JPH09302134A - 架橋高分子固体電解質および電池 - Google Patents

架橋高分子固体電解質および電池

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JPH09302134A
JPH09302134A JP8121409A JP12140996A JPH09302134A JP H09302134 A JPH09302134 A JP H09302134A JP 8121409 A JP8121409 A JP 8121409A JP 12140996 A JP12140996 A JP 12140996A JP H09302134 A JPH09302134 A JP H09302134A
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solid electrolyte
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尚 南方
Masanori Ikeda
池田  正紀
Masakatsu Kuroki
正勝 黒木
Nobuhito Hoshi
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 イオン伝導度が高く、高温寸法安定性に優れ
た高分子固体電解質を提供するとともに、電池性能、安
全性に優れた電池を提供する。 【解決手段】 架橋されたポリフッ化ビニリデン系樹脂
成形体に電解質または電解質と可塑剤の混合物が含浸お
よび/または膨潤されてなる高分子固体電解質、ならび
にこの高分子固体電解質を介して電極が接合してなる電
池。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、イオン伝導性高分
子材料およびイオン移動媒体からなる高分子固体電解質
並びにこれを用いた電池に関するものである。
【0002】
【従来の技術】固体電解質をイオン移動媒体として構成
した固体電池は、従来の電解液をイオン移動媒体とした
電池に比べ、液漏れがないため電池の信頼性、安全性が
向上するとともに、薄膜化や積層体形成の容易さ、電池
形態の自由度が高いこと、パッケージの簡略化、軽量化
が期待されている。この固体電解質材料として、イオン
伝導性のセラミック材料または高分子材料が提案されて
いる。このうち前者のセラミック系材料はもろい性質を
有し、加工性に乏しく電極との積層体形成が難しい。一
方イオン伝導性高分子材料は加工性、柔軟性に優れるた
め固体電解質材料として電極との接合体形成、電極のイ
オン授受に伴う電極体積変化に追随した界面保持ができ
るなど好ましい。
【0003】この高分子固体電解質として、Wrigh
tによりポリエチレンオキシドのアルカリ金属塩複合体
の報告(British Polymer Journ
al,7 P.319(1975))以来、ポリエチレ
ンオキシド、ポリプロピレンオキシドなどのポリアルキ
レンエーテル系材料を中心とする材料、ポリアクリロニ
トリル、ポリフォスファゼン、ポリシロキサンなどの材
料を骨格とした固体電解質材料が活発に研究されてい
る。
【0004】また、この骨格ポリマーにポリフッ化ビニ
リデン系樹脂を用いた高分子固体電解質が提案されてい
る(例えば米国特許第5296318号明細書)。この
電解質は高いイオン伝導度と高い電気化学的安定性を合
わせ持ち、電池に用いる際好ましい。この作製はポリフ
ッ化ビニリデン系樹脂と金属塩、可塑剤、膨潤溶媒とと
もに加熱混合して作製した均一溶液を塗布した後、膨潤
溶媒を除去して形成される。従って、マトリックスポリ
マーは、均一溶液を形成するため通常のリニアポリマー
が用いられる。この高分子固体電解質材料は85〜95
℃の温度で融解し流動性を示すため電池に応用する場合
好ましくない。そこで、ポリフッ化ビニリデン系樹脂
に、可塑剤とともに架橋性のビニルモノマーとしてアク
リレートエステル、ジまたはトリアリルエステル、ジま
たはトリグリシジルエステルを共存させ、これら重合性
モノマーを架橋させた材料を作製し、ついでこれに電解
液を含浸させた高分子固体電解質が提案されている(米
国特許第5429891号明細書)。
【0005】通常のリニアポリマーをマトリックスに用
い電解質および/または可塑剤を固溶させて構成した高
分子固体電解質は、リニアポリマーの融点よりかなり低
い温度において可塑化するため流動性を示し、外部圧力
により容易に変形するため、電池の構造変化を起こすこ
とが問題である。当然、固体電解質が高温にさらされた
場合に構造変化を起こすため高温安定性に劣る。
【0006】また、この可塑性を抑制するために、高分
子固体電解質に含有される電解質量、可塑剤量が制限さ
れる。しかし、可塑剤含量の低い高分子固体電解質のイ
オン伝導度は低く留まり、これを利用した電池の電極間
過電圧増加を伴い電池容量が低くなってしまう。高いイ
オン伝導度の高分子固体電解質を得るために電解質量、
可塑剤量を高めた材料は、作製可能であるが機械的強度
が低く、電池構造の製造が困難となるとともに高温安定
性に乏しい。
【0007】従って、従来のリニアポリマーをマトリッ
クスとして構成した高分子固体電解質は構造安定性、電
池性能の点で問題であった。これを解決するために、架
橋重合性モノマーをビニリデンフロライド系ポリマーと
ともに共存させ、モノマーの重合により架橋構造体を作
製する試みがある。ところが、グリシジルエーテル系モ
ノマーを用いて作製した架橋体中のポリマーは架橋が充
分でない。特にビニル系重合性モノマーは架橋処理後の
モノマー残存により充放電過程における副反応を生起す
るが、これを完全に除去することはできない。また、モ
ノマー重合時にポリマー可塑剤としてジブチルフタレー
トやトリブトキシエチルホスフェートが存在すると、架
橋反応条件によっては副反応を起こすことがあり好まし
くない。さらに可塑剤の混合および抽出工程が煩雑であ
るとともに、抽出が不完全な場合、残存する可塑剤によ
り充放電時電極表面での副反応が起こり電池性能を低下
させる。従って、工業生産に適し、かつ電池性能に悪影
響を及ぼさない架橋構造を持つポリフッ化ビニリデン系
樹脂をマトリックスとした高分子固体電解質が要求され
ていた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、高温構造安
定性に優れ、高いイオン伝導度を合わせ持つ高分子固体
電解質、および電池容量が高く、安全性の高い、上記高
分子固体電解質を用いた電池を提供することを目的とす
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、ポリフッ
化ビニリデン系樹脂を利用した高分子固体電解質の研究
を進め、本発明に到達した。本発明は以下のとおりであ
る。 (1) 架橋性モノマー単位を含まない架橋したポリフ
ッ化ビニリデン系樹脂成形体に、電解質または電解質と
可塑剤の混合物が含浸および/または膨潤されてなる高
分子固体電解質。 (2) 架橋したポリフッ化ビニリデン系樹脂成形体が
独立泡および/または貫通孔を有する多孔質材料である
上記1の高分子固体電解質。 (3) 架橋したポリフッ化ビニリデン系樹脂が電子線
照射により架橋されたポリフッ化ビニリデン系樹脂であ
る上記1または2の高分子固体電解質。 (4) 上記1、2または3の高分子固体電解質を介し
て電極が接合してなる電池。
【0010】本発明の高分子固体電解質は、架橋構造を
有するポリフッ化ビニリデン系樹脂成形体に電解質また
は電解質と可塑剤の混合物を含浸させて形成される。従
来の技術で説明したように、通常のポリビニリデンフロ
ライド系リニアポリマーに電解質、可塑剤を含有させて
形成した固体電解質は、電池に利用する場合の加工性を
考慮すれば電解質、可塑剤含量は70%程度が限界であ
る。本発明の高分子固体電解質は、このような電解質、
可塑剤含量に制限されることなく幅広い含量を選択でき
ることが特長である。すなわち、本発明のポリフッ化ビ
ニリデン系樹脂成形体は電解質、可塑剤含量を高めた組
成において用いることができることから高いイオン伝導
度を有し、好ましい。また幅広い組成範囲において強
度、高温安定性に優れることも本発明の高分子固体電解
質材料の特長である。
【0011】以下、本発明の高分子固体電解質材料の構
成要素について順次説明する。本発明の架橋構造を有す
るポリフッ化ビニリデン系樹脂について説明する。本発
明に用いるポリフッ化ビニリデン系樹脂として、例え
ば、ポリ(ビニリデンフロライド)、ポリ(ヘキサフル
オロプロピレン−ビニリデンフロライド)共重合体、ポ
リ(パーフルオロビニルエーテル−ビニリデンフロライ
ド)共重合体、ポリ(テトラフルオロエチレン−ビニリ
デンフロライド)共重合体、ポリ(ヘキサフルオロプロ
ピレンオキシド−ビニリデンフロライド)共重合体、ポ
リ(ヘキサフルオロプロピレンオキシド−テトラフルオ
ロエチレン−ビニリデンフロライド)共重合体、ポリ
(ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン
−ビニリデンフロライド)共重合体、ポリ(フルオロエ
チレン−ビニリデンフロライド)共重合体などの単独体
またはこれらの成分の混合体を挙げることができる。
【0012】本発明の高分子固体電解質は上記のポリフ
ッ化ビニリデン系樹脂を含有し、このポリフッ化ビニリ
デン系樹脂が架橋された構造を持つことが特長である。
本発明の架橋構造は上記ポリマー分子間によるものであ
り、架橋性モノマー単位を含まない特徴を有する。架橋
性モノマーをポリフッ化ビニリデン樹脂中に共存させて
重合架橋する場合、残存する架橋性モノマーの存在によ
り電気化学的副反応を生起し、これによって電池性能低
下を招くことになり好ましくない。この残存架橋性モノ
マーを除去することは可能であるが高分子固体電解質製
造工程が煩雑となる。また、この架橋性モノマー単位を
含有する高分子固体電解質において架橋性モノマー単位
によっては、電気化学的副反応や微量の水分によっても
加水分解を起こすなど好ましくない。
【0013】ここで架橋性モノマーとは分子内にビニル
基やエポキシ基等の重合性基を2個以上有するモノマー
で、モノマー単位として含まれる場合はその中の少なく
とも1個が重合に寄与していることを示している。この
ような架橋性モノマーとしては具体的にはトリメチロー
ルプロパントリメタクリレート等のジまたはトリ(メ
タ)アクリレートエステル、トリアリルイソシアヌレー
ト等のジまたはトリアリル化合物、1,4−ブタンジオ
ールジグリシジルエーテル等のジまたはトリグリシジル
化合物等を例示することができる。
【0014】ポリフッ化ビニリデン系樹脂は通常リニア
構造を有し、この樹脂を架橋化することにより本発明の
ポリフッ化ビニリデン系樹脂のマトリックスポリマーを
作製する。この架橋方法として例えば、電子線、ガンマ
線、X線、紫外線、赤外線などの輻射エネルギー照射、
ラジカル開始剤を含有させて反応架橋させる方法、アル
カリ処理(脱HF)後反応性基を反応架橋させる方法、
などを用いることができる。
【0015】例えば電子線照射を用いる場合の架橋条件
として、この照射量が充分でない場合架橋効果が充分で
なく、照射量が多すぎる場合ポリマー構造が崩壊するた
め好ましくない。この照射量は5Mrad以上100M
rad以下であることが好ましく、さらに好ましくは5
Mrad以上80Mrad以下であり、特に好ましくは
8Mrad以上50Mrad以下である。
【0016】この架橋構造形成はリニアポリマー可溶性
有機溶剤への溶解性により確認することができる。つま
り、架橋構造が形成されたポリフッ化ビニリデン系樹脂
は可溶性有機溶剤に溶解しない成分を有し、均一溶解し
ないことから架橋構造形成を判別することができる。こ
の可溶性溶剤はポリマー種類により異なるため限定され
ないが、例えばN−メチルピロリドン、クロロホルム、
ジクロロメタン、ジクロロエタン、アセトン、テトラヒ
ドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキ
シド、ジメチルアセトアミドなどの溶剤で判別すること
ができる。
【0017】また、本発明のポリフッ化ビニリデン系樹
脂成形体の形状として、シート状、粒子状、線状、フィ
ラメント、ステープルなどの繊維状、織布状、不織布状
などいずれも使用可能であり、利用する目的形態に合わ
せて成形体を作製すればよい。この成形体加工方法とし
て、上記の架橋構造形成に先だって成形した後架橋させ
る方法、架橋体を所望形状に成形する方法いずれも使用
可能である。
【0018】本発明のポリフッ化ビニリデン樹脂成形体
の構造として、バルク構造、中空構造、多孔質構造いず
れも使用可能である。このバルク構造以外の例として、
独立泡構造を含有する発泡材料、貫通孔構造を含有する
多孔質材料または独立泡構造、貫通孔構造の複合材料が
挙げられる。このような発泡材料や多孔質材料を製造す
る方法は特に限定はされないが、各種の公知の方法を採
用することができる。例えば発泡材料であれば、特公平
4−57704号公報に記載の方法を利用することがで
きる。すなわち、ポリマーを溶融成形して得られた成形
体を電子線照射等により部分架橋させた後、ハロゲン系
化合物、炭化水素等の発泡剤を含浸させ、次いで加熱等
の方法で発泡させ、発泡体を得ることができる。また、
例えば多孔質材料であればマイクロフィルターやウルト
ラフィルターを製造する方法を利用することができ、例
えば特開平3−215535号公報に記載の方法や特公
昭61−38207号公報に記載の方法、特開昭54−
16382号公報に記載の方法を利用することができ
る。これらの例としては具体的には溶融法や湿式法が挙
げられ、溶融法はポリフッ化ビニリデン系重合体を可塑
剤や無機粉体等と共に溶融後、平膜状にプレス成形し、
可塑剤や無機粉体等を抽出除去するものである。また湿
式法はポリフッ化ビニリデン系重合体を界面活性剤や添
加剤等と共に溶媒に溶解しておき、これを液膜状で非溶
媒中に浸漬することで凝固させ、溶媒や界面活性剤や添
加剤等は洗浄除去するものである。
【0019】本発明においてポリフッ化ビニリデン系樹
脂成形体を電池の電極間の電解質保持材料として用いる
場合シート状、織布状、不織布状であることが好まし
い。また電池に用いられる電極が粒子状活物質を塗工し
て作製する場合の活物質バインダーとして本発明のポリ
フッ化ビニリデン系樹脂を用いることも可能であり、こ
の場合、粒子状、フィラメント状、ステープル状である
ことが好ましい。
【0020】本発明の高分子固体電解質は上記の架橋構
造を有するポリフッ化ビニリデン系樹脂成形体に、電解
質または電解質と可塑剤の混合物を含浸させて形成され
る。特に、架橋ポリマー中に該電解質混合物が含浸膨潤
することにより高いイオン伝導度がもたらされる。また
含浸される材料がポリマー部分と空孔部から構成される
場合、空孔部に電解質混合物が充填されるとともにポリ
マー部分が電解質混合物で膨潤されることにより高いイ
オン伝導度をもたらし好ましい。通常の電池のセパレー
タに用いられる材料、例えばポリオレフィン多孔膜は電
解質混合物で膨潤されない状態で用いられ、電池構造中
においてもセパレータは電解質混合物で膨潤しないこと
を想定して利用される。ところがこのセパレータの骨格
部分はイオン伝導に寄与しないため全体として低いイオ
ン伝導度しか与えない。高分子固体電解質においてポリ
マーマトリックスに電解質混合物が含浸膨潤されればポ
リマーマトリックス全体がイオン伝導に寄与でき、高い
イオン伝導度をもたらすため好ましい。
【0021】高分子固体電解質における電解質含量はイ
オン移動を可能とする範囲であるが、含浸する電解質の
種類、含浸されるポリマーマトリックスの種類によって
異なるため限定されない。この電解質含量の下限は、電
解質の含浸によりイオン伝導度が明らかに高められる量
であることが要件であり、高分子固体電解質としてのイ
オン伝導度が10-10 S/cm以上であることが好まし
い。また、電解質含量が高い場合、イオン移動できるキ
ャリアーイオン濃度が高められ、イオン伝導度が高い材
料となり好ましいが、極めて高い電解質含量の高分子固
体電解質中ではイオン解離が抑制されイオン伝導度が低
下してしまう。さらに電解質は単体では通常もろい性質
を有し、電解質含量が極めて高い状態では力学的強度を
低下させるためイオン移動媒体として電池に利用する場
合成形性、加工性、構造安定性を損なうことがあり好ま
しくない。従って、高分子固体電解質における電解質含
量範囲として、含浸された高分子固体電解質に対して1
重量%から90重量%の範囲であり、好ましくは2重量
%から85重量%の範囲、さらに好ましくは3重量%か
ら80重量%の範囲である。
【0022】本発明で用いる電解質として、有機酸、有
機塩、無機酸、無機塩のいずれも使用可能である。この
例としてテトラフルオロホウ酸、過塩素酸、硫酸、リン
酸、フッ化水素酸、塩酸などの無機酸、トリフルオロメ
タンスルホン酸、トリフルオロプロピルスルホン酸、ビ
ス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド酸、酢酸、
チルフルオロ酢酸、プロピオン酸などの有機酸、および
これら無機酸、有機酸の金属塩が挙げられる。これらは
単独で用いることもできるし、複数の電解質を混合して
用いることもできる。さらにパーフルオロスルホン酸系
ポリマーやパーフルオロカルボン酸系ポリマーあるいは
これらの金属塩も本発明の電解質として使用できる。こ
れら電解質のカチオンとしてプロトン、アルカリ金属カ
チオン、アルカリ土類金属カチオン、遷移金属カチオ
ン、希土類金属カチオンなどから選ばれるカチオンを一
種類で、また複数混合して使用することができる。
【0023】このカチオン種は使用する用途によって異
なる。例えば、本発明の高分子固体電解質をリチウム電
池に使用する場合は、添加する電解質としてリチウム塩
を使用することが好ましい。特にリチウム二次電池に利
用する場合、充放電を繰り返し行う必要から、電解質に
電気化学的安定性に富むリチウム塩を選ぶことが好まし
く、この例として、CF3 SO3 Li、C4 9 SO3
Li、(CF3 SO22 NLi、LiBF4 、LiP
6 、LiClO4 、LiAsF6 等を挙げることがで
きる。
【0024】また、本発明の高分子固体電解質に含浸し
た電解質のイオン解離促進、電解質の含浸性を高める、
高分子固体電解質の加工性向上などの目的で可塑剤を含
有させることができる。この可塑剤含量は、高分子固体
電解質の力学的強度、イオン伝導度などを勘案して決め
られるが、本発明の高分子固体電解質では従来知られた
リニアポリフッ化ビニリデン系高分子固体電解質に比較
して高い可塑剤含量においても力学的強度を損なわない
特長を有する。この可塑剤含量は可塑剤の種類、ポリフ
ッ化ビニリデン系樹脂の種類、構造によって異なるため
限定されないが、高分子固体電解質重量の98%以下で
ある。さらに好ましくは97%以下である。
【0025】この可塑剤の例として、エチレンカーボネ
ート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート
などの環状カーボネート、ジメチルカーボネート、メチ
ルエチルカーボネート、メチルエチルカーボネートなど
の鎖状カーボネート、テトラヒドロフラン、メチルテト
ラヒドロフランなどのエーテル、γ−ブチルラクトン、
プロピオラクトン、酢酸メチルなどのエステル、アセト
ニトリル、プロピオニトリルなどのニトリル化合物、炭
化水素などの有機低分子化合物、シリコンオイル、オリ
ゴエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリプ
ロピレンオキシドなどの脂肪族エータル化合物、ポリア
クリロニトリル、脂肪族ポリエステル、脂肪族ポリカー
ボネートなどの極性基含有高分子有機化合物を挙げるこ
とができる。
【0026】以上説明した電解質、可塑剤を架橋したポ
リフッ化ビニリデン系樹脂成形体に含浸および/または
膨潤することによって本発明の高分子固体電解質を作製
する。次に本発明の高分子固体電解質を介して電極が接
合した電池について説明する。本発明の電池は、上記の
高分子固体電解質を介して、正極および負極が接合した
構造を有するものである。
【0027】たとえば電池がリチウム電池の場合、電極
の正極および負極にリチウムイオン吸蔵放出可能な物質
を用いる。この正極物質として、負極に対して高い電位
を有する材料、この例としては、Li1-x CoO2 、L
1-x NiO2 、Li1-x Mn2 4 、Li1-x MO2
(0<x<1)、MはCo、Ni、Mn、Feの混合体
を表す。)、Li2-y Mn2 4 (0<y<2)、結晶
性Li1-x 2 5 、アモルファス状Li2-y 2 5
(0<y<2)、Li1.2-x'Nb2 5 (0<x’<
1.2)などの酸化物、Li1-x TiS2 、Li1-x
oS2 、Li3-zNbSe3 (0<z<3)などの金属
カルコゲナイド、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリ
アニリン、ポリアセン誘導体、ポリアセチレン、ポリチ
エニレンビニレン、ポリアリレンビニレン、ジチオール
誘導体、ジスルフィド誘導体などの有機化合物を挙げる
ことができる。
【0028】また負極として、上記正極に対して低い電
位を有する材料を用いる。この例として、金属リチウ
ム、アルミニウム・リチウム合金、マグネシウム・アル
ミニウム・リチウム合金などの金属リチウム、AlS
b、Mg2 Ge、NiSi2 などの金属間化合物、グラ
ファイト、コークス、低温焼成高分子などの炭素系材
料、SnM系酸化物(MはSi,Ge,Pbを表
す。)、Si1-y M′y z (M′はW,Sn,Pb,
Bなどを表す。)の複合酸化物、酸化チタン、酸化鉄な
どの金属酸化物のリチウム固溶体、Li7 MnN4 、L
3 FeN2 、Li3-x Co x N、Li3-x NiN、L
3-x Cux N、Li3 BN2 、Li3 AlN2 、Li
3 SiN3 の窒化物などのセラミックス等が挙げられ
る。ただし、リチウムイオンを負極で還元して金属リチ
ウムとして利用する場合は、導電性を有する材料であれ
ばよいので、上記に限定されない。
【0029】本発明の電池に用いる正極および負極は上
記の材料を所定の形状に成形加工して用いられる。この
形態として連続体または粉末材料のバインダー分散体の
いずれも使用可能である。前者の連続体の成形方法とし
て、電解析出、電解溶解、蒸着、スパッタリング、CV
D、溶融加工、焼結、圧縮などが用いられる。また、後
者の場合は粉末状の電極物質をバインダーとともに混合
して成形する。このバインダー材料として、ポリビニリ
デンフロライド、ポリ(ヘキサフルオロプロピレン−ビ
ニリデンフロライド)共重合体などポリフッ化ビニリデ
ン系樹脂、ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素系
ポリマー、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−
アクリロニトリル共重合体、スチレン−アクリロニトリ
ル−ブタジエン共重合体などの炭化水素系ポリマー、ポ
リマー前駆体、金属などが用いられ、本発明の架橋構造
を有するポリフッ化ビニリデン系樹脂をバインダーに用
いることもできる。正極または負極から構成される電極
に電気抵抗の低い材料で集電体を設けることもできる。
また、正極/高分子固体電解質/負極の構造で構成した
電池に、本発明の構成要素である電解質または/および
可塑剤を含浸や拡散などの方法で導入することができ
る。
【0030】電池の形態は、リチウム電池の場合、正極
と負極が高分子固体電解質を介して接合した構造を有す
る。例えば、シート状の正極、負極および高分子固体電
解質を順次積層した正極/高分子固体電解質/負極を単
位としてシート状やロール状、折り畳み状構造とするこ
とができる。また、電池単位の電極同士を並列または/
および直列に接続した組電池とすることも可能である。
特に、固体電解質電池の場合直列接続構造が簡便である
ので直列接続積層数により電圧を増加させることもでき
る。また、必要があれば電池電極に電流取り出し、注入
のための外部端子接続部分、電流電圧制御素子、発熱時
に電極接続を阻止する機能素子、電極単位・積層体の防
湿防止、構造保護などの保護層を設けたりパッケージ化
することもできる。
【0031】また、本発明の高分子固体電解質は、リチ
ウム電池に限らずアルカリ電池、鉛電池、ニッケル水素
電池、燃料電池などの各種電池、キャパシター、電気化
学センサー、エレクトロクロミックデイスプレー素子な
どのイオン移動媒体として応用することも可能であり、
工業的価値が高い製品を提供できるため好ましいものと
なる。
【0032】
【発明の実施の形態】以下実施例によって本発明をさら
に詳細に説明する。
【0033】
【実施例1】ポリ(ヘキサフルオロプロピレン−フッ化
ビニリデン)共重合体樹脂(ヘキサフルオロプロピレン
含有量5重量%)を加熱押し出し成形によって膜厚10
0μmのシートに成形した。該成形体に照射量15Mr
adで電子線照射を行った後60℃で真空乾燥して生成
したHFガスを除去した。電子線照射したポリマーシー
トをジメチルスルホキシドに浸漬し100℃の温度で5
時間加熱して溶解性を調べた結果、シート形状を保持す
ることがわかった。一方、電子線照射を施す前のポリマ
ーシートを用いて同様に溶解性を調べた結果、均一溶解
した。従って、電子線照射されたポリマーシート中に架
橋構造が形成されたことがわかった。電子線照射後のポ
リマーシートをリチウムテトラフルオロボレート(Li
BF4 )のエチレンカーボネート(EC)/プロピレン
カーボネート(PC)/γ−ブチルラクトン(γ−B
L)混合溶媒(EC/PC/γ−BL=1/1/2)溶
液(LiBF4 濃度1mol/リットル)に浸漬した
後、100℃の温度で3時間含浸してリチウム塩を含有
する混合溶媒をポリマーシート中に拡散させて高分子固
体電解質を作製した。含浸後膜厚は167μmであっ
た。含浸によって得られた高分子固体電解質の両面をス
テンレスシートで挟み込み、このステンレスシートを電
極として交流インピーダンス解析(EG&G社、398
型インピーダンス測定装置、測定周波数100kHz〜
1Hz)を行い、ナイキストプロットの複素インピーダ
ンス実部切片からイオン伝導度を算出した結果、イオン
伝導度2.1×10-3S/cmであった。
【0034】
【実施例2】実施例1と同様にして押し出し成形した膜
厚50μm のポリ(ヘキサフルオロプロピレン−フッ化
ビニリデン)共重合体樹脂(ヘキサフルオロプロピレン
含有量5重量%)シートに電子線を照射(照射量10M
rad)させ、次いでフロンHFC134aを含浸(含
液量5重量%)させた後、180℃で加熱して膜厚72
μm の白色発泡体(発泡倍率3倍)を得た。この発泡体
の独立泡含有率はエアピクノメータ(東芝ベックマン社
製、空気比較式比重計)により独立泡の発泡体全体に対
する割合は68%であった。該発泡体をリチウムテトラ
フルオロボレート(LiBF4 )のエチレンカーボネー
ト(EC)/プロピレンカーボネート(PC)/γ−ブ
チルラクトン(γ−BL)混合溶媒(EC/PC/γ−
BL=1/1/2)溶液(LiBF4 濃度1mol/リ
ットル)に浸漬した後、100℃の温度で3時間含浸し
てリチウム塩を含有する混合溶媒をポリマーシート中に
拡散させて高分子固体電解質を作製した。含浸後膜厚は
120μmであった。含浸によって得られた高分子固体
電解質1cm角の両面をステンレスシート(6mm幅短
冊)で挟み込み、このステンレスシートを電極として実
施例1と同様にして交流インピーダンス解析を行いナイ
キストプロットの複素インピーダンス実部切片からイオ
ン伝導度を算出した結果、イオン伝導度3.9×10-3
S/cmであった。また、該高分子固体電解質シートの
両面をステンレスシートで挟み込んだ状態で、その両面
を熱電対を埋め込んだアルミナ板で押さえ、さらに加熱
可能な油圧プレス機で保持した後、ステンレスシート電
極間の交流インピーダンス測定を行いながらプレスダイ
を加熱してインピーダンスの温度依存性を評価した。イ
ンピーダンス測定は日置電気製LCRメータを用いて、
測定周波数1kHzで行った結果、室温から220℃の
温度の範囲でなだらかなインピーダンスが変化した。実
験終了後アルミナ板およびステンレスシートを分離した
結果、高分子固体電解質の変形は見られなかった。この
ことより少なくとも220℃以下の温度範囲では溶融変
形が起こらず熱寸法安定性に優れることがわかった。
【0035】
【実施例3】実施例1で用いたポリ(ヘキサフルオロプ
ロピレン−フッ化ビニリデン)共重合体樹脂(ヘキサフ
ルオロプロピレン含量5重量%)を22.5重量%、平
均分子量200のポリエチレングリコールを12重量
%、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(花
王アトラス(株)製、商品名Tween80)を1重量
%の濃度で溶解したジメチルアセトアミド溶液を60℃
で加熱し、ガラス板上に100μm のギャップのブレー
ドで塗布した後、70℃の水中にガラス板を浸漬した後
乾燥して貫通孔を含有する多孔膜を作製した。この膜厚
は45μm であり、比重から求めた空孔部体積は70%
であった。貫通孔の存在により水透過量は40リットル
/m2 ・ hr・ atmであった。乾燥後の多孔膜に電子
線を照射量20Mradで照射を行った後、エチレンカ
ーボネート(EC)/プロピレンカーボネート(PC)
混合溶媒(混合比;EC/PC=1)に溶解したLiB
4の1mol/リットル溶液に浸漬し、温度90℃で
3時間含浸させて高分子固体電解質を作製した。得られ
た高分子固体電解質のイオン伝導度を実施例1と同様に
してステンレスシートで挟み込み交流インピーダンス解
析を行いナイキストプロットの複素インピーダンス実部
切片からイオン伝導度を算出した結果、イオン伝導度
1.1×10-3S/cmであった。
【0036】
【実施例4】コバルト酸リチウム(LiCoO2 ;平均
粒径10μm )の粉末(固形分含量85%)とカーボン
ブラック(固形分重量8重量%)をポリビニリデンフロ
ライドをバインダー(乾燥重量として7重量%)として
N−メチルピロリドンのポリビニリデンフロライド溶液
(5重量%)に分散した混合物をアルミニウムシート上
に塗布乾燥して膜厚115μm の塗膜(正極)を作製し
た。一方、平均粒径12μm のニードルコークス粉末に
ポリビニリデンフロライドのN−メチルピロリドン溶液
(ポリマー5重量%)を均一混合してスラリーを作製し
た(乾燥重量混合比;ニードルコークス(92%)、ポ
リマー(8%))。該スラリーを金属銅シート上にドク
ターブレードを用いて塗布して乾燥膜厚125μm の塗
膜(負極)を形成した。実施例1で作製した高分子固体
電解質シートの両面を上記で作製した正極および負極を
それぞれ塗膜表面を高分子固体電解質に密着させて挟み
込み電極サイズ4cm角のシート電池を作製した。つい
でシート電池を電極取り出し端子付きガラスセルに入
れ、アルゴン封入した。この電池のガラスセル取り出し
端子を充放電機(北斗電工101SM型充放電試験機)
に接続して電流密度1mA/cm2 で充放電を行った。
充電は定電流充電(4.2Vに達した後定電位充電)、
放電は1mA/cm2 定電流で2.7Vカットで行っ
た。充電操作により4.2V電位収束が確認され、放
電、再充電による繰り返し充放電が可能であった。初回
充放電の電流効率は79%であり、初回放電量は負極炭
素重量あたり210mAh/gであった。
【0037】
【実施例5】実施例4で作製したコバルト酸リチウム正
極塗膜とカーボン負極塗膜を用い、実施例2で作製した
高分子固体電解質の両面に正極および負極を実施例4と
同様に挟み込んでシート状の電極積層体を作製した。そ
れぞれの電極の集電体側からステンレスシート取り出し
端子を接続した後、ポリエチレン/アルミニウム/ポリ
エチレンテレフタレート積層シート(膜厚50μm )で
ラミネートしてシート状電池を作製した。ステンレスシ
ート端子を実施例4と同様に充放電機に接続して充放電
を行った。この電池は充電操作により4.2V電位収束
が確認され、放電、再充電による繰り返し充放電電が可
能であった。初回充放電の電流効率は80%であり、初
回放電量は負極炭素重量あたり212mAh/gであっ
た。
【0038】
【実施例6】実施例1で用いたポリ(ヘキサフルオロプ
ロピレン−フッ化ビニリデン)共重合体樹脂(ヘキサフ
ルオロプロピレン含量5重量%)ペレットに20Mra
dの照射量で電子線照射を施し、照射後液体窒素中で粉
砕処理を行い平均粒径5μmの粉末を作製した。作製し
たポリマー粉末をN−メチルピロリドンにコバルト酸リ
チウムとともに分散してスラリー(固形分としてのポリ
マー含量10重量%、LiCoO2 含量90重量%)を
形成した。このスラリーをアルミニウムシート上に塗布
して乾燥処理を行い乾燥膜厚125μm のコバルト酸リ
チウム塗膜を作製した。該塗膜を正極として実施例4で
用いた負極塗膜とともに実施例2で作製した高分子固体
電解質シートの両面にそれぞれの電極を挟み込み電池積
層体を作製した。次いで、実施例5と同様にしてポリエ
チレン/アルミニウム/ポリエチレンテレフタレート積
層シート(膜厚50μm )でラミネートしてシート状電
池を作製した。ステンレスシート端子を実施例4と同様
に充放電機に接続して充放電を行った結果、この電池は
充電操作により4.2V電位収束が確認され、放電、再
充電による繰り返し充放電電が可能であった。初回充放
電の電流効率は77%であり、初回放電量は負極炭素重
量あたり208mAh/gであった。
【0039】
【比較例1】実施例1で押し出し成形したポリマーシー
トを電子線照射を施さない状態で、実施例1と同様にし
てリチウムテトラフルオロボレート(LiBF4 )のエ
チレンカーボネート(EC)/プロピレンカーボネート
(PC)/γ−ブチルラクトン(γ−BL)混合溶媒
(EC/PC/γ−BL=1/1/2)溶液(LiBF
4 濃度1mol/リットル)に浸漬した後、100℃の
温度で3時間含浸した結果、ポリマーシートが含浸液に
均一溶解した。そこでポリマーシートを含浸温度60℃
で12時間含浸させてリチウム塩を含有する混合溶媒を
ポリマーシート中に拡散させて高分子固体電解質を作製
した。60℃含浸によって得られたポリマーシートの両
面をステンレスシートで挟み込み、このステンレスシー
トを電極として交流インピーダンス解析を行いナイキス
トプロットの複素インピーダンス実部切片からイオン伝
導度を算出した結果、イオン伝導度4×10-5S/cm
であることがわかった。
【0040】
【比較例2】実施例3で製造した多孔膜を電子線照射を
施さない状態で実施例3と同様にしてリチウムテトラフ
ルオロボレート(LiBF4 )のエチレンカーボネート
(EC)/プロピレンカーボネート(PC)混合溶媒
(EC/PC=1/1)溶液(LiBF4 濃度1mol
/l)に室温で浸漬して、高分子固体電解質を作製し
た。室温含浸によって得られた多孔膜の両面をステンレ
スシートで挟み込み、このステンレスシートを電極とし
て交流インピーダンス解析を行いナイキストプロットの
複素インピーダンス実部切片からイオン伝導度を算出し
た結果、イオン伝導度1.5×10-4S/cmであるこ
とがわかった。そこでこの多孔膜を同じLiBF4 溶液
に90℃で浸漬したところ、10分で完全に溶解した。
【0041】
【比較例3】実施例1で用いたポリ(ヘキサフルオロプ
ロピレン−フッ化ビニリデン)共重合体樹脂(ヘキサフ
ルオロプロピレン含量5重量%)ペレット10g(電子
線照射を施さない状態)とアセトン40gおよびリチウ
ムテトラフルオロボレート(LiBF4 )のエチレンカ
ーボネート(EC)/プロピレンカーボネート(PC)
/γ−ブチルラクトン(γ−BL)混合溶媒(EC/P
C/γ−BL=1/1/2)溶液(LiBF4 濃度1m
ol/リットル)30gを混合後60℃で6時間加熱し
て均一溶液を作製した。該溶液をアルゴンガス雰囲気下
でガラス板上に塗布した後、アセトンを蒸発させてポリ
マーシートを作製した。含浸によって得られたポリマー
シート1cm角の両面をステンレスシート(6mm幅短
冊)で挟み込み、このステンレスシートを電極として実
施例1と同様にして交流インピーダンス解析を行いナイ
キストプロットの複素インピーダンス実部切片からイオ
ン伝導度を算出した結果、イオン伝導度0.9×10-3
S/cmであることがわかった。また、該高分子固体電
解質シートの両面にステンレスシートで挟み込んだ状態
で両面を熱電対を埋め込んだアルミナ板で押さえ、さら
に加熱可能な油圧プレス機で保持した後、ステンレスシ
ート電極間の交流インピーダンス測定を行いながらプレ
スダイを加熱してインピーダンスの温度依存性を評価し
た。インピーダンス測定は日置電気製LCRメータを用
いて、測定周波数1kHzで行った結果、室温から11
0℃の温度の範囲でなだらかなインピーダンスが変化し
たが、110℃で急激が抵抗減少が見られた。これと同
時に電極間から溶融物のしみだしが認められ、溶融変形
によりポリマーシートが薄膜化したことに伴う抵抗減少
であることがわかった。実験終了後アルミナ板およびス
テンレスシートを分離した結果、高分子固体電解質は溶
融フローしており熱安定性に乏しいことがわかった。
【0042】
【発明の効果】本発明の高分子固体電解質は、高いイオ
ン伝導度を有し、高温構造安定性に優れた材料であり、
これを用いて構成した電池は電池特性および安全性に優
れた性能を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例2の高分子固体電解質のインピーダンス
−温度曲線である。
【図2】比較例3の高分子固体電解質のインピーダンス
−温度曲線である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 星 信人 静岡県富士市鮫島2番地の1 旭化成工業 株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 架橋性モノマー単位を含まない架橋した
    ポリフッ化ビニリデン系樹脂成形体に、電解質または電
    解質と可塑剤の混合物が含浸および/または膨潤されて
    なる高分子固体電解質。
  2. 【請求項2】 架橋したポリフッ化ビニリデン系樹脂成
    形体が独立泡および/または貫通孔を有する多孔質材料
    である請求項1記載の高分子固体電解質。
  3. 【請求項3】 架橋したポリフッ化ビニリデン系樹脂が
    電子線照射により架橋されたポリフッ化ビニリデン系樹
    脂である請求項1または2記載の高分子固体電解質。
  4. 【請求項4】 請求項1、2または3の高分子固体電解
    質を介して電極が接合してなる電池。
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