JPH09296106A - 色可変マイクロカプセル含有分散液 - Google Patents

色可変マイクロカプセル含有分散液

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JPH09296106A
JPH09296106A JP8210207A JP21020796A JPH09296106A JP H09296106 A JPH09296106 A JP H09296106A JP 8210207 A JP8210207 A JP 8210207A JP 21020796 A JP21020796 A JP 21020796A JP H09296106 A JPH09296106 A JP H09296106A
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JP
Japan
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water
color
polyurethane resin
resin
microcapsule
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JP8210207A
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English (en)
Inventor
Takashi Miyamura
岳志 宮村
Hironori Kataoka
裕紀 片岡
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DKS Co Ltd
Original Assignee
Dai Ichi Kogyo Seiyaku Co Ltd
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Publication date
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  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Polyurethanes Or Polyureas (AREA)
  • Non-Silver Salt Photosensitive Materials And Non-Silver Salt Photography (AREA)
  • Manufacturing Of Micro-Capsules (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】色変化に優れ、かつ色調にむらがなく、長期に
わたってそれらの効果を発揮することのできる色可変マ
イクロカプセルを含有する分散液を提供する。 【解決手段】水系母層中に、下記の(A)および(B)
が含有された色可変マイクロカプセル含有分散液であ
る。 (A)芯部がフォトクロミック物質を含有するゲル状ポ
リウレタン樹脂で形成され、上記芯部を被覆する殻部が
ポリウレア樹脂で形成されている色可変マイクロカプセ
ル。 (B)水溶性ポリウレタン樹脂、および、合成樹脂の水
性エマルジョンの少なくとも一方。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、色変化に優れ、そ
の色調にむらがなく、その耐久性に優れたフォトクロミ
ック物質を内包した色可変マイクロカプセルを含有する
分散液に関するものである。
【0002】
【従来の技術】最近、光照射によって可逆的な光化学変
化を起こし、色調を変化させる化合物(フォトクロミッ
ク物質)が種々開発されており、このフォトクロミック
物質を感光材、記録材料、染料、塗料等に応用する試み
がなされている。特に、上記フォトクロミック物質を含
有したマイクロカプセルを各種素材に加工、配合するこ
とが検討されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】そして、本出願人は、
すでに、色変化に優れ、色調にむらのない色可変マイク
ロカプセルを出願した(特願平7−256420号)。
しかしながら、単に上記マイクロカプセルの使用のみで
は、各種素材に付着させることはできるものの、耐久性
が悪く、特に衣類の装飾、ファッション性等の面で、長
期にわたってその効果を持続させることができず、耐久
性の向上が強く望まれていた。
【0004】本発明は、このような事情に鑑みなされた
もので、色変化に優れ、かつ色調にむらがなく、長期に
わたってそれらの効果を発揮することのできる色可変マ
イクロカプセルを含有する分散液の提供をその目的とす
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明の色可変マイクロカプセル含有分散液は、水
系母層中に、下記の(A)および(B)が含有されてい
るという構成をとる。 (A)芯部がフォトクロミック物質を含有するゲル状ポ
リウレタン樹脂で形成され、上記芯部を被覆する殻部が
ポリウレア樹脂で形成されている色可変マイクロカプセ
ル。 (B)水溶性ポリウレタン樹脂、および、合成樹脂の水
性エマルジョンの少なくとも一方。
【0006】本発明者らは、フォトクロミック物質を内
包したマイクロカプセルの使用に際して、長期にわたっ
て各種素材に付着させる、すなわち、耐久性の向上を図
るために研究を重ねた。その結果、水系母層中に、芯部
がフォトクロミック物質を含有するゲル状ポリウレタン
樹脂で形成され、殻部がポリウレア樹脂で形成された芯
−殻構造の色可変マイクロカプセルとともに、水溶性ポ
リウレタン樹脂、および、合成樹脂の水性エマルジョン
の少なくとも一方を配合した分散液を用いると、上記色
可変マイクロカプセルの有する、色変化に優れ、かつ色
調にむらがないという特性を長期にわたって発揮させる
ことが可能となることを見出し本発明に到達した。
【0007】そして、上記水溶性ポリウレタン樹脂とし
て、前記の特殊な熱反応水溶性ポリウレタン樹脂(B
1)、および、水溶性ポリウレタン樹脂(B2)の少な
くとも一方を用いることにより、各種素材に付着させる
という耐久性の向上効果を一層効果的に発揮することが
可能となる。
【0008】また、上記合成樹脂の水性エマルジョンと
して、特に、酢酸ビニル−エチレン共重合樹脂の水性エ
マルジョンを用いることにより各種素材に付着させると
いう耐久性の向上効果を一層効果的に発揮することが可
能となる。
【0009】
【発明の実施の形態】つぎに、本発明の実施の形態を詳
しく説明する。
【0010】本発明の色可変マイクロカプセル含有分散
液は、水系母層中に、特殊な色可変マイクロカプセル
(A)とともに、水溶性ポリウレタン樹脂および合成樹
脂の水性エマルジョンの少なくとも一方(B)を含有し
てなるものである。
【0011】上記特殊な色可変マイクロカプセル(A)
は、芯部が殻部で被覆された芯−殻構造であり、上記芯
部がフォトクロミック物質を含有するゲル状ポリウレタ
ン樹脂で形成され、上記芯部を被覆する殻部がポリウレ
ア樹脂で形成された特殊な構造を有するマイクロカプセ
ルである。
【0012】上記芯部に含有されるフォトクロミック物
質としては、光照射時に異性化、相互異性化、イオン解
離、ラジカル解離、酸化還元、励起状態変化等のいずれ
かによって色調の変化を生じさせるものであればよい。
【0013】上記フォトクロミック物質の具体例として
は、ジメチルアミノアゾベンゼン類、サリチリデンアニ
リン類、ニトロベンジルピリジン類、スピロピラン類、
スピロオキサジン類、テトラクロル−α−ケトジヒドロ
ナフタリン類、ビス(トリフェニルイミダゾリル)類、
テトラフェニルヒドラジン類、ビアンスロン類、ピリジ
ルシドノン類、フルギド化合物類、フルギミド化合物類
等があげられる。これらは置換基の種類により色調変化
範囲が変わるものであるため、適宜決定して使用する。
上記フォトクロミック物質のなかでも、スピロピラン類
は、その光発色の効率が高く、色が鮮明でバラエティに
富んでおり、好適に使用される。
【0014】上記フォトクロミック物質は、通常、後述
の多官能性イソシアネート(油相構成成分)100重量
部(以下「部」と略す)に対して0.01〜5.0部の
範囲で配合することが好ましい。上記フォトクロミック
物質の配合量が0.01部未満では、色変化の機能を充
分に発揮せず、また、5.0部を超えると、単に過剰量
となり経済的に不利になる。
【0015】本発明に用いられる上記特殊な色可変マイ
クロカプセル(A)においては、必要に応じて、上記フ
ォトクロミック物質の耐光性を向上させるために、紫外
線吸収剤や光安定剤といった耐候剤を添加してもよい。
具体的には、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ
−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾー
ル、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−t−ア
ミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2′−メチレ
ンビス〔4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)
−6−(2−N−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェ
ノール〕、2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェ
ニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−
3′,5′−ジクミルフェニル)フェニルベンゾトリア
ゾール、2−(2′−ヒドロキシ−5′−t−オクチル
フェニル)ベンゾトリアゾール等のトリアゾール系紫外
線吸収剤や、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4
−ピペラジニル)セバケート、ポリ[〔6−(1,1,
3,3−テトラメチルブチルイミノ)−1,3,5−ト
リアジン−2,4−ジイル〕−〔4−(2,2,6,6
−テトラメチルピペリジニル)−イミノ〕−〔4−
(2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル)−イミ
ノ〕]等のヒンダードアミン系光安定剤が使用される。
【0016】そして、上記色可変マイクロカプセル
(A)は、芯部に含有される上記フォトクロミック物質
に、多官能性イソシアネート、水不溶のポリオールおよ
び触媒を溶解して油相とし、これを乳化剤を添加した水
(水相)中に乳化分散させた後、油滴界面およびその内
部で反応させることにより得られる。
【0017】上記反応は、20〜40℃で0.5〜2時
間程度で反応が完了し、短時間および低温下で目的とす
る色可変マイクロカプセルを製造することができる。そ
して、本発明の色可変マイクロカプセル含有分散液で
は、上記反応により色可変マイクロカプセルを製造した
後、バインダー成分となる、水溶性ポリウレタン樹脂、
および、合成樹脂の水性エマルジョンの少なくとも一方
(B)を添加する。
【0018】つぎに、色可変マイクロカプセル(A)を
製造するための各種材料について述べる。
【0019】まず、上記油相を構成する各成分について
述べる。
【0020】上記油相は、前記フォトクロミック物質
と、多官能性イソシアネートと、水不溶性のポリオール
と、触媒を用いて構成される。
【0021】上記殻部およびゲル状の芯部を形成するた
めに用いられる多官能性イソシアネートとしては、フェ
ニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、
ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジ
イソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、キシリ
レンジイソシアネート、ポリメリックジフェニルメタン
ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリ
フェニルメタントリイソシアネート等、さらには、上記
多官能性イソシアネートのイソシアヌレート変性体、ビ
ュレット変性体や、トリメチロールプロパン、ヘキサン
トリオールのようなポリオールとの付加物であるイソシ
アネートプレポリマー等があげられる。これらは単独で
もしくは2種以上併せて用いられる。
【0022】上記トリメチロールプロパン、ヘキサント
リオール以外のポリオールとしては、エチレングリコー
ル、プロピレングリコール、ヘキサンジオール等の脂肪
族ポリオール、キシリレングリコール等の芳香族ポリオ
ール、ハイドロキノン、カテコール等の多価フェノー
ル、あるいはこれら多価フェノールとアルキレンオキシ
ドとの縮合物、ポリエステルポリオール、ポリエーテル
ポリオール等のポリオールプレポリマー等があげられ
る。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられ
る。そして、これらポリオールのなかでも、良好な架橋
カプセルを得る点から、トリメチロールプロパンを用い
ることが好ましい。
【0023】そして、上記多官能性イソシアネートのな
かでも、無黄変型のフォトクロミック物質内包の色可変
マイクロカプセルを得ることから、ヘキサメチレンジイ
ソシアネート、イソホロンジイソシアネートを用いるこ
とが好ましい。
【0024】上記多官能性イソシアネートとともに用い
られる水不溶性のポリオールとしては、具体的には、ヒ
マシ油、ポリオキシアルキレンポリオール、ポリテトラ
メチレンエーテルグリコール等のポリエーテルポリオー
ル、縮合系ポリエステルポリオール、ラクトン系ポリエ
ステルジオール、ポリカーボネートジオール等のポリエ
ステルポリオール等があげられる。これらは単独でもし
くは2種以上併せて用いられる。そして、これら水不溶
性のポリオールのなかでも、反応性という点からヒマシ
油を用いることが好ましい。上記水不溶性のポリオール
の配合量は、上記多官能性イソシアネート100部に対
して10〜300部に設定することが好ましく、特に好
ましくは50〜200部である。この水不溶性のポリオ
ールの配合量が10部未満、あるいは300部を超える
と、すなわち、上記配合量の範囲外では、目的とする芯
部がゲル状のフォトクロミック物質内包マイクロカプセ
ルを得ることが困難となる傾向がみられる。そして、こ
れら水不溶性のポリオールにおいては、水酸基を少なく
とも2個有するものを使用する必要がある。すなわち、
水酸基が1個では架橋せずに芯部がゲル化状態にはなら
ないからである。また、水に溶解するポリオールを用い
るとマイクロカプセルの生成が困難となり使用には適さ
ない。このような点から、上述の水不溶性のポリオール
が使用される。
【0025】さらに、上記多官能性イソシアネートおよ
び水不溶性のポリオールとともに用いられる触媒として
は、有機スズ化合物が用いられ、例えば、トリ−n−ブ
チルチンアセテート、n−ブチルチントリクロライド、
ジメチルチンジクロライド、ジブチルチンジラウレー
ト、トリメチルチンハイドロオキサイド等があげられ
る。これら触媒はそのまま用いてもよいし、酢酸エチル
等の溶剤に、濃度が0.1〜20重量%(以下「%」と
略す)となるように溶解して、油相中、イソシアネート
成分である多官能性イソシアネート100部に対して、
固形分として0.01〜1部となるよう添加してもよ
い。このように、上記触媒の配合量は、そのまま、ある
いは溶剤に溶解した状態のいずれの場合においても、固
形分として、多官能性イソシアネート100部に対して
0.01〜1部となるように設定することが好ましく、
特に好ましくは0.05〜0.5部である。すなわち、
触媒の配合量が、0.01部未満のように少な過ぎる
と、芯部のゲル状ポリウレタン樹脂が形成されるまで
に、多官能性イソシアネートが殻部の形成反応に使用さ
れて先に殻部が形成されてしまい、逆に1部を超える
と、芯部の形成が極端に速くなり、目的とするフォトク
ロミック物質内包マイクロカプセルが得られ難いという
傾向がみられるからである。
【0026】上記触媒を添加することにより、油相中の
多官能性イソシアネートと水不溶性のポリオールとの反
応が、多官能性イソシアネートと、水相中の水との反応
よりも速やかに反応する。したがって、芯−殻構造のマ
イクロカプセルの形成において、芯部が、フォトクロミ
ック物質を含有するゲル状のポリウレタン樹脂に形成さ
れ、その芯部の外周(殻部)がポリウレア樹脂に形成さ
れることから、特殊な構造を有するフォトクロミック物
質内包マイクロカプセルが得られる。
【0027】ついで、上記油相を乳化分散させる水相に
ついて述べる。
【0028】上記水相に添加される乳化剤としては、ア
ニオン性、カチオン性、ノニオン性、両性の各水溶性高
分子物質、各種界面活性剤を用いることができる。
【0029】上記アニオン性高分子物質としては、アラ
ビアゴム、アルギン酸等の天然高分子、カルボキシメチ
ルセルロース、硫酸化セルロース、フタル化ゼラチン等
の半合成高分子、カルボキシ変性ポリビニルアルコー
ル、スチレンスルホン酸系重合体および共重合体、無水
マレイン酸系共重合体等の合成高分子があげられる。
【0030】上記カチオン性高分子物質としては、カチ
オン化デンプン等があげられる。
【0031】上記ノニオン性高分子物質としては、ポリ
ビニルアルコール、メチルセルロース、ヒドロキシエチ
ルセルロース、キサンタンガム等があげられ、上記両性
高分子物質としては、ゼラチンがあげられる。
【0032】さらに、上記各種界面活性剤としては、ラ
ウリル硫酸ナトリウム、ラウリルベンゼンスルホン酸ナ
トリウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテ
ル硫酸ナトリウム等のアニオン性界面活性剤、ポリオキ
シエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアル
キルフェニルエーテル等のノニオン性界面活性剤、アル
キルトリメチルアンモニウム塩等のカチオン性界面活性
剤、アルキルベタイン型、アルキルイミダゾリン型等の
両性界面活性剤があげられる。
【0033】そして、これら乳化剤は、一般に、水に対
して、水溶液濃度が1〜20%となるよう添加して調製
し、水相とする。
【0034】本発明に用いられる、水性媒体中に特殊な
色可変マイクロカプセルが分散した液は、例えば、つぎ
のようにして製造される。すなわち、上述の各成分を用
いて、油相液および水相をそれぞれ調製する。そして、
上記調製した油相液を、上記水相に加え、所定の条件で
攪拌し反応させることにより、芯部が殻部で被覆された
芯−殻構造で、しかも、上記芯部がフォトクロミック物
質を含有するゲル状ポリウレタン樹脂で形成され、上記
殻部がポリウレア樹脂で形成された特殊構造の色可変マ
イクロカプセルが、水性媒体中に分散された色可変マイ
クロカプセル含有液が製造される。
【0035】上記のようにして得られた、水性媒体中に
色可変マイクロカプセルが分散された液において、液中
の色可変マイクロカプセルの含有量は、後述の各種基材
に塗布、噴霧および含浸させて用いる際の期待する色の
鮮明性を考慮して、液中2〜70%の範囲に設定するこ
とが好ましい。
【0036】上記油相液と水相との混合割合は、重量比
で、油相1に対して水相0.5〜50となるように設定
することが好ましい。特に好ましくは油相1に対して水
相0.8〜1.5である。すなわち、油相1に対して水
相が0.5未満では、水を連続相とすることが困難であ
る。また、水相が50を超えると、マイクロカプセル濃
度の低過ぎる製品しか得られないという傾向がみられる
からである。
【0037】上記攪拌条件としては、一般に、500〜
5000rpmに設定され、特に好ましくは1000〜
3000rpmである。さらに、上記反応条件として
は、前述のように、20〜40℃で0.5〜2時間程度
の短時間に設定される。
【0038】このように、特殊な色可変マイクロカプセ
ルが得られる生成機構について、本発明者らは、一連の
マイクロカプセルの研究により得た知見から、つぎのよ
うに推察している。すなわち、上記油相を構成する成分
の一つである触媒の存在により、この触媒を含有する油
相液を水相に添加し攪拌すると、油相中の多官能性イソ
シアネートと水不溶性のポリオールとの反応が、多官能
性イソシアネートと水との反応よりも速やかに反応す
る。このため、芯−殻構造のマイクロカプセルの形成に
おいて、まず、芯部となるフォトクロミック物質を含有
するゲル状のポリウレタン樹脂が反応生成し、その後、
その表面で、多官能性イソシアネートと水とが反応して
ポリウレア樹脂が反応生成して殻部が形成されるものと
考えられる。
【0039】さらに、上記特殊な構造の色可変マイクロ
カプセル(A)の他の製法として、下記に示す製法もあ
げられる。すなわち、有機スズ化合物を含有する前記油
性液を、少なくとも2個のアミノ基を有する多価アミン
化合物および乳化剤を含有する水性液に添加して乳化分
散させる方法である。この方法によると、上記水性液中
に多価アミンを含有するため、油滴界面において、油相
中の多官能性イソシアネートと水性液中の多価アミンと
が極めて速く反応して、ポリウレア樹脂製の殻部が形成
され、遅れて、有機スズ化合物の触媒作用により、多官
能性イソシアネートと水不溶性ポリオールとが反応し
て、殻部の内部のゲル化が始まり、フォトクロミック物
質を含有するゲル状ポリウレタン樹脂製芯部が形成さ
れ、上記フォトクロミック物質含有のゲル状ポリウレタ
ン樹脂からなる芯部が殻部で被覆された目的とするフォ
トクロミック物質内包の色可変マイクロカプセル(A)
が得られる。
【0040】このようにして得られる色可変マイクロカ
プセル(A)の模式図を図1に示す。図示のように、芯
部であるフォトクロミック物質を含有するゲル状ポリウ
レタン樹脂1の外周を、ポリウレア樹脂製の殻部2によ
って被包された、芯−殻構造となっている。また、色可
変マイクロカプセル(A)の粒子径については特に限定
するものではないが、一般に、0.5〜500μmの範
囲に設定される。
【0041】上記特殊な色可変マイクロカプセル(A)
において、芯部がゲル化状態であることは、得られた色
可変マイクロカプセル(A)の断面を電子顕微鏡で観察
することにより確認することができる。また、得られた
色可変マイクロカプセル(A)を用いて溶媒により残存
水不溶性ポリオールの抽出操作を行った結果、抽出物が
得られないことから、水不溶性のポリオールが多官能性
イソシアネートと完全に反応し、内部がゲル化状態とな
っていると判断される。さらに、フォトクロミック物質
と、多官能性イソシアネートと、水不溶性のポリオール
と、触媒を、20〜40℃で混合し、0.5〜2時間放
置すると流動性がなくなりゲル化状態となることからも
推察される。
【0042】そして、本発明においては、上記のように
して特殊な色可変マイクロカプセル(A)が水性媒体中
に分散した液を製造した後、バインダー成分としての水
溶性ポリウレタン樹脂および合成樹脂の水性エマルジョ
ンの少なくとも一方(B)を添加することにより、本発
明の色可変マイクロカプセル含有分散液が得られる。こ
の水溶性ポリウレタン樹脂および合成樹脂の水性エマル
ジョンの少なくとも一方(B)を添加することによっ
て、各種素材に加工(付着等)した際の耐久性が著しく
向上する。
【0043】上記バインダー成分である(B)のうち、
上記水溶性ポリウレタン樹脂としては、下記の(B1)
および(B2)の少なくとも一方を用いることが好まし
い。
【0044】(B1)下記の(a1)と(b1)とを反
応させてなる反応生成物の、末端イソシアネート基をブ
ロック化剤でブロックした熱反応水溶性ポリウレタン樹
脂。 (a1)ポリエーテルポリオールおよびポリエステルポ
リオールの少なくとも一方。 (b1)ジイソシアネート成分。 (B2)下記の(a2)と(b2)とを反応させてなる
反応生成物の、末端イソシアネート基を、水およびアミ
ンの少なくとも一方で架橋してなる水溶性ポリウレタン
樹脂。 (a2)ポリエーテルポリオールおよびポリエステルポ
リオールの少なくとも一方。 (b2)ジイソシアネート成分。
【0045】まず、熱反応水溶性ポリウレタン樹脂(B
1)について述べる。
【0046】上記(a1)のポリエーテルポリオールと
しては、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドの
ブロック重合物、またはこれらのランダム付加重合物、
グリセリンのプロピレンオキシド、エチレンオキシドあ
るいはそのランダム付加重合物、プロピレンオキシドの
付加重合物等があげられる。
【0047】上記(a1)のポリエステルポリオールと
しては、無水マレイン酸と1,4−ブタンジオールとの
ポリエステルポリオール、無水マレイン酸と1,6−ヘ
キサンジオールとのポリエステルポリオール等があげら
れる。
【0048】上記(b1)であるイソシアネート成分と
しては、脂肪族ジイソシアネートが黄変防止の点から好
ましく用いられ、具体的には、ヘキサメチレンジイソシ
アネート(HMDI)、トリメチルキシレンジイソシア
ネート(TMXDI)、イソホロンジイソシアネート
(IPDI)等があげられる。
【0049】さらに、上記(B1)における、上記(a
1)と(b1)とを反応させてなる反応生成物の、末端
イソシアネート基をブロックするブロック化剤として
は、無水重亜硫酸ソーダ、メチルエチルケトオキシム等
があげられる。
【0050】上記熱反応水溶性ポリウレタン樹脂(B
1)は、例えば、つぎのようにして得られる。すなわ
ち、上記(a1)と(b1)とを90〜100℃で反応
させ(末端イソシアネート基が約3〜4%となるま
で)、この未反応の末端イソシアネート基を上記ブロッ
ク化剤で封鎖し、冷却した後、必要に応じて活性剤を添
加する。つぎに、これに水を添加して乳化体とする。
【0051】このようにして得られる熱反応水溶性ポリ
ウレタン樹脂(B1)としては、熱反応性の点から、重
量平均分子量が5000〜2万のものが好ましい。
【0052】つぎに、水溶性ポリウレタン樹脂(B2)
について述べる。
【0053】上記(a2)のポリエーテルポリオールと
しては、ポリテトラメチレングリコール、エチレンオキ
シドプロピレンオキシドのランダム付加重合物、あるい
はこれらのランダム付加重合物、プロピレンオキシドの
付加重合物、ビスフェノールAのエチレンオキシドの付
加重合物、ビスフェノールAのプロピレンオキシドの付
加重合物、1,4−ブタンジオール、トリメチロールプ
ロパン等があげられる。
【0054】上記(a2)のポリエステルポリオールと
しては、ブチレンアジペート、ヘキシレンカーボネー
ト、エチレンテレフタレート等があげられる。
【0055】上記(b2)であるイソシアネート成分と
しては、トリレンジイソシアネート−80(TDI−8
0)、HMDI、ジフェニルメタンジイソシアネート
(MDI)、IPDI等があげられる。
【0056】さらに、上記(B2)における、上記(a
2)と(b2)とを反応させてなる反応生成物の、末端
イソシアネート基を架橋させるアミンとしては、エチレ
ンジアミン、ヒドラジン、ジエチレントリアミン等があ
げられる。
【0057】上記水溶性ポリウレタン樹脂(B2)は、
例えば、つぎのようにして得られる。すなわち、上記
(a2)に対して、(b2)を溶媒中で反応させ(70
〜75℃)、所望の末端イソシアネート基量まで反応さ
せる。つぎに、冷却し、必要に応じて活性剤を添加し、
さらに大量の水を添加して、上記末端イソシアネート基
を水架橋させる。このときジアミンを添加して効率的に
架橋させることもできる。
【0058】このようにして得られる水溶性ポリウレタ
ン樹脂(B2)としては、洗濯耐久性の点から、重量平
均分子量が3万以上のものが好ましい。さらに好ましく
は重量平均分子量が10万以上のものである。
【0059】そして、水溶性ポリウレタン樹脂(B)と
して、上記(B1)および(B2)のうち、耐久性とい
う点から、特に(B1)を用いることが好ましい。上記
(B1)成分については、ほかにバインダー力を高める
ために、前記の有機スズ化合物をマイクロカプセル分散
液に対し0.5〜1.0%添加することが好ましい。
【0060】上記(B1)および(B2)の少なくとも
一方の添加量は、特殊な色可変マイクロカプセル(A)
が分散した液の固形分に対して、固形分で30〜100
%、より好ましくは50〜80%の割合に設定される。
【0061】上記バインダー成分である(B)のうち、
合成樹脂の水性エマルジョンとしては、例えば、酢酸ビ
ニル樹脂、酢酸ビニル−アクリル共重合樹脂、酢酸ビニ
ル−エチレン共重合樹脂、アクリル樹脂、アクリル−ス
チレン共重合樹脂、酢酸ビニル−エチレン−塩化ビニル
共重合樹脂、酢酸ビニル−マレート共重合樹脂、アクリ
ル−エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、塩化ビニリデン
等の水性エマルジョンがあげられる。これら合成樹脂は
単独でもしくは2種以上併せて用いられる。なかでも、
耐久性という点から、酢酸ビニル−エチレン共重合樹脂
の水性エマルジョンを用いることが好ましい。
【0062】上記合成樹脂の水性エマルジョンは、濃度
30〜60%のものとして使用され、その添加量は、特
殊な色可変マイクロカプセル(A)が分散した液の固形
分に対して、固形分比で、30〜100%に設定するこ
とが好ましく、より好ましくは50〜80%の割合に設
定される。
【0063】本発明の色可変マイクロカプセル含有分散
液は、先に述べた特殊な色可変マイクロカプセル(A)
が分散した液に、上記(B1)および(B2)の少なく
とも一方、あるいは、上記合成樹脂の水性エマルジョン
を添加することに得られる。
【0064】そして、本発明の色可変マイクロカプセル
含有分散液は、これを繊維、感光材、記録材料、染料、
塗料等に利用することができる。
【0065】つぎに、実施例について比較例と併せて説
明する。
【0066】
【実施例1】 〔色可変マイクロカプセルが分散した液の製造〕スピロ
ーム68NM(亜南香料産業社製、1,3,3−トリメ
チル−6′−ニトロ−8′−メトキシスピロ〔インドリ
−2,2′−ベンゾピラン〕)(フォトクロミック物
質)0.6部、ヘキサメチレンジイソシアネートとトリ
メチロールプロパンの付加物(日本ポリウレタン社製、
コロネートHL)120部(イソシアネート成分)、ジ
ブチルチンジラウレート(触媒)の10%酢酸エチル溶
液1部、ヒマシ油120部(水不溶性のポリオール)を
混合溶解して油相液を調製した。ついで、この油相液
を、25℃の部分ケン化ポリビニルアルコール(日本合
成化学工業社製、ゴーセノールKM−11、ケン化度8
0%)の10%水溶液350部に加え、オートホモミキ
サー(特殊機化工業社製)により1000rpmで5分
間攪拌することにより乳化液を得た。引き続き、この乳
化液を、25℃で1.5時間、100〜500rpmで
攪拌し反応を完結させることによりスピローム68NM
内包のマイクロカプセル分散液を得た。このマイクロカ
プセルの粒子を遠心分離により取り出し、電子顕微鏡
(日本電子社製、JSM−T300)で観察したとこ
ろ、粒子径5μmの粒子が観察された。さらに、このマ
イクロカプセルを割ったものを電子顕微鏡で観察したと
ころ、芯部がゲル化状態であることが確認された。この
ことから、スピローム68NMを含有するゲル状のポリ
ウレタン樹脂(芯部)が、ポリウレア樹脂製の殻部によ
って被包された芯−殻構造をとる特殊マイクロカプセル
であることがわかる(図1参照)。
【0067】また、得られたスピローム68NM(フォ
トクロミック物質)内包マイクロカプセルを用い、テト
ラヒドロフランにて残存ヒマシ油(水不溶性のポリオー
ル)の抽出操作を行ったところ、ヒマシ油は検出されな
かった。この結果からも、ヒマシ油が芯部に存在せず、
イソシアネート成分と完全に反応しており、芯部がゲル
状のポリウレタン樹脂であることがわかる。
【0068】さらに、上記調製した油相液を、25℃で
1.5時間そのまま放置したところ、流動性がなくなり
ゲル化状態となった。
【0069】これらのことから、実施例1で得られたス
ピローム68NM(フォトクロミック物質)内包マイク
ロカプセルの、芯部はゲル化していることは明らかであ
る。
【0070】一方、グリセリンに、エチレンオキシドお
よびプロピレンオキシドを付加重合させたもの、およ
び、プロピレンオキシドとエチレンオキシドのランダム
付加重合体の混合物(重量比20:80)を、HMDI
と反応させて(90〜100℃)ポリウレタン化し、末
端イソシアネート基を、メチルエチルケトオキシム(M
EKO)でブロックし、さらに冷却して水を添加して熱
反応水溶性ポリウレタン樹脂(重量平均分子量1万5
千)が分散した分散体(B1)を作製した。
【0071】〔色可変マイクロカプセル含有分散液の製
造〕つぎに、上記色可変マイクロカプセルを含有した分
散液(マイクロカプセル固形分20%)100部に対し
て、上記熱反応水溶性ポリウレタン樹脂が分散した分散
体(B1)を40部添加し、さらにジブチルチンジラウ
レートを0.8%添加し、攪拌することによって目的と
する色可変マイクロカプセル含有分散液を得た。この分
散液の固形分濃度は25%であった。
【0072】
【実施例2〜6】スピローム68NM(フォトクロミッ
ク物質)、イソシアネート成分、触媒および水不溶性の
ポリオールとして、下記の表1に示す材料を同表に示す
割合で用い、上記実施例1と同様にして目的とするスピ
ローム68NM(フォトクロミック物質)内包マイクロ
カプセル分散液を作製した。そして、得られたスピロー
ム68NM(フォトクロミック物質)内包マイクロカプ
セルを遠心分離により取り出して、実施例1と同様、電
子顕微鏡の観察により粒子径を測定し下記の表1に併せ
て示した。
【0073】また、実施例1と同様にしてマイクロカプ
セルを割り電子顕微鏡写真を撮ったところ、いずれも芯
部がゲル化していることが確認された。さらに、上記と
同様にして、水不溶性のポリオールの抽出操作、および
油相液のみを反応させたところ、実施例1と同様の結果
が得られた。これらのことから、実施例2〜6のスピロ
ーム68NM(フォトクロミック物質)内包マイクロカ
プセルの、芯部はゲル化していることは明らかである。
【0074】
【表1】
【0075】一方、下記に示す製法にしたがって、水溶
性ポリウレタン樹脂α〜εを作製した。
【0076】〔水溶性ポリウレタン樹脂α〕グリセリン
にプロピレンオキシドを付加重合させたもの、および、
プロピレンオキシドとエチレンオキシドのランダム付加
重合体の混合物(重量比20:80)を、HMDIと反
応させて(90〜100℃)ポリウレタン化し、末端イ
ソシアネート基を、無水重亜硫酸ソーダでブロックし、
さらに冷却して水を添加して水溶性ポリウレタン樹脂α
が分散した分散体α(B1)を作製した。
【0077】〔水溶性ポリウレタン樹脂β〕無水マレイ
ン酸と1,6−ヘキサンジオールとのポリエステルポリ
オールと、ポリエチレングリコールの混合物(重量比
5:1)を、HMDIと反応させて(90〜100℃)
ポリウレタン化し、末端イソシアネート基を、無水重亜
硫酸ソーダでブロックし、さらに冷却して水を添加して
水溶性ポリウレタン樹脂βが分散した分散体β(B1)
を作製した。
【0078】〔水溶性ポリウレタン樹脂γ〕グリセリン
にプロピレンオキシドを付加重合させたもの、および、
グリセリンにエチレンオキシドおよびプロピレンオキシ
ドをランダム付加重合させたもの(エチレンオキシドと
プロピレンオキシドの重量比13:87)の混合物(重
量比50:50)を、HMDIと反応させて(90〜1
00℃)ポリウレタン化し、末端イソシアネート基を、
無水重亜硫酸ソーダでブロックし、さらに冷却して水を
添加して水溶性ポリウレタン樹脂γが分散した分散体γ
(B1)を作製した。
【0079】〔水溶性ポリウレタン樹脂δ〕ブチレンア
ジペートと、プロピレンオキシドとエチレンオキシドの
ランダム付加重合体と、ポリカプロラクトンの混合物
(重量比12:4:1)を、HMDIと反応させて(9
0〜100℃)ポリウレタン化し、水を添加して、末端
イソシアネート基の一部をアミノエチルスルホン酸ソー
ダと反応させ、さらに冷却して水溶性ポリウレタン樹脂
δが分散した分散体δ(B2)を作製した。
【0080】〔水溶性ポリウレタン樹脂ε〕ポリテトラ
メチレングリコールと、プロピレンオキシドとエチレン
オキシドのランダム付加重合体と、ポリエチレングリコ
ールと、1,4−ブタンジオールと、トリメチロールプ
ロパンの混合物(重量比50:4:4:4:1.5)
を、水添MDIと反応させて(90〜100℃)ポリウ
レタン化し、さらに活性剤(ジスチレン化フェノールの
エチレンオキシド付加物)を固形分100部に対して5
部添加して、ついで、大量の水を添加し乳化させ、末端
イソシアネート基をエチレンジアミンで架橋させて水溶
性ポリウレタン樹脂εが分散した分散体ε(B2)を作
製した。
【0081】このようにして得られた上記スピローム6
8NM(フォトクロミック物質)内包マイクロカプセル
分散液(マイクロカプセル固形分20%)100部に対
して、上記各水溶性ポリウレタン樹脂α〜εが分散した
分散体α〜εを固形分が10部となるよう40部添加し
た。各実施例に対して用いた水溶性ポリウレタン樹脂α
〜ε(分散体α〜ε)の組み合わせを、各水溶性ポリウ
レタン樹脂α〜εの重量平均分子量とともに下記の表2
に示す。なお、実施例2〜4に関しては、上記分散体を
添加した後、さらにジブチルチンジラウレートを0.8
%添加し、攪拌することによって目的とする色可変マイ
クロカプセル含有分散液を得た。上記分散液の固形分濃
度は25%であった。
【0082】
【表2】
【0083】
【比較例】前記実施例1で作製したスピローム68NM
(フォトクロミック物質)内包マイクロカプセル分散液
を比較例として用いた。すなわち、上記マイクロカプセ
ル分散液に、バインダー成分として水溶性ポリウレタン
樹脂を添加しなかった。
【0084】つぎに、色可変マイクロカプセルが分散し
た液に、合成樹脂の水性エマルジョンが配合された例に
ついて述べる。
【0085】
【実施例7】前記実施例1の色可変マイクロカプセルが
分散した液(マイクロカプセル固形分20%)100部
に対して、酢酸ビニル−エチレン共重合樹脂の水性エマ
ルジョン(濃度50%、ヘキスト合成社製「モビニール
180E」)を固形分が10部となるように20部添加
した。この分散液の固形分濃度は25%であった。
【0086】このようにして得られた各実施例品および
比較例品の色可変マイクロカプセル含有分散液に対し
て、下記に示す耐久性試験を行った。
【0087】〔耐久性試験方法〕上記各分散液を、固形
分濃度15%となるように希釈し、この希釈溶液に試験
布(綿ブロード)を1回浸漬し、50〜80%の絞りで
マングルにかけ、予備乾燥(120℃×2分)を行っ
た。つぎに、実施例2〜4品に関しては、上記予備乾燥
に続いて、160℃×2分間の条件で乾燥を行った。ま
た、実施例5〜7品に関しては、上記予備乾燥に続い
て、140℃×3分間の条件で乾燥を行った。
【0088】つぎに、上記処理した試験布を、洗剤(ザ
ブコーソYK、花王社製)2g/リットルを含む水中で
温度40℃、浴比1:30(試験布:処理液)により家
庭洗濯機を用いて5分間洗濯した。ついで、2分間のす
すぎ、2分間の脱水、さらに2分間のすすぎ、2分間の
脱水を行った。これを1サイクルとして、そのつど、下
記に示す態様に従って試験布の色調変化を観察した。そ
して、上記処理(洗濯−すすぎ−脱水−すすぎ−脱水:
1サイクル)を、最高30回繰り返し、試験布の変色性
の低下、色むらが発生した時点の回数を測定した(JI
S−L0217−103に準拠)。上記試験布の変色性
の低下、色むらが発生した時点での色調(色、変色性、
色むら)の評価結果を、上記回数とともに下記の表3に
示す。なお、最高30回まで繰り返しても、試験布の変
色性が低下せず、色むらも生じなかった場合には、30
回の時点での色調(色、変色性、色むら)を示した。
【0089】〔色調変化〕上記処理(洗濯−すすぎ−脱
水−すすぎ−脱水:1サイクル)に供した後の試験布に
対して、室内光における色調と、日光や紫外線照射後の
色調変化(色、変色性、色むら)を観察した。なお、上
記色調変化における評価として、「色」とは屋内で日光
に照らした際の最終的な色を示し、「変色性」において
は日光照射時に2分以内に変色が生じる場合を○として
表示した。また、「色むら」においては、色むら(色の
濃淡)のある場合を×、色むらのない場合を○として表
示した。
【0090】
【表3】 *:洗濯−すすぎ−脱水−すすぎ−脱水を1サイクルと
する。
【0091】上記表3の結果から、実施例は耐久性試験
において良好な結果が得られたことから優れた耐久性を
有していることがわかる。これに対して比較例は、わず
か2回の処理で変色性の低下がみられ、色むらが発生し
たことから、耐久性に劣るものであるといえる。
【0092】
【発明の効果】以上のように、本発明は、水系母層中
に、フォトクロミック物質を含有するゲル状ポリウレタ
ン樹脂からなる芯部が、ポリウレア樹脂からなる殻部で
被覆された特殊な芯部構造を有するフォトクロミック物
質を内包した色可変マイクロカプセル(A)とともに、
水溶性ポリウレタン樹脂、および、合成樹脂の水性エマ
ルジョンの少なくとも一方(B)を含有する、色可変マ
イクロカプセル含有分散液である。このように、本発明
は、上記(A)および(B)を含有するため、色変化に
優れ、しかも色調にむらのない、その耐久性に優れた色
可変マイクロカプセル含有の分散液が得られる。したが
って、本発明の分散液は、種々の添加剤として有用であ
り、その取扱いも容易である。特に、色調の変化により
装飾性を付与できる材料、なかでも、繊維製品に加工す
る際の装飾用の材料として非常に有用である。
【0093】そして、上記(B)のうち、水溶性ポリウ
レタン樹脂(B)として、前記の特殊な熱反応水溶性ポ
リウレタン樹脂(B1)、および、水溶性ポリウレタン
樹脂(B2)の少なくとも一方を用いることにより、各
種素材に付着させる点における耐久性の向上効果を一層
効果的に発揮することが可能となる。
【0094】また、上記(B)のうち、合成樹脂の水性
エマルジョンとして、特に、酢酸ビニル−エチレン共重
合樹脂の水性エマルジョンを用いることにより、各種素
材に付着させるという耐久性の向上効果を一層効果的に
発揮することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の色可変マイクロカプセル含有分散液に
含有される色可変マイクロカプセルの一例を模式的に示
す断面図である。
【符号の説明】
1 ゲル状ポリウレタン樹脂 2 ポリウレア樹脂製の殻部

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水系母層中に、下記の(A)および
    (B)が含有されていることを特徴とする色可変マイク
    ロカプセル含有分散液。 (A)芯部がフォトクロミック物質を含有するゲル状ポ
    リウレタン樹脂で形成され、上記芯部を被覆する殻部が
    ポリウレア樹脂で形成されている色可変マイクロカプセ
    ル。 (B)水溶性ポリウレタン樹脂、および、合成樹脂の水
    性エマルジョンの少なくとも一方。
  2. 【請求項2】 (B)の水溶性ポリウレタン樹脂が、下
    記の(B1)および(B2)の少なくとも一方である請
    求項1記載の色可変マイクロカプセル含有分散液。 (B1)下記の(a1)と(b1)とを反応させてなる
    反応生成物の、末端イソシアネート基をブロック化剤で
    ブロックした熱反応水溶性ポリウレタン樹脂。 (a1)ポリエーテルポリオールおよびポリエステルポ
    リオールの少なくとも一方。 (b1)ジイソシアネート成分。 (B2)下記の(a2)と(b2)とを反応させてなる
    反応生成物の、末端イソシアネート基を、水およびアミ
    ンの少なくとも一方で架橋してなる水溶性ポリウレタン
    樹脂。 (a2)ポリエーテルポリオールおよびポリエステルポ
    リオールの少なくとも一方。 (b2)ジイソシアネート成分。
  3. 【請求項3】 (B)の合成樹脂の水性エマルジョン
    が、酢酸ビニル−エチレン共重合樹脂の水性エマルジョ
    ンである請求項1または2記載の色可変マイクロカプセ
    ル含有分散液。
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