JPH09292454A - ビーコン受信装置 - Google Patents

ビーコン受信装置

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JPH09292454A
JPH09292454A JP10661796A JP10661796A JPH09292454A JP H09292454 A JPH09292454 A JP H09292454A JP 10661796 A JP10661796 A JP 10661796A JP 10661796 A JP10661796 A JP 10661796A JP H09292454 A JPH09292454 A JP H09292454A
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JP10661796A
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Keiji Hikosou
桂二 彦惣
Akikatsu Fujiwara
章功 藤原
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Sharp Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 車両に装備されAM変調成分に半周期の位相
差がある2つのFM−AM複合変調波を受信し、FM変
調成分とAM変調成分の位相関係を正しく検出し、送信
源の脇を通過した時期を正確かつ速やかに判定する受信
装置を提供する。 【解決手段】 FM復調信号をフレーム同期してデータ
フレームを検出し、その検出に同期させて基準クロック
信号を生成する。このクロック信号をAM復調信号のレ
ベルに応じて計数し、所定値と比較することで両変調成
分の位相関係を検出する。データフレーム中のデータに
対しこれに付加されたCRCコードに基づく誤り検出を
行って、誤りがあったときは位相関係を不定とする。位
相関係が反転したときは直ちに送信源脇を通過したと判
定する。AM変調の倍周波数のクロック信号によりAM
変調の半周期ごとに位相比較してもよい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、道路に沿って設置
されたビーコン送信機から送信されるビーコン信号を受
信する車載用のビーコン受信装置に関するものであり、
より詳しくは、ビーコン信号の位相反転の検出に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】従来のナビゲーションシステムには、車
両に搭載した方位センサーによって車両の進行方向を検
出し、これに走行距離を組み合わせることにより、出発
位置からの相対的な車両位置を検知する方式のものがあ
る。しかし、この方式では、検出方位に誤差があるため
走行位置を精度よく検知することができず、しかも長時
間あるいは長距離の走行では、誤差が蓄積されて検知し
た走行位置が一層不正確になるという問題があった。
【0003】そこで、現在、路上を走行する車両に交通
情報を提供する道路交通情報通信システム(VICS)
の一環として、走行位置に関する情報も提供し得る路側
ビーコンシステムの開発が進められている。このVIC
S路側ビーコンシステムでは、道路に沿って間欠的に設
置された路上局からビーコン信号を送信し、各車両に搭
載された受信機でビーコン信号を受信することで、交通
情報の送受が行われる。
【0004】送信される情報には、道路の混雑状況や交
通規制等の各車両に共通する一般情報に加えて、各車両
がその走行位置および進行方向を検出するための情報が
含まれる。車両運転者は、後者の情報からその時点にお
ける自身の存在位置と進みつつある方向を検知すること
ができ、これと前者の一般情報を考慮して、目的地まで
の合理的な経路を選定することができる。また、前述の
ナビゲーションシステムと組み合わせて使用するとき
は、ビーコン信号から検知した自身の位置によって、そ
れまでの走行で蓄積された誤差を除去することができ
る。
【0005】ビーコン信号はFM変調とAM変調の複合
変調波として送信される。一般情報はFM変調信号に担
持され、位置および方向検出用の情報はAM変調信号に
担持される。FM変調により送信されるデータフレーム
は、一般情報の前に32ビットの同期ビットパターンで
始まる一定長のプリアンブル部を付加した形式であり、
データフレーム長は128バイトである。
【0006】データフレームの構成を図8に模式的に示
す。4バイトの同期ビットパターンに続いてプリアンブ
ル部の残りの部分を含む122バイトのデータ部があ
り、データ部に対する巡回冗長符号(cyclic redundanc
y code、以下CRCという)が末尾に2バイト付加され
ている。データフレームは同期ビットパターンを除く1
24バイトにスクランブルを施して送信される。なお、
データの搬送速度は64kbpsであり、データフレー
ムとデータフレームの間には一定の単純なビットパター
ンが送信される。
【0007】ビーコン信号を送信する路上局の概略構成
を図9に示す。路上局70は、ビーコン搬送波を発振す
る搬送波発振回路71、搬送波をFM変調するFM変調
回路72、クロック信号を発生するクロック回路73、
クロック信号の位相を180゜反転する移相回路74、
FM変調された搬送波をクロック信号によってAM変調
する2つのAM変調回路75、76および送信用アンテ
ナとして2基のエレメント77、78を備えている。
【0008】搬送波発振回路71は周波数2499.7
MHzのビーコン搬送波を発振しFM変調回路72に与
える。FM変調回路72は、スクランブル後のデータフ
レームの各ビットの値に応じてビーコン搬送波をFM変
調する。ここでのFM変調には、振幅を一定に保ったま
ま周波数を狭い帯域(85kHz)に制限するために、
GMSK(Gaussian filtered minimum shift keying)
が採用されている。
【0009】クロック回路73は、周波数が1kHzで
高レベル(Hレベル)と低レベル(Lレベル)の期間が
等しいクロック信号を、データフレームに同期して発生
する。このクロック信号は、具体的には、Hレベルの先
頭すなわちLレベルからHレベルへの遷移がデータフレ
ームの先頭に同期する。クロック回路73のクロック信
号は、一方のAM変調回路75と、移相回路74に与え
られる。移相回路74はクロック信号の位相を180゜
ずらした後、他方のAM変調回路76に与える。移相回
路74によって移相されたクロック信号は、Lレベルの
先頭すなわちHレベルからLレベルへの遷移がデータフ
レームの先頭に同期することになる。
【0010】AM変調回路75は、FM変調回路72か
らのFM変調波とクロック回路73からのクロック信号
とを与えられて、FM変調波をクロック信号によってA
M変調する。すなわちFM変調波にクロック信号を重畳
してFM−AM複合変調波を生成する。AM変調回路7
6は、FM変調回路72からのFM変調波と移相回路7
4からのクロック信号とを与えられて、FM変調波を移
相後のクロック信号によってAM変調し、FM−AM複
合変調波を生成する。
【0011】これらのFM−AM複合変調波の、FM変
調成分とAM変調成分の同期の関係を図8および図10
に示す。図10において、(a)はAM変調回路75に
よって生成された複合変調波を、(b)はAM変調回路
76によって生成された複合変調波を示している。複合
変調波のFM変調成分はAM変調回路75の出力とAM
変調回路76の出力とで同位相である。AM変調成分は
FM変調成分に同期しているが、AM変調回路75の複
合変調波とAM変調回路76の複合変調波とで逆位相の
関係になる。したがって、FM変調成分とAM変調成分
は、AM変調回路75の複合変調波では同相になり、A
M変調回路76の複合変調波では逆相になっている。
【0012】AM変調回路75の複合変調波は図9のア
ンテナエレメント77から送出され、AM変調回路76
の複合変調波はアンテナエレメント78から送出され
る。これらのアンテナエレメント77、78は、道路に
沿う方向で、かつ互いに対して僅かに反対側を向くよう
に設置されている。また、アンテナエレメント77、7
8は数mの高さの位置に道路を見おろすように設けられ
ており、車両の進行方向に沿う道路上の長いエリアでビ
ーコン信号を受信することが可能になっている。
【0013】図11に、路上局70から送信されるビー
コン信号のFM変調成分とAM変調成分の路上における
位相関係を示す。ビーコン信号は、道路に沿う方向に関
して路上局70を中心として位相が逆転する。一方の車
線L1を走行する車両は、路上局70に近づく時に同相
のビーコン信号を受信し、路上局70から離れる時に逆
相のビーコン信号を受信することになり、対向車線L2
を走行する車両は、路上局70に近づく時に逆相のビー
コン信号を、路上局70から離れる時に同相のビーコン
信号を受信することになる。2つの走行方向のうち、路
上局70に近づくときに同相となり、路上局70から離
れるときに逆相となる方向を主方向と呼ぶ。図11にお
いては、車線L1の走行方向が主方向である。
【0014】ビーコン信号を受信した車両は、受信して
いるビーコン信号のFM変調成分とAM変調成分の位相
関係が反転することにより、路上局70の脇を通過した
ことを検出し、路上局70との位置関係を厳密に知るこ
とができる。また、位相関係の変化の方向、すなわち同
相から逆相に変化したかあるいは逆相から同相に変化し
たかによって、2方向のうちどちらの方向に向かって走
行しているかを知ることができる。FM変調によって送
信される一般情報には、その路上局70の設置場所に関
する情報とともに、位相の変化の方向と方位の関係を示
す情報とが含まれており、これらの情報と検出した位相
変化によって、車両運転者は自身の絶対的な位置と進行
方向を知ることが可能になっている。
【0015】路上局から送信されるFM−AM複合変調
波は路上局から遠くなるにつれて減弱していく。したが
って、車両に搭載されたビーコン受信機の受信強度は、
車両の走行とともに変動する。FM−AM複合変調波の
受信強度は、車両が路上局に近づくにつれて増強し、路
上局脇を通過後、路上局から遠ざかるにつれて減弱す
る。図12に、路上局からの距離と受信強度の関係を模
式的に示す。図12において、横軸は路上局70からの
距離を表し、Oの点が図11の道路を横断している点線
O上の位置に対応する。LFMはFM変調成分の強度を表
し、LAMはAM変調成分の強度を表す。
【0016】路上局70の2つのアンテナエレメント7
7、78から送出されるFM変調成分は同一であり同期
しているため、その強度は位置Oで最強となり、路上局
70からの距離が大きくなるにつれて徐々に減弱する。
これに対し、AM変調成分の強度は位置O近傍で急激に
変化する。路上局70のアンテナエレメント77、78
から送出される1kHzのAM変調成分は、位相が互い
に180゜ずれているため、2つのアンテナエレメント
77、78から等距離にある位置では相殺されて、強度
が極めて低下する。AM変調成分の強度は、アンテナエ
レメント77、78からの距離差が増大するにつれて増
大するが、路上局70からの距離が大きくなるにつれて
徐々に減少する。このため、AM変調成分の強度はLAM
で示したような分布となる。
【0017】ビーコン信号を受信する装置の概略構成を
図13に示す。アンテナ1で受信された信号は、電力増
幅部2で増幅され、周波数変換部3により中間周波数
(IF)に変換される。この中間周波数信号は、リミッ
タ増幅部4に入力される。リミッタ増幅部4は、FM復
調のために、入力信号を増幅し振幅を揃えて出力すると
ともに、AM復調のために、入力信号の強度を表すRS
SI(received signalstrength indicator)信号を出
力する。
【0018】増幅され振幅を揃えられた信号はFM復調
部5に入力されてGMSK復調される。FM復調信号は
データ処理部6に入力され、ここで同期ビットパターン
検出によるフレーム同期、デスクランブル、CRC誤り
検出が行われる。データ処理部6は復元されたデータを
図外のデータ処理装置に与えるとともに、同期ビットパ
ターン検出時にタイミング信号を基準クロック生成部7
に出力する。
【0019】基準クロック生成部7は、ループ構造によ
って所定周波数の信号を生成するように構成されてお
り、AM復調信号の位相判定のために、入力されたタイ
ミング信号に基づいて1kHzの方形波である基準クロ
ック信号を出力する。この基準クロック信号の位相はデ
ータフレームの先頭に対し270゜遅れる関係に設定さ
れている。
【0020】リミッタ増幅部4からのRSSI信号は電
界検出部8に入力される。電界検出部8は、RSSI信
号をそのままAM復調部9に与えるとともに、RSSI
信号より受信波の電界強度を求めて、その強度を表す電
圧を電界強度比較部10に出力する。電界強度比較部1
0は、電界検出部8の出力電圧を所定の基準電圧V1と
比較して、その大小関係を表す信号を出力する。具体的
には、電界検出部8の出力電圧が基準電圧V1以上のと
きにHレベルの信号を、そうでないときにLレベルの信
号を出力する。
【0021】AM復調部9は、入力されたRSSI信号
に基づきAM復調を行う。VICS路側ビーコンシステ
ムのAM変調は高低2レベルでの変調であるから、ここ
での復調も単に2レベルの復元を行うことになる。具体
的には、バンドパスフィルタ(BPF)によってRSS
I信号から1kHz成分を抽出し、抽出した1kHz成
分の電圧をコンパレータで所定値と比較して、Hレベル
とLレベルの判別を行う。AM復調された信号は位相判
定部11に出力される。
【0022】位相判定部11は、AM復調信号の位相を
前述の基準クロック信号の位相と比較して、AM変調成
分とFM変調成分とが同相であったか否かを判定する。
このとき、電界強度比較部10の出力信号を参照する。
【0023】位相判定部11の構成を図14に示す。A
M復調信号と基準クロック信号はそれぞれカウンタ22
のイネイブル端子とクロック入力端子に入力される。前
述のように、基準クロック信号の位相はデータフレーム
の先頭に対して270゜遅れている。このため、基準ク
ロック信号はAM変調成分のHレベル期間の中点または
Lレベル期間の中点でLレベルからHレベルに遷移す
る。
【0024】AM変調成分とFM変調成分が同相の場
合、基準クロック信号はAM変調成分よりも270゜遅
れるため、基準クロック信号がLレベルからHレベルに
立ち上がるときには、イネイブル端子には常にLレベル
が入力されていることになる。このとき、カウンタ22
はディスエイブル状態になって、基準クロック信号の立
ち上がりがあっても計数しない。
【0025】AM変調成分とFM変調成分が逆相の場
合、基準クロック信号はAM変調成分よりも90゜遅れ
るため、基準クロック信号がLレベルからHレベルに立
ち上がるときには、イネイブル端子には常にHレベルが
入力されていることになる。このとき、カウンタ22は
基準クロック信号の立ち上がりに応じて計数する。計数
値はビット数kのパラレル信号として2つの比較部2
5、26に常時出力される。
【0026】基準クロック信号はカウンタ23のクロッ
ク入力端子にも入力される。このカウンタ23は、イネ
イブル端子にHレベルを常時与えられており、基準クロ
ック信号がLレベルからHレベルに立ち上がる度に計数
する。カウンタ23は所定数nを計数する毎に、AM変
調成分とFM変調成分の位相の比較を指示するHレベル
のパルスを出力する。基準クロック信号の周波数は1k
Hzであるから、位相比較はnミリ秒毎に行われること
になる。カウンタ23の出力はカウンタ22のリセット
端子に与えられており、カウンタ23のパルス出力によ
りカウンタ22の計数値は0にリセットされる。カウン
タ23の出力は比較部25、26のクロック入力端子に
も与えられる。
【0027】基準クロック信号は、さらに、カウンタ2
4にも入力される。このカウンタ24は、イネイブル端
子に電界強度比較部10の出力信号が入力されており、
電界強度比較部10の出力信号がHレベルのときはイネ
イブル状態になって、基準クロック信号の立ち上がりを
計数する。電界強度比較部10の出力信号がLレベルの
ときはディスエイブル状態になって、基準クロック信号
の立ち上がりを計数しない。カウンタ24は計数値が上
記所定値nに達すると、Hレベルのパルスを出力するよ
うに設定されている。カウンタ24はリセット端子にカ
ウンタ23の出力を与えられており、その計数値はカウ
ンタ23のパルス出力によって0にリセットされる。
【0028】比較部25、26はコンパレータから成
り、それぞれ第1および第2の入力端子の値を比較し
て、第1の入力端子の値が第2の入力端子の値よりも大
きいときにHレベルの信号を、第1の入力端子の値が第
2の入力端子の値よりも小さいときにLレベルの信号を
出力する。比較部25の第1の入力端子には所定の第1
の基準値TH1が与えられており、第2の入力端子には
カウンタ22の出力が与えられる。比較部26の第1の
入力端子にはカウンタ22の出力が与えられ、第2の入
力端子には第1の基準値TH1よりも大きい第2の基準
値TH2が与えられている。比較部25、26は、カウ
ンタ23からHレベルパルスを与えられたときに、比較
結果を出力する。
【0029】比較部25、26の出力はORゲート28
に与えられて論理和信号とされる。比較部25、26に
おける入力端子および基準値の上記設定により、カウン
タ22の計数値が第1の基準値TH1よりも小さいとき
または第2の基準値TH2よりも大きいときに、ORゲ
ート28の出力信号はHレベルとなり、カウンタ22の
計数値が第1の基準値TH1よりも大きく第2の基準値
TH2よりも小さいときに、ORゲート28の出力信号
はLレベルとなる。ORゲート28の出力はANDゲー
ト29に入力される。
【0030】カウンタ24の出力はDフリップフロップ
回路より成るラッチ部27に与えられる。ラッチ部27
は、クロック入力端子にカウンタ23の出力信号が入力
され、ここにHレベルのパルスが入力されたときに、カ
ウンタ24から与えられている信号を出力する。ラッチ
部27の出力はANDゲート29に入力される。
【0031】ANDゲート29は、ORゲート28から
の入力とラッチ部27からの入力の論理積を求め、両出
力がともにHレベルのときにHレベルの信号を出力す
る。入力信号のうち一方でもLレベルのときには、Lレ
ベルの信号を出力する。
【0032】上記構成の位相判定部11は、基準クロッ
ク信号をカウンタ23により常時計数し、そのn周期す
なわちnミリ秒を1周期として位相比較を行うものであ
る。位相判定のための動作は次のとおりである。
【0033】カウンタ22によって基準クロック信号の
立ち上がりを検出して計数し、位相比較の1周期の期間
中の計数値COUTが所定範囲TH1〜TH2内にあるか
否かを2つの比較部25、26およびORゲート28に
よって判定する。これと並行して、カウンタ24および
ラッチ部27によって、電界強度比較部10の出力を監
視し、位相比較の1周期の期間中1度でも受信電界強度
が所定値V1未満になったか否かを判定する。これらの
判定結果をANDゲート29によってまとめて、第1の
信号P1として出力する。また、計数値が上記所定範囲
TH1〜TH2外のときの補助情報として、比較部25
の比較結果を第2の信号P0として出力する。
【0034】位相判定部11の出力信号P1、P0は、
1周期の計数値COUTと基準値TH1、TH2との関係
により、次の3つの状態となる。 (1) COUT<TH1 : P1=H、P0=H (2) COUT>TH2 : P1=H、P0=L (3) TH1<COUT<TH2 : P1=L、P0=L
【0035】ここで、(1)は、基準クロック信号の立
ち上がりがAM復調信号のLレベルの期間に多発したこ
とを意味し、データフレームの先頭にAM変調成分の立
ち上がりが同期していること、すなわちFM変調成分と
AM変調成分が同相であることを表す。(2)は、基準
クロック信号の立ち上がりがAM復調信号のHレベルの
期間に多発したことを意味し、FM変調成分とAM変調
成分が逆相であることを表す。したがって、(1)また
は(2)の状態になったとき、換言すれば信号P1がH
レベルのとき、FM変調成分とAM変調成分の位相関係
を明確に判定することができる。
【0036】(3)は、基準クロック信号の立ち上がり
が、AM復調信号のHレベルの期間に発生するとともに
Lレベルの期間にも発生したことを意味し、FM変調成
分とAM変調成分の位相関係を明瞭に表すものではな
い。受信電界強度が1周期中に1度でも所定値V1未満
になったときは、計数値COUTの大小に関わらず出力信
号P1が(3)と同様にLレベルになる。信号P1がL
レベルのとき、FM変調成分とAM変調成分の位相関係
は「不定」であると判定することになる。
【0037】位相判定部11の2つの出力信号P1およ
びP0は、図13の直下判定部12に入力される。直下
判定部12は、これらの信号に基づいて、路上局70の
脇すなわち図11のアンテナ直下を含む点線O上を通過
したか否かを判定する。具体的には、信号P1、P0の
レベルを監視し続け、信号P1がHレベルで信号P0が
Hレベルの上記(1)の状態と、信号P1がHレベルで
信号P0がLレベルの(2)の状態との間での変化を検
出することにより、直下通過の判定を行う。
【0038】ところで、図12に示したように路上局近
傍ではAM変調成分強度LAMは微弱になっているから、
AM復調信号が不正確になる。このため、FM変調成分
とAM変調成分が同相の(1)から逆相の(2)への変
化と、逆相の(2)から同相の(1)への変化とが繰り
返し検出される事態が生じる。
【0039】このような事態が生じたときでも直下通過
時期を判定するために、直下判定部12は図15に示し
たアルゴリズムに従って動作する。まず、位相判定結果
が所定回数連続して同じになったことを確認して、初期
の位相関係を確定する。次いで、初期の位相関係と逆の
位相判定結果が所定回数連続して得られたことを確認し
て、この時点を直下通過時と判定する。
【0040】直下判定部12は、こうして検出した直下
通過時に、位相関係が同相から逆相に変化したか、ある
いは逆相から同相に変化したかを表す信号を、データ処
理装置に出力する。
【0041】データ処理装置は、直下判定部12から与
えられる上記信号と、前述のデータ処理部6から与えら
れるFM変調信号に担持されていたデータとから、車両
の位置および走行方向を特定する。
【0042】
【発明が解決しようとする課題】上記のビーコン受信装
置では、同期ビットパターンを検出することによりデー
タフレームを検出し、検出したデータフレームの先頭に
対して所定の位相差を有する基準クロック信号を生成す
る。ところが、送信される一般データの中に同期ビット
パターンと同一のビットパターンが含まれていたときに
は、データフレームを正しく検出できなくなる。この場
合、データーフレームの先頭に対する基準クロック信号
の位相差が所定値からずれてしまい、位相判定を正しく
行うことができなくなる。その結果、直下判定も正しく
できなくなって、車両の位置を正確に知ることができな
くなる。また、誤った位相判定結果は、車両の走行方向
に関して正反対の情報を与えるという、極めて有害な問
題をもたらす。
【0043】さらに、FM変調成分とAM変調成分の位
相関係の変化に基づいて路上局脇通過の判定を行うに際
し、位相関係の反転前においても反転後においても同一
の位相関係が何回か連続して検出されたときに初めて位
相関係を確定するため、処理が複雑になる上、判定が遅
れることになる。しかも、例えば車両が低速で走行して
いる場合等、判定後にも位相関係が繰り返し反転するこ
ともあり、確実な判定を行うためには、非常に複雑な処
理が必要になる。
【0044】また、フェージング等により受信波に急激
なレベル変動があったとき、AM復調を正しくできなく
なって、位相の検出も正しくできなくなるという問題も
ある。正常時およびフェージング発生時のAM復調に関
する信号をそれぞれ図16および図17に模式的に示
す。これらの図において、(a)はRSSI信号、
(b)はAM復調部のバンドパスフィルタ出力、(c)
は(b)のバンドパスフィルタ出力を一定値と比較した
AM復調部のコンパレータの出力である。
【0045】図16に示したように、正常時は、RSS
I信号はAM変調の振幅に応じた略一定の高低2レベル
となり、バンドパスフィルタ出力も略一定レベルの正弦
波となり、コンパレータ出力はRSSI信号の波形に対
応した2レベルとなる。一方、フェージング発生時は、
図17に示したように、RSSI信号のレベルが歪み、
これに応じてバンドパスフィルタ出力のレベルにも歪み
が生じる。その結果、コンパレータ出力の本来はレベル
変化が現れるはずの部位が一定レベルとなる。例えば、
図17(c)において点t1で位相判定のための比較を
行えば、その比較結果は誤ったものとなる。この場合、
位相判定部は基準クロック信号の立ち上がりの計数を誤
ることになって、位相判定を正しく行うことができなく
なる。
【0046】本発明は、車両に装備されAM変調成分に
半周期の位相差がある2つのFM−AM複合変調波を受
信し、FM変調成分とAM変調成分の位相関係を正しく
検出し、車両が複合変調波の送信源の脇を通過した時期
を正確かつ速やかに判定する受信装置を提供することを
目的とする。
【0047】
【課題を解決するための手段】本発明では、複数のデー
タフレームを担持する周波数変調波に半周期の位相差の
ある2つの振幅変調用の周波をデータフレームに同期し
て重畳した、異なる方向に同時に送信される2つの複合
変調波を受信し、受信した複合変調波を周波数復調して
データフレームを検出し、検出したデータフレームに対
する振幅変調の位相を検出して、検出した位相の変化か
ら前記複合変調波の送信源の近傍を通過した時期を判定
する車両装備用の受信装置を対象とする。
【0048】2つの複合変調波の周波数変調成分は同一
であり、振幅変調成分は互いに半周期ずれている。2つ
の複合変調波は異なる方向に向けて送信されるが、2つ
の複合変調波が重なる領域では振幅変調成分が打ち消し
合って、データフレームに対する振幅変調の位相として
は、強度の強い方のものが現れる。受信装置が検出する
データフレームに対する振幅変調の位相は、受信装置の
位置すなわちこれを装備した車両の位置によって異な
り、車両が送信源の近傍を通過するときに反転する。し
たがって、この位相の変化を検出することで送信源の近
傍を通過した時期を判定することができる。
【0049】前記目的を達成するために、本発明では、
送信されるデータフレームが巡回冗長符号を付加したデ
ータを含んだものであるとき、検出したデータフレーム
毎に巡回冗長符号に基づく誤り検出を行い、誤りがあっ
たときにそのデータフレームに対する振幅変調の位相を
前記判定に用いない受信装置とする。
【0050】巡回冗長符号はデータの欠落や変化の有無
を判定するために付加されるものであり、データフレー
ム内の所定位置に記される。受信装置は受信した複合変
調波を周波数復調してデータフレームを検出し、検出し
たデータフレームの所定位置を参照してそこに記されて
いるはずの巡回冗長符号に基づく誤り検出を行う。デー
タフレームを正しく検出していたときには、受信前に誤
りがあった場合を除き、誤りは検出されない。このとき
は、そのデータフレームに対する振幅変調の位相を送信
源近傍通過時期の判定に用いる。
【0051】データフレームを正しく検出できず送信さ
れたデータフレームと異なる位置をデータフレームとし
たときには、参照した位置には巡回冗長符号以外のもの
が記されており、復調されたデータも送信時のものと異
なっているため、巡回冗長符号に基づく誤り検出は誤り
ありという結果になる。一方、データフレームと異なる
位置をデータフレームとしたとき、データフレームに対
する振幅変調の位相は、同期した本来の関係からずれた
ものが検出される。このずれた位相を用いて送信源近傍
通過時期の判定を行えば誤りが生じることになるが、巡
回冗長符号に基づく誤り検出で誤りがあったときには検
出した位相を判定に用いないので、判定に誤りが生じな
い。
【0052】受信前に誤りがあったデータフレームを正
しく検出したときも、そのデータフレームに対する振幅
変調の位相を送信源近傍通過時期の判定に用いないこと
になるが、正しい判定結果を得るのに何等支障はない。
【0053】本願発明では、また、前記受信装置を、デ
ータフレームに対する振幅変調の位相が最初に変化した
ときに送信源の近傍を通過したと判定し、その後の振幅
変調の位相の変化を送信源近傍通過時期の判定に用いな
いものとする。
【0054】データフレームに対する振幅変調の位相が
反転する送信源近傍では、2つの複合変調波の振幅変調
成分は、半周期の位相差により互いに打ち消しあって微
弱になるため、検出した位相は不確かなものとなる。そ
れ故、車両が送信源近傍を通過するときに、検出した位
相が複数回反転することがある。このうち最初に位相変
化したときに送信源近傍を通過したと判定することで、
速やかな判定がなされる。その後の位相の変化は判定に
利用する必要がない。
【0055】前記受信装置を、データフレームに対する
振幅変調の位相の検出を振幅変調用の周波の半周期毎に
行うものとしてもよい。
【0056】フェージング等により受信強度が急激に変
動し、振幅復調がその変動に追従できない場合、データ
フレームに対する振幅変調の位相として、真の位相と半
周期ずれた偽の位相とが半周期毎に交互に現れる。振幅
変調用周波の1周期よりも長い間隔で振幅変調の位相を
検出すると、真と偽の位相が交互に現れていることを検
知できないが、振幅変調用周波の半周期毎に位相検出を
行うことで真と偽の位相が交互に現れていることの検知
が可能になる。したがって、偽の位相に基づく送信源近
傍通過時期の誤った判定が回避される。また、偽の位相
を反転させて真の位相とし、送信源近傍通過時期の判定
に用いることもできる。
【0057】送信されるデータフレームが同期ビットパ
ターンを付加したデータを含んだものであるとき、本発
明では前記受信装置を、同期ビットパターンを最初に検
出することによってデータフレームを検出し、一旦デー
タフレームを検出した後はそのデータフレームについて
同期ビットパターンの検出を行わないものとする。
【0058】同期ビットパターンはその目的から、一般
にデータよりも前の所定位置、特に先頭部に記される。
同期ビットパターンと同一のビットパターンがデータに
含まれており、これを検出したときには、真のデータフ
レームと異なる位置をデータフレームとすることにな
る。このとき、データフレームに対する振幅変調の位相
として、同期した本来の関係からずれたものが検出され
る。このずれた位相を用いて送信源近傍通過時期の判定
を行えば誤りが生じる。
【0059】しかしながら、最初に検出した同期ビット
パターンによってデータフレームを検出し、その後はそ
のデータフレームについて同期ビットパターンの検出を
行わないことで、同期ビットパターンと同一のビットパ
ターンがデータに含まれていた場合でも、データフレー
ムの位置を誤って検出することが防止される。したがっ
て、データフレームに対する振幅変調の正しい位相が検
出され、送信源近傍通過時期が誤りなく判定される。
【0060】
【発明の実施の形態】本発明の受信装置の第1の実施形
態の概略構成を図1に示す。この受信装置は、路上局よ
り送信されたビーコン信号波をアンテナ101で受信
し、電力増幅部102で増幅し、周波数変換部103で
中間周波数に変換して、リミッタ増幅部104に与え
る。リミッタ増幅部104は、FM復調のために、入力
信号を増幅し振幅を揃えて出力するとともに、AM復調
のために、入力信号の強度を表すRSSI信号を出力す
る。
【0061】リミッタ増幅部104からのRSSI信号
は電界検出部108に入力される。電界検出部108
は、RSSI信号をそのままAM復調部109に与える
とともに、RSSI信号より受信波の電界強度を求め
て、その強度を表す電圧を電界強度比較部110に出力
する。電界強度比較部110は、電界検出部108の出
力電圧を所定の基準電圧V1と比較して、その大小関係
を表す信号を出力する。具体的には、電界検出部108
の出力電圧が基準電圧V1以上のときにHレベルの信号
を、そうでないときにLレベルの信号を出力する。
【0062】この基準電圧V1は、車両が1つの路上局
の近傍に位置するときにその路上局からのビーコン信号
波と他の路上局からのビーコン信号とを確実に識別し得
るように、路側ビーコンシステム内の路上局の配設間隔
と出力強度を考慮して、値を設定されている。
【0063】AM復調部109は、入力されたRSSI
信号に基づきAM復調を行う。具体的には、AM復調部
109は、1kHzの周波数成分を透過させるバンドパ
スフィルタとコンパレータを有しており、バンドパスフ
ィルタによってRSSI信号から抽出した1kHz成分
の電圧をコンパレータで所定値と比較する。コンパレー
タは、抽出成分の電圧が所定値より高いときにHレベル
の信号を、そうでないときにLレベルの信号をAM復調
信号として出力する。こうして路側ビーコンシステムに
おける2値のAM変調が復調される。
【0064】一方、増幅され振幅を揃えられたリミッタ
増幅部104からの信号はFM復調部105に入力され
てGMSK復調される。ここではFM復調部105とし
て同期検波によってGMSK復調を行う復調器を採用し
ているが、GMSK復調を行うものであれば他の一般的
な復調器を用いても構わない。復調により変調前の信号
が復元される。
【0065】上述の受信からAM復調およびFM復調ま
での構成と動作は、図13に示した従来のものとほぼ同
様である。本実施形態の受信装置は、これ以降の信号処
理およびそのための構成が従来のものと異なっており、
ここに特徴を有する。
【0066】FM復調信号はマイクロコンピュータより
成るデータ処理部106に入力される。データ処理部1
06は、まず、同期ビットパターン検出によるフレーム
同期を行ってデータフレームを検出し、同期検出タイミ
ング信号S1を出力する。同期ビットパターンは32ビ
ットでありデータの搬送速度は64kbpsであるか
ら、同期ビットパターンの検出には1/2000秒を要
し、同期検出タイミング信号S1はデータフレームの先
頭に対して1/2000秒遅れて出力されることにな
る。
【0067】データ処理部106は、さらに、デスクラ
ンブルを行った後、データに対してCRC誤り検出を行
って、誤りがあったときにLレベルとなりなかったとき
にHレベルとなるチェック信号S2と、データフレーム
の末尾を検出したこと表す末尾検出タイミング信号S3
とを、データフレーム末尾を検出したときに出力する。
これらのチェック信号S2および末尾検出タイミング信
号S3は、後述するように、FM変調成分とAM変調成
分の位相関係の検出に用いられる。データ処理部106
は、また、データフレーム中のデータを図外のデータ処
理装置に与える。
【0068】データ処理部106は、同期ビットパター
ン検出後、データフレームの末尾まで同期ビットパター
ン検出に対するマスキングを行って、同一データフレー
ム中で複数回の同期ビットパターン検出を行わないよう
に構成されている。このため、たとえスクランブルを施
されているデータ部分に同期ビットパターンと同一のビ
ットパターンが含まれている場合でも、これに基づいて
同期検出タイミング信号S1を出力することはない。
【0069】同期検出タイミング信号S1は基準クロッ
ク生成部107に入力される。基準クロック生成部10
7は、AM復調信号の位相判定のために、入力された同
期検出タイミング信号S1に基づいて1kHzの方形波
である基準クロック信号S4を出力する。この基準クロ
ック信号の位相はデータフレームの先頭に対し270゜
遅れる関係に設定される。基準クロック生成部107
は、タイミング信号が与えられる度に初期設定し直すル
ープ構造を備えておらず、以下に述べるように極めて簡
単に構成されている。
【0070】基準クロック生成部107の構成を図2に
示す。基準クロック生成部107はカウンタ107aよ
りなり、同期検出タイミング信号S1に加えマスターク
ロック信号を入力される。マスタークロック信号は安定
した高周波パルスであればよく、データ処理部106の
マイクロコンピュータの制御に用いられるクロックを兼
用する構成としている。例えば水晶発振子を有する発振
回路を基準クロック生成部107に備えてその出力を用
いるようにしてもよい。ここではマスタークロック信号
の周波数を1024kHzとした例について説明する
が、カウンタ107aの設定値を変えることにより他の
周波数とすることも可能である。
【0071】カウンタ107aはクロック入力端子に入
力されるマスタークロック信号を計数するが、ロード端
子LDに入力される同期検出タイミング信号S1がHレ
ベルに遷移する度に初期化される。計数の初期値は10
ビットのデータ端子Dに与えられており、255に設定
されている。カウンタ107aは出力端子Oより10ビ
ットの計数値の最上位ビットを出力する。カウンタ10
7aの出力は計数値が初期値255から511までの間
はLレベルとなり、計数値が512以上になった後はH
レベルとなる。
【0072】このような設定により、カウンタ107a
はマスタークロック信号を1024分周してAM変調成
分の周波数と同一の1kHzとするとともに、同期検出
タイミング信号S1に対してAM変調成分周波の1/4
周期遅らせてHレベルパルスを出力することになる。同
期検出タイミング信号S1はデータフレームの先頭に対
してAM変調成分周波の1/2周期分遅れているから、
結局、カウンタ107aの出力の位相はデータフレーム
の先頭に対して3/4周期すなわち270゜遅れること
になる。この出力は基準クロック信号S4として位相判
定部111に与えられる。
【0073】位相判定部111は、AM復調部109か
ら出力されるAM復調信号の位相を前述の基準クロック
信号の位相と比較して、AM変調成分とFM変調成分と
が同相であったか否かを判定する。このとき、電界強度
比較部110の出力信号を参照する。本実施形態の位相
判定部111は、FM変調成分とAM変調成分の位相を
比較した結果をデータフレーム毎にするように構成され
ている。
【0074】位相判定部111の構成を図3に示す。位
相判定部111には、AM復調信号S5、基準クロック
信号S4および電界強度比較部110の出力信号S6に
加えて、データ処理部106からの同期検出タイミング
信号S1、チェック信号S2および末尾検出タイミング
信号S3が与えられる。位相判定部111は同期検出タ
イミング信号S1のレベルを反転するINVゲート12
1を備えている。
【0075】AM復調信号S5と基準クロック信号S4
はそれぞれカウンタ122のイネイブル端子とクロック
入力端子に入力される。前述のように、基準クロック信
号S4の位相はデータフレームの先頭に対して270゜
遅れている。このため、基準クロック信号はAM変調成
分のHレベル期間の中点またはLレベル期間の中点でL
レベルからHレベルに遷移する。
【0076】AM変調成分とFM変調成分が同相の場
合、基準クロック信号はAM変調成分よりも270゜遅
れるため、基準クロック信号がLレベルからHレベルに
立ち上がるときには、イネイブル端子には常にLレベル
が入力されていることになる。このとき、カウンタ12
2はディスエイブル状態になって、基準クロック信号の
立ち上がりがあっても計数しない。
【0077】AM変調成分とFM変調成分が逆相の場
合、基準クロック信号はAM変調成分よりも90゜遅れ
るため、基準クロック信号がLレベルからHレベルに立
ち上がるときには、イネイブル端子には常にHレベルが
入力されていることになる。このとき、カウンタ122
は基準クロック信号の立ち上がりに応じて計数する。計
数値はビット数kのパラレル信号として2つの比較部1
25、126に常時出力される。カウンタ122の計数
値はINVゲート121によりレベル反転された同期検
出タイミング信号S1によって初期値0にリセットされ
る。
【0078】基準クロック信号S4はカウンタ123の
クロック入力端子にも入力される。このカウンタ123
は、イネイブル端子にHレベルを常時与えられており、
基準クロック信号S4がLレベルからHレベルに立ち上
がる度に計数する。カウンタ123は所定数nを計数す
る毎に、AM変調成分とFM変調成分の位相の比較を指
示するHレベルのパルスを出力する。基準クロック信号
の周波数は1kHzであるから、位相比較はnミリ秒毎
に行われることになる。カウンタ123の出力は比較部
125、126のクロック入力端子に与えられる。この
カウンタ123の計数値もINVゲート121によりレ
ベル反転された同期検出タイミング信号S1によって初
期値0にリセットされる。
【0079】基準クロック信号は、さらに、カウンタ1
24にも入力される。このカウンタ124は、イネイブ
ル端子に電界強度比較部110の出力信号S6が入力さ
れており、この信号S6がHレベルのときはイネイブル
状態になって、基準クロック信号S4の立ち上がりを計
数する。電界強度比較部110からの信号S6がLレベ
ルのときはディスエイブル状態になって、基準クロック
信号S4の立ち上がりを計数しない。カウンタ124は
計数値が上記所定値nに達すると、Hレベルのパルスを
出力するように設定されている。このカウンタ124も
INVゲート121によりレベル反転された同期検出タ
イミング信号S1によって計数値をリセットされる。
【0080】比較部125、126はコンパレータから
成り、それぞれ第1および第2の入力端子の値を比較し
て、第1の入力端子の値が第2の入力端子の値よりも大
きいときにHレベルの信号を、第1の入力端子の値が第
2の入力端子の値よりも小さいときにLレベルの信号を
出力する。比較部125の第1の入力端子には所定の第
1の基準値TH1が与えられており、第2の入力端子に
はカウンタ122の出力が与えられる。比較部126の
第1の入力端子にはカウンタ122の出力が与えられ、
第2の入力端子には第1の基準値TH1よりも大きい第
2の基準値TH2が与えられている。比較部125、1
26は、カウンタ123からHレベルパルスを与えられ
たときに、比較結果を出力する。
【0081】比較部125、126の出力信号はORゲ
ート128に与えられて論理和信号とされる。比較部1
25、126における入力端子および基準値の上記設定
により、カウンタ122の計数値が第1の基準値TH1
よりも小さいときまたは第2の基準値TH2よりも大き
いときに、ORゲート128の出力信号はHレベルとな
り、カウンタ122の計数値が第1の基準値TH1より
も大きく第2の基準値TH2よりも小さいときに、OR
ゲート128の出力信号はLレベルとなる。ORゲート
128の出力はANDゲート129に入力される。
【0082】カウンタ124の出力はDフリップフロッ
プ回路より成るラッチ部127に与えられる。ラッチ部
127は、クロック入力端子にカウンタ123の出力信
号が入力されており、ここにHレベルのパルスが入力さ
れたときに、カウンタ124から与えられている信号を
出力する。ラッチ部127の出力はANDゲート129
に入力される。
【0083】ANDゲート129は、ORゲート128
からの入力とラッチ部127からの入力の論理積を求
め、両入力がともにHレベルのときにHレベルの信号を
出力する。入力信号のうち一方でもLレベルのときに
は、Lレベルの信号を出力する。
【0084】ANDゲート129からの論理積信号は、
もう1つのANDゲート130に入力される。このAN
Dゲート130には、データ処理部106からのチェッ
ク信号S2が与えられている。前述のようにチェック信
号S2は、CRC誤り検出で誤りがあったときにLレベ
ル、誤りがなかったときにHレベルとなる。したがっ
て、ANDゲート130から出力される論理積信号は、
CRC誤り検出によって誤りが検出されず、nミリ秒間
のカウンタ122の計数値COUTが所定値TH1〜TH
2の範囲外にあり、かつ、受信波の電界強度が所定値以
上のときにHレベルになり、これ以外のときはLレベル
になる。
【0085】位相検出部111はDフリップフロップ回
路より成る2つのラッチ部131、132を備えてい
る。これらのクロック入力端子には、データ処理部10
6からの末尾検出タイミング信号S3が与えられる。比
較部125の出力信号およびANDゲート130の出力
信号はそれぞれ、ラッチ部131および132に入力さ
れ、データ処理部106から末尾検出タイミング信号S
3が与えらたときに出力される。
【0086】上記構成の位相判定部111の動作をまと
めると次のようになる。まず、FM変調成分とAM変調
成分の位相関係の比較の周期を、基準クロック信号S4
に基づいてカウンタ123によってnミリ秒に設定す
る。そして、カウンタ122によって基準クロック信号
の立ち上がりを検出して計数し、位相比較の1周期の期
間中の計数値COUTが所定範囲TH1〜TH2内にある
か否かを2つの比較部125、126およびORゲート
128によって判定する。これと並行して、カウンタ1
24およびラッチ部127によって、電界強度比較部1
10の出力を監視し、位相比較の1周期の期間中1度で
も受信電界強度が所定値V1未満になったか否かを判定
する。
【0087】これらの判定結果をANDゲート129に
よってまとめ、さらにANDゲート130によってCR
C誤り検出の結果とまとめて、第1の信号P1’として
出力する。また、計数値が上記所定範囲TH1〜TH2
外のときの補助情報として、比較部125の比較結果を
第2の信号P0’として出力する。
【0088】結局、位相判定部111は、1つのデータ
フレームにおいてnミリ秒毎に複数回の比較を行い、そ
のうち最後の比較結果のみを出力することになる。この
比較の周期は、AM復調部109の性能や位相比較の結
果を利用する方法等、装置の他の部分の設定を考慮して
定めるべきものである。比較周期をデータフレーム長に
等しい16ミリ秒とし、各データフレームについて1回
のみの比較を行う構成としてもよい。また、位相判定部
111は、同期検出タイミング信号S1によってカウン
タ122、123、124をリセットして比較を開始
し、末尾検出タイミング信号S3によって比較結果を出
力する構成であるから、位相判定をデータフレームに同
期して行うものとなっている。
【0089】位相判定部111の出力信号P1’、P
0’は、最後の1周期の計数値COUTと基準値TH1、
TH2との関係、CRC誤り検出の結果を表すチェック
信号S2のレベル、および電界強度比較部110の出力
信号S6から、次の3つの状態に分類される。 (A1) COUT<TH1、S2=H、S6=H : P1’=H、P0’=H (A2) COUT>TH2、S2=H、S6=H : P1’=H、P0’=L (A3) TH1<COUT<TH2 : P1’=L
【0090】ここで、(A1)は、FM変調成分とAM
変調成分が同相であって、しかもCRC誤り検出によっ
て誤りが検出されず、受信波の電界強度が常に所定値以
上であったことを表す。(A2)は、FM変調成分とA
M変調成分が逆相であって、CRC誤り検出によって誤
りが検出されず、受信波の電界強度が常に所定値以上で
あったことを表す。本実施形態の受信装置では、この2
つの場合にのみ位相比較の結果を確定したものとして扱
う。すなわち、位相判定部111からの第1の出力信号
P1’がHレベルのときに、第2の出力信号P0’がH
レベルであるかLレベルであるかに応じて、同相である
または逆相であると判定する。
【0091】(A3)は、FM変調成分とAM変調成分
の位相関係が不明確であることを意味する。また、受信
電界強度が最後の1周期中に1度でも所定値V1未満に
なったときは、計数値COUTの大小に関わらず第1の出
力信号P1’が(A3)と同様にLレベルになる。さら
にまた、CRC誤り検出によって誤りが検出されたとき
も、計数値COUTの大小に関わらず第1の出力信号P
1’はLレベルになる。このように信号P1’がLレベ
ルのときは、FM変調成分とAM変調成分の位相関係を
断定せず、判定結果を「不定」とする。「不定」の判定
結果は後述する直下判定において利用しない。
【0092】受信電界強度が低いときに判定結果を「不
定」とすることで、弱い電波に基づく不確かな判定をす
ることが回避される。また、CRC誤り検出で誤りがあ
ったときに判定結果を「不定」とすることで、フレーム
同期に誤りが生じ偽の位置をデータフレームとして誤認
識した場合でも、誤った判定を下すことが回避される。
【0093】位相判定部111の2つの出力信号P1’
およびP0’は、図1の直下判定部112に入力され
る。直下判定部112は、これらの信号に基づいて、路
上局70の脇すなわち図11のアンテナ直下を含む点線
O上を通過したか否かを判定する。具体的には、信号P
1’、P0’のレベルを監視し続け、信号P1’がHレ
ベルで信号P0’がHレベルの上記(A1)の状態と、
信号P1’がHレベルで信号P0’がLレベルの(A
2)の状態との間での変化を検出することにより、直下
通過の判定を行う。このとき、位相が同相から逆相にま
たは逆相から同相に、最初に反転したときを路上局脇を
通過した時期と判定し、その後の位相の反転は無視す
る。
【0094】本実施形態の直下判定部112の判定処理
の流れを図4に示す。処理開始後、直下判定部112
は、位相判定部111から定期的に入力される1対の信
号P1’およびP0’を読み込み(ステップ#10
5)、第1の信号P1’がHレベルであるか否かを判定
する(#110)。信号P1’がLレベルのときは、#
105に戻って次の信号対P1’、P0’を読み込む。
この読み込みと判定の処理は信号P1’がHレベルにな
るまで反復される。
【0095】第1の信号P1’がHレベルのときは、第
2の信号P0’のレベルを反転前の初期位相を表す初期
レベルPINTとして記憶する(#115)。したがっ
て、信号P0’がHレベルであれば初期位相が同相であ
ったこと、信号P0’がLレベルであれば初期位相が逆
相であったことが記憶されることになる。
【0096】初期レベルを記憶した後、次に入力される
信号対P1’、P0’を読み込み(#120)、その第
1の信号P1’がHレベルであるか否かを判定する(#
125)。信号P1’がLレベルのときは、#120に
戻って次の信号対P1’、P0’を読み込む。信号P
1’がHレベルのときは、第2の信号P0’のレベルが
#115で記憶した初期レベルPINTと同じであるか否
かを判定する(#130)。信号P0’のレベルと初期
レベルPINTが同じときには、#120に戻って次の信
号対P1’、P0’を読み込む。#120〜#130の
信号読み込みと判定処理は、信号P1’がHレベルで信
号P0’が初期レベルPINTと異なるレベルの信号対が
入力されるまで、反復されることになる。
【0097】第2の信号P0’のレベルが記憶している
初期レベルPINTと異なるとき、すなわち位相が逆転し
たときは、路上局脇を通過したと判断して、記憶してい
る初期レベルPINTを直ちに出力する(#135)。こ
れで、その路上局についての判定処理を終了して、これ
以後に入力される信号P1’、P0’は無視する。
【0098】ここで出力される初期レベルPINTは、そ
の出力時期が路上局脇通過時期を表し、そのレベルが、
AM変調成分が同相から逆相に反転したのか逆相から同
相に反転したのかを表すことになる。直下判定部112
はこの初期レベルPINTをデータ処理装置に出力する。
データ処理装置は、データ処理部106から与えられる
受信データが含んでいる情報によって路上局を特定する
とともに、受信データと直下判定部112のこの出力信
号によって車両が走行している方向を決定することにな
る。
【0099】本実施形態では、FM変調成分とAM変調
成分の位相関係の判定において誤りの発生が防止される
という特徴と、直下判定を速やかに行うという特徴とを
併せ持つ受信装置が実現されている。なお、本実施形態
の位相判定部112および直下判定の方法を、それぞれ
単独で、図13に示した従来の受信装置に組み合わせて
もよい。
【0100】また、本実施形態の受信装置では、データ
フレームの検出に基づいてクロック信号を生成するため
の回路を、例えばデータフレームの検出毎に初期化を行
うループ構造を有するような、高精度の回路とする必要
がなくなっている。このためデータ処理部および基準ク
ロック生成部の回路構成が簡単になっている。
【0101】本発明の受信装置の第2の実施形態の構成
を図5に示す。電力増幅部202、周波数変換部20
3、リミッタ増幅部204、FM復調部205、電界検
出部208、AM復調部209および電界強度比較部2
10の構成と動作は、第1の実施形態の受信装置と同様
である。
【0102】データ処理部206は、同期ビットパター
ン検出によるフレーム同期を行ってデータフレームを検
出し、同期検出タイミング信号S1を基準クロック生成
部207と位相判定部211とに出力する。また、デス
クランブルとデータに対するCRC誤り検出を行い、デ
ータを図外のデータ処理装置に与える。
【0103】基準クロック生成部207は、2kHzす
なわちAM変調成分の倍周波数の方形波を生成し、AM
復調信号の位相判定のための基準クロック信号S4’と
して出力する。この基準クロック信号S4’の位相は、
同期検出タイミング信号S1に対して、自身の周波数で
180゜、AM変調成分の周波数で90゜遅れる関係に
設定される。
【0104】本実施形態における主要な信号の位相関係
を図7に示す。図7において、(a)はデータフレーム
の先頭に対して同相で同期したAM変調成分、(b)は
データフレームの先頭に対して逆相で同期したAM変調
成分、(c)は同期検出タイミング信号S1、(d)は
基準クロック信号S4’である。
【0105】位相判定部211の構成を図6に示す。こ
の位相判定部211は図13に示した構成に加えて、I
NVゲート233、Dフリップフロップ回路234およ
びEX−ORゲート235を備えている。INVゲート
233は基準クロック信号S4’を入力され、そのレベ
ルを反転させて、反転基準クロック信号をDフリップフ
ロップ回路234に出力する。図7の(e)が反転基準
クロック信号である。
【0106】Dフリップフロップ回路234は、反転基
準クロック信号を2分周してAM変調成分と同じ1kH
zの周波数とする。Dフリップフロップ回路234はリ
セット端子に同期検出タイミング信号S1を与えられて
おり、その出力は同期検出タイミング信号S1によって
リセットされる。したがって、2分周して得た1kHz
信号は同期検出タイミング信号S1に同期し、最初はL
レベルとなる。Dフリップフロップ回路234の出力を
図7の(f)に示す。図7(a)、(b)との比較から
明らかなように、Dフリップフロップ回路234の出力
信号の位相は、データフレームの先頭に同相で同期した
AM変調成分と同じになり、データフレームの先頭に逆
相で同期したAM変調成分と逆になる。
【0107】EX−ORゲート235は、AM復調部2
09からのAM復調信号S5と上記Dフリップフロップ
回路234の出力信号を与えられて、両者の排他的論理
和を求め、結果が真のときHレベル、偽のときLレベル
の信号を出力する。EX−ORゲート235の出力信号
を図7の(g)、(h)に示す。AM変調成分がデータ
フレームの先頭に対して同相のとき、2つの入力はとも
にHレベルまたはLレベルになるから、EX−ORゲー
ト235の出力信号は、(g)に示したように、一定の
Lレベルになる。AM変調成分がデータフレームの先頭
に対して逆相のとき、2つの入力は一方がLレベルのと
き他方はHレベルになるから、EX−ORゲート235
の出力信号は、(h)に示したように、一定のHレベル
になる。
【0108】このように、EX−ORゲート235の出
力信号は、通常の場合、AM変調成分の1kHz周期の
レベル変化にかかわらずHレベルまたはLレベルの一定
値となる。ところが、フェージング等が発生してAM復
調信号S5に1kHz周期のレベル変化が現れなくなる
と、Dフリップフロップ回路234の出力信号は常に1
kHz周期でレベル変化するから、EX−ORゲート2
35の出力信号は一定レベルではなくなり、逆に、1k
Hzの周期でレベル変化することになる。
【0109】EX−ORゲート235の出力信号は、カ
ウンタ222のイネイブル端子に入力される。カウンタ
222のクロック入力端子には基準クロック信号S4’
が与えられている。カウンタ222は、イネイブル端子
がHレベルのときに基準クロック信号S4’のLレベル
からHレベルへの立ち上がりを検出して計数し、イネイ
ブル端子がLレベルのときは基準クロック信号S4’の
LレベルからHレベルへの立ち上がりがあっても計数し
ない。
【0110】基準クロック信号S4’の周波数は2kH
zであり、AM変調成分の周波数の倍であるから、カウ
ンタ222は、AM変調成分がHレベルになる期間とL
レベルになる期間の両方で計数動作を行うことになる。
理想的な受信状態では、AM変調成分がデータフレーム
の先頭に対して逆相のとき計数値は大になり、同相のと
き計数値は0になる。フェージングが発生した場合、逆
相のときの計数値が減少し、同相のときの計数値が増加
する。
【0111】位相判定部211は、2kHzの基準クロ
ック信号S4’に基づいて位相比較を行う。このため、
カウンタの223の所定数を2n’に設定して位相比較
の周期をn’ミリ秒とし、比較部225および226に
所定値TH1’およびTH2’をそれぞれ与えている。
これ以外の位相比較のための設定および処理は、図13
を参照して従来の受信装置について説明したものと同じ
であるため、詳しい説明を省略する。
【0112】位相判定部211の動作をまとめると次の
ようになる。まず、INVゲート233からEX−OR
ゲート235までの処理により、AM変調成分がデータ
フレームの先頭に同相で同期しているときにLレベル、
逆相で同期しているときにHレベルとなる信号を生成す
る。また、位相関係の比較の周期をカウンタ223によ
ってn’ミリ秒に設定する。そして、基準クロック信号
S4’の立ち上がりをカウンタ222によってそのイネ
イブル端子のレベルに応じて検出して計数し、位相比較
の1周期の期間中の計数値COUTが所定範囲TH1’〜
TH2’内にあるか否かを2つの比較部225、226
およびORゲート228によって判定する。
【0113】これと並行して、カウンタ224およびラ
ッチ部227によって、電界強度比較部210の出力を
監視し、位相比較の1周期の期間中1度でも受信電界強
度が所定値V1未満になったか否かを判定する。これら
の判定結果をANDゲート229によってまとめて、第
1の信号P1として出力する。また、計数値が上記所定
範囲TH1’〜TH2’外のときの補助情報として、比
較部225の比較結果を第2の信号P0として出力す
る。
【0114】位相判定部211の出力信号P1、P0
は、1周期の計数値COUTと基準値TH1’、TH2’
との関係、および電界強度比較部210の出力信号S6
から、次の3つの状態に分類される。 (B1) COUT<TH1’、S6=H : P1=H、P
0=H (B2) COUT>TH2’、S6=H : P1=H、P
0=L (B3) TH1’<COUT<TH2’ : P1=L
【0115】ここで、(B1)は、FM変調成分とAM
変調成分が同相であって、しかも受信波の電界強度が常
に所定値以上であったことを表す。(B2)は、FM変
調成分とAM変調成分が逆相であって、受信波の電界強
度が常に所定値以上であったことを表す。本実施形態の
受信装置では、この2つの場合にのみ位相比較の結果を
確定したものとして扱う。すなわち、位相判定部211
からの第1の出力信号P1がHレベルのときに、第2の
出力信号P0がHレベルであるかLレベルであるかに応
じて、同相であるまたは逆相であると判定する。
【0116】(B3)は、FM変調成分とAM変調成分
の位相関係が不明確であることを意味する。また、受信
電界強度が1周期中に1度でも所定値V1未満になった
ときは、計数値COUTの大小に関わらず第1の出力信号
P1が(B3)と同様にLレベルになる。このように信
号P1がLレベルのときは、FM変調成分とAM変調成
分の位相関係を断定せず、判定結果を「不定」とする。
「不定」の判定結果は直下判定において利用しない。な
お、直下判定部212は、第1の実施形態で示した方法
に従って、路上局の脇を通過したことを判定する。
【0117】本実施形態の受信装置は、AM変調成分の
2倍の周波数の基準クロック信号を用い、AM変調成分
がHレベルになる期間とLレベルになる期間の両方で計
数を行う点に特徴を有する。これにより、フェージング
等が発生して受信波の電界強度が急激に変動し、これに
AM復調が追随できないときでも、誤った位相判定を回
避することが可能になっている。
【0118】図17に示した前述の例について考える。
フェージングによりAM復調信号が(c)の如くAM変
調を反映しない直流状態となったとき、AM変調周期の
半分の時間差のある2点t1およびt2においてAM復
調信号を検出すると、いずれか一方は必ず真のレベルを
表し他方は必ず偽のレベルを表す。偽のレベルの期間
は、位相判定部211のカウンタ222のイネイブル端
子は正しいレベルと反対のレベルになる。すなわち、A
M変調成分が同相であれば、Lレベルになるべきなのに
Hレベルになり、AM変調成分が逆相であれば、Hレベ
ルになるべきなのにLレベルになる。
【0119】このため、AM変調成分が同相のときに
は、計数値が増加して基準値TH1’を超え、逆相のと
きには、計数値が減少して基準値TH2’を下回ること
になる。ただし、AM復調信号には偽のレベルと真のレ
ベルが交互に現れるから、偽のレベルによる計数値の増
加や減少にも限度があり、AM変調成分が同相のときに
計数値が基準値TH2’を超え、逆相のときに基準値T
H1’を下回るという事態は生じない。その結果、AM
変調成分が同相であっても逆相であっても、計数値が2
つの基準値TH1’とTH2’の中間である(B3)の
状態になる。このとき判定結果は「不定」とされ、誤っ
た位相判定はなされない。
【0120】基準クロック信号の検出は、AM変調の1
周期当たり2回に限定されるものではなく、多数回であ
っても構わない。しかし、1周期当たりの検出回数を多
くすると回路構成が複雑になって装置が大型化する。本
実施形態の受信装置は、AM復調信号にレベル変化が現
れなくなったときの位相の誤判定の回避を、簡単な構成
によって実現したものとなっている。
【0121】
【発明の効果】請求項1の受信装置によるときは、受信
した複合変調波のデータフレームの検出に誤りが生じた
場合でも、その誤りが巡回冗長符号に基づくデータの誤
り検出によって見い出されることになる。データフレー
ムの検出に誤りが生じた場合は、データフレームに対す
る振幅変調の位相をその変化に基づく送信源近傍通過時
期の判定に用いないから、データフレーム検出の誤りが
通過時期の判定を誤らせる恐れがない。したがって、送
信源近傍通過時期を常時正しく判定することができて、
車両の走行位置を正しく知ることができる。
【0122】しかも、データの誤り検出用の巡回冗長符
号を兼用するため、データフレーム検出の誤りを見い出
すために特別な符号をデータフレームに含ませる必要が
なく、送信するデータ量を増大させることなく正しい判
定を行うことができる。
【0123】請求項2の受信装置によるときは、データ
フレームに対する振幅変調の位相が最初に変化したとき
に送信源の近傍を通過したと判定するから、判定結果を
極めて速やかに得ることができる。したがって、送信源
近傍通過時期と判定したときの車両の位置と送信源との
距離差を小さくすることができ、さらにはその距離差の
ばらつきを小さくすることができて、車両位置を精度よ
く知ることができる。また、送信源近傍通過時期を判定
するための論理が極めて簡単である。
【0124】請求項3の受信装置では、フェージング等
により受信強度が急激に変動しこの変動に振幅復調が追
従できない場合でも、送信源近傍通過時期の判定に誤り
が生じない。したがって、建物の多い街中や他に大型の
車両が走行する等の無線通信にとって悪条件の走行環境
であっても、安定して送信源近傍通過時期を判定し得る
受信装置となる。また、振幅復調を簡素な回路構成で行
うことができる。
【0125】請求項4の受信装置によるときは、同期ビ
ットパターンと同一のビットパターンがデータに含まれ
ているときでも、データフレームを誤りなく検出するこ
とができ、したがって、送信源近傍を通過した時期を正
しく判定することが可能である。また、送信するデータ
に同期ビットパターンと同一のビットパターンが含まれ
ることがないように配慮する必要がなくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の受信装置の第1の実施形態の構成を
示す図。
【図2】 第1の実施形態の基準クロック生成部の構成
を示す図。
【図3】 第1の実施形態の位相判定部の構成を示す
図。
【図4】 第1の実施形態の直下判定部が行う判定処理
を表すフローチャート。
【図5】 本発明の受信装置の第2の実施形態の構成を
示す図。
【図6】 第2の実施形態の位相判定部の構成を示す
図。
【図7】 第2の実施形態における主要な信号の位相関
係を示す図。
【図8】 FM−AM複合変調波のデータフレームの構
成と同期関係を示す図。
【図9】 FM−AM複合変調波を送信する路上局の構
成を示す図。
【図10】 FM−AM複合変調波のFM変調とAM変
調の同期関係を示す図。
【図11】 FM−AM複合変調波のFM変調とAM変
調の路上における位相関係を示す図。
【図12】 路上局からの距離とFM−AM複合変調波
の受信強度の関係を示す図。
【図13】 従来の受信装置の構成を示す図。
【図14】 従来の受信装置の位相判定部の構成を示す
図。
【図15】 従来の受信装置の直下判定部が行う判定処
理の概要を示す図。
【図16】 正常時のRSSI信号とAM復調信号を示
す図。
【図17】 フェージング発生時のRSSI信号とAM
復調信号を示す図。
【符号の説明】
101、201 アンテナ 102、202 電力増幅部 103、203 周波数変換部 104、204 リミッタ増幅部 105、205 FM復調部 106、206 データ処理部 107、207 基準クロック生成部 107a カウンタ 108、208 電界検出部 109、209 AM復調部 110、210 電界強度比較部 111、211 位相判定部 112、212 直下判定部 122、222 カウンタ 123、223 カウンタ 124、224 カウンタ 125、225 比較部 126、226 比較部 127、227 ラッチ部 128、228 ORゲート 129、229 ANDゲート 130 ANDゲート 131 ラッチ部 132 ラッチ部 233 INVゲート 234 Dフリップフロップ回路 235 EX−ORゲート S1 同期検出タイミング信号 S2 チェック信号 S3 末尾検出タイミング信号 S4 基準クロック信号 S4’ 基準クロック信号 S5 AM復調信号 S6 電界強度比較信号 P1 位相比較部第1出力信号 P0 位相比較部第2出力信号 P1’ 位相比較部第1出力信号 P0’ 位相比較部第2出力信号

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 巡回冗長符号を付加したデータを含む複
    数のデータフレームを担持する周波数変調波に半周期の
    位相差のある2つの振幅変調用の周波をデータフレーム
    に同期して重畳した、異なる方向に同時に送信される2
    つの複合変調波を受信し、受信した複合変調波を周波数
    復調してデータフレームを検出し、検出したデータフレ
    ームに対する振幅変調の位相を検出して、検出した位相
    の変化から前記複合変調波の送信源の近傍を通過した時
    期を判定する車両装備用の受信装置において、 検出したデータフレーム毎に巡回冗長符号に基づく誤り
    検出を行い、誤りがあったときにそのデータフレームに
    対する振幅変調の位相を前記判定に用いないことを特徴
    とする受信装置。
  2. 【請求項2】 複数のデータフレームを担持する周波数
    変調波に半周期の位相差のある2つの振幅変調用の周波
    をデータフレームに同期して重畳した、異なる方向に同
    時に送信される2つの複合変調波を受信し、受信した複
    合変調波を周波数復調してデータフレームを検出し、検
    出したデータフレームに対する振幅変調の位相を検出し
    て、検出した位相の変化から前記複合変調波の送信源の
    近傍を通過した時期を判定する車両装備用の受信装置に
    おいて、 データフレームに対する振幅変調の位相が最初に変化し
    たときに前記送信源の近傍を通過したと判定し、その後
    の振幅変調の位相の変化を前記判定に用いないことを特
    徴とする受信装置。
  3. 【請求項3】 複数のデータフレームを担持する周波数
    変調波に半周期の位相差のある2つの振幅変調用の周波
    をデータフレームに同期して重畳した、異なる方向に同
    時に送信される2つの複合変調波を受信し、受信した複
    合変調波を周波数復調してデータフレームを検出し、検
    出したデータフレームに対する振幅変調の位相を検出し
    て、検出した位相の変化から前記複合変調波の送信源の
    近傍を通過した時期を判定する車両装備用の受信装置に
    おいて、 前記データフレームに対する振幅変調の位相の検出を前
    記振幅変調用の周波の半周期毎に行うことを特徴とする
    受信装置。
  4. 【請求項4】 同期ビットパターンを付加したデータを
    含む複数のデータフレームを担持する周波数変調波に半
    周期の位相差のある2つの振幅変調用の周波をデータフ
    レームに同期して重畳した、異なる方向に同時に送信さ
    れる2つの複合変調波を受信し、受信した複合変調波を
    周波数復調し前記同期ビットパターンを検出することに
    よってデータフレームを検出し、検出したデータフレー
    ムに対する振幅変調の位相を検出して、検出した位相の
    変化から前記電波の送信源の近傍を通過した時期を判定
    する車両装備用の受信装置において、 前記同期ビットパターンを最初に検出することによって
    データフレームを検出し、一旦データフレームを検出し
    た後はそのデータフレームについて前記同期ビットパタ
    ーンの検出を行わないことを特徴とする受信装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2012515899A (ja) * 2009-01-27 2012-07-12 エックスワイゼッド・インタラクティヴ・テクノロジーズ・インコーポレーテッド 単一のデバイスおよび/または複数のデバイスの測距探知、配向決定、および/または測位のための方法および装置
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