JPH09299A - 高比重リポ蛋白分画中のコレステロールの定量方法及び定量用試薬キット - Google Patents

高比重リポ蛋白分画中のコレステロールの定量方法及び定量用試薬キット

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JPH09299A JP15495995A JP15495995A JPH09299A JP H09299 A JPH09299 A JP H09299A JP 15495995 A JP15495995 A JP 15495995A JP 15495995 A JP15495995 A JP 15495995A JP H09299 A JPH09299 A JP H09299A
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 界面活性剤アシルポリオキシエチレンソルビ
タンエステルにより、試料中の高比重リポ蛋白(HD
L)以外のリポ蛋白分画中のコレステロールにコレステ
ロールエステラーゼ及びコレステロールオキシダーゼな
どの酵素を優先的に作用させて、過酸化水素を生成させ
る。ペルオキシダーゼの存在下で無色の複合体を形成さ
せて、過酸化水素を反応系外に導く。次に、界面活性剤
アルキルポリオキシエチレンエーテルにより、HDL以
外のリポ蛋白分画中の残存するコレステロールに対する
これら酵素の作用を抑制させるとともに、HDLコレス
テロールに酵素を作用させて、過酸化水素を生成させ
る。過酸化水素により生成されたキノン色素を比色測定
して、HDLコレステロールを定量する。 【効果】 操作が簡略化され、多数の試料を短時間で処
理できる。微量の試料でも自動分析装置にて連続的に測
定できる。臨床検査の日常業務における作業効率の向上
に貢献できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高比重リポ蛋白(HD
L)分画中のコレステロール(以下「HDLコレステロ
ール」ともいう。)の定量方法及び定量用試薬キットに
関し、とりわけ臨床検査の分野において、血清などの生
体試料中のHDLコレステロールの定量方法、及びHD
Lコレステロール定量用試薬キットに関する。
【0002】
【従来の技術】血液中のリポ蛋白はその比重により、カ
イロミクロン(比重<1.006)、超低比重リポ蛋白
(VLDL,比重1.006〜1.019)、低比重リ
ポ蛋白(LDL,比重1.019〜1.063)、高比
重リポ蛋白(HDL,比重1.063〜1.21)など
に分類され、これらのリポ蛋白の代謝に影響を与える疾
患についての研究が進められてきた。中でもHDLにつ
いては、その分画中の成分であるコレステロールが虚血
性心疾患に密接に関係するとの1977年のFramingham
の報告以来、急速に研究が進んでいる。
【0003】従来、HDLコレステロールの定量は沈殿
分画法、超遠心法、電気泳動法などにより分離されたH
DL分画について、その成分であるコレステロールが公
知の方法にて測定されている。臨床検査での測定では、
沈殿分画法がよく行われている。これは沈殿剤を用いて
HDL以外のリポ蛋白分画を沈殿させ、それを遠心分離
してHDL分画を得る。このときの沈殿剤としては、ポ
リアニオンと2価のカチオンとの組み合わせが良く用い
られる。このようなポリアニオンにはポリエチレングリ
コール、リンタングステン酸、デキストラン硫酸などが
あり、また2価のカチオンとしてはMg、Mn、Ca、
Li、Niなどが知られている。
【0004】次に、遠心分離により得られたHDL分画
中のコレステロールを定量する公知の方法としては、酵
素反応による測定が良く用いられる。なかでも、コレス
テロールエステラーゼ(CE)とコレステロールオキシ
ダーゼ(CO)を用い、さらにペルオキシダーゼ(PO
D)と色原体とを組み合わせて可視部領域で吸光度を測
定する方法が良く知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来の沈殿剤を用いる方法で、HDL分画を分離す
るには、遠心分離の操作が必要となるため、臨床検査の
日常業務で効率化のための自動分析装置を用いる場合に
は、直接利用できないという制約があった。そのためH
DLコレステロールを他の検査項目とマルチチャンネル
化して測定するには支障があった。
【0006】本発明は、上述の課題を解決し、HDLコ
レステロールを効率良く測定することを目的とし、とり
わけ臨床検査において自動分析装置を用いて測定できる
有用な方法及びそのための試薬キットを提供することを
目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意研究し
た結果、HDL以外のリポ蛋白分画中のコレステロール
に酵素を優先的に作用させる界面活性剤と、HDL以外
のリポ蛋白分画中のコレスレロールに対する酵素による
作用を抑制させる界面活性剤とを用いることにより、H
DL分画中のコレステロールが測定できることを見い出
した。そして、さらに研究を重ねた結果、上述の目的が
達成されることを見い出し、本発明を完成するに至っ
た。
【0008】すなわち、本発明は、界面活性剤アシルポ
リオキシエチレンソルビタンエステルにより、HDL以
外のリポ蛋白分画中のコレステロールに酵素を優先的に
作用させて得られる反応生成物を反応系外に導き、次に
界面活性剤アルキルポリオキシエチレンエーテルによ
り、HDL以外のリポ蛋白分画中の残存するコレステロ
ールに対する酵素による作用を抑制させるとともに、H
DLコレステロールに酵素を作用させて反応を進行させ
ることを特徴とするHDLコレステロールの定量方法に
関するものである。
【0009】また、本発明は、界面活性剤アシルポリオ
キシエチレンソルビタンエステル及び酵素を含む第1試
薬と、界面活性剤アルキルポリオキシエチレンエーテル
を含む第2試薬とからなることを特徴とするHDLコレ
ステロール定量用試薬キットに関するものである。
【0010】本発明の試薬キットにおける、コレステロ
ールに作用する酵素としては、コレステロールエステラ
ーゼ(CE)、コレステロールオキシダーゼ(CO)な
どが例示される。リポ蛋白分画中には、コレステロール
の他にコレステロールエステルも含まれているので、通
常、コレステロールエステルを加水分解させてコレステ
ロールに変換させるために、コレステロールエステラー
ゼ(CE)をコレステロールオキシダーゼ(CO)と共
存させる。
【0011】本発明の試薬キットにおける第1試薬中の
酵素は、例えばCEの場合には、1単位/ml〜100
単位/ml、好ましくは1単位/ml〜50単位/m
l、COの場合には、0.5単位/ml〜100単位/
ml、好ましくは1単位/ml〜50単位/mlとなる
ように配合するが、試料の種類などに応じて適宜決定さ
れる。
【0012】HDL以外のリポ蛋白分画であるLDL、
VLDL、カイロミクロンなどに含まれるコレステロー
ルに対して、上記酵素を優先的に作用させる界面活性剤
アシルポリオキシエチレンソルビタンエステルは、通常
n ソルビタンEx と略記される、親水性部分にポリオ
キシエチレンを持つ非イオン性界面活性剤であり、本発
明の目的に適合するものであれば全て用いることができ
る。具体的な商品名としては、Tween 21(C12ソルビ
タンE4 )、Tween 81(C12ソルビタンE5)、Tween
20(C12ソルビタンE20)、Tween 40(C16ソル
ビタンE20)、Tween 60(C18ソルビタンE20)、Tw
een 80(C18:1ソルビタンE20)、Emasol4130
(C18ソルビタンEx )、Tween 85(C17:1ソルビタ
ンE20)などが例示される。
【0013】本発明の試薬キットにおける第1試薬中の
界面活性剤アシルポリオキシエチレンソルビタンエステ
ルは、通常、反応液中において0.001w/v%〜
0.1w/v%、好ましくは0.001w/v%〜0.
05w/v%となるように配合されるが、試料の種類な
どに応じて適宜決定される。
【0014】HDL以外のリポ蛋白分画中のコレステロ
ールに対する上記酵素の作用を抑制させる界面活性剤ア
ルキルポリオキシエチレンエーテルは、通常Cn x
略記される、親水性部分にポリオキシエチレンを持つ非
イオン性界面活性剤であり、本発明の目的に適合するも
のであれば全て用いることができる。具体的な商品名と
しては、Atlas G2127(C128 )、Brij36T
(C1210)、Nopalcal6−L(C1214)、Brij35
(C1223)、Emulogphene BC720(C
12 9.8 )、SteroxAJ100(C139.5 )、Brij5
6(C1610)、Brij58(C1620)、Brij76(C
1810)、Brij96(C18:110)、Brij78(C18
20)、Brij98(C18:129)などが例示される。
【0015】本発明の試薬キットにおける第2試薬中の
界面活性剤アルキルポリオキシエチレンエーテルは、通
常、反応液中において0.001w/v%〜5w/v
%、好ましくは0.05w/v%〜2w/v%となり、
また第1試薬中に配合される界面活性剤アシルポリオキ
シエチレンソルビタンエステルよりも高濃度となるよう
に配合されるが、試料の種類などに応じて適宜決定され
る。
【0016】本発明の定量方法では、まずコレステロー
ルに作用する酵素と、上記界面活性剤アシルポリオキシ
エチレンソルビタンエステルと、試料とを混合させる。
すると、界面活性剤アシルポリオキシエチレンソルビタ
ンエステルの存在により、反応液中に含まれる酵素が、
HDL以外のリポ蛋白分画中のコレステロールに優先的
に作用する。
【0017】酵素がCEとCOとの組合せからなる場合
には、酵素の作用によりコレステロールの反応生成物と
して過酸化水素が生成する。本発明の定量方法において
は、第2試薬中の界面活性剤アルキルポリオキシエチレ
ンエーテルを反応系に混在させる前に、生成した反応生
成物を反応系外に導く必要があり、例えば色原体が用い
られる。色原体は、ニトロ基、アゾ基、カルボニル基、
エチレン結合、シアン基などの発色団を含み、水酸基、
アミノ基などの助色団を含まない有機化合物である。本
発明において用いられ得る色原体としては、単独では発
色能力が弱いが、上記助色団を含む有機化合物が共存す
ることにより、発色能力が増強されるものが好ましい。
反応生成物が過酸化水素である場合には、ペルオキシダ
ーゼ(POD)の存在下で、N−(2−ヒドロキシ−3
−スルホプロピル)−3,5−ジメトキシアニリンナト
リウム塩(HDAOS)、N−エチル−(2−ヒドロキ
シ−3−スルホプロピル)−m−トルイジン(TOO
S)などの色原体と過酸化水素とを反応させて、無色の
複合体を形成させ、過酸化水素を反応系外に導くことが
できる。
【0018】通常、PODは、0.01U/ml〜10
U/ml、好ましくは0.5U/ml〜5U/ml、色
原体の濃度は、0.001w/v%〜1w/v%、好ま
しくは0.01w/v%〜0.5w/v%とするが、試
料の種類などに応じて適宜決定される。
【0019】次に、反応液中に、第2試薬中の界面活性
剤アルキルポリオキシエチレンエーテルを混在させるこ
とによって、HDL以外のリポ蛋白分画中の残存するコ
レステロールに対して、酵素の作用が抑制されるととも
に、酵素がHDLコレステロールに対して作用し、酵素
の作用によりコレステロールの反応が進行する。
【0020】酵素がCEとCOとの組合せからなる場合
には、この反応により過酸化水素が生成される。この過
酸化水素は、PODの存在下で、例えば4−アミノアン
チピリンなどの助色団を含む有機化合物(0.001w
/v%〜0.1w/v%、好ましくは0.001w/v
%〜0.05w/v%)と、色原体とを縮合反応させ、
キノン色素を生成させる。なお、色原体としては、上述
のHDAOS、TOOSなどを挙げることができる。こ
のキノン色素を比色測定することによって、HDLコレ
ステロールが測定できる。比色測定は既知の方法により
行うことができ、例えば自動分析装置を用いて行うこと
ができる。
【0021】本発明方法における各反応、即ち第2試薬
を反応系に混在させる前または混在させた後の各反応
は、それぞれ通常、室温下で、1分間〜10分間、好ま
しくは3分間〜7分間行なわれるが、特にこの条件に限
定されるものではない。
【0022】本発明のHDLコレステロール定量用試薬
キットは、前述の界面活性剤アシルポリオキシエチレン
ソルビタンエステル及び酵素を含む第1試薬と、界面活
性剤アルキルポリオキシエチレンエーテルを含む第2試
薬とからなる。
【0023】第1試薬中の酵素には、例えばCE、CO
などを挙げることができる。また第1試薬中には、酵素
の他に、通常例えば、酵素POD、さらにHDAOS、
TOOSなどの色原体が配合され得るが、これらの色原
体と反応してキノン色素を生成するもの、例えば4−ア
ミノアンチピリンなどは配合されない。
【0024】これに対して、第2試薬中には、当該界面
活性剤の他に、通常、色原体と反応してキノン色素を生
成するもの、例えば4−アミノアンチピリンなどが配合
される。
【0025】なお、本発明の試薬キットは、遅くともH
DLコレステロールの定量測定時において、このように
第1及び第2の二種類の試薬に分かれていれば良い。従
って、一般に試薬キットとしての形態は、安定性などを
考慮して三種類以上の試薬に分けておき、測定のため使
用時において上記の第1及び第2の二種類の試薬に調製
するようなものでも良い。
【0026】
【実施例】以下、本発明をより詳細に説明するため実施
例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。
【0027】〔実施例1〕界面活性剤アシルポリオキシ
エチレンソルビタンエステルとして商品名がTween
85、また界面活性剤アルキルポリオキシエチレンエー
テルとして商品名がBrij98の界面活性剤をそれぞ
れ使用して、次の第1及び第2試薬を準備した。
【0028】〈第1試薬〉10mMのリン酸緩衝液(p
H7.0)、0.12mg/mlのHDAOS、0.6
単位/mlのPOD、10単位/mlのCO、10単位
/mlのCE、0.01w/v%のTween85
【0029】〈第2試薬〉10mMのリン酸緩衝液(p
H7.0)、0.15mg/mlの4−アミノアンチピ
リン、1.5w/v%のBrij98
【0030】日立7170型自動分析装置を用いて、試
料4μlに第1試薬250μlを加え、5分後に第2試
薬50μlを加え、5分後に波長600nm/700n
mで測定した。試料としてHDLコレステロール濃度が
150mg/dlの血清を10段階に希釈したものを用
いたところ、表1に示すように、良好な直線性が得られ
た。
【0031】
【表1】
【0032】この実施例においては、第1試薬を添加し
た後に、遠心分離などの煩雑な操作を必要とせず、試料
中に第2試薬を添加するだけで、試料中のHDLコレス
テロールの量に対応して生成されたキノン色素の比色測
定が行なわれる。
【0033】〔実施例2〕実施例1と同様の試薬を用い
て、同様に日立7170型自動分析装置で20例のヒト
血清を試料として測定し、標準液の測定からHDLコレ
ステロール値を求めた。そして同じ試料について市販製
品〔商品名:HDL−コレス(PG)、国際試薬社製〕
を用いて測定した値と比較した。その結果、表2に示す
ように、良好な相関性が得られた。
【0034】
【表2】
【0035】
【発明の効果】本発明のHDLコレステロールの定量方
法によれば、従来、沈殿分画法において必要とされてい
た遠心分離の操作が不要となるので、操作が簡略化さ
れ、多数の試料を短時間で、かつ容易に処理できる。し
かも2種類の試薬を用いる方法に応用できるので、汎用
型の自動分析装置を用いた連続的な測定が可能となり、
HDLコレステロールを他の検査項目とマルチチャンネ
ル化して測定することができる。また、試料を取り扱う
上で、試料に直接手を触れる機会が著しく減少するの
で、ウイルス感染の危険性も減少する。さらに、微量の
試料に対しても測定可能であるので、小児や老人など採
血量に制限がある場合でも測定が可能となる。従って、
本発明方法は、臨床検査の分野において極めて有用であ
り、臨床検査の日常業務における作業効率の向上に貢献
することができる。
【0036】また、本発明のHDLコレステロール定量
用試薬キットは、本発明方法を実施するための試薬キッ
トとしての効果を奏する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 橋口 陽一 神戸市西区室谷1丁目1−2 国際試薬株 式会社研究開発センター内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 界面活性剤アシルポリオキシエチレンソ
    ルビタンエステルにより、高比重リポ蛋白以外のリポ蛋
    白分画中のコレステロールに酵素を優先的に作用させて
    得られる反応生成物を反応系外に導き、次に界面活性剤
    アルキルポリオキシエチレンエーテルにより、高比重リ
    ポ蛋白以外のリポ蛋白分画中の残存するコレステロール
    に対する酵素による作用を抑制させるとともに、高比重
    リポ蛋白分画中のコレステロールに酵素を作用させて反
    応を進行させることを特徴とする高比重リポ蛋白分画中
    のコレステロールの定量方法。
  2. 【請求項2】 酵素がコレステロールエステラーゼ及び
    コレステロールオキシダーゼである請求項1記載の方
    法。
  3. 【請求項3】 界面活性剤アシルポリオキシエチレンソ
    ルビタンエステル及び酵素を含む第1試薬と、界面活性
    剤アルキルポリオキシエチレンエーテルを含む第2試薬
    とからなることを特徴とする高比重リポ蛋白分画中のコ
    レステロール定量用試薬キット。
  4. 【請求項4】 酵素がコレステロールエステラーゼ及び
    コレステロールオキシダーゼである請求項3記載の試薬
    キット。
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