JPH09301511A - 転倒装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 一個毎に形状、重量が異なる多種類の柱状様
物を転倒する転倒装置を提供する。例えば、一個毎に形
状、重量が異なる多種類の柱状様物であるトランスに適
用できる。 【構成】 転倒装置の上部に固定受け台と下部に昇降自
在な移動受け台を取り付けて、さらに移動受け台上に
は、脱落防止装置を設置し、脱落防止装置は、柱状様物
の高さに合わせて調節する上下機構を備え、転倒装置を
回転させて柱状様物を転倒することを特徴とする転倒装
置。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、適宜の形状物を転倒す
る装置に関するものである。例えば、一個毎に形状、重
量が異なる多種類の柱状様物であるトランスに適用でき
る。

【０００２】

【従来の技術】従来、同一形状、重量の柱状様物の転倒
作業は、専用機で対応でき、装置化は容易であった。一
方、一個毎に形状、重量が異なる多種類の柱状様物の転
倒作業は、天井クレーンなどを使用して人手、労力、時
間をかけて転倒作業を行っていた。トランスの油を抜き
取る際の最終作業として、残油除去作業の転倒作業が同
様な方法で行われていた。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】天井クレーンなどを使
用して転倒作業をする場合は、作業者が、柱状様物を吊
り上げるのにロープを使用し、転倒させ易い位置にロー
プを縛り付けて支持しながら徐々に柱状様物を上昇させ
て、転倒作業を行うという難点がある。また、一個毎に
形状、重量が異なる多種類の柱状様物にロープを掛ける
作業は、大変に面倒であり、多くの時間と労力を要す
る。さらに、作業者が支持しながら反転させるときにロ
ープが緩んだり解けたりして落下すると非常に危険な作
業となる。

【０００４】特に、トランスの転倒作業においては、ト
ランス表面に油が付着しているときは、ロープが滑り易
く危険であり、また油がこぼれて衣服についたりして、
非常に汚い作業である。また、ロープで縛り付けて転倒
作業を行うが、ロープが緩んで物を落として傷をつけた
り、破損したりする。さらに、専用の吊り上げ用の冶具
を使用して転倒作業を行うが、冶具の着脱に際し、柱状
様物の表面に傷をつけないようにすることは大変面倒な
作業である。

【０００５】従って、本発明の目的は、ロープ掛け作業
や吊り上げ用冶具を使用する作業がなく、人手をほとん
ど要せず、短時間で容易に多種類の形状の柱状様物を転
倒し、転倒後に次の作業工程に搬送することができる転
倒装置を提供する。また、ロープや吊り上げ用冶具を全
く使用しないので、落下の心配がなく、作業者が安心し
て作業ができ、安全であり、落下によって柱状様物に傷
をつけたり破損したりすることもなく、柱状様物の表面
に傷をつけることがない転倒装置を提供する。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明は、柱状様物を転
倒する装置において、該柱状様物の側壁を支える支持板
（Ａ）と該支持板（Ａ）に対して直角方向に張り出して
相対し、且つ相互間距離を変動し得る二枚の受け台
（Ｂ）、（Ｂ′）を備え、一方の受け台に該柱状様物を
乗せた後に、受け台間の距離をほぼ柱状様物の高さに匹
敵する距離まで接近させることにより該柱状様物を固定
し、支持板（Ａ）、受け台（Ｂ）、受け台（Ｂ′）の相
互位置を変えずに支持板（Ａ）が柱状様物の下になる方
向に三者同時に回転することによって柱状様物を転倒す
る機能を備え、受け台（Ｂ）、（Ｂ′）が、柱状様物を
移送する搬送装置の一部を構成し、支持板（Ａ）が、柱
状様物の高さ寸法に合わせて上下移動する昇降装置を持
ち、柱状様物が、トランスであることを特徴とする転倒
装置を提供する。

【０００７】受け台（Ｂ）、（Ｂ′）は、両受け台共移
動する機構でもよいが、機構上複雑となるために、転倒
装置が転倒する前の状態において、下側の受け台を上下
に昇降自在な移動受け台とし、上側の受け台を固定受け
台とすることが望ましい。移動受け台に柱状様物を乗せ
て、柱状様物上面が固定受け台に接するまで上昇させ、
上下の受け台ではさんで固定する。転倒後の状態では、
受け台の位置関係は、移動受け台が上側となり、固定受
け台が下側となる。

【０００８】さらに、転倒後の停止状態において、柱状
様物を転倒装置外にスムーズに送り出せるように、固定
受け台は、転倒装置の入口と出口に設置された搬入装置
と同一レベルとして、段差がないように設置されてい
る。また、両受け台の搬送装置が、搬送装置の一部を構
成しているので、柱状様物を転倒させた後に、次の作業
工程に搬送させることができる。受け台の搬送装置とし
ては、ローラ式コンベヤーやベルト式コンベヤーなどい
ずれでもよく、柱状様物の形状によって決めることが望
ましい。

【０００９】上下の受け台のみで柱状様物をはさんで固
定した場合に、転倒の際に、転倒方向に柱状様物が脱落
する恐れがあるので、脱落防止として支持板（Ａ）を取
り付ける。支持板（Ａ）は、移動受け台上において上下
移動できて、且つ移動受け台と同時に移動する方法でも
よいし、また移動受け台上に取り付けずに転倒装置本体
に固定するどちらの方法でもよい。

【００１０】しかし、トランスなどにおいては、支持す
る側壁面には突起物などがあり、支持板を転倒装置本体
に固定した場合には、この突起物で支持することとな
り、トランス本体の重みで突起物が変形したり、または
破損したりすることがあるので、支持板（Ａ）は、上下
移動可能としてトランス本体の最適な支持場所を選ぶこ
とが望ましい。さらに、支持板（Ａ）を移動受け台と同
時に移動させることは、トランスの支持部を擦って傷を
つけることがない。

【００１１】予め反転前に移動受け台上の柱状様物の側
壁面の最適な支持場所にあわせて固定板（Ａ）の高さを
調節する。高さ調節装置の調節操作は、手動、駆動装置
を使用した自動のどちらでもよいが操作性と安全上より
考えて駆動装置を使用した自動が好ましい。転倒装置
は、転倒方向に回転して停止し、固定受け台の搬送装置
によって柱状様物を送り出した後に、逆転して元の位置
に戻って止まる。

【００１２】

【作用】柱状様物を移動受け台の搬送装置により転倒装
置内に送り込み、支持板を高さ調節装置によって柱状様
物の最適な支持場所に合わせ調節する。次に、移動受け
台上に乗せた柱状様物を上昇させ、柱状様物の上面が固
定受け台に接すると上昇を止める。この状態で柱状様物
を固定し、転倒方向に転倒させる。停止位置において静
止し、移動受け台を上昇させて柱状様物より離して、柱
状様物を固定受け台の搬送装置によって転倒装置外へ送
り出す。その後、転倒装置を逆転させて元の位置に戻し
て止める。

【００１３】

【実施例】本発明の転倒装置４を使用して、トランスの
油を抜き取る作業の最終作業として、残油除去の処理を
する場合の実施例を図１に基づいて説明する。転倒作業
前にポンプを使用して、トランス１の中の油を抜き取
る。油を抜き取られたトランス１を搬入コンベヤー２に
導き、転倒装置４の移動受け台５までトランス１を押し
込む。押し込まれたトランス１は、移動受け台５の移動
受け台用ローラコンベヤー６により内部に送り込まれ支
持板９にトランス１の一部が接すると移動受け台５の移
動受け台用ローラコンベヤー６が止まる。

【００１４】この動作は、支持板９に付属しているタッ
チセンサー（図示してない）が働いて、移動受け台５の
移動受け台用ローラコンベヤー６が過負荷状態にならな
いように自動的に止める。安全上、トランス１が支持板
９により確実に支持されていることを作業者が確認後、
移動受け台５の上昇ボタンを押して上昇させる。トラン
ス１の上面が、固定受け台７に接すると固定受け台７に
付属しているタッチセンサー（図示してない）が働いて
移動受け台５の上昇を自動的に止める。

【００１５】作業者は、この状態が安全であることを確
認し、転倒ボタンを押して倒転装置４を回転させて転倒
させる。転倒後の停止位置において回転が止まり、固定
受け台７が下側となり移動受け台５が上側の状態とな
る。固定受け台７の取付位置は、転倒後の停止位置にお
いて、搬入コンベヤー２と搬出コンベヤー３と同一レベ
ルとなるように固定設置されている。次に、移動受け台
５が上昇し、トランス１から離れることによって固定状
態からトランス１を解放する。移動受け台５は、最小限
の移動でよく、トランスからわずか上昇させて離すだけ
でよい。

【００１６】固定受け台７の固定受け台用ローラコンベ
ヤー８が作動してトランス１を転倒装置４より送り出
し、搬出用コンベヤー３に乗り移り、送り出し作業が完
了する。トランス１が完全に送り出されたことを確認
し、転倒装置４を回転させ、転倒前の停止位置に戻し、
これで一連の転倒操作が完了する。転倒装置４の受け台
が搬送機能を持っているので、トランスを転倒させた後
に、次の作業工程に搬送することができる。本実施例に
おいては、作業者が確認動作を行いながら転倒作業を行
っているが、連続自動運転もできる。

【００１７】移動受け台５、固定受け台７の搬送装置
は、ベルトコンベヤー、ローラコンベヤーのいずれの方
式であってもよい。本実施例においては、ローラコンベ
ヤーを採用している。また、トランス１を転倒装置４内
に搬入後、別のトランス１と取り替えるのに取り出した
い時や、転倒装置４のトラブルによりトランス１を取り
出す必要がある場合のために、搬送装置の回転方向は、
逆回転も可能とする。

【００１８】図２に示すように、移動受け台５の移動装
置は、本体に支持されたスプロケット１０、１０間に掛
け渡され、上昇方向に沿って本体の両側に配置された一
対の無端チェーン１１、１１からなる。また、スプロケ
ット１０、１０の一つを昇降用伝達装置１３を介して回
転させる昇降用駆動モータ１２よりなる。

【００１９】昇降用駆動モータ１２を回転させることに
より、チェーン１１、１１を移動させて、移動受け台５
を上昇し、搬入されたトランス１を上方に持ち上げる。
移動受け台５が上昇して、トランス１が固定受け台７に
届いて接するとタッチセンサー（図示してない）が働い
て、無理に上昇させて移動受け台５の昇降機構やトラン
ス１を破損することがなく、また昇降用駆動モータ１２
の過負荷を防ぐ。

【００２０】支持板９は、移動受け台５上に一端を固定
し、他端を上昇方向に沿って配置されたスクリューネジ
１４と連動して上下移動する。また、スクリューネジ１
４の一端をスクリューネジ伝達装置１６を介して回転さ
せるスクリューネジ駆動モータ１５よりなる。スクリュ
ーネジ駆動モータ１５が回転することにより、スクリュ
ーネジ１４が回転して支持板９が上下移動する。

【００２１】トランス１の最適な支持場所に合わせて支
持板９を上下方向に動かして高さ調整をする。トランス
１の側壁面の支持場所は、平坦ではなく突起物などがあ
り、突起物などを避けて本体を支持する最適な支持場所
を選ぶことが必要である。

【００２２】転倒装置４の回転駆動装置は、転倒装置４
の本体の周囲に沿って配置し、支持された無端チェーン
１７、１７を有し、このチェーン１７、１７を駆動する
スプロケット１８に伝達装置１９を介して回転させる回
転駆動モータ２０よりなる。また、転倒装置４は、４個
の支持ローラ２１によって、支持されている。転倒装置
の回転方向は、転倒後に、逆転して転倒前の停止位置に
戻すので逆回転することが必要である。

【００２３】

【発明の効果】本発明の目的は、ロープ掛け作業、吊り
上げ用冶具を使用する作業がなく、人手をほとんど要せ
ず、短時間で容易に多種類の形状の柱状様物を転倒し、
転倒後に次の作業工程に搬送することができる転倒装置
を提供する。また、ロープや吊り上げ用冶具を全く使用
しないので、落下の心配がなく、作業者が安心して作業
ができ、安全であり、落下によって柱状様物に傷をつけ
たり破損したりすることもなく、柱状様物の表面に傷を
つけることがない転倒装置を提供する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例を示す転倒装置の外形図であ
る。

【図２】図１のＡ−Ａ矢視図である。

【符号の説明】

１ トランス ２ 搬入コンベヤー ３ 搬出コンベヤー ４ 転倒装置 ５ 移動受け台 ６ 移動受け台用ローラコンベヤー ７ 固定受け台 ８ 固定受け台用ローラコンベヤー ９ 支持板 １０ スプロケット １１ チェーン １２ 昇降用駆動モータ １３ 昇降用伝達装置 １４ スクリューネジ １５ スクリューネジ駆動モータ １６ スクリューネジ伝達装置 １７ チェーン １８ スプロケット １９ 伝達装置 ２０ 回転駆動モータ ２１ 支持ローラ

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 柱状様物を転倒する装置において、該柱
   状様物の側壁を支える支持板（Ａ）と該支持板（Ａ）に
   対して直角方向に張り出して相対し、且つ相互間距離を
   変動し得る二枚の受け台（Ｂ）、（Ｂ′）を備え、一方
   の受け台に該柱状様物を乗せた後に、受け台間の距離を
   ほぼ柱状様物の高さに匹敵する距離まで接近させること
   により該柱状様物を固定し、支持板（Ａ）、受け台
   （Ｂ）、受け台（Ｂ′）の相互位置を変えずに支持板
   （Ａ）が柱状様物の下になる方向に三者同時に回転する
   ことによって柱状様物を転倒する機能を備えたことを特
   徴とする転倒装置。
2. 【請求項２】 受け台（Ｂ）、（Ｂ′）が、柱状様物を
   移送する搬送装置の一部を構成することを特徴とする請
   求項１記載の転倒装置。
3. 【請求項３】 支持板（Ａ）が、柱状様物の高さ寸法に
   合わせて上下移動する昇降装置を持つことを特徴とする
   請求項１、２記載の転倒装置。
4. 【請求項４】 柱状様物が、トランスであることを特徴
   とする請求項１、２、３記載の転倒装置。