JPH09296048A - 分子間架橋されたポリシラザン及びその製造方法 - Google Patents

分子間架橋されたポリシラザン及びその製造方法

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JPH09296048A
JPH09296048A JP10972396A JP10972396A JPH09296048A JP H09296048 A JPH09296048 A JP H09296048A JP 10972396 A JP10972396 A JP 10972396A JP 10972396 A JP10972396 A JP 10972396A JP H09296048 A JPH09296048 A JP H09296048A
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    • G02F1/00Devices or arrangements for the control of the intensity, colour, phase, polarisation or direction of light arriving from an independent light source, e.g. switching, gating or modulating; Non-linear optics
    • G02F1/01Devices or arrangements for the control of the intensity, colour, phase, polarisation or direction of light arriving from an independent light source, e.g. switching, gating or modulating; Non-linear optics for the control of the intensity, phase, polarisation or colour 
    • G02F1/13Devices or arrangements for the control of the intensity, colour, phase, polarisation or direction of light arriving from an independent light source, e.g. switching, gating or modulating; Non-linear optics for the control of the intensity, phase, polarisation or colour  based on liquid crystals, e.g. single liquid crystal display cells
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 分子量が高く且つ保存安定性に優れたポリシ
ラザン架橋体の提供。 【解決手段】 主として下記一般式(I): 【化1】 (上式中、R1 、R2 、R3 は明細書中に記載の通り)
で表される骨格を有する数平均分子量が100〜500
00のポリシラザンを、水又はOH基を2個以上含む化
合物と塩基性溶媒中で反応させて得られる、主鎖が実質
的にSi−N結合から成り、ゲル透過クロマトグラフィ
ーによるポリスチレン換算数平均分子量が500〜10
0,000であり、架橋指数が1.01〜5.0であり
且つ酸素含有率が0.01〜50重量%であることを特
徴とする分子間架橋されたポリシラザン。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、分子間架橋された
ポリシラザン(以下、ポリシラザン架橋体とも称する)
及びその製造方法に関する。本発明によるポリシラザン
架橋体は、分子量が高く、また保存安定性に優れてお
り、特にセラミックス被膜形成用の塗布組成物成分とし
て有用である。
【0002】
【従来の技術】保護被膜としてセラミックス系コーティ
ングの有用性が増大している。具体的には、シリコーン
系塗料、ポリチタノカルボシラン系塗料、シラザン系プ
レセラミックポリマー、シロキサザン系プレセラミック
ポリマー、等を金属材料や無機材料の表面に適用するこ
とにより、高い耐熱性、耐酸化性、耐磨耗性、耐薬品
性、物質遮断性、等を示す無機コーティングが得られて
いる。本出願人は、従来よりシラザン系のプレセラミッ
クポリマーとして様々な材料を提供している。これらの
プレセラミックポリマーによると、適当な溶剤に溶解し
た塗布組成物を調製し、これを基材表面に単に塗布、焼
成するだけで緻密且つ高硬度な耐熱性、耐酸化性、耐磨
耗性、耐薬品性、高平坦化性のコーティングが得られ
る。さらに、これらのプレセラミックポリマーに低温セ
ラミック化処理を施すことにより、プラスチック材料等
の耐熱性の低い基材にもこのようなセラミックス系コー
ティングを施すことができる。これらのポリシラザンを
用いたセラミックス系コーティングに関する代表的な公
開特許公報として本出願人による特開平7−22386
7号公報を参照されたい。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記のような従来技術
で製造されるポリシラザンには、得られる分子量に限度
があり、塗布組成物として所望の高い粘度が得られない
場合がある。ポリシラザンの分子量を高くするため、ポ
リシラザンに水又は酸素を反応させることによりポリシ
ラザンの珪素に結合している水素を利用してシロキサン
架橋を形成させ、分子量のより高いポリシラザン架橋体
(ポリシロキサザン)を得る方法が、本出願人による特
公平6−18885号公報に記載されている。この方法
によると分子量の高いプレセラミックポリマーが得ら
れ、その塗布組成物の粘度も高くなるが、このポリシロ
キサザンはその分子末端に−NH2 、−OH、−SiH
3 などの基を含むために分子量の高いものほど常温でゲ
ル化し易い、すなわち保存安定性が悪くなるという問題
があった。従って、本発明は、従来法で得られるよりも
分子量が高く且つ保存安定性に優れた新規なポリシラザ
ン架橋体とその製造方法を提供するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の一態様による
と、主として下記一般式(I):
【0005】
【化4】
【0006】(上式中、R1 、R2 、R3 はそれぞれ独
立に水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアル
キル基、アリール基、またはこれらの基以外で珪素に直
結する基が炭素である基、アルキルシリル基、アルキル
アミノ基、アルコキシ基を表すが、但し、R1 とR2
いずれか一方は水素原子である)で表される骨格を有す
る数平均分子量が100〜50000のポリシラザン
を、水又はOH基を2個以上含む化合物と塩基性溶媒中
で反応させて得られる、主鎖が実質的にSi−N結合か
ら成り、ゲル透過クロマトグラフィーによるポリスチレ
ン換算数平均分子量が500〜100,000であり、
架橋指数が1.01〜5.0であり且つ酸素含有率が
0.01〜50重量%であることを特徴とする分子間架
橋されたポリシラザンが提供される。
【0007】また、本発明の別の態様によると、上記の
分子間架橋されたポリシラザン及び溶剤を含む塗布組成
物が提供される。本発明のさらに別の態様によると、上
記の塗布組成物にパラジウム、アミン、等の酸化促進触
媒をさらに含む塗布組成物が提供される。また、本発明
の別の態様によると、主として下記一般式(I):
【0008】
【化5】
【0009】(上式中、R1 、R2 、R3 はそれぞれ独
立に水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアル
キル基、アリール基、またはこれらの基以外で珪素に直
結する基が炭素である基、アルキルシリル基、アルキル
アミノ基、アルコキシ基を表すが、但し、R1 とR2
いずれか一方は水素原子である)で表される骨格を有す
る数平均分子量が100〜50000のポリシラザン
を、水又はOH基を2個以上含む化合物と塩基性溶媒中
で反応させることを特徴とする、主鎖が実質的にSi−
N結合から成り、ゲル透過クロマトグラフィーによるポ
リスチレン換算数平均分子量が500〜100,000
であり、架橋指数が1.01〜5.0であり且つ酸素含
有率が0.01〜50重量%である分子間架橋されたポ
リシラザンの製造方法が提供される。
【0010】本発明による分子間架橋されたポリシラザ
ンは、ポリシラザンと水又はOH基を2個以上含む化合
物との反応を塩基性溶媒中で行うことにより、OH基を
ほぼ完全にポリシラザンと反応させることができるの
で、得られるポリシラザン架橋体の分子鎖中にOH基が
実質的に含まれることはない。このため、得られたポリ
シラザン架橋体は残存OH基によってさらに高分子量化
することがなく、塩基性溶媒を使用せずに合成したポリ
シラザン架橋体又はポリシロキサザンよりも保存安定性
が高くなる。以下、本発明を詳細に説明する。
【0011】本発明で用いるポリシラザンは、分子内に
少なくともSi−H結合を有するポリシラザンであれば
よく、ポリシラザン単独は勿論のことポリシラザンと他
のポリマーとの共重合体やポリシラザンと他の化合物と
の混合物でも利用できる。用いるポリシラザンには、鎖
状、環状、又は架橋構造を有するもの、あるいは分子内
にこれら複数の構造を同時に有するものがあり、これら
単独でも又は混合物でも利用できる。
【0012】用いるポリシラザンの代表例としては下記
のようなものがあるが、これらに限定されるものではな
い。一般式(I)でR1 ,R2 及びR3 に水素原子を有
するものは、ペルヒドロポリシラザンであり、その製造
法は例えば特開昭60−145903号公報、D.Se
yferthらCommunication of A
m.Cer.Soc.,C−13,January 1
983.に報告されている。これらの方法で得られるも
のは、種々の構造を有するポリマーの混合物であるが、
基本的には分子内に鎖状部分と環状部分を含み、
【0013】
【化6】
【0014】の化学式で表わすことができる。ペルヒド
ロポリシラザンの構造の一例を示すと下記の如くであ
る。
【0015】
【化7】
【0016】一般式(I)でR1 及びR2 に水素原子、
3 にメチル基を有するポリシラザンの製造方法は、
D.SeyferthらPolym.Prepr.A
m.Chem.Soc.,Div.Polym.Che
m,.25,10(1984)に報告されている。この
方法により得られるポリシラザンは、繰り返し単位が−
(SiH2 NCH3 )−の鎖状ポリマーと環状ポリマー
であり、いずれも架橋構造をもたない。
【0017】一般式(I)でR1 及びR3 に水素原子、
2 に有機基を有するポリオルガノ(ヒドロ)シラザン
の製造法は、D.SeyferthらPolym.Pr
epr.Am.Chem.Soc.Div.Poly
m.Chem,.25,10(1984)、特開昭61
−89230号公報に報告されている。これらの方法に
より得られるポリシラザンには、−(R2 SiHNH)
−を繰り返し単位として、主として重合度が3〜5の環
状構造を有するものや(R3 SiHNH)x 〔(R2
iH)1.5 N〕1-x (0.4<X<1)の化学式で示せ
る分子内に鎖状構造と環状構造を同時に有するものがあ
る。
【0018】一般式(I)でR1 に水素原子、R2 及び
3 に有機基を有するポリシラザン、またR1 及びR2
に有機基、R3 に水素原子を有するものは−(R12
SiNR3 )−を繰り返し単位として、主に重合度が3
〜5の環状構造を有している。次に用いるポリシラザン
の内、一般式(I)以外のものの代表例をあげる。ポリ
オルガノ(ヒドロ)シラザンの中には、D.Seyfe
rthらCommunication of Am.C
er.Soc.,C−132,July 1984.が
報告されている様な分子内に架橋構造を有するものもあ
る。一例を示すと下記の如くである。
【0019】
【化8】
【0020】また、特開昭49−69717に報告され
ている様なR1 SiX3 (X:ハロゲン)のアンモニア
分解によって得られる架橋構造を有するポリシラザン
(R1Si(NH)x 、あるいはR1 SiX3 及びR2 2
SiX2 の共アンモニア分解によって得られる下記の
構造を有するポリシラザンも出発材料として用いること
ができる。
【0021】
【化9】
【0022】用いるポリシラザンは、上記の如く一般式
(I)で表わされる単位からなる主骨格を有するが、一
般式(I)で表わされる単位は、上記にも明らかな如く
環状化することがあり、その場合にはその環状部分が末
端基となり、このような環状化がされない場合には、主
骨格の末端はR1 ,R2 ,R3 と同様の基又は水素であ
ることができる。
【0023】本発明に用いるポリシラザンとして好まし
いものは、上記の一般式(I)で表わされる単位を主骨
格に有するポリシラザン又はこれらのポリシラザンに金
属アルコキシド、珪素アルコキシド、アルコール、金属
カルボン酸塩、アセチルアセトナト錯体、等を添加して
変性したものである。このように変性処理をしたポリシ
ラザンを出発原料として用いると、得られたポリシラザ
ン架橋体はより低温でセラミックス化することができ
る。以降、このような変性処理を低温セラミックス化処
理と呼ぶ。
【0024】このような低温セラミックス化処理済ポリ
シラザンの具体例として、本願出願人による特開平5−
238827号公報に記載されている珪素アルコキシド
付加ポリシラザンが挙げられる。この変性ポリシラザン
は、上記一般式(I)で表されるポリシラザンと、下記
一般式(II): Si(OR4 4 (II) (式中、R4 は、同一でも異なっていてもよく、水素原
子、炭素原子数1〜20個を有するアルキル基またはア
リール基を表し、少なくとも1個のR4 は上記アルキル
基またはアリール基である)で表される珪素アルコキシ
ドを加熱反応させて得られる、アルコキシド由来珪素/
ポリシラザン由来珪素の原子比が、0.001〜3の範
囲内かつ数平均分子量が約200〜50万の珪素アルコ
キシド付加ポリシラザンである。珪素アルコキシド付加
ポリシラザンの調製については上記特開平5−2388
27号公報を参照されたい。
【0025】低温セラミックス化処理済ポリシラザンの
別の具体例として、本出願人による特開平6−1228
52号公報に記載されているグリシドール付加ポリシラ
ザンが挙げられる。この変性ポリシラザンは、上記一般
式(I)で表されるポリシラザンとグリシドールを反応
させて得られる、グリシドール/ポリシラザンの重量比
が0.001〜2の範囲内かつ数平均分子量が約200
〜50万のグリシドール付加ポリシラザンである。グリ
シドール付加ポリシラザンの調製については上記特開平
6−122852号公報を参照されたい。
【0026】低温セラミックス化処理済ポリシラザンの
別の具体例として、本願出願人による特開平6−240
208号公報に記載されているアルコール付加ポリシラ
ザンが挙げられる。この変性ポリシラザンは、上記一般
式(I)で表されるポリシラザンとアルコールとを反応
させて得られる、アルコール/ポリシラザンの重量比が
0.001〜2の範囲内かつ数平均分子量が約100〜
50万のアルコール付加ポリシラザンである。アルコー
ル付加ポリシラザンの調製については、上記特開平6−
240208号公報を参照されたい。
【0027】低温セラミックス化処理済ポリシラザンの
また別の具体例として、本願出願人による特開平6−2
99118号公報に記載されている金属カルボン酸塩付
加ポリシラザンが挙げられる。この変性ポリシラザン
は、上記一般式(I)で表されるポリシラザンと、ニッ
ケル、チタン、白金、ロジウム、コバルト、鉄、ルテニ
ウム、オスミウム、パラジウム、イリジウム、アルミニ
ウムの群から選択される少なくとも1種の金属を含む金
属カルボン酸塩を反応させて得られる、金属カルボン酸
塩/ポリシラザンの重量比が0.000001〜2の範
囲内かつ数平均分子量が約200〜50万の金属カルボ
ン酸塩付加ポリシラザンである。上記金属カルボン酸塩
は、式(RCOO)n M〔式中、Rは炭素原子数1〜2
2個の脂肪族基又は脂環式基であり、Mは上記金属群か
ら選択される少なくとも1種の金属を表し、そしてnは
金属Mの原子価である〕で表される化合物である。上記
金属カルボン酸塩は無水物であっても水和物であっても
よい。金属カルボン酸塩付加ポリシラザンの調製につい
ては、上記特開平6−299118号公報を参照された
い。
【0028】低温セラミックス化処理済ポリシラザンの
さらに別の具体例として、本願出願人による特開平6−
306329号公報に記載されているアセチルアセトナ
ト錯体付加ポリシラザンが挙げられる。この変性ポリシ
ラザンは、上記一般式(I)で表されるポリシラザン
と、金属としてニッケル、白金、パラジウム又はアルミ
ニウムを含むアセチルアセトナト錯体を反応させて得ら
れる、アセチルアセトナト錯体/ポリシラザンの重量比
が0.000001〜2の範囲内かつ数平均分子量が約
200〜50万のアセチルアセトナト錯体付加ポリシラ
ザンである。上記の金属を含むアセチルアセトナト錯体
は、アセチルアセトン(2,4−ペンタジオン)から酸
解離により生じた陰イオンacac- が金属原子に配位
した錯体であり、一般には式(CH3 COCHCOCH
3 n M〔式中、Mはn価の金属を表す〕で表される。
アセチルアセトナト錯体付加ポリシラザンの調製につい
ては、上記特開平6−306329号公報を参照された
い。
【0029】その他の低温セラミックス化処理済ポリシ
ラザンの具体例として、本願出願人による特開平7−1
96986号公報に記載されている金属微粒子添加ポリ
シラザンが挙げられる。この変性ポリシラザンは、上記
一般式(I)で表されるポリシラザンを主成分とするコ
ーティング溶液に、Au、Ag、Pd、Niをはじめと
する金属の微粒子を添加して得られる変性ポリシラザン
である。好ましい金属はAgである。金属微粒子の粒径
は0.5μmより小さいことが好ましく、0.1μm以
下がより好ましく、さらには0.05μmより小さいこ
とが好ましい。金属微粒子添加ポリシラザンの調製につ
いては、上記特開平7−196986号公報を参照され
たい。
【0030】これらの低温セラミックス化処理済ポリシ
ラザンの中で特に好ましいものは、上記特開平6−29
9118号公報に記載されている金属カルボン酸塩付加
ポリシラザンであるが、とりわけその金属(M)がパラ
ジウム(Pd)であるものがより好ましい。上記のよう
な低温セラミックス化処理は、本発明に従い未変性ポリ
シラザンから得られたポリシラザン架橋体に対して施す
ことによっても、同様にポリシラザン架橋体を低温でセ
ラミックス化することができる。
【0031】本発明によるポリシラザン架橋体は、上記
のようなポリシラザン又はその変性物を塩基性溶媒中で
水又はOH基を2個以上含む化合物と反応させることに
より得られる。OH基を2個以上含む化合物とは、塩基
性溶媒中で反応させた場合に、OH基の一つがポリシラ
ザン又はその変性物のある分子のSi−H結合と反応し
てSi−O結合を形成し、そして別のOH基がポリシラ
ザン又はその変性物の別の分子のSi−H結合と反応し
てSi−O結合を形成することにより、ポリシラザン又
はその変性物の分子間に架橋共有結合を形成することが
できるすべての有機化合物をさす。より具体的には、O
H基を2個以上含む化合物は式:HO−R−(OH)n
で表すことができる。式中、Rは炭素原子数1〜20、
好ましくは1〜6の飽和もしくは不飽和の脂肪族又は芳
香族のn+1価の炭化水素基を表し、そしてnは1〜
5、好ましくは1〜3である。
【0032】このようなOH基を2個以上含む化合物の
具体例として、エチレングリコール、プロピレングリコ
ール、ブチレングリコール、グリセリン、ヒドロキノ
ン、アルキルヒドロキノン、等が挙げられる。これらの
水又はOH基を2個以上含む化合物は2種以上を組み合
わせて使用することもできる。また、OH基を2個以上
含む化合物として、現場の塩基性溶媒中で加水分解して
ポリシラザンと上記のように反応することできる化合物
を使用してもよい。具体的には、上記具体例に挙げた化
合物のエステル化物、例えば、酢酸エステル、プロピオ
ン酸エステル、等を使用することもできる。本発明によ
り水で架橋された本発明によるポリシラザン架橋体は、
分子間に以下のような構造式で示される架橋部分を有す
る。
【0033】
【化10】
【0034】また、例えばOH基を2個含む化合物で架
橋された本発明によるポリシラザン架橋体は、分子間に
以下のような構造式で示される架橋部分を有する。
【0035】
【化11】
【0036】上式中、Rは先に定義した通りである。ま
た、Siに結合しているR1 、R2についても先に定義
した通りであるが、R1 とR2 は性質上等価であるた
め、上式においてポリシラザンの一方のR1 と他方のR
2 とが置換されていることに特別の意味はない。本発明
によるポリシラザン架橋体の架橋指数、すなわちポリシ
ラザン1分子当たりの架橋点の数は、所期の目的によっ
て、また出発原料のポリシラザンの分子量によって変わ
ってくる。例えば、架橋後に所望されている分子量が一
定である場合、出発原料のポリシラザン分子量が小さい
ほど、架橋指数は高くする必要がある。しかしながら、
一般論として、架橋指数をあまり高くしようとするとポ
リマーの三次元化が進み、塗布組成物の成分として望ま
しくなくなる。従って、本発明のポリシラザン架橋体と
して適切な架橋指数は、1.01〜5.0、好ましくは
1.01〜1.5である。
【0037】また、上記の如きOH基を2個以上含む化
合物の種類や架橋による導入量を調節することによっ
て、ポリシラザン架橋体由来のセラミックスコーティン
グの可撓性を制御することができる。すなわち、一般に
セラミックスコーティングの硬度を高めたい場合にはO
H含有化合物として有機成分Rの炭素原子数の少ないも
の(又は、最も高くする場合には水)を選定し、反対に
セラミックスコーティングの可撓性を高めたい場合には
OH含有化合物として炭素原子数の多いものを選定すれ
ばよく、その選定については当業者であれば必要に応じ
適宜行うことができる。
【0038】本発明によるポリシラザン架橋体は塩基性
溶媒中における反応によって得られる。本発明で用いら
れる塩基性溶媒として、一級、二級及び三級アミン類、
例えばジエチルアミン、トリエチルアミン、プロピルア
ミン、ジプロピルアミン、トリプロピルアミン、ブチル
アミン、ジブチルアミン、トリブチルアミン、ペンチル
アミン、ジペンチルアミン、トリペンチルアミン、ヘキ
シルアミン、ジヘキシルアミン、トリヘキシルアミン、
ヘプチルアミン、ジヘプチルアミン、トリヘプチルアミ
ン、オクチルアミン、ジオクチルアミン、トリオクチル
アミン、ノニルアミン、ジノニルアミン、デシルアミ
ン、ドデシルアミン、フェニルアミン及びジフェニルア
ミン、ピリジン類、例えばピリジン、ピコリン、ルチジ
ン、ピリミジン及びピリダジン、並びに有機強塩基性化
合物、例えば1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕−
7−ウンデセン(DBU)及び1,5−ジアザビシクロ
〔4.3.0〕−5−ノネン(DBN)が挙げられる。
このような塩基性溶媒中で反応を行うことにより、得ら
れるポリシラザン架橋体の分子鎖中にOH基が残存する
ことがなくなる。特に好適な塩基性溶媒は、トリエチル
アミン、ジエチルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミ
ン、トリブチルアミン、ピリジン、DBU及びDBNで
ある。
【0039】本発明によるポリシラザン架橋体の合成反
応は、一般に、上記のポリシラザンを必要に応じて適当
な溶剤に溶解した溶液を調製し、これに上記の塩基性溶
媒を添加して調製した溶液に、上記のOH含有化合物を
そのまま、あるいは適当な溶剤に溶解した溶液を添加す
ることにより行われる。また、上記のOH含有化合物を
そのまま、あるいは適当な溶剤に溶解した溶液を調製
し、これに上記の塩基性溶媒を添加して調製した溶液
に、上記のポリシラザンを必要に応じて適当な溶剤に溶
解した溶液を添加することにより行うこともできる。
【0040】ポリシラザンを溶剤に溶解する場合、その
溶剤としては、最終的に得られるポリシラザン架橋体の
溶剤でもあることが好ましく、芳香族化合物、例えばベ
ンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ジエチ
ルベンゼン、トリメチルベンゼン及びトリエチルベンゼ
ン、シクロヘキサン、シクロヘキセン、デカヒドロナフ
タレン、ジペンテン、飽和炭化水素化合物、例えばn−
ペンタン、i−ペンタン、n−ヘキサン、i−ヘキサ
ン、n−ヘプタン、i−ヘプタン、n−オクタン、i−
オクタン、n−ノナン、i−ノナン、n−デカン及びi
−デカン、エチルシクロヘキサン、メチルシクロヘキサ
ン、p−メンタン、エーテル類、例えばジプロピルエー
テル、ジブチルエーテル及びジペンチルエーテル、並び
にケトン類、例えばメチルイソブチルケトン(MIB
K)、が挙げられる。このような溶剤において合成され
たポリシラザン架橋体は、そのまま塗布組成物として使
用することができる。
【0041】本発明によるポリシラザン架橋体の合成反
応では、0.01〜90重量%、好ましくは1〜10重
量%のポリシラザンと、99.9〜10重量%、好まし
くは99〜90重量%の塩基性溶媒と、ポリシラザン重
量に対して0.001〜200%、好ましくは0.01
〜10%の水又はOH含有化合物とを組み合わせる。ま
た、この合成反応は、使用する溶剤の凝固点以上沸点以
下の範囲の任意の温度で行われるが、通常は0〜100
℃で行われる。この反応は室温でも進行する。
【0042】本発明によるポリシラザン架橋体の合成反
応における反応圧力については特に制限はなく、一般に
は常圧で十分である。0〜9.8×105 Pa(0〜1
0kg/cm2 G)の範囲が好ましい。反応時間については
特に制限はないが、一般には1〜120分の反応を行
う。反応時間を長くすることで得られるポリシラザン架
橋体の分子量を高くすることができる。また、反応雰囲
気についても特に制限はなく、周囲雰囲気でよい。反応
終了後、必要に応じて塩基性溶媒を、例えばロータリー
エバポレーターを用いて留去すると、用いた溶剤に溶解
したポリシラザン架橋体が得られる。
【0043】このようにして得られたポリシラザン架橋
体は、主鎖が実質的にSi−N結合から成り、ゲル透過
クロマトグラフィーによるポリスチレン換算数平均分子
量が500〜100,000、好ましくは500〜1
0,000、より好ましくは500〜5,000であ
り、架橋指数が1.01〜5.0、好ましくは1.01
〜1.5であり、窒素含有率が10〜40重量%、好ま
しくは15〜35重量%であり、且つ酸素含有率が0.
01〜50重量%、好ましくは1〜20重量%である、
また、本発明によると20℃、キシレンにおける極限粘
度が1.0〜100cP(0.001〜0.1Pa・
s)、好ましくは1.2〜50cP(0.0012〜
0.05Pa・s)であるポリシラザン架橋体が得られ
る。本発明によるポリシラザン架橋体は遊離のOH基を
実質的に含まないので、保存期間中に架橋が進んで分子
量が高くなることがほとんどない。
【0044】本発明によるポリシラザン架橋体又はその
変性物は、金属、ガラス、シリコン基板、プラスチッ
ク、等の各種基材に塗布し、これをシリカへ転化するこ
とにより、例えば、半導体、液晶等の絶縁平坦化膜、金
属表面の酸化防止膜、酸素、水蒸気、Na等のバリア
膜、プラスチック等軟性基板の保護膜として有用なセラ
ミックコーティングにすることができる。本発明の別の
態様によると、このようなポリシラザン架橋体あるいは
その変性物を溶剤に溶解した塗布組成物が提供される。
好適な溶剤は先に記載した通りである。尚、溶剤は、上
記に挙げたもの1種でもよく、ポリシラザン架橋体の溶
解度や溶剤の蒸発速度を調節するために沸点の異なる2
種以上の溶剤に溶解させてもよい。
【0045】溶剤の使用量(割合)は採用するコーティ
ング方法により作業性がよくなるように選択され、また
用いるポリシラザン架橋体の平均分子量、分子量分布、
その構造によって異なるので、適宜、自由に混合するこ
とができる。好ましくはポリシラザン架橋体含有率で
0.01〜70重量%の範囲で混合することができる。
また、本発明の塗布組成物において、必要に応じて適当
な充填剤及び/又は増量剤を加えることができる。充填
剤の例としてはシリカ、アルミナ、ジルコニア、マイカ
を始めとする酸化物系無機物あるいは炭化珪素、窒化珪
素等の非酸化物系無機物の微粉等が挙げられる。また用
途によってはアルミニウム、亜鉛、銅等の金属粉末の添
加も可能である。
【0046】これら充填剤は、針状(ウィスカーを含
む。)、粒状、鱗片状等種々の形状のものを単独又は2
種以上混合して用いることができる。また、これら充填
剤の粒子の大きさは1回に適用可能な膜厚よりも小さい
ことが望ましい。さらに、充填剤の添加量はポリシラザ
ン架橋体1重量部に対し0.01重量部〜100重量部
の範囲であり、特に好ましい添加量は0.1重量部〜1
0重量部の範囲である。塗布組成物には、必要に応じて
各種顔料、レベリング剤、消泡剤、帯電防止剤、(酸化
亜鉛、酸化チタン、等を含む)紫外線吸収剤、pH調整
剤、分散剤、表面改質剤、可塑剤、乾燥促進剤、流れ止
め剤を加えてもよい。
【0047】上記のポリシラザン架橋体塗布組成物を基
材に1回又は2回以上繰り返し適用した後、焼成し、水
蒸気雰囲気にさらす、もしくは触媒を含有した蒸留水に
浸す、またはこれらの両方を行うことにより、セラミッ
クス被覆膜を形成させることができる。適用方法は、通
常実施されているプラスチック材料への塗布方法、すな
わち浸漬、ロール塗り、バー塗り、刷毛塗り、スプレー
塗り、フロー塗り等が用いられる。特に好ましい適用方
法はグラビアコーティング法である。
【0048】焼成を行う場合の条件は用いるポリシラザ
ン架橋体または塗布組成物によって異なり、またコーテ
ィングを施す基板、製品によって選択することができ
る。低温セラミックス化ポリシラザン架橋体は、特に低
温形成方法を使用しなくても、通常の焼成を行っても、
添加剤を含まないポリシラザン架橋体よりも低い温度で
セラミックス化することができる。低温セラミックス化
塗布組成物(特に、ポリシラザン架橋体の金属カルボン
酸塩付加物、アセチルアセトナト錯体付加物、金属微粒
子付加物)を使用し、この後、低温形成方法を採用しな
い場合、焼成条件は500〜1000℃の範囲にある。
好ましい焼成温度は、250〜400℃、より好ましく
は250〜350℃の範囲にある。
【0049】焼成雰囲気は酸素中、空気中あるいは不活
性ガス等のいずれであってもよいが、空気中がより好ま
しい。空気中での焼成により低温セラミックス化組成物
の酸化、あるいは空気中に共存する水蒸気による加水分
解が進行し、上記のような低い焼成温度でSi−O結合
あるいはSi−N結合を主体とする強靱な被覆の形成が
可能となる。更に、コーティングする低温セラミックス
化組成物の種類によっては、50℃以上での焼成を全く
行なわず、塗布後の被覆膜を50℃未満の条件で長時間
保持し、被覆膜の性質を向上させることが可能である。
この場合の保持雰囲気は空気中が好ましく、また水蒸気
圧を高めた湿潤空気中でも更に好ましい。保持する時間
は特に限定されるものではないが、10分以上30日以
内が現実的に適当である。また保持温度は特に限定され
るものではないが、0℃以上50℃未満が現実的に適当
である。ここで50℃以上で保持することも当然有効で
あるが、本文では50℃以上での加熱操作を「焼成」と
定義している。この空気中での保持により金属カルボン
酸塩とポリシラザン架橋体の反応物の酸化、あるいは空
気中に共存する水蒸気による加水分解が進行し、セラミ
ックスへの転化が完了して、Si−O結合あるいはSi
−N結合を主体とした強靱な被覆膜の形成が可能とな
る。以上の方法によれば高い焼成温度に起因する種々の
問題を大幅に軽減することができ、場合によっては室温
付近でのセラミックスへの転化が可能となる。
【0050】低温形成方法を採用する場合には、昇温速
度は特に限定しないが、0.5〜5℃/分の昇温速度が
好ましい。好ましい焼成温度は室温〜250℃である
が、プラスチック材料等への塗布には、プラスチック材
料を損なわない温度、好ましくは150℃以下で加熱処
理を施す。一般に、加熱処理を150℃以上で行うと、
プラスチック材料が変形したり、その強度が劣化するな
ど、プラスチック材料が損なわれる。しかしながら、ポ
リイミド等の耐熱性の高いプラスチック材料の場合には
より高温での処理が可能であり、この加熱処理温度は、
プラスチック材料の種類によって当業者が適宜設定する
ことができる。焼成雰囲気は酸素中、空気中あるいは不
活性ガス等のいずれであってもよいが、空気中がより好
ましい。上記の温度での熱処理においてはSi−O、S
i−N、Si−H、N−H結合が存在するものが形成さ
れる。これはまだセラミックスへの転化が不完全であ
る。これを次に述べる2つの方法のいずれか一方又は両
方によってセラミックスに転化させることが可能であ
る。
【0051】水蒸気雰囲気中での熱処理。圧力は特に
限定されるものではないが、1〜3気圧が現実的に適当
である。室温は室温以上で効果的であるが室温〜150
℃が好ましい。相対湿度は特に限定されないが10%RH
〜100%RHが好ましい。熱処理時間は特に限定される
ものではないが10分〜30日が現実的に適当である。
水蒸気雰囲気中での熱処理により、ポリシラザン架橋体
またはポリシラザン架橋体の変性生成物の酸化が進行
し、上記のような低い焼成温度でSi−O結合を主体と
する強靱なセラミックス、特にセラミック被覆の形成が
可能となる。このSiO2 系膜は、ポリシラザン架橋体
に由来するため窒素を原子百分率で0.01〜5%含有
する。この窒素含有量が5%よりも多いと膜のセラミッ
クス化が不十分となり所期の効果、例えば、耐磨耗性や
ガスバリヤ性が得られない。一方、窒素含有量を0.0
1%よりも少なくすることは困難である。
【0052】触媒を含有した蒸留水中に浸す。触媒と
しては、酸、塩基が好ましく、その種類については特に
限定されないが、例えば、トリエチルアミン、ジエチル
アミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、
トリエタノールアミン、n−エキシルアミン、n−ブチ
ルアミン、ジ−n−ブチルアミン、トリ−n−ブチルア
ミン、グアニジン、ピグアニン、イミダゾール、1,8
−ジアザビシクロ−〔5,4,0〕−7−ウンデセン、
1,4−ジアザビシクロ−〔2,2,2〕−オクタン等
のアミン類;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸
化リチウム、ピリジン、アンモニア水等のアルカリ類;
リン酸等の無機酸類;氷酢酸、無水酢酸、プロピオン
酸、無水プロピオン酸のような低級モノカルボン酸、又
はその無水物、シュウ酸、フマル酸、マレイン酸、コハ
ク酸のような低級ジカルボン酸又はその無水物、トリク
ロロ酢酸等の有機酸類;過塩素酸、塩酸、硝酸、硫酸、
スルホン酸、パラトルエンスルホン酸、三フッ化ホウ素
及びその電気供与体との錯体、等;SnCl4 ,ZnC
2 ,FeCl3 ,AlCl3 ,SbCl3 ,TiCl
4 などのルイス酸及びその錯体等を使用することができ
る。好ましい触媒は塩酸である。触媒の含有割合として
は0.01〜50wt%、好ましくは1〜10wt%であ
る。保持温度としては室温から沸点までの温度にわたっ
て有効である。保持時間としては特に限定されるもので
はないが10分〜30日が現実的に適当である。
【0053】触媒を含有した蒸留水中に浸すことによ
り、ポリシラザン架橋体またはポリシラザン架橋体の変
性生成物の酸化あるいは水との加水分解が、触媒の存在
により更に加速され、上記のような低い焼成温度でSi
−O結合を主体とする強靱なセラミックス、特にセラミ
ック被覆の形成が可能となる。このSiO2 系膜は、ポ
リシラザン架橋体に由来するため窒素を同様に原子百分
率で0.01〜5%程度含有する。
【0054】低温セラミックス化の別の方法として、前
記のようなポリシラザン架橋体又はその変性物を含む塗
布組成物に酸化促進触媒としてパラジウム(Pd)を含
有させる方法がある。具体的には、Pd2+イオンを含有
するポリシラザン架橋体を低温で水蒸気と接触させると
シリカが得られる。Si−HまたはN−Hを有するポリ
シラザン架橋体はPd2+イオンと水を必須成分とする系
内で低温下でシリカを主成分とするセラミックスに転化
する。
【0055】Pd2+イオンの供給量は、シリカ(SiO
2 )組成に近いセラミックスを得るためにはポリシラザ
ン架橋体のSi−H基およびSi−N基の総和の等モル
以上が好ましい。但し、反応系内にCuCl2 などの
Pd0 (0価パラジウム)の酸化触媒を添加した場合、
あるいは電気化学的にPd0 を酸化するなどの操作を
同時に行なった場合にはPd2+イオン量は上記より少な
くても同等の効果が得られる。しかし、Pd2+イオンは
少量でもそれなりの効果が得られるので上記の好ましい
供給量に限定されるわけではない。従って、上記、
の操作をしない場合で、ポリシラザン架橋体のSi−H
基及びSi−N基の総和のモル数に対し一般的に1/1
00モル以上、好ましくは1/10モル以上、そしてよ
り好ましくは1モル以上、実用的には1/10モル以上
のPd2+を供給する。
【0056】Pdの添加量が上記1/10モルの場合、
便宜的にはポリシラザン架橋体のSi(ケイ素)のモル
量の0.2倍すればPdの添加重量になる。水の供給方
法はポリシラザン架橋体を水中に浸漬する、水を霧化し
てポリシラザン架橋体に吹き付ける、ポリシラザン架橋
体を水蒸気に暴露するなどによることができる。水の供
給量はシリカ(SiO2 )組成に近いセラミックスを得
るためにはポリシラザン架橋体のSi−H基およびSi
−N基の総和と等モル量以上が好ましい。通常は大過剰
の水を用いる。
【0057】このポリシラザン架橋体のセラミックス化
の反応条件として反応温度、反応圧力、反応雰囲気など
特に限定されない。ただし、反応温度としては必要に応
じて加温するが、100℃以下の低温で十分に反応が進
行する。例えば80℃以下、さらには40℃以下でも可
能である。低温セラミックス化の別の方法として、前記
のようなポリシラザン架橋体又はその変性物を含む塗布
組成物に酸化促進触媒としてアミン化合物及び/又は酸
化合物を含有させる方法がある。ここで用いられるアミ
ン化合物には、例えば下記一般式(III) で表されるアミ
ン化合物の他、ピリジン類やDBU、DBNなども含ま
れ、また酸化合物には有機酸や無機酸が含まれる。
【0058】酸化促進触媒としてのアミン化合物の代表
例として、下記一般式(III) で表される化合物が挙げら
れる。 R4 5 6 N (III) 式中、R4 〜R6 は、それぞれ水素原子、アルキル基、
アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキ
ルシリル基、アルキルアミノ基又はアルコキシ基を表
す。具体例として、メチルアミン、ジメチルアミン、ト
リメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリ
エチルアミン、プロピルアミン、ジプロピルアミン、ト
リプロピルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、ト
リブチルアミン、ペンチルアミン、ジペンチルアミン、
トリペンチルアミン、ヘキシルアミン、ジヘキシルアミ
ン、トリヘキシルアミン、ヘプチルアミン、ジヘプチル
アミン、トリヘプチルアミン、オクチルアミン、ジオク
チルアミン、トリオクチルアミン、フェニルアミン、ジ
フェニルアミン、トリフェニルアミン、等が挙げられ
る。なお、これらアミン化合物に含まれる炭化水素鎖
は、直鎖であっても分枝鎖であってもよい。特に好まし
いアミン化合物は、トリエチルアミン、トリペンチルア
ミン、トリブチルアミン、トリヘキシルアミン、トリヘ
プチルアミン及びトリオクチルアミンである。
【0059】ピリジン類の具体例として、ピリジン、α
−ピコリン、β−ピコリン、γ−ピコリン、ピペリジ
ン、ルチジン、ピリミジン、ピリダジン、等が挙げられ
る。さらに、DBU(1,8−ジアザビシクロ〔5.
4.0〕−7−ウンデセン)、DBN(1,5−ジアザ
ビシクロ〔4.3.0〕−5−ノネン)、等も使用する
ことができる。一方、酸化促進触媒としての酸化合物の
具体例としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、
マレイン酸、ステアリン酸、等の有機酸、塩酸、硝酸、
硫酸、過酸化水素、等の無機酸、等が挙げられる。特に
好ましい酸化合物は、プロピオン酸、塩酸及び過酸化水
素である。
【0060】アミン化合物のポリシラザン架橋体に対す
る添加量は、ポリシラザン架橋体重量に対して1ppm
以上であればよく、好ましくは100ppm〜100%
である。尚、塩基性度(水溶液中でのpKb値)及び沸
点が高いアミン化合物ほど、セラミックス化を促進する
傾向がある。また、酸化合物のポリシラザン架橋体に対
する添加量は、ポリシラザン架橋体重量に対して0.1
ppm以上であればよく、好ましくは10ppm〜10
%である。この態様において特に好ましいアミン化合物
はトリペンチルアミンであり、また酸化合物はプロピオ
ン酸である。
【0061】塗布した後のポリシラザン架橋体又はその
変性物を水蒸気雰囲気に暴露することによりポリシラザ
ン架橋体又はその変性物をセラミックス化させる。この
接触には、一般に加湿炉やスチームが用いられる。具体
的には、塗布中に溶剤乾燥ゾーンにスチームを導入し、
その中(温度50〜100℃、相対湿度50〜100%
RH)を通過させる方法や、別に設けた加湿炉(温度5
0〜100℃、相対湿度50〜100%RH)の中を滞
留時間10〜60分で通過させる方法や、塗布後の溶剤
乾燥時に通過したスチームを導入した溶剤乾燥ゾーン
(温度50〜100℃、相対湿度50〜100%RH)
を滞留時間10〜60分で再度通過させる方法が考えら
れる。低温の場合には、単に水蒸気を含む容器内で処理
しても、また大気中で処理することもできる。水蒸気と
接触させる温度範囲は室温(約20℃)から基材の耐熱
温度までの範囲とすることができる。また、接触におけ
る湿度範囲は約0.1%RH〜100%RHとすること
ができる。
【0062】上記の水蒸気雰囲気への暴露処理によっ
て、ポリシラザン架橋体又はその変性物に含まれるSi
−N、Si−H、N−H結合等は消失し、Si−O結合
を主体とする強靱なセラミックス膜が形成される。尚、
このSiO2 膜はポリシラザン架橋体に由来するため窒
素を原子百分率で0.005〜5%含有する。この窒素
含有量が5%よりも多い場合には膜のセラミックス化が
不十分となり所期の効果(例えばガスバリヤ性や耐磨耗
性)が得られない。一方、窒素含有量を0.005%よ
りも少なくすることは困難である。
【0063】これらの方法によって1回の適用で得られ
るSiO2 膜の厚さは、好ましくは50Å〜5μm、よ
り好ましくは100Å〜2μmの範囲である。膜厚が5
μmよりも厚いと熱処理時に割れが入ることが多く、更
に可撓性が悪くなり、折り曲げなどによる割れや剥離も
生じ易くなる。反対に、膜厚が50Åよりも薄いと所期
の効果、例えば所望のガスバリヤ性や耐磨耗性が得られ
ない。この膜厚は、コーティング用組成物の濃度を変更
することによって制御することができる。すなわち、膜
厚を増加したい場合にはコーティング用組成物の固形分
濃度を高くする(溶剤濃度を低くする)ことができる。
また、コーティング用組成物を複数回適用することによ
って膜厚をさらに増加させることもできる。以下、本発
明を実施例によってさらに説明する。
【0064】
【実施例】参考例1 [ペルヒドロポリシラザンの合成] 内容1Lの四つ口フラスコにガス吹き込み管、メカニカ
ルスターラー、ジュワーコンデンサーを装着した。反応
器内部を脱酸素した乾燥窒素で置換した後、四つ口フラ
スコに脱気した乾燥ピリジンを490ml入れ、これを氷
冷した。次にジクロロシラン51.9gを加えると白色
固体状のアダクト(SiH2 C12 ・2C5 5 N)が
生成した。反応混合物を氷冷し、攪拌しながら水酸化ナ
トリウム管及び活性炭管を通して生成したアンモニア5
1.0gを吹き込んだ後、100℃で加熱した。反応終
了後、反応混合物を遠心分離し、乾燥ピリジンを用いて
洗浄した後、更に乾燥窒素雰囲気下で濾過して炉液85
0mlを得た。炉液5mlから溶媒を減圧除去すると樹脂状
固体ペルヒドロポリシラザン0.102gが得られた。
得られたポリマーの数平均分子量を、ポリスチレンを基
準とするGPC法により測定したところ、1120であ
った。IR(赤外吸収)スペクトル(溶媒:乾燥キシレ
ン;ペルヒドロポリシラザンの濃度:10.2g/l)
は、波数(cm-1)3380、および1180のN−Hに
基づく吸収:2160のSi−Hに基づく吸収:106
0〜800のSi−N−Siに基づく吸収を示した。I
Rスペクトルを図1に示す。
【0065】参考例2[ポリメチル(ヒドロ)シラザン
の合成] 内容積500mlの四つ口フラスコにガス吹き込み管、メ
カニカルスターラー、ジュワーコンデンサーを装着し
た。反応器内部を脱酸素した乾燥窒素で置換した後、四
つ口フラスコにメチルジクロロシラン(CH3 SiHC
2 ,24.3g,0.221モル)と乾燥ジクロロメ
タン300mlを入れた。反応混合物を氷冷し、攪拌しな
がら乾燥アンモニア20.5g(1.20モル)を窒素
ガスと共に吹き込んでアンモニア分解を行った。反応終
了後、反応混合物を遠心分離した後、濾過した。炉液か
ら溶媒を減圧除去し、ポリメチル(ヒドロ)シラザンを
無色の液体として8.79g得た。生成物の数平均分子
量を凝固点降下法で(溶媒:乾燥ベンゼン)により測定
したところ、310であった。内容積100mlの四つ口
フラスコにガス導入管、温度計、コンデンサーおよび滴
下ロートを装着し、反応系内をアルコンガスで置換し
た。四つ口フラスコにテトラヒドロフラン12mlおよび
水酸化カリウム0.189g(4.71モル)を入れ、
磁気攪拌を開始した。滴下ロートに上述のポリメチル
(ヒドロ)シラザン5.00gおよび乾燥テトラヒドロ
フラン50mlを入れ、これを水酸化カリウムに滴下し
た。室温で1時間反応させた後、滴下ロートにヨウ化メ
タン1.60g(11.3ミリモル)、および乾燥テト
ラヒドロフラン1mlを入れ、これを反応溶液に滴下し
た。室温で3時間反応させた後、反応混合物の溶媒を減
圧除去し、乾燥n−ヘキサン40mlを加えて遠心分離
し、濾過した。炉液の溶媒を減圧除去すると、ポリメチ
ル(ヒドロ)シラザンが白色粉末として4.85g得ら
れた。得られたポリマーの数平均分子量を、ポリスチレ
ンを基準とするGPC法により測定したところ1060
であった。IR(赤外吸収)スペクトル(溶媒:乾燥キ
シレン;ポリメチル(ヒドロ)シラザンの濃度:43.
2g/lは、波数(cm-1)3380、および1180の
N−Hに基づく吸収:2140のSi−Hに基づく吸
収:1260のSi−CH3 に基づく吸収:2950の
C−Hに基づく吸収を示した。IRスペクトルを図2に
示す。
【0066】比較例1 容量300mlのガラス製ビーカーに参考例1で合成した
ペルヒドロポリシラザン10gとキシレン90gを導入
して、スターラーでよく攪拌し、ポリシラザン溶液を調
製した。このポリシラザン溶液に純水0.5gをスター
ラーでよく攪拌しながら、ゆっくり約10分かけて滴下
した。反応は、発熱とガスの発生を伴って進行した。滴
下終了後、約30分間攪拌しながら、放置した。得られ
たポリシラザン架橋体の数平均分子量を、ポリスチレン
を基準とするGPC法により測定したところ、1500
であった。また、回転型粘度計を用いて、粘度を測定
(温度:20℃、溶媒:キシレン)したところ、2.5
cP(2.5×10-3Pa・s)であった。つづいて、こ
のポリシラザン架橋体をKBr板に塗布して、乾燥させ
た後、IR(赤外吸収)スペクトルを測定した。波数
(cm-1)3350、および1180のN−H、2170
のSi−H、1060〜800のSi−N−Siに帰属
されるペルヒドロポリシラザンの各吸収に加えて、波数
(cm-1)1100のSi−O−Siに帰属される吸収が
確認された。IRスペクトルを図3に示す。得られたポ
リシラザン架橋体(10重量%キシレン溶液)を室温、
大気雰囲気中で放置したところ、3日間でゲル化した。
【0067】実施例1 容量300mlのガラス製ビーカーに参考例1で合成した
ペルヒドロポリシラザン10gとキシレン80gを導入
した。これにトリエチルアミン10gを添加して、スタ
ーラーでよく攪拌し、ポリシラザン溶液を調製した。次
に、トリエチルアミン20gと純水0.5gをよく混合
して、容量50mlのガラス製ビューレットに注入した。
これを、上記のポリシラザン溶液にスターラーでよく攪
拌しながら、ゆっくり約10分かけて滴下した。反応
は、発熱とガスの発生を伴って進行した。滴下終了後、
約30分攪拌しながら、放置した。引き続き、ロータリ
ーエバポレーターを用いて、溶液中のトリエチルアミン
を留去し、10wt%のポリシラザン架橋体キシレン溶液
を得た。得られたポリシラザン架橋体の数平均分子量
を、ポリスチレンを基準とするGPC法により測定した
ところ、5000であった。また、回転型粘度計を用い
て粘度を測定(温度:20℃、溶媒:キシレン)したと
ころ、15.5cP(1.55×10-2Pa・s)であっ
た。つづいて、このポリシラザン架橋体をKBr板に塗
布して乾燥させた後、IR(赤外吸収)スペクトルを測
定した。波数(cm-1)3350、および1180のN−
H、2170のSi−H、1060〜800のSi−N
−Siに帰属されるペルヒドロポリシラザンの各吸収に
加えて、波数(cm-1)1100のSi−O−Siに帰属
される吸収が確認された。IRスペクトルを図4に示
す。得られたポリシラザン架橋体(10wt%キシレン溶
液)を室温、大気雰囲気中で20日間放置し、数平均分
子量を測定したところ、5800であった。
【0068】実施例2 容量300mlのガラス製ビーカーに参考例2で合成した
ポリメチル(ヒドロ)シラザン10gとキシレン80g
を導入した。これにトリエチルアミン10gを添加し
て、スターラーでよく攪拌し、ポリシラザン溶液を調製
した。次に、トリエチルアミン20gと純水0.5gを
よく混合して、容量50mlのガラス製ビューレットに注
入した。これを、上記のポリシラザン溶液にスターラー
でよく攪拌しながら、ゆっくり約10分かけて滴下し
た。反応は、発熱とガスの発生を伴って進行した。滴下
終了後、約30分間攪拌しながら、放置した。引き続
き、ロータリーエバポレーターを用いて、溶液中のトリ
エチルアミンを留去し、10wt%のポリシラザン架橋体
キシレン溶液を得た。得られたポリシラザン架橋体の数
平均分子量を、ポリスチレンを基準とするGPC法によ
り測定したところ、3500であった。また、回転型粘
度計を用いて粘度を測定(温度:20℃、溶媒:キシレ
ン)したところ、12.5cP(1.25×10-2Pa・
s)であった。つづいて、このポリシラザン架橋体をK
Br板に塗布して、乾燥させた後、IR(赤外吸収)ス
ペクトルを測定した。波数(cm -1)3360、および1
180のN−H、2170のSi−H、1060〜80
0のSi−N−Si、1260のSi−CH3,295
0のC−Hに帰属されるポリメチル(ヒドロ)シラザン
の各吸収に加えて、波数(cm-1)1100のSi−O−
Siに帰属される吸収が確認された。IRスペクトルを
図5に示す。得られたポリシラザン架橋体(10wt%キ
シレン溶液)を室温、大気雰囲気中で20日間放置し、
数平均分子量を測定したところ、3900であった。
【0069】実施例3 容量300mlのガラス製ビーカーに参考例1で合成した
ペルヒドロポリシラザン10gとキシレン80gを導入
した。これにブチルアミン10gを添加して、スターラ
ーでよく攪拌し、ポリシラザン溶液を調製した。次に、
ブチルアミン20gと純水0.5gをよく混合して、容
量50mlのガラス製ビューレットに注入した。これを、
上記のポリシラザン溶液にスターラーでよく攪拌しなが
ら、ゆっくり約10分かけて滴下した。反応は、発熱と
ガスの発生を伴って進行した。滴下終了後、約30分間
攪拌しながら、放置した。引き続き、ロータリーエバポ
レーターを用いて、溶液中のブチルアミンを留去し、1
0wt%のポリシラザン架橋体キシレン溶液を得た。得ら
れたポリシラザン架橋体の数平均分子量を、ポリスチレ
ンを基準とするGPC法により測定したところ、470
0であった。また、回転型粘度計を用いて粘度を測定
(温度:20℃、溶媒:キシレン)したところ、14.
5cP(1.45×10-2Pa・s)であった。つづい
て、このポリシラザン架橋体をKBr板に塗布して、乾
燥させた後、IR(赤外吸収)スペクトルを測定した。
波数(cm -1)3350、および1180のN−H、21
70のSi−H、1060〜800のSi−N−Siに
帰属されるペルヒドロポリシラザンの各吸収に加えて、
波数(cm-1)1100のSi−O−Siに帰属される吸
収が確認された。得られたポリシラザン架橋体(10wt
%キシレン溶液)を室温、大気雰囲気中で20日間放置
し、数平均分子量を測定したところ、5900であっ
た。
【0070】実施例4 容量300mlのガラス製ビーカーに参考例1で合成した
ペルヒドロポリシラザン10gとキシレン80gを導入
した。これにピリジン10gを添加して、スターラーで
よく攪拌し、ポリシラザン溶液を調製した。次に、ピリ
ジン20gと純水0.5gをよく混合して、容量50ml
のガラス製ビューレットに注入した。これを、上記のポ
リシラザン溶液にスターラーでよく攪拌しながら、ゆっ
くり約10分かけて滴下した。反応は、発熱とガスの発
生を伴って進行した。滴下終了後、約30分間攪拌しな
がら、放置した。引き続き、ロータリーエバポレーター
を用いて、溶液中のピリジンを留去し、10wt%のポリ
シラザン架橋体キシレン溶液を得た。得られたポリシラ
ザン架橋体の数平均分子量を、ポリスチレンを基準とす
るGPC法により測定したところ、3800であった。
また、回転型粘度計を用いて、粘度を測定(温度:20
℃、溶媒:キシレン)したところ、9.5cP(9.5×
10-3Pa・s)であった。つづいて、このポリシラザ
ン架橋体をKBr板に塗布して、乾燥させた後、IR
(赤外吸収)スペクトルを測定した。波数(cm-1)33
50、および1180のN−H、2170のSi−H、
1060〜800のSi−N−Siに帰属されるペルヒ
ドロポリシラザンの各吸収に加えて、波数(cm-1)11
00のSi−O−Siに帰属される吸収が確認された。
得られたポリシラザン架橋体(10wt%キシレン溶液)
を室温、大気雰囲気中で20日間放置し、数平均分子量
を測定したところ、4200であった。
【0071】実施例5 容量300mlのガラス製ビーカーに参考例1で合成した
ペルヒドロポリシラザン10gとキシレン80gを導入
した。これにトリエチルアミン10gを添加して、スタ
ーラーでよく攪拌し、ポリシラザン溶液を調製した。次
に、トリエチルアミン20gとエチレングリコール10
gをよく混合して、容量50mlのガラス製ビューレット
に注入した。これを、上記のポリシラザン溶液にスター
ラーでよく攪拌しながら、ゆっくり約10分かけて滴下
した。反応は、発熱とガスの発生を伴って進行した。滴
下終了後、約30分間攪拌しながら、放置した。引き続
き、ロータリーエバポレーターを用いて、溶液中のトリ
エチルアミンを留去し、10wt%のポリシラザン架橋体
キシレン溶液を得た。得られたポリシラザン架橋体の数
平均分子量を、ポリスチレンを基準とするGPC法によ
り測定したところ、3200であった。また、回転型粘
度計を用いて、粘度を測定(温度:20℃、溶媒:キシ
レン)したところ、6.5cP(6.5×10-3Pa・
s)であった。つづいて、このポリシラザン架橋体をK
Br板に塗布して、乾燥させた後、IR(赤外吸収)ス
ペクトルを測定した。波数(cm-1)3350、および1
180のN−H、2170のSi−H、1060〜80
0のSi−N−Siに帰属されるペルヒドロポリシラザ
ンの各吸収に加えて、波数(cm-1)1100のSi−O
−Si、2950のC−Hに帰属される吸収が確認され
た。IRスペクトルを図6に示す。得られたポリシラザ
ン架橋体(10wt%キシレン溶液)を室温、大気雰囲気
中で20日間放置し、数平均分子量を測定したところ、
4000であった。
【0072】実施例6 容量300mlのガラス製ビーカーに参考例1で合成した
ペルヒドロポリシラザン10gとキシレン80gを導入
した。これにトリエチルアミン10gを添加して、スタ
ーラーでよく攪拌し、ポリシラザン溶液を調製した。次
に、トリエチルアミン20gとヒドロキノン1.0gを
よく混合して、容量50mlのガラス製ビューレットに注
入した。これを、上記のポリシラザン溶液にスターラー
でよく攪拌しながら、ゆっくり約10分かけて滴下し
た。反応は、発熱とガスの発生を伴って進行した。滴下
終了後、約30分間攪拌しながら、放置した。引き続
き、ロータリーエバポレーターを用いて、溶液中のトリ
エチルアミンを留去し、10wt%のポリシラザン架橋体
キシレン溶液を得た。得られたポリシラザン架橋体の数
平均分子量を、ポリスチレンを基準とするGPC法によ
り測定したところ、3100であった。また、回転型粘
度計を用いて、粘度を測定(温度:20℃、溶媒:キシ
レン)したところ、7.5cP(7.5×10-3Pa・
s)であった。つづいて、このポリシラザン架橋体をK
Br板に塗布して、乾燥させた後、IR(赤外吸収)ス
ペクトルを測定した。波数(cm-1)3350、および1
180のN−H、2170のSi−H、1060〜80
0のSi−N−Siに帰属されるペルヒドロポリシラザ
ンの各吸収に加えて、波数(cm-1)1100のSi−O
−Si、1500のC=C(ベンゼン環)に帰属される
吸収が確認された。IRスペクトルを図7に示す。得ら
れたポリシラザン架橋体(10wt%キシレン溶液)を室
温、大気雰囲気中で20日間放置し、数平均分子量を測
定したところ、3600であった。
【図面の簡単な説明】
【図1】参考例1で得られたペルヒドロポリシラザンの
赤外吸収スペクトルを示す。
【図2】参考例2で得られたポリメチル(ヒドロ)シラ
ザンの赤外吸収スペクトルを示す。
【図3】比較例1で得られたポリシラザン架橋体の赤外
吸収スペクトルを示す。
【図4】実施例1で得られたポリシラザン架橋体の赤外
吸収スペクトルを示す。
【図5】実施例2で得られたポリシラザン架橋体の赤外
吸収スペクトルを示す。
【図6】実施例5で得られたポリシラザン架橋体の赤外
吸収スペクトルを示す。
【図7】実施例6で得られたポリシラザン架橋体の赤外
吸収スペクトルを示す。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 主として下記一般式(I): 【化1】 (上式中、R1 、R2 、R3 はそれぞれ独立に水素原
    子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、ア
    リール基、またはこれらの基以外で珪素に直結する基が
    炭素である基、アルキルシリル基、アルキルアミノ基、
    アルコキシ基を表すが、但し、R1 とR2 のいずれか一
    方は水素原子である)で表される骨格を有する数平均分
    子量が100〜50000のポリシラザンを、水又はO
    H基を2個以上含む化合物と塩基性溶媒中で反応させて
    得られる、主鎖が実質的にSi−N結合から成り、ゲル
    透過クロマトグラフィーによるポリスチレン換算数平均
    分子量が500〜100,000であり、架橋指数が
    1.01〜5.0であり且つ酸素含有率が0.01〜5
    0重量%であることを特徴とする分子間架橋されたポリ
    シラザン。
  2. 【請求項2】 主として下記一般式(I): 【化2】 (上式中、R1 、R2 、R3 はそれぞれ独立に水素原
    子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、ア
    リール基、またはこれらの基以外で珪素に直結する基が
    炭素である基、アルキルシリル基、アルキルアミノ基、
    アルコキシ基を表すが、但し、R1 とR2 のいずれか一
    方は水素原子である)で表される骨格を有する数平均分
    子量が100〜50000のポリシラザンを、水又はO
    H基を2個以上含む化合物と塩基性溶媒中で反応させて
    得られる、主鎖が実質的にSi−N結合から成り、ゲル
    透過クロマトグラフィーによるポリスチレン換算数平均
    分子量が500〜100,000であり、架橋指数が
    1.01〜5.0であり且つ酸素含有率が0.01〜5
    0重量%である分子間架橋されたポリシラザン及び溶剤
    を含むことを特徴とする塗布組成物。
  3. 【請求項3】 主として下記一般式(I): 【化3】 (上式中、R1 、R2 、R3 はそれぞれ独立に水素原
    子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、ア
    リール基、またはこれらの基以外で珪素に直結する基が
    炭素である基、アルキルシリル基、アルキルアミノ基、
    アルコキシ基を表すが、但し、R1 とR2 のいずれか一
    方は水素原子である)で表される骨格を有する数平均分
    子量が100〜50000のポリシラザンを、水又はO
    H基を2個以上含む化合物と塩基性溶媒中で反応させる
    ことを特徴とする、主鎖が実質的にSi−N結合から成
    り、ゲル透過クロマトグラフィーによるポリスチレン換
    算数平均分子量が500〜100,000であり、架橋
    指数が1.01〜5.0であり且つ酸素含有率が0.0
    1〜50重量%である分子間架橋されたポリシラザンの
    製造方法。
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