JPH09296828A - クラッチ装置およびクラッチ装置付きモータアクチュエータ - Google Patents

クラッチ装置およびクラッチ装置付きモータアクチュエータ

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JPH09296828A
JPH09296828A JP8135794A JP13579496A JPH09296828A JP H09296828 A JPH09296828 A JP H09296828A JP 8135794 A JP8135794 A JP 8135794A JP 13579496 A JP13579496 A JP 13579496A JP H09296828 A JPH09296828 A JP H09296828A
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motor
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cam
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Seiichiro Noritake
誠一朗 則武
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Sankyo Seiki Manufacturing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 動作不良を防止すること。また、洗濯機や換
気扇等の動作態様を変更または増加させ、その機能をア
ップさせながら動作不良も防止すること。 【解決手段】 このクラッチ装置は、駆動源により回転
駆動される一方の回転体と、出力部へ回転を伝達する他
方の回転体と、一方の回転体と他方の回転体とに形成し
た一方の回転体から他方の回転体への回転伝達を継断す
るクラッチ手段とを有している。そして、このクラッチ
手段は、一方の回転体と他方の回転体のいずれか一方に
被係合部64aを形成し、いずれか他方に係合部21を
形成することにより構成され、被係合部64aへ係合部
21が係合してクラッチ手段のクラッチがオンし、被係
合部64aから係合部21が離脱してクラッチ手段のク
ラッチがオフすると共に、係合部21の当接部22に、
被係合部64aを形成する係合壁から遠ざかる斜面部2
4を形成し、その斜面部24の径方向の中央部を周方向
に沿って突出させた突出部23としている。また、この
ようなクラッチ装置を、モータアクチュエータの中に入
れている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、洗濯機の排水弁や
換気扇のシャッター等を駆動するモータアクチュエータ
等に使用されるクラッチ装置およびそのクラッチ装置を
使用したモータアクチュエータの改良に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、洗濯機の排水弁や換気扇のシャッ
ター等は、単純なバネ機構を採用して開閉動作を行って
いたが、最近ではモータを使用したモータアクチュエー
タを利用して行われるようになっている。この種のモー
タアクチュエータ、例えば、従来の洗濯機の排水弁駆動
用のモータアクチュエータは、実開平1−121591
号に示されるように巻き始め位置と巻き終わり位置の2
モードとなっている。一方、この2モードの動作の中
で、洗濯機の脱水工程およびその前後の作業までを行わ
せている。すなわち、モータアクチュエータが動作を開
始すると、まず、その内部のクラッチ装置がオンし、モ
ータの回転が出力軸等に伝えられる。すると、その動作
開始により、洗濯槽を固定していた固定用クラッチが切
られ、その後、洗濯槽をその位置に保持していたブレー
キが外され、最後に排水弁がその閉じ力に抗して開けら
れる。この3機能を行うと、モータアクチュエータは巻
き終わり位置にもたらされ、モータはオフされる。しか
し、モータ内のデイテントトルクまたはモータの逆転防
止機構の作用により、排水弁に閉じ力が働いても排水弁
は開位置に保持される。この状態で脱水が行われる。
【0003】脱水が完了すると、モータアクチュエータ
の歯車輪列機構内に組み込まれた上述のクラッチ装置の
クラッチが切られる。すると、排水弁に働く復帰力によ
りモータアクチュエータは巻き始め位置へ戻っていく。
そして、排水弁が閉じられ、次の動作、例えば、すすぎ
動作が行われる。
【0004】このようなクラッチ装置付きモータアクチ
ュエータの詳細な構造、動作の例は、実開平1−121
591に示されている。この技術の概要を図12から図
17に基づいて簡単に説明する。
【0005】図12から図14において、ケース31と
このケース31に被せられかつタッピングねじ33でケ
ース31に締め付けられたカバー32によってアクチュ
エータの箱体が形成されている。ケース31の底部には
カップ状のモータケース51(図13参照)が固定され
ている。モータケース51の底部内周部にはモータボビ
ン53が嵌められている。モータボビン53にはモータ
巻線55が施されている。モータボビン53の内周側に
はロータ61が配置されている。ロータ61は、モータ
軸57と、このモータ軸57にブッシュ63および保持
体79を介して固着されたロータマグネット62とを有
してなる。
【0006】このようなロータ61やモータ巻線55等
を有してなるモータは、周知の単相同期モータを構成し
ており、単巻の巻線55に単相交流を供給することによ
りロータマグネット62を取り囲む櫛歯状の極歯が一つ
おきにN極とS極に交互に磁化されて交番磁界が発生
し、この交番磁界に同期してロータ61が回転する。ロ
ータ61とモータケース51との間にはばね60が介装
され、ばね60がロータ61をスラスト方向に付勢して
いる。ロータ61には半径方向に突出した係合突起80
が一体に形成されると共に歯車78が一体に形成されて
いる。
【0007】図14に示すように、ケース31の内底面
には地板52が固着され、また、ケース31の上方には
ケース31に対し一定の間隔をおいて、中間板95が配
置されている。上記地板52と中間板95の間には上記
モータの歯車78の近傍において軸58が支架されてお
り、さらに軸76,77,59が支架されると共に出力
軸74が支架されている。出力軸74はそれ自体回転可
能とされている。
【0008】上記軸58には歯車78とかみ合うジュラ
コン製の歯車64が回転可能に嵌められると共にその下
に一方向規制レバー65が回動可能に嵌められている。
レバー65は歯車74の回転に伴い摩擦力により歯車6
4の回転方向に回動することができるが、ストッパ(図
示省略)によって回動が規制されている。すなわち、突
起80のボス部に当接して時計方向への回動が規制さ
れ、レバー65のピン65aがストッパに当接して反時
計方向への回動が規制される。このレバー65は同期モ
ータのロータ61の回転方向を一方向に規制するための
もので、ロータ61が所定の向きとは反対の向きに回転
しようとすると係合突起80がレバー65の一端部に当
接し、その反動でロータ61の回転の向きが反転し、所
定の向きに回転する。ロータ61が所定の向きに回転す
ると、歯車64の回転に伴いレバー65が歯車64と同
方向に回動し、その一端部が係合突起80の回転範囲か
ら逃げ、ロータ61の所定の向きへの回転を許容する。
【0009】前記軸58には、また歯車64の上方にお
いてかつ反発ばね66を介してジュラコン製の歯車67
が回転自在かつ軸58に沿って摺動可能に嵌められてい
る。歯車67の下端部には歯車64の複数の被係合部と
なる係合孔64a(図17参照)と係合可能な複数の係
合部となる係合突部67aが形成されているが、通常
は、ばね66の弾力により係合突部67は係合孔64a
から離間している。歯車67の上端には軸58に沿いか
つ適宜のガイド孔に沿って摺動可能な作業片69が乗っ
ている。作動片69は、例えば円板状の下部と摺接室7
7を貫通する複数本の伝達部からなる。作動片69の上
端には、さらにソレノイドを構成するプランジャ37が
乗っている。このプランジャ37は、ソレノイド巻線4
0が施されたボビン38の中心孔をガイドとして上下に
摺動することができる。ボビン78は、二つの鉄芯3
5,36により上下両端部が磁気的に連結されている。
巻線40に通電されるとプランジャ37が下方に吸引さ
れ、作動片69を介し歯車67が付勢力に抗して下方に
押され、その係合突部67aが歯車64の係合孔64a
に係合して歯車64と一体的に歯車67が回転駆動され
る。この歯車67,歯車64およびばね66は、プラン
ジャー37によって動作するクラッチ装置を構成してい
る。
【0010】歯車67は、軸76に回転自在に設けられ
た大径歯車70aと常時かみ合い、歯車70aと一体に
形成された小径歯車70bが軸77に回転自在に設けら
れた大径歯車71aにかみ合い、歯車71aと一体に形
成された小径歯車71bが軸59に回転自在に設けられ
た大径歯車72aとかみ合い、歯車72aと一体に形成
された小径歯車72bは出力軸74に一体に設けられた
歯車73にかみ合っている。以上述べた歯車列78−7
4−77−70a−70b−71a−71b−72a−
72b−73は、ロータ61の回転力を出力軸74に伝
達するための減速歯車輪列機構を構成している。
【0011】出力軸74は、前記中間板95の上方に突
出し、さらにカバー32の上方に突出している。出力軸
74には中間板95とカバー32との間においてカム4
1が一体に嵌められ、その上にアクチュエータ作動体と
なるプーリ48が一体に嵌められている。プーリ48
は、そのボス部がカバー32の軸孔に嵌められると共
に、止めばね50によって抜け止めがなされている。
【0012】図12に示すように、カム41のカム縁を
なす外周部には段差部となる凹部41aが形成されてい
る。カム41のカム縁には接点板42の折曲部42aが
摺接し、接点板42の先端部に固着された接点44に接
点板43の先端部が対向している。2つの接点板42,
43により前記モータへの通電を制御するスイッチを構
成しており、接点板42の折曲部42aがカム41の凹
部41aに落ち込んだとき上記スイッチがオフとなって
モータへの通電を遮断する。このように二つの接点板4
2,43が離間してスイッチがオフとなるのは、被駆動
機構を所定の位置まで駆動したときである。
【0013】図12において、上記接点板43と今一つ
の接点板45との間に外部から単相交流電源が供給され
る。そして、この交流電源はダイオード46で整流さ
れ、コンデンサ47で平滑されて前記巻線40を励磁す
るための直流電源として供される(図16参照)。
【0014】プーリ48に一端部が連結されたワイヤ4
9の他端部は、図15に示すように仲介板81および連
結帯88を介して被駆動機構としての洗濯機の排水弁機
構93のロッド87に連結されている。排水弁機構93
は、ケーシング83と、その蓋体86と、ケーシング8
3内に配置されたベローズ85と、ロッド87を付勢し
てベローズ85の円錐状の端部85aをケーシング85
の傾斜壁83aに押圧するためのばね89とを有してな
る。ケーシング85には入水口82と排水口84が形成
され、ばね89の付勢力でベローズ85の端部85aが
ケーシング83の傾斜壁83aに押圧された状態では入
水口82と排水口84との間が閉鎖される。
【0015】一方、プーリ48の回転駆動によりワイヤ
49がプーリ48に巻き取られると、ロッド87がばね
89の付勢力に抗し引っ張られてベローズ85の端部8
5aがケーシング83の傾斜壁83aから離間させら
れ、入水口82から導入される水が排水口84を通じて
排水される。なお、この排水弁機構93は、弾性部とし
てばね89の1個のみを使用しているが、ばね材を2個
使用するようにしても良い。例えば、仲介体81を二つ
に分割し、その間を弱いばねと係合軸で結び、ワイヤ4
9の巻き取られ始めは、その弱いばねが伸び、二つに分
割された仲介体が所定間隔に引き離されると、係合軸で
その二つの仲介体が一体化し、その後強いばね89を圧
縮させ、ベローズ85を傾斜壁83aから離間させるよ
うにすることができる。
【0016】図14において、軸58上の歯車67の上
側のボス部にはゴムなどによって作られた摩擦制動体6
8の中心孔が嵌合固着されている。軸58と共に摩擦制
動体68が回転すると、そのウェート部に作用する遠心
力によりアーム部が上方に向かって反り返り、摺接部6
8aが摺接室77に摺接して制動力を生じる。ただし、
歯車67が下降して歯車64と係合しているときは摺接
室77から遠ざかっているため摩擦制動力は生ぜず、歯
車67が上昇しているときにのみ摺接部68aが摺接室
77に摺接して摩擦制動力を生じる。
【0017】このように、構成されるクラッチ装置付き
モータアクチュエータの動作は次のとおりである。すな
わち、2つの接点板43,45間に交流電源が供給され
ない初期の状態では、カム41は図12に示す位置から
回転した状態となっており、カム41の大径カム縁によ
り接点板42の折曲部42aが外方に押されて接点板4
2,43が導通している。そこで今、脱水作業を開始し
ようとするときは、所定のスイッチ操作により接点板4
3,45間に交流電源を供給し、接点板42,43でな
るスイッチを通じて同期モータのコイル巻線55に単相
交流電源を供給し、ロータ61を回転させる。このとき
ロータ61が所定の向きとは逆向きに回転しようとする
と、係合突起80がレバー65の一端部65aに当接
し、その反動でロータ61は正規の回転の向きに反転
し、以後正規の向きに回転し続ける。
【0018】また、交流電源の供給と同時にダイオード
46で整流され、コンデンサ47で平滑された直流電源
がソレノイド巻線40に供給され、プランジャ37が鉄
心35,36に吸引され、ばね66の付勢力に抗して歯
車67が作動片69を介し下方に移動させられる。これ
により歯車67の係合部67aと歯車64の係合孔64
aが係合して歯車64,67が一体的に回転し、ロータ
61の回転力が前記減速歯車輪列機構を介して出力軸7
4に伝達され、出力軸74が回転駆動される。このとき
摩擦制動体68も回転するが、このときの摩擦制動体6
8の回転速度は比較的遅く、そのウェート部に作用する
遠心力は小さく、摺接室77との摩擦負荷は極小さい。
【0019】出力軸74の回転駆動によりカム41およ
びプーリ48も回転駆動される。プーリ48の回転駆動
によりその巻き取り溝にワイヤ49が巻き取られ、図1
5に示す排水弁機構93のロッド87がばね89の付勢
力に抗して引っ張られ、ベローズ85の端部85aがケ
ーシング83の傾斜壁83aから離間して入水口82と
排水口84とを連通させ、入水口82から導入される水
を排水口84から排出する。
【0020】また、上記カム41の回転により、図12
に示すように接点板42の折曲部42aの摺接位置がカ
ム41の凹部41aに達すると、接点板42が接点板4
3から離間して同期モータへの電源の供給が遮断され、
ロータ61の回転が停止する。しかし、ソレノイド巻線
40への通電は継続されるため歯車64と歯車67は一
体的に連結されている。上記モータが停止することによ
り排水弁機構93のばね89の付勢力でワイヤ49が原
位置の方に向かって引き戻され、これに伴ってプーリ4
8が逆転しようとし、前記歯車列を介してモータのロー
タ61が逆向きに回転駆動されようとするが、上記歯車
列は出力軸74側から見れば増速歯車列となるため、歯
車78を回転させようとするトルクは極小さく、しかも
ロータ61を回転させるためには一定のトルクが必要で
あり、さらに、歯車64が逆転しようとするとこの歯車
64に摩擦係合しているレバー65が回動してその一端
部65aがロータ61の逆転を阻止するため、上記歯車
列およびプーリ48は回転することができず、排水弁機
構93も原位置に復帰することはできず、排水弁を開い
た状態に保持され、この状態で脱水作業が行われる。
【0021】脱水作業が終了すると、端子43,45間
への電源の供給を停止し、ソレノイド巻線40への通電
を停止する。巻線40への給電の停止によりプランジャ
37,作動片69および歯車67はばね66の付勢力に
より図14に示す原位置に復帰し、歯車64と歯車67
との係合が解除され、モータ負荷による歯車列の回転停
止およびレバー65と係合突起80との係合による歯車
列の回転停止が解除され、排水弁機構93のばね89の
付勢力によりプーリ48,出力軸74を介して歯車列7
3−72b−72a−71b−71a−70b−70a
−67が逆向きに空転する。
【0022】上記歯車列は、出力軸74側から見れば増
速歯車列を構成しているため、歯車67が高速で回転駆
動されようとする。しかし、歯車67の回転により摩擦
制動体68のウェート部に遠心力を生じ、摺接部68a
が摺接室77に摺接し、制動力を生じる。こうして、歯
車67が高速で回転しようとすると制動力が作用して歯
車67が略一定の速度に制御され、排水弁機構93の復
帰動作がゆるやかに行われる。一方、歯車67の速度が
低下すると摩擦制動体68に生ずる遠心力が小さくなり
摺接部68aが摺接室77から離間し制動力を解除する
ので、排水弁機構93の復帰が途中で停止することはな
い。
【0023】出力軸74が逆転するのに伴いカム41も
原位置に向かって回転し、そのカム縁の大径部に接点板
42の折曲部42aが摺接して二つの接点板42,43
でなるスイッチをオンにし、排水弁機構93が原位置に
戻ってワイヤ49にかかる引っ張り力が零になる位置で
停止する。なお、二つの接点板42,43でなるスイッ
チがオンになっても、接点板42と接点板45との間に
は電源が供給されないように、他の手段、例えば、CP
Uにて制御しているので、再度カム41がモータによっ
て回転し始めるということはない。
【0024】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この従
来のクラッチ装置付きモータアクチュエータ等に使用さ
れるクラッチ装置は、永く使用していると、図19のよ
うに、一方のテーパー部67bに変形凹部67cが生ず
る。これは、例えば、前述のクラッチ装置付きモータア
クチュエータにおいては、ロータ61が回転し、その回
転を出力軸74側に伝えるときは、図19のように歯車
64が矢示A方向に回転する。この状態で係合突部67
aが係合孔64aに貫入してくるため、図19の左側の
テーパー部67bと、係合孔64aを囲む角部64bが
衝突することになるためである。しかも、係合突部67
aの材質と歯車64の材質とを同じ材質としているの
で、テーパー部67bに少し摩耗が始まると急激に拡大
し、変形凹部67cが生ずることになる。
【0025】このような変形凹部67cが生ずると、ク
ラッチがオフしたとき、係合突部67aが係合孔64a
から抜け出ないことが生ずる。これは本来なら、テーパ
ー部67bのテーパー作用によってスムーズに抜け出る
ようになっているのが、この変形凹部67cでは、その
テーパー作用が生じなくなってしまうためである。この
現象が生ずると、プランジャ37がオフしても、歯車6
4と歯車67との係合が解除されず、排水弁機構93が
原位置に復帰しなくなってしまう。
【0026】また、従来のクラッチ装置付きモータアク
チュエータは、モータがオンされると巻き始めから巻き
終わりまで一気に動くため、動作開始すれば、必ずベロ
ーズ等から構成される排水弁が開くこととなる。すなわ
ち、脱水時しか使用できないものとなっている。
【0027】一方、洗濯機の分野では、より少ない水量
で、より効率よく洗えるようにするため、パルセータの
回転方向を各種制御する工夫がなされている。しかし、
このパルセータの回転方向を制御することによる洗い効
率の向上は限界にきつつある。
【0028】本発明は、動作不良の生じにくいクラッチ
装置およびクラッチ装置付きモータアクチュエータを提
供することを目的とする。また、本発明は、洗濯機や換
気扇等の動作態様を変更または増加させ、その機能をア
ップさせ得ると共に動作不良が生じにくいクラッチ装置
付きモータアクチュエータを提供することを目的とす
る。特に、洗濯機においては、従来にない新規でかつ洗
い効率の良い洗い方ができるようになると共に動作不良
が生じにくいクラッチ装置付きモータアクチュエータを
提供することを目的とする。
【0029】
【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するた
め、請求項1記載の発明では、駆動源により回転駆動さ
れる一方の回転体と、出力部へ回転を伝達する他方の回
転体と、一方の回転体と他方の回転体とに形成した一方
の回転体から他方の回転体への回転伝達を継断するクラ
ッチ手段とを有し、このクラッチ手段は、一方の回転体
と他方の回転体のいずれか一方に被係合部を形成し、い
ずれか他方に係合部を形成することにより構成され、被
係合部へ係合部が係合してクラッチ手段のクラッチがオ
ンし、被係合部から係合部が離脱してクラッチ手段のク
ラッチがオフすると共に、係合部の当接部に、被係合部
を形成する係合壁から遠ざかる斜面部を形成し、その斜
面部の径方向の中央部を周方向に沿って突出させてい
る。
【0030】また、請求項2記載の発明では、係合部の
硬度を、被係合部を形成する係合壁の硬度に比べ大きく
している。さらに、請求項3記載の発明では、一方の回
転体に被係合部となる係合孔を設け、他方の回転体に係
合部となる係合突起を設け、他方の回転体と出力部との
間に減速輪列を設けている。
【0031】請求項4記載の発明では、モータ巻線への
通電により回転するロータと、このロータに減速輪列を
介して連結されると共に被駆動機構を駆動操作するため
の出力軸と、減速輪列中に設けられたロータと出力軸と
の間で回転を継断するクラッチ装置とを備えたクラッチ
装置付きモータアクチュエータにおいて、クラッチ装置
の一方の回転体に被係合部を設け、クラッチ装置の他方
の回転体に被係合部に係脱する係合部を設け、この係合
部の当接部に、係合部先端の幅が狭くなる斜面部を形成
し、この斜面部の径方向の中央部を周方向に沿って突出
させている。
【0032】さらに、請求項5記載の発明では、モータ
と、このモータによって駆動されるカムと、モータの回
転をカムに伝達する歯車輪列機構と、この歯車輪列機構
に入れられモータの回転の伝達を切断可能とするクラッ
チ装置と、このクラッチ装置を動作させるソレノイド
と、カムに接触し、モータへの通電をオンオフするスイ
ッチ接片と、モータの回転が歯車輪列機構を介して伝え
られるアクチュエータ作動体とを備えてなるクラッチ装
置付きモータアクチュエータにおいて、スイッチ接片を
動作させる少なくとも1つ以上の段差部をカムに設ける
と共に、クラッチ装置の一方の回転体に被係合部を設
け、クラッチ装置の他方の回転体に被係合部に係脱する
係合部を設け、この係合部の当接部に、係合部先端の幅
が狭くなる斜面部を形成し、この斜面部の径方向の中央
部を周方向に沿って突出させている。
【0033】請求項6記載の発明では、モータ巻線への
通電により回転するロータと、このロータに減速輪列を
介して連結されると共に被駆動機構を駆動操作するため
の出力軸と、減速輪列中に設けられたロータと出力軸と
の間で回転を継断するクラッチ装置とを備えたクラッチ
装置付きモータアクチュエータにおいて、モータ巻線の
一方側に接続される電流通路を1系統とし、他方側に接
続される電流通路を複数系統とすると共に、クラッチ装
置の一方の回転体に被係合部を設け、クラッチ装置の他
方の回転体に被係合部に係脱する係合部を設け、この係
合部の当接部に、係合部先端の幅が狭くなる斜面部を形
成し、この斜面部の径方向の中央部を周方向に沿って突
出させている。
【0034】また、請求項7記載の発明では、請求項6
記載のクラッチ装置付きモータアクチュエータにおい
て、電流通路は、出力軸と連動回転する1つのカムによ
って制御される少なくとも3枚のスイッチ接片を有して
おり、このスイッチ接片の内の1枚をモータ巻線の他方
側の端子に接続すると共に残りのスイッチ接片の複数を
電源側に接続している。
【0035】さらに、請求項8記載の発明では、モータ
と、このモータによって駆動されるカムと、モータの回
転をカムに伝達する歯車輪列機構と、この歯車輪列機構
に入れられモータの回転の伝達を切断可能とするクラッ
チ装置と、このクラッチ装置を動作させるソレノイド
と、カムに接触し、モータへの通電をオンオフするスイ
ッチ接片と、モータの回転が歯車輪列機構を介して伝え
られるアクチュエータ作動体とを備えてなるクラッチ装
置付きモータアクチュエータにおいて、スイッチ接片を
動作させる少なくとも2つ以上の段差部をカムに設ける
と共にスイッチ接片を3個以上設け、その1つのスイッ
チ接片と電源の一端とを常時通電可能に接続し、他の複
数のスイッチ接片と電源の他端とをその通電状態を選択
可能に接続すると共に、クラッチ装置の一方の回転体に
被係合部を設け、クラッチ装置の他方の回転体に被係合
部に係脱する係合部を設け、この係合部の当接部に、係
合部先端の幅が狭くなる斜面部を形成し、この斜面部の
径方向の中央部を周方向に沿って突出させている。
【0036】このクラッチ装置付きモータアクチュエー
タは、モータのコイル巻線とソレノイドに電力が供給さ
れると、そのモータのロータが回転すると共にクラッチ
装置がオンする。そして、そのロータの回転は減速輪列
を介してアクチュエータ作動体に伝えられ、たとえば洗
濯機の排水弁を開かせる。その時、カムによりスイッチ
接片が動作し、モータの回転が停止すると共にカムの回
転が停止する。その後、所定の動作が完了するとソレノ
イドが動作し、クラッチ装置がオフし係合状態が解か
れ、排水弁を閉じる。一方、カムも元の状態に復帰す
る。
【0037】このような動作の中で、このクラッチ装置
は、係合部となる係合突起の斜面部に丸みを持たせる等
により、その中央部を周方向に突出させたので、斜面部
のテーパー作用を永く維持できるものとなる。このた
め、クラッチ装置は確実にオフすることになり、動作不
良が生じない。
【0038】また、このクラッチ装置付きモータアクチ
ュエータは、モータのコイル巻線の一方側の端子に接続
される電流通路を1系統とし、他方側に接続される電流
通路を複数系統している。すなわち、電源の他端が複数
のスイッチ接片とその通電状態を選択可能に接続してい
るので、その通電状態を変えることにより各種のモード
が可能となる。例えば、スイッチ接片が3個でカムの段
差部が2つの場合、3個のスイッチ接片がすべて当接し
ている状態と、最外周のスイッチ接片のみが離れる状態
と、3個のスイッチ接片がすべて離れる状態の3状態を
とらせることが可能となる。そして、この3状態のう
ち、第2番目の状態のときにモータへの電力供給を断つ
ようにしたり、第3番目の状態のときにモータへの電力
供給を断つようにすることができる。このため、このク
ラッチ装置付きモータアクチュエータを使用する機器の
動作態様を増加させることが可能となる。
【0039】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態の例を
図1から図11に基づき説明する。
【0040】このクラッチ装置付きモータアクチュエー
タ1は、洗濯機の排水弁駆動用であり、減速輪列となる
歯車輪列機構内のクラッチ装置、カムおよびスイッチが
新しい構造となっている。一方、モータ、歯車輪列機
構、クラッチ装置を動作させるソレノイド、排水弁を動
作させる巻き上げ機構等は、図12から図17に示した
従来のものと同様であり、その構造の説明は省略する。
なお、今後、これらの部材を引用するときは、図12か
ら図17において示した符号を利用して説明することと
する。
【0041】このクラッチ装置付きモータアクチュエー
タ1のカム2は、図12から図14に示す従来のカム4
1と異なり、図1に示すように最外周部2aと、第1の
段差部となる中間部2bと、第2の段差部となる最内周
部2cの3部分を有している。なお、このカム2は、従
来と同様にモータのロータ61の回転が歯車輪列機構を
介して伝達される構造となっている。一方、スイッチ部
分は、従来のものと異なっている。すなわち、従来は接
点板42,43の2つの接点板でスイッチ部分を構成し
ていたが、このカム2により動作するスイッチ部分は、
3つのスイッチ接片3,4,5で構成され、それらがカ
ム2の側方に配置されている。また、端子6がケース7
から外部に突出するように設けられていると共に、コイ
ルボビンの接続端子8,9が端子6とスイッチ接片3に
それぞれ接する形でモータ部側から突出している。
【0042】なお、スイッチ接片3は、カム2に当接す
る曲げ部3aと、スイッチ接片4と接触する接点部3b
と、コイルボビンの接続端子9と半田付けされる接続部
3cとを有している。また、スイッチ接片4は、スイッ
チ接片3,スイッチ接片5と接触する接片部4aと、端
子機能を有する端子部4bとから構成されている。さら
に、スイッチ接片5は、スイッチ接片4と接触する接点
部5aと、端子機能を有する端子部5bとから構成され
ている。
【0043】スイッチ接片3,4,5と端子6とモータ
巻線55との接続関係は、図2に示すとおりとなってい
る。すなわち端子6とモータ巻線55の一方の接続端子
8とが接続され、他方の接続端子9とスイッチ接片3と
が接続される。一方、図2に示すように、端子6とスイ
ッチ接片5との間には、ソレノイド巻線40が入れられ
ている。そして、このソレノイド巻線40と並列にコン
デンサ10が接続される一方、このコンデンサ10と直
列にダイオード11が接続されている。なお、ダイオー
ド11は、スイッチ接片4の曲がり部4cの図1で見て
紙面と垂直方向奥部に配設されている。そして、このダ
イオード11の一端は、スイッチ接片5と舌片部14で
接続され、他端は舌片部15でコンデンサ10やソレノ
イド巻線40と接続されている。
【0044】また、スイッチ接片4,5はともに、CP
U12に接続され、このCPU12を介して電源13の
一端と接続される。一方、端子6は、電源13の他端に
接続される。なお、CPU12は、洗濯機側のスイッチ
周辺の制御回路を簡略化して示した制御部を意味し、洗
濯機のモードスイッチ(図面省略)によって、スイッチ
接片4,5への通電状態を変更、選択できるような制御
を行うものである。
【0045】一方、歯車輪列機構内のクラッチ装置の他
方の回転体となる歯車67に設けられる係合部となる係
合突起21には、図3から図6に示すように、一方の回
転体となる歯車64と係合する当接部に、角部64b等
の係合壁となる係合孔壁から遠ざかる斜面部22が設け
られている。この斜面部22によって係合部先端の幅
は、先端に行くに従い徐々に狭くなっている。そして、
この斜面部22は、歯車67の径方向の中央部が周方向
に沿って突出させられた断面円形状の突出部23となっ
ている。なお、回転伝達時の当接部とはならない他方の
面にも、同様に斜面部24が設けられているが、この面
は、突出部とはなっていない。ただし、後述するよう
に、左右対称的に同様な形状の突出部23を設けるよう
にしても良い。なお、歯車64は、ジュラコンからな
り、歯車67は、ジュラコンより硬いティスモ入りのP
BT(ポリブチレンテレフタレート)からなっている。
【0046】このように構成されるクラッチ装置付きモ
ータアクチュエータ1の動作は、次のとおりである。な
お、動作説明にあたっては、洗濯機の動作モードが、図
10に示すような自動選択モードになっている場合を例
にして説明することとする。
【0047】まず、洗濯工程Aが行われるが、その場
合、その工程Aの開始に先立ちCPU12は、電源13
とスイッチ接片5を通電可能状態にする一方、スイッチ
接片4に対しては不導通状態にする。一方、スイッチの
メカ側はスイッチ接片2の曲げ部3aがカム2の最外周
部2aに乗り上げており、スイッチ接片3,4,5は互
いに接触状態となっている。この結果、モータ巻線55
に電力が供給されると、ロータ61が回転し、カム2が
回転し始める。一方、プランジャ37はオン状態とな
り、クラッチ装置がオンとなる。このとき、歯車64
は、図4に示すように矢示A方向に回転し始める一方、
係合部となる係合突起21は、矢示C方向に動き被係合
部となる係合孔64a内に貫入してくる。このように、
電源13、端子6、接続端子8、モータ巻線55、接続
端子9、スイッチ接片3,4,5、CPU12および電
源13の回路が構成され、モータおよびプランジャ37
が駆動される結果、図7の状態にあるカム2が回転し始
める。そして、スイッチ接片3の曲げ部3aがカム2の
中間部2bに落ち込むと、図8のようにスイッチ接片5
は、スイッチ接片3,4から離れる。このため、モータ
への電力供給は止まる。
【0048】このとき、ソレノイド巻線40への電力供
給は、継続されるため、プランジャ37はオン状態を継
続し、クラッチ装置は係合状態を維持する。すなわち、
歯車64と歯車67は一体的に連結されている。このた
め、排水弁機構93側から戻り力がモータのロータ61
に加わるが、すなわち、係合突起21は、図4で矢示B
方向に回転しようとする力を歯車64に伝えるが、ロー
タ61とステータとの間のデイテントトルクにより、ロ
ータ61は現状位置を維持するため、カム2も現状位置
を保持する。なお、図14に示すレバー65等の逆転防
止機構で逆転を防止し、排水弁側からの戻り力に対抗さ
せるようにしても良い。
【0049】なお、排水弁機構93側には強いばねと弱
いばねが配置され、この強いばねの力が排水弁を閉じる
力となっている。ここで弱いばねは、排水弁機構93の
ベローズ85を開けようとする際の初期から作用し、強
いばねはベローズ85を開けようとする際の後期のみに
作用する。すなわち、カム2が回転し始め、スイッチ接
片3の曲げ部3aがカム2の中間部2bに落ち込むまで
は、弱いばねのみが働いており、ベローズ85を開くま
でには至らない。カム2がさらに回転し、強いばねの作
用領域に入ると、そのばねの弾性力に抗して排水弁機構
93のベローズ85は開き始め、スイッチ接片3の曲げ
部3aがカム2の最内周部2cに落ち込んだとき、ベロ
ーズ85は完全に開いた状態となる。
【0050】このようにスイッチ接片3の曲げ部3aが
中間部2bにある状態のときは、排水弁機構93のベロ
ーズ85は開かれていない。一方、カム2がこの位置ま
で回転する間に,洗濯機内の固定用クラッチは切られ、
ブレーキを外す制御が行われる。この結果、洗濯槽は、
自由回転可能となる。そして、パルセータの回転とは逆
方向に、洗濯槽を回転させる。このため、水の流れに乱
流が生じ、洗浄力を増すこととなる。なお洗濯槽の回転
は、パルセータの回転と同方向にさせたり、その回転数
をパルセータの回転数と同じにしたりしても良い。ま
た、CPU12等の制御回路により、洗濯槽の駆動源を
制御してそれらの動きを組み合わせることもできる。ま
た、洗濯槽の回転のための駆動力は、パルセータの駆動
源と同一にしても良いし、別にしても良い。
【0051】この洗濯工程Aが終了すると、CPU12
は、スイッチ接片5への通電を止める。このため、ソレ
ノイド巻線40への通電がオフとなり、歯車輪列機構の
中のクラッチ機構が切れる。カム2は、排水弁機構93
側の弱いバネの力により元に戻され図7の状態に復帰す
る。この復帰によって、洗濯槽を固定するための固定用
クラッチが入ると共にブレーキをかける制御が行われ
る。
【0052】その後、洗濯水を排水すると共に洗濯物を
脱水するための脱水工程Bに入る。この脱水工程Bに先
立ち、CPU12は、電源13とスイッチ接片4,5を
通電可能状態とする。このため、モータ巻線55に電力
が供給され、カム2が回転し始める。そして、スイッチ
接片3の曲げ部3aがカム2の中間部2bに落ち込み、
スイッチ接片5がスイッチ接片3,4から離れるが、電
源13はスイッチ接片4にも接続される状態となってい
るため、ロータ61の回転は停止しない。この結果、カ
ム2は回転を継続し、スイッチ接片3の曲げ部3aは、
その後、カム2の最内周部2cに落ち込む(図9参
照)。この落ち込みにより、スイッチ接片3はスイッチ
接片4から離れるため、ロータ61の回転は停止し、カ
ム2の回転も止まる。
【0053】なお、スイッチ接片3の曲げ部3aが中間
部2bに落ち、その後、最内周部2cに落ち込むまでの
間で、ベローズ85は開かれる。ベローズ85が開かれ
ると、洗濯槽の水は、排水される。一方、モータがオン
されカム2が回転し始め、スイッチ接片3の曲げ部3a
のカム中間部2bに落ち込むまでの間で、洗濯機内の固
定用クラッチが切られブレーキを外す制御が行われる。
【0054】ベローズ85が開かれ、排水が完了する
と、洗濯機は脱水工程Bに入る。脱水工程Bでは、洗濯
槽がパルセータと共に一体回転し洗濯物の脱水を行う。
この脱水は、パルセータと洗濯槽が同時に一体回転する
ことによりなされるが、前述したように、洗濯槽は排水
弁が開く前に固定用クラッチが切られかつブレーキが外
されているので、洗濯時と異なり回転可能となっている
ので問題なく行われる。
【0055】この脱水工程Bが終了すると、CPU12
は、スイッチ接片5への通電を止める。このため、ソレ
ノイド巻線40への通電がオフとなり、歯車輪列機構の
中のクラッチ装置がオフし、カム2は排水弁機構95側
の強いバネおよび弱いバネの力により戻され、図7の状
態に復帰する。この復帰の間に、洗濯槽のための固定用
クラッチが入ると共にブレーキをかける制御が行われ
る。
【0056】その後、すすぎを行うすすぎ工程Cに入
る。なお、このすすぎ工程Cに先立ち、CPU12は、
電源13とスイッチ接片5を通電可能状態にする一方、
スイッチ接片4に対しては不導通状態とする。このた
め、クラッチ装置付きモータアクチュエータ1は、洗濯
工程Aに入る前と同じ動作を行い、スイッチ接片3の曲
げ部3aがカム2の中間部2bに落ち込んだ状態で止ま
る。この結果、洗濯槽は洗濯工程Aと同様に回転自由な
状態となり、洗濯工程Aでの動きと同様な動作を行うこ
とが可能となる。なお、この時の洗濯槽の動きを洗濯工
程Aと同様にはせず、すすぎに最適な他の動きとしても
良い。
【0057】すすぎ工程Cが終了すると、CPU12
は、スイッチ接片5への通電を止める。このため、洗濯
工程Aの終了時と同様に、カム2は図7の状態に復帰す
る。この後、最後の工程となる脱水工程Dに入る。この
脱水工程Dに先立つクラッチ装置付きモータアクチュエ
ータ1の動作および洗濯機の動作は、先に述べた脱水工
程Bと同様となっている。また脱水工程Dの終了時の動
きも脱水工程Bと同様である。なお、すすぎ工程Cや脱
水工程Dが終了する際のカム2の復帰動作時間におい
て、洗濯槽が再固定される制御、すなわち固定用クラッ
チが入れられると共にブレーキをかける制御が行われ
る。
【0058】このような各種の工程を行うたびに、歯車
輪列機構内のクラッチ装置がオンしたりオフしたりす
る。このオンオフ、すなわち、回転伝達の縦断によっ
て、歯車64の係合孔64aを囲む係合孔壁、特にその
角部64bと、歯車67の係合突起21の突出部23と
の間に衝突、摺接が生ずる。これを何度も繰り返すと、
突出部23の方が角部64bより硬い材質であっても、
変形凹部25が発生する。しかし、この変形凹部25が
発生したとしても、その変形凹部25の両側部分は、ま
だ、図5の矢示Dのように、テーパーが存在しており、
例えば、係合突起21が係合孔64aの中で径方向にガ
タつくと、テーパー機能が働き、係合突起21は、係合
孔64aからスムーズに抜け出ることになる。
【0059】なお、突出部23を含む歯車67は、ティ
スモ入りのPBTで、ジュラコン製の歯車64より硬く
なっており、変形凹部25の発生は、従来のクラッチ装
置に比べ少ないものとなっている。そして、歯車64の
角部64bが図6(C)に示すように摩耗しがちとな
る。しかし、この摩耗は、係合突起21を係合孔64a
から外れ易くするものであり、摩耗としては好ましいも
のである。
【0060】以上のような実施の形態では、中間部2b
にスイッチ接片3が落ち込むまでに、洗濯機の洗濯槽の
固定用クラッチを切り、ブレーキを外しているので、洗
濯槽が自由に回転可能となる。このため、洗濯機におけ
る洗濯工程が従来の洗濯方法と異なる洗濯方法とするこ
とができ、洗濯機の機能を向上させることができる。な
お、中間部2bにスイッチ接片3が落ち込むまでの間
に、固定用クラッチを切るだけの動作をさせるようにし
ても良い。その場合、ブレーキはまだ効いているが、C
PU12等の制御回路を働かせ、ブレーキを解除させる
ようにして、同様な機能を持たせることができる。但
し、ブレーキが効いている状態の時でも、従来と異なる
洗濯方法をすることができる。すなわち、洗濯槽をゆら
す等して新たな洗濯方法を提供できる。
【0061】なお、上述の各実施の形態は、本発明の好
適な実施の形態の例であるが、これに限定されるもので
はなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々
変形実施可能である。例えば、係合突起21を図11
(A)に示すように、両側の斜面部22,24に突出部
23,23を設けるようにしたり、図11(B)に示す
ように、当接部とならない側の面には斜面部を設けない
ようにしても良い。さらに、突出部23の断面形状を円
形ではなく、図11(C)に示すように、三角形状とし
たり、図11(D)に示すように三角形の先端を切り欠
いたような台形としても良い。また、係合突起21と係
合孔64aによる係脱ではなく、係合部も被係合部も共
に突起としたクラッチとしても良い。
【0062】また、ソレノイド巻線40への通電のため
の回路の一部としてスイッチ接片5を利用するのではな
く、端子をもう1個設け、その端子に電源13の他端を
接続するようにしても良い。また、プランジャ37と輪
列用のクラッチ装置との関係は、ソレノイド巻線40が
通電されたとき輪列用のクラッチ装置を係合状態とし回
転伝達可能にするのではなく、ソレノイド巻線40の通
電がオフされたときに輪列用のクラッチ装置を係合状態
とする構成としても良い。
【0063】また、スイッチ接片を4個以上の複数と
し、それに合わせ段差部を3個以上の複数としても良
い。さらに、カム2の両側部の2箇所にスイッチ接片を
設けたり、複数のスイッチ接片の一部を他の機能用に使
用するようにしても良い。
【0064】さらに、カム2の復帰は、排水弁機構93
のばね89のようなバネ力を利用するのではなく、正逆
転可能なモータを使用し、そのモータに再度通電し反転
させるようにしても良い。このような場合、プランジャ
37等の機構および輪列用のクラッチ装置は不要とな
る。
【0065】また、図3から図6に示すクラッチ装置を
使用するモータアクチュエータとしては、図12から図
17に示す従来構造のモータアクチュエータでも良い。
さらに、係合突起21側に突出部23を設けるのではな
く、係合孔64aの係合孔壁側に突出部を設けるように
しても良い。さらに、係合突起を歯車64側に設け、係
合孔を歯車67側に設けるようにしても良い。
【0066】
【発明の効果】以上説明したように、各請求項記載のク
ラッチ装置およびクラッチ装置付きモータアクチュエー
タでは、係合部に設けたテーパー作用が永く維持できる
ので、クラッチ装置をオフ状態にしようとしたときに、
オン状態、すなわち、係合状態のままとなることはな
い。この結果、クラッチがオフしなくなるという動作不
良はほとんどなくなると共に、このようなクラッチ装置
を使用したモータアクチュエータは、安定した動作を行
うものとなる。
【0067】また、請求項2記載の発明では、係合部に
変形凹部が生じにくくなる。しかも、材質が硬くない側
となる被係合部の角部が仮に摩耗したとしても、その摩
耗は、係合部が被係合部から外れやすくなるもので、係
合状態をオフにした際の動作安定には、好ましいものと
なる。さらには、請求項3記載の発明では、出力部側か
らの回転が増速される一方、トルクは小さくなって他方
の回転体に伝達されてくることになり、クラッチ装置の
食い付き現象を減少させることができる。この結果、出
力部側から受ける力が強い場合でも、動作の安定したク
ラッチ装置を得ることができる。このため、洗濯機の排
水弁等の負荷が大きいものに対しても、このクラッチ装
置を使用することができるようになる。
【0068】さらに、請求項6,7および8記載のクラ
ッチ装置付きモータアクチュエータでは、モータの通電
状態を変更でき、その変更によりカムの停止位置を複数
に設定できる。その結果、このクラッチ装置付きモータ
アクチュエータを使用する洗濯機や換気扇等の動作態様
を変更または増加させ、その機能をアップさせることが
できる。
【0069】加えて、請求項7および8記載のクラッチ
装置付きモータアクチュエータでは、少なくとも3枚の
スイッチ接片を利用して、モータの通電状態を2通り以
上に変更できるので、小型で高機能なクラッチ装置付き
モータアクチュエータとなる。また、このクラッチ装置
付きモータアクチュエータを使用した洗濯機等の電気機
器は、その機能の向上にかかわらず大型化することがな
い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のクラッチ装置付きモータアクチュエー
タの実施の形態を示すケースを取り除いた一部平面図で
ある。
【図2】本発明のクラッチ装置付きモータアクチュエー
タを含むスイッチ周辺の回路図である。
【図3】本発明のクラッチ装置の係合突起の要部斜視図
である。
【図4】本発明のクラッチ装置の係合突起周辺部分の周
方向に沿った断面図である。
【図5】本発明のクラッチ装置の係合突起に生じた変形
凹部を示す図である。
【図6】本発明のクラッチ装置に生ずる摩耗部分を説明
する図で、(A)は係合突起の側面図で、(B)は
(A)のB−B線による部分断面図で、(C)は係合孔
部分の周方向に沿った断面図である。
【図7】図1の接片部分を示す平面図で、カムが回転す
る前の状態を示す図である。
【図8】図1の接片部分を示す平面図で、カムが回転
し、スイッチ接片が中間部に落ち込んだ状態を示す図で
ある。
【図9】図1の接片部分を示す平面図で、カムがさらに
回転し、スイッチ接片が最内周部に落ち込んだ状態を示
す図である。
【図10】洗濯機の行程とカム移動量の関係を示す図
で、(A)は、洗濯機の自動洗濯モードを示しており、
(B)は、(A)に対するカム移動量を示している図で
ある。
【図11】本発明のクラッチ装置の係合突起の他の例を
示すもので、(A)は両側に突出部を設けたものを示
し、(B)は一方側には斜面部を設けたものを示し、
(C)は突出部を断面三角形状にしたものを示し、
(D)は突出部を断面台形としたものを示している。
【図12】従来のクラッチ装置付きモータアクチュエー
タの一部断面平面図である。
【図13】図12の一部断面側面図である。
【図14】図12の各点OABCDEを結ぶ線に沿う断
面展開図である。
【図15】図12のクラッチ装置付きモータアクチュエ
ータで駆動される被駆動機構の一部断面平面図である。
【図16】図12のクラッチ装置付きモータアクチュエ
ータの回路図である。
【図17】図12のクラッチ装置付きモータアクチュエ
ータ12に使用されるクラッチ装置の係合孔が設けられ
た歯車の平面図である。
【図18】図12のクラッチ装置付きモータアクチュエ
ータに使用される係合孔と係合突起の関係を示す要部斜
視図である。
【図19】図12のクラッチ装置付きモータアクチュエ
ータに使用される係合突起に生ずる変形凹部を説明する
ための図で、(A)は図18のXIX−XIX断面図で、
(B)は(A)の矢示E部分の拡大斜視図である。
【符号の説明】
1 クラッチ装置付きモータアクチュエータ 2 カム 2a 最外周部 2b 中間部(段差部) 2c 最内周部(段差部) 3、4、5 スイッチ接片 6 端子 7 ケース 8、9 接続端子 12 CPU 21 係合突起(係合部) 22 斜面部(当接部) 23 突出部 24 斜面部 25 変形凹部 40 ソレノイド巻線 48 プーリ(アクチュエータ作動体) 55 モータ巻線 61 ロータ 64 歯車(一方の回転体) 64a 係合孔(被係合部) 64b 角部 67 歯車(他方の回転体) 67a 係合突部(係合部) 74 出力軸

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 駆動源により回転駆動される一方の回転
    体と、出力部へ回転を伝達する他方の回転体と、上記一
    方の回転体と上記他方の回転体とに形成した上記一方の
    回転体から上記他方の回転体への回転伝達を継断するク
    ラッチ手段とを有し、このクラッチ手段は、上記一方の
    回転体と上記他方の回転体のいずれか一方に被係合部を
    形成し、いずれか他方に係合部を形成することにより構
    成され、上記被係合部へ上記係合部が係合して上記クラ
    ッチ手段のクラッチがオンし、上記被係合部から上記係
    合部が離脱して上記クラッチ手段のクラッチがオフする
    と共に、上記係合部の当接部に、上記被係合部を形成す
    る係合壁から遠ざかる斜面部を形成し、その斜面部の径
    方向の中央部を周方向に沿って突出させたことを特徴と
    するクラッチ装置。
  2. 【請求項2】 前記係合部の硬度を、前記被係合部を形
    成する前記係合壁の硬度に比べ大きくしたことを特徴と
    する請求項1記載のクラッチ装置。
  3. 【請求項3】 前記一方の回転体に前記被係合部となる
    係合孔を設け、前記他方の回転体に前記係合部となる係
    合突起を設け、前記他方の回転体と前記出力部との間に
    減速輪列を設けたことを特徴とする請求項1または2記
    載のクラッチ装置。
  4. 【請求項4】 モータ巻線への通電により回転するロー
    タと、このロータに減速輪列を介して連結されると共に
    被駆動機構を駆動操作するための出力軸と、上記減速輪
    列中に設けられた上記ロータと上記出力軸との間で回転
    を継断するクラッチ装置とを備えたクラッチ装置付きモ
    ータアクチュエータにおいて、上記クラッチ装置の一方
    の回転体に被係合部を設け、上記クラッチ装置の他方の
    回転体に上記被係合部に係脱する係合部を設け、この係
    合部の当接部に、係合部先端の幅が狭くなる斜面部を形
    成し、この斜面部の径方向の中央部を周方向に沿って突
    出させたことを特徴とするクラッチ装置付きモータアク
    チュエータ。
  5. 【請求項5】 モータと、このモータによって駆動され
    るカムと、上記モータの回転を上記カムに伝達する歯車
    輪列機構と、この歯車輪列機構に入れられ上記回転の伝
    達を切断可能とするクラッチ装置と、このクラッチ装置
    を動作させるソレノイドと、上記カムに接触し、上記モ
    ータへの通電をオンオフするスイッチ接片と、上記モー
    タの回転が上記歯車輪列機構を介して伝えられるアクチ
    ュエータ作動体とを備えてなるクラッチ装置付きモータ
    アクチュエータにおいて、上記スイッチ接片を動作させ
    る少なくとも1つ以上の段差部を上記カムに設けると共
    に、上記クラッチ装置の一方の回転体に被係合部を設
    け、上記クラッチ装置の他方の回転体に上記被係合部に
    係脱する係合部を設け、この係合部の当接部に、係合部
    先端の幅が狭くなる斜面部を形成し、この斜面部の径方
    向の中央部を周方向に沿って突出させたことを特徴とす
    るクラッチ装置付きモータアクチュエータ。
  6. 【請求項6】 モータ巻線への通電により回転するロー
    タと、このロータに減速輪列を介して連結されると共に
    被駆動機構を駆動操作するための出力軸と、上記減速輪
    列中に設けられた上記ロータと上記出力軸との間で回転
    を継断するクラッチ装置とを備えたクラッチ装置付きモ
    ータアクチュエータにおいて、上記モータ巻線の一方側
    に接続される電流通路を1系統とし、他方側に接続され
    る電流通路を複数系統とすると共に、上記クラッチ装置
    の一方の回転体に被係合部を設け、上記クラッチ装置の
    他方の回転体に上記被係合部に係脱する係合部を設け、
    この係合部の当接部に、係合部先端の幅が狭くなる斜面
    部を形成し、この斜面部の径方向の中央部を周方向に沿
    って突出させたことを特徴とするクラッチ装置付きモー
    タアクチュエータ。
  7. 【請求項7】 前記他方側に接続される電流通路は、上
    記出力軸と連動回転する1つのカムによって制御される
    少なくとも3枚のスイッチ接片を有しており、このスイ
    ッチ接片の内の1枚が前記モータ巻線の他方側の端子に
    接続されると共に残りのスイッチ接片の複数が電源側に
    接続されることを特徴とする請求項6記載のクラッチ装
    置付きモータアクチュエータ。
  8. 【請求項8】 モータと、このモータによって駆動され
    るカムと、上記モータの回転を上記カムに伝達する歯車
    輪列機構と、この歯車輪列機構に入れられ上記回転の伝
    達を切断可能とするクラッチ装置と、このクラッチ装置
    を動作させるソレノイドと、上記カムに接触し、上記モ
    ータへの通電をオンオフするスイッチ接片と、上記モー
    タの回転が上記歯車輪列機構を介して伝えられるアクチ
    ュエータ作動体とを備えてなるクラッチ装置付きモータ
    アクチュエータにおいて、上記スイッチ接片を動作させ
    る少なくとも2つ以上の段差部を上記カムに設けると共
    に、上記スイッチ接片を3個以上設け、その1つのスイ
    ッチ接片と電源の一端とを常時通電可能に接続し、他の
    複数のスイッチ接片と上記電源の他端とをその通電状態
    を選択可能に接続すると共に、上記クラッチ装置の一方
    の回転体に被係合部を設け、上記クラッチ装置の他方の
    回転体に上記被係合部に係脱する係合部を設け、この係
    合部の当接部に、係合部先端の幅が狭くなる斜面部を形
    成し、この斜面部の径方向の中央部を周方向に沿って突
    出させたことを特徴とするクラッチ装置付きモータアク
    チュエータ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2003106347A (ja) * 2001-09-28 2003-04-09 Nakagawa Electric Ind Co Ltd モータ式駆動装置
GB2422493A (en) * 2005-01-24 2006-07-26 Hewlett Packard Development Co Electronics cooling fan having a clutch
CN109442036A (zh) * 2018-11-16 2019-03-08 洛阳智能农业装备研究院有限公司 一种用于牙嵌离合器上的电动拨叉控制系统

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