気バルブ用カム
シャフト12も図2の矢印の方向に回転する。
【0018】ここで、ベーン52は吸気バルブ用カムシ
ャフト12の回転方向に移相が可能であり、図示しない
制御回路に入力されるエンジン回転数やエンジン出力の
状態によって、制御回路でタイミングプーリ14の回転
に対して吸気バルブ用カムシャフト12を進角させるこ
とが好ましい場合には、進角油路28へオイルを供給す
ると共に、遅角油路30のオイルを排出してタイミング
プーリ14と吸気バルブ用カムシャフト12との位相を
変換する。具体的には、オイル吸排口32、34と連通
する図示しない制御バルブを切り換えて、進角油路28
へオイルを供給する。進角油路28へ供給されたオイル
は、進角油路74、76、78、80、82と油路96
へ導かれる。このとき進角油路76、78、80のオイ
ルは微小隙間を介して進角油圧室56、58、60へ供
給され、油路96のオイルはスライドピン44の先端部
へスプリング50の付勢力に抗して作用する。前述した
ように、この状態においては進角油路74と82の先端
が進角油圧室54、62とは連通しておらず、進角油路
76、78、80から進角油圧室56、58、60へ供
給されるオイルが微小隙間を介して供給されることか
ら、必然的に油路96の内部の油圧が高くなり、この油
圧によって先ずはスライドピン44が受容孔98から解
除される。そして、進角油圧室56、58、60へ供給
されるオイルによって、吸気バルブ用カムシャフト12
と一体となったベーン52が図2に矢印で示す方向へ回
転する。吸気バルブ用カムシャフト12が図2の矢印で
示す方向に所定量(例えば1度程度の角度)回転する
と、進角油路74、82の先端が進角油圧室54、62
と連通し、進角油圧室54、62にもベーン52を回転
させるためのオイルを供給する。このとき、遅角油圧室
64、66、68、70、72内のオイルは遅角油路8
4、86、88、90、92、94及び遅角油路30と
を介して排出される。このように作動して、ベーン52
をベーン52の両側の油圧差を利用して図3に示す最進
角位置まで回転させ、タイミングプーリ14の回転に対
して吸気バルブ用カムシャフト12を進角させることが
できる。
【0019】逆に図3に示すベーン52を最進角位置か
ら図2に示す最遅角位置へ移動させて、タイミングプー
リ14の回転に対して吸気バルブ用カムシャフト12を
遅角させる場合には、上記と反対方向にオイルを供給す
る。つまり、図示しない制御バルブを切り換えて、遅角
油路30から遅角油路84、86、88、90、92、
94を介して遅角油圧室64、66、68、70、72
へオイルを供給し、進角油圧室54、56、58、6
0、62内のオイルを進角油路74、76、78、8
0、82から進角油路28を介して排出することによっ
て、ベーン52の両側の油圧差を利用して図2に示す最
遅角位置まで回転させる。このとき、スプリング50に
よって吸気バルブ用カムシャフト12側へ付勢されたス
ライドピン44が、受容孔98の位置までタイミングプ
ーリ14側を回転させるとスライドピン44が受容孔9
8へ挿入され、タイミングプーリ14と吸気バルブ用カ
ムシャフト12との相対回動が規制される。
【0020】弁開閉時期制御装置10はタイミングプー
リ14の回転をベーン52を介して吸気バルブ用カムシ
ャフト12へ伝達するものであり、この回転力によって
吸気バルブ用カムシャフト12は常に遅角側への力を受
けることとなる。このような力を受けながら、ベーン5
2を遅角側へ相対回転させる場合には、タイミングプー
リ14の回転力も伴って必要以上の力でベーン52を回
転させて、ベーン52が外部ロータ18の仕切壁36に
当接して打音を発生する場合がある。しかしながら、本
実施の形態においては、ベーン52が最遅角位置へ至る
直前に進角油圧室54、62と進角油路74、82との
連通が絶たれるので、この状態の進角油圧室54、62
内のオイルが緩衝油となって打音の発生を防止する。ま
た、ベーン52が最遅角位置に近づくに連れて進角油圧
室56、58、60と進角油路76、78、80との連
通も絞られ、進角油圧室56、58、60内のオイルの
排出量も減少し、このことも打音の発生を防止する効果
を達成する。
【0021】なお、上記の実施の形態においては、吸気
バルブ用カムシャフト12に弁開閉時期制御装置10を
設けているが、図示しない排気バルブ用カムシャフトに
弁開閉時期制御装置を設けることも可能である。また、
上記の実施の形態においては、支持孔40、受容孔9
8、スライドピン44をベーン52が最遅角位置になっ
たときに係合するようになっているが、弁開閉時期制御
装置を排気バルブ用カムシャフトに用いる場合など、進
角位置を保持したい場合には、ベーン52が最進角位置
になったときに係合するように構成することも可能であ
る。この場合には、スライドピン44の摺動とベーン5
2の作動の関係から、受容孔98へ油圧を供給する通路
96を遅角油路30と連通させることになる。更に、上
記の実施の形態においては、タイミングプーリ14と一
体となった外部ロータ18に圧力室38を形成している
が、DOHCエンジンのように排気バルブ用カムシャフ
トと吸気バルブ用カムシャフトとを並行に配置し、それ
ぞれのシャフトの外周に形成したギヤによって同期させ
て双方のシャフトを回転させるタイプにおいても、一方
のギヤの内部またはギャに隣接して圧力室を形成し、シ
ャフトの外周にベーンを取り付けて弁開閉時期制御装置
とすることができ、このような形式の弁開閉時期制御装
置にも本発明を適用することができる。
【0022】また、上記の実施の形態においては、内周
側に圧力室36を備え圧力室36の外周壁を形成した外
周ロータ18と圧力室36の内周壁を形成した内周ロー
タ14とを、タイミングプーリ14と外側板20とで挟
むようにボルト20によって固定した3層構造となって
いる。従って、従来技術を説明した図4に示すタイミン
グプーリ101のようにシャフトの軸方向と径方向の接
合部分を一体で構成したり、この部分の圧力室側を切削
したりするものに比べて、圧力室36の吸気バルブ用カ
ムシャフト12の軸方向の角部19a、19b、19
c、19dの垂直を簡単に且つ正確に形成することがで
きる。上記の実施の形態においては、進角油圧室54、
56、58、60、62と遅角油圧室64、66、6
8、70、72との間にそれぞれベーン52を介在させ
て、ベーン52の両側に位置する進角油圧室と遅角油圧
室との油圧差によってベーン52を回転させてタイミン
グプーリ14と吸気バルブ用カムシャフト12との位相
を変化するものであることから、角部19a、19b、
19c、19dの垂直を形成すること及びこの角部19
a、19b、19c、19dに対応するベーン52の形
状は厳密に90度の角度を備え、ベーン52の外周から
オイルが漏れることのない構成とすることが重要であ
る。
【0023】
【発明の効果】上記した請求項1の発明によれば、ピン
を保持する支持孔に隣接する圧力室の圧力作動室へ流体
を吸排する流体通路に絞り機構を配置したことにより、
受容孔からピンの挿入を解除するオイルがピンを収容す
る支持孔に隣接する圧力作動室へ流れ込むことを防止す
ることができ、オイルの圧力を効果的に受容孔からピン
の挿入を解除する力として作用させることができる。つ
いては、回転伝達部材と回転軸との相対回転に先立って
ピンの係合が解除され、ピンが回転伝達部材と回転軸と
によって挟まれることが防止できる。
【0024】請求項2の発明によれば、絞り機構を、支
持孔に隣接する2つの圧力室の圧力作動室へ流体を吸排
する流体通路に設けたことにより、支持孔の両側の圧力
室の圧力作動室へ流体を吸排する流体通路に絞り機構が
設けられ、受容孔からピンの挿入を解除するオイルを確
実にピンに作用させることができる。
【0025】請求項3の発明によれば、絞り機構を、回
転伝達部材と回転軸との所定量の相対回転により、支持
孔に隣接する圧力室の圧力作動室と流体通路とが連通す
る構成としたので、ピンが受容孔に挿入された位置にお
いては、流体通路のオイルは支持孔に隣接する圧力作動
室へ流れ込むことができず、流体通路のオイルによって
受容孔に挿入されたピンが解除された後に、回転伝達部
材と回転軸とが所定の量の相対回転が行われて、支持孔
に隣接する圧力室の圧力作動室と流体通路とが連通する
ので、回転伝達部材と回転軸との相対回転よりも前にピ
ンが受容孔から解除することができる。また、ピンが受
容孔に挿入される直前に圧力作動室と流体通路との連通
が遮断されることにより、圧力作動室に残ったオイルが
ベーンの回転の緩衝油となってベーンが圧力室の壁に当
接して発生する打音を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態である弁開閉時期制御装置
の断面を示したものである。
【図2】図1のA−A断面図を示したもので、カムシャ
フトが最遅角位置にある状態を示したものである。
【図3】図1のA−A断面図を示したもので、カムシャ
フトが最進角位置にある状態を示したものである。
【図4】本発明の従来技術の弁開閉時期制御装置を示し
たものである。
【図5】図4のC−C断面図を示したものである。
【符号の説明】
10・・・弁開閉時期制御装置 12・・・カムシャフト(回転軸) 14・・・タイミングプーリ(回転伝達部材) 28・・・進角油路(流体通路) 30・・・遅角油路(流体通路) 36・・・仕切壁 38・・・圧力室 40・・・支持孔 44・・・スライドピン(ピン) 50・・・スプリング 52・・・ベーン 54、56、58、60、62・・・進角油圧室(圧力
作動室) 64、66、68、70、72・・・遅角油圧室(圧力
作動室) 98・・・受容孔

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内周部に複数の圧力室を形成する仕切壁
    を備えた回転伝達部材と、該回転伝達部材の内周に配置
    し前記圧力室を区画するベーンを取り付けた吸気弁又は
    排気弁を開閉させる回転軸と、前記ベーンで区画される
    圧力室をそれぞれ圧力作動室とし該圧力作動室へ流体を
    吸排するそれぞれの流体通路と、前記回転軸に設けた受
    容孔に前記回転伝達部材の前記圧力室の間に設けた支持
    孔に収容され付勢手段によって付勢されたピンを挿入し
    て前記回転伝達部材と前記回転軸の位相を保持し、前記
    ピンに前記回転軸側から前記流体通路の流体を供給して
    前記ピンの挿入を解除し前記回転伝達部材と前記回転軸
    の相対回転を許容する位相保持機構からなる弁開閉時期
    制御装置において、 前記支持孔に隣接する前記圧力室の前記圧力作動室へ流
    体を吸排する前記流体通路に絞り機構を配置したことを
    特徴とする弁開閉時期制御装置。
  2. 【請求項2】 前記絞り機構は、前記支持孔に隣接する
    2つの前記圧力室の前記圧力作動室へ流体を吸排する前
    記流体通路に設けたことを特徴とする請求項1記載の弁
    開閉時期制御装置。
  3. 【請求項3】 前記絞り機構は、前記回転伝達部材と前
    記回転軸との所定量の相対回転により、前記支持孔に隣
    接する前記圧力室の前記圧力作動室と前記流体通路とが
    連通することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の
    弁開閉時期制御装置。
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