JPH0930285A - 四輪駆動車 - Google Patents

四輪駆動車

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JPH0930285A
JPH0930285A JP18389695A JP18389695A JPH0930285A JP H0930285 A JPH0930285 A JP H0930285A JP 18389695 A JP18389695 A JP 18389695A JP 18389695 A JP18389695 A JP 18389695A JP H0930285 A JPH0930285 A JP H0930285A
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drive
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vehicle
driving force
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Tomoyuki Hara
智之 原
Toshiharu Takasaki
俊治 高崎
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Nissan Motor Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】副駆動車輪と駆動伝達経路との切り離し動及び
結合動作を行うホイールクラッチ機構が異常状態となっ
ていることを検出する四輪駆動車を提供する。 【解決手段】第1から第3の回転数検出手段105〜1
08により主推進軸32、副推進軸26及びホイールク
ラッチ機構18a18bより副駆動車輪側12FL、12
FR側の前記駆動力伝達経路の回転数を検出する。そし
て、駆動力配分制御手段16により副推進軸への駆動力
配分比を零として車両を2輪駆動状態としたときに、ホ
イールクラッチ制御手段23の制御によりホイールクラ
ッチ機構の結合動作を一度だけ行う。そして、ホイール
クラッチ機構の結合動作を行っているときに、第1から
第3の回転数検出手段の検出結果を比較してそれらの検
出結果が不一致である場合には、異常診断手段によりホ
イールクラッチ機構の結合動作が異常状態であると診断
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、2輪駆動状態に切
り換え可能なパートタイム式の四輪駆動車に関し、特
に、副駆動車輪と駆動伝達経路との切り離し動作及び結
合動作を行うホイールクラッチ機構を備えた四輪駆動車
に関する。
【0002】
【従来の技術】パートタイム式の四輪駆動車に搭載され
るホイールクラッチ機構の従来技術として、例えば、特
開平1−81122号公報に記載されたフリーホイール
ハブクラッチが知られている(以下、従来技術1と称す
る。)。この従来技術1は、駆動力配分装置(トランス
ファ)から回転駆動力が伝達される副駆動車輪側のドラ
イブシャフトと、このドライブシャフトの外側に同軸に
配置されると共に車輪ハブに固定されたハウジングと、
このハウジングと前記ドライブシャフトとを結合可能と
する位置まで軸方向移動自在とされたスライドギヤと、
このスライドギヤを軸方向に移動させて前記ハウジング
及び前記ドライブシャフトを結合させる移動機構と、こ
の移動機構を作動させる電動機とを備えた電動式のフリ
ーホーイルハブクラッチである。そして、車両が4輪駆
動モードを選択すると、移動機構の正作動によりハウジ
ングと前記ドライブシャフトとを結合する位置までスラ
イドギヤが移動し、トランスファから伝達された駆動力
が、ドライブシャフト、スライドギヤ、ハウジングを介
して副駆動車輪に伝達される。また、車両が2輪駆動モ
ードを選択すると、移動機構の逆作動によりハウジング
及び前記ドライブシャフトを結合位置から離間移動さ
せ、副駆動車輪とドライブシャフトとを切り離し、副駆
動車輪からドライブシャフトへの回転力伝達経路が遮断
される。
【0003】また、他の従来技術として、PAJERO
新型車解説書(三菱自動車(株)1991年1月発
行)のプロペラシャフトの欄(2−28〜2−33)に
記載されているフリーホイールクラッチも知られている
(以下、従来技術2と称する。)。この従来技術2は、
副駆動輪側(この従来例では前輪側)のデファレンシャ
ルギヤとドライブシャフトとの間にドグクラッチ形式の
クラッチ機構が配設され、負圧で作動する流体式アクチ
ュエータの作動によってドグ歯どうしの噛み合いを制御
する。そして、車両が4輪駆動状態を選択すると、デフ
ァレンシャルギヤ側のドグ歯とドライシャフト側のドグ
歯との結合動作が行われ、トランスファから伝達された
駆動力が、デファレンシャルギヤ、クラッチ機構、ドラ
イブシャフトを介して副駆動車輪に伝達される。また、
車両が2輪駆動状態を選択すると、デファレンシャルギ
ヤ側のドグ歯とドライシャフト側のドグ歯との切り離し
動作が行われ、副駆動車輪からドライブシャフトへの回
転力伝達経路が遮断されるようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、車両が4輪
駆動状態を選択した際に、何等かの原因によりクラッチ
の操作系に異常が発生してホイールクラッチ機構が副駆
動車輪と駆動力伝達系側とを結合する動作を行わない場
合には、運転者の認識が実際と相違することになる。
【0005】しかしながら、上記従来技術1、2は、若
しクラッチの操作系に異常が発生しても(例えば従来技
術1では移動機構や電動機、従来技術2では流体式アク
ーチュエータ)、それら異常を検出して運転者に知らせ
る手段について何等記載がされていない。本発明は上記
事情に鑑みてなされたものであり、ホイールクラッチ機
構が異常状態となっていることを診断することが可能な
四輪駆動車を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1記載の
四輪駆動車は、車両の前後輪の何れか一方を主駆動車輪
とし、他方を副駆動車輪として、変速機から伝達された
駆動力を主推進軸及び副推進軸を介して前記主駆動車輪
及び前記副駆動車輪に所定の駆動力配分比で配分する駆
動力配分調整手段と、前記副推進軸と前記副駆動車輪と
の間の駆動力伝達経路の切り離し動作及び結合動作を行
うドグクラッチ形式のホイールクラッチ機構と、前記主
駆動車輪及び副駆動車輪の駆動力配分比を設定して前記
駆動力配分調整手段を制御する駆動力配分制御手段と、
前記ホイールクラッチ機構の切り離し動作及び結合動作
を制御するホイールクラッチ制御手段とを備えた四輪駆
動車において、前記主推進軸と前記主駆動車輪側との間
の主駆動力伝達経路の回転数を検出する第1の回転数検
出手段と、前記ホイールクラッチ機構より前記副推進軸
側の副駆動力伝達経路の回転数を検出する第2の回転数
検出手段と、前記ホイールクラッチ機構より前記副駆動
車輪側の副駆動力伝達経路の回転数を検出する第3の回
転数検出手段とを備えるとともに、前記駆動力配分制御
手段により前記副駆動車輪への駆動力配分比を零として
車両を2輪駆動状態としたときに、前記ホイールクラッ
チ制御手段の制御により前記ホイールクラッチ機構の結
合動作を行う結合動作開始手段と、該結合動作開始手段
により前記ホイールクラッチ機構の結合動作を行ってい
るときに、前記第1から第3の回転数検出手段の検出結
果を比較してそれらの検出結果が不一致である場合には
前記ホイールクラッチ機構の結合動作が異常状態である
と診断する異常診断手段とを備えたことを特徴とする。
【0007】また、請求項2記載の発明は、請求項1記
載の四輪駆動車において、前記前記結合動作開始手段に
より、前記ホイールクラッチ機構の結合動作を一度だけ
行うことを特徴とする。また、請求項3記載の発明は、
請求項1又は2記載の四輪駆動車において、車速を判定
する車速判定手段を設け、該車速判定手段により車両が
停止状態であると判定したときに、前記結合動作開始手
段による前記ホイールクラッチ機構の結合動作を開始す
ることを特徴とする。
【0008】さらに、請求項4記載の発明は、請求項3
記載の四輪駆動車において、前記第1から第3の回転数
検出手段により検出される回転数が変動の少ない安定し
た値となる低速の基準車速を予め設定しておき、前記車
速判定手段により前記車両の車速が前記基準車速に達し
たときに、前記異常診断手段による前記ホイールクラッ
チ機構の結合動作の診断を開始するとともに、該異常診
断手段により該ホイールクラッチ機構が正常状態である
と判断した後に、このホイールクラッチ機構の切り離し
動作を行うことを特徴とする。
【0009】本発明の請求項1記載の四輪駆動車によれ
ば、ホイールクラッチ機構が切り離し動作を継続した状
態で異常となっている場合には、車両が2輪状態を選択
しているときに、結合動作開始手段によりホイールクラ
ッチ機構の結合動作を一度だけ行い、異常診断手段によ
り第1から第3の回転数検出手段から得られる回転数検
出値の比較演算を行う。そして、ホイールクラッチ機構
が切り離し動作を継続していると、ホイールクラッチ機
構より副推進軸側の副駆動力伝達経路の回転数を検出し
ている第2の回転数検出手段の検出値が零となる。これ
により、異常診断手段は、ホイールクラッチ機構が結合
動作を行っておらず異常状態であると診断する。
【0010】また、請求項2記載の四輪駆動車によれ
ば、結合動作開始手段は車両が2輪駆動状態を選択して
いるときに一度だけしか行わないので、副駆動車輪から
副推進軸側への回転力伝達経路が遮断され、副駆動車輪
の回転による連れ回り回転が確実に防止され、燃費の向
上や振動騒音の防止が図られる。また、請求項3記載の
四輪駆動車によれば、車両の停止状態ではホイールクラ
ッチ機構より副駆動車輪側の駆動力伝達経路とホイール
クラッチ機構より副推進軸側の駆動力伝達経路とに回転
数差が発生しない。そのため、車両の停止状態おいてホ
イールクラッチ機構の結合動作を行うと、ドグクラッチ
どうしの噛合動作が容易となる。
【0011】また、請求項4記載の四輪駆動車によれ
ば、異常診断手段により行われる第1から第3の回転数
検出手段で得られた回転数検出値の比較は、それら回転
数検出値が安定した値となる基準車速に達したときに行
われるので、ホイールクラッチ機構の正常状態若しくは
異常状態の判断がさらに高精度に行われる。さらに、異
常診断手段によりホイールクラッチ機構が正常状態であ
ると判断した後、ホイールクラッチ機構の切り離し動作
が行われるので、さらに燃費の向上や振動騒音の防止が
図られる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、この発明の一実施形態を図
面を参照して説明する。図2に示すものは、FR(フロ
ントエンジン,リヤドライブ)方式をベースにしたパー
トタイム四輪駆動車であり、回転駆動源としてのエンジ
ン10と、前左〜後右側の車輪12FL〜12RRと、車輪
12FL〜12RRへの駆動力配分比を変更可能な駆動力伝
達系14と、駆動力伝達系14による駆動力配分を制御
するために油圧を供給する油圧供給装置16と、2輪駆
動状態若しくは4輪駆動状態において前輪側車輪(副駆
動車輪)12FL、12FRと駆動力伝達系14との切り離
し動作及び結合動作を行うエアー式のフリーホイールハ
ブクラッチ機構(以下、ホイールクラッチ機構と言
う。)18a、18bと、ホイールクラッチ機構18
a、18bの断続動作制御を行うために作動空気を供給
するエア供給装置23と、油圧供給装置16及びエア供
給装置23を制御するコントローラ22とを備えた車両
である。
【0013】駆動力伝達系14は、エンジン10からの
駆動力を選択された歯車比で変速する自動変速機20
と、この自動変速機20からの駆動力を前左右側の車輪
12FL、12FR及び後左右側の車輪12RL、12RR側に
分割するトランスファ(駆動力配分調整手段)24とを
有している。そして、駆動力伝達系14では、トランス
ファ24で分割された前輪駆動力が前輪側プロペラシャ
フト(副推進軸)26、フロントディファレンシャルギ
ヤ28及び前左右側のドライブシャフト30a、30b
を介して前左右側の車輪12FL、12FRに伝達される。
一方、トランスファ24から伝達された後輪側駆動力
は、後輪側プロペラシャフト(主推進軸)32、リアデ
ィファレンシャルギヤ34及び後左右側のドライブシャ
フト36a、36bを介して後左右側の車輪12RL、1
2RRに伝達される。そして、前左側のドライブシャフト
30aと前左側の車輪12FLとの間、前右側のドライブ
シャフト30bと前右側の車輪12FRとの間には、それ
ぞれホイールクラッチ機構18a、18bが装着されて
いる。
【0014】トランスファ24は、図3に示すように、
そのケーシング内部に自動変速機20の出力軸と同軸に
結合された第1出力軸44がベアリング等によって回転
自在に支持されている。そして、この第1出力軸44
は、後輪側プロペラシャフト32と同軸に結合してい
る。また、ケーシング内部には、第1出力軸44と平行
配置された第2出力軸54がベアリング等により回転自
在に支持されている。この第2出力軸54は、前輪側プ
ロペラシャフト26と結合している。
【0015】そして、第1出力軸44及び第2出力軸5
4間には、前後輪に対する駆動力配分比を変更する摩擦
クラッチ66と、第1出力軸44に軸受を介して回転自
在に支持された第1スプロケット68と、第2出力軸5
4と同軸に結合された第2スプロケット70と、第1及
び第2スプロケット60、70間に巻装さたチェーン7
2とで構成された2輪−4輪駆動切換機構60が配設さ
れている。
【0016】摩擦クラッチ66は、図3に示すように、
第1スプロケット68に結合されたクラッチドラム66
aと、このクラッチドラム66aにスプライン結合され
たフリクションプレート66bと、第1入力軸44の外
周にスプライン結合されたクラッチハブ66cと、クラ
ッチハブ66cに一体結合されて前記フリクションプレ
ート間に配設されたフリクションディスク66dと、ケ
ーシングの内壁に装着されてフリクションディスク66
dをフリクションプレート66bに当接させるクラッチ
ピストン66eと、フリクションディスク66d及びフ
リクションプレート66bの相互が離間するようにクラ
ッチピストン66eに付勢力を与えるリターンスプリン
グ66fと、オイルシリンダ室66gとを備えている。
そして、油圧供給装置16から所定のクラッチ圧PC
制御された作動油がトランスファ24のオイルシリンダ
室66gに供給されることにより、フリクションディス
ク66d及びフリクションプレート66bの当接による
接続、若しくは相互の離間による切り離し動作が行われ
るようになっている。
【0017】また、油圧供給装置16は、図3に示すよ
うに、第1出力軸44と直結して回転駆動する正逆回転
形のオイルポンプ50を油圧源としている。このオイル
ポンプ50は、オイルタンク51内の作動油をストレー
ナ52を介して吸入して吐出側配管53に吐出する。ま
た、この吐出配管53には、バネ付き逆止弁55からな
るリリーフ路の一端が接続されており、このリリーフ路
の他端は潤滑系と接続している。また、オイルポンプ5
0より下流側には、デューティ制御電磁弁56が接続さ
れている。
【0018】このデューティ制御電磁弁56は、3ポー
ト2位置に構成されたスプリングオフセット型のソレノ
イド切換弁であり、ライン圧が供給される入力ポート5
Aと、トランスファ24側と接続する出力ポート56
B と、ドレインポート56Dとを有し、弁内部に配設さ
れたスプールが入力ポート56A を遮断し且つ出力ポー
ト56B をドレインポート56D に連通させるノーマル
位置56bと、入力ポート56A と出力ポート56B
を連通させ且つドレインポート56D を遮断する作動位
置56cとに移動制御される弁である。そして、コント
ローラ22からソレノイド56dに所要デューティ比の
励磁電流i1 が供給されると、その励磁電流iがオン状
態である区間リターンスプリング56eに抗してノーマ
ル位置56bから作動位置56cにスプールが移動制御
され、デューティ比に応じたクラッチ圧Pcがトランス
ファ24側に出力される。これにより、摩擦クラッチ6
6のオイルシリンダ室66g内に押圧力が発生し、この
押圧力によりクラッチピストン66eが移動して相互に
離間していたフリクションプレート66b及びフリクシ
ョンディスク66dが当接し、それらの摩擦力によりク
ラッチ圧Pcに応じたクラッチ締結力を付与する。これ
により、第1出力軸44の回転駆動力を、摩擦クラッチ
66のクラッチ締結力に応じた所定のトルク配分比で、
第1スプロケット68、チェーン72及び第2スプロケ
ット70を介して第2出力軸54に伝達する。
【0019】また、コントローラ22からの励磁電流i
1 がオフ状態となると、リターンスプリング56eの付
勢力によってノーマル位置56bに戻され、クラッチ圧
Pcがドレインポート56D を通じて消圧される。これ
により、トランスファ24に供給されるクラッチ圧Pc
が低下してリターンスプリング66fの付勢力によって
フリクションプレート66b及びフリクションディスク
66dが相互に離間すると、第1出力軸44の回転駆動
力は第2出力軸54に伝達されない。
【0020】一方、ホイールクラッチ機構18a、18
bは、以下に示す構造とされている。なお、ホイールク
ラッチ機構18a、18bは同一構造のため、左側に配
設されたホイールクラッチ機構18aについて説明す
る。図4に示すように、前左側のドライブシャフト30
aと、このドライブシャフト30aに内挿されたナック
ルスピンドル82との間には、軸受J1 を介して筒状の
ハブ84が介装されている。そして、ドライブシャフト
30aの先端部(右端部)の周面には、先端外周に外歯
86aを備えたドライブギヤ86が配設されている。そ
して、このドライブギヤ86はスナップリングS1 によ
り右側への軸方向移動が規制されている。また、このド
ライブギヤ86の基端側とハブ84との間に軸受J2
介装されている。
【0021】そして、ハブ84の右端側の外周面には、
雄スプライン84aが形成されている。また、このハブ
84の外周径と略同一内径を有する円筒状のハウジング
88の内周には、前記雌スプライン88aが形成されて
いる。そして、雄スプライン84a及び雌スプライン8
8aの互いの嵌合によりハブ84の右端側の外周面にハ
ウジング88が外嵌されるとともに、ボルト89及びナ
ット89aにより両者は一体化されている。
【0022】また、ハウジング88の雌スプライン88
aには、内歯90aを備えたスライドギヤ90が軸方向
に移動自在に嵌合されている。また、このスライドギヤ
90の右端には、このスライドギヤ90をドライブギヤ
86に向けて進退させるシシフトプレート100がスナ
ップリングS2 を介して固定されている。このシフトプ
レート100とハウジング88の右端側を閉塞するキャ
ップ102との間には、ダイヤフラム104及び押さえ
部材106を介してシフトプレート100を左側に押圧
するリターンスプリング108が装着されている。そし
て、シフトプレート100が右側に移動すると、スライ
ドギヤ90及びドライブギヤ86の噛合状態が解除され
る。また、シフトプレート100が左側に移動すると、
スライドギヤ90及びドライブギヤ86は噛み合う。
【0023】さらに、シフトプレート100に対して左
側の空間110には、ドライブシャフト30aの外周と
ハブ84の内周との間に形成した気体通路112を通過
してエア供給装置23から所定正圧PA の作動空気が供
給される。これにより、空間110は、エアシリンダ室
とされている(以下、エアシリンダ室110と称す
る)。
【0024】そして、エア供給装置23は、図2に示す
ように、電動モータ23aの駆動により所定圧PA の作
動空気を発生するエアポンプ23bを空圧源としてお
り、このエアポンプ23bの下流側に電磁比例制御形の
供給用電磁開閉弁23cが接続されている。この供給用
電磁開閉弁23cは、3ポート2位置に構成されたスプ
リングオフセット型のソレノイド切換弁であり、入力ポ
ート23A と、ホイールクラッチ機構18a、18bの
エアシリンダ室110と接続する出力ポート23 B と、
ドレインポート23D とを有している。そして、弁内部
に配設されたスプールが入力ポート23A を遮断し且つ
出力ポート23B をドレインポート23Dに連通させる
作動位置23c2 と、入力ポート23A と出力ポート2
B とを連通させ且つドレインポート23D を遮断する
ノーマル位置23c1 とに移動制御される弁である。そ
して、ノーマル位置23c1 では、エアシリンダ室11
0が作動空気圧PA の圧力とされて昇圧される。また、
コントローラ22からソレノイド23dに所定の電流i
2 が供給されると、その電流i2 が供給状態である区間
リターンスプリング23eに抗してノーマル位置23c
1 から作動位置23c 2 にスプールが移動制御されるこ
とにより、エアシリンダ室110の作動空気圧PA はド
レインポート23D を通じて消圧される。
【0025】これにより、上記構成のホイールクラッチ
機構18aは、エア供給装置23から所定圧PA の作動
空気が供給されると、気体通路112を通過して流れ込
む作動空気によりエアシリンダ室110が昇圧され、リ
ターンスプリング108の付勢力に抗する方向にシフト
プレート100が右側に移動する。これにより、スライ
ドギヤ90とドライブギヤ86との噛合状態が解除され
てハブ84がドライブシャフト30aと切り離された状
態となる(以下、この動作をハブフリー動作と称す
る。)。これにより、前左側の車輪12FLの回転は、前
左側のドライブシャフト30aに伝達されない。同様
に、前右側に配設されホイールクラッチ機構18bにエ
ア供給装置23から所定圧PA の作動空気が供給される
と、前右側の車輪12FRの回転は、前右側の前輪側ドラ
イブシャフト30bに伝達されない。
【0026】また、エア供給装置23からホイールクラ
ッチ機構18aへの作動空気供給を停止すると、エアシ
リンダ室110は大気圧状態となる。これにより、リタ
ーンスプリング108の付勢力によりシフトプレート1
00が左側に移動するので、スライドギヤ90がドライ
ブギヤ86に噛合してハブ84がドライブシャフト30
aに連結された状態となる(以下、この動作をハブロッ
ク動作と称する。)。これにより、ドライブシャフト3
0aの回転は、スライドギヤ90及びドライブギヤ86
を介してハウジング88に伝達され、このハウジング8
8を介して前左側の車輪12FLに伝達される。これによ
り、駆動輪となった前左側の車輪12FLに対してドライ
ブシャフト30aの回転駆動力が伝達可能とされる。同
様に、前右側に配設されホイールクラッチ機構18bへ
の作動空気の供給を停止すると、駆動輪となった前右側
の車輪12FRに対してドライブシャフト30bの回転駆
動力が伝達可能とされる。
【0027】また、運転席近傍には、2輪駆動モード及
び4輪駆動モードを選択するモード選択スイッチ104
が配設されている。このモード選択スイッチ104は、
2輪駆動モード(2WDモード)と、摩擦クラッチ66
を制御して前輪側への駆動力配分を0%から50%まで
変更する4輪駆動モード(4WDモード)の2つのモー
ドを選択可能に構成され、このモード選択スイッチ10
4から2輪駆動モードを選択したときに選択信号M2
オン状態となり、4輪駆動モードを選択したときに選択
信号M4 がオン状態となり、これら選択信号M
n (M2 、M4 )がコントローラ22に入力される。
【0028】また、前左右側の車輪12FL、12FRに
は、車輪の回転数を検出する左側前輪回転数センサ(第
3の回転数検出手段)105及び右側前輪回転数センサ
(第3の回転数検出手段)106が配設されている。ま
た、後輪側プロペラシャフト32には、その回転数を検
出する駆動軸回転数センサ(第1の回転数検出手段)1
07が配設されている。さらに、フロントデファレンシ
ャルギヤ28を介して前左右側のドライブシャフト30
a、30bと連結する前輪側プロペラシャフト26に
は、その回転数を検出する従動軸回転数センサ(第2の
回転数検出手段)108が配設されている。そして、こ
れら回転数センサ105〜108から出力される回転数
検出値NFR、NFL、NPR、NPFは、コントローラ22に
入力されるようになっている。
【0029】一方、コントローラ22は、モード選択ス
イッチ104に基づいて油圧供給装置16への励磁電流
1 を出力し、且つエア供給装置23への励磁電流i2
を出力するとともに、左側前輪回転数センサ105、右
側前輪回転数センサ106、駆動軸回転数センサ107
及び従動軸回転数センサ108からの検出信号に基づい
て警報ランプ120を点灯する。
【0030】このコントローラ22は、図5に示すよう
に、マイクロコンピュータ122と、マイクロコンピュ
ータ122から出力される制御信号CS1 に応じた所要
デューティ比Dの励磁電流を出力する例えばパルス幅変
調回路を備えて制御信号CS 1 の指令値に応じたデュー
ティDの励磁電流i1 を油圧供給装置16のデューティ
制御電磁弁56のソレノイド56dに出力する駆動回路
124aと、出力される制御信号CS2 の電圧値に応じ
た電流値の励磁電流i2 をエア供給装置23のソレノイ
ド23dに供給する駆動回路124bと、出力される制
御信号CS2 に応じて警報ランプ120に電流値i3
供給する駆動回路122cとを備えている。
【0031】前記マイクロコンピュータ122は、前記
各センサ104、105、106、107、108から
の検出信号を各検出値として読み込むためのA/D変換
機能を有する入力インタフェース回路122aと、所定
のプログラムに従って駆動力配分制御のための演算・制
御処理等を行う演算処理装置122bと、ROM、RA
M等の記憶装置122cと、制御信号CS1 、CS2
CSS3 を出力するための出力インタフェース回路12
2dとを備えている。
【0032】ここで、前記記憶装置112cには、演算
処理装置112bの処理の実行に必要なプログラム及び
固定データ等が予め記憶されているとともに、その処理
結果が一時記憶可能とされている。この内、固定データ
としては、図6から図8に示す各制御特性に対応した記
憶テーブルを含んでいる。図6は、前後輪回転速度差Δ
Nに対応する前輪側への伝達トルクΔTの制御特性を示
したものである。これによると、前輪側への伝達トルク
ΔTを回転速度差ΔNの増加に応じて非線形に増加させ
ている。図7は、クラッチ圧Pcの増加に応じて直線的
に増加する前輪側への伝達トルクΔTを示している。ま
た、図8は、デューティ制御電磁弁56のソレノイド5
6dに供給する励磁電流値i1 のデューティ比Dの増加
に応じて、非線形に放物線状に増加するクラッチ圧Pc
の値を示している。
【0033】そして、マイクロコンピュータ122で前
後輪の回転速度差ΔNに基づいて図6から図8に対応す
る記憶テーブルを参照することにより前輪側への伝達ト
ルクTが決定されると、図7、図8に対応する記憶テー
ブルを順次参照して、コントローラ22が出力しなけれ
ばならないデューティ比Dの値が逆算されるようになっ
ている。そして、図8で示すD1 〜D2 の範囲のデュー
ティ比に応じたクラッチ圧P1 〜P2 が摩擦クラッチ6
6に供給されると、摩擦クラッチ66のクラッチ締結力
に応じた所定のトルク配分比が、後輪:前輪=100
%:0〜後輪:前輪=50%:50%まで連続的に変化
される。
【0034】そして、マイクロコンピュータ122は、
モード選択スイッチ104において4輪駆動モード(M
4 )を選択すると、前述したようにデューティ制御電磁
弁56のソレノイド56dに励磁電流値i1 を出力して
油圧供給処理を行うとともに、駆動回路124bへの制
御信号CS2 を出力し、ホイールクラッチ機構18a、
18bのハブロック動作を行う。
【0035】また、マイクロコンピュータ122は、モ
ード選択スイッチ104で2輪駆動モード(M2 )を選
択すると、駆動回路124bへの制御信号CS2 を出力
して一度だけのホイールクラッチ機構18a、18bの
ハブロック動作を行い、回転数センサ105〜108か
ら出力される回転数検出値NFR、NFL、NPR、NPFが正
常値を示していないときには、ホイールクラッチ機構1
8a、18bの何れかが異常であると判断して警報を発
する診断処理を行う。
【0036】そして、マイクロコンピュータ122によ
るホイールクラッチ機構の診断処理は、図9のフロート
チャートによって実行される。この図9の演算処理は所
定時間(例えばΔt=20msec)毎のタイマ割込に
よって実行され、先ず、ステップS1でモード選択信号
n (M2 、M4 )、回転数検出値NFR、NFL、NPR
PFを読込み、記憶装置122cの所定記憶領域に更新
記憶し、次いでステップS2に移行し、例えば前記回転
数検出値NFR、NFLの平均値から車速Vを算出する。
【0037】次いでステップS3に移行し、モード選択
信号Mn が2輪駆動モード(Mn =M2 )であるか否か
を判定する。この判定により2輪駆動モードであるとき
にはステップS4に移行する。このステップS4は、今
回の判定前にハブロック診断動作を一度行ったことがあ
るか否かを判定するものである。ここで、ハブロック診
断動作とは、モード選択スイッチ104で2輪駆動モー
ド(M2 )が選択されている際に、ホイールクラッチ機
構18a、18bが正常に作動するか否かを診断するた
めに、スライドギヤ90及びドライブギヤ86を噛合さ
せる動作のことを言う。
【0038】そして、このステップS4においてハブロ
ック診断動作を一度も行っていない場合にはフラグFA
が“0”にセットされ、ハブロック診断動作が一度行わ
れている場合にはフラグFA が“1”にリセットされて
いる。そして、この判定でフラグFA =0の場合にはス
テップS5に移行する。一方、フラグFA =1である場
合には、ハブロック診断動作が過去に一度行われている
ものと判断し、タイマ割込処理を終了して所定のメイン
プログラムに復帰する。
【0039】ステップS5では、ハブロック診断動作を
開始したか否かを判定するものであり、まだ、ハブロッ
ク診断動作を開始していない場合にはフラグFB
“0”にセットされ、ハブロック動作を開始している場
合にはフラグFB が“1”にリセットされる。そして、
この判定でFB =0であるときには、ステップS6に移
行する。
【0040】このステップS6では、車速Vが零(0)
か否かを判定する。この判定により車速V=0である場
合にはステップS7に移行する。また、この判定におい
て車速V≠0である場合には、タイマ割込処理を終了し
て所定のメインプログラムに復帰する。そして、ステッ
プS7では、制御信号CS2 を駆動回路124bに出力
して車両停止時のハブロック診断動作を開始し、ステッ
プS8に移行する。ステップS8では、車両停止時にお
いてハブロック診断動作を開始したことを記憶するため
にフラグFB を“1”にリセットし、その後、タイマ割
込処理を終了して所定のメインプログラムに復帰する。
【0041】一方、前述したステップS5の判定結果に
よりフラグFB =1であるときには、車両停止時にハブ
ロック診断動作を開始していると判断してステップ9に
移行する。このステップS9は、車速Vが基準車速Vs
に達しているか否かを判定するものである。検出されて
いる回転数検出値NFR、NFL、NPR、NPFは、低車速領
域では安定した回転数が得られない。そのため、各回転
数検出値が変動の少ない安定した値を示す基準車速(例
えば10Km/h)まで車速Vの比較判定を行っている。そ
して、この判定においてV<Vsであるときには、回転
数検出値NFR、NFL、NPR、NPFが安定した値を示して
いないものと判断してタイマ割込処理を終了して所定の
メインプログラムに復帰する。そして、V≧Vsである
ときには、回転数検出値NFR、NFL、NPR、NPFが変動
の少ない安定した値を示しているものと判断してステッ
プS10に移行する。
【0042】ステップS10は、回転数検出値NFR、N
FL、NPR、NPFを比較演算する。そして、NFR=NFL
PR=NPFである場合には、ステップS11に移行す
る。このステップS11では、ホイールクラッチ機構1
8a、18bが正常に動作しているものと判断し、駆動
回路124bへの制御信号CS2 をオフ状態としてハブ
フリー動作を行う。そして、ステップS12に移行し、
2輪駆動モードにおいてハブロック診断動作を一度行っ
たことを記憶するためにフラグFA を“1”にリセット
し、その後、タイマ割込処理を終了して所定のメインプ
ログラムに復帰する。
【0043】一方、ステップS10において、NFR=N
FL=NPR=NPFの判定結果が得られない場合(例えばN
PF=0)には、ホイールクラッチ機構18a、18bの
何れかが異常であると判断してステップS13に移行す
る。そして、ステップS13では、ホイールクラッチ機
構18a、18bの異常を表す警報ランプ120を点灯
してからタイマ割込処理を終了して所定のメインプログ
ラムに復帰する。
【0044】なお、ステップS3においてモード選択信
号Mn が4輪駆動モード(Mn =M 4 )であるときに
は、ステップS14に移行してフラグFA 及びFB
“0”にリセットし、タイマ割込処理を終了して所定の
メインプログラムに復帰する。ここで、結合動作開始手
段は、ステップS7である。また、異常診断手段は、ス
テップS7である。また、車速判定手段は、ステップS
6及びステップS9である。
【0045】次に、上記実施形態の動作を説明する。
今、車両が停車状態にあり、自動変速機20のシフトレ
バーがパーキングレンジ位置にあると共に、モード選択
スイッチ104で2輪駆動モード(2WDモード)を選
択しており、さらにエンジン10が停止しているものと
する。この状態で、イグニッションスイッチをオン状態
としてエンジン10を始動させると、コントローラ18
に電源が投入されて、マイクロコンピュータ122によ
り所定の演算処理が開始される。
【0046】マイクロコンピュータ122で図9に示し
たホイールクラッチ機構の診断処理が実行されると、車
両停止状態において2輪駆動モードが選択されているの
で、ステップS4,ステップS5、ステップS6を経て
ステップS7に移行し、供給用電磁開閉弁23cに対す
る制御信号CS2 を出力する。これにより、供給用電磁
開閉弁23cは作動位置23c2 に移動するので、この
供給用電磁開閉弁23cから出力される作動空気圧PA
が零となり、ホイールクラッチ機構18a、18bのハ
ブロック診断動作が開始される。
【0047】ここで、車両停止状態には、前左側のドラ
イシャフト30a及び前左側の車輪12FLの回転数差、
且つ前右側のドライシャフト30B 及び前右側の車輪1
2FRの回転数差が発生しない。したがって、車両停止状
態おいてホイールクラッチ機構18a、18bのハブロ
ック診断動作を開始することにより、ホイールクラッチ
機構18a、18bのスライドギヤ90及びドライブギ
ヤ86は容易に噛合する。
【0048】その後、自動変速機20のシフトレバーで
Dレンジを選択し、ブレーキを解除してスロットルの踏
込みにより車両を発進させたとき、車両は2輪駆動状態
を維持しているので、自動変速機20からの駆動力が第
1出力軸44に伝達され、後輪側プロペラシャフト3
2、リアディファレンシャルギヤ34及び後左右側のド
ライブシャフト36a、36bを介して後左右側の車輪
12RL,12RRのみに伝達され、これら車輪12RL,1
2RRが回転して車両が所定車速Vで前進走行する。
【0049】そして、再度、図9の処理が実行される
と、ステップS4、ステップS5を経てステップS9に
移行し、車速VがVs(V≧Vs)に達した時点で、回
転数検出値NFR、NFL、NPR、NPFの比較演算を行う
(ステップS10)。ここで、回転数検出値NFR
FL、NPR、NPFは、変動の少ない安定した値で検出さ
れているので、フリーホイルクラッチ機構18a、18
bの正常若しくは異常動作が高精度に判断される。
【0050】そして、ハブロック診断動作時(ステップ
S7)に、スライドギヤ90及びドライブギヤ86が正
常に噛み合っていると、前左右側の車輪12FL、12FR
の回転が、ホイールクラッチ機構18a、18bのスラ
イドギヤ90及びドライブギヤ86、前左右側のドライ
ブシャフト30a、30b、フロントデファレンシャル
ギヤ28を介して前輪側プロペラシャフト26に伝達さ
れるので、回転センサ105〜108から得られる回転
数検出値は、NFR=NFL=NPR=NPFとなる。これによ
り、ホイールクラッチ機構18a、18bが正常に動作
しているものと判断し、供給用電磁開閉弁23cに対す
る制御信号CS2 をオフとする(ステップS11)。こ
のため、供給用電磁開閉弁23cはノーマル位置23c
1 に移動するので、この供給用電磁開閉弁23cから所
定の作動空気圧PA が出力される。これにより、ホイー
ルクラッチ機構18a、18bのスライドギヤ90及び
ドライブギヤ86を切り離すハブフリー動作が行われ
る。
【0051】そして、フラグFA を“1”にリセットし
ているので(ステップS12)、2輪駆動モードをさら
に選択して図9の処理をさらに実行しても、ハブロック
診断動作は一度だけしか行われない。これにより、2輪
駆動モードを選択しても、前左右側の車輪12FL、12
FRと、駆動力伝達系(ドライブシャフト30a、30b
から前輪側プロペラシャフト26側への伝達系)との連
れ回り回転が確実に防止され、燃費の向上や振動騒音の
防止が図られる。
【0052】ここで、ハブロック診断動作を行ってもホ
イールクラッチ機構18a、18bのスライドギヤ90
及びドライブギヤ86が噛み合わず、ハブフリー動作を
継続した異常状態となっている場合には、前左右側の車
輪12FL、12FRの回転が前輪側プロペラシャフト26
に伝達されない。その際には、回転センサ105〜10
8から得られる回転数検出値がNFR=NFL=NPR、NPF
=0となる。これにより、ステップS10の判定結果に
よってステップS13に移行し、警報ランプ120が点
灯する。これにより、運転者にホイールクラッチ機構の
異常を知らせることができる。
【0053】また、悪路、砂地、オフロードや雪道或い
は凍結路等の低摩擦係数路を走行する場合には、モード
選択スイッチ104を4輪駆動モード(4WDモード)
を選択する。この際、駆動回路124aから所定デュー
ティ比の励磁電流i1 がデューティ制御電磁弁56に供
給されることにより、デューティ制御電磁弁56からト
ランスファ24の摩擦クラッチ66に向けて所定のクラ
ッチ圧Pcが出力される。また、駆動回路124bから
所定の励磁電流i2 が供給用電磁開閉弁23cに供給さ
れる。これにより、供給用電磁開閉弁23cは作動位置
23c2 に移動するので、この供給用電磁開閉弁23c
から出力される作動空気圧PA が零となり、ホイールク
ラッチ機構18a、18bは、スライドギヤ90及びド
ライブギヤ86が噛合状態となるハブロック動作を行
う。これにより、自動変速機20から第1出力軸33に
伝達された回転駆動力は、摩擦クラッチ66のクラッチ
締結力に応じた所定のトルク配分比で第2出力軸54に
伝達され、この第2出力軸54から前輪側プロペラシャ
フト26、前左右側のドライブシャフト30a、30
b、ホイールクラッチ機構18a、18bのスライドギ
ヤ90及びドライブギヤ86を介して前左右側の車輪1
2FL、12FRに伝達される。
【0054】なお、本実施形態では、ホイールクラッチ
機構18a、18bのスライドギヤ90及びドライブギ
ヤ86が噛み合い、ハブロック動作を継続した状態で異
常となっている場合には、4輪駆動走行を行う際に悪路
の走破性や直進安定性に悪影響を与えないので、ホイー
ルクラッチ機構18a、18bが異常であるとの判断を
行わない。
【0055】したがって、上記構成の四輪駆動車によれ
ば、ホイールクラッチ機構18a、18bのスライドギ
ヤ90及びドライブギヤ86が噛み合わず、ハブフリー
動作が継続された異常状態となっている場合には、2輪
駆動モードにおいてハブロック診断動作を行い、回転セ
ンサ105〜108から得られる回転数検出値がNFR
FL、NPR、NPFを比較演算し、その演算結果から例え
ば前輪側プロペラシャフト26の回転数検出値NPFがN
PF=0となっていることから前左右側の車輪12FL、1
2FRの回転が前輪側プロペラシャフト26に伝達されて
いないことを判断し、ハブフリー動作が継続されている
異常状態を検出することができる。そして、警報ランプ
120の点灯によって運転者にホイールクラッチ機構1
8a、18bの異常を確実に知らせることができる。
【0056】また、ハブブロック診断動作は、2輪駆動
モードにおいて一度だけしか行われないので、前左右側
の車輪12FL、12FRと駆動力伝達系との連れ回り回転
を確実に防止することができ、燃費の向上や振動騒音の
防止を図ることができる。また、2輪駆動モードにおけ
るハブロック診断動作は、車両の停止状態において行わ
れるので、前左側のドライシャフト30a及び前左側の
車輪12FLの回転数差、且つ前右側のドライシャフト3
B 及び前右側の車輪12FRの回転数差が発生しない。
したがって、ハブロック診断動作を開始する際には、ホ
イールクラッチ機構18a、18bのスライドギヤ90
及びドライブギヤ86の噛合動作を容易に行うことがで
きる。
【0057】さらに、回転数検出値NFR、NFL、NPR
PFは、基準車速Vsに達した時点で変動の少ない安定
した値として検出されるので、フリーホイルクラッチ機
構18a、18bの正常若しくは異常動作の判断を高精
度に行うことができる。なお、上記実施形態において
は、後輪駆動車ベースの四輪駆動車に本発明を適用した
場合について説明したが、これに限らず前輪駆動車ベー
スの四輪駆動車に本発明を適用することもでき、その際
には、ホイールクラッチ機構は後ろ左右側の車輪に装着
する。
【0058】また、本実施形態では、前左側のドライブ
シャフト30aと前左側の車輪12FLとの間、前右側の
ドライブシャフト30bと前右側の車輪12FRとの間に
は、それぞれホイールクラッチ機構18a、18bを装
着したが、これに限るものではなく、一方側の駆動系に
のみ装着しても同様の作用効果を得ることができる。ま
た、本実施形態では、エアー式のフリーホイールハブ構
造を採用したが、本発明の要旨はこれに限るものではな
く、例えば副駆動軸側のデファレンシャルギヤとドライ
ブギヤとの間にホイールクラッチ機構を装着しても、同
様の作用効果を得ることができる。
【0059】また、前左右側の車輪12FL、12FRに回
転数センサ105及び106を配設したが、これら回転
数センサの位置がその位置に限られるものではなく、ホ
イールクラッチ機構18a、18bより前左右側の車輪
12FL、12FR側の駆動力伝達経路の回転数を検出可能
であれば他の位置でもよい。また、後輪側プロペラシャ
フト32の回転数を検出している駆動軸回転数センサ1
07も、後輪側プロペラシャフト32と後左右側の車輪
12RL、12RRとの間の駆動力伝達経路の回転数を検出
可能であれば他の位置でもよい。さらに、前輪側プロペ
ラシャフト26の回転数を検出している従動軸回転数セ
ンサ108も、ホイールクラッチ機構18a、18bと
前輪側プロペラシャフト26間の駆動力伝達経路の回転
数を検出可能であれば他の位置でもかまわない。
【0060】また、上記実施形態では、励磁電流i2
オン状態であるときにホイールクラッチ機構18a、1
8bがハブロック動作を行うようにエア供給装置23を
構成したが、これに限定されるものではなく、励磁電流
2 がオフ状態であるときにホイールクラッチ機構18
a、18bがハブロック動作を行うよう供給用電磁開閉
弁23cのノーマル位置と作動位置とを入れ替えるよう
にしてもよい。
【0061】また、励磁電流i1 がオフ状態であるとき
に2輪駆動状態となるように油圧回路を構成した場合に
ついて説明したが、これに限定されるものではなく、励
磁電流iがオフ状態であるときに4輪駆動状態となるよ
うにデューティ制御電磁弁100のノーマル位置と作動
位置とを入替えるようにしてもよく、この場合には図8
の処理において、制御信号CSのオン・オフ状態を反転
させると共に、デューティ比Dの設定を回転数差ΔNが
小さいときにオンデューティ比を100%とし、この状
態から回転数差ΔNが増加するに応じてオンデューティ
比を徐々に減少させるようにすればよい。
【0062】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の請求項1
記載の四輪駆動車は、ホイールクラッチ機構が切り離し
動作を継続した状態で異常となっている場合には、車両
が2輪状態を選択しているときに、結合動作開始手段に
よりホイールクラッチ機構の結合動作を一度だけ行い、
異常診断手段により第1から第3の回転数検出手段から
得られる回転数検出値の比較演算を行い、ホイールクラ
ッチ機構が切り離し動作を継続していると、ホイールク
ラッチ機構より副推進軸側の副駆動力伝達経路の回転数
を検出している第2の回転数検出手段の検出値が零とな
るので、異常診断手段はホイールクラッチ機構が結合動
作を行っておらず異常状態であると診断することができ
る。したがって、ホイールクラッチ機構の異常を的確に
判断して運転車に知らせることができる。
【0063】また、請求項2記載の四輪駆動車は、ホイ
ールクラッチ機構の異常を診断する結合動作開始手段
は、車両が2輪駆動状態を選択しているときに一度だけ
しか行わず、2輪駆動状態では副駆動車輪から副推進軸
側への回転力伝達経路が遮断されるので、副駆動車輪の
回転による連れ回り回転を確実に防止することができ
る。それにより、燃費の向上や振動騒音の防止を図るこ
とができる。
【0064】また、請求項3記載の四輪駆動車は、車両
の停止状態ではホイールクラッチ機構より副駆動車輪側
の駆動力伝達経路とホイールクラッチ機構より副推進軸
側の駆動力伝達経路とに回転数差が発生しない。そのた
め、車両の停止状態おいてお行われるホイールクラッチ
機構の結合動作は、ドグクラッチどうしの噛合動作が容
易となるので確実に行うことができる。
【0065】また、請求項4記載の四輪駆動車は、異常
診断手段により行われる第1から第3の回転数検出手段
で得られた回転数検出値の比較は、それら回転数検出値
が安定した値となる基準車速に達したときに行われるの
で、ホイールクラッチ機構の正常状態若しくは異常状態
の判断をさらに高精度に行行うことができる。さらに、
異常診断手段によりホイールクラッチ機構が正常状態で
あると判断した後、ホイールクラッチ機構の切り離し動
作を行うので、さらに燃費の向上や振動騒音の防止を図
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の概略構成を示す基本構成図である。
【図2】この発明の四輪駆動車の概略を示す構成図であ
る。
【図3】この発明の駆動力配分調整手段及び駆動力配分
制御手段を示す図である。
【図4】この発明にホイールクラッチ機構の構造を示す
図である。
【図5】この発明に係るコントローラを示すブロック図
である。
【図6】副駆動車輪側への伝達トルクと前後輪回転数差
との制御特性を示すグラフである。
【図7】副駆動車輪側への伝達トルクと駆動力配分制御
手段から供給されるクラッチ圧との制御特性を示すグラ
フである。
【図8】デューティ比に応じて変化するクラッチ圧の制
御特性を示すグラフである。
【図9】この発明に係るホイールクラッチ機構の診断処
理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
12RL、12RR 主駆動車輪 12FL、12FR 副駆動車輪 16 油圧供給装置(駆動力配分制御手段) 18a、18b ホイールクラッチ機構 20 自動変速機(変速機) 23 エア供給装置(ホイールクラッチ制御手段) 24 トランスファ(駆動力配分調整手段) 26 前輪側プロペラシャフト(副推進軸) 32 後輪側プロペラシャフト(主推進軸) 86 ドライブギヤ(ドグクラッチ) 90 スライドギヤ(ドグクラッチ) 104 モード選択スイッチ 105、106 前輪側回転数センサ(第3の回転数検
出手段) 107 駆動軸回転数センサ(第1の回転数検出手段) 108 従動軸回転数センサ(第2の回転数検出手段) Vs 基準車速

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両の前後輪の何れか一方を主駆動車輪
    とし、他方を副駆動車輪として、変速機から伝達された
    駆動力を主推進軸及び副推進軸を介して前記主駆動車輪
    及び前記副駆動車輪に所定の駆動力配分比で配分する駆
    動力配分調整手段と、前記副推進軸と前記副駆動車輪と
    の間の駆動力伝達経路の切り離し動作及び結合動作を行
    うドグクラッチ形式のホイールクラッチ機構と、前記主
    駆動車輪及び副駆動車輪の駆動力配分比を設定して前記
    駆動力配分調整手段を制御する駆動力配分制御手段と、
    前記ホイールクラッチ機構の切り離し動作及び結合動作
    を制御するホイールクラッチ制御手段とを備えた四輪駆
    動車において、 前記主推進軸と前記主駆動車輪側との間の主駆動力伝達
    経路の回転数を検出する第1の回転数検出手段と、前記
    ホイールクラッチ機構より前記副推進軸側の副駆動力伝
    達経路の回転数を検出する第2の回転数検出手段と、前
    記ホイールクラッチ機構より前記副駆動車輪側の副駆動
    力伝達経路の回転数を検出する第3の回転数検出手段と
    を備えるとともに、 前記駆動力配分制御手段により前記副駆動車輪への駆動
    力配分比を零として車両を2輪駆動状態としたときに、
    前記ホイールクラッチ制御手段の制御により前記ホイー
    ルクラッチ機構の結合動作を行う結合動作開始手段と、 該結合動作開始手段により前記ホイールクラッチ機構の
    結合動作を行っているときに、前記第1から第3の回転
    数検出手段の検出結果を比較してそれらの検出結果が不
    一致である場合には前記ホイールクラッチ機構の結合動
    作が異常状態であると診断する異常診断手段とを備えた
    ことを特徴とする四輪駆動車。
  2. 【請求項2】 前記前記結合動作開始手段により、前記
    ホイールクラッチ機構の結合動作を一度だけ行うことを
    特徴とする請求項1記載の四輪駆動車。
  3. 【請求項3】 車速を判定する車速判定手段を設け、該
    車速判定手段により車両が停止状態であると判定したと
    きに、前記結合動作開始手段による前記ホイールクラッ
    チ機構の結合動作を開始することを特徴とする請求項1
    又は2記載の四輪駆動車。
  4. 【請求項4】 前記第1から第3の回転数検出手段によ
    り検出される回転数が変動の少ない安定した値となる低
    速の基準車速を予め設定しておき、前記車速判定手段に
    より前記車両の車速が前記基準車速に達したときに、前
    記異常診断手段による前記ホイールクラッチ機構の結合
    動作の診断を開始するとともに、該異常診断手段により
    該ホイールクラッチ機構が正常状態であると判断した後
    に、このホイールクラッチ機構の切り離し動作を行うこ
    とを特徴とする請求項3記載の四輪駆動車。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2003014084A (ja) * 2001-06-28 2003-01-15 Isuzu Motors Ltd 差動制限装置
JP2009166706A (ja) * 2008-01-17 2009-07-30 Univance Corp 四輪駆動車用駆動力伝達システム

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