JPH09301150A - 車両のアンチロックブレーキ制御装置 - Google Patents

車両のアンチロックブレーキ制御装置

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JPH09301150A
JPH09301150A JP12527196A JP12527196A JPH09301150A JP H09301150 A JPH09301150 A JP H09301150A JP 12527196 A JP12527196 A JP 12527196A JP 12527196 A JP12527196 A JP 12527196A JP H09301150 A JPH09301150 A JP H09301150A
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JP
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acceleration
wheel
speed
deceleration
wheel speed
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Application number
JP12527196A
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English (en)
Inventor
Isao Matsuno
功 松野
Teruyasu Ishikawa
照泰 石川
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NEC Home Electronics Ltd
Nissin Kogyo Co Ltd
NEC Corp
Original Assignee
NEC Home Electronics Ltd
Nissin Kogyo Co Ltd
Nippon Electric Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】車輪速度検出手段で検出した車輪速度ならびに
車輪加、減速度演算手段で算出した車輪加、減速度に基
づいて推定車体速度を演算し、推定車体速度および車輪
速度に基づいて車輪のスリップ率を判断するとともにそ
の判断結果に基づいてブレーキ液圧調整手段の作動制御
量を定める車両のアンチロックブレーキ制御装置におい
て、アンチロックブレーキ制御時の車体速度の推定精度
を向上する。 【解決手段】非アンチロックブレーキ制御時の車輪速度
の増速過程では第1設定加速度α2を上限値として車輪
加、減速度演算手段による算出加速度を用いた推定車体
速度の演算を行なうが、アンチロックブレーキ制御時の
車輪速度の増速過程では第1設定加速度α2よりも大き
な第2設定加速度α3を上限値として車輪加、減速度演
算手段による算出加速度を用いた推定車体速度VRの演
算を行なう。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車輪ブレーキのブ
レーキ液圧を調整可能なブレーキ液圧調整手段と、車輪
速度を検出する車輪速度検出手段と、車輪速度検出手段
で検出した車輪速度に基づいて車輪加・減速度を算出す
る車輪加・減速度演算手段と、車輪速度検出手段で検出
した車輪速度ならびに車輪加・減速度演算手段で算出し
た車輪加・減速度に基づいて推定車体速度を演算する車
体速度演算手段と、該車体速度演算手段で得た推定車体
速度ならびに前記車輪速度検出手段で検出した車輪速度
に基づいて車輪のスリップ率を判断するとともにその判
断結果に基づいて前記ブレーキ液圧調整手段の作動制御
量を定める制御量演算手段とを備える車両のアンチロッ
クブレーキ制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、かかるアンチロックブレーキ制御
装置は、たとえば特開昭62−227842号公報およ
び特開平2−124352号公報等により既に知られて
いる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記従来の
ものでは、車輪速度の減速過程では、設定減速度以上の
減速度とならないようにして車輪速度の減速度を用いた
推定車体速度の演算を行い、また車輪速度の増速過程で
は、設定加速度以上の加速度とならないようにして車輪
速度の加速度を用いた推定車体速度の演算を行なうよう
にしており、前記設定加速度は、たとえば1G程度に設
定されている。ところが、アンチロックブレーキ制御に
よるブレーキ液圧減圧に応じて車輪速度は、1G以上の
加速度(ときには20G程度まで)で増速することがあ
り、その場合には、設定加速度を1G一定に設定してお
くと推定車体速度が車輪速度の減速過程で車輪速度と交
差するまでの時間が比較的長くなり、推定車体速度と真
の車体速度とのずれが比較的大きくなる。
【0004】本発明は、かかる事情に鑑みてなされたも
のであり、アンチロックブレーキ制御時の推定車体速度
の演算精度を向上させた車両のアンチロックブレーキ制
御装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1記載の発明は、車輪ブレーキのブレーキ液
圧を調整可能なブレーキ液圧調整手段と、車輪速度を検
出する車輪速度検出手段と、車輪速度検出手段で検出し
た車輪速度に基づいて車輪加・減速度を算出する車輪加
・減速度演算手段と、車輪速度検出手段で検出した車輪
速度ならびに車輪加・減速度演算手段で算出した車輪加
・減速度に基づいて推定車体速度を演算する車体速度演
算手段と、該車体速度演算手段で得た推定車体速度なら
びに前記車輪速度検出手段で検出した車輪速度に基づい
て車輪のスリップ率を判断するとともにその判断結果に
基づいて前記ブレーキ液圧調整手段の作動制御量を定め
る制御量演算手段とを備える車両のアンチロックブレー
キ制御装置において、車体速度演算手段は、非アンチロ
ックブレーキ制御時の車輪速度増速過程では第1設定加
速度を上限値として車輪加・減速度演算手段による算出
加速度を用いた推定車体速度の演算を行なうが、アンチ
ロックブレーキ制御時の車輪速度増速過程では前記第1
設定加速度よりも大きな第2設定加速度を上限値として
車輪加・減速度演算手段による算出加速度を用いた推定
車体速度の演算を行なうように構成されることを特徴と
する。
【0006】また請求項2記載の発明は、車輪ブレーキ
のブレーキ液圧を調整可能なブレーキ液圧調整手段と、
車輪速度を検出する車輪速度検出手段と、車輪速度検出
手段で検出した車輪速度に基づいて車輪加・減速度を算
出する車輪加・減速度演算手段と、車輪速度検出手段で
検出した車輪速度ならびに車輪加・減速度演算手段で算
出した車輪加・減速度に基づいて推定車体速度を演算す
る車体速度演算手段と、該車体速度演算手段で得た推定
車体速度ならびに前記車輪速度検出手段で検出した車輪
速度に基づいて車輪のスリップ率を判断するとともにそ
の判断結果に基づいて前記ブレーキ液圧調整手段の作動
制御量を定める制御量演算手段とを備える車両のアンチ
ロックブレーキ制御装置において、車体減速度を検出す
る車体減速度検出手段を含み、車体速度演算手段は、非
アンチロックブレーキ制御時の車輪速度増速過程では第
1設定加速度を上限値として車輪加・減速度演算手段に
よる算出加速度を用いた推定車体速度の演算を行なう
が、アンチロックブレーキ制御時の車輪速度増速過程で
は前記車体減速度検出手段で検出した車体減速度に応じ
て定めた第2設定加速度を上限値として車輪加・減速度
演算手段による算出加速度を用いた推定車体速度の演算
を行なうように構成されることを特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、添
付図面に示した本発明の実施例に基づいて説明する。
【0008】図1ないし図5は本発明を自動二輪車に適
用したときの第1実施例を示すものであり、図1は自動
二輪車のブレーキ装置の全体構成図、図2は制御ユニッ
トの構成を示すブロック図、図3はアンチロックブレー
キ制御時の車体速度推定手順を示すフローチャート、図
4は実車体速度、推定車体速度および車輪速度の相関線
図、図5は図4の要部拡大図である。
【0009】先ず図1において、ブレーキレバー1の操
作に応じた液圧を出力するマスタシリンダ2と、自動二
輪車の前輪に装着された左右一対の前輪ブレーキBF1
F2との間には、両前輪ブレーキBF1,BF2のブレーキ
液圧を調整可能なブレーキ液圧調整手段3F が設けられ
る。またブレーキペダル4の操作に応じた液圧を出力す
るマスタシリンダ5と、自動二輪車の後輪に装着された
後輪ブレーキBR との間には、該後輪ブレーキBR の液
圧を調整可能なブレーキ液圧調整手段3R が設けられ
る。
【0010】ブレーキ液圧調整手段3F は、リザーバ6
F と、両前輪ブレーキBF1,BF2およびマスタシリンダ
2間に設けられる常開型電磁弁7F と、リザーバ6F
よび両前輪ブレーキBF1,BF2間に設けられる常閉型電
磁弁8F と、両前輪ブレーキBF1,BF2側からマスタシ
リンダ2側にブレーキ液が流通することを許容して常開
型電磁弁7F に並列に接続されるチェック弁9F と、吸
入口が吸入弁10F を介してリザーバ6F に接続される
とともに吐出口が吐出弁12F を介してマスタシリンダ
2に接続される戻しポンプ11F とを備える。
【0011】またブレーキ液圧調整手段3R は、リザー
バ6R 、常開型電磁弁7R 、常閉型電磁弁8R 、チェッ
ク弁9R 、吸入弁10R 、戻しポンプ11R および吐出
弁12R を備えて、前記ブレーキ液圧調整手段3F と同
様に構成される。
【0012】しかもブレーキ液圧調整手段3F の戻しポ
ンプ11F と、ブレーキ液圧調整手段3R の戻しポンプ
11R とは、共通のモータ13により駆動される。
【0013】ブレーキ液圧調整手段3F における常開型
電磁弁7F および常閉型電磁弁8Fと、ブレーキ液圧調
整手段3R における常開型電磁弁7R および常閉型電磁
弁8 R と、モータ13とは、制御ユニット14により制
御される。この制御ユニット14には、前輪に固着され
たパルサーギア15F の側面に対向して固定配置される
前輪用車輪速度センサ16F 、後輪に固着されたパルサ
ーギア15R の側面に対向して固定配置される後輪用車
輪速度センサ16R 、前輪ブレーキ用ブレーキスイッチ
17F および後輪用ブレーキスイッチ17R の出力信号
がそれぞれ入力されており、それらのセンサ16F ,1
R およびスイッチ17F ,17R の出力に応じて制御
ユニット14が、前記常開型電磁弁7F ,7R 、常閉型
電磁弁8 F ,8R およびモータ13の作動を制御する。
【0014】図2において、制御ユニット14は、前輪
用車輪速度演算手段20F と、後輪用車輪速度演算手段
20R と、前輪用車輪加・減速度演算手段21F と、後
輪用車輪加・減速度演算手段21R と、前輪用車体速度
演算手段22F と、後輪用車体速度演算手段22R と、
制御量演算手段23と、前輪用出力回路24F と、後輪
用出力回路24R と、モータ用出力回路25とを備え
る。
【0015】前輪用車輪速度演算手段20F は、前輪用
車輪速度センサ16F の出力信号を受けて前輪速度を演
算するものであり、該前輪用車輪速度センサ16F とと
もに前輪用車輪速度検出手段19F を構成する。また後
輪用車輪速度演算手段20Rは、後輪用車輪速度センサ
16R の出力信号を受けて後輪速度を演算するものであ
り、該後輪用車輪速度センサ16R とともに後輪用車輪
速度検出手段19R を構成する。
【0016】前輪用車輪加・減速度演算手段21F は、
前輪用車輪速度検出手段19F における前輪用車輪速度
演算手段20F で得た前輪速度を微分して前輪の加・減
速度を得るものであり、また後輪用車輪加・減速度演算
手段21R は、後輪用車輪速度検出手段19R における
後輪用車輪速度演算手段20R で得た後輪速度を微分し
て後輪の加・減速度を得るものである。
【0017】制御量演算手段23には、前輪ブレーキ用
ブレーキスイッチ17F および後輪用ブレーキスイッチ
17R の出力信号、前輪用および後輪用車体速度演算手
段22F ,22R の出力信号、ならびに前輪用および後
輪用車輪速度検出手段19F,19R の出力信号が入力
される。而して制御量演算手段23は、前輪用車体速度
演算手段22F で得た推定車体速度、ならびに前輪用車
輪速度検出手段19Fで検出した前輪速度に基づいて前
輪のスリップ率を判断するとともに、後輪用車体速度演
算手段22R で得た推定車体速度ならびに後輪用車輪速
度検出手段19 R で検出した後輪速度に基づいて後輪の
スリップ率を判断し、それらの判断結果に応じて前輪ブ
レーキBF1,BF2のブレーキ液圧を制御するための制御
信号、ならびに後輪ブレーキBR のブレーキ液圧を制御
するための制御信号を出力する。また制御量演算手段2
3は、アンチロックブレーキ制御時にモータ13を作動
せしめるための制御信号を出力する。而して、前輪ブレ
ーキBF1,BF2のブレーキ液圧を制御するための制御信
号は制御量演算手段23から前輪用出力回路24Fに与
えられ、この前輪用出力回路24F により、ブレーキ液
圧調整手段3F における常開型電磁弁7F および常閉型
電磁弁8F の励磁・消磁が切換えられ、また後輪ブレー
キBR のブレーキ液圧を制御するための制御信号は制御
量演算手段23から後輪用出力回路24R に与えられ、
この後輪用出力回路24R により、ブレーキ液圧調整手
段3R における常開型電磁弁7R および常閉型電磁弁8
R の励磁・消磁が切換えられ、さらに制御量演算手段2
3から出力されたモータ制御信号はモータ用出力回路2
5に与えられ、モータ出力回路25によりモータ13の
作動・停止が切換えられる。
【0018】前輪用車体速度演算手段22F は、前輪用
車輪速度検出手段19F で検出した前輪速度、前輪用車
輪加・減速度演算手段21F で算出した前輪加・減速
度、ならびにアンチロックブレーキ制御状態であること
を示す制御量演算手段23からの信号に基づいてアンチ
ロックブレーキ制御時の前輪用の推定車体速度を演算す
るものであり、図3で示す処理手順に従って推定車体速
度を演算する。
【0019】図3のステップS1では、前輪用車輪速度
検出手段19F で検出した前輪速度VW、ならびに前輪
用車輪加・減速度演算手段21F で算出した前輪加・減
速度dVWを読込み、ステップS2では、フラグFが
「0」であるか否かを判断し、F=0であったときには
ステップS3で前輪速度VWを推定車体速度VRとした
後、ステップS4でフラグFを「1」に設定する。この
ステップS1〜S4は、推定車体速度の演算開始時の処
理ステップであり、次の演算処理サイクルでは、F=1
であるのでステップS2からステップS5に進むことに
なる。
【0020】ステップS5では、今回の車輪速度VW
(n)と、前回の推定車体速度VR(n−1)とを比較
することにより、前輪速度が等速あるいは減速過程にあ
るのか、または前輪速度が減速過程にあるのかを判断す
る。而してVW(n)≦VR(n−1)であるとき、す
なわち前輪速度が等速あるいは減速過程にあると判断し
得るときには、ステップS6に進んで、フラグFα2,
Fα3をそれぞれ「0」とし、次のステップS7でFα
1=1であるか否かを判断する。このフラグFα1は、
減速過程で加・減速度を設定減速度α1に設定したとき
に「1」となるものであり、最初の処理サイクルではF
α1=0であるのでステップS7からステップS8に進
む。
【0021】ステップS8ではdVW≦α1であるか否
か、すなわち前輪速度の減速度が設定減速度α1(たと
えば−1G)以上の減速度であるか否かを判断する。而
してdVW≦α1であったときには、ステップS9で加
・減速度αを設定減速度α1に設定し、ステップS10
でフラグFα1を「1」に設定した後、ステップS11
に進む。
【0022】ステップS11では、推定車体速度VRの
演算を行なうものであり、前回の推定車体速度をVR(n
-1) とし、演算処理サイクルの時間をT(たとえば3m
秒)としたときに、今回の推定車体速度VR(n) を、 VR(n) =VR(n-1) +α・T として演算する。
【0023】またステップS8でdVW>α1であると
判定したときには、ステップS12で加・減速度αを前
輪加・減速度dVWに定めた後、ステップS11に進
み、またステップS7でFα1=1であると判定したと
きにもステップS7からステップS11に進むことにな
る。すなわち、前輪速度の減速過程では、前輪加・減速
度dVWが設定減速度α1以上の減速度となったときに
は、それ以降の減速過程では設定減速度α1で車体速度
が減速しているものとして推定車体速度VRの演算を行
なうことになる。
【0024】ステップS5でVW(n)>VR(n−
1)であると判断したとき、すなわち前輪速度が増速過
程にあると判断したときには、ステップS5からステッ
プS13に進み、このステップS13でフラグFα1=
0と設定した後、ステップS14において、制御量演算
手段23からアンチロックブレーキ制御状態であること
を示す信号が入力されているか否かを判断する。而して
非アンチロックブレーキ制御状態であったときには、ス
テップS14からステップS15に進み、フラグFα2
=1であるか否かを判定する。このフラグFα2は、非
アンチロックブレーキ制御状態での増速過程で加・減速
度を第1設定加速度α2に設定したときに「1」となる
ものであり、非アンチロックブレーキ状態での増速過程
の最初の処理サイクルではFα2=0であるのでステッ
プS15からステップS16に進むことになり、ステッ
プS16でdVW≧α2であるか否か、すなわち前輪速
度の加速度が第1設定加速度α2以上であるか否かを判
断する。而してdVW≧α2であったときには、ステッ
プS17で加・減速度αを第1設定加速度α2に設定し
た後、ステップS18でフラグFα2=1と設定してス
テップS11に進む。またdVW<α2であったときに
は、ステップS19で加・減速度αを前輪加・減速度d
VWに定めた後、ステップS11に進み、またステップ
S15でFα2=1と判定したときにはそのままステッ
プS11に進むことになる。すなわち、非アンチロック
ブレーキ制御状態での前輪速度の増速過程では、前輪加
・減速度dVWが第1設定加速度α2以上の加速度とな
ったときには、それ以降の増速過程では第1設定加速度
α2で車体速度が増速しているものとして推定車体速度
VRの演算を行なうことになる。
【0025】ステップS14において、アンチロックブ
レーキ制御中であると判断したときには、ステップS2
0において、フラグFα3=1であるか否かを判定す
る。このフラグFα3は、アンチロックブレーキ制御状
態での増速過程で加・減速度を第2設定加速度α3に設
定したときに「1」となるものであり、アンチロックブ
レーキ制御状態での増速過程の最初の処理サイクルでは
Fα3=0であるのでステップS20からステップS2
1に進むことになり、ステップS21でdVW≧α3で
あるか否か、すなわち前輪速度の加速度が第2設定加速
度α3以上であるか否かを判断する。而してdVW≧α
3であったときには、ステップS22で加・減速度αを
第2設定加速度α3に設定した後、ステップS23にお
いてフラグFα3=1と設定してステップS11に進
む。またdVW<α3であったときには、ステップS2
4で加・減速度αを前輪加・減速度dVWに定めた後、
ステップS11に進み、ステップS20でFα3=1と
判定したときにはそのままステップS11に進むことに
なる。すなわち、アンチロックブレーキ制御状態での前
輪速度の増速過程では、前輪加・減速度dVWが第2設
定加速度α3以上の加速度となったときには、それ以降
の増速過程では第2設定加速度α3で車体速度が増速し
ているものとして推定車体速度VRの演算を行なうこと
になる。
【0026】しかも第1設定加速度α2が、たとえば+
1Gであるのに対し、第2設定加速度α3は、第1設定
加速度α2よりも大きく、たとえば+5Gである。
【0027】後輪用車体速度演算手段22R は、後輪用
車輪速度検出手段19R で検出した後輪速度、後輪用車
輪加・減速度演算手段21R で算出した後輪加・減速
度、ならびにアンチロックブレーキ制御状態であること
を示す制御量演算手段23からの信号に基づいて後輪用
の推定車体速度を演算するものであり、上述の図3で示
した処理手順と同様の処理手順に従って推定車体速度を
演算する。
【0028】次にこの第1実施例の作用について説明す
ると、前輪用および後輪用車体速度演算手段22F ,2
R において、非アンチロックブレーキ制御時の車輪速
度の増速過程では第1設定加速度α2を上限値として算
出加速度を用いた推定車体速度の演算を行なうが、アン
チロックブレーキ制御時の車輪速度の増速過程では第1
設定加速度α2よりも大きな第2設定加速度α3を上限
値として算出加速度を用いた推定車体速度の演算を行な
う。すなわちアンチロックブレーキ制御時に、図4の鎖
線で示すように第1設定加速度α2を用いて推定車体速
度を求めていたのに比べると、図4の実線で示すように
第2設定加速度α3を用いて求めた推定車体速度は、時
間ΔTだけ早く実車輪速度に復帰することになる。した
がって、図5で示すように、第2設定加速度α3を用い
た推定車体速度は、第1設定加速度α2を用いた推定車
体速度に比べて、車輪速度の減速過程でΔVだけ高い値
となり、真の車体速度により近づけてアンチロックブレ
ーキ制御の制御精度を向上することが可能となる。
【0029】図6ないし図9は本発明の第2実施例を示
すものであり、図6は制御ユニットの構成を示すブロッ
ク図、図7は車体減速度の算出手法を説明するための実
車体速度および車輪速度の相関線図、図8は車体減速度
に対する第2設定加速度の関係を示す図、図9は路面摩
擦係数の高低に応じた推定車体速度の変化を示す図であ
る。
【0030】図6において、制御ユニット14′は、前
輪用車輪速度演算手段20F と、後輪用車輪速度演算手
段20R と、前輪用車輪加・減速度演算手段21F と、
後輪用車輪加・減速度演算手段21R と、前輪用車体速
度演算手段22F ′と、後輪用車体速度演算手段2
R ′と、制御量演算手段23と、前輪用出力回路24
Fと、後輪用出力回路24R と、モータ用出力回路25
と、前輪用車体減速度検出手段26F と、後輪用車体減
速度検出手段26R とを備える。
【0031】前輪用車体減速度検出手段26F は、前輪
用車輪速度検出手段19F における前輪用車輪速度演算
手段20F で得た前輪速度に基づいて車体減速度を得る
ものであり、アンチロックブレーキ制御中の車輪速度の
加、減速サイクルにおいて前回サイクルでの車輪速度の
時間変化量を車体減速度を代表するものとして算出す
る。たとえば図7で示すように、アンチロックブレーキ
制御中の車輪速度の加、減速サイクルにおいて車輪速度
の前回のピーク値と今回のピーク値との差ΔVWを両ピ
ーク値間の時間Tcで除す演算を実行することにより車
体減速度を得ることができる。また車輪速度の加・減速
サイクルは、ブレーキ液圧の制御サイクルにほぼ対応す
るものであるので、ブレーキ液圧の1制御サイクルにお
いて前回の制御サイクルでの車輪速度の時間変化量を車
体減速度を代表するものとして得るようにしてもよい。
【0032】後輪用車体減速度検出手段26R での車体
減速度算出処理も、上記前輪用車体減速度検出手段26
F と同様であり、後輪用車輪速度検出手段19R におけ
る後輪用車輪速度演算手段20R で得た後輪速度に基づ
く車体減速度を後輪用車体減速度検出手段26R で得る
ことになる。
【0033】前輪用車体速度演算手段22F ′は、前輪
用車輪速度検出手段19F で検出した前輪速度、前輪用
車輪加・減速度演算手段21F で算出した前輪加・減速
度、、前輪用車体減速度検出手段26F で得た車体減速
度、ならびにアンチロックブレーキ制御状態であること
を示す制御量演算手段23からの信号に基づいてアンチ
ロックブレーキ制御時の前輪用の推定車体速度を演算す
る。
【0034】すなわち前輪用車体速度演算手段22F
では、今回の推定車体速度VR(n)を、 VR(n) =VR(n-1) +α・T として演算するのであるが、前輪速度が等速あるいは減
速過程にあるときには、上記第1実施例と同様に、dV
Wが第1設定減速度α1以上の減速度(dVW≦α1)
であるときにはα=α1とし、dVWが第1設定減速度
α1未満の減速度(dVW>α1)であるときにはα=
dVWとして推定車体速度VRを演算する。また前輪用
車体速度演算手段22F ′は、前輪速度が増速過程にあ
る非アンチロックブレーキ制御時には、dVWが第1設
定加速度α2以上(dVW≧α2)のときにα=α2と
するのに対してdVWが第1設定加速度α2未満(dV
W<α2)のときにはα=dVWとして推定車体速度V
Rを演算するのに対し、前輪速度が増速過程にあるアン
チロックブレーキ制御時には、dVWが第2設定加速度
α3′以上(dVW≧α3′)のときにα=α3′とす
るのに対してdVWが第2設定加速度α3′未満(dV
W<α3′)のときにはα=dVWとして推定車体速度
VRを演算する。
【0035】しかも第2設定加速度α3′は、前輪用車
体減速度検出手段26F で得た車体減速度に応じて定ま
るものであり、アンチロックブレーキ制御装置搭載車両
における懸架装置の剛性および車両重量等に応じて、た
とえば図8で示すように、車体減速度が大きくなるのに
応じて大きくなるように予め定めたものであり、実車で
のテスト結果に基づいて定めるようにすればよい。
【0036】後輪用車体速度演算手段22R ′は、後輪
用車輪速度検出手段19R で検出した後輪速度、後輪用
車輪加・減速度演算手段21R で算出した後輪加・減速
度、、後輪用車体減速度検出手段26R で得た車体減速
度、ならびにアンチロックブレーキ制御状態であること
を示す制御量演算手段23からの信号に基づいてアンチ
ロックブレーキ制御時の後輪用の推定車体速度を演算す
るものであり、上記前輪用車体速度演算手段22F ′と
同様にして推定車体速度を演算する。
【0037】ところで、路面の摩擦係数が比較的高い悪
路での車輪速度のジャンプ時には車輪速度復帰加速度が
比較的大きく、懸架装置の反動が比較的大きいために飛
び越し量も比較的大きくなるのに対し、路面の摩擦係数
が比較的低い悪路での車輪速度のジャンプ時には車輪速
度復帰加速度が比較的小さく、かつ懸架装置の反動が比
較的小さいために飛び越し量も比較的小さくなるもので
ある。したがって、路面の摩擦係数が比較的高い悪路で
の車輪速度のジャンプ時には図9(a)で示すように、
車輪速度が真の車体速度を飛び越すまでの時間T1が比
較的短く、しかも車輪速度が真の車体速度に復帰するま
での時間T2も比較的短いのに対し、路面の摩擦係数が
比較的低い悪路での車輪速度のジャンプ時には図9
(b)で示すように、車輪速度が真の車体速度を飛び越
すまでの時間T1′が比較的長く、また車輪速度が真の
車体速度に復帰するまでの時間T2′も比較的長くな
る。
【0038】しかるに、第2実施例によれば、アンチロ
ックブレーキ制御時の車輪速度の増速過程では車体減速
度に応じて定めた第2設定加速度α3′を上限値として
車輪加・減速度演算手段21F ,21R による算出加速
度を用いた推定車体速度の演算を行なうものである。し
たがって車体減速度が高いとき、すなわち摩擦係数が比
較的高い路面を走行中であると想定し得るときには比較
的大きな第2設定加速度α3′を上限値として推定加速
度を演算し、車体減速度が低いとき、すなわち摩擦係数
が比較的低い路面を走行中であると想定し得るときには
比較的小さな第2設定加速度α3′を上限値として推定
加速度を演算することになり、図9(a),(b)で示
すように、悪路走行時に車輪速度が真の車体速度を飛び
越して大きくなっても、車輪速度が真の車体速度に復帰
する近傍で推定車体速度VRが車輪速度VWと交差する
ようにすることができ、悪路走行時の車輪速度ジャンプ
にかかわらず、推定車体速度を精度よく演算することが
可能となる。
【0039】以上、本発明の実施例を詳述したが、本発
明は上記実施例に限定されるものではなく、特許請求の
範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計
変更を行なうことが可能である。
【0040】たとえば車体減速度検出手段として、車体
減速度を直接検出すべく車体に搭載した加・減速度セン
サを用いるようにしてもよく、また本発明は、自動二輪
車だけでなく、四輪の乗用車両等にも適用可能である。
【0041】
【発明の効果】以上のように請求項1記載の発明によれ
ば、非アンチロックブレーキ制御時の車輪速度増速過程
では第1設定加速度を上限値として車輪加・減速度演算
手段による算出加速度を用いた推定車体速度の演算を行
なうが、アンチロックブレーキ制御時の車輪速度増速過
程では前記第1設定加速度よりも大きな第2設定加速度
を上限値として車輪加・減速度演算手段による算出加速
度を用いた推定車体速度の演算を行なうことにより、ア
ンチロックブレーキ制御時に車輪速度が非アンチロック
ブレーキ制御時に比べて大きな加速度で増速しても、推
定車体速度と真の車体速度とのずれを小さく抑え、アン
チロックブレーキ制御時の車体速度の推定精度を向上さ
せることができる。
【0042】また請求項2記載の発明によれば、非アン
チロックブレーキ制御時の車輪速度増速過程では第1設
定加速度を上限値として車輪加・減速度演算手段による
算出加速度を用いた推定車体速度の演算を行なうが、ア
ンチロックブレーキ制御時の車輪速度増速過程では車体
減速度検出手段で検出した車体減速度に応じて定めた第
2設定加速度を上限値として車輪加・減速度演算手段に
よる算出加速度を用いた推定車体速度の演算を行なうこ
とにより、アンチロックブレーキ制御時に悪路走行に伴
って車輪速度がジャンプするような事態が生じても、推
定車体速度と真の車体速度とのずれを小さく抑え、アン
チロックブレーキ制御時の車体速度の推定精度を向上さ
せることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例での自動二輪車のブレーキ装置の全
体構成図である。
【図2】制御ユニットの構成を示すブロック図である。
【図3】アンチロックブレーキ制御時の車体速度推定手
順を示すフローチャートである。
【図4】実車体速度、推定車体速度および車輪速度の相
関線図である。
【図5】図4の要部拡大図である。
【図6】第2実施例の制御ユニットの構成を示すブロッ
ク図である。
【図7】車体減速度の算出手法を説明するための実車体
速度および車輪速度の相関線図である。
【図8】車体減速度に対する第2設定加速度の関係を示
す図である。
【図9】路面摩擦係数の高低に応じた推定車体速度の変
化を示す図である。
【符号の説明】
F ,3R ・・・ブレーキ液圧調整手段 19F ,19R ・・・車輪速度検出手段 21F ,21R ・・・車輪加・減速度演算手段 22F ,22F ′,22R ,22R ′・・・車体速度演
算手段 23・・・制御量演算手段 26F ,26R ・・・車体減速度検出手段 BF1,BF2,BR ・・・車輪ブレーキ dVW・・・車輪加・減速度 VR・・・推定車体速度 VW・・・車輪速度 α2・・・第1設定加速度 α3,α3′・・・第2設定加速度

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車輪ブレーキ(BF1,BF2;BR )のブ
    レーキ液圧を調整可能なブレーキ液圧調整手段(3F
    R )と、車輪速度(VW)を検出する車輪速度検出手
    段(19F ,19R )と、車輪速度検出手段(19F
    19R )で検出した車輪速度(VW)に基づいて車輪加
    ・減速度(dVW)を算出する車輪加・減速度演算手段
    (21F ,21R )と、車輪速度検出手段(19F ,1
    R )で検出した車輪速度(VW)ならびに車輪加・減
    速度演算手段(21F ,21R)で算出した車輪加・減
    速度(dVW)に基づいて推定車体速度(VR)を演算
    する車体速度演算手段(22F ,22R )と、該車体速
    度演算手段(22F ,22R )で得た推定車体速度(V
    R)ならびに前記車輪速度検出手段(19F ,19R
    で検出した車輪速度(VW)に基づいて車輪のスリップ
    率を判断するとともにその判断結果に基づいて前記ブレ
    ーキ液圧調整手段(3F ,3R )の作動制御量を定める
    制御量演算手段(23)とを備える車両のアンチロック
    ブレーキ制御装置において、車体速度演算手段(2
    F ,22R )は、非アンチロックブレーキ制御時の車
    輪速度増速過程では第1設定加速度(α2)を上限値と
    して車輪加・減速度演算手段(21F ,21R )による
    算出加速度(dVW)を用いた推定車体速度(VR)の
    演算を行なうが、アンチロックブレーキ制御時の車輪速
    度増速過程では前記第1設定加速度(α2)よりも大き
    な第2設定加速度(α3)を上限値として車輪加・減速
    度演算手段(21F ,21R )による算出加速度(dV
    W)を用いた推定車体速度(VR)の演算を行なうよう
    に構成されることを特徴とする車両のアンチロックブレ
    ーキ制御装置。
  2. 【請求項2】 車輪ブレーキ(BF1,BF2;BR )のブ
    レーキ液圧を調整可能なブレーキ液圧調整手段(3F
    R )と、車輪速度(VW)を検出する車輪速度検出手
    段(19F ,19R )と、車輪速度検出手段(19F
    19R )で検出した車輪速度(VW)に基づいて車輪加
    ・減速度(dVW)を算出する車輪加・減速度演算手段
    (21F ,21R )と、車輪速度検出手段(19F ,1
    R )で検出した車輪速度(VW)ならびに車輪加・減
    速度演算手段(21F ,21R)で算出した車輪加・減
    速度(dVW)に基づいて推定車体速度(VR)を演算
    する車体速度演算手段(22F ′,22R ′)と、該車
    体速度演算手段(22F′,22R ′)で得た推定車体
    速度(VR)ならびに前記車輪速度検出手段(19F
    19R )で検出した車輪速度(VW)に基づいて車輪の
    スリップ率を判断するとともにその判断結果に基づいて
    前記ブレーキ液圧調整手段(3F ,3R )の作動制御量
    を定める制御量演算手段(23)とを備える車両のアン
    チロックブレーキ制御装置において、車体減速度を検出
    する車体減速度検出手段(26F ,26R )を含み、車
    体速度演算手段(22F ′,22R ′)は、非アンチロ
    ックブレーキ制御時の車輪速度増速過程では第1設定加
    速度(α2)を上限値として車輪加・減速度演算手段
    (21F ,21R )による算出加速度(dVW)を用い
    た推定車体速度(VR)の演算を行なうが、アンチロッ
    クブレーキ制御時の車輪速度増速過程では前記車体減速
    度検出手段(26F ,26R )で検出した車体減速度に
    応じて定めた第2設定加速度(α3′)を上限値として
    車輪加・減速度演算手段(21F ,21R )による算出
    加速度(dVW)を用いた推定車体速度(VR)の演算
    を行なうように構成されることを特徴とする車両のアン
    チロックブレーキ制御装置。
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