JPH09291159A - 芳香族ポリイミドフィルム及び積層体 - Google Patents

芳香族ポリイミドフィルム及び積層体

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JPH09291159A
JPH09291159A JP6375197A JP6375197A JPH09291159A JP H09291159 A JPH09291159 A JP H09291159A JP 6375197 A JP6375197 A JP 6375197A JP 6375197 A JP6375197 A JP 6375197A JP H09291159 A JPH09291159 A JP H09291159A
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aromatic polyimide
aromatic
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英明 沖原
Akinori Otani
明範 大谷
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 積層体の基板フィルムとして、特にリードフ
レーム用途、半導体用途において要求される打ち抜き性
が良好で、接着性と寸法安定性を保持した芳香族ポリイ
ミドフィルムを提供すること。 【解決手段】 15モル%以上のビフェニルテトラカル
ボン酸もしくはその二無水物またはエステルを含むテト
ラカルボン酸成分と、5モル%以上のフェニレンジアミ
ンを含む芳香族ジアミン成分との反応によって製造され
たポリイミドからなる、厚みが10〜125μmの芳香
族ポリイミドフィルムであって、その芳香族ポリイミド
フィルムが11〜22kg/20mm/10μmの比端
裂抵抗値を持ち、かつ揮発物含有量が0.4重量%以下
であることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、優れた切断性や
打ち抜き性を示し、接着剤などの接着性組成物が容易に
付着して、その接着剤組成物層との間の剥離に対して高
い剥離抵抗値を示す芳香族ポリイミドフィルム、そして
その芳香族ポリイミドフィルムと導電性シートとの積層
体に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、高耐熱性の電子部品としては芳香
族ポリイミドフィルムの片面あるいは両面に直接あるい
は接着剤を介して銅箔等の導電体層を設けたものが一般
的である。芳香族ポリイミドは、テトラカルボン酸成分
と芳香族ジアミン成分から製造されるポリアミック酸を
高温に加熱して脱水環化することにより得られる耐熱性
や機械的特性の優れたポリマーである。しかしながら、
特に電子部品に用いられるポリイミドフィルムは更に様
々な特性が要求される。
【0003】特開平6−334110号公報には、リー
ドフレームの製造に適した樹脂材料フィルムとして、端
裂抵抗が50〜70kgf/20mmのポリイミドフィ
ルムが優れていることを明らかにしている。そして更
に、そのポリイミドフィルムは何%程度の吸湿性溶媒が
残存していなければならない旨述べられている。
【0004】電子部品としての耐熱性、電気絶縁性、機
械的強度等の諸特性への高い要求を考慮すると、芳香族
ポリイミドは、テトラカルボン酸成分としてビフェニル
テトラカルボン酸成分を含むものを利用し、また芳香族
ジアミン成分としてフェニレンジアミン成分を含むもの
を利用して製造することが望ましい。また、銅箔などの
ような金属導電体シートと、接着剤層を用いて貼り合せ
た積層体として使用するためには、芳香族ポリイミドフ
ィルムは、その公知のポリイミド系接着剤やエポキシ樹
脂系接着剤などの接着剤に対して高い接着性を示す必要
がある。
【0005】しかしながら本発明者の研究によると、上
記の特開平6−334110号公報に記載の技術は、テ
トラカルボン酸成分としてビフェニルテトラカルボン酸
成分を含むものを利用し、また芳香族ジアミン成分とし
てフェニレンジアミン成分を含むものを利用して製造す
る芳香族ポリイミドフィルムに対しては充分満足できる
特性を付与することができないことが判明した。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】この発明の目的は、積
層体の基板フィルムとして、特にリードフレーム用途、
半導体用途において要求される打ち抜き性が良好で、接
着性および寸法安定性を保持した芳香族ポリイミドフィ
ルムを提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】この発明は、少なくとも
15モル%のビフェニルテトラカルボン酸もしくはその
二無水物またはエステルを含むテトラカルボン酸成分
と、少なくとも5モル%(好ましくは15モル%以上)
のフェニレンジアミンを含む芳香族ジアミン成分との反
応によって製造されたポリイミドからなる、厚みが10
〜125μmの芳香族ポリイミドフィルムであって、該
芳香族ポリイミドフィルムが11〜22kg/20mm
/10μmの比端裂抵抗値を持ち、かつ揮発物含有量が
0.4重量%以下であることを特徴とする芳香族ポリイ
ミドフィルムにある。
【0008】この発明はまた、少なくとも15モル%の
ビフェニルテトラカルボン酸もしくはその二無水物また
はエステルを含むテトラカルボン酸成分と、少なくとも
5モル%のフェニレンジアミンを含む芳香族ジアミン成
分との反応によって製造されたポリイミドからなる、厚
みが10〜125μmの芳香族ポリイミドフィルムであ
って、該芳香族ポリイミドフィルムが11〜22kg/
20mm/10μmの比端裂抵抗値を持ち、かつ揮発物
含有量が0.4重量%以下である芳香族ポリイミドフィ
ルムと導電体シートとが接着剤層を介して結合されてな
る積層体にもある。
【0009】この明細書において、端裂抵抗値(あるい
は比端裂抵抗値)はJIS C2318に従って測定し
た試料(5個)の端裂抵抗(あるいは比端裂抵抗)の平
均値を意味する。具体的には、定速緊張形引張試験機の
上部厚さ1.00±0.05mmのV字形切り込み板試
験金具の中心線を上部つかみの中心線に一致させ、切り
込み頂点と下部つかみとの間隔を約30mmになるよう
に柄を取りつける。幅約20mm、長さ約200mmの
試験片を金具の穴部に通して二つに折り合わせて試験機
の下部のつかみにはさみ、1分間につき約200mmの
速さで引張り、引き裂けたときの力を端裂抵抗という。
試験片を縦方向及び横方向からそれぞれ全幅にわたって
5枚とり、端裂抵抗の平均値を求め、端裂抵抗値として
示す。比端裂抵抗値はフィルム厚み当たり(10μm換
算)の端裂抵抗値を示す。
【0010】
【発明の実施の形態】以下に本発明の好ましい態様を列
記する。 1)比端裂抵抗値が、11〜15kg/20mm/10
μmの範囲にある上記の芳香族ポリイミドフィルム。 2)揮発物含有量が0.05〜0.3重量%である上記
の芳香族ポリイミドフィルム。 3)揮発物含有量が0.05〜0.2重量%である上記
の芳香族ポリイミドフィルム。 4)更に0.1〜3重量%の無機フィラーを含有する上
記の芳香族ポリイミドフィルム。 5)ポリアミック酸の溶液流延法により製造されたもの
である上記の芳香族ポリイミドフィルム。 6)表面が、表面処理剤処理、コロナ放電処理、火炎処
理、紫外線照射処理、グロー放電処理、もしくはプラズ
マ処理のうちの、いずれかひとつ以上の処理が施されて
いる上記の芳香族ポリイミドフィルム。 7)吸水率が1.8%以下、引張弾性率が450Kg/
mm2 以上そして線膨張係数(50〜200℃)が2.
5×10-5cm/cm/℃以下である上記の芳香族ポリ
イミドフィルム。 8)絶縁破壊電圧が3KV以上であって、体積抵抗率
(25℃)が2×1016Ω・cm以上である上記の芳香
族ポリイミドフィルム。 9)導電体シートが厚さ8〜50μmの銅箔である上記
の積層体。 10)接着剤層が、熱可塑性接着剤もしくは熱硬化性接
着剤からなる上記の積層体。 11)接着剤層が、ポリイミド系接着剤もしくはエポキ
シ樹脂系接着剤からなる上記の積層体。 12)電子部品のリードフレーム用である上記の積層
体。
【0011】本発明において、ビフェニルテトラカルボ
ン酸成分としては、2,3,3’,4’−ビフェニルテ
トラカルボン酸、3,3’,4,4’−ビフェニルテト
ラカルボン酸、それらの二無水物、またはそれらのエス
テルが使用できるが、なかでも3,3’,4,4’−ビ
フェニルテトラカルボン酸二無水物が好ましく用いられ
る。
【0012】ビフェニルテトラカルボン酸成分と併用が
可能な芳香族テトラカルボン酸成分としては、ピロメリ
ット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノン
テトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベン
ゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2、2−ビス
(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、
2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパ
ン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エ
−テル二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニ
ル)エ−テル二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテ
トラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレン
テトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレ
ンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−
ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘ
キサフルオロプロパン二無水物、2,2−ビス(2,3
−ジカルボキシフェニル)1,1,1,3,3,3−ヘ
キサフルオロプロパン二無水物などを挙げることができ
る。
【0013】本発明で使用するフェニレンジアミンは、
o−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、そ
してp−フェニレンジアミンのいずれであってもよい。
フェニレンジアミンと併用可能な芳香族ジアミン成分と
しては、ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジア
ミノジフェニルプロパン、4,4’−ジアミノジフェニ
ルエタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,
4’−ジアミノジフェニルスルフィド、ビス〔4−(4
−アミノフェノキシ)フェニル〕メタン、2,2−ビス
〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、
2,2’−ビス〔4−(アミノフェノキシ)フェニル〕
−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、
ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕エ−テ
ルなどを挙げることができる。
【0014】この発明において、芳香族ポリイミドフィ
ルム(あるいは表面処理されたフィルム)は、厚みが1
0〜125μm、特に好ましくは25〜75μm、その
中でも特に45〜55μmであることが好ましい。芳香
族ポリイミドフィルムの厚みが、この下限以下であると
自己支持性が低く、また上限以上であると製造に多大な
コストがかかる。また、前記の揮発物含有量が0.4重
量%より多いと接着性および寸法安定性に問題が発生す
る。芳香族ポリイミドフィルムの比端裂抵抗値が前記範
囲外であると、この発明の目的を達成することができな
い。
【0015】また、(1)吸水率および(3)線膨張係
数(50〜200℃)が前記範囲内であると、種々の環
境下(高温、エッチング等)においた場合の寸法安定性
が良好である。さらに、(2)引張弾性率が前記範囲内
であると、基板フィルムとしてハンドリングが良好であ
る。
【0016】この発明の芳香族ポリイミドフィルムは、
例えば以下のようにして製造することができる。好適に
は先ず前記テトラカルボン酸二無水物、好適にはビフェ
ニルテトラカルボン酸類とフェニレンジアミン、好適に
はパラフェニレンジアミンとをN,N−ジメチルアセト
アミドやN−メチル−2−ピロリドンなどのポリイミド
の製造に通常使用される有機極性溶媒中で、好ましくは
10〜80℃で1〜30時間重合して、ポリマ−の対数
粘度(測定温度:30℃、濃度:0.5g/100mL
溶媒、溶媒:N−メチル−2−ピロリドン)が0.1〜
5 、ポリマ−濃度が15〜25重量%であり、回転粘
度(30℃)が500〜4500ポイズであるポリアミ
ック酸(イミド化率:5%以下)溶液を得る。
【0017】次いで、好適にはこのポリアミック酸10
0重量部に対して0.01〜1重量%の(ポリ)リン酸
エステルおよび/またはリン酸エステルのアミン塩など
の有機リン含有化合物あるいは無機リン化合物および、
ポリアミック酸100重量部に対して0.1〜3重量部
のコロイダルシリカ、窒化珪素、タルク、酸化チタン、
燐酸カリウムなどの無機フィラ−(好適には平均粒径
0.005〜5μm、特に0.005〜2μm)を添加
してポリアミック酸溶液組成物を調製する。
【0018】このポリアミック酸溶液組成物を平滑な表
面を有するガラスあるいは金属製の支持体表面に流延し
て前記溶液の薄膜を形成し、その薄膜を乾燥する際に、
乾燥条件を調整して(好適な条件は温度:100〜16
0℃、時間:1〜60分間)乾燥することにより、固化
フィルム中、前記溶媒及び生成水分からなる揮発分含有
量が30〜50重量%、イミド化率が10〜60%であ
る長尺状固化フィルムを形成し、上記固化フィルムを支
持体表面から剥離する。
【0019】次いで、固化フィルムの片面または両面に
アミノシラン系、エポキシシラン系あるいはチタネート
系の表面処理剤を含有する表面処理液を塗布した後、さ
らに乾燥することもできる。表面処理剤としては、γ−
アミノプロピル−トリエトキシシラン、N−β−(アミ
ノエチル)−γ−アミノプロピル−トリエトキシシラ
ン、N−(アミノカルボニル)−γ−アミノプロピル−
トリエトキシシラン、N−〔β−(フェニルアミノ)−
エチル〕−γ−アミノプロピル−トリエトキシシラン、
N−フェニル−γ−アミノプロピル−トリエトキシシラ
ン、γ−フェニルアミノプロピルトリメトキシシランな
どのアミノシラン系や、β−(3,4−エポキシシクロ
ヘキシル)−エチル−トリメトキシシラン、γ−グリシ
リドキシプロピル−トリメトキシシランなどのエポキシ
シラン系や、イソプロピル−トリクミルフェニル−チタ
ネート、ジクミルフェニル−オキシアセテート−チタネ
ートなどのチタネ−ト系などの耐熱性表面処理剤が使用
できる。表面処理液は前記の表面処理剤を0.5〜50
重量%含む低級アルコール、アミド系溶媒などの有機極
性溶媒溶液として使用できる。表面処理液はグラビアコ
ート法、シルクスクリーン、浸漬法などを使用して均一
に塗布して薄層を形成することが好ましい。
【0020】この発明の芳香族ポリイミドフィルムの製
造法の一例の、キュア炉内におけるキュア前の好適な加
熱条件を示す図1を使用して、以下に示す。すなわち、
前記のようにして得られた固化フィルムを必要であれば
さらに乾燥して、好ましくは乾燥フィルムの揮発分含有
量が10〜45重量%となるように調整した後、乾燥フ
ィルムの幅方向の両端縁を把持した状態で、図1に示す
キュア炉内におけるキュア炉入口における温度(℃)
(好適には100〜250℃)×滞留時間(分)が斜線
の範囲内になるように乾燥後、最高加熱温度:400〜
500℃の温度が0.5〜30分間となる条件で該乾燥
フィルムを加熱して乾燥およびイミド化して、残揮発物
量0.4重量%以下で、イミド化を完了することによっ
て芳香族ポリイミドフィルムとして好適に製造すること
ができる。また、前記キュアリング工程の後、芳香族ポ
リイミドフィルムの片面あるいは両面をアルカリ処理し
た(例えば水酸化ナトリウム等のアルカリ水溶液浸漬
後、水洗・乾燥)後、前記の表面処理液を塗布し乾燥す
ることによっても、同様にフィルム表面を表面処理する
ことができる。
【0021】上記のようにして得られた芳香族ポリイミ
ドフィルムを、好適には低張力下あるいは無張力下に2
00〜400℃程度の温度で加熱して応力緩和処理し、
巻き取る。
【0022】前記の芳香族ポリイミドフィルムは、前述
の製造時のキュア炉内のキュア前の加熱条件を前記の図
1に示す範囲内にコントロールすること及びキュア条件
を前記の温度および時間の範囲内にすることによって厚
みが10〜125μmのものであって、揮発物含有量が
0.4重量%以下で、かつ比端裂抵抗値が本発明で規定
した値をとるようにすることができる。芳香族ポリイミ
ドフィルムの厚みが125μmより大きい場合には、好
適には二層以上のポリアミック酸溶液を共押出法によっ
て積層後、同様に乾燥・イミド化することによって厚み
の厚いポリイミドフィルムを製造することができる。
【0023】この発明における芳香族ポリイミドフィル
ムは、好適にはテトラカルボン酸二無水物として3,
3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物
と芳香族ジアミンとしてパラフェニレンジアミンとを重
合する方法によって容易に得ることができるが、ポリア
ミック酸としては、前記フィルムの物性値を満足する範
囲内であれば、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラ
カルボン酸二無水物とパラフェニレンジアミンとともに
他の成分を重合してもよく、また、結合の種類はランダ
ム重合、ブロック重合のいずれであってもよい。また、
最終的に得られるポリイミドフィルム中の各成分の合計
量が前記範囲内であれば、3,3’,4,4’−ビフェ
ニルテトラカルボン酸二無水物を含むポリアミック酸と
パラフェニレンジアミンを含むポリアミック酸に他の成
分からなるポリアミック酸成分を混合して使用してもよ
い。いずれの場合も前記と同様にして目的とする芳香族
ポリイミドフィルムを得ることができる。また、この発
明における芳香族ポリイミドフィルムは、上述の熱イミ
ド化に限定されず、前記条件の範囲内であれば化学イミ
ド化によっても同様に行うことができる。
【0024】この発明における芳香族ポリイミドフィル
ムは、そのまま、あるいは表面処理剤で処理していない
場合は、好適にはコロナ放電処理、プラズマ処理、紫外
線照射、火炎処理で表面処理を施した後、接着剤を塗布
あるいはこれら接着剤のフィルムを積層して接着剤層を
設けることができる。
【0025】上記芳香族ポリイミドフィルム、好適には
フィルムの表面処理面に導電体層を積層する方法として
は、蒸着法、スパッタ法、メッキ法で導電体層を直接積
層してもよく、あるいは接着剤を介して導電体層を積層
しても良い。接着剤を介して導電体層を積層する場合の
接着剤は、熱硬化型でも熱可塑型でも良い。特に、ポリ
イミド接着剤、エポキシ樹脂接着剤、アクリル樹脂接着
剤、ポリアミド樹脂系接着剤などが好適に使用される。
【0026】この発明における導電体は、金属、例えば
アルミニウム、銅、銅合金等が挙げられ、銅箔が一般的
に使用される。銅箔としては、電解銅箔、圧延銅箔であ
り、その引張強度が17Kg/mm2 以上であるものが
好ましい。また、その厚みは8〜50μmであることが
好ましい。
【0027】この発明の芳香族ポリイミドフィルムには
直接、あるいは好適には接着剤を介して導電体を積層し
たのち、回路を形成してもよい。導電体に回路を形成す
る場合は、芳香族ポリイミドフィルム上に直接あるいは
接着剤を介して導電体を積層して導電基板を製造した
後、その導電体表面に例えばエッチングレジストを回路
パタ−ン状(配線パタ−ン状)に印刷して、配線パター
ンが形成される部分の導電体の表面を保護するエッチン
グレジストの配線パタ−ンを形成した後、それ自体公知
の方法でエッチング液を使用して配線が形成されない部
分の導電体をエッチングにより除去し、エッチングレジ
ストを除去することによって行うことができる。回路パ
ターン上面に直接あるいはシランカップリング剤のよう
な表面処理剤で処理した後、コート材(液状物)を塗布
した後加熱乾燥してコ−ト層を形成してもよい。
【0028】
【実施例】以下にこの発明の実施例を示す。以下の各例
において、ポリイミドフィルムの物性測定は以下の方法
によって行った。 吸水率:ASTM D570−63に従って測定(23
℃×24時間) 引張弾性率:ASTM D882−64Tに従って測定
(MD) 線膨張係数(50〜200℃):300℃で30分加熱
して応力緩和したサンプルをTMA装置(引張りモ−
ド、2g荷重、試料長10mm、20℃/分)で測定
【0029】イミド化率:FI−IR(ATR法)によ
り1780cm-1と1510cm-1の吸光度の比から求
めた。測定はフィルムのA面について行った。 揮発物含有量(固化フィルム):下記式により求めた。 揮発物含有量=〔(A−B)/A〕×100 A:加熱前のフィルム重量 B:420℃、20分加熱後のフィルム重量 揮発物含有量(ポリイミドフィルム):下記式により求
めた。 揮発物含有量=〔(A−B)/A〕×100 A:150℃、10分加熱後のフィルム重量 B:450℃、20分加熱後のフィルム重量
【0030】絶縁破壊電圧:ASTM D149−64
に従って測定(25℃) 体積抵抗率:ASTM D257−61に従って測定
(25℃) 誘電率:ASTM D150−64Tに従って測定(2
5℃、1KHz)
【0031】[実施例1]内容積100リットルの重合
槽に、N,N−ジメチルアセトアミド54.6kgを加
え、次いで,3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカ
ルボン酸二無水物8.826kgとパラフェニレンジア
ミン3.243kgとを加え、30℃で10時間重合反
応させて、ポリマーの対数粘度(測定温度:30℃、濃
度:0.5g/100ミリリットル溶媒、溶媒:N,N
−ジメチルアセトアミド)が1.60、ポリマ−濃度が
18重量%であるポリアミック酸(イミド化率:5%以
下)溶液を得た。このポリアミック酸溶液に、ポリアミ
ック酸100重量部に対して0.1重量部の割合でモノ
ステアリルリン酸エステルトリエタノールアミン塩およ
び0.5重量部の割合(固形分基準)で平均粒径0.0
8μmのコロイダルシリカを添加して均一に混合してポ
リアミック酸溶液組成物を得た。このポリアミック酸溶
液組成物の回転粘度は3000ポイズであった。このポ
リアミック酸溶液組成物をTダイ金型のスリットから連
続的に、キャスティング・乾燥炉の平滑な支持体に押出
して前記溶液の薄膜を形成し、平均温度:141℃で乾
燥して長尺状固化フィルムを形成した。この支持体表面
から剥離して長尺状固化フィルムを得た。次いで、N,
N−ジメチルアセトアミドのアミノシラン表面処理液を
長尺状固化フィルムの両面に均一に塗布した後乾燥し
て、表面処理した乾燥フィルムを得た。この乾燥フィル
ムは溶媒および生成水分からなる揮発分含有量は27重
量%であった。次いで、該表面処理した乾燥フィルムの
幅方向を把持した状態で、キュア炉内でキュアして(入
口における温度×滞留時間=240℃×2分、最高温度
×最高温度滞留時間=480℃×1分)、両面を表面処
理剤で処理した厚み25μmの長尺状の芳香族ポリイミ
ドフィルムを連続的に製造した。この芳香族ポリイミド
フィルムについて測定、評価した結果を表1に示す。
【0032】[実施例2]Tダイ金型のスリット巾を変
えた他は実施例1と同様にして長尺状固化フィルムを得
た。長尺状固化フィルムの両表面に表面処理液を塗布せ
ず、実施例1と同様に加熱・乾燥して乾燥フィルムを得
た。このフィルムは揮発物含有量が27重量%であっ
た。次いで、該乾燥フィルムの幅方向を把持した状態
で、キュア炉内でキュアして(入口における温度×滞留
時間=200℃×4分、最高温度×最高温度滞留時間=
480℃×3分)、厚み50μmの長尺状の芳香族ポリ
イミドフィルムを連続的に製造した。この芳香族ポリイ
ミドフィルムについて測定・評価した結果を表1に示
す。
【0033】[実施例3]実施例2と同様にして長尺固
化フィルムを製造した。次いで、実施例1と同様にして
表面処理した乾燥フィルムを得た。このフィルムは揮発
分含有量が28重量%であった。次いで、該乾燥フィル
ムの幅方向を把持した状態で、キュア炉内でキュアして
(入口における温度×滞留時間=200℃×2.5分、
最高温度×最高温度滞留時間=480℃×3分)、両面
を表面処理剤で処理した厚み50μmの長尺状の芳香族
ポリイミドフィルムを連続的に製造した。この芳香族ポ
リイミドフィルムについて測定・評価した結果を表1に
示す。
【0034】[実施例4]Tダイ金型のスリット巾を変
えた他は実施例2と同様にして長尺状固化フィルムを得
た。次いで、実施例2と同様にして表面処理しない乾燥
フィルムを得た。このフィルムは揮発分含有量が30重
量%であった。次いで、該乾燥フィルムの幅方向を把持
した状態で、キュア炉内でキュアして(入口における温
度×滞留時間=140℃×5分、最高温度×最高温度滞
留時間=480℃×3分)、厚み75μmの長尺状の芳
香族ポリイミドフィルムを連続的に製造した。この芳香
族ポリイミドフィルムの両面をアルカリ処理した(水酸
化ナトリウム30%水溶液30分浸漬後、水洗・乾燥)
後、実施例1と同様にして表面処理して、両面を表面処
理剤で処理した厚み75μmの長尺状の芳香族ポリイミ
ドフィルムを連続的に製造した。この芳香族ポリイミド
フィルムについて測定・評価した結果を表1に示す。
【0035】[実施例5]Tダイ金型のスリット巾を変
えた他は実施例2と同様にして長尺状固化フィルムを得
た。長尺状固化フィルムの両表面に表面処理液を塗布せ
ず、実施例2と同様に加熱・乾燥して乾燥フィルムを得
た。このフィルムは揮発物含有量が30重量%であっ
た。次いで、該乾燥フィルムの幅方向を把持した状態
で、キュア炉内でキュアして(入口における温度×滞留
時間=105℃×9分、最高温度×最高温度滞留時間=
450℃×15分)、厚み75μmの長尺状の芳香族ポ
リイミドフィルムを連続的に製造した。この芳香族ポリ
イミドフィルムについて測定・評価した結果を表1に示
す。
【0036】[評価例]実施例1〜5で得られた芳香族
ポリイミドフィルムについて金型での切断面を観察した
ところ、直線性が保たれていた。さらに、実施例1〜5
で得られた芳香族ポリイミドフィルムは、そのままある
いは(表面処理していない場合)プラズマ処理等した
後、エポキシ樹脂系接着剤あるいは熱可塑性ポリイミド
系接着剤を用いて、電解銅箔(35μm)と熱圧着(1
70℃、40kg/cm2 、5分)したところ、剥離強
度の大きい(剥離強度:2kg/cm以上、180度)
積層体が得られた。また、実施例1〜5で得られた芳香
族ポリイミドフィルムの加熱収縮率(25℃、2時間、
JIS C2318)は、いずれも0.3%以下であっ
た。
【0037】
【表1】 第1表 ──────────────────────────────────── 実施例 1 2 3 4 5 ──────────────────────────────────── フィルムの厚み(μm) 25 50 50 75 75 表面処理(有無) 有り 無し 有り 有り 無し 端裂抵抗値(Kg/20mm) 32 68 67 84 93 比端裂抵抗値(Kg/20mm/10μm) 12.8 13.6 13.4 11.2 12.4 揮発物含有量(%) 0.11 0.14 0.17 0.30 0.34 吸水率(%) 1.27 1.34 1.35 1.20 1.35 引張弾性率(Kg/mm2) 847 857 850 690 710 線膨張係数(×10-5/℃) 1.20 1.14 1.23 2.10 1.95 絶縁破壊電圧(KV) 6.6 10.4 10.3 9.8 9.6 体積抵抗率(×1016Ω・cm) 3.8 4.7 3.6 2.4 4.5 誘電率(1kHz) 2.95 3.03 3.10 3.00 3.05 ────────────────────────────────────
【0038】
【発明の効果】この発明は、以上説明したように構成さ
れているので、以下に記載のような効果を奏する。この
発明の芳香族ポリイミドフィルムは、打ち抜き性が良好
であり、しかも接着性を保持しており、高精度の加工が
可能である。また、この発明の積層体は、良好な接着性
とともに高精度の加工性を有している。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の芳香族ポリイミドフィルムの製造法
の一例の、キュア炉内におけるキュア前の好適な加熱条
件の範囲を示す。 縦軸 キュア炉入口における温度(℃)×滞留時間
(分) 横軸 フィルムの厚み(μm) 斜線 好ましい範囲
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08J 7/00 CFG C08J 7/00 CFGZ 301 301 303 303 304 304 306 306 C08K 3/00 C08K 3/00 C08L 79/08 LRB C08L 79/08 LRB H01L 23/50 H01L 23/50 V // C08G 73/10 NTN C08G 73/10 NTN (72)発明者 森重 進 山口県宇部市大字小串1978番地の10 宇部 興産株式会社宇部ケミカル工場内

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも15モル%のビフェニルテト
    ラカルボン酸もしくはその二無水物またはエステルを含
    むテトラカルボン酸成分と、少なくとも5モル%のフェ
    ニレンジアミンを含む芳香族ジアミン成分との反応によ
    って製造されたポリイミドからなる、厚みが10〜12
    5μmの芳香族ポリイミドフィルムであって、該芳香族
    ポリイミドフィルムが11〜22kg/20mm/10
    μmの比端裂抵抗値を持ち、かつ揮発物含有量が0.4
    重量%以下であることを特徴とする芳香族ポリイミドフ
    ィルム。
  2. 【請求項2】 比端裂抵抗値が11〜15kg/20m
    m/10μmの範囲にある請求項1に記載の芳香族ポリ
    イミドフィルム。
  3. 【請求項3】 揮発物含有量が0.3重量%以下である
    請求項1もしくは2に記載の芳香族ポリイミドフィル
    ム。
  4. 【請求項4】 揮発物含有量が0.2重量%以下である
    請求項1もしくは2に記載の芳香族ポリイミドフィル
    ム。
  5. 【請求項5】 更に0.1〜3重量%の無機フィラーを
    含有する請求項1乃至4のうちのいずれかの項に記載の
    芳香族ポリイミドフィルム。
  6. 【請求項6】 ポリアミック酸の溶液流延法により製造
    されたものである請求項1乃至5のうちのいずれかの項
    に記載の芳香族ポリイミドフィルム。
  7. 【請求項7】 表面が、表面処理剤処理、コロナ放電処
    理、火炎処理、紫外線照射処理、グロー放電処理、もし
    くはプラズマ処理のうちの、いずれかひとつ以上の処理
    が施されている請求項1乃至6のうちのいずれかの項に
    記載の芳香族ポリイミドフィルム。
  8. 【請求項8】 吸水率が1.8%以下、引張弾性率が4
    50Kg/mm2 以上そして線膨張係数(50〜200
    ℃)が2.5×10-5cm/cm/℃以下である請求項
    1乃至7のうちのいずれかの項に記載の芳香族ポリイミ
    ドフィルム。
  9. 【請求項9】 絶縁破壊電圧が3KV以上であって、体
    積抵抗率(25℃)が2×1016Ω・cm以上である請
    求項1乃至8のうちのいずれかの項に記載の芳香族ポリ
    イミドフィルム。
  10. 【請求項10】 少なくとも15モル%のビフェニルテ
    トラカルボン酸もしくはその二無水物またはエステルを
    含むテトラカルボン酸成分と、少なくとも5モル%のフ
    ェニレンジアミンを含む芳香族ジアミン成分との反応に
    よって製造されたポリイミドからなる、厚みが10〜1
    25μmの芳香族ポリイミドフィルムであって、該芳香
    族ポリイミドフィルムが11〜22kg/20mm/1
    0μmの比端裂抵抗値を持ち、かつ揮発物含有量が0.
    4重量%以下である芳香族ポリイミドフィルムと導電体
    シートとが接着剤層を介して結合されてなる積層体。
  11. 【請求項11】 導電体シートが厚さ8〜50μmの銅
    箔である請求項10に記載の積層体。
  12. 【請求項12】 接着剤層が、熱可塑性接着剤もしくは
    熱硬化性接着剤からなる請求項10もしくは11に記載
    の積層体。
  13. 【請求項13】 接着剤層が、ポリイミド系接着剤もし
    くはエポキシ樹脂系接着剤からなる請求項10もしくは
    11に記載の積層体。
  14. 【請求項14】 電子部品のリードフレーム用である請
    求項10もしくは11に記載の積層体。
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