JPH1059811A - 白蟻防除剤含有分散液 - Google Patents

白蟻防除剤含有分散液

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JPH1059811A
JPH1059811A JP8221098A JP22109896A JPH1059811A JP H1059811 A JPH1059811 A JP H1059811A JP 8221098 A JP8221098 A JP 8221098A JP 22109896 A JP22109896 A JP 22109896A JP H1059811 A JPH1059811 A JP H1059811A
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JP
Japan
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water
polyurethane resin
allyl isothiocyanate
dispersion
resin
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Application number
JP8221098A
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English (en)
Inventor
Masaru Murata
勝 村田
Hironori Kataoka
裕紀 片岡
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DKS Co Ltd
Original Assignee
Dai Ichi Kogyo Seiyaku Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】人体に対して毒性がなく、白蟻の殺虫駆除性能
に優れ、環境汚染もなく、かつその薬効作用が長期にわ
たって発現できる残効性に優れた白蟻防除剤を提供す
る。 【解決手段】水性媒体中に、下記の(A)および(B)
が含有された白蟻防除剤含有分散液である。 (A)芯部がイソチオシアン酸アリルを含有するゲル状
ポリウレタン樹脂で形成され、上記芯部を被覆する殻部
がポリウレア樹脂で形成されているマイクロカプセル。 (B)水溶性ポリウレタン樹脂、および、合成樹脂の水
性エマルジョンの少なくとも一方。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、イソチオシアン酸
アリルを内包し、優れた残効効力を発揮しうるマイクロ
カプセルと、水溶性ポリウレタン樹脂および合成樹脂の
水性エマルジョンの少なくとも一方を含有する白蟻防除
剤含有分散液に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、白蟻防除剤としては、クロルデ
ン、リンデン、デイルドリン等の有機塩素系化合物が主
に使用されている。これら有機塩素系化合物は、白蟻に
対して長期間にわたり高い効果を示す反面、環境汚染の
点で問題があり、その使用は禁止あるいは漸次規制され
つつある。こうした状況から、有機リン系殺虫剤が環境
中に散布されると速やかに分解消失していく特徴がある
ところから用いられつつあるが、残効性に乏しい点があ
り、これを解決するために、上記有機リン系殺虫剤をマ
イクロカプセル化して、残効性を付与するという提案が
ある(特開昭62−190107号公報)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この有
機リン系殺虫剤は人体に悪影響を及ぼす可能性があり、
また残効性も充分ではないという問題がある。
【0004】本発明は、人体に対して毒性がなく、白蟻
の殺虫駆除性能に優れ、環境汚染もなく、かつその薬効
作用が長期にわたって発現できる残効性に優れた白蟻防
除剤含有分散液の提供をその目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明の白蟻防除剤含有分散液は、水性媒体中に、
下記の(A)および(B)が含有されているという構成
をとる。 (A)芯部がイソチオシアン酸アリルを含有するゲル状
ポリウレタン樹脂で形成され、上記芯部を被覆する殻部
がポリウレア樹脂で形成されているマイクロカプセル。 (B)水溶性ポリウレタン樹脂、および、合成樹脂の水
性エマルジョンの少なくとも一方。
【0006】本発明者らは、残効性に優れ、毒性がなく
かつ環境汚染の生じない白蟻防除剤を得るために一連の
研究を重ねた。その結果、人体に対して毒性がなく白蟻
の防除性能に優れたイソチオシアン酸アリルを特定のマ
イクロカプセル中に含有させるとともに、バインダー成
分として、水溶性ポリウレタン樹脂および合成樹脂の水
性エマルジョンの少なくとも一方(B)を用いること
で、白蟻の殺虫駆除性能が長期間にわたって発揮できる
ことを見出し本発明に到達した。すなわち、本発明は、
芯部がイソチオシアン酸アリルを含有するゲル状ポリウ
レタン樹脂で形成され、上記芯部を被覆する殻部がポリ
ウレア樹脂で形成されているイソチオシアン酸アリルを
内包したマイクロカプセル(A)と、上記水溶性ポリウ
レタン樹脂および合成樹脂の水性エマルジョンの少なく
とも一方(B)を、水性媒体中に含有する白蟻防除剤含
有分散液である。
【0007】このようなイソチオシアン酸アリルを内包
したマイクロカプセル、および、水溶性ポリウレタン樹
脂および合成樹脂の水性エマルジョンの少なくとも一方
を水性媒体中に分散させた分散液は、紙製基材や布製基
材等に、塗布、噴霧あるいは含浸させる等、様々な形態
をとり利用することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】つぎに、本発明について詳しく説
明する。
【0009】本発明の白蟻防除剤含有分散液は、水性媒
体中に、白蟻防除剤としての作用を奏するイソチオシア
ン酸アリルを内包したマイクロカプセル(A)と、上記
水溶性ポリウレタン樹脂および合成樹脂の水性エマルジ
ョンの少なくとも一方(B)を配合した分散液である。
そして、上記マイクロカプセルは、芯部が殻部で被覆さ
れた芯−殻構造であり、上記芯部がイソチオシアン酸ア
リルを含有するゲル状ポリウレタン樹脂で形成され、上
記殻部がポリウレア樹脂で形成されている。
【0010】上記芯部のゲル状ポリウレタン樹脂に含有
されるイソチオシアン酸アリルは、CH2 =CHCH2
−N=C=Sで表されるもので人体に対して毒性はない
が、本発明の使用対象となる白蟻の殺虫駆除性能に優れ
たものである。
【0011】そして、本発明の白蟻防除剤において、有
効成分である、イソチオシアン酸アリルを内包したマイ
クロカプセルの分散液は、芯部に含有されるイソチオシ
アン酸アリル、あるいはイソチオシアン酸アリルを含む
疎水性媒体中に、多官能性イソシアネート、水不溶性の
ポリオールおよび触媒を溶解して油相とし、これを乳化
剤を添加した水(水相)中に乳化分散した後、油滴界面
およびその内部で反応させることにより得られる。
【0012】上記反応では、20〜40℃で0.5〜2
時間程度で反応が完了し、従来に比べて極めて短時間お
よび低温下で、イソチオシアン酸アリルを内包したマイ
クロカプセルの分散液を製造することができる。
【0013】まず、油相を構成する各成分について述べ
る。
【0014】上記油相は、イソチオシアン酸アリル、あ
るいはイソチオシアン酸アリルを含む疎水性媒体と、多
官能性イソシアネートと、水不溶性のポリオールと、触
媒を用いて構成される。
【0015】上記イソチオシアン酸アリルはそのまま用
いてもよいが、上記のように疎水性媒体中に含有させて
もよい。好ましくは、残効性という点から、イソチオシ
アン酸アリルをそのまま用いることである。
【0016】上記疎水性媒体としては、イソチオシアン
酸アリルの揮発性防止剤として用いられ、例えば、安息
香酸ベンジル、フタル酸ジオクチル等のエステル類、鉱
物油類、綿実油類等の植物油類があげられる。
【0017】上記殻部およびゲル状の芯部を形成するた
めに用いられる多官能性イソシアネートとしては、フェ
ニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、
ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジ
イソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、キシリ
レンジイソシアネート、ポリメリックジフェニルメタン
ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリ
フェニルメタントリイソシアネート等、さらには、上記
多官能性イソシアネートのイソシアヌレート変性体、ビ
ュレット変性体や、トリメチロールプロパン、ヘキサン
トリオールのようなポリオールとの付加物であるイソシ
アネートプレポリマー等があげられる。これらは単独で
もしくは2種以上併せて用いられる。
【0018】上記トリメチロールプロパン、ヘキサント
リオール以外のポリオールとしては、エチレングリコー
ル、プロピレングリコール、ヘキサンジオール等の脂肪
族ポリオール、キシリレングリコール等の芳香族ポリオ
ール、ハイドロキノン、カテコール等の多価フェノー
ル、あるいはこれら多価フェノールとアルキレンオキシ
ドとの縮合物、ポリエステルポリオール、ポリエーテル
ポリオール等のポリオールプレポリマー等があげられ
る。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられ
る。そして、これらポリオールのなかでも、残効性に優
れたイソチオシアン酸アリル内包マイクロカプセルが得
られるという点から、トリメチロールプロパンを用いる
ことが好ましい。
【0019】そして、上記多官能性イソシアネートのな
かでも、無黄変型のイソチオシアン酸アリル内包マイク
ロカプセルを得るという点および経済的であるという点
から、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジ
イソシアネートを用いることが好ましい。
【0020】上記多官能性イソシアネートとともに用い
られる水不溶性のポリオールとしては、具体的には、ヒ
マシ油、ポリオキシアルキレンポリオール、ポリテトラ
メチレンエーテルグリコール等のポリエーテルポリオー
ル、縮合系ポリエステルポリオール、ラクトン系ポリエ
ステルジオール、ポリカーボネートジオール等のポリエ
ステルポリオール等があげられる。これらは単独でもし
くは2種以上併せて用いられる。そして、これら水不溶
性のポリオールのなかでも、反応性および残効性という
点からヒマシ油を用いることが好ましい。上記水不溶性
のポリオールの配合量は、上記多官能性イソシアネート
100重量部(以下「部」と略す)に対して10〜30
0部に設定することが好ましく、特に好ましくは50〜
200部である。この水不溶性のポリオールの配合量が
10部未満、あるいは300部を超えると、すなわち、
上記配合量の範囲外では、目的とする芯部がゲル状のイ
ソチオシアン酸アリル内包マイクロカプセルを得ること
が困難となる傾向がみられる。そして、これら水不溶性
のポリオールにおいては、水酸基を少なくとも2個有す
るものを使用する必要がある。すなわち、水酸基が1個
では架橋せずに芯部がゲル化状態にはならないからであ
る。また、水に溶解するポリオールを用いるとマイクロ
カプセルの生成が困難となり使用には適さない。このよ
うな点から、上述の水不溶性のポリオールが使用され
る。
【0021】さらに、上記多官能性イソシアネートおよ
び水不溶性のポリオールとともに用いられる触媒として
は、有機スズ化合物が用いられ、例えば、トリ−n−ブ
チルチンアセテート、n−ブチルチントリクロライド、
ジメチルチンジクロライド、ジブチルチンジラウレー
ト、トリメチルチンハイドロオキサイド等があげられ
る。これら触媒はそのまま用いてもよいし、酢酸エチル
等の溶剤に、濃度が0.1〜20重量%(以下「%」と
略す)となるように溶解して、油相中、イソシアネート
成分である多官能性イソシアネート100部に対して、
固形分として0.01〜1部となるよう添加してもよ
い。このように、上記触媒の配合量は、そのまま、ある
いは溶剤に溶解した状態のいずれの場合においても、固
形分として、多官能性イソシアネート100部に対して
0.01〜1部となるように設定することが好ましく、
特に好ましくは0.05〜0.5部である。すなわち、
触媒の配合量が、0.01部未満のように少な過ぎる
と、芯部のゲル状ポリウレタン樹脂が形成されるまで
に、多官能性イソシアネートが殻部の形成反応に使用さ
れて先に殻部が形成されてしまい、逆に1部を超える
と、芯部の形成が極端に速くなり、目的とするイソチオ
シアン酸アリル内包マイクロカプセルが得られ難いとい
う傾向がみられるからである。
【0022】上記触媒を添加することにより、油相中の
多官能性イソシアネートと水不溶性のポリオールとの反
応が、多官能性イソシアネートと、水相中の水との反応
よりも速やかに反応する。したがって、芯−殻構造のマ
イクロカプセルの形成において、芯部が、イソチオシア
ン酸アリルを含有するゲル状のポリウレタン樹脂に形成
され、その芯部の外周(殻部)がポリウレア樹脂に形成
されることから、本発明の特殊な構造を有するイソチオ
シアン酸アリル内包マイクロカプセルが得られる。
【0023】ついで、上記油相を乳化分散させる水相に
ついて述べる。
【0024】上記水相に添加される乳化剤としては、ア
ニオン性、カチオン性、ノニオン性、両性の各水溶性高
分子物質、各種界面活性剤を用いることができる。
【0025】上記アニオン性高分子物質としては、アラ
ビアゴム、アルギン酸等の天然高分子、カルボキシメチ
ルセルロース、硫酸化セルロース、フタル化ゼラチン等
の半合成高分子、カルボキシ変性ポリビニルアルコー
ル、スチレンスルホン酸系重合体および共重合体、無水
マレイン酸系共重合体等の合成高分子があげられる。
【0026】また、上記カチオン性高分子物質として
は、カチオン化デンプン等があげられる。
【0027】上記ノニオン性高分子物質としては、ポリ
ビニルアルコール、メチルセルロース、ヒドロキシエチ
ルセルロース、キサンタンガム等があげられ、上記両性
高分子物質としては、ゼラチンがあげられる。
【0028】さらに、上記各種界面活性剤としては、ラ
ウリル硫酸ナトリウム、ラウリルベンゼンスルホン酸ナ
トリウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテ
ル硫酸ナトリウム等のアニオン性界面活性剤、ポリオキ
シエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアル
キルフェニルエーテル等のノニオン性界面活性剤、アル
キルトリメチルアンモニウム塩等のカチオン性界面活性
剤、アルキルベタイン型、アルキルイミダゾリン型等の
両性界面活性剤があげられる。
【0029】そして、これら乳化剤は、一般に、水に対
して、水溶液濃度が1〜20%となるよう添加して調製
し、水相とする。
【0030】本発明において、イソチオシアン酸アリル
内包マイクロカプセル分散液は、例えば、つぎのように
して製造される。すなわち、上述の各成分を用いて、油
相液および水相をそれぞれ調製する。そして、上記調製
した油相液を、上記水相に加え、所定の条件で攪拌し反
応させることにより、芯部が殻部で被覆された芯−殻構
造で、しかも、上記芯部がイソチオシアン酸アリルを含
有するゲル状ポリウレタン樹脂で形成され、上記殻部が
ポリウレア樹脂で形成された特殊なイソチオシアン酸ア
リル内包マイクロカプセルが分散されたイソチオシアン
酸アリル内包マイクロカプセル分散液が製造される。
【0031】上記のようにして得られたイソチオシアン
酸アリル内包マイクロカプセル分散液において、分散液
中のイソチオシアン酸アリル内包マイクロカプセルの含
有量は、例えば、木材に塗布、噴霧および含浸させて用
いる際の期待する薬効、残効性を考慮して、分散液中1
〜70%の範囲に設定することが好ましい。
【0032】上記油相液と水相との混合割合は、重量比
で、油相1に対して水相0.5〜50となるように設定
することが好ましい。特に好ましくは油相1に対して水
相0.8〜1.5である。すなわち、油相1に対して水
相が0.5未満では、水を連続相とすることが困難であ
る。また、水相が50を超えると、マイクロカプセル濃
度の低過ぎる製品しか得られないという傾向がみられる
からである。
【0033】上記攪拌条件としては、一般に、500〜
5000rpmに設定され、特に好ましくは1000〜
3000rpmである。さらに、上記反応条件として
は、前述のように、20〜40℃で0.5〜2時間程度
の短時間に設定される。
【0034】また、イソチオシアン酸アリル内包マイク
ロカプセル分散液中から水分を分離してイソチオシアン
酸アリル内包マイクロカプセルのみを得ることもでき
る。この分離方法としては、特に限定するものではな
く、従来公知の方法、例えば、遠心分離法、加圧濾過
法、減圧吸引濾過法等があげられる。さらに、上記分離
により得られたイソチオシアン酸アリル内包マイクロカ
プセルを、従来公知の方法、例えば、加熱乾燥、噴霧乾
燥、真空乾燥、凍結乾燥等によって適宜に乾燥してもよ
い。
【0035】このように、特殊なイソチオシアン酸アリ
ル内包マイクロカプセルが得られる生成機構について、
本発明者らは、一連のマイクロカプセルの研究により得
た知見から、つぎのように推察している。すなわち、上
記油相を構成する成分の一つである触媒の存在により、
この触媒を含有する油相液を水相に添加し攪拌すると、
油相中の多官能性イソシアネートと水不溶性のポリオー
ルとの反応が、多官能性イソシアネートと水との反応よ
りも速やかに反応する。このため、芯−殻構造のマイク
ロカプセルの形成において、まず、芯部となるイソチオ
シアン酸アリルを含有するゲル状のポリウレタン樹脂が
反応生成し、その後、その表面で、多官能性イソシアネ
ートと水とが反応してポリウレア樹脂が反応生成して殻
部が形成されるものと考えられる。
【0036】本発明に用いるイソチオシアン酸アリル内
包マイクロカプセル分散液の他の製法として、下記の方
法もあげられる。すなわち、有機スズ化合物を含有する
前記油性液を、少なくとも2個のアミノ基を有する多価
アミン化合物および乳化剤を含有する水性液に添加して
乳化分散させる方法である。この方法によると、上記水
性液中に多価アミンを含有するため、油滴界面におい
て、油相中の多官能性イソシアネートと水性液中の多価
アミンとが極めて速く反応して、ポリウレア樹脂製の殻
部が形成され、遅れて、有機スズ化合物の触媒作用によ
り、多官能性イソシアネートと水不溶性ポリオールとが
反応して、殻部の内部のゲル化が始まり、イソチオシア
ン酸アリルを含有するゲル状ポリウレタン樹脂製芯部が
形成され、本発明に用いるイソチオシアン酸アリル含有
のゲル状ポリウレタン樹脂からなる芯部が殻部で形成さ
れたイソチオシアン酸アリル内包マイクロカプセルの分
散液が得られる。
【0037】このようにして得られるイソチオシアン酸
アリル内包マイクロカプセルの模式図を図1に示す。図
示のように、芯部であるイソチオシアン酸アリルを含有
するゲル状ポリウレタン樹脂1の外周を、ポリウレア樹
脂製の殻部2によって被包された、芯−殻構造となって
いる。また、本発明のイソチオシアン酸アリル内包マイ
クロカプセルの粒子径については特に限定するものでは
ないが、一般に、0.5〜500μmの範囲に設定され
る。
【0038】本発明において、イソチオシアン酸アリル
内包マイクロカプセルの、芯部がゲル化状態であること
は、得られたイソチオシアン酸アリル内包マイクロカプ
セルの断面を電子顕微鏡で観察することにより確認する
ことができる。また、得られたイソチオシアン酸アリル
内包マイクロカプセルを用いて溶媒により残存水不溶性
ポリオールの抽出操作を行った結果、抽出物が得られな
いことから、水不溶性のポリオールが多官能性イソシア
ネートと完全に反応し、内部がゲル化状態となっている
と判断される。さらに、イソチオシアン酸アリルと、多
官能性イソシアネートと、水不溶性のポリオールと、触
媒を、20〜40℃で混合し、0.5〜2時間放置する
と流動性がなくなりゲル化状態となることからも推察さ
れる。
【0039】つぎに、前記特殊なイソチオシアン酸アリ
ル内包マイクロカプセル(A)が水性媒体中に分散した
液を製造した後、この分散液に、バインダー成分とし
て、水溶性ポリウレタン樹脂、および、合成樹脂の水性
エマルジョンの少なくとも一方(B)を配合することに
より、本発明の課題であるイソチオシアン酸アリルの残
効性に関して、より一層の向上効果が得られ、さらに長
期間にわたってイソチオシアン酸アリルを放出させるこ
とができる、マイクロカプセル含有分散液、すなわち、
白蟻防除剤含有分散液が得られる。
【0040】上記バインダー成分である(B)のうち、
上記水溶性ポリウレタン樹脂としては、下記の(B1)
および(B2)の少なくとも一方を用いることが好まし
い。
【0041】(B1)下記の(a1)と(b1)とを反
応させてなる反応生成物の、末端イソシアネート基をブ
ロック化剤でブロックした熱反応水溶性ポリウレタン樹
脂。 (a1)ポリエーテルポリオールおよびポリエステルポ
リオールの少なくとも一方。 (b1)ジイソシアネート成分。 (B2)下記の(a2)と(b2)とを反応させてなる
反応生成物の、末端イソシアネート基を、水およびアミ
ンの少なくとも一方で架橋してなる水溶性ポリウレタン
樹脂。 (a2)ポリエーテルポリオールおよびポリエステルポ
リオールの少なくとも一方。 (b2)ジイソシアネート成分。
【0042】まず、熱反応水溶性ポリウレタン樹脂(B
1)について述べる。
【0043】上記(a1)のポリエーテルポリオールと
しては、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドの
ブロック重合物、またはこれらのランダム付加重合物、
グリセリンのプロピレンオキシド、エチレンオキシドあ
るいはそのランダム付加重合物、プロピレンオキシドの
付加重合物等があげられる。
【0044】上記(a1)のポリエステルポリオールと
しては、無水マレイン酸と1,4−ブタンジオールとの
ポリエステルポリオール、無水マレイン酸と1,6−ヘ
キサンジオールとのポリエステルポリオール等があげら
れる。
【0045】上記(b1)であるイソシアネート成分と
しては、脂肪族ジイソシアネートが黄変防止の点から好
ましく用いられ、具体的には、ヘキサメチレンジイソシ
アネート(HMDI)、トリメチルキシレンジイソシア
ネート(TMXDI)、イソホロンジイソシアネート
(IPDI)等があげられる。
【0046】さらに、上記(B1)における、上記(a
1)と(b1)とを反応させてなる反応生成物の、末端
イソシアネート基をブロックするブロック化剤として
は、無水重亜硫酸ソーダ、メチルエチルケトオキシム等
があげられる。
【0047】上記熱反応水溶性ポリウレタン樹脂(B
1)は、例えば、つぎのようにして得られる。すなわ
ち、上記(a1)と(b1)とを90〜100℃で反応
させ(末端イソシアネート基が約3〜4%となるま
で)、この未反応の末端イソシアネート基を上記ブロッ
ク化剤で封鎖し、冷却した後、必要に応じて活性剤を添
加する。つぎに、これに水を添加して乳化体とする。
【0048】このようにして得られる熱反応水溶性ポリ
ウレタン樹脂(B1)としては、熱反応性の点から、重
量平均分子量が5000〜2万のものが好ましい。
【0049】つぎに、水溶性ポリウレタン樹脂(B2)
について述べる。
【0050】上記(a2)のポリエーテルポリオールと
しては、ポリテトラメチレングリコール、エチレンオキ
シドプロピレンオキシドのランダム付加重合物、あるい
はこれらのランダム付加重合物、プロピレンオキシドの
付加重合物、ビスフェノールAのエチレンオキシドの付
加重合物、ビスフェノールAのプロピレンオキシドの付
加重合物、1,4−ブタンジオール、トリメチロールプ
ロパン等があげられる。
【0051】上記(a2)のポリエステルポリオールと
しては、ブチレンアジペート、ヘキシレンカーボネー
ト、エチレンテレフタレート等があげられる。
【0052】上記(b2)であるイソシアネート成分と
しては、トリレンジイソシアネート−80(TDI−8
0)、HMDI、ジフェニルメタンジイソシアネート
(MDI)、IPDI等があげられる。
【0053】さらに、上記(B2)における、上記(a
2)と(b2)とを反応させてなる反応生成物の、末端
イソシアネート基を架橋させるアミンとしては、エチレ
ンジアミン、ヒドラジン、ジエチレントリアミン等があ
げられる。
【0054】上記水溶性ポリウレタン樹脂(B2)は、
例えば、つぎのようにして得られる。すなわち、上記
(a2)に対して、(b2)を溶媒中で反応させ(70
〜75℃)、所望の末端イソシアネート基量まで反応さ
せる。つぎに、冷却し、必要に応じて活性剤を添加し、
さらに大量の水を添加して、上記末端イソシアネート基
を水架橋させる。このときジアミンを添加して効率的に
架橋させることもできる。
【0055】このようにして得られる水溶性ポリウレタ
ン樹脂(B2)としては、残効性の点から、重量平均分
子量が3万以上のものが好ましい。さらに好ましくは重
量平均分子量が10万以上のものである。
【0056】そして、本発明における、イソチオシアン
酸アリル内包マイクロカプセル分散液に配合する水溶性
ポリウレタン樹脂(B)として、上記(B1)および
(B2)のうち、残効性という点から、特に(B1)を
用いることが好ましい。上記(B1)成分については、
ほかにバインダー力を高めるために、前記の有機スズ化
合物をマイクロカプセル分散液に対し0.5〜1.0%
添加することが好ましい。
【0057】上記(B1)および(B2)の少なくとも
一方の添加量は、特殊なイソチオシアン酸アリル内包マ
イクロカプセル(A)が分散した液の固形分に対して、
固形分で30〜100%、より好ましくは50〜80%
の割合に設定される。
【0058】上記バインダー成分である(B)のうち、
合成樹脂の水性エマルジョンとしては、例えば、酢酸ビ
ニル樹脂、酢酸ビニル−アクリル共重合樹脂、酢酸ビニ
ル−エチレン共重合樹脂、アクリル樹脂、アクリル−ス
チレン共重合樹脂、酢酸ビニル−エチレン−塩化ビニル
共重合樹脂、酢酸ビニル−マレート共重合樹脂、アクリ
ル−エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、塩化ビニリデン
樹脂等の水性エマルジョンがあげられる。これら合成樹
脂は単独でもしくは2種以上併せて用いられる。なかで
も、残効性という点から、酢酸ビニル−エチレン共重合
樹脂の水性エマルジョンを用いることが好ましい。
【0059】上記合成樹脂の水性エマルジョンは、濃度
30〜60%のものとして使用され、その添加量は、イ
ソチオシアン酸アリル内包マイクロカプセル(A)が分
散した液の固形分に対して、固形分比で、30〜100
%に設定することが好ましく、より好ましくは50〜8
0%の割合に設定される。
【0060】本発明の白蟻防除剤含有分散液は、先に述
べた特殊なイソチオシアン酸アリル内包マイクロカプセ
ル(A)が分散した液に、上記(B1)および(B2)
の少なくとも一方、あるいは、上記合成樹脂の水性エマ
ルジョンを添加することにより得られる。
【0061】このようなイソチオシアン酸アリル内包マ
イクロカプセルと、水溶性ポリウレタン樹脂および合成
樹脂の水性エマルジョンの少なくとも一方を含有する白
蟻防除剤含有分散液は、例えば、この分散液を木材の表
面に塗布、あるいは噴霧するか、木材を浸漬して含浸さ
せるか、または木材中に加圧して注入する等の適宜の方
法を用いて、木材に対して適用することができる。ま
た、土壌に混合して用いることも可能である。
【0062】つぎに、実施例について比較例と併せて説
明する。
【0063】まず、実施例に先立って、(A)となる、
イソチオシアン酸アリルを内包したマイクロカプセル分
散液を製造した。
【0064】
【製造例1】イソチオシアン酸アリル100部、ヘキサ
メチレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンの
付加物(日本ポリウレタン社製、コロネートHL)12
0部(イソシアネート成分)、ジブチルチンジラウレー
ト(触媒)の10%酢酸エチル溶液1部、ヒマシ油12
0部(水不溶性のポリオール)を混合溶解して油相液を
調製した。ついで、この油相液を、25℃の部分ケン化
ポリビニルアルコール(日本合成化学工業社製、ゴーセ
ノールKM−11、ケン化度80%)の10%水溶液3
50部に加え、オートホモミキサー(特殊機化工業社
製)により1000rpmで5分間攪拌することにより
乳化液を得た。引き続き、この乳化液を、25℃で1.
5時間、100〜500rpmで攪拌し反応を完結させ
ることによりイソチオシアン酸アリル内包のマイクロカ
プセル分散液を得た。このマイクロカプセルの粒子を遠
心分離により取り出し、電子顕微鏡(日本電子社製、J
SM−T300)で観察したところ、粒子径5μmの粒
子が観察された。さらに、このマイクロカプセルを割っ
たものを電子顕微鏡で観察したところ、芯部がゲル化状
態であることが確認された。このことから、イソチオシ
アン酸アリルを含有するゲル状のポリウレタン樹脂(芯
部)が、ポリウレア樹脂製の殻部によって被包された芯
−殻構造をとる特殊マイクロカプセルであることがわか
る(図1参照)。
【0065】また、得られたイソチオシアン酸アリル内
包マイクロカプセルを用い、テトラヒドロフランにて残
存ヒマシ油(水不溶性のポリオール)の抽出操作を行っ
たところ、ヒマシ油は検出されなかった。この結果から
も、ヒマシ油が芯部に存在せず、イソシアネート成分と
完全に反応しており、芯部がゲル状のポリウレタン樹脂
であることがわかる。
【0066】さらに、上記調製した油相液を、25℃で
1.5時間そのまま放置したところ、流動性がなくなり
ゲル化状態となった。
【0067】これらのことから、製造例1で得られたイ
ソチオシアン酸アリル内包マイクロカプセルの、芯部は
ゲル化していることは明らかである。
【0068】
【製造例2〜6】イソチオシアン酸アリル、イソシアネ
ート成分、触媒および水不溶性のポリオールとして、下
記の表1に示す材料を同表に示す割合で用い、上記製造
例1と同様にして目的とするイソチオシアン酸アリル内
包マイクロカプセル分散液を作製した。そして、得られ
たイソチオシアン酸アリル内包マイクロカプセルを遠心
分離により取り出して、製造例1と同様、電子顕微鏡の
観察により粒子径を測定し下記の表1に併せて示した。
【0069】また、製造例1と同様にしてマイクロカプ
セルを割り電子顕微鏡写真を撮ったところ、いずれも芯
部がゲル化していることが確認された。さらに、上記と
同様にして、水不溶性のポリオールの抽出操作、および
油相液のみを反応させたところ、製造例1と同様の結果
が得られた。これらのことから、製造例2〜6のイソチ
オシアン酸アリル内包マイクロカプセルの、芯部はゲル
化していることは明らかである。
【0070】
【表1】
【0071】
【比較製造例1】製造例1で油相液を調製する際に、水
不溶性のポリオールであるヒマシ油、および触媒である
ジブチルチンジラウレートを用いなかった。それ以外は
製造例1と同様の操作を行った。得られた乳化液を遠心
分離したところ、マイクロカプセルは得られなかった。
さらに、この乳化液を、25℃で8時間攪拌して反応を
完結させることにより、イソチオシアン酸アリルを内包
したマイクロカプセルを得た。このマイクロカプセルの
粒子を遠心分離により取り出し、製造例1と同様にして
電子顕微鏡で観察したところ、粒子径4μmの粒子が観
察された。そして、このマイクロカプセルを割ったもの
を電子顕微鏡で観察したところ、芯部にイソチオシアン
酸アリルのみが存在しており、単に、イソチオシアン酸
アリルが内包された芯−殻構造をとるマイクロカプセル
であることがわかる。
【0072】また、上記油相液を、25℃で10時間そ
のまま放置したが、ゲル化状態とはならず液状のままで
あった。
【0073】これらのことから、比較製造例1で得られ
たマイクロカプセルは、芯部がイソチオシアン酸アリル
のみである従来のマイクロカプセルであることが明らか
である。
【0074】つぎに、イソチオシアン酸アリル内包マイ
クロカプセル分散液に水溶性ポリウレタン樹脂が配合さ
れた例について述べる。
【0075】
【製造例7】 〔水溶性ポリウレタン樹脂の製造〕グリセリンに、エチ
レンオキシドおよびプロピレンオキシドを付加重合させ
たもの、および、プロピレンオキシドとエチレンオキシ
ドのランダム付加重合体の混合物(重量比20:80)
を、HMDIと反応させて(90〜100℃)ポリウレ
タン化し、末端イソシアネート基を、メチルエチルケト
オキシム(MEKO)でブロックし、さらに冷却して水
を添加して熱反応水溶性ポリウレタン樹脂(重量平均分
子量1万5千)が分散した分散体(B1)を作製した。
【0076】〔白蟻防除剤含有分散液の製造〕つぎに、
前記製造例1で得られたイソチオシアン酸アリル内包マ
イクロカプセルを含有した分散液(マイクロカプセル固
形分20%)100部に対して、上記熱反応水溶性ポリ
ウレタン樹脂が分散した分散体(B1)を40部添加
し、さらにジブチルチンジラウレートを0.8%添加
し、攪拌することによって目的とする分散液を得た。こ
の分散液の固形分濃度は25%であった。
【0077】
【製造例8〜12、比較製造例2】まず、下記に示す製
法に従って、水溶性ポリウレタン樹脂α〜εを作製し
た。
【0078】〔水溶性ポリウレタン樹脂α〕グリセリン
にプロピレンオキシドを付加重合させたもの、および、
プロピレンオキシドとエチレンオキシドのランダム付加
重合体の混合物(重量比20:80)を、HMDIと反
応させて(90〜100℃)ポリウレタン化し、末端イ
ソシアネート基を、無水重亜硫酸ソーダでブロックし、
さらに冷却して水を添加して水溶性ポリウレタン樹脂α
が分散した分散体α(B1)を作製した。
【0079】〔水溶性ポリウレタン樹脂β〕無水マレイ
ン酸と1,6−ヘキサンジオールとのポリエステルポリ
オールと、ポリエチレングリコールの混合物(重量比
5:1)を、HMDIと反応させて(90〜100℃)
ポリウレタン化し、末端イソシアネート基を、無水重亜
硫酸ソーダでブロックし、さらに冷却して水を添加して
水溶性ポリウレタン樹脂βが分散した分散体β(B1)
を作製した。
【0080】〔水溶性ポリウレタン樹脂γ〕グリセリン
にプロピレンオキシドを付加重合させたもの、および、
グリセリンにエチレンオキシドおよびプロピレンオキシ
ドをランダム付加重合させたもの(エチレンオキシドと
プロピレンオキシドの重量比13:87)の混合物(重
量比50:50)を、HMDIと反応させて(90〜1
00℃)ポリウレタン化し、末端イソシアネート基を、
無水重亜硫酸ソーダでブロックし、さらに冷却して水を
添加して水溶性ポリウレタン樹脂γが分散した分散体γ
(B1)を作製した。
【0081】〔水溶性ポリウレタン樹脂δ〕ブチレンア
ジペートと、プロピレンオキシドとエチレンオキシドの
ランダム付加重合体と、ポリカプロラクトンの混合物
(重量比12:4:1)を、HMDIと反応させて(9
0〜100℃)ポリウレタン化し、水を添加して、末端
イソシアネート基の一部をアミノエチルスルホン酸ソー
ダと反応させ、さらに冷却して水溶性ポリウレタン樹脂
δが分散した分散体δ(B2)を作製した。
【0082】〔水溶性ポリウレタン樹脂ε〕ポリテトラ
メチレングリコールと、プロピレンオキシドとエチレン
オキシドのランダム付加重合体と、ポリエチレングリコ
ールと、1,4−ブタンジオールと、トリメチロールプ
ロパンの混合物(重量比50:4:4:4:1.5)
を、水添MDIと反応させて(90〜100℃)ポリウ
レタン化し、さらに活性剤(ジスチレン化フェノールの
エチレンオキシド付加物)を固形分100部に対して5
部添加して、ついで、大量の水を添加し乳化させ、末端
イソシアネート基をエチレンジアミンで架橋させて水溶
性ポリウレタン樹脂εが分散した分散体ε(B2)を作
製した。
【0083】そして、前記製造例2〜6で作製した各イ
ソチオシアン酸アリル内包マイクロカプセル分散液(マ
イクロカプセル固形分20%)100部に対して、上記
各水溶性ポリウレタン樹脂α〜εが分散した分散体α〜
εを固形分が10部となるよう40部添加した。各製造
例8〜12に対して用いた水溶性ポリウレタン樹脂α〜
ε(分散体α〜ε)の組み合わせを、各水溶性ポリウレ
タン樹脂α〜εの重量平均分子量とともに下記の表2に
示す。なお、製造例8〜10に関しては、上記分散体を
添加した後、さらにジブチルチンジラウレートを0.8
%添加し、攪拌することによって目的とする白蟻防除剤
を含有する分散液を得た。また、前記比較製造例1で作
製したマイクロカプセル分散液100部に対して、上記
水溶性ポリウレタン樹脂εが分散した分散体εを固形分
が10部となよう40部添加した(比較製造例2)。
【0084】
【表2】
【0085】
【実施例1〜6、比較例1,2】前記製造例7〜12お
よび比較製造例2で得られたイソチオシアン酸アリル内
包マイクロカプセル分散液とバインダー成分(各水溶性
ポリウレタン樹脂)とを配合した分散液を木材処理薬剤
(白蟻防除剤含有分散液)とした。このときの各々のマ
イクロカプセルの分散液中の含有量はいずれも全体の
1.0重量%に調整した。
【0086】そして、15cm×15cmのシナベニヤ
板上に、前記各マイクロカプセル含有分散液を高さ60
cmの距離からスプレーガンで5ml散布した。風乾
後、25℃×相対湿度100%下で処理面上に、イエシ
ロアリ20頭を放ち、24時間後の死虫率を求めた。つ
いで、試験終了後、処理ベニヤ板を40℃の恒温器中に
放置し、3ヶ月、6ヶ月、9ヶ月、12ヶ月、15ヶ月
後に同様に処理面上のイエシロアリに対する殺蟻活性を
調べた。試験は5反復で行った。これらの結果を下記の
表3に示した。
【0087】
【表3】
【0088】上記表3の結果から、全実施例および比較
例1においては24時間後の死虫率は100%であった
が、3ヶ月、6ヶ月、9 ヶ月と時間が経過するに従って
死虫率が著しく低下した比較例1に比べて、全実施例は
12ヶ月経過後も死虫率は100%を示し、さらに、1
5ヶ月経過後も高い死虫率を示した。このことから、本
発明の白蟻防除剤含有分散液をベニヤ板に塗布して使用
した場合、長期にわたって優れた残効性を発揮すること
がわかる。
【0089】
【実施例7〜12、比較例3,4】砂質土壌400gに
前記製造例7〜12および比較製造例2で得られた各マ
イクロカプセルとバインダー成分とを配合した分散液1
0mlを加え、良く混合した。ついで、この処理土壌5
gを水で湿らせた濾紙を敷いた直径9cmのプラスチッ
クシャーレ内に均一に広げ、処理土壌上へイエシロアリ
20頭を放ち、3日後の死虫率を求めた。残った処理土
壌は40℃下に保存し、所定期間(3ヶ月、6ヶ月、9
ヶ月、12ヶ月、15ヶ月)経過後、同様の操作でイエ
シロアリに対する残効性を調べた。試験は3往復で行っ
た。これらの結果を下記の表4に示した。
【0090】
【表4】
【0091】上記表4の結果から、全実施例および比較
例3においては3日後の死虫率は100%であったが、
所定期間が経過するに従って死虫率が著しく低下した比
較例3に比べて、全実施例は12ヶ月経過後も死虫率は
100%を示し、さらに、15ヶ月経過後も高い死虫率
を示した。このことから、本発明の白蟻防除剤含有分散
液を土壌に加え処理した場合においても長期にわたって
優れた残効性を発揮することがわかる。
【0092】つぎに、イソチオシアン酸アリル内包マイ
クロカプセル分散液に、合成樹脂の水性エマルジョンが
配合された例について述べる。
【0093】
【製造例13】前記製造例1のイソチオシアン酸アリル
内包マイクロカプセルが分散した液(マイクロカプセル
固形分20%)100部に対して、酢酸ビニル−エチレ
ン共重合樹脂の水性エマルジョン(濃度50%、ヘキス
ト合成社製「モビニール180E」)を固形分が10部
となるように20.0部添加した。この分散液の固形分
濃度は25%であった。
【0094】
【実施例13】上記製造例13の分散液を実施例1〜6
と同様にしてイエシロアリに対する殺蟻活性を調べた。
その結果、上記実施例1〜6と同様、12ヶ月経過後も
死虫率は100%を示し、さらに、15ヶ月経過後も高
い死虫率を示した。
【0095】
【発明の効果】以上のように、本発明は、イソチオシア
ン酸アリルを含有するゲル状ポリウレタン樹脂からなる
芯部が、ポリウレア樹脂からなる殻部で被覆された特殊
な芯部構造を有するイソチオシアン酸アリル内包マイク
ロカプセル(A)と、バインダー成分としての、水溶性
ポリウレタン樹脂、および、合成樹脂の水性エマルジョ
ンの少なくとも一方(B)を含有する白蟻防除剤含有分
散液である。上記マイクロカプセルが特殊な芯部構造を
とること、および、上記(B)のバインダー効果によ
り、ゲル状ポリウレタン樹脂に含有されたイソチオシア
ン酸アリルはポリウレタン樹脂から経時的に徐々にしか
放出されず、したがって、イソチオシアン酸アリルの殻
部の通過量が抑制され、その結果、優れた残効性を備え
るようになる。このため、薬効および残効性に優れた白
蟻防除剤を含有する分散液となる。特に、本発明のイソ
チオシアン酸アリル内包マイクロカプセル含有分散液
は、各種材料からなる基材に対して、塗布、噴霧あるい
は含浸させる等、様々な形態をとって使用可能となり、
上記優れた残効性を有効に発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のイソチオシアン酸アリル内包マイクロ
カプセルの一例を模式的に示す断面図である。
【符号の説明】
1 ゲル状ポリウレタン樹脂 2 ポリウレア樹脂製の殻部

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水性媒体中に、下記の(A)および
    (B)が含有されていることを特徴とする白蟻防除剤含
    有分散液。 (A)芯部がイソチオシアン酸アリルを含有するゲル状
    ポリウレタン樹脂で形成され、上記芯部を被覆する殻部
    がポリウレア樹脂で形成されているマイクロカプセル。 (B)水溶性ポリウレタン樹脂、および、合成樹脂の水
    性エマルジョンの少なくとも一方。
  2. 【請求項2】 (B)の水溶性ポリウレタン樹脂が、下
    記の(B1)および(B2)の少なくとも一方である請
    求項1記載の白蟻防除剤含有分散液。 (B1)下記の(a1)と(b1)とを反応させてなる
    反応生成物の、末端イソシアネート基をブロック化剤で
    ブロックした熱反応水溶性ポリウレタン樹脂。 (a1)ポリエーテルポリオールおよびポリエステルポ
    リオールの少なくとも一方。 (b1)ジイソシアネート成分。 (B2)下記の(a2)と(b2)とを反応させてなる
    反応生成物の、末端イソシアネート基を、水およびアミ
    ンの少なくとも一方で架橋してなる水溶性ポリウレタン
    樹脂。 (a2)ポリエーテルポリオールおよびポリエステルポ
    リオールの少なくとも一方。 (b2)ジイソシアネート成分。
  3. 【請求項3】 (B)の合成樹脂の水性エマルジョン
    が、酢酸ビニル−エチレン共重合樹脂の水性エマルジョ
    ンである請求項1または2記載の白蟻防除剤含有分散
    液。
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