JP3973850B2 - 内燃機関のバルブタイミング制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の吸気弁や排気弁の開閉タイミングを運転条件に応じて制御するためのバルブタイミング制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
内燃機関のクランクシャフトと同期回転するタイミングプーリやチェーンスプロケット等の駆動力伝達部材と、外周に駆動カムを有するカムシャフトとの組付角を回動操作することにより、吸気弁や排気弁の開閉タイミングを可変制御するバルブタイミング制御装置が従来より案出されており、この技術は、例えば、特開2000-186513号公報等に開示されている。
【0003】
この公報に記載のバルブタイミング制御装置は、カムシャフトの端部軸心部にベーン部材をカムボルトによって結合し、そのベーン部材を駆動力伝達部材と一体のハウジングの内部に収容配置すると共に、ハウジングの内部に進角油圧室及び遅角油圧室を設け、この各油圧室に選択的に油圧を給排することによってベーン部材をハウジングに対して相対的に回動させ、それにより駆動力伝達部材とカムシャフトの回転位相を変化させて吸気弁や排気弁の開閉タイミングを変更するようになっている。
【0004】
また、この公報に記載のバルブタイミング制御装置は、図6に示すように、2系統の給排通路1,2がカムシャフト3からベーン部材4にかけて形成されており、このうちの一方の給排通路1はカムボルト挿通孔5を利用して形成されている。
【0005】
即ち、カムボルト挿通孔5はベーン部材4からカムシャフト3の前端部付近までの内径がカムボルト8の外径よりも設定径大きく形成されており、このカムボルト挿通孔5とカムボルト8の外周面の間の環状隙間が、シリンダヘッド部分のの給排路9と、ベーン部材4部分の径方向孔7(進角油圧室または遅角油圧室に連通。)とを接続する軸方向孔6とされている。
【0006】
このバルブタイミング制御装置においては、一方の給排通路1の一部をカムボルト挿通孔5を利用して形成することから、加工工数を少なくして製造コストの削減を図ることができ、また、カムボルト8自体に通路を形成しなくて良いことから、カムボルト8の充分な強度を確保することができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、この従来のバルブタイミング制御装置は、一方の給排通路1の一部にカムボルト挿通孔5を利用する分、通路形成のための加工工数を少なくできるものの、カムシャフト3には他方の給排通路2を形成するために別途軸方向に沿った孔あけ加工を施さなければならない。このため、加工コストの削減の観点からは未だ充分ではなく、さらなる改善が望まれている。
【0008】
そこで、本出願人は、図7に示すように、カムシャフト10の少なくとも前端部を中空構造とし、そのカムシャフト10の前端部に、両端を残し中間部が縮径した通路形成用のチューブ11を嵌合固定することにより、そのチューブ11の内側と外側に2系統の給排通路12,13を形成するようにしたバルブタイミング制御装置を開発している。
【0009】
この装置についてさらに説明すると、カムシャフト10の前端部はベーン部材14の凹部15に嵌合固定されており、カムシャフト10の外周面のうちの、シリンダヘッド16のカムジャーナル17に支持される部位には、カムシャフト10内のチューブ11よりも後方側の空間に連通する第1ポート18と、カムシャフト10の内周面とチューブ11の外周面の間の環状空間19に連通する第2ポート20が設けられている。そして、第1ポート18は、チューブ11の内側空間とカムシャフト10の前端開口部を通って進角油圧室と遅角油圧室(図示せず。)の一方に連通する第1給排通路12に連続し、第2ポート20は、前記環状空間19からカムシャフト10の前端部外周の貫通孔21を通り、さらに同シャフト10とベーン部材14の凹部15の間に形成された環状溝22を通って進角油圧室と遅角油圧室の他方に連通する第2給排通路13に連続している。
【0010】
ところで、カムシャフト10とベーン部材14は予め正確に位置決めしておく必要があるが、この現在開発を行っている装置の場合、カムシャフト10とベーン部材14の回転方向の位置決めを行う位置決めピン23をカムシャフト10の前端部に軸方向に沿わせて配置することが難しい。即ち、この装置においては、カムシャフト10の前端部が中空構造であることから、カムシャフト10の前端面に、ピン係合のための充分なスペースを確保することができない。このため、位置決めピン23はベーン部材14の基部側外周面からカムシャフト10の前端部外周面に向けて径方向に沿わせて打ち込むようにしている。
【0011】
しかし、このバルブタイミング制御装置は、ベーン部材14とカムシャフト10の軸方向の嵌合代が限られていることから、ベーン部材14に形成される環状溝22と位置決めピン23の係合孔24とがどうしても軸方向で近接してしまい、環状溝22と係合孔24の間に充分なシール代を確保することができない。このため、バルブタイミングの変更操作時に第2給排通路13に高圧の作動油が導入されたときに環状溝22から係合孔24に作動油が漏れ易くなり、このとき作動油の漏れ量が多くなると、機関弁からの反力(交番トルク)がベーン部材14を回転方向前後に押し動かすように作用したときにベーン部材14がその反力を受けてバタつき、作動応答性が低下してしまう。
【0012】
そこで本発明は、環状溝から位置決めピンの係合孔に作動油が漏れ出る場合であっても、その漏れがバルタイミング変更操作にできる限り影響を与えないようにして、作動応答性の低下を防止することのできる内燃機関のバルブタイミング制御装置を提供しようとするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するための手段として、本発明は、内燃機関のクランクシャフトによって駆動される駆動力伝達部材と、この駆動力伝達部材と一体化されて回転するハウジングと、このハウジングから動力を伝達されて機関弁を作動させるカムシャフトと一体に結合された状態で、前記ハウジング内に収容されたベーン部材と、前記ハウジング内に設けられ、油圧によって前記ベーン部材を回動させる進角油圧室及び遅角油圧室と、を備え、前記ベーン部材には、カムシャフトの先端部が嵌合される凹部が形成され、カムシャフトは少なくともその前端部が中空構造とされると共に、その前端部に、両端を残し中間部が縮径した通路形成用のチューブが嵌合固定され、前記カムシャフトからベーン部材にかけては、前記チューブの内側空間を通って進角油圧室と遅角油圧室の一方と連通する第1給排通路が形成されると共に、カムシャフトの内周面と前記チューブの外周面の間の環状空間からカムシャフトの前端部外周面を貫通して通り抜け、このカムシャフトの前端部外周面とベーン部材の間に形成された環状溝を通って進角油圧室と遅角油圧室の他方に連通する第2給排通路が形成された内燃機関のバルブタイミング制御装置であって、前記第1給排通路を進角油圧室側に接続し、第2給排通路を遅角油圧室側に接続するようにした。
【0014】
機関の運転中には、バルブスプリングのばね力に起因する交番トルクがカムシャフトを通してベーン部材を回転方向前後に押し動かすように作用する。そして、この交番トルクは、カム面のフリクション等が関係し、遅角方向に作用するトルク成分が進角方向に作用するトルク成分よりも大きくなる。したがって、バルブタイミングを進角側に変更するときには、遅角方向の大きなトルク成分に抗してベーン部材を油圧作動させる必要があるが、バルブタイミングを遅角側に変更するときには、遅角方向の大きなトルク成分が逆にアシスト力として機能する。
【0015】
この発明の場合、前記遅角側のトルク成分が遅角側回動制御時にベーン部材を遅角側に大きく押し動かすように作用することから、この作用によって前記環状溝からの作動油の漏れが生じた際の作動遅れを補うことができる。したがって、このとき第2給排通路の環状溝から作動油が漏れ出たとしても、バルブタイミングの変更操作には影響が少ない。
【0016】
また、このバルブタイミング制御装置を吸気弁側のカムシャフトに適用する場合には、シリンダヘッドの前端部側のカムジャーナルとカムシャフトの間に設けられた環状溝を通して第1,第2吸排通路に作動油の給排を行い、機関始動時に吸気弁の開閉タイミングを遅角側に制御するようにしても良い。
【0017】
この場合、機関始動時には、吸気弁の開閉タイミングを遅角側に制御するために第2給排通路に高圧の作動油が供給され、その作動油の一部はカムジャーナルとカムシャフトの間の環状溝から漏れ出て、カムジャーナルの潤滑に供される。ここで、第2給排通路側の環状溝は、チューブの外周側の環状空間に接続されることから、第1給排通路側の環状溝よりもカムジャーナルの前端部側に位置されている。したがって、機関始動時には前記環状溝を通してジャーナルの前端部側に作動油が確実に供給される。
【0018】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の一実施形態を図1〜図5に基づいて説明する。
【0019】
図1において、31は、エンジンの吸気側のカムシャフトであり、このカムシャフト31は、シリンダヘッド32にカムジャーナル33を介して回転自在に支持されると共に、その基幹部外周に吸気弁(機関弁)を開閉するための駆動カム34が設けられている。
【0020】
本発明にかかるバルブタイミング制御装置は、タイミングチェーン(図示せず。)を介してクランクシャフト(図示せず。)によって回転駆動される駆動力伝達部材としてのチェーンスプロケット35と、このチェーンスプロケット35が外周面に一体に形成されたハウジング36と、一端部にこのハウジング36が必要に応じて回動できるように組み付けられた前記カムシャフト31と、このカムシャフト31の前端部に一体に組み付けられ前記ハウジング36の内部に回動自在に収容されたベーン部材37と、このベーン部材37をエンジンの運転状態に応じて油圧によって正逆回転(ハウジング36に対して相対回転。)させる油圧給排手段38と、吸気弁からの反力によるベーン部材37の変動を規制するロック機構39と、を備えている。
【0021】
前記ハウジング36は、図3,図4に示すように、内周面にほぼ90°間隔で断面台形状の仕切壁40が4つ突設された略円筒状のハウジング本体41と、このハウジング本体41の前端側に配置されたフロントカバー42(図1参照。)と、ハウジング本体41の後端側に配置され、外周面に前記チェーンスプロケット35が一体に形成されたリヤカバー43とを備え、これらの部材が複数のボルト44によって結合されている。
【0022】
一方、前記ベーン部材37は、略円柱状の胴部45と、この胴部45の外周面に放射状に突設された4つの羽根部46を備えており、胴部45はハウジング36の軸心位置に配置され、各羽根部46はハウジング36の隣接する仕切壁40,40の間に配置されている。そして、ベーン部材37の各羽根部46の一方側の側面とそれに対峙する仕切壁40の間は進角油圧室47とされ、各羽根部46の他方側の側面とそれに対峙する仕切壁40の間は遅角油圧室48とされている。
【0023】
また、図1に示すように、ベーン部材37の胴部45の軸心位置にはカムボルト挿通孔49が形成され、胴部45の後面側にはカムボルト挿通孔49に連続するように凹部50が形成されている。ベーン部材37は、この凹部50をカムシャフト31の前端部に嵌合し、その状態において同シャフト31にカムボルト51によって結合されている。
【0024】
カムシャフト31は中空状に形成され、その先端部から所定距離離間した位置には螺合用プラグ52が圧入固定されている。このプラグ52はカムボルト51の先端部をカムシャフト31にねじ止めするためのものであり、その軸心部にはねじ穴が設けられている。また、カムシャフト31の先端の中空部内には、両端を残し中間部が縮径した通路形成用のチューブ53が圧入固定され、カムシャフト31の内周面とこのチューブ53の間に環状空間54が形成されている。そして、シリンダヘッドのカムジャーナル33部分には軸方向に離間して一対の環状溝55,56が設けられており、カムシャフト31のこれらの環状溝55,56に臨む部位には、チューブ53の後方位置から同チューブ53の内側空間に連通する第1ポート57と、チューブ53の外側の環状空間54に連通する第2ポート58が形成されている。
【0025】
前記チューブ53の内側空間は、カムシャフト31の先端部を介してベーン部材37のカムボルト挿通孔49に連通し、図3に示すように、この挿通孔49から略放射方向に延出する径方向孔59を介してさらに各進角油圧室47に連通している。尚、ベーン部材37のカムボルト挿通孔49には、図3に示すように、その内周面に沿って複数のガイドブロック60…が突設され、この各ガイドブロック60…がカムボルト挿入時のガイドとして機能すると共に、隣接するガイドブロック60,60間の溝が、カムボルト51の軸部との間で作動油の流通路を成すようになっている。また、カムボルト挿通孔49の前端部はカムボルト51の頭部によって閉塞されている。
【0026】
また、ベーン部材37の凹部50の内壁には環状溝61が形成されており、この環状溝61は、カムシャフト31の前端部の周壁に形成された貫通孔62を介して前記チューブ53の外周側の環状空間54に連通する一方で、ベーン部材37に形成された径方向孔63を介して各遅角油圧室48(図4参照。)に連通している。
【0027】
したがって、カムシャフト31からベーン部材37にかけては2系統の給排通路が形成されており、チューブ53の内側空間からボルト挿通孔49と径方向孔59を介して進角油圧室47に至る通路が本発明における第1給排通路a1を構成し、チューブ53の外側の環状空間54から貫通孔62、環状溝61、径方向孔63を介して遅角油圧室48に至る通路が第2給排通路a2を構成している。
【0028】
また、ベーン部材37の凹部50の周壁には径方向に貫通する係合孔64が形成されており、この係合孔64を通してカムシャフト31の外周面に位置決めピン65が打ち込まれると共に、この位置決めピン65の基部が係合孔64と係合されるようになっている。そして、係合孔64の形成位置はカムシャフト31とベーン部材37の嵌合代の関係上、環状溝61に隣接した位置となっている。
【0029】
一方、油圧給排手段38は、前記第1,第2給排通路a1,a2を供給通路66とドレン通路67に選択的に切換える電磁切換弁68と、この電磁切換弁68を機関運転状態に応じて制御するコントローラ69を備えている。供給通路66にはオイルパン70内の作動油を圧送するオイルポンプ71が設けられており、ドレン通路67の端部はオイルパン70内に連通している。また、コントローラ69には、機関回転数、機関の負荷、水温等の機関の運転状態を示す各種信号が入力されるようになっている。
【0030】
尚、図中72は、カムシャフト31の回転位置を検出するために、ベーン部材37の先端側の突出部に設けられたターゲットプレートである。
【0031】
このバルブタイミング制御装置は以上のような構成であるため、機関の始動時には、ベーン部材37が、図3,図4に示すようにハウジング36に対して遅角側に回動した状態でロック機構39によってロックされており、チェーンスプロケット35の回転はその状態においてカムシャフト31に伝達される。したがって、このときカムシャフト31は遅角タイミングで吸気弁を開閉することとなる。
【0032】
また、このとき電磁切換弁68は、供給通路66を第2給排通路a2に、ドレン通路67を第1給排通路a1に夫々接続し、遅角作動室48に高圧の作動油を導入する。そして、このときカムジャーナル33の機関前端部側の環状溝56に高圧の作動油が導入されるため、この環状溝56から漏れ出た作動油がカムジャーナル33部分の潤滑、特に、その機関前端部寄り部分の潤滑に供される。したがって、バルブタイミング制御装置の質量によるモーメントが大きく作用するカムジャーナル33の前端部付近が機関の始動と共に即時に潤滑され、機関の始動性能の向上が図られる。
【0033】
また、この状態で機関が始動された後に、電磁切換弁68の切換え操作によって供給通路66が第1給排通路a1に、ドレン通路67が第2給排通路a2に夫々接続されると、このときロック機構39が油圧によって解除されると共に、高圧の作動油が第1給排通路a1を介して進角油圧室47に導入され、ベーン部材37は進角油圧室47の圧力を受けてハウジング36に対して進角側に回動する。この結果、カムシャフト31は進角タイミングで吸気弁を開閉することとなる。
【0034】
さらにまた、この状態から電磁切換弁68の操作により、逆に、供給通路66が第2給排通路a2に、ドレン通路67が第1給排通路a1に夫々切換接続されると、ベーン部材37が遅角油圧室48の高圧を受けてハウジング36に対して遅角側に回動し、カムシャフト31が遅角タイミングで吸気弁を開閉することとなる。
【0035】
このとき、第2給排通路a2に導入された高圧の作動油は、カムシャフト31の前端部外周の環状溝61から、ベーン部材37の凹部50とカムシャフトの嵌合隙間を通り、隣接する位置決めピン65の係合孔64からベーン部材37の外部に僅かずつ漏れ出す。したがって、この漏れによって遅角作動室48の油圧の立ち上がりが遅れるが、この遅角側の回動制御時には、吸気弁からカムシャフト31に作用する交番トルクのうちの遅角側の大きなトルク成分がアシスト力として作用する。
【0036】
即ち、カムシャフト31に作用する交番トルクは、カム面の摩擦抵抗等が関係して、図5に示すように遅角側のトルク成分が進角側のトルク成分に対して絶対的に大きくなっている。したがって、この遅角側のトルク成分は、遅角側回動制御時にベーン部材37を遅角側に大きく押し動かすように作用し、この作用が前記環状溝61からの作動油の漏れによる作動遅れを補うこととなる。
【0037】
よって、このバルブタイミング制御装置においては、進角側、遅角側のいずれにバルブタイミングを変更する場合であっても、速やかな作動が可能になる。
【0038】
尚、本発明の実施形態は、以上で説明したものに限るものでなく、例えば、バルブタイミング制御装置は吸気側のカムシャフトではなく、排気側のカムシャフトに適用することも可能である。
【0039】
【発明の効果】
以上のように本発明は、第2給排通路に対しては、高圧の作動油を遅角側制御時に導入するようにしたため、遅角側制御時の作動油の漏れによるベーン部材の作動遅れを、交番トルクの遅角方向の大きなトルク成分によるアシスト力によって補い、進角,遅角のいずれの側のバルブタイミング変更時においても作動応答性の低下を無くすことができる。
【0040】
また、このバルブタイミング制御装置を吸気弁側のカムシャフトに適用し、シリンダヘッドの前端部側のカムジャーナルとカムシャフトの間に設けられた環状溝を通して第1,第2吸排通路に作動油の給排を行うようにした場合には、機関の始動時に、この装置が取付けられるカムジャーナルの前端部側に作動油を即時に供給し、同装置の質量によるモーメントが最も大きく作用する部分の潤滑を確実に行うことができる。したがって、機関始動時の摩擦抵抗をより少なくし、機関の始動性能を高めることができるという、さらなる効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す図2のD−D線に沿う断面図。
【図2】同実施形態を示す図1のC矢視図。
【図3】同実施形態を示す図1のA−A線に沿う断面図。
【図4】同実施形態を示す図1のB−B線に沿う断面図。
【図5】機関弁からカムシャフトに作用するトルクの変化を示すグラフ。
【図6】従来の技術を示す断面図。
【図7】現在開発中の技術を示す断面図。
【符号の説明】
31…カムシャフト
33…カムジャーナル
35…チェーンスプロケット(駆動力伝達部材)
36…ハウジング
37…ベーン部材
38…油圧給排手段
47…進角油圧室
48…遅角油圧室
50…凹部
53…チューブ
55,56…環状溝
61…環状溝
64…係合孔
65…位置決めピン
a1…第1給排通路
a2…第2給排通路
Claims (3)
- 内燃機関のクランクシャフトによって駆動される駆動力伝達部材と、
この駆動力伝達部材と一体化されて回転するハウジングと、
このハウジングから動力を伝達されて機関弁を作動させるカムシャフトと一体に結合された状態で、前記ハウジング内に収容されたベーン部材と、
前記ハウジング内に設けられ、油圧によって前記ベーン部材を回動させる進角油圧室及び遅角油圧室と、を備え、
前記ベーン部材には、カムシャフトの先端部が嵌合される凹部が形成され、カムシャフトは少なくともその前端部が中空構造とされると共に、その前端部に、両端を残し中間部が縮径した通路形成用のチューブが嵌合固定され、
前記カムシャフトからベーン部材にかけては、前記チューブの内側空間を通って進角油圧室と遅角油圧室の一方と連通する第1給排通路が形成されると共に、カムシャフトの内周面と前記チューブの外周面の間の環状空間からカムシャフトの前端部外周面を貫通して通り抜け、このカムシャフトの前端部外周面とベーン部材の間に形成された環状溝を通って進角油圧室と遅角油圧室の他方に連通する第2給排通路が形成された内燃機関のバルブタイミング制御装置であって、
前記第1給排通路を進角油圧室側に接続し、第2給排通路を遅角油圧室側に接続したことを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。 - シリンダヘッドの前端部側のカムジャーナルと吸気弁作動用のカムシャフトの間に設けられた環状溝を通して前記第1,第2吸排通路に作動油の給排を行い、機関始動時に吸気弁の開閉タイミングを遅角側に制御するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置。
- 前記ベーン部材には、前記カムシャフトの前端部外周面に向けて径方向に打ち込まれる位置決めピンの係合する係合孔が前記環状溝に近接して設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置。
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